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ウルトラマンネオス8話「蘇る地球 HEART南へ!」 〜小原直樹監督の逸品!

(東京MXテレビ・毎週日曜18:30の円谷劇場にて『ウルトラマンネオス』放映「全話評」連動連載!)
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『ウルトラマンネオス』#4「赤い巨人! セブン21」
『ウルトラマンネオス』#5「見えない絆」 〜満留浩昌監督の傑作・『ネオス』ブレイク!
『ウルトラマンネオス』1995年版 〜Wヒーローならテーマへの多角的アプローチが可! 防衛隊も巨大ロボを持て!
『ウルトラマンネオス』全話評 〜全記事見出し一覧

#8「蘇る地球 HEART南へ!」

怪獣(幻聖魔獣)ラフレシオン登場

(脚本・武上純希 監督&特撮監督・小原直樹)
(視聴率:関東・未放映 中部・未放映 関西3.2%)


(文・内山和正)
(02年11月執筆)
 九州・宮崎沖を航行するフェリー。
 その客室で防衛組織HEART(ハート)のミナト隊長とアユミ隊員が私服でくつろいでいる。


 しかしフェリーの甲板で一席ぶって、搭乗客たちの注目を浴びている少女ミサキ(福井裕佳梨)がいた。
 彼女は海面の赤潮(あかしお)を指さし、あれは環境破壊に苦しむ地球の血潮(ちしお)で不吉の前兆であり、人類こそが300万年前にダークマターによって生まれた“怪獣”で、地球を傷つけているのだと主張する。


 それを間近に見たアユミ隊員は、


 「赤潮は単なるプランクトンの死骸であり超自然的な不吉の前兆ではない、あなたの主張も宇佐美(うさみ)教授の仮説のイタダキでしょ?(大意)」


 とのツッコミを入れた。観衆だった人々もシラケて去っていく。
 ひるんだ彼女に、しかし即座に


 「私、宇佐美教授の教え子なの。そうは見えないでしょうけど……」


 と笑顔でやさしいフォローを入れて、ミサキも少し微笑を浮かべて彼女の心を溶かす描写を端緒に、物語はふたりの少女の交流を描いていく。


 すると海面に青い閃光が出現! フェリーの直下を横切っていった。
 首長の青い怪獣が海底をのし歩いていたのだ。


 このシーンはフェリーの上層階から見下ろした後部甲板を左から右へとカメラが横移動し、それにつれてエキストラ客たちも海面の閃光を指さして野次馬的に右へと移動していき、実景の海面にも青い閃光が合成されている……
 といった長廻しのワンカットによる見事な凝ったシーンに仕上がっている。


 ナゾの少女の正体に心当たりがあったのか、アユミ隊員は宮崎市の海岸付近にある宇佐美教授の邸宅でもあるとおぼしき宇佐美研究所へとHEARTの特殊車両を走らせた。
 果たして、海岸付近の草木が生い茂る公園で、アユミはミサキと遭遇する。


 このシーンも、ミサキの視線の先へとカメラが左にゆっくり横移動をしていくと、草木の色が青々となり、そこには遠景の巨木の枝にブランコを吊して父に揺らしてもらっているミサキの少女時代の姿も幻視される。
 そしてカメラが右にゆっくり戻ると、現在の時間に戻って木々や草々が枯れたように赤茶けた色に色調調整されているといった、またも長廻しのワンカットによる凝った名シーンとなっている。


 するとそこに、地面を割って土煙をあげて怪獣が出現!
 彼女の言に応えるかのように、背ビレを広げて青い閃光を放ち、赤茶けた木草を緑豊かに蘇(よみがえ)らせていった……


 少し勝ち誇ったような表情のミサキと、信じられない光景を見たといった表情のアユミ隊員の両者の対比。


 しかしミサキは急に胸を押さえて苦しみだした。
 介抱しようとしたアユミ隊員もまた呼吸困難に陥(おちい)ってしまう!



 病院に入院することになったミサキをアユミ隊員が見舞いに行く。
 そこでアユミ隊員は、あの怪獣が宇佐美教授が唱えた理想的な幻獣ではなく、植物は蘇らせても動物には有害な物質を放出していることを告げる。


 当然そんな事実を認められないミサキ。どころか


 「地球の自然がよみがえるならば、人類なんて滅びたっていいじゃない! 出てって!(大意)」


 とアユミ隊員を強く拒絶する。



 追い出されたアユミ隊員は病院の廊下の彼方に、またもありえない光景を目撃する。
 死者であるはずの宇佐美教授の姿を見かけたのだ!


 病院の廊下を、階段を、屋上を追いかけるアユミ隊員。
 物干し竿から垂れた膨大な数の真っ白な洗濯されたシーツがゆるやかに風に舞っている。
 シーツの隙間隙間に宇佐美教授の横歩き姿や後ろ姿が一瞬一瞬ほのま見える。
 ついに宇佐美教授は姿を現し、孤独な愛娘(まなむすめ)の心を救ってほしいとアユミ隊員に懇願(こんがん)する。


 本作の基本設定である不条理な現象を現実化する宇宙を漂う暗黒物質ダークマター、そして本話における植物を蘇らせる怪獣の存在が、死者をも蘇らせたかもしれないと一瞬錯覚もさせるのだ。


 この一連のシーンは、現実に引き戻されてしまいかねない屋上の殺風景な寒々としたコンクリ壁や床、病院の屋上から見える外の風景は極力写さず、白いスーツのみを中心に写すことで、清潔感がありかつ神秘的で幻想的、そして感動的な名シーンに仕上がっている。



 このあとの展開は、怪獣ジャンルもののお約束で、怪獣ラフレシオンが大暴れ。
 冷静に観返せば、多少苦しい点があるかもしれないが、映像演出の勢いで、怪獣を育てた少女の想いはスルーし、父が夢想した怪獣とは異なり人類に害悪を与える存在であった怪獣という事実を直視し、この怪獣との決別と、父と怪獣からの自立、少女ミサキの人間世界への帰還にスポットが当てられ、ミサキがネオスに勝機を与える描写も描かれる。



 本話のラストシーンでは、この7〜9話の九州ロケ編において唯一全隊員がそろう。
 が、それ以外のロケシーンはミナト隊長とアユミ隊員に登場がかぎられている。
 (東京にある東宝ビルトのスタジオ内の基地セットにのみ、残りの隊員たちは登場)


 この回と並行して、主人公・カグラ隊員とナナ隊員がロケに参加する次回の9話が別の監督による別班体制で撮影されていたのだろうか?


 そんな状況下のためか、本話ではカグラの変身ポーズや変身時の掛け声のシーンさえもなく、ウルトラマンネオスの変身巨大化時のパース付き飛び人形のカットがいきなり挿入されてネオスが登場している。


 アユミ隊員の経歴が語られ、彼女の恩師だったという天文物理学者・宇佐美将人(うさみ・まさと)教授(タケ・ウケタ)による


 「人類はダークマターによって生まれた存在である」


 という学説も示され、これは最終回への伏線になっていく。


 自然を浄化してくれる怪獣、父が著書のなかで想像した理想の怪獣への思いをたくし小怪獣を育てあげてきた宇佐美の遺児・ミサキ。
 しかし……という亡父への思いから離れられない少女の癒(いや)しと自立の物語。


 アユミ隊員が両親を亡くしたとき宇佐美が言ってくれたという(そして今、アユミからミサキに贈られる)


 「もう頼るべき者は誰もいない。でも君が自分の力で歩きだせば手を貸してくれる人はきっと出てくる」


 はどこかで聞いたようなセリフながら、結構心にしみるいいセリフだ。


 ミサキ役の福井裕佳梨の演技は、甘い声質からも少女性を強く感じさせるもので、たしかに安定した演技力もあるのだが、少々クサいくらいの一歩手前、舞台演劇的・アニメ的なところもある。
 しかし、枯れていた草木の回復に死者の出現といった、非現実的な事象をウソくさく感じさせにくくするには、彼女のように適度な演技過剰さを持つ役者をワンクッションとして置いた方が、このような物語と怪事件への導き手としても合っているように思う。


 小柄で温厚そうな丸顔で眼鏡をかけた頭髪のうすい初老の宇佐美教授を演じたタケ・ウケタは、『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)でも防衛組織GUTS(ガッツ)の上位組織・地球平和連合TPCの穏健派ナハラ・マサユキ参謀役でセミレギュラー出演していたことでも印象に残る。



 今回、ウルトラセブン21(ツーワン)は地球を守ることにも通じるが、ひとりの少女の心を救うためにも活躍する。
 戦いに参加しないため、ヒーローものとしては物足りない登場の仕方ではあろうが、そのやさしさに個人的には涙ぐんでしまう。
 セブン21が毎回異なる人物に変身することに当初は反発を感じもしたが、結果的にはむしろそれによって彼の人間性が示されたような気がする。


 主人公カグラ隊員の性格を前面に出すため、ウルトラマン個人の人格が2話「謎のダークマター」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120304/p1)と最終回にしか示されないネオスにくらべ、特定の人間体を持たない21はさまざまな姿を通して共通の彼を見せてくれるのだ。


 なお、裏設定――おそらく1995年のパイロット版(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971115/p1)ではなく、今回の2000年のビデオドラマ版でつくられた――では、21は自分の担当宙域を離れられず地球に常駐できないのでネオスが地球へ行くことになり、21はテレポート(瞬間移動)して時々地球へ行く……となっている。
 が、実作ではこのことに何もふれられていない。
 むしろ、そんな設定などないかのようだ。
 しかし、そんなことはどうでもよいほどに監察者としての21が活きている。



 ネオスがいつもの必殺技ネオマグニウム光線発射直前に両手からあふれだす金色の光を、今回は右手から伸びる長大な剣として上段から振りおろして、遠方の怪獣ラフレシオンを切り裂くところが格好良い!!
 (前回の怪獣キングバモスの左手の爪と同趣向とも言えるので、監督の個人的な趣味嗜好でもあるのだろうか?)


 今回のエピソードは、前話と本話がデビュー作であるという小原直樹監督の高い演出力も示された逸品であると思う。今回は王道の作品ではなく変化球の異色作ではあるのだが。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2003年号』(02年12月29日発行)『ウルトラマンネオス』後半評より抜粋)



(編:本話のゲストヒロイン役の福井裕佳梨は、本作発売時期の西暦2000〜2001年以前においても、特撮雑誌『宇宙船』にて、Vシネマ(オリジナルビデオ作品)のカラー宣伝ページであったか、自主映画紹介の連載コーナーであったかで、特撮ヒロインパロディものの作品に出演していたのを見かけたような記憶がある(記憶に自信なし・汗)。
 しかも本話での出演時とは異なり、髪の毛を一部アップにせず、すべて降ろしていて、そちらの方がアイドル的でかわいかったという印象が……(乞う、正確な情報!・笑)。


 福井裕佳梨は、本作出演後はアニメ声優としてもブレイク。巨大ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)などで有名なガイナックス制作の名作オリジナルビデオアニメ『トップをねらえ!』(88年)の続編『トップをねらえ2!』(04年)では主演も務めた……)


[関連記事]

ウルトラマンネオス』#3「海からのSOS」

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ウルトラマンネオス』#4「赤い巨人! セブン21(ツーワン)」

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ウルトラマンネオス』#5「見えない絆(きずな)」 〜満留浩昌監督の傑作・『ネオス』ブレイク!

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  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971115/p1



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