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ウルトラマンネオス7話「生態系の王」

(東京MXテレビ・毎週日曜18:30の円谷劇場にて『ウルトラマンネオス』放映「全話評」連動連載!)
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『ウルトラマンネオス』全話評 〜全記事見出し一覧

我らがネオス 僕らのネオス(後半評)

(『ネオス』前半評(#1〜6評)からつづく)
(文・内山和正)
(02年11月執筆)

#7  生態系の王

怪獣(変貌怪獣)キングバモス
(凶暴竜)ロックイーター登場

(脚本・武上純希 監督&特撮監督・小原直樹)
(視聴率:関東・未放映 中部・未放映 関西3.1%)


 1995年パイロットフィルム版(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971115/p)のウルトラマンネオスのお披露目デビューは、九州の三井グリーンランドのイベントであった。
 それにちなみ、2000年版の『ウルトラマンネオス』ビデオシリーズ中盤の7〜9話でも九州ロケ三部作が行なわれることになった。


 主要エピソードとかビッグイベント――連続ストーリーになるとか、強力な敵にウルトラマンネオスウルトラセブン21(ツーワン)が力をあわせて戦うとか――になるという噂を聞いたような気がするが、実際はごく普通の――8話「蘇る地球 HEART南へ」は注目点ありだが――単発エピソードだった。
 残念ではあったが、『ネオス』全体の平均点よりも高いレベルの作品が多いように思えるのがうれしい。


 (注意:本作のトリックに以下の文章でふれる。観ていれば誰でもわかるだろうし、特撮雑誌『宇宙船』や『ウルトラマンAge(エイジ)』誌ですでにネタばらしされていたが、念のため)



 この回は本作のチーフ助監督・小原直樹氏の監督デビュー作。


 暗黒物質ダークマターの影響で怪獣の群生する島となってしまった荒神島(あらがみじま)。
 夜陰の岩だらけの海岸を逃げる二人の観測員。
 娘からもらったオルゴールを落としてそれを探すために逃げ遅れた男が助かり、逃げることのできたほうが犠牲になる。
 この残酷な冒頭が刺激になるし、その後の彼らを襲った小型肉食恐竜3体の登場の仕方も類型的ながら結構ショッキングだ。


 救助に向かって戦闘機で荒神島に着陸した防衛組織HEART(ハート)の隊員たちは、そこで巨大な卵の残骸や小型恐竜の死骸などの怪異に遭遇し……


 「南海の孤島を舞台にした初代『ウルトラマン』(1966)8話『怪獣無法地帯』のリメイクじゃないか!」


 と観る前は個人的には批判的だったが、元ネタにしているだけだから問題はないし、逆に「怪獣無法地帯」の要素要素をブローアップもしているくらいで、筆者は本エピソードの内容がけっこう気に入ってしまった。


 等身大の人間を直接襲う怪獣が怪奇植物スフランくらいしか登場しない「怪獣無法地帯」にくらべ、どこまでも走って追いかけてくる人間大の二足歩行の肉食恐竜・ロックイーター(巨大サイズの個体もいる)が存在するため、本編ドラマ部分にもスリルとサスペンスがある。
 夜間に野宿で寝入ったシーンでも、登場人物たちは小型恐竜や巨大怪獣の脅威にさらされる。


 生き残った観測員・成瀬を恐竜ロックイーターから守ってくれた小怪獣バモちゃん。
 彼らと遊ぶ、救助のために上陸していた防衛組織HEART(ハート)の主人公カグラ隊員とナナ隊員。
 成瀬とバモちゃん、彼らを見習ってカグラ隊員も、『ジャングルの王者ターザン』(1918)のように蔦(つた)で谷を飛び越えるシーンは背景が特撮セットで画質も悪いリアプロジェクション合成があまりにも露骨で情けない。
 が、これら一連のコミカルなシーンは、『ウルトラマン80(エイティ)』(1980・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p)の安息シーンによく流れたBGMが使用されて懐かしく、またシーンにもマッチしていたように思う。


 類人猿のようでありながらつぶらな瞳で、明るい黄褐色の体色と金髪の頭髪にメッシュも入ったマンガチックなデザインもさることながら(多少シーンから浮いているかもしれないが)、これらのシーンを通して怪獣というより快獣というイメージのバモちゃんのかわいさがアピールされる。
 お約束の展開だが、成瀬とバモちゃんとの交流に先のオルゴールの子守唄の音色(ねいろ)の介在も象徴的に挿入される。
 往年の「怪獣無法地帯」に登場した人間サイズの友好珍獣ピグモン以上に、バモちゃんと成瀬の情愛が強調されている。


 成瀬は「バモちゃんといっしょでなければ東京に帰らない!」とまで発言。


 このへんは、脚本的には東京に帰っても、離婚した女房が娘に会わせてくれないという現代性で少し肉付けもしている。
 しかしそれ以上に成瀬役の宮坂ひろし氏による、理系の研究員として誠実そうな痩身のルックスと南海の生活で日に焼けて無精髭になったワイルドな役作りと、バモちゃんのことになるととてもムキになって熱く叫ぶというテンションの高い演技が、成瀬の非常識なまでのふるまいと情愛に説得力を与えていて人物像の補強にもなっている。


 さらには成瀬はバモちゃんともども荒神島の怪獣たちをHEARTが殲滅するかもしれない気配を察知し、バモちゃんと逃げようとさえする。
 (殲滅を避けるために、基地に待機しているHEARTのミナト隊長は内閣情報室のフジワラ秘書官にかけあい、さらにフジワラ秘書官は上層部にかけあう)


 しかし更なる問題が。
 バモちゃんはただ単に善良なだけの小型怪獣なのではなく、HEARTのアユミ隊員による細胞の分析によれば、興奮すると巨大化して凶暴な怪獣キングバモスとなってしまうのだ。そして荒神島の生態系の王はこのキングバモスらしいのだ。


 本エピソード前半ではキングバモスを謎の怪獣として描き、後半になって「怪獣無法地帯」における友好珍獣ピグモンと同じく同話に登場した南海の孤島の怪獣王レッドキング一人二役バモちゃんが負っていたことが示される作劇がなされている。
 いや肉食恐竜ロックイーターがレッドキング格でキングバモスはそれ以上の存在というべきか。体の模様は東宝の怪獣映画の元祖怪獣王ゴジラを意識(?)しているのだろうし。


 ロックイーター大型種が出現し、バモちゃんや成瀬が逃げ惑う中、ロックイーターは山塊の岩石を崩落させ、バモちゃんをかばった成瀬は落石の直撃を受けて傷つく。
 その姿を見て、バモちゃんは興奮して巨大化!


 ロックイーター大型種VSキングバモス
 このシーンでは往年の円谷巨大特撮『ミラーマン』(1971)の侵略者インベーダーの暗躍や怪獣大暴れのシーンによく使用されたBGMが流用される。


 いっとき、苦戦するキングバモスに対して、成瀬はつぶやく。


 「俺が、あいつに近づきすぎたのかも……。そっとしておいてやれば、あいつはこの島の王としていられたのかも……。生態系の王として」


 しかし結局は、キングバモスが左腕を垂直に高らかに掲げ、爪を伸ばして先から電流を放出させ、その爪で横殴りにロックイーターを格好よく斬り殺す!


 ここではキングバモスにヒーローまがいの見得(みえ)やタメの演出がなされ、その場に不似合いゆえに却(かえ)ってインパクトが高まり魅力的に見えた。
 その直後のシーンはヒーローらしくなく、野生の猛獣のふるまいという感じで残酷なのだが……


 興奮冷めやらず、成瀬やカグラをも襲おうとするキングバモスに間一髪、ウエマツとヒノが搭乗するHEARTの戦闘機2機が攻撃を開始して難を救う!
 

 しかしカグラは通信で、


 「攻撃を止めてください! 以上!」


 と怒鳴って、強引に通信を切るや、ウルトラマンネオスに変身!



 「大丈夫、ウルトラマンネオスだったらきっとわかってくれる。成瀬さんとバモちゃんの心のつながりを……」


 成瀬を介抱するナナ隊員のセリフの許(もと)で、ネオスVSキングバモスとの戦いがはじまる。
 倒さずに余裕でいなして戦っているように見えたネオスだが、キングバモスを羽交い絞めにすると帯電していた電流を電撃され巨大な左手の爪の直撃も受け、次第に押されていく。
 ネオスの胸中央のカラータイマーも赤く点滅をはじめてエネルギー残量が残り少ないことを示し、ついにネオスは「仕方がないのか……」とばかりに両手を金色に輝かせて必殺光線ネオマグニウム光線の発射直前のポーズをとりはじめる!


 ここで脚本は、成瀬に活躍の場を与える。
 ウルトラマンだけがやさしくて、悪くはない怪獣を助けるという展開ではなく、むしろゲスト主役の成瀬のキャラが立つように、彼にこそ状況を打開させる契機を与える展開にするのだ。
 涙目で熱演される成瀬役の宮坂ひろし氏の真骨頂が、本作に説得力と魂を宿らせたといえるだろう。

 

 ダークマターの影響によって生まれたこの島の特殊な生態系は、フジワラ秘書官の働きで特例的に保護されるかたちになったものの、成瀬とバモちゃんには別れが訪れる。


 両者の情愛に心引かせる脚本だけに、リアルに考えればたしかに自然と人間との共生はなかなかに困難で、天然の自然に人間は介入すべきではないのだが、


 「また、今となっては類型的な“人と動物は近づきすぎるべきではない”というテーマか……」


 と個人的には寂しくなった……。



 宮坂ひろし氏は、『ウルトラマンティガ』(1996・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p)再放送枠で流れたバンダイの1分間CMシリーズ『ウルトラマンナイス』(1999)でナイスに変身する婿養子の保育士・夢星銀河(ゆめぼし・ぎんが)役とは打って変わった役柄で好演。
 氏はウルトラシリーズでは、『ウルトラマンダイナ』(1997)31話「死闘! ダイナVSダイナ」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971208/p)でニセウルトラマンダイナに変身する宇宙格闘士グレゴール人の人間態、平成『ウルトラセブン1999最終章6部作』(1999)5話の大塚刑事役でも活躍。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2003年号』(02年12月29日発行)『ウルトラマンネオス』後半評より抜粋)


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