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西遊記♯5「子供の国」


「西遊記」全話評! 〜全記事見出し一覧


(映画『西遊記』公開記念!〜短期集中連載!)
(文・田中雪麻呂)

♯5『子供の国/〔子供の国 悟空がパパになる!?〕』

(脚本)坂元裕二(演出)成田岳


 「紅蟻! 病原菌はおめぇだッ! おめえ、赤ちゃんのおムツ替えたことねえだろ。メチャクチャ臭えんだぞ!
 だけどな、親はそんなこと全然気にしねえ。何故だかわかるか? 親だって子供に洗ってもらってるからだよ。心っていうおムツをな!
 親と子供は一緒に居なきゃいけねえんだッ! その邪魔をするようなヤツは、たとえ神様仏様が許したって、このオレ様が許さねェ!
 さァ答えろ!天国に行きてえか、地獄に行きてえか!」


 童童(渕上孔貴)なる赤子の世話をしたことから、キャラバンは純純(吉武怜朗)と明明(松尾瑠璃)という子供の兄妹の家に招かれる。
 その町には全く大人がおらず、町中の子供たちは地産業の刺繍(ししゅう)によって生計を立てていた。「乗り掛かった船」と悟空は家事を一手に引き受け、大わらわ。泣き止まぬ童童のために、天上界の果実・迦乳果(かちちか=女性の双の乳房の形をしていて、その汁は母乳に酷似している)を振る舞う大サービス。


 そんな時、悟空らは純純の友人の雲呑(わんたん/松岡和暉)に導かれ、大地下牢に囚われているこの町の大人たちの姿を目にする。この地では、親と子が同居することで子供に発症する“親子病”なる奇病のせいで、親だけを地下牢に隔離しているというのだ。
 主治医で、この牢獄を取り仕切っているのは紅蟻(こうぎ)夫人(高橋ひとみ)なる怪人物であった。


 しかし、紅蟻の本当の目的は、疫病の噂で人心を惑わして生殺与奪の権を握り、大規模な奴隷牧場を設えることだった。この一件も紅蟻が、親に捨てられた過去を持つ純純を手懐け、仲間の子供たちに密かに毒を盛らせることで成就させた謀(はかりごと)であったのだ。


 悟空は、寂しさ故に心の荒んでいる純純を見過ごしに出来ず、天竺行きを諦め、純純ら三人の父親になることを三蔵らに宣言。悟空は純純らに子供らしい余暇を与えてやるべく、家事一切を務め、刺繍の技術まで習得しようとするなど、昼夜を分かたぬ努力を続ける。そんな彼の人柄に触れ、兄妹の心は次第に軟化してゆく。


 そんなとき、紅蟻は口封じに純純に件の毒を飲ませて彼を瀕死の状態に追い込む。
 怒り心頭に発したキャラバンは、紅蟻と奴隷商人との密談の場に殴り込みをかける。紅蟻の両手首から放たれる溶解性の酸に苦しみつつも、彼女の一瞬の隙を衝き、見事キャラバンは奴隷組織を壊滅させる。



 紅蟻夫人の作戦というのは、こうして改めて粗筋を書いてみても面倒で、リスクだけは大きいなあ、とシミジミ思う。
 “奴隷牧場”というネーミングはキャッチーで、おどろおどろしいのだけども、要は疫病の恐怖というイメージ戦略のみで、無学な人々を牢に入れているというだけで、作戦としては実に危うい。しかも、子供に悪事の片棒を担がせるなどしていて、露見する危険はかなり高いのではないか。


 官吏の目も届かぬような小さな町のこと。大人数で力づくで攫っていけばいいような気がするのだが……。
 前出の妖泉大王、霊感大王、後に出てくる混世魔王や犬魔将軍あたりも、実に効率性の悪い計画の立て方をしている。


 多分、脚本を担当された坂元氏はイメージの中に、“子供だけしかいない町の目抜き通り”や“地下に建造された大牢獄”みたいなものがまず先に浮かび、それありきでシナリオを執筆されたのではなかろうか。


 こういう、先に自分のイメージの断片だけで脚本や台本を書き始め、ヤマ場やラストでその責任を取らないライターさん、昨今多いのです。
 先頃、上戸彩観月ありさがCA(客室乗務員)を演じるというドラマが続いたのだが(編註:前者は『アテンションプリーズ』(06年春季)、後者は『CAとお呼びっ!』(06年夏季)、その2本とも序盤に「CAなんて、所詮空のお茶汲みじゃない!」というドラマの根底を揺るがすような(笑)凄い台詞があった。それでその台詞を覆すような場面や台詞がその回にあるかというと何もないワケで、なんかヒロインが普通にニッコリ笑って終わったりしている(笑)。


 加えてそれらの視聴率も上々で、翌年の実際のCAへの就職希望者が増えたりしている(笑)。どういうコト?
 80年代半ば位迄の多くのTVドラマは、少なくとも当初掲げた命題くらいはクリアしていたし、そうしようと努力もしていたと思うのだが……。


 余談で、本話題名の“子供”で思い出したのだが、児童向けドラマの『俺はあばれはっちゃく('79)』(あばれはっちゃくシリーズ第1弾)のワンエピソードで、本家『西遊記('78)』と見紛うシーンが放映されたことがある。これは、『俺は〜』の吉田友紀、早瀬優香子ら出演者の子役たちが西遊記の各キャラに扮するというイマージュでのこと。
 『俺は〜』と『西遊記』が同じ製作会社(国際放映)であるため、本家が使うロケ地(東京・四谷の中国風の寺院らしい)、大道具、衣装(妖怪の着ぐるみまで!)を用いての本格的な撮影が可能になったそうである……って、スイマセン。どうでもいいですね、そんなこと。


【その他のゲスト】
菅原卓磨・須永祥之(老子の配下) 光岡湧太郎 堂ノ脇恭子 横溝たかゆき 長島弘宣 相原笑生


(了)
(特撮同人誌『仮面特攻隊2008年号』(07年12月30日発行予定)『西遊記』2006年版・全話評より抜粋)


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