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ウルトラマンエース6話「変身超獣の謎を追え!」


「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


ファミリー劇場ウルトラマンA』放映開始記念・連動連載!)
(脚本・田口成光 監督・真船禎 特殊技術・大平隆)
(文・久保達也)
 日本初の有人宇宙船・新星号のパイロット・小山(こやま)が帰還した。しかし彼には変身超獣ブロッケンが乗り移っていた。小山はTAC第三研究室の破壊工作に乗り出す……


 本作に登場する超獣たちは異次元人ヤプールが地球上の生物と宇宙怪獣を合体させて生み出しているという設定であり、今回はその過程を冒頭で披露している。ワニと宇宙怪獣を別々のカプセルに入れ、放射能などの汚れをきれいに消毒し、ミキサーにかけて細かな細胞に分解して混ぜ合わせて超高圧電流を浴びせ……もちろん劇中ではこんな説明はいちいち加えられてはいないのだが、当時の小学館学年誌では『小学一年生』から『小学六年生』(!)に至るまで、「超獣のつくりかた」をこと細かく紹介していたのである。
 さらに各誌で共通して登場する変身超獣ブロッケンをワイドグラフで大々的に紹介していた。『ウルトラマン』(66年)第12話『ミイラの叫び』に登場するミイラ怪獣ドドンゴの馬や麒麟(キリン)のスタイルを模した、着ぐるみに二人の人間が前後に入って操演する大型スーツのブロッケンはまさに「超獣の決定版」として扱われ、作品を盛り上げることに大いに貢献していたのである。1匹の怪獣(超獣)にここまでスポットを当てることは映画主演怪獣である東宝ゴジラ大映ガメラなどを除いてなかなか例がないところである。
 そしてエースがピンチに陥った際にウルトラ兄弟から送られたウルトラサイン。劇中に登場したのは「立て!」「討て!」「斬れ!」であったが、それ以外のウルトラサイン、例えば「ぼく」「きみ」(笑)など各種をも小学館学年誌では紹介していたのである。


 前作『帰ってきたウルトラマン』(71年)放映時に小学館学年誌の編集部では「ウルトラチーム」が結成され、毎月番組と連動した様々な企画記事を連打して子供たちの知的好奇心と想像力を刺激して作品に関心を持たせ、雑誌の売り上げと番組の視聴率が共に伸びるための努力が重ねられていた。
 『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)は視聴率不振のために1クールの時点で早々に打ち切りが決定したが、『帰ってきた』や『A』も30パーセント超えを記録した『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』(67年)に比べると放映開始からしばらくすると10パーセント台後半が続き、視聴率的にはやや苦戦していると見られていたのだ
 (70年代と60年代でも日本人の年齢分布や世帯家族構成は異なることから本来、単純比較はできないのだが)。
 だが番組の度重なるテコ入れもさることながら小学館学年誌の全面的なバックアップに支えられ、中盤からは再び20パーセント台を記録するようになったのだ(〜つまりマニア間で思われているように、ジリ貧で低下していったのでは決してなかったのである! 『A』の次作『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)も視聴率ベスト5中の4本は、実は3〜4クール目の話数であるほどだ)。
 甥に買い与えていた同じ小学館の『てれびくん』や講談社の『テレビマガジン』を見る限りでは『ネクサス』に対してはそこまでの熱意は遂に感じることはなかった。今の日本社会全般に云えることであるが、簡単にリストラするだけでは根本的な解決にはならないと思うが……



<こだわりコーナー>
*宇宙飛行士・小山を演じる小林昭二(こばやし・あきじ)は初代『ウルトラマン』の科学特捜隊ムラマツキャップ(隊長)以来、ウルトラシリーズには『ウルトラセブン』第47話『あなたはだあれ?』や『帰ってきたウルトラマン』第13話『津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ!』第14話『二大怪獣の恐怖 東京大竜巻』にゲスト出演しているが、その息子・敦(あつし)を演じる斎藤信也(上品かつ愛らしく元気そうでもある声の演技も絶品)も『帰ってきたウルトラマン』第41話『バルタン星人Jr.(ジュニア)の復讐』に続いて今回ゲスト出演したあと、『ウルトラマンタロウ』に白鳥健一役でレギュラー出演を果たした。その間僅か数年であるが、『タロウ』中盤にて斎藤は急激に声替わりを遂げ、その成長の速さには驚くばかりである。


*ブロッケンに乗り移られた小山は手のひらに目と口がある。それを敦にさとられないためにブロッケンは寝ているときも手袋を外さないが、やはり親子で晩飯を食うときや風呂に入るときも手袋を外さなかったのか?(笑)
 なお内山まもるが『小学二年生』に連載していたマンガ(04年にコンビニ漫画『ウルトラマンA完全復刻版』として復刊)では、ブロッケンは布団の中でパジャマを着たままその正体を現す。メチャクチャこわいぞ(笑)。
*今回のラストシーンは小山親子が影踏み遊びをし、そこに「キミたちは影がない人を見たことがあるかい? それはきっと宇宙人かもしれないよ。キミの隣の人には影があるかい?」という岸田森(きしだ・しん)のナレーションが入っている。手に口と目があることで敦に正体を知られたブロッケンであったが、おそらくその前に小山に影がないことを敦が不審に思うシーンが撮影されたものの、尺の関係でカットされたのかと思われる。そのためにラストにおける影に対する描写や言及にかなり唐突の印象を感じてしまうのだが。
*ブロッケンが憑依(ひょうい)した小山は、就寝時にする息子とのいつものおまじないをできるのかと思いきや、滞りなく済ませる展開のプチサプライズがある。小山の記憶は全て利用できる高度な乗り移りなのだ。


*小山が搭乗したのは日本初の有人宇宙船・新星号。月への1週間の旅だった。初代『ウルトラマン』第16話『科特隊宇宙へ』でも毛利博士のおおとりと岩本博士のフェニックス号の金星への有人宇宙探査の競争が、『ウルトラセブン』第43話『第四惑星の悪夢』に至ってはスコーピオン号での恒星間飛行が実現しているが、そのへんはこの時代の子供番組一般のラフさということでご愛嬌。そもそも前者からして科特隊がバルタンの移住先・R惑星に不時着したり(太陽系内にあるのか!? しかも空気があり空も青いぞ!)、後者も超光速航法でもないのに恒星間飛行を実現していたりして、もっとヘンだった、ともいえるのだから(笑)。
*特撮同人誌『夢倶楽部VOL.8 輝け!ウルトラマンエース』(94年12月25日発行)によれば、東宝特撮映画『妖星ゴラス』(62年)に登場したロケットが流用されているとのこと。新星号のことか?(後日、確認しておきます・汗)
*新星号の管制は、日本で最も進んだ科学設備を持つTACが担当。当然ですな。


*優秀な小山は、TACの新型ロケットエンジンのテストへの参画も打診される。兵器開発研究員・梶によれば、その速さは光速に迫り四次元世界も覗ける可能性があるとか。『A』第14話『銀河に散った5つの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060805/p1)における、マイナス宇宙に突入できる超光速ミサイル№7の伏線とも取ることができる。
*新型ロケットエンジンの研究はTAC本部ではなく、TAC第三研究室(実際にはビル型施設)で行われている。小山によれば自宅の近くだそうだ(東京都内だろう)。TAC本部でそのことを聞いた小山=ブロッケンは、ヤプールより破壊工作を命じられる。他のウルトラシリーズではあまり見られない、本作独特のストーリー展開、スパイ戦だ。


*初代『ウルトラマン』の科学特捜隊や直前作『帰ってきたウルトラマン』のMAT基地には、レギュラー以外の職員の姿がほとんど見られず閑散としていたが、TAC司令室での新型ロケット説明シーンには梶以外の兵器開発研究員とおぼしき白衣の職員も複数同席している。本作ではこのような描写が多々見られることで、TACの組織のゴージャスなスケールと層の厚みを視聴者に感じさせている。
*本話における司令室での夜勤待機は、北斗と山中隊員が担当。


*機上の小山からの息子への伝言「もうすぐ帰る」を、敦くんに伝えに行かせて下さいと申し出る主人公・北斗隊員(それを許可する、話せる竜隊長)。小山と息子の仲睦まじさを見て「うらやましいなぁ……。俺にはね、親父の記憶がないんだ。まだ赤ん坊のときに死んじまったんだ(照笑)」と夕子に述懐するシーンも含めて、北斗の愛すべき人物像はさらに肉付けを施されることとなった。しかも夕子もTAC第三研究室の夜間パトロール中、ふと夜空を見上げた際に、北斗のその発言を脳裏に反芻さえしている!
*ゲストの小山にも妻がいるという設定で家庭人の肉付けが施されているが、妻は出産を控えて入院中との設定を付与することでドラマが煩雑になることを避け、小山と息子の情愛ドラマに特化することができている。


*本話で北斗は、第1話で梶が開発したレーザーアダプターをTACガンの銃先に装着、超獣ブロッケンへのレーザー攻撃も行っている。
*超獣ブロッケンは、黄褐色の麒麟型の巨体が醸す強敵さ、ツノを生やす牛を思わせる顔の獰猛さが特徴。後脚部の上部から生やす2本の長い触手の先と、両掌にもある口から黄色いビームを放ち、頭部の口から火も吐く。その巨体に似ず意外にすばしこくもある(エースの放つメタリウム光線を避けてもみせる!)。
*ブロッケンが窓を突き破って建物に手を突っ込んでくる、建物内部からの主観特撮もスゴい。
*一進一退の切り替えが早いスピーディーな攻防(互いに転ばしあったり、あの巨体のブロッケンをエースが背負い投げしたり、負けじとブロッケンが闘牛のごとく頭頂でエースを後方へ投げ飛ばしたり)など、前話につづいて大平隆による特撮怪獣バトルも絶好調!
*新技ウルトラギロチンは、ウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)の分身複数バージョン。エース本人の声で技の名前も叫ぶ(第5話と同じ御方で、納屋悟朗氏ではないと思われる)。なお、技の名前を叫んだウルトラマンの前例としては、前作『帰ってきたウルトラマン』最終回における新マンの「ウルトラハリケーン!」がある。


*視聴率17.4%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)



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