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N・H・Kにようこそ! ~引きこもり青年を病的美少女が構ってくれるファンタジー(笑)

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『N・H・K(エヌ・エイチ・ケイ)にようこそ!』 ~引きこもり青年を病的美少女が構ってくれるファンタジー(笑)

(文・T.SATO)
(2006年8月執筆)


 エヌ・エイチ・ケイ。……日本ひきこもり協会(笑)。
 ひきこもりが主人公の小説のアニメ化作品。


 ひきこもりやニートにフリーターといったら、我々オタク族の近縁。もしくは同族。だから他人事じゃない。
 いやオレには関係ナイよ。逆に、働かずに喰える、もしくは一人前に働かないヤツなんてケーベツだネ。……なーんてなセリフは、一般人が吐くのならOKだが、たまたま運良く職にありつけてるだけで、リストラなり会社が倒産したら、いかにも次の仕事が決まらず、就職面接で落とされつづけそうなオタク野郎が云うんじゃ、笑止千万だネ!


 社会に出るのが怖い。趣味でつながれるオタク族とならばともかく、一般ピープルや特に同世代の今時の若者と交わるのは苦手。彼らとは共通の話題がない。そもそも自分を実社会で通用する方向性でアピールするものが何もナイ……かほとんどナイ。せいぜいがオタク趣味だけど、そんなモノは就職試験や日常会話では通用しない。逆にカミングアウトしたら逆効果。……身に覚えがありすぎるゼ!(笑)
 ネクラ・オタク・不器用人間はいかに生くべきか? てのが筆者の終生のテーマでもあるが(ホントだよ!)、まぁホントにそーいう人間にとっては、生きるのってツラいものですよネ。……不器用人間は生きてちゃイケナイのかよ! と思いつつも死なずに耐えて生きてます(笑)。
 そんなワケで、ひきこもりタイプの人間が主人公と聞いては黙ってはおれない! 筆者も02年発行の原作本の評判をネットのサブカル論壇で聞きつけ、04年の第13刷で読了しております。しかして、その感想は……。


 まったりしてるよなぁ。
 まぁ本質的には、いつの時代もネクラ・オタクタイプの人間のメンタリティや苦悩は同じだとは思いますョ。しかし細部はやはり違うのかもなぁ。この本とその原作者を、80年前後生まれのオタク第3世代の典型と安直に捉えるワケにもいかないだろうけど、1世代上のオタク第2世代としては、違う面も眼につくなぁ。


 まず逼迫感・切迫感に欠けてるというか……。それなりに追い詰められてはいるんだろうけど、崖っぷちまで切羽詰まってはいないというか。
 まぁ根拠のない憶測の分析で云えば、これはやはりメディアでひきこもりなりがクローズアップされて一般化・カテゴライズ化されているから、そこで自分みたいなヤツ――厳密なイミでのひきこもりというより、ひきこもりがちの周辺層というべきか?――がそれなりのマス(固まり)として存在している、オレだけじゃない! という多少の安心感が救いとなっているのかナ?


 あとは時代の空気との落差。80年代の狂躁的なネアカ強迫下でオタクをやることとは異なり、バブル崩壊・デフレ経済下でネクラ・オタク・ひきこもりをやることは、もちろん苦労がゼロにはならないにしても、世間のテンションとの落差・断絶が相対的には少ないのではないのかナと。
 そしてインターネット。その9割はROMしてるだけのヤツらとはいえ、趣味的共同体に仮想的な帰属意識や連帯意識を持ちやすくなったことで、孤立感をやわらげることが容易になっているのだろうと……。


 だからダメだとか、ちったぁ苦労しろい! とかいうジジくさいことを云う気はないけれど(?)、そこいらへんが、我々の世代のオタク族とは異なる箇所だと見る。
 まぁでもそれなりにはイイ時代になったのかもネ。私事で恐縮だが、80年代の初頭、ローティーンのころ、ファースト『ガンダム』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19990801/p1)の主人公アムロのネクラぶりに感情移入したり、再放送の『帰ってきたウルトラマン』(71年)第34話「許されざるいのち」(脚本・石堂淑朗)を見て主人公・郷秀樹の幼友達・水野(青年科学者)の不器用偏屈ぶりや70年代初頭のGSというよりフォークノリのネクラ歌詞のPYG(ピッグ)の挿入歌『花・太陽・雨』にナミダしてたのに……、82年秋から放映開始された『笑っていいとも!』のタモリのネアカ・ネクラの二元論によって、学校のクラスの中は一変! 時代にウラ切られた気分だったよ!(笑)
 ……って四半世紀近く前のことだから、別にもうイイんだけれどもネ(?)。この時期にもう大学生や社会人になっていたオタク第1世代には、学級内でのネクラ抑圧は想像がつきにくいのかもしれないので為念の言及。


 逆にオタク第3世代は、基本的には相変わらず80年代以降のイケてる系イケてない系のスクールカーストの格差の拡大化の延長線上でサバイブしてきたことは間違いないだろうけど、ただ第2世代ほど切迫していないと仮定して(?)、それが第2世代を上回る長所になりうるとしたら、それはこの『NHKにようこそ!』原作小説版(02年・角川書店ASIN:4048733397)のように、自分のネクラ・オタク性、ダメさ加減を客観視・相対視して、自分自身をゆるいギャグや笑いの対象にできることかな?
 そのへんは自分の世代のオタクたちが、10〜20代のころにはできなかった軽妙なノリだとは思う。我々の世代が若いころ、自らの恥部・弱点・短所に言及することへの深刻さといったらそれはもう……(七転八倒して人格崩壊の危機に……・笑)。


 第3世代の内向系で佐藤友哉の1作だけ、インテリオタ向け(?)雑誌『新現実VolL.01』(02年・角川書店ASIN:4047213829)で読了したあの作品とか、試しに1号だけ買ってみた雑誌『ファウストvol1』(04年・講談社ASIN:4061795538)での本作『NHKにようこそ!』原作者の滝本竜彦インタビューとか、TVアニメ版への言及とか、制限字数に達したので(掲載同人誌の規定26字×80行)、そのへんは次号にて(?)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.40(06年8月12日発行))


後日付記:


 まぁオタク少年・オタク青年向けのフィクション・ファンタジー作品だから、別にイイんだし、嗜好品・商品なのだからどんどんやるべきだとも思うけど、ひきこもり青年にまとわりつく黒髪おかっぱ貧乳少女の存在がイジワルに見ればやっぱりご都合主義だよな。それに個人的には、原作小説のあの病的で貧相な印象を醸す少女と、小説カバーおよびTVアニメにおける少女のビジュアルが微妙に一致しつつも一致してこない気もするのだけど、そんなこと思ってるのはワタクシだけですか?


 とはいえ、それゆえフィクションとしては一応の救いがあるしツカミにはなっている。ウソだよな〜とは思うけど、ホント・現実的であればイイってなモンでもないのだし(汗)。そういえば、昭和期の元祖・ネクラ作家の太宰治の小説でも、ご都合主義にも(?)主人公青年に女がまとわりついてた作品がちょこちょことあったよなぁ。太宰の場合は、女にはなぜかモテて手を付けるのも早かったそうだが……。オレたちの敵だ!(笑)


 ……などと思っていたら、今季06年10月開始の少女マンガ(00年・講談社ASIN:4063412105 )のアニメ化『ヤマトナデシコ七変化♥』がスゴい! ……とオタ仲間から仄聞(〜未見・←オイ) 女の子のひきこもり――というかイケてない娘であることを自覚してて、女であることを捨ててるようなコ――が主人公の作品だとか。
 『NHK』の主人公のオトコのルックス・ビジュアルだと、オタク・ひきこもりでも、冴えないなりにルックス的にはぎりぎりセーフじゃん(?)、女のコとロマンスがあってもオッケーじゃん、可能性の余地があるじゃん、てなファンタジーというか救いも無意識に醸されてきて、そこが多くの現実とは違うんじゃないかという気もするけども、『ヤマトナデシコ』の主人公少女のノーマル時(笑)のビジュアル・ルックスは(今のところは)安易な異性による救いを想像させない(汗)。異性に対して大きな距離感とまぶしさと苦手意識をいだく性格設定といい。
 いや本質的には『NHK』と相似形のところも多々あるのかもしれないが、安易にならなければヒネってくれれば個人的にはオッケーなので、ボクも観る(読む)からキミも観ろ(読め)。結果責任は取らないが(汗)。


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