假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありません

はじめてのギャル・僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件 ~オタの敵・ギャルやビッチのオタ向け作品での料理方法!

『くまみこ』『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』『ネト充のススメ』 ~コミュ症女子を描いた3作品の成否は!?
『女子高生の無駄づかい』『ちおちゃんの通学路』 ~カースト「中の下」の非・美少女が主役となれる時代!
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 コロナ禍で中断していた深夜アニメ『ギャルと恐竜』が2020年10月から放送再開、無事に完結するであろう記念! とカコつけて……。


 ギャルやビッチを描いた深夜アニメ『はじめてのギャル』と『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』(共に17年)評をアップ!


はじめてのギャル』・『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』 ~オタの敵・ギャルやビッチのオタ向け作品での料理方法!


はじめてのギャル

(2017年夏アニメ)

はじめてのギャル』合評1

(文・T.SATO)
(2017年7月23日脱稿)


 オタの天敵である女子高生巨乳ギャルがヒロインである深夜アニメが登場。ヤンキー色漂う一般層向けの少年マンガ誌出自かと思いきや、コアなオタ層向けではなくとも一応はオタ層寄りとおぼしきマンガ誌『少年エース』が出自だと!?


 とはいえ、彼女はルーズソックスを履いている……。今時そんな女子高生はいねェーよ!(笑)


 というワケで、リアルなギャルではなくマンガ的記号としてのギャルだともわかる。しかも#2以降、実は彼女はその内心はウブだとも明かされる。


 ……コ、コレはギャップ萌え!(爆) まぁ公共心皆無の自己中・私的快楽至上主義者の真性ギャルがメインヒロインであったら、我々モラリストでもある(?)オタク男子たちにとっての憧憬の対象にはならないだろうからネ。順当なマンガ的アレンジだろう。


 気弱だけど人並みにスケベな男子高校生主人公クンが、同級生のムサい眼鏡・デブ・金髪のスクールカースト低位の仲間たちにそそのかされて、付き合えばヤラせてくれるかも!? ……とのナンちゃって下心で告白したらOKで(爆)、ふたりが付き合い始めたことから始まる珍騒動。


 ラブコメのお約束であるご都合主義で、このまったく冴えない男子に実は気があった、下級生の妹系チビロリ爆乳&ツンツンした黒髪ロング学級委員のふたりがモーションをかけてくる歌舞伎的様式美も入れている。
 ただし変化球も投げており、主人公男子にでなくメインヒロインギャル高生に懸想している別の褐色肌の女子高生ギャルをもうひとり設定して、2017年の同季(夏季)深夜アニメ『恋と嘘』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200202/p1)とも同様に、女性同士の百合・同性愛要素も入れている!


 ロリ声の小倉唯おぐら・ゆい)ちゃんが演じるチビロリ爆乳は途中で髪を染めて黒髪からピンク髪となり、少年に上目遣いでアピールしてくる。ちょっとドキドキ(笑)――「無意味なブラック校則で中高生たちはガンジガラメになっている!」なぞとサヨク連中はガナっているけど、今日びの高校生たちはそもそも校則なんて守っていないっていうことでもあるよネ?――。
 自宅ではギャル風カツラ&トークでナマ配信をしているユーチューバーの学級委員女子は、あずにゃんペロペロから幾星霜の竹達彩奈(たけたつ・あやな)嬢が好演。


 序盤のツカミはよかったと思う。傑作だ! なぞと主張をする気もないけれども、一応は観られる作品に仕上がっているとも私見する――ヒトさまに薦める気もないけれど(汗)――。


 しかし、我々オタを露骨に蔑むギャルたちは、オタ向け作品では脇役か悪役か教室にはいないことになっていて(爆)、ギャルではなく巨乳キャラですらもがサブキャラ止まりのお色気要員でメインヒロインに昇格しなくなって久しい昨今、本作が覇権を取ることなどアリエナイだろうけど、アニメ化される程度にはニッチなニーズもあるようで、日本のオタの未来も安心だ。
 いやまぁ女性の側で男子をリードしてほしい、筆下ろししてほしいという願望の発露と取れば、日本のオタの未来がやはり不安だけれども(笑)。


 女子高生が一律にミニスカ&ルーズソックスと化したのは今は昔の1993年。その10年後の2003年でもミニスカ&ルーズソックスは健在だったけど、00年代の終わりまでには


「ミニスカは死なず、ただルーズソックスは消え去るのみ!」


にて消滅し、ルーズソックスファンの筆者は残念で残念で仕方がナイ(オイ)。『とある魔術の禁書目録(インデックス)』シリーズ(04年。08・10・18年に深夜アニメ化)の女子高生ヒロイン・御坂美琴(みさか・みこと)ちゃんにだけは、コレからも末永くルーズソックスを履き続けてほしいものである(笑)。

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.79(17年8月12日発行))


はじめてのギャル』合評2

(文・久保達也)
(2018年1月18日脱稿)


 第4話まで試しに鑑賞。第1話で切ってしまったアニメファンが多かったのでは? と思えるほど、こんなクダラない作品を公共の電波で流していいのかと思えるほど面白かった(爆)。


 特にあの主人公男子の脇を固める「3バカ」たちがいい。第2話で連中がギャルと付き合いはじめた主人公男子を「裏切り者!」呼ばわりしたり――同様の展開は元祖オタクサークルを描いた深夜ドラマ『怪獣倶楽部~空想特撮青春記~』(16年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20170628/p1)にもあったけど・笑――、第3話の黒ギャルや第4話の性悪美少女キャラなど、みんな行動原理が相応にリアルなので感情移入ができるし、本来ならばありえないハズの頼りない主人公男子がハーレム状態に至ることに充分な説得力を持たせていると思える。もっと早くに観ておけばよかったと少々後悔。


 前季の妹ネタの深夜アニメ『エロマンガ先生』(17年)もそうだが、全編「バカ演出」を炸裂させながらも毎回「泣き演出」もさりげなく入れてくるのも素晴らしい。第8話ラストの線香花火が消えるセンチメンタルな描写などなど。メインヒロインのギャル子にしろ、ホントはいい子という部分を徐々に小出しにしていくのもうまい。


 それにしても「あるある感」満載の「3バカ」たちのイタさは絶妙。初期東宝特撮映画の音楽・伊福部昭(いふくべ・あきら)のマーチみたいな音楽も流れるけど誰の趣味なのか?(爆)


 第9話と最終回(第10話)は前後編。直前の第8話まではあれだけ「バカ演出」を炸裂させていたのに、この前後編はもう涙なしでは見られないほど感動する出来(笑)。
はじめてのギャル

「はじめてのギャル」 オリジナルサウンドトラック

「はじめてのギャル」 オリジナルサウンドトラック

  • アーティスト:やしきん
  • 発売日: 2017/08/30
  • メディア: CD
はじめてのギャル Blu-ray限定版 第1巻
(了)
(初出・当該ブログ記事)


僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件

(2017年秋アニメ)
(文・T.SATO)
(2017年12月27日脱稿)


 銀髪ショートの学級委員である美少女女子高生がメインヒロインである作品。


 彼女は容姿端麗・頭脳明晰・スポーツ万能ゆえ、余人に見下されたりイジられたりすることはナイので、劣等感や自己憐憫の気配もナイ。と同時に、まったく媚び媚びしておらず、対外的に笑顔やお眼めを大きく見開いたり、同性との会話で共感したフリをして大げさにウンウン相槌を打ったり、異性向けに身をよじってシナを作るようなこともナイ。
 昭和中期の歌手・東海林太郎(しょうじ・たろう)のように(古!)直立不動の無表情で訥々とクールに丁寧語にて会話する!


 とはいえ、シニカルさや虚無感やイヤミな感じはせず、ヒトの良さはにじみ出ており、天然の性格であることはよくわかる。


 しかも、自分の浮き世離れを自覚もしており、世間一般並の異性との交流や性の知識、男性の性癖(汗)などはおそらくネット経由にて学習済!(笑)


 そんなマジメさが徒花(あだばな)な方向にも向いた彼女に、オボコい男子高校生主人公クンが告ったら、あっさりOKしてくれるも、真顔で明後日な方向の下ネタを連日くりひろげてきて少年は困惑しつつも、マンザラでもないのであった……という角川オタク系マンガが原作である深夜アニメ。


 おそらく編集者側の発想としては、同社のマンガ『はじめてのギャル』(16年・17年に深夜アニメ化)における「主役ギャル」をそれとは対極の「学級委員」に反転、あちらの「ギャル」の本性が「ウブ」ならば、こちらの「学級委員」の本性は「ビッチ」にしてみせよう! といったところであろうか!?(多分違う・汗)


 別に破裂的に面白いとは云わないけど、個人的には程々に面白い。


 スケベなオッサンオタクとしては、マジメだけれどもビッチだなんて「昼は淑女、夜は娼婦」みたいでサイコーじゃねーか!?(ヨダレ) 異性に対する要求水準は低そうだし、何気に主張はしてないけどパイオツもデカいし、相手をコレだと定めたらひとりの男に尽くしてくれそうだし……などと、映像作品では描かれていないことまで筆者の妄想は回転するけれど(笑)。


 しかし、マンガマニアではなくアニメマニア、その実態は萌えアニメファンでもあるような円盤(映像ソフト)を主に購入するような現今のコアで清純派志向のオタ層には多分売れないだろうし人気も出ないだろうとも思う(爆)――まぁ原作マンガの売上が深夜アニメ化で多少なりとも伸びればそれでイイ! というようなビジネスモデルなのでしょうかネ?――。


 好事家ならばご承知の通り、原作マンガのタイトルは『僕の彼女がマジメ過ぎる処女ビッチな件』(15年)である。深夜アニメ化に際して「処女ビッチ」の語句が生々しくてクレームが付くかも……とでも目されて自粛したのか、先回りした変更をも含めてムダに深読み・話題にしてもらおうとでも思ってか「しょびっち」に変更されている(笑)。


 主演声優はけっこうなキャリアがあるハズなのに、今年2017年になってもいまだに深夜アニメ『幼女戦記』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190304/p1)・『アホガール』などで主役をゲットできている七色の声音を持つ身長145センチのロリちび声優・悠木碧(ゆうき・あおい)嬢。
 彼女もアラサーになったので、こんな汚れキャラを演じられるポジションになったのか? と思いきや……。まだ25歳だったのかよ! どんな羞恥プレイだよ!(笑)


 余談。悠木碧あずにゃんペロペロこと声優・竹達彩奈(たけたつ・あやな)嬢と一時はコンビを組まされてふたりでよく歌唱していたけど、天真爛漫アイドルタイプの全身女のコ! といった彩奈嬢に、クールな自意識・懊悩する近代的自我(笑)を有していそうな碧ちゃんが内心では少々ヒイている気配があり(?)、このふたりは真の意味では気が合わなさそうに感じられるのは筆者だけではないだろう!?(笑) そー考えると、碧ちゃんは意外と本作のクールなメインヒロインに近いのかもしれん!?(邪推)


 ただそーなると、碧ちゃんが顔出しでその身をくねらせながら披露する、甘ったるい媚び媚びとした本作主題歌の中CMは、彼女がドーにもややムリをしている自意識も透けて見えてきて(?)それもまた愛おしい。今回オデコも出して女の子らしからぬ太ッとい眉毛も披露するのには賛否両論あろうけど……(筆者個人は許す!・笑)。
My Girlfriend Is Shobitch [Blu-ray]

僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件 第1巻 [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.70(17年12月30日発行))


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深夜アニメ『ギャルと恐竜』が放映完結記念! とカコつけて
#はじギャル #はじめてのギャル #僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件



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くまみこ・ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?・ネト充のススメ ~コミュ症女子を描いた3作品の成否は!?

『はたらく魔王さま!』『魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』『まおゆう魔王勇者』『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』『百錬の覇王と聖約の戦乙女』 ~変化球の「魔王」が主役の作品群まで定着&多様化!
『せいぜいがんばれ!魔法少女くるみ』『魔法少女 俺』『魔法少女特殊戦あすか』『魔法少女サイト』『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』 ~爛熟・多様化・変化球、看板だけ「魔法少女」でも良作の数々!
『魔法使いの嫁』『色づく世界の明日から』 ~魔法使い少女にコミュ力弱者のボッチ風味を加味した良作!
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 2020年10月から深夜アニメ『くまクマ熊ベアー』が放送記念! とカコつけて……。


 熊さんつながりで、深夜アニメ『くまみこ』(16年)。『くまみこ』がコミュ力弱者女子を描いていたので、その系譜の作品ということで、深夜アニメ『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』(16年)と同じく深夜アニメ『ネト充のススメ』(17年)評をアップ!(実に苦しい繋がり・汗)


くまみこ』・『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』・『ネト充のススメ』 ~コミュ症女子を描いた3作品の成否は!?

(文・T.SATO)

くまみこ

(2016年春アニメ)
(2016年12月16日脱稿)


 しゃべる熊さんと女子中学生の巫女さんが東北の山奥で同居する癒し系の美少女アニメかと思いきや……。シリーズ中盤から内容が怪しくなり、その最終回にネット世論は炎上!
 #1切りしていたけど、ウワサを聞いて興味をそそられ、オタ友の伝手を頼って鑑賞してみた。


 ……面白いやないけー!


 黒髪でほっぺたプニプニ笑顔と仕草がかわいい、中学の制服姿もまぶしいメインヒロイン。ITリテラシーの高い保護者然とした直立歩行する熊さん(笑)。鬱蒼とした山林に囲まれた高低差のある山村の光景。それらが最高級の作画&演出で描かれる。……我ながらナンで#1で切ってしまったのか?(汗)


 が……。コレはヒドい最終回(爆)。


 ヒロインは被害者妄想・対人恐怖をコジらせて、都会の高校への進学を断念し(?)、熊さんとのふたりきりの暮らしを選んで、田舎に引きこもる鬱(うつ)エンド!


 しかし、この最終回は極めて批評的なのかもしれない!? この作品自体に内在している、あるいは美少女アニメ作品一般に胚胎・内蔵されている、精神的に自立した美少女ではなく弱々しい美少女キャラを囲っておきたい! できれば適度にコチラに依存してもらい――あるいは男の方が女に依存して――、いつまでもイチャイチャとしていたい! という男性オタの「共依存」的な願望を、実は容赦なく露悪的に体現してみせている!?


 この最終回は原作漫画にはないオリジナル展開であるそうだ。が、原作自体にこの最終回の要素もあるのだろう!?


 原作に依拠したとおぼしきTVアニメシリーズ序盤でも、ファッション・カーストを議題とするエピソードが登場!


 ド田舎の山中かと思いきや、山を降りればすぐ一面が平野の田んぼであって、国道沿いには「ユニクロ」や「ファッションセンターしまむら」などの安価な服飾店舗もある現代日本ファスト風土


 ふだんは学校の制服ばかり着てるけど、人並にカジュアルな私服も買い求めねば! と思いつつも、そもそも街に出掛けるにあたっての私服がない! 「ユニクロ」に着ていくための最低限オシャレな私服自体がない!(笑)
 「ショッピングモール」で私服ではなく制服姿なのはアタシだけ!? と他人の蔑みの視線に怯えて、そもそもの立ち位置が人並のスタート地点に立っていないことに気付いて、その前で立ちすくんで、劣等感と敷居の高さに悶々とするヒロインの自意識の堂々巡りが描かれる。


 ……お前はオレか!?(笑)


 本作の萌え萌えメインヒロインのメンタルの内実は、(ひとり)ボッチ漫画の金字塔『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(11年・13年に深夜アニメ化・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190606/p1)のコミュ力弱者の主人公・黒木智子(くろき・ともこ)ことモコッチじゃん!
 ただし、ルックスには恵まれているから、自信を持てそうなのに――その点では劣等感を抱かなそう――、生来のシャイで謙虚な性格ゆえか彼女は増長しないし、モコッチのように他人や世間を憎まない(爆)。
 作品自体も『私モテ』のように主人公の愚行をブラックな笑いに転化して救っていくこともない。そして、人前に出ることが苦手なメインヒロインが、村興しの晴舞台に動員されて疲弊していくサマが延々と描かれていく……(汗)。


 80年代中盤以降、日本も高度大衆消費社会化を達成すると、人間の本性というモノはホントウに品性下劣だというべきか、若者は微差を誇って優位に立とうと差異化競争を繰り広げて、イケてる系イケてない系のカーストは拡大して、強迫の域にまで達して、髪型・服飾も細分化し、性格・趣味嗜好までもがそれによって可視化され、劣位の者は前代よりも過剰に劣等感を持たされるようになったと私見する。……ソースは俺(笑)。


 教室内の一体感がなくなって細分化・カースト化していく感覚は、筆者の見聞だと80年代中盤にすでに大学生や社会人であった60年前後生まれのオタク第1世代では乏しいけど、その下の世代だと80年代前半にタレントのタモリが流行らせたネアカ・ネクラ・ダサいなどの用語に加えて、70年代までの若者みんながGパン&ボタンシャツだった時代は終わって、元祖「ユニクロ」的な店舗がカジュアル服の販売を始めたことと併せて強烈な記憶であろう。
 地方だと80年代末期、都心の私立の中高だと80年代初頭の時点で自身のダサい私服をバカにされたトラウマ(心的外傷)を語る本誌ライターもいて時差はあるけど、いつの時代にもあったとしても今日的なスクールカーストは80年代中盤が起源であると見る。


 アレから30年(爆)。90年代末期には脱オタクファッションガイドなどのサイトも登場して、それが書籍化もされて、オタク自身もキモオタ/ライトオタに細分化するなどして変化を遂げている。


 人間性や善良さではなく見た目・ルッキズムで選別してくる「社会」――というか「若者」たち――の方が不純なのでありオカシいにせよ、その当の「社会」の方を変革しようとしている間に「思春期」も「結婚適齢期」も過ぎてしまうであろうことを思えば(爆)、「社会」の根源的な変革のことは棚に上げて、世知辛い世の中でせめて侮られないようにドー具体的に眼の前で生じる事態や差別や蔑視に対して処世をしていくのかを、若年オタたちが模索していくのもやむをえまい。


 そんな問題意識がこの深夜アニメのスタッフたちにもあったのだと信じたいけど、中途半端な問題意識ゆえか、それともハッキリと性格弱者などは助ける気もない悪意ゆえなのか、作品は壮絶な空中分解を遂げている。


 「ヤレばできる」「夢はかなう」などのキレイごとの言説は「欺瞞」である。性格による「向き」「不向き」などもやはりある。書籍『人間関係がニガテでもうまくいく天職ガイド』(05年・ISBN:4331511170)などといった現実処世的な書籍も発行されている昨今、都会で友達をいっぱい作ってみせるようなキレイごとのエンドではなく、田舎に閉塞してしまう鬱エンドでもない、第3の道! 都会の高校の文化部あたりで、気が合う少数のテンション低くてオトナしい同性の友人を見つけて、彼女がリハビリしていけるような、慎ましくても現実的で実効性もあるようなエンドなども提示してほしかったモノなのだけど……。
くまみこ(A) 2017カレンダー 壁掛け

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  • 発売日: 2016/12/07
  • メディア: オフィス用品
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.68(16年12月30日発行))


ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?

(2016年春アニメ)
(2016年4月28日脱稿)


 西欧中世風ファンタジー異世界を舞台にしたネトゲ(オンライン・ネット・ゲーム)では、現実世界での性別を無視したキャラクターに成りきれる。それは異性へのフェティッシュなハァハァした気持ちを我が身の全身を使って(?)代理発散するマスターベーション的なキモい行為である面も否めない。
 オンラインの中では可愛い美少女が、3次元=オフラインの世界ではムクつけき野郎=ネカマ(ネット・オカマ)である可能性は非常に高い(笑)。


 「そんなのはわかってますよ! そんなのはわかってますよ! そんなのはわかってますよ!」と、往年の名書籍『電波男』(05年・三才ブックスISBN:4861990025 08年に講談社文庫化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070318/p1)や『電波大戦 ぼくたちの“護身”入門』(05年・太田出版ISBN:4872339835)を著した本田透(ほんだ・とおる)大センセイのような幾重もの鉄壁のガード・バリア・障壁・結界を張って、「最初から期待しないようにしよう」「裏切られないようにしよう」「冷めていよう」と構えていたところのオフ会に現れたゲーム内での「俺の嫁」。
 そいつはホントに女の子で美少女だった! しかもゲームとリアルを混同して、主人公のオタク少年を好いてくれている! という。
 しかも、「そんなことあるワケないじゃん!」「ご都合主義じゃん!」「弱者男子にとっての性的ファンタジーじゃん!」という容易に想定されうるツッコミに対しても、事前にしつこくクドいくらいに作品タイトルも込みで一生懸命弁明している、とてもとても言い訳がましい作品になっている(笑)。


 しかも彼女は気が弱そうでコミュニケーション弱者で、引きこもり気味で半ば不登校でたまに学校へ行くと好奇の眼で見られてしまうという。他人に対して悪意や害意などは持ちそうになく、どころかオドオドビクビクしており伏し目がちで、他人に声をかけるのも一大事だからか、代わりに袖をツンツン引っ張ってきて(笑)、自尊感情も低そうだから70年代乙女チック漫画的に「私なんて……」という感じで、イケてる系とは云いがたい主人公のオタク少年を上から目線で値踏みしてくる気配もナイ。
 美少女だけど、ボリュームのあるロングヘアの黒髪は美容院でバッチリ決めたという感じではなく、適度にモッサリあちこちハネていて、黒っぽい地味めの服装も、ゲームにしか関心がナイという趣味嗜好も、オタク少年をファッション方面からイケてるかダサいかで測ってこないような安心感をもたらす(笑)。
 しかもそのオタク少年が演じるゲームキャラの名前で、彼女はその可愛らしい声でニコニコとつぶらな瞳と上目づかいで呼びかけて、片腕にしがみついて誘惑の意ではなく天然でその巨乳を押しつけてきやがる! 休み時間に他のクラスから出張してきて、まとわりつきやがる!


 「こ、こ、こ、こんな女子がいたら、こ、こ、こ、こんなダメなボクでも、その少女の経験値のなさと弱みに付け込んで上位に立って、恋人にできるかも!!! 連れて帰って、床の間に飾りたい!!!」
 ……とオタク男子どもを悶絶させているのに違いない! ……フン、筆者のことじゃないからネ。くれぐれも筆者のことじゃないからネ(……く、苦しい)。
 こーいうオタク男子・弱者男子にとっての欲望ダダ漏れ、都合のイイ女子像ばかりを描いているから、このジャンルは高邁・深遠・高尚にはならずに、自堕落でダメなんだよ!(……我ながら人格的な説得力がナイな・笑)


 最強の美少女ヒロインの誕生と、世紀の大傑作の誕生の予感がしています(……ってオイ!・汗)。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.74(16年5月1日発行))


ネト充のススメ

(2017年秋アニメ)
(2017年12月26日脱稿)


 スマホ漫画原作の深夜アニメ。
 ガチのオタク系漫画やラノベ原作アニメだと、良くも悪くもキャラ萌えを見せるための作劇という印象を受ける。しかし、スマホ漫画の場合はターゲットがもう少し広いせいか、シチュエーションコメディ・シチュエーションありきの奇抜なストーリーから来る面白さの方を優先した作劇が多いという印象を個人的には受ける。


 この作品も#1のナチュラルな吸引力にはホレボレとする。


 夜も遅くに足取りも重く、ウス暗い2階建てのアパートの階段を昇る黒スーツ姿の女子。鍵を開けてひとり暮らしの部屋に入るや、送別会で渡されたとおぼしき花束をゴミ箱に放り投げ、ベッドに俯せで倒れて着たきりスズメのままで爆睡。


 翌朝、会社に行かなきゃ! と目覚めるや、


「そうだ、会社を辞めたんだ」


と安堵する。


 その彼女がまた後ろに束ねていた髪を降ろした黒髪ロング女子で、顔の造作の素材はよくても、やはりこのヒロインも眼の下にクマがあり(汗)、眉毛も3本線で描かれることで、おそらく女子なのに眉毛を剃り整えていないのであろうと想起させる、不健康なアラサー女子がソコにいる。


 2代目カリフみたいな名前の、ソトでは才色兼備・ウチではカウチポテト(死語?)なオタク女子高生美少女『干物妹(ひもうと)うまるちゃん』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150901/p1)の15年後の姿がココにある!?(……ウソです・笑)


 そこでブツブツと始まるウンチク言い訳トーク


「自分はそのへんの無職とは格がちがう」
「自らニートの道を選んだエリート・ニートだ」(大意・笑)


 さらに求職サイトでも見ればイイのに、新たなネトゲ(オンライン・ネットゲーム)に入会して、その西欧中世ファンタジー異世界のイケメン男性ゲームキャラの林さん(爆)としてログインし、現実世界からは逃避する。


 そこで出逢ったピンク髪にピンクの巨大リボン、ピンクのふわりとしたロングコートを身にまとった美少女キャラクター!


「か、かわいい!」


とデフォルメキャラと化したアラサー女子が相好を崩してデヘヘヘヘとヨダレを垂らしている。……彼女の中身・メンタルはオッサンやないけー!(笑)


 次第に仲を深めていくふたり。ゲーム世界の海底のイソギンチョクの中にいっしょに入ってイチャイチャしたりするその光景自体は美しいけれど、カメラが一歩引くや、そこにはモニターを見つめてニヤニヤしているキモ~い我々の似姿でもあるアラサー女子の傍から見たら怖い笑顔が!(爆)


 ほとんど空の冷蔵庫や、クリスマスでカップルだらけのコンビニで缶ビール・ポテチ・弁当だけを買い込み


「(こんなところにいたら)死んでしまう!」


と内心でだけ叫ぶ描写なども、いちいちリアルなダメ人間の生活臭が漂っていて、ニガいけれども優しい「笑い」も喚起する。


 そんなリアルな描写の積み重ねの末に、コンビニのレジ上の保温ガラス箱にあったチキンを同時に注文したことから、イケメンでも腰が低そうなメガネ青年クンとまずはファースト・コンタクト!


 というところで、天文学的な確率であるピンク髪の美少女ヒロインの中の人(?)とそれとは知らずに遭遇できるワケだけど、そこまでに至るリアルな生活描写の助走台が延々とあったので、ご都合主義的なイヤ~ンな感じはせず、ドラマチックでロマンチックな感慨の方が優先されてくる。フィクション作品はドコまで行っても大ウソだけど、ウソであってもかく作るべし!


 コレで、このピンク髪の美少女の中の人も、ラノベ原作の深夜アニメ『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』(16年)同様、ウラのウラをかいて結局はオモテとなることで、その正体は女のコであり、しかもオタク男子にも物怖じしてしまうくらいのオボコい気弱なオタク女子でした! という展開であったら私的にはウェルカムなのだが(笑)、この作品の主人公は高校生男子ではなくクタビれたアラサー女子なのである(爆)。
 彼女の恋(?)の行く末も心配だが、それ以上に生活や蓄えの方が心配だ(汗)。


 主演声優は能登麻美子(のと・まみこ)。よく似た声質の10年代における人気声優・早見沙織(はやみ・さおり)のポジションを00年代においては彼女が務めていて、胸の奥のやわらかい臓腑を優しく手の平で包まれるような、その甘くて柔らかい声質をキライなオタク男子はいなかったとは思うけど(笑)。
 メインヒロインは少女漫画原作の深夜アニメ『君に届け』(09年)シリーズ主演が最後で、世代交代とともにフェードアウトするのかと思いきや……。英仏百年戦争を舞台とした深夜アニメ『純潔のマリア』やギャングものの深夜アニメ『ギャングスタ』(共に15年)などでも本作同様、低音ボイスでアラサー年増女性を演じており、延命には成功したようだ。今年2017年には深夜アニメ『地獄少女』(05年)の第4期こと『地獄少女 宵伽(よいのとぎ)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191201/p1)でも10年弱ぶりに主演!


 ところで、リアル=現実世界で充実した「リア充」ならぬ、ネット=仮想世界で充実している「ネト充」。
 この言葉を90年代のオタキング岡田斗司夫(おかだ・としお)のように、黒人運動における「ブラック(黒人)・イズ・ビューティフル!」ならぬ「オタク・イズ・ビューティフル!」という、確信犯でもヒネりのないガチでポジティブな意味で使いだしたのならば、我々オタには手に入らない「リア充」たちの「果実」をホントウはマズいのにちがいない! と云い換えてゴマカしている「酸っぱいブドウ」的な必死さがドコかで漂ってきてしまって、ドーしてもイタくなってしまったことであろう。


 しかし、現今ではイイ意味で自らを「負け犬」だと認めて、オタクは自分たちを「イタい」「ネト充」と自嘲して、自分のダメさ加減をも「ネタ」に「笑い」として消費する。痛車(イタしゃ)・痛バッチ・非モテ・キモオタ・自宅警備員(笑)。


 天然での無自覚なイタいふるまいは最悪だけど、自覚していてブレーキもかけつつ、それでも「半笑い」としてやってみせている「イタい行動」にならば、イタいなりの行き過ぎにはならない「節度」といったモノもやどるだろう。
 この自虐的な風潮を、古いタイプの60年前後生まれのオタク第1世代の「オタク・エリート」説的なエリート主義のオタたちは批判的に見ているようで、場合によっては理解すらもができないようだけど(汗)、程度問題ではあるけれど、自らを「自嘲」して相対化して天狗・増上慢にはならないようにふるまう、今の若いオタの道化・ピエロ的なメンタリティの方が、筆者個人は道義的にも上だと思うし、信頼も置けるモノだと私見もしている。
TVアニメ「ネト充のススメ」オリジナルサウンドトラック

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.80(17年12月30日発行))


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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2020年10月から大傑作深夜アニメ『はたらく魔王さま!』(13年)が再放送記念! とカコつけて……。


 「魔王」が主人公である作品群、『はたらく魔王さま!』(13年)・『魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』(20年)・『まおゆう魔王勇者』(13年)・『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』(18年)・『百錬の覇王と聖約の戦乙女(ヴァルキュリア)』(18年)評をアップ!


はたらく魔王さま!』・『魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』・『まおゆう魔王勇者』・『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』・『百錬の覇王と聖約の戦乙女(ヴァルキュリア)』 ~変化球の「魔王」が主役の作品群まで定着&多様化!

(文・T.SATO)

はたらく魔王さま!

(2013年春アニメ)
(2013年6月16日脱稿)


 西欧中世ファンタジー異世界を一度は征服した「魔王」を逆に追いつめた「女勇者」! 「魔王」は別世界へと逃亡し、「女勇者」もそれを追う!


 「魔王」と「女勇者」は魔力を失い、現代日本の新宿から京王線で3駅の笹塚駅近辺で、「魔王サタン」は青年「まおう・さだお」(笑)と名乗って六畳一間のアパート住まいのファーストフードのバイト店員、「女勇者エミリア」は「ゆさ・えみ」(笑)を名乗ってコールセンターのクレーム係に身をやつす。


 ウン、コレは面白い。多分、非オタがまちがって観てしまっても面白い。ツマラナイと云うヒトは極少では? 皆がホメるならいっしょにホメたくない当方でもイジワルな気持ちにならない。再視聴してみてもアキないし、引き込まれるし笑えるし楽しい。悔しいなぁ(汗)。


 まずは、残虐非道なハズの「魔王」とその「智将」1名が、その「世界征服」という野望・大言壮語とはウラハラに、現代日本では非力な凡人で、意外と善良で遵法精神にも満ちているというギャップ笑いをねらうアイデアの勝利。


 次に、それにウラ打ちを与える、畳みかけるような生活臭あふれるディテール描写の数々。区役所で戸籍と住民票を手に入れ、口座とカードを作って、不動産屋に紹介してもらい古びた安アパートの201号室、六畳一間に野郎ふたりで住まうことになる一連だけでももう笑える。


 日々の糧を得るため、履歴書を書いて求職活動し、冷蔵庫や洗濯機を買いそろえ。でも冷蔵庫にはキュウリとコンニャクしかなくて。


 #1冒頭の「魔王」率いる「魔族軍」VS「勇者」率いる「人間軍」の壮絶な大戦争との猛烈なギャップ・落差とも相まって、イチイチの細々とした生活ディテールが「お笑い」と化す。リアリズム的にはオカシいけど、「臥薪嘗胆」「泣きっ面に蜂」などの不遇にまつわる四字熟語やことわざを早々に使いこなすあたりもツボをつく――ドコで覚えた?(笑)――。


 加えて、働きだしたファーストフード店での仕事風景の数々。制服を身にまとい、愛想よくニコヤカさわやか笑顔で、


「いらっしゃいませ~」
「ご注文はお決まりでしょ~か?」
「○○、ワン・プリ~ズ」


 フライドポテトを手際よく調理し、ブラックペッパーの売上目標に邁進し。仕事に対しての見事なまでの真摯ぶりがそのままでギャグとなる。


 あまりの楽しさに、この#1のお仕事描写ノリで全話保つんじゃネ? とも思ったけれども。


 #1のラストで「女勇者」の成れの果てが登場! すわ対決バトル路線に変転か!? と思いきや。#2以降も笑かしにかかってくれる。


 「女勇者」が手にするのは聖剣ならぬ100円ショップで買った○○。以降も「女勇者」の憎めない短気なヒステリーぶりが炸裂。果ては痴話喧嘩とまちがえられて警察のご厄介になるわ、財布は落とすは、元「魔王」への日々のストーカー的監視のイチイチの空転ぶりも笑えて、「魔王」の方がなだめている「女勇者」とのやりとりは漫才の域に達する(笑)。


 「魔王」に恋慕する本作のメインヒロインでもある女子高生を身分不相応・不遜だ! となじりつつも、彼女からの相談の場に全身ユニクロで行ってはダメだ! とヘソクリを出す「智将」、彼女のおめかしの意図を見抜いている「女勇者」の俗っぷりにも吹く(笑)。
――でも国道沿いの「ファッションセンターしまむら」でママに買ってきてもらうなら、ユニクロで断然イイと思うぞ、若いオタ諸君。結婚適齢期をすぎた加齢臭漂う本誌ライター陣はもう気にする必要もナイけどナ(汗)――


 中盤では異世界から新たな刺客が出現して、笹塚駅近辺で宙を舞い魔法を駆使する超絶バトルを繰り広げてスペクタクル感を味あわせてくれもする。


 だが、そんな彼らの戦いの舞台となる現代東京を綿密に描いた背景美術は、ビルの壁や屋上や町並に「あるある感」満載な企業やアパート・マンション経営(笑)などの広告群で満たされて、壮絶バトル&シリアスな会話の応酬を常にナンチャッテ的におちょくりにかかってくる。


 ナニこの多幸感あふれる作品世界&物語は。


 評論・感想オタクが作品世界を批評的に解題して、そこに社会や人間の時代性や縮図を読みとるような行為(笑)などは、この作品に関しては一切不要!(多分) ストーリーを物語ること、キャラクターたちが自走することそれ自体の楽しさに満ちあふれてもいる。


 異世界ではあまたの生命を奪ってきた「魔王」が、現代日本で善人だからといって許されてイイのか!? というツッコミをなぜだか想起しにくいあたりが、壮絶なようで寸止めに留めた#1冒頭の大戦争描写の意識的な演出の結果なのか、偶然による天の配剤なのか、両者の混合ならばその比率などから作劇の巧拙の法則性が垣間見えないものなのか? と個人的には気になってくるけど、それが判れば創作する側も批評をする側もとっくに苦労はなくなってるわナ。


 「魔王」の過去の残虐な所行ゆえに本作を倫理的にウケつけない、という潔癖な意見もあってイイし、そーいう御仁も個人的にはキライじゃないけど――とはいえ劇中でもそーいう倫理的なツッコミやそれに対する言い訳がナイわけでもない――、そんな彼らへの反駁・擁護の言葉まではさすがに持ち合わせてはいないけど、そこをヌキにすれば爽快作だと思うのだ。
はたらく魔王さま!

ZERO!!

ZERO!!

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.57(13年6月23日発行))


異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術

(2018年夏アニメ)
(2018年8月2日脱稿)


 異世界で「勇者」が冒険して「魔王」を倒します! という正統派のファンタジーは絶滅したのか!?


 国産ファンタジーというジャンルも爛熟の果てに、


・本来は打倒されるべき「魔王」が、名のみ「魔王」のインテリ爆乳女魔王で「勇者」と協力して異世界に善政を敷こうとしたり(『まおゆう魔王勇者』(09年・13年に深夜アニメ化))
異世界から逃げた先の現代日本では四畳半住まいでファストフード店員をやってて結構イイ奴だったり(『はたらく魔王さま!』(11年・13年に深夜アニメ化))
・ゲームの世界に閉じ込められたオタクのゲーマーが寛大で公正な君主としての「魔王」として振る舞ったり(『オーバーロード』(10年・15年に深夜アニメ化))


 本作もそーいう一連で、3次元ではヒトとしゃべるのが苦手なニートでひきこもりの青年が、ゲームの世界の中(?)に「魔王」として召喚されるも――その顔面も体型もただの人間の青年――、両手に美少女で内心ウハウハしつつ、しかして「魔王」の立場上、キョドったり浮き足だったりを悟られるワケにもいかずに、「魔王」の威厳を込めた低音ボイスでトークし続けるというモノ(笑)。


 「魔王」と最初にトリオになるのは、「魔王」を召喚して魔法で奴隷にしたハズなのに、「魔王」のチート属性で奴隷化魔法がハネ返されて(爆)、自分たちの方がニコニコ笑顔で服従する「奴隷」(汗)になってしまったという美少女キャラふたり。両人とも顔がヨコに広い系で両眼の位置も顔面中央より下部にあるようなオボコいロリ系のキャラデザだ。


 ひとりはメンタルも体型もユルい金髪ロングの爆乳エルフちゃん。もうひとりは黒髪ロングの貧乳ちゃん。西欧中世風の城壁都市内の宿屋で、何事もなく健全な一夜を明かした末に朝、目覚めると左手には隣で眠る爆乳ちゃんのオッパイが、右手には貧乳ちゃんのオッパイがおさまっている。ジャンル作品お約束のいわゆるラッキースケベ描写で、この作品の志の高さが奈辺にあるかが忍ばれる。
 「魔王」の左手が意思に反して、眠りこける爆乳ちゃんの右乳から離れられず、何度も何度も五指だけをやわらかく埋没させる柔らかさ&弾力感を両立させた名作画は、原画マンの才能のムダ使いだともいえるけど(笑)。


 金髪爆乳は今年2018年はよく見る新進のアイドル声優芹澤優(せりざわ・ゆう)で、前期春季は『LOST SONG』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200705/p1)や『魔法少女サイト』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201122/p1)でレギュラー。後者では劇中内ロリ系ブリっ子アイドルの魔法少女を模したか、顔出しでキャラソンの中CMにも出演。片や、少女漫画のアニメ化作品『3D彼女 リアルガール』(18年)ではクールなギャル役で主演もゲット。そして本作でもエンディング主題歌を熱唱してみせる。


 黒髪貧乳も今年2018年春季の『ウマ娘』主演や『刀使ノ巫女(とじのみこ)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200705/p1)サードヒロインなどのさわやかボイスで、急速に頭角を現している和氣あず未(わき・あずみ)――一昨年2016年の『教えて! ギャル子ちゃん』主演の経歴は見なかったことにする・笑)。


 出だしはチョット面白いなと思ったけど、いわゆる出オチ作品だったとでもいうべきか、序盤以降はヌルい感じの展開がつづくようにも思えて……。おそらくそれは作品の罪ではない。視聴ターゲットの年齢でもないのに、イイ歳こいてこのテの作品を鑑賞している中年筆者とのミスマッチゆえであろう(汗)。
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.72(18年8月11日発行))


百錬の覇王と聖約の戦乙女(ヴァルキュリア)』

(2018年夏アニメ)
(2018年8月2日脱稿)


 小国が乱立する荒涼とした紀元前の古代メソポタミアっぽい大地で、日本人少年がスマホ仕入れた歴史知識で、古代ギリシャの重装歩兵の密集隊形&長槍や、青銅器ならぬ鉄器で勝利したりするといったお話。
 今流行りの「魔王」ではなく、単なる軍事的・覇権的に成功した王さまを意味する「覇王」だけど、広い意味ではその文脈や流行に乗ったモノでもあるだろう!?


 筆者としては、近代的軍隊vs古代中世レベルの軍隊を描いた『GATE(ゲート) 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150901/p1)のマイルド版にまず見えた。


 シンプルでオボコい――悪口ではなく云うけれど――四角く終始開いたおクチにコレまた四角いお目めの、笑顔が顔面に貼り付いたような(笑)描線&キャラデザで、ローティーン向け作品といったところか?
 描線どころか登場する美少女キャラたちのしゃべりやメンタリティーも、00年代の泣きゲー(ム)によく出てきたような、10代なのに幼稚園児のメンタルの持ち主にも見えてきてしまう、弱者男子にとっての都合がイイ天真爛漫ハクチ少女といった印象だ――それがダメだというワケではない。念のため――。


 広義ではファンタジーだけど、召喚されたこの世界の星座が地球のそれと同じなので、劇中で主人公は自身がタイムリープしたのだとも推測する。しかし、タイムパラドックスによる歴史修正主義が議題にならずに、軍事的勝利のカタルシスが主眼となるあたりで、SFではなくファンタジー寄りの作品だとはいえるだろう。


 ちょっとは面白いかな? と思って、観続けてはいたのだけど……。序盤で想像した歴史知識の反則ワザ使用での戦術・戦略的勝利! という方向に作品が向かずに、神秘の力・ルーンがどうこうというあたりで、俺的「コレじゃない」感が膨らんでしまって、視聴を継続するか否かで悩んでもいる(笑)。
百錬の覇王と聖約の戦乙女

TVアニメ「百錬の覇王と聖約の戦乙女」第1巻 [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.72(18年8月11日発行))


『魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』

(2020年夏アニメ)
(2020年8月11日脱稿)


 タイトルそのままの内容である。深夜アニメも本数が多すぎるのでタイトルもウロ覚え、視聴しているのにタイトルと内容が結び付かないという意見も多々聞くけど(汗)、その点、この作品は大丈夫である(笑)。


 日本の異世界ファンタジーも爛熟の果てに、「勇者」ならぬ「魔王」を主人公とした作品がここ10年ほどは掃いて捨てるほど登場。が、要は名前だけの「魔王」であり、属性・本性としての「悪魔」ではなく、同じ「人間」であり異民族・外国人程度の意味しかない魔族であったり(笑)、役職としては「魔王」であっても内実は小粒な「善人」だったり、開発独裁・啓蒙専制君主として仕方なくポーズとして威圧的にふるまっている「賢帝」でしかなかったりもする。


 イヤもちろんガチで暴虐のかぎりを尽くす暴君としての「魔王」が主人公だったら我々も感情移入ができないので(笑)、チョイ悪だけれども巨悪を懲らしめて善政を行なうダークヒーローの一種としての名前だけが「魔王」さま……といった塩梅で筆者もイイとは思うけど。


 この作品も「魔王」を養成するというワリには清潔感ある白い制服(笑)に身を包んだ男女たちが集う魔王学院(魔法学校)が舞台である。
 ここに入学した不敵な長身イケメン青年クン。その正体は2000年前にこの異世界を救った、のちの王家の始祖たる「魔王」であり、その記憶を持ったままで転生してきた(爆)。そして、この世界における始祖の名前が転生前の自分ではなく別人の名前に歴史修正されていた! ひいては王家も簒奪されている!? といったあたりでナゾ解き的なヒキも作っていく。


 新入生だけど最初から同級生や教師よりも強い、いわゆる「俺、TUEEE(強ェェェ)」系のテンプレ展開ともいえるけど、それが発揮されるのは意地が悪い下劣な相手に対してだけであり、いかに偽悪ぶろうが要は正義(笑)の発動なので観ていて不快感はナイ。


 加えて転生した先の庶民の父ちゃん母ちゃんは凡人の善人であり、#1冒頭での入学時に魔法学校の校門前で「魔王」もとい青年主人公クンに親バカまるだしの声援を送っているあたりも笑ってしまう。と同時にその場で落とし物をひろって手渡してあげた幸ウスそうな銀髪ショートの美少女キャラを登場させ、彼女に対しても執事らしき初老キャラが声援を送るギャグ描写を挟みつつも、視聴者に主要キャラだと認知させるあたりもウマい。


 加えて下僕学生どもを引き連れた高飛車なツンデレ風の金髪ツインテールの美少女キャラも登場して主人公と魔法対決。彼女は先の銀髪少女とは胎児の時分の分身魔法で分離した双子でもあり、性格も邸宅での位置付けも「陽」と「陰」で、15歳になると銀髪は金髪に吸収されて消失するという中2チックな設定も付与。
 金髪は銀髪を憎んでいるのか愛しているのかドッチなのかで引っ張る愛憎劇や、アットホームなお宅訪問に青年主人公が関わっていくことで第1のクライマックスも作っていく。


 ググってみると小説投稿サイト出自であり、アニメ化されるほどだから相応の質もある……とまでは一概に断言できないけど(笑)、今後の展開も期待できそうに予想。
魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.77(20年8月15日発行))

後日付記


 「魔族」の国内部での抗争、前世で「魔王」と和解した「勇者」も現世に転生、その彼の現世での生い立ちと「いいヒト」過ぎるゆえのアクロバティックな振る舞い、「人間」の国と「魔族」の国との戦争勃発など、この作品も最終回まで息切れせずにテンションが高いままの巧妙なストーリー展開で完走! 大傑作に仕上がった作品だとも私見する。


まおゆう魔王勇者』 ~異世界を近代化する爆乳魔王に、近代自体も相対化してほしい(笑)

(2013年5月29日脱稿)


 インターネット上の超巨大掲示板2ちゃんねるへの投稿小説(09年)出自作品(!)の深夜アニメ化。
 ライトノベル原作の深夜アニメ『狼と香辛料』(08・09年)のように西欧中世ファンタジー異世界を舞台に、政治&経済ネタを織り交ぜてみました。ベタな作品には飽き足らないプチ・インテリオタクのみなさん、コッチへいらっしゃい……といったアニメでもある――1/3くらいはイヤミ(笑)――。


 少年勇者が魔界の魔王を単身討たんとしたら、実は魔王はキモが座ってはいるけど、愛嬌もハニカミも残した平和主義者で紅いロングドレスに赤髪ロングで長身の爆乳美少女お姉さんであった!
 少年勇者と爆乳魔王は互いに互いを所有する契約を結んで、人間と魔族との百年戦争が続く世界に、英知を尽くして平和をもたらさんとする……といった内容。


 女児向けアニメ『美少女戦士セーラームーン』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)シリーズや『プリキュア』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1)シリーズみたく、「愛」だの「平和」だの「仲間」だのと唱えれば万事解決するという、大ウソ作品群(文句じゃないよ・笑)を頭ひとつ抜きん出た作品ではある。


・地の果ての反英アイルランドを飢饉から救ったジャガイモ
・グーテンベルグ活版印刷
・印刷版聖書の普及で教会を介さず個人が神さまを直接信仰
カトリックからプロテスタントイギリス国教会が分離独立
農奴解放
天然痘撲滅


などなど、中世~近代500年のオイしいトコ取りの反則ワザ(笑)を次々とくりだす、人間界の片田舎の農村にお忍びで学士として身をやつした爆乳魔王さま。


 中央の教会国家から南部三国を教会分裂込みで独立させ、魔族との天下三分の計にも持ち込み、通商を契機に平和共存をもたらさんとする。
 戦争を問答無用で絶対悪視するのではなく、戦争で動くカネ・ヒト・物資・援助で雇用も保証され、単純に戦争が即時解消されても経済的には大カタストロフ! といった如何ともしがたさも描いていて、よくぞココまでの世界観を……といった感もある。けれども、と同時に「よくお勉強しましたネ」的な、やや理に勝ちすぎて物語としてはうまく定着していない感も残る。
 物語前半の時点でもう、魔王の意を受けた少年勇者クンが事を万事うまく運んでいくような描写はドーなのか? 彼、愚鈍でもナイけど年齢相応の少年に見えるので、そんなにアタマが良さそうにも見えないけれども……。


 爆乳魔王さまはルックスからして魔族とはとても思えず、両ツノが生えただけの人間のお姉ちゃんにしか見えない――そのツノも飾りであったと判明する(笑)――。
 少年勇者クンのメンタルに至っては、ラブコメ深夜アニメ『中二病でも恋がしたい!』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190904/p1)や同じくラブコメ深夜アニメ『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』(13年)などの、前世で勇者(笑)であった元・中2病の現代日本の少年主人公クンたちとも大差がない。
 そーいう見てくれや異性に奥手なメンタリティを保持していないと、本作が思春期オタ層にも受けるジラしたラブコメの一面を保持できないのも事実なので、ケチを付ける気はナイけれども、この世界の広大な「世界情勢」と「ラブコメ」が分裂気味には見える。


 などと云ったそばから、我ながら矛盾したことに、ミーハーな次元で云うならば、こんなに頭がイイのにそれを鼻にかけずに天然気味で、少々モーションをかけてきて、少年勇者クンの顔をのぞきこむように、


「こんにちはったら、こんにちは」


とか、二の腕がプニプニつまめるのを気にしているのは、


「ソコだけ西欧中世ではなく、90年代以降の日本で女性誌が煽って定着させたメンタルだろう!」


とツッコミしつつも、その袖や下着からハミ出た、つまめるお肉がイイんじゃねェか! 辛抱たまらん! 最強のヒロインだゼ!! と大いに力説……(以下、自粛)。


 凡百の作品ならば、商売人はカネに汚い悪人と描写されるところを、「利を極めるゆえに利だけでは捉えられないモノに早く気付ける可能性がある逆説」――ま、商人全員が常にそれに到達できているとはとても思えないけれども――、早くも遅くもなく適度なスピード&分量でモノ・カネが動きつづけることの大切さの主張などなど、真理へと到達する際の物事の逆説や経済のことをよく判っているナ……とは思う。
 本作終盤での二大通貨制による変動為替レートの導入は、筆者も結局バカなので正否の判断が付かなかったけれども(笑)。


 西欧中世風都市での街中での異端審問で、メイドのお姉ちゃんが「ムラ世間的な同調圧力・空気に屈した妥協」ではなく「近代的な主体的個人として判断」することの尊さ(大意)について人々に演説を一席ぶつのはたしかに感動的ではあった――爆乳魔王さまのお弟子さんになって薫陶を受けてきたからとはいえ、元々は農奴上がりのお姉ちゃんが大衆の面前で臆せずによくぞココまで……とも思うけど(笑)――。


 しかし現代社会を生きる筆者個人は、「近代」や「自由」をそこまで称揚する気にはなれない。「抑圧」よりも「自由」の方がマシに決まってはいるけれども、ヒトはそもそも持て余すほどに過剰な「自由」や膨大な「選択肢」、高度に細分化して専門的な知識も要するようになった「自己選択」や「自己責任」にも耐えることができるのか? 身分制度がなくなってもなお残る、「社会」や「制度」のせいにはもうできない個人の性格・腕力・運動神経・ルックスの格差! そこから来るスクールカースト
 マジメにコツコツ農作業(第1次産業)や工場労働(第2次産業)さえできれば報われた時代も遠くに去って、チャラ男的な調子のよさも含めて対人折衝・コミュニケーション能力が過剰に求められるようになってしまった第3次産業が中心のこのポストモダン(後期近代)社会。
 ココからアブれたのが筆者も含むオタクというコミュニケーション弱者の人種であって、その慰撫としてオタ趣味ジャンルを勃興させているのは否めない。


 「職業選択」「異性交際の自由」。「前近代」にはなかった残酷なイス取りゲームの「自由」で、新たな苦悩にまみれている現代社会を見るにつけ、過剰な「自由」は廃して部分的には「前近代」に戻した方がイイんじゃないかとさえ思う。
 しかし、そんな規制ができる古典的な警察国家にも通ずるような国家権力なんぞは、国内の労働者は解雇しやすくしろ! 国境を越えて工場を展開させろ! 関税撤廃! 自由貿易! 国家による規制を極力緩和しろ! 「小さな政府」こそが正義だ! と主張するグローバルな「新自由主義経済」にここ20年ほど大負けして久しい。
 この状況を緩和させるためには「毒には毒を」で、「新自由主義者」や税金を払わないグローバルな大企業に拮抗させるために、「大きな政府」を便宜的に復活させてコレをグローバル企業にブツけて、関税や法人税をむしりとり、富の再分配にまわすことだとも思う。


 しかし、「大きな政府」や「国家」の必要悪としての復権による再分配が必要だ! などと唱えると、物事を三元論や四分法などでは考えられない安直二元論な単細胞の旧態依然なバカ左翼たちが、右翼だ! ファシストだ! 排外主義者だ! とレッテリングを貼ってくる――そもそも「大きな政府」とは抑圧的な警察国家ではなく、相応の税金を徴収して富の再分配を旨とする福祉国家を意味する一般用語だというところから説明をしないとイケナイ(笑)――。
 仮に近代国民国家を廃絶できたとしても、その後に生じた貧富の格差を、国家ヌキで商売人や大企業が自主的に再分配することはありうるのであろうか? 宗教団体には寄付~再分配の機能がありそうだけれども、仮に再分配してくれるとしても、それで庶民が一介の私企業にすぎない大企業なり、教会・宗教団体なりの云いなりにされてもヤバいであろう。
 であれば、「神聖なる共同体との一体化」(笑)という意味ではなく、プラクティカル・実用主義的な「互助組織」「保険組合」としてのニュートラルな「近代国民国家」は残しておき、それをワンクッションの仲介にしてから富を再分配した方がイイのではなかろうか?
――究極的には国家や国境を解体・廃絶さえすれば万事がOKで庶民は自由で平和になれると浅知恵で考えているとおぼしき旧態左翼ではなく、そのあたりの必要悪である分配主体としての国家の必要性にも目配せしているオルタナ左翼の将来における勃興にも期待をしたいところだ――


 現今の惨状に対する妙策も思いつかないけど、次代の物語のテーマのホットな鉱脈はココらにあるとも思うのだ。
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#はたらく魔王さま #魔王学院の不適合者 #まおゆう #異世界魔王 #百錬の覇王



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魔法使いの嫁・色づく世界の明日から ~魔法使い少女にコミュ力弱者のボッチ風味を加味した良作!

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 2020年10月から深夜アニメ『魔女の旅々(たびたび)』(良作!)が放映開始記念! とカコつけて……。


 「魔女」と「魔法少女」に厳密な線引きは付けられないけれども、やや呪術的/ややポップといったグラデーション・濃淡といったかたちでのなだらかな差異ならばあるハズで、ここでは「魔法少女」よりも「魔女」寄りのキャラクター設定作品! ということで、『魔法使いの嫁』(17年)・『色づく世界の明日(あした)から』(18年)評をアップ!


魔法使いの嫁』・『色づく世界の明日から』 ~魔法使い少女にコミュ力弱者のボッチ風味を加味した良作!

(文・T.SATO)

魔法使いの嫁

(2017年秋アニメ)
(2017年12月26日脱稿)


 人の心が読めてしまい、幼児の時分だからそれを口にしてしまったばかりにクラスで(ひとり)ボッチになってしまった少女を描いた『琴浦さん』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)どころではない。
 行く先々で不気味なゾワゾワとうごめく死霊や悪霊に人外の魔物が霊視できる女児であったせいか、心労で心を病んだ両親や親戚家族が離散や投身自殺(!)までをもしたとおぼしきで(汗)、親戚をたらい回しにされてきた赤髪ショートの女子高生・チセ。
 常に伏目がちでオトナしく、一応主人公補正で美少女ではあるけれど、眼の下には不健康なクマがある(汗)。


 もうドーにでもなれとばかりに、投げやりにも鎖が付いた鉄の首輪と手錠を付けて人身売買オークションに出た彼女は、頭部に両ヅノが生えた山羊(ヤギ)の頭蓋骨になっているナゾの長身の黒いコート&スーツ姿のイギリス紳士に高額で落札される。


 そして連れてこられた緑豊かな森林も近きイギリス紳士の旧邸宅。そこで奴隷として虐待されても、雨露がしのげる居場所さえ確保できれば……程度に思っていた彼女だけれども、紳士は意外にも彼女をていちょうに厚遇し、


「そんな異形(いぎょう)の力を持っていたことをいつの日にか赦(ゆる)せるようにする」(大意)


という言葉とともに、彼女を魔法使いでもある自身の弟子として育成するのであった……という深夜アニメ。


 この作品も#1からの吸引力がモノスゴい。日本にかぎらず古くて歴史のある都市にアリガチな狭くて曲がりくねった路地だらけのロンドンの裏通りを皮切りに、ウス暗い構内に日が差してホコリが浮かぶオークション会場やそこに集う怪しげな人々、対するに牧歌的な田園にたたずむ紳士の旧邸宅、一歩森に入れば陰鬱な濃緑でイタズラ好きな妖精たちが舞い踊る背景美術がもたらす風情といい、単なる設定の説明や段取りには留まらない、味わい豊かな物語叙述といったものにまで序盤を昇華できている。


 テイストとしては、魔物退治や事件解決といったカタルシスではなく、それらは出来事の背景にすぎなくて、主眼は赤髪少女と英国紳士との関係性&心理の変遷にあるような、冷涼かつ湿った香りが漂うダークファンタジーといった印象だ。
 生い立ち以前に元から性格が控え目で文系な彼女が、イイ意味でテンションが低くて落ち着いた空間で、やはり元々は妖精であるも等身大サイズの人間にしか見えない控え目な炊事家事全般を担当する家政婦の美少女ともども、居心地のよい静かな生活を確保していく……。


 近隣の森林やご近所で起こる、イタズラであったりやや悪質であったりする妖精との遭遇や、人間がいないところでは人語をしゃべっている猫たちに、人間には見えない妖精に憑りつかれているゲスト主役たちとの交流などを、ちょっとイイお話風につづっていく本作は実に味わい深いものがある。
 スペクタクルな要素としては、北極近きアイスランドにあるらしい人間には見えない巨大ドラゴンの国へ連れていかれて大空を雄飛したり、物理的な地底というよりも異次元・異界の地底といった感がある人間世界の常識や道徳とはちょっと異なる妖精の国へと赴いて人間大サイズの妖精の女王さまと出会ったり……。


 大人気魔法使い洋画『ハリーポッター』シリーズ(01~11年)などもそうだけど、こーいう作品を観ていると、日本のような多神教アニミズムの世界とは異なり、欧米は一神教絶対神の世界だとの一部の欧米かぶれの学者たちの言説がいかにウソであるかもよくわかる。
 キリスト教の厳密な教義から見れば淫祠邪教(いんしじゃきょう)になるハズの「魔女」だの「魔法」だの、キリスト教普及以前(!)からの民間伝承である「妖精」・「小人(こびと)」の類いが家屋や森林の中に平気で残っており、いわゆる日本神道と仏教が混在している神仏習合アニミズムの世界と変わらない(笑)。


 同名タイトルの映画3部作(OVAの先行公開)が新宿ピカデリー(旧・新宿松竹)で昨2016年夏・2017年冬・同年夏と公開されたことは、劇場で同作の予告編を観たことがある筆者も知っていた――第1部を見逃したので3作ともに未見(当時)――。
 一応の魔法少女モノである深夜アニメ『結城友奈(ゆうき・ゆうな)は勇者である』(14年)の前日談作品である『結城友奈は勇者である-鷲尾須美(わしお・すみ)の章-』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190926/p1)などとも同様、アチラも今流行りのTVアニメの序盤を先行して少数館で劇場先行公開したパターンだったのかと思いきや……。
 このTV本編よりももっと時系列が先の出来事となる番外編の内容であったようだ。本作は2クール作品のようだけど、製作スケジュールがキツくなって3話分くらいを落とすようなことがあれば(笑)、ぜひともその番外編もTVで放映してほしい。


 たまに点描される主人公の大ピンチに山羊アタマの英国紳士が現われてお姫さま抱っこで助けてあげる勇姿が、やはり生々しい男女の恋愛描写には疎外感をいだくであろうある種のオタク的・マニア的な癖(へき)を持つ女性たちにとっての、生グサさや照れクサさを緩和したかたちでのマイルドな恋愛風味のファンタジーといったイジワルな見方もできないではないけれども(汗)、もちろんそれが悪いワケでも鼻につくわけでも決してなく、程良い香辛料にはなっている。


 ググってみると、2010年代の創作系大手同人誌即売会――コミティアだよね?――にて商業出版社にスカウトされた御仁の同人漫画が本作のプロトタイプだとのこと。


 アニメ製作は同じく2010年代に設立されたばかりで、『進撃の巨人』(13年)や『甲鉄城のカバネリ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160502/p1)などの高作画ヒット作品を手掛けるWIT STUDIO。ロボットアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』(14年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191215/p1)でも下請けグロスでまるまるWITが『進撃』の荒木カントクともども手掛けた回(#10)の方が、元請けのサンライズ担当回よりも作画が良くてドーいうこと? と思ったものだけど(笑)。



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後日付記:


 OVA3部作の方も後年、ネット配信サイト・NETFLIXにて鑑賞済。このOVAも悪くはないしもちろん良作だけど、TVアニメ版全話の方が神懸ったツカミの強い大傑作に仕上がっているとも私見。物語の時系列的にもTVアニメ版から鑑賞することをお勧め。


『色づく世界の明日(あした)から』

(2018年秋アニメ)
(2018年12月26日脱稿)


 銀髪ロングの美少女だけど、いかにも気弱かつシャイで薄幸そうで伏し目がちな制服女子高生が主人公。


 冒頭からして、地元の夏の夜の花火大会にひとり出向くも、遭遇した級友たちが気を利かして


「いっしょにどう?」


と声をかけたのに、


「先約がいる」


とウソぶいて断る姿は、身に覚えがアリすぎて胸がイタくなってくる(爆)。


 そんな彼女が「場所」を変えて――厳密には「時間」を変えて。満月の夜に祖母が放った時間跳躍魔法の力で――、60年前(=現代)の実家に下宿して母校に通うことで、「写真美術部」に集う仲間たちとオズオズと交流を深めていく。
 そして、そこに海外留学中であった女子高生時代の快活元気少女な祖母も帰国してきて……といった内容。


 そんな彼女は魔法使いの家系なので――自身は魔法が極度に苦手なれども――、本作は魔法少女モノともSFモノともいえるけど、それは表層部分の意匠・パッケージにすぎない。基本は『琴浦さん』『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(いずれも13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)や『君に届け』(09年)などの、(ひとり)ぼっちアニメの系譜に寄っているとも私見する。


 みんなといっしょにいてもコミュ力弱者なので、会話に割り込めず返答も滑らかにいかず、間が持たずに苦痛・拷問の時間となることがミエミエと本能的・直感的に看て取って、そこから退却すること自体は必ずしも間違いではない。一般ピープルにとってはともかく、ある水準以下の弱者にとっての「最悪」ではなく「次悪」を選ぶ賢明な処世術ですらある。テンションの高低や気が合わない御仁と、短時間だけリハビリを試みるのならばともかく、長時間いっしょにいるのは疲弊するだけなので、互いに避けるのが賢明でさえある。


 自身の芽が出ない土壌・畑でがんばるのは徒労だから、学校や職場の外で自身と同様の弱者(汗)が集う負荷がカルい場所を見つけて、そこでリハビリなりムリのない鍛錬を積んでマイナス100をマイナス50にすることで手を打ったり、あるいはひとりでヤリすごして耐え忍ぶことも決して悪いことではないと思う。
 むしろ、ひとりでも堪えて生きていけ! 「みんなと仲良くすべきだ!」なんてのはウソであって、過度な分断・闘争・殺し合い(笑)にならない範疇での「棲み分け」、距離を置くというのもオトナの知恵ですらある! と理論武装の方法も与えて応援したいくらいでもある。筆者個人もまたそーいう御仁たちの味方のつもりでいる(心の中だけで・笑)――コレを遠回しの自己憐憫・自己正当化ともいう(汗)――。


 ただまぁ、やはりそーいう生き方には一抹の淋しさが漂うのも事実ではある。コミュ力弱者に「心ある友人」が少数できて救いを得る。ウソ八百とはいわないまでもマレにしか実現しそうにない僥倖の物語で一時的な慰めを得ることを、全肯定はしないけれども全否定もできない。
――それを肯定し過ぎたらし過ぎたで、コミュ力弱者は必ずリハビリ・社会復帰をするべきだ! という「かくあるべし」的なプレッシャーになってしまって、また別の問題が生じてくるであろう。バリバリの社会復帰の方にも振れない、バリバリの孤独の方にも振れない、この永遠につづくであろう人生のバランス取りが肝要である――



 60年前にタイムスリップしつつも、そこは60年前の実家ではなく、本作の副主人公となる同学年の男子高校生クンの留守宅だと設定して、そこで美術をたしなむ彼が描いた絵画を目撃して、実は色盲心因性)の彼女がビビッと来ることで、ふたりの慎ましやかな接点も確保していく。


 ハーレムものや逆ハーレムものといったオタクジャンルのお約束的な歪(いびつ)さは皆無な、男女比がほぼ同数の文化系部活が主要な舞台ともなっている――文化系部活に集うような連中にしてはやや世慣れしている感じなのがまた別種のお約束ではあるけれど、そーでもしないと動的な物語や会話劇が成立しないのであって、そこまで寒々とした現実世界のリアルな写し絵である必要もまたナイのであろう(笑)――。
 部活の勧誘合戦、部活の懇親会、郊外に出張しての撮影会、将来の祖母となる元気少女による校内・恋占い出張所、夏休みの合宿、文化祭の準備。その過程で描かれる部活メンバー間での片思いの告白とその不首尾……。


 物語の主導権は周囲の部活のメンバーや祖母(笑)が握っており、受動的でおとなしい主人公少女は巻き込まれて辛うじて付いていこうとするあたりで経験値・人間値を少々上げていくといった程度だけれども、それがこの作品の弱点ではなく優しさやリアリティーといったモノにはなっていて、作品にイヤミやウソも少ないと思えてくるので、強烈なツカミもないけれども、まぁまぁの好感を与えている。


 悪く云えば地味な展開なのだけど、北陸のアニメ製作会社・P.A.Worksの美麗な作画&背景美術の適度なキラキラ感が、作品の清涼さや青春感もアップさせている。


 ただ、シニカル(冷笑的)に作品のハシゴ外しをしていけば、やはり主人公少女の美人設定というモノは、写真美術部の新入部員・勧誘会に被写体モデルとして彼女が強引に登場させられてもOKとなることや、部員の少年クンとイイ仲になっても不思議ではないのかも!? と視聴者に思わせる上げ底の舞台装置だとは思える。
 理性的・合理的に考えてみてほしい。同じ程度のコミュ力弱者の少女がふたりいたとして、ルックスに恵まれた方は野郎から声をかけてもらえることでコミュニケーションもはじまり、経験値や自信も自動的に積んでいくことができる。しかし、それらに恵まれていない方は、ひとりでコジらせていくばかりだろう(汗)。
――ただしジャンルの方もまた爛熟している。この作品が言及しない、異性に救いの手を差し伸べてもらえることがない、コジらせ少女や適度に達観・諦念した少女たちを描いたのが、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』や『ちおちゃんの通学路』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200301/p1)といった作品群である(笑)――


 個人の努力を超えた部分での理不尽な不平等! その伝で、弱者や劣等者がほとんどそのままの努力や修練なしで慈愛のある異性に認めてもらえる『電車男』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070617/p1)や少女漫画『君に届け』などは、そのように成就するケースもゼロではないけどマレではあろうから、努力ヌキでの勝利みたいな自堕落な夢を見させる点では問題があるともいえるだろう。


 ただまぁ、そのへんにツッコミを入れている(ひとり)ぼっち作品も今ではそれなりにあるし、ご都合主義ハッピーエンド作品で一時の慰謝を得て、索漠としたキビい現実世界での今日一日を耐え忍んでいける薬効もあるのだろうから、繰り返しになるけどそこに言及していない作品群も全否定されるべきモノでもないであろう。よって、本作のような優しい作風も条件付きで大いに肯定はしたいのだ。


 たまに浅薄(せんぱく)な人間観の持ち主で、人間の性格は生まれたときはまっさらな同一の平等であり、後天的な親の教育で人間の性格が変わるのだから、オレがこーなったのは両親が悪い!(笑) と叫んでいるのを見るけれども、イヤイヤイヤ。親の教育や遺伝とも無関係に、活発だったり控えめだったりの性格は、出生時や母胎内でも発現していることが科学的にも判明している。
 よって、祖父母や両親の愛情には充分に恵まれていても、本作主人公のように精神なり肉体なりコミュ力の方が弱く生まれついてしまった人間たちはいくらでもいるだろう――そして悲しいことに、他人に対する共感性に乏しい御仁から、往々にして標的とされて傷つけられている(汗)――。余力&義侠心がある御仁たちは、弱者たちの盾になってほしいとつくづく願う。


 主演声優は石原夏織(いしはら・かおり)で、涼しげでも抑えたキラキラさが残る、いつものボイスが少々の弱さと華を同時に体現している感じで、本作の主人公にはピッタリだとも思う。
――ところで、キングレコード小倉唯おぐら・ゆい)ちゃんとここ数年ユニットを組んでいたのに、ポニーキャニオンに移籍したのは一種のリストラでしょうか?・失礼)――
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(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.73(18年12月29日発行))

後日付記:


 石原夏織ちゃんについてやや偽悪的・揶揄的に言及してしまって内心では後悔していたけど(汗)、音楽方面ではポニーキャニオンに移籍してからの方が活躍している感もある。2020年秋アニメ『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』の主題歌『Against.(アゲインスト)』などはノリも良くて超絶カッコいい名曲だとも思います!(笑)


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『N・H・Kにようこそ!』 ~引きこもり青年を病的美少女が構ってくれるファンタジー(笑)

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#まほよめ #魔法使いの嫁 #色づく世界の明日から



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『せいぜいがんばれ! 魔法少女くるみ』・『魔法少女 俺』・『魔法少女特殊戦あすか』・『魔法少女サイト』・『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』……『まちカドまぞく』 ~爛熟・多様化・変化球、看板だけ「魔法少女」でも良作の数々!


『せいぜいがんばれ! 魔法少女くるみ』

(文・久保達也)
(2017年・プリマエンジェル製作委員会)
(2019年4月17日脱稿)


 かの女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1)のみならず、往年の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120220/p1)をもモチーフにしたかのような(笑)、


「美少女魔法少女恐竜天使戦士プリマエンジェル」


なる長ったらしい名前を自称する変身ヒロインたちが登場して、ゴミまき男・ティッシュ食べ男・怪力オカマといったユルキャラみたいな怪人たちと戦う作品だ。


 だが、実は主役はそのプリマエンジェルではなく、プリマエンジェルの行動をひたすら傍観(ぼうかん)してツッコミを入れまくる男子中学生3人組である。まるで悪役の名前を当初はメインタイトルにしながらも、実質的な主役は変身ヒーロー・スペクトルマンだった『宇宙猿人ゴリ』(71年 ピープロ・フジテレビ)みたいな作品だ(爆)。


 元々は2017年10月からAbema TV(アベマティーヴィー)にて隔週で配信されていた数分間のWebアニメであるものの、よほど好評だったのか2019年1月7日・1月14日・4月1日にBS11(ビーエスイレブン)にて15分枠で傑作選が放映された。


 そんな経緯を知らずに観ると、本来は主役であるハズの男子3人組が常にプリマエンジェルや怪人たちの背景に小さく置かれ、口をパクパクさせるだけでほとんど動きがない(笑)ことには驚かされるだろう。
 いや、そもそも本作自体、テレビアニメほどの予算や労力がかけられているほどでもないだろうから、やはり全体的に動きに欠け、まるで紙芝居でも観ているような感覚に陥(おちい)ったものだ(爆)。


 ただ、


「プリマオレンジのエセ関西弁には本当の関西人が怒る」


とか、


「プリマエンジェルのブサイクなマスコットキャラ“天使デビルン”の声が汚い」


とか、


「“天使”なのか“悪魔”なのかハッキリしろ」


とか(笑)、


「変身アイテムのスマホの充電が乾電池式かよ」


とか(爆)、


「変身場面でオールヌードに靴下だけになるのが妙にエロい」(大爆)


といった、トホホな展開にツッコミを入れまくる男子3人組こそ、普段テレビを観ながら心の中でブツクサとボヤいている我々の姿を投影したものである。


 ネットで配信されるライブ番組にリアルタイムで続々とコメントが寄せられるご時世からすれば、これほど視聴者の共感を得られるかたちのものはほかにないのではなかろうか!?


 2011年の地上波テレビ放送の完全デジタル化により、当初は送り手側と受け手側の双方向性が実現したかのように云われたものだが、あいかわらず送り手からの一方通行がつづいたことこそ、若者のテレビ離れを招いた一因であるように思える筆者からすれば、プリマエンジェルに対してではなく、むしろそちらの方に「せいぜいがんばれ」と云いたくなるのである(笑)。
せいぜいがんばれ!魔法少女くるみ(dアニメストア)

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.82(2019年6月16日発行))


魔法少女 俺』

(2018年春アニメ)
(月曜25時40分 TOKYO-MX他)

魔法少女 俺』 ~合評1

(文・T.SATO)
(2018年4月27日脱稿)


 「魔法少女」というジャンルも爛熟・飽和してますなぁ。ジャンルもお約束・歌舞伎的様式美にまで達してしまったならば、あとはそれを崩すしかないという。


 高校生男子が魔法少女(ちょっと違う・汗)に変身していた深夜アニメ『俺、ツインテールになります。』(14年)の反転か、売れないアイドル2人組の女のコが魔法少女に変身するや、魔法少女の衣装だけど中のヒトは奇形的にキン肉ムキムキな野郎の青年になってしまうという!


 たしかに笑えるけど、誰得(だれトク)の企画なんでしょう? 顔面はともかくムクつけきマッチョな肉体の変身後の姿を応援したい、円盤も買い支えたいと思うオタはいるのでしょうか?(笑)
 しかも、先のアイドル娘のみならず、男性アイドルグループも#1から登場して、絵柄もマイルドでシンプルな描線だけど、ドチラかと云わなくてもオタク女性向けの絵柄だよネ? ターゲットはそっちなの? それとも全方位ねらいなの? ちっとも判らないよ! 怪作の誕生です。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.71(18年5月4日発行))


魔法少女 俺』 ~合評2

(文・久保達也)
(2018年6月16日脱稿)


・『魔法使いサリー』(66年)にはじまる、60年代後半から70年代にかけての東映動画(現・東映アニメーション)製作の魔女っ子路
・葦(あし)プロ製作の『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(82年)を継承して、スタジオぴえろが製作した80年代の魔法少女シリーズ


と、かつて世の少女たちに夢を与えてきた魔法少女アニメが、どうしてこんなものに……(笑)


 第1話はオレンジ色のショートボブヘアの低身長で、かなりキャピキャピとした主人公少女・さきが見た夢が冒頭で描かれる以外、Aパートだけを観ると魔法少女アニメではなく、近年人気のアイドルアニメであるかのような印象だ。


 寝坊して


「行ってきまーす!」


と元気に自宅を飛びだし、朝食のパンケーキを食いながら猛ダッシュする、赤いベストの制服姿のさきが向かったのが、高校ではなくライブ会場なのが一応の意外性を醸(かも)しだしているのだが、Bパートの展開に比べれば、そんなことは驚くほどのものではない(笑)。


 さきは青いベストの制服を着たグレー髪ショートカットの女子とアイドルユニットを組んでいるが、会場は客が誰もおらず、相方の兄が常にライブを満席にして大歓声を浴びているのをうらやましがっている。そもそもさきがアイドルになったのは彼に対するあこがれが動機だった。


 これもアイドルアニメ『ラブライブ!』(13年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1)のパクリかよ(笑)と思えるような世界観・キャラの出自や背景・人物相関図を、Aパートだけで描ききっているのは特筆に値する、と思いきや、それはCMが明けた途端に一変してしまう(笑)。


 Bパートに入るや、さきの自宅の玄関を蹴りつづける、サングラスに白スーツの「ヤ」のつく自由業(爆)の姿が。恐怖するさきの首ねっこを容赦(ようしゃ)なくつかんで自宅の中にひきずりこんだ893は、関西弁でさきの母・さよりに面会を要求する。
 まだ若そうで美しいが常にやつれた表情をした、ピンク髪のポニーテールでスレンダーなさよりは、中学生のころに893に魔法少女としてスカウトされ(笑)、つい最近まで現役で活躍していたとさきに告白。893は引退したさよりの代わりを探していたのだ……


 いや、先述した冒頭のさきの夢や、さきを玄関で見送るさおりが「さきのころに私は……」とつぶやく描写、さきがライブで歌うのが往年のテレビアニメ『キューティーハニー』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041103/p1)の主題歌をモチーフにした「はちみつフラッシュ変わるわね」(笑)などからすれば、さよりの告白は決して唐突なものではなく、充分すぎるくらいに伏線が張られていたと云えよう(笑)。


 それにしても、夢の中で妖魔なる巨大怪獣と戦うさきはピンク髪のロングヘアなのだが、変身したら髪の色や髪型が変わるパターンは、まさに『魔法つかいプリキュア!』(16年)ではあるまいか?(笑)
 先端がハート型をした魔法のステッキも既視感バリバリだが、さきがそれを使って妖魔を倒す場面で流れる音楽は、『美少女戦士セーラームーン』シリーズ(92年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)の変身BGMの露骨なパクリである(笑)。


 そして、さきの勝利をお姫さまだっこで祝福する、マントをひるがえしたイケメン青年は、どうせタキシード仮面のつもりなんだろう(爆)。
 そもそもさよりの声を演じるのは、その『セーラームーン』で最も人気があった水野亜美セーラーマーキュリーの声を演じた久川綾(ひさかわ・あや)なのだ!


 そうか、これは往年の人気アニメのパロディを散りばめることで、筆者みたいな中年マニアを狙った作品なのか? と思いきや、クライマックスでまたまた雲行きがあやしくなる(笑)。


 結局魔法少女になる契約書を893と交わしたさきだが、そこに早速妖魔が出現!
 当初は可愛い妖精のような姿をしていた妖魔たちは、往年の大人気テレビアニメ『キン肉マン』(83年)の主人公というよりは、1978年に森永製菓のCMで流れた「エンゼル体操」で話題となった、古代ローマの戦士をイメージしたタレント・ムキムキマンのような筋肉質の怪人に姿を変え、こともあろうにさきがあこがれるイケメンアイドルを異世界にひきずりこもうとする!


 893の指示どおり、好きな奴=まひろさんの名前を大声で叫んださきは魔法少女に変身! 巻きあがる砂塵(さじん)の中で登場したのは、胸に赤いリボンが付いたピンクのフリフリミニスカドレスから、白いパンツをチラリと見せる、筋肉質の巨大な野郎の姿だった!!


 いや、こういうのは個人的には最も観たくないのだが(爆)。


 エンディングのラストカットでは、さきの相方の少女までもがムキムキマンと化していることから、個人的には第2話以降を観るのをためらっている(笑)。


 ちなみに第2話の予告編では、「魔法少女大地に立つ! 俺は生き延びることができるか?」と、これまた露骨に『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)の次回予告ナレーションをパクっているのだが(笑)。


 オープニングやエンディングのイケメン大集合や、先述したイケメンアイドルのライブ場面にかなりの尺を使っていることからして、やはりこれは腐女子向けの企画ではあるのだろう。
 ただ、故・赤塚不二夫の傑作をリメイク(?)した深夜アニメ『おそ松さん』第1期(16年)の第1話が、登場キャラをイケメンに改変し、往年の名作アニメや近年の人気アニメのパロディを全編に散りばめたバカ演出で、腐女子のみならず世間の圧倒的な注目を集めたことを思えば、たとえ個人的には本作『魔法少女 俺』がこれまでの人生で観たアニメの中で史上最大のバカ(爆)だと思えても、こうした作風は正解であるような気もするのだ。


 ギャグのセンスは冴えまくりで、さきや相方の少女のキャラクターデザインもかわいいし、さよりを久川サンが演じているのも魅力だ。決してイケメン目当ての腐女子のみではなく、さまざまな層が楽しめる全方位型の作品として、案外器用に仕上げられているのかもしれない。


 まぁ、結局どの層も取りこめずにハデに爆死する可能性もあるのだが……本当に『魔法少女 俺』は生き延びることができるのか?(爆)
魔法少女 俺

魔法少女 俺

魔法少女 俺

  • メディア: Prime Video
魔法少女 俺 1 [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.81(2018年12月29日発行))


魔法少女特殊戦あすか』

(2019年冬アニメ)
(文・T.SATO)
(2019年4月27日脱稿)


 昨2018年のアニメ製作会社ライデンフィルム製作の『キリングバイツ』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190908/p1)や『LOST SONG』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200705/p1)同様、今どきのアニメとしては作画的にはイマイチなのだけど、その点を除けば、個人的には面白い。


 ファンシーな魔法少女たちが異界の魔物たちから世界を守ったあとの世界が描かれる。異形の魔物はほぼ滅ぼして平和になったのも束の間、国際社会は今度は人間・国家・民族同士で争いテロなども頻発する元の木阿弥状態へと戻ってしまったとする背景設定がまずは秀逸。そして、その存在が公然のモノとなった魔法少女たちは、出身国の軍隊や諜報機関などに組み込まれて、善悪も定かではない任務に従事することとなっていく……(汗)。


 我が日本ではそこまで人権無視ではナイので、ヒラヒラフリフリの魔法少女というより、クールで不敵な戦闘美少女といった塩梅の主役女子高生・あすかは、陸上自衛隊の特殊部隊加入を勧誘されているものの肯(がえ)んじない。しかし、クラスメートのメガネ少女に危機が迫り、看護婦姿のお注射(笑)で悪と健気に戦い続ける旧友の魔法少女の姿なども目撃する段取りを経て、いたしかたなくメイド喫茶もどきのアジトを構える陸自の遊撃隊へと加入する。


 とはいっても、主要魔法少女たちが滅殺する相手がナマ身の人間だとイヤ~ンな感じになるので、それは脇役の海外の魔法少女たちに割り振って、あすかたちは結局は魔物と戦っているあたりは作劇のマジック――ご都合主義とも云う――。女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年~)同様、敵は怪人というよりも異形の巨大怪獣なので、殴ったり蹴ったりしても相手が痛そうだとかの忖度(そんたく)は発生しないから、安心してアクションのカタルシスにひたれる(笑)。


 厚意から誘ってくれる非・魔法少女である級友たちとの学校生活や休日のレジャーも描くことで、学園モノとしての要素も発生。甘ったるい声でしゃべる先の看護婦姿の魔法少女は主役魔法少女にゾッコンで学園に転入までしてきて、嫉妬から級友たちを良く思わない描写までもが登場。
 コイツはアブナい娘であり、世界平和はそっちのけで「公」よりも「私」なドロドロ愛憎劇や暗殺劇に級友見捨てる展開(爆)も勃発か!? と思いきや、そこまでイビツなことにはならずにプチ嫉妬程度で留まって、この看護婦魔法少女も級友たちを守って奮戦したり救出や延命に邁進する常識人なあたりで、筆者の萌え感情も毀損(きそん)せずに済んでいる(笑)。


 魔界と通じる邪悪で狡猾な人間の悪党どもが敵役となることで、せっかく友人となれた級友――父親が陸自とは対立関係にある警視庁の刑事でもある――が標的とされてエログロな目に遭うあたりで、罪悪感&責任感のヘビーな懊悩ドラマを構築していくあたりも、既視感あふれるベタといえばベタなモノだけど、鉄板・普遍・王道ともいえるので、筆者個人も感情移入して楽しんでいる。


 絵柄的には1987年にワンレンボディコン・メチャスリムが勃興する以前の、少々懐かしい80年代ロリチックなキャラデザで(?)、頭身がやや低めでもムチムチパンパンな巨乳や巨尻や太モモとなっており、筆者個人は大好物なのだけど(汗)、現今の主流ではない絵柄も流通するのがこのジャンルの豊穣さともいえるのでイイんじゃないですか!?(笑)
魔法少女特殊戦あすか クリアファイル B
魔法少女特殊戦あすか 1巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)
魔法少女特殊戦あすか 2巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)
魔法少女特殊戦あすか 1 [Blu-ray]

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.74(19年5月4日発行))


魔法少女サイト

(2018年春アニメ)
(月曜25時40分 TOKYO-MX他)

魔法少女サイト』 ~合評1

(文・T.SATO)
(2018年4月27日脱稿)


 ウワァ~、頭身の低いキャラデザだけれども、両眼のまなじりから凝固したような赤黒い血を、細長い一筋の涙のように垂らして戦っている魔法少女だよ~。
 もうひとりの魔法少女も、おクチの片隅から終始同じように赤黒い血を垂らして戦っているよ~。


 魔法少女に変身する前の日常描写もヒドいよ~。勉強のできる兄貴と常に比較されて両親には罵倒され、親の前ではイイ子にふるまう兄貴は隠れて妹をサンドバックのごときに拳で連日殴りつづけ、学校ではタチの悪い性悪な不良少女たちのカモにされ、机には「死ね!」だのナンだのの落書きだらけで、イスにはマヨネーズが塗られ、コミュニケーション弱者でもある主人公女子は教師に席に座れと云われると、ためらいつつもそのまま座ってしまい(爆)。


 トイレでも床に踏みつけにされ、洋式便器に顔面を突っ込まれ……。あげく、可愛がっていた橋の下の捨て猫の存在がバレてしまい、ひそかに持ち出されて踏切で……。


 まぁ大なり小なり、こーいう目にあっているコはたくさんいるのでしょうナ。そして、親の品性や教育とも無関係に、人類には一定の比率で生まれつき品性下劣・公共心皆無で、他人に対する共感性に乏しくサディスティックにふるまえて悦に入れてしまう人間がいるモノです――同じ親から生まれた兄弟姉妹でも、そのモラルに大差がある場合などがその証左!――。


 別に安倍ちゃんやトランプや天皇制が悪いワケではありません(笑)。政治上の悪なんてのはしょせんは立場の相違に過ぎない「相対悪」であって、真に憎むべきで害毒もまき散らしイジメられっ子の人生を台無しにして、パワハラ鬱病に追い込んだり学校中退や路頭に迷わせたりする「絶対悪」とは、個人に帰属する「人格悪」!(怒) 当然、安倍ちゃんが退陣したり天皇制がなくなれば、イジメもパワハラもなくなるだなんてナンセンス。イジメやパワハラをする連中は半径数メートルで優越感に浸れれば満足な輩だから、政治や世界情勢や公共性やそもそも今の日本やアメリカの首長が誰か? だなんてことにはハナから関心がナイ。左翼リベラルな連中はこーいうヤツらこそ、制度設計・社会設計の次元での処罰なり隔離なり善導するなりでドーにかする方策を出してくれ(汗)。


 筆者のように劣等感やルサンチマンにまみれた人間は、劇中で冷徹な金髪ショートのサブヒロインが性悪な人間どもに鉄槌をくだすシーンに喝采を送っております(爆)――なぞとベタな感情発露を記述してしまうあたり、評論オタにはあるまじきで、筆者はすっかり作り手たちの手のひらの上で踊らされていてカッコ悪いことこの上ナイですが――。
 しかし、この鉄槌に対する批判的な視点もなければイケナイわけであり――筆者個人の私的感情としては不要だけれども(笑)――、そこの役割はあまりにも優しすぎてイイ娘にすぎる、先にも記した家にも学校にも居場所がない主人公少女が担っている。


 魔法を使うことで生命・寿命も削り、いずれは死んでしまうという類いの設定は、『魔法少女まどか☆マギカ』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120527/p1)以来のマニア向けかつ鬱系の魔法少女モノのお約束・定番と化した感がある。能力全開により等価交換的に記憶を喪失したり、両脚が不自由となることで車イスになったり、声を失ったり両目が見えなくなったりする『結城友奈は勇者である』(14年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190926/p1)や『魔法少女育成計画』(12年・16年に深夜アニメ化)などのヒドい作品はすでに輩出さえしている。
 それはそれでヘビーな設定で充分イヤ~ンでも、やはり現実・日常生活でも起こりうるヤンキーDQN(ドキュン)の不良少年少女どもがくりだすイジメや、肉体に痛みをもたらす直接的・物理的な暴力の方が怖いよ~。


 情けは人のためならず。なんでイジメ相手の口の中にカッターナイフを突っ込んでくる不良少女ごときを殺さずに生かしてしまったのか?(爆) 案の定、『宇宙戦艦ヤマト2202(ニーニーゼロニー)』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181208/p1)における宿敵・白色彗星帝国のガトランティス人みたいに近代的人権観念どころか武士道・騎士道さえ通じない相手なのだから、その恩情に対して恩に着るどころか屈辱&逆恨みに燃えてるじゃん! 妹の変化に気付きつつある兄貴ともども、邪悪な強敵になりそうでますます怖いよ~。


 今どき制服スカートの丈を短く改造せず、その黒髪ロングもリンスでツヤツヤではなく少々ゴワついていそうで(?)、マンガ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(11年・13年に深夜アニメ化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20190606/p1)やスマホ漫画『ネト充のススメ』(13年・17年に深夜アニメ化)の女性主人公たちみたいに眼の下にクマもある(汗)幸ウスそうなメインヒロインと、少々ヤサグレた感もある金髪ショートのサブヒロインは、筆者は個人的には大好物だけど(笑)。


 意図的に排除したのだろうけど、『まど☆マギ』『結城友奈』にはあった魔法少女たちのキャラクターデザインのビジュアル的な華・キラキラ感の欠如というその一点だけでもって、集客・商売的にはウラ目に出てしまい円盤売上も苦戦するのではなかろうか? 個人的には2018年春アニメのマイベストであり推していきたいのだけれども……。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.71(18年5月4日発行))


魔法少女サイト』 ~合評2

(文・久保達也)
(2018年6月16日脱稿)


 黒髪ロングヘアで目鼻立ちの整った美少女だが、常にうつ向き加減で小声でボソッと話す女子高生主人公・朝霧彩(あさぎり・あや)は、毎日死ぬことばかり考えている。


 第1話では彩の生き地獄が執拗(しつよう)なまでに描かれる。靴箱には画びょうが入れられ、教室のイスにはマヨネーズがまかれるものの、担任教師に「早く座れ」と云われて座らざるを得なくなり、あげくに洋式便器に顔を沈められ……と、彩がヤンキー女3人組にいじめられる描写が延々とつづく。


 学校ばかりではない。成績優秀な兄と比較されて父には疎(うと)まれ、父に過度な期待をかけられるストレスのはけ口として、彩は両親の前では「いいコ」を装う兄から、自宅でも連夜暴行を受けるのだ。


 「もう、死んでしまおうかな……」と、彩がつぶやいたそのとき、パソコンの画面に顔面蒼白(そうはく)の不気味な女子高生が現れ、


「不幸だね。そんな君に、魔法のステッキを!」


と彩に呼びかける。


 闇サイトの声を演じたのは、長寿幼児向けアニメ『それいけ! アンパンマン』(88年~)の敵役・バイキンマンや大人気テレビアニメ『ドラゴンボールZ(ゼット)』(89~96年)に長年にわたって登場した宇宙の帝王・フリーザの声で有名な中尾隆聖(なかお・りゅうせい)だが、いくら幼児向けアニメとはいえバイキンマンの悪事なんぞヤンキーどもに比べればカワイイものだし、フリーザの破壊描写も現実世界からはかけ離れた絵空事異世界でのそれである。


 居場所がないことから彩が自身と同一視してかわいがっていた橋の下の捨て猫を、ヤンキー女のひとりは踏切に放りこみ(!)、以前彩が猫に贈った鈴付きの首輪の残骸(ざんがい)を見せつけ、彩から「最後の希望」を奪ってしまう!!


 さらにヤンキー女どもは先輩の野郎を呼び出し、彩をレイプさせようとけしかける!!


「この地獄を終わらせて!」


 闇サイトに呼びかけられた翌朝、靴箱に入れられていたオモチャのようなハート型の白い銃を、彩がその場で発砲するや、猫殺しの女と彩をレイプしようとした野郎は一瞬で消滅、その直後、例の踏切で轢死体(れきしたい)となって発見される!


 この不良少女と不良少年が逆に死んでしまう一連のシーンには重たいカタルシスを正直おぼえてしまう。なぜなら、ヤツらは人間ではなく鬼畜(きちく)だからである(汗)。


 念のためにクギを刺しておくが、筆者はいじめの被害者たちに復讐(ふくしゅう)殺人を奨励(しょうれい)しているワケではない。
 私事で恐縮だが、もう30年以上も前の大むかし、彩ほどではなかったが、筆者も似たような日々を過ごしていた。非力だったから「殺してやる!」と思うこともなく、どうせこんな奴らはロクな死に方はしないだろうと、根拠もなく信じるしかなかったものだ。


 そうしたらリーダー格のヤツが同級生の女子を他校のヤンキーらとともに集団レイプ(大汗)して妊娠させたために退学となったのだ! 小躍りして喜んだのは当然だが、「やはりオレが信じたことは正しかったのだ、ほかの奴らもいずれそうなる、ヒヒヒ……」(笑)と思うことで、そんな鬼畜どもと同じ空気を吸わねばならない居心地の悪さにも、なんとか耐えられるようになったものである。


 だが、それが期待できないのならば、根本的な解決にはならないだろうが、殺されてもしかたがない鬼畜どもに主人公が鉄槌(てっつい)をくだす物語によって、心の安定をはかることは必要不可欠かとも思えるのだ。
 いじめられっ子・浦見魔太郎(うらみ・またろう)が「うらみ念法」を駆使して、いじめた奴らに残虐(ざんぎゃく)な手段で復讐を果たす、藤子不二雄A原作の漫画『魔太郎がくる!!』が秋田書店週刊少年チャンピオン』に連載されていたのは1972年から75年のことだった。
 筆者は小学校低学年当時、つまりその時点で同作を読むしかない状況にあったのだが(汗)、時代が変わっても生き地獄に苦しむ人々が存在しつづける以上は、こうした路線の作品は常に供給されるのだろう。ちなみに『魔法少女サイト』も『魔太郎がくる!!』と同じく『少年チャンピオン』に2018年現在連載中である。


 だが、彩は殺されても当然と思えるヤツらを死なせる結果となったことに対して、「ザマァ見ろ!」ではなく「わたしが殺した!!」などと罪悪感にさいなまれてしまうのであった……
 これにはいじめの被害者に対する「それでも一線を超えてはならない」とする製作側の主張がこめられているような感もある。血の色に染まった不気味な月が、彩の背景の夜空に浮かぶカットは、その最大の象徴であるかと思えるのだ。


「だってDQN(ドキュン)だろ? 死んでよかったんじゃねぇの?」


と、事件について語る劇中の生徒たちの意見に筆者は全面的に賛成だが、そんな危険な思想(汗)に対する批判的な視点もまた当然あって然(しか)るべきなのだ。


 そんな批判的な視点を自らが演じてしまうほどに、彩は自身を客観視して相対化ができるような頭のいい聡明なコであるという事実が強調される効果もあげている。しかしだからこそ、そんないいコをいじめるヤツらは死んで当然なのだ! と、むしろつくり手たちの意図とは逆に、復讐殺人の賛成派をよけいに増やしてしまっているような気がしないでもないのだが(笑)。


 彩とは正反対に、猫殺しの女と親友だったヤンキー娘は彼女の仇(かたき)として、彩の口にカッターの刃をつっこむが――彩の心臓の鼓動とセミの鳴き声を大音量で交錯させる音響効果が、彩最大の危機を絶妙に演出する!――、ここまでヤンキーどもを鬼畜として描くからこそ、


「こんな生ゴミ、サッサと殺せばいいのに……」


と語る、時間停止能力を持つ金髪ショートヘアのクールな魔法少女の主張にも、俄然(がぜん)説得力が増すというものである。


 鬼畜殺しに罪悪感を持つ魔法少女と、それを当然とする魔法少女に関係性が生まれたことで、果たしてふたりがどのように心の変遷(へんせん)を遂(と)げていくのか、要注目である。


 なお、金髪ショート娘の名字(みょうじ)は奴村(やつむら)。これは故・横溝正史(よこみぞ・せいし)の推理小説八つ墓村(やつはかむら)』(1949(昭和24)年)が元ネタなのか? だとするなら、この小説のモチーフとなった戦前の昭和13(1938)年に発生した、失恋や村八分に遭遇してしまった非モテ・弱者青年(汗)による自身が住まう集落の人々に復讐を果たさんと大量殺人におよんだ津山事件(津山三十人殺し)のように32人も殺すのか!?


 う~ん、世間一般の「魔法少女もの」のイメージとはまるでニュアンスが異なる作品になっているような(笑)。
魔法少女サイト 第6巻 <初回限定版> [Blu-ray]

MAHOU SYOUJYO SITE MUSIC ARCHIVE

MAHOU SYOUJYO SITE MUSIC ARCHIVE

  • アーティスト:V.A.
  • 発売日: 2018/08/31
  • メディア: CD
魔法少女サイト 第1巻<初回限定版>(イベント優先販売申込み券[昼の部]) [DVD]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.81(2018年12月29日発行))


『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』

(2013年10月26日(土)公開)
(文・T.SATO)
(2013年12月脱稿)


 白くて可愛らしい小動物ライクな存在・キュゥべえと契約を結んで変身する「魔法少女」となった女子中学生5人が、「魔女」と呼ばれる人外のバケモノと戦いつつ、「魔法少女」同士でバトルロイヤルも繰り広げるTVアニメの続編劇場版。


 TV終盤では、ピンク髪のオボコい主役少女を救いたいというツンデレな想いから来る、黒髪ロングのクールなコミュニケーション弱者少女の時間ループ魔法による何十回(?)もの歴史改変の果てに――しかもその都度、救えなかったという(汗)――、膨大な因果エネルギーがその身に積もり積もってしまった主役少女の超パワーが発動!
 主役少女は全並行世界の全過去・全未来に存在する膨大な全「魔法少女」たちが最期(さいご)を迎えたときに初めて知る、衝撃的な結末に対して「絶望」に直面する断末魔の瞬間にメタ・事後的に介入して、「歴史修正」(!)としてそれに「救い」と「癒し」と「お迎え」を与える役目を果たす、天地創造の神そのものではないけれど時空を超越した高次なる神近き存在へと昇華する!


 その際、凡百の作品であれば、「魔法少女」たちが絶望する瞬間に発する大量の精神エナジーを搾取した某存在を、「階級悪」・「権力悪」・「絶対悪」のような存在としたであろう。しかし、作り手たちが意図したかのは不明だが、この作品はそうはしなかった。


 「QB」(キュゥべえ)は人類の価値観とは相容れないとはいえ「階級悪」ではない。自身も生きるためのエナジーを欲する「食物連鎖」「生態系」のごとき一種の広い意味での「システム」の一部にすぎない。アチラを立てればコチラが立たず的に入り組んだ「システム」の救いがたい困難さの描写が、本作の優れて現代的なところでもある。
 現実の社会でもこの類の問題を根源的・抜本的な次元で全解決することはムリであろう。


 しかし、そこでニヒって悦に入るのではなく、完全なる解決や永遠平和や地上天国やマルクス主義的な共産主義社会(笑)を達成することは不可能だとしても、その都度都度で生じていく問題を永久に「改善」しつづけることを目標とすること自体には意義があるとは思うのだ――「改善」ですらなく、「問題」や「不幸」がひとりだけに、あるいは一方向だけに偏らないようにする「微調整」、単なる「不幸の再分配」、あるいは「不幸の永遠のたらいまわし」に過ぎないやもしれないけれども……。それでも「最悪」ではなく「次悪」に留められるのならばマシだとはいえるだろう――。


 主役少女の究極選択は「QB」自体の根絶ではなかった。「QB」自体の根絶ではなく、「魔法少女」が「魔女」化した瞬間に高エナジー(少女が悲嘆・絶望したときの高エネルギー)を発するという、劇中内での自然界の必然的な現象=「宇宙の法則」≒「システム」だけを「微改変」してみせようというアクロバティックな決着!
 「根本解決」は不可能でも「微調整」ならば可能ではあり現実的でもある……といったところがミソなのだ。そのへんが現今の人間たちが作った「現代社会」や、残念ながら人間も生物・動物である以上は離脱することが叶わない弱肉強食の食物連鎖・捕食と被捕食の関係でできている「生態系」といったものの「縮図」たりえてもいる。
 その上で、根源的な解決はできないまでも、「社会問題」や「環境問題」を少しでも改善していくための「現実的な方策」にも通じる「風刺」たりえていたとも思うのだ。


 もうひとつ本作が非凡だと思うのは、敵のバケモノである「魔女」の存在自体は否定したけど、その代わりに「魔法少女」の成れの果てではない「魔獣」という新たな存在に置換したことでもある。つまりは「魔法少女」の「存在」や「戦い」自体もなかった方がよかった……などという『仮面ライダークウガ』(00年)最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001111/p1)ライクなキレイごとの絶対平和主義的で偽善的なオチではなかったことなのだ。
 「魔法少女」たちの人々を守りたい、自身の願いを叶えたいという「想い」や、良かれと思って戦ったその「正義感」やその際に生じた「生」の「充実感」「高揚感」や「戦友との絆」など、「魔法少女」として各々が懸命に生きてきた「人生」それ自体をムダだったとして無下には否定はしなかった……、それを無かったことにはしなかったことなのである。


 「QB」の行為は彼ら自身も云う通り、彼らが少女たちの「絶望エネルギー」を食しているのは、彼らの「人格悪」「性格悪」的な悪意によるものではない。彼らも云う通り、人間が動物や植物を飼育・栽培して食したりする行為と同等・相似形の行為ではあり、彼らにとってはそれは自然な生態なのである。その行為をヌキにすれば、彼らも滅び去ってしまうのだ。
 よって、彼らはSF洋画『エイリアン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171104/p1)や同じくSF洋画『プレデター』(87年)のように考えナシに人類を絶滅するまで捕食するような存在ではさらさらない。人類の絶滅とは程遠い次元で控え目に「摘まみ喰い」をしてきただけだともいえるのだ。
――もちろんたとえ少数とはいえ「摘まみ喰い」のターゲットに選ばれた方は堪ったものではないけれども、それは人類が家畜や穀物などに対して行なう所業(飼育して殺害した上で捕食する!)とも同罪ではあるので、我々人類自身の「原罪」性を免責しきることにもならないのだ(汗)――


 「QB」の「存在」や、彼らの数百万年にもわたる人類への「関与」それ自体を否定すれば、我々人類自体も動物から進化した果ての誕生もなかったのであるから、「QB」の「存在」自体は否定はしない。
 しかし、「魔法少女」の末路自体はミジメで絶望でしかなくても、その過程にはいくばくかの「充実」もあったハズなので、太古から遠未来の歴史上の膨大な全「魔法少女」たちのその人生、そして人類の歴史それ自体をも大局としては否定をせずに肯定してみせようとする行為。歴史それ自体も大局では改変しないけれども、大局には影響がナイ範囲では微改変をしてみせようとする「大海の中の一滴」であるクレバーな選択肢!
――「魔法少女」たち自身がその最期に実は自分たちが倒していた当の「魔女」自体に自我も失った上で必ず変貌もしてしまうという劇中内での法則的必然である宿命(!)だけをなかったことにして、その代わりに「魔女」という存在を「魔法少女」の成れの果てではない「魔獣」に代入して、「魔獣」と「魔法少女」が戦うかたちで太古から遠未来へと至る「歴史」全体を微改変することにより、歴史の大局や「魔法少女」各人の人生それ自体は否定をしないで済むという!――



 そんなかたちでキレイに完結したTVアニメ版の続編を作るとなると、たしかに天上界の宇宙の法則の一部――既存にあった法則の微改変の作用だけを担保する存在――となって、その代償として地上世界には最初から存在しなかったことになってしまい、その痕跡をも消失させてしまった主役少女を現世・地上に復活させるか、コミュ力弱者少女の断末魔に天上にいる主役少女がお迎えに来る展開しかないだろうとは予想はしていたけれども……。そー来たか!?


 お迎えに来た天上世界=高次元世界存在となった主役少女を地上に引きずり下ろさんとするコミュ力弱者の魔法少女。その試みは半ばは成功してしまう!


 この展開を、TVアニメ終盤での主役少女の究極選択は日本の戦前的な「滅私奉公」にも通ずるものだから、「半径数メートルの私的幸福」、「公」よりも「私」、「公」に対する「叛逆」でもあるから「反体制」的に即・快挙でもある! と賞揚する論陣も散見はする。
 その意見にも一理はあるとも思うけど、それは「二元論」のうちの「片方」だけを取るアタマの悪い論法であり、「公」に反逆して「私」に徹底することが即座に「絶対正義」になるのであれば、他人に配慮せずに身勝手に公共物の破壊や殺人強盗や暴言を繰り返すようなエゴイスティックな人間こそが一番エラくて大正義だということになってしまう(爆)。そんなバカげた論法もまた絶対的に成り立たないのだ。だから、フェア・公平に考えれば「私的幸福」&「公的幸福」の両立を目指すのが理性的・合理的にして理想的ではあるだろう。


 もちろん「私的幸福」&「公的幸福」の両者が相容れない極限下で、「私」――もしくは「私のスキなヒト」や「仲間」――さえ良ければ世界が滅びても構わないとするならば、それは「公共心」なき「エゴイズム」や「お仲間・身内主義」にすぎないであろう。「公」至上主義はもちろんのこと、「私」至上主義も道義的・論理的には成立しないのは明らかなのである。決して二者択一の問題ではないのだ。


 フツーの人間としての幸福を捨て去る主役少女の究極選択に対して、それに反対すべきであったと後悔するコミュ力弱者少女の想い。それ自体はイイ。
 しかし、世界を救うよりも、世界を敵に回してでも、世界が滅びてもイイから、主役少女といっしょにいたいとばかりに願うコミュ弱少女。それは「積極的な悪」ではないにせよ、やはり「消極的な悪」ではあるだろう――彼女が自身を「悪魔」と自称するのは偽悪にすぎるけど――。
 それが過剰に鼻につかないのは、彼女が寂しげでおとなしげで欲も少なさそうなローティーンの少女であり、健気さの方が先に立つからにすぎないとも思う――コレが成人女性であったり男のコであれば、往年の『鳥人戦隊ジェットマン』(91年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1)や近作の実写映画版『ガッチャマン』(13年)みたく、世界のことよりも自身らの色恋ばかりにカマけているとの非難が殺到したにちがいない!(笑)――。


 そのへんの観る側のバイアス・偏向、女のコに対する社会的通念――女のコに理解を示したフリをしてその実、未熟で弱くてもOKだと、やはり下に見くだして差別している(汗)――も込みでの物語作品というもののマジックともいうべきで、評論オタならばそのへんにも自覚的でありたいとも思う。


 そうも思うのだけど、ボクらのサブヒロイン・変態ほむほむこと暁美ほむら(あけみ・ほむら)ちゃんのすることだから、やっぱり許しちゃお!(……オイ)


 とはいえ、ほむほむに百合的に(?)想われている、天上世界での役割を忘却して地上に復活を果たした主役少女には、ほむほむに問われて


「私よりも公」


という趣旨の返答をさせているあたりで、やはり本作は一面的な作品には決してなってはいないのである。
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語(通常版) [Blu-ray]

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.59(13年12月30日発行))


『まちカドまぞく』 ~広い意味での「魔法少女」モノ!?(……苦しい・汗)

(2019年 まちカドまぞく制作委員会・TBS 放送終了)
(文・久保達也)
(2019年10月13日脱稿)


魔法少女を倒せ!」


と呼びかける金髪ロングヘアの魔女の夢を見た、ウェーブがかかった茶髪ロングヘアで本人もコンプレックスであるほどに小柄な少女・吉田優子。
 翌朝、彼女は先端が三角形に尖(とが)った黒くて細い悪魔みたいなシッポが生(は)えており、頭部には級友曰(いわ)く「クロワッサンみたいなツノ」(笑)が伸びていた。


 娘の急変に、黒髪ロングを束(たば)ねた割烹着(かっぽうぎ)姿の母・清子(せいこ)は、実は吉田家が「闇の一族・まぞく」(魔族)の末裔(まつえい)であり、毎月生活費が4万円以上使えないほど貧しいのは、長きに渡ってつづいた「光の勢力」との戦いに敗れ、あらゆる運を封印する呪(のろ)いをかけられているためだと語る(笑)。


 一家にかけられた呪いを解くために、魔法少女を倒してその生き血をご先祖様に捧(ささ)げるという重大な使命を与えられた優子は、同じ高校に通う魔法少女・千代田桃に敢然(かんぜん)と立ち向かうのだ!


 原作は芳文社の『まんがタイムきららキャラット』に連載中の4コママンガであり、基本的には優子の家庭や高校でのトホホな日常を中心としたコメディ作品ではある。吉田家に代々伝わる埴輪(はにわ)みたいなご先祖様の像「ごせん像」(笑)が、サイズがちょうどいいからと玄関のドア・ストッパーに使われていたり(笑)、行方不明となっている吉田家の父が、貧乏な吉田家で机や踏み台として使われているミカン箱の中に、桃によって封印されているとか……(爆)


 ただ最も笑えるのは、優子と敵であるハズの桃との妙な関係性だ。よりによって「ごせん像」を高い階段から落としたことでダンプにひかれそうになった優子を、桃はそれこそ女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年~)みたいな白とピンクのフリフリコスチューム姿の魔法少女・フレッシュピーチ(笑)に変身し――その場面では変身に要する時間が画面右下にストップウォッチみたいに表示される(笑)――、片手でダンプを停止させて優子を救う「命の恩人」として、初登場場面でいきなり描かれてしまうのだ。


 その恩人が倒すべき魔法少女であることに、優子は信じられない想いで


「コスプレですか?」(爆)


と聞いてみる。ピンク髪のショートボブヘアの長身で一見可憐(かれん)な感じではあるものの、巨大ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(95年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110827/p1)の綾波レイ(あやなみ・れい)や、深夜アニメの名作『涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)』(第1期・06年 第2期・09年)の長門有希(ながと・ゆき)といった、性格的にはアンニュイでクールなヒロインの系譜の方を継いでいる桃は、


「違う。魔法少女……」


と優子にボソっと宣言したあげく、腹を空(す)かしていそうだからと、優子に菓子パンを与えようとする(笑)。


 教室で級友からシッポやツノが生えていることを指摘された優子は、


魔法少女をブチ殺す(汗)使命を与えられて、覚醒(かくせい)した……」


などと語るが、


「その魔法少女ならA組にいる」(爆)


と、桃のところに連れていかれる。


 桃が優子をアタマ1個分「小さい子」とさげすんだことに、優子は頭のてっぺんの小さなアホ毛をプルプルと振るわせ(笑)、級友たちの声援を浴びながら


「おりゃおりゃおりゃぁ~~~!」


と桃の腹にパンチの連打を浴びせるが、


「よける必要性を感じない」


とか


「飛び道具、使った方がいい」


などと、全然桃に相手にされない。優子は


「これで勝ったと思うなよ!」


と捨てゼリフを吐(は)き、廊下をスタコラと逃げ去っていく(笑)。


 一家にかけられた呪いを解かねばならない使命感から常に必死な優子と、6年前には世界を救ったこともある(爆)ほどの強さから常に余裕な桃との、あまりの温度差の違いこそが本作のキモであり、夕焼けに染まる川の土手で往年のウルトラマンエース(72年)の掛け声みたいに


「テェ~~イ!」(笑)


なんて叫びをあげて魔法少女を倒す訓練に励(はげ)む優子の姿には、視聴者をつい感情移入させてしまう絶大な効果があるだろう。


 ただ原作は4コママンガでありながらも、優子と桃には先代からの因縁(いんねん)があり、劇中で描かれたことがすべてそれに起因するのが明らかになる連続ものとして、舞台となる多魔市(たまし・笑)の平和を守るために、優子と桃が共闘するに至る展開まで用意されていることから、れっきとした戦闘美少女ファンタジーの変化球的作品として、軽視してはならない存在かと思えるのだ(笑)。
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  • 発売日: 2019/10/02
  • メディア: Blu-ray
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.83(19年11月3日発行))


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『アズールレーン』 ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど序盤は良作だと思う・笑)
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2020年秋には第二次世界大戦期の戦闘機を材に取った美少女メカ戦闘アニメが3本!
 2020年9月11日(金)から深夜アニメ『荒野のコトブキ飛行隊』(19年)の総集編+新作のアニメ映画『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』が公開記念!
 2020年10月から同じく第二次大戦期の戦闘機を材にした美少女メカ戦闘アニメ『ストライクウィッチーズ』第3期こと『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』が放映開始記念!
 同様に第二次大戦期の戦闘機を材に取った美少女メカ戦闘アニメ『戦翼(せんよく)のシグルドリーヴァ』も放映開始記念!


 とカコつけて……。『ストライクウィッチーズ』の派生作品『ブレイブウィッチーズ』(16年)や、戦闘機や第二次大戦を材に据えた深夜アニメ『ガーリー・エアフォース』(19年)・『荒野のコトブキ飛行隊』(19年)・『終末のイゼッタ』(16年)評をアップ!


ブレイブウィッチーズ』『ガーリー・エアフォース』『荒野のコトブキ飛行隊』『終末のイゼッタ』 ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!

(文・T.SATO)

ブレイブウィッチーズ

(2016年秋アニメ 水曜25時35分 TOKYO-MXほか)
(2016年12月25日脱稿)


 ナチスドイツによる各国への電撃侵攻を空飛ぶ無機物チックな巨大不定型生物による欧州電撃侵攻に置き換えた、架空の第2次世界大戦期を舞台にした深夜アニメ『ストライクウィッチーズ』(08年)シリーズ。基本的にはプロペラユニットを両脚に片方ずつ履いたロリ系アニメ絵のネコ耳で短いシッポも生やした可愛らしい魔法少女がパンツ見せ見せで(笑)大空を高速で飛行して機関銃で戦うという、おバカな基本設定の「萌え」+「メカ戦闘」のアニメではある。


 続編『ストライクウィッチーズ2』(10年)を経てさらなる続編映画『ストライクウィッチーズ 劇場版』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150527/p1)で2012年に完結したハズだけど、2014年にも『2』と『劇場版』の時系列のスキ間を埋める番外編が『ストライクウィッチーズ OVA』3部作(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150528/p1)として発表されている。


 その『ストライクウィッチーズ』の高村和宏カントクが手掛けた、同趣向でキャラクターデザインも同系統の美少女戦闘アニメ『ビビッドレッド・オペレーション』(13年)がカネをかけて大宣伝したワリにはビミョーな出来&売上だったこともあるのだろう。結局は『ストライクウィッチーズ』シリーズ(の派生作品)が帰ってきましたヨ!


 本作においては、欧州における「第501統合戦闘航空団」こと「ストライクウィッチーズ」とは同時代の別の戦線では、同様の別の魔法少女部隊「第502統合戦闘航空団」こと「ブレイブウィッチーズ」がナゾの巨大不定型生物と戦っていた! という設定を作ってのストーリー展開。こんなのがアリならば同一世界でいくらでも同工異曲の作品が作れるよネ(笑)。


 Wikipediaで調べてみると、いつの間にやら「第503統合戦闘航空団」~「第508統合戦闘航空団」とか「アフリカ戦線」とか「本能寺の変」(笑)などを舞台にした「番外編」やら「前日談」やら作品世界の数百年前(笑)の小説やらマンガやらのメディア・ミックス派生作品が膨大にある!
 オタク第1世代の評論家・大塚英志(おおつか・えいじ)センセイが今後のオタク系作品の有望なビジネスモデルとして、昭和の終わり~平成のはじめに提唱して書籍化もされていた「物語消費」論のまさに体現!


 往年の『ビックリマン』やら『スター・ウォーズ』シリーズや『ウルトラマン』シリーズやら『機動戦士ガンダム』シリーズを素材に、作品世界の「前日談」やら「後日談」やら「外伝」を媒体を問わずに、「ヨコ方向には広大な世界地図」が「タテ方向には長大な歴史年表」が存在する巨大な「作品世界」を作って、オタク消費者や子供消費者たちを長期にわたってその「作品世界」で遊ばせて搾取(笑)もする、「二次創作的な想像力」をアマチュアの場だけでなく公式の場でも最大限に活かそうとする試みの実践!
――ただし個人的には、この用語はその意味するところからも、「物語消費」よりも「世界観消費」と呼称するのがより適切だとは思うけど――


 とはいえ、主人公を異にする「PART2」ものというのは、クオリティは程々でも前作とは似て非なるモノであるがゆえに、客観的にではなく感覚的にナンとなくノれない……という感慨をもよおして、ドーしても過剰にキビしく見られてワリを喰いがちなのが往々でもある。
――オッサン世代の体験だと、元祖スーパー戦隊秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)の直後のスーパー戦隊・第2弾『ジャッカー電撃隊』(77年)とか、合体ロボアニメ『超電磁ロボ コン・バトラーV(ブイ)』(76年)の直後の『超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)』(77年)とか、同じく子供向け合体ロボアニメ『絶対無敵ライジンオー』(91年)や『元気爆発ガンバルガー』(92年)のあとの『熱血最強ゴウザウラー』(93年)などの当時の二番煎じ感などやそれに対するシラケやプチ反発なども思い出す……(作品としてのクオリティとはまた別の話なので念のため・汗)。コレが「PART3」やさらなる長期シリーズ化がなされてくると、「そんなモノだから……」「このシリーズのパターンだから……」と年長マニア層のみならず子供の視聴者層ではあっても、ダブルスタンダードだけれども割り切って観られたりもするのだけれども……。まさに「理性的・合理的な作品解題」ではなく単なる「慣れ親しみ」といったモノにも、結局のところ「作品評価」というモノは影響されている!(汗)――


 なので、そういったメタな観点から、筆者は自身の無意識的な「好悪」や「慣れ親しみ」から来る違和感をも相対化して、点数を甘くすることで、より公平な「客観」に近付きたい!?(笑)



 本作の主な舞台はロシアの「ペテルブルグ」。


 ……「ペテルブルグ」!? 1917年のロシア革命~1991年のソ連崩壊までの旧・ソ連(現・ロシア)時代のあの地の名前は「レニングラード」だろ!? ――ソ連初代最高指導者・レーニンの街という意味――
 あぁ、この世界ではロシア革命はなかったんだネ。じゃあ「スターリングラード」(ソ連2代目最高指導者・スターリンの街という意味)という地名もナイんだネ!(笑)


――まぁそれを云い出したら、同趣向の架空の第2次大戦期を舞台にした同季放映の深夜アニメ『終末のイゼッタ』(16年)でも、一応の民主主義選挙で選出されたヒトラー総統は登場せず、現実の歴史では第1次大戦での敗戦で崩壊したドイツ帝政が継続、ドイツ皇帝も登場したりするパラレルの歴史だったけれども――


 果たして今作『ブレイブウィッチーズ』の出来はいかに!? 腰のない柔らかで可憐な少女ボイスの加隈亜衣(かくま・あい)ちゃんが演じる佐世保魔法少女学校で訓練を積む日本人主人公少女・雁淵ひかり(かりぶち・ひかり)ちゃん & そのいかにも年長でお上品な「お姉さんお姉さん」した優しいエリート戦士の姉・雁淵孝美(かりぶち・たかみ)のみを描いた#1~2は、まぁまぁフツーの出来だったとは思うものの個人的にはイマ半でノれなかった。いや理性では水準以上の出来だとは判定するものの、元祖『ストライクウィッチーズ』や同『2』の神懸った#1~2の出来のよさがドーしても無意識に想起されて比較してしまうからでもある。


 しかして、チームで一番気が強そうで意志的な吊り目の目付きが印象的だけれども、チーム中でも一番チビチビではあるので、その性格のキツさも安全な範囲で回収されて(笑)、心優しいヘタレなオタでも大丈夫なように印象がコントロールされている(!?)、肌が地黒で黒髪ショートで茶色の空軍皮ジャンをまとった、ガラッぱちでボーイッシュで短気そうな先輩日本人少女・管野直枝(かんの・なおえ)ちゃんが魅力的である!
 パッと見のルックスだけでは小生意気そうでもっともオタ受けがしなさそうだけれども(?)、序盤で主人公少女と彼女を対立させてキツく当たらせるも、そのツンデレな真情は!? といったところで、必ずしもビジュアルやパーツ的な「萌え要素」だけではなく「ドラマ的な肉付け」で彼女の印象や「萌え」度をアップさせているところはウマい! このエピソードのおかげで俄然、作品世界の重心も下がって地に足が着いた感じがしてきて、相応に気に入ってもいる。
ブレイブウィッチーズ 1(第1話、第2話) [レンタル落ち]
ブレイブウィッチーズ 2(第3話、第4話) [レンタル落ち]

ブレイブウィッチーズ

ブレイブウィッチーズ

  • メディア: Prime Video
ブレイブウィッチーズ第1巻 [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.76(2016年12月29日発行))


(後日付記:『ブレイブウィッチーズ』はトータルでは『ストライクウィッチーズ』2部作に勝っているとも云いがたいかもしれないけど、やはりそれは希代の傑作と比してしまうからこそワリを喰ってカスんでしまうところもあるからであって、そこを除外すれば水準作以上の作品ではあると私見


ガーリー・エアフォース』・『荒野のコトブキ飛行隊』

(2019年冬アニメ)
(2019年4月27日脱稿)


 「戦艦」や「戦車」や「潜水艦」と「アニメ絵の美少女キャラ」を組み合わせる手法はすでにあったけど、両作は「戦闘機」と「美少女」を組み合わせた。


 志し自体はとても低いワケだけど(笑)、『ガーリー・エアフォース』の方は意外にもスペクタクルな密度感ある物語や舞台設定があり、背景美術にも「都心」や「近郊」ならぬ「地方」ならではの畳や和室のある「日本家屋」などを背景美術や舞台とすることで類型作との映像的な差別化や風情も出せている。


 と同時に、原色で発光する戦闘機とセットになっている、人外の存在らしき美少女キャラたちがお約束でワラワラと登場して、それぞれに典型的な記号的キャラでありながらも人物がマンガ・アニメ的には立っていて、萌えの方向で消費もできるようになっている。


 背景設定もオモテ向きは中国での内戦勃発、真相は未確認飛行物体による侵略で、大陸から難民が日本に押し寄せているというモノ。半島に有事があって、一方の国の難民を受け入れれば他方からは敵国認定するとの通知が南北双方から出てしまば、人道的な行為なのに中立が叶わず戦争に巻き込まれる逆説・背理も生じていくであろう当今、アクチュアルな風刺感も出せている。


 中国の上海(シャンハイ)沖でナゾの敵に襲われた難民が搭乗する船舶が、赤く発光する戦闘機に救われるも、その機体は海面に不時着して、主人公の高校生男子クンが泳ぎ付けて救出するも、そのパイロットは儚げで涼しげで幸ウスそうな銀髪ロング的な(銀髪じゃないけど・汗)ウスいピンク髪の美少女といったあたりもコテコテ。


 その後もこの彼女が媚び媚びしておらずテンションもコミュ力も低そうで控えめにボソボソとしゃべるキャラであるあたり、フェミニズムポリティカル・コレクトネス的には「弱者男子にとっての都合がイイ弱者女子像」であり、か弱き女性に手を差し伸べる女性尊重のようでその実、男尊女卑構造を温存させる「弱めの肉食男子」でしかナイという文脈で糾弾されても仕方がナイし、その批判に理性では同意するけど、ダメダメな弱者男子の典型で奇形的に感性を鍛えてきてしまった筆者の好悪の次元では、こーいうキャラもやはりキライではない(笑~過剰な執着はしていないけど)。


 先行作で例えると、深夜アニメ『蒼(あお)き鋼(はがね)のアルペジオ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1)における旧日本海軍の潜水艦を模した超メカの魂(?)が物質化したイオナ嬢や、同じく『ガールズ&パンツァー』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190624/p1)の主役美少女・西住さんみたいな、刺激臭のナイ控えめで涼しげで優しげな可愛い声でしゃべる美少女キャラの系譜でもある――どちらも渕上舞(ふちがみ・まい)ちゃんが担当でしたネ――。


 で、ジャンル作品のお約束で、戦闘スペック的には劇中で最強な本作のメインヒロインもメンタルの方は脆弱(ぜいじゃく)な少女のそれであり、主人公少年といっしょのときだけはナゼだか精神が安定するという、いかにも中2病の思春期的な想像力が発想したご都合主義的な設定を導入することで、主人公少年と美少女が関わっていく劇中内での必然性も作っていく。


 もちろんそれだけでは世界観や交友関係が狭くなりすぎるので、彼女は自衛隊所属で北陸の実在する小松基地配属として、その中では敬遠されたり敵視されたりする浮いた存在とすることで、その立場のビミョーさをも出していく。そして、そんな彼女は実は人間ではなく、毒には毒をでナゾの敵の残骸から回収して作られた兵器であり人造人間でもあり、敵とも同根の存在であるとする。


 しかして、それだけでも作品が辛気(しんき)クサくなるからか、彼女と同族の人造美少女たちが小出しで順次登場。そちらの美少女はやたらと陽性であったり戦闘狂であったりすることで、作品世界の陰陽のバランスや戦闘場面の立体感&熱血温度を上げている。てなワケで、魅惑的な「ストーリー」・「戦闘」・「萌え美少女」とが鼎立(ていりつ)できている。



 本作とは逆に、萌え美少女たちの「キャラ」がそれ単独ではあまり立っておらず、「ストーリー」の中に埋没気味である印象を受けるのが、かの大傑作『ガールズ&パンツァー』の水島努カントクらが手掛けた同じく戦闘機――こちらは20世紀前半のプロペラ機――を材とした同季の西部劇調の深夜アニメ『荒野のコトブキ飛行隊』(19年)だとも目(もく)する――同作をスキな方や評価する方々にはゴメンなさい(汗)――。


 主要キャラであるハズの6人のパイロットである美少女キャラたちを描くよりも先に、西部劇チックなムサいオジサンたちのやりとりを延々と描いてみせる#1の冒頭。マンガ・アニメ・記号的なキャラ付けではあろうが、主人公である6人の美少女キャラたちの人となりを描くよりも先に、オッサンたちを延々と描くのはバランスが悪いし(汗)、看板とも相反する空気が流れることで、企図せずとも作品世界の構造もヘンな意味で規定されてしまって、作品の腰の座りも悪くなる。


 ……そう感じるのは、筆者が美少女アニメにおける「ストーリーよりもキャラ重視」の文法に毒され過ぎゆえであって、コレはコレでフツーの作劇やもしれず、公平な第三者の審判を仰ぎたいところではある(笑)。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.74(19年5月4日発行))


(後日付記:深夜アニメ版を再編集した映画『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』(20年)ではこのオジサンキャラたちによる間延びした#1冒頭はまるまるカット(笑)。それにより導入部は少しはマシになって見やすくなったものの、美少女キャラたちの行動がストーリーを能動的に動かして状況を好転させていくような勝利のカタルシス感には乏しいし、映画全体としても深夜アニメ版よりかはマシであるとは思うものの、やはりなにかあまりノれずにパッとしない出来になっているとも私見する……)


終末のイゼッタ

(2016年秋アニメ 土曜25時30分 TOKYO-MXほか)
(2016年12月25日脱稿)


 個人的には2016年の秋アニメの中では一番面白い!


 西暦1940年の第2次世界大戦中の欧州を舞台に、無骨な大型銃器の砲身を空飛ぶホウキ代わりにまたがった赤髪ショートの魔法少女が、古城の武具やヤリの群を左右に伴走させて高速で空を飛び、電撃侵攻してきた敵国の戦闘機群を撃墜し、戦車群を横転させて軍艦も貫いて爆沈させる! いやはや愉快痛快!


 秋アニメなのに放映3ヶ月前の夏からTOKYO MXの深夜アニメ枠のCMでは宣伝しまくり! 長身の銃器にまたがった白いラフなドレスに素足の美少女が、超高速で空を旋回して急ブレーキでカメラ手前に停止する、高品質な作画ビジュアルもとても印象的だった本作。


 #1は往年の名作アニメ劇場ばりに、幼少時のサブヒロイン――実質、主人公でアルプスの小国の王女さま――が子犬と戯れて、緑豊かな森の中を駆け抜けた先で、湖上に浮遊する幼少時のメインヒロイン(魔法少女)とのロマンチックな邂逅(かいこう)が描かれる。ツカミは万全!


 しかもそれは、蒸気機関車にてお忍びで随行員を連れて移動中の金髪ロングの王女さまが、うたた寝中の夢で見た懐かしの回想だった!
 そんな導入部から始まり、ナチスドイツもどきのゲルマニア帝国憲兵らの違法な車内臨検を秘かに免れようと、長大な車両を移動してのスリリングな逃避行となる。走行する客車の屋上も駆け抜けて銃撃戦へと至り、偶然忍び込んだ貨物車両内で見かけたナチドイツのものものしい機密カプセルとの運命的な遭遇と、通りかかった高架の鉄橋から敵の隙を見て河川へ飛び込み難を逃れるまでの一連のシークエンスの吸引力は実にお見事!


 #1のBパートでは人気声優・早見沙織(はやみ・さおり)の気高くも上品で透き通ったボイスがハマる聡明な王女さまが、英国がモデルとおぼしき厭戦気分のブリタニア国に大陸出兵を促して、帝国の各国侵攻への抑止力・牽制にせんと、オペラ上演中のVIP観覧室で英国大使を相手に口八丁手八丁の交渉を行ない、自国の精密機械産業の技術提供&一度は断った自身と英国皇太子との政略結婚までをも申し出る!


 大使も感嘆した通り、右翼と左翼のふたつしか脳裏にないアタマの悪い二元論ではなく、まだ若いのに玉突きボール的に多数のプレーヤーが自発的に動いていく世界の大局観が見えていて、生まれながらの王者にして国民国家の公器としてもふるまわんとする、為政者・外交官としての器量も大きいサブヒロインの凛々しくも麗しい姿が実にまぶしい!


 しかし、交渉がまとまろうとした刹那の一報ですべてはご破算。母国がすでに帝国に蹂躙されて、交渉も空しくなったことを知る(汗)。


 続けて、踏み込んできた帝国憲兵に身柄を拘束され、先の機密カプセルといっしょに帝国首都へと空輸中、カプセルの中に実はいた「伝説の白き魔女」でもあるメインヒロインが覚醒した衝撃で、空中分解した輸送機から落下していく王女さまを、機転を利かして砲身にまたがって空を飛んだメインヒロインが何とか追いつき、手と手を取り合って抱きかかえて救ったところで#1は閉幕!


 なんともホレボレとする、何度でも観返したくなる#1に仕上がっていたとも私見する。


 ビジュアル的にはこのメインヒロインの超常的な大暴れで、敵帝国の侵攻を防ぐ姿が描かれていてスカッとさせてくれる。しかして、それだけでは万能にすぎるので、作劇的には東洋風水的な地脈のエネルギーがない土地では魔法が発動しない「制限ルール」も設ける。この制限を使うことで、バトルにも力押しだけではない知謀と作戦の丁々発止の彩りを与える。


 加えて、この「制限ルール」が軍事機密ともなり、それをめぐって舞台となる小国と帝国の諜報合戦も行なわれる。そして、小国といえども絶対正義ではなくその汚れ仕事までもが描かれる。メインヒロインのこの弱点を高官たちの雑談から偶然聞き知ってしまい、それを敵国スパイに家族の安全と引換にバラしそうになることで、自国の諜報部隊に暗殺されてしまう少年兵のシークエンスなどなど。
 #1から登場している帝国側の諜報部隊の、陰険そうでも上品な銀髪のクール兄ちゃんやその部下の少年クンもイイ味を出している。



 #1では作品の看板でもあるメインヒロイン・イゼッタ嬢にセリフがなかった。このことからも象徴される通り、彼女の素の人格自体は善良で常識人でも白痴的元気少女の小娘にすぎない。王女さまへの幼き日に受けた恩に報いるための義理と素朴な封建的忠誠心で動いているだけであり、メインストーリーを駆動しているのはあくまでも王女さまの方なのだ。
 とはいえ、それが悪いというのではなく、コレもまた万能にすぎるメインヒロインのチート能力がイヤミの域に達しないブレーキにもなっているとは思う。とにかく彼女がそこにいるだけでも、王女さまと比すれば胸や腰や太モモが若干グラマラス&筋肉質で、可憐でありつつも同時に力強さと生命力も感じさせるルックス&華のあるボイスが魅力的である。加えて、メインヒロインとサブヒロインのイチャイチャした関係性に近年流行りの「百合」性をねらった節もある!?


 同じく架空の第2次大戦期を舞台にした、線も少ない5等身の少女たちが活躍する『ストライクウィッチーズ』シリーズ(08年~)があくまで「魔法少女」ならば、本作は今ではほとんど滅びた古き良き「戦闘美少女」の香りもする――あくまでも香りであって、往年の肉弾戦的な「戦闘美少女」そのものであるとは云わない。カテゴライズで云えばやはりフワッとしたポエミーな「魔法少女」寄りではあるだろう――。


 終盤ではメインヒロインの数百年前のご先祖さまでもあり、救国の英雄でもある元祖「白き魔女」の美しく脚色されていた「本当は恐ろしいグリム童話」ならぬ魔女狩りチックで残酷な歴史的真相も描きつつ、「白き魔女」の遺体からクローン技術で作られた前世の母国への恨みの記憶も有するイカレた魔法少女ゾフィー(声・雨宮天)を帝国は小国との戦線に投入! そして並行して描かれる帝国と連合諸国との屈辱的な講和会議の席に割って入って一席をぶつ王女さま!


 ……といったところで、初の近代戦である第1次世界大戦での初の機関銃や毒ガス投入によるジェノサイド(大量死)を体験したことで、戦間期に欧州各国では厭戦気分と空想的平和主義が流行するものの、それゆえにナチドイツの野望を見抜けず、見抜けても相手の善意に期待する「宥和(ゆうわ)政策」と「北風と太陽」のような希望的観測でナチスの伸長や近隣諸国への侵攻・占領を許して、結果的に惨禍を極大化してしまった、いまだに空想的平和主義を信奉する日本のサヨクが見たがらない逆説と背理がうんぬんかんぬんとウンチク・トークを披瀝したくもなってくるけども(笑)。


 そのへんの政治的に生グサい話は棚上げにしてもイイので、後代の我々が後出しジャンケン的に見たら不備や政治的な偏向があるように見えても、時代思想・時代風潮的な限界の中であろうが、一生懸命に職務&役回りを演じ切った各国の人々の群像劇をも描いた本作は、個人的にはお勧めの一品!
cross the line

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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.85(2016年12月29日発行))


(後日付記:個人的には同作は最終回まで息切れしない傑作に仕上がったとは思うけど、円盤売上的には並という感じで、特に話題になったという感じでもないあたりは残念。やはり商品性なりミーハー人気もねらうのならば、もっと肉体性をウスくしたデフォルメ系のキャラデザかつロリっぽい美少女を複数名そろえた方がイイということか?・汗)


付記 ~同じような素材の作品なのに、ナゼにこうもテイストや巧拙の差が出るのか!?


 「メカ」と「美少女」の組み合わせは、今をさかのぼること40年近くも前(汗)、80年代前半の「MS少女(エムエス・しょうじょ)」にさかのぼるそうである――筆者がそのプチ流行を目撃したのは85年であったと記憶する……って歳がバレるな(汗)――。


 同じく80年代初頭に端を発する、今につづくロリ的な美少女アニメ絵調の美少女キャラたちが、素肌をさらした二の腕や太モモやウェストの上から、『ガンダム』シリーズにおける巨大ロボットことモビルスーツ(MS)の主役ロボやら敵ロボのメカ装甲で、胸肩や上腕やヒザから下のスネの部分を覆ったデザイン画のマニア誌における読者投稿の数々がその起源なのである。


 思春期以降の「可愛いものが判ってしまう」繊細ナイーブなオタク男子たちに訴求しそうな80年代に発祥したロリ的な美少女アニメ調のキャラ。および、現実世界を舞台にしたガチンコ対面での拳骨バトルを描いた不良少年的な威嚇・恫喝も込みでのヤンキーな番長マンガや少年マンガは見るからに怖そうで痛そうで苦手でも(汗)、SF的なメカロボや超能力や手足身体が武器に変型するようなフィクション性の高いワンクッションを挟んだアクション作品だと、安心して暴力衝動を発散できる我々オタの嗜好・性癖(笑)を見事に突いた着想ではある……。


 が、筆者個人はこういったキャラデザに心の半分では強く惹かれつつも、ファースト『ガンダム』(79年)の総集編映画(81年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)が公開された折の大ブームにおける新宿駅東口アルタ前に1~2万人が集まった「アニメ新世紀宣言」に象徴されるような、高度なドラマやテーマや表現を達成しうるアニメというジャンルの市民権を獲得していこう! という市民運動・社会運動のようなノリが濃厚にあった(ハズである)当時のアニメファンたちの気分が、急速に退嬰・退行して「可愛い女のコの絵が見られたり愛でられたりできれば、それだけでシアワセ~……」的に急変転していくことに幻滅・失望・挫折感を禁じ得なかったものである(汗)。


 ……それから幾星霜! 結局は「メカ」と「美少女」が勝利を納めてしまい(爆)――ロボットアニメも絶滅寸前だから「美少女」だけが勝利を収めた?――、このジャンルに追随していくためには筆者も曲学阿世、アニメマニア世間に媚びることで周回遅れ(爆)でわかったふうなクチを利いて、美少女メカミリタリアニメを語っていたりする次第……(笑)。



 それはともかく、「メカ」+「美少女」というサカナ・素材それ自体に単独でも魅力はあるにしても、同じような「(旧軍モチーフの)メカ」+「美少女」の組み合わせの作品群でも、ある作品には引きこまれて面白く感じたり、別の作品には引きこまれずにタイクツに感じてしまうという違いはドコから来るのであろうか?


 それは高度なドラマやテーマの有無の相違といったことではサラサラないであろう(笑)。
 思うに結局のところ、クライマックスたる戦闘シーンを爽快感たっぷりに組み立てることができたか否か? といったところで娯楽活劇作品としての品質に相違が出るのではなかろうか?


 倒しても良心が痛まない、人間ではないのでたとえ倒してしまってもポリティカル・コレクトネス的に問題が生じてこないナゾの無機物チックな巨大敵性存在や、かりに相手が人間でもヒトの生死には関わってこないスポーツ的な戦闘。


 通常兵器では歯が立たないナゾの強敵に対して、現有兵器である戦艦や戦闘機がヤラれキャラクターとして前哨戦を果たした末に、満を持して超兵器・決戦兵器たる魔法少女が戦線に登場!
 押したり引いたり劣勢になったり優勢になったりの小競り合い・シーソーバトルの果てに徐々に戦闘もエスカレートしていく攻防のつるべ打ち!
 大空を戦闘機や魔法少女が超高速で自由自在に雄飛する「全能感や万能感」、大海原や深海を戦艦や潜水艦などの巨大物体を悠然と旋回していく「圧倒的物量の存在が動いている迫力感」、機関銃や砲塔での火力攻撃連射を描いた末に、理性的に考えれば……もしくは見た目では物量・戦力比的に劣っていそうな特に勝気でも凶暴そうでもない少女たちが、フツーに考えると倒せそうもない巨大な敵の弱点をめがけて必殺ワザで粉砕してみせるカタルシス


 こういったお約束でも戦闘の段取りをキチンと踏んでみせた盛り上がり・カタルシス部分こそがこのテの作品の背骨・キモでもあり、そこさえ達成できれば各話単位でも「敵をやっつけてメデタシメデタシ」感といった起承転結・メリハリ・まとまりの良さといった感慨も確保されるのだとも思うのだ。


 逆に云うなら、そのへんの機微をスタッフたちが意識化・言語化・理論化してわかっていなかったがために、その肝心のクライマックスたる「戦闘シーン」でイマいち面白さが感じられなくなっていることが、『荒野のコトブキ飛行隊』と今季の『戦翼のシグルドリーヴァ』があまり面白く感じられない理由ではなかろうか? とも愚考するのである――いやまぁあくまで筆者の主観であって、この2作品を評価している方々には非常に申し訳ナイのですけれども(汗)――。


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ガールズ&パンツァー』(12年) ~爽快活劇に至るためのお膳立てとしての設定&ドラマとは!?

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ガールズ&パンツァー 劇場版』(15年) ~爽快活劇の続編映画に相応しい物量戦&よそ行き映画の違和感回避策とは!?

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ガールズ&パンツァー 最終章 第1話』(17年) ~微妙。戦車バトルを減らしたキャラ中心の2期も並行させた方がよかった!?

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ストライクウィッチーズ OVA』#3「アルンヘムの橋」(15年)

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アズールレーン』(19年) ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど序盤は良作だと思う・笑)

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五等分の花嫁・ドメスティックな彼女 ~陰陽対極の恋愛劇! 少年マガジン連載漫画の同季アニメ化

『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』 ~往時は人間味に欠ける脇役だった学級委員や優等生キャラの地位向上!?
『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『音楽少女』『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』 ~アイドルアニメの変化球・テーマ的多様化! 2018~2020年アイドルアニメ評!
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 2020年10月から来年2021年1月からの第2期『五等分の花嫁∬(インテグラル)』放映を控えて深夜アニメ『五等分の花嫁』(19年)第1期が再放送記念! とカコつけて……。
 共に「週刊少年マガジン」連載マンガが原作の深夜アニメ『五等分の花嫁』評と『ドメスティックな彼女』(共に19年冬アニメ)評をアップ!


『五等分の花嫁』『ドメスティックな彼女』 ~陰陽対極の恋愛劇! 少年マガジン連載漫画の同季アニメ化

(文・T.SATO)
(2019年4月27日脱稿)

『五等分の花嫁』


 野郎高校生ひとりに美少女が5人のハーレム・ラブコメアニメ。美少女の方を五つ子とすることで既存の類似のハーレム・ラブコメ作品とは一応の差別化。
 ただし六つ子を描いた往年の『おそ松くん』(62年)のように見た目での区別が付かないということはなく(笑)、『おそ松さん』(15年)のように(?)髪型・髪色・眉毛のかたち・瞳の目力の強弱・口調などで性格の描き分けはバッチリできている。


・中堅声優、花澤香菜が演じる長女は余裕のあるお姉さんといった感じだけど汚部屋に住む(汗)。
竹達彩奈が演じる次女は強気だけど華はあるアイドルといった風情。
・失礼ながら存じ上げていなかった伊藤美来が演じる三女はクールで奥手なヘッドフォン少女。
佐倉綾音が演じる四女はウサギの耳型の巨大リボンで女子力も高そうな元気女子。
・そして、オープニングテロップはテキトーに流し観しただけだったので、なんとはなしに本編では三女を演じているのかと思った水瀬いのりが、多分メインヒロインであろうサバサバした五女であることに気付いてビックリ。こんな声も出せるとは……。


 てなワケで、五つ子には新人ではなく、全員がほぼ主役級の人気声優を配している。


 やはり今どきの週刊少年マンガ誌連載作品の深夜アニメ化は――本作の原作は「週刊少年マガジン」連載作品(17年)――、円盤が売れなくても書籍が売れるための宣伝になればと大手出版社がおカネも出してくれることで、通常の深夜アニメよりも予算が潤沢、声優陣・作画&背景もゴージャスにできるということか?
 ふだんはイマイチな作画作品を繰り出す新進のアニメ製作会社ライデンフィルムが、同じく講談社の青年マンガ誌・月刊「good! アフタヌーン」連載で昨2018年夏に放映された高校女子スポ根バドミントンアニメ『はねバド!』のときだけは高作画作品であったことも思い出す。


 対するに、主人公である野郎高校生クンは週刊少年マンガ誌にアリがちなチョイ悪でブッキラ棒な少年クンではない――のちに明かされる彼の過去はともかく――。狭いアパートに住まう苦労人の貧乏優等生であり、高級マンションの上層階に住まう五つ子には家庭教師として接している。


 優等生! 家庭教師!
 弱者男子たるオタク向け漫画ではなく、普通の元気で健全で野蛮(汗)な多数派が愛好する少年マンガでは、優等生や家庭教師は自分たちの自由――その実態は身勝手・放縦でしかない(汗)――を抑圧・制限してくる体制側の唾棄すべき存在であり、革命が起きたら真っ先にギロチン首にすべきヘイト(憎悪)の対象であろうに……
――実態は真逆であり、教室内の元気なヤツこそがプチ権力者であり、優等生はスクールカースト低位なのだけど(汗)――。


 SNSでの身内馴れ合いコミュニケーションやらスマホゲームの隆盛で読者が激減している週刊少年マンガ誌は、それでも残った読者にオタク男子の比率が相対的に高まったことで、こーいうストイックな人物でも主役になりうるようになったといったところか?


 30年弱前(汗)の時点でもう、別冊宝島『ザ・中学教師』シリーズで、本来は学級委員になるようなタイプのコが


「今ではそれだと生徒間で『カッコ悪い』扱いされてしまうので、『チョイ悪』に走ってそれを演じる新傾向がある」


とされていた記憶があるけど、この主人公クンがそんな大勢に流される虚栄心野郎ではなく、周囲はどうあれ我が道というかヒトとして正しい道を行く「禁欲」を重んじるタイプでホントによかった(笑)。


 とはいえ、美少女側のキャラデザは、クラスではカースト上位に君臨してオタを見下す健康優良なギャルや元気女子への反発か、オトナしげな貧乳志向となった昨今のオタ向けラブコメとは異なり、珍しく5人全員が恵体(めぐたい)な巨乳キャラであり、筆者は大好物なのだけど(爆)、現今のオタの嗜好的にはいかがか?


 勉強はできる主人公少年と、勉強ができない五つ子女子。および、勉強したくないけど少年の妹ちゃんの健気さにヒロインが同情することで、両者は家庭教師&生徒という関係性を継続。同一空間で同席することにも必然性が生じて、ラブコメとしての物語的土台も整備される。


 てなワケで、美少女五つ子たちが共同で住まう高級マンションの広大なお部屋に主人公少年クンは公然と闖入。
 一緒に料理・食事をしたり、姉妹のどちらの料理がウマいかの意地の張り合いに付き合わされたり、お風呂上がりに遭遇、近眼女子なので少年と知らずに後ろからバスタオル越しに巨乳を押し付けられるラッキースケベを体験したり、夏祭りをシャッフル1対1のデート形式にて散策。打ち上げ花火を鑑賞する際のドギマギなやりとりなども展開。


 そのような展開もまたベタそのものなのだけど、決して段取りチックではなく、土台の盤石さか語り口のセンスか、まぁまぁ真に迫って胸キュンさせてくれたりするあたり、傑作だとは豪語しないけど佳作だとは私見する。
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ドメスティックな彼女


 同季の『五等分の花嫁』同様、「週刊少年マガジン」連載マンガ(14年)が原作の深夜アニメ。
 黒髪ショートのコミュ力弱者の美少女だけど、媚び媚びやキョドったりはしていないクールな女子高生がメインヒロイン。


 今どきの女子高生の常で(?)、性体験の有無でイケてる系/イケてない系認定されるのがイヤだという理由と、遊び人タイプのチャラ男だと弄ばれている感で劣位に置かれてイヤなので――セリフでの説明はないけど、性格的に空騒ぎ的なテンション高い人間に合わせることができないのもあって?――、ややオボコい感じでも「君ってセーフじゃん!」という感じ(汗)の童貞の男子高校生である好青年・主人公クンをカラオケ合コンの場で誘って抜け出して、処女を捨ててしまうところから始まるストーリー。


 う、うらやまケシカラン!(笑)


 後日、男やもめの頼りない父親が再婚してみれば、相手の連れ子はあのときの黒髪ショート女子! その姉も自身が憧れていた学校の美人女教師! といったご都合主義、もとい劇的な設定で(笑)、ひとつ屋根の下で同居するホーム・ラブコメとして三角関係が繰り広げられる。


 この作品もけっこうよく出来ていて面白い。逆に云うと、黒髪ショート女子は早々に処女を捨てたこと以外は「生活保守」的な奥手の常識人であり、むしろクラスでは(ひとり)ボッチであるあたり、我々弱者男子であるオタク男子たちにもウケがイイのではなかろうか?


 先に主人公少年をややオボコいと云ったけど、それはチャラ男連中と比すればの意味であって、ボッチ少女を構ってくれる『琴浦さん』(12年・13年に深夜アニメ化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)・『君に届け』(05年・09年に深夜アニメ化)・『ブスに花束を。』(16年)などに登場する、性格強者でクラスの「空気」を善導できてしまう人格力ある善良少年クンたちのように、教室で物怖じせずに黒髪ショート女子に話しかけることで彼女の口を開かせ、周囲の級友たちとも和ませる端緒を作っていく。


 このあたり、我々オタク人種とは真逆な人間力の発露であり、彼我の差を鑑みて筆者は絶望してしまう(笑)。ヘタレ難聴男子が主役を務める作品群(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201011/p1)では登場しないような性格類型である。


 しかし、全人類の全員が一挙に同時に「ヨーイ、ドン!」で徳義面でも公明正大な存在に進化することは今後も絶望的である(笑)。


「人間は本来は『性善』だから、ドコの国の誰とでも仲良くなれるハズ……仲良くならなければならない!」


などの「絵に描いたモチの理想」との大きな乖離で、自己主張が激しかったりテンションが高い元気な人種たちが苦手なコミュ力弱者や繊細ナイーブな人間たちに諦念や失望を惹起し、逆にドーしても他人に対して悪意や害意なりが……そうでなければ苦手意識が湧いてきてしまうのが常でもある人間の「人情の機微」や実態を踏まえていない、実現不可能どころかキレイごとで上っ面の「理想」を遵守しろと云われたならば、逆にかえって好悪の情が激しい凡人たちはウソくさい「理想」に反発して「道徳」や「人道」なんぞは守らなくてもイイや! なぞと自堕落なことを思ってモラル・ハザードに走ってしまうのが大多数の人間の生理というモノである(汗)。


 なので、それすらも見越しておいて、先廻りしてアミを張るかたちで、そんなスクールカースト低位のダサい人間やコミュ力弱者に手を差し伸べてくれるような人間、もっと云うなら手を差し伸べてもカースト低位の人間とも同一視されることを怖れない人間、あるいはあまりにも人間力があるためにそのような行為をしても周囲からも侮られなずに尊敬さえ勝ち取れるような胆力のある、本作の少年クンのような人間に40人学級に1人くらいの比率で活躍してもらって、啓蒙専制君主(爆)として小集団ごとに統治してもらい、性悪なヤンキー少年やギャル少女たちによる悪行蔓延を防止してもらう方が現実的ではなかろうか?(笑)――40人に1人を確保することすらもが困難か?――


 対するに、冒頭では快活で女子力が高くて理想的な教師かと思われていた姉は、いわゆる「恋愛体質」の人間であり既婚男性と不倫関係(!)にあるダメ人間の一面も与えている。


 物語の序盤は主人公少年と黒髪ショート女子がこの不倫を糾弾せんと共闘する。しかし、いざガチンコ対面で不倫男を糾弾する段になるや、胆力のない対人恐怖なコミュ力弱者の正体を黒髪ショート女子が現わしてキョドってドモってしまうあたりは、さもありなんと思いつつも、弱者男子が鑑賞する分にはこの黒髪ショート弱者女子の本性(?)であるキョドり(挙動不審)具合が実にポイントが高い(笑)。


 この黒髪ショート女子を演じるのは、2012年放映の『さんかれあ』&『中二病でも恋がしたい!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190904/p1)以来、コンスタンントに途切れなく七色の声音で主要ヒロインを演じ続けているアイドル声優内田真礼(うちだ・まあや)――東映製作の深夜特撮『非公認戦隊アキバレンジャー』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200223/p1)での顔出しレギュラー出演も忘れちゃイケナイ!――。昨2018年秋の『SSSS.GRIDMAN』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181125/p1)のエンディング主題歌などの歌唱も記憶に新しいけど、本作では奥手でテンション低めでも善良なクール女子にふさわしい、やや内にくぐもっている感じの艶のある低音で演じていて見事にハマっている。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.74(19年5月4日発行))


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2019年秋アニメ評! 『アズールレーン』 ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど良作だと思う・笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191027/p1

2019年秋アニメ評! 『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~』『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』『私、能力は平均値でって言ったよね!』『旗揚!けものみち』 ~2019秋アニメ・異世界転移モノの奇抜作が大漁!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191030/p1

2019年冬アニメ評! 『五等分の花嫁』『ドメスティックな彼女』 ~陰陽対極の恋愛劇! 少年マガジン連載漫画の同季アニメ化!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201018/p1(当該記事)

2019年冬アニメ評! 『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』 ~往時は人間味に欠ける脇役だった学級委員や優等生キャラの地位向上!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190912/p1

2019年冬アニメ評! 『スター☆トゥインクルプリキュア』 ~日本人・ハーフ・宇宙人の混成プリキュアvs妖怪型異星人軍団! 敵も味方も亡国遺民の相互理解のカギは宇宙編ではなく日常編!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191107/p1


2018~19年アニメ評! 『女子高生の無駄づかい』『ちおちゃんの通学路』 ~カースト「中の下」の非・美少女が主役となれる時代!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200301/p1

2018年秋アニメ評! 『SSSS.GRIDMAN』前半評 ~リアルというよりナチュラル! 脚本より演出主導の作品!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181125/p1

2018年秋アニメ評! 『SSSS.GRIDMAN』総括 ~稚気ある玩具販促番組的なシリーズ構成! 高次な青春群像・ぼっちアニメでもある大傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190529/p1

2018年秋アニメ評! 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』#1~10(第一章~第三章) ~戦争モノの本質とは!? 愛をも相対視する40年後のリメイク!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181208/p1

2018年秋アニメ評! 『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』 ~ぼっちラブコメだけど、テレ隠しに乾いたSFテイストをブレンド

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190706/p1

2018年秋アニメ評! 『ゴブリンスレイヤー』 ~レイプに売春まで!? 周縁のまつろわぬ民は常に憐れで正義なのか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200209/p1

2018年夏アニメ評! 『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 ~声優がミュージカルも熱演するけど傑作か!? 賛否合評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190728/p1

2018年春アニメ評! 『ヲタクに恋は難しい』 ~こんなのオタじゃない!? リア充オタの出現。オタの変質と解体(笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200216/p1

2018年3大百合アニメ評! 『あさがおと加瀬さん。』『やがて君になる』『citrus(シトラス)』 ~細分化する百合とは何ぞや!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191208/p1


2017年秋アニメ評! 『結城友奈は勇者である-鷲尾須美の章-』 ~世評はともかく、コレ見よがしの段取りチックな鬱展開だと私見(汗)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190926/p1

2017年夏アニメ評! 『地獄少女 宵伽(よいのとぎ)』 ~SNSイジメの#1から、イジメ問題の理知的解決策を参照する

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191201/p1

2017年春アニメ評! 『冴えない彼女の育てかた♭(フラット)』 ~低劣な萌えアニメに見えて、オタの創作欲求の業を美少女たちに代入した生産型オタサークルを描く大傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191122/p1

2017年春アニメ評! 『正解するカド KADO: The Right Answer』 ~40次元の超知性体が3次元に干渉する本格SFアニメ。高次元を材としたアニメが本作前後に4作も!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190929/p1

2017年春アニメ評! 『ID-0(アイ・ディー・ゼロ)』 ~谷口悟朗×黒田洋介×サンジゲン! 円盤売上爆死でも、宇宙SF・巨大ロボットアニメの良作だと私見

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190924/p1

2017年春アニメ評! 『ゼロから始める魔法の書』 ~ロリ娘・白虎獣人・黒幕悪役が、人間×魔女×獣人の三つ巴の異世界抗争を高踏禅問答で解決する傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191128/p1

2017年冬アニメ評! 『幼女戦記』 ~異世界近代での旧独vs連合国! 新自由主義者魔法少女vs信仰を強制する造物主!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190304/p1

2017年冬アニメ評! 『BanG Dream!バンドリ!)』 ~「こんなのロックじゃない!」から30数年。和製「可愛いロック」の勝利!(笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190915/p1


2016~18年チア男女やマラソン部を描いたアニメの相似と相違! 『チア男子!!』『アニマエール』『風が強く吹いている』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190603/p1

2016年夏アニメ評! 『ラブライブ!サンシャイン!!』 & 後日談映画『ラブライブ!サンシャイン!! Over the Rainbow』(19年) ~沼津活況報告 & 元祖に負けじの良作と私見

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200628/p1

2016年夏アニメ中間評! 『ももくり』『この美術部には問題がある!』『チア男子!!』『初恋モンスター』『Rewrite』『ReLIFE』『orange』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160903/p1

2016年春アニメ評! 『迷家マヨイガ-』 ~現実世界からの脱走兵30人! 水島努×岡田麿里が組んでも不人気に終わった同作を絶賛擁護する!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190630/p1

2016年春アニメ評! 『マクロスΔ(デルタ)』&『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』(18年) ~昨今のアイドルアニメを真正面から内破すべきだった!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190504/p1


2015年秋アニメ評! 『ワンパンマン』 ~ヒーロー大集合世界における最強ヒーローの倦怠・無欲・メタ正義・人格力!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20190303/p1

2015年秋アニメ評! 『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』 往年の国産ヒーローのアレンジ存在たちが番組を越境して共闘するメタ・ヒーロー作品だけれども…

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20190302/p1

2015年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』 ~長井龍雪岡田麿里でも「あの花」「ここさけ」とは似ても似つかぬ少年ギャング集団の成り上がり作品!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191105/p1

2015年夏アニメ中間評! 『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』『六花の勇者』『おくさまが生徒会長!』『干物妹!うまるちゃん』『実は私は』『下ネタという概念が存在しない退屈な世界

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150901/p1

2015年春アニメ評! 『響け!ユーフォニアム』 ~手放しの傑作か!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160504/p1

2015年冬アニメ評! 『SHIROBAKO』(後半第2クール) ~アニメ制作をめぐる大群像劇が感涙の着地!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160103/p1


2014年秋アニメ評! 『SHIROBAKO』(前半第1クール) ~アニメ制作の舞台裏を描く大傑作爆誕

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151202/p1

2014年秋アニメ評! 『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 ~ガンダムSEEDの福田監督が放つ逆「アナ雪」! 女囚部隊に没落した元・王女が主役のロボットアニメの悪趣味快作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191222/p1

2014年秋アニメ評! 『ガンダム Gのレコンギスタ』 ~富野監督降臨。持続可能な中世的停滞を選択した遠未来。しかしその作劇的な出来栄えは?(富野信者は目を覚ませ・汗)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191215/p1

2014年春アニメ評! 『ラブライブ!』(第2期)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160401/p1


2013年秋アニメ評! 『WHITE ALBUM 2』 ~「冴えカノ」原作者が自ら手懸けた悲恋物語の埋もれた大傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191115/p1

2013年秋アニメ評! 『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』 ~低劣な軍艦擬人化アニメに見えて、テーマ&萌えも両立した爽快活劇の傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1

2013年秋アニメ評! 『サムライフラメンコ』 ~ご町内⇒単身⇒戦隊⇒新旧ヒーロー大集合へとインフレ! ヒーロー&正義とは何か? を問うメタ・ヒーロー作品!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20190301/p1

2013年夏アニメ評! 『げんしけん二代目』 ~非モテの虚構への耽溺! 非コミュのオタはいかに生くべきか!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160623/p1

2013年春アニメ評! 『這いよれ!ニャル子さんW(ダブル)』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150601/p1

2013年春アニメ評! 『惡の華』前日談「惡の蕾」ドラマCD ~深夜アニメ版の声優が演じるも、原作者が手掛けた前日談の逸品!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191006/p1

2013年冬アニメ評! 『まおゆう魔王勇者』『AMNESIA(アムネシア)』『ささみさん@がんばらない』 ~異世界を近代化する爆乳魔王に、近代自体も相対化してほしい(笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200126/p1

2013年冬アニメ評! 『ラブライブ!』(第1期)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1


2013~14年3大アイドルアニメ評! 『ラブライブ!』『Wake Up,Girls!』『アイドルマスター

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1

2012年秋アニメ評! 『ガールズ&パンツァー』 ~爽快活劇に至るためのお膳立てとしての設定&ドラマとは!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190622/p1

2011年春アニメ評! 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 ~別離・喪失・齟齬・焦燥・後悔・煩悶の青春群像劇の傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191103/p1

2011年冬アニメ評! 『魔法少女まどか☆マギカ』最終回「わたしの、最高の友達」 ~&『フリージング』『放浪息子』『フラクタル

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120527/p1

2008年秋アニメ評! 『鉄(くろがね)のラインバレル』 ~正義が大好きキャラ総登場ロボアニメ・最終回!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090322/p1

2008年春アニメ評! 『コードギアス 反逆のルルーシュR2』 ~総括・大英帝国占領下の日本独立!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20081005/p1

2008年春アニメ評! 『マクロスF(フロンティア)』(08年)#1「クロース・エンカウンター」 ~先行放映版とも比較!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080930/p1

2008年春アニメ評! 『マクロスF(フロンティア)』最終回評! ~キワどい最終回を擁護!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091122/p1

2008年冬アニメ評! 『墓場鬼太郎

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080615/p1


2007年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』 ~第1期・第2期・劇場版・総括!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100920/p1

2007年秋アニメ評! 『GR ジャイアントロボ

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080323/p1

2007年春アニメ評! 『ゲゲゲの鬼太郎』2007年版

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070715/p1


2006年秋アニメ評! 『天保異聞 妖奇士(てんぽういぶん あやかしあやし)』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070317/p1

2006年夏アニメ評! 『N・H・Kにようこそ!』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061119/p1


2005年秋アニメ評! 『BLOOD+(ブラッド・プラス)』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20051025/p1

2005年春アニメ評! 『英国戀(こい)物語エマ』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20051022/p1

2005年春アニメ評! 『創聖のアクエリオン』 ~序盤寸評

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20051021/p1


2004年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY(シード・デスティニー)』 ~完結! 肯定評!!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060324/p1

2004年春アニメ評! 『鉄人28号』『花右京メイド隊』『美鳥の日々(みどりのひび)』『恋風(こいかぜ)』『天上天下

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040407/p1

2004年冬アニメ評! 『超変身コス∞プレイヤー』『ヒットをねらえ!』『LOVE♡LOVE?』『バーンアップ・スクランブル』『超重神グラヴィオン ツヴァイ』『みさきクロニクル ~ダイバージェンス・イヴ~』『光と水のダフネ』『MEZZO~メゾ~』『マリア様がみてる』『ふたりはプリキュア

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1


2003年秋アニメ評! 『カレイドスター 新たなる翼』 ~女児向け・美少女アニメから真のアニメ評論を遠望! 作家性か?映画か?アニメか? 絵柄・スポ根・複数監督制!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040408/p1

2003年春アニメ評! 『妄想科学シリーズ ワンダバスタイル』『成恵(なるえ)の世界』『宇宙のステルヴィア』『ASTRO BOY 鉄腕アトム

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040403/p1

実写版「映像研」「はがない」「妹ちょ」「ハルチカ」「一週間フレンズ」「ReLIFE」「サクラダリセット」 ~漫画アニメの不評な実写化作品を擁護する!(震え声)

『映像研には手を出すな!』TVアニメ版 ~イマイチ! 生産型オタサークルを描くも不発に思える私的理由
『ReLIFE』TVアニメ版 ~2016年夏アニメ評 『ももくり』『この美術部には問題がある!』『チア男子!!』『初恋モンスター』『Rewrite』『orange』
『トクサツガガガ』(TVドラマ版)総括 ~隠れ特オタ女子の生態! 40年後の「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」か!?
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 2020年9月25日(金)からマンガ原作の実写映画『映像研には手を出すな!』(20年)が公開記念! とカコつけて……
 その前日談である2020年4月から放映された実写深夜ドラマ『映像研には手を出すな!』(20年)ほか、2010年代のマンガ・アニメ・ラノベ作品の実写映画版『僕は友達が少ない』(14年)・『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(14年)・『ハルチカ』(17年)・『一週間フレンズ。』(17年)・『ReLIFE リライフ』(17年)・『サクラダリセット 前篇/後篇』(17年)評をアップ!


実写版『映像研には手を出すな!』・『僕は友達が少ない』・『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』・『ハルチカ』・『一週間フレンズ。』・『ReLIFE リライフ』・『サクラダリセット』 ~漫画アニメの不評な実写化作品を擁護する!(震え声)

(文・T.SATO)

『映像研には手を出すな!』(実写ドラマ版)

(2020年8月11日脱稿)


 高校の部活動である映像研究会。実質的にはアニメを製作するサークルを舞台に3人の少女が活躍する作品。
 2020年冬季にNHKで深夜アニメ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200325/p1)としても放映。ググってみると、いわゆる「動物化」しているベタ層ではなく、マジメでプチインテリオタクの気がある人種たちの間ではカナリ高い評価を得ているようだ。


 まず深夜アニメ版の寸評。
 ウ~ム。もちろん嗜好品なので、他人の好みや評価を否定する気は毛頭ナイことは念押ししておくけど、狙いの志はともかく出来上がった作品は上滑りしているような気が個人的にはするなぁ(汗)。


 あの往年の『ジャリん子チエ』(81年)みたいな小柄な少女主人公。まず彼女が最低限の美少女キャラではないことが引っかかる(笑)。まぁ美男美女を主役に据えないのは、ある意味では志が高いけど。
 彼女が往年の名作アニメ『未来少年コナン』(78年)もどきに小学6年時分にカルチャーショックを受けてアニメの道を志す動機をシッカリと描くあたりはもちろんイイ。しかし、若者カーストでは遊び人タイプのコミュ力強者が最上位で、絵や文を書いているような内向的なコミュ力弱者、異性を楽しませる会話ができない我々のような輩は最底辺確定で、それゆえのルサンチマンからアレだけ(ひとり)ボッチやスクールカーストがテーマの作品が隆盛を極めているのに、そのへんの劣等感や隠れキリシタン意識も描かないとウソじゃないかと思うのだけど、この作品はそのへんはスルーなのであった……。



 本作が2020年の冬アニメとしてNHKの深夜ワクで放映された直後、春のTBSの深夜ドラマとして本作の実写版も放映された。試しに観てみる……。


 お、面白いやないけー!


 主人公少女が現実世界に妄想のSF設定を重ねて映像化していくサマも、ラフな素描のエンピツ手描き(?)風の線画CG合成で見事に映像化ができている。


 メインの3人の少女キャラたちはアイドルグループ・乃木坂46(のきざか・フォーティシックス)のメンバーが演じるあたりで醜女であるワケもないけど、実写作品である以上は醜女であると画面上では浮かび上がってきにくくて主役として認知されがたいとも思うので、コレはコレでイイと思う。


 その代わりにちょっとした配慮・微改変・チューニングも主要キャラに施す。


 まず、主人公少女は齧歯類系の愛くるしい小顔ベビーフェイスの黒髪ショートの痩身で、幼稚園児的にも見えることから(失礼・笑)、原作マンガの絵柄通りのチビチビの小柄少女との共通性は確保。
 しかして終始オドオド・キョロキョロ・ビクビクのビビリ的な演技を与えることで、たとえ絵はウマく描けて見た目は美少女寄りでも彼女がまごうことなきコミュ力弱者のオタであると実感させ、ギャルが優勢な女子カースト内では劣位になるだろうと、ドラマやテーマ以前の見てくれや挙動の演技・演出でも腑に落とすことで、筆者が深夜アニメ版に抱いた違和感も解消されるのだ。


 加えて、大昔にもあるにはあったけど、一部のオタク男女が自分のキャラ付けのためにか(笑)アニメキャラのように語尾や口調を特徴付けて作り込んで喋るサマ。彼女の演技的な作った喋りも、残りふたりの女子たちいわく、そのようにキャラを演じて臆病な素を隠すことでむしろ他人とのコミュニケーションが取りやすくなっている……という趣旨の分析ツッコミを入れることでも腑に落とす。


 てなワケで、筆者個人は実写ドラマ版の方を評価するけど、ググってみるとマンガ・アニメの実写化作品の多くがそうであるように、本作実写版も黙殺か酷評の憂き目に遭っているのであった……(笑)。
映像研には手を出すな!

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映像研には手を出すな!

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  • 発売日: 2020/04/01
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.77(20年8月15日発行))


僕は友達が少ない』(実写映画版)

(2014年2月1日(土)公開)
(2014年7月4日脱稿)


 ウソつけ! 友達いるじゃねーか!?(笑)


 主人公の高校生男子クンに友達がいない理由は、小心や腕力がナイゆえのコミュニケーション弱者だからではなく、ハーフゆえの金髪や怖い目付きに周囲が引いてるためだとゆー。


 だったらまだイイじゃん。プチ優越感(?)を味わえて救いもあるじゃん。イザとなれば他人との意志疎通や、命令や交渉して他人を動かすことすらできるじゃん。
 意図せずとも友達作りが名目の部活「隣人部」(笑)に加入したのならば、部員たちは一応のお友達。メンバーも増えていくし、しかも異性だらけだから、ある意味リア充(リアル充実=現実世界で充実)じゃん。


 本当に「友達が少ない」人間の苦悩とゆーのはだなぁ。こんなモンじゃねェー!!(爆)


 ……と、こうやって自身の感慨を言語化して客観視してみると、リアリズムが優先されるワケでもないフィクション作品にルサンチマン(怨恨)をココぞとばかりにブツけていて、このテの題材だと暑苦しくなる筆者の方こそがイタかったんだナ、と痛感したりして(汗)。


 以上はTVアニメ(11年)の序盤に対する筆者の感想。さて、今回の実写映画版。公開前からボロカスに罵倒されていたけど、個人的には擁護したい(……震え声)。


 監督や出演者(除く1名)はTVアニメ版(1期11年・2期13年)を観ていなかったそうだけど――まぁオタではない一般ピープルならばそうだよナ(汗)――、


無人の教室で「エア友達」のトモちゃん(笑)と語らっている図がキョーレツな、黒髪ロングの腕組みしている命令口調のメインヒロイン
・校庭から部室の窓に顔と巨乳を押しつけて入部を希望する、一見ビッチでリア充の女王さま系サブヒロイン
メガネっ娘で白衣理系の腐女子であるサードヒロイン


 彼女らメインヒロイン・サブヒロイン・サードヒロインは、TVアニメ版とほぼ同じカメラ構図(!)&演技にて登場。


・メイド服の男の娘(?)
・主役の妹の中二病金髪ゴスロリツインテール
・10歳の修道女(笑)


 それらの脇のフォース・フィフス以降のヒロインズは、賛否あるようで、この実写映画版には不要! との意見までをも散見したけれども……。
 彼女らが登場しなかったならばもっと「別モノ」作品臭が強まったであろうし、仮に高校生主人公クンの妹役にガチでホンモノの金髪外人ロリ美少女を連れてきてしまったならば、このロリ妹キャラのメンタルは帰国子女ではなく日本人の気弱な少女そのものというのか日本アニメの記号的な美少女キャラそのものなのだから(笑)、このテの国内マンガ・アニメチックな設定でもある実写化作品だとかえって劇中で異物臭が強くなってしまって浮いてしまったことだろう。
 そもそも一点属性主義で勝負する脇役美少女キャラたちだから、フツーの日本人の子役であったり美少女が演じる美少年でありさえすれば個人的にはOKだ。


 だけれども、各キャラを物語の方ではなく点描の方で微調整。


・主人公青年クンは少々気弱で不良に眼を付けられても応戦する腕力がなくて逃走(汗)。
・ビッチに見える巨乳サブヒロインもクラスで男子たちからは崇拝されるも、机の中に下着を詰め込むとゆー女子たちからのイヤがらせには沈黙(…)。
・男の娘(おとこのこ)も校内で終始メイド服を着ていれば、校舎ウラで不良たちに恫喝もされるよナ――それに気付くも助ける胆力がナイ主人公青年像もマル(汗)――。


 ……あぁ、原典作品にも各キャラのこんな「弱み描写」があれば、「友達が少ない」という彼らの大前提でもある「孤立」描写にもナットクがいって、序盤から一挙に共感・感情移入ができたかも。
 サブヒロインの父が洋風ではなく和風豪邸に住まう俳優・石原良純(笑)で女中に手を出してしまう改変もしょせんは脇役だし、そーゆータイプには見えないサブヒロインが仮想現実・TVゲームといったオタッキーな趣味に執着してしまう動機(=現実逃避)にもなりうるし。


 ちなみに主人公高校生クンは、劇中でもオトメンこと乙女のような男子であり長年の引きこもり(爆)として設定されていた『仮面ライダーキバ』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090215/p1)こと紅渡(くれない・わたる)を演じた瀬戸康史(せと・こうじ)であり、柔和そうでもありながら気難しそうでもあり、周囲が勝手に誤解して避けていく「人となり」をそのままでも体現できている(笑)。


 原典作品は「(ひとり)ボッチもの」というよりも、異性との交流が苦手やテレくさくて、異性の想いを受け止めるだけの人間としての器量の大きさにも欠けているので、告白を聞こえなかったフリをしてゴマかしてしまう、あるいはそれに応えての再度のダメ押し告白をすることができない、いわゆる「ヘタレ難聴(笑)」男女たちによる「ラブコメ」ものに収斂していって意外にもキュンキュンさせてくれる作品にはなっている。


 だけれども、映画というのは2時間で1クールアニメの最終回に相当するヤマ場を作って完結すべきものである。ヒイてジラしたスレ違いラブコメは尺的にもムリだからかオミットし、後半は映画オリジナルの展開へ……。


 真『僕は友達が少ない』キャラ(笑)でブレイク中のモデル・栗原類(くりはら・るい)が怪演する映画オリジナルの生徒会長が彼らの部活動の廃部を企む中、TVアニメ版の初期編にも登場したゲーム機をブローアップ。仮想世界の中で友達に不自由しないリア充生活を彼らは満喫する。


 その過程で挿入される、部活のみんなで、


・カラオケ
・夏祭りの夜店
・花火遊び


などの原典作品にもあった寸描の数々。たとえ部活動でも人並みの青春を演技でもナンチャッテでも予行演習できれば、その積み重ねで少しはお互いの距離も近づこうというもの。そのへんの一連は愛おしい。


 仮想現実に「ベタ」に没入するサブヒロインと、虚構だとわかってはいてもニヤけてしまう「メタ」なメインヒロインとの対比。後者が前者を小バカにしている構図もイイ。


 が、ネタバレするけど、メタにメタを重ねて後者に対しても相対化を施していく。自己防衛の理論武装の果てに自分の真の願望が判らなくなっているヤツ、「ベタ」や「中二病」を超越した気になっているけど、ホントは気になって気になって仕方がないヤツこそが、コジらせていて始末が悪いとも取れる展開となっていき、仮想世界も多段構造になってくる。


 そのへんは情よりも知に訴える感じで、普遍性や万人受けに欠けている表現で少々弱い気もするけど、個人的にはキライじゃない。まぁあくまでも本作のメインヒロインがメンドくさいヤツだったってだけで、筆者個人には心当たりはナイけどな――癪にさわるけど(笑)――。


 原典(というかラノベ原作は未読だからTVアニメ版)はストーリー展開&手つきがドコかで微量に乱雑で投げやりな雰囲気が漂っていて、それでも潤いが感じられるのは挿し絵――絵師・ブリキの手になるキャラデザ――の力と、それが作品世界の本編の「空気」にも還流しているからだと私見するのだけど、幼きころの主人公高校生クンとの日々を忘れずに、でもそれを素直に出せずに彼が気付くまで実は待っていた……という高飛車でも奥ゆかしい(?)メインヒロインがドラマとしては萌えポイントではあった。


 加えてこの実写映画版では、再会した彼のヘタレぶりに幻滅しながらもやはり執着しているとも取れるような描写を強化。でも「色恋」を前面に出さずにそこを終点にもせずにその一歩手前で、彼らの原点でもあった「友だち作り」全般に立ち返っていく清涼なオチであり、個人的には悪くはないと思う。
僕は友達が少ない

僕は友達が少ない

僕は友達が少ない

  • 発売日: 2014/11/13
  • メディア: Prime Video
僕は友達が少ない [DVD]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.62(14年8月15日発行))


――後日付記:本作の脚本&監督を務めた及川拓郎(おいかわ・たくろう)は、名作深夜ドラマ『深夜食堂』(09年)の脚本&監督などでも目にしてきた御仁。東映の刑事ドラマ『刑事7人』(15年~)や『刑事ゼロ』(19年)でもメイン監督を務めている。ジャンルファン的には岩手県ローカルヒーロー『鉄神ガンライザーNEO(ネオ)』シリーズ(14年~)の全話脚本&監督でもある!――


最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(実写映画版)

(2014年5月17日(土)公開)
(2014年7月5日脱稿)


 まずTVアニメ版(14年)の感想。
 また「妹モノ」かョ。志が低いよナと思いつつも、「妹モノ」作品群は「ネタ」化が著しくて作品タイトルも秀逸で(笑)、本作のそれもビミョーに隠微かつ「ネタ」っぽくてウケるから妙に観たくなる(誓って筆者個人の特殊な性癖のせいではナイ!?)。


 でもドー云い繕おうとも、妹モノは弱者男子にとっての都合のいいファンタジー。ファースト『ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)のヒロインたちを例えに云わせてもらえば――すでにファーストガンダムがオタの共通言語ではナイという話は置いといてください(汗)――、外の世界でオトナの女性っぽいセイラさんみたいな異性を引っかけるのではなく、フラウボゥみたいな幼なじみと引っつく方へと退行し、さらにオタにとっては縁遠い「異性との出逢い」描写をハブくことができてしまう、最初から異性と出逢っており同一空間で共同生活もしている「妹モノ」の勃興ヘ。
 本作もそんなオタ向け作品の歴史的な退行文脈の一環であり、罵倒してやろう(笑)と手ぐすね引いて待っていたのだけれども!?


 ピンクのネグリジェの肩ヒモがズレ落ちてノーブラの胸の谷間も見せつける、ゆるふわ栗色ヘアにピンクの巨大リボン、背には小さな天使の羽を生やした美少女。彼女がイタズラっぽく微笑みながら、オボこい黒髪女子高生の両手を奪ってベッドに押し倒し、股の間に割って入ってイヤがる相手のホッペにチュッ♪
 黒髪女子高生の肉体に憑依するや、胸とアソコをまさぐって自慰にふけって悶えまくる! 分離しても同じ場所を攻め続け、首スジやホッペをナメるや唾液が糸を引き、耳を甘く噛み、女子高生は絶頂へ……。


 この作品は、「妹モノ」じゃなくて「百合モノ」だったのか!――ってソコじゃなく――


 基本設定がヒドすぎ。ネグリジェ少女が成仏するためには生前スキだった男子高生とイチャコラせねばならない。そのために男子高生の義妹に憑依して、ハート型の小さな計測器がついた黒色の脱げないTバック型の「TST」なる「貞操帯」(笑)を装着。しかも用を足す3分間だけ外れるけど以降1時間は外せない。トイレで尿意をガマンする羞恥プレイ、ついには保健室の花瓶に四つん這いで小水を。それを義兄に見られちゃう義妹女子高生!


 後学(?)のために実写映画版(14年)も観てみた。前述の描写をあまさず映像化!
 後学のために原作漫画版(10年)も読んでみる。ン? 聖水プレイは現実の出来事でも寸止めで描写自体はナイぞ。
 後学のためにBD版とTV放映版の比較検証サイトも見てみる。BD版では内股を伝う雫(しずく)が黄色く着色されている……。


 TVアニメ&映画版スタッフは頭がオカシい!(笑)


 本作を否定することは「表現の自由」への侵害なのか? 表現の高度さってエロではなくてテーマとか映像センスのことだったのでは? かの「アニメ新世紀宣言」から30余年。ボクらが夢見たアニメの未来はコレだったのか?(笑) そんな引いた視点もロートルとしては手放したくない。


 一方、マンガ・アニメなんて低俗でエエやん? 浮き世離れした頭デッカチなハイブロウ作品に走るよりも、地に足の着いた身の丈の手触り・肌触りこそを重視べきじゃネ? とも思うのだ。


 この両極端を架橋して同時に肯定する「統一理論」がナイものかと思ってウン十年。いまだそのようなご大層なモノを構築できる手立てなどはあらず、筆者個人もとっ散らかったままでジャンル作品を語っておりますが……。


 はてさて実写映画版。個人的には擁護したい(……震え声)。3次元で2時間に再構築するならば、こーいうアレンジで妥当なのでは? なんとTVアニメ版の全1クールの主要イベントをほぼ網羅もしている!


 ただ、異性が苦手で話しかけるのにも勇気を振り絞っている弱さを、「ツンツン」した態度&首アゴ前の大きな赤マフラーで鎧(よろ)っているような黒髪女子高生で高1の義妹の描写は少々軟化して、共通の音楽趣味でクラスに同性の友達ができる姿も点描している。


 彼女に憑依する甘え上手な「デレデレ」担当のネグリジェ少女も少し余裕アリげな黒髪ストレート女子に変更。


 この改変でアラスジは同じでもテイストが変わるのも事実なので、抵抗を覚える原作至上主義者もいるのだろうけど、いかにもオタ向けな記号的キャラクターをジャンルファン以外に流通させるためにも、この微調整は適切なのではあるまいか?


 マンガ・アニメだと三角関係の一角になる隣家の高3のお姉ちゃんは、温泉でナマ巨乳を披露するのは同じでも(笑)、この実写映画版では教育実習生に変更して色恋にはノータッチ。


 最大の改変は主人公である高2の兄貴だとも私見。原作マンガだと、(ひとり)ボッチ少女漫画『君に届け』(05年・09年に深夜アニメ化)のサラサラ黒髪さわやかイケメン君みたいな見てくれで、義妹が義兄を好ましく思う展開もギリギリありかもと、ドラマ以前のルックス面でも補強するけど、同時に色事に鈍感でも「イイ男すぎだろ!」的なプチ反発も少々覚えてしまうのだ。
 これに色や声や動きがついたり実写だったらもっとハナにつくかも? と配慮してか、TVアニメ版ではちょいモサッとした感じ、実写映画版でも短髪でポーカーフェースの剣道少年にしてストイックな雰囲気も醸す。
 2次元だと喜怒哀楽を多少大仰にしないと観客に通じないけど、3次元でエロ事での動揺を顔に出しすぎるのはイケメン男子でもイヤラしくなるので、コレは適切なアレンジかと私見――媒体の優劣の話ではナイので念のため――。


 本作はジャンル作品の実写化を蓄積して10年単位で他業種とも協業、旬の若手役者も起用してヒットさせれば高収益ともなる映画ビジネスへの角川書店の実験的な布石かとも憶測。オタ側もコレに慣れて、アレンジの妙を楽しむ流儀が普及して、実写化に無闇に反発したことを反省する日が来ることを祈りたい。
最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。DVD

最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。ディレクターズ・カットBlu-ray
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.62(14年8月15日発行))


ハルチカ』(実写映画版)

(2017年3月4日(土)公開)
(2017年4月12日脱稿)


 正副主人公のハルタ(少年)とチカ(少女)の名前から取られたタイトル。
 原作は小説だそうだが、「吹奏楽部」プラス「推理モノ」がお題。殺人事件は起こらないけど、学園の些細な事件に先輩や卒業生が残したナゾ掛けをちょっとイイお話風に推理・解決していく、先にも京都アニメーションが深夜アニメ化した『氷菓』(12年)などの前例もある、いわゆる「学園ミステリ」作品でもある。


 昨2016年冬季に『ハルチカハルタとチカは青春する~』のタイトルで深夜アニメ化もされており、筆者もそれで本作を知ったクチ。大人気アニメ『ラブライブ!』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1)や『電波女と青春男』(11年)などの西田亜沙子が担当した、お眼めパッチリ瞳キラキラが鋭角的なマツ毛ギトギトの域にも達しているキャラデザは、個人的には好物だけど、淡泊な絵柄が主流の昨今では若いオタの多数派の好みではなかったのやも(汗)。


 TVアニメ版を鑑賞したかぎりでは充分に鑑賞に堪えうる作品だったと思うけど――原作を結構アレンジしていたそうだけど――、売上的には1巻あたりが数百枚の大爆死。


 知的で温厚な美少年クンとは良いコンビの、劣等感や逡巡とは無縁そうな屈託のない明るく元気で華のある黒髪ロングのメインヒロインは、我々オタク男子と釣り合うかはともかく(笑)、傍から見ている分には魅力的だし、#1におけるクルッと前転して楽器をキャッチする身軽なサマはマンガ・アニメ的ではあるけれど、彼女の快活な人となりをも1カットだけで表出できており、演出的にもとても印象深かったのだけれども。


 筆者が専らとする映画館でのアニメ映画鑑賞では、本作実写版の予告編が流れたことは一切なかった。ゆえに本作の存在も知らなかったのだけど、芝生に寝転がっているとおぼしき黒髪ロングの制服美少女の斜めヨコ顔アップのキービジュアルを、封切直前週のシネコン・ホームページで閲覧して当作を認知。コレはチェックをせねばと――そんな義理もナイけれど(笑)――と映画館へ足を運んでみた次第。


 ウ~ム、「学園ミステリ」としての要素はほとんど消失しており「吹奏楽部」の練習がメインで、深夜アニメ『響け! ユーフォニアム』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160504/p1)みたいになっている……(爆)。
 近年の野郎オタはマンガやアニメの実写化に冷淡どころか排外主義的ジャンル・ナショナリスト(汗)の気もあるから、この大幅アレンジは危険なのでは?――爆死の空気アニメだから心配ナイってか?(笑)――


 前年度に内紛があったらしく――ここでも既視感――、すでに解散している吹奏楽部。高校では吹部をやりたかった物怖じしない明朗ヒロイン・チカは、イジワルそうな校長と直談判して4月末期限で部員集めに奔走する。紆余曲折の末、主に彼女の厚かましい人格力(汗)で最低限の新旧メンバーが集って吹部が復活!
 しかして部員の中では彼女が最も初心者で下手クソで苦労をすることに。ようやく上達の目が見えるも、迎えたコンクールのシーンは省かれて、校舎・校庭の内外をまたにかけた授業中のゲリラライブが、ミュージカル的に描かれることで、全校生徒や校長までもが踊りだし(!)、しかしてコンクールの結果も推して知る展開となっていく……。


 主役は「千年に1人の美少女」の煽りで売り出され(笑)、オタク的にはゲーム『ガールフレンド(仮)』ともコラボした橋本環奈(はしもと・かんな)嬢。お相手はジャニーズ・SexyZone佐藤勝利クン。
 宣伝キービジュアルだけだと恋愛映画のようにも見えるけど、その実態は恋人未満の関係であることから、コレはオタではない一般の若年男女に本作をオシャレ系デートムービーとして誤認させて集客するためのフェイクでもあるのだろう。まぁ結果的にはそんなに観客が入ったワケでもなかろうけど、こーでもしなけりゃもっとお客は入らなかったワケで、集客するための作り方として間違っているとも思えない。


 とはいえ、原作小説やTVアニメ版の至上主義者の方々にあってはご不興だったら申し訳ナイけど、媒体ごとのアレンジを楽しみたい筆者には、ミステリ部分をオミットして音楽の力で終盤のクライマックスを作る、このアレンジもアリには思える――まぁ実写作品の方がリアリティ&コミカルの喫水線は高くなるので、このミュージカルな終盤を受け付けない御仁も結構いそうではあるけれど――。


 加えて、オシャレ系映画かと思わせて、一方では吹部部員に個性的なフツメン(普通の顔面)・ブサメン(不細工な顔面・失礼)を揃えたあたりも個人的には好印象!


 橋本環奈は引きの絵になるや、部員中では最もチビだとわかる。そこはTVアニメ版でのやや長身で伸びやかなイメージとは異なるけど、小柄ゆえ彼女がマンガ・アニメ的に男子生徒をブッたり蹴ったりしても、暴力的な印象は醸さない――ウ~ム、このテの描写の印象は個人差が大きいか?(汗)――


 製作は井上伸一郎率いる角川書店が主体で(多分)、ジャンル系原作を実写映画で流通させるココ数年の展開も、継続は力なりでそのうちにドカンと当たる日も来るんじゃないですか? 日陰者のオタとしては「ラーメンは屋台にかぎる」でそれはうれしいことではナイのやもしれないけれども、会社経営&拡大のビジネスとしては正しいとすら思うのだ。
ハルチカ 通常版 [DVD]

ハルチカ 通常版 [DVD]

ハルチカ 通常版 [DVD]

  • 発売日: 2017/09/02
  • メディア: DVD
ハルチカ 通常版 [Blu-ray]
ハルチカ(1) (角川コミックス・エース)

ハルチカ(1) (角川コミックス・エース)

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.69(17年5月4日発行))


一週間フレンズ。』(実写映画版)

(2017年2月18日(土)公開)
(2017年4月12日脱稿)


 3年前の2014年に深夜アニメ化されたマンガ作品の実写映画版。TVアニメは東宝アニメーション製作だったので、本作もてっきり東宝映画かと思いきや……。意外にも松竹製作なのでありました。


 原作はオタク系の漫画誌「ガンガン」系列の連載だけど、女性作家によるいわゆる少女マンガ絵の作品である。しかも今風のデッサン骨格シッカリ系ではなく、ゆるふわ・撫で肩のポワポワしたキャラデザで、繊細かつ淡泊な印象。


 TVアニメ版は、深夜アニメ『君に届け』(09年)や『琴浦さん』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)冒頭でも観たような、教室で誰ともしゃべらずうつむいて、冷たい表情の拒絶オーラで周囲に壁を作っている美少女の図で開幕。
 そんな彼女が、暑苦しい体育会系ではなくキモオタでもない(汗)中肉中背の人畜無害・さわやか安全癒し系のニコニコ笑顔の少年のひたすらなプッシュで、次第に心を開いていく……。


 心因性の1週間前までしか記憶が保てない記憶障害をカラめたところだけは変化球だけれども――厳密には『博士の愛した数式』という世界の黒澤明カントクの黒澤組の残党が映画化(06年)したベストセラー小説(03年)の前例もあるけれど。メインヒロインは数学が得意という設定はココからの引用か?――。
 イジワルに見れば、やっぱ文化系の弱者女子ってこーいうヤサ男がスキなのネ? とサメてこなくもないのであるけれど……(笑)。


 本作はメインヒロインが自力救済したのではなく、面倒見のイイ男子クンが手を差し伸べてくれたから救われたのであって、弱者女子にとっての都合のいいファンタジーである! という批判も可能ではある。
 が、ウジウジした我々オタク男子が愛好する美少女アニメこそが、数十年の周回遅れでの70年代乙女チック漫画の正当後継者、性別反転の換骨奪胎版だとも云えなくはナイので(ホントか?)、筆者個人は本作を批判する資格がナイのだけれども(汗)。


 しかもヒロインが心を開いたあとは、気立てがとっても良くって文化系女子っぽくて、男のコに尽くします! といったタイプでもあるので、少女マンガ文法の作品ではあっても、我々野郎オタの女性の好みとも実は野合ができている。
 ゆえに、実写映画版で付与された「記憶喪失前にはバスケットボールをやっていた」という点描のみ、運動神経には劣るオタク男子たちにはプチ苦手意識を抱くであろうし、メインヒロインの「弱者性」や「悲劇性」を削ぐようにも思うのだけれども。この追加設定は必要だったのであろうか?(笑)


 この実写映画版はソフトフォーカスを多用したり映像を白く飛ばしたりして、少女マンガ的な雰囲気を醸すことには成功している。メインヒロインは作品冒頭では周囲に対する拒絶感も醸さないとイケナイので、クールでシュッとした顔立ちの女のコを配置。調べてみると、数年前に主演した民放TVドラマで最低視聴率を記録して叩かれたコだけれども、悪くはナイと思う。


 対するお相手役は近年売れっ子の山崎賢人(やまざき・けんと)氏。コチラも調べると、同じく少女マンガ原作の実写映画『orange(オレンジ)』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160903/p1)・『オオカミ少女と黒王子(くろおうじ)』(16年)でもヒロインのお相手役を務めている。ともに深夜アニメ版を観ていた身としては(汗)、原作はもっと長身で陰のあるイケメンでは? 本作のそれはもっと甘ったるいお坊ちゃんでは? といずれもイメージと違う気もする(汗)。しかし、観客のほとんどは原作未読だろうし、今どき仕掛ける側もプロだから、諸々計算した果ての集客ができるキャストなのであろう(多分)。


 TVアニメ版ではメインヒロイン&主人公少年、主人公少年の親友である無愛想同級生&黒髪オカッパ小柄少女の2カップル(?)が主軸だけれども、この実写映画版では小柄少女はトロトロボケボケしておらず、主人公少年に片思いをしており終盤でフラれる役回りに変更されている。実写だとトロボケ描写は鼻につき、男に媚びてキャラを作っているようにも見えかねないとも思うので、この改変はアリだとは思う。


 それよりも終盤の大胆なアレンジの方こそが問題か? 2学期に転入してきたイケすかないイケメン男子が、ヒロインの元カレらしいのはTVアニメ版と同じ。しかし、紆余曲折の末に元カレとの記憶が甦った反動で、今度はヒロインは主人公少年との記憶を消失! 主人公はヒロインと元カレのイチャイチャを遠くから見守るばかりで1年半! ついに卒業式の日を迎えてしまうのだ(汗)。


 2時間の尺で起承転結を作るのに、この改変も個人的にはアリだと思うけど、原作信者の反応が怖いなぁ。
 もちろんエンタメである以上は、主人公青年クンに救いがないまま終わるワケがないので、最後の最後に伏線を活かしてメインヒロインは主人公青年クンとの記憶を取り戻す。そんな姿を見て元カレも悟って、ヒロインに主人公少年の元へ行けよと云ってくれるあたり、ご都合主義に過ぎてビミョーだけど、前の席の女のコはこの一連で泣いていたので、ターゲット的にはコレでイイのであろう(多分)。
 最後の元カレ(=今カレ)の物分かりが良すぎる態度に弱点はあると思うものの、ココをリアルに深堀りしだすと、物語が2時間でキレイに終わらなくなるのだし(笑)。


 傑作だと強弁する気はナイけれども、観られる作品にはなっていたと私見する。
一週間フレンズ。

一週間フレンズ。

一週間フレンズ。

  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: Prime Video
一週間フレンズ。 [DVD]
一週間フレンズ。 豪華版(初回限定生産) [Blu-ray]
一週間フレンズ。

一週間フレンズ。

  • メディア: Prime Video
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.69(17年5月4日発行))


――後日付記:NHK大河ドラマ麒麟がくる』(20年)で戦国大名第2号(?)斎藤道三(さいとう・どうさん)の娘で、織田信長に嫁ぐ濃姫(のうひめ)こと帰蝶(きちょう)などを演じてブレイク中の今をときめく川口春奈が本作実写映画版のメインヒロインを演じていた!――


『ReLIFE リライフ』(実写映画版)

(2017年4月15日(土)公開)
(2017年7月29日脱稿)


 スマホ漫画が原作で、昨2016年夏にもカタカナ抜きの『ReLIFE(リライフ)』のタイトルで深夜アニメ化された作品(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160903/p1)が、早くも実写映画化。
 本作は27歳のニート青年が薬剤の臨床試験終了後の就職斡旋と引き替えに、某研究機関が開発した錠剤で見た目を10歳若返らせて高校3年生に編入し、世代間ギャップを感じつつも、級友たちの青春模様に巻き込まれていくといった作品である。


 一般に少年マンガの主役を務めるのは熱血明朗タイプと相場が決まっているけど、我々オタはそーいう性格とは真逆であり遠さを感じるからであろう、オタ系マンガやライトノベルや深夜アニメにおいては、ニートや引きこもり、もしくはそれらに準ずる性格類型の人種が主役を務める作品が近年では多い。それが不健全だと糾弾したいのではなく、むしろ彼らに近しい性格である筆者は、現今のぶっちゃけた風潮をむしろ好ましく感じているけれど(笑)。


 本作では27歳のニート青年に加えて、メインヒロインに黒髪ロングでコミュ力弱者の女子高生も配置。彼女は学力は高いけど気弱で(ひとり)ボッチで孤立していて、勝ち気なサブヒロインとの不和&和解も軸となる。


 深夜アニメ版の中後盤では、ニートであったコンビニ・バイト店員時代も現在の高校生生活でも、顧客や級友たちに対して気配りができて実に面倒見のイイ主人公青年が、なぜにニートに成り下がったのかが明かされる。
 大学院卒なのに不況でブラック企業に勤めざるをえず、デキる女性営業マンの先輩は品性下劣な野郎の同僚たちの度重なる小細工や上司のパワハラで心を病んでついに会社で自殺(!)。ブチ切れた主人公は辞表を叩きつけるものの、新卒数ヶ月で退職した彼の再就職はままならず、自信喪失に陥っていく……。


 このへんのシビアな一連も、1クールアニメのシリーズ後半の点描でならばともかく2時間しかない映画に盛り込むとなると、重たすぎるからオミットするだろうし、それでイイのだろうとも思っていたのだが……。
 深夜アニメ版では姉御ボイスの沢城みゆき嬢が演じていたこの先輩社員を、大ヒット怪獣映画『シン・ゴジラ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160824/p1)の理系官僚・尾頭ヒロミ(おがしら・ひろみ)役での記憶も新しい市川実日子(いちかわ・みかこ)が演じていて驚き。さすがにその当の現場は目撃しなかった設定に改変されて、ゆえに主人公がネクタイを締められないというトラウマ(心的外傷)も省かれていたけれども。


 筆者も人生途上で、誰かスケープゴートを作ってその人物の悪口で結束を図って自身の優位も保とうとする上司や同級生、下請け会社の納期の遅れを電話越しに罵倒し続けるパワハラ管理職、気弱そうだったりメガネのガリ勉クンを見ると無意識に嗜虐心を刺激されるのか執拗に責め続けるヤンキーDQN(ドキュン)社員、煙(ケム)に巻くアドバイスで新人を惑わせて周囲に自分を高く見せようとする虚栄的な社員、合理的な教育ではなく「盗め!」などの「雑巾がけしろ」レベルの前近代的な指示だけして仕事をした気になっている同僚などを見掛けてきた。
 放心時にはコレらをふと思い出してしまい、怒気を瞬間沸騰させている(笑)。なので、このテの描写には怒りと同時に心も痛む。


 底の浅い善人はそれらを「制度悪」や「政治悪」のせいにする。しかし、筆者は違うと思う。コレは「人格悪」や「性格悪」である。全人類の7~8割は後天的によらず先天的にすでに下劣であり、「法律」や「世間体」がなければ他人などお構いなく「私的快楽」に走る、「仲間以外は皆風景」で、真の意味での「公共心」などはナイ輩なのである(笑)。
 大変残念ながら、善良なヤツほど概して弱くてヤリ玉にされている。女児向けアニメ『美少女戦士セーラームーン』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)や『プリキュア』シリーズ(04年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191107/p1)ではナイのだから、「至誠」は相手に通じるなんぞの「キレイごと」などは信じないで、下劣な輩の良心になぞは期待せずに、不器用な善人たちは最初からキズ付けられないようにバリアを張っておいてノラリクラリと立ち回るべきだとつくづく思う。


 全人類が一挙に同時に「徳義」に目覚めることなどナイ以上は、40人学級に1人の割合で深夜アニメ『琴浦さん』(13年)における真鍋(まなべ)クンのような良心のみならず胆力&話術も兼ね備えた子を育成して、啓蒙専制君主(笑)として教室や職場を公平に統治してもらいたいけど、40人に1人ですら素質のある人間の確保は困難かナ?(汗)


 ところで、深夜アニメ版も良作だったと私見するけど――萌え作品とか腐女子向け作品ではナイので売上的にはイマイチでも――、70年代の懐かしビッグタイトルでもないのに、最近では良作の近作が続々とフットワークも軽く、旬の若手俳優を使ってデートムービー的に実写映画化されており、オッサンオタク的には隔世の感がある。
 この風潮をミーハーだと嗤(わら)う意見もあるようだけど、それは実に近視眼的で浅薄な見方だ。70~90年代の若者向け邦画の絶望的低調に、往時の心あるスレた映画マニアたちが、当時の陰気でビンボーくさい邦画を一部の映画マニアのみならず一般層やデート客をゲットできるようにブランド価値を上げるためにはドーすればイイのかについて議論を繰り広げてきた歴史を知らない愚論でもある。


 やはり映画やジャンル作品も、文芸批評史などと同様に、評論や論争の歴史をウィキペディア化して、誰でも参照可能な蓄積とし、過去に繰り返されたり乗り越えられて解決してきたハズの案件を、無知ゆえにループする愚行を回避して、その先の次なる高次なステージの議題へとすぐに近道・ショートカットで進めるようなインフラ基盤を整備できないものなのか?
ReLIFE リライフ

ReLIFE リライフ

ReLIFE リライフ

  • 発売日: 2017/09/15
  • メディア: Prime Video
ReLIFE リライフ [DVD]
ReLIFE リライフ 豪華版 [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.79(17年8月12日発行))


サクラダリセット 前篇/後篇』(実写映画版)

(『前篇』2017年3月25日(土)公開)
(『後篇』2017年5月13日(土)公開)
(2017年7月29日脱稿)


 この2017年4月から深夜アニメ化されることは知っていたけど、一応オタ系のジャンル作品なので、マイナー悪食(あくじき)の筆者としては実写映画版のこの前後編も鑑賞してみた。


 舞台は山近き郊外で、多摩あたりの小ギレイな新興住宅地を関東人としては想起させる「サクラダ」という街――テロップによれば、ロケ地は三重県四日市市のようだけど――。そこは実は様々な超能力者が住まう街でもあった。


 メインキャラは男子高校生ひとり&女子高生ふたり。3人ともに血液温度が低そうな(笑)、熱血バカ度は皆無のマジメかつ理知的でクールなキャラクター。もちろんクダケた若者言葉なぞは一切使わず、年齢不相応にも普段から上品な丁寧語を使い、話は長いけど物事を順序立てて理路整然と分析チックにしゃべっている。


 この3人のうちでも最もオボコそうな、黒髪ショートで小柄な制服女子高生が「リセット」と呟くや、全世界(全宇宙?)が数日前に巻き戻る超能力を持っていて、その「力」を「小さな人助け」に使ううちに、この街の「大きな秘密」に迫っていくというストーリー。


 こう書くと、年輩オタク的には同じ1日を何度も繰り返す、日本ジュブナイルSF小説の半世紀前の古典『時をかける少女』(65年)の何十本目だかの既視感あふれる亜流であると認知する。と当時に、悪い意味ではなくやはり似て非なるモノに成り果てていて、隔世の感もいだく。それはやはり、90年代のオウム真理教事件や新々宗教の隆盛以降というべき事態なのであろう。


 本作にかぎった話ではナイけれども、近年のこのテの作品では超能力がなぜ存在してどんな「原理」に依拠しているのか? といった疑似科学・SF・オカルト的な設定はヤバいと目されてかなされない。超能力は何でもアリではなく、時間・回数・目的などの制限ルールがあって、その範疇での知謀を尽くしたゲーム的攻防に作品中の「論理」が駆使されて、「超能力の源泉」への「論理」的興味は煙に巻かれている。


 超能力自体も古典的なそれではナイ。


・前述した「時間を巻き戻す能力」
・「巻き戻されて無かったことになった時間世界での記憶を保持する能力」
・「写真を破るとその写真の中の世界に入れて、被写体とも短時間会話ができる能力」
・「相手の記憶を1回だけ改竄できる能力」
・「自分の身体の『部位名』と相手や対象の『部位名』や『能力名』を連呼すると、自分の特定『部位』でふれた先の物質を消滅させたり、相手の能力をキャンセルできたり、果ては重力まで無効にして宙高くジャンプできる能力」(笑)
・「ある人物の超能力を別の人物にコピーできる能力」


 さらにはそれらを複数組み合わせて、写真の中から死者を甦らせもする!


 個々の能力の原理はバラバラだから、ここまで来ると一休さんのトンチのごとき言葉遊びでしかナイとも思うけど、作品が醸し出す硬質で知的なフインキが、この作品を安っぽく見せずに高尚に見せることには成功していることを、悔しいけれども認めざるをえない。


 とはいえ、巨大ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)に対して「ナゾ解き」や「性格弱者の実存の投影」に邁進していた20世紀のオタとは異なり、リメイクの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ(07年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110827/p1)ではそのへんの内面的葛藤を「華麗にスルー」(汗)してしまう、いわゆる「動物化」して久しい21世紀のオタの多数派が、本作のごとき硬質な作品のナゾ解きに執着するとはとても思えない。


 なので、「動物化」=「ベタな萌えオタ化」に抵抗があるのであろう、今では少数派の生真面目インテリの気があるオタク青年クンだけが、本作に執着しているとも憶測する。
 まぁ実写映画化&2クールアニメ化される程度には原作小説もヒットしたのだろうけど、制服姿のさわやかな高校生男女たちが居並ぶキービジュアルで明朗な青春映画のように誤解させた「前篇」は、売上的には爆死して2週で打ち切り。「後篇」も館数を減らして当初から2週上映となったほどだから、アニメの円盤売上も苦戦必至であろう。
 筆者も本作の衒学的(げんがくてき)な内容にプチ反発がナイでもないけれども、水に落ちた犬をさらに叩く趣味は毛頭ナイし、誰も擁護しそうにないRDG、レッド・データ・ガール(笑)な絶滅寸前危惧作品の本作を、天邪鬼の筆者は擁護したいと思うのだ(汗)。


 この作品は、熱血ヤンチャになれない性格類型の内心のナイーブさや潔癖を、自己憐憫したり自己陶酔することなく、知的なポーカーフェースで武装して隠して処世することを勧める作品でもあるのだろう(!?)。
 世間に媚びず、世俗の凡人たちにある「虚栄心」や「色恋」に「悪意」などの人情の機微には疎いロボットのような「リセット少女」のピュアさを愛でつつも、それではヒト・人間として不充分なことから、事のついでに人間的な感情も教えていこうとしつつも、それが同時にピュアさも毀損する二重性に自覚的である主人公少年クンともうひとりの少女の達観。この一点があるだけでも、筆者は本作のことをキライになれない――結局は筆者も感情・好悪で発言しちゃうけど(笑)――。


 原作信者の見解は知らねども、TVアニメ版と比してもこの実写版は、2本の映画に再構成しつつもよくぞ膨大な要素&登場人物をほぼそのまま残したとも感心。「前篇」は人物紹介もあるだけに説明的だけど、おそらくTVアニメの第2クールに相当する「後篇」が特にお見事。ちなみに「前篇」は加賀まりこ、「後篇」は及川光博といったメジャー系の役者が重要な役どころを演じている。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.79(17年8月12日発行)~特撮同人誌『仮面特攻隊2018年号』(17年12月30日発行)所収)


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『宇崎ちゃんは遊びたい!』 ~オタクvsフェミニズム論争史を炎上作品のアニメ化から俯瞰する!?

(文・T.SATO)
(2020年7月27日脱稿)


 低身長で銀髪ショートカットだけど八重歯に奇形的な超巨乳の大学新入生少女・宇崎ちゃんが、高校時代の部活の先輩でもある無口で無愛想で(ひとり)ボッチ気味な長身の青年クンに明るくウザったくチョッカイをかけてくるのがキモの深夜アニメである。ググってみると、元々はツイッターで連載していた個人マンガが商業媒体にスカウトされて、ついに深夜アニメ化されるにまで至ったモノ。


 通常、マンガやアニメにおいては銀髪は影のウスさや意思の弱さ・理知的なイメージを象徴させるモノで、小ナマイキさを示す八重歯やお色気要員であることを示す巨乳といった記号とは組み合わせにはならないハズだけど、この作品では銀髪なのに八重歯と超巨乳を掛け合わせたキャラクターデザインともなっている。
 いや、だからスゴいとか斬新だとか云う気もまったくナイけれど(笑)。でもまぁ黒髪や赤髪の美少女がオトコにチョッカイかけてきたら、やや重たいオンナ臭がするやもしれないので、それをウスめるためには銀髪がちょうどイイのかもしれないですネ――金髪の場合だと華麗な美少女臭が強まって、今度は今の宇崎ちゃんのサバサバ臭が出ないだろう――。
 まぁ基本的にはおバカな作品としか思えないので(失礼)、そのへんを意識化・言語化・理論化してキャラデザしたともつゆ思えないし、作者が本能的・直感的・フェティッシュにデザインしていったらこうなった! というだけだとは思うけど(汗)。


 ……なぞとお約束の作品の基礎情報の列挙からスタート。


 なのだけど、アレ!? この作品って昨2019年秋に日本赤十字献血キャンペーンでコラボするも、ツイフェミ(ツイッターフェミニズム)論壇界隈が猛攻を浴びせて、それに対して美少女マンガ&アニメ界隈のオタクたちも負けじと大反論を繰り広げていた炎上案件――といっても国民的な議論になったとかではなく、コップの中の嵐に過ぎないけれども(爆)――の渦中にあったマイナー漫画の深夜アニメ化じゃん!
 あの炎上時点ですでにアニメ化が内々に決定していたのか? 炎上したから知名度が上がったことでアニメ化にコギつけられたのか?(笑)


・2020年2月には、地方興しとコラボしたアイドルアニメ『ラブライブ! サンシャイン!!』(16年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200628/p1)の主人公女子高生の新規描き下ろしの等身大パネルで、制服ミニスカートが透けて見えて下腹部パンティの逆三角形ラインが想起できるとのクレームが発生。
・2019年10月には、当該の『宇崎ちゃんは遊びたい!』の献血喚起ポスター(よりにもよって、煽情的な表情をした原作マンガ版第3巻の表紙カットの転用!)。
・2018年10月には、NHKのホームページの「ノーベル賞」解説サイトに登場したバーチャル・ユーチューバーのキズナ・アイちゃん(16年)。
・2018年2月にも、自衛隊滋賀地方協力本部自衛官募集ポスターに登場した「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」がキャッチコピーであった、魔法のホウキの代わりに両脚にプロペラユニットを付けて架空世界の第2次大戦期に『エヴァ』の敵性生物・使徒もどきと空中戦する美少女戦闘アニメ『ストライクウィッチーズ』(08年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150527/p1)。
・2016年10月には、東京メトロ公式の昭和中期の『サザエさん』チックな女性駅員キャラだったのが、8頭身の萌えキャラとして大幅にリニューアルされた駅乃みちか
・2015年12月には、岐阜県美濃加茂市とコラボした農業高校ラブコメのうりん』(11年・14年に深夜アニメ化)の巨乳キャラをメインに据えたポスター。
・2015年8月にも、伊勢志摩サミット合わせの志摩市公認の海女の萌えキャラ・碧志摩メグ(あおしま・めぐ)。
・2015年5月にも、コップのフチにセットできる制服OL型の小型フィギュア「コップのフチ子さん」(12年)をパロった「コップのカドでグリ美ちゃん」。


 このように数々の作品が炎上案件となってきた。そして、フェミニズムvsオタクの対決といった様相を呈してもいる。よって、読者にあられてはオタクである筆者は後者の味方かと思われるやもしれないけれども……。
 ウ~ム、実はそーでもナイのだ(汗)――かといって、フェミニズムに全面屈服しようというのでもナイけれど――。
 ごくごく個人的な結論から云っちゃうと、『ラブライブ! サンシャイン!!』とキズナ・アイちゃんの件を除けば、どれもこれもが「アウト!」だったんじゃないのかとすら私見もしている(笑)。


 今どきの肉体性がウスい貧乳キャラが主流の記号的な萌え系の美少女マンガやアニメの世界では珍しく、巨乳が奇形的に強調されて性的に挑発的な表情のようにも見える『宇崎ちゃん』や『のうりん』のポスター。爽やかな微エロ程度ではあるけれど濡れた海女さんスタイルの碧志摩メグ。劇中でもズボンだと設定されていたけどそれはパンツ見せ見せの言い訳(笑)でしかなかった『ストライクウィッチーズ』。
 コレらの「性的ニュアンス」を含んだビジュアル群は、たしかにクローズドな場所や私人性が高い同好の士が集うような場所での公開でならばOKではあるだろう。


 しかし、職場や新宿駅の地下道などのオープンな場では、動物的・性的に発情した状態は存在しないかのように、人々は近代的な対等の個人・市民同士としてふるまうのがお約束であり、それで丸くおさまるハズの公共空間においては、過度に性的な姿や表情を強調したビジュアルを配布すれば、それは男女ともに本能的・直感的に気恥ずかしくなったり気マズくなるのがまぁフツーではあり大多数の反応でもあるだろう。
 その観点からフェミニズム陣営がそれを不快であり「環境型セクハラ」であると指弾するのもわかるのだ。


 しかし、彼女らフェミニストたちの糾弾の対象はバストやお色気の強調といったところには留まらない。
 ロジックなり言語には昇華できていないフワッとしたモノではあるものの、上気した表情に加えて美少女キャラのニコニコとした笑顔や恥じらったりハニカんだりしている表情がまた、男性に対して微妙に媚びていてイヤらしくてかつ卑屈な心性でもあることを察知して、感覚面ではそれがまた彼女らの不快感をさらにブースト、分析面でもそこに男尊女卑の社会構造をも透かし見ているのだとも推察されるのだ。
 加えて云うなら、個人的にはそれもまたわかるし、その感覚と分析を一理も二理もあるモノとして認めないでもナイのである。


――このフワッとしたところこそ、フェミたち自身が他者を糾弾時にその「理由」として即座に言語化してほしいところでもある。でもまぁ、彼女らはすでに評価が定まっている安全パイでもある「女性差別撤廃条約」や「児童の権利に関する条約」などの上位の権威に依拠して「上から目線」で物事を演繹法的(えんえきほうてき)・二元論的に裁断するようなことは得意でも、それだけでは物事を単なる「点」や、ステロタイプな善vs悪との二項対立として見ているだけである。そのスコープからもハミ出してしまう、いまだ具体的な形として焦点を結んでいない茫漠とした事物や想いや問題を、帰納法的にひろってきて明晰明快に言語化・理論化するようなことは得意ではないようだ。融通無碍にアタマも柔らかくして「モノサシ」をタテやヨコやナナメに当てて「点」と「点」を「線」や「面」や「立体」にしていき、なるべく多くの事象を説明可能な新たな論理体系・思想体系をつむいでいくような思考こそが、真の意味での「知性」であるとも思うので、失礼ながらドーも彼女らには「知識」はあっても「知性」はナイ……あるいは「知性」が欠如ぎみである……という気がしないでもナイけれど(汗)――


 ただまぁフェミニストたちは、いわゆるフェミではない同性の一般女性たちを戦略的にも敵には廻したくはナイであろうから多くを語らないけど、この前近代的な男尊女卑社会……とまではいかなくても、女性に対してルッキズム(見た目至上主義)や可愛らしさや愛嬌を過剰に求めてくるモテ/非モテ的なコミュニケーションが過剰な後期近代・高度大衆消費社会に、生来からのルックスや性格からして最初からこの社会でさしたる努力ナシでも適応しやすく、自身が女性であることにもつゆ疑問を抱かないどころかファッション&スイーツな女性であることを謳歌さえして、幼少時から


「大きくなったらお嫁さんになる~」


と云ってテンとして恥じない同性たちをプチ嫌悪もしてきており、少年向け冒険物語の「塔の中の囚われの美少女」に自身を仮託できずに物語内に自分の居場所がナイと感じるような疎外感を抱いてきた女性たちでもあって、ググっていくとそのような述懐もまたあまた散見されるのである……。


 その社会不適応な疎外感は我々オタクにも通じるモノがあって共感・同情もしてしまう――まぁ多分アチラさんからすればメーワクでキモいだけで近寄ってこないで! といったところなのではあろうけど(笑)――。


 とはいえ我々オタク連中による、


・萌え美少女キャラに過度に性的なメッセージをフェミニストたちが読み取ったりすることを「偏向」だ!
・あるいは巨乳女性に対する「逆差別」にもつながる!
・「表現の自由」への侵害だ!
・少数派の不快を理由に「表現の自由」の範囲を狭めるのならば、フェミニズム連中が擁護している2019年夏に開催された「表現の不自由展」での「昭和天皇を含んだコラージュ写真をバーナーで燃やして足で踏み潰す動画」を不快に思って抗議する少数派の意向を無視する行為はスジが通らない!


 といった反論なり指摘なりにも一理や二理はあるどころか半理以上もあるとは思えもするのである。


――さらにココに3次元の巨乳女性も参戦してきて、図像とはいえ巨乳女性を公共空間から排除するのは不快である! とするフェミの主張とは真逆な言説まで混入しており、実に多面的で示唆に富む議論にもなっている――


 ……で、かような混迷する事態に対して、筆者個人はドーするべきなのか? そう、コウモリのようにふるまうのだ(汗)。
 我らがオタク連中による「萌え系美少女に対して過度に性的なメッセージを読み込むのもまたフェミ側による認知の歪みだ!」とする趣旨の反論にやや違和感を覚えたからである。
 つまりは、あの宇崎ちゃんの超巨乳に性的な魅力を感じない! などというロジックで理論武装・正当化を図るとなると、それはそれでオッパイ星人としては腹が立ってくるからだ(笑)。


 オッサンオタクの繰り言ではあるけれど、今に至る近代的(?)な丸っこいロリ的な萌え美少女の画像の誕生は1982年のことだと思う。
 当時のアニメマニア間でも人気を博していた故・芦田豊雄(あしだ・とよお)キャラデザの女児向けアニメ『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(82年)に端を発した絵柄革命と「可愛いものが判ってしまうボク」というモノの何度目かではあるけれどもソレの大規模な再発見があって、当時は一般書店でも堂々と売られていたあまたのエロ漫画雑誌(爆)の絵柄が1982~84年にかけて雪崩を打ったように急速に劇画調からロリ的なアニメ美少女調へと一斉に変貌していった時代があった。


 つまりは、我々オタクや当時の青年層はあのような絵柄にも欲情し、そしてあの絵柄もまた性的なモノを表現できる描線にも進化を遂げたという歴史があったのだ。
 なので、門外漢のフェミニスト連中もまた、裸体でも性交シーンでもない単なる萌えアニメ調の絵柄の美少女の表情や媚びた仕草に性的メッセージを感じ取ったということは、その表現がある種の一般性・普遍性・破壊力(笑)をも獲得したと見て、誇ってもイイことではないのかとも思えるのだ。


 もちろんコレはウラハラでもある。フェミニスト一般ピープルは萌え美少女キャラの画像に、非モテのオタク男子たちの秘められた性的欲望をも透かし見てキモがっているかもしれないからだ――もちろんそれは肉欲とはかぎらずプラトニックなものかもしれない。とはいえプラトニックならば許されるのかといえばそーでもなく、異性に対する性的不能のような、もっとキモいものを透かし見ている可能性もある(爆)――。


 そのかぎりでフェミニストたちの危惧にも一理はあるのだ。そこにやはり広い意味での「女性のモノ化」や男尊女卑感情といったキナくさいモノを透かし見たとしても不思議ではナイからだ――余談だが、モノには欲情しないので「モノ化」ではなく「女性のメス化」という用語の方が個人的には適切に思えるのだけど(汗)――。


 とはいえ、彼女らの見解に一理があると思えるのはソコまでである。
 フェミニスト連中の全員とはいわずとも声のデカい連中――太田啓子弁護士や北原みのりなど――は、萌え美少女キャラの画像自体がキモくて不快でペドフィリア小児性愛者)にも通じるものがあるとして(!)、好事家だけが見られる世界にゾーニング(区分け・隔離・棲み分け)するどころか、存在自体を撲滅すべきだばりの発言をしているからでもある。


 もちろん思想・信条は個人の自由であるからして、彼女らがそのように思って運動を展開したところで、立ちどころに萌え絵が弾圧・禁圧されることはナイであろうし、そんなことも全然なかったからこそ、ココ5年ほど飽きもせずに何度も何度も懲りずに不死鳥のように萌え絵が公共団体とコラボして、その都度クレームを浴びるというルーティンがテンプレ化されてもおり、それはそれで関係各位の学習能力を疑いたくもなるのだが(笑)。


 このようなフェミの中でも過激派・強硬派――思想用語的にはコレは「ラディカル・フェミニズム」と呼称される――とは和解・妥協の余地はウスいであろう。
 けれども、公平を期するためにフェミニズムの側も擁護しておくならば、今や東大学長に登り詰めた日本のフェミニズムのドン・上野千鶴子センセイは、3次元での性差別には反対するけど2次元・虚構でのポルノ表現・ポルノ消費については禁止すべきではないという立場を、数十年も前から主張しているので念のため――思想用語的にはコレは「リベラル・フェミニズム」と呼称される――。


 たしかに過度に性的なメッセージを発信するビッチな服装・仕草・表情を公共の場で披露するのは筆者も反対ではある。
 しかし、仮に女性一般が素肌を隠した服装をしたりイスラムのブルカで目元だけを残したような服装をしたとしても、それで性的メッセージは減るにしてもゼロになるのかは疑問である。そーなったらそーなったで、男女ともに異性に対して首のうしろのウナジなり手指なりを代替にして、何らかのフェティッシュな妄想を仮託するのではなかろうか?(笑)
 我々も近代的・合理的な人間である以前に有性生殖の動物・生物でもある以上は、性的メッセージを完全に除去できるとはとても思えないからだ。


 そして、フェミニズムには前述のことどもとは逆方向に流れるベクトルもある。女性の性的自己決定・性の自由化のことである。
 とはいえ、コレを拡充した先に従来の男尊女卑的でセクシーな女性像とはまた別のオルタナティブな女性像が待っているとは必ずしもかぎらない。中南米なりラテン系の国々では女性の身体を積極的に強調して男性を誘惑しようとするようなファッション・文化・風潮までもがむかしからあるからだ。


 そこまで行かなくても、女性自身も恥ずかしがってはいるけれど押したり引いたりで、素肌や胸の谷間や太モモを見せたり隠したりするといったチラリズムの妙、男性を強姦に誘っているということはユメユメないにせよ(汗)、男性を惹きつけてコントロールして手のひらの上で転がして優越感に浸ったり、稼ぎや権力のある男性をゲットしようという女性も一定数は常に存在し、それは世代が交代したとしても絶えることはナイであろう。
――むろんその逆に非常に奥手であり、異性や性的なことから距離を置くどころか拒絶すらする女性もいるだろう。そしてコレらの相違が生じるところの根本原因は、家庭や社会からの影響以前に生来のもって生まれた個人の性格・気質・体質の相違の方が起因大だとも私見する――


 公共空間における女性の服装の過度な性的メッセージの除去は相応に重要ではある。
 しかし、その着地点は国・地域・気候・文化圏・歴史的な発展段階ごとにイスラムのブルカであったりロングスカートであったりミニスカも可であったりと、各地で合意点も異なってくるからフワッとした非合理的な要素はドーしても残るであろうと思われる。


 筆者個人が見聞してきた範囲での日本の会社組織においても、女性社員の袖なし・肩出し・胸の強調・ヘソ出し・ローライズの上半ケツ見せ(爆)等々の服装の可否基準は、90年代・00年代・10年代でもビミョーに変化を遂げてきている――前述した服装の一部は常にアウトだとも思うけど、着用してくるヤンキーまたはギャルな女子社員もマレにはいたモノなので(汗)――。


 ならば、現時点では筆者もダメ出しをしてしまった『宇崎ちゃん』や『のうりん』や碧志摩メグの悩ましい姿が公共空間でもOKになる日が、遠い未来には実現しても論理的には不思議じゃない!?
 いや、個人的にはそれはあんまり望ましい未来ではナイけれど。彼女らみたいなキャラたちはもっと隠れたプライベートな空間で堪能、ハァハァすべきではないのかとも思うので(笑)。


 ……まぁ股間をカドにスリつけてのオナニーをモチーフにした体操着姿の早熟女児フィギュア「コップのカドでグリ美ちゃん」は、いつまで経っても公共空間でのお披露目にはアウトだろうとも思うけどナ!(爆)――とは云うものの、すでにコレをカンヌ映画祭の日本パビリオンで展示・配布していた日本の文化庁っていったい?(汗)――


 ただ一方で、2次元どころか3次元のポルノでさえも否定し、それに対するオタクや一般層からの反論をすべて「ミソジニー」(女性嫌悪)という、筆者からすると論理的・分析的な説明体系ではなく、論敵を最初から否定的に悪魔化・単純化する同語反復的なカテゴライズにしか見えない概念――「バックラッシュ」(保守反動・反革命)などの用語も同様だけれども、戦前だったら右翼が共産主義者を「アカ」、共産主義者ブルジョワ退嬰的なモダンボーイやモダンガールを「モボ」「モガ」と蔑称したような――で矮小化して理解しえた気になっているような御仁に対してはドー立ち向かえばイイのであろうか? とも考えるのである。
 観察していると、彼女らはフェミニズムに一定の理解を示す男性やオタクたちに対しても、結構な拒絶や揶揄をしてくるからだ(笑)。


 とはいえ、完全棲み分けではなく時には論争をすることもまた広い意味でのコミュニケーションではあるのだし、結局は和解し合えないにしても、論争の過程でオタク側もいかにギャラリーを味方につけていくか? 完全同意をしてもらえなくても、オタク側にやや理があると思ってもらえるようなロジックの構築を目指すこと自体は大いに必要だとは思うのだ。


 ただまぁ男尊女卑・女性差別と一口に云っても、


・強者男性による天然でのマッチョでガチな女性蔑視
・弱者男性や非モテ男子が女性への憧憬の果てに裏切られて蔑視するようになったタイプ
・あるいはもっと虚弱で女性といっしょにいるのも居たたまれないほどの照れ屋さん
・女性にリード、筆降ろししてもらいたい受け身の男子(爆)


 ミソジニーにもグラデーションがあることを、ミソジニー以前の性別を問わない対人恐怖(笑)の問題までもがあることを交通整理するのも、その第1歩ではあるだろう。


 2次元ポルノは否定するのに3次元世界では女性向けアダルトグッズ販売で身を立てて、美少女アニメの反転でしかない――完全対称の反転ではナイにせよ――女性にとっての都合がイイ男性像がワンサカと登場してくる韓流ドラマにハマっている北原みのりの思想面での不徹底を指摘するのも、その第2歩たりうるやもしれない。


・女性、あるいはフェミニストの中でのモテ/非モテ、性格強者/性格弱者のカーストもあるのでは?
・80年代には男女差や女性的なふるまいを後天的な文化による刷り込みに求めるのではなく、先天的な男女の脳の差異に還元することに猛反発していたフェミニズムが――85年のベストセラー『セックス&ブレイン』(工作舎ASIN:B000J6QPJU)に対する反論としての日本フェミの西の横綱小倉千加子『セックス神話解体新書』(88年・学陽書房ISBN:4313840273・95年にちくま文庫化・ISBN:4480030859)など――、弱者同士としての共闘を申し出たハズのLGBTの一派・性同一性障害については、母胎内での脳の成長過程における性ホルモン逆転などに起因するという新知見に対してはドー落とし前を付けるのか?
・身体は男性でも心は女性の場合に女々しい女性の姿カッコウをしたがる志向を、男尊女卑的な社会がもたらした抑圧された典型的な女性像の反映、そしてその内面化――後天的な文化によって造られたハズの「女性らしさ」の典型を心の中で規範化する自己洗脳!――の結果として捉えて批判をしないのはナゼなのか?


……といった批判もアリであろう。


 性的多様性を肯定するなら、チャイルド・マレスター(小児性犯罪者)は除外するにしても、プラトニックで留められているペドフィリア小児性愛)をLGBTが排除している件についての個人的見解を問うのもアリやもしれない。
 反差別も謳(うた)うならば、アメリカの教室においても白人・黒人・アジア人同士で固まり、さらにはその人種集団からもコボれ落ちてしまったガリ勉・非モテ・オタクタイプのナードやギークが人種を超えて徒党を組むも、スクールカーストの最底辺に位置付けされている件についての見解を問うことで揺さぶりをかけるのもアリだろう。


 ホントに女性や黒人は(オタクも)常にいついかなるときでも「弱者」なのか?
 実は2元論ではなく「1.強い男性」/「2.強い女性」/「3.弱い男性」/「4.弱い女性」の4層構造から成っており、実社会に残る問題や歴史に根差す問題などは除外したところでの、一個人vs一個人のミクロな局面では「強い女性」は「弱い男性」よりもカーストが上であったり人格力・人間力も上であるから、彼らを見下している局面も相当にあるのではなかろうか?
 腕力・筋肉・体格では劣るアジア人男性を見下している黒人や、筋肉質な男性が大スキな白人女性&黒人女性も多いというではないか?
 そして、今の時代は互いにドチラがより「弱者」であるかを競い合うことでマウントを取ろうとする逆立ちした倒錯もある(笑)。


 ……といったあたりで議題を拡張したり、論理的に反駁(はんばく)することも有効であろうと思われる。
 もちろんそれであっても折り合えはしないのだろうけど、ディスコミュニケーションも含めて、その過程における議事録は多少は何らかの思想的な蓄積・成果に昇華するのではあるまいか?


 ちなみに、個人的には個々人の心の奥底の差別感情や好悪の念を完全に抹消することも困難だとは思うので、それは最終目標にするにしても、人種・国籍・思想信条が異なった場合に、あるいはルックスがキモかったり気が合わなかった場合に、我慢してルール・マナー・エチケット・礼節としてそれはおくびにも出さずに対等な個人同士として振る舞うことを中間目標にすることが現実的な使える処方箋だとも思うし、そのような社交の仕方でこそよりマシな「公共圏」を樹立できるのだとも考える。


 もちろん一方では制度上の問題も残る。しかし、デモで銅像を倒したりセレブ連中がデモの前で写真を撮って「デモに賛同しています」のキャプションを付けてインスタグラムなどのSNSに上げる行為に、現実的な政策提言力があるとも思えない。
 強者・白人・男性の側が改めるべきだとの意見にも半理はあるのだけれども、それもまたあまりに無策なおカミにお任せに過ぎる他力本願な態度であるようにも思えてしまう。



 ……と、ココまで散々に語ってきたのにナニだけど、この『宇崎ちゃん』なる深夜アニメは、このようなことを語るに足る題材にふさわしい作品ではナイ(汗)。ついでに何よりも筆者にとってはあんまり面白い作品ではなかった(笑)。
 女性キャラの方から男性キャラにチョッカイをかけてくる『からかい上手の高木さん』(13年・18年に深夜アニメ化・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190908/p1)や『イジらないで、長瀞(ながとろ)さん』(11年)などのいわゆる通称「高木さん系」は、この2010年代には数十本という同工異曲の作品数を数えているようではある。
 けれども、ナンというかその魅惑的で蠱惑的な女子像といったワンアイデアだけに留まっており、それ以上のプラス・アルファがナイような作品ばかりなので、それはそれでそれゆえにこそ気楽に楽しめるのやもしれないけれども、個人的には序盤の出オチ的なインパクトだけであとはタイクツであるし、筆者個人の極私的ドラマツルギー美学にも反している作品群でもある(笑)――コレらの作品群を愛する方々にはゴメンなさい――。


 2020年春季には青年誌マンガ原作(98年)の深夜アニメ『イエスタデイをうたって』が放映されていた。
 この作品においても、末広がりの黒髪ショートカットで黒ずくめの服を着てカラス(!)も連れ歩くといったマンガ・アニメ的なキャラ付けがほどこされた不思議ちゃん系でコケティッシュな低身長少女が登場し、大卒なのに就職できずにコンビニバイトのアパート暮らしで人畜無害系の青年クンに彼女がまとわりつく……といった「高木さん」系のキャラクターシフトにもなっていた。
 しかし、この作品にはコンビニのバイト風景も一応はリアルに描かれて少々チャラそうなロン毛の同僚も出てくるし、青年クンは一度は告白するもフラれた大学時代の同級生で高校教師をしている女友達(声・花澤香菜)に未練を残しつつも友人付き合いも続けている。
 先の不思議ちゃん少女はこの高校教師が勤める高校の中退少女でもあったことから擬似三角関係ともなっていき、しかして高校教師自身はすでに死した故郷の恋人が忘れられずにおり、さらには不思議ちゃん少女に高校時代に懸想していた別の青年クンも登場し……。


 とまぁ筆者個人は別に人間ドラマ至上主義者ではナイけれど、こーいうアヤトリのヒモをいくつも対角線的に結んでいって複数の人間関係を作って駆動させていくのが、世間一般で云うところのフツーのドラマの作り方ではないのかなぁとも思うので(笑)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.85(2020年8月2日発行)所収)


後日付記


 今に至る近代的(?)な丸っこいロリ的な萌え美少女の画像の誕生は1982年。『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(82年)に端を発すると記述しているけど、細かく厳密に云うと、1970年代のマンガ家・吾妻ひでおの絵柄が端緒であり、氏とそのアシスタント・沖由佳雄によってコミックマーケット11(79年4月)~17(81年4月)にて発行された伝説の同人誌『シベール』(1~7号)が、さらなる直接的な前史だとはいえる――まぁコミケだけでの頒布だし、筆者も世代的にリアルタイムではその存在を知りませんけれど(汗)。ただまぁ絵柄的にはアニメ絵というよりも少女マンガ絵の文脈になるのと、論旨が煩雑になるのでオミットさせていただいた。
 でも、日本初のアニメキャラ調エロマンガ商業誌『レモンピープル』(82年2月号~98年11月号)の創刊時期は、『ミンキーモモ』放映開始の82年3月を3ヵ月ほどさかのぼる81年12月のことなのだそうで、そうなるとスターターは少女マンガ絵調の美少女キャラだけれどもブースターがアニメ調の美少女キャラであった……というのが、より正確に近い見取り図なのであろう――


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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2020年4月からNHK Eテレ(旧・NHK教育テレビ)にて、往年の名作OVA『銀河英雄伝説』(88年)のリメイク、深夜アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These(ディ・ノイエ・テーゼ)』1期(18年)と2期(19年)が連続放映中記念! とカコつけて……(まぁ、CS放送・ファミリー劇場の方で先行放映されてましたけどネ・笑)。
 2020年7月からTOKYO MXやBS11にて、ゲーム&深夜アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』(18年)のキャラクターを三頭身にプチキャラ化した5分アニメ『うまよん』が放映中記念! とカコつけて……。
 『銀河英雄伝説 Die Neue These』1期と『ウマ娘 プリティーダービー』が放映された2018年春アニメ全11本のレビューをアップ!


銀河英雄伝説DNT』『ウマ娘』『かくりよの宿飯』『蒼天の拳』『ガンゲイル・オンライン』『多田くんは恋をしない』『デビルズライン』『ニル・アドミラリの天秤』『ハイスクールD×D HERO』『メガロボクス』『LOST SONG』 ~2018年春アニメ11本評!

(同季の『魔法少女 俺』『魔法少女サイト』『ヲタクに恋は難しい』は別項にてUP)


(文・T.SATO)
(2018年4月27日脱稿)

銀河英雄伝説 Die Neue These(ディ・ノイエ・テーゼ)』


 元祖アニメ版『銀河英雄伝説』(88年)#1とほぼ同じ内容だなぁ。
 帝国の若き金髪青年将校が、自由同盟の宇宙大艦隊群を天才的な用兵で次々と殲滅。大勝利は目前というところで、自由同盟側の若き軍師が奇策に打って出る。


 異なるのは、作画はしやすそうな長直方体状であった敵味方の宇宙戦艦のデザインと、『攻殻機動隊』(89年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20170510/p1)や深夜アニメ『モーレツ宇宙海賊(パイレーツ)』(12年)チックに電波でコンピューターウイルスやハッキング攻撃を敵味方の艦船が仕掛けているあたりくらいで……。
 とはいえ、『宇宙戦艦ヤマト』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20101207/p1)や『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)などとは異なり、宇宙戦艦の姿かたち・デザイン自体にこの作品のアイデンティティはないであろうから(?)、そこにケチを付ける古参マニアも極少だろうと思うし、インターネットなご時世にウイルスやハッキング攻撃がない宇宙戦争ではたしかに発想が古すぎるとも思うので、この改変もイイんじゃね?


 日本で今は昔の80年代に隆盛を極めた大長編SF小説群(今ではほとんど絶版だけど・汗)。
 それらのひとつであった本作の原作は、昭和の終わりの1988年にビデオ販売作品としてアニメ化。以来、ググってみると断続的にシリーズは続いていて、西暦2000年にようやっと完結で、150話以上もの本数を数えている。
 それだけ継続するからには、それらを買い支えてくれた熱烈な古参ファンも相応にいたのであろうけど、筆者の乏しいオタク交友範囲では、本シリーズを全話観たという人間には寡聞にして会ったことがない(爆)。


 またぞろジャンルの歴史の捏造が始まりそうなので、オッサンオタクとして語っておくけど、本作はある時期のアニメのメインストリームやトップランナーを飾ったような作品ではない。すでにジャンルやマニアの細分化が始まっていた80年代末期~90年代往時のアニメジャンル内での一角を占めていたという程度の作品にすぎない。
 もっと云うなら、実作品を観もせずに内心、現代(90年代当時)という時代とマッチしていない、進取の気性のカケラもない、古色蒼然とした大時代的な大掛かりな作品をTVという表街道ではなく、OVAというウラ通りでニッチ向けに細々と展開している……と小バカにしていたマニアも多かったのではなかろうか?――実は筆者もそのクチで(汗)――


 とはいえ、21世紀以降はCSでは頻繁に再放送されていることから、チャンネルをザッピング中に遭遇して途中の任意の回を何回か視聴をしてみたら……。
 古典SF的な価値転倒・相対化の驚きをねらった本格ハードSFなどではないけれど、歴史・軍事・政治・人物伝・群像劇的なセンスもあるポリティカル・フィクションとしては実に出来がイイことにビックリ(汗)。
 思わず50ギガバイトのブルーレイ・ディスク3枚に全話を録画して、頭の数十話分だけは鑑賞してしまうのであった(笑)。そして、実に面白い作品であると今さらながらに感嘆――遅すぎるヨ!(汗)――。


 てなワケで、若い世代に新しい革袋で本作を知らしめることには意義があるとも思うけど、宇宙SFに大勢がワクワク感をいだくような時代は1980年代で過ぎ去ったとも感じているので、やはり本作も円盤が売れる気配はしないなぁ。
 早くも決定済の第2期・1クール分は、『機動戦士ガンダムUCユニコーン)』(10年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160904/p1)・『宇宙戦艦ヤマト2199』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20181208/p1)・「機動警察パトレイバー」の次々世代を描いた実写映画『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』(14年)のパターンで、先行して劇場公開されるそうだけど、そーなるとコレらの3作品同様、現今のアニメシーンにはツイていけないロートル層には響くことで相応に集客もできて、制作費も回収できるということか?
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ウマ娘 プリティーダービー』


 スマホゲーム『グランブルーファンタジー』(14年・17年に深夜アニメ化)の大ヒットのカネ余りで、アニメ美術会社・草薙(くさなぎ)なども買収したけど、予定が数年先まで埋まっていて自社の仕事には使えなかったとのウワサも聞く(笑)、天下のサイゲームス社が自社のスマホゲームとの連動で放つ深夜アニメが……、競馬ウマの擬人化・女体化作品だったとは……。
 しかも、それを『SHIROBAKO』(14年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151202/p1)などの良質なアニメを放ってきた北陸の製作会社・P.A.WORKS(ピー・エー・ワークス)が作るとは(汗)。


 と思ったのだけど、フタを開けてみると、タドタドしさや段取りチックなところはなく、ナチュラルに面白い。
 尾てい骨から生えている長いお馬さんのシッポと、お耳がお馬さんのそれである以外は、人間と寸分も変わらないボディーで人語も喋るウマ娘の少女たち。
 主人公女子に至っては、生まれて始めて上京して、都心で電車に乗り、シッポを子供にジロジロと無遠慮に見られても笑顔で応えて、自動改札ではマゴつき、騎手ならぬお馬さんの学校の入学式に向かう実にヒューマン・人間味(笑)にあふれる一連で、ツカミもOK!


 学校には既視感あふれる記号的、もとい個性豊かな美少女にネコ耳ならぬウマ耳とシッポを生やしただけのキャラがワンサカといて、いかにもなやりとりでその人格を点描しつつ、コースでの練習で四つ足で走行するのかと思いきや、フツーに二足でダッシュする!(笑)


 監督は『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』(15年)・『アウトブレイク・カンパニー』(13年)・『この美術部には問題がある!』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160903/p1)の及川啓(おいかわ・けい)。
 本作でも実にバカバカしい世界観なのに、ブレた感じはせず盤石な感じを受けるけど、志は低くてもベタを逆手に取り、古典的な友情・努力・勝利のカタルシスを与えてくれる作品を見せてくれそうに予感。

ウマ娘 プリティーダービー マグカップ

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かくりよの宿飯(やどめし)』


 昨今プチ流行している、異世界で食堂やったり居酒屋やったりのオタク女子向け版か?


 野郎オタク的には、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)の女子高生サブヒロイン、『ニセコイ』(14年)や『グランブルーファンタジー』のメインヒロインでもある人気声優・東山奈央(とうやま・なお)ちゃんが主演。
 その彼女が主題歌も歌い、媚びてはないけど可愛く、澄んでいるのに適度にくぐもった(?)高音に、近年では適度な艶っ気ある倍音響きも加わった感じで、本作でのプレーンな主人公女子大生役もイイ感じではある。
 おそらくターゲットのオタク女子たちにも、男に過剰に媚びやがって! とはならない範疇でのイヤミのない可愛らしさを体現したボイスに聞こえているのでは?


 内容はふたり暮らしであった祖父の死で、実は祖父には借金があったことが判明し(!)、そのカタとして鬼・天狗・雪女・九尾の狐などの日本妖怪たちが集う異世界・隔り世(かくりよ)の旅館で丁稚奉公(でっちぼうこう)……もとい、離れを借りて小料理屋を開くことで、次第にその名を知られていく……もとい、和服姿の若旦那や仲居さんらのイケメン妖怪たちに囲まれてウットリ?……といったもの。


 とはいえ、野郎オタクを置いてけぼりでもなく、誰が見ても普遍的に楽しめる作りにはなっているとも私見

かくりよの宿飯 九 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2019/03/02
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蒼天の拳 REGENESIS(そうてんのけん リジェネシス)』


 映画『GODZILLAゴジラ) 怪獣惑星』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20171122/p1)や深夜アニメ『シドニアの騎士』(14年)で、セル画ルックではあるけれど、ほぼ手描きナシのフルCG作品を元請けで製作した、以前は下請けCG屋さんのポリゴン・ピクチュアズが新たに放った深夜アニメ。


 それがよりにもよって80年代に一世を風靡して、今の世にもその名を色濃く残す「週刊少年ジャンプ」連載漫画『北斗の拳』(の番外編)であったとは!?
――もちろん厳密には文藝春秋社が漫画誌を立ち上げ、「ジャンプ」出自のベテラン漫画家を編集者ともども引き抜いて作った、世紀末たる199X年を起点にさかのぼること60年前、かつ2代前の北斗神拳・継承者を主人公に、国民党・共産党国共内戦で統一まだきの中国で、欧米列強や日本が租界を展開する1930年代の上海(シャンハイ)を舞台とする『蒼天の拳』の2度目(初作の続編)のアニメ化なのは承知ノ助――


 近年主流のシャープな一本線の描線ではなく、70年代劇画チックな筆描きの太細の変化もある描線のキャラが、CGアニメで動く日が来ようとは……。
 既存の動画にあたる部分の動きがカクカクしているがゆえに不自然ダというような事象は発生していない。
 むしろ逆にヨコ移動などがあまりにも滑らかすぎるゆえか、そこに少々の不自然さは感じさせるかもしれない――それは単に「慣れ」の問題なのかもしれないけれども。そもそも一般ピープルは気にも止めないか?(笑)――。
 さはさりながら、手描きアニメーター大失業の時代がもうそこまで迫っているのであろうか?(汗)


 内容自体は独り善がりな意味不明さはカケラもない手堅い作り方でフツーに面白いし、仮に一見さんが予備知識ナシにこの#1に偶然遭遇して鑑賞したとしても楽しめる、チョイ悪でも普遍的な勧善懲悪の群像劇に仕上がっていると私見

蒼天の拳 REGENESIS 第1巻<初回生産限定版> [Blu-ray]


ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン


 大人気深夜アニメの続編映画『ラブライブ!』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160709/p1)、同じく続編映画の『ガールズ&パンツァー 劇場版』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190623/p1)が数ヶ月をかけて叩き出した20億円超という興行収入を、コレまた続編映画(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1)が封切1ヶ月後には達成してしまったほどに若年オタには大人気のライトノベル原作の深夜アニメ『ソードアート・オンライン』(12年)。


 柳の下にはドジョウで企画されたのであろう本作は、正編とは別の作家――コレまた人気ラノベで昨2017年秋にも再アニメ化された『キノの旅』(03年)の原作者ですネ――による番外編ライトノベルが原作の深夜アニメだとのこと。


 とはいえ、正編とは同一の世界観であることは、劇中内TVニュースなどでもわかるのだが、まだまだ牧歌的でロマンもうるおいもある西欧中世ファンタジー風の仮想現実ゲーム世界を舞台とした正編とは異なり、エア機関銃によるサバイバルゲームを荒廃した廃墟の都市を舞台とした仮想現実ゲーム世界で行なうといったあたりで、ビジュアル的にはカナリ乾いた印象ではある。キャラデザは丸っこくロリ可愛いモノなのでそれで中和はされているけど。


 #1は仮想現実ゲーム世界内でのバトルの迫力を中心に見せ、#2では仮想現実内ではロリロリ少女である主人公の3次元での恐怖の正体は!? といったところで、自身の人並み外れた高身長にコンプレックスをいだく内向的で無口なボッチ少女で、出来れば外見も低身長ロリ美少女として生まれてチヤホヤされて、他人に依存かつ守られて(爆)生きていきたかったであろうけど、それが叶わなかった諦観まみれの気弱な女子大生! といったあたりで、筆者の……もといオタク視聴者一般の感情移入を大いに誘う(笑)。


 その一点を心の支えに、本作を継続視聴してもイイのだけれども……。00年代と比したら倍の本数が放映されるまでにインフレした10年代の深夜アニメ。悩みどころではある――スイマセン、正編同様、筆者にはイマイチ合わないかも(汗)――。


多田くんは恋をしない


 和光の時計台にはじまり、銀座の大通りの雑踏や、少し外れた商店街や喫茶店の看板などを点描していく、#1冒頭のセンスがイイ。
 サクラが満開の桜田門から皇居に入り、不敵ではないけどクールな感じの長身の高校生主人公の多田くんが、二重橋などを背景にカメラでパシャパシャしていたら、そのファインダーに淡泊で清純そうなポニーテールの金髪白人女子が映り込んでくる運命の出逢いのシーンもイイ。


 長寿人気TV時代劇『暴れん坊将軍』(78~02年)のごとき『虹ん坊将軍(れいんぼうしょうぐん・笑)』の大ファンでもある彼女の間違った日本知識などをフック・引っ掛かりに、このふたりのカルめなラブコメがくりひろげられていくのであろう。


 アニオタなら大勢が思ったろうと思うけど――予備知識があった御仁は別として――、イケメンボイスの中村悠一が演じる少々無骨でガタイのイイ長身イケメン高校生クン(その正体は少女漫画家・笑)に、純真無垢な爽やか笑顔の痩身金髪美少女といった、絵面やキャラクターシフトが、円盤売上も1万枚を超えた原作アリの深夜アニメ『月刊少女野崎くん』(14年)をドコかで想起させるなぁ……。
 と思ってググってみたところ、まさにその同作のスタッフが作った原作ナシのオリジナルアニメが本作であったとのこと。


 ウ~ム。そーなると逆に、お目々パッチリで明るい茶髪のポニーテールに巨大リボンでヒマワリのような圧倒的な華があるメインヒロインがいて、野郎オタ受けもしたような(憶測)『野崎くん』と比すると、この金髪白人ヒロインはスミレの花のように控えめで媚び媚びしていないので、女子にはウケがよさそうでも(?)、野郎オタを釣るにはいかがなモノなのか?

多田くんは恋をしない 1(イベントチケット優先販売申込券) [Blu-ray]


デビルズライン


 現代日本を舞台にした吸血鬼モノ。とはいっても今どきの作品なので、黒い燕尾服を着た青白い顔の中年ドラキュラ伯爵のような古典的な吸血鬼は登場しない。
 8頭身の美男美女が登場し、抱き合っての接吻を想起させる吸血行為で微エロなイロケを……女性ファンには主に倒錯したトキメキも惹起させんとするのが、当今の吸血鬼ジャンルなのであろうか?――スイマセン、まったく詳しくありません――


 本作では媚び媚びしたフェミニンな服装はしていないけど、人柄的には実にフェミニンな印象ではあって(笑)、異性のゲットには苦労しないであろうショートカットのマジメな女子大学院生がまずは視点人物。
 彼女の学友たちとの日常から始まり、テレビやネットのニュースで報道される吸血事件を遠景に捉えつつ、彼女は街角や電車で不穏な視線を感じるようになり、どころかそれらしい人物の姿も見掛けて、友達以上・彼氏未満の男友達と逃避行におよぶや、その男友達の方こそが……、不審だと思われていた人物の方こそが……、という展開になっていくことで、視聴者にサプライズを与えてくれる。


 彼女をツケているようでも守ってくれていた青年クンいわく、彼女の学友であるその彼も決して悪人ではなく長年抑制してきたけれども、吸血鬼という生物種(?)としての本能(!)が発動してしまったのだとすることで、本作独自の吸血鬼観も呈示して、視聴者に作品世界への興味も引かせていく。


 ところがドッコイ、助けれくれたその青年クンにも発作が起こり、ガブッ! といったところで、#2へのヒキとする。


 とりあえず#1切りは止めておこうと思える程度には#1の出来はイイと私見
 ググってみると原作漫画は『月刊モーニング・ツー』連載。近年では角川オタク系漫画のアニメ化『ブラッドラッド』(13年)・『サーヴァンプ』(16年)やらの吸血鬼アニメでも見掛けた、老舗特撮雑誌『宇宙船』(80年~)の90年代に在籍していた元編集者の古怒田健志(こぬた・けんじ)が脚本&シリーズ構成。
 失礼ながら氏は世間の注目を浴びている感じではナイけれど、この業界では延命ができているようで何よりである。それにひきかえ筆者は何事をなすこともなく馬齢を重ねており……(涙)。


ニル・アドミラリの天秤


 陸軍中野学校出自のイケメンスパイたちが大活躍する傑作深夜アニメ『ジョーカー・ゲーム』(16年)のごとく――このハイブロウな良作をイケメン男性キャラ目当ての女性オタしか観ていないのが、当今オタ事情のいびつなところ(汗)――、大通りには大正モダンな建築物が立ち並ぶも、まだまだ低層建築ばかりで、木造の電柱・電線越しに見える青空も広くて、大通りでも舗装はされていなかったりするレトロモダンな昭和初年代の風景を再現。
 ググってみると、舞台は大正25年!(=昭和11年・笑)


 手に取った者に精神干渉して自殺行動を起こさせる、書き手の感情・情念がこもった書籍を追いかけて回収していく、帝国図書情報資産管理局のメンバーが活躍するというのが基本設定。
 #1では主人公でもある洋館に住まう没落華族の令嬢少女――愛想もイイお姉さんタイプ――が家のためを思って良家へ嫁ぐことを決意するも、声変わり前の澄んだボイスで大いに取り乱した半ズボンの美少年の弟がカラんできて猛反対されたことで――もうこの姉コンプレックスな弟の存在からして隠微です(笑)――、思わず


「キライ!」


と突き飛ばしたことで、弟が大きなショックを受けたサマが描かれる。


 コレを気にした彼女も街に出て菓子などを購入、帰宅して弟をお茶に誘おうと扉を開けるや……暗がりの自室で油をまいた弟がマッチに火をつけており……(ヒエ~~!!)。


 そこに帝国図書情報資産管理局のイケメン男子ふたりが駆けつけて、事件は一応解決される。


 その過程で主人公少女には、情念がこもった書籍のオーラ(!)が炎のごとく見えることが判明したことから、晴れて彼女も同管理局メンバーの一員となったサマも描かれて#1は幕となる――婚約については破棄したとの説明が一言だけで済まされる(笑)――。


 そのスカウトの際にイケメン局員が放った一言は……


「オマエがほしい!」


 キャ~~~!!(黄色い声)


 まぁ「メタ」に「メタ」を重ねる「アウフヘーベン」な世の中ですから、メインターゲットのオタク女子も悶絶しつつも半分笑いながら観ていることでしょう!?
――ちなみに、「アウフヘーベン」(正・反・合の「合」)の出典は、東京都知事小池百合子ではなく19世紀のドイツの大哲学者・ヘーゲルですからネ(笑)――


 オタク女子向け作品も、「もう知ってるよネ?」的に人物紹介をすっ飛ばしてイケメン男子が大騒ぎをはじめて、誰が誰だか区別が付かない作品も多いけれども、イケメン新撰組に女子ひとりがまぎれこむ『薄桜鬼(はくおうき)』(10年)や『AMNESIA(アムネシア)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200126/p1)等々、視聴者と劇中事物の仲介たる癖のないプレーンな女性主人公が存在する、ゲーム会社・オトメイト原作のアニメ群は野郎でも見やすい作品が多いとも私見――この仲介役が存在しない、イケメン男子だらけの女子向け作品がとても多いので(笑)――。


 まぁメインターゲットの女子オタからすれば、


「頼むから! キモいから! アタシたちのテリトリーにキモオタ男子は入ってこないで!」


と全力で拒否られちゃうんだろうけれども――どうもスミマセン(汗)――。


 主演声優は『SHIROBAKO』(14年)主演や『12歳。~ちっちゃなムネのトキメキ~』(16年)副主演の木村珠莉(きむら・じゅり)。それを知ってしまうと木村が猫をカブって演じているようにも見えてしまって(笑)。

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『ハイスクールD×D HERO(ディー・ディー・ヒーロー)』


 いわゆる「俺、TUEEEE!!!」系といえばイイのであろうか?
 物語序盤で早々に殺された(!)熱血ドスケベな暑苦しい制服高校生男子クンが悪魔に転生! 美少女ハーレムでムフフ状態、次々に襲来する化け物や超常の存在とも戦っていくといった内容。
 動かしやすいクダけた絵柄といい内容といい、少年漫画チックではあり、青少年のリビドーに満ち満ちた真性中2病アニメといった印象だ。


 2012年に深夜アニメ化され、息も長いことに今回、第4期『HERO』が放映を開始。本作を好きな方々にはホントに申し訳ないけれども、個人的には作劇の初歩的な「いろは」すら満たしていないヒドい作品といった印象なのだけど(爆)、円盤売上が1万枚目前の大ヒットを飛ばし続けたのも事実である以上は、やはり本来のラノベなりジュブナイル作品とは、こーいう思春期の少年が渇望するプリミティブ(原始的)な全能感・万能感を満たす作品こそが王道なのだろうナと思い直したり、やっぱり思い直さなかったり(オイ・汗)。


 今日び珍しく巨乳キャラがメインヒロインである一点だけは評価したい(笑)。


 なんと、この第4期のシリーズ構成&メイン脚本も、同季の『デビルズライン』と同じく古怒田健志氏。もちろん執筆時期は異なるのだろうけど(多分)。

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メガロボクス


 原案が不朽の名作ボクシング漫画『あしたのジョー』(67年)!?
 ウワァ~、たしかに前髪だけ長髪イケメンのジョーには、髪型からして似てないけど、しゃべり方や声色はあおい輝彦が演じた矢吹丈(やぶき・ジョー)だヨ。


 「立て~、立つんだ、ジョ~~!!」でおなじみ小太り小柄な中年・丹下段平(たんげ・だんぺい)にそっくりなオジサンも出てくるヨ。


 矢吹丈の永遠のライバル・力石徹(りきいし・とおる)もどきや、白木葉子(しらき・ようこ)のお嬢様もどきまでもが出てくるヨ……。


 とロートルオタなら感慨もひとしおだとも思うけど――ンなことない? 単なる事務的な確認作業?(汗)――


 昭和中期の貧乏は高度経済成長による1億総中流化で一旦は解消されたけど、ナンでも安倍ちゃん・トランプのせいにしたがるザル頭はさて置き、彼らふたりの登場をはるかに遡ること1980~90年代の「日米構造協議」――コレは意図的な誤訳(汗)であり、ホントにホントの直訳をするのならば「経済構造アメリカ主導権」(爆)――以降、アメリカの新自由主義者や証券会社(のロビー活動)に、それがグローバル・スタンダードなのだと、さも良きことのように世界中がダマされている。


 労働者どころか企業や経営者すらもが儲からず、真のラスボスである不労所得の強欲な巨大株主だけが企業の内部留保から巨額の配当金を収奪しつづけてもいる。
――グローバル・スタンダートの会計基準ですら内部留保が大きいことが最重要な要素に変えられてしまって、完了するまでは赤字であっても数年単位で収益がはじめて上がるような巨大プロジェクトの都合すら無視して、半期や四半期ごとの超短期で収益や個人目標が達成されたか否かを測るように人事評価制度までをも変えてきて、内部留保からトコトン配当金を収奪せんとすることで、現場や経営にも矛盾&混乱を惹起する――


 ことほどさように、安倍ちゃん・トランプの保護貿易志向の方が皮肉にも、意図せずに規制緩和=自由化=経済至上主義=経済的自由至上主義新自由主義を相対化する防波堤になっているくらいだけど――しかし彼らの存在をもってしても微々たる防波堤でしかない(汗)――、彼らが登場する以前のはるか30年も前から用意周到に敷かれてきた巨大なレールによって、ますます「貧富の格差」も拡大していくであろう当今、「市民」と「非市民」の2大階級に二分されている世界観を持つ本作は、まさに時宜(じぎ)を得た企画なのダ! とロジックを弄(もてあそ)びたいところなのだけど……。


 本作の登場はまだ早い(笑)。
 あと5年10年経つと、日本でもシャレにならないくらいに「貧富の格差」が拡大して、ルサンチマン&ハングリー精神も蔓延することで、本アニメも時宜(じぎ)にかなったものとなり、大ヒットしたかもしれない!?


 信者的な原典至上主義者の激越な反発は、ここ数十年のあまたのジャンル作品のリメイクなり映像化で繰り返し見てきた既視感あふれるテンプレな光景ですけど(割り切って観ればイイのに・汗)、それを差し引いても内容自体はフツーに面白いものに仕上がっているとも思います。

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『LOST SONG』


 「ラスト・ソング」ではなく「ロスト・ソング」。「失われた歌」。
 アリがちな西欧中世風ファンタジーなので、スマホゲームなどとの連動か? と思いきや、ググってみると完全オリジナル作品のようである?


 緑豊かな森林も間近に迫る牧歌的な田舎に住まう、少女というより子供に近い大きな赤いリボンを着けた白い半袖ワンピースの元気女子。
 外遊びは苦手そうなカールした髪を持つ長袖の眼鏡男子クン。
 彼女が歌うと物理法則に反して水を降らしたり病を癒やしたりすることから、科学少年である眼鏡男子クンは困惑しまくりな姿が描かれる(笑)。しかし元気少女の方はお爺さんに歌を歌うことを禁じられていて……。


 片や王さまが住まう都では、王子の妃候補の白いロングドレスの愛らしくて上品な歌姫がその歌唱で人々を魅了しつつ、同時に同じような奇跡を招来していた……。


 といった導入部はまぁまぁ。


 #1前半で歌姫にも声をかけられた御前試合で健闘した金髪青年騎士クンが、#1後半ではなぜか瀕死の姿で森に倒れており、それを元気少女たちが発見、彼女が青年騎士クンを癒すために、やむをえず禁忌の歌を歌ってしまうあたりもなかなかの盛り上がり。


 しかもその歌が、王都の歌姫も今この瞬間に歌っているものと同じ歌曲で、カットバックで歌唱をダブらせていくあたりもベタだけれどもわかりやすい。


 そのために少女たちに危機が迫り、それとは別個に王都から派遣されたらしき小部隊により、山小屋のごとき自宅に残っていた爺さんと姉さんにも危機が迫って……というスリリングな展開など、フツーにスナオに面白く観られるお話にはなっている。


 絵柄的には今風なハイソではなく萌え系でもなく、往年の「世界名作アニメ劇場」を劣化させた感じと呼称すべきであろうか? それが本作独自の映像的な個性になっていると云ってあげてもイイけれど、正直少々ヤボったくもあり。
 明らかな低予算ということはナイけれど、最高級の作画&背景美術といった感じでもナイあたりで、当今のアニメファンたちへの映像的な訴求力には欠けているかもしれない。


 歌がメインの題材となることからか、主役の元気少女の声優はナンと! まだ10代のパワフル歌唱なアニメ歌手として、あまたの深夜アニメの主題歌を飾ってきた鈴木このみ嬢! 筆者としては『私モテ』こと『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190606/p1)と『ノーゲーム・ノーライフ』(14年)の2大傑作深夜アニメの主題歌での熱唱が特に印象に残っている。本作ではパワフルな声ではなくフツーの声で喋っているけれど。
 王都の歌姫の方は「永遠の17才(笑)」の2号だか3号のアイドル声優田村ゆかりで、上品だけれどもブリっ子的な娘々したアイドルボイスはまさに円熟の域へと突入。若いオタから見ればオバサンかもでも、筆者から見れば永遠に年下です(爆)。


(後日付記:売上や作画やファンの人数の多寡的にはともかく、最終的には本作はクオリティー面では大傑作だと思います。ただし、途中のイベント編で化けたという世評には同意しません(笑)。その途中のイベント編もスゴいとは思いますけど、それ以前の展開も十二分に面白いです。そのうちにそのへんも含めて加筆をしたいと思っております・汗)

歌えばそこに君がいるから アニメ盤

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TEARS ECHO(TVアニメ「LOST SONG」エンディング主題歌)

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魔法少女 俺』

魔法少女サイト

  (そのうちにその他の「魔法少女」作品とまとめてUP予定・汗)


ヲタクに恋は難しい』 ~こんなのオタじゃない!? リア充オタの出現。オタの変質と解体(笑)

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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.71(18年5月4日発行))


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2016年春アニメ評! 『迷家マヨイガ-』 ~現実世界からの脱走兵30人! 水島努×岡田麿里が組んでも不人気に終わった同作を絶賛擁護する!

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2016年春アニメ評! 『マクロスΔ(デルタ)』&『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』(18年) ~昨今のアイドルアニメを真正面から内破すべきだった!?

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2015年秋アニメ評! 『ワンパンマン』 ~ヒーロー大集合世界における最強ヒーローの倦怠・無欲・メタ正義・人格力!

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2015年秋アニメ評! 『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』 往年の国産ヒーローのアレンジ存在たちが番組を越境して共闘するメタ・ヒーロー作品だけれども…

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2015年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』 ~長井龍雪岡田麿里でも「あの花」「ここさけ」とは似ても似つかぬ少年ギャング集団の成り上がり作品!

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2015年夏アニメ中間評! 『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』『六花の勇者』『おくさまが生徒会長!』『干物妹!うまるちゃん』『実は私は』『下ネタという概念が存在しない退屈な世界

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2015年冬アニメ評! 『SHIROBAKO』(後半第2クール) ~アニメ制作をめぐる大群像劇が感涙の着地!

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2014年秋アニメ評! 『SHIROBAKO』(前半第1クール) ~アニメ制作の舞台裏を描く大傑作爆誕

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2014年秋アニメ評! 『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 ~ガンダムSEEDの福田監督が放つ逆「アナ雪」! 女囚部隊に没落した元・王女が主役のロボットアニメの悪趣味快作!

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2014年秋アニメ評! 『ガンダム Gのレコンギスタ』 ~富野監督降臨。持続可能な中世的停滞を選択した遠未来。しかしその作劇的な出来栄えは?(富野信者は目を覚ませ・汗)

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2014年春アニメ評! 『ラブライブ!』(第2期)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160401/p1


2013年秋アニメ評! 『WHITE ALBUM 2』 ~「冴えカノ」原作者が自ら手懸けた悲恋物語の埋もれた大傑作!

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2013年秋アニメ評! 『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』 ~低劣な軍艦擬人化アニメに見えて、テーマ&萌えも両立した爽快活劇の傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1

2013年秋アニメ評! 『サムライフラメンコ』 ~ご町内⇒単身⇒戦隊⇒新旧ヒーロー大集合へとインフレ! ヒーロー&正義とは何か? を問うメタ・ヒーロー作品!

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2013年夏アニメ評! 『げんしけん二代目』 ~非モテの虚構への耽溺! 非コミュのオタはいかに生くべきか!?

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2013年春アニメ評! 『這いよれ!ニャル子さんW(ダブル)』

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2013年春アニメ評! 『惡の華』前日談「惡の蕾」ドラマCD ~深夜アニメ版の声優が演じるも、原作者が手掛けた前日談の逸品!

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2013年冬アニメ評! 『まおゆう魔王勇者』『AMNESIA(アムネシア)』『ささみさん@がんばらない』 ~異世界を近代化する爆乳魔王に、近代自体も相対化してほしい(笑)

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2013年冬アニメ評! 『ラブライブ!』(第1期)

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2013~14年3大アイドルアニメ評! 『ラブライブ!』『Wake Up,Girls!』『アイドルマスター

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2011年春アニメ評! 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 ~別離・喪失・齟齬・焦燥・後悔・煩悶の青春群像劇の傑作!

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2011年冬アニメ評! 『魔法少女まどか☆マギカ』最終回「わたしの、最高の友達」 ~&『フリージング』『放浪息子』『フラクタル

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  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040407/p1

2004年冬アニメ評! 『超変身コス∞プレイヤー』『ヒットをねらえ!』『LOVE♡LOVE?』『バーンアップ・スクランブル』『超重神グラヴィオン ツヴァイ』『みさきクロニクル ~ダイバージェンス・イヴ~』『光と水のダフネ』『MEZZO~メゾ~』『マリア様がみてる』『ふたりはプリキュア

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1


2003年秋アニメ評! 『カレイドスター 新たなる翼』 ~女児向け・美少女アニメから真のアニメ評論を遠望! 作家性か?映画か?アニメか? 絵柄・スポ根・複数監督制!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040408/p1

2003年春アニメ評! 『妄想科学シリーズ ワンダバスタイル』『成恵(なるえ)の世界』『宇宙のステルヴィア』『ASTRO BOY 鉄腕アトム

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040403/p1

2003年冬アニメ評! 『ストラトス・フォー』『ガンパレード・マーチ ~新たなる行軍歌~』『MOUSE[マウス]』『ぱにょぱにょ デ・ジ・キャラット』『陸上防衛隊まおちゃん』『朝霧の巫女』『らいむいろ戦奇譚

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040402/p1



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