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ウルトラマン80 22話「惑星が並ぶ日なにかが起こる」 〜古代怪獣ゴモラII登場

(「惑星が並ぶ日何かが起こる」という表記は間違い。「何か」ではなく「なにか」が正解です・笑)
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『ウルトラマン80』全話評 〜全記事見出し一覧


第22話『惑星が並ぶ日なにかが起こる』

古代怪獣ゴモラII 女王イーナス 地底人登場

(作・阿井文瓶 監督・湯浅憲明 特撮監督・佐川和夫 放映日・80年8月27日)
(視聴率:関東9.5% 中部15.5% 関西16.2%)


(文・内山和正)
(1999年執筆)


 地上人の金銀採掘や地下水採取が原因で地底の構造がゆるみ、2年後の1982年の太陽系9つの惑星が一直線に並ぶ惑星直列の際には、潮汐力(ちょうせきりょく)の上昇で天変地異が起こり、地底の世界が崩壊してしまうという。


 実は地上人とほぼ同じ約40億人もの人口を誇る地底人たちは地上での生活を考えて、白色で巨大な球形の人工衛星(外殻の厚さは1メートルの超合金で中身はほぼ空洞と解析される)を死火山とされていた中部山岳地帯の最高峰・大ヶ岳(おおがたけ)の火口から噴火とともに打ち上げ、自身らの命をおびやかす太陽の光をさえぎるために皆既日蝕を起こす。
 しかも、セリフのみではあったが人工衛星を多数打ち上げて、地球の各地を彼らの生存に適した「暗闇」にしようというのだ。
 当然、地上の人々はミサイルでの人工衛星爆破を計画する。


 皆既日蝕下での火山の調査中に白衣を着て徘徊する地底人多数を目撃し、彼らを追跡していた防衛組織・UGM隊員であるイトウチーフ(副隊長)・ハラダ・タジマたちを、地底人は洞窟の中で地割れを起こして落下させてこれを捕らえる。
 パルテノン神殿のような柱が林立する白色の地底宮殿で、正体を隠した宇宙人(=ウルトラマン80(エイティ))であるUGMの矢的猛(やまと・たけし)隊員がいることに気づいた地底人の女王イーナスは、彼だけは釈放して宇宙に帰ることを促(うなが)す。
 しかし矢的による地上人と地底人の共存共栄の主張を聞き、女王イーナスは彼に交渉係を頼むが……


 すでにミサイルでの人工衛星撃破という地底人への宣戦布告にも等しい処置を地上の人々は決定していた。
 定刻をすぎてもミサイルを発射しないUGM司令室に、17話「魔の怪獣島(じま)へ飛べ!!(前編)」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100822/p1)以来の再登場である地球防衛軍・極東エリアのナンゴウ長官とイシジマ副官が押し掛けてくる。


 しかし、通信および地上に戻った矢的の懇願に、UGMのオオヤマキャップ(隊長)は困惑するも上層部への説得を決断。
 ミサイル発射ボタンを押させないようナンゴウ長官もUGM司令室に陣取り、国家最高会議の初老のおエライさんたち多数もオオヤマの説得についにうなづく。


 物分かりの良い長官と悪役の副官というポジションは前作『ザ・ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100430/p1)の桜田長官と宮井副官の踏襲――学園ものにおける温厚な老賢者としての校長と神経質で陰険な嫌われ者の教頭の性格付けなども大抵そのようなキャラシフトになっているものだが――。
 このあたり、劇中でもそのものズバリ、「戦争」か否かと語られている通り、その駆け引き・一進一退はポリティカル・フィクション(政治劇)の様相を呈してくる。


 女王イーナスも含めて物分かりが良すぎるものの、一度は善意が勝利して危機が去る。そのことがむしろ気持ち良く感じられる。


 だが、イシジマ副官が、城野エミ隊員から銃器を奪って一般職員たちの制止もふりきり、ミサイル発射を勝手に命令して、さらに中部山岳地帯に地球防衛軍の戦闘機群による爆撃を開始させてしまう。
 人工衛星さえ打ち上げる地底人の科学力に危惧を示して先手必勝、すでに戦争ははじまっていると主張していた、最後に交渉をフイにするイシジマ副官が単なる「頑迷固陋」で「偏見」まみれの「好戦的」な悪役でなく、幽霊のような白い衣装に不気味な白面の地底人が皆既日蝕下の地上でキャンプしている人々を襲撃(?)する姿の生中継のモニター映像に「恐怖」を感じて半狂乱になって……といった「弱気」や「小心」や「臆病」から来た行為としてキチンと段取りを踏んで描いているあたりで変化もつけており、一応はリアル寄りに描こうとはしているので、他の人物たちの和平に向けてのあまりに理性的・理想的にふるまうキレイ事な、やや非リアルかもしれない描写とも釣りあいになるような折り合いやバランスをつけているのだともいえる。


 これからどうなるのか? というところで、往年の人気強敵怪獣・ゴモラが戦闘機の爆撃で地中で眼を覚まして、地底宮殿のある地底空洞に片脚を突っ込んでくる!
 女王イーナスは別れの言葉とともに退避して、交渉が結果を示すことなく、結論が惑星直列時の未来に先伸ばしにされて終わるのはズルイけれど。



 怪獣ゴモラは、初代『ウルトラマン』(66年)26話「怪獣殿下 前篇」〜27話「怪獣殿下 後篇」に登場した初代ゴモラや、映画『ウルトラ6兄弟VS(たい)怪獣軍団』(日タイ合作・74年・79年日本公開・ASIN:B00005KVC8ASIN:B00005ES1UASIN:B00005ETK0ASIN:B000064FZS)に登場した念力や光線を発する怪獣帝王ゴモラ以来の登場。
 顔の左右に長大に開いて上方に反ったツノが特徴的なゴモラだが、この2代目(3代目?)ゴモラことゴモラII(ツー)は、左右のツノの後方にさらに2本の長大なツノを伸ばしている。


 監督・特撮監督の布陣が同じことから前話である21話「永遠(とわ)に輝け!! 宇宙Gメン85」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100919/p1)と2本まとめての1本撮りだろうが、特撮面では21話に登場した怪獣ガモス同様、屋外でのオープン撮影で下から見上げて怪獣の巨大感を強調したアングルを多用。
 ゴモラIIは両腕を突き出して両手の甲から曳光弾(えいこうだん)を連射し、左右に開いたツノからそれと同一のかたちの巨大な光のブーメランを多数投げ飛ばす。おなじくツノからは雷撃も放ち、光の輪も投げ飛ばしてウルトラマン80を金縛りにもする。


 このあたり、あくまでも古代の恐竜(生物)・ゴモラザウルスであった初代ゴモラとは異なり、むしろ超常的な“怪獣念力”(当時の映画のパンフレットより)を有しツノから電撃光線を放っていた『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』の超常的で知能もあるような超怪獣としてのゴモラの方を踏襲している。本話の特撮監督は『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』でも特撮監督を務めた佐川和夫。


 超能力を発揮するゴモラはこれはこれで今ではよいと思えるものの、当時勃興しだした特撮マニア論壇での年長マニア間の風潮はリアル至上主義であったため、往時は本話はあまりよい印象を持たれなかったものと思われる。そして、視聴者の注目の的である人気怪獣ゴモラの再登場やその存在自体が本話の目玉かつ中心の作劇にはなっていない、別の怪獣を代入しても代替可能な作りであるあたりも、当時の怪獣ファンたちの不満を募らせたかもしれないのは本話の弱点かもしれない。
 それらを差し引いて作劇とテーマのみで見れば、異人種との共存か? 全面戦争の脅威か? をポリティカル・サスペンスとして描いた佳作ではある。



 なお、同族別個体や近縁種である怪獣の名称の末尾に「~II」や「~2」を付ける手法は、70年代末期の本邦初のマニア向け書籍で「バルタン星人(2代目・3代目)」や「レッドキング(2代目)」などとウルトラシリーズに幾度も登場してきた怪獣たちを識別する際に付与した「2代目」表記の児童間での一般化にも起因するものだろう。
 本作前年に公開された初代『ウルトラマン』の人気エピソードを再編集した映画『ウルトラマン怪獣大決戦』(79年)では、予告編・映画パンフ・映画館頒布物・当時の児童向け書籍で、レッドキング初代を「レッドキング1(ワン)」、レッドキング(2代目)を「レッドキング2(ツー)」と表記して、当時の子供たちにちょっとした新鮮さを醸していた。
 本話のゴモラを「ゴモラII(ツー)」というネーミングにしたのは、これを受けてのものだろう。



◎1982年に起こるという太陽系の9つの惑星が直列に並ぶ「惑星直列」。1970年代の子供向けオカルト系書籍などの記述で往時はわりと有名ではあった。実際には直列に近いかたちに並ぶというだけであって、かなりバラけており、本当に一直線に並ぶわけではなかったが。
 同様の例に1999年8月に太陽系の9つの惑星が十字型に並ぶという「グランドクロス」があり(実際にはやはりかなりバラけているのだが)、その前月の1999年7の月の「ノストラダムスの大予言」での人類滅亡の年月に近いこともあってか、これに関連する第2の災害なのかもしれないとして次いで有名でもあった。
 こちらのグランドクロスは、今年1999年の『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(99年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19991103/p1)のシリーズ中盤である8月前後のヤマ場でも題材とされている。


◎女王イーナスを演じた加山麗子(かやま・れいこ)は、日活ロマンポルノ出身の清純派女優として活躍したあと、一般のテレビドラマにも進出した御仁。ゴモラⅡが出現して地下宮殿から避難する別れ際に発する「さようなら……」のセリフ廻しだけは、少し間(ま)が抜けているようにも聴こえてしまい残念。


◎ウルトラワールドでの地底人には、


・初代『ウルトラマン』22話「地上破壊工作」の地底人
・(『ウルトラセブン』(67年)17話「地底GO!GO!GO!」の地底ロボット・ユートムを作った、姿を見せない存在も宇宙人でなければ地底人の一種かもしれない)
・『帰ってきたウルトラマン』(71年)の原始地底人キング・ボックル
・『ウルトラマンエース』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)5話「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060604/p1)の地底エージェント・ギロン人
・おなじく『ウルトラマンエース』29話「ウルトラ6番目の弟」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061120/p1)の地底超人アングラモン
・そして本話の地底人一族。


 ……などが登場したことになる。


 地底世界も一枚岩ではなく群雄割拠であるあたり、勢力図や抗争などもあったりするのかと、小学生の怪獣博士的な幼い妄想をそそられたりもする。
 海底には『ウルトラQ』(66年)20話や初代『ウルトラマン』4話に登場した海底原人ラゴンも棲息し、海底に追いやられた海底原人ノンマルト(『ウルトラセブン』42話「ノンマルトの使者」)がかつては地上の王者でもあったわけで、地底や海底も含めて地球には実は人類以外の知的生命体が割拠しているという、そのような壮大な世界観や歴史(秘史)についての妄想をつい繰り広げてしまうのは、本話の深刻な異種族同士の共生可能性テーマからはかけ離れてしまうものでもあるのだが楽しくもある。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2000年号』(99年12月26日発行)『ウルトラマン80』大特集・合評8「ウルトラマン80全話評」より分載抜粋)



(編:地底人や地球の先住民族といえば、近年の平成ウルトラシリーズでは、『ウルトラマンティガ』(96年)の3話「悪魔の預言(よげん)」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)や25話「悪魔の審判」、最終回3部作(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091211/p1)に登場した炎魔人キリエル人(びと)などがあるだろう。
 奇しくも本話と同じテーマを描いたともいえる、高度な文明を誇る地底人との衝突と和解を描く『ウルトラマンマックス』(05年)最終回前後編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060503/p1)も記憶に新しい)


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  • 発売日: 1999/06/25
  • メディア: VHS
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