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ウルトラマンティガ 〜序盤合評2


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(1996年11月執筆)

ウルトラマンティガ 〜序盤評②

ウルトラマンティガ』を観て

(文・T.MATSUMOTO)
 ウルトラマンの新シリーズに求められるものというのは一体何であろうか。
 何度も旧シリーズがリピートされ、レンタルビデオも普及している今となっては、メインの視聴者である子供たちにとっても全く違うウルトラマン像が望まれるのであろうか。
 しかし小氏には年少の甥や姪がいるが、彼らを見ていると、飽きる事無く同じ遊びを繰り返す子供と言うのは、やはり有る種ワンパターンを求め、それに安心を得ているように思う
 (それを考えると商業主義と批判されがちな戦隊シリーズの普遍のドラマ構成も、マニア諸氏には物足りないであろうが、ターゲットの子供の需要に対する製作側の答えとしてむしろ評価されるべきものであろう)。


 さて、この度始まったウルトラマンの新シリーズであるが、マニア諸氏の中にはこれまでのイメージを一新した全く新しいウルトラマンを求め、これまでのシリーズを全く感じさせない設定、ドラマ、映像を求める者もいよう。或いは作り手の中にもそういう欲求が有るかも知れない。
 だが子供たちはウルトラマンウルトラマンである限り、やはり過去のシリーズの持っていたイメージをそのまま求めている筈だ。そして不必要な迄に新イメージを求めるならば、別にウルトラマンでなく新しいヒーローを想像すればいい。


 さてそれを踏まえた上で『ウルトラマンティガ』(96年)を見る。
 事件発生、怪獣出現、さまざまな知恵を振り絞り戦う隊員たち、クライマックスのウルトラマンの出現、重みのある格闘シーン、崩れ落ちるビルディング、美しい光学合成による光線技と、ウルトラマンに求められるものはほぼクリアーしている。
 一方で、マスコミで話題にされるウルトラマンや怪獣、「隊長ってテレビ映りいいよな」という視聴者に親近感を抱かせるガッツ隊員たちの小市民性といった、イマ風の演出、地球の先住異星人とか腐乱したまま暴れる怪獣とかの新しいアイデアを見せる事で、新シリーズとしての価値も確立している。
 オープニングも新しい映像を創り出しながら、シルエットによる旧シリーズのそれのセンスやテイストを引き継いでおり好印象。
 というわけで『ティガ』は、平成の世に復活したテレビシリーズのウルトラマンという作品として現状ではかなり評価していいのではなかろうか。


 で、ウルトラファンが殆どの読者層の本でいきなり喧嘩売るような発言ですまんが、他でも言っている事なのだが、実は小氏にとってウルトラマンシリーズは既に過去のものである(それ以外のメディアでは十分以上にヲタクなんだけどね)。
 だからこの原稿書くために数話観たものの、この先も本作を観るかというとこれはまた別問題である。
 何でこんな事書いたかというと、小氏は本作を評価はするけど、残念ながら一度ウルトラ(というか子供向け特撮ヒーローもの)を離れた大人たち(=殆ど一般ピープル)は、及第点程度の本作品くらいでは呼び戻すことは出来ないのだという事が言いたかったのだよ〜ん(カルくシメてスマンね)。

(了)

ウルトラマンティガ 〜序盤評③

ティガ序盤感想

(文・ビオラン亭ガメラ
 突然ですが、『ウルトラマンティガ』(96年)見ました!?
 いやー、やってくれたよね! CG多用! スピード感のある絵! これぞ、次世代の『ウルトラマン』ですよぉ〜!!


 ただ、2話の特撮は高野宏一色が……(笑)。やっぱセット組むのは金かかるから、CGの背景もあたりまえになってくるのかもしれませんね。


 ちょっと設定や話が弱い気もするけど、ま、あれだけのものをTVで見せていただけるなら僕ぁ大満足です!!
 『ウルトラマンネオス』(95年)のパイロットフィルムと、映画『ウルトラマンゼアス』(96年)を足して2で割ったような『ウルトラマンティガ』、僕は合格点あげちゃうよ!
 ただガッツウイングの発進シーンはミニチュアでやってほしいなぁ……。あ、特撮しか評価してねぇや(笑)。OP(オープニング)もオシャレ!


 そして。いや〜良いっすねぇ〜! 5話『怪獣が出てきた日』。
 防衛組織GUTS(ガッツ)の作戦の度重なる失敗に矢のごとく非難をあびせる人々(ワイドショーの街行く人インタビュー映像)。
 「しょせん自分に関係なければ……」「俺がやらなくても、きっと誰かがやってくれるよ」といったような他人言としてしか物事を見ようとしない、人間の悪い面がよく現れていました。
 人間、そういうトコあるんですよねー、僕なんかモロ (汗)。あの立場だったら「ガッツなんかやめちまえ!」ぐらいのこと言っちゃうんじゃないかなー(汗)。ごめんね、ガッツ(笑)。
 どんなに非難されても戦うしかない、人類のために……。ううっ、戦士は孤独だなぁ、えらいぜ!!

 
 そしてティガに倒された怪獣を見て、ガックリと肩をおとすムナカタ副隊長。怪獣は倒された。これですべてが終わったのに……なぜか心が苦しい。ウルトラマンはえらい、でも防衛隊だってエライんだよね! 僕は感動しました!!
 (ただ、子供たちには理解できてるのかな? 3話のキリエル人(びと)といい、4話といい……僕としてはやっぱり「子供に理解できる」というのが大前提にあってほしいな……子供が1番、マニアは2番ってね(笑))。


 あと、あいかわらずセンモン用語的なものが全然分からなーい!(3話のデフコンワン?とか) 5話のアルミのなんたらをバラ巻いたのもわかんなかった。たしかにガッツウイングで攻撃をはじめれば、「あ、あれはそういうものなんだ」と理解できるけど、あの会話だけでは僕にはなにがなんだかサッパリ分かりませんでした。そこら辺もうちっとなんとかしてほしいなーなんて思います。


 とはいえ、ドラマ的に面白いのはモチロン! 怪獣をアームでつり上げたり、怪獣の首はのびるわ、映像的にも楽しい良い作品でしたね!
 多少「主人公ダイゴのキャラが弱い」などの不安材料もありますが、女性隊員レナがかわいいので、もといひさびさのウルトラ作品ということで大目に見てあげましょう。

(了)

ウルトラマンティガ 〜序盤評④

そこはそれ、パワータイプ(意味なし)

(文・あべけんすけ)
 放映開始直後にT.SATOくんに「ティガどうですか?」と聞かれ、「早くウルトラ兄弟を出して欲しいよね」と返す私も私だが、「そうですよね、僕は今こそウルトラに巨大ロボットを出すべきだと思うんですよ」と力説するT.SATOくんもT.SATOくんだが、「あの基地が変形して巨大ロボットになるらしいよ、玩具の型はキングピラミッダー(『超力(ちょうりき)戦隊オーレンジャー』95年)の流用」と悪質宇宙人なデマを流す私も私(笑)。


 えー、そんな訳で今回のお題の『ウルトラマンティガ』(96年)、今12話まで放映したところでこの文を書いている訳ですが、はっきり言っていまひとつの感が……。いや、初回から熱狂している人の意見も分からないではないけど「それはあなたの生きる道」ってことで。


 なんかこう、今のところの『ティガ』ってウルトラの平均的仕上りというか、ふっきれてないって感じ。
 私としては『ウルトラマンパワード』(93年)くらいの破天荒な作り(爆笑)の方が共感できた。とくに今までの話数だと『ウルトラセブン』(67年)的SFチックなものを狙って破綻するパターンが多いような印象。
 例えば『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)や同じ円谷プロの『電光超人グリッドマン』(93年)の1クール分と比べてみても、シリーズとしての方向性が未だにはっきりしないし。
 まあでも、今後『ザ・ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1)のU40(ユーフォーティ)編みたいな感じで巻き返しを狙ってくるかもしれないので、この件については保留ということで。
 やはり、OPのタイトルバックに見られる『超古代のウルトラマン』といった設定がキーになってくるのでしょうね。


 それにしてもバルタン星人出してくれないかな、別に過去の作品と因縁づけなくても『ザ・ウル』バルタンみたいな扱いでいいから。やはりビデオ合成で分身するバルタンやティガスカイタイプとバルタンの大空中戦が見たいというのがマニアのさがというもの。あとパワータイプとレッドキング(パワード版がいいな)の力比べとか。


 それでは放映分の私見ベスト3

1位 #11「闇へのレクイエム」

 やはり私どうしても世代的には『帰ってきたウルトラマン』(71年)者なんで、こういうドラマ重視、視聴後に余韻の残る作品に弱い。あの3人(ホリイ隊員・ホリイの旧友の科学者・科学者の恋人)の関係も説明過多になっていないところが良かったと思う。誰の心の中にも闇はある、でも光もあるのよ。(これは『パワード』の最終回)

2位 #5「怪獣が出てきた日」

 シミュラクルな構造を持つ小中千昭脚本回の中ではベストの出来。東映メタルヒーロー重甲ビーファイター』(95年)第26話「蟹と水着と親父」こと大谷朗(おおたに・あきら)氏演じるカメラマン記者の異色な存在感が心地好く、彼が怪獣を追跡することで一種ロードムービー的な味わいを醸し出した逸品。ラストで結局は「ウルトラマンに助けられてしまう」ムナカタ副隊長の忸怩たる心境を、酒場にひっかけて描いた点もお見事。

3位 #8「ハロウィンの夜に」

 これはナイトメア映像(悪夢映像)が美しかったということでランクイン。もともと映像主体で魅せるというのはウルトラのお家芸だから、カボチャのオレンジの色彩やナイトシーンの合成がとにかく綺麗。限定ハロウィン地区という設定もユニーク。


 今後の展開としては、お約束のウルトラ兄弟共演シリーズ(個人的にはパワードのコスギ親子のゲストを希望)、黒部進ゲストによる親子共演話、シュシュトリアン話(シンジョウ隊員の妹マユミ役の石橋けい出演の『有言実行三姉妹(シスターズ)シュシュトリアン』(93年)がらみ。〜後日註:コレは半分実現した・笑)、日本の童話シリーズ、旧作人気怪獣話、エクシードラフト話(シンジョウ隊員こと影丸茂樹主演の東映メタルヒーロー特捜エクシードラフト』(92年)がらみ)、円盤生物シリーズ、ガッツ石松と宍戸勝(『超力戦隊オーレンジャー』(95年)のオーレッドこと宍戸勝(ししど・まさる)は子役時代に『ウルトラマン80』#32「暗黒の海のモンスターシップ」にガッツ石松と親子役で共演していた!)、往年のウルトラ名監督シリーズなどをおおいに期待しているのは、やはり私だけか(笑)。

(了)

ウルトラマンティガ 〜序盤評⑤

オキナワといじめとF1と「妹よ」

(文・旗手 稔)
 待望の国産(苦笑)ウルトラマン『ティガ』。
 薄っぺらな仕上がりのビデオ特撮には不満もありますが、むしろイメージの豊かさを評価したい。
 問題はシナリオ。初期篇は「怪獣」という素材への実直な取り組み方に好印象も持ったものですが、このごろは異様にこだわった細部のディティールばかりが突出して、肝心のお話はありがち――なんてモノばかりなのでちょっとシンドイです。


 96年11月9日放送の第10話「閉ざされた遊園地」(脚本/川上英幸・監督/松原信吾)。
 シンジョウ隊員とその妹マユミが休暇を利用して遊園地に遊びに行くと、そこでひとりの少年が仲間からイジメを受けていた。同情したシンジョウは彼を励まそうとするが……


 少年との会話の中で、シンジョウが沖縄出身者であることが明らかにされます。
 シンジョウ=キンジョウ(金城)=オキナワという図式なのでしょう。
 沖縄問題が取り沙汰される昨今、「オキナワ」と「イジメ」を絡めた作劇の妙――と思ったら、何のことはない沖縄出身であるにもかかわらずシンジョウは泳ぎが苦手という、ただそれだけの事でありました。
 少年がイジメられた理由も別段深刻な社会的背景がある訳でもなく、単に乗り物に乗る勇気が無かったためでありました。


 少年もシンジョウ同様妹同伴で遊園地を訪れてきており、そんな彼に向かってシンジョウは「兄は妹のことを守らなくてはいけない、だから兄は強くなくてはならない」と諭します。
 そこへ突然の怪獣出現。怪獣は子供達を狙っているという。運悪くふたりの妹は観覧車に閉じ込められていた。シンジョウと少年は妹を救うべく勇気を出して怪獣に立ち向かう――


 彼らが観覧車から怪獣を遠ざける手段として用いたのがゴーカート。
 冒頭、シンジョウとマユミの会話で彼女の恋人がF1レーサーであることがほのめかされます。多分それがクライマックスのカーチェイスの伏線となっているのでしょう。
 シンジョウの兄妹愛は彼をして妹の恋人への対抗心を芽生えさせた。彼は密かに鍛えたドライビング・テクニックで妹の窮地を救い、彼女はそんな自分想いの兄を深く尊敬するのだった――みたいに。


 マユミの恋人がF1レーサーであるという設定は、しかし冒頭以外の場面では一切触れられません。
 結果として時代相を反映した設定という以上には特に意味があった様にも思われず、物語も少年の勇気が仲間に認められてオシマイというほとんど時代錯誤としか言い様の無い、恐ろしく安易な幕切れを迎えます。


 テーマにこだわる作り手の姿勢は評価します。でも、何でもかんでも詰め込めば良いというものではありません。
 『ティガ』はテーマにかける演出の比重が、キャラクター描写にかけるそれよりも明らかに偏っており、そのため見終わって食い足りない印象を受けることが多々あるのです。
 本エピソードにしても、「オキナワ」と「イジメ」に焦点を絞ってシンジョウの内面を描き込むか、或るいは妹の恋人に対抗心を燃やすシンジョウの奮戦記にするかしていれば、キャラクタードラマとしてより以上の完成度を示せた筈です。


 まるで奥行きの無い「薄っぺら」な人間たちが右往左往しているだけのドラマが面白かろう筈も無い。
 内容的にも極めて「薄い」本エピソードは、その意味において「薄っぺらい」ビデオ特撮作品(正確にはフィルム撮影のテレシネビデオ特撮作品)『ティガ』の現在の有り様を象徴する一篇と言えるでしょう。

(了)

ウルトラマンティガ 〜序盤評⑥

ウルトラ感想文「ティガを見た!」

(文・摩而ケ谷行久)
 TVでの新ウルトラマンが『ウルトラマンネオス』ではなく『ウルトラマンティガ』(96年)であるという話を最初に知ったのは、某氏からのお手紙によってでした。
 まあビジュアルを知らないその時点では「3色3変化とな? よく分からんがめでたい(笑)。
 あと主演にV6の長野博ってのも要は演技次第なんでアイドル起用がどうとか否定要素に決めつけるのは早計だな、うん」程度に期待していました。
 というか、それらが作品の方向性を決定するとも思えないので個人的にはたいして興味をそそるものではなかった訳です。


 その期待が急にふくらんだのは特撮雑誌『宇宙船』での紹介ページを見た時でした。
 超古代文明人が怪獣との戦いの際に超古代ウルトラ戦士(ってウルトラマンキング老とか?)によって贈られたティガの巨人(ちょっと『ジャンボーグA(エース)』(73年・円谷プロ)ライクだね)、再来した怪獣(新恐竜)への最後の切り札が21世紀に古代人の血を受け継ぐ主人公の手により運命の復活!
 って伝奇パターンと言ってしまえばそれまでとはいえ、世界観に保守的な『ウルトラ』でこんなに設定を広げつつワクワクさせるかいっ、これなら『ネオス』の大ウルトラ組織(宇宙警備隊の銀河規模の各支部や下部組織・宇宙保安庁やら勇士司令部など)のインパクトにも匹敵するぞ、ティガのデザインもいかにも伝説の戦士といった適度にきらびやかなイメージとウルトラマンらしさがマッチしていていいじゃない、といったぐあいに楽しみにしていました。


 第1話『光を継ぐもの』で、その期待は過剰なものであったと思い知りました(苦笑)。
 個人的にはもっと仲間なり市街なりが復活した怪獣によって危機的な状況になったところでダイゴが「光を継ぎし者よ、ティガの地へ赴き巨人となるのだ。地球を守ってくれ!」とかいった謎の声を聞き、走る!
 てなぐらいにべタに盛り上げてくれたほうが良かったと思うのですが、組織ぐるみで信用ならない情報に流されて超兵器(ティガの巨人)の争奪戦とは面倒なことをしたものです。
 主人公の感情が見えない構成が円谷作品らしくて良いなんてことはなく、超古代文明の記憶を継承しているのか単に思い込みやすいのか分からなければダイゴが妙に突っ走っていたことは話をすすめる都合論としか見えません。
 怪獣までも一直線にティガの地を目指し、人類の敵であり脅威なのかどうかは二の次といった展開になっていたことも怪獣が駒という印象を受けました。
 あえて利点を挙げればティガが確かに超古代文明に関係ある存在だということが他のメンバーにも知られたことでしょうが、今後の展開で超古代文明が本当にちゃんとキイてくるんでしょうな?


 そう言いたくなるぐらいに以後のエピソードは旧作をモチーフにしたような話が続きました。
 個人的に『ティガ』には原点回帰よりも本作独自の新規の設定をフォローした話を作ってほしいのですが(超古代の情報ホログラム(立体映像発生装置)が実は人工知能だったのならダイゴ個人の所有でいいからレギュラーとして助言役になってほしかったし、第1話では怪獣が明らかにティガ復活阻止の意志を持っていたので「復活怪獣は人類の敵」という世界かと思っていたら違うようだし)、それよりもアイディアは良いのに実際の本編では感情に訴えるパワーに欠けることが問題でしょう。


 第3話『悪魔の預言(よげん)』(キリエル人(びと)の話〉などまさにそうで、まあメフィラス星人よろしく「神と悪魔」をねらったのでしょうが「まず敬意を表してください」と言われてもそうすることで何か起こるのかさえ不明では緊迫しようもありません。
 また、「地球の守護者になろうなどと、おこがましいとは思わないかね?」との問題提起に何の回答も与えず、キリエル人は倒したけどまだいるかもなんてブキミなオチを付けられても……。
 何だか旧来のウルトラの「空想科学」をスタイルだけ重視してドラマとしての内容が伴っていないのでは? と考えてしまったわけです。


 このままではドラマの完成度もヒーローのアクション要素も中途半端に空回りしていて困るぞ、もっと気取らずにありふれた人情話や痛快逆転劇で地固めしてくれ!
 とか思っていたのですが、1クールも終盤になって、エボリュウ細胞と屈折した向上心により怪獣化した科学者とその友人であるホリイ隊員のディスコミュニケーションを描いた第11話『闇へのレクイエム』(感情の流れも自然で、しかも関西弁セリフをふつうに書けるライター武上純希(たけがみ・じゅんき)によってホリイ隊員の印象も格段によくなった)や、
 縮小光線を使って人間狩りをする宇宙人相手に本作初の等身大で応戦、ティガ・パワータイプに変身して壁を破り、縮小光線で閉じ込められても自分で等身大に戻り脱出、逃げる宇宙船を追う巨大ティガ(スカイタイプ)とヒーローの能力、カッコよさを見せることをメインにした第13話『人間採集』(その一方で隊員の人質救出作戦の醍醐味もちゃんとカッコよく見せる作りは脱帽モノ)など、細かいことを言えば「ティガはもと人間なのを分かっていて故意にトドメを差そうとしていたようだが」とか「縮小光線銃が残ってるよー、これからはティガが出なくても全然OKだね」とかミソは付けられるのですが、未消化とセンスオブワンダーを混同したフットワークの重さに比べれば断然期待できる作りの話が出て来ました。


 これでこそ見ていた甲斐があったというものです。
 ただ今後について問題があるとすれば、ドラマに絡めるためとはいえ隊員の身内や友人ばかりのゲストキャラクターには一考の余地ありでしょう。


 さて、ストーリー以外についても少々触れておきます。
 映像については、「自然現象は自然に、不自然な現象は不自然に見えるほうがいい」という観点からすれば回を追って良くなっている反面おとなしくなっているとも言えるのですが、初期のガッカリさせる合成が短期間で激減したことについては非常に高く評価しています。
 音楽については本当に気に入っています。
 ただ演技についてはヘタというより一部のキャストの発音の変なことが気になります(まあ直ってきているようではありますが……)。


 何はともあれ確実に良くなってきている『ティガ』ですが、個人的にはあとひとブレイクほしいなといったところが現時点での感想ですね。いかに『ティガ』らしさを獲得するかに注目していきましょう。

(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊97年号』(96年12月30日発行)「ウルトラマンティガ」序盤評・合評①〜⑤より抜粋)



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