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ウルトラマンエース44話「節分怪談! 光る豆」 〜M78星雲・光の国初登場!

ファミリー劇場ウルトラマンA』放映・連動連載!)


「ウルトラマンA 再評価・全話評!」〜全記事見出し一覧


(脚本・石森史郎 監督・筧正典 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)
(#44〜52(最終回)評は、昨年06年11月執筆)
 養護施設を訪れた北斗は、知り合いで空手の全国大会優勝を目指す青年・一郎や子供たちとともに節分の豆まきをする。
 床に散らばった豆の中に赤い豆を見つけた一郎は縁起ものだと思い、思わずそれを口にする。その途端、一郎は全身に力が入らなくなり、子供たちの前で自慢の腕前を披露することができなくなってしまう。
 北斗は防衛組織・TAC(タック)本部に帰ってからも豆まきをするが、一郎と同様に赤い豆を食べてしまった今野とともに全身の力が入らなくなる。鬼超獣オニデビルの出現に攻撃に向かうTACだが、ミサイルの発射レバーも操作できない今野と、操縦捍を握ることもできない北斗のために退却を余儀なくされてしまう……


 いつもは脳天気な善人の今野隊員が自分に起きた症状を信じられないといった表情の苦悩の描写がよい味を出している。今野と北斗、一郎青年が根性で体力を回復しようとする人間ドラマを描こうとする石森脚本も印象的だ。


 サブタイトルで「怪談」とうたっているのだから、第41話『怪談! 獅子太鼓』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070209/p1)・第42話『神秘! 怪獣ウーの復活』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070219/p1)・第43話『怪談 雪男の叫び!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070224/p1)と続いた『冬の怪奇シリーズ』に含めてもよいと思われるが、この回が放映されたのが72年2月2日であることから、月が変わったということで一旦区切りをつける必要があったのかもしれない。
 まあこうした企画もののシリーズはパターン化を避ける意味でもやはり三週が限度なのだろう。『夏の怪奇シリーズ』も第15話『黒い蟹(かに)の呪い』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060828/p1)・第16話『怪談・牛神男(うしがみおとこ)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060903/p1)・第17話『怪談 ほたるケ原の鬼女(きじょ)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060904/p1)の三週で終わっており、同じような趣向の第19話『河童(かっぱ)屋敷の謎』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061007/p1)が第18話『鳩を返せ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060907/p1)をはさんで放映されたのもそうした配慮なのかもしれない。
 『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)の8月度の放映分(第17話から第21話)が5週にも渡る『見よ! ウルトラ怪奇シリーズ』であったのはさすがにキツかったからなあ(笑)。
 もっとも『(新)仮面ライダー』(79年)なんかは第41話から第46話と、6週にも渡って『怪談シリーズ』をやっていたが(爆)。


 TAC本部に運ばれた新兵器・ゴールデンホークを「豆まきの邪魔だから」と怪力で移動させた今野が、赤い豆を食べたあとにヘルメットすらも持てなくなるという対比の描写がわかりやすくて良い。
 豆まきの間に今野に「鬼は外!」と散々豆をぶつけられて、「きゃあ、やめてよぉ〜!」と云っていたにもかかわらず(華があり可愛いです)、そんな今野にかまってくれる美川隊員はもっとよい(笑)。
 ちなみに本話を収録したデジタルウルトラプロジェクト発売のDVD『ウルトラマンA』Vol.11(asin:B00024JJJ2)の解説書に掲載された「西恵子(美川のり子隊員役)独占インタビュー」によれば、撮影の合間に山中・今野・吉村・北斗の4人がヘルメットをかぶった美川隊員の頭に小石を投げ、「誰が一番真ん中に当たるか」などと競争したことがあったらしい。一体なんてこった。今野と北斗だけではなく、山中と吉村にも今回は罰を与えるべきだった(笑)。


 もっとも今回登場するオニデビルは毎年節分になると日本中で豆をぶつけられる鬼たちの怨念が実体化した超獣であり、豆まきを主導した北斗と今野に災難がふりかかったのであって、決して美川をいじめたバチが当たったわけではないのだが。
 第38話『復活! ウルトラの父』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070121/p1)や、第41話『冬の怪奇シリーズ 怪談! 獅子太鼓』など、『A』にはクリスマスや正月などの伝統行事に怨念を絡ませた秀作が含まれている。今回の竜隊長のセリフ「日本古来の伝統を守ろうとする気概は、たとえ時代が変わろうとも忘れたくないものだな」には全く同感であり、近年の作品でこうした風物詩がまるで描かれない現状が嘆かわしい限りである。


 赤い豆のために体力が回復しない北斗を救ったのは先輩ヒーロー・ウルトラセブンであったが、その治療のために故郷・M78星雲に帰る必要があるとして、今回劇中において初めてウルトラの星の様子が描かれる。
 それまで小学館の学習雑誌で想像図として再三描かれてきたウルトラの星の登場は、セブンのゲスト出演以上に当時の子供たちには大きな喜びであったことだろう。紫色の照明を使用して幻想的に照らされ、銀色の岩石状のオブジェが点在するイメージは、『ウルトラマンタロウ』(73年)第1話『ウルトラの母は太陽のように』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)、第25話『燃えろ! ウルトラ6兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061126/p1#20061126f2)に登場するウルトラの国にもちゃんと継承されている。


 戦闘機タックスペースの機底からせり出した、冒頭に登場したTACの新兵器・ゴールデンホークからの赤いレーザーがオニデビルに致命傷を与え、エースはオニデビルをエースリフターで地上にたたきつけて勝利する。
 派手な荒技を繰り出す印象が強いエースからすると今回はあまりにも地味であるが、ゴールデンホークを名目通り「新兵器」として機能させ、セブンの登場によって印象を弱くさせることなくTACに華をもたせている点は、第39話『セブンの命! エースの命』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070129/p1・この回にはTACの新兵器・シルバーシャークが登場)と同様であり、スタッフたちのTACに対する愛情が垣間見えるというものだ。
 ちなみにゴールデンホークもシルバーシャークもともにレーザー兵器であり、ネーミングルールが統一されているので、同系兵器だろう。



<こだわりコーナー>
*養護施設の先生役で、現在では『渡る世間は鬼ばかり』(90年〜・TBS)の出演により、すっかり橋田寿賀子ファミリーの一員と化してしまった(笑)中田喜子(なかだ・よしこ)がゲスト出演している。
 彼女は当時『仮面ライダー』(71年)にライダーガールズの一員・ヨッコとしてレギュラー出演していたほか、『ミラーマン』(71年)第43話『打倒! 幽霊怪獣ゴースト』、『ウルトラマンタロウ』第22話『子連れ怪獣の怒り!』など、特撮ヒーロー作品の出演が実に多かった。
 ただこれについて彼女は『テレビ探偵団』(86〜92年・TBS)にゲスト出演した際(89年夏)、「すごくイヤだった」と語っていた(笑)。


*今回登場するセブンは体前面の白いラインが胸のプロテクターまで届かずに腹の部分が頂点となるように描かれている。第2期ウルトラ作品ではこのバージョンのセブンがほかにいくつか登場しており、その印象が強かったのか、当時の筆者はセブンの絵を描く際、常にオリジナルではないこちらのバージョンのセブンを描いていた。
 ちなみに今回のセブンの声は第39話と同じ池水通洋(いけみず・みちひろ)。若々しくも渋みのある声は武族階級のレッド族とされ、熱血感あふれるキャラという位置付けが成されていた当時のセブンにぴったりとマッチしている。


*視聴率17.3%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)



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