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仮面ライダーアギトスペシャル 新たなる変身 〜合評


『仮面ライダーアギト』 〜全記事見出し一覧
『仮面ライダー』シリーズ評 〜全記事見出し一覧


(01年10月1日(月)放映)
(脚本・井上敏樹 監督・田崎竜太 アクション監督・宮崎剛 特撮監督・佛田洋

仮面ライダーアギトスペシャル 新たなる変身 〜合評①

(文・T.SATO)
 なんと改編期ゴールデンタイム特番で変身ヒーローものが1時間スペシャルで登場!
 バラエティ番組いまだ隆盛なりしも往時より若干陰りが見えるから通った企画とはいえ、快挙は快挙
 (……でもレギュラー枠は夜のゴールデンタイムに復活せず日曜朝のままでイイとは思うけど。今の時代は逆に日曜朝だからこそ高視聴率が確保でき、ゴールデンタイムでは子供たちの若い親御さんたちや小学校中高学年の子供たちもバラエティ番組を選択してしまって、ヒーローものは高視聴率を取れないとも思うので)。


 前作『仮面ライダークウガ』(00年・https://katoku99.hatenablog.com/archive/2000/11)の終了間際のお正月特番(『新春スペシャル』)みたくキャラ紹介や舞台紹介もカラめた総集編かと思いきや……。メイン脚本家&メイン監督による完全撮り下ろし新作ドラマじゃん!
 しかも面白い! 個人的には『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011104/p1)よりも面白かったゾ! いつものTV版『アギト』の空気とドラマが、レギュラーのたたずまいがココにはある! 


 アギトこと翔一クンが、TV版#1放映開始前の時期に相当する、記憶喪失で発見された際に入院したときの主治医(演・京本政樹)に再会。
 彼のドラマとその息子の死の真相(アギト化現象!)。アンノウン(敵怪人)との攻防。アギト最終形態TV初登場! 警視庁新スーツ・G3マイルド(笑)の顛末どもが並行して叙述さる。
 ……だけなら番外編だけど、あの北條刑事が翔一の正体を察知!ってあたりは番外編ネタじゃなくメインストリーム話の重要転機ネタじゃん!


 番外編(?)として完結しつつも、冒頭は未見の視聴者へのていないな客引き・舞台紹介・キャラ紹介としても字幕ともども作られ、番組ラストにもキョーレツなヒキがある!(強大化するアンノウン対策で想起される『劇場版』の強化スーツG4の設計図! さらにその設計図にアクセスせんとする正体不明の女性の魔手というダメ押し!)


 1本の見せものとしては、単なる総花的な総集編よりもキチンとある程度完結している抑揚ある物語の方が見やすくかつ引き込まれるのも一般的傾向として事実。だので、本作の客引きとしての企画意図は成功したと思う。
 しかしスケジュールが押せ押せでは不可能な企画。スタッフは『クウガ』開始時点で通常より手間がかかると聞いていたデジタルハイビジョン撮影にすでに慣れたということか?(後日付記:『アギト』はデジタルハイビジョン撮影ではなかったそうです・汗)


 またかョ的な大物ゲストには、スレたマニアには決して肯定者が多いとはいえない、スキキライ分かれる京本政樹氏(筆者個人は中立派)。まぁそこらへんは役者個人に対する個人の好悪の問題で、作品評価には関係ないと思うけど。


 唯一惜しむらくは、あってしかるべき現行TV版の次回予告がなかったことくらい? 商業的には当然入れようとしたハズで(?)、でも入らなかったのは尺の関係か? ちょうど時期的にも、あの壮年外科医が変身する真・仮面ライダーBLACKもどき(アナザーアギト)が出てくる次回予告編流せば、ダメ押し的なヒキとして最強だったのに(笑)。


後日付記:
 TVスペシャルラストへの解釈。スペシャル放映中にはまだ公開中の『劇場版』の冒頭・導入部にリンクしているとの見解が一般的なようです(?)。
 しかし筆者個人は、放映時期からも『劇場版』のあとの話だと勝手に思っていました。才媛自衛官小沢真珠は警視庁G3チームのGトレーラー内にて泥酔している尾室クンをダマして、その横で堂々とデータを入手してたと思うので、ひとりでデータを入手しているTVスペシャルラストは、『劇場版』導入部に絵的に直結しないと思うのですが……。ドーでもイイっちゃイイんだけれども。


さらなる後日付記:
 製作者側の言によれば、TVも『劇場版』もTVスペシャルもすべてパラレルワールドだそうで……(笑)。

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』号数失念(01年10月発行)〜『假面特攻隊2002年号』(01年12月30日発行)所収『仮面ライダーアギト』後半合評④より抜粋)

仮面ライダーアギトスペシャル 新たなる変身 〜合評②

(文・内山和正)
 翔一(仮面ライダーアギト)と涼(仮面ライダーギルス)が親しくなり共闘するようになったTV版の時間に添いながらも、『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』(涼が変身の副作用から逃れられないでいる時期が舞台)につづく結末となり、それでいながら北條刑事が翔一の変身の秘密を知る展開が映画にもTV本編にもつながっていかないパラレルワールド編。


 けれども番外編と言ってすませられるものではなく、翔一が美杉家にあずけられることになった過程が語られたりアギトバーニングフォームに進化したゆえに自分の意志でおさえられない闘争心の暴走に苦悩する翔一の姿が、第2話でアギトが警視庁の(仮面ライダー)G3を攻撃して自分自身におびえた彼の姿の補強にもなり、G3−Xを装着しはじめた時の氷川の暴走と重ね合わせて考える材料にもなっている。
 翔一以前にアギト化し、その重圧に耐えられず自殺した少年の存在も見逃せず本編に組み込んで数えてほしい一本だ(それだけに北條のアギトの正体察知の件さえなければ…… 一応本編に組み入れられている小林靖子さん脚本の28話だってかなり無理があるのだから)。


 冒頭の怪事(人々が砂になって崩れ落ち、服だけが残る)が笑いと恐怖をくみあわせて強烈に作品にひきこむ。一部中だるみもあるが上記のように見所が盛り込まれている。


 『新・部長刑事アーバンポリス24』(89〜01。関西・朝日放送。後日付記:『部長刑事』シリーズ自体は1958〜02年まで放映された!)で、当時中学生(現在は高校生)の大沢あかねさん――平成11年度(1999)の『天才てれびくん』で存在感の大きさをしめし現在は女子小中学生のカリスマ的モデルとか――の父親を京本政樹氏が演じていると聞き、ある程度大きな年の子の父親役を京本氏がどのように演じるのか興味深かった(関西のみの放送のため見られず)が、今回はもっと大きな子の親の役。
 年齢的にはおかしくないのだがやはり氏のイメージ的には違和感があった。今のところ別世界の話になっているので登場は不可能だが個人的にはインターポール捜査官・滝竜介(『仮面ライダーBLACK』(87)での京本氏のゲスト役)の再登場をのぞみたい。


 京本氏の是非について他の寄稿者も述べられているので自分の考えも述べておこう。
 氏が有名俳優でありながらヒーローファンであることを表明された時は同じヒーローファンとして心づよく思ったものだ。その後商売に走りすぎているのには個人的には嫌なものも感じるが。
 いまや加藤晴彦氏・伊藤英明氏・中村俊介氏・渡辺和洋アナらモテ系の青年たちが『ガンダム』ファンであることを平気でカミングアウトしているが京本氏の勇気ある努力がなければ間接的にせよ今日の日はなかったかもしれない。

(了)
(初出・特撮同人誌『假面特攻隊2002年号』(01年12月30日発行)『仮面ライダーアギト』後半合評⑧より抜粋)

仮面ライダーアギトスペシャル 新たなる変身 〜合評③ 太陽の子だ! シャイニングフォーム

(文・伏屋千晶)
 『仮面ライダーアギトスペシャル 新たなる変身』――本作は、東映キャラクター番組としては、メタルヒーロー超人機メタルダー』(1987年)が月曜7時枠を追われて以来、14年ぶりのゴールデン・タイムへの復帰作となりました。


 番組改編期恒例の豪華なスペシャル番組を裏にまわして、視聴率は8%台をマーク。日曜朝8時のレギュラー枠では10%以上を達成している本作ですが、通常でも7%台の時間枠ゆえに、テレビ朝日側では“大健闘”という好評価。見事に『メタルダー』の雪辱を果たしたと言えるでしょう。


 必然的に「正月スペシャル」のオファーがあった様ですが、製作スケジュールに余裕がなくて断念。その代わりに、正月には本作を再放送し、レギュラーのTVシリーズを1本延長する事に落ち着いたみたいです。



 「スペシャル」製作が決定した当初、[国枝東(くにえだ・あずま)]役には[京本政樹]氏ではなく[岩城滉一]氏が予定されていたそうです。岩城氏は芸能界でも有数のオートバイ・マニア。やっぱり、昔から「仮面ライダー」が大好きだったそうで、そもそも、『アギト』への出演は同氏の意向によるものだったらしい。
 しかし、諸般の事情(自身の出演場面に対してシナリオ段階での意見具申が多く、東映側の判断で更迭したとか?)で岩城氏の出演がNGとなり、急遽、京本氏が代役に決定――そんなこんなで、[国枝東]は、元来が岩城氏のイメージを基にして作られたキャラクターで、それ故、本作に於ける京本氏の演技パターンが、いつもと少し“違う”ものになっていた事にお気付きでしょうか?



 脚本では[国枝東]の役柄が「翔一の父親」的なポジションとして描かれているのに対して、「キザ」がウリの京本氏では、精々「兄貴」「先輩」程度にしか見えないのが難で、その上、国枝の息子・広樹が(京本氏の実年齢に比べて)年齢的に大き過ぎるキライもあり、違和感を禁じ得ないところ。
 最初から京本氏を念頭に置いていたら、国枝先生のキャラ設定は多少異なったモノになっていたに相違ありません。


 また、「大雑把に言って――」などの軽妙なセリフや、イモ羊羮(ようかん)を食べたりするシーンも、岩城氏ならではの“シブい”イメージとのギャップが演出の計算に入っていたもので、どんなにバカをやっても当たり前になってしまった京本氏が今さらコミカルに演じてみても、それほどのインパクトが無かったのが残念です。



 アクション的には、涼&翔一の連続変身、TV本編では初の3人ライダーの共闘など、相変わらずのヤル気マンマンで絶好調。
 活躍シーンは短いけれど、G3−MILD(マイルド)の弱いくせにキビキビした[岡元次郎]氏特有の“動き”をとくとご覧あれ。『劇場版』のG4と同一人物とは到底思えないところが、ベテラン・スーツアクターの持ち味です。



 一方、不意を突かれたのが、「あんまり天気がよかったから……」云々の件(くだり) 。すわ、前作『仮面ライダークウガ』(2000年)的な「青空」モチーフの復活か?! と思いきや、単に「アギトシャイニングフォーム」への“前フリ”(て言うか、『クウガ』のパロディ?)だったので、安心しました。シャイニングフォームは、まぎれもなく太陽の子だ!(『仮面ライダーブラックRX』1988年)



 それにしても、アギトバーニングフォームの時も、シャイニングフォームの時も、えらく簡単にパワーアップしちゃいましたね。いつもだったら「御都合主義だ!」と、憤っているところですが、何故か、『アギト』に限っては、妙に素直に容認できてしまいます。
 多分、ベーシックな部分でやるべき事をキチンとやっているので、単細胞な展開に却ってカタルシスを感じてしまう……
 アレ、この感覚は、確か1970年代モノ特有のテーストだった筈。やっぱ、『アギト』って、昔のヒーロー活劇のフォーマットに回帰しようとしているんだ(!?)。


 だからこそ、昨年は“こんなの「仮面ライダー」のタイトルを冠するのは詐欺だ!”と思っていたのに、今年は“これなら「仮面ライダー」を名乗っても許す”と思える様になったのではないでしょうか。


 ――そう思いません? (思わんか……)

(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2002年号』(01年12月30日発行)『仮面ライダーアギト』後半合評⑩より抜粋)


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