(ファミリー劇場『ウルトラマンA』放映開始記念・連動連載!)
『ウルトラマンエース』#10「決戦! エース対郷秀樹」 〜帰マンが助っ人参戦すべきだ!? ウルトラ5つの誓い再び!
『ウルトラマンエース』#11「超獣は10人の女?」 ~女ヤプール10人による基地襲撃・分断工作! 夕子の健気! アイテム輸送警護のスパイ戦!
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『ウルトラマンエース』12話「サボテン地獄の赤い花」 ~冒頭からAvs超獣! 江戸っ子の下町親子! 豪華ゲスト! 通常回のようでも実は快作!
(脚本・上原正三 監督・平野一夫 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)
名優・桜木健一(さくらぎ・けんいち)と近藤正臣(こんどう・まさおみ)の友情出演ばかりに注目が行きがちであろう。しかし、とにかく本話では、高品格(たかしな・かく)が演じるサボテンの露天商の親父と、その息子・三郎少年の、陽気でチャキチャキな江戸っ子の下町親子の描写が絶品であった!
あまたの映画やテレビドラマの名バイプレイヤー(脇役)でもあった高品格によるゲスト出演。氏は、1970年代前半の変身ブームの世代人の特撮マニアたちにとっては、『A』の翌年に制作された東映の特撮ヒーロー『ロボット刑事』(73年)のレギュラー・芝大造刑事役でもおなじみであろう。
今回のねじりハチマキに腹巻きでのスタイルは、そのコミカルな演技もあいまって、赤塚不二夫のギャグマンガ『天才バカボン』のバカボンパパにそっくりでもある(笑)。
そして、そんな父親を持った少年・三郎が、実質的なゲスト主役でもあった。
この三郎少年は昆虫の蝶(ちょう)をパクっと食べてしまったサボテンを気に入って、「サブロテン」とのアダ名を付けて育てることになる……
そのサボテンは夜になると凶暴化! 小学校で飼育されていたニワトリどころか、人間までをも襲った!
その際に襲われてしまう人間は、「今時の若者」風のカップでもあった。
こうした描写は、『帰ってきたウルトラマン』第7話『怪獣レインボー作戦』や第12話『怪獣シュガロンの復讐』などでも見られる。しかし、これは円谷プロの面々が若いカップルに憎悪の目を向けていたから……などでは決してない(笑)。
こういったパニック映画などの作品の常でもあって、真っ先に被害に遭ってしまうのは、洋の東西の映画を問わずに、生活感や世帯臭の感じられない、あるいは何ならば無軌道・放縦で、周囲に迷惑をかけても構わない! なぞと思っていそうなヒッピー風の若者などが被害に遭うものでもあるのだ。
それはまた、いかにも善良そうな家族連れであったりすれば、そこで父親なり母親が、あるいは両親が、もしくは子供だけが被害に遭ってしまったならば、彼らのその後の人生における悲嘆はいかほどに大きいものでもあるだろうか!? などといった連想が、観客の方でもたとえフィクションだとはいえ直感的にもはたらいてしまい、その作品が重たくなりすぎてしまって、スナオにその物語に入り込めなくなってしまうから……といった、制作者たちの作劇的な本能・直感ゆえのものでもあっただろう。
ちなみに、ニワトリとともにサボテンに食われてしまう用務員を演じていたのは、東宝作品を中心に戦前から活躍されている名バイプレイヤーで、痩身のギョロ目と、その怪演が印象的でもあった故・大村千吉(おおむら・せんきち)でもあった!
『ウルトラQ』(66年)第1話『ゴメスを倒せ!』や、初代『ウルトラマン』(66年)第29話『地底への挑戦』、『ウルトラセブン』(67年)第2話『緑の恐怖』や第41話『水中からの挑戦』、『怪奇大作戦』(68年)の欠番でもある第24話『狂鬼人間』、前作『帰ってきたウルトラマン』(71年)第24話『戦慄! マンション怪獣誕生』以降、やはり大村もまた生活感や世帯臭が感じられない役者なので、こちらも広義での定番ではあったのだ(笑)。
さらに、『ウルトラマンA』では第40話『パンダを返して!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070204/p1)にも、別人役での再出演を果たしてもいる。
昆虫を食べてしまうような不吉なサボテンを大事にするあまりに、少年は大変な事態を招いてしまったワケなのだ。
『帰ってきたウルトラマン』第24話『戦慄! マンション怪獣誕生』においても、宇宙怪獣の破片を子供が自宅に持ち帰ったことから巻き起こった一大事を描いてもいた。怪獣ものにかぎらず、子供が大型のペットを飼うことの責任と、その責任のとりようのなさ、といったことまで描いた作品は、名作古典映画『仔鹿物語』(1946年・アメリカ)などなど、よくある題材ではあったのだ。
しかし、子供向けヒーロー番組のゲストに、子供が登場することそれ自体を過度にイヤがる人には、批判したくもなるだろう。
だが、第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちには「国産SF最高峰」の作品(!?)だとも評されてきた『ウルトラセブン』であっても、その第16話『闇に光る目』においては、いじめられっ子の少年が「強い子にしてあげる」とそそのかされた揚げ句に、岩石宇宙人アンノンを巨大化させてしまうといった話を描いてもいた。しょせんは子供番組なのだから、こういった子供の身近な世界で起きる出来事を扱った話があってもよいだろう。
イベント編や異色作が続いたあとだけに、基本的には単なる通常回だと見られがちなこの回ではある。
しかし、あらためて観返してみると、読者諸兄も同様の感慨をおぼえてしまうとは思うのだが、そんな先入観をくつがしてくれるようなサプライズ(驚き)がいくつもあって、随所に工夫が感じられたことで、なかなかに見応えの多いエピソードにもなっていたのであった!
それは、巻頭からして超獣サボテンダーが登場してくることも、そうであった!
そして、その体のパーツ・パーツのアップが映し出されてもいくのだ。それは、第1話『輝け! ウルトラ五兄弟』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060514/p1)の冒頭における、超獣ベロクロンのパーツ・パーツのアップ演出とも同じ技法ではある。
双方ともに、特撮監督は佐川和夫。同様の演出技法は、本作『A』においては、特撮班の助監督を務めてもいた川北紘一が、のちに平成『ゴジラ』シリーズで特撮監督を務めた際にも見られるものである。
本作の第9話のあたりからでも、冒頭でいきなり超獣が出現して大暴れをする描写から始まることが多くなってはいた。そして、今回はその変身シーンは省略されたものの、変身時の効果音とともにウルトラマンエースまでもが出現してしまって、都心でエースとの格闘までもが、冒頭から演じられることになったのだ!
こうした手法は、1970年代末期~90年代にかけての特撮マニア間では隆盛を極めていた、「怪獣出現は遅ければ遅いほど高度な作品である……」「人間ドラマをおろそかにしてはいけないのだ……」といった論法(笑)で、ヒーローバトルや怪獣バトルはあくまでもその作品のドラマ的なクライマックスとして描かれるべきなの……だといった観点からは、批判されてしかるべき手法だともされてしまう。
しかし、そういった観点からの作劇意図などは、東宝にしろ円谷プロにしろ、往時はまったくなかったことだろう。
そして、『A』当時の製作者側の意図もまた、以下のようなものであっただろう。
『A』の本放映当時(72年)には、『仮面ライダー』第1作目(71年)をはじめとして、本作『ウルトラマンA(エース)』と同じく1972年の4月からスタートした、『超人バロム・1(ワン)』・『変身忍者 嵐』・『快傑ライオン丸』に、前年の71年末に放映がスタートした『ミラーマン』などが並行して放映されていた特撮変身ヒーロー番組の乱立時代でもあった。しかも、関東地方では、『変身忍者 嵐』が当の『A』の裏番組にもなっていたのだ! まさに「変身ブーム」の真っただ中にあったのだ。これらに加えて、この夏以降は、『人造人間キカイダー』・『トリプルファイター』などの登場も控えていたのだ。
そんな過当競争の中で生き残りを図ろうとすれば、より派手で、より過激な演出で、視聴者の注目を集めようとするのは至極当然の成り行きでもあった。
特撮マニア間ではシリアス&ハードな作風で、1980年代中盤以降にその評価が高まった『シルバー仮面』でさえもが、当初は人間サイズのヒーローが活躍していたのであったが、裏番組の『ミラーマン』には惨敗したために、巨大変身ヒーロー路線へと転換したその第11話からの通称「ジャイアント編」に突入して以降については、冒頭シーンやオープニング主題歌映像のバックが、敵宇宙人の大暴れやシルバー仮面とのバトルであったりすることがほとんどになっていたほどなのだ。『仮面ライダー』でさえも、30分枠の前半Aパートと後半Bパートとで、各1回ずつの変身であることがほとんどであったにもかかわらず、劇中ではシルバー仮面が都合3回も登場する回もあったほどになっていくのだ!
初代『ウルトラマン』(66年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20240204/p1)の放映当時には、純然たる特撮ヒーロー作品としては『マグマ大使』・『悪魔くん』(共に66年)くらいしか存在してはいなかったのだ。よって、そんな時代の状況の違いを無視して、その作品の作劇を同列に語るべきではないとも思うのだ。
『ウルトラ』シリーズ作品は、第1期ウルトラシリーズまでである! あるいは、前作『帰ってきたウルトラマン』までである! もしくは、本作『ウルトラマンA』の初期数話までである! などといった、もっともらしい「言説」が飽かず流通してきた。
しかし、本話をあらためて再鑑賞してみると、そんなものは俗説であったことにも気付いてしまうのだ。『A』は第1クール終盤の本話に至っても、あるいはそれ以前までの『ウルトラ』シリーズの第1クール目と比較しても、実に明朗快活で、スカッとした娯楽活劇編が最も連発され続けていたシリーズでもあったからなのだ!
――その逆に、比較の対象にしてしまうのは心苦しいのだけれども、前作『帰ってきたウルトラマン』の第1クール目(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230402/p1)については、実に真摯な内容ではあっても、それゆえにこそ「人間ドラマ」重視に過ぎており、映像の「色彩設計」面でもじゃっかん暗くて、子供向け活劇・変身ヒーロー作品としては、重た過ぎるかもしれない……といった危惧をも今では感じてしまうのであった。時代が下るにつれて、世の中がアカ抜けていけば、いくほどに、子供たちにとってはやや暗くて重た過ぎるのではなかろうか? といった感も強くなっていくのだ。もちろん、それでも子供番組としての節度は保たれてはいるのだけれども――
とはいえ、もちろん、エピソードの冒頭だけで超獣を倒してしまって、その後は延々と平和な日常だけを描かれてしまっては困ってしまうし、特撮変身ヒーローものとしては成立しなくもなってしまう(笑)。
よって、あともう少しのところで、超獣サボテンダーを倒すことは叶わずに、青い煙に巻かれて消えてしまうのでもあった……
用務員が死傷したことで、小学校にも警察や若手の刑事がやってきた。
その若手刑事とは…… 当時、TBSと東映が制作して、月曜19時30分の「ブラザー劇場」枠にて放映が開始されていた30分枠の大人気テレビドラマ『刑事くん』(71年)でも主人公を演じていた桜木健一(さくらぎ・けんいち)であったのだ!(笑)
本話では、「特別出演」として、TBSで放映されていた大人気スポ根(スポーツ根性)ドラマ『柔道一直線』(69~71年)で、すでに大人気役者になっていた、桜木健一と近藤正臣がゲストで登場している。
『A』の主人公青年・北斗星児(ほくと・せいじ)隊員を演じた高峰圭二(たかみね・けいじ)と彼らとは古くからの関西での芝居仲間であって、同じ事務所に所属していたことから応援ゲストが実現できた点が大きかったことは、1970年代末期の本邦初のマニア向けムックなどでの記述で、本放映当時からではなかったものの、往時からマニア間では知られてきたことでもあった。
このふたりは、先の『柔道一直線』でもそれぞれ主役とそのライバルを演じてもいた。それゆえに当時も人気があったのだ。今回の役柄もまた、その『刑事くん』の主人公を模した刑事でもあったことから、本話を見ていた、やや年長の児童視聴者たちにとってはおおいに喜んだとも思われるのだ――幼児の身であれば、変身ヒーローや怪獣怪人などが登場しない『刑事くん』などはまだ観てはいなかったものの(汗)――。
岸田植物研究所の岸田博士を演じる近藤正臣の方も、いま観ると実にウサンくさい奇人変人な芝居をしており、それがまた実に面白いのでもあった!(笑)
そして、本話の脚本を担当した上原正三(うえはら・しょうぞう)もまた、『柔道一直線』に大量の脚本を執筆してきたサブライターでもあったのだ!
イケメン役者を主役に据えることでも、大人気を博してきた90年代末期から00年代前半にかけての近年の特撮ヒーロー作品ではあった。しかし最近では、一般ピープルの間では話題に登ることがやや少なくなってきているようにも思える。よって、そこはビジネスライクに考えて、ここらで一発、大物ゲストなどを出して話題を独占するようなこともまた一考ではないだろうか?
歌曲『マツケンサンバ(Ⅱ)』(04年)の超大ヒットで人気が再燃している時代劇俳優・松平健(まつだいら・けん)が、最近の自身の人気について、
「子供たちには「仮面ライダー」みたいな変身するキャラクターと同じに見えるのではないか?」
などと某所で分析していたものであった。子供といっても年齢差があって、一概にはくくれないものではある。けれども、少なくとも幼児や小学校の低学年であれば、たしかにそういった原色のケバケバとしたものに目が行ってしまうものではあるだろう。
そして、それこそが、ヒーローや怪獣怪人にスーパーメカといったものに、我々も幼児の時分についつい目が向いてしまった、原初的な感情そのものでもあったのだ! その意味では、松平の発言は実に示唆的でもあって、的を外してはいないのだ!
しかして、「子供の心が純真だと思っているのは、人間だけだ!」なる、本作『A』の宿敵・異次元人ヤプールの第4話におけるセリフのごとく、今回のゲスト主役の三郎少年は、北斗隊員からの質問に対して、ウソをついてもしまうのだ!
「オレもさ、そう思うから(サボテンが超獣かもしれないと思ったから)捨てちまったよ。 ……疑っているのか!?」
このあたりのシーンが、本話の人間ドラマ面でのクライマックスでもあったのだ。しかし、その後に、このサブロテンは三郎宅を脱して、先のカップルを襲撃してしまうのであった……
その現場に駆け付けた本作の防衛組織・TAC(タック)の隊員たち! そのサボテンをTACガンで始末しようとした山中隊員に対して、北斗隊員は
「過去にも宇宙昆虫がレーザーで巨大化した例がある!」
などと主張をして止めさせる!
これについては、前作『帰ってきたウルトラマン』第26話『怪奇! 殺人昆虫事件』での一件のことにして、昆虫怪獣ノコギリンが誕生してしまった経緯のことでもあるのだ! 幼児の時分にはともかく、児童の年齢にでもなれば、この両作品がひとつの世界観であることを感じさせてもくれる、少々マニアックではあっても実に嬉しい配慮ではあったのだ! もっとも、脚本が双方ともに上原正三であったことを考えれば、あってしかるべきものでもあって、またそうでなくてはならないくらいの当然の処置でもあるのだが(笑)。
TACは、このサボテンを特殊カプセルに格納して、宇宙空間まで航行可能な戦闘機・タックスペースで運んで、そのスペースミサイルにて撃破した!
しかし、レーザー光線のエネルギーではなかったのに、サボテンは強力な爆発エネルギーを与えられてしまったたせいか、巨大な超獣サボテンダーとして復活してしまう! そして。地球に舞い戻ってきてしまうのであった! ……結果論だが、スナオに拳銃型のタックガンのレーザー程度の破壊力で始末しておいた方が、被害は少なかったのかもしれない?(笑)
しかし、TACの方でも手をこまねいているだけではない! この超獣サボテンダーに対抗して、TACの梶研究員はサボテンの弱点から水分を蒸発させる薬物を含有するロケット弾を開発する! あくまでも、フィクションなりに理詰めでの「敵殲滅作戦」が展開され続けていくのだ!
そして、冒頭の特撮シーンもそうであったが、今回も実に精巧なミニチュア美術とその物量数がスゴいのだ!
本話の途中で、このサボテンの棘がハリネズミの棘とも同じであることが判明してもいた。そして、超獣サボテンダーはこの体表の棘を、第1話に登場したミサイル超獣ベロクロンのそれのように、ミサイルとして発射することもできるのだ!
TACの戦闘機・タックアローもまた、この棘ミサイルによって、撃墜されてしまう!
そして…… 撃墜されるなかで、北斗と南隊員はウルトラマンエースへと変身!
サボテンダーは棘ミサイルを発射してくる!
ウルトラマンエーズは側転の連続でこれを避ける!
サボテンダーはその巨体を球形にまるめて浮上し、ウルトラマンエースへ空中からの体当たり攻撃を敢行してくる!
ついには、その口部から細長い二枚舌でもって、エースを拘束してしまった!
しかし、エースはその両手おのおのの先から細長い二条の光線・ダブルビームを発して、その舌を焼き切った!
ウルトラマンエースの必殺技といえば、その両腕を「L」字型に組んで、左腕の側部の全面から発するメタリウム光線をあげるだろう。しかし、『A』の第1クールをよく振り返ってみると、極めて初期の回にしか使用されていなかったりするのだ。
超獣ブロッケンに対しては、ウルトラギロチン!
メトロン星人Jr.に対しては、バーチカルギロチン!
超獣ザイゴンに対しては、ウルトラナイフ!
そういった、特定の必殺技には固定はせずに、実に多彩な必殺技を放っていたのであった。子供たちの目を惹きつけるには、やはりインパクトの強くて、見た目が派手で、そして絵的な変化もあるような、特撮演出が必要であったワケなのだ。
いや、『ジャイアントロボ』・『怪獣王子』(共に67年)などの同種の特撮怪獣作品がすでに終了してしまって、競合する作品がなくなっていたのにもかかわらず、『ウルトラセブン』(67年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20240211/p1)でも、そのシリーズ中盤以降は、エメリウム光線やワイドショット以外の様々なバリエーションの光線技を披露していたではなかったか!
『シルバー仮面』にしてもそうであったが、たとえ作品が真面目なリアル・ハード路線であろうとも、そうした派手派手な必殺技や戦闘シーンで子供たちの目線を惹きつけることで、重たすぎる人間ドラマを中和するようなことも可能であったハズなのだ! その意味では、平成ウルトラ3部作については、そうした点に今ひとつ工夫が足りなかったのではないか? と筆者は思っているのだ。
そして、今回のサボテンダーに対しては、サーキュラーギロチンなる新必殺技が初披露された!
エースがその手先で宙に文字(もんじ)を切って、「X」字型の光芒を浮かばせるといった、実にカッコいい前振りアクションを取ってから、それを上空へと放つのだ!
本放映当時に、このシーンにこの技の名前の字幕が入っていたことを記憶する御仁もいるのだそうだが…… その真偽はいかに!?
次作『ウルトラマンタロウ』のレーザーディスクのライナーノーツなどによれば、第2期ウルトラシリーズはその本放映当時に(そして、ごく初期の再放送の一部でも)、その回のゲスト怪獣の初登場シーンなどでは「怪獣名」などのテロップがスーパーインポーズされていたともいうのだ!――テロップ用の字幕と挿入タイミングを記した資料が一部残存しているのだそうだ――
本話のラストは、三郎少年のちゃっかりものぶりと、その親父さんとのコミカルなやりとりとで、明るく締めることもできていた。死傷者は出ているものの(爆)、トータルでは実に気持ちのよい快作に仕上がっていたとも思うのであった。
<こだわりコーナー>
*冒頭の初戦で、エースはサボテンダーの棘ミサイルによって、その左腕にキズを負ってしまった。第7~8話では、エースバリヤーの発動によって、男女合体変身の片割れでもある南夕子隊員の方に疲労が蓄積していたが、本話のエースの左腕のキズは北斗隊員の方に再現されており、病室で治療をするハメになっていた。
*超獣サボテンダーのネーミングが安直だとのツッコミを入れる人も多いだろう。しかし、第1期ウルトラシリーズにだって、『ウルトラQ』の怪獣モングラー、『ウルトラマン』の怪獣酋長ジェロニモン、東宝特撮怪獣映画ではあってもカマキラス・クモンガ・モスラなどといった実に安直なネーミングの怪獣たちが存在したのだ。しかし、これらの作品の怪獣たちが糾弾されることはない。
それはおそらく、第1期ウルトラシリーズ世代にとって、それらの作品は小学生の時分までに遭遇したので、その安直なネーミングのことが気にはならなかったためであろう。しかし、第2期ウルトラシリーズの時代になるや、彼らも小学校の高学年から中高生や大学生の年齢にも達していたので(汗)、そのいかにもB級なネーミングが目についてしまってイヤでイヤでしょうがない! と思ってしまった……といったところであっただろう。そうであれば、それもまたムリからぬことだったとは思うのだ。しかし、その感慨を少々、自己相対視はしてほしかったものの……
いや、たしかに安直なネーミングではあるのだが…… そういった怪獣怪人の存在もまた、たまには良いのではなかろうか?(毎回、そうしたB級ネーミングの怪獣怪人を出せ! とまでは、さすがに思わないものの・笑)
*三郎少年の父親が晩酌をしながらテレビで見ている漫才は、実際の「演目」の流用でもあった(演者は不明)。この中に「気違い」といったセリフが2回も出てくる。1980年前後に巻き起こった大MANZAI(漫才)ブームのさなかには、毒舌中心の過激なネタが流行したものだが、さすがに放送禁止用語を連発することはもうなくなっていた。放送禁止用語が増えていくのは、この1970年代を通じてのことであったのだ。つまり、いかに1972年当時の「放送コード」がユルかったかが、うかがえるのだ。
*三郎少年の自宅の壁には当時、駄菓子屋で5円で発売されていた怪獣ブロマイドとともに、蒸気機関車の写真が何枚か飾られていた。当時は鉄道の電化の波に飲まれて蒸気機関車が姿を消していったころであり、別れを惜しんで鉄道マニアがこぞって沿線で写真撮影をするなど、ちょっとしたブームにもなっていた。
その後、1975年に日本の鉄道から蒸気機関車はいったん完全に姿を消してしまった。しかし、近年では復活を望む根強い声によって、季節限定で走らせている路線もある。特に静岡県の大井川鉄道では年中乗ることができるのであった。
*視聴率14.5%
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