假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありませんので、悪しからず!(笑)

ザ・ウルトラマン45話「爆弾を抱いたピグ」

ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)


『ザ☆ウルトラマン』全話評 〜全記事見出し一覧

#45『爆弾を抱いたピグ』

積雲怪獣ゴルディング登場

(作・平野靖司 演出・辻勝之 絵コンテ・古川武 怪獣原案・渡部昌彦)
(サブタイトル表記の他、アンドロイド201部隊登場)
(視聴率:関東8.0% 中部11.3% 関西12.5%)


(文・内山和正)
(1997年執筆)


地球防衛軍の201(にいまるいち)部隊にすりかわったヘラー軍団のアンドロイドが極東ゾーン基地に侵入、主要設備の爆破を行なう。
 視聴者に与える効果の上からいうと、最初から怪しい姿で現われるのでは恐くはないのではないか。
◎巨大戦闘艦ウルトリア内での隊員とアンドロイドたちの銃撃戦があるが、隊員たちは無傷で現実感もサスペンスもなし。
 唯一ヒカリ隊員とジンダ隊長(に化けたアンドロイド)の林での一対一の戦いがスリルを持たせる。
◎自分では気づかぬまま移動爆弾にされた科学警備隊のロボット・ピグの乗った巨大戦闘艦ウルトリアを救うため、ウルトラマンは人間大と通常の巨大サイズへの身長変化を繰り返す。ここが今回の一つの見所か?
◎怪獣ゴルディングは付録的な扱いで残念。


※:製作No.45『消えた201部隊』


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊98年号』(97年12月28日発行)『ザ☆ウルトラマン』特集・合評3より分載抜粋)


#45『爆弾を抱いたピグ』

(文・T.SATO)
(2010年執筆)
 本作も終盤に差し掛かる。
 筆者が観るところでは、本エピソードも佳作。


ナレーション「地球防衛軍・極東ゾーンの201(にいまるいち)部隊を乗せた輸送機が、北方基地より富士山麓にある極東ゾーン基地をめざして飛行していた」


 どこか不穏な前兆をいだかせるBGMが響く中、鋭角的なスーパーメカではなく、現実の軍用機を模写したメカデザインなのであろう、胴太の輸送機が雲海の上を飛ぶ。


 とはいえ、機体内の無骨な薄暗い内装には機体の横カベを背に、前から後ろまで一列に簡易な硬い座席がしつらえられていて、向かい合わせに小銃をかついだブーツに迷彩服姿の隊員たちが、任務か訓練を果たして帰還するのであろう、ホッとして一息か脱力しつつ、ある者はヘルメットも脱いで傍らの隊員たちと談笑している光景が描かれる。
 その数は数十人といった大所帯。


 そして、最前列にひとり咥え煙草(タバコ)でいる頼もしい隊長らしき人物を、一連のワンカットでカメラのパン(ヨコ移動)の最後に写して、彼が特別な存在であることを示唆もする。


 そのとき、輸送機のパイロットたちは操縦席でキャノピー(風防ガラス)越しの先方に、怪しい雲が盛り上がるのを目撃する。
 積雲に突入した輸送機は風雪に見舞われて、操縦桿が思うに任せないパイロットの恐怖の表情を描きつつ、機体が雲海の影に隠れるや、爆音のような響きとともに光が雲を照らした!


ナレーション「この瞬間、輸送機はレーダーから消えた」


 演出的には、いかにも怪しい事件がこのタイミングにて起きたことを視聴者に予期させる……。


 その数時間後の夜間、我らがレギュラー・科学警備隊隊員たちも司令室で待機する中、乗員は全員無事との報告とともに輸送機は帰還してきた。
 司令室内の隊員たちが見守る中、ヨコにも広い大窓から確認できる極東ゾーン敷地内に輸送機は着陸する。


 ショッキングな効果音的ブリッジBGMとともに、隊長を先頭に機体から陸続と降りてくる201部隊。
 特別にロボット的に無機質ということはないが、その顔面は無表情であり不敵な面構えもしている。
 先の隊員たちの談笑風景とBGM演出ともあいまって、彼らはいかにも怪しいですよ〜という映像演出がここでもほどこされている。


 もちろん犯人探しが主目的であるミステリ・推理ものではなく、彼らとの銃撃バトルが主眼となっていくのだから、だれが悪人であるのかを明瞭にしてメリハリを付ける演出自体は、問題視されるには当たらないであろう。


 トベ隊員は当然のことながら、レーダーから消失した原因および着陸遅延の報告が201部隊からなかったことを訝(いぶか)しむ。
 単に忘れたんじゃないのか? と安直に考えるマルメ隊員とロボットなのにイイカゲンなピグ(笑)との対比で、キャラの描き分けも行いつつ、「ジンダ隊長はマジメで優秀な人物だと聞いている。そんなヒトが報告を怠(おこた)ると思うか?」と事態の重大性・異常性を念押し。


 もちろん真にリアルに考えれば、軍事組織にかぎらずサラリーマンでも無断欠勤などはアリエナイことなのだが(笑)、そこは悪いイミではなく所詮は子供番組なのだから、マルメ隊員やピグのような素朴なツッコミも、劇中内では許容されてしかるべきだろう。


 ジンダ隊長に直接事情を問いただそうと歩を進めたトベ隊員は即座に、荷物を台車で輸送している201部隊員たちと遭遇する。
 ジンダ隊長の居場所を尋ねるも、無言で親指だけで後方の居場所を指し示すだけの部隊員。輪をかけて怪しい。


マルメ隊員「愛想のないヤツらだなぁ〜〜もう」


 彼らの怪しさは、マルメ隊員の日常常識的な礼儀の不備の次元に留められて、劇中内では一旦打ち消された(笑)。


 しかし、指し示された先の部屋にジンダ隊長がいなかったことで、疑問は再浮上する。
 科学警備隊司令室でトベとマルメがゴンドウキャップ(隊長)に201部隊への不審を提示する中、ここで急展開!


 爆発音が鳴り響いた! 停電も発生して室内は真っ暗となる。
 即座にウス暗い非常灯が付けられるも、一般の警護員から「発電室が爆破された」旨(むね)が口頭にて報告される!


 基地内の地下であろうか、炎上する巨大な発電施設を、消化班であろうホースを抱えた数名の隊員たちが消化にこれ努めていた。


ムツミ隊員「これだと、基地全体の活動にかなりの支障が出るわ」
トベ隊員「これは発電室のトラブルじゃない。かなり強力な爆弾で爆破されたんだ」


 科学警備隊の各隊員たちはそれぞれ銃を構えて、一般隊員たち数名も率いて、極東ゾーン基地内にて201部隊員たちを捜索する。
 すぐに銃撃戦が開始されるワケではなく、タメ・前哨として、まず彼らが目撃するのはすでに事切れた一般隊員たち数名の死体!
 そのかたわらには、先に201部隊員たちが輸送していた物品と同じものが!
 耳を近づけると、中からカチカチと音が聞こえる。そう、それは時限爆弾であったのだ! 爆弾処理班を要請するマルメ隊員。


 基地内での大事件に、イレギュラーの極東ゾーン長官こと桜田長官と宮井副官も本話では登場。
 事の重大さも視聴者に印象付けて、爆弾が何発も仕掛けられた可能性という危機にも言及しつつ、次のシーンからは戦闘ショータイムも開幕!


 基地内を一般隊員たち数名を率いて捜索しているトベ隊員とマルメ隊員。そこで目撃する201部隊員数名。


トベ隊員「おい、おまえたち、待て!」


 返答もせずにいきなり撃ってくる201部隊員! 射殺されてしまう一般隊員1名!


 カドに身を隠しつつ、基地内での銃撃戦が勃発!


 トベ隊員が1名を撃ち抜いて、相手が倒れ伏すや、その顔面がハガれて、中からメカが露出する。


トベ隊員「(驚愕)ヤツらはアンドロイドだ!」


 残りの201部隊員たちは逃げ出していく。マルメ隊員にあとを任せて、トベ隊員は倒れたアンドロイド捕獲のためかその場に居残る。
 かたわらの一室内の一般隊員たちに呼ばれて行くトベ隊員。そこには白衣姿の研究職の人々数名の死体が! そして部屋の隅には先の201部隊員たちが仕掛けたとおぼしき例の爆弾も!


 201部隊員は、逃げた先で一般隊員たちと遭遇し、マルメ隊員たちにも追いつかれて、挟み撃ちに合い、ヨコ道にそれて基地内の射撃練習場へと逃げ込む。そして銃撃戦!


 敵が催眠術にかけられただけの人間であっては、子供向け番組としては、一般のハリウッドのアクション映画のように殺傷することがあたわず、シチ面倒クサい展開となってしまうであろう。
 しかし、アンドロイド(人間型のロボット)であることが判っているため、悪いイミでなしに罪悪感なくサクサクと敵をやっつけていくことができる。


 とはいっても、異形(いぎょう)の宇宙人相手に爽快感あふれる近未来的でスマートなバトルを展開して、アクションのカタルシスにも特化する……といった感じでもない。
 地べたを這いずり回る現実的・ミリタリック(軍隊風)なヤボったいバトルと近未来バトルとの中間地点の風情・興趣をねらったのか、201部隊員たちを撃破した科学警備隊の隊員たちの顔の表情は、油汗を浮かべた後味の悪そうなキビしい表情に演出されている……。


 アンドロイドの死体を前に、科学警備隊隊員たちは長官と副官に事態を説明する。本物の201部隊員たちは「多分、すでに……」というゴンドウキャップのシビアな展望も交えつつ……。


 もちろんコレにより物語も、本物の201部隊員たちを奪還するという、バトルに特化した内容ではないレスキューものの方向には行かないことを念押しする作劇的意味でもあろうけど。
 そして連中との攻防に加えて、あるいはそれ以上に、敵に設置されてしまった時限爆弾探しの重要性……というサスペンス要素も加味される。


 ウス暗い司令室でひとり居残る科学警備隊のロボット・ピグ。
 そこにアンドロイドのジンダ隊長が出現! ピグの太鼓腹のフタを開けさせて、ジンダ隊長が内部の配線を強引にひきちぎったところで、ピグは悶絶。
 目覚めたときには、ピグはその間の記憶がなく調子も悪くて(笑)、ペットの小猿・モンキの姿も見えなくなっていた。


 ヒカリ隊員とムツミ隊員は、巨大戦闘艦ウルトリアの内部が時限爆弾の設置場所として怪しいとにらむ。
 ウルトリアの甲板に201部隊員が1名いるのを確認するのを見るや、ムツミ隊員に近くの大型クレーン車を操縦させて、クレーンの釣鐘からヒカリ隊員はひそかに甲板に乗り込まんとする。


 ここでもサスペンスあふれるワンクッションのアクションタイム。上昇中のヒカリ隊員に気付いた201部隊員は甲板上から彼を狙い撃ちにする! クレーンのロープを大きくゆらして銃弾を避けるヒカリ隊員!
 ピグにクレーン車の操縦を任せたムツミ隊員機転の一撃必殺の銃撃に201部隊員は射抜かれて、ヒカリ隊員は難を脱した。


 以上が30分もの前半Aパートで、すでにしてボリュームたっぷり。


 Bパートはウルトリア内部に潜入したヒカリ隊員と201部隊員たちとの銃撃戦闘からはじまる。
 基地内でもゴンドウ・トベ・マルメ隊員らが敵と応戦。


マルメ隊員「なんてヤツらだ。ウルトリアが爆発したら自分たちも吹っ飛ぶっていうのに!」
トベ隊員「ヤツらはアンドロイドだ、死ぬっていう感覚はないのかもしれないな」
マルメ隊員「オレはまだ死にたくないぞ!」
トベ隊員「(オドケて)あったりまえだ〜〜」


 とのヒューマンな会話も戦闘のさなかで交えつつ、大銃撃戦の末に、ようやっと大人数の敵部隊を鎮圧することに成功する!


故障したアンドロイド「ホ・ウ・コ・ク・シ・マ・ス。バ・ク・ダ・ン・5・ハ・ツ、セ・ッ・チ・カ・ン・リョ・ウ・シ・マ・シ・タ。(中略)ヘ・ラ・ー・グ・ン・ダ・ン・ニ、エ・イ・コ・ウ・ア・レ」


ゴンドウ「今までヤツらは3発の爆弾を設置している。あと2発だ! ウルトリアの中を徹底的に探すんだ!」


 今から見るとアナクロ(時代錯誤)な古めかしいロボット喋り。
 文章化して説明をほどこしてしまうと、ワザワザ報告を音声にて、敵方(科学警備隊)に手の内を明かしてしまうものなのか!?
 なとというイジワルなツッコミができる余地も想定されてしまうかもしれないが(笑)、30分もの子供向け娯楽活劇作品として、映像演出的にはサクサクと流れていくので、実際の視聴ではそのような脇のスキはさして気にはならないハズ。


 ここでは、銃撃戦の次に来るサスペンスとなっていく、爆弾があと2発残っており、しかもそれが先にも示されている通り、時限爆弾でもあるという二重の危機の事実が改めて示される。


 ここで初めて、本作第4クールの宿敵・ヘラー軍団の関与と、彼らの当面の大きな破壊目標であり、そして第4クールの重要アイテムでもある巨大戦闘艦ウルトリアへの破壊活動が予想されたことで、本作らしさと本作のメインストリームへの接点をも示唆される。


 ウルトリア内の備え付け小型ロボット・ウルック1号の分析によって、艦内の爆弾は1発のみであることが一応判明する。
 ウルトリア内にて捜索していたヒカリ隊員とトベ隊員は、台車型爆弾を運搬するジンダ隊長に遭遇!
 爆弾はトベ隊員に任せて、ヒカリ隊員は逃げたジンダ隊長を追う!
 巨大戦艦の数十メートルもの高さがある甲板から飛び降りて、平気で逃げていくことで改めて人外の存在であることを見せ付けるジンダ隊長。かたやヒカリ隊員はあくまでも基本は人間、先のクレーン車に飛び乗ってクレーン部の骨組み部分からスリ降りていくという対比も描く。


 桜田長官から街中に怪獣も出現したことが報告されて、ウルトリアに出撃命令も下る!


 いつもの極東ゾーン基地の全景を写すカメラが左にパンして、森林が写し出される。
 森林内を慎重に歩を進めているヒカリ隊員と、銃を構えて身構えているジンダ隊長。比較的長尺にて両者をカットバックにて描くことで、緊迫感をあおっていく。
 銃声一発! ヒカリ隊員が構えていた銃が宙に飛ばされる。
 両手を挙げて降参のポーズを取りつつ、ヒカリ隊員は巧みにジンダ隊長を模したアンドロイドから爆弾の居場所を聞き出そうとした。
 「知ってどうする?」と小バカにしつつも、相手を見くびったか冥土への土産(みやげ)だと答えを教えるジンダ隊長。


 スキを見て咄嗟に敵の銃を蹴りとばして、格闘戦に持ち込むヒカリ隊員! 倒れ転がりながらもヒカリの首を絞めつけるジンダ隊長! このへんの特に倒れて転がりこむ作画の動きはとてもよい。


 首を絞められたヒカリ隊員は、パターン破りにもここで腰のポーチから星型の変身アイテム・ビームフラッシャーを何とか取り出して額にかざす。


 「ウルトラ・チェンジ!」


 なんと#39「ねらわれた巨大戦闘艦ウルトリア」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100124/p1)同様、等身大サイズのウルトラマンに変身して、その強大な力で反撃、プラニウム光線をジンダ隊長に浴びせて、これを撃破!


 こーいった戦闘シーンでのパターン破りのサプライズ・驚き、あるいはヒーローの万能性といったものにこそ、子供はドラマ性やテーマ性といったものよりも、はるかに惹かれたりうれしがったりワクワクしたりするものなのだ。少なくとも少年の日の筆者はそうだった。


 本来は巨大ヒーローであるウルトラマンが、人間大の等身大サイズで活躍するパターン破り場面が再度見られるのは、本作最終章をのぞけば長きウルトラのTVシリーズ中断を挟んで、本作より15年もあとの『ウルトラマンティガ』(96年)#13「人間採集」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)、『ウルトラマンダイナ』(97年)#26「移動要塞(クラーコフ)浮上せず!(後編)」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971208/p1)、『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)#18「アグル対ガイア」まで待たねばならなくなる。


 その場で巨大化変身も果たしたウルトラマンは、怪獣が大暴れする都市部の戦場へと空を飛ぶ。


 怪獣は全身を緑色に発光させてバリヤで身を包むや、いくつかの怪獣のトドメを刺してきた巨大戦闘艦ウルトリアの強力な主砲さえもはじいてみせた!
 口から氷の結晶(?)だか氷柱(ツララ)だかをあまた吐き出し結合させるや、口から伸びる長大な鞭としてふるってウルトリアに幾度もブチ当てる。


 たまらず勢いで落下しはじめたウルトリアを下から支える手。それは我らがウルトラマンジョーニアスの手であった!
 ウルトリアの甲板に立ったウルトラマンはまたまた再度、等身大サイズに縮小化するパターン破りを披露。ウルトリア艦内に駆け込んで、司令室まで行き時限爆弾を回収する。
 そして再度、巨大化変身して、巨大怪獣と大激闘!


 両腕をL字型に組んで必殺ワザ・プラニウム光線を放つも、ふたたび緑色に発光した怪獣はコレをもはじく!
 口から大量の氷のツブテを吐き出して攻撃してくる大怪獣。
 毒をもって毒を制す的に、開いた口の中に、先のウルトリアをも破壊できる最大規模の爆発力があるという爆弾を宙から投げこむウルトラマン
 怪獣は大爆発して四散した!



 ウルトリア艦内にも勝利の安息が訪れる。


ゴンドウキャップ「しかし、今度の事件はあまりにも犠牲者が多かった」


ナレーション「戦いには勝った。しかし、大勢の犠牲者のためにも、侵略者ヘラー軍団からこの地球を守り抜かなければならないのだ」


 というシブいナレーションでもって、本エピソードは終了する。  



 本話は、宇宙SFや人間ドラマ編、あるいはコミカル編などではない。


 本作には、富士山の裾野に設置された広大な地球防衛軍・極東ゾーンという数百人規模の職員が常時従事する巨大組織にふさわしく、セリフだけでの言及も含めてさまざまな下部の専門組織が登場した。


 しかし、スマートな原色の隊員服に近未来的な光線銃やスーパーメカではなく、本来あるべき現実に近しい軍服とヘルメットと銃器類に身を包んだ海兵隊(そのテのことに疎い方に為念で補足しとくと、「海軍の兵隊」さんじゃなくて陸戦する「特殊部隊」のことですヨ)のごとき一般の戦闘員たちは、守衛や警護のような存在をのぞけば明瞭に描かれたことはなかったかと思う。


 本話ではそのような数十人規模の201部隊が登場する。
 そして、見た目の映像的にも、近未来的な夢あふれるバトルを展開するのではない。
 人間の姿をしたもの同士による、現実的な銃器による銃撃合戦をくりひろげるのだ。敵味方の一般兵士たちや職員たちにも死傷者が続出するという始末。


 死傷者は主要レギュラーキャラではないことから、当然ながら浪花節(なにわぶし)やウエットな感傷の余地なくサラサラと流されていくが、それが悪いというワケでもない。
 人命の尊さや遺族の哀しみを目的とするのではなく、全編乾いたテイストの攻防戦こそを、物語が主目的としているからであろう。


 作り手側の映像面でのフンイキ作りの考慮からか、本作第4クールのレギュラー宿敵・ヘラー軍団による仕業(しわざ)であることは明言されていても、おそらく演出的に確信犯でヘラー軍団の中堅幹部・ロイガー司令や一般兵士すら登場もさせていないことが、SF性よりもミリタリックなテイストを重視する作りには貢献していて、その試みは成功したと私見する。


 作り手は意識していないだろうが、死傷者が出まくる描写は、初期編での被弾した戦闘機から脱出できない悲惨な搭乗員描写を皮切りに、等身大の通り魔宇宙人との戦闘で死傷者が続出して、隊長が死傷者が出た河川敷に花束を手向けて合掌するクロージングまで描かれたり、レオの弟・アストラ初登場という華やかなイベント編のハズなのに映像ではなく音声通信ではあるが良くも悪くも「(隊員の)死者○名、負傷者×名」とまで明言されてしまう『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)が、マニア的には想起されてくる。
 そーいうニガい味わいがある、滋味ある広い意味での重たいカタルシスが、成人するとたまらなくスキになったりもするものなのだが(笑)、とはいえ第1期世代のマニア・オタク連中には相対的に多い、人間ドラマ的なところでの感度には鈍いSF至上主義者や、あるいはメインターゲットである子供たちには、その深いところがわかりにくいジミな描写であることも否めない。


 もちろん子供向け番組でヒトの生き死ににはまったくふれないのも問題ではあるのだが、かといって死傷者が出まくればリアルでイイのだ! とも安直に反転させて二元論的に考えてしまうのも、知恵が足りない在り方ではあるだろう。
 だから要はバランスや節度であったり、パターン破り的にシリーズ後半にたまに配置すべき種類のエピソードであることは、重々強調しておきたいのだが、その条件の上でならば、一般隊員たちの死傷者が出まくる本エピソードも佳作であると認定したい。


 最後に登場する巨大怪獣の存在と大暴れも、批評オタクが分析的に見るならば、等身大銃撃バトル主眼の本エピソードの付け足しのようにもなっていて、作劇的に分裂しているとも取れる。
 しかし、冒頭に輸送機が消失する風雪荒れ狂う雲海と、怪獣が雪雲の結晶から誕生したように見せて、両眼が雪の結晶の六角形をモチーフにもした積雲怪獣だと設定することで、合理的にはともかく映像的にはギリギリ接点を持たせていて、世界観のリアル度がユルい『戦隊』シリーズならばともかく、(あくまで相対的に)リアル度が若干高い『ウルトラ』だと多少のムリ感も浮上はしてくるのだが、たまにはこーいう怪獣もアリでイイと個人的には思う。


 というか、一般の視聴者やマニアはそこまで意識はしていないだろうし(無意識に茫漠とした違和を感じ取る御仁も少数はいるやもしれないが)、そもそも批評オタクでなければそこまで意識して事象を細分化、言語化したりはしないものだろう(笑)。


 筆者個人に限定すれば、少なくとも小学校高学年にてリアルタイムで視聴したときよりも、今回の視聴の方がはるかに楽しめたし、気にも入った。



◎21世紀以降の自爆テロ流行りの昨今、アンドロイド201部隊は時限爆弾を仕掛ける代わりに即座に自爆してしまえばイイ、という合理的なツッコミもできるやもしれませんが……。
 そんなことを云い出したら、自爆の阻止も201部隊への狙撃もできっこないし、殺伐としてしまって、子供向け娯楽活劇ヒーロー作品としてのお話&ドンパチバトルにはなりません(笑)。
 ……のハズですが、実は自爆テロも本作ではもうすぐ観られます(汗)。


(了)



『ザ☆ウルトラマン』全話評 〜全記事見出し一覧