『ウルトラマンタロウ』#1「ウルトラの母は太陽のように」 ~人物像・超獣より強い大怪獣・母・入隊・ヒロイン・5兄弟の正統タロウ誕生を漏れなく描いた第1話!
『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟2』 〜東光太郎! 幻の流産企画!
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『ウルトラマンメビウス』29話「別れの日」~30話「約束の炎」 〜タロウ客演前後編!
(脚本・赤星政尚 監督・佐野智樹 特技監督・鈴木健二)
(文・久保達也)
ウルトラマンメビウス「どうして、地球にいてはダメなんです!?」
ウルトラの父「地球には、途方もない脅威が迫りつつある」
メビウス「だったら、なおさら、僕が地球にいなければ!」
ウルトラの母「いいえ。すでに兄弟のひとりが地球へ向かっています。あなたは戦ってはなりません!」
メビウス「どうしてなんですか!?」
父「今の君が臨めば、命を落とすのは確実だ!」
うつむいて想いを巡らせた末に、メビウスは決断する!
メビウス「かまいません! 地球のために戦えるなら、僕の命なんか!」
父「メビウス!」
ウルトラマンメビウスことミライ隊員とサコミズ隊長がふたりきりでの、照明の消えた暗いGUYS(ガイズ)作戦室。
サッカーボールを手にするジョージ隊員、リムエレキングと戯れるコノミ隊員、髪をとかすマリナ隊員、怪獣ソフビをいじくるテッペイ隊員、メモリーディスプレイをミガいているリュウ隊員らの姿を想い浮かべるミライ。
ウルトラの父と母からの帰還命令を受け、彼らと別れなければならないミライ隊員の事情を充分に承知しているのかもしれないサコミズ隊長(やっぱり正体はゾフィー?・笑)が、やさしくミライの肩にポン! と手をやった……
オイオイ、この番組はいったい何回、最終回をやるつもりや!?
(第10話『GUYSの誇り』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060706/p1)といい、第17話『誓いのフォーメーション』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061001/p1)といい、第22話『日々の未来』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061029/p1)といい……(笑)
正直、正道ではないかもしれない。反則技かもしれない。でも、面白ければ、それでいいのだ!
GUYS各隊員の休日に、ミライ隊員はこれまでの感謝の意を伝えるために大胆な行動をとる。
GUYSと大学の両立は大変だからと、テッペイのためにこれまでやったことのない料理を勉強する。そして、テッペイ宅でウェイターとしてカレーを振る舞い(味はテッペイの母の折り紙付き!)、「立派なお医者さんになってくださいね」との願いを伝える。
コノミ隊員が勤務していた美山保育園では保父になりきる(ちなみに、ミライが抱いてあげた女の子の名前が「ひかり」であった。第17話で地球を去ったウルトラマンヒカリとも掛けているのだろう)。
マリナ隊員が所属していたオートチームでは、彼女が世界グランプリに出場できるようにとバイクを整備してみる。
子供たちにサッカーを教えるジョージ隊員を訪ねて、スペインリーグ復帰を願う。
そして、ミライは全員にお手製のお守りを手渡す。そのお守りの形はすべて異なっているが、GUYS(ガイズ)の大型戦闘機・ガンフェニックスやメモリーディスプレイに施されたファイヤーシンボルがあしらわれている!
ひたすらに無垢(むく)で純朴なミライ隊員の人柄が、この一連の場面ではあらためて強調されていく。彼を演じる五十嵐隼士(いがらし・しゅんじ)の女性ファンにとっては、さまざまなコスプレを見ることができて大喜びかもしれない(笑)。
それらの逸話(いつわ)を聞かされたリュウ隊員は、自分の休日にやはり誘いをかけてきたミライ隊員の真意を確かめようとする……
しかし、レーダー網をくぐり抜けて、地球に到達したロボット怪獣・無双鉄神インペライザーが、ふたりの眼前に黒鉄色に輝く鋼鉄の巨人の姿を現した!
低予算の『メビウス』の通常回での寂しい特撮美術セットとは異なり(笑)、特大イベント編であるためか、精巧なビル・道路・標識のミニチュアが多数配備されたセット! しかし、時に自然光の下での巨大感あるオープン撮影もまじえつつ!
そんなゴージャスなセットのなかで、インペライザーは両肩の砲頭から赤い光弾を連射した! 破壊の限りを尽くすのだ!
街中に響き渡る、「怪獣警報」のサイレン!
インペライザーの正体を知っているのか、サコミズ隊長は隊員たちに「無理はするな!」と警告!
ジョージとマリナ隊員はガンフェニックスで出撃する!
しかし、インペライザーの光弾に撃墜されてしまう!
その光景を目撃して、立ち去ろうとするミライ隊員に……
リュウ「ミライ! 目の前に敵がいるのに逃げ出すのかっ! 俺たちが、GUYSが背を向けたら、誰があいつを倒せるんだっ! 誰が地球を救えるんだっ!」
ミライ「僕が、僕が救います!」
唖然とするリュウに、ミライが追い打ちをかける!
ミライ「リュウさん! 今まで、ありがとうございました!」
またまた、最終回のようなセリフだ!(笑)
どころか、こと、この緊急事態に至っては、とばかりに、リュウの眼前で、ウルトラマンメビウスへの変身ポーズをとろうとするミライ!
ウルトラの父(回想)「今の君が臨めば、命を落とすのは確実だ!」
悲鳴をあげて逃げる群集。赤い光弾で破壊される街。撃墜されるガンフェニックスのカットバック……
ウルトラセブンへ変身しようとしたモロボシ・ダン隊員が、「待て! 変身してはいかん!」と、M78星雲人でもあるセブン上司に遮られて、双頭怪獣パンドンが口から吐く炎に包まれるウルトラ警備隊を見て苦悩する『ウルトラセブン』第48話『史上最大の侵略(前編)』を彷彿とさせる演出だ!
しかし、やがて空に散っていくひとつの赤い風船が目にとまる!
初めて地球に降り立ったとき、小さな女の子が誤って手放してしまったそれをミライは手渡し、「ありがとう」という言葉を耳にしていた。地球を去る決意を固めたミライは、地球で最初に知った言葉「ありがとう」を、最後の言葉としてリュウに返したのでもあった……(感涙……)
ミライ「見ていてください! 僕の最後の戦いを!!」
リュウの眼前で、ミライは遂にウルトラマンメビウスへと変身!!
ミライの正体がウルトラマンメビウスであったことが、これでバレてしまったのだ!!
そして、メビウスはガンフェニックスを救った!
中型ビルの屋上にいる実景のリュウが見つめるその奥に、巨大感あふれるウルトラマンメビウスの上半身がガンフェニックスを抱えて、たたずんでいる特撮合成カットもお見事だ!
ロボット怪獣・インペライザーに突撃し、連発してキックを浴びるメビウス!
しかし、逆にインペライザーの鋼鉄の脚に蹴り上げられて、吹っ飛ばされる!
すかさず、インペライザーは赤い光弾を連発!
メビウスは無限大のマークの形をしたバリヤーを張って、これを防いだ!
けれども、インペライザーは頭部の中央にある3つのカメラアイを回転させて、オレンジ色の波状ビームをメビウスに浴びせかけた!
メビウスは必殺光線・メビュームシュートでインペライザーの左肩を破壊する!
しかし一瞬、動きが静止したあとに、なんと破壊されたはずの左肩が復元するのだ!
再び赤い光弾を放つインペライザー!!
メビウスは辛くも避ける!
しかし、その光弾はブーメランのように戻ってきて、メビウスを直撃!
一撃を加えられたメビウスは倒れ込む!
メビウスの活動限界を示す、胸の中央にあるカラータイマーが点滅を開始する!
メビウスは強化形態・ウルトラマンメビウスブレイブへとタイプチェンジ!
必殺光剣・メビュームナイトブレードで、インペライザーの右腕をブッた斬った!
だが、斬られた右腕は巨大な盾に変形して、再びインペライザーに装着されてしまった!!
トリヤマ補佐官「なんなんだ、こいつは……」
復元した右腕の盾は、メビュームナイトブレードでも歯が立たない!
メビウスはインペライザーの赤い光弾に吹っ飛ばされる!!
トリヤマ「ウルトラマンが手も足も出んではないかっ! どうしてなんだっ!?」
インペライザーは右腕を振り上げて、ジリジリとメビウスを追いつめる!
絶体絶命のピンチ!
そのとき、天空から放射されてきた七色の光線が、インペライザーの右腕に命中した!!
オレンジ色のダイヤモンド状の物体が地上に降り立って、やがてそれは真紅の巨人の姿へと変わった!
それは……
テッペイ「ウルトラマンタロウだ!!!」
コノミ「タロウ! メビウスをお願い!!」
先述した劇場作品でも、タロウ登場シーンに使用された、主題歌『ウルトラマンタロウ』をアレンジしたファンファーレが流れる!
そして、原典の『ウルトラマンタロウ』(73年)での変身シーンと同一の効果音!
『ウルトラマンタロウ』(73年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20071202/p1)第53話(最終回)『さらばタロウよ! ウルトラの母よ!』においては、主人公の東光太郎(ひがし・こうたろう)が変身アイテムのウルトラバッジを捨てていた。ひとりの人間として生きる道を選んだのだ。
この設定を活かすためでもあったのだろうか、後続作の『ウルトラマンレオ』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20250330/p1)にも、『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19971121/p1)にも、タロウが客演することはなかった。
平成ウルトラシリーズでは断固として昭和のウルトラ兄弟をゲストに出さなかったために(汗)、タロウがテレビシリーズに登場するのは、まさに『タロウ』終了以来、実に32年半ぶりのことなのだ! これは当時、小学1年生だった筆者が40才になってしまうほどの長い年月なのである!(爆)
タロウ「メビウス、なぜ帰還命令に従わなかった!」
メビウス「(仰向けに倒れたまま)タロウ教官、僕は地球のために戦いたい!」
タロウ「だが、若い君を死なせるわけにはいかない! 地球は私にまかせて、光の国へ戻れ! 命令だ!」
メビウス「僕は、まだ戦えます…… あぁ……」
メビウスのカラータイマーの点滅も消えて、メビウスの姿も消えてしまった……
ウルトラマンタロウは空中高くジャンプ!
素早くスピンを繰り返し、勢いをつけてインペライザーの頭部に猛烈なキックを見舞った!
タロウの得意技のひとつである、スワローキックだ!
張り倒そうとしてくるインペライザーの右腕から、タロウはバック転で逃れる!
右手と左手を順に、頭頂高くに突き出して、交差させてスパーク!
即座に両拳をにぎって両腰に構えて、大気中からエネルギーを充填して全身を七色に輝かせる!
タロウ「ストリウム、 光~線!!」(カッコいい~~!!!)
逆L字型に組んだタロウの両腕から放たれる七色の鮮やかな光線を受けて、さしものインペライザーも遂に爆発四散した!!
だが、腰から下の両脚部だけはしぶとく残っていた!
そして、下半身だけでタロウにジジジリと迫ってくる!
しかし、インペライザーは姿を消した!
ただならぬ殺気の気配に、タロウはファイティングポーズをやめず、しばし周囲の様子をうかがう!
メビウスでは敵わなかったインペライザーを倒してみせるウルトラマンタロウの強さ! しかし、それでも完全には撃破ができないというインペライザーの強さ! バトルものとしては定型ではあるものの、やはり面白いのだ!
その一方、リュウは瓦礫の中でミライを呼び続ける……
リュウ「メビウスなら、メビウスだって最初から云いやがれ! ミライ! なんでおまえは、誰にもなんも云わねえで、ひとりで戦ってやがった! 弱いクセに無理ばっかりして、どんだけ死にそうになりやがった! オレにどんだけ散々なこと云われやがった!
(回想の中のミライ「今まで、ありがとうございました!」)
そのセリフは俺のじゃねえか! おまえを助けてやってる気が、いつも助けてもらってたのは俺の方じゃねえか!」
個人によって泣きのツボというのは異なるであろうが、辛気(しんき)クサいドラマを見せられるよりも、こうした絶叫調のセリフでも「泣き」を喚起する手法もあるのだ! こうした手法であれば、ジメッとせずに、テレくさくもならずに、素直に泣けてくる御仁も実は多いことだろう! そしてそれは、この前後編の後編のクライマックスでも再現されて、再び視聴者や大きなお友達を泣かすことになるのだ!(笑)
前後編の後編である第30話「約束の炎」では、瓦礫の中からリュウに救出されたミライ隊員が描かれる。
しかし、心配する隊員たちをよそに、ミライ隊員は病室のベッドを抜け出してしまうのだ!
自身も崩れた瓦礫によって負傷しながらも、ミライのそばについていたリュウは、松葉杖をつきながらミライを捜し求める!
いつしか、彼とミライが初めて出会った、第1話(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060625/p1)にも登場した、小高い丘の上へとたどりついた。
ミライ(回想)「見ていてください。僕の最後の戦いを!」
ベンチに腰掛け、眼下の景色を眺めながらミライを回想するリュウ。
背後に人の気配があることに気づくと、彼は「やっぱりここか」とでも云いたそうな表情で、ミライの方を振り返った。
リュウ「そうか。『帰ってこい』って云われたか」
ミライ「今度の敵と戦えば、僕は命を落とす。ハッキリそう云われました。僕じゃ地球は守れないんです! ……僕は戦いたい!」
リュウ「なあ、なんでおまえは、いや、ウルトラマンは、そんなにまでして、地球を守ってくれてるんだ?」
ミライ「僕が生まれるずっと前の話なんですけど、ウルトラマンは、人間と同じ姿だったんです」
リュウ「いや、今だっておまえは、人間と同じ……」
ミライ「僕は人間の姿を借りているだけです。ウルトラマンの力を使って。あるとき偶然に、僕らの一族は、ウルトラマンの力を手に入れました。それは、決して望んで手に入れた力ではありません。でも、力を手に入れたということは、果たすべき何かがあるはずだって、考えたんです」
リュウ「果たすべき…… 何か……?」
ミライ「守れるものがあるはずだって」
『メビウス』第27話『激闘の覇者』評(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061126/p1)でも言及したが、『ウルトラマンタロウ』第25話にて語られたウルトラの国の歴史。その中で、人工太陽・プラズマスパークのディファレーター光線の影響によって、ウルトラの星の住人は人間(地球人)と同様の姿であったのだが、ウルトラマンという超人種族へと進化を遂げていたのだ。
講談社の月刊『マガジンZ』連載の漫画『ウルトラマン STORY0(ゼロ)』(漫画・真船一雄)の第1話『ウルトラの国崩壊』(05年9月21日初版発行のコミックス第1巻(ISBN:4063492206)に収録)の冒頭でも、プラズマ核融合装置による人工太陽の起動によって、ウルトラの星の住人たちの姿が変容し、すさまじい力を得る場面が描かれている。ただ、ふつうの動植物までもが人工太陽の影響を受けて怪獣化してしまったという設定に関しては、ウルトラ怪獣の起源としては個人的にはちょっと……(笑)
そして、この設定それ自体も、実は『タロウ』が初出ではなかった。実は『ウルトラセブン』(67年)のころの少年誌で、すでにこの設定が語られていたといった調査を、1990年代前半だかに出版された、俳優の京本政樹も関わっていたCD−R付き書籍に記述されていたのを眼にした記憶もあった(未購入で書籍名も失念(汗)。
(2007年2月24日・後日付記:2007年1月26日発売のDVD『ウルトラマンメビウス』(06年)Volume.7(asin:B000KJT9EE)の解説書によれば、第1次怪獣ブームの1960年代の書籍『怪獣大全集 第1巻 円谷怪獣のひみつ 〜ゴジラからゴロザウルスまで〜』(ノーベル書房・67年7月1日発行)のなかで、脚本家・金城哲夫(第1期ウルトラ作品のメインライター!)によって、M78星雲・光の国の歴史や、宇宙警備隊の沿革が、1970年代に小学館の学習雑誌で繰り返し語られる前であったのに、すでに設定されていたとのことだった! ということは、1970年代の小学館の学年誌なども、勝手に設定を作っていたワケではなくって、これに準拠していたということにもなるのだ!)
そういった、児童向け書籍で延々と語られ続けてきたウラ設定をここであらためて引用することで、子供視聴者や大きなお友達をSF的にもワクワクさせるのだ!
そして、その設定を一歩進めて、ウルトラマンたちが格別にロマンチックな思いを持って、地球を守っている理由にまで昇華させたのだ!
しかし、重々強調しておきたいが、本作に登場したウルトラマンヒカリが惑星アーブの人間型をしていない知性体たちに思い入れていたように、ウルトラ一族は宇宙中の知性体を守っているわけだ。だから、自身の先祖と同じ姿である地球人だけをエコヒイキにしているわけでは決してないのではあろうが!
思えば、初代『ウルトラマン』(66年)第1話『ウルトラ作戦第1号』では、ウルトラマンは宇宙怪獣ベムラーを追跡中に、誤って科学特捜隊の小型ビートルと衝突、墜落させて死なせてしまったハヤタ隊員と一心同体になることで地球にとどまることになったわけだ。云わば、責任上やむなくといった感が強い。あくまでもハヤタの命を生かすためであって、地球防衛という大義名分からの理由ではなかったようにも見える。
これは第39話(最終回)『さらばウルトラマン』でM78星雲への召還を命じたウルトラ兄弟の長男・ゾフィーに対して、「それならば、私の命をハヤタにあげて地球を去りたい」と初代ウルトラマン自身が語っていることからも明白であるようには思う。
往年の朝日ソノラマ『ファンタスティックコレクションNo.20 ウルトラマン フィルム・ストーリー・ブック 特撮ヒーローのすばらしき世界』(80年5月発売の初代『ウルトラマン』オンリー本)の「総論」においても、すでにこの点については言及されている。
第1期ウルトラシリーズ至上主義者の間では、1970年代末期にマニア向けムックが刊行されて以降、それらの書籍での記述に影響されて、「ウルトラマンを『神』とするかたちで崇めたり、理論武装をする向きも多かったが、一個人の生命を活かすためにも義理人情的に地球に滞在していた存在が、果たして天地を創造したような「神」とも同じだとは云えないのではなかろうか!? やはり、ウルトラマンは「人」と「神」との中間にある存在なのではなかろうか!?
それらの描写に比べれば、本話のミライ隊員によって語られた、ウルトラマンが地球を守っている理由は、決して一個人に対してだけの義理人情的なものではなかった。いわば、人類全体への博愛的・奉仕的な精神でもあった。なおかつ、深い使命感に満ちたものなのでもあった!
そして、1970年代前半に放映された第2期ウルトラシリーズ本編の方からの「引用」として、あの「ウルトラの星」を白昼の天空に輝かせることによって、ミライの話はさらに続いていく!
ミライ「(白昼、天空に輝く光を指して)あれが僕の故郷(ふるさと)、ウルトラの星です」
リュウ「ウルトラの、星……!?」
ミライ「ウルトラの星は、地球から300万光年離れた場所にあります。つまり、今ここから見えているあの輝きは、まだ僕らの一族が人間だったころの輝きなんです。もう絶対に戻ることができない、人間だったころの……」
リュウ「じゃあウルトラマンは、大昔の自分たちの星を、この地球にダブらせて、地球のために命をかけてくれてたっていうのか……」
『ウルトラマンA(エース)』(72年)第29話『ウルトラ6番目の弟』(脚本・長坂秀佳)(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061120/p1)において、ウルトラの星は「負けるもんか!」と思ったときに見える星だと、エースこと北斗星児(ほくと・せいじ)はダン少年に語っていた。
ウルトラの父に「命を落とす」と警告されようとも「僕は戦いたい!」と叫ぶミライばかりではない。
彼からウルトラマンが地球を守る理由を聞かされて、「地球は、俺たちだけの星じゃねえんだ!」と戦う決意を新たにするリュウにも、自身で輝く恒星ではなく惑星にすぎないウルトラの星が見えたらしい!
それはミライがウルトラマンとしての超能力で、リュウにもそれを見せたという側面もあったかもしれない。しかし、それを可能にしたのは、一方向のものではないのかもしれない。リュウが「負けるもんか!」と強く思っていたという素質もあったからこそ、双方向からの相乗作用でそれが可能になったのだと解釈したいのだ!
ロボット怪獣・インペライザーが、地球を狙う何者かが送った侵略兵器であると断定したGUYSジャパンは、GUYSの宇宙部隊であるGUYSスペーシーとの共同作戦を敢行する!
第7話『ファントンの落し物』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060705/p1)でも登場した「重力偏向板」で、インペライザーを高度80kmまで放り出すのだ!
そして、第11話『母の奇跡』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060910/p1)でも登場した「宇宙機雷・ライトンR30(さんまる)マイン」によって2.5ギガトン級の大爆発で葬りさるのだ!
この「ライトンR30マイン」は、もともとは『ウルトラセブン』第15話『ウルトラ警備隊西へ(後編)』に登場し、宇宙ロボット・キングジョーを葬りさった新型爆弾「ライトンR30(さんじゅう)」の発展型なのであろう。
そして、なんと! GUYS本部はウルトラマンタロウからと思われる通信を傍受する!
これもまた、『セブン』第40話『セブン暗殺計画(後編)』や『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(01年)(共に飯島敏宏監督作品)で、ウルトラマンが電波で地球人に通信してきたことの踏襲でもある。というか、その実態は、ウルトラマンタロウがゾフィー=サコミズ隊長(?)に連絡してきただけではなかろうか?(笑)
その内容は、インペライザーが4時間後に青沢峡谷に出現するという警告だった!
なんで、東京のド真ん中じゃなくてそんなヘンピな所に!? と思わないでもないのだが……(笑)
『メビウス』の番組公式HP(ホームページ)の「WEB(ウェブ)メビナビ」によれば、『セブン』第20話『地震源X(エックス)を倒せ』で「(怪獣)ギラドラスを操るシャプレー星人が、地球の核を構成するウルトニウムを採取しようと暗躍した場所」なのだそうだ。って、そんなのは我々のような濃いマニアでもわからないよ! 「インペライザーは、ウルトニウムを狙ってこの場所に現れたのかもしれない」んだってサ!(笑)
青沢峡谷にテントを張って、作戦を着々と進めるGUYS。
遂にその眼前にインペライザーが再出現した!
それと同時に、ウルトラマンタロウも再臨してきた!
そして、ガンフェニックスもまた敵を迎え撃つ!
サコミズ「メテオール解禁!」
ジョージ「ファンタムアベーション、スタート!」
リュウ「スペシウム弾頭弾、ファイヤー!!」
黄金に輝きながら空間移動する大型戦闘機・ガンフェニックスから分離した戦闘機・ガンローダーに翻弄されたインペライザーは、スペシウム弾頭弾を受けて、大地にひっくり返った!
やった! 我々地球人の攻撃で、一矢(いっし)は報いたぞ!
すかさず「重力偏向板」が発した緑色の光の輪に包まれて、インペライザーは宙へと持ち上げられていく!
だが、インペライザーは空間転移で、無重力状態の空域から逃れて、再び地上に舞い戻ってきた!
インペライザーは超高速で上半身だけを自転させながら、周囲に赤い光弾を連続してブッ放す!
設営テントが、戦闘機・ガンウインガーが、ガンローダーも、そしてタロウも猛烈な爆炎に包まれる!!
そんなタロウの足元にミライが現れた!
仲間たちの危機に、頭の包帯をほどき捨てて、変身しようとするミライ!
タロウ「メビウス! その体で何ができる! 変身してはいかん!」
ミライ「ですけど、ふたりで戦えば!」
タロウ「なぜ君に帰還命令が出たと思っている! 君はもっと強くなれる! 光の国へ戻り、さらに力を高めるんだ。来たるべき、戦いのために……」
ミライ「来たるべき、戦い……!?」
さりげに「来たるべき、戦い」といった語句をタロウに語らせることで、『ウルトラマンメビウス』本編は、この本話での前後編での戦いを序章として、エスカレートしていくことも示唆している「伏線」まで張ったのだ! そして、メビウスはもっと強くなれるというのだ!
タロウと会話をするミライに気づく隊員たち。
マリナ「誰かと話してる!?」
リュウ「あいつ……」
ミライ「ですけど、このままではインペライザーに!」
タロウ「ウルトラダイナマイトを使う!」
ミライ「そんな! あれは自ら封印した危険な技ではないですか! もしものことがあったら!」
タロウ「私を見くびるな!」
『タロウ』第35話『必殺! タロウ怒りの一撃!』において、タロウがめつぶし星人カタン星人に対して使用した最大の必殺技・ウルトラダイナマイトは身体全体を燃え上がらせ、敵に体当りして、自分もろとも木っ端微塵に破壊する驚異の荒技であった!
それ以降は、内山まもる先生の漫画などでは描写されても、映像作品では描かれたことがなかった、しかして印象深い必殺技が、遂に再び映像化される日が来たのだ! これでタロウは死んでしまう可能性もあるのだが、実に不謹慎でも活劇としてはワクワクとさせられてしまうではないか!? 活劇とは、特撮とは、そういった、本質的に不謹慎なものなのだ!(笑)
テッペイ「ウルトラダイナマイト!」
怪獣博士のテッペイ隊員だけは、タロウがウルトラマダイナマイトを使用しようと身構えたことに気付いた!
ミライの眼前で遂に突進していたタロウがインペライザーを抱きかかえて、ウルトラダイナマイトが炸裂!!
さしものインペライザーも砕け散った!!
そして、タロウの体は内山漫画版のようにバラバラ死体のようになってから、ウルトラ心臓の力で復元するのかと思ったが…… さすがに、今では放送コードに引っかかってしまうので(?)、そういった描写は自粛をされて(笑)、ピンク色の光の粒子としてのバラバラな姿からの再生を遂げた!
だが、粉々になったインペライザーの破片もまた、タロウと同様に、しぶとく再生を遂げようとして、不気味にうごめきはじめたのだ!
リュウ「ミライ、行け! 行っておまえの強さを、ウルトラマンメビウスの強さを、タロウに証明してこい!」
ジョージ「おい、おまえ! 今なんちゅった!?」
マリナ「そうよ、ミライくんがメビウスなわけ……」
テッペイ「いえ、ミライくんの(左)腕に……」
コノミ「メビウスと、同じもの(=変身アイテム・メビウスブレス)が……」
リュウ「ミライ、おまえはGUYSのクルーだろ? 地球を守るのが、俺たちGUYSの仕事だ。今おまえがやんなきゃなんねえのは、俺たちといっしょに戦うことのハズだ! けど、絶対に忘れんな。俺たちが今までなんのために命をかけて戦ってきたのか。また笑顔で会うためだぜ、仲間に。絶対、絶対に生きて帰っこい! 約束だぞ!!」
あふれる涙を拭って、「了解」の意味である「G・I・G!!」と答えて、ミライは約束を果たすために、隊員たちの前でメビウスへと変身した!!
そして、インペライザーも元通りに、黒鉄色に輝く鋼鉄の巨人として復活したのだ!
タロウ「下がれ! メビウス!!」
メビウス「僕は、戦います!!」
インペライザーにパンチの連打を浴びせるメビウス!!
タロウ「インペライザーは、私が命に替えても!」
ウルトラマンタロウとウルトラマンメビウスのダブルキック(!)がインペライザーを見舞う!
現役のウルトラマンとウルトラ兄弟との共演ならぬ共闘は、映画や一部の番外的なエピソードを除けば、テレビシリーズでは『ウルトラマンレオ』第34話『ウルトラ兄弟 永遠の誓い』以来のことなのだ!
『レオ』の第38話『決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟』~第39話『レオ兄弟ウルトラ兄弟 勝利の時』の前後編でも、ゾフィー・初代ウルトラマン・帰ってきたウルトラマン・ウルトラマンエースがゲスト出演していた。しかし、この前後編では暗黒星人ババルウ星人が化けたレオの弟・アストラによってウルトラキーを奪われたウルトラの星が軌道を狂わせ、地球衝突の危機を迎え、これを阻止せんとするウルトラ兄弟と、アストラをかばおうとするレオが決闘を迎えるという、共闘どころではない展開となっていた。これはこれでよいのだが、ヒーロー共闘の爽快さは売りにしたエピソードではなかったのであった……
余談だが、1970年代末期の初期特撮評論において、第1期世代の第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちによって「ウルトラ兄弟の設定や共演は神秘性を失うものとして悪だ」とされてしまった(汗)。
早くもその影響で、『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)では、第38話『大空にひびけウルトラの父の声』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110115/p1)に、ウルトラの父が顔見せ程度で客演した程度であった。同作の第44話『激ファイト! 80VS(たい)ウルトラセブン』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110226/p1)においても、少年の暴走族に対する恨みが人形に乗り移って誕生した妄想ウルトラセブンがエイティと対決したくらいであった。事実上、ウルトラ兄弟と現役・最新のルーキー・ウルトラマンが共闘する姿は描かれなかったのだ(汗)。
そして、それ以来、四半世紀もの長い間、TVシリーズでウルトラ兄弟共演が描かれなかったわけである。映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070128/p1)が、多くの特撮マニアや一般層からも熱狂をもって迎えられたことを思うにつけ、個人的には今までホントウに何をやっていたのか? といった想いはますます強くなるばかりなのであった(汗)。
メビウス「死んではダメです! 絶対に! 命をかけて戦うのは、笑顔でまた会うためです! 教えてくれました。大切な人が!」
タロウ「そうか。そうだな!」
リュウ「ミライ、メビュームシュートだ!!」
サコミズ「キャプチャーキューブ!!」
メビウスの必殺光線・メビュームシュートを浴びて、爆発するインペライザー!!
隊員たちが銃器・トライガーショットの一斉砲撃にて発生させた、侵略宇宙人の円盤の残骸由来の超絶科学・メテオールでもある光のバリヤー・キャプチャーキューブで閉じ込めて、その爆発の威力を高めようとする!!
だが、インペライザーはそれすらもブチ破った!!
お返しとばかりに赤い光弾を連射してくる!!
隊員たちを救おうとして、メビウスはその背中に集中砲火を浴びた!
ドドッと大地に倒れ伏したメビウスの両眼から生命の火が消えていく……
ジョージ「まだだ! まだ終わりじゃない! オレの(サッカーの)復帰戦、見に来てくれるんだろっ!!」
マリナ「そうよ! アタシは世界グランプリに出場する! だから、絶対に見に来なさいっ!!」
テッペイ「僕だって、必ず立派な医者になる! いや、この戦いが終わったら、君のケガを僕が見る!!」
コノミ「保育園のみんなが待っているから! 立って! ミライくん!!」
リュウ「おまえ、必ず生きて帰ってくるって約束したじゃねえかっ! 仲間との約束破って、平気なのかよ! ミライ〜〜っ!!!」
サコミズ「ミラ〜〜イ!!」
メビウス「仲間との……約束……」
そのとき、隊員たちが燃やした「心の炎」がメビウスと一体化した!
メビウスの目に生命の火が灯った!
全身がまばゆいオレンジ色に発光したあと、メビウスは胸部にファイヤーシンボルをまとったウルトラマンメビウス・バーニングブレイブへと進化した!!
インペライザーがカメラアイから放ったレーザーを、タロウがストリウム光線で防いだ!
メビウスはすかさず胸で炎を燃やした。そして、球状にした「炎」をインペライザーに投げ放った!!
ウルトラダイナマイトボールとでも命名したいような炎の結晶!(後日付記:必殺技の正式名称はメビュームバーストだそうだ!)
遂にインペライザーは大爆発、消滅した!!
(爆発シーンにタメが足りないというか、小爆発の連続の果てに大爆発が起きてほしかったが、まぁ許そう・笑)
リュウ「それでこそ、俺たちのウルトラマンだ!!」
歓喜に湧く一同を見下ろすメビウスとタロウ。メビウスを想う仲間たちがタロウに向かって懇願する!
リュウ「メビウスは、俺たちの仲間なんだよ! これからもいっしょに、地球を守りたいんだっ!」
ジョージ「ああ、オレもだ!」
マリナ「アタシだって!」
コノミ「私も!」
テッペイ「僕もです!」
リュウ「頼む! 一生のお願いだ! ミライを! メビウスを帰さないでくれ!!」
メビウスの仲間たちの炎の叫びを受け入れたタロウは、彼らに大きくうなずくと、メビウスに警告と激励のメッセージを残した。
タロウ「インペライザーは先兵に過ぎない。この先に待つのは、途方もない脅威だ! だが君と、君の仲間たちなら、どんな試練もきっと、乗り越えられるな」
メビウス「ハイ! タロウ教官!」
タロウ(天空を仰いで)「とぁーーーっっっ!!」(跳躍飛行して帰還する際の掛け声)
弾丸のような猛スピードでウルトラの星へと帰還していくタロウ……
ここでも、「先兵」だったとダメ押しの念押しにされることで、今後のストーリー展開において控えているであろう、さらなる巨悪との壮絶なる戦いを、視聴者にも予期させようとしている作劇なのであった。
往年の映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年)や先の映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』とも同じく、ベテラン声優・石丸博也が声を演じることにより、末っ子の甘えん坊などと、かつては揶揄されてきたウルトラマンタロウも実に頼もしい存在として描かれた! とはいえ、石丸博也の多少甲高い声ゆえに、同時に若々しさもあるのだ! ウルトラマンメビウスの教官であるという設定にも、それゆえに説得力が増すというものである!
インペライザーの赤い光弾によって炎で焼き尽くされる街。
タロウのウルトラダイナマイト。
強化形態・メビウスブレイブに続く、さらなる強化形態・メビウスバーニングブレイブの初登場。
炎をあしらったデザインである、ミライお手製のお守り――「お守り」あたりは、女児や女性マニアやそのなかの「やおい」ファンが喜びそうでもある。おそらく、それをも二次的に狙ったものではあるのだろう。子供向け・男児向けが本末転倒にはならない範囲でならば、客商売でもあるのだから、客層は少しでも増やした方がよいのだ!――。
そして、隊員たちがますます結束を強くするラストシーン……
「炎」をキーワードに実に熱い展開がなされたこの前後編は、熱血青春群像劇の様相をも醸し出し、特撮変身ヒーロー作品は「熱くなるため」に視聴するものであることを、あらためて実感させてくれた一大巨編となったのだ!
まだ、シリーズ中盤であるのにもかかわらず、人間ではないことを知られてしまった主人公をも、隊員たちが仲間であるとして暖かく迎え入れ、今後もともに戦う決意を見せる異例中の異例にして、感動的な展開になったのだ!
意地悪に観てしまえば、いかにも子供向け・少年漫画的なハッピーエンドかもしれない。それはそうなのだ。
余談だが、2006年現在、またまた子供や未成年間でのいじめによる少年少女の自殺がマスコミをにぎわせている。テレビ朝日系で月曜から金曜の7時30分から放送中の『スーパーモーニング』でいじめ問題を扱った際に、コメンテーターの鳥越俊太郎が「子供は決して純真ではない」などと発言していた。そのとおりなのだ。『ウルトラマンA』第3話『燃えろ! 超獣地獄』(脚本・田口成光)(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060521/p1)においても、異次元人ヤプールが「子供が純真だと思っているのは人間だけだ!」とすでに語っている(笑)。
ただし、こうした番組でセンセーショナルに扱われたのがキッカケで、教師やいじめた側の親が被害者宅を訪れて謝罪するという動きが近ごろ強まったことから、自殺すれば社会に強い影響を与えることができると考えた子供たちが連鎖反応を起こすという悪循環にも陥っている。しまいには、文部科学大臣宛に自殺予告の手紙を送る子供まで現れる始末であった。
一連の報道を見ていて、歯がゆいと思う点がふたつある。まず、コメンテーターの発言で必ず出てくるのが、「昔もいじめはあったが今のようにひどくはなかったし、とめてくれる人間が必ずいた」という観点だ。本当にそうか? 少なくとも50年前の時点ではすでにそうではなかったのだ。
『都市の暮らしの民俗学(1) 都市とふるさと』(吉川弘文館・新谷尚紀/岩本通弥編 06年9月発行・ISBN:4642079645)に掲載された統計データによれば、青少年の自殺は現在よりも昭和30年代の方がずっと多かったとのことなのだ。いじめによる自殺も相応に多かったと考える方が妥当だろう。
これは「猟奇的で残虐な凶悪犯罪」についても同様である。ワイドショーもなかった当時、社会に明るみに出ることが少なかったというだけの話である。『木嶋則夫モーニングショー』(64年・NETテレビ→現・テレビ朝日)や『小川宏ショー』(65年・フジテレビ)などの「ワイドショー」番組の登場は、昭和40年(1965年)ごろになってからなのであった。
そして、自身の経験から云わせてもらえば、学生のころよりも、社会人になってからのいじめの方がよほど壮絶なものであった。筆者のことはともかくとしても、職場での陰湿ないじめに耐えかねて、退職に追いこまれた人の話はよく耳にするところである。生活の糧を失うという点においては、学生よりも実害は圧倒的に大きいのだ。そうした大人社会に蔓延するいじめを抜きにして、学校内のいじめのみをあげつらい、やれ家庭がどうの教育がどうのと論じたところで問題は永久に解決するわけがない。片手落ちもいいところだと思ってしまうのである(汗)。
……まぁ、そういった話は、本話のレビューにはふさわしくなかったではあろう(笑)。
異端である者をも、仲間としてみせたGUYS隊員たちのやさしさ・暖かさが、少しは子供たちにも届いてくれればと願いたい。
ミライ「この日、僕たちは新たな一歩を踏み出した」
ウルトラマンメビウスであった正体がバレてしまったミライ隊員とGUYS隊員たちとの、新たな関係性を描くのであろう今後のドラマを予感させる、ミライの独白で、締めるあたりもお見事なのであった!
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