(2010年1月4日(火)、別項『メビウス』#34評中の#32評のみ抜粋)
メイツ星人ジュニアの復讐
(文・久保達也)
ホラー作家にして直木賞受賞作家の脚本による、『帰ってきたウルトラマン』(71年)の異色問題作、第33話『怪獣使いと少年』の続編。
いやはや父の敵討ちとは…… こんな誰でも思いつきそうな安直な続編をよく映像化したものです。
八木毅(やぎ・たけし)氏には失礼ながら80年代の特撮評論的なリアル&ハード至上主義の後ろ向きな監督という印象しかありません。
それにしてもメイツ星人の人間体を演じた俳優が間寛平(はざま・かんぺい)とそっくりだとか、緑色の血を流す奴を見たら普通子供は恐がるか石をぶつけるだろうとか、斎藤とも子が語りだしたあとの見え見えな展開とか、爆笑の要素がてんこ盛りで……
まあ誰かが絶賛してくれるでしょうから私は何も語りません。特撮が比較的充実していたので思ったより退屈せずにすみましたし。巨大魚怪獣ムルチがソフビで出ないかなあと思ったくらいか。雑誌『ハイパーホビー』限定とかでやりそうですが。
(編):ムムム。編集者は『メビウス』第32話『怪獣使いの遺産』、イイ意味での『メビウス』らしいベタさとユルさのアレンジで許容範囲です。ネット上も含めてマニア間での評判は8、9割が酷評のようですが(汗)。
『セブン』ノンマルト編や『帰マン』ムルチ編に『エース』ブラックピジョン編といった、悲しい名作群で流れたオカリナ調のBGMをアレンジした楽曲が流れただけで、滂沱の涙があふれてきたのは……、キミとボクだけのヒミツだよ!(笑)
2010年・後日付記:
(文・久保達也)
本放映時はともかく、その後の数回の再視聴では個人的にはそれほどの悪い印象を持っていない。
やはり『帰ってきたウルトラマン』(71年)第33話『怪獣使いと少年』のようなアンチテーゼ編の続編に対してはマニアの要求ハードルがどうしても高くなるのだろう。
同じく『ウルトラセブン』(67年)のアンチテーゼ編である第42話『ノンマルトの使者』の続編として製作された『1999ウルトラセブン最終章』第6話(最終回)『わたしは地球人』(バップ・99年12月31日に発売されたオリジナルビデオ作品)の場合、異様なまでの暗さがトラウマとなってマニアの拒絶反応を示したのだろうが、『怪獣使いの遺産』は救いはあるものの、あの話の続編がこれか? と拒絶反応を示したであろう。
ただし関西地区では『怪獣使いの遺産』はシリーズ中最高視聴率である7.0%を稼いでいる。関西は「濃い」マニアが多いのか?(笑)