(ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)
ザ・ウルトラマン#34「盗まれた怪獣収容星(前編)」 ~宇宙怪獣ゴードリアン・ジナリオ・グロテング・プラズーン・アグジョン・ズーマ・グロル・デスパワー!
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『ザ・ウルトラマン』第35話「盗まれた怪獣収容星(後編)」 〜エレク&ロトが代理参戦! U40の超巨大UFO! ウルトラ人の地球人への記憶消去も再現!
#35『盗まれた怪獣収容星
宇宙怪獣群登場(後編)』
(作・平野靖司 演出・八木岡正美 絵コンテ・満田かずほ)
(サブタイトル表記の他、宇宙海賊インベド人・宇宙怪獣プラズーン・宇宙怪獣グロテング・宇宙怪獣ジナリオ・宇宙怪獣アグジョン・宇宙怪獣グロル・無名怪獣。前回あらすじで宇宙怪獣ゴードリアン登場)
(視聴率:関東12.4% 中部13.1% 関西10.8%)
(文・内山和正)
(1997年執筆)
ウルトラマンジョーニアスを倒したゆえか、宇宙海賊インベド人の宇宙船団は3匹の怪獣を回収して去っていった。ウルトラマンと合体している主人公・ヒカリ隊員は死ななかったものの、傷付いて入院してしまった。
怪獣収容星・プリズンに取り残されたトベ隊員たちの救出を要請するゴンドウキャップ(隊長)。しかし、救助隊の命の危険から、地球防衛軍・極東ゾーンの桜田長官は拒絶して、ゴンドウ自身が助けに行くことも止めさせる。
敵の攻撃が再開された。今度はムツミ隊員までもが重傷を負ってしまった。
ゴンドウキャップとふたりだけで戦いながら「こんなときにウルトラマンが来てくれたらなぁ~……」と口にする、科学警備隊のコミックリリーフことロボット隊員・ピグに対して、
「ウルトラマンがいつも来てくれるなんて思うな! 今は俺たちしかいないんだ!!」
と言うゴンドウ。
すると、そこへウルトラの戦士・エレクとロトが現れた!!
(以上、ストーリー)
次々と減っていく隊員たち…… これだけの危機になるのは、本作どころかウルトラシリーズでも初めてのことだ。「爬虫怪獣編」ともいえる、19〜21話「これがウルトラの星だ!!」3部作(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090913/p1)とも競えるほどの最悪の事態といえるだろう。
そのなかでゴンドウキャップが吐いたセリフは、「ウルトラマンがいつも助けに来てくれるとは限らない」という「自覚」や「戒(いまし)め」とともに、地球防衛の任にありながらも「助けられてきた者」としてのウルトラマンへのちょっとした「反感」や「ライバル心」を感じさせて興味深い――もちろん、ウルトラマンに感謝もしてはいるのだが――。これまでの回にも、それはなんとなく窺(うかが)われはするのだが。
この回はメインライター・吉川惣司氏によるものではない。しかし、この「自覚」の面では、このときのセリフが本作最終回の「テーマ」と「ストーリー展開」を支配したのかもしれない。
そのあとのピグのセリフである、
「やっぱり来てくれたんだなぁ~、それもふたりもなんだなぁ~」
によって、作品の志向性は別の方向、つまりは「テーマ性」より「娯楽活劇性」の方向へと向かっていく。
しかし、このふたりのウルトラマン(エレクとロト)が助けに来てくれたことについての意味解釈は、誰の立場に立つのか、地球防衛に責任を持つゴンドウの方か? 超人に依存するしかない弱者や凡人の代表であるピグの方か? といったことで変わってくる、重層的な構成だったといえる(実際にも、戦力的にはゴンドウやピグだけでは解決できない事態であったことも事実なのだし……)。
エレクとロトは劇中では初めて怪獣と戦って、ふたりで3匹を倒す!
●20話「これがウルトラの星だ!! 第2部」(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090914/p1)
●27話「怪獣島(じま)浮上!!」(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20091102/p1)
●29話「悪魔のUFO大襲来」(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20091115/p1)
上記のエピソードのように、エレクとロトが敵の宇宙船などを壊すのも良い。しかし、やはりウルトラマンは怪獣と戦うこともないと一人前(?)ではないと思う。特撮系の先輩ウルトラマンたちとは違って、番組の主役を張ったことがないだけに、エレクとロトには変身前にも後にも、外見以外の違いや、宇宙人と地球人との二重人格の並存などから来る、飛躍の妙などがないあたりは惜しまれるところだが……
この戦いのあとで、ヒカリ隊員と我らがウルトラマンジョーニアスの治療にへと病室を訪ねたエレクたちだが、同様に重傷を負っていたムツミ隊員もついでに治療をしてもらうように懇願したことに対して、「地球人を連れていくのは……」と一度は拒(こば)んでしまう。しかし、ヒカリ隊員の「ウルトラ人ってのはそんなに冷たかったんですか!?」との抗議で、治療設備の整ったウルトラ人の超巨大UFOへ連れていくことになる。
このあたりは、「宇宙の平和を守る正義の味方」であり「地球の兄弟星」でありながらも、その遠未来人的な飛躍した超合理主義・価値観・行動原理と、地球人のそれとの間に距離の隔絶を感じさせてくる。これもやはり、19~21話における「これがウルトラの星だ!!」3部作のラストにて、ヒカリ隊員のウルトラの星・U40に滞在中であった時期の記憶のみを消してしまった、地球の現代人の感覚としては非倫理的にして人権無視、あるいは個人としての私情についてはあっさりと否定してしまえるようにも見えるあたりの設定を活かしているともいえるだろう。
ついでに、ウルトラ人の超巨大UFOもまた、「これがウルトラの星だ!!」3部作に登場した超メカの再登場であったあたりも嬉しいのだ。
一方、怪獣収容星・プリズンに取り残されていたトベ隊員・マルメ隊員・EGG3の隊員らの4人は、この星の地表面に偶然、ウルトラの星・U40(ユーフォーティ)人の設備を見付けて、彼らの武器だとは知らぬままに怪獣群への反撃を開始して、ウルトラマンジョーニアスに救われるまで持ちこたえてみせる。
前話においても、トベ隊員が不在のために、地球側では大型戦闘機・スーパーマードックの修理が順調には進まないと語られていた。本話においても、トベ隊員の技術力が生かされている。新キャップ・ゴンドウ登場以降は、各隊員のキャラクターがじゃっかん薄くなっている気配もあったなかで、彼らにも良いところを見えてくれるような大活躍は、やはり喜ばしい配慮であった。
超医療によって回復を遂げたヒカリ隊員・ムツミ隊員、そしてプリズンにいたトベ隊員らは、ウルトラ人の超巨大UFOによって地球へと戻される。しかし、やはりその間の記憶が定かではなくなっていた……
脚本家は別でありながらも、これも以前の「これがウルトラの星だ!!」3部作のラスト(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090920/p1)での描写を踏襲(とうしゅう)している。これは31話「ウルトラの女戦士」(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20091129/p1)でも同様であったが、ウルトラ人によるそのような処置の倫理的な是非はともかく、作品としての整合性の面ではスジが通っているので、不謹慎でも嬉しくなってくるのだ。
地球で暴れていた3匹の怪獣のうち、第1次攻撃の際は怪獣グロテングが、第2次攻撃の際は怪獣プラズーンが、いつの間にか怪獣アグジョンにスリ変わっているなど、制作現場の混乱も細かいところにまで目配せしてしまうマニア的な人種には目につくだろう。
惑星プリズンには、アグジョンが何匹もいるのか、何回も登場してくる。複数の個体がいてもおかしくはないのだが、手抜きか意図せぬ混乱であろう。我らが主人公・ウルトラマンジョーニアスが唯一倒すのが、名もない手抜きの絵の怪獣であったのが、少々残念ではある。
しかし、そういった細部を除けば、実に見応えがある前後編のエピソードであった。
※:製作No.36『盗まれた怪獣収容星〈後編〉』
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