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ウルトラマンエース11話「超獣は10人の女?」

ファミリー劇場ウルトラマンA』放映開始記念・連動連載!)


「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


(脚本・上原正三 監督・平野一夫 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)
 TACの第三レーダー基地襲撃のためにヤプールに派遣されたくの一超獣ユニタングの仮の姿はなんと10人のサイクリング部の女子大生である。


 極めてユニークな発想ではあるが、脚本の上原正三は『ウルトラQ』(66年)デビュー作である第21話『宇宙指令M774』において、ルパーツ星人・ゼミに太古の昔から地球には宇宙人が数多く移住して人間の姿をして生活していると証言させて以降、『ウルトラセブン』(67年)第9話『アンドロイド0(ゼロ)指令』では頭脳星人チブル星人を玩具の屋台をひく老人に変身させ、第47話『あなたはだあれ?』では集団宇宙人フック星人を団地の住人と入れ替えさせたりなど、市井に住む身近な存在が実は……というモチーフがお得意である。
 近年では『ウルトラQ〜dark fantasy〜』(04年)第17話『小町』において、実は正体がアンドロイドであるラーメン屋のアルバイトの娘を登場させている。


 レーダー基地襲撃後に現場付近の山道で山中隊員と吉村隊員がサイクリング中の10人の女子大生たちに遭遇。


 「緑の風の中を行く、美しき乙女たちか。爽やかだなぁ〜」


 とデレ〜ッとする吉村(けっこう愉快な演技をしている・笑)を一喝する山中だが、恋人だったマヤを第7・8話でメトロン星人Jr.に殺されたのを機に女性には目もくれず、ひたすら仕事に専念というところか。
 敵が女性であることから今回は南夕子の活躍が目立つ。


 「今ね、アヅマ湖にいるんですけど、(女子大生たちの)キャンプがとっても楽しそうなんで、しばらく滞在します。よろしく!」


 と云い残して通信を断ってしまった北斗(笑)のことを、他の隊員たちは不審の目を向けるのに、


 「何か探ろうとしてるんだわ」


 と夜も眠らずに作戦室で連絡を待ち続ける夕子が、前日のダイオードSPD輸送中の交通事故の際に


 「(急ブレーキ音)大丈夫か! ケガはないか!?」


 と助手席の自分を気遣ってくれた北斗を回想し、北斗を信じて待ち続ける姿が一途で良い。
 早朝、そんな夕子に


 「コーヒーを飲みなさい」


 とそっと差し出す竜隊長の優しさ。こういうちょっとした心遣いが女性にはとても嬉しいものである。隊長1クールの時点でかなり点数を稼いでいるぞ(笑)。


 だがそんな夕子の期待を裏切るかのように、第二レーダー基地がユニタングに襲撃されたあと、北斗は女子大生たちとともにTACのメンバーの前に自転車に乗って現れる。いくら操られているとはいえ、夕子やTAC隊員たちに対して


 「おお、これはこれはTACの皆さん! どうしたんです? こんなに朝早くから!」


 「超獣ですってえ? TACも大変でスね! とにかくねえ、TACにはウンザリしちゃったんですよ。朝から晩まで、チョウジュウチョウジュウ」(ここ最高の芝居・笑)


 「なあんだよ〜、女だてらにこんなカッコしちゃってよお。ムサ苦しいったらありゃしないよ。女の子ってえのはなあ、彼女たちのように可愛くなきゃあね。わ〜かる〜?」


 などと酔っ払いみたいに軽妙に発言する北斗のあまりのキレっぷり(笑)は、


 「バカやろう! 南隊員はなあ、徹夜でお前からの連絡を待ってたんだ! それをお前は。許せん!(殴打)」


 と山中や今野をも激怒させるのに十分であったが、それでもあの目は何かを訴えていたと北斗を信じ、


 「隊長、私に北斗隊員を追わせて下さい。きっと北斗隊員を連れ戻してまいります!」


 とひとり果敢にオートバイに乗って、そのあと女子大生たちと戦闘を繰り広げる夕子がなかなかカッコイイ。


 当時のヒーロー作品においてはまだまだ添えもの的な扱いの多かったヒロインとは異なり、夕子はのちの東映戦隊シリーズよりも前に主役として立派に前線で戦いを繰り広げていたのである。
 女優の南野陽子が『テレビ探偵団』(86〜92年・TBS)にゲスト出演した際にウルトラシリーズ中『A』が最も好みであると発言していたが*1、夕子が果敢に戦う姿や北斗との「友達以上恋人未満」の関係に魅了された女児は彼女以外にも相当数にのぼったことであろう。
 平成ウルトラ作品では女性隊員の活躍がかなり目立つようになったが、戦隊ヒロインに比べると今ひとつ女児の関心を得られないのはやはり完全な主役ではないためであろうか。合体変身を復活させろとまでは云わないが、いっそのこと女性隊員が変身するウルトラウーマンを副主役にした新作をやるのもひとつの手ではなかろうか?(マジで期待! 男児がイヤがるだろうから、もちろん女性主役は適切ではないが・笑)


 なおエースはユニタングを指先から放水するウルトラシャワーで溶解させる。さすがにくの一超獣相手にはいつものような派手な荒技は使えなかったようだが(あるいは特撮監督が造形物を水で溶かす特撮をやりたかっただけ?)、エンディングでは第9話のラストのセリフ「恋は盲目。女は魔物」に続き、今野が「女はこわいからなあ」と発言しており(第9話『超獣10万匹! 奇襲計画』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060708/p1)の鮫島純子の一件があったから実感がこもっているとはいえ)、現在の観点では視聴者からの反発を招く危険性を備えているとも云えよう。



<こだわりコーナー>
*大東(だいとう)女子大のサイクリング部が愛唱していたのは71年のデビュー曲『悪魔がにくい』がミリオンセラーとなった平田隆夫とセルフターズ(女性ボーカルが変更されたものの、05年現在でも活動を続けている)が当時ヒットさせていた『ハチのムサシは死んだのさ』である。
 第9話に続く当時のヒット曲の流用であるが、前作『帰ってきたウルトラマン』(71年)第48話『地球頂きます!』においても主人公・郷隊員が乗るマットビハイクルのカーラジオからザ・ドリフターズの『誰かさんと誰かさん』が流れ、第49話『宇宙戦士その名はMAT』でも郷隊員の私有車のカーラジオでやはりザ・ドリフターズの歌が流れていた。郷はドリフのファンだったのか?(笑)


 こうしたヒット曲の流用には賛否両論あると思うが、個人的にはその作品の時代背景を知るという意味においては極めて効果的であると思っている。第1期ウルトラ作品では時代設定が近未来であることや、作品の海外輸出を考慮したために当時の世相を反映する描写は極力避けられたが高度経済成長華やかりし「黄金の60年代」の風情を味わうことができないのが残念でならない。
 極端な話、『ウルトラマン』(66年)第15話『恐怖の宇宙線』で夕焼けの中に二次元怪獣ガヴァドンが消えていくシーンにはザ・スパイダースの『夕陽が泣いている』を流してもよかったと思うし、『ウルトラセブン』第37話『盗まれたウルトラ・アイ』で若者たちが踊り狂うアングラ・バーではザ・タイガースの『君だけに愛を』が流れていてもよかったと思うのだが……


 とはいえ、同時期の一般のTVドラマを今になって再視聴すると、その世相・風俗・風景・服装・髪型・化粧がずいぶんと古びて見えるものだが(その時代の空気を切り取っているともいえる)、それに比較すれば第2期ウルトラシリーズとても、やはり超時代的であったとはいえる(ヒーローや怪獣に未来的な超兵器、防衛隊の制服など浮世離れした要素が中心なので、相対的に一般のTVドラマの再放送ほどには古びて見えない)。


*北斗と夕子が第三レーダー基地にダイオードを輸送するのに通行したのはTAC専用の地下トンネルの高速道路シークレット・ロード№3(ナンバースリー)であったが(空路は危険であることが予想されたため)、このシーンに流れたのが『セブン』第39・40話『セブン暗殺計画』においてウルトラ警備隊の専用車ポインターが疾走するシーンに何度も使用された曲。ポインターも基地から現地に急行する際はシークレット・ロードを通行しており、今回『セブン』の曲の流用がこれのみであることもあって極めて効果的な印象が感じられる。
*親指ほどのサイズでガラス菅に素子が詰まったダイオードSPDは、トランジスタ1万個分の働きをするという。本部にもたった1個しかなかったものだが……
*第二レーダー基地は、アズマ(漢字不明)湖の湖畔にある。第一レーダー基地に相当するのは、本部のメインレーダーだ。
*特撮同人誌『夢倶楽部VOL.8 輝け!ウルトラマンエース』(94年12月25日発行)によれば、レーダー基地のミニチュアの中に、東宝戦争特撮映画『ゼロ・ファイター 大空戦』(66年)に使用されたものや、東宝ゴジラ映画『怪獣総進撃』(68年)の月基地が登場しているとのこと。


*超獣ユニタングのカラーリングは緑と赤。超獣ベロクロンといいドラゴリーといい次回登場のサボテンダー他といい、緑と赤のサイケな色彩が超獣にはよく似合う。腹部に2列×4ある8つの隆起は仮の姿が10人の女という設定から連想した女性の乳房がモチーフだろう。
*ユニタングの人間態(やはり女ヤプール人で工作員か?)は、エースの正体が北斗と南であることも知っていた。北斗を操ることでふたりの分断もねらうのだ。本来の目的はTACのレーダー網の破壊。人間態のときはTAC側のレーダー基地修復活動を妨害する工作員活動も行った。
*キャンプのテントで就寝中、物音にふと気付いて北斗が外を覗くと、夜の闇の中に9分割されたユニタングの巨体がイビキをかきつつ寝転がっている。けっこう怖いゾ。
*リーダーの女子大生は最後にポーズを取り「変身」(!)の掛け声で、超獣の頭頂部のツノになる。
*超獣ユニタングは、第52話(最終回)『明日(あす)のエースは君だ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1)に登場したあまたの超獣の合体再生である最強超獣ジャンボキングに転生を遂げた。前脚部のハサミ状の両手と、後脚部の赤い体表の部分が該当箇所か?
*TAC本部前の原野での戦闘、ミニチュア多数の私鉄沿線(点滅する踏切のミニチュアも!)での戦闘と、特撮ステージのセットは2段構え。前者の複数ある回転するパラボラアンテナや近未来的なビルも精巧な作りで、しかも惜しげもなくそれを壊す。平成ウルトラでは予算的にも考えられない豪華さだ。


*監督の平野一夫は、DVD『ウルトラマンA』Vol.11(asin:B00024JJJ2)の解説書のインタビューによればTBS児童ドラマ『ケンちゃん』シリーズの助監督を経て『A』放映と同年の72年に監督デビュー。『ウルトラ』では本話が初監督作品。なんとあの映像派の鬼才・TBS出身の真船禎監督の弟子で当時、真船企画に所属していたそうだ。本来は「平野ちゃんの作品だから僕書くよ」と脚本家・市川森一が口約束をしていたそうだが、市川は売れっ子ライターになり始め、見るに見かねて上原正三が書いてくれたとか。のちに名作の第24話『見よ! 真夜中の大変身』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061015/p1)の脚本(!)を自身で手がけるほどの貢献を『A』にもたらす。
*そういえば脚本の上原正三先生は、戦隊シリーズ『バトルフィーバーJ』(79年)や『宇宙刑事』(82〜84年)シリーズでも、女子大生ネタや女子学生寮潜入ネタを……(笑)


*視聴率17.2%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


本話で使用された「ハチのムサシは死んだのさ(ハミングバージョン)」が、大手通販サイト・アマゾンにてちょっとだけ試聴可能

  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000GFM89K/hatena-ud-22/ref=nosim
  

ウルトラマン生誕40周年記念 ウルトラサウンド殿堂シリーズ(5) ウルトラマンA

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*1:この際南野陽子は同時期放映の『超人バロム・1(ワン)』(72年)も好きだったと語っていたが、彼女の言によれば「合体変身は品がいい」からだそうである(笑)。