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ウルトラマンメビウス・序盤10話!・総括3 〜5話「逆転のシュート」、6話「深海の二人」


『ウルトラマンメビウス』評 〜全記事見出し一覧


(『ウルトラマンメビウス』序盤評・短期集中連載!)
(文・久保達也)
(総括2(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060702/p1)よりつづく)


 「チーム? オレには関係ないぜ!」


 第5話『逆転のシュート』の冒頭でトリヤマ補佐官とマル補佐官秘書が大量に持ってきた、GUYSの活躍を特集する雑誌を見て大喜びする一同をよそに、ひとり浮かない顔のジョージ。「元スペインリーグのエース・ストライカー、イカルガ・ジョージは……」とコノミが記事を読みあげた途端、ジョージはミーティングを前にして作戦室を抜け出してしまう。
 正確に狙いを定めて決めたはずのシュートを、チームメイトから「まぐれだ」と云われるなどして、マスコミの評判とは裏腹に、チーム内では実は浮いた存在であったことを、ジョージは思わず回想してしまったのである。
 35年ぶりに再び霧吹山に出現した岩石怪獣サドラを前に、深い霧でレーダーすらも役に立たないにもかかわらず、自分の狙いの正確さを過信したジョージの攻撃ははずれ、サドラを逃してしまう。実はサドラを捕食しようとする高次元捕食体ボガールが変身していたことがのちに判明する謎の女に邪魔されたのであるが、「いいわけしてんじゃねえよ!」などとリュウに非難されたジョージはすっかり気分を害し、GUYSを辞めるかのような勢いでその場を去る。


 「どうやらここにもオレの居場所はないようだな!」


 自分の優れた能力を過信したがために南隊員にケガを負わせてしまい、郷秀樹が一時MAT(マット)を除隊されてしまう『帰ってきたウルトラマン』第2話『タッコング大逆襲』、勉強も運動も一番だった竜一が、女の子を助けるために冬眠怪獣ゲランの子供を殺したことが親怪獣を暴れさせてしまい、助けたはずの女の子から非難されてしまう『タロウ』第47話『日本の童謡から 怪獣大将』同様に、今回は人より優れているがゆえに、逆に孤独感を味わうことになる男の姿を描いているのだ。
 「♪お山の大将おれひとり〜」、などと誰にも見られないような場所でひそかに歌わずにはいられない竜一やジョージのような孤独感は、生まれてこのかた人より上に立ったことのない筆者(笑)のような凡人にはなかなか理解できないもので、リュウのように「ほっとけ!」となるところであるが、今回ジョージをGUYSに戻すキッカケを作ったのが、実はM78星雲人であるミライと、ジョージと同じ優秀なアスリートであるマリナであるというのがなかなかリアルではないか(長谷川圭一、やるじゃねえか!・爆)。
 そして、もうひとり……


 「あ〜あ、豆切れちゃった。マリナ、買ってきて」


 リュウとジョージの子供のような大ゲンカのあと、唐突にこうつぶやくサコミズ隊長。おいおい、こんなときに何云うとんのや〜! と思わずつっこみたくなるようなこのセリフに、かつての防衛組織の隊長にも似たような人物がいたことを思い出してしまったものだ。


 「ところで〜。夕べ、カレー食べた者いるか?」


 『タロウ』の防衛組織・ZATの朝日奈隊長(演・名古屋章)は隊員たちにこう尋ね、夕べカレーを食べた者を出動させた(爆・第2話『その時ウルトラの母は』・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071209/p1)。もっともZATはチームカラー自体がほのぼのとしていたし、お調子者揃いの隊員たちを「おまえら、ええかげんにせい!」と怒鳴る役目は荒垣副隊長(演・東野英心)が担当していたからこそ、隊長が飄々としていてもよかったのだが、サコミズが飄々としているのはこれとはまた違う理由による。


 未だに前隊長のセリザワを慕う猪突猛進型のリュウに、元々チームプレーが苦手そうな一匹狼のジョージ。そんな聞く耳をもたないとわかりきっているような連中を、新任の隊長がいかに怒鳴りつけたところで、火に油を注ぐだけなのである。そこで自分では手を下さず、最も適任であると判断したマリナに「豆」を名目にジョージのフォローをさせようとする。これはこれで頼もしい統率力といえるのである。
 ちなみにサコミズが云う「豆」とはコーヒー豆のことである。設定によればサコミズは「豆からこだわるコーヒー通」とのことであり、作戦室の彼の机上にもコーヒー豆が入った瓶がいくつも並べられている。
 どうせ「防衛組織の隊長ともあろうものが……」などと批判する人々も少なからずいるのだろうが(笑)、この数年来の食玩ブームでオフィスの机にボトルキャップなどの小さなフィギュアを飾っている上司なんかざらにいるし、06年6月13日に逝去した指揮者・岩城宏之が、75年に出演していたCM『ネスカフェゴールドブレンド』のキャッチコピーがそうであったように、これはコーヒー好きのサコミズが「違いがわかる男」であることを強調するためなのである!(最近の若い人々には理解不能か・笑)


 サッカー選手時代にジョージのファンだったことを告白したマリナは、かつて雑誌に掲載された、ジョージの子供のころの夢をこう披露する。


 「大きくなったらウルトラマンみたいな、みんなが憧れるヒーローになりたい」


 「そんな昔の話、忘れたぜ!」
 なおも立ち去ろうとするジョージの前に、今度はミライが立ちはだかる。
 「僕と勝負して下さい!」
 ジョージが得意としていた流星シュートをひとつでも受け止めることができたらGUYSに戻ってくれという、一見無謀にも思える三本勝負にミライが賭けた理由は……


 「ほっとけません! 仲間ですから!」


 一発目でボールの動きを見据え、二発目を手に当てることに成功するミライ。そして、ジョージのこれまでの人生のプライドを賭けた三発目のシュートがミライを襲う!
 轟音をうならせ、炎をあげながら猛烈なスピードでミライに迫り来るサッカーボール! マンガチックに過ぎると非難するのは簡単だが、あの『巨人の星』(68年)の主役・星飛雄馬(ほし・ひゅうま)がライバルの花形満を前に、瞳の中で炎を燃やしていたように(たとえが古すぎるか?・笑)、感情表現をストレートに演出した秀逸な映像効果であり、近年の少年漫画週刊誌やアニメの人気作品を見てもわかるように、今の男の子だって熱血ものは大好きなのだ。熱血といえば燃える炎なんだよ!(笑)
 だが意外にも、最後の流星シュートはゴールの手前で炎のまま、空中高く舞い上がってしまったのだ。ジョージとミライ、どちらかが勝ったわけでもない、両者をともに立てているオチがうまい。ガックリと膝を落とすジョージにミライが駆け寄る。


 「ごめんなさい! 古傷が痛んだんですね。僕のせいです! ごめんなさい!」


 本気で何度も頭を下げ、土下座して謝るミライ。こんな調子でやられたら誰もが拍子抜けしてしまう。サコミズの飄々さとともに、ミライの度がすぎると思えるほどのあまりに天然・純朴な姿こそ、対立しがちなメンバー間の緊張を和らげるにはふさわしいものなのだ。これが『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1)のアスカみたいな主役だったら、みんなボコボコになるまで殴りあって収拾つかなくなるぞ(爆)。
 サッカーチームで嫌われていたことはわかっていたと自認していたジョージに居場所をつくってくれたミライに、「おまえ最高に変な奴だ!」とミライを認めてGUYSに残留し、サドラとの再戦をメビウスとのチームプレーで勝利したジョージは、心の底に隠していたはずの自分の夢をつい口に出し、ようやく本来の自分の姿を取り戻すことができた……


 「それでこそオレが憧れたヒーローだぜ!!」



 「ムカつくのよねえ〜。な〜んも考えずにムチャできる熱血バカが」


 クールさと熱血さはやはり水と油か。第6話『深海の二人』ではささいなことからマリナとリュウが対立することになるが、マリナの発言に対してミライは「ああ、リュウさんのことですか」とハッキリ名指ししてしまう。普通わかっててもワザワザ云わないだろう(笑)。
 こんな調子なので、マリナと海底調査を命じられたリュウに対して「海底散歩を楽しんで下さい」というミライの発言も全然嫌味に聞こえず、仲間同士仲良くやってほしいという本心からのものであることがうかがえるというものだ。古代怪獣ツインテールの出現により危機に陥る二人だが、機体のトラブルにより攻撃をあきらめるよう進言するマリナに対し、リュウはこう主張する。


 「自分の体を預けたマシンを信じないでどうする!」


 オートレーサーのころ、優れた聴覚が逆に恐怖感を呼び起こす理由となり、自らの壁を超えることができなかったマリナにとってはまさに目からうろこだった。エンジンが不調だったのにリュウの無茶がきっかけで機体は推進力を取り戻し、マリナは熱血バカにも長所があることを思い知ることとなった。


 キャラクター同士を激しく対立させることで双方の姿を浮き彫りにし、最後に理解し合うことでどちらにも理があることを示し、人には皆長所があり、それを活かせる場が必ず存在することを子供たちに伝えているのだ。子供番組としてはまさに理想の姿である。まあ『戦隊』シリーズではこれまでにも初期編において散々試みられてきたことではあるが。
 二人を衝突させながらも(リュウは女性であるマリナに手をあげようとまでする!)適度にギャグを折り混ぜることで事態が深刻化するのを避け、視聴者に嫌悪感を与えないことにも成功している。リュウは最初海底調査にジョージを誘うが、「海には海の掟がある。オレは多分それに当てはまらないんだ……」などと意味不明な理屈(笑)で拒否し、意外にも泳ぎが苦手なことが発覚し、コノミやテッペイが散々からかう演出が一服の清涼剤となり、微笑ましさを与えてくれている。


 そもそも第2期ウルトラシリーズでは「今度の作戦に失敗したらMATは解散だぞ!」と迫った岸田長官(『帰ってきたウルトラマン』第6話『決戦! 怪獣対マット』)、地球の危機を救うためには磔(はりつけ)になったウルトラ兄弟をも省みずにゴルゴダ星を爆破しようとした高倉司令官(『A(エース)』第14話『銀河に散った5つの星』・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060805/p1)、「怪獣は所詮畜生だ」などと善良なキングトータス・クイントータスの夫婦怪獣をも抹殺するように迫った鮫島参謀(『タロウ』第5話『親星子星一番星』・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071230/p1)など、防衛組織の隊員たちと対立を繰り返す「イヤな奴」であったはずの上官すらもが、『メビウス』においては率先してムードメーカーとして機能しているのだから。

2006.6.16.


(了)
(序盤総括4〜#7、8(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060705/p1)につづく)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年初夏号』(06年6月18日発行)『ウルトラマンメビウス』序盤10話評・合評④より分載抜粋)



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