(文・T.SATO)
(05年6月執筆・後日加筆)
コナミ&東宝製作の特撮変身ヒーローシリーズ第2弾。
前作『超星神(ちょうせいしん)グランセイザー』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041104/p1)における正義の変身ヒーローが12人登場という設定からダウンサイジングされて、赤・青・黒の3人戦隊モノとなった本作。
単独個別作品としての純粋評価ではなく、つい前作と比較してしまうという、多分に心情的で相対的なものではあろうけど、個人的にはチョット淋しいなぁと思っていた(まぁ作品トータルとしてはスキなんですけれど)。
新戦士の増員はナイのか? しかし主題歌にまで「♪永遠に輝くぅ三つの力で〜」とまで歌いこんでいるところを見ると、ナイのかなぁ。ツマラナイなぁ、1年間ずっと同じキャラシフトだとアキてきちゃうなぁ、残念だなぁと思っていたところ……。
4月の第3クール目から、白の戦士・ライザーシロガネが新登場!
ただコレが、キャラのアタマ数的には新戦士だけど、3人+後見人のお嬢さんの合力で、一応の赤の主人公・ライザーグレンがパワーアップした姿だというのには……。
いやまぁしょせんは子供番組に、マジで目くじらを立てる気はないんだけれど(笑)、『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031112/p1)において、アバレッドひとりのみがアバレマックスに再変身するというのと同じパターン。
このパターンは、他の残りの戦士がワリを喰うというか、相対的に弱くなってしまうところでの、ナニかを貶めドレかを立てるという感じがするところが、プチ面白くない。
しかもアバレマックス同様、ライザーシロガネも再変身後は、ヘンにクールで落ち着いたシブめのセリフまわしで……。コレは初登場時においては、重々しくてカッコいいんだけれど、回数を重ねていくと、その血液温度の低さが作品の高揚・テンションを削ぐようにも思う。
だからアバレマックスのときにも思ったけれど、登場2回目以降はいつもと同じ熱血キャラのセリフまわしでイイんじゃないのかなぁ。
あと、たとえばライザーグレンのみでなく、青のライザーカゲリや黒のライザーカントも、それぞれの主役回では、素体となってライザーシロガネに再変身してくれるのであれば、イーブンな感じがして、パターン破り的な戦闘シーンの面白さ&カタルシスと、その回のドラマ面における感情帰結も両立させてくれて、モア・ベターだったのではないかと思うのだけれども。
『トリプルファイター』(72年・円谷プロ)みたいに3人が合体してひとりのヒーローになるとか、あるいはいっそ後見人の平和を愛するお嬢さんがライザーシロガネに変身すればよかったのに……、などという意見も聞いたが、なるほどそれにも同意する。
特にライザーシロガネは、お嬢さんの祈りもあってか、暴力的ではなく、あまり動かずにスマートな静の戦い方をするからには、いっそお嬢さんが変身してもよかったのでは? とはいえ、そーなると男のコはシロガネの玩具を買わなくなる可能性があるナ(笑)。
ただ、ライザーシロガネ初登場回が、大ピンチ大バトル編という感じではなく、よりにもよって大御所ではあるけれど、コミカル系の脚本家・浦沢義雄――『巨泉・前武のゲバゲバ90分!! 』(69年)、『カリキュラマシーン』(74年)、『コント55号のなんでそうなるの!?』(73年)などのコント作家あがりで、あまたの新旧アニメ作品や、特撮だと『美少女仮面ポワトリン』(90年)などの東映不思議コメディシリーズに『激走戦隊カーレンジャー』(96年)などのメインライターを担当――の初担当回であった(よね?)というのは、ドーなのか?
そのあとの新ロボ登場回において大バトル編をやるからイイや、というシリーズ構成ではあったのだろうけど。
シロガネ登場後は、歌詞を2番に変更したオープニング主題歌に、新撮カットをまじえて、東宝の超メジャー三つ首怪獣キングギドラ型の新正義ロボット・リュウトやその再合体バージョン・ジャスティカイザーが先行登場。
コヤツらは超カッコいい! のだけれども……。その初登場回は敵首領・カイザーハデスの巨大化版との一騎討ちという大晴舞台が与えられていたにも関わらず。
ダメとまではいわないけど、チョット盛り上がりに欠けていたように私的には思う。総じて本作は、バトル中心のイベント編で盛り上がりに少し欠けるようにも思うのだ。
前作『超星神グランセイザー』では1年を1クール約12本ごとの4部構成にしたが、本作『幻星神(げんせいしん)ジャスティライザー』(04年)は1年3部構成であることも、後番組として無意識に比較してしまうせいか、個人的には、物語の進展が遅くて、変化に乏しいような気持ちにさせてしまう。
同様にコレもまったくの個人的感慨なのかもしれないが、前作ではたまに巨大怪獣が出現すると、1話ぽっきりではやられずに、2話以上にわたってヒキずってくれることで、強大感を増してくれていた。
が、本作は巨大怪獣登場回が増加したのはイイが、1話ぽっきりでヤラれてしまう回は、何だか相対的に怪獣が弱く、何よりもモッタイなくも(笑)見えてしまう。
とはいえ大むかし、怪獣が初期編は4話に1体しか登場しなかったスローな『マグマ大使』(66年)よりも、週に1体ずつ登場してスピーディーな展開のウラ番組、初代『ウルトラマン』(66年)が圧勝したように、子供から見たら本作『ジャスティライザー』での巨大怪獣のあつかいの方が好ましいのかもしれないとも、自己の感慨を相対視はしているので、読者のみなさま安心してください(汗)。
モッタイないという感慨も、スレすぎたマニアがつい製作側の台所事情を推察してしまうという性癖というべきで、自説に過剰に固執はしません(笑)。
あと、カッコいい敵ライバル、アンチヒーロー・デモンナイトもイイっちゃイイんだけれども、前作のライバルキャラ・ロギアが、専用巨大ロボ・ダイロギアンを駆っていたことを思うと、デモンナイトも、専用巨大ロボットを持っていてほしかったナ。それでこそ、ヒーローとの対等感も出せようというもの。いっそ、リュウトやジャスティカイザーは、デモンナイト専用ロボであってもよかったのに……と私的には思う。
それと、黒の戦士・ライザーガントの大学生兄貴の、ゲスト出演した父ちゃんはロボット工学の博士だという設定。てっきり前作の正義側巨大ロボをサポートする防衛隊の巨大ロボ・ユウヒみたいな存在が、本作でも出てくる伏線なのか!? ワクワク♥と楽しみにしていたのだが……。全然まったく伏線じゃなかったようで(笑)。残念!
とはいえ、正義側3人のキャラクター(熱血バカ主人公の高校生、まぁやはり熱血バカ寄りの女子高生、クールな大学生)と、そして後見人のお嬢さんとその付き添いのお姉さん、主人公の電器屋の親父とその社員、といったレギュラー連中はけっこうスキだし、イイ味出してるとも思うので、それなりに愛すべき作品ではあるのだが。
で、6月から最終第3部がはじまったワケだが……。
アッサリ鞍替えして、面白い(笑)。第2部最後で滅ぼした敵首領カイザーハデスの兄が率いる新敵軍団に、上品小生意気な「オーホッホッ……」笑いのカマっぽい、隈取り真っ赤な中堅幹部の登場。彼らのキャラが立ってるし、バトル色も強まりそうで、ここに来てカナリ期待大!
追記:
最終展開。敵のさらなる攻勢。量産型敵ロボ一挙登場。デモンナイトとの共闘。レギュラー連の想い(役者陣も仲がよさそう)。シロガネの巨大化で逆転。王道作品としてバトル・ドラマを順当に締めてくれて、大ケッサクとはいわないけれど、まあ好感。
『假面特攻隊2006年号』「幻星神ジャスティライザー」関係記事の縮小コピー収録一覧
・産経新聞 2005年4月4日(日) TV CLIP 週間番組ガイド 神崎詩織 地球を守る現役女子高生 〜ライザーカゲリ=真田ユカ役インタビュー・大枠記事
『幻星神ジャスティライザー』平均視聴率:関東4.2%・中部4.1%・関西2.8%
(平均視聴率EXCEL表計算:森川由浩)
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