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ウルトラマンエース36話「この超獣10,000ホーン?」 ~暴走族の青年をどう描くべきか!? 長坂秀佳脚本・第3弾!

(ファミリー劇場『ウルトラマンA』放映・連動連載!)
ファミリー劇場『ウルトラ情報局』ウルトラマンA編 〜2・脚本家・長坂秀佳出演!
『ウルトラマンエース』#34「海の虹に超獣が踊る」 〜長坂秀佳脚本・第2弾!
☆☆☆☆☆
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『ウルトラマンエース』36話「この超獣10,000ホーン?」 〜長坂秀佳脚本・第3弾!

(脚本・長坂秀佳 監督・筧正典 特殊技術・川北紘一)


(文・久保達也)
(#36〜43評は、一昨年2005年12月〜昨2006年1月執筆)


 「騒音のエネルギーを吸収する」という超獣の属性が判明する前から、超獣にサウンドギラーという名前がついている。……児童はともかく幼児にはサウンド(=音)という英単語はわからないので大丈夫だ!?(く、苦しい・笑) 小学生の高学年の時分の再放送で観たときには、このネーミングで幻滅したなぁ(汗)。



 市街地や工業地帯など、騒音が集中する地域で超獣の目撃証言が相次ぐ。ある夜、超獣出現の通報を受けた防衛組織・TAC(タック)は北斗隊員と美川隊員を現地に急行させるが、そこに超獣の姿は見られなかった。


 そこの住人に超獣出現の気配を感じなかったか、大きな音を聞いたりまぶしい光を見なかったか、ふたりがたずねると住人は、


「ああ、毎晩見ているよ」


と意外なことを口にする。


 そこに大きな音とまぶしい光の主が現れた。それは暴走族の操るオートバイであり、近隣住民の悩みの種となっていたのだ。彼らはふたりをさんざんからかうと夜の闇に消えていった。基地に帰ると美川は、


「あたし、ああいう人たち、超獣以上に許せないわ!」


と暴走族を批判する。北斗はそれに対して、


「さびしいんだよ、あいつら」


と意外にも彼らを擁護する。美川が、


「暴走族の味方をするの?」


とたずねると(このときの美川隊員のカットは『ウルトラマンA(エース)』全話中最も彼女が美しく見える場面だ!)、北斗は「オレもああいうふうになりかけた時期があった」と口にする。……ここで北斗が不良少年だったころの回想場面が挿入されていればもっと良かったのだが(笑)。



 騒音を好物とする超獣の出現や暴走族の登場など、序盤の展開は一見、「色モノ」的な路線を思わせる。しかし、長坂秀佳(ながさか・しゅうけい)の脚本であるだけに、決して単なる「色モノ」的な作品には終わっていない。


 高度経済成長期がかげりを見せた70年代前半、大気汚染や水質汚濁などの公害が社会問題となっていた。同時期の『人造人間キカイダー』(72年)で、長坂氏は第16話『女ベニクラゲが三途の川へ招く』においては、汚れた川で毒クラゲを生育させる女ベニクラゲと、川の浄化に努める若い女性を絡ませた秀作を残している。


 「騒音」は近年でも近隣トラブルの原因ともなっている。当時においても立派な公害ではあり、一応は文明批評的な側面を見せている作品でもある。


 ただ、本作はそれだけにとどまらない。北斗が「さびしいんだよ、あいつら」と表現したように、暴走族の揺れ動く内面の移り変わりを的確に表現しているのが秀逸ではあった。そこが暴走族を「社会のダニ」だとばかりに、地底怪獣バラゴンに食わせてしまった怪獣映画『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(01年・東宝)のような、並みの発想とは違う優れた部分なのである(笑)。と云って、理論武装をしたいところであったが、本話はウラを返せば、暴走族をややムリやりに擁護・美化してしまったキライもあっただろう(汗)。



「静かにして!」


と注意した香代子と、こともあろうに、


「負けるもんか!」


と叫んでしまったダン。ここでは本作『ウルトラマンA(エース)』(72年)の第29話以降こと、ダン少年編の基本設定をおさらいして、そのトレードマークでもあった「負けるもんか!」のセリフを復唱させてみせてもいるのだ(笑)。



 しかし、彼らを暴走族は容赦なく襲ってきた!


 そして、北斗隊員がこれを助ける! これ以降の北斗は「おせっかいオジサン」としてひんぱんに彼ら暴走族の前に現れることになっていくのだ。


「バイクに乗るなとは云わん。せめて音を小さくしてくれ」


という北斗の頼みに、一応、


「わかりました」


と表面的には謝ってはみせている。しかし、その直後に、再び香代子を襲ってみせたりする、決して「善い子」にはなれない、そしてそれはカッコ悪い、よってイキがたったり悪ぶったりしてみせたい、天邪鬼にして、実にメーワクな彼らの行動!


 しかし、女性メンバーのまち子を中心に、北斗と敵対するのをやめようとする意見が出たりもするのだ。


 そんななかで、リーダーの俊平だけが、


「どうせおれたちは嫌われ者だ!」


などと自暴自棄に開き直って、再び暴走行為に出るあたりの心理描写や、多様なリアクションが発生している群像劇描写などは、なかなかリアルに描けているのではなかろうか。


 それにしても、山中隊員によれば、この暴走族たちは高校生たちであったそうだ。しかし、役者たちの都合で、どうヒイキ目に見ても20代前半にしか見えないが(笑)。


 そんな山中隊員は、第34話『海の虹に超獣が踊る』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061223/p1)に続いて、北斗に「たるんどる! ブッたるんどるぞ、おまえは!!」と怒鳴ってみせている。特撮マニア間の人口に膾炙しているこの名セリフは、実は長坂先生が考案したようだ(笑)。



 暴走族の青年たちの揺れ動いている内面を見透かして、騒音超獣サウンドギラーを追い払った手柄を与えて、彼らを子供たちの人気者に仕立てあげてみせるなど、親身になって彼らに接する北斗隊員に対して、本話のゲスト集団たる暴走族のメンバーたちも次第に心を開いていく……


 そして、爆音を好んでサウンドギラーが彼らの周囲にひんぱんに現れると描かれていることもあって、北斗が「任務を離れて何やってんだ?」というようなツッコミの余地も回避ができてもいるのだ(笑)。



 しかし、サウンドギラーがまたも出現! 今度は改心した彼らは騒音を発する工場に隣接していた幼稚園を守るため、世のため人のために、サウンドギラーを引きつけるために、北斗とともにおとりとして今度は虚栄心のためではなく自己犠牲的にバイクで疾走してみせるのだ!


 オートバイアクションの強調は、同時期の『仮面ライダー』(71年)のみならず、この1972年10月に放映がスタートした、実写30分ものの無頼な白バイ隊員たちを描いた実写ドラマ『ワイルド7(セブン)』(72年)なども影響を与えていたのだろうか? などと思ってしまったりもするのだが(笑)。


 北斗がバイクから転げ落ちて、サウンドギラーの火炎放射によって全身が火だるま(!)になるなどといった、命がけのアクション描写もある!(もちろん、スタントマンが演じているのだろうが)。



 ここで、北斗はウルトラマンエースへと変身!!


 エース登場の際、俊平は「ウルトラマンエースは、本当にいたのか」とつぶやく。さすがに、巨大ヒーローと巨大怪獣(超獣)が存在している世界観においては、報道やテレビ中継もあったであろうに、その認識はねえだろっ! 少々ヒネったつもりの描写だったのではあろうが、さすがにこの描写には小学生時分の再放送のときには違和感を抱いて幻滅してしまったものだ(笑)。



 超獣サウンドギラーが指先から発する連射ミサイル攻撃!


 それをエースが側転の連続でかわす!


 エースとサウンドギラーのバトルシーンに流れる主題歌は、ナゼだかカバーバージョンであった。オリジナルよりもややアップテンポの曲で、放映当時は東宝レコードや朝日ソノラマなどの発売する盤に収録された、コール・ゼールが歌唱するものである。この曲は80年代にアポロン音楽工業(ザ・ピーナッツや沢田研二など、大手芸能プロ・渡辺プロダクションに所属するアーティストの音楽テープを発売していたレーベル)が発売したウルトラシリーズ関連の音楽テープに必ず収録されていた。91年7月21日にビクターが発売したCD『ウルトラ・コンピレーションI(ワン)』(ASIN:B000064X0P)にも収録されたことから、耳にした記憶のある人もけっこう多いのではなかろうか。


(後日付記:コール・ゼールではなくヴォーカル・ショップが歌唱したという記述も散見される。しかし、ヴォーカル・ショップも数多くの主題歌カバー版を歌っているので、彼らの声とは全然違うことが確認できる。ちなみに、前述のCDのライナーノーツによれば、このカバー版の原盤製作は「ゼール音楽出版」というところだそうで、コール・ゼールなるグループはそこの看板だったのかと推測している)


 エースが両腕をL字型に組んで、必殺のメタリウム光線を発射!


 発砲スチロール製のカポックのサウンドギラーを木っ端微塵に粉砕!(爽快! これぞまさに字義どおりのカタルシスだ!!)



 本話は派手なアクション描写も目立っている。もちろん、これはこれで実に魅力的であった。


 ただし、本話のドラマの根底に流れているのはきわめて人間的な優しいまなざしである。ラストシーンは体を張って幼稚園児を守った暴走族が、子供たちの人気者となっていっしょに遊ぶものとなっている。


 「荒れる少年たち」を思うにつけ、今回の北斗のような親身になってくれる大人の存在を必要としている少年たちは、現在でも多いのかもしれない。今から30数年も前にすでにその解答が描かれているともいえる。映画『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE(ファイナル・バトル)』(03年・松竹)のように、暴走族を「2000年後に宇宙に災いをもたらす地球生物(爆)」などととらえていては何も解決はしないのだ。そうした感覚の部分では『A』の方がよほど優っていたと筆者は考えるのである。


 とはいえ、それでは筆者のような文弱の輩のオタクが、このような「荒れる少年」を救ってみせずとも、メンドウを見てあげることができるのか!? それはなかなかにムズカしいところではあるのだろう。
 彼らに「リクツ」や「理論」や「正論」などは通じまい。彼らが欲しているのはそういったものではない。彼らが心動かされるものもそういったものではない。正しいか? 間違っているか? などではなく、「人間力」のようなもの、あるいは「(肉食)動物的な覇気・威厳・本気・男気」のようなもののブツかり合いや認め合いのようなものでもあるのだろう。


 そういったことは人間一般にはある程度までは必要なものである。必須のものではないにしても、そういった要素にも一理も二理もあるのだ。だが、我々のようなヘリクツ・オタクがつむぐような空理空論などは彼らの心を打つことはないようにも思える。どころか、オタクにかぎらず、こういった「荒れる少年」を救ってみせることができるような一般ピープルそれ自体も、数がそうとうに限られるのではなかろうか?


 そうであれば、自分で彼らを救ってみせることなどできもしないような我々のような人種が、彼らに憐みや同情の目を向けてみせることもまた、偽善であり欺瞞であるともいえるだろう。とはいえ、だからといって、彼らを見捨ててしまってもよいとまでは云えない。そういった心のなかでの逡巡(しゅんじゅん)を繰り返してみせるような行為くらいが、我々オタクにとってのせめてもの誠意なのではなかろうか?


 ……しかし、暴走族になってしまうような、覇気もあって粗暴なタイプであれば、子供の時分にはイジメっ子やガキ大将タイプであったやもしれないとも思うと…… 彼らに対する同情の念はやはりウスらいでしまうのではあった(笑)。



<こだわりコーナー>


*内山まもるが小学館『小学二年生』72年1月号に描いた本作のコミカライズ作品では暴走族はまったく登場しない。代わりに冒頭でサウンドギラーが航空機を襲って、搭乗していた父親を亡くした少年を中心にした内容となっている。のちに『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19971121/p1)第7話『東京サイレント作戦』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100613/p1)で描かれたように、TACは東京からすべての音を消す作戦に出る。だが、少年が急病となって救急車で運ばれ、そのサイレンの音を聞きつけてサウンドギラーが再び出現するという、オリジナリティにあふれる内容であった。


*暴走族の姉ちゃんの方の役者・佐伯美奈子は、『A』の因縁の裏番組の特撮時代劇『変身忍者 嵐』(72年)で第38話からレギュラー出演したツユハ役の方。


*なんと暴走族・俊平を演じた役者さん・小沢直平氏は、本作から8年後の『ウルトラマン80』#44「激ファイト! 80VS(たい)ウルトラセブン」(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110226/p1)でもまたまた暴走族の青年役で出演されたという情報もある!?(名義は清家栄一) ホントウなのだろうか?


*視聴率19.0%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)



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