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ウルトラマン80 21話「永遠に輝け!! 宇宙Gメン85」 〜気象班・小坂ユリ子登場

ファミリー劇場ウルトラマンエイティ』放映記念「全話評」連動連載!)
『ウルトラマン80』総論 〜あのころ特撮評論は思春期(中二病・笑)だった!
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『ウルトラマン80』全話評 〜全記事見出し一覧


第21話『永遠(とわ)に輝け!! 宇宙Gメン85』

残酷怪獣ガモス L85星人ザッカル ザッカル妻子登場

(作・山浦弘靖 監督・湯浅憲明 特撮監督・佐川和夫 放映日・80年8月20日
(視聴率:関東7.8% 中部14.1% 関西15.9%)


(文・内山和正)
(1999年執筆)


 前回の20話「襲来!! 吸血ボール軍団」評(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100912/p1)で日本各地で事件が発生する“めずらしい大惨事”と書いたら、今回も世界各地で一夜にして街や都市が破壊されて人々もほとんど全滅するという大事件が発生!!


 冒頭に登場する、竜巻で樹木がへし折れて瓦や屋根が飛ばされ雨戸も外れて歪んだような日本家屋や、傾いた電柱やコンクリのビルを残して一面焼け野原の瓦礫と化した街々の煤(すす)けたような特撮美術やミニチュア群の質感が高いカタストロフ(大惨事)描写、被災して家族を喪(うしな)った人々や子供たちの汚れた服装や悲惨さ、母親を呼ぶ声はリアルで感心した。
 こういう云い方をすると『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)の否定派に対して説得力をなくしてしまうかもしれないが、前作のテレビアニメ『ザ・ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100430/p1)のいくつかの回でのアニメ作品ならではの猛烈な都市破壊描写や被災描写を想起してしまった。


 地球防衛軍・極東エリアのUGM隊長・オオヤマキャップらはこの事件を怪獣の仕業(しわざ)かもしれないと主張するものの、UGM国際本部の代表会議では


 “怪獣ならば無差別に破壊するはずだ。事件直後に異星人の姿も目撃されている”


 と否定されてしまう。


 このあたりに、第1期『ウルトラ』シリーズ的な怪獣観(野性の生物や猛獣の延長)と、14話「テレポーテーション! パリから来た男」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100801/p1)のテレポート怪獣ザルドンや18話「魔の怪獣島(じま)へ飛べ!!(後編)」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100829/p1)の吸血怪獣ギマイラのように知性(?)を持ち超自然的な超能力を発揮する超怪獣が存在する――というより第2期『ウルトラ』シリーズあたりから顕著になった……厳密には初代『ウルトラマン』(66年)にも怪獣酋長ジェロニモンのような同種の前例も存在するが――『80』の怪獣観とのちがいが示されているといえるかもしれない。
 ただ怪獣ガモスの特異な能力の描写が具体的に示されていないため、外面的には強い怪獣という以上には見えない。


 怪獣が強力な破壊力を持つ単なる獣であるべきか、高度な思考力・超常的な能力などを兼ね備えた特殊な存在であってかまわないかは難しい問題である。
 後者の場合、意匠以外にも作劇やアクションに様々な工夫・幅が盛り込めて自由度が高まるし(何でもアリとも云う)、ヒーローと対抗する“敵”の強化を示すのにも都合が良い。反面、宇宙人や超獣との差異をどこに置くのか、定義は何なのかわからなくなる。


 個人的には今となっては理性では後者の可能性を支持する反面、古い世代の人間として感情面では抵抗を感じるときもある。
 過去には『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)の等身大の人間体型をしたスマートなウエットスーツの宇宙人が巨大化すると怪獣のような外面に変化しながら、“星人”を名乗っていることに当惑した経験がある。


 事件が宇宙人の仕業と思われたために、UGMに誤解されて狙われる宇宙Gメンの隊員・ザッカル。
 彼をかばうため不審な行動――エイリアンを発見できていないと虚偽の報告をしたり、エイリアンのテレパシーによって戦闘機スカイハイヤーが墜落したあとに連絡を絶って姿をくらましたり――を取るウルトラマン80こと主人公のUGM隊員・矢的猛(やまと・たけし)が、このあとどういう言い訳をしたのか気になるだけに描かれないことが残念だ。


 ザッカルは妻子を殺したガモス――このシーンも異星ではあるが、モノクロというかセピア調の映像を使用して過去の記憶であることを演出――を追いかけつづけてきた老Gメンで、定年を間際にした今ガモスを倒すことに執念を燃やしている。
 共闘はせずに他者によるガモス攻撃を邪魔してまで“自分の手で”というその思いは、気持ちは心情として理解できるものの、確実にトドメを刺せる合理性はないわけで、80が思うほどには感銘はできなかった。


 今回は佐川和夫特撮監督による特撮場面も凝っている。
 ザッカルと矢的が身を潜めた夏草越しに、イトウチーフ(副隊長)専用の戦闘機エースフライヤーが出現し真上を高速で通過するシーンや、随所に自然光を用いたスタジオ外でのオープン撮影を敢行し、家屋のミニチュア越しに土砂粉塵を高く巻き上げながら出現する怪獣を見上げて写して巨大感を出したり、同アングルの怪獣が一旦地底へ逃亡するシーンの上空にも戦闘機を通過させたりと、実にリアルだ。
 ガモスが口から吐く泡で、ビルや戦闘機シルバーガルの片翼が溶けたり、ザッカルが搭乗する三脚付きの宇宙船が格好よかったり、変身巨大化カット用の右拳を突き出した80のミニチュアを一瞬写したりと工夫されていて、一時たりとも飽きさせない。


 本編部分でも、等身大のザッカルと矢的がジャンプや空中回転やバック転を多用した対決アクションを見せてくれる。


 怪獣ガモスは都市破壊のみではなく、避難する人々をハッキリとねらって、溶解液で泡とする。


 ガモス再出現にザッカルは巨大化するも、これを倒せず重傷を負い、遅れて助っ人に駆けつけた80が激闘の末に、ザッカルからガモスの弱点を聞いて形勢を逆転、最後に腹部から発するバックルビームでやっと倒す。
 ビーム直撃後に怪獣が光学合成によるオレンジの大きな炎で燃えつつ下部から消滅していく様は、3話「泣くな初恋怪獣」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100516/p1)などでの硫酸怪獣ホーに対する同ビーム使用後に準じて統一された描写だ。



 1話「ウルトラマン先生」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1)〜12話「美しい転校生」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100718/p1)の教師編で用務員ノンちゃんを演じていた白坂紀子地球防衛軍・極東エリア基地・気象班の小坂ユリ子役で再レギュラー化。
 13話「必殺! フォーメーション・ヤマト」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100725/p1)からのUGM編開幕以後、矢的の教師生活がどうなったのかいっさい語られていないが、ユリ子を見てノンちゃんかと思い、嬉しそうな懐かしそうな表情を見せる矢的の表情からすると二足の草鞋(わらじ)ではなく、すでに教員活動から離れて久しいと個人的には判断している。



◎オオヤマが国際本部から持ち帰ったエイリアンの機密写真を、UGM司令室内にてオフィス用のプロジェクターで投射するのは、この時代の作品としては近代的。それ以前のシリーズではあまり印象にないものだ(『帰ってきたウルトラマン』(71年)10話「恐竜爆破指令」で、レギュラーの次郎少年が手書きによる地球の歴史を素朴な映写機で投射したことがあった程度か?)。


◎そのプロジェクターに投射されたエイリアンの姿を見て、思わず矢的が


 「L85星人。この星人は友好的で平和を愛する高等生物です」


 と口走ってしまうあたりは、


 「どうしてそんなことがおまえにわかるんだ?」


 とイトウチーフにツッコミされて、


 「どうしてって。その、僕の勘です」


 とごまかして、さらに他の隊員たちからも「証拠もないのに」「矢的らしくもない」とツッコミされることで中和されて話はつづいていくものの、やりすぎの正体バレバレな作劇ではある。個人的には子供番組として許容範囲の作劇ではあるが、せめて口に出さずに、内心の声だけに留めてほしかったかも……


◎ザッカル(の等身大のみだろう)を演じたのは、『ウルトラマンレオ』第4クールの宿敵・ブラック指令も演じたことがある大林丈史(おおばやし・たけし)氏。
 顔出しではない猿のような、白色の小型犬マルチーズのような薄紫色の毛むくじゃらな着ぐるみ(というかマスク)を着けた役だが(両目は出ている)、専門のスーツアクターでもないのに全身を見事に使って演じきっている。
 巨大化すると、この時代の作品としては珍しく色鮮やかな紫色の体毛をした逞しい姿となる(等身大時とは別の着ぐるみ)。


◎ザッカルはL85星人。当然ながらウルトラマンレオの故郷・獅子座のL77星のネーミングをアレンジした名称だろう。
 ザッカルが所属する宇宙Gメンは、アンドロメダ系の宇宙人が中心になって組織された怪獣専門の捜査官という設定。ザッカルは指名手配No.2だそうだ。


 ウルトラマン80のことは“ウルトラの戦士たち”(ザッカルの台詞より)から聞いてすでに知っていたそうで、児童誌「コロコロコミック」で連載されて当時大ヒットしていた内山まもるの漫画『ザ・ウルトラマン』(ASIN:4575935514)やかたおか徹治の漫画『ウルトラ兄弟物語』(ISBN:4575935875)などのように、実は地球のみならず宇宙規模でも活躍しているウルトラ一族という設定を活かしていてとても良い。


 なお、ウルトラ一族のように地球人に変身して正体を隠すような超能力を、ザッカル自身は保持していないとも発言。


◎宇宙Gメン85はもちろん当時、土曜夜9時からTBS系で放映されていて高い人気を誇っていた東映の刑事ドラマ『Gメン75』(75〜82年)からの引用。
 さすがにあまりにマイナーな日本映画電波社が製作した古典テレビ特撮『宇宙Gメン』(63年)からの引用ではないだろう、多分。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2000年号』(99年12月26日発行)『ウルトラマン80』大特集・合評8「ウルトラマン80全話評」より分載抜粋)



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