(ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映開始記念「全話評」連動連載開始!)
#5『パッセージャー号地底突破!!』
地底怪獣タフギラン
タフギラス登場
(作・若槻文三 演出・石田昌久 怪獣原案・鯨井実)
(サブタイトル表記の他、地底子怪獣タフギラコ登場)
(視聴率:関東11.2% 中部8.8% 関西11.0%。
以上、ビデオリサーチ。以下、ニールセン 関東13.6%)
(文・内山和正)
(1997年執筆)
サブタイトルの二体の他、彼らの子供である地底子怪獣タフギラコ二匹が登場している。
作品内では単にタフギラコとしか呼ばれていないが牡(オス)と雌(メス)であるらしく講談社の『ウルトラマン大図典』(1991年刊・ISBN:4063225011)ではタフギラオとタフギラコに分けられていた。
多少の欠点はあるにしても、とても楽しく観てきたこれまでの初期4本に比べ、個人的にはそれほど楽しめなかった。
人の名前は覚えようとせず自分のペースで行動する、科学警備隊アフリカゾーンから来た日系ハーフ、ヘンリー・ニシキ教授(ベテラン声優・熊倉一雄の演技も絶品!)の派手なキャラクターが印象的な回であるが、むかしリアルタイムで観ていたときのその派手さが強烈に心に焼き付いているので(笑)、新鮮さが得られなかったのだ。
初登場の地底ドリルタンク・パッセージャー号による地底調査シーンは、地底怪獣ものとして懐かしさを感じさせるものであるが、それ以上の何かを与えてくれるものでもない。
ただニシキがただの馬鹿ではないことを示しながら、木を食い荒らす怪獣親子の存在の深刻さを視聴者に感じさせるニシキとアキヤマキャップの会話の部分は良い。
また、冒頭のヘタなようなうまいような絵で描かれた、のどかな田舎の風景の中をトラクターで進む農夫が突然叫ぶ
「森が消えた!!」 (風景も開けた荒野になっている)
は期待を持たせてくれる。
※:製作No.6『アフリカから来た台風博士』
シナリオでは、別名は「森食い怪獣」名義。
編集者付記:
本作『ザ☆ウルトラマン』の「怪獣原案」名義で、その名前を多く見かける鯨井実氏。
#1の担当者が特撮美術のベテラン・高橋昭彦(現・井口昭彦)氏であったことから、「怪獣原案」とは“怪獣デザイナー”のことを指すと思われる。
この鯨井実氏は、第2期ウルトラシリーズ『ウルトラマンタロウ』(73年)・『ウルトラマンレオ』(74年)の「合成作画」担当者としてもそのお名前を見かける。
70年代後半、第2次怪獣ブーム(70年代前半)と第3次怪獣ブーム(70年代末期)の間隙の、TV特撮や特撮映画の作品数が激減した通称「特撮冬の時代」に、舶来SF大作『スター・ウォーズ』(77年・日本公開78年)に先に釘を打つべく公開された東宝SF特撮『惑星大戦争』(77年)に登場する金星大魔艦のフィニッシュデザイン担当者にもこのお名前を拝することができる。
70年代初頭のジャンルファン活動の黎明期から老舗サークル・アニドウ(アニメーション同好会)の会誌「FILM 1/24」の編集・執筆として活躍され、70年代を通してアニメーターとしても活躍、現在はアニメーション研究家であらせられる五味洋子(旧名・富沢洋子。特撮マニア的には老舗特撮サークル「PUFF(ぱふ)」代表の故・富沢雅彦氏の姉君)氏。
その五味氏のつい最近の記事(09年4月)であるのだが、ネット媒体「WEBアニメスタイル」内での五味氏の連載「アニメーション思い出がたり その54」(http://www.style.fm/as/05_column/gomi54.shtml)によると、『タロウ』『レオ』の鯨井氏は、TVアニメ『魔法使いサリー』(66年)や『ひみつのアッコちゃん』(69年)の作画スタッフにお名前を見かける同名の御仁と同一人物であるとのことだそうだ。
おそらく『惑星大戦争』や本作『ザ☆ウル』の怪獣原案を多数担当された鯨井氏とも同一人物であろうと推測するのだが、真相はいかに……。
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ザ☆ウルトラマン#5「パッセージャー号地底突破!!」
(当該記事)