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ザ・ウルトラマン28話「新キャップが来た!!」

ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)


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#28『新キャップが来た!!』

合体怪獣ダバラン登場

(作・吉川惣司 演出・八木岡正美 絵コンテ・蛭田充 怪獣原案・山口修)
(サブタイトル表記の他、象怪獣・翼竜怪獣登場)
(視聴率:関東9.7% 中部11.7% 関西8.8%)


(文・内山和正)
(1997年執筆)


 科学警備隊は象怪獣を冷凍して倒し基地へ運び込もうとする。
 が、豪腕な科学警備隊の新キャップ(隊長)のゴンドウ大助は、それを軽率な態度と非難し近くの山へ運ばせる。
 さらに帰還した隊員たちに徹夜で体力づくりのトレーニングとレポート執筆をさせる。
 新キャップに恥ずかしくないようにと頑張ってきたみんなの気持ちを判ってくれと訴えるヒカリ隊員の言葉を女子学生のようだと評す。
 隊員たちは反感を持ちキャップなどはいらないと長官に直訴する。そんなときゴンドウの危惧どおり象怪獣が動きだした。
(以上、ストーリー)


 ゴンドウの初登場シーンは謎の男としてジョギングトレーニング中のヒカリが出会うという形である。
 「ウルトラマンに選ばれてからトレーニングを欠かさない」との第15話「君がウルトラマンだ」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090808/p1)で明かされた設定を踏襲しているのが嬉しく、あのときはやや唐突に思えた設定に命が吹き込まれたといえるだろう。


 多くの視聴者には謎の男こそが新キャップだと判ると思われるものの隠しておきたかったのだろう、オープニングはまだアキヤマ前キャップバージョンである。(次回から変更)


 新キャラクター登場回だけに各キャラクターの行動が派手。
 隊員たちの隊長無用発言はリアルに考えれば軍人らしからぬし、ゴンドウものちに比べると有能ぶりを見せているが、視聴者へのインパクトを強くするためであろうそのスパルタぶりは、隊員たちを強化するよりも疲れさせて、いざというとき働けなくしてしまうのではないかと感じさせた。


 ヒカリ隊員(の絵)がいつもよりもきつく描かれており、ゴンドウへの反発を表わすのに適している面もあるが、おそらく意図してのことではなく製作現場の乱れからだろうと察せられるだけに、不自然な凶悪さを持った絵になっている。
 またゴンドウを隊員たちが心から認め必要とする結末は展開からいって個人的には信じがたく、少し認めそのあとの回で徐々に信頼していく展開にした方が良かったのではないか
 (当時の子供番組の常道や作り手たちの価値観としては許されにくい展開か)。


 ダバランは合体怪獣という設定が、宇宙という未知の場所から来た怪獣であることと適合し、専門の研究者にも死んだように見えながらまだ生きていた能力とともにこれまでの敵とは違う強敵とのイメージを持たせるものの、その形態が象怪獣と翼竜怪獣という既成の地球の生物を想起させる怪獣の合体なのは、宇宙怪獣というイメージに合っていないのではないか?
 余談だが、象怪獣は巨大ロボットアニメ『勇者ライディーン』(75年)某話に登場した敵の巨大怪獣を思わせる(記憶違いか?)


 太陽を背にしたウルトラマンが逆光で黒くなる演出はこの番組としては新鮮で魅力的だった。



◎本話の絵コンテを担当した蛭田充(ひるた・みつる)氏は、漫画家・永井豪ダイナミックプロに参加して一時アニメーターに転進したともいわれていたあの漫画家の蛭田充氏か?
 蛭田充氏は70年代前半の第2期ウルトラシリーズの時代に、月刊「別冊少年サンデー」に『ウルトラマンA(エース』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)のコミカライズを担当し、70年代後半の第3期ウルトラブームの時代以降、氏の『A』の漫画が度々復刻(ASIN:B000J8LKSEASIN:B000J8LKS4ASIN:B00007CFND)されたことでも知られ、『ウルトラ』にも縁のある御仁。


◎怪獣原案(デザイン)は、本作の主役ウルトラマン・ジョーニアスのデザインや、次作『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)のウルトラマンエイティ自身のデザインにその登場怪獣のデザインも担当した特撮デザイナー・山口修氏が、初期編以来ひさしぶりに担当。



※:製作No.28『新キャップ・ゴンドウ(仮)』
 シナリオでは、「合体怪獣アイバラン」名義。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊98年号』(97年12月28日発行)『ザ☆ウルトラマン』特集・合評3より分載抜粋)



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