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ザ・ウルトラマン総論 〜総括・ザ☆ウルトラマンの時代・埋もれた大スケールSF名作! 第3次怪獣ブームの猛威! 70’s末の熱い夏! 再UP!

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ザ・ウルトラマン』総論 〜ザ☆ウル総括

(文・T.SATO)
(97年11月執筆)


 70年代末期、3度目のウルトラ怪獣ブームが日本の子供文化を席巻した。
 その頂点において満を持して誕生した新しいウルトラマン。それが、『ザ☆ウルトラマン』(79年4月より全50本)だ。


 あの日の前後のことを筆者は今でも鮮やかに覚えている。今に直接連なるオタク文化の原点があの70年代後半にいっせいに開花したからだ。


 『未知との遭遇』、『スター・ウォーズ』(共に77年・78年日本公開)、『スーパーマン』(79年)等のSF映画ブーム。
 特撮では朝日ソノラマ「ファンタスティックコレクション」、アニメでは徳間書店ロマンアルバム」のようなマニア向けムックの登場。
 映画『宇宙戦艦ヤマト』(74年・77年に映画化・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20101207/p1)や『銀河鉄道999(スリーナイン)』(77年・78年にアニメ化・79年に映画化)など松本零士マンガ&アニメの大ヒット。
 特撮専門雑誌やアニメ専門雑誌の創刊ラッシュ。
 ジャンル草創期の旧作品の再評価によるリメイク作品多数登場の気運。


 お子様向けと処遇されていたジャンル作品が、一挙に商業ベースかつマニアックな視点で陽の目を浴び市民権を獲得せんとする勢いを示したあの時代。
 未だ、「ネクラ」「オタク」の言葉が誕生するはるか以前。これらのものが「教室」の一部ではなくほぼ全体で受容されたのが70年代後半(〜80年代初頭)だ。マニアあるいは怪獣博士のケを持っていた人間にとって、当時はなんと居心地のよかったことだろう。
 幼心にいずれは卒業せねばならないと思っていた嗜好品が、当時の大学生・ヤングレベルで許容され、お墨付きももらえたワケだから……
 (無論、現在の観点から見ればその素朴さは手放しで絶賛できないにしても)。


 当時、筆者は小学校の中高学年。これらのブームの風を真っ向から体感しつつも、当然のことながら小学生独自のブームにも大いに入れ込んでいた。


 小学館の幼児・児童誌『てれびくん』でのウルトラマン毎号の大プッシュ特集。
 当時はまだマニア誌の色彩もあった77年の創刊から間もない児童誌『コロコロコミック』での内山まもるザ・ウルトラマン(ジャッカル編)』(75年度の『小学三年生』に連載。http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160914/p1。アニメ『ザ☆ウル』とは別作品)の再連載大ヒット。
 朝夕土の週に最高11本にのぼる再放送(関東です)。
 ガチャガチャの怪獣消しゴム。
 山勝のペーパーコレクション、ワールドスタンプブック『怪獣の世界』。
 二見書房の『ウルトラ大怪獣100枚』、竹書房の大判写真集(アドベンチャーロマンシリーズ『ガッツウルトラ』『アクションウルトラ』)、別冊『てれびくん』。
 キングレコードの主題歌集『ウルトラマン大百科!』、名場面+BGM集の『サウンドウルトラマン!』……。


 1978年の熱い夏……。


 同時に、小学生を旧来の純粋な子供でいられなくしてしまうのが、あのブームの一側面。特撮に限定していうなら朝日ソノラマの『ファンコレ』は、何も中高生だけにマニア的基礎知識を植えつけたワケではない。当時の小学生にも同様の効果をもたらした。
 ……あのころ、怪獣博士のケのあった友人たちはみんな『ファンコレ』(&ケイブンシャの児童向け豆百科『ウルトラマン大百科』(78年・ISBN:476691564X)のコラム「うらばなし」)のウケウリをしゃべっていたものだ……(筆者も含む)。


 本作を語る際、そんな『ザ☆ウル』登場前夜の情報・グッズ洪水の状況を切り離して語ることはできない。そのうちの様々なるファクターが、本作の内容(および視聴者の『ウルトラ』観)に色濃く影を落としているからだ……。その点はおいおい詳述。



 と、オオゲサな導入部になってしまったが、以下は竜頭蛇尾(笑)。ざっくばらんに……。


 『ザ☆ウル』はアニメ作品である点をのぞけば、それほど特異な作品ではない。
 すでに前年(78年)、本邦初の本格的特撮マニア向け書籍である朝日ソノラマのファンコレNo.2『空想特撮映像のすばらしき世界 ウルトラマン』・同No.10『PARTII』は発行されてはいたが、企画者・製作者側はそれらの第1期至上主義的な見解に染まりきることはまだなく、むしろ『ザ☆ウル』はイイ意味でこれまでの『ウルトラ』シリーズの総集編的な作品、イイ意味でリメイクというか魅力的な諸要素をグレードアップした作品になっていた。


 初期の怪獣中心編、中期のウルトラの星編、隊長交代劇、複数怪獣登場編(しかも怪獣墓場+再生怪獣ネタ!)、親子怪獣ネタ、民話ネタ、雪女ネタ、3クール目以降の『帰ってきたウルトラマン』(71年)第4クール的、『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第3クール的な侵略宇宙人ネタ、ウルトラ兄弟客演ネタ(本作ではウルトラの戦士、エレク・ロト・アミアら)等々といったストーリー構成に、最終回のシメのナレーションが『ウルトラマンエース』(72年)#52(最終回)サブタイトル『明日(あす)のエースは君だ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1)の精神を彷沸とさせるものであるあたり、まさにその時点での『ウルトラ』シリーズの集大成そのものだ。


 第2期『ウルトラ』のいわゆる人間クサいウルトラマン世界の特訓話ホームドラマ性こそないものの、第2期の熊谷健PD(プロデューサー)や脚本家・石堂淑朗(いしどう・としろう)的民話ネタ。吸血鬼は出ないが雪女ネタに、白鳥座61番星人ならぬ81番星人も出てくるあたり。
 そして、何よりも当時の子供たちにとって最大のイベントであったウルトラ兄弟客演ネタ・ウルトラの星ネタがしっかり夏休みに用意されていたあたりは注目に値する。
 それは、これら第2期作品の遺産も、子供番組としての『ウルトラ』にとって魅力的な要素のひとつであると、製作者側も認めていた証左に他ならない。


 ――ただ、筆者は当時、子供心にこれらのエピソードや中盤以降のウルトラの星がらみの新展開は、その前年に大量に発行されたマニア向けムック類(ケイブンシャの『大百科』等)のストーリーガイドあたりから着想を得て、主にアニメ側(日本サンライズ)のスタッフが独自に考案したものだろうと小賢しくも分析していたが(←ヤなガキだねー・笑)後年、本家・円谷プロ側が用意した『ザ☆ウル』企画書において(70年代初頭のフジテレビ向けボツ企画『戦え! ウルトラセブン』企画書と同一のフレーズが多数散見されることから、おそらく円谷プロ側の満田かずほPD(プロデューサー)の筆になるものと思われる?)、すでにウルトラマンにジョー、ウルトラの星にもU40(ユーフォーティ)との命名が施され、しかも中盤のイベント編までそれを秘密にすることが決定済みであったことを知ったときには意外の念に打たれたが――。


 余談だが、本作『ザ☆ウルトラマン』の主人公ことわれらがウルトラマンジョーのデザインもウルトラヒーローの集大成である! ……と筆者は感じていた(笑・悪く云えば折衷だが……)。
 上半身はゾフィー・マン・新マンなどのシルバー族の赤白反転、赤が多めで白が少なめの点ではセブン・タロウ・レオなどのレッド族、首からカラータイマーまでは新マンの反転、腰と大腿の境のスジも同じく新マン、腹とヒジの模様はエースの反転、太股の1本線はゾフィー、脚下の長靴部分はウルトラの父。……コジツケかな?(笑)
 ちなみに、キャラクターデザインはタツノコプロ出身の二宮常雄氏、怪獣デザインは第2期美術の高橋昭彦氏がメインだが、96年に発売されたLD(レーザーディスク)−BOXのライナーノーツによればウルトラマンジョーのデザインのみ特撮美術のベテラン山口修氏(翌年の『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)怪獣デザインが有名)だそうである。



 むろん、既存のTVシリーズの集大成にとどまらないプラスアルファも本作『ザ☆ウル』にはいくつも存在する。
 その筆頭が、「超人」と「超人に憑依(ひょうい)された地球人」の描写……。その現象の論理的必然としての、一心同体というより二心同体にならざるをえない事象に、はじめて真っ向からとりくみ描き切ってみせたことだろう。
 過去の作品ではせいぜい#1&最終回のみにウルトラマン自身の人格と意志が表明される程度で、作劇的には渾然一体となっているか、はたまた忘れ去られていた
 (笑・好意的に見れば、変身直前での変身道具ウルトラリングやウルトラバッチの閃光で意志は表明していて、普段は潜在しているとも解釈できるが)。


 しかし本作では、ターニングポイントやウルトラの星・U40がらみの重要回においては、必ずウルトラマンジョー(声:伊武雅之。現・伊武雅刀)が主人公ヒカリ超一郎(声:富山敬)に語りかけて示唆を与え、あくまでふたりは別人格として描かれている。
 しかもそれをうまく活用して、終章4部作にいたっては戦線の激化と拡大のために、戦力的見地からウルトラマンと地球人ヒカリが分離を余儀なくされる状況のドラマを産み出すにまでいたるのだ!
 (さらに、そこで歴代シリーズが最終回にふれてきた、超人に頼らず地球人自身の手で地球を守るという命題にまで直結させてみせる見事さ!)


 そして、「超人」と「地球人」との憑依=合体の設定自体に、SFマインドあふれる魅惑的な理由付けと、それを効果的にウキボリにするドラマまでをも、シリーズ中盤には用意した。
 「ウルトラ人」と「地球人」の憑依=合体と同じ原理を有する強大な敵、ナゾの精神寄生体と爬虫類との合体による爬虫怪獣が出現! やられてもやられてもまた別の爬虫類に寄生し、新怪獣と化すために、ついに無敵のはずのウルトラマンのエネルギーは切れてしまう。
 そう、あの#19〜21『これがウルトラの星だ!!』夏休み3部作(脚本・吉川惣司 絵コンテ・小田経堂 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090913/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090914/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090920/p1)だ。
 ウルトラマンと共に事切れた主人公ヒカリ超一郎は、突如飛来した山岳のごとき威容をほこる超巨大円盤――『未知との遭遇』のパクリと子供心に判ってもそれでも荘厳さに撃ち震え、ついにTV『ウルトラ』でここまでやってくれたか! と感動したものだなぁ――に連れられ、ウルトラの星・U40で奇跡の復活を遂げる。


 しかし、平和なウルトラの星にも、数億年(?)にわたる因縁の宿敵・バデル族が200万年ぶりに突如侵攻! ヒカリの言によってU40の指導者・大賢者は、元々は地球人と同等であったU40の人々に憑依能力およびウルトラマン化能力をもたらした神秘のエネルギー・ウルトラマインドが宇宙の隠し穴からバデル族によって奪われたこと、地球の憑依怪獣もそれと関係があることを悟る!


 ……二重人格。『ウルトラ』シリーズを全作くまなくご覧になっている方ならお判りの通り、後年の『ウルトラマングレート』(90年)での、内心世界における主人公と超人との対話の描写は、脚本家・會川昇(あいかわ・しょう)氏の『ザ☆ウルトラマン』へのオマージュでもあろだろう。



 今、ウルトラの星・U40や神秘の超エネルギー・ウルトラマインドにふれた。これについても筆をすすめたい。
 ウルトラの星・U40。それらの描写にも、73年の『ウルトラマンタロウ』以降(学年誌では72年の『ウルトラマンエース』から?)、『ザ☆ウルトラマン』放映直前にいたるまでの蓄積が存分に反映されている。
 学年誌にはじまり、ケイブンシャの大百科や小学館コロタン文庫ら子供向け豆百科などの各種資料出版物に発表されつづけてきたウラ設定。M78星雲ウルトラの国の歴史に、島宇宙ごとに点在する宇宙警備隊の支部構成や別動組織の体系図


 内山まもるマンガ版『ザ・ウルトラマン(ジャッカル編)』(75年・ASIN:B000J8L868ISBN:4091941214ASIN:4575935514ASIN:4091402410ISBN:4091087183))における、前述の設定から必然的に導き出される宇宙警備隊隊員……つまりウルトラマンたちが数千人、果ては100万人(!)というオーダーで登場しての宇宙規模の大バトル
 ――東京上空でのウルトラ28人衆VS数十人のジャッカル軍団や、数万人のウルトラ戦士をひとりで圧倒し惑星半球規模の災害をもたらすジャッカル大魔王の破壊光線の図は圧巻!――
 いわゆる80〜90年代の児童向けマンガ大ヒット作『ドラゴンボール』(84年・86年にアニメ化)的アクションや破壊描写のこれは元祖ではなかろうか?


 そして、別冊「コロコロコミック」『ウルトラマンPART2』(78年8月下旬刊行。筆者の地元の小書店でも百冊近く山積みされながら即日完売!)においては、折りからの『スター・ウォーズ』や『宇宙戦艦ヤマト』ブームの影響もあって、各作家による競作読み切り『ウルトラマン』マンガすべてが描くにいたっていた銀河宇宙を股にかけ宇宙戦闘機や戦艦が雄飛するスペースオペラ風世界観。
 これらが当時の子供たちの『ウルトラ』観に多大な影響を与え、かつウケ入れられていたことは今やだれにも否めない歴史的事実だろう。


 『ザ☆ウルトラマン』#19〜21『これがウルトラの星だ!!』3部作におけるもろもろの描写は、これらの要素のエッセンスをムゲに否定せず換骨奪胎、いやむしろ発展昇華させたものに他ならない!


 ……U40のウルトラ人はウルトラマンの姿かたちではなく、地上では大自然と調和した生活をおくる古代ギリシャ風の貫衣をまとう普通の人間だ
 (地下には超近代的都市が建造されてはいるが……)。
 これは、『ウルトラマンタロウ』#25『燃えろ! ウルトラ6兄弟』(脚本・田口成光 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061126/p1#20061126f2)において明かされた、ウルトラの星の太陽爆発後に建造された人工太陽プラズマ・スパークのディファレーター光線によってウルトラ族に進化する以前の、地球人と同等の姿かたちをしていた古代ギリシャ調のM78星雲人のイメージの再生でもある。


 バデル族との総力艦隊戦にのぞむため、地底の超近代都市での作戦室において、大賢者が『総員、ウルトラ・チェンジ!』と一喝すると、等身大ウルトラマン数百人が姿を現わすシーンは、内山まもるマンガ版のイメージ。


 幾多の惑星系と知的生命を滅ぼしたバデル族との、宇宙戦艦数千隻(!)が入り乱れる艦隊戦。機械化された人工惑星バデル・スター。果ては星同士の重力波攻撃の図。
 はたまた、爬虫類から進化したためコミュニケートが不可能だというバデル族の設定や、ウルトラ人と地球人の祖先ネアンデルタール人との邂逅秘話などのSFマインドあふれる描写は、別冊コロコロ『ウルトラマンPART2』のイメージだ!
 (……いや、それをはるかに上回ってる!?)。


 そして、U40のウルトラ人をウルトラ・ヒューマノイドことウルトラマンに進化させた超エネルギー・ウルトラマインド。
 物質であって物質でない生命の素(いのちのもと)……(劇中のセリフより)。
 その名称からも古典SF、クラークの『幼年期の終り』(53年・79年にハヤカワ文庫・ISBN:4150103410)のオーバーマインドを想起させるそれは(掛け言葉でもあろう)、いわずもがなM78星雲の人工太陽プラズマ・スパークに相応する。
 それをもっと抽象的・精神的な次元にまでひきあげたものだといえるだろう
 (……余談だが、近年児童マンガ『ウルトラマン超闘士激伝』(93〜97年・ISBN:4835444094ISBN:4835444108[asin:4063216853])でも、プラズマ・スパークは現象界〈物質界〉では機械による人工的なエネルギーにすぎないが、形而上(けいじじょう)世界では太陽神に直結する存在であると発展的に規定し直されている)。


 かように拡大していた当時の子供たちにとっての『ウルトラマン』らしさの、ほとんどすべてを全開し活用した作品。それが、本作『ザ☆ウルトラマン』であったのだ。



 未見の読者や否定派にあっては、数千の宇宙艦隊ウルトラマンが同一画面に登場することについて、ウルトラマンや従来怪獣の相対的比重低下を懸念されるかもしれない。
 しかし、むろんこれはウルトラマン自身の卑小化にはつながらない。ウルトラマンは肉体・精神が高次元の域に達しているにとどまらず、M78星雲ウルトラの星を見れば自明の通り、超越した科学をも所持した文明世界である。ならば、超科学文明の産物たる超巨大人工建造物を所持しているのは何ら不思議ではない!


 ……ただ、ここで釈明しておかなければならないのは、これはもちろん初期編でウルトラマン単体の強大さが描写され確立されていればこそ、ウルトラ戦士が多数登場することに相応の積算効果をもたらすのである。第1話からこのような描写がなされていたら(するワケがないけど)、倍々な積算効果は発生せず、ウルトラマンも集団の中のひとりでしかないという印象しかもたらさないのは云うまでもないだろう。
 だから、イベント編ではともかく通常編、特に初期編では、スタジオ撮影での巨大ヒーローとしての存在感・重量感を確立するためにもやはりせいぜい1〜2人のウルトラマンが妥当であるだろう。3人ではもう巨大ヒーローとしての存在感やありがたみの描写の点でキツくなってくるように思う。


 逆に云うなら、ふたりウルトラマンは巨大ヒーローものとしても充分に成立の余地があると思う……。個人的には今後、数作に1作は変化球的にぜひとも実現してほしい設定なのだが……。


 ちなみに『ザ☆ウル』劇中でも、「ウルトラマンはひとりで宇宙戦艦10艘の戦力に匹敵する(!)」との敵軍の言質(げんち)が取られ、この点で生じるかもしれない問題については先回りして配慮されている。



 話はそれたが、シリーズ中盤で大いに盛り上げたウルトラの星・U40編の諸設定やウルトラマインドの存在は、第3クール終盤から終章にいたってもキーポイントになるのは、本作のファンならばご存じの通り。
 ただし、今度の敵はU40のウルトラ人でもある反逆者ヘラーというシリーズ初の驚天動地のシチュエーションとなる(#37「ウルトラの星U40の危機!! ウルトリアの謎?」・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100118/p1)。
 占領されたU40を奪回するため、本作の防衛隊・科学警備隊はウルトラ人が超古代に地球の南極大陸に隠したウルトラ素粒子で半永久的に稼動する超巨大戦闘艦ウルトリアを駆り(#38「ウルトラ大戦争!! 巨大戦闘艦ウルトリア出撃」・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100123/p1)、U40の生き残りのウルトラ艦隊とともにワープ航法の連続でウルトラの星へと向かう、現在にいたるもいまだこれを越えるものはないスケールのラストを迎える……。



 ウルトラ兄弟客演ネタ。
 実写シリーズでは72年の『ウルトラマンエース』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)から本格化する趣向だが、濃いマニアには既知の通り、『仮面ライダー』シリーズの先輩ライダー客演編にくらべると、実はウルトラ兄弟が爽快に大活躍して敵をやっつけまくる話は意外に少ない。
 『エース』#5『大蟻超獣対ウルトラ兄弟』におけるゾフィー兄さん&エースVSアリブンタ&ギロン人(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060604/p1)や、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)におけるレオの弟・アストラ客演数編や新マンのゲスト編、半歩ゆずって『タロウ』テンペラー星人前後編くらいか?
 (逆にいうと、『ウルトラ』シリーズにウルトラ兄弟が助っ人参戦するようになってからは、集団で1体の敵をボコボコにするようになったというアリガチな批判はまったくの俗説であり的ハズレである。真実の問題点はそのまったく逆であり、せっかく出演してくれたウルトラ兄弟が苦戦することの方にこそある・笑)


 これは『エース』初期編時に、多すぎる兄弟客演が主人公であるエースの魅力を相殺するとスタッフが先走りして懸念してしまったためだと何かの書籍で目にしたキオクがあるが……(キオクちがいだったらゴメン・汗)。
 ドコか煮え切らない回が多かったウルトラ兄弟客演編も、本作『ザ☆ウル』ではそのウップンをも晴らす出来映えだ。というか小賢しい小細工は労せずに、U40のウルトラの戦士たちエレク&ロト&アミア&5大戦士
 ――劇中で判明しているメレグの他に5大戦士には、LDライナーによればシナリオではノア&ミゲルと都合3人の名前が設定済の模様(後日付記:04年に登場したウルトラマンノア以前に、ここにもノアという名前のウルトラマンがいたのだ!)――
 は、その登場回においてはほとんどピンチに陥ることなく凶悪星人や怪獣にトドメを刺し、その強さ・カッコよさをアピールしまくっている!


 また今見返すと、3クール目はほぼ2本に1回がウルトラ戦士客演ネタ≒U40ネタで、そのサービス精神の旺盛さには改めて驚かされるものがある(客演がその回のメインテーマとはかぎらないが……)。
 それらの戦いの理由が、必然的に宇宙規模の伝説(悪魔の星バラドン!)やU40のキャラたちのドラマとなりうるため、ウルトラマンジョーの戦いにもヨコ方向の広がり&バックボーンを与え、スケール感をも付与している。


 これら大スケールの描写・演出は、アニメ作品としての長所・利点を出し惜しみせずフルに活かし切ったためである。
 たびたび例えに出して恐縮だが、#21『これがウルトラの星だ!! 第3部』におけるバデル族の最終兵器、アニメならではの体長1キロメートル(938メートル!)におよばんとする暗黒星雲から連れてきた伝説の怪獣バゴンなどは、巨大ヒーローを上回る超巨大な敵という図でひたすらに悶絶、スペクタクルなシチュエーションに魅了されるしか筆者は術を知らない。


 むろん、これらの要素は本格SF・ハードSFの興趣ではないのは筆者も承知している。
 しかし、大宇宙の真空を生身で移動するウルトラマンはじめ巨大宇宙人&怪獣キャラクターが醸し出す世界観。それは、B級SF・パルプSFに近い妙味といえるだろう。
 そして、『ウルトラ』が子供をターゲットとする以上、小学生の天文・SF知識の範囲内でくりひろげられる活劇であってよいはずだ。
 決して本格SF志向を否定するものではない。
 しかし、その方向性は既成概念のかたまり(イイ意味で)のような『ウルトラ』等の怪獣映画ジャンルにおいてではなく別の然るべき、もしくは新ジャンルにおいてやればよいのである
 (……B級志向といっても世界観のことであり、映像等がチャチくてもイイというのではないのは念のため)。



 天上世界のことばかり(笑)語ってしまったので、話を足許に戻していこう。
 通常編における従来怪獣。これにも本作ではアニメならではの利点を活かしつつバリエーション豊かな怪獣群を産み出した。特に初期編における多種多様な設定とスタイルを持つ怪獣たちには今でも胸おどるものがある。


 オーソドックスな恐竜スタイルの#1(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090505/p1)のシーグラ。
 爬虫類モチーフのワニゴドン(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090516/p1)。
 文字通り竜巻のスパイラル(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090510/p1)。
 雲のレッドスモーギ(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090524/p1)。
 液体生命がブルドーザー型メカにやどったヘクトールhttp://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090711/p1)。
 宇宙怪獣+コンピューターのコンビューゴン(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090613/p1)。
 人+鳥のイメージの溶岩怪獣ファイヤバドン(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090607/p1)。
 ほとんど島そのものが怪獣のアイランダ……(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090912/p1)。


 よく本作の中盤以降の怪獣はその魅力が低下し、特に4クール目の反逆者ヘラー軍団の侵略怪獣にいたっては眼も当てられないようなイケンを聞くが、子供だった筆者は当時そのようなことを感じはしなかった。が……、今見るとそのテのイケンにも一理は認めるネ(笑)。
 同種の感慨に、子供のころアレほどコーフンした#34、35『盗まれた怪獣収容星(前後編)』(脚本・平野靖司 絵コンテ・満田かずほ http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091220/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091227/p1)が今見ると作画が悪いのか演出が悪いのか意外に凡作で(実は3クール目の客演ネタやイベント編も凡作でこそないものの、今見ると自身が想っていた圧倒的傑作回でもなかったりして……汗)、最終評価に苦しむのだが、本作は子供番組なのだから子供のころの感覚を選択したいと思う(笑)。
 (後日付記:さらに12年を経てDVD発売1年を経た2009年に開封して再視聴。作画が悪いことを事前に了解していたためか、そこにガッカリはせず、スナオに楽しめた)。



 さらに足許に下って人間世界のことについて。
 本作『ザ☆ウル』における防衛隊いわゆる怪獣攻撃隊のメンバーは、TVシリーズ復活第1弾ということもあってか、年配の隊長を頂く総計5人組織としては、初代『ウルトラマン』(66年)の科学特捜隊と同様の、隊長・2枚目の若手主人公・背高の理知的タイプ・幅広の力自慢・紅一点としごくオーソドックスなものになっている。


 ただし、悪く云えばマンガチックなものであり、脚本家・上原正三氏や石堂淑朗氏もどこかの書籍で語っていた通り『帰マン』『エース』の防衛隊MAT(マット)・TAC(タック)などのリアル寄りで類型に陥らないイイ意味であいまいかつ微妙な性格表現も可能なキャラでも、『タロウ』のZAT(ザット)のように役者陣の演技力で主に魅せるものでもないのだが、それは一長一短。
 シリーズものはバリエーションが宿命ともいえるので(毎年同じキャラシフトでは不自然だ)、筆者個人はどちらの方向性にも理を認めるし、特に優劣も付けない(……ところで、メカはともかくソガ&アマギ隊員が目立たない点で『ウルトラセブン』(67年)のウルトラ警備隊のキャラのみ最初期シリーズ中ではもっとも明快度が低いと幼児のころから感じていたのは筆者だけか?)。


 けれど改めての再視聴で、幅広の力自慢キャラことマルメ隊員が、コメディリリーフのみならずMATの岸田隊員的、TACの二丁拳銃もとい(笑)山中隊員的イビりキャラの役割も濃厚に務めていたことには意外の念を覚えた。……こんなに厳しいキャラだっけ? それだけに主人公ヒカリ隊員が死んだときの号泣には来るものがあるのだが。


 トベ隊員やアキヤマキャップ、マスコットロボットのピグももちろんよいのだが、極めつけは新キャップ・熱血剛腕のゴンドウ(声:柴田秀勝)だろう。さしずめ、『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971215/p1)の防衛隊・スーパーGUTS(ガッツ)のヒビキ隊長の元祖だ(笑)。


 そうそう、アキヤマ転任、ゴンドウ未だきの#27『怪獣島(じま)浮上!!』(脚本・若槻文三 絵コンテ・坂田透 演出・辻勝之・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091102/p1)(宇宙悪魔バラドン星人が怪獣墓場から復活させたレッドキングアボラス・バニラ・アーストロン・ゴーストロン・ゴキネズラで襲撃してくる!)における「キャップがいなくてもオレたちだけで戦ってみせるゼ!」という全隊員たちの意気込みも、頼もしくてカッコよくって子供の時分から印象的だったなぁ。


 主人公ヒカリ超一郎は、70年代の熱血不良風主人公全盛の時代にあって、すでに古典的なほど品行方正な生マジメ誠実ストイック・ヒーローとなっていた。
 ヘタに描けば没個性にもなりかねない立場なのだけど、別項(後日付記:同じ号の別記事『ウルトラマンダイナ』評・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971204/p1)で熱血主人公擁護をぶちまけておきながらナンではあるが、どちらも描き方の巧拙次第で良いものは良く悪いものは悪くなるものだ。
 ただしその頂点同士で比較するならば、実は筆者は誠実ストイック・ヒーローの方がスキである。誠実さとは、誠意とは、高貴さとは、善意とは何かということを描けるのが、このテのキャラの特権でもあるだろう。それがウルトラマンに彼を憑り代(よりしろ)として選ばせる理由にもなったのだ。


 200人の宇宙ステーションの乗組員を命がけで救った自分の功を誇らず語らず、でも内心ではそれに執着するなぞという愚行にも自覚的に陥らず、苦しい思いをしても最後はオトナの態度で謙虚にさわやかにふるまうヒカリ超一郎。
 それが明かされる#15『君がウルトラマンだ』(脚本・吉川惣司 絵コンテ・鳥海永行 演出・石田昌久 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090808/p1)は、同系テーマを扱った話としては『ウルトラ』シリーズ中最高の出来だと信じて疑わない……ってコレはボクが声高に主張しなくてもワリと一般的な見解?(笑)


 しかも、当初は宇宙ステーションEGG3(エッグ・スリー)から来たエリート隊員としての色彩を持っていたヒカリは、実はこの回からウルトラマンの任務を果たすため科学警備隊の職務をそのとき放棄しなければならないこと、そのため肝心なときに戦闘現場にいないことを他の隊員たちから糾弾されはじめるのだ!
 幼児はともかく小学生ともなればだれもが気付くであろう、しかし劇中では絶対にタブー視されてきたこの事実に本作があえてふれてみせた衝撃といったら。彼は以後も、ときどきダメ隊員呼ばわりされることとなっていく。


 それが最悪に達するのが終章のプレリュードとなる#46『よみがえれムツミ』(脚本・吉川惣司 演出・関田修 絵コンテ・横山祐一郎 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100320/p1)だ。戦闘中に重症を負った紅一点・星川ムツミ隊員。それを看取るヒカリだが、苦戦する防衛隊を救うためウルトラマンに変身。怪獣を撃退するも、隊員たちが駆けつけるとムツミは死んでいた!
 一足遅く戻ってきたヒカリに隊員たちの怒りは爆発する(幸いムツミ隊員は心臓マッサージと電気ショックで命をとりとめる)。
 これがさらなる伏線となって、疑念にかられる隊員たち、ひそかにヒカリの正体を察知するムツミ隊員とゴンドウキャップの対比も交えつつ、ヒカリ最大の試練とそのあとのすべてが明かされるあの感動の最終回。U40編の諸設定等も最大限に活用し反逆者ヘラー軍団との最後の決戦を描く終章4部作『ウルトラの星へ!!』(脚本・吉川惣司)へと決着するにいたるのだ!
 その件は別項記事の『ザ☆ウルトラマン全話評』にゆずりたい。


 ところで、これらの重要回、#15『君がウルトラマンだ』、#19〜21『これがウルトラの星だ!!』、#46『よみがえれムツミ』、そして最終章4部作#47〜50『ウルトラの星へ!!』等をすべて担当し、U40の諸設定、そして何よりヒカリの葛藤ドラマに首尾一貫性を与えたのは、虫プロのアニメーター・演出家出身にして本作ではライターとして参加したベテラン吉川惣司(よしかわ・そうじ)氏(絵コンテでは小田経堂名義。円谷プロ最寄り駅・祖師ケ谷大蔵のふたつ隣の小田急線駅名・経堂(きょうどう)駅から命名?)であることは明記しておきたい。
 実写にかぎらずアニメも集団作業である以上、さまざまな人々のディスカッションで構築されるものであることは筆者にとっても自明の理だが、あえて本作の話作りでもっとも重要な役割を発揮した人物を指摘するならば、第2クールから参加するチーフディレクター故・神田武幸氏ではなくおそらく吉川氏の方であろう。……この点の正確なウラ事情の研究を切に望みたい。


 ムツミ隊員といえば、やはりヒカリ隊員とのイイ感じも印象に残る。
 ジョーの妹・アミアとヒカリとのロマンスもそーとーよかったし、ボクもアミアは大スキだったが(笑)、この三角関係にも最終回ではむろん決着が与えられる。
 これには熱狂的アミアファンに不満もあるようだが……気持ちは判らないではないものの(笑)、ムツミ隊員とのハッピーエンドを個人的には順当に感じたものだ。

 


 最後に……。意図的にラストで言及するが、本来は本作を語る上でイの一番に話題とせねばならなかったこと。それは、『ザ☆ウルトラマン』がアニメ作品であった事実だろう。その事実にドーいう価値判断を下したかが、本作に対する第一の関門となる。


 あの時代は、未放映作品に関する事前情報がはじめて事欠かなくなった時代。まして、世間の耳目をそばだたせるほどの大ブーム。大新聞も放っておくわけがない。
 筆者が『ザ☆ウル』をアニメ作品であると知ったのも放映スタート数ヶ月前(79年1月)の某大新聞の記事だった。
 つづいて、今は亡き特撮雑誌『スターログ日本版』(80年創刊の特撮雑誌『宇宙船』はまだなかった)での初期話数(10本弱)紹介。3月には早朝の『ウルトラマンエース』再放送枠での予告スポット。もちろん、同時期公開の映画『ウルトラマン 実相寺昭雄監督作品』にも本作の番宣は付いていた。まさに、『ウルトラ』の歴史上、初の情報ラッシュだったといえるだろう。


 つまり、あまりに幼かった子にとっては知らないが、放映開始までに本作がアニメ作品であることはすっかり視聴者の頭の中にたたき込まれていたと云ってイイだろう。
 よって(ここで価値判断が別れるところだろうが)、少なくとも筆者に限定すれば、アニメ作品であることへの心の準備はできていた。
 筆者のクラスメートの反応も、アニメであることの違和感は無論ゼロではなかったが、違和の表明が少々あった程度で結果は彼も視聴しているし、強硬な反発表明にいたってはキオクにない。少なくとも筆者のクラス、もとい地元の学年ネットワークでは、本作をアニメゆえに過剰に軽視するという風潮は当時なかったように思うのだ(よその学校では知らないョ)。
 長じてから、同世代のマニアに聞き出した本作に対する感触も決して否定的なものではない。むしろおおむね肯定的なように思われる。


 筆者個人もむろん、新聞記事の「春には新作TVアニメも登場」の一節にこそ「?」となったものの、『ウルトラマン』のTVシリーズ復活の喜びはそれをはるかに上回るものだった
 (『ウルトラマンレオ』(74年)放映終了で永久にお別れだと思われていた当時の感覚は今の若い世代にわかるかな?)。


 それにこれは子供心に、もとい筆者にのみ(笑)顕著なことかもしれないが、「ウルトラマンは空を飛ぶ」という万能性を有している。
 すると、宙にも自在に浮かべるハズなのだ。しかし、この子供にもわかる順接(笑)で導かれる論理的必然の結果を満たしてくれる実写ウルトラマンはいなかった。
 むしろ、自由に空を飛び宙を舞う、子供の万能性に対する夢を満たしてくれたのは当時の巨大ロボットアニメ群であり、内山まもるの銀河宇宙を股にかけたウルトラ漫画の方だった。
 つまり、アニメ化によってウルトラマンは念願だった宙に浮かぶことができるようになるハズなのだ! 筆者の心は浮き立った。そして、それは実際に叶えられる……
 (実写においては、飛び人形ではない中空に浮かぶウルトラマンのイメージは『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)まで待たねばならない……。遅い、遅すぎるョ。その気とセンスさえあれば第2期の時点でも実現できたろうに)。


 ただ、それらはあくまで筆者の世代(?)だけの意見。本作の受容のされ方の正確な賛否の比率は不明である。
 ……筆者の3、4歳年下の特撮マニア連中(当時、小学校低学年)による『ザ☆ウル』への印象は割れている。やはり、アニメであることに違和感を持ちノれなかったという者、当初は違和を感じたもののそーいうものだとすぐに受けとめた者。


 年上の世代は(年齢的に本来、卒業済みのハズだから〈笑〉ここで対象となるのは一般人ではなくマニアのみ)、もっと決定的に本作に対する否定的感触が大きいようだ。
 彼らは当時、すでに積極的に『特撮』のマニアという自覚を持っていたからだろう。それも仕方ないといえば仕方ない。
 79年春の朝日ソノラマ「マンガ少年」別冊『空想特撮映像の素晴らしき世界』(特撮雑誌『宇宙船』の元祖)での日本特撮通史における本作『ザ☆ウル』に対するコメント。
 「ウルトラマンによって投げ飛ばされた冷凍怪獣シーグラ(#1の怪獣)が重量感なく氷の上を滑走するシーンに幻滅した云々、本作より特撮作品『メガロマン』(79年・東宝)に期待したい(記憶による大意)」という記述が、世代人の感慨を象徴している
 (↑これには、子供心に憤慨したけどなぁ。シーグラ滑走に違和感を覚えなかったし……。今思えば特撮誌だから当たり前なんだけど。当時の筆者は特撮マニアの自覚はあったが、それ以上に『ウルトラマン』至上主義者だったので、『ウルトラ』よりも『メガロマン』を擁護するとは何事! と義憤に駆られたものだった・笑)。


 むろん、年上の世代に肯定派もゼロではない。90年代、特撮評論同人界に参入して『ウルトラ』評論系の同人誌をむさぼり読んでみて、すでに複数の先達たちが本作についてテレもなく真っ正面から堂々と肯定論を展開していたのを眼にしたときには感激したものだ
 (当然、筆者もそれらの影響はウケていますし、慎んで敬意を表したいとも思います)。



 アニメであるがゆえに、それが特に『ウルトラマン』であるがゆえに受け入れられない。
 その心持ち、内容以前の「見てくれ」で判断されることに、かつては若さゆえのアオき憤りを筆者も感じたものだった。
 だが、年を経てニヒルな気持ちというのでなしにポジティブな意味での諦観で、そーいう比較の宿命も致し方ないかな? という気持ちにはなっている。


 ただ、この認識はそこで終わるものではなく、時代を経た今だから、逆もまた真なりで当時の否定派にこそ、パッケージに対する譲歩と相対化も含めて本作の物語を冷静に鑑賞し批評してくれる気運の可能性もあるのではなかろうか?


 まして、『ウルトラ』の世界が、あれからさらに良くも悪くも拡散し(筆者も80年代の一時は不満に思ったものだが結果的にはよかったと思っている)、それが歴史の事実として蓄積されもしているのだから。
 具体的には、ファンシーキャラクター『ウルトラマンキッズ』であり各種のぬいぐるみ商品、人形劇であり、アニメも前述の『ウルトラマンキッズ』(84年)に『ウルトラマンUSA』(87年・日本公開89年・asin:B00005EF15http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100821/p1)、『ウルトラマングラフィティ』(90年・asin:B00005EFO6・この作品はキャラデザが『ザ☆ウル』の二宮常雄でありナレーターも富山敬である! 後日付記:ウルトラマンの声も、『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)でウルトラ兄弟の長男ゾフィーを演じる田中秀幸氏!)、『ウルトラマンカンパニー』(96年・ISBN:4097322230)、『ウルトラニャン』(97年・asin:B00005EFRS)、『ウルトラマン超闘士激伝』(93〜97年・96年にビデオアニメ化・asin:B00005EFUJ)等々、多士済々な現在なればこそ。


 今こそ、否定派や未見の方にも『ザ☆ウルトラマン』の再評価を切に望みたいし、またその尽きない魅力をも主張したい。


 そして最後に、控え目に云わせていただくが、本作『ザ☆ウルトラマン』は、何を隠そう筆者にとって最愛かつ最良と信じる『ウルトラ』TVシリーズなのである。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊98年号』(97年12月28日発行)『ザ☆ウルトラマン』特集・合評2より抜粋)


後日付記:『ザ☆ウルトラマン』ネーミング余談


 『ザ☆ウルトラマン』『ウルトラマン80』で企画デスクを務め、『電光超人グリッドマン』(93年)や平成『ウルトラ』作品でも、シリーズ構成やプロデューサーの肩書きでお名前を拝見する円谷プロの江藤直行氏は、『円谷プロファンクラブ』会報Vol.58(99年12月発行)での連載『重箱の隅のまた隅20〜円谷プロ・裏街道の20年〜』およびVol.59(00年3月発行)の同連載つづきにて、『ザ☆ウルトラマン』におけるネーミングの由来を明かしている。
 それによると、ウルトラマンジョーの必殺ワザ・プラニウム光線は江藤氏の命名。主人公のヒカリ超一郎は、本作のプランニングも担当した満田かずほ企画室長(当時)が命名したが、それ以外の隊員たちはやはり江藤氏が命名&人物設定を担当。マルメ隊員は、江藤氏が高校3年生のときの夏の甲子園の第50回記念大会(1964年)で優勝した、印象深い大阪の興国高校の丸目捕手のガッシリした体格をふと思い出し、そこから命名したとか。
 U40は、満田氏の命名。満田氏が当時通っていた新宿のクラブ「U」(オーナーは満田氏の大親友・工藤賢大良氏とのこと)と、そこでのキープボトルナンバーが「40」番であったから(笑)。
 以下も満田氏の命名。「ジョー」の由来は、満田氏の次男の穣。マルメ敬(けい)隊員の下の名の由来は、長男の穂(けい)。地球防衛軍・極東ゾーンの喫茶ルームに勤務する野島ユリコは、満田氏の長女・赤木優の本名、由利子から。……オイオイ(笑)。
 また、最終章#50に登場する処刑怪獣マクダターは、TBSの担当プロデューサー忠隈昌(ただくま・まさし)氏の名字をさかさまにしたもの。ライター・吉川惣司氏のしゃれであったらしい。
 ちなみに、ウルトラマンジョー(本名はジョーニアス)の名前が明かされたのは、劇中では8月放映分の#20『これがウルトラの星だ!! 第2部』。マスコミ媒体では、同年7月封切の映画『ウルトラマン 怪獣大決戦』のウルトラ全戦士(当時は12人)がせいぞろいしている6月下旬の新聞での映画広告にて、「ウルトラマンJ(ジョー)」名義で公表されたのが初ではないかと思われる(『てれびくん』『テレビマガジン』などの幼児誌の方が先かもしれないが、毎号チェックはしていなかったので不明。少なくとも『コロコロコミック』にて「J(ジョー)」名義が公表されたのは、新聞での映画広告のあとではなかったかと記憶する)。3大新聞の夕刊のTV欄の下半分が全段、『ウルトラマン 怪獣大決戦』の広告になっているだなんて、のちの平成『ウルトラ』映画の商業規模・宣伝規模では考えられないことだろう。幼児のみならず児童をも席巻していた第3次怪獣ブームの規模がそれだけ大きかったということだ。


後日付記:『ザ☆ウルトラマン』スタッフ余談


★最終2話(#49、50)の絵コンテを担当したのは、70年代当時は「コンテ千本切り」でも有名であった、あまたのTVアニメの絵コンテを担当していた斧谷稔(よきたに・みのる)こと富野善幸監督で、『機動戦士ガンダム』初作(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)終了直後、『伝説巨神イデオン』(80年)開始直前の隙間を縫ってのワークス。
 その前の#48の絵コンテを担当した山口和十八氏は、『装甲騎兵ボトムズ』(83年)などの監督で有名な虫プロ出身の高橋良輔氏のペンネーム。
アニメ製作会社日本サンライズ(現・サンライズ)では、『ザ☆ウル』の製作と並行してファースト『ガンダム』も製作していたが、『ガンダム』スタッフがらみでは、虫プロ出身の脚本家・星山博之氏(07年2月7日逝去)と荒木芳久氏が、両作の脚本を並行して担当している。他には、メカニックデザイン大河原邦男氏、美術監督中村光毅氏も兼任。
★第1話の脚本家は、名作TV時代劇『三匹の侍』(63年・64年に映画化)などの脚本で有名な大家の阿部圭一氏。
★2クール目までのチーフ監督・鳥海永行(とりうみ・ひさゆき)氏は、名作アニメ『科学忍者隊ガッチャマン』(72年)の総監督としても有名。あまたのタツノコアニメの監督を務めてきた御仁。第15話『君がウルトラマンだ』では絵コンテを担当しているが、この回は各登場人物の細かい仕草や表情や動きの演技付けがすばらしい。
★3クール目以降のチーフ監督・神田武幸(かんだ・たけゆき)氏は、漫画家・手塚治虫(てづか・おさむ)のアニメ製作会社虫プロ出身のベテランで、『銀河漂流バイファム』(83年)、『超力ロボ ガラット』(84年)、『機甲戦記ドラグナー』(87年)、『装甲騎兵ボトムズ』(83年)の外伝OVA『機甲猟兵メロウリンク』(88年)等の作品で総監督として活躍。OVA『機動戦士ガンダム 第08(ゼロハチ)MS小隊』(96年)が遺作となった。
★作画スタッフに人気アニメーター(って90〜00年代ではドーかナ?・笑)森山ゆうじ氏の名前も。たしか本作がデビュー作。
★『魔法の妖精ペルシャ』(84年)、『魔法のスター マジカルエミ』(85年)、『めぞん一刻』(86年)、『ミラクル☆ガールズ』(93年)のチーフ監督・安濃高志(あんのう・たかし)氏も参加。しかし後年のリリカル(叙情的)な演出は片鱗も見られません(笑)。
★『めぞん一刻』(86年)の主人公・五代クン役で有名な、のちに『ウルトラマンティガ』(96年)のナレーターに出世する二又一成(ふたまた・いっせい)氏は、本作ではチョイ役専門でのレギュラー。
★『ミラーマン』(71年・円谷プロ)で敵戦闘員のインベーダー、本作『ザ☆ウル』で科学警備隊のマスコット小猿・モンキを演じた千葉繁(!)氏もチョイ役と兼任でレギュラー出演。はるか後年のOVA『ウルトラマン超闘士激伝』(96年)では正義の味方となりウルトラ兄弟と共闘しているエースキラー(!)を演じた。
★#1にはじまり、#5、#7、#12、#15『君がウルトラマンだ』、#17、#19『これがウルトラの星だ!! 第1部』を演出された石田昌久氏は90年ごろ過労死され故人。『魔法のプリンセス ミンキーモモ(新)』(91年)では氏を題材にしたエピソードが作られたそうだ。『アニメージュ』92年11月号の冒頭カラーページによると、石田氏の友人がアニメーター出身のアニメ演出家・わたなべひろし氏。石田氏がモデルの話は#52『走れ夢列車』。あらすじはストーンさんというアニメーターと知り合ったモモ。そんな彼が仕事のしすぎで倒れた。彼女はストーンさんが作ろうとしていたドラマのヒロインに変身して彼の夢に入り、元気づけようとする。ところがそこへ本物が現れ、ストーンさんは彼女と列車に乗って去っていった……という話だったらしい。
★本作のメイン脚本・吉川惣司(よしかわ・そうじ)氏も、高校2年で虫プロ第1期生アニメーターとなり、70〜80年代にはあまたの人気TVアニメで監督・コンテ・脚本をこなした才人。
 各話演出では『あしたのジョー』(70年)が有名。70年代ロボットアニメ『大空魔竜(だいくうまりゅう)ガイキング』『UFO(ユーフォー)戦士ダイアポロン』(共に76年)、『未来少年コナン』(78年)、『太陽の牙ダグラム』(81年)、『戦闘メカ ザブングル』(82年)、『装甲機兵ボトムズ』(83年)、『機甲界ガリアン』(84年)などあまたの脚本も担当。
 近年でも92年誕生のゲームキャラを用いた児童向けアニメ『星のカービィ』(01年)で総監督を担当し、2年のロングランを達成。ほのぼのとした1頭身(?)デフォルメファンシーキャラのヒーローながらも、必殺ワザのカタルシスも満載で、宇宙規模の太古の戦いをバックボーンに持ち、その最終展開は仲間たちが宇宙戦艦で敵の本拠地に攻撃を仕掛けるという、本作『ザ☆ウル』のリメイク的様相も呈していた(笑)。
★よく『ザ☆ウル』は作画は悪かったといわれるが、初期1クールの作画レベルはスケジュールの余裕もあってかむしろ高い。2クール目に入って少し落ちるものの、あの時代の平均的なTVアニメの水準であり、#15『君がウルトラマンだ』や#19・20『これがウルトラの星だ!!』第1・2部などは最高水準の作画ですらある。それより何よりスゴいのが、ウルトラマンVS怪獣のアクション描写! クルクル回転しグルグル転がりヒネりながら飛んでいき……。今の世にカット割りや身体のパーツのアップの誇張パースで迫力ある動きを作れる御仁は数あれど、ロング(遠景)の長廻しの1カットのままで、ここまで動かせるアニメーターがいるであろうか? 特撮同人誌『夢倶楽部』VOL.10(97年8月発行)『ザ☆ウル』連続特集第1号での、あまたのアニメで美術監督としても活躍される老舗特撮批評サークル・ミディアムファクトリー主宰の高橋忍氏の寄稿文によれば、当時のアニメ製作会社日本サンライズの第3スタジオには、前年の初代社長の逝去の影響でタツノコプロのスタッフが大量に移籍して来ていたという。そう、あのアクションは、名作アニメ『新造人間キャシャーン』(73年)や『破裏拳ポリマー』(74年)のアクション演出にも通じるダイナミックなものなのだ。その観点からも再評価をされて然るべき。
 ちなみに、本作に関わった主なタツノコプロ出身者は、キャラデザの二宮常雄氏、メカニックデザイン大河原邦男氏、美術監督中村光毅氏、総監督の鳥海永行氏。
★シリーズ中後盤からメカニックデザインを務めるのは河森正治(かわもり・しょうじ)氏。氏はのちにあまたのアニメのメカデザインに名を連ね、名作アニメ『超時空要塞マクロス』(82年)に参画し、同作の劇場版アニメ(84年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990901/p1)に24歳の若さで共同監督に就任、名を上げた御仁。その後、『マクロス7(セブン)』や『マクロスプラス』(共に94年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990904/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990906/p1)、アニメ『天空のエスカフローネ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990911/p1)や『地球少女アルジュナ』(01年)、『創聖のアクエリオン』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20051021/p1)などの原作&監督を務めあげてきた氏も、79年当時はまだ十代の若さ!
 SF洋画『スター・ウォーズ』(77年・78年日本公開)、劇場アニメ『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(78年)の翌79年、まだまだSF映像の草創期であった時代に、それまでの時代のメカデザとは一線を画した、当時最高センスのハイテックでシャープでディテールアップされたメカニックデザインの数々を見せられた日の感激・衝撃・感動!(今でもあまり古くなってないけど)
 SF洋画『未知との遭遇』(77年・78年日本公開)の円盤のような、山岳並みの威容を誇る超巨大な「U40の円盤」、『スタートレック』の戦艦エンタープライズもちょっと想起させる前円後方墳型のような数千艦はあるといわれる「ウルトラ軍戦艦」、スマートでスピーディなフォルムで機首の前後上下左右が透明なキャノピーに覆われたコクピットの「U40の戦闘機」、その機体を2連装にした「アミアの専用機」。
 六角錐の透明ガラスで覆われた超近代的な設備のブロックが膨大な数で星の全地表を覆っている惑星規模の要塞「バデルスター」、円周の全周囲すべてに3連装の大型砲身が装備されているバデル族の戦艦「超巨大円盤」、逆に曲線で敵メカらしい怪しさを出した「敵戦闘機」、バデル族の携帯銃である「バデル族の武器」……(以上、「」内の名称は、作画用の設定資料集より)。
 ウルトラ軍のメカは白色系、バデル族のメカは濃緑色で統一させていた。そしてもちらん極めつけは、3クール終盤に登場して4クール目に大活躍した超巨大戦闘艦ウルトリアであったことはまちがいないことだ。


(了)


98年号『ザ☆ウルトラマン』特集への反響集より抜粋

(文・旗手 稔)
(99年10月20日執筆)


 『ザ☆ウルトラマン』のビデオ〈初期編〉は本放送以来実に20年ぶりの視聴(広島エリアでは再放送の記憶ナシ)。ウルトラマンジョーニアス、人相の悪さではシリーズ随一(笑)。
 科学警備隊と「復活」した怪獣たちの攻防に焦点を絞った作劇は人間ドラマ抜きの『帰ってきたウルトラマン』(71年)といった感じ。シリーズで初めて(?)怪獣の死体回収班の存在を描いた第3話や全編バトルで構成されたレッド・スモーギ登場回(#4)の前衛性は注目されます。緻密なメカ描写や大胆なカメラアングルはいまの目で見ても新鮮。
 第5話のあたりからウルトラマンの光線技が多彩になり、視覚面での強化が図られていますが、ウルトラマン登場後も画面的変化の無いアニメの宿命ゆえ、目立った効果にはいまひとつつながっていないようです。バルタン星人(4代目――ですよね? ジュニアは確か含まれない筈)登場回(#8・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090621/p1)が本シリーズ初の宇宙人侵略物になるあたり、キャラに対する配慮が感じられて良。
 印象に残るのは公害怪獣(笑)登場編の第12話&13話。
 オプトの回(#12・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090719/p1)、破壊シーンの動きが異様にイイッス。ウルトラマンが善良な怪獣の「恨み」を買う痛ましいラストは第2期ウルトラにも通じる感覚。「恨まれる」ヒーロー像はウルトラマンの擬人化・矮小化につながるとの批判もあるでしょうが――。
 ジョーニアスの新しい光線技炸裂がウリのガラドラス登場回(#13・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090724/p1)はむしろジョーニアスの地獄車(『柔道一直線』(67年・69年に実写TV化)や『仮面ライダーX』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20141005/p1)に登場した必殺技で、敵と組み合ったままでんぐり返しを連発)のほうがインパクトあり。


 第19〜21話「これがウルトラの星だ!!」三部作は宇宙的規模で拡大していく妄想が最高! 時間経過をすっかり忘れて画面に見入ってしまいました。ウルトラ世界のひとつの理想を示すまさに最高のテクスト。作画もいつもの回と比べて気合いが入ってます(ジョーの妹アミアはやっぱり松本零士キャラにそっくり。あまりにもクリソツなのでもしや松本アニメのスタッフを引き抜いてきたのでは、との疑念も……)。
 全ウルトラシリーズの中でもトップクラスに入る出来と言い切ってしまおう! ジョーニアスが超巨大怪獣・暗黒怪獣バゴン(身長938メートル!)を力でねじ伏せるバゴン戦のダイナミズムは『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)最終回のバトルを軽く凌駕(バゴンの顔の目鼻口が天地逆についているところは『ウルトラマンティガ』(96年)最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1)の怪獣ガタノゾーアの先駆けでもあります)。
 今なお色褪せない『ザ☆ウルトラマン』怪獣の冒険的なデザインの数々。怪獣デザイン論が専門の特撮評論家・小林晋一郎――略してコバシン――も『ザ☆ウルトラマン』怪獣の再評価でもやってくれたら彼に対する見方を少しは変えてもいいんですがねえ……)。


 第1話のOP(オープニング)、映像の一部が他の回と異なっています。(後日編註:#1のネガにはOPが欠落しており、本放映当時のフィルムからOPを修復したという96年のLD-BOX版の#1にのみ相違がある模様。08年のDVD-BOX化の際の解説書によると、本放映当時に家庭用ビデオで録画した#1のOPと比較したところ、他の話数と相違がなかったとも……)
 テレポート怪獣ザローム登場回(#10・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090706/p1)からOPの宇宙空間が鮮やかな色調になり、サブタイトルのBGMも変更(編註:冬木透氏による追加BGM)。次回予告のバックが新規の図柄になったのもこの回から。
 細かいマイナーチェンジが多いのが本作の特徴で、変身シーンにも複数のバリエーションが存在。「目覚めた古代生物の恐怖!!」(#9・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090628/p1)や「謎のモンスター島」(#18)BGMにタツノコアニメからの流用を確認。
 また、資料をチェックしたら絵コンテ担当者に満田かずほ(円谷プロ監督・プロデューサー)や斧谷稔こと富野由悠季カントクの名前も。満田コンテによる「盗まれた怪獣収容星(前後編)」(#34、35)はT.SATOサン的には「意外に凡作」とのことですが、満田監督のコンティニュイティーとは所詮その程度のものということです(アワワ、こんなこと言ったら熱狂的ウルトラファンからクレームが来ることまちがいナシ(苦笑)。
 でも満田演出はテーマ性では際立っている反面、作風は中途半端な映像派といった感じで正直なところあまり魅力を感じないのです。印象に残るものと言えば『ウルトラセブン』(67年)最終回の銀紙バックくらいでは? アレにしても実相寺の逆光シルエットの模倣に見えなくもないし……)。アニメにおける絵コンテの重要性は宮崎アニメを例にひくまでもないこと。最終回の盛り上がりはトミノ監督の手腕に負うところも結構あるのでは? ガンダム・ミーツ・ウルトラ。そうした視点からの評論にも期待します(誰に対して?)


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2000年号』(99年12月30日発行)『98年号「ザ☆ウルトラマン」特集への反響集』より抜粋)



『假面特攻隊98年号』「ザ☆ウルトラマン」特集記事一覧
・?「LD化記念『ザ★ウルトラマン』に寄せて」(文・いちせ たか)
・?「『ザ☆ウルトラマン』の時代」(文・T.SATO)
・?「『ザ・ウルトラマン』全話評」(文・内山 和正)


『假面特攻隊98年号』「ザ☆ウルトラマン」関係記事の縮小コピー収録一覧
朝日新聞 1979年1月2X日 再放送で人気再燃、春には再編集映画&新作TVアニメも登場
朝日新聞 1979年4月4日(金) 『ザ☆ウル』放映開始日のTV欄『ザ☆ウル』紹介記事
朝日新聞 1979年3〜4月のTV欄
  3月2X日17:00 フジテレビ『ウルトラマン大会』(#36、37再放送。OP主題歌カット)
  3月25日(日)20:00 テレビ神奈川『ファンキー・トマト』帰ってきたヒーロー!スーパーマンVSウルトラマン
  3月25日(日)20:00 TBS『日曜・特バン!』「輝け!!ヒットTVマンガ20年・いま甦るヒーローたち」新ウルトラマン
  4月2日(月)8:30 TBS『奥さま8時半です』ウルトラマン大集合
  4月2日(月)18:50 テレビ朝日ドラえもん』(平日(月)〜(土)10分枠の帯番組版)#1
  4月4日(水)19:00 TBS『ザ・ウルトラマン』#1「新しいヒーローの誕生!!」声・富山敬ほか
  4月8日(日)9:30 テレビ朝日ドラえもん』(週1版。平日版の再放送)#1「テストにアンキパン」



『ザ☆ウルトラマン』平均視聴率:関東11.0%(13.2%)・中部12.0%・関西11.4%
 1クール目:関東13.0%(14.0%)・中部12.1%・関西10.6%
 2クール目:関東9.9%(12.4%)・中部9.9%・関西9.3%
 3クール目:関東10.2%・中部13.4%・関西12.6%(〜12月・〜#38)
 4クール目:関東10.8%・中部12.6%・関西13.6%(1月〜・#39〜50)
 最高視聴率:関東19.3%(19.9%)(共に#1)・中部15.0%(#31)・関西15.6%(#36)
 最低視聴率:関東7.4%(#23)(9.4%(#18))・中部6.7%(#18)・関西7.2%(#18)
 (関東のカッコ内はニールセンによる視聴率調査結果。ただし2クール#26までのみ判明)
  他はすべてビデオリサーチによる調査結果)
 (10%未満:関東16回・中部9回・関西13回)
 (平均視聴率EXCEL表計算:森川 由浩)


・ニールセンによる関東#1の視聴率19.9%は、関東ローカルの子供向けバラエティの平日帯番組『夕やけロンちゃん』内でも公表されていた。小学校中高学年でもうマニアだった編者は、この視聴率を今に至るまで暗記していた(笑)。(T.SATO)



※:関東地方では本放映および再放送1回きりで、89〜92年のNHK・BS2での『ウルトラ』シリーズ再放送でも除外され(汗)、07年2月現在、おそらくは80〜90年代初頭に一部で盛んだったジャンルビデオのダビング交流マニアや、96年発売のLDボックス所有者しか、鑑賞することがあたわない幻の作品となりはてている『ザ☆ウルトラマン』。
 某無料動画配信サイトで#1と#2がUPされているのを確認。もうココでしか観ることができないと思いますので、あえてリンクを貼らせていただきます。
  http://www.youtube.com/watch?v=iMmVY33HxM0(08年に入ってから、削除された模様・汗)
 ぜひファミリー劇場での『ウルトラ』シリーズ再放送、およびDVDデジタルウルトラシリーズでのBOXならぬ単品発売の実現で、レンタルビデオにも配布されて、なるべく多くの方々にこの希代の傑作が目にふれることを切に祈ります。関係者の方々、なにとぞご尽力のほどを! また心あるみなさま、ファミ劇やデジタルウルトラプロジェクトや「たのみこむ」(tanomi.com)に嘆願のメール送付や掲示板書き込みを!


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