假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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(脚本・赤星政尚 監督・佐野智樹 特技監督鈴木健二
(文・久保達也)


ウルトラマンメビウス「どうして、地球にいてはだめなんです!?」
ウルトラの父「地球には、途方もない脅威が迫りつつある」
メビウス「だったらなおさら、僕が地球にいなければ!」
ウルトラの母「いいえ、既に兄弟のひとりが地球へ向かっています。あなたは戦ってはなりません!」
メビウス「どうしてなんですか!?」
父「今の君が臨めば、命を落とすのは確実だ!」
 うつむいて想いを巡らせた末、メビウスは決断する!
メビウス「かまいません! 地球のために戦えるなら、僕の命なんか!」
父「メビウス!」


 ミライとサコミズ隊長ふたりきりの、照明の消えた暗いGUYS(ガイズ)作戦室。サッカーボールを手にするジョージ、リムエレキングと戯れるコノミ、髪をとかすマリナ、怪獣ソフビをいじくるテッペイ、メモリーディスプレイを磨くリュウらの姿を想い浮かべるミライ。ウルトラの父と母からの帰還命令を受け、彼らと別れなければならないミライの事情を十分に承知しているらしいサコミズ(やっぱりゾフィーや!・笑)が、やさしくミライの肩にポン! と手をやる……


 オイオイ、この番組一体何回最終回やるつもりや!?
 (第10話『GUYSの誇り』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060706/p1)に第17話『誓いのフォーメーション』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061001/p1)に第22話『日々の未来』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061029/p1)に・笑)
 ただまあ、ゴールデン枠の一般向けドラマが1クールでおわっちまうこのご時世、1年間の長丁場を乗り切ろうと思えば節目節目にこれくらいあおりたて、その都度新たな展開をさせて視聴者の興味をつなぎとめる工夫は必要だろう。決してだましうちではないのである。


 GUYS各隊員の休日に、ミライはこれまでの感謝の意を伝えるために大胆な行動をとる。GUYSと大学の両立は大変だからと、テッペイのためにこれまでやったことのない料理を勉強し、テッペイ宅でウェイターとしてカレーを振る舞い(味はテッペイの母の折り紙付き!)、「立派なお医者さんになって下さいね」との願いを伝える。
 コノミが勤務していた美山保育園では保父になりきり(ミライの抱いた女の子の名前が「ひかり」であり、第17話で地球を去ったウルトラマンヒカリのことが忘れられているわけではないのだ!)、マリナが所属していたオートチームでは、彼女が世界グランプリに出場できるようにとバイクを整備してみたり、子供たちにサッカーを教えるジョージを訪ねてスペインリーグ復帰を願い、そしてミライは全員にお手製のお守り(形は全て異なるが、戦闘機ガンフェニックスやメモリーディスプレイに施されたファイヤーシンボルがあしらわれている!)を手渡したりと、ひたすら純朴なミライの人柄がこの一連の場面では忍ばれる。彼を演じる五十嵐隼士(いがらし・しゅんじ)のファンにとっては様々なコスプレを見ることができて大喜びだろうし。


 それを聞かされたリュウは、自分の休日にやはり誘いをかけてきたミライの真意を確かめようとするが、レーダー網をくぐり抜け、地球に到達したロボット怪獣・無双鉄神インペライザーが二人の眼前に黒鉄色に輝く鋼鉄の巨人の姿を現した! 
メビウス』のふだんの回の寂しい特撮美術とは異なり(笑)、特大イベント編であるためか精巧なビルや道路や標識のミニチュアが多数配備されたセットの中(時に自然光の下での巨大感あるオープン撮影もまじえつつ)、インペライザーは両肩の砲頭から赤い光弾を連射して破壊の限りを尽くす! 街中に響き渡る怪獣警報のサイレン!
 インペライザーの正体を知ってか、サコミズは隊員たちに「無理はするな!」と警告、ジョージとマリナはガンフェニックスで出撃するも、インペライザーの光弾に撃墜される! それを見て立ち去ろうとするミライに……


リュウ「ミライ! 目の前に敵がいるのに逃げ出すのかっ! 俺たちが、GUYSが背を向けたら、誰があいつを倒せるんだっ! 誰が地球を救えるんだっ!」
ミライ「僕が、僕が救います!」


 唖然とするリュウに、ミライが追いうちをかける!


ミライ「リュウさん! 今まで、ありがとうございました!」


 ななな、なんと、リュウの眼前で変身ポーズをとろうとするミライ!


ウルトラの父(回想)「今の君が臨めば、命を落とすのは確実だ!」


 悲鳴をあげて逃げる群集、赤い光弾で破壊される街、撃墜されるガンフェニックスのカットバック……変身しようとしたモロボシ・ダンが「待て! 変身してはいかん!」とセブン上司に遮られ、双頭怪獣パンドンが口から吐く炎に包まれるウルトラ警備隊を見て苦悩する『ウルトラセブン』第48話『史上最大の侵略(前編)』を彷彿とさせる演出だが、やがて空に散っていくひとつの赤い風船が目にとまる!
 初めて地球に降り立ったとき、小さな女の子が誤って手放してしまったそれをミライは手渡し、「ありがとう」という言葉を耳にしたのだ! 地球を去る決意を固めたミライは、地球で最初に知った言葉「ありがとう」を、最後の言葉としてリュウに返したのである!(感涙……)


ミライ「見ていて下さい! 僕の最後の戦いを!!」


 リュウの眼前でミライは遂にウルトラマンメビウスに変身し、ガンフェニックスを救う!
 (中型ビル屋上にいる実景のリュウが見つめる奥に、巨大感あふれるメビウス上半身がガンフェニックスを抱えてたたずんでいる合成映像がお見事!)


 インペライザーに突撃し、連発してキックを浴びるメビウスだが、逆にインペライザーの鋼鉄の足に蹴り上げられて吹っ飛ばされる!
 すかさずインペライザーは赤い光弾を連発、メビウスは無限大の形をしたバリヤーでこれを防ぐも、インペライザーは頭部中央にある3つのカメラアイを回転させ、オレンジ色の波状ビームをメビウスに浴びせかけた!
 メビウスは必殺光線メビュームシュートでインペライザーの左肩を破壊するも、一瞬動きが静止したあと、なんと破壊されたはずの左肩が復元した!


 再び赤い光弾を放つインペライザー! メビウスは辛くも避けるも、光弾はブーメランのように戻ってきて一撃を加え、倒れ込むメビウス! 胸のカラータイマーが点滅!
 メビウスウルトラマンメビウスブレイブへとタイプチェンジ、必殺光剣メビュームナイトブレードでインペライザーの右腕をブッた斬る! だが斬られた右腕は巨大な盾に変形し、再びインペライザーに装着する!


トリヤマ補佐官「なんなんだ、こいつは……」


 復元した右腕の盾はメビュームナイトブレードでも歯が立たず、メビウスは赤い光弾に吹っ飛ばされる!


トリヤマ「ウルトラマンが手も足も出んではないかっ! どうしてなんだっ!?」


 インペライザーは右腕を振り上げ、ジリジリとメビウスを追いつめる!


 そのとき、天空から放射された七色の光線がインペライザーの右腕に命中した!


 オレンジ色のダイヤモンド状の物体が地上に降り立ち、やがてそれは真紅の巨人の姿へと変わった!


テッペイ「ウルトラマンタロウだ!!」


コノミ「タロウ、メビウスをお願い!」


 先述した劇場作品でも登場シーンに使用された、主題歌『ウルトラマンタロウ』をアレンジしたファンファーレ、そしてオリジナルと同一の変身シーンの効果音!


 誰もが知っているウルトラマンタロウだが、『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第53話(最終回)『さらばタロウよ! ウルトラの母よ!』において、主人公の東光太郎(ひがし・こうたろう)が変身アイテムのウルトラバッジを捨て、人間として生きる道を選んだという設定を活かすため、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)にも『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)にもタロウが客演することはなく、平成ウルトラシリーズでは断固としてウルトラ兄弟をゲストに出さなかったため、タロウがTVシリーズに登場するのはまさに『タロウ』終了以来、実に32年半ぶりのことなのだ! これは当時小学1年生だった筆者が40才になっちまうほどの長い年月なのである! 本当に久しぶりの再会! これが涙なしでいられるかっ!


タロウ「メビウス、なぜ帰還命令に従わなかった!」
メビウス「(仰向けに倒れたまま)タロウ教官、僕は地球のために戦いたい!」
タロウ「だが若い君を死なせるわけにはいかない! 地球は私にまかせて、光の国へ戻れ! 命令だ!」
メビウス「僕は、まだ戦えます……ぁぁ……」


 カラータイマーの点滅も、メビウスの姿も消えた……
 タロウは空中高くジャンプ、素早くスピンを繰り返し、勢いをつけてインペライザーの頭部に猛烈なキックを見舞った! タロウの得意技のひとつ・スワローキックだ!
 張り倒そうとするインペライザーの右腕からタロウはバック転で逃れ、右手・左手を順に頭頂高く突き出して交差させてスパーク、即座に両拳をにぎって両腰に構え、大気中からエネルギーを充填して全身を七色に輝かせる!


タロウ「ストリウム、光線!」(映画の興奮が甦る!)


 逆L字型に組んだタロウの両腕から放たれる七色の鮮やかな光線を受け、さしものインペライザーも爆発四散!
 だが両足だけはしぶとく残り、タロウにジジジリと迫ってくる! やがてそれは姿を消すが、ただならぬ気配にタロウはファイティングポーズをやめず、しばし周囲の様子をうかがう! あまりに華のある演出に拍手喝采だっ!
 その一方、リュウは瓦礫の中でミライを呼び続ける……


リュウメビウスなら、メビウスだって最初から云いやがれ!
 ミライ! なんでおまえは、誰にもなんも云わねえで、ひとりで戦ってやがった!
 弱いクセに無理ばっかりして、どんだけ死にそうになりやがった!
 オレにどんだけ散々なこと云われやがった!


 (回想の中のミライ「今まで、ありがとうございました!」)


 そのセリフは俺のじゃねえか! おまえを助けてやってる気が、いつも助けてもらってたのは俺の方じゃねえか!」


 個人によって泣きのツボというのは異なるであろうが、筆者としては辛気臭いドラマを見せられるよりも、こうした絶叫調のセリフに最も弱い。そしてそれは後編のクライマックスでも演じられ、再度筆者を泣かすことになる。



 第30話、瓦礫の中からリュウに救出されたミライは心配する隊員たちをよそに病室のベッドを抜け出す。自身も崩れた瓦礫によって負傷しながらもミライのそばについていたリュウは、松葉杖をつきながらミライを捜し求め、いつしか彼とミライが初めて出会った小高い丘の上にたどりついた。


ミライ(回想)「見ていて下さい。僕の最後の戦いを!」


 ベンチに腰掛け、眼下の景色を眺めながらミライを回想するリュウ。背後に人の気配があることに気づくと、彼は「やっぱりここか」とでも云いたそうな表情でミライの方を振り返る。


リュウ「そうか。帰ってこいって云われたか」
ミライ「今度の敵と戦えば、僕は命を落とす。ハッキリそう云われました。僕じゃ地球は守れないんです! ……僕は戦いたい!」
リュウ「なあ、なんでおまえは、いや、ウルトラマンは、そんなにまでして、地球を守ってくれてるんだ?」
ミライ「僕が生まれるずっと前の話なんですけど、ウルトラマンは、人間と同じ姿だったんです」
リュウ「いや、今だっておまえは、人間と同じ……」
ミライ「僕は人間の姿を借りているだけです。ウルトラマンの力を使って。
 あるとき偶然に、僕らの一族は、ウルトラマンの力を手に入れました。それは、決して望んで手に入れた力ではありません。でも、力を手に入れたということは、果たすべき何かがあるはずだって、考えたんです」
リュウ「果たすべき……何か……?」
ミライ「守れるものがあるはずだって」


 先述(第27話『激闘の覇者』評・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061126/p1)したウルトラの国の歴史の中で、ゾフィーによって語られた人工太陽・プラズマスパークのディファレーター光線の影響により、ウルトラの星の住人は人間と同様の姿から究極の進化を遂げ、すさまじい能力を得たのであるが*1、『タロウ』(73年)で語られて以後*2、延々と児童向け書籍で語られ続けてきた裏設定を引用するだけではなく、一歩進めてウルトラマンが格別ロマンチックな思いを持って地球を守る理由にまで昇華させたのである!
 (本作に登場するウルトラマンヒカリが惑星アーブの知性体に思い入れたように、ウルトラ一族は宇宙中の知性体を守っているわけで、自身の先祖と同じ姿である地球人をえこひいきにしているわけでは決してないであろうが)


 思えば初代『ウルトラマン』(66年)第1話『ウルトラ作戦第1号』では、ウルトラマンは宇宙怪獣ベムラーを追跡中、誤って科学特捜隊の小型ビートルと衝突、墜落させて死なせてしまったハヤタ隊員と一心同体になることで地球にとどまることになったわけであり、云わば責任上やむなくといった感が強く、あくまでハヤタの命を生かすためであって、地球防衛という大義名分からの理由ではないように見える。
 これは第39話(最終回)『さらばウルトラマン』でM78星雲への召還を命じたゾフィーに対し、「それならば、私の命をハヤタにあげて地球を去りたい」とウルトラマン自身が語っていることからも明白であるように思う*3
 それに比べれば今回ミライによって語られた、ウルトラマンが地球を守る理由は、決して一個人に対してだけのものではない、人類全体への博愛の精神であり、深い使命感に満ちたものなのである! そして、第2期ウルトラからの引用としては欠かせない、「ウルトラの星」を天空に輝かせることによって、ミライの話はさらに続く!


ミライ(白昼、天空に輝く光を指し)「あれが僕の故郷(ふるさと)、ウルトラの星です」
リュウ「ウルトラの、星……!?」
ミライ「ウルトラの星は、地球から三百万光年離れた場所にあります。つまり、今ここから見えているあの輝きは、まだ僕らの一族が人間だったころの輝きなんです。もう絶対に戻ることができない、人間だったころの……」
リュウ「じゃあウルトラマンは、大昔の自分たちの星を、この地球にダブらせて、地球のために命をかけてくれてたっていうのか……」


 『ウルトラマンA(エース)』(72年)第29話『ウルトラ6番目の弟』(脚本・長坂秀佳)(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061120/p1)において、ウルトラの星は「負けるもんか!」と思ったときに見える星だと、エースこと北斗星児(ほくと・せいじ)はダン少年に語っていた。
 ウルトラの父に「命を落とす」と警告されようとも「僕は戦いたい!」と叫ぶミライばかりではなく、彼からウルトラマンが地球を守る理由を聞かされ、「地球は俺たちだけの星じゃねえんだ!」と戦う決意を新たにするリュウにも、自身で輝く恒星ではなく惑星にすぎないウルトラの星が見えていたのは、ミライが超能力で見せたという側面もあったかもしれないが、もちろんそれ以上にふたりが「負けるもんか!」と強く思っていたから、あるいはそれに通じる「至誠」の気持ちがあったがゆえなのである!
 単なる引用ではなく、当時のスタッフたちがそれにこめた想い・精神をも忠実に再現しているのには感涙モノだ!


 インペライザーが地球を狙う何者かが送った侵略兵器であると断定したGUYSジャパンは、GUYSスペーシーとの共同作戦を敢行する!
 第7話『ファントンの落し物』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060705/p1)でも登場した重力偏向板でインペライザーを高度80kmまで放り出し、宇宙機雷・ライトンR30(さんまる)マインによって2.5ギガトン級の大爆発で葬りさるのだ! 元々『ウルトラセブン』第15話『ウルトラ警備隊西へ(後編)』に登場し、宇宙ロボット・キングジョーを葬りさった新型爆弾ライトンR30(さんじゅう)の発展型であるライトンR30マイン、それこそブラック・キングジョーとでも形容すべき威容を放つインペライザーには最もふさわしく、第11話『母の奇跡』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060910/p1)以来久々の再登場だ!


 なんとGUYS本部はウルトラマンタロウからと思われる通信を傍受(『セブン』第40話『セブン暗殺計画(後編)』や『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(01年)(共に飯島敏宏監督作品)でウルトラマンが電波で地球人に通信してきたことの踏襲。つーかタロウがゾフィー=サコミズ隊長(?)に連絡してきただけとちゃうのか?・笑)、インペライザーが4時間後に青沢峡谷*4に出現する(なんで東京のド真ん中じゃなくてそんなヘンピな所に?・笑)との警告を受けた!


 青沢峡谷にテントを張り、作戦を着々と進めるGUYSの眼前にインペライザーが出現! 


 同時にウルトラマンタロウも登場した!


 そしてガンフェニックスもまた敵を迎え撃つ!


サコミズ「メテオール解禁!」
ジョージ「ファンタムアベーション、スタート!」
リュウ「スペシウム弾頭弾、ファイヤー!」


 黄金に輝きながら空間移動するガンフェニックスから分離した戦闘機ガンローダーに翻弄されたインペライザーは、スペシウム弾頭弾を受け、大地にひっくり返った! すかさず重力偏向板が発した緑色の光の輪に包まれ、インペライザーは宙へと舞い上がる!
 だがインペライザーは空間転移で逃れ、再び地上に舞い戻ってきた! インペライザーは高速で上半身だけを自転しながら赤い光弾を連続してブッ放す! テントが、戦闘機ガンウインガーが、ガンローダーが、そしてタロウが猛烈な炎に包まれる!
 タロウの足元にミライが現れた! 仲間たちの危機に、頭の包帯をほどいて捨て、変身しようとするミライ!


タロウ「メビウス! その体で何ができる! 変身してはいかん!」
ミライ「ですけど、二人で戦えば!」
タロウ「なぜ君に帰還命令が出たと思っている! 君はもっと強くなれる! 光の国へ戻り、さらに力を高めるんだ。来(きた)るべき、戦いのために……」
ミライ「来るべき、戦い……!?」


 タロウと会話するミライに気づく隊員たち。
マリナ「誰かと話してる!?」
リュウ「あいつ……」


ミライ「ですけど、このままではインペライザーに!」
タロウ「ウルトラダイナマイトを使う!」
ミライ「そんな! あれは自ら封印した危険な技ではないですか! もしものことがあったら!」
タロウ「私を見くびるな!」


 『タロウ』第35話『必殺! タロウ怒りの一撃!』において、タロウがめつぶし星人カタン星人に対して使用した最大の技・ウルトラダイナマイトは身体全体を燃え上がらせ、敵に体当りして自分もろとも木っ端微塵に破壊する驚異の荒技である! ウルトラ兄弟のルーキー・メビウスを想い、これを使う決意までしてしまうタロウに涙……


テッペイ「ウルトラダイナマイト!」


 ミライの眼前で遂にウルトラダイナマイトが炸裂! さしものインペライザーも砕け散り、タロウはウルトラ心臓の復元力により、ピンク色の光の粒子から再生した!
 だが粉々になったインペライザーの破片もまた、しぶとく再生を遂げようと不気味にうごめきはじめたのだ!


リュウ「ミライ行け! 行っておまえの強さを、ウルトラマンメビウスの強さを、タロウに証明してこい!」
ジョージ「おいおまえ! 今なんちゅった!?」
マリナ「そうよ、ミライくんがメビウスなわけ……」
テッペイ「いえ、ミライくんの(左)腕に……」
コノミ「メビウスと、同じもの(メビウスブレス)が……」
リュウ「ミライ、おまえはGUYSのクルーだろ? 地球を守るのが、俺たちGUYSの仕事だ。今おまえがやんなきゃなんねえのは、俺たちと一緒に戦うことのハズだ!
 けど絶対に忘れんな。俺たちが今までなんのために命をかけて戦ってきたのか。また笑顔で会うためだぜ、仲間に。絶対、絶対に生きて帰っこい! 約束だぞ!」


 あふれる涙を拭い、「G・I・G!」と答え、ミライは約束を果たすため、隊員たちの前で変身する! そしてインペライザーも元通りに、黒鉄色に輝く鋼鉄の巨人と化した!


タロウ「下がれ! メビウス!」
メビウス「僕は、戦います!」


 インペライザーにパンチの連打を浴びせるメビウス


タロウ「インペライザーは、私が命に替えても!」


 ウルトラマンタロウウルトラマンメビウスのダブルキック(!)がインペライザーを見舞う! 現役ウルトラマンウルトラ兄弟の共闘はTVシリーズでは『ウルトラマンレオ』第34話『ウルトラ兄弟 永遠の誓い』以来のことである!*5


メビウス「死んではだめです! 絶対に! 命をかけて戦うのは、笑顔でまた会うためです! 教えてくれました。大切な人が」
タロウ「そうか。そうだな!」
リュウ「ミライ、メビュームシュートだ!」
サコミズ「キャプチャーキューブ!」


 メビウスの必殺光線メビュームシュートを浴びて爆発するハズのインペライザーを、隊員たちがトライガーショットの一斉砲撃で光のバリヤー・キャプチャーキューブで閉じ込めて爆発の威力を高めようとする!
 だがインペライザーはそれすらもブチ破り、お返しとばかりに赤い光弾を連射、隊員たちを救おうとしてメビウスは背中に集中砲火を浴びた! ドドッと大地に倒れ伏したメビウスの目から生命の火が消えた……


ジョージ「まだだ! まだ終わりじゃない! オレの復帰戦、見に来てくれるんだろっ!」
マリナ「そうよ! アタシは世界グランプリに出場する!だから、絶対に見に来なさいっ!」
テッペイ「僕だって、必ず立派な医者になる! いや、この戦いが終わったら、君のケガを僕が見る!」
コノミ「保育園のみんなが待っているから! 立って! ミライくん!」
リュウ「おまえ必ず生きて帰ってくるって約束したじゃねえかっ! 仲間との約束破って平気なのかよ! ミライ〜〜っ!!」
サコミズ「ミラ〜〜イ!!」
メビウス「仲間との……約束……」


 そのとき、隊員たちが燃やした心の炎がメビウスと一体化した! メビウスの目に生命の火が灯り、全身がまばゆいオレンジ色に発光したあと、メビウスは胸部にファイヤーシンボルを纏(まと)ったウルトラマンメビウスバーニングブレイブへと進化した!


 インペライザーがカメラアイから放ったレーザーをタロウがストリウム光線で防ぎ、メビウスはすかさず胸で炎を燃やし、球状にした炎をインペライザーに投げ放った!!


 ウルトラダイナマイトボールとでも命名したいような炎の結晶を受け(後日付記:必殺技の正式名称はメビュームバースト!)、遂にインペライザーは大爆発、消滅した!!
 (爆発シーンにタメが足りないというか、小爆発の連続の果てに大爆発が起きてほしかったが、まあ許そう・笑)


リュウ「それでこそ俺たちのウルトラマンだ!」


 歓喜に湧く一同を見下ろすメビウスとタロウ。メビウスを想う仲間たちがタロウに向かって懇願する!


リュウメビウスは、俺たちの仲間なんだよ! これからも一緒に、地球を守りたいんだっ!」
ジョージ「ああ、オレもだ!」
マリナ「アタシだって!」
コノミ「私も!」
テッペイ「僕もです!」
リュウ「頼む、一生のお願いだ。ミライを、メビウスを帰さないでくれ!」


 メビウスの仲間たちの炎の叫びを受け入れたタロウは、彼らに大きくうなずくと、メビウスに警告と激励のメッセージを残した。


タロウ「インペライザーは先兵に過ぎない。この先に待つのは、途方もない脅威だ! だが君と、君の仲間たちなら、どんな試練もきっと、乗り越えられるな」
メビウス「ハイ! タロウ教官!」
タロウ(天空を仰ぎ)「とぁーっ!」


 弾丸のような猛スピードでウルトラの星に帰還するタロウ……



 劇場版と同じ石丸博也が声を演じることにより、末っ子の甘えん坊などと散々揶揄されてきたタロウも実に頼もしい存在として描かれ(多少甲高い声ゆえ同時に若々しさもある)、ウルトラマンメビウスの教官であるという裏設定にも説得力が増すというものである!


 それにしても、インペライザーの赤い光弾によって炎で焼き尽くされる街、ウルトラダイナマイト、メビウスバーニングブレイブの初登場、そして形は違えど全て炎をあしらったデザインであるミライお手製のお守りを「お揃い」であるとして(女性マニアの一部のやおいファンが喜びそうだ。つーかそれをも二次的に狙ったものであろうし、子供向けが本末転倒にならない範囲でなら、客商売なのだから客層は少しでも増やした方がよい)、隊員たちがますます結束を強くするラストシーン……
 「炎」をキーワードに実に熱い展開がなされたこの前後編は熱血青春群像劇の様相をも醸し出し、変身ヒーロー作品は熱くなるために視聴するものであることを、あらためて実感させてくれた一大巨編となったのだ!


 そして、まだシリーズ中盤であるにもかかわらず、人間ではないことを知られてしまった主人公をも、隊員たちが仲間であるとして暖かく迎え入れ、今後もともに戦う決意を見せる異例中の異例な展開。近頃またいじめによる少年少女の自殺がマスコミをにぎわせているが*6、異端である者をも仲間とするGUYSのやさしさ・暖かさが、この激闘編を楽しみながらでも、少しは子供たちに届いてくれればと願いたい。


ミライ「この日、僕たちは新たな一歩を踏み出した」


2006.11.5.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンメビウス』第3クール評より分載抜粋)


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*1:講談社の月刊『マガジンZ』連載『ウルトラマンSTORY0(ゼロ)』(漫画・真船一雄)第1話『ウルトラの国崩壊』(05年9月21日初版発行のコミックス第1巻(ISBN:4063492206)に収録)の冒頭では、プラズマ核融合装置による人工太陽の起動により、ウルトラの星の住人たちの姿が変容し、すさまじい力を得る場面が描かれている。ただ普通の動植物までもが人工太陽の影響を受けて怪獣化するという設定に関しては、ウルトラ怪獣の起源としては個人的にちょっと……

*2:編:実は『ウルトラセブン』(67年)のころの少年誌で既にこの設定が語られていたという調査を、90年代前半だかに出版された俳優の京本政樹も関わっていたCD−R付き書籍に記述されていたのを眼にした記憶あり。未購入で書籍名も失念・汗。07年2月24日後日付記:07年1月26日発売のDVD『ウルトラマンメビウス』(06年)Volume.7(asin:B000KJT9EE)の解説書によると、第1次怪獣ブームの60年代の書籍『怪獣大全集 第1巻 円谷怪獣のひみつ 〜ゴジラからゴロザウルスまで〜』(ノーベル書房・67年7月1日発行)の中で、脚本家・金城哲夫(第1期ウルトラ作品のメインライター)によって、M78星雲光の国の歴史や、宇宙警備隊の沿革が、70年代に小学館の学習雑誌で繰り返し語られる前に既に設定されていたとのこと!

*3:朝日ソノラマ『ファンタスティックコレクションNo.20 ウルトラマン フィルム・ストーリー・ブック 特撮ヒーローのすばらしき世界』(80年5月発売の初代『ウルトラマン』オンリー本)の総論において、既にこの点については言及されている。
 第1期至上主義者にウルトラマンを「神」として崇める者は多いようだが、一個人の生命を活かすためだけに地球に滞在した存在が果たして「神」と云えるのだろうか?

*4:メビウス』番組公式HP(ホームページ)の「WEB(ウェブ)メビナビ」によれば、『セブン』第20話『地震源X(エックス)を倒せ』で「ギラドラスを操るシャプレー星人が、地球の核を構成するウルトニウムを採取しようと暗躍した場所」ってそんなのわかるか!(笑) よほど濃いマニアでもこれがわかった奴はほとんどいないんじゃないかな。「インペライザーは、ウルトニウムを狙ってこの場所に現れたのかもしれない」んだってサ!

*5:『レオ』第38話『決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟』および第39話『レオ兄弟ウルトラ兄弟 勝利の時』にもゾフィー、初代マン、新マン、エースがゲスト出演しているものの、この前後編では暗黒星人ババルウ星人が化けたレオの弟・アストラによってウルトラキーを奪われたウルトラの星が軌道を狂わせ、地球衝突の危機を迎え、これを阻止せんとするウルトラ兄弟と、アストラをかばおうとするレオが決闘を迎えるという、共闘どころではない前代未聞の展開となっている!(これはこれで最高によい!)
 70年代末期の初期特撮評論において、第1期世代の第1期ウルトラ至上主義者たちによってウルトラ兄弟の設定や共演は神秘性を失うものとして悪とされたせいで(!)、早くもその影響で『80』では第38話『大空にひびけウルトラの父の声』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110115/p1)にウルトラの父が顔見せ程度で客演したほかは、第44話『激ファイト! 80VS(たい)ウルトラセブン』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110226/p1)において、少年の暴走族に対する恨みが人形に乗り移って誕生した妄想ウルトラセブンがエイティと対決したくらいであり、事実上ウルトラ兄弟と共闘する姿は描かれなかった。
 以来四半世紀もの長い間、TVシリーズでウルトラ兄弟共演が描かれなかったわけであるが、映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)が一般層からも熱狂をもって迎えられたことを思うにつけ、本当に今まで何をやっていたのかという想いはますます強くなるばかりである。

*6:テレビ朝日系で月曜から金曜の7時30分から放送中の『スーパーモーニング』でいじめ問題を扱った際、コメンテーターの鳥越俊太郎が「子供は決して純真ではない」などと発言していたが、そんなことは『ウルトラマンA』第3話『燃えろ! 超獣地獄』(脚本・田口成光)(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060521/p1)において、異次元人ヤプールが「子供が純真だと思っているのは人間だけだ!」と既に語ってるっちゅーの(笑)。
 こうした番組でセンセーショナルに扱われたのがキッカケで、教師やいじめた側の親が被害者宅を訪れて謝罪するという動きが近ごろ強まったことから、自殺すれば社会に強い影響を与えることができると考えた子供たちが連鎖反応を起こすという悪循環に陥り、しまいには文部科学大臣宛に自殺予告の手紙を送る子供まで現れる始末である。
 一連の報道を見ていて歯がゆいと思う点が二つある。
 まずコメンテーターの発言で必ず出てくるのが、「昔もいじめはあったが今のようにひどくはなかったし、とめてくれる人間が必ずいた」という観点。本当にそうか? 少なくとも三十数年前の時点では既にそうではなかったぞ。『都市の暮らしの民俗学(1) 都市とふるさと』(吉川弘文館・新谷尚紀/岩本通弥編 06年9月発行・ISBN:4642079645)に掲載された統計データによれば、青少年の自殺は現在よりも昭和30年代の方がずっと多かったとのことであり、いじめによる自殺も相応に多かったと考える方が妥当ではないのか?
 これは「猟奇的で残虐な凶悪犯罪」についても同様であり、ワイドショーもなかった当時、社会に明るみに出ることが少なかったというだけの話である(『木嶋則夫モーニングショー』(64年・NETテレビ→現・テレビ朝日)や『小川宏ショー』(65年・フジテレビ)など、ワイドショーの登場は昭和40年ごろになってからである)。
 そして、自身の経験から云わせてもらえば、学生のころよりも、社会人になってからのいじめの方がよほど壮絶なものであった。筆者のことはともかくとして、職場での陰湿ないじめに耐えかね、退職に追いこまれた人の話はよく耳にするところであり、生活の糧を失うという点においては学生よりも実害は圧倒的に大きいのだ(だから広義ではリストラだって会社による立派ないじめであろう)。
 そうした大人社会に蔓延するいじめを抜きにして、学校内のいじめのみをあげつらい、やれ家庭がどうの教育がどうのと論じたところで問題は永久に解決するわけがなく、片手落ちもいいところだと思ってしまうのである。イラクで拉致された日本人に対し、「自己責任」だの「非国民」などという言葉が浴びせられたものだったが、これも大人による立派ないじめですわな。
 その割にはフセインイラク元大統領に対する死刑判決を、ブッシュ・アメリカ大統領によるいじめだと批判する人々がいたりする。なるほど、戦勝国による一方的な判決は東京裁判同様、茶番といえば確かに茶番だが、フセイン東條英機に散々抑圧された人々の苦しみを思えば、とてもではないが筆者は彼らに同情する気にはなれないが。
 まあ筆者を高校時代に散々いじめ抜いた奴は、同級生の女子生徒を妊娠させて退学になったし(そりゃあもう小躍りして喜んだものでした!)、筆者を散々「無能」呼ばわりした上司は売上金を横領したりとか、数年後に廃業に追いこまれるほどの大損害を会社に与えてクビになったりしているが、そういう奴ら同様に「自己責任」なのではないかと考える。そうした連中の末路は概して哀れなものなのだ。ヒトラー然り、チャウシェスク然り……だからあなたをいじめている奴だって、いつかは転落するはずだ……
 こうした内面吐露はもうやらないつもりであったが、若いマニアの人々の中で、同じような苦しみを抱いている人も多いのではないかという老婆心から、今回は久しぶりにしたためてみました。筆者もなんとか生きていますので。

 (編:東條英機は、ヒトラー(ドイツ)やムッソリーニ(イタリア)と同等の個人崇拝を強制する独裁者ではなく開戦時に首相だっただけのただの官僚だろとか、第2次世界大戦の独裁者のひとりフランコは戦後も30年以上統治して天寿もまっとう、その後スペインは革命も対外戦争もなしに議会制民主主義にソフトランディング・軟着陸したゾ! とかツッコミたくなるスレた読者もいるやもしれませんが……そのへんはイジメという苦境下にある人々への、禅でいうところの「喝」、誇張・極端化した表現で、いつかは苦しい状況も変わるから耐えてくれ……という勇気付けとして捉えていただけると幸いです)