假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありません

BLOOD+(ブラッド・プラス) ~女子高生が制服姿で日本刀で吸血鬼を成敗しつつ、沖縄を舞台に社会派風味も出したいようだが……

『吸血鬼すぐ死ぬ』『月とライカと吸血姫』『となりの吸血鬼さん』『デビルズライン』『BLOOD+』 ~吸血鬼が題材でも人種問題・スリル・色気・暴力・ギャグ・月面着陸まで、多種多様の5作から見えるモノ!
『東京リベンジャーズ』『ぼくたちのリメイク』『Vivy』 ~2021年3大タイムリープアニメでも、各作の主眼が知的快感・身体的快楽・人生の滋味とするかで相違!
拙ブログ・トップページ(最新10記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧


[アニメ] ~全記事見出し一覧


『BLOOD+(ブラッド・プラス)』

(2005年秋アニメ)
(文・T.SATO)


 『機動戦士ガンダムSEED(シード)』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060324/p1)をはじめ、大ヒット作を飛ばしつづけている話題の「土6(ど・ろく)アニメ」枠だったから……という理由だけで、チェックをしてみた。


――ついつい軽んじて甘く見て、同ワクの大ヒットアニメ『鋼の錬金術師(はがねのれんきんじゅつし)』(03年)を1話たりとも観なかったことを痛く後悔しているために……(笑)――


 一言で云えば、女子高生が制服姿で日本刀をふりまわして、怪物をやっつけるアニメである(……エッ、違いますか!?)。


 そこに、


●気だるい夏の沖縄
●軍用機が離着陸する米軍基地
●米軍&主人公少女のナゾに関する密約
●70~80年代の東南アジア(ベトナムカンボジア)的な「キリング・フィールド(殺人・虐殺地帯)」――『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)でも、ウルトラマンに変身する青年の不幸な出自として採用されていたけど――


などがカラんできて、「シリアスな大作」然として、物語は展開していく……らしい。


 製作は老舗の「タツノコ・プロダクション」の分派である、今や本家よりも有名になってしまった世界の「プロダクションI.G」。


 まぁ、こーいう一見は「社会派」「本格派」の作品で、古典的なヒーローもののような幼児向け的なお約束の「様式美」がナイ作品といった存在は、キマジメなアニメファンには高尚に映っていたりするのであろう。


 厳密にスレた目線で見れば、本作にも「日本刀を構える」とか「血をナメる」とか「謎の青年とキスをする」などの、「耽美的」な方向性での別の「様式美」があったりするのですけどネ。


 「ケッ! 小賢しい設定にしやがって。中途半端に社会派モドキの作品を作るのであれば、まだ脳ミソ空っぽな『美少女バカアニメ』の方がマシだぜ!」


 などと、スリ切れてしまった筆者などは思ってしまうワケですけど(笑)。


 もちろん、まだ放映が開始されたばかりの作品に対しての、コレは個人の単なる「感情論」の「印象批評」ではある。こーいう作品も、そーいった「需要」に合致している作品として、その存在自体は許容されてしかるべきだし、その存在自体を抹消すべきだ! バリに論評しては絶対にイケナイのだ(汗)。



 劇中に登場する怪物たちによる市民の殺戮描写や、少女の剣戟(けんげき)バトルで、血がドバドバと飛び散っているあたりは、メインタイトルが「BLOOD」(血)であることからして、名は体を現わしていたので予想ができるし(笑)、筆者としては許容範囲内である。


――やはり、いかにマジメでリアル指向の作品だとはいえ、実写ではなくアニメ・絵なので、そこのところで流血や残酷描写のナマナマしさが適度に緩和されているから……といった原理も働いているのだろう。実写での特殊メイクや血ノリ表現だとシャレにならなくなってくるとは思うので――


 ただし、世間一般的には、本作の殺戮描写を不快だと思うヒトの比率は高いであろうし、そう感じるヒトたちの感性がまちがってるとも思われない。よって、深夜アニメではなく土曜夕方6時のワクでの放映には、やはり疑問を感じるけれども。


 #1~2を観るかぎりでは、個人的にはあまり面白くはなかった。しかし、コレから面白くなる可能性に賭けて、しばらくは追いかけてみようとは思う。コケたらコケたで「ザマァ見ろ!」といったところである(……オイオイ・汗)。
BLOOD+

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT Vol.32』(05年10月23日発行))



(以上は、放映開始直後の2005年10月に執筆。同年12月時点の感慨は……。「まぁまぁかナ。ズバ抜けてイイとも思わないけど……」といったモノだ・汗)



(はるか後年の2023年時点での付記:


 同作はこの当時の「土6アニメ」枠の典型ではあるけど、当時としても珍しい全4クールの1年間を通じた放映作品であった。のちの人気声優・喜多村英梨(きたむら・えり)の主演出世作でもあった!


 本作をスキな方々や評価する方々には申し訳ないのですけど、やはり個人的には高尚ぶっているだけの中身はスカスカな作品に思えてしまう作風がタイクツで、第2クールの中盤で視聴を打ち切ってしまってもいる(汗)。


 日本刀を持った制服女子高生によるアクションのカタルシス! といった、いわゆる「戦闘美少女」の魅力は、そんなに快活で活発な女子が弱者男子を構ってくれたり守ってくれたり好いてくれるワケがない! とギャルが跋扈しだした90年代以降の学校の教室では直感されてしまったのか(笑)、野郎オタクにとっては20世紀で終わってしまった女子幻想の流行でもあって、同作は野郎オタク間での人気もなかったと感じている(汗)。


 その逆に意表外にも、一部のオタク女子には「怖いもの見たさ」プラス「強者女子の活躍による爽快感!」といった感慨をもたらしていたのだろうか? 彼女らは批評的にはその感慨を分解して認識することはできなくても、アニメ雑誌などを何気に観察していたかぎりでは、「小夜ちゃん、かわいい(ハートマーク)」的なイラスト読者投稿などが相応数はあったので、相応には人気があったようには感じている。


――やはり、吸血鬼による噛みつき描写に、男女間での抱擁・バックハグ・接吻といった「イロケ」なども、女性層は特に感じて、底上げされていたのだろう……などと勝手に分析している(汗)――


 同作は『BLOOD+』をさかのぼること5年、アニメ映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE(ブラッド・ザ・ラスト・バンパイア)』(00年)などに始まるメディアミックス作品でもある。


 小夜(さや)という名の制服女子高生が日本刀でモンスター然とした吸血鬼を倒す! というコンセプトだけが同じであって、キャラデザも少女の苗字も舞台も異なる作品が、散発的にリメイク(?)の新作としてアニメや実写映画で製作されている。
――ググってみると、これらの作品は一応は同一世界での出来事だそうだが、劇中ではそんなことは一言も云っていないし、過去作の人物なども再登場しないので、まるで意味のないウラ設定ではある(笑)――


 本作のあとの2011年にも1クールの深夜アニメとして、信州の田園風景を舞台に和風ホラーじみた世界観で、人気実力派声優・水樹奈々を主演に据えて、ふだんはドジッ娘だけど戦闘になるとヒトが変わったように狂的となって強い! といった『BLOOD-C(ブラッド・シー)』なる新作が放映されている。
 こちらは個人的にはムダに無意味な社会派的な高尚さもないので、抵抗感なくナチュラルに、一見は近代化されたようでも残存している「八墓村(やつはかむら)」のような因習的なムラ世間を舞台としたミステリー・ホラーものとしても観ることができた。


 ただし、同作も人体切断・人体損壊(!)などの残虐描写は平気で存在している(汗)。1930年代のアメリカの大陸横断鉄道を舞台にしたラノベ原作の深夜アニメ『バッカーノ!』(07年)なども同様だったが、こういった残虐シーンがあるTVアニメが平気で放映されている事実を鑑みるに、国家などによる「表現の自由」や「言論の自由」や「八つ裂き光輪」や「ウルトラギロチン」(笑)への弾圧などはまるでないことがわかる。あったとしても、製作者側やTV局側での自主規制である(笑)。


 むしろ、コロナ禍における先進各国の対応を見ても「禁止よりも経済の回転!」といった政策でもわかる通りで、庶民放置プレイの「小さな国家」による「何でも民間や個人に任せよう!」といった「新自由主義」的な方向へと、日本のみならず欧米なども国家運営が進んでいることに対しての行き過ぎを危惧するのであればともかく、ウチらオタクやオタク表現は国家によって差別されている~! 弾圧されている~! といった認識は実に的外れだとも思うのだ(汗)。


 まぁ、弾圧されたことでカーストの最底辺に位置付けらていると思えば思うほど、逆カーストのモノサシでは上位に立てたことになるので(爆)、自動的に自身の正当性がアップしたように感じられて「元気」になって糾弾しだしてしまうような「倒錯」的な虚栄心があるのだろう(笑)。だからこそ、100年前の20世紀前半の警察国家に対してのような、実に的ハズれでアナクロ(時代錯誤)な戦い方をしてしまうのだろうけど。


 21世紀(というか1990年代以降)における巨悪とは、「大きな政府」である福祉国家を解体しようとする新自由主義の風潮・言説なのである。よって目指すべきは、マルクス主義的な「国家の最終的な解体・廃絶」(笑)ではなく、その真逆の「神聖なる天皇国家」といった意味でもなく、それらのいずれでもない第3のモノとしての「互助的・共助的な共同体・保険組合」としての「国家」の再建であるだろうに!!


[関連記事]

『吸血鬼すぐ死ぬ』『月とライカと吸血姫』『となりの吸血鬼さん』『デビルズライン』『BLOOD+』 ~吸血鬼が題材でも人種問題・スリル・色気・暴力・ギャグ・月面着陸まで、多種多様の5作から見えるモノ!

https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230312/p1(『BLOOD+』評は当該記事と同じ)



[アニメ] ~全記事見出し一覧
拙ブログ・トップページ(最新10記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧