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ウルトラマンタロウ4話「大海亀怪獣東京を襲う!」 ~マイルドでも怪奇! 2大怪獣登場の前編!

(CSファミリー劇場ウルトラマンタロウ』放映・連動(?)連載!)
『ウルトラマンタロウ』1話「ウルトラの母は太陽のように」 ~人物像・超獣より強い大怪獣・母・入隊・ヒロイン・5兄弟の正統タロウ誕生を漏れなく描いた第1話!
『ウルトラマンタロウ』2話「その時ウルトラの母は」 ~怪奇性・コミカル性・基本設定紹介の鼎立達成!
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「ウルトラマンタロウ 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


ウルトラマンタロウ』4話「大海亀怪獣東京を襲う!」 ~マイルドでも怪奇! 2大怪獣登場の前編!

(脚本・上原正三 監督・吉野安雄 特殊技術・鈴木清)
(文・久保達也)
(2007年10月執筆)


 海底火山の爆発でできたオロン島。その深い地層に埋もれていた2億年前の「古代亀」の「卵」が地殻変動で地上に出現して、その中から巨大亀怪獣が誕生した。島の付近の人々から2匹の巨大亀はキングトータス・クイントータスと命名されて、巨大亀夫婦は平和に暮らしていた。
 しかし、悪徳興業師の黒崎がマリンランドで「怪獣ショー」を開催するために結成した「トータス捕獲隊」によって、クイントータスは産卵中のところを襲われて、生み落とした卵とともに日本へ連れていかれる……


 第2話『その時ウルトラの母は』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071209/p1)と第3話『ウルトラの母はいつまでも』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071216/p1)の前後編に続けて、この第4話と第5話も前後編であった。前後編を連発することで、70年代前半の猛烈を極めた変身ブーム下で少しでも目立とうとしてスペシャル感を増そうとするような目論見もあったのだろう。


●悪徳ブローカーによって南海の孤島・インファント島から連れてこられた身長30センチの双子の姉妹・小美人が歌う「モスラの歌」で呼び出された巨大蛾怪獣モスラが、双子の小美人を救うがために東京やニューカーク・シティにて破壊の限りを尽くした怪獣映画『モスラ』(61年・東宝


●日本に「南海の楽園」をつくるために、南太平洋のキャサリン諸島から連れてこられた子供の怪獣を捜しに来た夫婦怪獣によって、「熱海(あたみ)」や「京浜(けいひん)工業地帯」が炎の海となった怪獣映画『大巨獣ガッパ』(67年・日活)


●それらの作品の元ネタとなっている、サーカスの見せものにするためにロンドンに連れてこられた怪獣の子供を取り戻すため、NATO(ナトー)の猛攻をものともせずに、親怪獣がテムズ川タワーブリッジを破壊してロンドンに上陸する映画『怪獣ゴルゴ』(59年・イギリスのキング・ブラザーズ・プロダクションズ製作。61年日本公開。配給・MGM)


 一個人の欲望が大勢の人々を不幸のドン底へと叩き落とすというストーリー展開は、たしかに怪獣映画の王道パターンなのだ(今の若い特撮マニアたちは上記の古典作品群をちゃんと観てくれていますか?・笑) 本話も一応それらを踏襲している。


 だが、モスラにしろガッパにしろゴルゴにしろ、東京や熱海やロンドンを徹底的に破壊していた行為は、小美人や自分の子供を取り戻す過程において、たまたまジャマな街がそびえていたから「破壊」せざるを得なかっただけであった。自分にとっての大事な存在を連れ去ってしまった人間に対する「復讐」という意味合いは、これらの都市破壊描写からはあまり感じられないのである(それが悪いという意味ではない)。


 それに対して、本話のキングトータスとクイントータスの場合は、ハッキリと「復讐」の意味合いが濃厚なのである。本作の防衛組織・ZAT(ザット)の隊員である南原隊員が「スッポンでも一度食いついたら雷が鳴るまで離れない」、北島隊員が「鶴は千年、亀は万年」と称していたように、今回は「亀」が実に「執念深い生きもの」として位置づけられているのだ。


 「亀」の怪獣といえば、真っ先に思い浮かぶ大映怪獣のガメラや、『ウルトラQ』(66年)第6話『育てよ! カメ』に登場した大亀ガメロンなど、そのユーモラスで愛敬もあるスタイルから、どちらかといえば善玉怪獣というイメージが強い。


 今回のキングトータスとクイントータスも基本的には善玉怪獣なのである。それと同時に、先述したような「執念深さ」を象徴するモチーフとしても「亀」が選ばれているのかもしれない。『帰ってきたウルトラマン』(71年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230402/p1)第15話『怪獣少年の復讐』に登場するのが、やはり「亀」をモチーフにした吸電怪獣エレドータスであったことも、製作者側の無意識による産物だったのかもしれないが、同様の理由があったのかもしれない。


 モスラやガッパは小美人や子供を連れ去った連中に対して、自らの手でトドメを刺すようなことはしなかった。逆に関係のない人々ばかりをエラい目に遭わせていた(笑)。しかし、クイントータスは卵を取り戻すだけでは飽きたらず、卵を奪った人間たちを次々に、しかも確実に殺していくのだ(しかし、無関係な人間に対してはまったく危害を加えていない)。


 このあたりは、『ウルトラセブン』(67年)のNG台本となった『三百年間の復讐』、『怪奇大作戦』(68年)第15話『24年目の復讐』、『帰ってきたウルトラマン』第12話『怪獣シュガロンの復讐』、『ウルトラマンA(エース)』(72年)第17話『ほたるケ原の鬼女(きじょ)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070904/p1)、同作の第22話『復讐鬼ヤプール』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071010/p1)などを執筆した上原正三の真骨頂発揮といえる部分なのかもしれない。しかし、「人間の複雑な恨み」と「動物(怪獣)の単純な恨み」とでは同じ俎上に上げるのは憚(はばか)られるものもある(笑)。けれど、この怪獣による「恨み」の要素が今回の前後編を通しての重要なキーポイントとなっている。


 捕獲したクイントータスを輸送する第四さくら丸の船上において、黒崎は船員たちにクイントータスの卵のスープをふるまった。濁った褐色のスープなので全然うまそうに見えないが(笑)、実にうまそうに飲んでいる船員や捕獲隊のメンバーと、クイントータスの怪しく光る目をカットバックさせる演出が、バックに流れる不気味なBGM、そして夜空に浮かぶ美しい満月を遮るように黒雲が流れる描写と渾然一体となって、不吉な予兆として最大の効果を発揮する!


 冷徹一途だった捕獲隊のメンバー・黒崎は、「相手は畜生だ。撃て!」と命じたり、第4さくら丸を沈没から救ったZATに「よけいなことをした!」と怒ってみたり、「亀のたたり」を「バカバカしい!」と一喝し、白井による佐久間が喰われたという話を「バカなことを云うな!」とまったく信じない姿など、後述する白井との対比が絶妙で、これにより捕獲隊のメンバーもお団子状態にならずに描き分けができている。
 いや、ホントに黒崎が人間らしい一面を見せる場面って、クイントータスの捕獲に成功したときと、卵を掘り出したときと、第4さくら丸の船上で船員たちと酒盛りをしながら「あれならマリンランドの生簀(いけす)に放りこんでおくだけで日本中、いや世界中から見物人が押しかける。これに芸を仕込めば鬼に金棒!」などと喜んでいるときだけである。それはそれでキャラクターの描き分けなのだ。



 神津島(こうづしま)南東6キロの地点で、クイントータスは麻酔が切れて暴れ出す!


 光太郎と北島隊員が搭乗するZATの戦闘機・コンドル1号のミサイル攻撃を受けるも、救出に来たキングトータスが海中から網を破ったことでクイントータスは脱出することに成功した!


 ここから世にもおぞましい「亀のたたり」が始まるのだ!


 クイントータスの卵のスープを飲んだ船員や捕獲隊のメンバーたちは、首や腕に紫色の亀甲模様のじんましんができてしまった。現在の視点で見るとかなり大ざっぱなメイクではあるものの、見ているだけでこちらもカユくなりそうなほどに、役者たちが掻きむしる演技でカバーができている。


 クイントータスを逃したものの、捕獲隊は4個の卵を持ち帰っていた。それを孵化させ、「1匹で1億円、4匹で4億円」などと億万長者を夢見る彼らを「亀のたたり」が容赦なく襲うのだ!


 「これでいよいよ大金持ちですね。今夜は前祝いにおおいに飲みましょうや」と浮かれる佐久間を助手席に乗せ、白井が運転する自動車の前方に不気味に光る赤い目!


 思わず急停車し、自動車を降りたふたりが振り返るや、閃光のあとにフロントガラスが砕け散り、自動車が爆発炎上!


 慌てて逃げるふたりだったが、佐久間は長い舌にからめ取られて、何者かの口に食べられてしまった!


 ここに至るまでの怪奇描写は実に絶妙であり、第2話や第3話の怪奇描写をはるかに超えている! ちなみに、イボイボから判断して、長い舌の造形物は、第2話で用意された液体大怪獣コスモリキッドの実物大の舌の流用かと思われる。


 その佐久間が食われた事件の現場検証シーン。東京で起きた事件のはずなのに、第4さくら丸が襲われた現場から6キロの地点としてロケが行われた神津島でそのまま撮影したかのような、岩場がそびえる海岸沿いの場所である。
 大人のマニア目線で見てしまうと、おそらく東京ではないと思われる。まぁ、「あの岩が佐久間を喰っちまったんですよ!」という白井の証言を実感させるような、それにふさわしいロケ場所が都内になかったか、時間や予算の関係でロケ地でのまとめ撮りにしたのだろう。だから、細かいところが気になるマニアの皆さんも目をつむろう(笑)。


 捕獲隊のメンバー・白井を演じたのは、前作『ウルトラマンA(エース)』第39話『セブンの命! エースの命!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070129/p1)でも、同作の第3クールのレギュラーであった梅津ダン少年の死んだはずの叔父・三郎(実は火炎人ファイヤー星人の変身した姿)を演じた片岡五郎であった。
 クイントータスを捕獲する際、「見逃してくれって頼んでますよ」と躊躇したり、南原の「亀のたたり」に大きく反応したり、「信じてくださいよ! 佐久間が喰われちまったんだよ!」と泣いて訴えるなど、終始オドオドした様子を見せており、小悪党ながら少しは良心が感じられる男を好演している。



 そして、西イリアン諸島へと向かう第四さくら丸の前方に迫る空飛ぶ円盤!


 この西イリアン諸島とは、同じく上原が脚本を執筆した『帰ってきた』第13話『津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ』~第14話『二大怪獣の恐怖 東京大竜巻』の前後編に登場した、津波怪獣シーモンスと竜巻怪獣シーゴラスの出身地でもあるのだ!(笑)


 操舵室の目線から捉えた、高速回転しながら第四さくら丸へと迫りくる円盤(実はクイントータスの回転体!)の主観カットが臨場感に溢れている。精巧につくられた第四さくら丸のミニチュアが爆発炎上する場面は、ウルトラシリーズ中の船舶の撃沈場面では一、二を争う出来であろう!


朝日奈隊長「大亀の卵スープを飲んだ者はじんましんになった! じんましんになった者は次々に死んでいく!」
荒垣副隊長「第四さくら丸の乗組員10名を含め、14人中11人が死んでます。残るは、黒崎・八田・白井の3人だけです」


 本作のレギュラー防衛組織であるZAT本部における、この会話がサスペンスドラマ的な趣(おもむき)を感じさせて、静かに迫り来る「恐怖」を実感させてくれていて実によい。そんな状況下においても、


北島「わかった! 大亀が宇宙人に殺人を依頼した! そこで宇宙人は円盤に乗ってさくら丸を襲った!」
南原「そう! それそれ、いい線!」


 などというトホホな推理をしてしまうふたり(笑)。もちろん、場をなごませるための冗談でもあったのだろうが、バランス感覚の面ではこういったギャグ描写も必要だろう。


 後ろで頭を抱える西田隊員。そして、「バカモン! おまえら、いい加減にせい!」と怒鳴る荒垣副隊長と、ふたりに対するツッコミも入って、そのギャグもまた相対化されつつ、リアクションの相違で西田や荒垣の性格も付随して描けているのだ。


 卵を孵化させるための保温機をジッと見つめる黒崎・八田・白井。


 その眼前で卵が不気味な咆哮を上げて、亀甲模様が怪しく赤く光った! そして心臓の鼓動の音までもが響き出す!


 目の前で佐久間を殺されてしまった白井が「亀のたたりだ〜!」と狂乱し、ジャケットと黄色いタートルネックのシャツを脱ぎ捨てながら外に飛び出し、全身にできた亀甲模様のじんましんを掻きむしり、「カユい!」と叫びながら逃げ出していく!


 なかなかに迫真性があるが、一歩引いて分析チックに観てしまえば、こういうシーンは脚本や演出を超えて、まさにそのゲスト役者さんの演技力によって、その迫力が倍増されているのだ! 拍手モノである! そして、恐怖感はここに絶頂を極めるのだ!


 ZATの特殊車両・ラビットパンダで追跡している光太郎の前で、白井は地割れの中に巻きこまれてしまった!


 この地割れがまた、ミニチュアセットに線画合成でまさに「亀」を象徴するかのような緑色のギザギザ模様を書きこむことで表現されているものの、実にリアルでセンスが良い作画なのだ!


 そして、その地割れの中からクイントータスが出現した!


 閃光を光らせて変身のタイミングを知らせてきた変身アイテム・ウルトラバッジを手にして、ウルトラマンタロウへと変身を遂げる光太郎!


 戦闘の構えをとったウルトラマンタロウ


 対するクイントータス!


 そして、クイントータスを一本背負いで投げ飛ばすタロウ!


 オープン撮影でアオリでとらえているのが、両者の巨大感を強調していて迫力満点である!


 だが、クイントータスはタロウに投げ飛ばされる間に、卵管から卵のような赤い火炎玉をタロウの背中に多数、生みつけた!


 卵管のような細かい造形物もキチンと造形しているところがエラい!


 クイントータスが「ピピッ!」という効果音とともに赤い目を光らせるや、卵のような火炎玉が一斉に爆発! ここでの絶妙なタイミングも最高!


 タロウの背中が炎に包まれた!


 大人になってからの再鑑賞だと、スーツアクターさんの方の心配もしてしまうけど(笑)。


 タロウはクイントータスの腹に必殺のストリウム光線を発射する!


 今回の前後編の製作は、特撮巨大変身ヒーロー『シルバー仮面』(71年)や『アイアンキング』(72年)を製作した、円谷プロの分派でもある日本現代企画に下請けに出されたものだそうだ。そのために、製作費の少しでもの節約であるのか、ストリウム光線は白色のギザギザ光線で表現されている。そして、効果音もふだんと微妙に違う低い音である。あくまで、威嚇用にふだんとは威力を落として発射していることを表現しているかのようにも解釈できるものであり、もしもそういった演出意図もあったのであれば、細かな気の配り方には好感が持てる。


 ピンチに陥った妻怪獣・クイントータスを助けに、夫のキングトータスが上空から姿を現した!


 怪獣ガメラのように首と手足を引っ込めて高速で回転飛行を開始して、キングトータスがタロウに突撃する!


 子供のころは、大怪獣ガメラと同じように手足を引っ込めて、その引っ込めた穴からジェットを噴射しながら、空飛ぶ円盤のように高速でグルグルと回転飛行をするさまに、それがガメラにそっくりでマネでもあることには気付きつつも、問題視をすることはなかった(笑)。
 しかし、大人になってからの再鑑賞だと、もしも映画会社・大映からクレームを付けたられていたら抗弁ができないだろうとも思ってしまう。良くも悪くも、権利意識や版権意識がユルかった時代の産物としてのキングトータスなりクイントータスの高速回転飛行なのだ。大映の本体自体は『タロウ』放映の一昨年の1971年に倒産しており、その権利関係も当時はあいまいだっただろうから、大映側からクレームを付けてくる可能性もゼロに近かっただろうけど。



 首を突き出したキングトータスは、口からクイントータスと同様の赤い火炎玉をタロウ目がけて爆雷攻撃のごとく連続して撃ち落とした!


 再び背中が炎に包まれるタロウ!


 下請けの分際なのに、これでは第4話の時点で早くもタロウのスーツをオシャカにしてしまいそうで、弁償ものじゃないかとも思うのだが(汗)。


 トータス夫婦はともに手足を引っ込めて高速回転しながら、イナズマ状の光線をタロウ目がけて発射した!


 動きを封じられたタロウは光線の牽引力で空へと舞い上げられる!


 そして、その上下を挟んだトータス夫婦の高速回転が巻き起こした真空渦巻きに巻き込まれた!


 高速のウズを表現する線画合成、ネガ像のような反転画像処理が、タロウの危機を最高にあおりたてる!



 「怪獣図鑑」の類の書籍に掲載されたスチール写真ではわかりにくいものが多いのだが、クイントータスの頭部は朱色、キングトータスの頭部は緑色と塗り分けられている。さらに、キングトータスにはツノをあしらうことにより、雌雄の区別が明確にされている。大巨獣ガッパの夫婦怪獣は正直いまだにどっちがオスでどっちがメスなのかよくわからないけど(笑)。


 なお、キングトータス・クイントータス双方ともに甲羅には岩石を思わせるゴツゴツとした装飾がある。佐久間がクイントータスに食べられた件を白井がZATに話した際、「あの岩が佐久間を喰っちまったんですよ!」と表現しており、白井がクイントータスの甲羅の突起物を岩だと誤認したことになっている。それを思うに、物語のセリフにも即した実に考えられたデザインだったともいえる。



 タロウを大ピンチに陥れたほどのトータス夫婦の「怨念の強さ」が、本話の中盤から作品のムードを支配している。しかし、決しておぞましいだけの作品にも終わってはいない。


 冒頭では、光太郎が紺のライン付きのジャージ姿で「ワン、ツー! ワン、ツー!」と川沿いの小道でシャドーボクシングをしながらランニングをする描写、「♪ 親亀の背中に子亀を乗せて〜」と歌いながら白鳥家の庭の池に棲んでいる亀と戯れる健一、と爽やかな印象を与えることも忘れられてはいないのだ。


 その際に、ヒロイン・白鳥さおりが第2話での「縄跳び」同様に、これまたあまり意味もなくホウキで庭を掃除するかたちで登場している。縄跳びではバストの揺れが強調されていたが、本話ではさおりの太腿を強調したかったのだろうか?(笑)


 オロン島の全景はそのままズバリ亀の姿を思わせる形である。クイントータスが産卵する夜空に浮かぶ満月の表面には、亀の夫婦とその子供のような影が表現されていたりする。このあたりは、さすがに『タロウ』らしいファンタジー色の強い美術演出や特撮演出が施されている。


 巨大特撮で表現された産卵中のクイントータスに、静かに近づいていく捕獲隊の本編撮影による描写! 巨大特撮で表現された網に捕らわれて海に浮かぶクイントータスの前の砂浜で、本編撮影の捕獲隊が卵を掘り出すシーン! これらの場面での「特撮」と「本編」の大胆な構図の合成カット!


 キングトータスとクイントータスがオロン島近海の海中で戯れる場面では、ごていねいにも波紋が描きこまれるあたりも芸コマで、「特撮」的な見どころにあふれた娯楽作でもあった。



 「ついに姿を現したキングトータスとクイントータス、そして、復讐の真空渦巻に巻きこまれたわれらがウルトラマンタロウの運命は…… 来週を待とう!」という瑳川哲朗のエンディング・ナレーションが流れる。


 実は最後の「来週を待とう!」の部分は、再放送ではカットされることが常であった。しかし、月〜金の再放送であればともかく、週1回の再放送の場合でもいちいち無音状態にされていたのには、マニア的には違和感をおぼえたものだ(笑)。再放送用のフィルムの音声トラック自体に消去をほどこしたものだったのだろうが。
 2007年度のCSの「ファミリー劇場」における放送ではこの部分はどう扱われたのか? おそらくビデオソフト用のプリントで放送しているだろうから、復活しているのだろうけど、気になっているので、ご奇特な方は誰か教えてください(笑)。



<こだわりコーナー>


*黒崎を演じた草薙幸二郎は、『ウルトラセブン1999最終章』(99年・バップ発売のビデオ作品)第4話『約束の果て』(脚本・太田愛 監督&特撮監督・神澤信一)において、かつては亀に乗って竜宮城に行った、現代に生き続けている浦島太郎を好演していた。こういったファンタジックなエピソードは、本作『ウルトラマンタロウ』であればともかく、シャープでクールで乾いたカッコよさを志向していた『ウルトラセブン』(67年)の「続編」なり「最終章」としてはふさわしかったのか!? といった根本的な疑義はあったものの(汗)。そのエピソード自体は日本昔話『浦島太郎』の後日談であり、乙姫に「決して開けてはならない」と云われた貝を浦島太郎が開けてしまったために乙姫が絶命、その妹が浦島太郎を戒めようとする話であった。同話も広義での「亀のたたり」話として捉えることができるかもしれない(笑)。


*健一少年が亀と戯れている際に口ずさんでいる「♪ 親亀の背中に子亀を乗せて〜」の歌曲は、1960〜70年代に活躍したお笑いグループ・ナンセンストリオが流行らせたフレーズである。第1次怪獣ブーム(66〜67年)とほぼ同時期に巻き起こった演芸ブームのひとつである「トリオブーム」の中核を成した三人組であり、「赤上げて、白下げて、白上げないで赤下げる」などという旗揚げコントの創始者でもある。結成当初のメンバーは、江口章(えぐち・あきら)と岸野猛(きしの・たけし)、そして「ゲロゲ〜ロ」で一世を風靡した青空球児であった。のちに、青空は脱退して青空好児とコンビを組み、代わりに前田隣(まえだ・りん)が加わった。
 初代『ウルトラマン』(66年)第1話の1週間前の1966年7月10日(日)にTBS系で放送された『ウルトラマン前夜祭』では、モンスター博士の屋敷に怪獣を盗みに入る泥棒役で出演している。『ウルトラマン』第15話『恐怖の宇宙線』にも出演場面が用意されていたらしい(尺の都合でカット)。そして、特撮変身ヒーロー『シルバー仮面』(71年)第2話『地球人は宇宙の敵』にも彼らは村人の役で出演していた。これらの作品はすべて故・実相寺昭雄(じっそうじ・あきお)監督が演出した作品であった。意表外なことに、氏はナンセンストリオがお気に入りだったのであろうか?(笑)


〈追記〉

(2007年12月執筆)


 『タロウ』第4~5話で悪徳興行師・黒崎を演じていた草薙幸二郎(くさなぎ・こうじろう)氏が、2007年11月11日に間質性肺炎のため、78歳で亡くなられた。冤罪事件をテーマにした『真昼の暗黒』(56年・現代ぷろだくしょん)で主役を演じ、第1回製作者協会の新人賞を受賞。テレビ勃興前の戦後の映画界の黄金時代に日活製作のアクション映画に多数出演されていたそうだ。
 映画界が斜陽になったあとはテレビに活躍の場を広げた。刑事ドラマ『太陽にほえろ!』(72〜86年・日本テレビ)・時代劇『必殺』シリーズ(72〜87年・朝日放送)・アクションドラマ『ザ・ハングマン』シリーズ(80〜87年・朝日放送)など、我々の世代の特撮マニアも好むようなロングランの名作テレビシリーズの中でも数えきれないほど、印象的なゲストとして出演されてきた。
 全27話しかない松田優作主演作品の名作テレビドラマ『探偵物語』(79年・日本テレビ)では、まったく違う役で4回もゲスト出演するという快挙を成し遂げている。同じく松田優作主演作品では、映画『殺人遊戯』(78年・東映)・『蘇える金狼』(79年・東映)・『野獣死すべし』(80年・東映)などにも出演されていたことは、我々のような世代人には印象深いところだろう。特撮マニア的に興味深いところでは、『日本沈没』(74年・TBS)第20話『沈みゆく北海道』・『スケバン刑事(デカ)』(85年・フジテレビ)第6話『アイドルを狙え!』などのゲスト出演だろう。
 そのほとんどがヤクザ系というよりもインテリ系の悪役であった。『タロウ』においても氏の持ち味は充分に発揮され、強烈な個性と存在感を残している。フィクション作品の常なのだが、氏の演技による徹底的な悪辣ぶりが、対比として善人のゲストとの、あるいは大亀怪獣の運命を、より「悲壮」に感じさせることに貢献しているのだ。ファンタジー風味や怪奇風味の本話だったといえども、氏の出演を確保できたからこそ、一方で人間の浅ましさや貪欲さといった地に足のついた作品世界を構築することにも貢献していたのである。映像作品とは脚本・ドラマ・テーマだけでなく、演出・映像・役者などにも影響された全的な総合芸術であったことも、氏の存在を通じて改めて痛感してしまうのだ。氏のご冥福を心よりお祈りする。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2008年号』(07年12月29日発行)『ウルトラマンタロウ』再評価・全話評大特集より抜粋)


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