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宇崎ちゃんは遊びたい! ~オタクvsフェミニズム論争史を炎上作品のアニメ化から俯瞰する!?

『ゴブリンスレイヤー』 ~レイプに売春まで!? 周縁のまつろわぬ民は常に憐れで正義なのか!?
『異種族レビュアーズ』 ~異世界の性風俗を描いたアニメで、性風俗の是非を考える!?
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『宇崎ちゃんは遊びたい!』 ~オタクvsフェミニズム論争史を炎上作品のアニメ化から俯瞰する!?

(文・T.SATO)
(2020年7月27日脱稿)


 低身長で銀髪ショートカットだけど八重歯に奇形的な超巨乳の大学新入生少女・宇崎ちゃんが、高校時代の部活の先輩でもある無口で無愛想で(ひとり)ボッチ気味な長身の青年クンに明るくウザったくチョッカイをかけてくるのがキモの深夜アニメである。ググってみると、元々はツイッターで連載していた個人マンガが商業媒体にスカウトされて、ついに深夜アニメ化されるにまで至ったモノ。


 通常、マンガやアニメにおいては銀髪は影のウスさや意思の弱さ・理知的なイメージを象徴させるモノで、小ナマイキさを示す八重歯やお色気要員であることを示す巨乳といった記号とは組み合わせにはならないハズだけど、この作品では銀髪なのに八重歯と超巨乳を掛け合わせたキャラクターデザインともなっている。
 いや、だからスゴいとか斬新だとか云う気もまったくナイけれど(笑)。でもまぁ黒髪や赤髪の美少女がオトコにチョッカイかけてきたら、やや重たいオンナ臭がするやもしれないので、それをウスめるためには銀髪がちょうどイイのかもしれないですネ――金髪の場合だと華麗な美少女臭が強まって、今度は今の宇崎ちゃんのサバサバ臭が出ないだろう――。
 まぁ基本的にはおバカな作品としか思えないので(失礼)、そのへんを意識化・言語化・理論化してキャラデザしたともつゆ思えないし、作者が本能的・直感的・フェティッシュにデザインしていったらこうなった! というだけだとは思うけど(汗)。


 ……なぞとお約束の作品の基礎情報の列挙からスタート。


 なのだけど、アレ!? この作品って昨2019年秋に日本赤十字献血キャンペーンでコラボするも、ツイフェミ(ツイッターフェミニズム)論壇界隈が猛攻を浴びせて、それに対して美少女マンガ&アニメ界隈のオタクたちも負けじと大反論を繰り広げていた炎上案件――といっても国民的な議論になったとかではなく、コップの中の嵐に過ぎないけれども(爆)――の渦中にあったマイナー漫画の深夜アニメ化じゃん!
 あの炎上時点ですでにアニメ化が内々に決定していたのか? 炎上したから知名度が上がったことでアニメ化にコギつけられたのか?(笑)


・2020年2月には、地方興しとコラボしたアイドルアニメ『ラブライブ! サンシャイン!!』(16年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200628/p1)の主人公女子高生の新規描き下ろしの等身大パネルで、制服ミニスカートが透けて見えて下腹部パンティの逆三角形ラインが想起できるとのクレームが発生。
・2019年10月には、当該の『宇崎ちゃんは遊びたい!』の献血喚起ポスター(よりにもよって、煽情的な表情をした原作マンガ版第3巻の表紙カットの転用!)。
・2018年10月には、NHKのホームページの「ノーベル賞」解説サイトに登場したバーチャル・ユーチューバーのキズナ・アイちゃん(16年)。
・2018年2月にも、自衛隊滋賀地方協力本部自衛官募集ポスターに登場した「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」がキャッチコピーであった、魔法のホウキの代わりに両脚にプロペラユニットを付けて架空世界の第2次大戦期に『エヴァ』の敵性生物・使徒もどきと空中戦する美少女戦闘アニメ『ストライクウィッチーズ』(08年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150527/p1)。
・2016年10月には、東京メトロ公式の昭和中期の『サザエさん』チックな女性駅員キャラだったのが、8頭身の萌えキャラとして大幅にリニューアルされた駅乃みちか
・2015年12月には、岐阜県美濃加茂市とコラボした農業高校ラブコメのうりん』(11年・14年に深夜アニメ化)の巨乳キャラをメインに据えたポスター。
・2015年8月にも、伊勢志摩サミット合わせの志摩市公認の海女の萌えキャラ・碧志摩メグ(あおしま・めぐ)。
・2015年5月にも、コップのフチにセットできる制服OL型の小型フィギュア「コップのフチ子さん」(12年)をパロった「コップのカドでグリ美ちゃん」。


 このように数々の作品が炎上案件となってきた。そして、フェミニズムvsオタクの対決といった様相を呈してもいる。よって、読者にあられてはオタクである筆者は後者の味方かと思われるやもしれないけれども……。
 ウ~ム、実はそーでもナイのだ(汗)――かといって、フェミニズムに全面屈服しようというのでもナイけれど――。
 ごくごく個人的な結論から云っちゃうと、『ラブライブ! サンシャイン!!』とキズナ・アイちゃんの件を除けば、どれもこれもが「アウト!」だったんじゃないのかとすら私見もしている(笑)。


 今どきの肉体性がウスい貧乳キャラが主流の記号的な萌え系の美少女マンガやアニメの世界では珍しく、巨乳が奇形的に強調されて性的に挑発的な表情のようにも見える『宇崎ちゃん』や『のうりん』のポスター。爽やかな微エロ程度ではあるけれど濡れた海女さんスタイルの碧志摩メグ。劇中でもズボンだと設定されていたけどそれはパンツ見せ見せの言い訳(笑)でしかなかった『ストライクウィッチーズ』。
 コレらの「性的ニュアンス」を含んだビジュアル群は、たしかにクローズドな場所や私人性が高い同好の士が集うような場所での公開でならばOKではあるだろう。


 しかし、職場や新宿駅の地下道などのオープンな場では、動物的・性的に発情した状態は存在しないかのように、人々は近代的な対等の個人・市民同士としてふるまうのがお約束であり、それで丸くおさまるハズの公共空間においては、過度に性的な姿や表情を強調したビジュアルを配布すれば、それは男女ともに本能的・直感的に気恥ずかしくなったり気マズくなるのがまぁフツーではあり大多数の反応でもあるだろう。
 その観点からフェミニズム陣営がそれを不快であり「環境型セクハラ」であると指弾するのもわかるのだ。


 しかし、彼女らフェミニストたちの糾弾の対象はバストやお色気の強調といったところには留まらない。
 ロジックなり言語には昇華できていないフワッとしたモノではあるものの、上気した表情に加えて美少女キャラのニコニコとした笑顔や恥じらったりハニカんだりしている表情がまた、男性に対して微妙に媚びていてイヤらしくてかつ卑屈な心性でもあることを察知して、感覚面ではそれがまた彼女らの不快感をさらにブースト、分析面でもそこに男尊女卑の社会構造をも透かし見ているのだとも推察されるのだ。
 加えて云うなら、個人的にはそれもまたわかるし、その感覚と分析を一理も二理もあるモノとして認めないでもナイのである。


――このフワッとしたところこそ、フェミたち自身が他者を糾弾時にその「理由」として即座に言語化してほしいところでもある。でもまぁ、彼女らはすでに評価が定まっている安全パイでもある「女性差別撤廃条約」や「児童の権利に関する条約」などの上位の権威に依拠して「上から目線」で物事を演繹法的(えんえきほうてき)・二元論的に裁断するようなことは得意でも、それだけでは物事を単なる「点」や、ステロタイプな善vs悪との二項対立として見ているだけである。そのスコープからもハミ出してしまう、いまだ具体的な形として焦点を結んでいない茫漠とした事物や想いや問題を、帰納法的にひろってきて明晰明快に言語化・理論化するようなことは得意ではないようだ。融通無碍にアタマも柔らかくして「モノサシ」をタテやヨコやナナメに当てて「点」と「点」を「線」や「面」や「立体」にしていき、なるべく多くの事象を説明可能な新たな論理体系・思想体系をつむいでいくような思考こそが、真の意味での「知性」であるとも思うので、失礼ながらドーも彼女らには「知識」はあっても「知性」はナイ……あるいは「知性」が欠如ぎみである……という気がしないでもナイけれど(汗)――


 ただまぁフェミニストたちは、いわゆるフェミではない同性の一般女性たちを戦略的にも敵には廻したくはナイであろうから多くを語らないけど、この前近代的な男尊女卑社会……とまではいかなくても、女性に対してルッキズム(見た目至上主義)や可愛らしさや愛嬌を過剰に求めてくるモテ/非モテ的なコミュニケーションが過剰な後期近代・高度大衆消費社会に、生来からのルックスや性格からして最初からこの社会でさしたる努力ナシでも適応しやすく、自身が女性であることにもつゆ疑問を抱かないどころかファッション&スイーツな女性であることを謳歌さえして、幼少時から


「大きくなったらお嫁さんになる~」


と云ってテンとして恥じない同性たちをプチ嫌悪もしてきており、少年向け冒険物語の「塔の中の囚われの美少女」に自身を仮託できずに物語内に自分の居場所がナイと感じるような疎外感を抱いてきた女性たちでもあって、ググっていくとそのような述懐もまたあまた散見されるのである……。


 その社会不適応な疎外感は我々オタクにも通じるモノがあって共感・同情もしてしまう――まぁ多分アチラさんからすればメーワクでキモいだけで近寄ってこないで! といったところなのではあろうけど(笑)――。


 とはいえ我々オタク連中による、


・萌え美少女キャラに過度に性的なメッセージをフェミニストたちが読み取ったりすることを「偏向」だ!
・あるいは巨乳女性に対する「逆差別」にもつながる!
・「表現の自由」への侵害だ!
・少数派の不快を理由に「表現の自由」の範囲を狭めるのならば、フェミニズム連中が擁護している2019年夏に開催された「表現の不自由展」での「昭和天皇を含んだコラージュ写真をバーナーで燃やして足で踏み潰す動画」を不快に思って抗議する少数派の意向を無視する行為はスジが通らない!


 といった反論なり指摘なりにも一理や二理はあるどころか半理以上もあるとは思えもするのである。


――さらにココに3次元の巨乳女性も参戦してきて、図像とはいえ巨乳女性を公共空間から排除するのは不快である! とするフェミの主張とは真逆な言説まで混入しており、実に多面的で示唆に富む議論にもなっている――


 ……で、かような混迷する事態に対して、筆者個人はドーするべきなのか? そう、コウモリのようにふるまうのだ(汗)。
 我らがオタク連中による「萌え系美少女に対して過度に性的なメッセージを読み込むのもまたフェミ側による認知の歪みだ!」とする趣旨の反論にやや違和感を覚えたからである。
 つまりは、あの宇崎ちゃんの超巨乳に性的な魅力を感じない! などというロジックで理論武装・正当化を図るとなると、それはそれでオッパイ星人としては腹が立ってくるからだ(笑)。


 オッサンオタクの繰り言ではあるけれど、今に至る近代的(?)な丸っこいロリ的な萌え美少女の画像の誕生は1982年のことだと思う。
 当時のアニメマニア間でも人気を博していた故・芦田豊雄(あしだ・とよお)キャラデザの女児向けアニメ『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(82年)に端を発した絵柄革命と「可愛いものが判ってしまうボク」というモノの何度目かではあるけれどもソレの大規模な再発見があって、当時は一般書店でも堂々と売られていたあまたのエロ漫画雑誌(爆)の絵柄が1982~84年にかけて雪崩を打ったように急速に劇画調からロリ的なアニメ美少女調へと一斉に変貌していった時代があった。


 つまりは、我々オタクや当時の青年層はあのような絵柄にも欲情し、そしてあの絵柄もまた性的なモノを表現できる描線にも進化を遂げたという歴史があったのだ。
 なので、門外漢のフェミニスト連中もまた、裸体でも性交シーンでもない単なる萌えアニメ調の絵柄の美少女の表情や媚びた仕草に性的メッセージを感じ取ったということは、その表現がある種の一般性・普遍性・破壊力(笑)をも獲得したと見て、誇ってもイイことではないのかとも思えるのだ。


 もちろんコレはウラハラでもある。フェミニスト一般ピープルは萌え美少女キャラの画像に、非モテのオタク男子たちの秘められた性的欲望をも透かし見てキモがっているかもしれないからだ――もちろんそれは肉欲とはかぎらずプラトニックなものかもしれない。とはいえプラトニックならば許されるのかといえばそーでもなく、異性に対する性的不能のような、もっとキモいものを透かし見ている可能性もある(爆)――。


 そのかぎりでフェミニストたちの危惧にも一理はあるのだ。そこにやはり広い意味での「女性のモノ化」や男尊女卑感情といったキナくさいモノを透かし見たとしても不思議ではナイからだ――余談だが、モノには欲情しないので「モノ化」ではなく「女性のメス化」という用語の方が個人的には適切に思えるのだけど(汗)――。


 とはいえ、彼女らの見解に一理があると思えるのはソコまでである。
 フェミニスト連中の全員とはいわずとも声のデカい連中――太田啓子弁護士や北原みのりなど――は、萌え美少女キャラの画像自体がキモくて不快でペドフィリア小児性愛者)にも通じるものがあるとして(!)、好事家だけが見られる世界にゾーニング(区分け・隔離・棲み分け)するどころか、存在自体を撲滅すべきだばりの発言をしているからでもある。


 もちろん思想・信条は個人の自由であるからして、彼女らがそのように思って運動を展開したところで、立ちどころに萌え絵が弾圧・禁圧されることはナイであろうし、そんなことも全然なかったからこそ、ココ5年ほど飽きもせずに何度も何度も懲りずに不死鳥のように萌え絵が公共団体とコラボして、その都度クレームを浴びるというルーティンがテンプレ化されてもおり、それはそれで関係各位の学習能力を疑いたくもなるのだが(笑)。


 このようなフェミの中でも過激派・強硬派――思想用語的にはコレは「ラディカル・フェミニズム」と呼称される――とは和解・妥協の余地はウスいであろう。
 けれども、公平を期するためにフェミニズムの側も擁護しておくならば、今や東大学長に登り詰めた日本のフェミニズムのドン・上野千鶴子センセイは、3次元での性差別には反対するけど2次元・虚構でのポルノ表現・ポルノ消費については禁止すべきではないという立場を、数十年も前から主張しているので念のため――思想用語的にはコレは「リベラル・フェミニズム」と呼称される――。


 たしかに過度に性的なメッセージを発信するビッチな服装・仕草・表情を公共の場で披露するのは筆者も反対ではある。
 しかし、仮に女性一般が素肌を隠した服装をしたりイスラムのブルカで目元だけを残したような服装をしたとしても、それで性的メッセージは減るにしてもゼロになるのかは疑問である。そーなったらそーなったで、男女ともに異性に対して首のうしろのウナジなり手指なりを代替にして、何らかのフェティッシュな妄想を仮託するのではなかろうか?(笑)
 我々も近代的・合理的な人間である以前に有性生殖の動物・生物でもある以上は、性的メッセージを完全に除去できるとはとても思えないからだ。


 そして、フェミニズムには前述のことどもとは逆方向に流れるベクトルもある。女性の性的自己決定・性の自由化のことである。
 とはいえ、コレを拡充した先に従来の男尊女卑的でセクシーな女性像とはまた別のオルタナティブな女性像が待っているとは必ずしもかぎらない。中南米なりラテン系の国々では女性の身体を積極的に強調して男性を誘惑しようとするようなファッション・文化・風潮までもがむかしからあるからだ。


 そこまで行かなくても、女性自身も恥ずかしがってはいるけれど押したり引いたりで、素肌や胸の谷間や太モモを見せたり隠したりするといったチラリズムの妙、男性を強姦に誘っているということはユメユメないにせよ(汗)、男性を惹きつけてコントロールして手のひらの上で転がして優越感に浸ったり、稼ぎや権力のある男性をゲットしようという女性も一定数は常に存在し、それは世代が交代したとしても絶えることはナイであろう。
――むろんその逆に非常に奥手であり、異性や性的なことから距離を置くどころか拒絶すらする女性もいるだろう。そしてコレらの相違が生じるところの根本原因は、家庭や社会からの影響以前に生来のもって生まれた個人の性格・気質・体質の相違の方が起因大だとも私見する――


 公共空間における女性の服装の過度な性的メッセージの除去は相応に重要ではある。
 しかし、その着地点は国・地域・気候・文化圏・歴史的な発展段階ごとにイスラムのブルカであったりロングスカートであったりミニスカも可であったりと、各地で合意点も異なってくるからフワッとした非合理的な要素はドーしても残るであろうと思われる。


 筆者個人が見聞してきた範囲での日本の会社組織においても、女性社員の袖なし・肩出し・胸の強調・ヘソ出し・ローライズの上半ケツ見せ(爆)等々の服装の可否基準は、90年代・00年代・10年代でもビミョーに変化を遂げてきている――前述した服装の一部は常にアウトだとも思うけど、着用してくるヤンキーまたはギャルな女子社員もマレにはいたモノなので(汗)――。


 ならば、現時点では筆者もダメ出しをしてしまった『宇崎ちゃん』や『のうりん』や碧志摩メグの悩ましい姿が公共空間でもOKになる日が、遠い未来には実現しても論理的には不思議じゃない!?
 いや、個人的にはそれはあんまり望ましい未来ではナイけれど。彼女らみたいなキャラたちはもっと隠れたプライベートな空間で堪能、ハァハァすべきではないのかとも思うので(笑)。


 ……まぁ股間をカドにスリつけてのオナニーをモチーフにした体操着姿の早熟女児フィギュア「コップのカドでグリ美ちゃん」は、いつまで経っても公共空間でのお披露目にはアウトだろうとも思うけどナ!(爆)――とは云うものの、すでにコレをカンヌ映画祭の日本パビリオンで展示・配布していた日本の文化庁っていったい?(汗)――


 ただ一方で、2次元どころか3次元のポルノでさえも否定し、それに対するオタクや一般層からの反論をすべて「ミソジニー」(女性嫌悪)という、筆者からすると論理的・分析的な説明体系ではなく、論敵を最初から否定的に悪魔化・単純化する同語反復的なカテゴライズにしか見えない概念――「バックラッシュ」(保守反動・反革命)などの用語も同様だけれども、戦前だったら右翼が共産主義者を「アカ」、共産主義者ブルジョワ退嬰的なモダンボーイやモダンガールを「モボ」「モガ」と蔑称したような――で矮小化して理解しえた気になっているような御仁に対してはドー立ち向かえばイイのであろうか? とも考えるのである。
 観察していると、彼女らはフェミニズムに一定の理解を示す男性やオタクたちに対しても、結構な拒絶や揶揄をしてくるからだ(笑)。


 とはいえ、完全棲み分けではなく時には論争をすることもまた広い意味でのコミュニケーションではあるのだし、結局は和解し合えないにしても、論争の過程でオタク側もいかにギャラリーを味方につけていくか? 完全同意をしてもらえなくても、オタク側にやや理があると思ってもらえるようなロジックの構築を目指すこと自体は大いに必要だとは思うのだ。


 ただまぁ男尊女卑・女性差別と一口に云っても、


・強者男性による天然でのマッチョでガチな女性蔑視
・弱者男性や非モテ男子が女性への憧憬の果てに裏切られて蔑視するようになったタイプ
・あるいはもっと虚弱で女性といっしょにいるのも居たたまれないほどの照れ屋さん
・女性にリード、筆降ろししてもらいたい受け身の男子(爆)


 ミソジニーにもグラデーションがあることを、ミソジニー以前の性別を問わない対人恐怖(笑)の問題までもがあることを交通整理するのも、その第1歩ではあるだろう。


 2次元ポルノは否定するのに3次元世界では女性向けアダルトグッズ販売で身を立てて、美少女アニメの反転でしかない――完全対称の反転ではナイにせよ――女性にとっての都合がイイ男性像がワンサカと登場してくる韓流ドラマにハマっている北原みのりの思想面での不徹底を指摘するのも、その第2歩たりうるやもしれない。


・女性、あるいはフェミニストの中でのモテ/非モテ、性格強者/性格弱者のカーストもあるのでは?
・80年代には男女差や女性的なふるまいを後天的な文化による刷り込みに求めるのではなく、先天的な男女の脳の差異に還元することに猛反発していたフェミニズムが――85年のベストセラー『セックス&ブレイン』(工作舎ASIN:B000J6QPJU)に対する反論としての日本フェミの西の横綱小倉千加子『セックス神話解体新書』(88年・学陽書房ISBN:4313840273・95年にちくま文庫化・ISBN:4480030859)など――、弱者同士としての共闘を申し出たハズのLGBTの一派・性同一性障害については、母胎内での脳の成長過程における性ホルモン逆転などに起因するという新知見に対してはドー落とし前を付けるのか?
・身体は男性でも心は女性の場合に女々しい女性の姿カッコウをしたがる志向を、男尊女卑的な社会がもたらした抑圧された典型的な女性像の反映、そしてその内面化――後天的な文化によって造られたハズの「女性らしさ」の典型を心の中で規範化する自己洗脳!――の結果として捉えて批判をしないのはナゼなのか?


……といった批判もアリであろう。


 性的多様性を肯定するなら、チャイルド・マレスター(小児性犯罪者)は除外するにしても、プラトニックで留められているペドフィリア小児性愛)をLGBTが排除している件についての個人的見解を問うのもアリやもしれない。
 反差別も謳(うた)うならば、アメリカの教室においても白人・黒人・アジア人同士で固まり、さらにはその人種集団からもコボれ落ちてしまったガリ勉・非モテ・オタクタイプのナードやギークが人種を超えて徒党を組むも、スクールカーストの最底辺に位置付けされている件についての見解を問うことで揺さぶりをかけるのもアリだろう。


 ホントに女性や黒人は(オタクも)常にいついかなるときでも「弱者」なのか?
 実は2元論ではなく「1.強い男性」/「2.強い女性」/「3.弱い男性」/「4.弱い女性」の4層構造から成っており、実社会に残る問題や歴史に根差す問題などは除外したところでの、一個人vs一個人のミクロな局面では「強い女性」は「弱い男性」よりもカーストが上であったり人格力・人間力も上であるから、彼らを見下している局面も相当にあるのではなかろうか?
 腕力・筋肉・体格では劣るアジア人男性を見下している黒人や、筋肉質な男性が大スキな白人女性&黒人女性も多いというではないか?
 そして、今の時代は互いにドチラがより「弱者」であるかを競い合うことでマウントを取ろうとする逆立ちした倒錯もある(笑)。


 ……といったあたりで議題を拡張したり、論理的に反駁(はんばく)することも有効であろうと思われる。
 もちろんそれであっても折り合えはしないのだろうけど、ディスコミュニケーションも含めて、その過程における議事録は多少は何らかの思想的な蓄積・成果に昇華するのではあるまいか?


 ちなみに、個人的には個々人の心の奥底の差別感情や好悪の念を完全に抹消することも困難だとは思うので、それは最終目標にするにしても、人種・国籍・思想信条が異なった場合に、あるいはルックスがキモかったり気が合わなかった場合に、我慢してルール・マナー・エチケット・礼節としてそれはおくびにも出さずに対等な個人同士として振る舞うことを中間目標にすることが現実的な使える処方箋だとも思うし、そのような社交の仕方でこそよりマシな「公共圏」を樹立できるのだとも考える。


 もちろん一方では制度上の問題も残る。しかし、デモで銅像を倒したりセレブ連中がデモの前で写真を撮って「デモに賛同しています」のキャプションを付けてインスタグラムなどのSNSに上げる行為に、現実的な政策提言力があるとも思えない。
 強者・白人・男性の側が改めるべきだとの意見にも半理はあるのだけれども、それもまたあまりに無策なおカミにお任せに過ぎる他力本願な態度であるようにも思えてしまう。



 ……と、ココまで散々に語ってきたのにナニだけど、この『宇崎ちゃん』なる深夜アニメは、このようなことを語るに足る題材にふさわしい作品ではナイ(汗)。ついでに何よりも筆者にとってはあんまり面白い作品ではなかった(笑)。
 女性キャラの方から男性キャラにチョッカイをかけてくる『からかい上手の高木さん』(13年・18年に深夜アニメ化・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190908/p1)や『イジらないで、長瀞(ながとろ)さん』(11年)などのいわゆる通称「高木さん系」は、この2010年代には数十本という同工異曲の作品数を数えているようではある。
 けれども、ナンというかその魅惑的で蠱惑的な女子像といったワンアイデアだけに留まっており、それ以上のプラス・アルファがナイような作品ばかりなので、それはそれでそれゆえにこそ気楽に楽しめるのやもしれないけれども、個人的には序盤の出オチ的なインパクトだけであとはタイクツであるし、筆者個人の極私的ドラマツルギー美学にも反している作品群でもある(笑)――コレらの作品群を愛する方々にはゴメンなさい――。


 2020年春季には青年誌マンガ原作(98年)の深夜アニメ『イエスタデイをうたって』が放映されていた。
 この作品においても、末広がりの黒髪ショートカットで黒ずくめの服を着てカラス(!)も連れ歩くといったマンガ・アニメ的なキャラ付けがほどこされた不思議ちゃん系でコケティッシュな低身長少女が登場し、大卒なのに就職できずにコンビニバイトのアパート暮らしで人畜無害系の青年クンに彼女がまとわりつく……といった「高木さん」系のキャラクターシフトにもなっていた。
 しかし、この作品にはコンビニのバイト風景も一応はリアルに描かれて少々チャラそうなロン毛の同僚も出てくるし、青年クンは一度は告白するもフラれた大学時代の同級生で高校教師をしている女友達(声・花澤香菜)に未練を残しつつも友人付き合いも続けている。
 先の不思議ちゃん少女はこの高校教師が勤める高校の中退少女でもあったことから擬似三角関係ともなっていき、しかして高校教師自身はすでに死した故郷の恋人が忘れられずにおり、さらには不思議ちゃん少女に高校時代に懸想していた別の青年クンも登場し……。


 とまぁ筆者個人は別に人間ドラマ至上主義者ではナイけれど、こーいうアヤトリのヒモをいくつも対角線的に結んでいって複数の人間関係を作って駆動させていくのが、世間一般で云うところのフツーのドラマの作り方ではないのかなぁとも思うので(笑)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.85(2020年8月2日発行)所収)


後日付記


 今に至る近代的(?)な丸っこいロリ的な萌え美少女の画像の誕生は1982年。『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(82年)に端を発すると記述しているけど、細かく厳密に云うと、1970年代のマンガ家・吾妻ひでおの絵柄が端緒であり、氏とそのアシスタント・沖由佳雄によってコミックマーケット11(79年4月)~17(81年4月)にて発行された伝説の同人誌『シベール』(1~7号)が、さらなる直接的な前史だとはいえる――まぁコミケだけでの頒布だし、筆者も世代的にリアルタイムではその存在を知りませんけれど(汗)。ただまぁ絵柄的にはアニメ絵というよりも少女マンガ絵の文脈になるのと、論旨が煩雑になるのでオミットさせていただいた。
 でも、日本初のアニメキャラ調エロマンガ商業誌『レモンピープル』(82年2月号~98年11月号)の創刊時期は、『ミンキーモモ』放映開始の82年3月を3ヵ月ほどさかのぼる81年12月のことなのだそうで、そうなるとスターターは少女マンガ絵調の美少女キャラだけれどもブースターがアニメ調の美少女キャラであった……というのが、より正確に近い見取り図なのであろう――


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2013年冬アニメ評! 『まおゆう魔王勇者』『AMNESIA(アムネシア)』『ささみさん@がんばらない』 ~異世界を近代化する爆乳魔王に、近代自体も相対化してほしい(笑)

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2011年春アニメ評! 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 ~別離・喪失・齟齬・焦燥・後悔・煩悶の青春群像劇の傑作!

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『映画 聲(こえ)の形』(16年) ~希死念慮・感動ポルノ・レイプファンタジー寸前!? 大意欲作だが不満もあり

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心が叫びたがってるんだ。』(15年) ~発話・発声恐怖症のボッチ少女のリハビリ・青春群像・家族劇の良作!

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実写映画版『キューティーハニー』(04年) ~女子の性格類型の細分化・下妻物語との共時性

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シンクロナイズドモンスター』(17年) ~「ドラマ」と「特撮」が、非モテ男女の痴話喧嘩で究極の一体化!(笑)

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銀河英雄伝説DNT・ウマ娘・かくりよの宿飯・蒼天の拳・ガンゲイルオンライン・多田くんは恋をしない・デビルズライン・ニルアドミラリの天秤・ハイスクールD×D HERO・メガロボクス・LOST SONG ~2018年春アニメ11本評!

『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『音楽少女』『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』 ~アイドルアニメの変化球・テーマ的多様化! 2018~2020年アイドルアニメ評!
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2020年4月からNHK Eテレ(旧・NHK教育テレビ)にて、往年の名作OVA『銀河英雄伝説』(88年)のリメイク、深夜アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These(ディ・ノイエ・テーゼ)』1期(18年)と2期(19年)が連続放映中記念! とカコつけて……(まぁ、CS放送・ファミリー劇場の方で先行放映されてましたけどネ・笑)。
 2020年7月からTOKYO MXやBS11にて、ゲーム&深夜アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』(18年)のキャラクターを三頭身にプチキャラ化した5分アニメ『うまよん』が放映中記念! とカコつけて……。
 『銀河英雄伝説 Die Neue These』1期と『ウマ娘 プリティーダービー』が放映された2018年春アニメ全11本のレビューをアップ!


銀河英雄伝説DNT』『ウマ娘』『かくりよの宿飯』『蒼天の拳』『ガンゲイル・オンライン』『多田くんは恋をしない』『デビルズライン』『ニル・アドミラリの天秤』『ハイスクールD×D HERO』『メガロボクス』『LOST SONG』 ~2018年春アニメ11本評!

(同季の『魔法少女 俺』『魔法少女サイト』『ヲタクに恋は難しい』は別項にてUP)


(文・T.SATO)
(2018年4月27日脱稿)

銀河英雄伝説 Die Neue These(ディ・ノイエ・テーゼ)』


 元祖アニメ版『銀河英雄伝説』(88年)#1とほぼ同じ内容だなぁ。
 帝国の若き金髪青年将校が、自由同盟の宇宙大艦隊群を天才的な用兵で次々と殲滅。大勝利は目前というところで、自由同盟側の若き軍師が奇策に打って出る。


 異なるのは、作画はしやすそうな長直方体状であった敵味方の宇宙戦艦のデザインと、『攻殻機動隊』(89年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20170510/p1)や深夜アニメ『モーレツ宇宙海賊(パイレーツ)』(12年)チックに電波でコンピューターウイルスやハッキング攻撃を敵味方の艦船が仕掛けているあたりくらいで……。
 とはいえ、『宇宙戦艦ヤマト』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20101207/p1)や『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)などとは異なり、宇宙戦艦の姿かたち・デザイン自体にこの作品のアイデンティティはないであろうから(?)、そこにケチを付ける古参マニアも極少だろうと思うし、インターネットなご時世にウイルスやハッキング攻撃がない宇宙戦争ではたしかに発想が古すぎるとも思うので、この改変もイイんじゃね?


 日本で今は昔の80年代に隆盛を極めた大長編SF小説群(今ではほとんど絶版だけど・汗)。
 それらのひとつであった本作の原作は、昭和の終わりの1988年にビデオ販売作品としてアニメ化。以来、ググってみると断続的にシリーズは続いていて、西暦2000年にようやっと完結で、150話以上もの本数を数えている。
 それだけ継続するからには、それらを買い支えてくれた熱烈な古参ファンも相応にいたのであろうけど、筆者の乏しいオタク交友範囲では、本シリーズを全話観たという人間には寡聞にして会ったことがない(爆)。


 またぞろジャンルの歴史の捏造が始まりそうなので、オッサンオタクとして語っておくけど、本作はある時期のアニメのメインストリームやトップランナーを飾ったような作品ではない。すでにジャンルやマニアの細分化が始まっていた80年代末期~90年代往時のアニメジャンル内での一角を占めていたという程度の作品にすぎない。
 もっと云うなら、実作品を観もせずに内心、現代(90年代当時)という時代とマッチしていない、進取の気性のカケラもない、古色蒼然とした大時代的な大掛かりな作品をTVという表街道ではなく、OVAというウラ通りでニッチ向けに細々と展開している……と小バカにしていたマニアも多かったのではなかろうか?――実は筆者もそのクチで(汗)――


 とはいえ、21世紀以降はCSでは頻繁に再放送されていることから、チャンネルをザッピング中に遭遇して途中の任意の回を何回か視聴をしてみたら……。
 古典SF的な価値転倒・相対化の驚きをねらった本格ハードSFなどではないけれど、歴史・軍事・政治・人物伝・群像劇的なセンスもあるポリティカル・フィクションとしては実に出来がイイことにビックリ(汗)。
 思わず50ギガバイトのブルーレイ・ディスク3枚に全話を録画して、頭の数十話分だけは鑑賞してしまうのであった(笑)。そして、実に面白い作品であると今さらながらに感嘆――遅すぎるヨ!(汗)――。


 てなワケで、若い世代に新しい革袋で本作を知らしめることには意義があるとも思うけど、宇宙SFに大勢がワクワク感をいだくような時代は1980年代で過ぎ去ったとも感じているので、やはり本作も円盤が売れる気配はしないなぁ。
 早くも決定済の第2期・1クール分は、『機動戦士ガンダムUCユニコーン)』(10年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160904/p1)・『宇宙戦艦ヤマト2199』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20181208/p1)・「機動警察パトレイバー」の次々世代を描いた実写映画『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』(14年)のパターンで、先行して劇場公開されるそうだけど、そーなるとコレらの3作品同様、現今のアニメシーンにはツイていけないロートル層には響くことで相応に集客もできて、制作費も回収できるということか?
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ウマ娘 プリティーダービー』


 スマホゲーム『グランブルーファンタジー』(14年・17年に深夜アニメ化)の大ヒットのカネ余りで、アニメ美術会社・草薙(くさなぎ)なども買収したけど、予定が数年先まで埋まっていて自社の仕事には使えなかったとのウワサも聞く(笑)、天下のサイゲームス社が自社のスマホゲームとの連動で放つ深夜アニメが……、競馬ウマの擬人化・女体化作品だったとは……。
 しかも、それを『SHIROBAKO』(14年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151202/p1)などの良質なアニメを放ってきた北陸の製作会社・P.A.WORKS(ピー・エー・ワークス)が作るとは(汗)。


 と思ったのだけど、フタを開けてみると、タドタドしさや段取りチックなところはなく、ナチュラルに面白い。
 尾てい骨から生えている長いお馬さんのシッポと、お耳がお馬さんのそれである以外は、人間と寸分も変わらないボディーで人語も喋るウマ娘の少女たち。
 主人公女子に至っては、生まれて始めて上京して、都心で電車に乗り、シッポを子供にジロジロと無遠慮に見られても笑顔で応えて、自動改札ではマゴつき、騎手ならぬお馬さんの学校の入学式に向かう実にヒューマン・人間味(笑)にあふれる一連で、ツカミもOK!


 学校には既視感あふれる記号的、もとい個性豊かな美少女にネコ耳ならぬウマ耳とシッポを生やしただけのキャラがワンサカといて、いかにもなやりとりでその人格を点描しつつ、コースでの練習で四つ足で走行するのかと思いきや、フツーに二足でダッシュする!(笑)


 監督は『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』(15年)・『アウトブレイク・カンパニー』(13年)・『この美術部には問題がある!』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160903/p1)の及川啓(おいかわ・けい)。
 本作でも実にバカバカしい世界観なのに、ブレた感じはせず盤石な感じを受けるけど、志は低くてもベタを逆手に取り、古典的な友情・努力・勝利のカタルシスを与えてくれる作品を見せてくれそうに予感。

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かくりよの宿飯(やどめし)』


 昨今プチ流行している、異世界で食堂やったり居酒屋やったりのオタク女子向け版か?


 野郎オタク的には、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)の女子高生サブヒロイン、『ニセコイ』(14年)や『グランブルーファンタジー』のメインヒロインでもある人気声優・東山奈央(とうやま・なお)ちゃんが主演。
 その彼女が主題歌も歌い、媚びてはないけど可愛く、澄んでいるのに適度にくぐもった(?)高音に、近年では適度な艶っ気ある倍音響きも加わった感じで、本作でのプレーンな主人公女子大生役もイイ感じではある。
 おそらくターゲットのオタク女子たちにも、男に過剰に媚びやがって! とはならない範疇でのイヤミのない可愛らしさを体現したボイスに聞こえているのでは?


 内容はふたり暮らしであった祖父の死で、実は祖父には借金があったことが判明し(!)、そのカタとして鬼・天狗・雪女・九尾の狐などの日本妖怪たちが集う異世界・隔り世(かくりよ)の旅館で丁稚奉公(でっちぼうこう)……もとい、離れを借りて小料理屋を開くことで、次第にその名を知られていく……もとい、和服姿の若旦那や仲居さんらのイケメン妖怪たちに囲まれてウットリ?……といったもの。


 とはいえ、野郎オタクを置いてけぼりでもなく、誰が見ても普遍的に楽しめる作りにはなっているとも私見

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蒼天の拳 REGENESIS(そうてんのけん リジェネシス)』


 映画『GODZILLAゴジラ) 怪獣惑星』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20171122/p1)や深夜アニメ『シドニアの騎士』(14年)で、セル画ルックではあるけれど、ほぼ手描きナシのフルCG作品を元請けで製作した、以前は下請けCG屋さんのポリゴン・ピクチュアズが新たに放った深夜アニメ。


 それがよりにもよって80年代に一世を風靡して、今の世にもその名を色濃く残す「週刊少年ジャンプ」連載漫画『北斗の拳』(の番外編)であったとは!?
――もちろん厳密には文藝春秋社が漫画誌を立ち上げ、「ジャンプ」出自のベテラン漫画家を編集者ともども引き抜いて作った、世紀末たる199X年を起点にさかのぼること60年前、かつ2代前の北斗神拳・継承者を主人公に、国民党・共産党国共内戦で統一まだきの中国で、欧米列強や日本が租界を展開する1930年代の上海(シャンハイ)を舞台とする『蒼天の拳』の2度目(初作の続編)のアニメ化なのは承知ノ助――


 近年主流のシャープな一本線の描線ではなく、70年代劇画チックな筆描きの太細の変化もある描線のキャラが、CGアニメで動く日が来ようとは……。
 既存の動画にあたる部分の動きがカクカクしているがゆえに不自然ダというような事象は発生していない。
 むしろ逆にヨコ移動などがあまりにも滑らかすぎるゆえか、そこに少々の不自然さは感じさせるかもしれない――それは単に「慣れ」の問題なのかもしれないけれども。そもそも一般ピープルは気にも止めないか?(笑)――。
 さはさりながら、手描きアニメーター大失業の時代がもうそこまで迫っているのであろうか?(汗)


 内容自体は独り善がりな意味不明さはカケラもない手堅い作り方でフツーに面白いし、仮に一見さんが予備知識ナシにこの#1に偶然遭遇して鑑賞したとしても楽しめる、チョイ悪でも普遍的な勧善懲悪の群像劇に仕上がっていると私見

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ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン


 大人気深夜アニメの続編映画『ラブライブ!』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160709/p1)、同じく続編映画の『ガールズ&パンツァー 劇場版』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190623/p1)が数ヶ月をかけて叩き出した20億円超という興行収入を、コレまた続編映画(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1)が封切1ヶ月後には達成してしまったほどに若年オタには大人気のライトノベル原作の深夜アニメ『ソードアート・オンライン』(12年)。


 柳の下にはドジョウで企画されたのであろう本作は、正編とは別の作家――コレまた人気ラノベで昨2017年秋にも再アニメ化された『キノの旅』(03年)の原作者ですネ――による番外編ライトノベルが原作の深夜アニメだとのこと。


 とはいえ、正編とは同一の世界観であることは、劇中内TVニュースなどでもわかるのだが、まだまだ牧歌的でロマンもうるおいもある西欧中世ファンタジー風の仮想現実ゲーム世界を舞台とした正編とは異なり、エア機関銃によるサバイバルゲームを荒廃した廃墟の都市を舞台とした仮想現実ゲーム世界で行なうといったあたりで、ビジュアル的にはカナリ乾いた印象ではある。キャラデザは丸っこくロリ可愛いモノなのでそれで中和はされているけど。


 #1は仮想現実ゲーム世界内でのバトルの迫力を中心に見せ、#2では仮想現実内ではロリロリ少女である主人公の3次元での恐怖の正体は!? といったところで、自身の人並み外れた高身長にコンプレックスをいだく内向的で無口なボッチ少女で、出来れば外見も低身長ロリ美少女として生まれてチヤホヤされて、他人に依存かつ守られて(爆)生きていきたかったであろうけど、それが叶わなかった諦観まみれの気弱な女子大生! といったあたりで、筆者の……もといオタク視聴者一般の感情移入を大いに誘う(笑)。


 その一点を心の支えに、本作を継続視聴してもイイのだけれども……。00年代と比したら倍の本数が放映されるまでにインフレした10年代の深夜アニメ。悩みどころではある――スイマセン、正編同様、筆者にはイマイチ合わないかも(汗)――。


多田くんは恋をしない


 和光の時計台にはじまり、銀座の大通りの雑踏や、少し外れた商店街や喫茶店の看板などを点描していく、#1冒頭のセンスがイイ。
 サクラが満開の桜田門から皇居に入り、不敵ではないけどクールな感じの長身の高校生主人公の多田くんが、二重橋などを背景にカメラでパシャパシャしていたら、そのファインダーに淡泊で清純そうなポニーテールの金髪白人女子が映り込んでくる運命の出逢いのシーンもイイ。


 長寿人気TV時代劇『暴れん坊将軍』(78~02年)のごとき『虹ん坊将軍(れいんぼうしょうぐん・笑)』の大ファンでもある彼女の間違った日本知識などをフック・引っ掛かりに、このふたりのカルめなラブコメがくりひろげられていくのであろう。


 アニオタなら大勢が思ったろうと思うけど――予備知識があった御仁は別として――、イケメンボイスの中村悠一が演じる少々無骨でガタイのイイ長身イケメン高校生クン(その正体は少女漫画家・笑)に、純真無垢な爽やか笑顔の痩身金髪美少女といった、絵面やキャラクターシフトが、円盤売上も1万枚を超えた原作アリの深夜アニメ『月刊少女野崎くん』(14年)をドコかで想起させるなぁ……。
 と思ってググってみたところ、まさにその同作のスタッフが作った原作ナシのオリジナルアニメが本作であったとのこと。


 ウ~ム。そーなると逆に、お目々パッチリで明るい茶髪のポニーテールに巨大リボンでヒマワリのような圧倒的な華があるメインヒロインがいて、野郎オタ受けもしたような(憶測)『野崎くん』と比すると、この金髪白人ヒロインはスミレの花のように控えめで媚び媚びしていないので、女子にはウケがよさそうでも(?)、野郎オタを釣るにはいかがなモノなのか?

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デビルズライン


 現代日本を舞台にした吸血鬼モノ。とはいっても今どきの作品なので、黒い燕尾服を着た青白い顔の中年ドラキュラ伯爵のような古典的な吸血鬼は登場しない。
 8頭身の美男美女が登場し、抱き合っての接吻を想起させる吸血行為で微エロなイロケを……女性ファンには主に倒錯したトキメキも惹起させんとするのが、当今の吸血鬼ジャンルなのであろうか?――スイマセン、まったく詳しくありません――


 本作では媚び媚びしたフェミニンな服装はしていないけど、人柄的には実にフェミニンな印象ではあって(笑)、異性のゲットには苦労しないであろうショートカットのマジメな女子大学院生がまずは視点人物。
 彼女の学友たちとの日常から始まり、テレビやネットのニュースで報道される吸血事件を遠景に捉えつつ、彼女は街角や電車で不穏な視線を感じるようになり、どころかそれらしい人物の姿も見掛けて、友達以上・彼氏未満の男友達と逃避行におよぶや、その男友達の方こそが……、不審だと思われていた人物の方こそが……、という展開になっていくことで、視聴者にサプライズを与えてくれる。


 彼女をツケているようでも守ってくれていた青年クンいわく、彼女の学友であるその彼も決して悪人ではなく長年抑制してきたけれども、吸血鬼という生物種(?)としての本能(!)が発動してしまったのだとすることで、本作独自の吸血鬼観も呈示して、視聴者に作品世界への興味も引かせていく。


 ところがドッコイ、助けれくれたその青年クンにも発作が起こり、ガブッ! といったところで、#2へのヒキとする。


 とりあえず#1切りは止めておこうと思える程度には#1の出来はイイと私見
 ググってみると原作漫画は『月刊モーニング・ツー』連載。近年では角川オタク系漫画のアニメ化『ブラッドラッド』(13年)・『サーヴァンプ』(16年)やらの吸血鬼アニメでも見掛けた、老舗特撮雑誌『宇宙船』(80年~)の90年代に在籍していた元編集者の古怒田健志(こぬた・けんじ)が脚本&シリーズ構成。
 失礼ながら氏は世間の注目を浴びている感じではナイけれど、この業界では延命ができているようで何よりである。それにひきかえ筆者は何事をなすこともなく馬齢を重ねており……(涙)。


ニル・アドミラリの天秤


 陸軍中野学校出自のイケメンスパイたちが大活躍する傑作深夜アニメ『ジョーカー・ゲーム』(16年)のごとく――このハイブロウな良作をイケメン男性キャラ目当ての女性オタしか観ていないのが、当今オタ事情のいびつなところ(汗)――、大通りには大正モダンな建築物が立ち並ぶも、まだまだ低層建築ばかりで、木造の電柱・電線越しに見える青空も広くて、大通りでも舗装はされていなかったりするレトロモダンな昭和初年代の風景を再現。
 ググってみると、舞台は大正25年!(=昭和11年・笑)


 手に取った者に精神干渉して自殺行動を起こさせる、書き手の感情・情念がこもった書籍を追いかけて回収していく、帝国図書情報資産管理局のメンバーが活躍するというのが基本設定。
 #1では主人公でもある洋館に住まう没落華族の令嬢少女――愛想もイイお姉さんタイプ――が家のためを思って良家へ嫁ぐことを決意するも、声変わり前の澄んだボイスで大いに取り乱した半ズボンの美少年の弟がカラんできて猛反対されたことで――もうこの姉コンプレックスな弟の存在からして隠微です(笑)――、思わず


「キライ!」


と突き飛ばしたことで、弟が大きなショックを受けたサマが描かれる。


 コレを気にした彼女も街に出て菓子などを購入、帰宅して弟をお茶に誘おうと扉を開けるや……暗がりの自室で油をまいた弟がマッチに火をつけており……(ヒエ~~!!)。


 そこに帝国図書情報資産管理局のイケメン男子ふたりが駆けつけて、事件は一応解決される。


 その過程で主人公少女には、情念がこもった書籍のオーラ(!)が炎のごとく見えることが判明したことから、晴れて彼女も同管理局メンバーの一員となったサマも描かれて#1は幕となる――婚約については破棄したとの説明が一言だけで済まされる(笑)――。


 そのスカウトの際にイケメン局員が放った一言は……


「オマエがほしい!」


 キャ~~~!!(黄色い声)


 まぁ「メタ」に「メタ」を重ねる「アウフヘーベン」な世の中ですから、メインターゲットのオタク女子も悶絶しつつも半分笑いながら観ていることでしょう!?
――ちなみに、「アウフヘーベン」(正・反・合の「合」)の出典は、東京都知事小池百合子ではなく19世紀のドイツの大哲学者・ヘーゲルですからネ(笑)――


 オタク女子向け作品も、「もう知ってるよネ?」的に人物紹介をすっ飛ばしてイケメン男子が大騒ぎをはじめて、誰が誰だか区別が付かない作品も多いけれども、イケメン新撰組に女子ひとりがまぎれこむ『薄桜鬼(はくおうき)』(10年)や『AMNESIA(アムネシア)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200126/p1)等々、視聴者と劇中事物の仲介たる癖のないプレーンな女性主人公が存在する、ゲーム会社・オトメイト原作のアニメ群は野郎でも見やすい作品が多いとも私見――この仲介役が存在しない、イケメン男子だらけの女子向け作品がとても多いので(笑)――。


 まぁメインターゲットの女子オタからすれば、


「頼むから! キモいから! アタシたちのテリトリーにキモオタ男子は入ってこないで!」


と全力で拒否られちゃうんだろうけれども――どうもスミマセン(汗)――。


 主演声優は『SHIROBAKO』(14年)主演や『12歳。~ちっちゃなムネのトキメキ~』(16年)副主演の木村珠莉(きむら・じゅり)。それを知ってしまうと木村が猫をカブって演じているようにも見えてしまって(笑)。

ニル・アドミラリの天秤 DVD 肆巻

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ニル・アドミラリの天秤 DVD 壱巻


『ハイスクールD×D HERO(ディー・ディー・ヒーロー)』


 いわゆる「俺、TUEEEE!!!」系といえばイイのであろうか?
 物語序盤で早々に殺された(!)熱血ドスケベな暑苦しい制服高校生男子クンが悪魔に転生! 美少女ハーレムでムフフ状態、次々に襲来する化け物や超常の存在とも戦っていくといった内容。
 動かしやすいクダけた絵柄といい内容といい、少年漫画チックではあり、青少年のリビドーに満ち満ちた真性中2病アニメといった印象だ。


 2012年に深夜アニメ化され、息も長いことに今回、第4期『HERO』が放映を開始。本作を好きな方々にはホントに申し訳ないけれども、個人的には作劇の初歩的な「いろは」すら満たしていないヒドい作品といった印象なのだけど(爆)、円盤売上が1万枚目前の大ヒットを飛ばし続けたのも事実である以上は、やはり本来のラノベなりジュブナイル作品とは、こーいう思春期の少年が渇望するプリミティブ(原始的)な全能感・万能感を満たす作品こそが王道なのだろうナと思い直したり、やっぱり思い直さなかったり(オイ・汗)。


 今日び珍しく巨乳キャラがメインヒロインである一点だけは評価したい(笑)。


 なんと、この第4期のシリーズ構成&メイン脚本も、同季の『デビルズライン』と同じく古怒田健志氏。もちろん執筆時期は異なるのだろうけど(多分)。

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メガロボクス


 原案が不朽の名作ボクシング漫画『あしたのジョー』(67年)!?
 ウワァ~、たしかに前髪だけ長髪イケメンのジョーには、髪型からして似てないけど、しゃべり方や声色はあおい輝彦が演じた矢吹丈(やぶき・ジョー)だヨ。


 「立て~、立つんだ、ジョ~~!!」でおなじみ小太り小柄な中年・丹下段平(たんげ・だんぺい)にそっくりなオジサンも出てくるヨ。


 矢吹丈の永遠のライバル・力石徹(りきいし・とおる)もどきや、白木葉子(しらき・ようこ)のお嬢様もどきまでもが出てくるヨ……。


 とロートルオタなら感慨もひとしおだとも思うけど――ンなことない? 単なる事務的な確認作業?(汗)――


 昭和中期の貧乏は高度経済成長による1億総中流化で一旦は解消されたけど、ナンでも安倍ちゃん・トランプのせいにしたがるザル頭はさて置き、彼らふたりの登場をはるかに遡ること1980~90年代の「日米構造協議」――コレは意図的な誤訳(汗)であり、ホントにホントの直訳をするのならば「経済構造アメリカ主導権」(爆)――以降、アメリカの新自由主義者や証券会社(のロビー活動)に、それがグローバル・スタンダードなのだと、さも良きことのように世界中がダマされている。


 労働者どころか企業や経営者すらもが儲からず、真のラスボスである不労所得の強欲な巨大株主だけが企業の内部留保から巨額の配当金を収奪しつづけてもいる。
――グローバル・スタンダートの会計基準ですら内部留保が大きいことが最重要な要素に変えられてしまって、完了するまでは赤字であっても数年単位で収益がはじめて上がるような巨大プロジェクトの都合すら無視して、半期や四半期ごとの超短期で収益や個人目標が達成されたか否かを測るように人事評価制度までをも変えてきて、内部留保からトコトン配当金を収奪せんとすることで、現場や経営にも矛盾&混乱を惹起する――


 ことほどさように、安倍ちゃん・トランプの保護貿易志向の方が皮肉にも、意図せずに規制緩和=自由化=経済至上主義=経済的自由至上主義新自由主義を相対化する防波堤になっているくらいだけど――しかし彼らの存在をもってしても微々たる防波堤でしかない(汗)――、彼らが登場する以前のはるか30年も前から用意周到に敷かれてきた巨大なレールによって、ますます「貧富の格差」も拡大していくであろう当今、「市民」と「非市民」の2大階級に二分されている世界観を持つ本作は、まさに時宜(じぎ)を得た企画なのダ! とロジックを弄(もてあそ)びたいところなのだけど……。


 本作の登場はまだ早い(笑)。
 あと5年10年経つと、日本でもシャレにならないくらいに「貧富の格差」が拡大して、ルサンチマン&ハングリー精神も蔓延することで、本アニメも時宜(じぎ)にかなったものとなり、大ヒットしたかもしれない!?


 信者的な原典至上主義者の激越な反発は、ここ数十年のあまたのジャンル作品のリメイクなり映像化で繰り返し見てきた既視感あふれるテンプレな光景ですけど(割り切って観ればイイのに・汗)、それを差し引いても内容自体はフツーに面白いものに仕上がっているとも思います。

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『LOST SONG』


 「ラスト・ソング」ではなく「ロスト・ソング」。「失われた歌」。
 アリがちな西欧中世風ファンタジーなので、スマホゲームなどとの連動か? と思いきや、ググってみると完全オリジナル作品のようである?


 緑豊かな森林も間近に迫る牧歌的な田舎に住まう、少女というより子供に近い大きな赤いリボンを着けた白い半袖ワンピースの元気女子。
 外遊びは苦手そうなカールした髪を持つ長袖の眼鏡男子クン。
 彼女が歌うと物理法則に反して水を降らしたり病を癒やしたりすることから、科学少年である眼鏡男子クンは困惑しまくりな姿が描かれる(笑)。しかし元気少女の方はお爺さんに歌を歌うことを禁じられていて……。


 片や王さまが住まう都では、王子の妃候補の白いロングドレスの愛らしくて上品な歌姫がその歌唱で人々を魅了しつつ、同時に同じような奇跡を招来していた……。


 といった導入部はまぁまぁ。


 #1前半で歌姫にも声をかけられた御前試合で健闘した金髪青年騎士クンが、#1後半ではなぜか瀕死の姿で森に倒れており、それを元気少女たちが発見、彼女が青年騎士クンを癒すために、やむをえず禁忌の歌を歌ってしまうあたりもなかなかの盛り上がり。


 しかもその歌が、王都の歌姫も今この瞬間に歌っているものと同じ歌曲で、カットバックで歌唱をダブらせていくあたりもベタだけれどもわかりやすい。


 そのために少女たちに危機が迫り、それとは別個に王都から派遣されたらしき小部隊により、山小屋のごとき自宅に残っていた爺さんと姉さんにも危機が迫って……というスリリングな展開など、フツーにスナオに面白く観られるお話にはなっている。


 絵柄的には今風なハイソではなく萌え系でもなく、往年の「世界名作アニメ劇場」を劣化させた感じと呼称すべきであろうか? それが本作独自の映像的な個性になっていると云ってあげてもイイけれど、正直少々ヤボったくもあり。
 明らかな低予算ということはナイけれど、最高級の作画&背景美術といった感じでもナイあたりで、当今のアニメファンたちへの映像的な訴求力には欠けているかもしれない。


 歌がメインの題材となることからか、主役の元気少女の声優はナンと! まだ10代のパワフル歌唱なアニメ歌手として、あまたの深夜アニメの主題歌を飾ってきた鈴木このみ嬢! 筆者としては『私モテ』こと『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190606/p1)と『ノーゲーム・ノーライフ』(14年)の2大傑作深夜アニメの主題歌での熱唱が特に印象に残っている。本作ではパワフルな声ではなくフツーの声で喋っているけれど。
 王都の歌姫の方は「永遠の17才(笑)」の2号だか3号のアイドル声優田村ゆかりで、上品だけれどもブリっ子的な娘々したアイドルボイスはまさに円熟の域へと突入。若いオタから見ればオバサンかもでも、筆者から見れば永遠に年下です(爆)。


(後日付記:売上や作画やファンの人数の多寡的にはともかく、最終的には本作はクオリティー面では大傑作だと思います。ただし、途中のイベント編で化けたという世評には同意しません(笑)。その途中のイベント編もスゴいとは思いますけど、それ以前の展開も十二分に面白いです。そのうちにそのへんも含めて加筆をしたいと思っております・汗)

歌えばそこに君がいるから アニメ盤

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TEARS ECHO(TVアニメ「LOST SONG」エンディング主題歌)

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  (そのうちにその他の「魔法少女」作品とまとめてUP予定・汗)


ヲタクに恋は難しい』 ~こんなのオタじゃない!? リア充オタの出現。オタの変質と解体(笑)

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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.71(18年5月4日発行))


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2016年春アニメ評! 『マクロスΔ(デルタ)』&『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』(18年) ~昨今のアイドルアニメを真正面から内破すべきだった!?

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2015年秋アニメ評! 『ワンパンマン』 ~ヒーロー大集合世界における最強ヒーローの倦怠・無欲・メタ正義・人格力!

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2015年秋アニメ評! 『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』 往年の国産ヒーローのアレンジ存在たちが番組を越境して共闘するメタ・ヒーロー作品だけれども…

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2015年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』 ~長井龍雪岡田麿里でも「あの花」「ここさけ」とは似ても似つかぬ少年ギャング集団の成り上がり作品!

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2015年夏アニメ中間評! 『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』『六花の勇者』『おくさまが生徒会長!』『干物妹!うまるちゃん』『実は私は』『下ネタという概念が存在しない退屈な世界

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2015年春アニメ評! 『響け!ユーフォニアム』 ~手放しの傑作か!?

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2015年冬アニメ評! 『SHIROBAKO』(後半第2クール) ~アニメ制作をめぐる大群像劇が感涙の着地!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160103/p1


2014年秋アニメ評! 『SHIROBAKO』(前半第1クール) ~アニメ制作の舞台裏を描く大傑作爆誕

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2014年秋アニメ評! 『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 ~ガンダムSEEDの福田監督が放つ逆「アナ雪」! 女囚部隊に没落した元・王女が主役のロボットアニメの悪趣味快作!

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2014年秋アニメ評! 『ガンダム Gのレコンギスタ』 ~富野監督降臨。持続可能な中世的停滞を選択した遠未来。しかしその作劇的な出来栄えは?(富野信者は目を覚ませ・汗)

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2014年春アニメ評! 『ラブライブ!』(第2期)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160401/p1


2013年秋アニメ評! 『WHITE ALBUM 2』 ~「冴えカノ」原作者が自ら手懸けた悲恋物語の埋もれた大傑作!

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2013年秋アニメ評! 『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』 ~低劣な軍艦擬人化アニメに見えて、テーマ&萌えも両立した爽快活劇の傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1

2013年秋アニメ評! 『サムライフラメンコ』 ~ご町内⇒単身⇒戦隊⇒新旧ヒーロー大集合へとインフレ! ヒーロー&正義とは何か? を問うメタ・ヒーロー作品!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20190301/p1

2013年夏アニメ評! 『げんしけん二代目』 ~非モテの虚構への耽溺! 非コミュのオタはいかに生くべきか!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160623/p1

2013年春アニメ評! 『這いよれ!ニャル子さんW(ダブル)』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150601/p1

2013年春アニメ評! 『惡の華』前日談「惡の蕾」ドラマCD ~深夜アニメ版の声優が演じるも、原作者が手掛けた前日談の逸品!

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2013年冬アニメ評! 『まおゆう魔王勇者』『AMNESIA(アムネシア)』『ささみさん@がんばらない』 ~異世界を近代化する爆乳魔王に、近代自体も相対化してほしい(笑)

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2013年冬アニメ評! 『ラブライブ!』(第1期)

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2013~14年3大アイドルアニメ評! 『ラブライブ!』『Wake Up,Girls!』『アイドルマスター

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2012年秋アニメ評! 『ガールズ&パンツァー』 ~爽快活劇に至るためのお膳立てとしての設定&ドラマとは!?

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2011年春アニメ評! 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 ~別離・喪失・齟齬・焦燥・後悔・煩悶の青春群像劇の傑作!

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2011年冬アニメ評! 『魔法少女まどか☆マギカ』最終回「わたしの、最高の友達」 ~&『フリージング』『放浪息子』『フラクタル

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2008年秋アニメ評! 『鉄(くろがね)のラインバレル』 ~正義が大好きキャラ総登場ロボアニメ・最終回!

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2008年春アニメ評! 『コードギアス 反逆のルルーシュR2』 ~総括・大英帝国占領下の日本独立!

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2008年春アニメ評! 『マクロスF(フロンティア)』(08年)#1「クロース・エンカウンター」 ~先行放映版とも比較!

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2008年春アニメ評! 『マクロスF(フロンティア)』最終回評! ~キワどい最終回を擁護!

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2008年冬アニメ評! 『墓場鬼太郎

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2007年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』 ~第1期・第2期・劇場版・総括!

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2007年秋アニメ評! 『GR ジャイアントロボ

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2007年春アニメ評! 『ゲゲゲの鬼太郎』2007年版

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2006年秋アニメ評! 『天保異聞 妖奇士(てんぽういぶん あやかしあやし)』

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2006年夏アニメ評! 『N・H・Kにようこそ!』

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2005年秋アニメ評! 『BLOOD+(ブラッド・プラス)』

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2005年春アニメ評! 『英国戀(こい)物語エマ』

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2004年冬アニメ評! 『超変身コス∞プレイヤー』『ヒットをねらえ!』『LOVE♡LOVE?』『バーンアップ・スクランブル』『超重神グラヴィオン ツヴァイ』『みさきクロニクル ~ダイバージェンス・イヴ~』『光と水のダフネ』『MEZZO~メゾ~』『マリア様がみてる』『ふたりはプリキュア

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2003年春アニメ評! 『妄想科学シリーズ ワンダバスタイル』『成恵(なるえ)の世界』『宇宙のステルヴィア』『ASTRO BOY 鉄腕アトム

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#2018年春アニメ #銀英伝 #ウマ娘 #ガンゲイル #多田くん #デビライ #LOSTSONG



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ラブライブ!サンシャイン!! & 劇場版 Over the Rainbow ~沼津活況報告 & 元祖に負けじの良作と私見!

『ラブライブ!』・『Wake Up,Girls!』・『アイドルマスター』 ~2013~14年3大アイドルアニメ評
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 『ラブライブ!サンシャイン!!』(16年・17年)が東京MXとBS日テレにて2020年4月~9月予定で再放送中記念! とカコつけて……。
 『ラブライブ!サンシャイン!!』&映画『ラブライブ!サンシャイン!! Over the Rainbow』(19年)評をアップ!


ラブライブ!サンシャイン!!』 & 後日談映画『ラブライブ!サンシャイン!! Over the Rainbow』 ~沼津活況報告 & 元祖に負けじの良作と私見

(文・久保達也)

ラブライブ! サンシャイン!!』

(土曜22時30分 TOKYO MX他)


(2017年12月25日脱稿。2018年1月22日・2月22日大幅加筆)


 2016年7月~9月、および2017年10月~12月に放映されたアニメ『ラブライブ! サンシャイン!!』1期と2期は、静岡県沼津市内浦(うちうら)地区の高校で結成された9人のアイドルグループ「Aqours(アクア)」を主人公にした作品である。
 舞台背景の絵面(えづら)としては対極的ともいえる、東京は神田明神(かんだみょうじん)近辺を舞台にした元祖である大ヒット作『ラブライブ!』1期(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1)と2期(14年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160401/p1)の熱狂的大ブームの影がどうしても散らついて割りを喰ってしまうのだが、それを差し引いて冷静に観れば、「群像劇」と「泣き演出」の完成度の高さは、元祖『ラブライブ!』を超えたかと思える。
 自分たちの「輝き」を求めるためのアイドル活動だったものが、いつしか「廃校阻止」が主目的に変遷を遂げていき、最終的に本作第1期第1話と係り結び的に着地したのは見事だった。


 個人的な傑作は北海道は函館(はこだて)へ出張する前後編。Saint Snow(セイント・スノー)という女子高生アイドル姉妹との夢のコラボを盛り上げるためとはいえ、1年生のメンバー3人だけで独自にできることを! などという展開も元祖ではなかったことだ。
 1年生メンバー3人による、黒づくめのゴスロリ調の衣装で身を包んだオカルト美少女を演じつつも内心では恥ずかしがっているのでカッコよく決まらない痛々しい中二病少女のヨハネ――本名は善子(よしこ)・笑――をいじる花丸とルビイのコミカルシーンも様式美として見事に定着している。


 3話に1回(笑)、第3・6・9・12話それぞれのクライマックスには、高作画&高品質のモーションキャプチャーによる2D-CGによる新曲のライブ場面も配している。
 もちろん関連楽曲を売っていくための商業的都合なのだが、これはそれこそ近年の特撮変身ヒーローで頻繁に描かれるタイプチェンジによるパワーアップ劇のように、それまでに描かれてきた人間ドラマの延長線上にある結晶として結実させているので、取って付けたような感はなく本編ドラマ部分と遊離することがない。
 すぐあとにその新曲CDのCMが入るあたりに(笑)、露骨な商業主義を感じて嫌がる輩も多いようだが、やはりアイドルアニメや子供向けヒーロー番組でもスポンサーとの共存共栄を図るのならば、こういう特撮やアクション場面やライブ場面に必然性があるように思わせるように持っていく、前段・助走台としてのドラマ構築&玩具宣伝を主流にするべきだろう。


 元祖『ラブライブ!』の最終展開で視聴者をおおいに泣かせた学校の存続問題の決着は、本作ではあえてボカしたが、閉校式や卒業式にその役割をシフトしたのも差別化の意味で正解だったかと思える。



 近年はアニメや映画の舞台になった場所をファンたちが訪れる、いわゆる「聖地巡礼」が流行となっている。本作『ラブライブ! サンシャイン!!』も例外ではない。放映自体はすでに終了しているものの、現在もその人気は衰えてはおらず、内浦地区をはじめとする沼津市内ではいまだに全国から人々が訪れる活況が続いている。


 沼津商工会議所が主導し、市中心部の商店街や名所を巡る『ラブライブ! サンシャイン!!』のスタンプラリー企画は、昨年2017年5月中旬にスタートしたが、当初9カ所だったスタンプの設置場所が、現在47カ所にまで急増し、いまだに設置を希望する店が多いことから、今後も順次拡大を予定しているほどである。
www.llsunshine-numazu.jp


 沼津仲見世(なかみせ)商店街振興組合の担当者はこのスタンプ企画を活用し、商品開発推進による各店舗ごとの商店街の活性化を狙っている。
 沼津市観光戦略課もSONYグループのソニー企業(東京都)などと連携し、『ラブライブ! サンシャイン!!』のキャラクターの絵柄が入ったマンホールを市内に設置しようと、インターネット上で資金を募るクラウドファンディングを行ったところ、開始から約30時間で目標額の2217万円を達成しており、作品の注目度による経済効果は絶大なものがある。
first-flight.sony.com
www.mdn.co.jp


 沼津駅8番バス停から内浦方面に向かう東海バスは『ラブライブ! サンシャイン!!』のキャラクターが描かれたラッピングバスとなり、日産レンタカー沼津駅前店では昨年2017年12月から同じくラッピング車両のレンタルを開始した。
animestari.com
nlab.itmedia.co.jp
ザ・バスコレクション バスコレ 東海バス オレンジシャトル ラブライブ!サンシャイン!! ラッピングバス4号車 ジオラマ用品 (メーカー初回受注限定生産)


 沼津市西浦(にしうら)・内浦・静浦(しずうら)で生産されるみかんの代表「寿太郎みかん」は、昭和50(1975)年に山田寿太郎(やまだ・じゅたろう)さんが栽培中の「温州(うんしゅう)みかん」の一部に変異枝を発見、観察を続けたところ、たくさんの実がなり、果実の着色時期が早く、甘みと酸味のバランスに優れた濃厚な風味のみかんができることを確認、その後育成して増殖を図り、「寿太郎温州」と命名した、沼津が誇るブランドみかんである。
 『ラブライブ! サンシャイン!!』でも数回登場したほか、内浦の菓子店「松月(しょうげつ)」で実際に販売されている「寿太郎みかん」を原料にした菓子「西浦みかんパウンド」や「みかんどら焼き」などを主人公たちが口にする場面があるほどだ。
JA静岡経済連 【今シーズン完売】静岡 寿太郎みかん 秀品(青秀)M 約10kg

store.shopping.yahoo.co.jp
www.shougetsu-web.com
sweetsguide.jp
sweetsguide.jp


 「JAなんすん(南駿)」では、静岡県東部の愛鷹山麓(あしたか・さんろく)を中心に栽培され、過去三度も「皇室献上茶」の栄誉に輝いた沼津茶を「ぬまっちゃ」と名付け、缶やダンボールに『ラブライブ! サンシャイン!!』のキャラクターをあしらった商品も販売している。
www.ja-nansun.or.jp
numazukanko.jp
www.sake-online.com
ぬまっちゃ 『ラブライブ!サンシャイン!!』 オリジナルデザイン缶 400g×24本


 内浦漁協直営「いけすや」は、内浦漁協と魚を知り尽くした漁師の奥さんたちのチームIKS(いけす)がタッグを組み、熟練の漁師が丹精込めて育てた一級品の「活(いけ)あじ」を目の前の海で水揚げし、最高に美味しい状態で食べられる食堂であり、干物(ひもの)などの特産品も販売している。
www.shizuoka-navichi.net
 この「いけすや」も『ラブライブ! サンシャイン!!』の中で背景として描かれている他、CDに収録された音声のみの番外編ドラマ『レアな沼津をめしあがれ♥』で、主人公たちが人気メニューの「二食感活あじ丼」や「アジフライ定食」を食べる描写があるほどで、製作協力として【内浦漁協直営「いけすや」】がクレジットされている。
 『ラブライブ! サンシャイン!!』の人気から、最近は土日祝日はオープンから満席となるために整理券を配布するも、客をさばききれないほどの活況であり、数量限定メニューの「二食感活あじ丼」を食べることは困難となっている。

「ラブライブ! サンシャイン!!」 ニューシングル 1

「ラブライブ! サンシャイン!!」 ニューシングル 1

  • アーティスト:Aqours
  • 発売日: 2017/05/10
  • メディア: CD
(音声ドラマ『レアな沼津をめしあがれ♥』収録)



 2017年12月20日(水)付の『静岡新聞』朝刊には、『ラブライブ! サンシャイン!!』(2期)最終回の1本前のエピソードである第12話『光の海』が12月26日(火)深夜に放映される旨(むね)を告知する全面カラー広告が掲載された――独立UHF局やテレビ東京系列の局がない静岡県では第1期と同様、TBS系列の静岡放送で放映されていた――。
 この広告の件は本作の公式サイトでも事前に報じられたことから、『静岡新聞』のショッピングサイトでは通販開始から15分で完売、静岡新聞社東京支社では直接来社した者に販売する方式をとるも、こちらも30分で完売となり、早くもマニア向けのぼったくり店でプレミアがついて売られているほどである。
lovelive-sunshine.info
getnavi.jp
3枚セット 静岡新聞 12/20 朝刊 ラブライブサンシャイン!! Aqours 浦の星女学院 全面カラー広告


 私事で恐縮だが、筆者はここ10数年、静岡で一人暮らしをしており、静岡新聞社の関連会社に勤めていたため(後日註:当時のこと)、この朝刊をタダでもらってしまったのだが、実はこの通販にはウラがあり、『静岡新聞』のWEB会員登録が購入の条件となっていたため、買った人には今後アレ買えコレ買えという、うっとうしいメールが散々届くことになるハズだ(笑)。


 そんなアコギな商売を考えた、静岡新聞社の読者プロモーション局にもたまに出入りすることがあるのだが、そこの連中もウチの社の人間も、今回の大当たりを喜びながらも、


「こんなもんのどこが……」


などと、『ラブライブ! サンシャイン!!』とそのファンたちのことを、徹底的に罵倒(ばとう)していたのであった……(汗)


 いくら大ヒットしたアニメでも、そしてそれを享受するオタたちも、やはりいまだに社会的地位はこんなものなのか? と、今回の一件はとんだヌカ喜びとなってしまったものだ。


 それにしても、人口流出率ワースト2位を2年連続で記録してしまった静岡県、それも特に衰退が激しい県の東部地域にある沼津市内浦を全国に注目させ、地元を活性化させることとなったのは、いったい誰のおかげだと思っているのか!?
 本来なら『サンシャイン!!』に足を向けて寝られないハズではないのか? 『ガールズ&パンツァー』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190622/p1)を5年間も応援しつづける、茨城県の大洗(おおあらい)町商工会や大洗観光協会の人々の爪のアカでも煎(せん)じて飲むがいい!


 まぁ、仮にも地方新聞社でありながら、地元に恩恵(おんけい)を与えてくれた偉大な作品に対し、こんな程度の認識しか持てない企業には、そのうち痛いしっぺ返しが来るだろう(爆)。
 そして、静岡に大きく貢献した『サンシャイン!!』を理解しようともしない、あさはかな一部の静岡人をあざ笑うためにも、近いうちに本作をじっくりと語らせてもらうこととしたい(笑)。
TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』ED主題歌「ユメ語るよりユメ歌おう」


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.80(17年12月30日発行))


ラブライブ! サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow』

(配給/松竹)
(2019年1月18日脱稿)


 全校生徒が100人足らずで統廃合の危機にあった静岡県沼津市内浦の女子高・浦の星女学院の存続のために、9人の美少女が結成したスクールアイドルグループ・Aqours(アクア)を描いた『ラブライブ! サンシャイン!!』(1期・16年 2期・17年)の後日談映画『ラブライブ! サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow(ザ・スクール・アイドル・ムービー オーバー・ザ・レインボウ)』(19年・松竹)。


 元祖『ラブライブ!』(1期・13年 2期・14年)の後日談映画『ラブライブ! The School Idol Movie(ザ・スクール・アイドル・ムービー)』(15年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160709/p1)が比較的お祭り映画に徹していたのと比べ、今回はテレビシリーズ2期で描かれたAqoursが直面した「厳しい現実」のその後を描くことに重点が置かれている。


 つまり、Aqoursの健闘もむなしく、入学希望者を集める目標を達成できなかったがために、元祖『ラブライブ!』とは異なり浦の星女学院の廃校が決定(爆)、統合先の女子高に行かねばならなくなったのだ。
 元祖のスクールアイドルグループ・μ′s(ミューズ)が3年生の卒業で活動を休止したのに対し、本作では3年生の卒業後もAqoursの存続を選んだ現2年生と1年生のメンバーの奮闘と成長が描かれていくのである。


 2年生の渡辺曜(わたなべ・よう)のいとこで統合先の高校に通う、帽子もパンツルックも黒で固めたボーイッシュな渡辺月(わたなべ・つき)が新キャラとして登場。男性キャラが皆無(かいむ)に近い(笑)『ラブライブ!』シリーズについに男が登場か!? と、曜と親しく話す月をメンバーたちが曜の彼氏と思いこむギャグを兼ねたミスリード演出も快調だが、浦の星女学院の統合に一部で反対の声があがる中、月はAqoursの活動をサポートする重要なキャラとしても描かれる。


 そして『ラブライブ! サンシャイン!!』2期中盤の前後編で、Aqoursの姉妹メンバー・3年生の黒澤ダイヤ&1年生の黒澤ルビィと対比させるかたちで描かれた、北海道は函館のスクールアイドル・Saint Snow(セイント・スノー)の鹿角聖良(かづの・せいら)&理亞(りあ)の姉妹も再登場。
 聖良の卒業で今後のアイドル活動に悩む理亞の姿が、同じくダイヤの卒業で悩むルビィと重ね合わせるかたちで語られていく。



 このAqours存続問題については、本来の主人公である2年生・高海千歌(たかみ・ちか)以上に、この気弱でシスコンで依存心が強そうな妹キャラであるルビィを中心に描かれている印象が強い。
 実際公開2日目でルビィの各種グッズがほぼ完売状態だったり、10代や20代の観客たちが――その中でただひとりの中年だった筆者はやはり「変なオジサン」だと思われていたのだろう・爆――、皆一様に


「ルビィちゃん、ルビィちゃん」


と口走っていたことからすれば、やはりAqoursの中では断然人気が高いのだろう。


 臆病(おくびょう)で人見知りで泣き虫で、今回も


「おねえちゃん!」


とダイヤに抱きつく描写が何度もあったほどの、幼くて甘えん坊な赤毛ツインテールで低身長のルビィは、ただでさえAqoursメンバーの中では最もオタから好感度を得られそうなキャラなのだ(多分)。


 そんなルビィが、3年生の卒業旅行先のイタリアでのライブ会場を自ら選ぶと進言したり、ラストで描かれる沼津駅南口の特設ステージで、大勢の群衆を前にひとりで挨拶(あいさつ)するまでに至る姿こそ、3年生=おねえちゃんたちがいなくなる厳しい現実を乗り越えたAqoursの成長ぶりが、最も印象づけられるに相違ないだろう。


 そのステージを観たおねえちゃんたち=黒澤ダイヤ松浦果南(まつうら・かなん)・小原鞠莉(おはら・まり)といった3年生キャラたちが、群衆の中からそっとそれぞれの道へと旅立っていくカットは、今回最大の「泣き演出」だった。


 しかし、北海道地区予選のステージで転倒したがために、姉妹の全国大会出場の夢を断ってしまったことがいまだにトラウマとなっている理亞に、延長戦としてAqoursがSaint Snowとの2組だけのステージを開催する、実にイキな計(はか)らいもそれに匹敵するものなのだ。


 1期第8話『くやしくないの?』、そして今回も、理亞がAqoursに向けて放った


「『ラブライブ!』は、遊びじゃない!」


というセリフを、理亞と同じ立ち位置にあるルビィがここで理亞にそっくりそのまま返してみせる描写、70年代に人気絶頂だった現実世界のアイドルユニット・キャンディーズの『やさしい悪魔』歌唱時を彷彿(ほうふつ)とさせる小悪魔的な衣装で、ヘビメタ調の歌曲を激しいダンスで披露するSaint Snowの絶大なカッコよさが、「ラブライブ!」本選出場を断念せざるを得なかった姉妹の無念さをより強調することとなっており、観客の涙腺(るいせん)を絶妙なまでに刺激する!


 さらに今回秀逸(しゅういつ)なのは、鞠莉を強引に結婚させようとするイタリア人の金髪セレブママを悪役(笑)として登場させ、幼いころから鞠莉をママの束縛から解放してきたダイヤ&果南と鞠莉の結束の固さが再度示されたことで、鞠莉が高校のみならずママの束縛からもついに「卒業」するさまが描かれたことだ。


 イタリアのスペイン広場で繰り広げたステージが群衆から喝采(かっさい)を浴びたことで、ママは鞠莉の「卒業」をやっと容認するに至るが、先述したAqoursやSaint Snowのライブ場面が、こうした「人間ドラマ」の延長線上のクライマックスとして描かれるからこそ盛りあがる、という部分はたしかに大きいのだ。


 だが、そういった作劇術のことは抜きにしても、沼津市内の中心部や内浦地区の数々の観光スポット、そして仲見世商店街を貸切(笑)にして浦の星女学院の女子生徒たちがバックダンサーを務める中で披露されるAqoursのミュージカル仕立てのアバンタイトルが象徴するように、そのあまりにキャッチーなライブパート演出それ単独でも、独立して鑑賞するに足るほどの完成度の高さこそが、『ラブライブ!』最大の魅力なのではあるのだろう。

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仲見世商店街


 「浦の星女学院」も「3年生」も自身が想いつづけるかぎりは常にここにいる! という千歌の結論は、同時期公開の映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER(フォーエバー)』(18年・東映https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190128/p1)の結論とも奇しくも共通している。
 仮面ライダーもそうだが、我々が想いつづける限り、Aqoursは今もここにいる。
ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow [Blu-ray]

Saint Snow 1st シングル「Dazzling White Town」【BD付】

Saint Snow 1st シングル「Dazzling White Town」【BD付】

  • アーティスト:Saint Snow
  • 発売日: 2020/08/19
  • メディア: CD


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.82(19年6月16日発行予定⇒8月1日発行))


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『第弐回 新仲見世 昭和レトロ祭り』 ~バトルフランス・バイオマン磁雷矢! 昭和特撮ヒーロー俳優サイン会・撮影会 2018年GW!

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『昭和レトロ冬まつり』 ~月光仮面黄金バット・帰マン・キカイダー・マッハバロン・バトルフランス・メタルダー磁雷矢! 昭和特撮俳優座談会・撮影会 2019年師走!

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  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160401/p1

ラブライブ! The School Idol Movie』 ~世紀の傑作!? それとも駄作!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160709/p1

『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『音楽少女』『Re:ステージ!ドリームデイズ♪』 ~アイドルアニメの変化球・テーマ的多様化!

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BanG Dream!バンドリ!)』 ~「こんなのロックじゃない!」から30数年。和製「可愛いロック」の勝利!(笑)

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22/7・推しが武道館いってくれたら死ぬ・音楽少女・Re:ステージ ~アイドルアニメの変化球・テーマ的多様化!

『ラブライブ!』・『Wake Up,Girls!』・『アイドルマスター』 ~2013~14年3大アイドルアニメ評
『ラブライブ! The School Idol Movie』 ~世紀の傑作!? それとも駄作!?
『ラブライブ!サンシャイン!!』 & 劇場版『Over the Rainbow』 ~沼津活況報告 & 元祖に負けじの良作と私見!
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『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『音楽少女』『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』 ~アイドルアニメの変化球・テーマ的多様化!

(文・久保達也)

2020年・冬アニメ

(2020年2月20日脱稿)

『22/7(ナナブンノニジュウニ)』

(土曜23時 TOKYO‐MX他)


 現実世界のアイドルグループ・AKB48(エーケービー・フォーティエイト)や乃木坂46(のぎざか・フォーティシックス)などのプロデューサーとして広く知られる作詞家の秋元康(あきもと・やすし)のプロデュースにより、2016年12月24日に誕生したのが、11人のキャラクターと声を担当する声優=リアルメンバーで構成されたデジタルアイドルグループ・22/7(ななぶんのにじゅうに)である。
 彼女らを主人公として、現実世界と同じく2016年12月24日を起点とする物語を描いたアニメ化作品が本作だ。


 もちろん生身でのアイドル活動の方が主軸なのだろう。22/7のPV(プロモーション・ビデオ)の中には乃木坂46がよく着ているような、胸にリボンが付いた薄いパープルのワンピース姿でメンバーが歌唱するものも見られる。
 ちなみにユニット名の22/7とは円周率=3.14……の近似値(きんじち)であり、「無限につづく可能性」「想像の象徴」としての意味を示している。


 芸能プロダクションから届いた黒い招待状によって全国各地から集結した8人の美少女が、ゴリラみたいな風貌(ふうぼう)の大男のマネージャーによって動物園の地下深くにある事務所へと案内される。
 途中の階ではそこで生活するのに必要なさまざまな商業施設や娯楽施設が完備されており、いざたどり着いた事務所は室内すべてがゴールドで彩(いろど)られたゴージャスな雰囲気。
 マネージャーは自分たちはその事務所の「壁」の指令で動いており、今回の美少女たちが選ばれた理由やアイドルユニットを組む真の目的は何も聞かされていないという……


 これでは「昭和」の東映変身ヒーロー作品に登場した、正体不明の首領の指令で暗躍した悪の秘密組織と同じなのだが(笑)、


「相手が誰かなんてどうでもいい。これはチャンスよ」


と金髪ショートボブに水色リボンをした帰国子女風の華(はな)やかな少女がアイドル活動に乗り気を示す一方、


「まるで別世界。私のいる世界じゃない」


とマネージャーに告げ、ただひとりその場を去っていく少女がいた。


 第1話では紺髪ショートヘアで外の世界では周囲からその表情や視線が見えないように、常に前髪を長く垂らしている女子高生・滝川みうのモノローグを中心に描かれる。


 病弱な母の代わりにコンビニでバイトすることで幼い妹を含めた家族の生計を立てていたみうだが、


「前髪あげた方がカワイイのに」


と無神経にもみうの前髪を上げようとしたり、それを


「やめてやれよ」


と嘲笑(ちょうしょう)する同僚たちみたく、日々あたりまえのように仲間とじゃれ合って笑うことがどうしてもできないほどに、みうは極度の人見知りで人と話すのが大の苦手である。


 冒頭で


「世界平和なんか興味ない」


と語るみうにとっては、優しい母と無邪気(むじゃき)な妹との生活だけが「全世界」だった。


 しかし、同僚たちが怖(こわ)がっていてやりにくい、無愛想(ぶあいそう)だと客からクレームが来るなどとして、みうはクリスマスイブを前にバイトをクビになる。


 そう。彼女の「全世界」は破滅の危機を迎えるのだ。


 かつて趣味として曲づくりをしていたみうに


「おねえちゃんのコンサートに行くのが夢」


と語った妹に


「その話は二度としないで!」


と風呂場でヒステリックに云い放ってしまったみうを心配した母に


「ううん、なんでも」


とみうが見せる笑顔は、これ以上「いい子」でいることの限界が端的に示された名カットだろう。


 少しでも生活の足(た)しにとみうが売り払ったキーボードの鍵盤(けんばん)とみうが渡る橋をダブらせた演出がまた秀逸(しゅういつ)。
 夕焼け空の中、母と妹の写真が表示されたスマホの画面にみうの涙が落ちるカットは、その絶望感を最大に表したカットとなり得ている。


 その夜(=2016年のクリスマスイブ)に、一度は立ち去った地下のひみつ基地みたいな芸能事務所に、背に腹は代えられない、一家の生活のためにと再度姿を見せたみうは、人を無慈悲(むじひ)に選別する社会をつくった勝手な大人たちに対する不信とアイドル活動を


「バカみたい!」


と罵倒(ばとう)した上で、


「いちばんやりたくないことをしなきゃ大事な人を守れないのなら、なんだってやってやる!!」


とタンカをきった!


 その途端、事務所の黄金の壁がまばゆい光と轟音(ごうおん)をあげて発動し、8人のアイドルに対する指令を記した金のプレートが放たれた!


 実にドラマチックでカタルシスにあふれる演出だが、徹底的に追いつめられ、それしか選択肢(せんたくし)がなかったゆえの捨て身の行動に出たみうの悲壮感は決して拭(ぬぐ)い去れるものではないだろう。


 本作はプロデューサーの秋元氏による簡単なプロットを元にオリジナルのストーリーを組み立てたものである。だが、みうの声を演じるリアルメンバーは実際、人と関わるのが嫌いだった自身に対する危機感から最も苦手なことで自分を変えようとオーディションに応募したそうである。
 滑らかな早口トークや会話に強引に割って入ることがいかにも苦手そうな気弱さが如実(にょじつ)に感じられるぐぐもって少々低音の彼女の声は、男性の庇護欲を誘うような、もっと云うなら弱者男性でもこの娘なら自尊感情が低そうだから値踏みをしてこないであろうと妄想させる安心感を抱かせるものともいえるのだが(笑)、それはともかく自身と完全にリンクしているであろうみうの演技には弱そうなのに妙な決意や力強さが感じられるのだ。


 だが、みうが「これは決定事項」として「壁」に勝手に選ばれたことに対し、


「わたしの代わりに選ばれなかったコがいるだけ」


と舞い上がって自惚(うぬぼ)れることなく実に冷めて語ってみせている。それはそうなのだろうが、これで家族全員がようやく喰いつなげてようやっと一安心という状況下でも、見ず知らずの選ばれなかった不運な他人のことまで気遣ってしまうような「いい子」にすぎる子だから、この弱肉強食の現実世界で苦労するのだが……


 現実世界で黒い招待状が来るハズもなく、


「ずっと選ばれずに終わる人」


に対するケアもまた、今後の本作で示してほしいように思えてならないものがある。


 みうをクビにしたコンビニの店長が、「仕事」を「雪かき」にたとえて語る、「自分の家の前」を雪かきするのは当然で、「人の家の前」もしなければならない=やりたくないこともやるのが「仕事」だとする主張はたしかに正論である。個人的には座布団(ざぶとん)3枚あげてもいいと思えるほどだ(笑)。


 ただその「やりたくないこと」ばかりでも、それなりに真面目に(?)数十年もやってきて、その間に選別されない苦悩も散々味わってきた筆者からすれば(大汗)、みうのように店頭やバックヤードでの雑談や愛想笑いでさえも拒絶したくなる人々にも理解を示さざるを得ないというのが正直なところだ。


 アイドルアニメに大胆にも(ひとり)ボッチアニメの文脈を採用した本作の今後におおいに期待したい。
僕は存在していなかった

僕は存在していなかった

僕は存在していなかった

  • 発売日: 2017/09/20
  • メディア: MP3 ダウンロード
シャンプーの匂いがした(通常盤)

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  • アーティスト:22/7
  • 発売日: 2018/04/11
  • メディア: CD
理解者 (Special Edition)

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  • 発売日: 2019/10/01
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アニメ 22/7 Vol.1(完全生産限定版) [Blu-ray]


『推しが武道館いってくれたら死ぬ』

(木曜25時28分 TBS他)


 桜の木の下で「ライブやるから来てください!」と通行人にビラを配る少女たちの姿に、何十匹目のドジョウか? と思いきや……


 たしかにこれはアイドルアニメの変化球だ。主人公はアイドルの一員ではない。それぞれの推(お)しのアイドルメンバーに熱をあげるアイドルオタの主観で物語が進行するのだ。


 ただ主人公とともに7人組の地下アイドルグループを追いかける、30代らしきデブメガネこそは典型的なオタの趣(おもむき)だが、主人公は金髪ポニーテールのモデル体型なのに、常にサーモンピンクのジャージ(笑)を着てガニマタで歩き、パン工場でバイトしてる20歳のフリーター女子・えりなのだ。


 導入部でライブのビラをもらう際のえりはどこぞの大企業のOLかと思えるほどにカッチリとしたファッションだったが、そのライブで歌う茶髪セミロングの内気で人見知りな少女・市井舞奈(いちい・まいな)に手を振られ、


「あの日、君に殺されかかった」(笑)


ことから、以来えりは収入のすべてを舞奈につぎこむ日々を送っている。


 えりが常にジャージ姿なのは――ちなみにサーモンピンクは舞奈のメンバーカラーだ――、それこそ特撮ヒーロー作品の円盤やフィギュアを買いたいがために、毎日弁当を持参したり会社の飲み会を拒否したりで節約の日々を送る特撮オタのOLが主人公のマンガ『トクサツガガガ』(実写ドラマが2019年にNHKで放映・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190530/p1)を彷彿(ほうふつ)とさせる。
 しかし、その主人公が職場の同僚に特撮好きを知られるのを恐れる隠れオタなのとは180度異なり、えりは舞奈好きを全開にさせているのだ。


 それがとにかくアツ苦しい。夕陽に向かって舞奈のことを


「愛してる~~~!!」


と絶叫したり(笑)、どちらの推しがカワイイかをめぐってデブメガネとムキになってケンカしたり、ライブで興奮しすぎて失神ではなく鼻血を出してブッ倒れたり(爆)という調子である。


 そのえりのアツ苦しさが内気で人見知りな舞奈から敬遠され、いわゆる「塩対応(しお・たいおう)」をされているどころか、えりのいささか度のすぎた熱狂ぶりはアイドルオタたちから舞奈をも敬遠させてしまい、メンバーの人気投票で舞奈が最下位となる悪影響を及ぼしているほどなのだ(笑)。


 だが、えりはいざ舞奈を前にするとそのアツ苦しさとは真逆のなんともいじらしい姿を見せる。右手が鼻血で染まったために舞奈との握手を遠慮するのはまぁ当然だろうが(爆)、推しといっしょにチェキが撮れる撮影会のために真夏の炎天下に早朝から並んでいたものの、汗まみれで身体がクサくなったことを気にしたえりは、せっかくのツーショット撮影で舞奈に自分とは離れて撮ってくれるよう頼みこむのだ。


 自身の大切な存在を不快にさせたくないというえりの感情は、たとえアイドルオタではなくとも多くの視聴者を共感させたことだろう。


「好かれてなくても嫌われてなければいい」


とのえりのセリフが実に象徴的だが、握手会にしろ撮影会にしろ常に真っ先に権利をゲットしているハズのえりが、実際の舞奈に対してはその独占欲をいっさい見せないどころか


「舞奈はみんなのものになってほしい」(笑)


とさえ語るほどに多面的に描かれることで、視聴者の感情移入を誘う効果をより高めているのかと思える。


 えりが決してただのアツ苦しい女オタではないことが舞奈にも充分伝わっている証(あかし)として、えりの腕だけが写ったツーショット(笑)のチェキに、楽屋で舞奈が


「明日こそ素直に想いを伝えたい」


と語るのには感動すらおぼえたほどで、あまりに痛いアイドルオタたちの生態描写の数々には、実は高いドラマ性とキャラクターの魂(たましい)が秘められていたのだ。


 もっともエンディングテーマとして2000年代前半に人気のあったモーニング娘。を擁する「ハロー! プロジェクト」の一員でもあった大人気アイドル・松浦亜弥(まつうら・あや)――今の若い層では知らない人の方が多いのでは?(大汗)――の『桃色片想い』(02年)が使われているのは、本作がアイドルアニメの変化球だけではなく、女性同士の恋愛を描く「百合(ゆり)」モノ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191208/p1)の変化球でもあることを露呈(ろてい)させているような気がするが(笑)。
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「推しが武道館いってくれたら死ぬ」DVD1
「推しが武道館いってくれたら死ぬ」DVD6

「推しが武道館いってくれたら死ぬ」DVD6

  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: DVD


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.84(20年3月8日発行予定→4月5日発行)


2018年・夏アニメ

(2018年9月6日脱稿)

『音楽少女』

(土曜25時 TOKYO‐MX他)


 『THE IDOLM@STER(アイドルマスター)』(11年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1)、『ラブライブ!』(13年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1)、はたまた『Wake Up,Girls!(ウェイク アップ ガールズ!)』(14年~)など、すっかり手垢(あか)がついた感のあるアイドルアニメに、いまごろになって手を出すとは、キングレコードもすっかりヤキがまわったのか?


 80年代に中高生だったオッサンである筆者の世代にとっては、あのウルトラマンシリーズの劇中音楽をはじめて商品化し、特撮やアニメの音楽集の先駆け的存在となった『ウルトラオリジナルBGMシリーズ』(79年)や、『SF特撮映画音楽全集』(83年)をはじめとする東宝特撮映画音楽の音盤化で、特に故・伊福部昭(いふくべ・あきら)の作品を積極的に世間に啓蒙(けいもう)したり、テレビ時代劇『必殺』シリーズ(72年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19960321/p1)の劇中音楽までをも商品化するなど、キングレコードはマニア御用達(ごようたし)のメーカーという印象がいまだ強いものがある。
 もちろん我々の世代にとっては、なんと云っても元祖『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)の主題歌や劇中音楽を発売したメーカーであることが最も印象強いところだろう。最初の音楽集のLPレコードが、モロに「テレビまんが」という趣(おもむき)の、絵本のようなジャケットだったことには、中学生としてはレジでおもいっきりハズい想いをさせられたものだが(笑)、のちに発売された『アムロよ……』と題したドラマ傑作集の2枚組LPに、最初のLPには未収録だったものの、劇中で使用された頻度(ひんど)は高かった曲が、ボーナストラック的にいくつか収録されたのは実にうれしかったものだった。
 90年前後から00年前後はキングレコード大月俊倫(おおつき・としみち)プロデューサーが中核となって角川書店のオタク系アニメと組んであまたの作品を輩出し、業界のトップランナーであったことはご承知の通り――その最大のヒット作が巨大ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(95年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110827/p1)――


 そんなキングレコードも、先述した『ラブライブ!』や『ガールズ&パンツァー』(12年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190622/p1)など、近年の人気作品の権利を有するバンダイ系のランティスをはじめ、新興メーカーに押され気味ではあるのだが、さすがに何の勝算もなしに無難な路線に追随(ついずい)したのではあるまい。


 先述した『ガールズ&パンツァー』のお上品キャラ・ダージリンから『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180310/p1)のチンピラ幹部怪人マーダッコに至るまで、七色の声を駆使する人気アイドル声優喜多村英梨(きたむら・えり)は、近年は『夜ノヤッターマン』(15年)のドロンジョや『タイムボカン24』(16年)のビマージョ、『はじめてのギャル』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200202/p1)のヤンキー女子高生・本城蘭子(ほんじょう・らんこ)など、妙にチンピラキャラが多いが(爆)、ポニーキャニオンランティススターチャイルドキングレコード)→トムス・ミュージックと、レコード会社の移籍を繰り返している。
 しかし、喜多村の全シングルの中では、スターチャイルド時代に発売した『Happy Girl(ハッピー ガール)』(12年)がオリコン第5位と最高位であり、スターチャイルド以外のレーベル在籍時には、ベストテンにランクインしたことは実は一度もなかったのだ。


 かのアイドルグループ・AKB48(エーケービー・フォーティエイト)もその活動の初期数年のCD売上不振を理由にかのソニーミュージック系の子会社レーベルに契約を解除されたものの、キングレコードに移籍した途端、イベントの抽選券をオマケにした詐欺(さぎ)的商法(笑)でバケモノ的に売上が爆発したのは周知のとおりである。
 近年では05年にデビューし、鳴かず飛ばずだった演歌歌手・丘みどりが、やはり16年にキングレコードに移籍するや、翌年末にはNHKの『紅白歌合戦』に出場するまでに至ったのだ!
 こうした事例を見ると、やはりキングレコードの企画力・営業力の強さはいまだ健在であり、この『音楽少女』がバケる可能性もあるのかも!?


 本作の第1話では、音楽家の両親のツアーに同行するかたちで日本に帰国することになった、元気ハツラツ・オロナミンC(笑)的な天真爛漫(てんしんらんまん)な美少女ぶりとは相反する名前の主人公・山田木はなこ(爆)が、成田空港のロビーにて、数十人のアイドルオタくらいしか客が集まらないほどのC級アイドルグループ・音楽少女のライブに偶然遭遇し、実に軽薄な感じのマネージャーに目をつけられ、公開オーディションに出場するハメになるという運命の、いや、ご都合主義的な出会いが描かれる(笑)。


 音楽少女は11人ものメンバーで構成されている。彼女たちのキャラを毎回ひとりづつ掘り下げていたら、それだけで最終回になってしまう(爆)。
 なので、マネージャーがはなこを音楽少女に加入させることに強く反発したパープル髪のショートヘアのキツ目の少女が、はなこから


「声がステキ」


と云われた途端に


「ありがとう……」


と赤面したり、はなこに最も興味津々(しんしん)なピンク髪のメガネっ娘(こ)の好奇心旺盛ぶりなど、各メンバーがどんな娘なのか、はなこに対する反応ややりとりの違いによって、視聴者が第1話の時点で半数くらいは把握できるようにされているのは好感が持てるところだ。


 個人的にはライブの成功を願って会場に塩を盛ったり、まじないとしてメンバーのおでこに梅干しをはりつけたりする、低身長の茶髪ポニーテールのスピリチュアルな少女が、はなこにごほうびとして2回も


「飴(あめ)ちゃんをあげましょう」


とやらかすのには注目してしまう。


 同時期に放映が開始された『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180826/p1)の主人公兄弟の妹である女子高生・湊アサヒ(みなと・あさひ)も、序盤では


「ハイ、飴ちゃん」


と、兄弟ゲンカで熱くなった湊イサミに飴を与える描写があったが、これはアサヒがじゃんけんすらもイヤがるほど、争いが嫌いな平和主義者であることを象徴していたのだ。
 アサヒのキャラ最大のアイデンティティとして、「飴ちゃんをあげましょう」は定番描写にしてほしいものである(笑)。


 初対面のアイドル少女たちにダンスや歌唱指導をするほどのサラブレッドぶりを披露したはなこが、実は歌が「どヘタ」(笑)なことを露呈させる第1話のラストは、はなこと音楽少女の今後に期待を持たせるヒキとしては、あまりにも絶妙であった。
シャイニング・ピーシーズ

シャイニング・ピーシーズ

シャイニング・ピーシーズ

  • アーティスト:音楽少女
  • 発売日: 2018/09/26
  • メディア: CD


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.81(18年12月29日発行))


2019年・夏アニメ

(2019年10月13日脱稿)

『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』

(日曜22時 TOKYO‐MX他)


 いったい何匹目のドジョウとなるのだろうか? またまたアイドルアニメの登場である。
 もっとも原作となる小説はKADOKAWA(カドカワ)の『月刊コンプティーク』2015年8月号から連載が開始され、翌2016年には声優が歌唱するキャラクターソングCDが発売、2017年にはそのライブやスマホゲームの配信もされていたほどに、すでにプロジェクト自体はかなり以前から動いてはいたようだ。


 女子高生のスクールアイドルたちの全国大会を描いた『ラブライブ!』シリーズ(13年~)をまんまパクったかたちで、主人公たちが廃校ではなく部活の廃止を阻止するために、中学生アイドルの全国大会・プリズムステージの優勝をめざしている。
 主人公の少女はアイドル集団の中でもビジュアル的にやや浮き上がって見えるオレンジ髪のショートボブヘアで、これがそもそも『ラブライブ!』(第1期・13年 第2期・14年)の主人公・高坂穂乃果(こうさか・ほのか)や、『ラブライブ! サンシャイン!!』(第1期・16年 第2期・17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200628/p1)の主人公・高海千歌(たかみ・ちか)の髪型&髪色の色彩設計とも共通する鉄板(てっぱん)パターンのパクリである(笑)。
 そんな主人公・式宮舞菜(しきみや・まな)が一度アイドルの夢を断念しているのは、『Wake Up,Girls!(ウェイクアップ・ガールズ!)』シリーズ(14年~)の主人公・島田真由(しまだ・まゆ)の出自を彷彿(ほうふつ)とさせるものだ。


 こんな調子ではよほどの差別化をはからないことには見向きもされないかと思えるのだが、その点では本作はかろうじてギリギリセーフではないのかと。


 まず導入部で描かれた、駅の改札から舞菜の転校先の中学校に至るまでの実在する高尾山周辺の背景美術の美しさに目を奪われる。
 その背景とは相反するかのような、巨大モニターに映しだされる3人組のアイドルのステージからそそくさと逃げてしまうことで、舞菜に秘められた過去があるのを端的に示した演出には「おっ!」と思わせてくれるものがあった。


 金髪ショートヘアでメガネ少女の生徒会副会長に各部活を案内された末に、薄暗い廊下の先にある怪しい部室にたどり着いた舞菜は、濃い紫のロングヘアにピンクの和服姿の部長におっとりとした関西弁で大歓迎される。
 その茶室のような茶道(さどう)部としか思えない部室には実際、障子(しょうじ)に毛筆で「○」(まる)の中に「茶」と書いてある(爆)。しかし、この部室こそが、謡(うた)って踊ることを楽しむ


「謡舞踊部(ようぶようぶ・爆)」、


つまりアイドル部であるという想定外の描写には舌を巻いた(笑)。


 謡舞踊部の部員が部長とあとひとりのみで廃部寸前であることを知った舞菜は、情にほだされてつい入部を承諾(しょうだく)しそうになる。


 しかし、


「そんな理由で入部してほしくない」


と、1年生の新入部員で薄い紫のポニーテールの少女・月坂紗由(つきさか・さゆ)が現れ、実際の活動を見てほしいとして音楽にあわせてダンスを披露する。


 そこについ加わった舞菜が紗由と呼吸がピッタリと合ったことで、部長と紗由は舞菜がタダ者ではないと察知し、昨年のプリズムステージで優勝した3人組アイドルグループのリーダーの名字が舞菜と同じ式宮であることを指摘した。すると舞菜はそそくさと帰ってしまう。


 追いついた紗由が


「いっしょにアイドルめざそう!」


と誘うも、


「もう人前で歌ったり踊ったりしないと決めてるの……」


と、舞菜は寂し気に素っ気(そっけ)なくスクールバスに乗りこんでしまう。


 そよ風で桜の花びらが舞い散る中、舞菜に強いインスピレーションを感じた紗由はあきらめきれず、スクールバスを、舞菜を追いかける!


 紗由、そして車窓から紗由を見つめる舞菜が胸の高まりをおさえられず、両者に心臓の鼓動が鳴り響く演出が「運命の出会い」を絶妙に印象づけている!


 「夢なんか忘れたはずなのに」とつぶやいた舞菜が翌日部室に姿を見せ、紗由と手を合わせるに至るまで、第1話がこんなキャッチーな演出でつなげられたら、散々使い古されたネタでもつい見入ってしまうというものだろう。
 個人的には今後も暖かく見守りたいと思えたものだ。
TVアニメ「Re:ステージ! ドリームデイズ♪」第1巻[Blu-ray]


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.83(19年11月3日発行))


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#ナナニジ #ナナブンノニジュウニ #推し武道 #音楽少女 #Reステージ #リステ #リステージ



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マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 ~『まどマギ』が「特撮」から受けた影響&与えた影響!

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『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』 ~『まどマギ』が「特撮」から受けた影響&与えた影響!


(文・T.SATO)
(2020年3月3日脱稿)


 2010年代のTVアニメ史に残る名作深夜アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120527/p1)。
 その世界観を借りて、ご町内レベルの平和を守る女子中学生であれば、別の街々でも魔法少女たちがひそかに魔物と日夜戦っていても不思議はナイだろうと、放映当時から世界観は同じでも市町村や主人公集団を別とするマンガ作品などがメディアミックスで展開されてきた。
 本作はその手法で、本家が続編劇場版(13年)をもって完結したあとに、改めて公式の製作委員会が本格的に製作を開始した本流作品となる。


 ただし、まずはスマホゲームでの展開で、次に2.5次元のミュージカルで。ビッグタイトルのゲーム化なので、ゴールデンタイムでもフィギュアスケートの外人少女をフィーチャーしたCMをゴールデンタイムで長期にわたってバンバン流していたので、2020年冬季では一番知名度が高いオタ向け深夜アニメであることは間違いない。


 原典たる『魔法少女まどか☆マギカ』を大雑把に云えば、女児向けアニメ『美少女戦士セーラームーン』(92年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041105/p1)以来のヒロイン戦隊vs悪の組織との攻防をハイブロウに、ヒーローロボットアニメに対するリアルロボットアニメのような手法で描きつつ、魔法少女同士も抗争する姿を描いた作品であった。
 もちろん13人の仮面ライダーがそれぞれの夢を叶えるためにバトルロイヤルしたTV特撮『仮面ライダー龍騎(りゅうき)』(02年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20021109/p1)の大ヒットの影響は大きい。この作品以降、ゲームやアニメでは『龍騎』の影響を受けた同工異曲の作品が氾濫! 同じくバトルロイヤルものの『Fate/stay night(フェイト/ステイ・ナイト)』(06年)シリーズの原作者をはじめ、作り手側も『龍騎』からの影響を公言してはばからなかったモノだけど、本作の脚本を務めたゲームライター上がりの虚淵玄(うろぶち・げん)もそれを公言。
 この作品でその実力が認められて、その後は深夜アニメ『サイコパス』(12年)、ロボットアニメ『翠星(すいせい)のガルガンティア』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140928/p1)や『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)、セル画ライクな3D-CGアニメ映画『楽園追放』(14年)や『GODZILLAゴジラ) 怪獣惑星』シリーズ3部作(17~18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171122/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180622/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181123/p1)などで八面六臂の活躍をすることになるのはご承知の通りである。


 ただし、原典たる『まどマギ』もあまたのバトルロイヤルものと同様、作り手や評論オタが騒ぐほどに価値相対主義を訴えるものではなく、まわりがミーイズムやせいぜいが公共よりも身内・仲間・恋人のみを優先、アナーキズム(無秩序・無政府主義)やサイコパス(先天的な冷血や嗜虐的な性格異常)からバトロワに参戦していたとしても、だいたい主人公はバトルロイヤルをとめるべく邁進している善人であり(笑)、『まどマギ』の主人公も同様であってそれを貫いていく。
 『龍騎』でも『Fate』でも『コードギアス 反逆のルルーシュ』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20081005/p1)などでもバトルロイヤル・システムを構築した御仁が仮に登場したとしても、その正体はチンケな小人物であったり彼なりの同情すべき動機があったり、単に時系列の最初に位置していただけであってラスボスたりえず、一応の巨悪は別に設定されたりもした。
 仮にシステムを構築した御仁を打倒できたとしても、人間の欲望や動物的本能にも根差したバトルロイヤル・システム自体は止まらずに動きつづけるあたりが、専制的な王さまや安倍ちゃんやトランプなどの人格悪を首チョンパさえすれば即座に平和が訪れるというような「革命幻想」・旧態左翼的な「階級闘争図式」――熟議による求心的な議会制民主主義ではなく、単なる遠心的な無政府主義に陥りがちなソレ――を乗り越えており、ついにジャンル作品もココまでの境地に達したか……と感慨深いものがあった。


 そう、『まどマギ』でも白い小動物型マスコットキャラ・キュウべぇはラスボスや人格悪ではなかったのである。真のラスボスと目されるべきはもっと上位の事象にあった。人間が動植物を食するように、高次元宇宙の存在であるマスコットキャラもまた人間の精神エネルギーを補給しないと絶滅してしまうという食物連鎖の生態系、あるいは劇中世界における「宇宙の法則」(システム!)それ自体! という抽象的なモノが根本原因・ラスボスであったというオチ!
――――『ウルトラマンオーブ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170603/p1)でも星間文明存続を審判する役割を務めているロボット怪獣ギャラクトロンが、高次な精神生命体などにはまだ進化しておらず低次で残酷な「食物連鎖の生態系」に留まっている存在ゆえに全地球生命を滅ぼそうとする前後編があったなぁ(汗)――――


 そんなモノは解決不能な宿痾なのだけど、そこは広義でのSF。それまでの展開における幾度もの時間ループ要素で蓄積した「因果のエネルギー」という仮想的な要素を援用して、宇宙の法則・システム・ルールの土俵それ自体をズラして改変を試みる!――単なる代案なき反体制ではなく、真の意味での民主主義的立法!――


 超過去~超未来に至るまでの歴史の大局を変えずに、人生途上における切実な選択や決断、街の平和を守るための正義感やヤリ甲斐、その過程でできた仲間・戦友たちとの小さな喜びや充実感などは肯定しつつ、魔法少女たちとマスコットキャラがその最期(さいご)に到着する運命(不幸)だけをなかったことにするために、一応の各話における暫定的な敵の化け物でもあり、古今東西に出現していた「魔女」を「魔獣」で代替し、歴史上のすべての魔法少女とマスコットキャラの両者を救う歴史改変を行なう代わりに、我が身を空間的には「宇宙」全体、時間的にも超過去~超未来を貫く「時空」それ自体に超拡張!
 神そのものではナイけれども神近き存在、魔法少女たちが死後に魔女にならずに救済を与えるように、キュウべぇの故郷よりもはるかに高次な高次元世界・天上世界から永遠に地上へ超過去~超未来へわたって干渉しつづける、既存の「宇宙の法則」の一部に新たに上書き・付加された新しい「宇宙の法則」を担う一端・概念・作用にすら昇華して、現世や歴史からはその痕跡を永遠に消滅させて、最初から存在しなかったことになってしまう究極の自己犠牲が描かれることで、視聴者に滂沱の涙をこぼさせる。


 しかしこのオチは、よりリベラルな御仁たちからは、中学生の少女ひとりにここまでの滅私奉公・キリスト的な受難を背負わせる作劇自体がヤリ過ぎで封建的ではないのか? といった反発をも惹起したものだ。
――こう書いてくると、『龍騎』の影響で誕生した『まどマギ』は、今度は『仮面ライダービルド』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181030/p1)と『仮面ライダージオウ』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191020/p1)における、ライダーも怪人も存在しなかったことになった歴史改変ラストにも逆影響を及ぼしていたことが見て取れる。『ウルトラマンジード』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1)冒頭でウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングが超時空消滅爆弾で破壊された並行宇宙のひとつを救うために、そこの宇宙で宇宙大に拡大して宇宙と一体化、破壊された大宇宙自体を弥縫・縫合していたのもまた同様――


 そーいうワケで、作品世界の大ワクはすでに確定してしまっている作品なので、作劇の自由度が狭まるかもしれないのだけど、この外伝『マギアレコード』は敵の不定型生物が「魔獣」ではなく「魔女」の名称のままなので、歴史改変前の時空を舞台としていることがわかる。


 で、観てみた……。


 ウ~ム。個人的にはあまり面白く感じられないなぁ。


 たしかに安直な作りの外伝ではない。原典と同じことをしてもインパクトはナイから、別の要素――新主人公少女の世界では物理的な記録からは消えてしまっているらしい、主人公の「妹」探し――を投入して、そこで引っ張ろうというのもまぁ作劇アイデア的には正しいとも思う。
 しかし……。なにか爽快感やカタルシスがナイよなぁ。果たして、その原因とは何か?


 コレを脚本家や総監督の交代に求めるのはトートロジー・同語反復にすぎず、作劇術の分析にはなっていないだろう。
 そうか、わかってきた。筆者も先に本作の原典作品のドラマ・テーマ・SFギミックの解題などを散々にやってきていてナニだけど、そこだけを腑分け・解剖して俎上に上げてみせても、その作品のトータリティをわかったことにはなっていなかったのだ。


 やはり、ドラマやテーマ以前の作品のインフラ次元における基本フォーマットといった下部構造にも作品は規定されており、原典作品でも結局はヒロイン(魔法少女)vs敵怪人(魔女)との美麗な異空間での戦いの場面が各話のクライマックスとなることで、そこで勝利も描かれて強制的に各話にカタルシスも発生し、それにより各エピソードのメリハリや起承転結感も強めていたのであったのだ。


 そしてこの外伝作品は、各話のアクロバティックな魔法少女vs魔女との壮快な戦いの場面よりも、ドラマ・テーマを描いたシーンをクライマックスとすることで、皮肉にもかえってドラマやテーマが埋もれてしまっているのである。
 やはりインフラ・ハードウェアといった基盤、ひいてはグーデンベルグの「活字印刷」や蔡倫が発明した「紙」や勧善懲悪物語の「型」といったベースがあってこその、その上に乗っかるモノとしての「文学」や「人間ドラマ」や「社会派テーマ」や「近代的自我」やイジイジした「内面描写」なのである(笑)。
 そして、この外伝作品はヒロイズムや戦闘のカタルシスを軽視することで、かえってそのトッピングであるドラマやテーマとの相対的な落差も減ってしまって際立ってこないのだ。
 原典作品では「戦闘場面」での「異世界背景美術」や「魔女のデザイン」といった、「特撮」でいうなら「特撮班」「特撮美術デザイナー」「特撮監督」に相当する役職を担当していた「劇団イヌカレー」のメンツが脚本&監督に昇格しても、こーなってしまうとは何たる皮肉!


 古い世代のオタクが挙げる例で恐縮だけど、1970年代前半の第2期ウルトラマンシリーズでは、、それを先駆けるところの60年代後半の第1期ウルトラシリーズとは異なり、「怪獣」や「SF性」や「事件」に対する驚きよりも、時代の空気やTV局側の担当プロデューサー・橋本洋二の意向もあってドロくさい「人間ドラマ」や「社会派テーマ性」を重視した。
 しかしそれは、同時期に同じTV局の担当プロデューサーが担当した児童向け実写TVドラマ群と比しても、そのドラマ性やテーマ性がカナリ重たいものなのだ。


 憶測するに「ウルトラマン」などの戦闘ヒーローものは最後の必殺ワザで敵を倒してしまえることで、そこに強制的にカタルシスが発生して物事が晴れて見えてしまうので、むしろプロデューサーもイイ意味でそこに無意識に甘えて重たいドラマやテーマを各話の脚本家に要求し、あるいは脚本家の側も直感的にそのように執筆してしまい、それでも番組の様式美的なアクションやヒロイズムとの対比で「テーマ」の方もかえって際立ったのではなかろうか?
 そして、この機微が――筆者も含めて――判っていなかったがために、後年のマニア上がりが作ったシリアス志向・テーマ志向のジャンル作品群が概してツマラなくなってしまったのではなかろうか? ドラマやテーマの基盤となるインフラ、シリーズのフォーマット・型を作ってきた、昭和の「ウルトラマン」であれば金城哲夫(きんじょう・てつお)、昭和の「仮面ライダー」であれば伊上勝(いがみ・まさる)に対しても、そのような観点からの深掘りが改めて必要なようにも思うのだ。


 結論。筆者も先年観劇したアイドルグループ「けやき坂46(フォーティシックス)」(現・日向坂(ひなたざか)46)が演じた2.5次元ミュージカル版(18年)の『マギアレコード』の方がドラマ的にもエンタメ的にも良作だと思う(笑)。イヤ、マジで。機会があれば詳述したいと思います。


(了)
(初出・当該ブログ記事~オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.84(2020年3月8日発行予定⇒コロナ禍で即売会中止により4月5日発行))


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『異種族レビュアーズ』合評1 ~東京MXでの放映打ち切りをドー見る!?


(文・久保達也)
(2020年2月20日脱稿)


 人間・エルフ・妖精・獣人・魔族・妖怪・天使・悪魔などが共存する世界で、黒髪ロン毛の風来坊の人間男性と金髪小柄なエルフ男性の主人公が、あらゆる種族とエッチをするために怪物退治などをしつつも各地の風俗店をめぐる大冒険を繰りひろげ、そのエッチの相手をクロスレビューで評価するという内容だ。


 たしかにかなり過激な性描写が目についたとはいえ、その作風はきわめて陽性でカラッとした明るさにあふれていたことから、個人的には本作に対しては低俗だの下劣(げれつ)だの不快だのといったマイナスイメージはほとんど感じられなかったものだ。


 だが、同じ地上波でもKBS(ケイビーエス)京都とサンテレビ、そしてBS放送のBS11(ビーエス・イレブン)では放映を継続し、CS放送のAT‐X(アニメシアター・エックス)では無修正版まで放映しているにもかかわらず、唯一(ゆいいつ)TOKYO‐MX(東京メトロポリタンテレビジョン)のみ放映打ち切りとなってしまった。


 ただ、外見は美少女だが実際は500歳のバアさんのエルフを推(お)す人間男性と、人間の50歳の太ったオバサンの風俗嬢を推すエルフ男性が云い争いになり、獣人や妖怪などさまざまな種族に判定させたら人間の太ったオバサンの方が高い評価となってしまう場面は、そうした多様な価値観の尊重を描くことで、さまざまな種族が共存可能である世界に説得力を与えているとさえ思えたほどだ。


 またここに書くのもはばかられるほどの主題歌の過激な歌詞の中でも、「同じ(風俗)店に行ったら種族が違っていても仲間だ」という一節は、趣味を共有できる仲間を求める我々のような種族にはおおいに共感できるものではなかろうか?


 少なくとも同じように人間・ウルトラマン・宇宙人・アンドロイドなどの「共存」を訴えながらも、実に湿っぽい陰鬱(いんうつ)な話に終始していた『ウルトラマンタイガ』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200108/p1)に比べれば、たとえエロ描写ばかりとはいえ、本作の方がその「理想郷」をはるかに的確に描いていたのではないのか?


 意外にも、TOKYO‐MXでの打ち切りをネット上では「当然だ」「しかたがない」「どうでもいい」とする声ばかりで「残念だ」との声が皆無(かいむ)に近い(!)のは驚きだが、「表現の自由」が次第に失われつつあるこの国の風潮(ふうちょう)に、我々はもっと危機感を持つべきだと個人的には考えるのだ。


 案の定、この『異種族レビュアーズ』は2020年1月28日にBPO(ビーピーオー=放送倫理・番組向上機構)で開かれた「第221回 青少年委員会」の席上において、


・「性的なアニメが年齢制限もなしに青少年が観られる現状に憤(いきどお)りをおぼえる」
・「風俗店を男性が評価しており、女性キャラクターを蔑視(べっし)している」
・「下ネタばかりのアニメは子供に悪影響を与える」――深夜25時30分に子供にテレビを観せている親の方がよほど問題アリかと思うが(大爆)――


といった視聴者からのクレームによって審議されたものの、


・「気持ち悪いから」「下品だから」という視点での評価は、言論・表現の自由との関連で慎重に扱わねばならない。
・遅い時間帯の子供の視聴については、保護者にも配慮してもらいたい――当然だ(笑)――。
・テレビは子供だけを視聴者として対象にしているものではない。
・こうしたものが深夜枠から普通の時間帯に入ってくることには気をつけておくべきだ。


との意見が大勢を占め、BPOとしては本作を決して否定することなく、静観する構えを示したのだ。


 だからこそ、TOKYO‐MX以外の局では放映を継続することが可能となっているワケであり、TOKYO‐MXの過剰(かじょう)反応がより不可解に思えてくる。


 すっかりマニア御用達(ごようたし)の局となっているTOKYO‐MXではあるが、実は一部の報道番組やワイドショーの内容が、あまりにも安倍(あべ)政権に忖度(そんたく)しすぎとの批判がよく見られることからしても、今回の件は「巨悪」が濫用した大きな力にTOKYO‐MXが萎縮(いしゅく)したことによる自主規制なのか? と勘(かん)ぐらずにはいられないものがあるのだが。


 実際、BPOに同様のクレームが寄せられたアニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(14年)は当初土曜22時30分に放映されていたのを、第5話以降土曜26時に枠を変更することで放映を継続できていたのであり、それよりも遅い枠だった『異種族レビュアーズ』のみが打ち切りとなるのはやはり不自然極まりないだろう。


 本作が打ち切りとなった真の理由は不明だが、これを前例として認めてしまったら、ヘタをすれば将来的にはTOKYO‐MXの深夜アニメの放映が激減することにもなりかねないのではないのだろうか?
 繰り返す。これは断じて許してはならない暴挙なのだ。


(了)


『異種族レビュアーズ』合評2 ~異世界性風俗を描いたアニメで、性風俗の是非を考える!?


(文・T.SATO)
(2020年3月3日脱稿)


 異世界モノもジャンルの長い歴史の果てに、勇者ではなく魔王になったり、食堂・喫茶店・居酒屋を開店したり、冒険者だけど子育てがメインだったり、勇者だけどペットショップやプロレス興行(笑)していたり、書籍を作って司書になろうとしたり、中世に近代社会を招来せんとしたり(!)、ありとあらゆる職業を題材としたヒロイズムとも程遠い異世界作品が勃興して、異世界を舞台にヒトのすべての営みを包含せんとするメタ・ジャンルといった感を呈しており、爛熟の極みに達している。


 この作品はその中でも極め付け、異世界の「性風俗」(爆)を題材とした作品だ。より正確に云うならば、異世界の繁華街にある風俗街に足繁く通ってムッフンしたあとに風俗体験レビューの記事を書いて、それを冒険者が集うギルドの館のロビーの壁に貼り付けることで、小銭を稼ぐという作品である。
 もう少し云うなら、人間・妖精・獣人・悪魔・天使などとの異種通婚(姦通?)モノでもある。ぶっちゃけ、行き着くところまで行き着いた感もある。


 しかし、ワンアイデアだけの出オチ作品といった感じで、個人的にはあまり面白くない。しかもエロくない。具体的なサービスなり決定的な瞬間も描かれない。絵柄もリアルでナマっぽい肉体性を感じさせるモノではなく、まるっこくて柔らかそうなデフォルメされたモノである。
 もちろんそれが悪いというのでなく、だからこそリアリティの階梯も下がってコミカルなギャグとしても成立するのであって、コレをナマっぽい肉体性も感じられる絵柄で演じられたらシャレにならないとは思うけど(笑)。


 リアル寄りな背景美術やキャラデザだと、自然と作品世界のリアリティの階梯もあがってしまう。仮にお話のスジ的にはまったく同じストーリーであったとしても、非リアルな作品と比したらもっとインモラルに感じられてくるであろう。
 女を買いに行っている野郎も十人十色で、身勝手・喜悦だけの輩から逡巡・プチ罪悪感を抱いている輩まで。
 春を売っている女の方にも、イヤイヤ仕方なくから天性のビッチまで、あるいは地味な反復の炊事家事洗濯・農作業・職人仕事はタイクツで、華美な服装をして虚栄心も満たして異性とムダなおしゃべりでテンションを終始上げていたい! マジメで無口な男なんてツマラなくて大キライ!(爆) みたいな内面・自意識・各自の境遇、生まれついての「性に奔放」や「性に保守的」といった価値観の相違や先天的な性格の違い。
 リアリティの階梯があがれば、そんなモノまで浮上してきて、視聴者にもヒシヒシとそれを感じさせてしまうだろうとも思う。


 フィクションとはいえ、個人的にはそーいう多様な女性キャラ像をぜひとも観てみたい! とは思うのだけれども、往年の人気美少女アニメかんなぎ』(09年)非処女騒動なども思い返すに、おそらく潔癖なオタク視聴者の大勢にはウケないだろうとは思うので(汗)、本作のような記号的な絵柄と描写が適度な塩梅なのだろう。


 まぁフェミニズム的には性風俗・売買春なんぞは男尊女卑・ミソジニー女性嫌悪)な風潮に基づく社会的制度・文化的装置であり、近年の最新フェミ思想はともかく80~90年代においては、


「人間という存在は動物とは違って『性欲』という『先天的な本能』が壊れており、『後天的な文化』によって『性欲」が誘発されるだけであり、今ある男尊女卑的な文化を抹消して新たに「政治的に正しい」文化(笑)を樹立さえできれば、真の意味での男女対等な性愛文化も構築できるのだ!」


なる主張をしていたモノだ。


 もちろん野郎であれば、女の子のパンツ見たい・オシリ見たい・オッパイ見たい・裸を見たいという、個人差はあれども思春期以前の幼少時からある「性欲」が「本能」ではナイという言説は、実感的にもアリエないし生物学的にもナンセンスではある。
 心理学者・フロイトが喝破したように、人間は啓蒙思想的な「理性」だけでも動いておらず、「無意識」や「性欲」や動物的な「リビドー」などの鼻の先のニンジンでも駆動されている事実に到達した西欧思想史には疎い連中が、赤勝て白勝てレベルでフェミニズムになびいているようでもある。


 筆者からすれば、フェミニズムに一理も二理も認めつつもプチ違和感も手放さないのであれば、「男性中心主義」でも「フェミニズム」でもない「第3の学問」を樹立する絶好の契機であり、それこそが真の意味での理性的なふるまいではないのか? とは思えるものの、本作ごときのレビューにそのような大仰な話題は似つかわしくない(笑)。



 性風俗や売買春を積極的には肯定しないし減らすべきではあったとしても、人間に……特に男性側に男尊女卑以前の動物・オス的な本能がある以上は、そして禁酒法が施行されようが飲む・打つ・買いたい人間も相応にいるからには、かえってアル・カポネのようにウラ稼業でヤクザが肥え太るのが世の習いである以上は、日本でも売買春は禁止されているのに実際にはソープランドでは本番が可能というダブル・スタンダードで適度に発散させるのが、現実的な落としどころだとは思うのだ。


 性にまつわる問題といえば、古い世代には名作と名高い名脚本家・山田太一による往年のNHK土曜ドラマ男たちの旅路』第4部の第3話「車輪の一歩」(79年)で、車椅子の青年が両親も笑顔での公認で念願のソープ――当時はトルコ風呂と呼称――にひとりで行くも、あまたのお店で断られて終わって屈辱にまみれる名エピソードなども思い出す……。
 この作品のことも思い返すに、今や東京大学の総長にまで登り詰めた日本のフェミニズムのドン・上野千鶴子センセイは90年代、性的弱者の男性に対して「自力で女性をゲットできないモテない男性はひとりでセンズリしながら死んでいってください」と語っていたモノだけど(爆)、一理はあるにしてもそこまで逡巡なく断言してしまってイイのであろうか?
 筆者には昨2019年のエリート私立小学生20名を斬りつけて自殺した男に対して「ひとりで死ねばイイのに……」と語っていた言論人たちと、依って立つ立場&敵認定の対象が異なっているだけで、メタレベルでは同じ思考形態だとしか思えない。


 とはいえ、欧米に習って売春を禁止したのに、当の欧米では女性や障害者の「性的自由」の名のもとに「売春」や「身体障害者の買春」まで公認、国家が売春婦を登録制で管理する動きが90年代以降、拡充しているのは皮肉だ。
 たしかにヤクザやギャングが売買春を管理・搾取するよりかは、いっそ国家が管理するのも完璧とはいわずとも一理はあるのだろう。


 この延長線で、近年では往時の日本にだけ奴隷のように存在していたとされてしまった従軍慰安婦の世界的な見直しも望みたいところではある(爆)――むろん正当な商行為ではなく、女衒(ぜげん・仲介・ブローカー)にダマされて慰安婦になった女性や慰安所外で性暴力にあった女性の救済は必須――。
 仮にアナタやワタシには不要であっても、幼稚園~小中高の同級生たちのヤンキーDQN(ドキュン)やヤンチャな男子の比率を思えば、良心からではなく罰則があるから悪事をしないだけの人間が人類の過半なのであるから(汗)、前近代的・古代中世的なメンタル以前に食欲や性欲をも併せ持つ「動物」でしかない人間一般の性情をも見据えて、先回りして網も張ることが、真の意味での合理的な制度設計・社会デザインではないのかとも思うのだ。


 ただまぁ結婚制度や性道徳も地域・時代・個人で異なる相対的なモノではある。
――15年ほど前に(2004年)10代の女子ふたりがダブル芥川賞を受賞した際、清純派ではなくギャル子ちゃんの方の受賞作『蛇にピアス』で、ピアスを付けたワルの感じがする男にしか惹かれないギャル主人公が「健全とは何か? 餓死するくらいなら風俗で食べていく方がよほど健全だと思う」との価値観を躊躇なく語っていたくらいだし(笑)――


 だから、「性的自由」や「不倫」さえをも賞揚し、配偶者以外の第三者や社会が「不倫」を批判する必要はナイとする意見が一部のリベラル文化人の間では勃興している。
 しかし、コレは3手先・4手先が見えていない浅知恵に思える。この流れは男女対等の自由な性愛ではなく性的「新自由主義」となり、不倫や一夫多妻制もオールOK、女性の側でも金持ち男の2号・3号となっても豪奢な生活をしたい! という性道徳の自堕落な変容が起こって、数十年後にはディストピアが到来すると予見(爆)。


 天地創造の神さまが定めた「絶対普遍の正義」ではなく、人間社会の「便宜的な取り決めごと」にすぎなかったとしても、最大多数の最大幸福は一夫一婦制、不倫も実態はともかく社会的には糾弾しておこうというタテマエにしておいた方が、社会の安定や子供たちの感情の安定のためにも無難だとも思うゾ。
――むろん離婚しちゃイケナイとか、不倫は石打ちの刑に処すべきだ! とまでは云わないが(笑)――


 エッ、東京MXにつづいて神戸サンテレビや海外でも放映・配信中止なのが「表現の自由」に対する侵害だって? そんな「弾圧されてる俺、カッケーーー」みたいな映画『新聞記者』(19年)みたいなモノではないだろう。BS11やAT-Xでは観られるどころか、新たに岐阜では放映開始だし。
 つーか、コミケで販売中止処分を喰らうとハクが付くエロ・コスプレ円盤同様、放映中止になることを作り手・受け手も共犯関係で見越していて、放映中止自体でハクを付けたりネタや祭りにしてもらうことが前提の出来レースだ! くらいのことは云おうヨ(笑)。


(了)
(初出・当該ブログ記事~オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.84(2020年3月8日発行予定⇒コロナ禍で即売会中止により4月5日発行))


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『映像研には手を出すな!』 ~イマイチ! 生産型オタサークルを描くも不発に思える私的理由


(文・T.SATO)
(2020年3月3日脱稿)


 高校の部活動である映像研究会、実質的にはアニメを製作するサークルが舞台のNHKで放映中の深夜アニメ。


 こう書くと、山脈が近くに見える地方の高校のアニメ研究会でアニメ製作にいそしんでいた美少女キャラ5人が上京してアニメ業界の底辺で右往左往する大ヒット深夜アニメ『SHIROBAKO』(14年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151202/p1)や、暑苦しい黒縁メガネのオタク少年が学園№1や№2の美少女――その実態はガチな女オタク(笑)――たちとゲーム製作に明け暮れる大ヒット深夜アニメ『冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191122/p1)の二番煎じや三番煎じを想起する。


 あるいは、00年代からあったような、高校大学や校内校外を問わない、生産者型から消費者型までさまざまなオタク系サークルを描いたマンガやアニメ――『げんしけん』(02年・04年に深夜アニメ化)や『ヨイコノミライ』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071021/p1)――。超メジャーなところだと、マンガ家を目指す少年たちがその作劇術をメタ的に開陳もしていく群像劇を熱血に描いた『バクマン。』(08年・10年にTVアニメ化・15年に実写映画化)といった「週刊少年ジャンプ」連載の大人気マンガなども想起する。


 そーいう意味ではオタク的な気質がある人間の全員とはいわずとも、本作のようなオタ趣味それ自体を単なる消費で終わらせずに批評・生産・創作に昇華していかんとするオタク集団を描く物語についつい惹かれてしまう御仁も多いことであろう。


 本作の場合も、小学6年の夏に引っ越した先の高層団地群をつなぐ高架の通路やそこから見下ろせる光景や足許のコンクリ河川を、もう思春期に入る時期であろうに精神年齢幼稚園児の純粋さ(半分揶揄・笑)で、冒険物語の舞台に見立ててコーフンしてハシャギまわり、そんな彼女が深夜に布団に隠れて、宮崎駿が初カントクした往年の名作アニメ『未来少年コナン』(78年)そのものモドキの劇中アニメを鑑賞して激甚なショックを受けるサマが描かれる。
 コレをもってして人生を変えられた彼女は、アニメ研究会がある高校に入学するも、諸般の事情でそれとは別の映像研究会を立ち上げることになる……といったのが、本作の導入部。


 ウ~ム。題材は面白いハズなのに、出来上がった作品は個人的にはあんまり面白くないなぁ――本作を評価する方々にはゴメンなさい(汗)――。


 多少の異世界感を作品世界に醸すためか、この作品はSF洋画の名作『ブレードランナー』(82年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20171110/p1)的なウス汚れた東南アジア的な近未来の日本を舞台としているけど、その舞台設定って意味があるのかなぁ。
 むしろ背景美術に「非日常」的な要素が混入すると、主人公たちが作ろうとしている冒険アニメの「非日常」的な妄想の映像表現部分との「落差」が減ってしまいメリハリも弱くなってしまっているような……。


 そして、小柄な主人公少女のメンタルやルックスにそのボイス。
 意識的にか無意識にか男に媚びている気配がまるでないガラっぱちなところからして、往年の『ジャリん子チエ』(78年・81年に劇場&TVアニメ化)みたいな感じなのだが(笑)、それならば性別は少年でもよかったのではないかしら? 性別が少女であることに意味がナイといおうか、むしろ女性の方が男性よりも同性内でのファッション&スイーツなカースト優劣意識が強いことを思えば、今どき化粧っ気もなくてボサボサ髪の女子高生の彼女が、クラスメートたちにそーいう目線で見られて少々の劣等感やダメ意識をいだくことがフツーのハズだと思えるのに、この作品世界は1970年代以前の学校の教室ですか?(爆)


 今季2020年の冬アニメだと、アイドルアニメも爛熟の果ての変化球で、『22/7(ナナブンノニジュウニ)』では主人公のアイドル少女が、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』では主人公のヤンキー女子に推されているアイドル少女が両方ともに極度に内気なコミュ力弱者で、かたや浮わついたことがキライだけど成り行きで母子家庭の貧困のタシのために、かたや歌や踊りがスキでも(ヘタだけど・汗)人前トークはあまりできないというキャラ付けで、昆虫パニックものの『7SEEDS(セブンシーズ)』でもロリ可愛いけどそれを端(はな)にかけて媚びたりはせずに単に意志薄弱でトロいだけなのに、コレまた女リーダーに「ドジっ娘を演じて男に助けてもらおうと媚びるのはやめなさい!(大意)」――一般的には正論なのだが、彼女の場合は素でトロいのに……(爆)――などという人物描写をスパイスで入れることで、ストーリー展開以前のところで視聴者の感情移入の端緒を作って、それがフック・引っかかりにもなっていくのだけれども、本作にはそーいう創作活動の触媒にもなりうる劣等感・欲求不満・内的葛藤といった、オタク視聴者にとっての感情移入のフックがさしてナイように思えるのも個人的には引っかかる。


 良くも悪くも、というか悪しきことに、コレだけスクールカーストコミュ力ルッキズム(見た目至上主義)に苦しんでいることが、日本のみならずアメコミ洋画『スパイダーマン:ホームカミング』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170901/p1)や『パワーレンジャー』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20170715/p1)などでも議題となって先進各国共通の若者間でのテーマとなっているご時世だというのに……。
 まぁそもそも本作では、放課後の部活動の光景のみが描かれて教室やクラスメートがほぼ出てこないので、そこは意図的な除外なのやもしれないけれども、その意図が成功しているようには見えずに不自然さに帰結している……というのが、筆者個人の私見である。


 同じような議論は、小学校低学年ならばともかく、とっくにイロ気付いているハズの小学校高学年なのに色恋やスクールカーストの匂いがしてこない部分が不自然……といった議論もあった、かつて同じくNHKで放映された地方都市を舞台にVR(仮想現実)ならぬAR(拡張現実)を題材とした、インテリオタ間では高評価であった『電脳コイル』(07年)という作品をめぐってもあったけど。


 加えて、美少女であるとも平均的な少女だとも描かずに醜めにクズした絵柄の女の子キャラたちは、良く云えば挑戦的だけど、良くも悪くも通俗エンタメの本質とは文芸批評用語で云うところの「俗情との結託」であり、無意識的な男尊女卑感情も視聴時のモノサシに入ってくるので、この絵柄だと健気な美少女キャラだから応援してあげよう! という情動はまずは喚起はされまい(汗)。
 もちろんその代わりに、アニメ作りにおける艱難辛苦(かんなんしんく)を突破していく少年マンガ的な熱血ド根性で視聴者の感情移入やストーリー展開を強制的に駆動していく手法もあるけれども――アマゾンが「あなたにおすすめです」と教えてくれた月刊「ジャンプSQ(スクエア)」連載で本作と同じく高校の生産型アニメ研を舞台としたマンガ『戦場(いくさば)アニメーション』(13年)などはそーいう少年マンガ的な作りで駆動されており面白かったけど――、本作はそーいう感じの作りでもなく、ひたすらに淡々と展開していく。


 作品を作る前に主人公少女が開陳する、往年の月刊模型誌に連載された『宮崎駿の随想ノート』(84~90年・97年に書籍化・ISBN:4499226775)みたいなラフな鉛筆書きのデッサンに淡彩画のような色彩を付けた架空メカや背景美術に、細々とした手書き文字でビッチリとウラ設定や演出意図が描き込まれたノートみたいな「妄想」も映像化されていくのだけれども、あくまで劇中キャラの脳内妄想にすぎず、アニメ製作における実際には直結していかないので、達成感のようなカタルシスにも帰結しない。
 だけれども、「カタルシス発生装置としての物語」という下部構造・インフラ部分には眼を向けずに、社会派テーマだの良心的な作風といった上部構造のみで判定してしまうプチインテリオタクの皆さまがいかにもホメそうな作品には仕上がっているとは思う(汗)。


 深夜アニメ『四畳半神話体系』(10年)やその変型続編映画『夜は短し歩けよ乙女』に『夜明け告げるルーのうた』(共に17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190621/p1)や『デビルマン crybaby』(18年)といった佳作をものしてきた湯浅政明カントクにしても、原作マンガありきとはいえこの程度の作品に留まってしまった……というのが、あくまでも筆者個人の感慨にすぎないけれども極私的な見立てである。


(了)
(初出・当該ブログ記事~オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.84(2020年3月8日発行予定⇒コロナ禍で即売会中止により4月5日発行))


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#アニメ感想 #映像研 #映像研には手を出すな #湯浅政明



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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2020年1月24日(金)深夜から実写ドラマ版『女子高生の無駄づかい』が放映中記念! とカコつけて……。
 深夜アニメ版『女子高生の無駄づかい』(19年)と同じく深夜アニメ『ちおちゃんの通学路』(18年)評をアップ!


『女子高生の無駄づかい』『ちおちゃんの通学路』 ~カースト「中の下」の非・美少女が主役となれる時代!


『女子高生の無駄づかい』


(文・T.SATO)
(2019年8月2日脱稿)


 昨2018年夏の『ちおちゃんの通学路』に続いて、美少女が主人公ではない女子高生アニメが登場!


 平均身長よりやや低めでズン胴・短足な(汗)女子力が低いガラっぱちで少年チックな元気女子(声・赤崎千夏)。お目々もパッチリしておらず、表情もニコやかに作らず、マユ毛も細かく剃って整えず、そもそも化粧っ気がナイどころか愛嬌もデリカシーもない。
 ヤンキーやギャルではないし粗暴の域にも達してないけど、往年のアムロ少年や水野亜美碇シンジくんや綾波レイ長門有希のごとく、虚弱・気弱・繊細ナイーブな内面ゆえの対人躊躇から来る劣等感などは感じられず、退屈な日常をそれなりに謳歌している。
 トドメはイスに座っても脚を閉じずにガニ股にしている姿だ(爆)。彼女は善人だとは思うけど、異性の対象には思えないし、筆者もペンライトをふって応援したくなるようなスター性は感じない(笑)。


 彼女は高校に入ったらカレ氏がほしいとのたまうも、そのために女性誌を読んで服飾や化粧を学ぶでもなく、クラスの2軍・3軍として、下手のヨコ好きで漫画家志望の赤髪のBL好きオタク女子(声・戸松遥)、微生物や細菌を培養(!)している黒髪ロングの無表情な理系女子(声・豊崎愛生)といった小学校以来の友人とつるんで、部活も入らずストリートに繰り出して異性をゲットするでもなく、学校と自宅を行き来するだけの日々を送っている姿が描かれる。
 同じオタでも漫画オタであれば受容されても、可愛いモノしか観たくないような美少女アニメ専門の萌えオタは本作を観ないのではなかろうか?(汗)


 この3人を中心に、可愛い扱いされることをキラって反発するも心体ともに弱いので安全に回収されてしまう低身長のロリ美少女や、身体の各所に包帯・絆創膏・湿布を貼って弱い自分を鎧っている金髪ツインテの(ひとり)ボッチ少女などに、主人公少女がちょっかいをかけることで始まる騒動を愉快につづっていく。


 この3人には新人ではなく汚れ芝居もできる人材だからか中堅を配置。
 総監督にも『狼と香辛料』(08年)『ヨスガノソラ』(10年)『まおゆう魔王勇者』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200126/p1)『citrus(シトラス)』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191208/p1)などの良作を手掛けてきた高橋丈夫


 予算もあるのか高品質作画で、観返してみると繊細複雑な心情も表現するデリケートな小芝居もたくさんしているけど、このテの胸キュン要素が皆無なギャグ作品は『はじめてのギャル』『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』(共に17年)同様、誇張芝居で笑いが取れてしかもそこがキモなので、美麗な作画や小芝居がナイ記号的な表現でも大丈夫に思えて、まさに優秀なアニメスタッフの才能の無駄づかいといった感もなくはない。


 個人的には序盤は面白かったので#1切りはしなかったけど、それ以降は並みの作品とも思っており、切ってもイイのだけれども、切り捨てるには惜しい良さもあり(笑)。
女子高生の無駄づかい B2タペストリー

女子高生の無駄づかい 田中 望 (バカ) アクリルキーホルダー

女子高生の無駄づかい 田中 望 (バカ) アクリルキーホルダー

  • 発売日: 2019/10/09
  • メディア: おもちゃ&ホビー


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.75(19年8月10日発行))


ちおちゃんの通学路

(文・T.SATO)
(2018年8月1日脱稿)


 ウワッ、なんだこのマユ毛・マツ毛・瞳もキラキラしてない地味な女子高生たちのキャラデザは。
 スクールカーストの序列は、最下位の(ひとり)ボッチならぬ、「中」の「下」だと自らの分をわきまえている女子高生たちが主人公を務める作品だ。


 大昔の80年代中盤までだったら、その程度であればフツーの「中」だけど、80年代末期のイケてるイケてない系のカーストが拡大した時代以降だと、「下」寄りのイケてない系としてレッテル貼りされ、過剰にダメ意識・劣等感まで持たされて……(以下、ルサンチマンが続くので略・笑)。


 異性との輝かしい出逢いもなく――そもそも魅力的な異性として見てもらえず――、劇的な出来事や、引いては人間的な成長もなく、地味な学校生活を送り、自宅では深夜までムダにゲームなどに明け暮れる主人公のメガネ少女。まるで我が似姿を見るようで胸がイタい(笑)。


 先行作で例えると『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190606/p1)のボッチでチビの女子高生主人公がメガネをかけて身長も伸ばし、多少はコミュ力や愛嬌や友人も増やしたらこうなる! という感じか?


 劇中で起きている事件は、遅刻しそうなので通学路を通らず、塀の上や屋根の上を近道していくファンタジーなノリと、遅刻しそうなので路地を通ったら暴走族のバイクを倒しちゃって咄嗟のアドリブ&ハッタリで切り抜けるみたいなナンセンスなノリ。
 だけど、その過程で挟まれる、ゲームの世界ではともかく3次元では「中の下」を自覚する、イイ意味で自虐的な自己認識。


 それでは達観してるのかと思えば、さにあらず。
 現世に未練はやはりあり、ドングリの背比べで「中の下」の女子高生同士でドチラがよりマシ? よりリア充? かで競って、優越感・マウンティング合戦の口論をはじめたり、カースト上位の女子高生に話し掛けられると、舞い上がって光栄に思ってそれを友人に誇ったり。
 ちっとも解脱(げだつ)できていない俗物たちじゃねーか!?(笑)


 もちろん作品はそこに糾弾の目は向けず、生暖かくそれすらも笑いのオブラートで包んでいくワケだけど。
 いやマジな話、オタの生き方の理想ではなく現実的なゴールは、適度な自虐&達観 ⇒ やはり煩悩 ⇒ ハッとそれを自覚して反省 ⇒ 適度な自虐&達観 ⇒ やはり煩悩 ⇒ ハッとそれを自覚して反省 ⇒ 適度な自虐&達観 ⇒ やはり煩悩 ⇒ (略) の無限ループかとも思われて……(自説を一般化するなってか?・汗)。


 やっぱりスゴロクのアガリ的にエラぶったり、オタクの草創期を描いたマンガ『アオイホノヲ』に登場するオタキング岡田斗司夫(おかだ・としお)のごとく、「俺ってスゴいだろ」擬音がかぶるようなオーラ(笑)を出す輩はダメですよ。
 我々は常に自らを低うしてピエロ・河原乞食にならなければ……。


 ただ#1~2は神懸かった出来に思えたけど、#3がイマイチに思えたので、継続視聴の決断にはまだ猶予がほしい(笑)。
ちおちゃんの通学路 B2タペストリー A ティザービジュアル 728×515mm

ちおちゃんの通学路 上巻 [Blu-ray]

ちおちゃんの通学路 上巻 [Blu-ray]

  • 発売日: 2018/09/26
  • メディア: Blu-ray


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.72(18年8月11日発行))


ちおちゃんの通学路

(金曜22時 TOKYO MX他)


(文・久保達也)
(2018年9月6日脱稿)


 目立つことが嫌いなのに一応軟式テニス部に所属し、ルックス的にも結構カワイイんじゃね? と思える、オレンジ色ショートボブヘアのメガネっ娘(こ)女子高生・ちおちゃん独特の思考回路がもたらす、トホホな日常が描かれる。かの『サザエさん』(69年~)や『ドラえもん』(79年~)のように、ギャグアニメとしては定番の30分枠で数話を放映する形式だ。


 ある朝、クラスのカースト上位で陸上部に所属する人気者で、青髪ショートヘアの早川さんが、登校中のちおちゃんに向かって元気よく、


「おはよう~!」


と手を振ってきた。


 これがちおちゃんに大パニックをもたらしてしまう。自分は早川さんにどう反応すればいいのか?


 クラスのカースト上位者が、ちおちゃんみたいにカーストが「中の下」(笑)の人間にあえて笑顔を向けてくるのは、何かウラが、悪意が、魂胆(こんたん)があるに違いない。
 学校をはじめとする集団生活で周囲からやさしさを向けられたことがなく、それを期待しては散々裏切られてきた者としては、そんな思考回路に陥(おちい)ってしまうのは自然の道理なのだ!


 もしかしたら、早川さんは自分ではなく、自分の背後にいる友達に手を振っているのではないのか? でも本当に後ろに誰かいるのか? 確かめたいけど今振り返ったら早川さんに不審がられてしまう。
 そうだ、ゴミ捨て場に誤って転倒したふりをしたら、早川さんが駆け寄れば自分に好意があるのが証明されるし、後ろに誰かいるのかも確認できて一石二鳥だ! と、ちおちゃんは足をヨロヨロさせ、頭からおもいっきりゴミ捨て場に特攻する!
 ちおちゃん、キミは大正解だ!(爆)


 捨て身の行為で早川さんが間違いなく自分に手を振ってくれていたことをちおちゃんはやっと確信したが、苦難はこれだけでは終わらない。
 早川さんとふたりで学校に向かいながらも、いったいどんな話題をすればいいのか困ったちおちゃんは、とりあえず部活について話そうとするが、「部活」と口にしたものの、それにつづく言葉が出てこない(笑)。


 すると今度は早川さんに向かって「おはよう~!」と手を振る友達が出現! このまま早川さんと歩いていたら、間違いなく自分の存在は空気になってしまう。
 ちおちゃんはとっさにコンビニに駆けこみ、トイレにこもって早川さんたちが立ち去るのを待つ。ちおちゃんは早川さんたちと緊張しながら歩くよりも、コンビニのトイレの方がずっと居心地が良いことをあらためて思い知ることとなるのだ……


 ちおちゃんみたいな人種としては、わずか十数分の登校時間でさえ、70年代後半から80年代前半にかけてテレビ朝日の『水曜スペシャル』枠で放送された『川口浩探検隊』シリーズ並みの、サバイバルの連続なのではあるまいか? 学校での居心地の悪さ・居場所の無さ以前に、そこに至るまでに極度の緊張が連続することに耐えられず、不登校に陥る若者たちも少なからず存在するのだろう。
 そうした観点からすれば、本作が一応の学園ものでありながら、学園そのものではなく、通学路をメインの舞台としているのは実に的確だとさえ思えるのだ。


 だが、やっとトイレから出てきたちおちゃんがゲーム雑誌を立ち読みしていたら、とうに去ったと思っていた早川さんが外から手を振っている!
 早川さんは友達を先に行かせてちおちゃんを待ってくれていたのであり、ちおちゃんがトイレでねばっていたのも「お腹が弱いから」(爆)と解釈していたのだ!


 世間には圧倒的に少数だろうが、我々みたいな人種に対してすらも、早川さんみたいに親切に接してくれる奇特な人も存在するのだろう。それすらもいつものマイナス思考で疑ってかかり、関係性を悪化させるのは努めて避けるべきだ。
 ちおちゃんが早川さんに罪悪感と謝罪の念を心の声でつぶやきながら、学校へと走るクライマックスには感動すらおぼえるほどだ!


 ちおちゃんが早川さんに最大の感謝を示しながら、「ずっと云えなかったけど、おはよう~!」と叫ぶや、周囲にいた冴えない感じの男子高校生たちがいっせいにちおちゃんを振り返り、「オレに云ったのか?」と頭を悩ませる係り結び的なオチがまた絶妙であり、ちおちゃんと同様の悩みをかかえる若い視聴者に対して、決して君だけではない! というエールとして届いたのではあるまいか?


 本作はちおちゃんの自虐的なモノローグを中心に進行するが、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151102/p1)の主人公・黒木智子(くろき・ともこ)=もこっちが、実際にはカースト最下位なのにそれを自覚できずに、あくまで世をスネたシニカルでやさぐれた「怨(うら)み節(ぶし)」全開(爆)なのとは異なり、「中の下」を自覚するちおちゃんは、まさに平成仮面ライダーシリーズのキャラクターたちみたいに、エキセントリックな口調で絶叫することもあり、どことなくポジティブな印象も感じられ、もこっちとはうまく差別化ができていると云えるだろう。


 早川さんをめぐる「リアル」な話とカップリングされたのは、明け方の4時30分までゲームをしたために寝坊して遅刻しそうになったちおちゃんが、学校までの近道が工事中で使えないことから電柱をよじ登り、連なる民家の屋根を渡って登校するこれまた「リアル」な話、なワケねぇよ!(笑)
 寝ている猫に気をつかったり、なぜか2階でハミガキをするオヤジが吐き出した汚物をメガネに浴びたり、なんてそれなりの苦労もあったが、先述した早川さんと登校する回に比べ、ちおちゃんが明らかに楽しそうなのがまた妙に「リアル」だ。
 「中の下」のちおちゃんにとって、下界を見下ろすのは実に気分がいいのだろう。私事で恐縮だが、筆者も高い場所が大好きだ(笑)。


 風船が高い木にひっかかって泣いている男児の母の頼みを、「ブランドもののスーツが汚れる」「成功報酬がない」と断ったサラリーマン=地域社会の悪党を、屋根の上から「ライダーキック!」(笑)をかまして退治するちおちゃんは、やはり愛すべきいいコなのだ。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.81(18年12月29日発行))


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#アニメ感想 #女子高生の無駄づかい #ちおちゃん #ちおちゃんの通学路 #非モテ #モテ非モテ



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ヲタクに恋は難しい ~こんなのオタじゃない!? リア充オタの出現。オタの変質と解体(笑)

『トクサツガガガ』(TVドラマ版)総括 ~隠れ特オタ女子の生態! 40年後の「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」か!?
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 2020年2月7日(金)から実写映画版『ヲタクに恋は難しい』が公開記念! とカコつけて……。
 深夜アニメ版『ヲタクに恋は難しい』(18年)評をアップ!


ヲタクに恋は難しい』 ~こんなのオタじゃない!? リア充オタの出現。オタの変質と解体(笑)


(文・T.SATO)
(2018年4月27日脱稿)


 フジテレビ深夜のアニメ枠「ノイタミナ」18年春季作品。ヲタといってもキモオタではない隠れオタのOLが主人公。ドコか自信なさげな風などは一切なく、ダメンズなカレ氏も過去に何人かいたらしきリア充の女オタ。
 対するにお相手の男性は、周囲にオタであることを隠してナイっぽいオープンオタだが、コレまた変人ぽさはあってもキモオタではなく、長身スーツ姿のクールな眼鏡クンで「君ってセーフじゃん!」という感じ。


 コ、コレは詐欺だ(笑)。彼らリア充(リアル・現実世界で充実)なエリートオタなら、「恋は難しい」どころか「恋」も「異性のゲット」もカンタンじゃん(爆)。


 いやまぁ、いくら内面・人間性が大事だとはいっても、異性との交流に至る前段として下駄を履いていることも重要で、見た目からして他人に好かれやすいルックスやコミュ力があった方が、異性のゲットには近道に決まっている。


 物語・エンタメも、結局はこの法則に無意識に従って、異性とイイ仲になる主要人物は、たとえその人間性が決定打ではあろうとも、美男美女もしくは平均以上のルックスであることで、お互いにホレあったり付き合ったりしても不思議じゃないよネ? とドコかで想わせて、愛の勝利(笑)へと至った説得力を、観客の無意識の次元で補強する。


 #1は大企業(多分)へ転職して初出勤したその日に、中学時代の知己である先のメガネ青年に偶然廊下で再会し、彼の空気を読まない「夏コミ(=超巨大同人誌即売会コミックマーケット)、受かったか?」とのセリフに凍り付く彼女のサマが描かれる。
 云うまでもないけれども、オタが蔑視の対象ではなくなり、世間にも受け入れられた……などとゆー言説なぞは「虚妄」なのだとわからせる名シーンではある(笑)――もちろん30年前のM君事件時のオタク弾圧と比すれば、今の時代は100倍ラクだけど――。


 加えて、沢城みゆき嬢が演じる姐御肌な女上司もBL(ボーイズ・ラブ)好きな腐女子……つまり要約すればオタク女子であることが判明してしまう。


 ……とココまで来て思う。本作はこんな内容だったっけ?


 オタクの祭典・コミケコミックマーケット)の開催期間中の数日間、地下に停車する国際展示場駅エスカレーター壁から東京ビッグサイトに至る道中には、膨大なオタ向け作品の宣伝ポスターが数百数千枚と飾られる。本作の存在を近年のそれらで知った御仁は多いだろう。筆者もそのクチだ。


 オタと恋愛。オタとモテ/非モテ。このネタが大好物の筆者は、ネット上での非モテ論壇での暑苦しい議論(笑)やマンガ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(11年・13年に深夜アニメ化・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190606/p1)などを好んで読んできた。
 その一連としてマンガ『ブスに花束を。』や本作の原作マンガ版も、お絵描きオタ向けSNS「pixiv(ピクシブ)」中に商業出版社が出店して配信中であった無料電子書籍で読んだことはあった。


 正直に云わせてもらうと、本作の原作マンガ版は筆者にはイマイチな出来の印象で、序盤で早々に読書をリタイアしてしまった記憶がある(汗)。


 ちなみに、アニメ#1は終盤以外はオリジナル展開である。そう考えると、原作マンガ版の導入部と比すれば、この深夜アニメ版はまだマシだったような気がするにはする……(爆)。


 しかし。ウ~ム。筆者が作品タイトルから連想して、ぜひとも観てみたいと思っていた内容は、もっとオタであることの自分に劣等感で自意識をコジらせた深夜アニメ『ネト充のススメ』(17年)のような、非モテ男女たちの飢餓や渇き、イイ歳こいて思春期のシャイな少年少女のようにモジモジしながら、不器用な成人オタ男女が一歩前進、二歩後退するようなヒイてジラして盛り上げる作品であったのだが、ナイものねだりなのであろうけど、本作はそーいう類いの作品ではナイのであった……。


 だから、この作品はダメなのだ! と腐してみたいけど、それもまた芸がナイので、ココでヘリクツ芸をヒネり出す(笑)。
 ググってみると、筆者が抱いたような感想もネット上にはカナリあふれてはいた。しかし、原作マンガが結構な部数で売れており、支持者も少なからずいるのも事実なのだ。


 察するに、そこまで劣等感で自意識をコジらせてはおらず、コミュ力がナイわけでもないオタの周辺・外縁層、つまりは超々マニアックな求道者(ぐどうしゃ)ではナイけれども、マンガやゲームもたしなむヌルオタ(ヌルいオタ)やライトオタ(軽いオタ)にとっての「自己イメージ」や「理想の異性」とは、本作のように過剰な劣等感にはまったくまみれてはおらず、ギャルや仕事デキるプライド系のイイ女の域にまでは行かないけど、異性に対して気後れすることなくまぁまぁキラクに雑談もできたり、異性を呼び捨てにできてしまったり、どころかバンバンと背中を叩いてプチ・ビッチ的なボディータッチでの自己アピールもできてしまうようなライトな「女オタ」や、少々奇人変人でも暑苦しくはなくってルックスも人並み以上で連れて歩いても恥ずくない、共通ないしは隣接した趣味を持つ「野郎オタ」のカレ氏なのだろうと分析するのだ。


 そーなってしまうと、キモオタな筆者にとっては共感・感情移入はしづらい世界になってしまう。我々オタの内実や輪郭も随分と稀釈・拡散したものだ(汗)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.71(18年5月4日発行))


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ヲタクに恋は難しい』 ~こんなのオタじゃない!? リア充オタの出現。オタの変質と解体(笑)

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たまこラブストーリー』 ~親密な商店街にオタの居場所はあるか!?

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同人誌版・前書き~編集方針 ~リハビリとしての趣味・同人サークル活動

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ゴブリンスレイヤー ~レイプに売春まで!? 周縁のまつろわぬ民は常に憐れで正義なのか!?

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 深夜アニメ『ゴブリンスレイヤー』評をアップ!


ゴブリンスレイヤー』 ~レイプに売春まで!? 周縁のまつろわぬ民は常に憐れで正義なのか!?


(文・T.SATO)
(2018年12月26日脱稿)


 顔面までヨロイで覆った騎士さんもいるけど、手脚の素肌を隠した白のロングコートに白い大きな帽子をかぶり、青色の色彩アクセントで清潔感と崇高さも醸しつつ、金髪ロングに性格良さげで垂れぎみなお目々もパッチリ、両手で杖を抱えた美少女をキービジュアルに据えていることから、アリガチなナンちゃって感が満載の西欧中世ファンタジー風味の志が低いラノベ原作アニメかと思いきや。


 #1のAパートでは、元気なオボコい剣士の少年が、武闘家の少女・魔法使いの少女・治癒魔法で後方援護する先の金髪ロングの少女とともに、洞窟に潜むファンタジー世界お約束の二等兵、ヤラれ役の戦闘員キャラでもある緑褐色の低身長、低知能な小人(小鬼?)族・ゴブリン退治に勇ましくもおキラクに出掛けたら……。
 当初は鬼退治に善戦するも、次々出現するゴブリンで形勢逆転。殴打や棍棒フルボッコ、刀矢で斬られ刺され射られ、リアルな肉体性のある暴力や撲殺(!)が描かれて、あげく重傷で動けない武闘家少女にゴブリンたちがよってたかって陵辱してバックから……。上がる悲鳴!


 ヒエェ~~!! 公式・本家自体が二次創作エロ同人と化してるヨ(爆)。
 「ゴブリンって強くネ?」という謳い文句で深夜アニメ『灰と幻想のグリムガル』(16年)でもファンタジー世界に重たいリアリズムを導入する試みはすでにあったけど、同秋季2018年の深夜アニメ『転生したらスライムだった件』におけるコミカルに描かれて主人公との意思疎通も可能な可愛らしいゴブリン族の描写とはエラい違いだ。


 その洞窟に悠然と現れるゴブリン殺し専門のヨロイ騎士。毒塗り刃でもう助からず苦悶する魔法使いの少女にはせめてもの情けか躊躇なく介錯のトドメを刺し(!)、剣や盾や弓矢や体術でバッタバッタとゴブリンを嬲り殺していく!
 直前でゴブリンの蛮行が描かれたので、ヨロイ騎士のカナリ暴力的な戦い方に辟易(へきえき)すると同時に、喝采も送ってしまうような背徳感も味あわせるのが本作のミソ。


 しかし、悪徳でも結果的には正義を守っている一応のヒーローとして描かれるアメコミヒーロー洋画のデッドプールhttps://katoku99.hatenablog.com/entry/20160705/p1https://katoku99.hatenablog.com/entry/20180625/p1)やヴェノムなどとは異なり、生き残りのゴブリンの幼体たちまで惨殺!
 下宿先の大家さんが「あんたはタガが外れてる」と評したように、劇中内での一応の正義ではなくやや相対化、冷淡に突き放され視聴者の感情移入を阻むようにも作劇・造形されている。


 つづく#2のAパートでは、物悲しげな家族たちに見送られて、赤毛ショートの幼女が馬車に乗せられ去っていく光景が描かれる。次のカットは安宿のベッドで全裸にウスい掛け布団で物憂げに横たわる豊満に成長したサブヒロインたる少女の図。
 その後もお喋りな幼女のころとは異なり、ニコニコ笑顔でもひとりだと口を半開きに少々虚ろで放心ぎみ。そしてトロトロと喋る少女に、思わず彼女は両親に売られて売春婦に身を堕とし、それをゴブリン殺し専門のヨロイ騎士さんが身請(みう)けでもしたのか? なぞと憶測してしまったけれども。
 軽くググってみると、そのような出自設定はナイようで(?)、スレたマニアたちにはそーと思わせようとしたミスリード演出でもあったのか?


 洋の東西を問わず、娘を身売りするような貧しい時代がかつてあり、善し悪しは別に人類最古の商売としての売春もあって――レイプや性奴隷は商行為ではナイから別モノですよ~――、第1次世界大戦が舞台のヘミングウェイの小説『武器よさらば』(1929年・32年と52年に映画化)でも軍や義勇兵に売春婦が追随、中世末期の百年戦争が背景の深夜アニメ『純潔のマリア』(15年)でも傭兵たちに売春婦団が伴走していた。


 それでは忌まわしき戦時売春を全廃すれば万事解決なのかと思いきや、ナチドイツ陥落後の首都・ベルリンでは女性の過半が、独全土では数百万人もがソ連兵のレイプに遭う大惨事――満洲でもしかり――。
 小は子供間で絶えないイジメもそーだけど、法律がなくても身を律せる人間は極少数で、ほとんどは罰則があるから悪事をしないだけのヒトの皮をカブった悪魔であるから、権力者のみならず庶民・大衆・子供のことをも信じるナというのが筆者の結論だ(笑)。


 近年では世界的に売春の歴史が失念され、歯の浮くようなキレイ事が跋扈して、往時の日本にだけ慰安婦が奴隷のように存在したかに語られているけど、仮にアナタやワタシにとっては風俗産業が不要であっても、庶民・大衆の圧倒的大多数にとってはそーではナイのだから(爆)、人間一般の汚い性情をも踏まえて制度設計しておかないとイザというときに危険だとも思うゾ。その意味で公的には売春やギャンブルが禁止でも、ソープでは本番可能でパチンコ屋のヨコでも景品の換金が黙認されているのはダブル・スタンダードではあるけれど、オトナの知恵だとも思う――警察官も非番の日にはお世話になっていますから(笑)――。
 人間の全員とはいわず、人間一般には蕩尽(とうじん)的な欲望もある以上は、ヘタに禁酒法なぞを作ったら、高額でも飲みたい輩もいる以上、アル・カポネみたいなヤクザが大儲けする逆説も歴史が教えているワケだから、徹底弾圧でもなく積極的な賞揚でもない適量の発散は必要だ――その上で、ブローカーにダマされて連行された女性の救済、慰安所外での性的暴行への重罰も必須――。


 陽気でコミュ力がある売春婦たちが傭兵と行軍中でも大声でエロ話に興じていたのは『純潔のマリア』だけど、沖縄でも日本人より米軍人とHする方がお株が上がると豪語するギャルたちがいて、90年代カンボジアで選挙監視に各国のPKOが駐留したらすぐに売春宿ができ、高収の売女が地元の男を蔑み、旧東ドイツ地域の女性たちも華美を夢見て故郷と故郷の男たちを捨てて去っていく。
 他方で往年のTV時代劇『大奥』1983年版では、「目黒のサンマ」の逸話でおなじみ5代将軍・綱吉の母となる八百屋あがりのコケティッシュな天真爛漫少女とは対照的に、3代将軍・家光(演・沖雅也。~本役が遺作となった・汗)に見初められた性に無知な少女が床入りで恐怖にかられて逃げ出して江戸城内の井戸に身投げし自殺しちゃうけど、そんなウブな娘もいるだろう。
 そして、普段はイケメンやマッチョにナビいてカタギを見下す娼婦たちが、ソ連兵から身を呈して一般子女らを守った逸話は、作詞家・なかにし礼原作の満洲引き揚げ映画『赤い月』(04年)での光景であったか? 女性も実に多様で複雑な存在だ。


 そんなソ連兵ならぬゴブリンに、冒険者や辺境の村落の子女は陵辱され、心を病んだ少女が修道院に入ることもよくある話だと語られて、ヨロイ騎士の姉もそんなひとりであったという。ならば、復讐に燃えるのもムリはない――歴史的にも「周縁の民」は常に虐げられてきた「弱者」というワケではナイ。天高く馬肥ゆる秋になると農耕民の収穫や民生品に子女らを強奪しに来る存在でもあった――。


 しかし、相手がハエや蚊やゴキブリにペストや天然痘や化け物ならば殲滅に罪悪感もナイけれど、人間に近しくて種族内での親子・仲間間での情愛や知能もあるゴブリンを殲滅するとなると、途端に倫理的・ポリティカルコレクトネス(政治的に正しい)的な複雑性も帯びてくる――そこが作者のねらい目なのだろうけど――。
 と同時に、数百~数千年スパンでは融和の可能性があっても、数年~数十年スパンでは和解の余地などナイように見えるのならば、ゴブリン殲滅もやむなし、殺れ殺れ殺っちまえ! という暗い情念を、虚構世界で秘かに発散させる適量の毒物作品ではあり、筆者も結局は下賤の輩なので、その情念に身を浸(ひた)すのであった……(汗)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.73(18年12月29日発行))


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