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仮面ライダー剣 前半合評1 ~ベテラン脚本家・今井詔二作品として!

『仮面ライダー剣』前半合評2 ~シリーズ序盤の混迷を整理・脱却!
『仮面ライダー剣』最終回・合評 ~會川ヒーローは痛みと深みを増して
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仮面ライダー剣ブレイド)』前半合評1 ~ベテラン脚本家・今井詔二作品として!


仮面ライダー剣』前半合評1 今井ヒーローよ、自らを語れ!

(文・内山和正)
(2004年7月執筆)


 特殊団体に雇われた戦士としての仮面ライダー。その中でライダーのひとりがその組織に対して疑惑を持ち……


 というマニア向け雑誌などで事前情報で流れてきた設定に対して、固定観念を捨てきれないオールドファンとしては「仮面ライダーらしくないな」と抵抗を感じもした。それと同時に、新しい道を切り開いてきた「イケメンライダーシリーズ」なのだから、独自の境地を開いてくれる可能性に期待もしてみた。


 しかし、第1話でアッサリとその組織(人類基盤史研究所=BOARD(ボード))は壊滅する。主人公と女性所員・広瀬栞(ひろせ・しおり)のみが生き延びて、くわしい事情を知らぬままに仲間たちとともに私的に戦う、通常の『仮面ライダー』のような在野のヒーローものになってしまった(……と思ったら、一応いまでも給料をもらって戦っているらしいことがのちの回に判明する。誰が払っているのだろうか? 生存していたとはいえ、いまの烏丸(からすま)所長に払えるとはとても思えぬのだが……)。



 『ハイパーホビー』誌(徳間書店刊)2004年2月号の表紙を飾った仮面ライダーブレイド仮面ライダーギャレンの握手の図から、本作『仮面ライダー剣ブレイド)』(04年)とは、これまでの数作との差別化として「友情を持って共闘をするライダーたちの物語」なのだろうと思っていた。


 しかし、ブレイドを見捨てるギャレン、すべてが敵だと口にして一方的に攻撃を仕掛けてくる仮面ライダーカリス……と、本作の序盤は『仮面ライダーアギト』以来の今までどおりの「互いに争い合う仮面ライダー」の図式で拍子抜けしてしまった。



 見始めて思ったことは、これまでの平成仮面ライダーシリーズの寄せ集め的な印象が強いことだ。


●アンデッド(本作の各話に登場するゲスト敵怪人)たちの「いにしえのバトルロワイアル」は、『仮面ライダークウガ』(2000・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090907/p1)と『仮面ライダー龍騎』(2002・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080113/p1)。
●本作の2人目のライダーに相当する仮面ライダーギャレンの「変身の後遺症による肉体崩壊」は、『仮面ライダーアギト』(2001・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080106/p1)の仮面ライダーギルスや、『仮面ライダー555ファイズ)』のオルフェノク怪人たち。
●ヒロイン・栞の父親がその妻の命を救うためにアンデッドの封印を解いたらしいことは、『龍騎』の副主人公・仮面ライダーナイト秋山蓮(あきやま・れん)が戦う理由。
●主人公より副主人公のほうが先に戦っていた先輩ライダー(仮面ライダーギャレン)であったことも、『仮面ライダー龍騎』。
●出自の違うライダーの共存は、『仮面ライダーアギト』。
●主人公・剣崎一真(けんざき・かずま)に対する栞と虎太郎(こたろう)の人物配置は、『仮面ライダー555(ファイズ)』(2003・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080120/p1)主人公の巧(たくみ)・真理・啓太郎。
●少女・天音(あまね)の意味ありげなネーミングは、『仮面ライダーアギト』の少女ヒロイン・真魚(まな)を思わせる。


 主人公・一真の住んでいたアパート・氷川キャッスルは、『仮面ライダーアギト』で仮面ライダーG3に装着変身する警視庁の刑事・氷川誠(ひかわ・まこと)から名付けたお遊びなのだろうし、仮面ライダーギャレンの「ギャレン」って、『仮面ライダー龍騎』の相方ライダー・仮面ライダーナイトに変身する秋山 蓮(あきやま・れん)から採って「ギャ蓮」!?(笑)


 近年のテレビ特撮作品では珍しく、圧倒的な人気を誇っているこの仮面ライダーシリーズを引き継いだ新スタッフにのしかかる重圧を思えば仕方のないことでもあろうが、こんなにも似た要素が多いのでは、白倉伸一郎プロデューサーが慢心を避けるためにも勇退された意味がないのではないか?



 メインライターには、今井詔二(いまい・しょうじ)氏が抜擢。


 かなりベテランの方だが、近年でも『はみだし刑事 情熱系(はみだしけいじ・じょうねつけい。略称:はみデカ)』(1996〜2004・テレビ朝日)(第5シリーズ序盤までで降板するも、第6シリーズと最終章となった第8シリーズのそれぞれ最終エピソードを執筆)、『こちら第三社会部』(2001・TBS)、テレビ時代劇『天罰屋くれない 闇の始末帖』(2003・テレビ朝日)のメインライターを務めており、二時間ドラマでは数多くのシリーズを持つなど、大人枠のドラマで旺盛な活躍を示している氏がどのようないきさつで登板されることになったのかは全くの不明であり、テレビドラマのマニアでもある筆者としてはかなりの衝撃を受けた。


 大人枠の作品が多いライターが子供向けの『仮面ライダー』シリーズのメインライターを担当されるのは、『仮面ライダーBLACK RX』(1988・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001016/p1)時代の江連卓(えづれ・たかし)氏以来である。しかし、江連氏の場合、子供番組に比重がかかっていキャリアの前半のころには、『(新)仮面ライダー』(1979・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210102/p1)の終盤と『仮面ライダースーパー1(ワン)』(1980・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210822/p1)のメインライターを経験済みであり、復帰そのものは驚きではあっても、不安ではなく期待の気持ちの方が高かった。


 今井氏の場合、この仮面ライダーシリーズ自体に初登板であり、子供番組自体が26年ぶり(『コメットさん』大場久美子版・1978)ということなので、どうなることか予測できない状況なのだ。


――余談だが、江連卓氏は筆者(内山)の私淑する脚本家である。メインライターを務めた子供番組にはほかに、『おもいっきり探偵団 覇悪怒組(はあどくみ)』(1987)、『宇宙鉄人キョーダイン』(1976)後半などがある。『仮面ライダースーパー1』のヒロイン・草波ハルミ、浅野温子主演『アヒルから白鳥になった女』(1987)、山田邦子主演『空港で待つ女』(1989)などの命や人生を投げ出しても愛をつらぬくヒロインたち。『不良少女とよばれて』(1984)の哲也、『ヤヌスの鏡』(1985)の堤邦彦、『プロゴルファー祈子(れいこ)』(1986)の信也といった恋した少女を非行や二重人格の闇から救いだし光の差す場所に連れだすことに命をかける騎士たち。悪女にだまされて利用されそのことに気づいてからも破滅していく道を選ぼうとする前科者。傷つけるかたちでしか女性を愛せず、警察と自分の属していた裏社会の双方に追われる道を選んでまで女を奪った男を地獄へ落とそうと執念を燃やすヤクザなど、愛に殉じる人々の姿を描くことが多かったものだ。好きになった人のために生きるのではなく、好きになれる人を探す輩のドラマが世の中心を占めるようになってから、時代遅れとされたのかテレビ界を去っていかれた――



 しかし実のところ、番組開始当初の『仮面ライダー剣』は面白いとはとても言えなかった。どこからどこまでが誰の責任かわからないが、いろいろと問題が積み重なっていたのだろう。


 まず、メインの3人の仮面ライダーたちの皆が肩に髪の先が着く程度の髪型であったことからして、ビジュアル的にも個性を主張できていなかった。


 仮面ライダーカリス=相川始(あいかわ・はじめ)役の森本亮治氏は、その正体が人間に化けた人間ではない存在であるという設定であったことからも無理のないことではあるのだが、ヒーローとしては表情が暗くて視聴者にあこがれられる存在といった感じではない。個人的には、同時期に放送されていた昼の帯ドラマ『桜咲くまで』(2004・MBS・TBS系)におけるヒロインの娘(というか実質的にはもうひとりのヒロイン)であった沢尻エリカさんの恋人役で、カラオケで働きながらミュージシャンをめざしている青年役のほうが格好良かったので、本作の始のほうは見劣りがしたのだ。


 仮面ライダーブレイド=剣崎一真役の椿隆之氏は、役柄自体が単純に「正義の味方」という素直で正義感があるだけの青年といったものであったのに対して(戦士としては未熟という要素はあるにしても)、役者さんご本人のルックスはもう少し色々なものを背負い込んでおられる方のようにも見えるので、役柄とは似合っていないように感じられた。人を信じて何度も裏切られた。それでも信じてしまうという、2話で語られた「人のよい性格」には個人的には見えず、この設定それ自体がそのあとにそれほど生かされてもいない(のちに井上敏樹氏担当回で、万引き犯の汚名を着せられてしまったあたりで復活してはいるものの)。放送前に、虎太郎役の竹財輝之助(たけざい・てるのすけ)氏と椿氏が2人で写ったテレビ情報誌のグラビアを見たときに、さわやか系の竹財氏のほうがライダーかと思ってしまったくらいだ。


 「子供のころに両親を助けられずに死なせてしまった過去から、人を助けたいと思うようになった」という設定も型どおりなだけに感じられた。しかし、それでも両親の幻影を見るシーンなどよりも、言葉でそのことを語ってみせるシーンのほうが輝いてみえるのは、剣崎一真が「今井ヒーロー」であるからだろうと思う。



●犯人や事件関係者などにボロボロの涙顔になりながらも、思いを語り訴えかける『はみだし刑事情熱系』の高見兵吾(柴田恭平
●助けたい姉の命を危険にさらしてまで、犯人逮捕を優先せざるを得ない自分の無器用な生き方を口にする『月曜ミステリー劇場 外科医零子PART3 〜ハートの時効〜』(2004・TBS)のヒロイン(財前直見)の恋人・有光千太郎(石黒賢
●性暴力の被害にあった女性が男性刑事の心ない取調べで二次的に傷つくことを防ぐべく、女性捜査班を結成した『土曜ワイド劇場 警視庁女性捜査班』(1999〜・テレビ朝日)の坂本絵里子(萬田久子



 今井詔二氏のヒーローは、自分の思いを口にしてこそ映える。その点、本作『仮面ライダー剣ブレイド)』(2004)のキャラクターたちは言葉が少なかったように思うのだ。


 また、今井作品では「親子」がテーマになる作品が多い。


 『天罰屋くれない 闇の始末帖』のヒロイン・松坂紅(片平なぎさ 子供時代は斎藤みやび)の亡父は、いったんはやめようとした裏稼業・天罰人(悪人のみを獲物とした殺し屋)を、紅が大人になる時代が少しでも良くなるようになることを願って続けることにしていた。
 そして紅も、最終回において息子・達之介が大人になった時代を良くするために、天罰人をずっと続ける決心をする。東映による松竹作品『必殺シリーズ』(1972〜87・91)のパクリであったこの作品において、この部分はわずかなオリジナリティであったのではないか?


 2時間ドラマでロングランをつづける『土曜ワイド劇場 法医学教室の事件ファイル』(1994〜)が週一回放送のレギュラー番組(1992)だった時代の第2シリーズ(1993)では、妊娠したヒロイン・二宮早紀(名取裕子)が出産と責任の重い仕事のはざまで悩んで、悲劇をむかえた末に長男・愛助を得るまでがインサイドストーリーとして感動的に描かれていた。



●幼いころに別れた娘と再会し、年の離れた友だちとして接する初期シリーズの『はみだし刑事情熱系
●娘のために刑事なのに人を疑うことをやめようとして傷つく『土曜ワイド劇場 警視庁女性捜査班』
●仕事柄、姉に娘を預けて強く育つことをねがう、長嶋一茂主演『月曜ミステリー劇場 ざこ検事 潮貞志の事件簿』(2002〜)
●折り合いの悪い息子に自分の信じる人間のあるべき姿をムリやりに教え込もうとする、船越英一郎主演『土曜ワイド劇場 火災調査官・紅蓮次郎』(2003〜)



 この『ブレイド』にもいくつかの親子が登場してくるが、いまのところ大きな物語には発展していない。栞の父の問題の核心や、天音の父の死因が判明する際などには、どのような展開がなされるのだろうか?



仮面ライダーブレイド一真には落ち込む彼を叱りつけて仮面ライダーとしての使命に向かわせる栞と、生活と活動を援助して生き方を認めてくれた虎太郎
仮面ライダーギャレン=橘朔也(たちばな・さくや)には暖かく見守ってくれる同級生の女医・小夜子(さよこ)
仮面ライダーカリス=始には深い事情を訊こうともせず、同居人として受け入れてくれる未亡人・栗原遥香、その娘で彼を慕う天音


 それそれに心の寄りどころを与えたのが、本作序盤の独自性であり良さだった。


――余談だが、本作の日笠淳プロデューサーが担当した『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031112/p1)では、敵の姫リジェ役の鈴木かすみちゃんが人気であった。同作に登場する戦隊ヒーローことアバレッド・伯亜凌駕の姪・伯亜舞(はくあ・まい)役の坂野真弥ちゃんはその前年にはレギュラードラマを2本も持っていた女の子だった。今年(2004)は映画『茶の味』(2003)でカンヌ映画祭にも出かけている。これら2人の人気を、イケメン人気に継ぐ第2の鉱脈と考えたのか、本作『仮面ライダー剣』でも重要な役どころの少女ヒロインとして、天音ちゃんが登場している。
 一般のテレビドラマ界ではここ数年は一部を除いて子役が下火で、テレビドラマにおいては2時間ドラマが主な活動場所となっていたのだが、昨03年には反町隆史主演『ホットマン』(TBS)で山内菜奈ちゃんが注目されてから、ふたたび子役を重要なポジションに置いた番組が作られるようになっている。
 森迫永依(もりさこ・えい)ちゃん(後日付記:06年に実写版『ちびまる子ちゃん』主演!)や山田夏海ちゃんらを輩出して、さらに今年04年にはSMAP(スマップ)の草彅剛(くさなぎ・つよし)主演の『僕と彼女と彼女の生きる道』(関西テレビ・フジテレビ系)の凛ちゃん役・美山加恋(みやま・かれん)ちゃんの人気が大爆発しており、昼ドラでは『牡丹と薔薇(ぼたんとばら)』(東海テレビ・フジテレビ系)の小池彩夢(こいけ・あやめ)ちゃんの活躍が目立っていた。
 これらの子役たちの大半は、割りと早く次のレギュラーを与えられており、単発やゲスト出演も多い。それらを受けて4月期の連ドラは深夜枠を除いて、大半が子役をレギュラーに加える事態となっている。7月期もどちらかというと脇役が増えたものの、子役がレギュラーに登場する作品は多い。


 しかし、なんというか、リジェ人気は「がんばってネ」とキスをして、送りだしてほしい人たちが支えているのだろうと思うし、凛ちゃん人気は子供に横柄な口の利き方をされてイヤな思いをしている親たちが「ハイ」とていねいな返事をされたくて酔っていたのだろうし(凛ちゃんの「ハイ」はわがままを言えない家庭環境ゆえの悲しい状況の現われだったのに!)、情けない想いがしないでもない。おじの虎太郎をけなしたりする天音ちゃんは、その等身大さが人気を呼ばないのか今のところ話題になっていないようだ。美人タイプではないことも原因かもしれないが、そんな子ゆえのかわいさが出ているとは思うのだが――



 そして、橘が組織や烏丸所長に疑いを抱くきっかけとなった変身システムの副作用による人体崩壊を、暗い運命に持っていかず克服できる心の問題として可能性を持たせたことや、烏丸を疑惑のままの人物としなかったことも(この点はまださらなる逆転の可能性がないわけでもないが)、白倉プロデューサー路線を利用して暗い気持ちに落としこんだのちに、安心させる方向に持っていく変化が心地よかった。


 ただ、この時点ではまだ全体的には、「暗さ」も「停滞したムード」もぬぐいきれなかった。


 その弱い心を上級アンデッド・伊坂(正体はピーコックアンデッド・クジャク怪人)に利用された橘が、麻薬状の薬草の効果によって闘争心にめざめて暴走! 力強い戦士となる。
 しかし、その使用が続けば、副作用により廃人になることを知った小夜子が止めようとしたところで、伊坂に殺害されて、橘はようやくライダーとしてめざめて、以前ならばとても勝てる相手ではなかった伊坂を倒す! ドラマとバトルが一体となって効果を上げているのだ。


 ここあたりから、『ブレイド』は急激に盛り上がり始める。


 「小夜子は死ぬ」と予想していたマニアも少なくなかったらしいが、いまどきのドラマにはなかなかいないくらいの小夜子の不自然なまでのなごみ系キャラがこのドラマには必要なものだと信じ、橘を支え続けるものと思っていた筆者には衝撃の展開だった。また、小夜子のこのあたりのセリフがあまりにクサいながらも生きていて、今井キャラは自分の思いを口にするべきだと改めて感じさせてもくれた。


 人間ではないために他人を巻き込むことを恐れずにレストランなどでドラゴンフライアンデッド怪人と戦ってしまう仮面ライダーカリス。人々の危機を防ごうとする仮面ライダーブレイド。両者の対比と迫力の戦いが、ヒーローものとしても映像的に見せ場をつくって番組が活気づく。


 そして、本作における第4の仮面ライダー仮面ライダーレンゲルの登場!


 変身ベルトを造った、厳密には科学者を精神コントロールして造らせていた伊坂自身はすでに死んではいたものの、スパイダーアンデッド怪人の魔力が潜んでいる変身ベルトは自ら適合者のもとへと移動する。前作『555』における、適合できる人間ならば仮面ライダーに変身できるのは特定の個人だけではないとの設定がここでも流用されているのだ。


 変身ベルトに操つられて暴走してしまう高校生・上城睦月(かみじょう・むつき)。本来は仮面ライダーギャレンの変身者になるはずが、事故でライダーへの夢を絶たれて、ゆがんだ正義感におぼれた元BOARD職員・桐生豪(きりゅう・ごう)。これらの敵対するライダーたちが圧倒的な強さで正義の仮面ライダーたちに襲いかかってくる!


 仮面ライダーレンゲルにはブレイドたちがこれまでにカードに封印してきたアンデッド怪人を解放して操ったりする能力があるとされた。それまでは「物足りなさ」にもなっていた、アンデッド怪人は殺すことができない(カードに封印するのみ)という設定が、ここで報われた気もしたものだ。


 ライダーを引退することにしたものの、小夜子をなくした傷からは割りと早く立ち直った橘は、レンゲルの変身ベルトをひろった睦月を目にしたことで、ふたたびライダーの抱える問題に介入して、桐生との因縁からも仮面ライダーギャレンの変身者に復帰することになる。


 井上氏らしい「暗い世界観」だが、桐生の死などには同じようなムゴい死に方を迎えた、『仮面ライダー龍騎』や『仮面ライダー555』のキャラクターたちとはちがって、幾分かの救いがあるようでもあった。


 さらに、今井氏の担当回に戻ってみると、「コインロッカーベイビーなのか?」と思われた睦月の暗い記憶は、誘拐犯によって一時的にコインロッカーに閉じ込められていたものにすぎず、暖かい家庭があることが判明。井上氏の作品は魅力的だが個性的に過ぎて、他の脚本家の主導作品ではそういったことをやってほしくはない筆者としては、井上世界を振り切ってくれたことに感激。


 ライダーとして戦うことを望む睦月を、スパイダーアンデッドの影響に負けぬように鍛えはじめる橘。


 つづく、見る前は不安であったが、會川昇氏担当回では睦月がトラウマを克服! 人々のために戦うことの喜びさえ見出して、番組の精神に本格的なスーパーヒーロー性まで付与されて、ますます期待の番組になってきた。


 ライダーたちの共闘がうれしい。仮面ライダーカリス=始も、周囲の人間たちを守るようになっていく。


 次々と現れる、人間への変身能力を持っており、通常は人間体で行動する上級のアンデッドたち。主要な数人を除いて単に粗暴なだけの人物が多かった『555』のオルフェノク(敵怪人)に比べて、戦いを避けたいという平和主義者の実力者がいたり、若者たちをたぶらかしたり、悪計をめぐらす若い女性アンデッドがいたりと個性的で、これからの展開も楽しみだ。


 一真がニューマシーン開発に立ち会うシーンで見せる無邪気な表情など、一真にも演じる椿氏にも、深み・奥行きが出てきた。


 『龍騎』や『555』と同じように変身にアイテムを使う仮面ライダーではあっても(本作ではカードを変身ベルトのバックル部分に挿入!)、変身ベルト部分がCG映像によって自動的に形成されてから変身ポーズを取る方式の本作。それゆえに変身ポーズを強調できる利点があるのだが、番組も途中からそれらを生かす演出になってきて、ヒーロー性が高まってきたこともうれしい!(ただ、ポーズの細部が毎回いろいろ違うあたりは、不整合に思えてしまって気になるが)。


 スパイダーアンデッドの逆襲や、橘に薬草の後遺症が現れないのか? という、番組の作風が暗転しかねない要素による不安は残されているが、今のところは前向きの世界観が心地良い。今井氏が降板されることなく、このまま會川氏と2人体制で突っ走ってほしいというのが、今の筆者の本心である――(24話に登場し、画期的な兵器でアンデッドたちを倒したものの、あっけなく大半が殺されてしまったアンデッドハンターの面々。特撮マニア出身の會川氏であるだけに、『仮面ライダーV3』(1973)29〜36話に登場したインターポールのデストロンハンター・佐久間へのオマージュか?――


 やっぱり、「仮面ライダー」はイイ!



(付記)映画版(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041107/p1)は3年後(またパラレルワールド?)のストーリーで、後輩のライダーたちが登場するとか……。脚本が誰かなどくわしい内容などは知らないが、90年代の往年の大人気子役・黒田勇樹氏が後輩ライダー役だとのことで、子役時代のドラマも見ている者としても感慨深い。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2005年準備号』(04年8月14日発行)〜『仮面特攻隊2005年号』(04年12月30日発行)『仮面ライダー剣』合評5より抜粋)


『假面特攻隊2005年号』「仮面ライダー剣」関係記事の縮小コピー収録一覧
・読売新聞 2004年2月20日(金) 日曜朝 戦うイケメンヒーロー テレ朝系で新シリーズ 特捜戦隊デカレンジャー 仮面ライダー剣ブレイド) 若手俳優「毎日が修業」♥「お母さんたちも見てね」 〜大枠記事
・読売新聞 2004年2月27日(金) POPカルチャー「直言兄弟」 特撮ヒーローよ 志を持て! 〜特撮番組編。文化部オタク記者2名の対談コラムにゲスト参加したおなじみ政治部の鈴木美潮女史が「ヒーローよ、子供に帰れ、リアリティー追求より、志を持て!」(原文ママ)と主張。


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