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ザ・ウルトラマン序論 〜『ザ★ウルトラマン』に寄せて

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ザ・ウルトラマン序論 〜LD化記念『ザ★ウルトラマン』に寄せて


(文・いちせたか)
(1997年秋執筆)


 「『ウルトラマン』とは何ぞや?」
 と問われれば、ひと昔前なら「日本が誇る特撮変身ヒーロー」とでも答えればよかったが、1966年の誕生から30年が経過した今となってはとてもそんな言葉ではくくれない。
 海外版もあればアニメもあるし、その中にはウルトラマンの最大の魅力の一つである変身も光線技も出てこないものもある。


 これについての是非はファンの一人一人それぞれにあると思うし、その誕生に貢献したスタッフの中にはより複雑な思いがあると思うが、あえて肯定的に言えばそれだけ『ウルトラマン』という名を冠した作品の幅やファン層が、30年の間に大きく広がったことは事実だろう。


 さて『ザ★ウルトラマン』(79年)である。
 今さら説明するのもなんだが史上初のアニメ版ウルトラマンである。ただし、現在ならともかく前述の「ひと昔前」、正確に言えば1979年の作品である。
 「何だってアニメで『ウルトラマン』をやらなきゃならんのだ」という意見がマニア間では大勢を占めていた。
 かく言う筆者も多少の興味はあったが、放映前の感覚としては基本的には同じ意見であった。


 アニメ側から言えば『宇宙戦艦ヤマト』(74年)の劇場版(77年・78年)の超ヒットで世の中は空前のアニメブームに突入、玉石混交する中イケイケ状態の時であるから、アニメで『ウルトラマン』をやることにもそれなりの意義や成算があってのことなのだろうが、特撮ファンにそれが正しく浸透していたとは言えない状況だったわけだ。
 今でこそ「ウルトラマンの故郷であるウルトラの星・U40(ユーフォーティ)編ではアニメならではの迫力ある展開を見せて好評を博した」ってな解説がまことしやかに書かれたりしているが、放映当時の感触としてはとてもそれほど注目されていたとは思えない。
 なにしろあの『機動戦士ガンダム』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)の始まった年でもある。視聴率が低かったとはいえ、幼児や児童はともかく年長のマニアに限れば当時は猫も杓子も『ガンダム』で大騒ぎだったのだ。



 まあ当時の評価が絶対というわけではもちろんないし、筆者自身『ザ★ウル』は大好きな作品である。長い間見ることすら容易でなかったこの作品も、ようやくLDが発売され再視聴の機会を得た。
 で、今回それに挑戦しよう、と思ったのだが実はフトコロ具合の関係で未だに全話の視聴はかなっていない。
 従って体系的な検証や評論はまたの機会に譲り、今回は少しだけこの作品に対する雑感めいたものを綴ってみたい。



 前述のように筆者のこの作品に対する感触は当初必ずしも好意的ではなかった。


 ただ、『帰ってきたウルトラマン』(71年)以降それぞれの工夫こそあれ基本的に初代『ウルトラマン』(66年)か『ウルトラセブン』(67年)のラインから脱却できないウルトラマンのデザインに少々飽きが来ていたのは事実なので(まあある程度の共通項は必要だとは思うが)、かなりオリジナリティが感じられるウルトラマンジョーニアスのデザインには魅力を感じていた
 (それだけに現在までに作られたジョーニアスの実写用着ぐるみにはもう少しなんとかしろ、と言いたくなるのだが)。


 SF・特撮系のマニアからはバカにされ、アニメとしてもさほど注目されない不遇な状況の中でそれでもスタートを切った『ザ★ウル』だが、その評価は放映開始後もしばらくは変わることがなかった。
 ただ、そこには旧来のファンの欲求を満たし、かつ新たな魅力をその中に見出すべく、様々な工夫が盛り込まれていたことを一部の視聴者は敏感に感じ取っていたのではないだろうか。


 特に防衛チームの設定にはその意図が強く感じられた。
 「科学警備隊」という初代『ウルトラマン』の科学特捜隊と『ウルトラセブン』のウルトラ警備隊を思わせるネーミング、またそれを承知の上でその2チームのイメージでまとめられたキャラクターシフト、さらにトベ隊員役の声優としての二瓶正也(にへい・まさなり=初代『マン』のイデ隊員)の起用、とどめは『帰ってきたウルトラマン』のMAT(マット)の隊長交代劇よろしく沈着冷静なアキヤマから豪放なゴンドウへの隊長交代劇……。


 熱心なファンには嬉しいこれらの工夫も、当初は心ないマニアから猿マネ扱いされたものだ。
 ウルトラシリーズ数あれど、防衛チームがきちんと描かれていた例は正直それほど多くはない。科特隊とウルトラ警備隊のイメージが強烈だったせいもあるが、第2期ウルトラの作品ではその差別化に苦心し過ぎてチームの輪を壊していたり、設定の割には実際の劇中では地味になってしまったキャラがいたりで必ずしも成功していなかった。
 作品のムードやテーマとの兼ね合いもあるが、『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)のZAT(ザット)チームが東西南北の安直なネーミング(科特隊やウルトラ警備隊と違い漢字のフルネームが主流の時代なので覚え易さを考慮したとも考えられるが)にも関わらずキャラの確立に成功していた(西田・上野は中途半端になってしまったけれど)と思ったら、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)のMAC(マック)は一転して没個性(色のネーミングも今回は本当にただの記号だった)、おまけに途中で全滅してしまった。
 いいかげん設定そのものをいじり倒してしまった感があるが、かといって実写では科特隊やウルトラ警備隊のイメージを再現しようと思っても所詮ムリな話である。
 それに比べればごく自然にそうしたムードを再現できた科学警備隊はまさにアニメならではの功績であったわけだ。



 もちろん、いい点ばかりが目についたわけではない。
 シリーズ前半における、「アニメなりのウルトラマン」がなかなか描けず実写をそのままアニメ化したような固さやルーティンワーク故の退屈さ、「高い」と言い切るには(当時としても)抵抗のある作画レベルなどは見ていてやや辛かったし、そのためバルタン星人やレッドキングといったおなじみ怪獣を登場させてももう一歩それが画面で生きないという欠点もある
 (それでもそれなりに強さや迫力が出ている点で第2期に続出した造形が悪い上に弱い2代目怪獣群よりはマシだと思うが)。
 まあそれも作品評価を根底から揺るがすほどのことではないのだが。


 もう一つ特筆すべき点はジョーニアスの必殺技・プラニウム光線である。
 ウルトラシリーズの光線技はどれもダイナミックで美しいが、一方である程度の制約、よく言えば様式美のようなものが要求されるため変化が付けにくい。
 そんな中で登場したプラニウム光線だが、初めてアニメでやる以上別に普通の両腕を十字やL時型に組むスペシウム光線風でも良かったはずである。それをあえて新しいイメージの光線技を見せたスタッフの姿勢には拍手を贈りたい。
 今でこそアニメではなにかといえば気功弾を撃ちまくるキャラが出てくるが、ウルトラマンがL字型に組んだ右腕の垂直稜線に発生したエネルギーを球状にして横から射出するこのイメージは当時筆者にとってはかなりのインパクトであり、これを見て筆者のこの作品に対する印象は一気に好転してしまったのだ。



 キャラ描写を振り返ると、95年に逝去された故(涙)・富山敬(とみやま・けい)や、アニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』(79年)の少女ヒロイン・クラリスでブレイクする直前の島本須美(しまもと・すみ)ら声優陣の好演も作品に大きく貢献しているが、個人的にはヒカリ・ムツミのカップルにハッピーエンドを迎えさせてくれたことが嬉しかった。
 ウルトラは基本的に主人公とヒロインのロマンスに関してはアンハッピーエンドが圧倒的に多い。ウルトラマンが宇宙人である設定上仕方がないし、悲恋なら悲恋でそのラストシーンをきちんとキメてくれればいいのだが、『セブン』のダンとアンヌ以外でそれなりに別れのシーンがまとまっていたのは『帰ってきた』の郷とルミ子くらいで、それも中盤の坂田アキの死を経てのことである。
 また路線変更に伴う死別や消滅が異様に多いことも、仕方がないとは言いつつも長年の不満だった。


 たまにはウルトラでハッピーエンドのロマンスが見たい、という思いは当時結構強かったのである。本作でも名作と言われる15話『君がウルトラマンだ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090808/p1)で悩むヒカリとそれを気遣うムツミが結構いいムードなのを見て微笑ましく嬉しく思ったのと同時に、過去の数々の苦い思い出が頭をかすめたのも事実である。
 ジョーニアスとヒカリが合体後も別の人格を持っていることに初代ウルトラマンとハヤタのように最後は分離する結末もあり得るかとかすかな希望も持ってはいたが、それが具現化したときはやはり嬉しかった
 (まあその分ジョーニアスの妹・アミアがワリをくってしまうのだけど)。


 『ザ★ウル』の直後の『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)がまた主人公の中学教師とヒロインのマドンナ教師とのロマンスが第1クールで路線変更により終了してしまって失敗したときはガッカリしたが(第4クールに登場するウルトラの女戦士ユリアンはともかく)、なにしろ実写の方でこうしたハッピーエンドがキチンとした形になるのは『ウルトラマンティガ』(96年)最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1)まで待たなければならなかったのだから困ったものだ。
 やはりアニメと実写ではいろいろニュアンスも違ってくるためだろうか。



 さて前述の通り評価の高いU40編だが、個人的な感覚で言うとこれには実写の方でのウルトラの国の評価がマニア間で賛否分かれていたことにも起因すると思う。
 知っての通り『タロウ』で公開されたそれは、確かに児童の希望に答えたものでありそれなりの未来感覚も備えていたと思うが、一方でウルトラマンの擬人化を招き、旧来のファンの失笑を買ったのも事実である。


 筆者個人の思い出話をすれば、少年雑誌の企画などで想像をたくましくすることには意欲的であっても、心のどこかでそれの映像化に抵抗する気持ちもあったのだ。
 第1期のころにもしそれが作られていれば全く違ったものであったろうし、またあくまでも謎のままの方がいいこともある。
 まあいい大人になってみて振り返れば微笑ましくも感じるが、あれで良かったとまでは言い切る自信がない。


 『ザ★ウル』ではアニメという自由さがあるため、その辺はさすがに上手く処理していた。
 もちろん、『レオ』までの実写作品と関係がないためにより自由だったということもあるが、ウルトラ兄弟の客演とはまた違ったイメージでウルトラの戦士エレクやロト、アミアらを登場させて『ザ★ウル』なりのウルトラの国をキチンと作り出し、世界観の構築に成功していたと思う。


 このプロットのもう一つの成功要因としては、先の『宇宙戦艦ヤマト』やSF映画『未知との遭遇』『スター・ウォーズ』(共に77年・日本公開78年)の大ヒットと、
 少年雑誌内山まもる先生の『ザ・ウルトラマン』(75年『小学三年生』に連載、77〜78年『コロコロコミック』で再連載。小学館てんとう虫コミックスで単行本化(78〜80年・全4巻・ASIN:B000J8L868。98年に小学館コロコロ文庫に所収・ISBN:4091941214。その後も新書サイズなどで度々再販。同98年に双葉社ASIN:4575935514。00年に小学館ASIN:4091402410)や、
 かたおか徹治先生の『ウルトラ兄弟物語』(78〜79年『コロコロコミック』で連載。てんとう虫コミックスで79年に単行本化・ASIN:B000J8GFFC。98年に双葉社で再刊・ISBN:4575935875)などの連載マンガで、
 ウルトラの大河ドラマに対する熱中度や期待が高まっていたことも挙げられる。
 地球で怪獣や侵略宇宙人と戦うだけでなく、宇宙を舞台に同族と協力して戦うウルトラマンといったスケールの大きな物語をファンが求めていた土壌もあったのである。



 長い間幻と言われたこの作品も今なら手に取って見ることができる。
 それはLD化に適したメジャー作品を瞬く間に喰い荒らしたLD業界で、ただ単に商品化のお鉢が回ってきただけのことであり、作品が正当に評価されてのことではない。
 しかし初放映から18年が経ち、もうアニメのウルトラマンなど珍しくもなくなった。今なら変に気負わずにジョーニアスに逢えるような気がする。


 ただ見たいというだけの理由で高額なLDを買うのは少々シンドイかもしれないが、その気があるならぜひ一度見て欲しい。
 そしてこれまで書いてきた本作の魅力が嘘か真か、自分の目で確かめてほしい。


 筆者も含め、今こそ第3期ウルトラシリーズの旗手『ザ★ウルトラマン』の魅力を再確認し、その評価を始めるときだ。     


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊98年号』(97年12月28日発行)『ザ☆ウルトラマン』特集・合評1より抜粋)


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