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ウルトラマンタロウ2話「その時ウルトラの母は」


「ウルトラマンタロウ 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


(脚本・田口成光 監督・山際永三 特殊技術・山本正孝)

ウルトラマンタロウ』再評価・全話評! 連載開始!

(CSファミリー劇場ウルトラマンタロウ』放映・連動(?)連載!)
(文・久保達也)
(07年7月執筆)


 体を液体化して移動し、長い舌で人間をからめ取って食べてしまう液体大怪獣コスモリキッド!
 「なんでも飲みこむ穴」の中に潜んでニワトリなどの小動物を食べ、破壊されても小さな破片から再生する能力を持つ、再生怪獣ライブキング!
 今回登場するのはこの二大怪獣である!


 本来なら世にもおぞましい怪奇話が仕上がるところであるが、われらが『タロウ』ではそんな芸のないことはやらないのである。
 個人的にも人間を常食とする怪獣なんぞはあまり好みではないところなのであるが、本作ではそれを描いてはいても、まるで嫌悪の情を感じさせないのだ。
 今回光太郎やさおりの青春ドラマ的な描写や、ZAT隊員たちのコミカルな描写が中心となっているのも、そうした印象を薄くするための計算づくめの演出なのである!


 開幕一番、ボクシングジムでいかにも歴戦の王者といった風格の相手に挑戦している光太郎! 白のタンクトップに白のパンツというスタイルが、さわやかな彼にはなんとも似合う!
 ほとんど防戦一方の相手にひたすらパンチの嵐を浴びせる光太郎だが、顔にパンチを一発浴びてダウン。
 マウスピースを「ペッ!」と吐き出し、「ちきしょう!」と再び向かっていく姿が、彼の負けん気の強さを象徴して実に良いが、それも束の間、腹にパンチを一発浴びせられただけでノックダウンしてしまう……


光太郎「くそっ! 今度こそ俺が勝ってみせるぞ!」


 光太郎を応援していたものの、「もうやめた方がいいよ」と声をかける健一少年と、


光太郎「健一くんと約束したじゃないか。絶対勝ってみせるって!」
健一「でもさあ」
光太郎「俺は約束したことは必ず守るんだ! さあ、げんまんだ」


 と云って「ゆびきりげんまん」を交わす光太郎はどこまでも爽やか! ひたすらまっすぐで誠実な人柄がにじみ出ており、視聴者の好感度アップうけあいである。
 また健一が無鉄砲な光太郎に対して不安気な表情を浮かべながらも(健一の方が大人だ・笑)、げんまんをしながら笑顔へと変わっていく描写も、二人の絆の強さを象徴しており、のちの場面の伏線ともなっている。
 冒頭からここまで爽やかな場面が描かれたのも、続いて世にもおぞましい場面を描かねばならないからである。光太郎と健一のいる部屋の窓ガラスに大粒の雨……


 場面は転換して夜の特撮場面となるが、ここでもちゃんと雨を降らせており、本編とのつながりが見事である。
 強い雨が降りしきる多摩川源流の渓谷に深い霧が立ちこめ、その中からコスモリキッドが出現した!
 頭部には前方に向かって伸びる二本の角、鼻先にも一本の角を備え、後頭部にも後方に向かって伸びる一本角という、鋭角的な頭から尖った何枚もの背びれをぶら下げたとんがりまくりのデザインは、その凶暴で凶悪な性質を見事に体現し(一方、腰のあたりからしっぽにかけてはタコの吸盤状のような丸い装飾が多数施され、バランスを保っている)全身ブルーで塗装されているのも液体化する能力を象徴した、まさに設定に忠実な秀逸なデザインであり、ソフビ人形などの立体化の機会が皆無なのが惜しまれる(バンダイさん、「ウルトラ怪獣シリーズ」で出して下さいっ!)。


 ひと仕事終え、酒盛りを楽しむ工事現場の作業員たちをコスモリキッドが襲う!
 裸電球がぶらさがる小屋の戸をブチ破り、実物大の大きなピンク色の舌が作業員たちをからめ取ってしまうのだ! これは怪獣の着ぐるみがミニチュアの人形を舌でからめ取るだけでは決して味わうことのできない、圧倒的な恐怖感が表現されているのである!
 さらにこれと並行し、ミニチュアの小屋(机の上には一升ビンまでもが配置されている!)を作業員の目線で内部から映し、着ぐるみのコスモリキッドの頭部が小屋をブチ破り、口から舌を伸ばすさまを交互に描いているので効果も倍増!
 作業員を食いつくしただけでは飽きたらず、山を崩して小屋を潰し、爆発炎上させてしまうコスモリキッド!


 実におぞましい場面であるが、このあとすぐに赤いジャージ姿の光太郎が、


光太郎「まだまだ負けねえぞ〜。ワンツ、ワンツ〜!」


 などとつぶやきながら、橋の上でシャドーボクシングするあまりに爽やかな描写につながっているので、後味の悪い印象を残していないところが実に見事なのである!
 おやつのポップコーンを多摩川沿いの土手にあるほら穴に投げ入れる健一と友達。するとほら穴から世にも不気味な声が聞こえ、空き袋を入れると浮き上がってきた!
 通りかかった光太郎にこれを告げる健一。だが本部から非常招集の連絡が入り、そそくさとその場を去ってしまった。むくれる健一だが、これがあとに出てくる、事件解決の糸口を描く重要な場面の伏線となっているのである!


 前夜の怪事件について作戦会議を開くZAT。単なる山崩れの可能性も示唆され(だからコスモリキッドが作業員を食うだけでなく、小屋を潰した描写が活きる!)……


朝日奈隊長「あ〜そこでだ、夕べ、カレー食べた者いるか?」


「ハイ!」と元気よく挙手する南原、そして光太郎。


朝日奈隊長「そうか。私も夕べカレーを食べた。よし、東と南原に調査を命じる!」


 こうした場面を見てすぐに「惨劇のあとに防衛組織がなにふざけてんだ!」だとか、「なんちゅうテキトーな人選の仕方や!」(確かにそうなのだが・爆)などと感情的になってしまう頭の堅い人が結構いたりする。
 だがちょっと考えてみてほしい。ここまでのウルトラシリーズにおいて、怪獣が人間を食う場面を直接描いたのは『ウルトラマンA(エース)』(72年)第16話『夏の怪奇シリーズ 怪談・牛神男(うしがみおとこ)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060903/p1)くらいのものであり、その際も牛神超獣カウラがミニチュアの人形を口にくわえるという程度の描写であった。
 だが今回はもっと迫真性をともなうものであり、『仮面ライダー』(71年)などの東映変身ヒーロー作品の印象に近い怪奇描写なのである。


 あ〜そこでだ(笑)。その『仮面ライダー』において、ショッカー怪人による殺人事件のあとには、立花藤兵衛やライダーガールズの面々によるコミカルな場面がよく描かれていたものだった。
 一例をあげるなら、第17話『リングの死闘 倒せ! ピラザウルス』において、ショッカー怪人・ピラザウルスがゴーゴー喫茶で踊る若者たちを毒ガスで抹殺したあと、電話ボックスの中にいたために難を逃れたライダーガールズのマリ(演・山本リンダ)とユリ(演・沖わか子)が、事態を知らずに「マスター、ジュースどんぶり一杯〜!」(どんな注文や・笑)などと呑気にマスターに声をかけるや、白骨化していたことに失神する……などという描写がよくあり、殺伐とした印象を和らげることに貢献していたのである。こういうのを絶妙なバランス感覚という。
 後期のゲルショッカー編に登場し、怪事件の続発にもかかわらず、少年仮面ライダー隊本部でなぜか菓子ばかり食べていた(スポンサーだった明治製菓に対する配慮か・笑)チョコ(演・ミミー→ミミ萩原)に至るまで、ライダーガールズたちは単なる人質役(笑)ばかりではなく、重要な任務を負わされていたのである!


 所詮「子供向け」の番組なのだから、あまりにもこわがらせるばかりではだめなのである。筆者の経験から云わせてもらえば、旧1号ライダー編は怪奇描写ばかりでコミカルな描写がほぼ皆無だったから当時低迷したのである(筆者は世代人でありながらも途中でリタイヤし、視聴を再開したのは新1号ライダー編の中盤になってからだった)。怪獣に代わるスペースビーストが登場し、やたらと人間を食う場面を描いた『ウルトラマンネクサス』(04年)もまた然り。コミカル描写どころか陰欝な描写ばかりで……(以下略。書かんでもわかるだろう・笑)。
 なんといってもマニアがふりかざした「怪獣恐怖論」に基づいて製作されたがために、観客動員がジリ貧を遂げ、『ゴジラ ファイナル ウォーズ』(04年・東宝http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060304/p1)をもって打ち切りになり、再開がほぼ絶望的と思えるほどに人気が凋落してしまった東宝のミレニアム・ゴジラシリーズが立派に(笑)それを証明しているではないか! ここに至ってもジャンル作品におけるコミカル・マンガチックな描写に異論をはさむ者がいるのは何をかいわんやである。ましてや積極的に作品内でマンガチックな演出がなされた『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)は大きな話題となったわけだし、少しは発想の転換をしたらどうなのか?


 それにしても、北島と西田が夕べカレーを食べたことを必死で否定する様子を見る限り、朝日奈隊長はカレーを食べた人間にしょっちゅう調査を命じているみたいだな(笑)。


 そしてコミカルな要素ばかりではなく、高学年の児童、特に女子児童に特撮ヒーロー作品を観てもらおうと思えば淡いラブ・ロマンス的要素も必要となってくる。前作『A』における、主人公・北斗星司と南夕子の「友達以上恋人未満」の関係が、スタッフの想像をはるかに超えるほど、女子児童に強くアピールしたことを鑑み、『タロウ』においては光太郎とさおりの関係をもっと深いものとして描こうとした様子もうかがえる。
 青いタンクトップ(光太郎がやたらと肌を露出することが多いのも女子児童の視線を意識してか?・笑)に赤ジャージ姿の光太郎が白鳥家の玄関先で縄跳びをしていると、さおりが出てきて光太郎の横で一緒に縄跳びを始める。


光太郎「きれいだね〜」
さおり「ええ(左胸に飾った赤い花に目をやり)、きのう買ってきたの」
光太郎「いやあ、君のことだよ!」


 照れて思わずうつむくさおり。
 正直この場面は前後のつながりと考え合わせてもあまり意味はない。突然縄跳びを始めるさおりも不自然ではある(まあ、好きな光太郎のそばで同じことをしたかったのかもしれんが)。だが、これがあるのとないのとでは視聴者に与える印象が全然異なるのである。
 確かに怪獣の話をさておいて、二人の「あま〜い」関係を延々と描かれても困ってしまうのであるが、遮らない程度に、これくらいにスパイスとして添えるのならばいっこうにかまわず、これを指して「怪獣と人間のドラマが分離して進む奇妙な現象」などと評するのは誤りであろう。


 もっとも健一の様子が少し変であることを光太郎に話しながら縄跳びをするさおりを真横から撮らえ、「ブルンブルン」と揺れる胸を延々と映し出す描写は、『A』第4話『3億年超獣出現!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060528/p1)において、ワンピース姿のTAC(タック)の美川のり子隊員を縄で縛ったり、第9話『超獣10万匹! 奇襲計画』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060708/p1)に登場したじゃじゃ馬カメラマン・鮫島純子を小憎らしくも可愛い女性として描き、第21話『天女の幻を見た!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061009/p1)では異次元人ヤプールによって超獣に変えられた天女アプラサの悲劇を、そして第28話『さようなら夕子よ、月の妹よ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061111/p1)では地球を去る南夕子を美しく描写した、女性を魅力的に描くことにかけては天下一品の山際永三監督の作家性を象徴するものである(つーか単なる趣味か?・笑)。


 ちなみに同じく氏が監督した『帰ってきたウルトラマン』(71年)第16話『大怪鳥テロチルスの謎』、第17話『怪鳥テロチルス 東京大空爆』、第23話『暗黒怪獣 星を吐け!』なんかも、怪獣よりもゲスト女性の印象が強かったりするので時間があれば再チェックされたし。


 自室でふさぎこむ健一に対し、


光太郎「君と俺とは親友じゃないか!」


 と声をかける光太郎(冒頭の「げんまん」がここで活きる!)。
 だがなんでも食べてしまう不思議な穴を発見したとき、光太郎は本部に呼び出され、健一の話を聞かずにそそくさと去ってしまっていた。「君と俺とは親友じゃないか!」が、ここではまったく説得力を失うのである!
 「だめだよ。大人は信用できないよ」と嘆く健一から、光太郎はやっとの思いで健一からショックを受けた理由を聞き出す。
 多摩川から突然出現した怪獣に釣り人が食べられてしまう現場を目撃したというのだ。健一が描いた怪獣の想像図は光太郎が南原との捜索中に目撃した奴と同一であり、怪獣が吐き出して健一の足元に落ちてきたロケット弾は、光太郎が怪獣に打ちこんだものであった!


 再度作戦会議を開くZAT。ん? 荒垣副隊長はカレーを食べ(これが夕べなら副隊長が調査を命じられた?・笑)、机上のおにぎりにまで手を伸ばす。森山いずみ隊員がお茶を手渡し、北島や南原も立っておにぎりをほおばりながら怪獣撃退の策を思案する……


 またまた「そんな大事な話をメシを食いながら!」などと非難する人も多かろうが、ホームドラマなんかでは大事な場面は食事中の際に描かれることが多く、父と息子がケンカを始めて母が仲裁……なんて展開になるものだ。「ウルトラはホームドラマではない!」と云うだろうが、ZATがアットホームな防衛チームであると強調するには最もうってつけの演出であり、半ば確信犯的演出なのだ。
 そして作戦室でメシを食うのは緊急事態の発生に備え、直ちに出動できるようにするためとも解釈でき、究極のリアルな描写であるともいえる。『ウルトラマン』(66年)第34話『空の贈り物』でも科学特捜隊のムラマツ・キャップ、ハヤタ、アラシ隊員が作戦室で並んでカレー食ってたじゃん(笑・『ウルトラセブン』(67年)第8話『狙われた街』における、古ぼけたアパートの一室の描写など、こうした生活感を巧みに作品に折りこんだ点については、筆者は故・実相寺昭雄監督を一応評価している)。


 だがZATは呑気にメシを食っているわけではない。「直ちに出動しましょう!」と息巻く荒垣に対し、お茶を飲みながら「まあ慌てなさんな」「急(せ)くなよ〜」と瓢々としている朝日奈隊長と(この対比が絶妙!)、確かにのんびりとしたムードではあるものの、コスモリキッドを多摩川から追い出す作戦を検討するうちに、西田が「川の中に電気を流せばいいんですよ!」と発言、南原が「西田得意の放電作戦だろ」と反応する。
 これはもちろん第1話における、ラビットパンダでパトロール中の西田が、アストロモンスに襲われた際に放電攻撃を加えて追い払った件を指してのもの! こうした件をのちの回で言及することはあまりなく、特筆に値する!


 「生物はすべからず強い電気ショックに反応を示す!」との朝日奈隊長の言のもとに、ZATによる「放電作戦」が開始される! これがミニチュアによる表現ではなく、大きな電極板をZATの隊員のみならず、黄色のヘルメットにカーキ色の制服を着た東京電力(笑)の作業員も数人混ざり、重そうに抱えて多摩川に運び、投げ入れる描写が絶妙なリアル感を醸し出す!
 多摩川に流された電気に反応を示し、川面を波打たせ、青い水しぶきをあげながらコスモリキッドが出現! 電気ショックを与えられたコスモリキッドがネガ像のような、反転画像で表現されるのがなんとも素敵だ!
 だがコスモリキッドはこれに逆上、地上から攻撃を加えるZATに突進を始めた! 逃げ遅れた北島に迫るコスモリキッドはオープン撮影であおりで撮らえられ、さらに弾着までもが加えられており、絶妙な緊迫感を醸し出す!
 北島は木によじ登って逃れようとするが、それを実物大の巨大な舌がベロ〜リと舐め回す描写はコミカルさと恐怖感が一体となった名カット! さらに木に舌を巻きつけたコスモリキッドは木を根こそぎひっこ抜き、北島をブルンブルンと投げ回す! そして助けようとした西田にもコスモリキッドの巨大な足が迫る!


光太郎「よし! ウルトラマンタロウになるときが来たぞ!」


 ここまでピンチをあおりたてるからこそ、このセリフが実に効果的で絶妙なかっこよさを醸し出すのだ! 左腕のバッジを右手に取り、右腕を水平に伸ばしたあと、バッジを額にかざした光太郎は「勝負!」と叫んでタロウバッジを宙高く掲げた! 健一と約束した「必ず勝ってみせる!」を実現しようとするかのように!
 第1話では描かれなかった変身ポーズ初のお披露目である! ウルトラ兄弟の中で最もオーバーアクションの派手な印象の変身ポーズ! 当時(73年)乱立する同種番組の中で勝ち残ろうとするには、視聴者に大きなインパクトを与える必要があったのだ。これくらいの華々しい演出は当然だったわけだが、それにしても近年のヒーロー作品の変身シーンは、これに比べるとちとおとなしいのでは?


 ウルトラマンタロウ登場! コスモリキッドに放り投げられた北島と西田をその手でガッチリと受けとめた! タロウがこぶしを開くと、その手の上に北島と西田が無事な姿を見せる合成カットがなんとも芸コマ!
 突進したコスモリキッドを払いのけ、右手でパンチ、手を組んで後頭部を強打するなど、猛攻を見せるタロウ。かなわぬと見たコスモリキッドが逃げにかかるや、川添いの土手に空いた「なんでも飲みこむ穴」に足を突っこんでしまい、抜けなくなってしまう!


朝日奈「今だ!」


 コンドル1号に登場した朝日奈隊長がすかさずコスモリキッドに攻撃を加える! この華麗なる連携プレー! 能ある鷹は爪を隠す。普段は瓢々としているのにキメるときはキメる隊長として、『ウルトラマンメビウス』のサコミズ隊長の元祖とでも呼ぶべき人物である!


タロウ「ブレスレット、ランサー!」


 左腕のタロウブレスレットを小型の槍に変形させ、タロウはそれをコスモリキッドの首に放った!
 全身が緑色になり、穴の中に消滅するコスモリキッド。


 事件解決と見て空へと飛行するタロウの飛び人形の下で、不気味にうごめく穴、そして夜になるや、穴からピンク状の光る物体が盛り上がり、不可思議な叫び声がわきあがる描写が不吉な前兆として実に効果的だが、穴がうごめくさまは本当にどうやって撮影したのだろうか? CGのないアナログ撮影としては限界に迫ったものである!



 白鳥家の愛犬・柴犬のポチを連れ、シャドーボクシングをしながら走る光太郎と健一。するとポチが例の穴におっこちてしまい、助けようとした光太郎までもが中におっこちてしまった!
 健一を激しい地響きが襲い、地下から再生怪獣ライブキングが姿を現した!(オープン撮影で地下から顔をせり出してくる描写が実に効果的だが、背景に見えるビルは実物か?)
 ガマガエルが巨大化したかのような、ブツブツが全身に点在した緑色の巨体。頭上、背中、そして丸い頭部の周囲に多数の丸いコブをぶら下げ(鋭角的なフォルムのコスモリキッドとの対比の妙が良い!)をぶら下げ、赤い腹が大きく膨らんだ醜悪な怪獣だ!


 逃れようとする健一が転げ落ちる土手の背景に、迫り来るライブキングを合成した大胆なカットは、『ウルトラマン』第4話『大爆発5秒前』における、ホシノ少年が転げ落ちる土手の背景に、海底原人ラゴンを合成した場面を彷彿とさせる、緊迫感あふれる名場面である!


 駆けつけたZATが携帯型のX線レーダーのパラボラアンテナをライブキングに向け、スクリーンのスイッチを入れると、影絵となった光太郎がライブキングの腹の中でピョンピョンと飛び跳ねていた! どことなく『ウルトラセブン』第11話『魔の山へ飛べ』において、宇宙野人ワイルド星人の生命カメラの中のフィルムを、ウルトラ警備隊のアマギ隊員が映写した際、モロボシ・ダンがネガ像となって動いていた場面を彷彿とさせる描写でもある。
 ライブキングの腹の中から光太郎を救出する方法はないのか? 大量の下剤を飲ませる案(それじゃあ光太郎があんまりだ!・笑)も検討されるが、


南原「怪獣のどてっ腹に穴を開けたらどうなんですかねえ?」


 が採用され、「高圧パイプ作戦」が実行された!


 西田が搭乗したコンドル1号からライブキングの腹にパイプが打ち込まれ、中から勢いよく緑色の液体が噴出した!
 このままいけば光太郎も出てくるかと思いきや、なんとライブキングは打ちこまれたパイプをひっこ抜いてしまった!
 さらに緑色の液体は本来の姿であるコスモリキッドへと戻り、ライブキングを相手に暴れ始めてしまった! 光太郎を救出しようとして余計に危機を大きくしてしまうという、あまりの皮肉の描き方が秀逸である!


光太郎「俺には健一くんとの約束が残っているんだ!」


 ZAT隊員として、ウルトラマンタロウとしての使命を果たすためではなく、健一との約束を果たすために、ここで死ぬわけにはいかないと、ライブキングの腹の中をどつきまわし、声を枯らして叫ぶ光太郎! そして……


健一「畜生! ポチを返せ! 光太郎さんを返せ!」


 けなげにライブキングに向かって叫ぶ健一少年は、ラジコン飛行機を操縦してライブキングを急襲する!


ライブキング「ヘ、ヘ〜クションッ!」


 ラジコン飛行機を口の中にひっかけたライブキングは、口から猛烈な火炎を放った! 河岸のタンク群が次々に爆発、炎上する!


 今回の特撮舞台は多摩川であるが、付近にはビルや民家のミニチュアが多数用意され、交通公園と思われる公園には道路標識が、物干し竿にはなんと洗濯物が多数ブラ下がっているという芸の細かさには脱帽!
 その中で繰り広げられるコスモリキッドとライブキングの派手なドツキあいは、まさにこれぞ怪獣映画の趣である!


 コミカルな味わいの中で迫真の怪獣対決を描いた『キングコング対ゴジラ』(62年・東宝。最近の若い人はこういうのをちゃんと観てるか〜?)をも彷彿とさせ(思えばZATの作戦の数々も「100万ボルト作戦」「コング輸送作戦」「ゴジラ電撃B作戦」といった、自衛隊の対怪獣作戦を思わせるね)、そればかりか光太郎と健一の強い絆を最大の危機に向けて収束させていくという構図は、ドラマの展開としても実にみごたえがあるというものだ。


 そして! タロウ最大の危機に、ウルトラの星からウルトラの母が駆けつけるさまを描いてこの回は幕となる。この時点でもまだスーツが完成していなかったのか、今回は飛行人形のみの登場だが、地球に向かうウルトラの母を正面から撮らえたカット、宇宙空間の闇の中で、両目および額に二対に備わった赤い星を光らせて進むさまは、正直スーツよりもかっこいいぞ(笑)。



<こだわりコーナー>


*コスモリキッドに食われる釣り人を演じたのは、断定は避けたいのだが、お姿から拝見して第2期ウルトラ怪獣の造形を担当した開米プロの代表・開米栄三氏ではなかろうか? 実物大のコスモリキッドの舌の操演テストを自らの身をもって行ったのかと?
 いずれにせよ「わぁ〜怪獣だぁ〜!」「助けてくれ〜」のセリフがあまりに棒読みなので(笑)、役者ではなく、スタッフの誰かの特別出演かと思われるのだが。


*その様子を目撃した健一が描いたコスモリキッドの絵、あまり実物に似ておらず(笑)、どちらかといえば『帰ってきたウルトラマン』第13話『津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ』、第14話『二大怪獣の恐怖 東京大竜巻』に登場した、竜巻怪獣シーゴラスに近い印象である。
 だからこれを見た光太郎が「俺が見たのと同じ奴だ!」と叫ぶのには、やや違和感があるのだが(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2008年号』(07年12月29日発行)『ウルトラマンタロウ』再評価・全話評大特集より抜粋)


[関連記事] 〜ウルトラの母・登場編!

ウルトラマンメビウス序盤10話! 総括5 〜#9「復讐の鎧」、#10「GUYSの誇り」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060706/p1