假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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仮面ライダー剣 〜ベテラン脚本家・今井詔二作品として 再UP!

『仮面ライダー』シリーズ評 〜全記事見出し一覧


 『仮面ライダーディケイド』(09年)に、仮面ライダー剣ブレイド)が登場記念! とカコつけて……。


 平行宇宙をまたにかける『仮面ライダーディケイド』。
 かてて加えて、先週はプチ・タイムトラベル! ただでさえ乱れている時空連続体はもうグチャグチャ(笑)。
 今回はたわむれで、まずそれで生じたハズのタイムパラドックスに少しツッコミを入れてから。


 『仮面ライダー龍騎』(02年)TVシリーズ本編では最終回に登場した究極の反則ワザ「タイムベントカード」を使って、少し過去に戻って殺人事件のナゾ解きをしてしまうとは……。
 そんなとっておきのカードを早々に切ってしまう作劇を、本作『ディケイド』は「龍騎の世界」編で行なってしまいますか!?


 ミラーワールドでの激闘の末に仮面ライダーオーディンから奪った「タイムベントカード」を、仮面ライダーナイト・羽黒レンから譲り受けた仮面ライダー龍騎・辰巳シンジ。
 仮面ライダーディケイド・門矢士(かどや・つかさ)とともに、近過去の前話冒頭、殺人事件現場の直前の時間へGO!
 

 当然、変身ヒーローたるもの、救えない情けないヤツではカタルシスもないので、殺人事件は真相解明どころか阻止されてしまうワケで。
 さらには事件の真相のみならず、TV本編では第2ヒロインの一記者だったのにオバサン編集長に昇格(?)して殺人事件被害者の役回りをふられたこの世界の桃井令子さんは、殺人事件の現場になる予定の編集部の応接室にレンを呼んだ真情を明かして、そこに同席していたプチ未来のシンジともレンは和解して……。


 ということは、殺人事件の真相と、ふたりの被疑者・ヒロイン夏海(なつみ)と羽黒レンの無罪の証明以前に、歴史自体が変わってしまうことになるワケだ。
 となると、夏海&羽黒レンが被疑者になっていた世界自体は消滅して無かったことになってしまうのか!?
 それとも、世界はふたつの歴史に分岐! 夏海とレンが被疑者になっている世界と、そもそも事件自体が未然に阻止されたふたつの世界が出現してしまうのか!?


 しかし、一部のオールドSF小説に由来するとおぼしきタイムパラドックスもののローカルルールだとは思うけど、『大長編ドラえもん のび太の魔界大冒険』の原作(1983連載・1984単行本化・ISBN:4091406041ISBN:4124101988ISBN:4091940153。もしくは映画版(1984)・ISBN:4099082059)のように、
 「一度造られた“世界”は、いくらリセットしようとしても、〈パラレルワールド〉となって永遠に残る」
 とするならば、龍騎=シンジ&ディケイド=士は元の世界の時間になんとか戻って、それから無罪の証明に奔走しなければならないワケで……。 


 ……などとシチ面倒クサいことを、視聴しながら考えていたワケでは毛頭ないけれど。
 大きなお友だちも観るとはいえ、しょせんは幼児がメインターゲットの変身ヒーローもの。しかも放映時間に制限のある30分ドラマ(の2本を費やす前後編)のオチであることが大前提だし、まとまり感や、めでたしめでたしのカタルシスを与えることも大切。
 そこでネチネチグチグチとこだわってくれて喜ぶのはオタだけ。もしくはオタの中でもごくごく一部だけ(笑)。


 しかも番組の主目的が、仮面ライダーVS仮面ライダーのバトル面。さらに加えて好意的に見るならば、せいぜいが登場人物たちの善意の勝利(笑)。
 だとするならば、SF的ナゾ解きを仮にネチネチ説明しても、煩雑でまとまりが悪くなったりヤボ感やクドい感が出てきてしまうのならば、そのへんは突き詰めずにゴマカして落とすのが、このテの番組の作劇の正解だとも思う。
 そのかぎりで、このテの特撮変身番組は、広義のSFであっても、狭義のSF、本格SFなどではさらさらないと思う(悪口じゃないよ)。
 やはり、ヒーローや怪人の珍奇な特撮映像や爽快なアクション、あとは二義的に多少は屈折させてもジュブナイルとしての正義や善意の勝利が主目的なのであって、SF的な舞台立てはそれら主目的に貢献して際立たすための背景装置・小道具にすぎない。
 SF至上主義の特オタは変身ヒーローものなんて観ないで、アシモフやクラークを読んでた方がスジが通るゾ!(笑)


 ……まぁでも、近過去への介入で、ふたつの世界に分岐したかもしれないという疑問は、龍騎&ディケイドを時間を越えて追っかけてきた悪の仮面ライダー仮面ライダーアビスこと、イケメンばかりの13ライダーがバトルするのが本来の『龍騎』のハズなのに、顔が少しむくんではれぼったい(失礼!〜でもけっこうキャラが立っててスキです・笑)銀髪の中年オジサン・鎌田が、プチ過去の戸惑っている鎌田と強引に合体・融合してしまったことに、一応の正解のヒントがあるのだろう!?


 そして、ラストシーンが、前話の冒頭時点に戻っていて、ただプチ未来から戻ってきたディケイドこと士だけが(&龍騎ことシンジもだけど)、「龍騎の世界」で未然に阻止した事件のことを覚えていて、他のキャラたちはまだ何も知らなくて(何も起きていなくて)、即座に次なる「ブレイドの世界」へ旅立つことになるという……。


 でも鎌田のみならず、プチ未来からプチ過去に戻ってきた時点で、士とシンジもプチ未来とプチ過去の同一人物が同一時間にふたり存在してしまうハズ。
 コレもまたオールドSFなローカルルール、『鉄腕アトム』のTV初作(63年)最終回(66年)後の後日談を原作者・手塚治虫(てづか・おさむ)大先生ご本人が描いた、アトムがアトム誕生時にタイムトラベルする長編「アトム今昔物語」(ISBN:4840109958ISBN:4061732404)のように
 「同一時間に同一存在がふたり存在してはならない」
 という取り決め事は「ディケイド世界」にはない代わりに、おそらく矛盾が生じないように士とシンジも、プチ未来には帰らずにプチ過去の自分と合体したのだろう!……という(!?)。


 ということは、プチ未来の世界は消滅したことになる? となると「龍騎の世界」(の少なくとも分岐した一部)は、預言者・鳴滝の発言同様、やはり「破壊」されてしまったことになる!?
 試験管の中のような宇宙(時空)とはいえ、完全消滅させてしまうのは、そこで四苦八苦・試行錯誤しながら独自の人生を送っていた全人類(それが云い過ぎなら、歴史の変化でなかったことにされる一部の局所的な関係者の苦労)もなかったことにされてしまうので、倫理的にはドーなのか?
 とはいえ、プチ未来の世界がそのまま残っているとすると、士とシンジはその未来へ帰って、無罪証明に奔走し死んだ桃井令子さんの真意をレンに伝える義務が生じることになる……(うっとおしい展開だ)。
 さらには、歴史を変えずに(世界の分岐を起こさずに)、ただ士とシンジが殺人事件を傍観しているだけだと、それもまた非倫理の極みだし、もっと大きな悪徳を犯すことになる(汗)。


 であるならば、過去に介入した時点で、プチ未来は単純に消滅したとか。
 せいぜい包括的にすべてを肯定して考えてあげるなら、プチ未来にまで達した時点で、そこからループしてプチ過去に合流して、先のプチ未来とは異なった未来へとその時点から時間線が伸びているというような……。
 (ループといえば聞こえはイイけど、「タイムベントカード」を切った時点で、その世界のそれ以上の時間進行はストップして終わったことになるならば、世界の消滅と大差がないけれど……。
 まぁ歴史の大勢に影響なさそうな(?)、短期日の歴史の修正にすぎなくて、だれも悲しむヒトもいないので、殺人事件の重大性と比較すれば、事件後の真相解明への四苦八苦などはなかったことになっても別にイイか・笑)


 何も描かれていないから、プチ未来のシンジはまたプチ未来に帰って行った可能性もゼロではない。けれど、その場合でもプチ未来の夏海と石橋蓮司演じるオジサンの許には、プチ未来の士は永久に戻ってこなかった(笑)という悲惨なオチになってしまうハズなので、やっぱこの分岐世界は消滅・廃棄されたことにしておくのが無難だろう。
 そもプチ未来とプチ過去の同一人物が融合できちゃうのも、本格SFだったら違和感ありありのツッコミどころなのだろうが、そのへんサラリと流せてあまり気にならないあたり、やはり本作はジャンル内では相対的に本格志向であっても、しょせんはハードSFではない変身ヒーローもののユルい世界観のゆえだろう。


 (これが『電王』の場合だと、なじみ深い仮面ライダーゼロノスことプチ過去の桜井侑斗(さくらい・ゆうと)だけが残って、顔形も描かれず視聴者の感情移入が低い方の現在の桜井侑斗の方が消えるかたちで(悲劇だけど)、パラドックスが回避されている)


 同一人物が存在するワケがない、もっと過去への介入であって、しかも過去に介入しても歴史が改変されずに、どうもタイムリープですらもが、あるいはそのための自助努力ですらもが、より高次な神の次元から見れば必然・運命であったかもしれない逆パラドックスまでをも描けば、往年のSF小説『幻魔大戦』シリーズ(マンガ版(67年・ISBN:4253061982)・『新幻魔大戦』(71年・ISBN:4195771080)・『真幻魔大戦』(78年・ISBN:4191519417)・小説版『幻魔大戦』(79年・ISBN:4087470660)・小説版第2期『ハルマゲドン』(87年・ISBN:4191539043)・『ハルマゲドンの少女』(82年・ISBN:4191538152))の平行世界(中のそのまた一部)のようにも描けるけれど。


 (映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1)でも描かれた平行世界での「記憶」の想起も、『幻魔』サーガが元祖か? 『超8』のそれは各人もう少し小出しにしていくならともかく、唐突に過ぎたと思うけど。
 しかし、『超8』にしろ『仮面ライダー電王』(07年)にしろ、「記憶」や「意識」が側頭葉の海馬の中の脳内化学物質や脳内電気信号に留まっておらず、物理的限界や次元の壁を超えたマルチエンディングのゲームプレイヤー視点ならぬ超越的な「精神体」や「霊」的な存在を仮構しないと成立しなくて、ちっとも唯物的ではない……けれど、物語としてはこんなに面白いものはない。
 まぁ最近の物理学・宇宙論では、学会の大勢に認められてるワケではないけれど、「人間原理」という「我々の三次元宇宙自体の存在や、そもそも宇宙が成立するための物理法則自体が、人間(というか宇宙人も含む知性体)が宇宙に存在できるように、人間がこの宇宙を観測できるように(笑)準備されたものである」という、神さまの玉座に人間の知性を代入したかのような中世キリスト教神学的なトンデモに逆立ちした学説も出ているくらいなので、そのテの作劇もアリでもイイと思うけど……)


 ちなみに次々行なうタイムパラドックスで、パラレルワールドや自分すらもが無限に増殖していくっぽいのが長谷川裕一先生の「月刊マガジンZ」連載マンガ『クロノアイズ』(99年・講談社ISBN:4063490106)。いや読んだことはないけれど、『ナウシカ解読』(96年・窓社・ISBN:4943983871)などで知られる経済学者(近年は社会学者?)の稲葉振一郎センセイの 『オタクの遺伝子』(05年・太田出版ISBN:4872338693)での批評によれば(笑)。


 こだわるヤツはヤボだと云いつつ、結局はこだわっている自分(汗)。
 ……いや待てよ。ヒロイン夏海が夢に見た『ディケイド』#1冒頭の「ライダー大戦」も、「龍騎の世界」のプチ未来と同じような位置づけのプチ未来(メタ時系列的には過去?)の記憶であって、「龍騎の世界」での「タイムベントカード」の使用は、このやり直し的なメタ世界観への壮大な伏線か?
 東浩紀(あずま・ひろき)センセの『ゲーム的リアリズムの誕生 〜動物化するポストモダン2』(07年・講談社現代新書ISBN:4061498835)で喜ばれそうなネタだ。


 こんな浮世離れしたことの重箱のスミばかりつついていても、人間としてはちっとも立派じゃないというか、むしろどんどん小粒・小者、人間としての器量が小さくなっていきそうなので(笑)、みなさんもほどほどに。 


 でもサメ型の新仮面ライダー・アビスこと副編集長・鎌田の真の正体が、さらにややこしいことに(いやそんなにややこしくもないけれど)、「龍騎の世界」ならぬ次元を超えた「ブレイドの世界」の敵怪人アンデッド、トランプのハートのK(キング)に相当するパラドキサカマキリ怪人パラドキサアンデッドだった!
 という「世界」をまたがって登場させる理由の付け方は、もちろんドコまで行ってもご都合主義だとはいえ、たしかにウマいネ。



 ……とカコつけて(汗)、『仮面ライダー剣ブレイド)』前半評を最新日付記事に再UP!


 (『剣』後期のメインライターは、『ディケイド』メインライターの會川昇でもあるのに、「ブレイドの世界」編は米村正二脚本なんですか……。次回予告には、まだ「ブレイドの世界」編なのに、『仮面ライダー響鬼(ヒビキ)』(05年)のライダー轟鬼(トドロキ)も出てるゾ、オイ・汗)


 (ここまでの文、前フリの余興としては長すぎなので、そのまま抜粋・独立記事化して1週前の日付記事に、『仮面ライダーディケイド』#7評として重複掲載して、集客に供したいと思います。悪しからず・汗)



追伸1
 時間ループものは、最近流行っているらしく、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(07年)とか、『ひぐらしのなく頃に』(02年ゲーム・06年TVアニメ化)も、そういえば同趣向。泣きゲー(ム)上がりの美少女アニメCLANNAD after storyクラナド アフターストーリー)』(08年)もそうらしいというウワサを聞いたが(まだ全話観てないので)、一応は現実に根差した(?)生死をテーマにした難病ものの世界観でそれはいかがなものなのか?(汗)


追伸2
 『仮面ライダー龍騎』TV本編でのタイムベントカードは、『ディケイド』本話のように個人なり数人が過去へタイムスリップするのではなく、ループですらもなく、世界中の時間をまるまる巻き戻したという感じだったので(カードを切った本人の意識だけは時間が巻き戻されず、メタ時間の達観した位置にあって)、厳密には違いが生じているけれど。
 ……細かいことは気にするな(笑)。


追伸3
 カードを切った本人の意識だけは時間が巻き戻されず、メタ時間の達観した位置にあって……。
 これは『電王』的にSFっぽく粉飾すれば「特異点」。実態はご都合主義の言い訳で、科学的・SF的なリクツは特にない、アプリオリ(先験的)にそーいうことにしておこう、そーいうことにしておける! という洗脳マジックワード(……悪口じゃないよ)。



『仮面ライダー剣』 〜全記事見出し一覧


仮面ライダー剣 〜前半評① ベテラン脚本家・今井詔二作品として……

(文・内山和正)
(04年7月執筆)
 特殊団体に雇われた戦士としてのライダー、その中でライダーの一人が組織に疑惑を持ち……
 という事前情報で流れた設定に、固定観念を捨てきれないオールドファンとしては「仮面ライダーらしくないな」と抵抗を感じもしたし、新しい道をきりひらいてきた「イケメンライダーシリーズ」なのだから独自の境地をひらいてくれる可能性に期待もしてみたのだが、第1話でアッサリ組織(人類基盤史研究所BOARD(ボード))は壊滅、主人公と女性所員・広瀬栞(ひろせ・しおり)のみが生き延びてくわしい事情を知らぬままに仲間たちとともに戦う通常の個人的ヒーローになってしまった
 (……と思ったら一応いまでも給料をもらって戦っているらしいことがのちの回に判明。誰が払っているのだろう、生存していたとはいえ、いまの烏丸(からすま)所長に払えるとは思えぬのだが)。


 『ハイパーホビー』誌(徳間書店刊)2004年2月号の表紙を飾った仮面ライダーブレイド仮面ライダーギャレンの握手から今回は、友情を持ち共闘するライダーだと思ったのだがブレイドを見捨てるギャレン、すべてが敵だと口にして一方的攻撃を仕掛ける仮面ライダーカリス……とドラマの序盤はいままでどおりの争うライダーで拍子ぬけしてしまった。



 見始めて思ったのは、これまでのシリーズの寄せ集め的な印象が強い!!


 アンデッド(本作の敵怪人)たちの「いにしえのバトルロワイアル」は『仮面ライダークウガ』(2000・https://katoku99.hatenablog.com/archive/2000/11)+『仮面ライダー龍騎』(2002・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080113/p1)。
 仮面ライダーギャレンの「変身の後遺症による肉体崩壊」は『仮面ライダーアギト』(2001・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080106/p1)の仮面ライダーギルス。
 ヒロイン・栞の父親が妻の命を救うためにアンデッドの封印を解いたらしいことは『龍騎』の副主人公・仮面ライダーナイト秋山蓮(あきやま・れん)の戦う理由。
 主人公より副主人公のほうが先に戦っている先輩ライダーであることも『龍騎』。
 出自の違うライダーの共存は『アギト』。
 主人公・剣崎一真(けんざき・かずま)に対する栞と虎太郎(こたろう)の人物配置は『仮面ライダー555(ファイズ)』(2003・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080120/p1)主人公の巧(たくみ)・真理・啓太郎。
 少女・天音(あまね)の意味ありげなネーミングは『アギト』の少女・真魚(まな)を思わせる。
 主人公・一真の住んでいたアパート『氷川キャッスル』は『アギト』で仮面ライダーG3に装着変身する氷川誠(ひかわ・まこと)から名付けたお遊びなんだろうし、ギャレンってギャ蓮(?)……


 圧倒的人気のシリーズを引き継いだ新スタッフにのしかかる重圧を思えば仕方のないことでもあろうが、こんなにマネが多いのでは白倉伸一郎プロデューサーが慢心を避けるために勇退された意味がないのではないか。



 メインライターには今井詔二(いまい・しょうじ)氏。
 かなりベテランの方だが、近年も『はみだし刑事情熱系(はみだしけいじ・じょうねつけい。略称はみデカ)』(1996〜2004・テレビ朝日)(第5シリーズ序盤までで降板するも、第6シリーズと最終章となった第8シリーズのそれぞれ最終エピソードを執筆)、『こちら第三社会部』(2001・TBS)、テレビ時代劇『天罰屋くれない 闇の始末帖』(2003・テレビ朝日)のメインライターをつとめ、二時間ドラマでは数多くのシリーズを持つなど大人枠のドラマで旺盛な活躍をしめす氏がどのようないきさつで登板されることになったのか全く不明であり、かなりの衝撃だった。


 大人枠の作品が多いライターが『仮面ライダー』シリーズのメインを担当されるのは、『仮面ライダーBLACK RX』(1988)時代の江連卓(えづれ・たかし)氏*1以来だが、江連氏の場合、子供番組に比重のかかっていたころに『(新)仮面ライダー』(1979)の終盤と『仮面ライダースーパー1(ワン)』(1980)のメインを経験済みであり、復帰そのものは驚きであっても期待の気持ちが高かった。


 今井氏の場合、このシリーズには初登板であり、子供番組自体26年ぶり(『コメットさん』大場久美子版・1978)ということでどうなることか予測できない状況なのだ。



 実のところ、番組当初はおもしろいとは言えなかった。どこからどこまでが誰の責任かわからないがいろいろと問題が重なっていたのだろう。


 まずライダーたちが皆、肩に髪の先が着く程度の今としては短めな髪型なのが個性を主張できないでいたと思う。


 仮面ライダーカリス=相川始(あいかわ・はじめ)役の森本亮治氏は人間に化けた人間ではない存在という設定上、無理のないことではあるのだがヒーローとしては表情が暗く視聴者にあこがれられる存在という感じではなく、同時期に放送されていた昼の帯ドラマ『桜咲くまで』(2004・MBS・TBS系)でのヒロインの娘(というか実質的にはもうひとりのヒロイン)・沢尻エリカさんの恋人役のカラオケで働きながらミュージシャンをめざす青年役のほうが格好良く、始のほうは見劣りがした。


 仮面ライダーブレイド=剣崎一真役の椿隆之氏は役柄が単純に正義の味方というもの(戦士としては未熟という要素はあるにしても)であるのに対し、もっと色々なものを背負い込んでおられる方のように思えて似合っていないように感じられた。
 人を信じて何度も裏切られた、それでも信じてしまうという2話で語られた人のよい性格には個人的には見えず、この設定自体そのあとにいかされているようではない(のちに井上敏樹氏担当回で万引き犯の汚名を着せられてしまうあたりで復活してはいるものの)。
 放送前に、虎太郎役の竹財輝之助(たけざい・てるのすけ)氏と椿氏が2人で写ったテレビ情報誌のグラビアを見たとき、さわやか系の竹財氏のほうがライダーかと思ってしまったくらいだ。
 子供のころ両親をたすけられず死なせてしまった過去から人をたすけたいという設定も型どおりなだけに感じられた。それでも両親の幻影を見るシーンなどよりも、言葉でそのことを語るシーンのほうが輝いてみえるのは、一真が今井ヒーローであるからだろう。


 犯人や事件関係者などにボロボロの涙顔になりながら思いを語りうったえかける『はみだし刑事情熱系』の高見兵吾(柴田恭平)、助けたい姉の命を危険にさらしてまで犯人逮捕を優先せざるを得ない自分の無器用な生き方を口にする『月曜ミステリー劇場 外科医零子PART3 〜ハートの時効〜』(2004・TBS)のヒロイン(財前直見)の恋人・有光千太郎(石黒賢)、性暴力の被害にあった女性が男性刑事の心ない取調べで二次的に傷つくことを防ぐべく『土曜ワイド劇場 警視庁女性捜査班』(1999〜・テレビ朝日)を結成した坂本絵里子(萬田久子)。


 今井詔二氏のヒーローは自分の思いを口にしてこそ映える。その点、本作『仮面ライダー剣ブレイド)』(2004)のキャラクターたちは言葉がすくなかったように思う。


 また、今井作品では親子がテーマになるものが多いように思う。
 『天罰屋くれない 闇の始末帖』のヒロイン・松坂紅(片平なぎさ 子供時代は斎藤みやび)の亡父はいったんやめようとした裏稼業・天罰人(悪人のみを獲物とした殺し屋)を、紅が大人になる時代がすこしでも良くなるようになることを願い続けることにした。
 そして紅も最終回において息子・達之介が大人になった時代を良くするために天罰人をずっと続ける決心をする。東映による松竹作品『必殺シリーズ』(1972〜87・91)のパクリであったこの作品においてこの部分はわずかなオリジナリティであったのではないか。
 2時間ドラマでロングランをつづける『土曜ワイド劇場 法医学教室の事件ファイル』(1994〜)が週一回放送のレギュラー番組(1992)だった時代の第2シリーズ(1993)では、妊娠したヒロイン・二宮早紀(名取裕子)が出産と責任の重い仕事のはざまで悩み、悲劇をむかえた末に長男・愛助を得るまでがインサイドストーリーとして感動的に描かれた。
 おさないころに別れた娘と再会し、年のはなれた友だちとして接する当初の『はみだし刑事情熱系』、娘のために刑事なのに人を疑うことをやめようとして傷つく『土曜ワイド劇場 警視庁女性捜査班』、仕事柄姉に娘を預け強く育つことをねがう長嶋一茂主演『月曜ミステリー劇場 ざこ検事 潮貞志の事件簿』(2002〜)、おりあいの悪い息子に自分の信じる人間のあるべき姿をむりやり教え込もうとする船越英一郎主演『土曜ワイド劇場 火災調査官・紅蓮次郎』(2003〜)などなど……


 この『ブレイド』にもいくつかの親子が登場してくるがいまのところ大きな物語には発展していない。栞の父の問題の核心や、天音の父の死因が判明する際などにどのような展開がなされるのだろうか?


 ブレイド一真にはおちこむ彼をしかりつけてライダーの使命にむかわせる栞と、生活と活動を援助し生き方をみとめてくれた虎太郎が、ギャレン=橘朔也(たちばな・さくや)には暖かく見守ってくれる同級生の女医・小夜子(さよこ)、カリス=始には深い事情をきこうともせず、同居人としてうけいれてくれる未亡人・栗原遥香とその娘で彼を慕う天音*2という心のよりどころをそれぞれ与えたのが本作序盤の独自性であり良さだった。


 また、橘が組織や烏丸所長に疑いをいだくきっかけとなった変身システムの副作用による人体崩壊を、暗い運命にもっていかず克服できる心の問題として可能性をもたせたことや、烏丸を疑惑のままの人物としなかったことも(この点はまだ逆転の可能性がないわけでもない)、白倉プロデューサー路線を利用して暗い気持ちに落としこんだのちに安心させる変化が心地よかった。
 ただ、この時点ではまだ全体的には暗さも停滞したムードもぬぐえなかった。


 弱い心を上級アンデッド・伊坂(正体はピーコックアンデッド・クジャク怪人)に利用された橘が麻薬状の薬草の効果により闘争心にめざめ暴走、力づよい戦士となる。
 しかし、その使用が続けば副作用により廃人になることを知った小夜子は止めようとして、伊坂に殺害され、橘はようやくライダーとしてめざめ、以前ならとても勝てる相手ではなかった伊坂を倒す。ドラマと闘いが一体となり効果をあげる。ここあたりから『ブレイド』は急激に盛り上がる。
 小夜子は死ぬと予想していた人も少なくなかったらしいが、いまどきのドラマにはなかなかいないくらいの小夜子の不自然なまでのなごみ系キャラがこのドラマには必要なものと信じ、橘を支え続けるものと思っていた筆者には衝撃の展開だった。また、小夜子のこのあたりのセリフがあまりにもくさいながらも生きていて今井キャラは自分の思いを口にするべきだとあらためて感じさせた。


 人間でないために人を巻き込むことをおそれずレストランなどでドラゴンフライアンデッドと戦うカリス、人々の危機をふせごうとするブレイド、迫力の戦いがヒーローものとして映像的にも見せ場をつくり番組が活気づく。
 そして第4の仮面ライダー仮面ライダーレンゲルの登場。
 変身ベルトを造った(科学者を精神コントロールして造らせた)伊坂は死んだものの、スパイダーアンデッドの魔力がひそむベルトはみずから適合者のもとへ移動する。前作『555』での、適合できる人間なら変身できるのは特定の個人だけではないとの設定が流用される。
 あやつられて暴走する高校生・上城睦月(かみじょう・むつき)、ギャレンになるはずが事故でライダーへの夢を絶たれゆがんだ正義感におぼれた元BOARD職員・桐生豪(きりゅう・ごう)。最強のライダーが圧倒的なつよさでライダーたちにおそいかかる。
 仮面ライダーレンゲルにはこれまでにライダーたちがカードに封印したアンデッドを解放したりあやつったりする能力があり、それまでものたりなさとなっていたアンデッドは殺すことができないとの設定がむくわれた気がした。


 ライダーを引退することにしたものの小夜子をなくした傷からは割りと早く立ち直った橘はレンゲルの変身ベルトをひろった睦月を目にしたことでふたたびライダーのかかえる問題に介入、桐生との因縁からギャレンに復帰することになる。
 井上氏らしい暗い世界観だが桐生の死などには同じむごい死に方をむかえた某キャラクターとはちがい幾分の救いがあるようでもあった。


 さらに今井氏担当回になってみると、コインロッカーベイビーなのかと思われた睦月の暗い記憶は、誘拐犯により一時的にコインロッカーに閉じ込められていたものにすぎず暖かい家庭があることが判明。井上氏の作品は魅力的だが個性的に過ぎ、他者の主導作品でそれをやってほしくない筆者としては井上世界を振り切ってくれたことに感激。
 ライダーとして戦うことを望む睦月を、スパイダーアンデッドの影響に負けぬよう鍛えはじめる橘。


 つづく會川昇氏担当回(見る前は不安であったが)では睦月がトラウマを克服、人々のために戦う喜びさえ見出し、番組の精神が本格的スーパーヒーロー性まで付与されてますます期待の番組になってきた。ライダーたちの共闘がうれしい。仮面ライダーカリス=始も周囲の人間たちを守るようになる。


 つぎつぎあらわれる上級アンデッド(人間への変身能力を持ち通常人間体で行動する上級のアンデッド)。主要な数人を除き単に粗暴なだけの人物が多かった『555』のオルフェノク(敵怪人)にくらべ戦いを避けたい実力者がいたり、若者たちをたぶらかしたり悪計をめぐらす若い女性アンデッドがいたりと個性的でこれからがたのしみだ。
 一真がニューマシーン開発にたちあうシーンで見せる無邪気な表情など、一真にも演じる椿氏にも深み・奥行きが出てきた。
 『龍騎』や『555』とおなじように変身にアイテムをつかうライダーであっても(本作ではカードを変身ベルトのバックル部に挿入)、ベルトが形成されてから変身ポーズをとる方式の本作。それゆえにポーズを強調できる利点があるのだが番組も途中からそれらをいかす演出になってきたのはうれしい(ただポーズの細部が毎回いろいろちがうのは困るが)。


 スパイダーアンデッドの逆襲や、橘に薬草の後遺症があらわれないのかという番組が暗転しかねない要素による不安は残されているがいまのところ前向きの世界観が良い。
 今井氏が降板されることなく、このまま會川氏*3と2人で突っ走ってほしいというのが今の本心。 
 やっぱり仮面ライダーはイイ。



(付記)映画(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041107/p1)は3年後(またパラレルワールド?)のストーリーで後輩ライダーたちが登場するとか。脚本がだれかとかくわしい内容とかは知らないが黒田勇樹氏がライダー役とのことで子役時代のドラマも見ている者としては感慨深い。

(了)


(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2005年準備号』(04年8月14日発行)〜『仮面特攻隊2005年号』(04年12月30日発行)『仮面ライダー剣』合評⑤より抜粋)


『假面特攻隊2005年号』「仮面ライダー剣」関係記事の縮小コピー収録一覧
・読売新聞 2004年2月20日(金) 日曜朝 戦うイケメンヒーロー テレ朝系で新シリーズ 特捜戦隊デカレンジャー 仮面ライダー剣ブレイド) 若手俳優「毎日が修業」♥「お母さんたちも見てね」 〜大枠記事
・読売新聞 2004年2月27日(金) POPカルチャー「直言兄弟」 特撮ヒーローよ 志を持て! 〜特撮番組編。文化部オタク記者2名の対談コラムにゲスト参加したおなじみ政治部の鈴木美潮女史が「ヒーローよ、子供に帰れ、リアリティー追求より、志を持て!」(原文ママ)と主張。

仮面ライダー剣 〜前半評②

(文・久保達也)
(04年4月執筆)
 前作『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031102/p1)までの平成『ライダー』作品を担当してきたプロデューサー・脚本・監督等のスタッフがかなり入れ替わったため、さぞかし作風が変わるかと思いきや、多少バトル面が充実したくらいで相変わらず日曜の朝にはふさわしくない作風だ。
 たまに早く目が覚めたときでも私は意地でも本作は観ず、録画したテープを深夜に観てます(笑)。


 まあ相変わらずの作風は仕方がないとして(芸術だかオブジェだかを作っているかのような、デザインの美しさばかりが先行して、キャラクター性が全く欠如している怪人のつまらなさだけは本当になんとかしてほしいが……)、これまで平成『ライダー』作品を支えてきた魅力さえもすっかり乏しくなってしまっている点はちょっと痛いぞ。


 先ずなんといっても平成『ライダー』と云えばイケメンだが(そこそこ! ギャーギャーわめくんじゃないっ! 最後まで人の話を聞きなさいっ!)、本作ももちろん何人ものイケメンが登場する。が、なんかみんな似たような顔に似たようなキャラなので私は未だに主役の顔が覚えられない(笑)。もうどれがブレイドでどれがギャレンでどれがカリスに変身する奴なのか観ていても全然判らないのだ。
 『仮面ライダーアギト』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080106/p1)、『仮面ライダー龍騎』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080113/p1)、そして『555』では各人に異常なまでの強い個性が与えられ、癒し系もいれば妙にとんがった奴もいたり、ナルシストやら凶悪な奴やエキセントリックな奴もいるわで、それぞれが熱狂的なファンを獲得して大いに盛り上がったものだが、今回ばかりはイケメン大好きなミーハー主婦たちも誰のファンになったら良いのか判らないのではないか?(笑)


 次に平成『ライダー』といえば活動する都会が舞台となって展開され、都内のトレンディなスポットのロケ使用が話題を集めたものだが、今回は人っ子ひとりいないような山奥ばかりで物語が展開され、毎週同じような場所ばかりが登場するのも観ていてツライ。
 毎週火山島で物語が描かれた『怪獣王子』(67年)とか、似たような星ばかりが舞台となった『キャプテンウルトラ』(67年)が視聴率的に苦戦した歴史的事実に学ぶべきではないか。


 そして最も痛いのが、今回は怪人を必殺技で倒すのではなく、カードに封印するというのがヒーロー作品としては絶対的なカタルシス不足だという点である。
 同情の余地のある怪獣たちの命を救っていた『ウルトラマンコスモス』(01年)に対し、何を主張する訳でもなく、単に殺人を繰り返すだけの、対話も不可能な本作の怪人なんぞ殺っちまっても良いのでは?(暴言?) このあたり『コスモス』を徹底的に非難していた人々の見解を是非伺いたいものである。


 なんか悪い点ばかりをあげつらってしまったが、本作の相川七瀬の主題歌『Round Zero ~ Blade BraVe』(ASIN:B0007MCI38)はイイね。TBS系土曜深夜の『COUNT DOWN TV』をたまたま見たときに第11位にランクインしていたが、これは相当のヒットと見て良いだろう(前作『555』のISSA(イッサ)が歌った主題歌『Justiφ's(ジャスティファイズ)』(ASIN:B000087EQ4)はオリコン初登場第9位だったらしい)。少なくともマニア層のみがCDを購入するのならこれだけの上位にならないことは確かである。


 先頃某政治家の娘のプライバシー報道で物議を醸した『週刊文春』に於て、グラビアアイドルの井上和香が「女が嫌いな女性芸能人」なる調査の第2位(ちなみにこの調査の第1位は『超力(ちょうりき)戦隊オーレンジャー』(95年)でデビューしたオーピンク・さとう珠緒である・笑)であることが紹介され、その理由として
 「一般的な女性はオタク的男性が嫌いであり、オタクが好むモノも嫌いである。まるでアニメのヒロインであるかのような容姿の彼女はオタク的男性が最も好むタイプであり、一般的な女性から見ると耐え難いのではないか」
 などとなんとも笑えない分析がなされていたが、それを考えるとミーハー主婦層も平気で楽しんでいる平成『ライダー』作品はもはやオタクだけの楽しみではなくなっているのであろう。
 これだけの一般的な地位も名声も獲得することのできた平成『ライダー』作品に対し、一介のオタクに過ぎない私のような者がブツブツ云っても今さら仕方のないような気もするのだが……

(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2005年準備号』(04年8月14日発行)〜『仮面特攻隊2005年号』(04年12月30日発行)『仮面ライダー剣』合評①より抜粋)

仮面ライダー剣 〜前半評③ 混迷を整理!脱却!!

(文・T.SATO)
(04年7月執筆)
 平成『仮面ライダー』シリーズ(00年〜)を支えたメインスタッフが、前作『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080120/p1)の中盤にて、実写版『美少女戦士セーラームーン』(03年http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)に移籍。
 プロデューサー&脚本家といった作品の中核が刷新された体制での、平成『仮面ライダー』シリーズ第5弾として、『仮面ライダー剣ブレイド)』(04年)の戦いの幕は切って落とされた。


 正直云って、初期編といわず1クール目は迷走といった印象。


 原因を主役陣の演技や滑舌に求める記事なども目にしたが、ヒーロー番組の主役がほとんどド新人であるという歴史は、今にはじまったことではない。
 そもそも筆者自身も幼少時の記憶を丹念にたどれば、物心ついた3歳児のころは、作品の大スジや絵で見せるシチュエーションは理解できても、劇中人物のセリフの内容の細部や言葉の意味などを理解して視聴していたワケでは決してなかった。
 自身の成長過程をふりかえっても、『ウルトラマン』シリーズの防衛隊員の名前の末尾にある“たいいん”“たいちょう”“ふくたいちょう”の意味を、誰に教わるでもなく前後の文脈の類推から、4歳児だったある日突然、一知半解にしても(笑)翻然として悟った記憶が残っているので、それ以前などは(多分それ以後の数年も)、セリフ理解としての作品理解ではなく、映像体験〜体感(怪事件、防衛隊VS怪獣、ウルトラマンVS怪獣のビジュアル)といった次元でのジャンル作品の理解だったのだろう。
 そしてそれで不足はなく充分でもあったのだ。


 そのイミで、本作『仮面ライダー剣』の初期編におけるセリフのわかりにくさそれ自体には、子供向け番組としてさほど重大な懸念はいだかなかったが……。
 3体登場する仮面ライダーに変身できる3人の若者の、映像それ自体で見せる描き分け――物理的な今いる居場所のちがいなり、映像で見せる3人の立場・性格のちがいなり――ができているようには思えないことに、やはりコレでは子供にもわかりづらかろうとの不満は覚えていた。


 まぁ要は、大多数の視聴者と結局は同じ、わかりにくいという不満を覚えたワケだが(笑)、そのわかりにくさの内実を腑分け・解剖してみて、より正確を期して把握してみたかった次第だ。


 仮に、あくまでも仮そめに本作初期編を、主役の仮面ライダーブレイドこと剣崎一真(けんざき・かずま)&副主人公の仮面ライダーギャレンこと橘朔也(たちばな・さくや)のダブルヒーロー制と捉えるならば、どうしても主役の添え物になりかねない副主役のギャレンを、主役のブレイドの先輩でありしかも強いという位置づけにしたこと自体には好印象をもっていた。


 が、そーいった意図での、仮面ライダーブレイド仮面ライダーギャレンのパワーバランスのキャラクターシフトではそもそもがなかったらしい(笑)。
 副主役のギャレンは#1ラストにして、ワル者っぽくなってブレイドと袂を分かつ。


 しかし以後、ギャレンは“強者”としての“敵”として、ブレイドの前にカッコよく立ちはだかるかのかと思いきや、ギャレン仮面ライダーに変身することにより派生する、自身の身の破滅のビジョンにうなされてしまい(ホントにボロボロに崩れていくイメージ映像を見せてくれて、コレについては判りやすいったら判りやすいけど・笑)、それによりだんだんと弱くなり、強くてカッコよくて頼れる、子供があこがれるような存在には見えなくなってしまう。


 作品世界の舞台設定がわかりにくいというのは、多少気になりはするものの、個人的には二次的な要素だ。
 しかし、展開の意外性ねらいとはいえ、登場人物自体が善であるにせよ悪であるにせよ、魅力的ではなくなってしまいかねない作劇は、やはりやりすぎの本末転倒ではなかったか?


 ただしそれも初期数話で、身の破滅を見せるビジョンが、本質的で宿命的なものではなく、仮面ライダーに変身するための科学技術(?)であるライダーシステムの副作用による、装着者自身の心の弱さが、単なる幻覚を見せていただけだとのタネ明かしがなされた。


 オッ、コレはこの作劇の欠点に気付いた製作スタッフの、早くもテコ入れの路線変更か!? カンゲイ!(笑)
 と思いきや、コレもそーいう意図のものではさらさらなかったらしい。


 仮面ライダーギャレンこと橘は、敵たる古代からの怪人集団(?)のアンデッドのひとりがあやつる組織に接触(拉致?)。古代の薬草の麻薬効果で強化されるものの、その効力が切れるとやはり弱くなってしまうという存在になりさがる。
 イイのか!? そんな作劇で(笑)。


 ……なぜこんな作劇になってしまうのだろう?
 あーなるからにはなるからの理由もあったハズだ。何の根拠もない、下世話な想像もついはたらかせてしまう。


 ベテラン脚本家・今井詔二(いまい・しょうじ)氏が、メインライターとして本作の企画会議に関わる前に、何だかんだいっても世間的にはやはり単なる子供番組である(笑)平成『仮面ライダー』シリーズを視聴していたとはまず思えない。
 やはり東映の日笠プロデューサーあたりに声をかけられ口説き落とされて、大急ぎで平成『仮面ライダー』の資料なりビデオなりをテキトーに数本だか数十本だか、ランダムに視聴して、世間サマなり主婦層なりマニア層での受容のされ方のイメージを大雑把に捉えれば、


 「平成『仮面ライダー』シリーズとは、あのようなイケメンでハイブロウで難解でナゾ解きで、人間描写や人間カンケイがドロドロで、善悪も明瞭ではなく、マンネリや様式美はなくて意外性重視の各話ごとにキッチリ終わらず次回へつづく……」


 というようなものが今ウケているらしいから、こーしようというイメージになったのではなかろうか?(笑)
 それで、本作はあーなったという……。
 (後日付記:本作終了後の特撮雑誌『宇宙船』での東映の武部直美プロデューサーのインタビューも読むと、難解で仲間割れでナゾ解きな初期編は武部センセの今井センセイへの指示だったようですね・汗)



 2クール目から、いよいよ本腰のテコ入れがはじまった。
 そのための仕切り直しのための準備もあろう。今まで単独脚本で来たメインライターの気分一新&充電のための周囲の配慮もあろう。今井氏は筆を中断。


 その序盤戦たる1クール終盤の#11、12において、本作のメインライターの予定だったともウワサされる――真偽のほどは知らないョ――宮下隼一(みやした・じゅんいち)氏が登板する。


 1クール終盤における、カテゴリーエースとかいう、要はフツーより強い怪人の蜘蛛(クモ)のアンデッドをめぐる話と並行して、本作3人目のライダーこと仮面ライダーカリスにして、人間の姿を持つものの、正体はアンデッド怪人の一種であるらしく、人間の感情もあまり理解できないらしい相川始(あいかわ・はじめ)の、ゲストたるストリートミュージシャンのアンちゃん――といっても冴えないメガネの帽子で首に手拭い(笑)のフォーク系――との奇妙な交流のドラマが描かれる。
 アンちゃん自身にも、敏腕音楽プロデューサーの父の存在を設定、自由人に見えたアンちゃんの、父の掌の上で動くにすぎないコンプレックスの父子相克を描きつつ、父子いずれにも理と非を与えて深みを与え、同時に人間でないライダーカリスこと相川始にとっては、その情景自体が理解も困難な事象でもあるディスコミュニケーションも描き、あくまで『仮面ライダー剣』中のワンエピソードとしてのドラマであることも忘れない仕上りを見せていた。


 実質2クール目の路線変更第1話ともいえる#13では、今井メインライターが再登板。
 正体は上級アンデッドという、旧来の『仮面ライダー』なら敵の中堅幹部に相当する存在と思われる、ダンディなグラサン男・伊坂の、強力怪人の蜘蛛のアンデッドの力を利用して、もうひとり……つまり4人目の仮面ライダーを作らんとする試みを、改めて再確認。
 人間ではない仮面ライダーカリスこと相川始を中軸に、多彩なレギュラーキャラの、各自ごとの立場や趣味嗜好に目的意識の再確認、設定の深化や念押しが図られる。


 偶然関わりを持ってしまい、互いに静かな愛着もいだきだした、しかし彼がホントウは人間でないことを知らない、(虎太郎(こたろう)の姉でもある)母&娘の天音(あまね)の未亡人母子家族と、相川始との相思関係。
 人間ではない正体を知るがゆえ、そして非力ゆえに独力では母子を救えない焦りも混じってか、相川始に改めて敵意をいだくも何もできない、主人公のサポーターでもある虎太郎クン。
 ライダーブレイドこと主人公の剣崎は、当初は相川始を懐疑するも、母子を守らんとしての敵怪人アンデッドと戦う彼を目撃して、虎太郎の立場とはまた違えた、軟化したビミョーな立場を取っていく。
 相川始もまた、ブレイド剣崎とは共闘せずとも、問われれば蜘蛛のアンデッドの秘密と目的を教授・警告するようにもなっていく。
 独自に戦うはぐれアンデッドらしい相川始ライダーカリスは、蜘蛛のアンデッドをめぐって、敵アンデッド集団の配下となった橘ことライダーギャレンとも対決! しかし強化したギャレンにかなわず敗北して吊り橋から転落!
 のちに現場にかけつけた主人公・剣崎は、橋下に倒れた相川始を発見し、仲間にもヒミツで介抱し……。
 他にもイロイロあって、ついに剣崎の「(母子の)そばにいて守れよ!」との言葉に、相川始の行動原理も確固とした、迷いと曇りのないものになっていき、作品世界の一角の腰も座った。


 ウ〜ン、多数いるキャラの見事なまでの仕切り直しだ。
 ……一方、敵の配下になりさがったかと思われたライダーギャレン橘も、蜘蛛のアンデッドを封印したカードを渡さず、上級アンデッド・伊坂に反逆!
 そしてよもやの、橘の恋人こと女医の小夜子(さよこ)の死。
 悲しみをバネに、小夜子を毒牙にかけた上級アンデッド・伊坂を、ついに打倒し、小夜子の死が達観させたのか破滅幻覚の病からも脱する橘ギャレン


 焦りからも開放され、小夜子の死には沈むも、橘さんはいいヒト度が高くなっていく。
 小夜子の死を知り、ヒロイン栞(しおり)は気を引き締める。虎太郎も住居のアンデッド探索用の衛星パラボラアンテナを少しでも高い場所に設置せんとし、せめて分に応じた自分の出来ることを健気に尽くさんとする。


 ……何だか、面白いかもしれない。
 いや、面白くなってきた!
 急転直下の意表外な展開で、作品世界自体を大整理。
 物語自体も、4人目の仮面ライダー用の変身ベルトの出現と、それをめぐる攻防とナゾを探る物語に再整理。
 2クール目出だしのテコ入れは、個人的には成功したと見た!


 2クール目以降は、『仮面ライダーアギト』(01年)と『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年)のメインライターはもちろん、『仮面ライダークウガ』(00年・https://katoku99.hatenablog.com/archive/2000/11)以降の平成『ライダー』全作に関わってきた脚本家・井上敏樹が再登板。
 さらには『仮面ライダー』史上において、雑誌編集者時代、80年代中盤の旧1号至上主義の時代に、特撮雑誌『宇宙船』誌上において、『仮面ライダーX』(74年)とそのメインライター長坂秀佳(ながさか・しゅうけい)をはじめて評価した脚本家・會川昇(あいかわ・しょう)も初登板。
 (ちなみに第1期ウルトラ至上主義の時代の同時期に、『ウルトラマンエース』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)と市川森一(いちかわ・しんいち)にはじめてスポットを当ててみせたのも會川)


 共に今では、あまたのアニメで常に途切れず、シリーズ構成をつとめつづけるベテランの大家といってイイふたりだが、アニメ界の通例・常識で冷静に考えてみれば、メインライター級が2人(今井センセを含めれば3人か?)もいるともいえる豪華な布陣といえるだろう。
 特に會川はアニメと両刀使いとはいえ、出自的には特撮寄りであるし、90年の『ウルトラマングレート』につづき、ついにめぐりめぐって昨03年の『爆竜戦隊アバレンジャー』(・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031112/p1)のサブメインライターを経て、『仮面ライダー』までをも執筆する幸運・栄誉にもめぐまれたワケだ。その心境はいかばかりか?(……ってイイ歳こいてお仕事だから冷静か・汗)
 彼らの活躍の詳細については、他の寄稿者たちの筆に任せたい(……単に筆者の視聴が、2〜3カ月分ほど遅れているためです)。

(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2005年準備号』(04年8月14日発行)〜『仮面特攻隊2005年号』(04年12月30日発行)『仮面ライダー剣』合評③より抜粋)


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仮面ライダー剣』 〜全記事見出し詳細一覧

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  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041107/p1

仮面ライダー剣 最終回 〜終了合評 會川ヒーローは痛みと深みを増して

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041113/p1



『仮面ライダー』シリーズ評 〜全記事見出し一覧

*1:筆者(内山)の崇拝する脚本家。メインライターをつとめた子供番組にはほかに『おもいっきり探偵団 覇悪怒組(はあどくみ)』(1987)、『宇宙鉄人キョーダイン』(1976)後半がある。『仮面ライダースーパー1』のヒロイン・草波ハルミや浅野温子主演『アヒルから白鳥になった女』(1987)、山田邦子主演『空港で待つ女』(1989)などの命や人生を投げ出しても愛をつらぬくヒロインたち、『不良少女とよばれて』(1984)の哲也、『ヤヌスの鏡』(1985)の堤邦彦、『プロゴルファー祈子(れいこ)』(1986)の信也といった恋した少女を非行や二重人格の闇からすくいだし光のさす場所につれだすことに命をかける騎士たち、悪女にだまされて利用されそのことに気づいてからも破滅していく道をえらぼうとする前科者、傷つける形でしか女性を愛せず警察と自分の属していた裏社会双方に追われる道をえらんでまで女をうばった男を地獄へおとそうと執念をもやすヤクザなど愛に殉じる人々の姿を描くことが多かった。好きになった人のために生きるのではなく、好きになれる人をさがす輩のドラマが世の中心をしめるようになってから時代おくれとされたのか、テレビ界を去っていかれた。

*2:本作の日笠淳プロデューサーが担当した『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031112/p1)では敵の姫リジェ役の鈴木かすみちゃんが人気。アバレッド伯亜凌駕の姪・伯亜舞(はくあ・まい)役の坂野真弥ちゃんはその前年、レギュラードラマを2本持っていた女の子。今年(2004)は映画『茶の味』(2003)でカンヌ映画祭にも出かけた。これら2人の人気を、イケメンに継ぐ第2の鉱脈と考えたのか重要な役で天音ちゃんが登場。
 一般のドラマ界ではここ数年、一部をのぞき子役が下火でテレビドラマにおいては2時間ドラマが主な活動場所となっていたのだが昨03年、反町隆史主演『ホットマン』(TBS)で山内菜奈ちゃんが注目されてから子役を重要なポジションにおいた番組が作られるようになり、森迫永依(もりさこ・えい)ちゃん(後日付記:06年に実写版『ちびまる子ちゃん』主演)・山田夏海ちゃんらが輩出、さらに今年04年はSMAPの草彅剛(くさなぎ・つよし)主演『僕と彼女と彼女の生きる道』(関西テレビ・フジテレビ系)の凛ちゃん役・美山加恋(みやま・かれん)ちゃんの人気が大爆発、昼ドラでは『牡丹と薔薇(ぼたんとばら)』(東海テレビ・フジテレビ系)の小池彩夢(こいけ・あやめ)ちゃんの活躍がめだった。これらの子たちの大半は割りと早く次のレギュラーを与えられ単発やゲスト出演も多い。それらをうけて4月期の連ドラは深夜枠をのぞき大半が子役をレギュラーにくわえる事態となった。7月期もどちらかと言うと脇役が増えたものの子役のレギュラーものは多い。
 しかし、なんというか、リジェ人気は「がんばってネ」とキスしておくりだしてほしい人が支えているのだろうと思うし、凛ちゃん人気は子供に横柄な口のききかたをされて嫌な思いをしている親たちが「はい」とていねいな返事をされたくて酔っているのだろうし(凛ちゃんの「はい」はわがままを言えない家庭環境ゆえの悲しい状況の表れなのに)、なさけない想いがしないでもない。
 おじの虎太郎をけなしたりする天音ちゃんはその等身大さが人気を呼ばないのか今のところ話題になっていないようだ。美人タイプではないことも原因かもしれないが、そんな子ゆえのかわいさが出てはいると思うのだが。

*3:24話に登場し、画期的兵器でアンデッドたちをたおすもののあっけなく大半が殺されてしまったアンデッドハンターの面々。マニア出身の會川氏であるだけに『仮面ライダーV3』(1973)29〜36話に登場したインターポールのデストロンハンターへのオマージュか?