假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありません

ウルトラマンX序盤評 ~鎧をまとうウルトラマンの是非! その鎧には昭和の人気怪獣の属性を付与! 一方で本格王道でもある特撮演出!

(2025年7月10日(木)UP)
『ウルトラマンX』前半評! 5話「イージス光る時」・8話「狙われたX」・9話「われら星雲!」 ~ゼロ・マックス・闇のエージェント客演!
☆☆☆☆☆
#####


[ウルトラ] ~全記事見出し一覧


『ウルトラマンX(エックス)』序盤評 ~鎧をまとうウルトラマンの是非! その鎧には昭和の人気怪獣の属性を付与! 一方で本格王道でもある特撮演出!

(文・久保達也)
(2015年8月1日脱稿)

*開幕! 世界各地にベムラー~ペスター6大怪獣総進撃!


 今から15年前、世界各地でスパークドールズ(怪獣人形)が実体化して大暴れするという異常事態が発生! 全人類が危機に陥(おちい)った!


●宇宙怪獣ベムラー
●冷凍怪獣ペギラ


などの怪獣が続々と現れた!


●青色発泡怪獣アボラスと
●赤色火焔(かえん)怪獣バニラ


 因縁の2匹も初代『ウルトラマン』(66年・)以来の50年ぶり、いや、『ウルトラマンパワード』(93年)以来の32年ぶりの激闘を繰り広げる!


 第1話『星空の声』の冒頭から、いきなりゴジラ映画『怪獣総進撃』(68年・東宝)のようだ! と喜んでいたら、フランスはパリの凱旋門(がいせんもん)を崩して地底怪獣バラゴン、いや、そのバラゴンを改造した


●地底怪獣マグラ


までもが現れた!(爆)


 もっとも、実際の『怪獣総進撃』で凱旋門を崩して現れたのは、原始恐竜ゴロザウルスだったが、脚本ではバラゴンだったのだ! それが変更されてしまったのは、バラゴンの着ぐるみが、


●『ウルトラQ(キュー)』(66年)で地底怪獣パゴス
●『ウルトラマン』で透明怪獣ネロンガ
●『ウルトラマン』でウラン怪獣ガボラ


と、その着ぐるみが改造して流用され続けたために、バラゴンを元通りに修復するのが困難を極めたから……というのは古い特撮マニアには有名な話である。年長マニア向けのセレクトでもあったのだ(笑)。


 しかし、中近東の某国を襲ったのが、


●油獣ペスター!


 って……こんなの着ぐるみ、あったのか!?(爆)


 『ウルトラマンギンガ』(13年)第1話では、はるか遠いむかしに起きたという、M78星雲のウルトラマンたちVS大怪獣軍団との「ウルトラ大戦争」――昭和ウルトラにおける3万年前の「ウルティメイトウォーズ」の方ではなく、「ダークスパークウォーズ」の方――の果てに、ウルトラマンも怪獣たちもすべてが人形=スパークドールズと化してしまって、日本の降星山(ふるほしやま)周辺に降り注いだという設定がなされていた。


 低予算ゆえの設定だったとはいえ、そのために舞台が「降星山」の周辺に限定されてしまって、『ギンガ』の第1期それ自体が「閉ざされた世界」となってしまっていた感は否(いな)めなかった。


 だが、本作ではスパークドールズの設定は踏襲しながらも、それをワールドワイドに拡大することで、同じように低予算でありながらも、立派に全世界的な危機を描いているのである!


*ウルトラマンと怪獣を宇宙人の超科学で融合!


 いや、決してそればかりではない!


●『ウルトラマンティガ』(96年)から『ウルトラマンマックス』(05年)に至る、10年間の作品群。
●『ウルトラマンメビウス』(06年)から今回の『ウルトラマンX(エックス)』(15年)に至る、10年間の作品群。


 今後、筆者は前者を第1期・平成ウルトラ、後者を第2期・平成ウルトラと呼称したいと考えている(笑)。M78星雲出身のウルトラマンや、昭和ウルトラ怪獣が客演するのが当たり前となった、その第2期・平成ウルトラでここ10年間にわたって築(きず)きあげられてきた、商業展開上は極めて有利に働くと思える、いわば「玩具」的な発想が、今回の『ウルトラマンX』では随所(ずいしょ)に散見されるのである!


ファントン星人グルマン博士「サイバーゴモラとエックスを合体させてもいいか?」
神木(かみき)隊長「そんなことが可能なのか?」


 往年の『ウルトラマンメビウス』第7話『ファントンの落し物』に登場した健啖(けんたん)宇宙人ファントン星人の同族の別個体が、なんと特殊防衛部隊・XiO(ジオ)で博士を務めていることが、第2話『可能性のかたまり』で判明する!


 そのXiOの「ラボ(研究)チーム」が、『メビウス』における防衛組織・クルーGUYS(ガイズ)が超科学で実体化して使役する正義の怪獣であった「マケット怪獣」のごとく、手のひらサイズのスパークドールズをエレクトロ粒子で巨大怪獣の姿に再現し、「サイバー怪獣」として戦力に使うのである!


 『メビウス』の防衛組織・GUYSのアマガイ・コノミ隊員は、マケット怪獣ミクラスのことを可愛がっていた。このコノミ隊員のようなメガネっ娘(こ)でもある、XiO(ジオ)のラボチームのルイは、ミクラスの天敵だった宇宙怪獣エレキングを「可愛い」と言っている(笑)。


 それはともかく、火山怪鳥バードンに苦戦していたウルトラマンエックスに、ルイはサイバー怪獣のデータを転送した!


ルイ「エックスさん、受けとって!」


 主人公のXiO隊員・大空大地(おおぞら・だいち)の通信機、兼変身アイテム・エクスデバイザーに、絵姿のカード状で転送されてくるサイバー怪獣!


エックス「なんだ、これ?」
大地「スゴいな、エックス。サイバー怪獣のデータも受信できるのか!」
エックス「これをどうしようって?」
大地「オレだけではムリでも、エックスとなら! やってみるぞ、エックス!」
エックス「おいおい、だから何を!?」
大地「頼むぞ、ゴモラ!」


 このようなやりとりは、まさに映画『ウルトラマンサーガ』(12年・松竹)で描かれた、主人公のタイガ・ノゾム隊員とウルトラマンゼロとの、掛け合い漫才のような会話を彷彿(ほうふつ)とさせるものであった!(笑)


*「神秘性」と「クダケた兄ちゃん」ぽさを両立させたエックス!


エックス「コラッ、しっかりしろ! そんなんじゃ戦えないぞ!」
大地「はっ? オレが、戦う? なんで?」


 第1話での初変身時も、まさに『サーガ』を思わせるものがあったが、高所恐怖症の大地が自身が巨大化したことに驚くさまを、


●エックスの主観でミニチュアセットを俯瞰(ふかん)するアングルや、
●エックスがビルにこわごわと手をつきながら(笑)、膝(ひざ)を折って姿勢を低くする演技――ちなみに、エックスのスーツアクターは、ウルトラマンゼロを長年演じ続けてきた岩田栄慶(いわた・ひでよし)が務めている――


 それらで見せているのは絶品であった。


 だが、ここでは、基本的にはエックスが握っていたハズの主導権が、エックスにとっては未知の存在であるサイバー怪獣の登場によって、大地に奪われてしまう逆転劇が、それと同時に絶妙なギャグとなり得ているのだ!


 声優・宮野真守(みやの・まもる)が演じてきたウルトラマンゼロほどガラは悪くないが、「神秘性」を感じさせつつも、「近所の兄ちゃん」のような親近感をも見事に両立させて(笑)、かなりクダけた口調のエックスの声は、21世紀に入って以降、この15年ほどの間に大活躍を続けている声優・中村悠一(なかむら・ゆういち)が務めている。


 代表作があまりにも多いので、絞らせてもらうが、


【特撮】


●『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)の昆虫型バディロイド(相棒ロボット)こと、ビート・J・スタッグ=銀色の5番目の戦隊ヒーロー・スタッグバスター


【アニメ】


●『マクロスF(フロンティア)』(08年 サテライト 毎日放送)の主人公青年・早乙女アルト
●『機動戦士ガンダム00(ダブル・オー)』(第1シーズン・07年 第2シーズン・08年 サンライズ 毎日放送)のライバルキャラであるグラハム・エーカー
●『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(13年・ワタモテ製作委員会 テレビ東京)のオタク女子高生主人公・黒木智子(くろき・ともこ)=もこっちとは全然似てない(笑)、中学生の弟でシブいモテ男の黒木智貴(くろき・ともき)


などなど、硬軟双方の演技ができるだけに、エックスのキャラクターには実にふさわしいようにも思える!


*エックスは怪獣属性のアーマーを装着! 主人公青年自体が怪獣博士!


 大地がエクスデバイザーでカードをリードするや、両腕が鋭い爪となるのをはじめ、全身がサイバーゴモラと一体化し、鎧(よろい)のように武装するウルトラマンエックスの姿になった!


 古代怪獣ゴモラが雄叫(おたけ)びを上げるサマを再現するかのように、エックスが両腕を大きく振るわせるアクションがまたスーツアクターと特撮監督によるディレクション(演出)なのだろう!


 そもそも、大地が亡き父から託(たく)された、ゴモラのスパークドールズを肌身離さず持ち歩いている設定もまた、


●『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)
●『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY(ネバー・エンディング・オデッセイ)』(08年)


などの『ウルトラマンメビウス』(06年)と『ウルトラマンギンガ』(13年)の間の空隙(くうげき)の期間を維持してくれたウルトラシリーズ番外編のテレビシリーズ作品群で、主人公の怪獣使いの青年・レイが相棒怪獣だとしていたことで、「善玉」怪獣として根づいたゴモラのイメージを踏襲(とうしゅう)させたものであろう。


 つまり、レイが「バトルナイザー」なるアイテムによって、カードの怪獣データを巨大怪獣として実体化させて、戦わせていたことの継承でもあるのだ。


 さらに、前作『ウルトラマンギンガS(エス)』(14年)で、劇中では2人目のウルトラマンであるウルトラマンビクトリーが、その右腕を怪獣たちの部位に変化させてバトルを繰り出していたことを受け継いだものでもある!


音声ガイダンス「サイバーゴモラアーマー、アクティブ(動作中)!」
大地「大成功!!」
エックス「ちょっと、なんだよこれ!?」
大地「地球人のサイバー怪獣技術とエックスのコラボ、名付けてゴモラアーマー!」


 ウルトラマンが鎧をまとうことそれ自体に賛否はあるだろうが、個人的にはルイでなくとも「カッコいい~!」と叫ばずにはいられない!


 あのウルトラマンタロウやウルトラ兄弟の長男・ゾフィーをも倒した、地球怪獣最強ともうたわれる火山怪鳥バードン最大の武器である鋭い嘴(くちばし)にも、ゴモラアーマーの装甲はビクともしない!


エックス「使えるじゃないか!」
大地「ゴモラ、いいだろ」
エックス「ちょっと重いけどな」(笑)


 バードンの口からの火炎攻撃は、鋭い爪から発した青いバリヤーではじく!


 エックスが必殺技を繰りだそうとするさまを、宙を飛ぶバードンの主観から俯瞰でとらえたアングルが実にいい!


大地「ゴモラ振動波!!」


 『大怪獣バトル』シリーズでは、ゴモラ最強の武器として描かれた「超振動波!」をまさに踏襲した攻撃によって、遂にエックスはバードンに勝利をおさめるのであった!



 続く第3話『夜を呼ぶ歌』では、ルイのイチ押し怪獣・サイバーエレキングのデータとの合体によって、エックスはエレキングアーマーを装備する!


エックス「私にだって心の準備が!」(爆)


 エックスが想定外の事態にオロオロしてしまうのも(笑)、ウルトラマンが決して「神」ではないことの象徴なのである(笑)。


大地「(エレキングアーマーが)どんな感じ?」
エックス「まぁ、ゴモラアーマーよりスマートだ」(笑)
大地「エレキングだから電撃が使えるよ」


 『X』では主人公の大地自身が「怪獣博士」の役割を果たしている。本話で登場する地底怪獣テレスドンのことも、「夜行性の怪獣だから照明弾が有効」などと口にする。


 これにより、登場するウルトラ怪獣のほとんどが、昭和ウルトラの世界とは直結していなくても、人類にとっては旧知の存在として描かれているのだ。


 そのテレスドンは、設定では体重が12万トンもある超重量級の怪獣であるにもかかわらず、なんと巨体を高速回転させて宙を舞い、体当たりをかけるという、新たな特殊能力がCGで表現されているのは特筆に値する!


 そして、エックスが黄色いイナズマ状の


「エレキング電撃波!!」


なる必殺技をテレスドンにを浴びせる!


 それのみならず、グルマン博士がエックスを解析してつくったパワーアップユニットによって、XiOの専用銃・ウルトライザーから、ウルトラマンの必殺光線が発射されるのもスゴすぎる!(もちろん、本家のウルトラマンの光線と同等の威力はないであろう、その縮小版なのだろうが・笑)


 なぜか「ヘアッ!!」なる初代ウルトラマンの掛け声とともに(笑)、青い波状のスペシウム光線がウルトライザーから発射されるのだ!


*鎧・カード・人形! 玩具性を肯定せよ! エックスのデザイン!


 さらに、前作『ギンガS』が商業的に少しは成功して予算が増えたのか、XiOに戦闘機・スカイマスケッティが与えられることとなったのは実に喜ばしい! そればかりか、XiOの専用車・ジオアラミスやジオポルトスと「合体!」まで披露するのである!


 これによって高価な合金玩具を発売することも可能になって、製作費を少しでも回収することができるであろう!?


 防衛隊の方はともかく、ウルトラマンが武装化することそれ自体は、1993~97年にかけて児童漫画誌『コミックボンボン』(講談社)で漫画が連載されて、1996年にはバンダイビジュアルからオリジナルビデオアニメも発売もされた『ウルトラマン超闘士激伝』でも、すでに描かれていた。『週刊少年ジャンプ』連載の漫画『聖闘士星矢(セイント・セイヤ)』(85~90年)をはじめ、1980年代後半から90年代にかけての少年漫画的な発想でもあり、決して新しいものではない。


――ちなみに、『ウルトラマン超闘士激伝』は、2015年現在、『仮面ライダードライブ』(14年)のメインライターを務める三条陸(さんじょう・りく)が、嵯川竜(さがわ・りゅう)の名義で原作を担当していた作品であったことが近年になって判明している。ちなみに、この嵯川竜なるペンネームは、『ウルトラマンA(エース)』(72年)の防衛組織・TAC(タック)の竜(りゅう)隊長と、彼を演じた嵯川哲朗(さがわ・てつろう)に由来したものであった。もうこのペンネームでマニア上がりまるだしであった(笑)――


 だが、80~90年代当時としても、あまたの人気漫画・アニメで「トレンド」だったハズの、そうした「アーマー・鎧・武装の着せ替え」といった、児童たちにこそ訴求するような、プレイバリュー性のあった「玩具」的な発想は、1990年代中後盤の平成ウルトラ3部作においては取り入れられることはなかった。
 当時のマニア上がりのオタク第1世代(1960年前後生まれ)のスタッフたちや受け手の特撮マニア側でも、まだまだ頭が硬くて商業主義的な玩具展開にはとても潔癖であったからだ。しかし、そうしたことこそが、カプセルやカードなどからモンスターを召喚して戦ってみせる『ポケットモンスター』(97年)や『遊★戯★王』(98年)などと比べて、『ウルトラマン』の「商品的価値」が凋落(ちょうらく)していった最大の要因であったと、筆者は考えていたのだ。


 しかし、本稿で仮称するところのここ10年の第2期・平成ウルトラにおいては、「マケット怪獣」だの「バトルナイザー」だの「スパークドールズ」だの、「昭和のウルトラ兄弟」との「合体!」だのと、まさに「玩具」的な発想が次々と映像化されていった。それらは、年長のマニア諸氏にとってはともかく、そうした現今の児童たちにこそ訴求するような魅惑的な要素でもあったと思う。それと同時に、玩具会社のバンダイとしては、その失われてしまった「商品的価値」を取り戻すためでもなかったか!?



 ウルトラマンビクトリーの「V」字型の胸の中央のカラータイマーに続いて、ウルトラマンエックスの「X」字型ノカラータイマーも安直といえば安直なのだが(笑)、並み居るウルトラマンたちのなかでの個性にはなり得る。エックス自身もサイバー怪獣で武装化しなくとも決して弱々しくは見えない。もともと、ウスいプロテクターを装着しているかのようなエックスのデザインにも、実にパワフルな魅力も感じられるのだ。


 テーマやドラマではなく、「新しいウルトラマン」とは、これまで述べてきたような、トンデモな「玩具」的発想のもとに描かれるからこそ、本来のターゲットである幼児層を喜ばせて、ひいてはそれが玩具をはじめとする各種アイテムの売り上げへとつながり、『ウルトラ』に「未来」をもたらすことになるのである!


*特撮! アクション! アングル! 充実したビジュアル面!


 第2話でXiOを社会見学(笑)に来た高校生(中学生?)たちを登場させることによって、メカ格納庫の広大さとメカの巨大感・質量感を強調する演出は見事だった。このシーンを観ても、ホントに今回は予算が拡大されたのだと実感してしまう(笑)。


 その格納庫に縦に立てて置かれた(!)戦闘機・スカイマスケッティが垂直に上昇し、「X」字型(!)の基地の屋上を、そのままカタパルトにして発進するビジュアルは圧巻! これには「玩具」的発想に加えて、素朴に「美術」デザインとしてのセンスの良さを感じずにはいられない!


 ひさびさに登場した戦闘機だけに、その活躍場面の力の入り具合もハンパではない!


 第2話でのバードンとの空中戦では、バードンからスカイマスケッティをとらえた主観映像が、スカイマスケッティからバードンをとらえた主観映像へと、同一カットの中で切り替わってしまうデジタル技術には舌を巻かずにはいられない!


 また、急降下するスカイマスケッティの主観でとらえた、俯瞰した実景との合成には、女性隊員のアスナでなくとも、


アスナ「危ないな、もう!」


と叫ばずにはいられないほど(笑)、臨場感にあふれたものであった!



 「X」字状に開いた変身アイテム・エクスデバイザーからウルトラマンエックスのスパークドールが飛び出し、大地がそれをエクスデバイザーでリードするや、青い「X」字状に放出された光からウルトラマンエックスが登場する変身シーンもまた、実に華(はな)がある!


 だが、そうした「デジタル」な魅力ばかりではない!


 地上に静かに舞い降りようとしたバードンに、宙を横っ飛びして体当たりを喰らわすエックスはCGではなく、エックスを演じる岩田氏の、文字どおりの体当たり的な肉体的アクションによって描かれているのだ!


 続いて、エックスの主観映像により、バードンの鋭い嘴がXに迫るさまがとらえられるのみならず、その嘴をおさえつける両腕までもがエックスの主観で描かれるアングルは驚異的だ! いったいカメラはどこに設置されているのか!? スーツアクターの岩田氏の顔にしばりつけられていた?(爆)


 そして、バードンの口からの火炎攻撃によって、逃げるアスナの背景で燃え上がる炎もまたCGではなく、実際に火薬を爆破させている!


 さらに、バードンが背後からの攻撃に対し、首を180度回転させる(!)ギミックが仕こまれていることにも仰天(ぎょうてん)してしまう!


 高速でバードンに迫るスカイマスケッティのデジタルな主観映像に続いて、その攻撃でバードンの口元に垂れ下がる毒袋が破裂! 黄色い毒液が飛び散るさまは、昭和ウルトラというよりは、往年のピー・プロダクション作品的な生々しさが感じられたほどである(笑)。そういえば、『スペクトルマン』(71年・ピープロ フジテレビ)の主役ヒーローの血液は黄色だったっけ(爆)。


*オーソドックスなアナログ風・特撮演出への回帰の是非!


 そうなのである。近年の第2期平成ウルトラ作品と比較すると、『X』は昭和ウルトラに原点回帰したとはいわないが、「アナログ」特撮的な演出も散見されるのである。


 第1話に登場した溶鉄怪獣デマーガ――まさにゴジラっぽいデザインの昭和的な黒いシンプルな怪獣である――をはじめ、バードンにテレスドンと比較的に重量級の怪獣が登場し続けたことに、それは起因しているのかもしれない。しかし、とにかく重厚でスローモーな演出が多いような印象を受ける。


●ミニチュアセットを破壊しながら進撃するデマーガ


●デマーガの火炎攻撃により、ビルをガラガラと崩しながら倒れこむエックス


●必殺光線を放つエックスが、往年のウルトラマンエースがメタリウム光線を放つ際のように両腕を後方へと大きくふりかぶる


 第1話でもそれは顕著(けんちょ)であったが、いずれも現在の観点では緩慢(かんまん)とも思える動きだったのであった――ただし、エックスが光線を放つ際、エックスの足下がローアングルでとらえられ、地上に青いイナズマが走ったり、破片が飛び散ったりと、その衝撃の強さを表現する描写は極めて斬新であった!――。


 もちろん、昭和の時代からのマニアからすれば、そうした「アナログ」特撮が強調されるからこそ、「これぞ、ウルトラマンだ!」などという魅力が感じられるのかもしれない。


 だが、前作『ギンガS』や、『新ウルトラマン列伝』(13年~)の枠内で放映されてきた『ウルトラファイトビクトリー』(15年)のような、


●ウルトラマンが華麗に宙を舞いながら、必殺技を繰り出すような「デジタル」特撮
●複数のウルトラマンVS怪獣たちによる「集団戦!」


などを見慣れた幼児たちや若い特撮マニアからすれば、実にオーソドックスな演出で描かれる、ウルトラマンVS怪獣の「1対1」の対決は、いささか「地味」に映ってしまうようにも思えるのである。


*1980年生まれVS1970年生まれのマニア監督対決!


 第1話から第3話に連続で登板した田口清隆(たぐち・きよたか)監督は、1980年生まれだそうだ。氏は北海道出身なのだそうで状況は違っただろうが、氏が物心ついたころから小学生であった80年代前半から90年代初頭といえば、


●地上波ではまだウルトラシリーズの再放送が行われ、
●バンダイからその後ロングセラーとなるソフビ人形『ウルトラヒーロー&怪獣シリーズ』が83年に発売され、
●家庭用ビデオデッキの普及により、過去の作品が続々とソフト化されてレンタル店にも置かれ、
●『ウルトラマンG(グレート)』(90年)や『ウルトラマンパワード』(93年)といった、海外との合作によるオリジナルビデオ作品がリリースされる、


など、決してウルトラが完全に不在であったわけではない。しかしながら、この時代にウルトラシリーズの完全新作が地上波で放映されることは、遂に実現しなかった。


 むしろ、この時代に子供の頃を過ごした世代にとっては、


●『キン肉マン』(83年・東映動画→現東映アニメーション 日本テレビ)
●『北斗の拳』(84年・東映動画 フジテレビ)
●『ドラゴンボール』(86年・東映動画 フジテレビ)
●『聖闘士星矢(セイントセイヤ)』(86年・東映動画 テレビ朝日)


といった、一連の『少年ジャンプ』原作のテレビアニメこそが「想い出のヒーロー作品」なのであり、『ウルトラ』とは最も縁遠い、まさに特撮マニアたちにとっては隙間(すきま)の世代であっただろう。


 そうした世代が親となった時代だからこそ、『ウルトラ』が苦戦せざるを得ない状況を迎えることとなっているとも云われている(個人的には、作品それ自体にパワーがあれば、子供たちは喰い付いてくるので、そういった言説は俗説だとも思うが)。しかし、そんな世代であるにもかかわらず、田口監督はよくぞウルトラマニアとして立派に成長してくれたものだと、喜ばずにはいられない(笑)。


 氏が高校に進学したころに、ようやく16年ぶりのテレビシリーズ『ウルトラマンティガ』が放映されたことを思えば、この世代の人々がいかに『ウルトラ』に縁が薄かったかがうかがえようというものだが、田口監督は高校生になっても、『ウルトラマンダイナ』(97年)も『ウルトラマンガイア』(98年)も観続けたのだろう(笑)。我々の世代も1980年代に中高生になってからでも、ウルトラシリーズの再放送があれば必ず観ていたようにだ(笑)。


 ただ、氏が子供時代を過ごした80年代から90年代といえば、児童マスコミでは「ウルトラ兄弟」を「ウルトラ戦士」と言い換えてしまったり、児童向けの書籍や玩具展開なども、1970年代までとは異なり、いわゆる第1期ウルトラ至上主義的な傾向が強まってしまった時期でもあった――個人的にはとても不愉快な風潮であったが(笑)――。


●『X』第1話冒頭での、赤い球体と紫の球体の追撃の果てに宇宙怪獣ベムラーが登場したりとか、
●第2話でアスナ隊員がバズーカ砲を構えたとたんに男声コーラスの「ワンダバ」BGMが流れるのは、完全に『帰ってきたウルトラマン』(71年)のMAT(マット)バズーカを意識してるだろとか、
●第3話に登場する「地底女」は、初代『マン』第22話『地上破壊工作』の地底人の踏襲だろうとか、


これらは良くも悪くも、田口監督が昭和の初期ウルトラシリーズのファンであることの象徴であるようには思える。



 田口監督より10歳も年齢が上である、1970年生まれの坂本浩一(さかもと・こういち)監督の方が、『ギンガS』や『ファイトビクトリー』でアクロバティックな演出を披露したり、ウルトラヒーローが複数共演していたりしたのは、


●『ウルトラマンタロウ』(73年)や『ウルトラマンレオ』(74年)にリアルタイムでギリギリ間に合って、
●小学生時代であった1978~79年に第3次怪獣ブームに直面し、小学館の学年誌や『コロコロコミック』などのグラビア記事、さらには故・内山まもる大先生の大傑作漫画『ザ・ウルトラマン』などによって、


徹底的に「ウルトラ兄弟賛歌」を植えつけられたといったことが大きいのだろう。



 その坂本監督が、第4話と第5話に登板する!


 第4話『オール・フォー・ワン』には、凶悪宇宙人ザラブ星人と宇宙大怪獣ベムスターが登場! これによって、XiO隊員とザラブ星人との等身大アクションのみならず、アスナ隊員がフェティッシュなアングルで料理されることも期待できそうだ!(爆)


 そして、用心棒怪獣ブラックキング・ドリルカスタム(!)が登場する第5話『イージス光る時』には、な・な・な・なんと! あのウルトラマンゼロが客演するのである!(放映前から感涙!!)


 新作シリーズ『ウルトラマンギンガ』や『ウルトラマンギンガS』に本作『ウルトラマンX』などの合間に放映されている総集編番組『新ウルトラマン列伝』(13年~)においては、


●映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー)
●オリジナルビデオ作品『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』(10年・バンダイビジュアル)
●映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年・松竹)


などなど、このところウルトラマンゼロ主演作が立て続けに分割放映されてきたのは、まさにこれの伏線であったのか!?


 ゼロの声を演じる宮野とエックスの声を演じる中村の共演は、同じく『機動戦士ガンダム00』の主人公とライバルの声優でもあって、両者ともに女性の声優ファンにも人気が高いことから、そちらの方面からの注目も集まることであろうし、いったいどんな掛け合い漫才が演じられることか(笑)、今から楽しみでならないものがある!


 しかし、80年生まれの田口監督と70年生まれの坂本監督の作風の違いに、断じて優劣をつけるべきではない。これらは両立させるべきものである。だからこそ、『X』もバラエティに富んだ作品に仕上がっていくと思えるのだ。

2015.8.1.


(了)
(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2016年準備号』(15年8月発行)~『仮面特攻隊2016年号』(15年12月発行)所収『ウルトラマンX』序盤評より抜粋)


[関連記事]

『ウルトラマンX(エックス)』前半評! 5話「イージス光る時」・8話「狙われたX」・9話「われら星雲!」 ~ゼロ・マックス・闇のエージェント客演!

https://katoku99.hatenablog.com/entry/20151004/p1

『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』(17年) ~イイ意味でのバカ映画の域に達した快作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200406/p1



[関連記事] ~歴代ウルトラシリーズ序盤評

『ウルトラマンオメガ』(25年)序盤総括! ~宇宙人の超人・正義の味方の怪獣たち・変身アイテム・先輩ウルトラ戦士の図像のコレクションアイテムらを活かすには!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20250824/p1

『ウルトラマンアーク』(24年)前半総括! ~鎧・アイテム・内宇宙・倒置法の作劇・昭和怪獣・タテ糸! 今後の「ウルトラ」はどうあるべきなのか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20241014/p1

『ウルトラマンブレーザー』(23年)序盤合評 ~鑑賞前と1話の圧倒的映像&話題性! その後はオーソドックスに過ぎてやや地味か?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230903/p1

『ウルトラマンデッカー』(22年)前半総括 ~熱血でも『ダイナ』と別モノ!  防衛隊のGUTSグリフォン・テラフェイザーも敵怪獣を撃破!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20221016/p1

『ウルトラマントリガー』(21年)前半総括 ~『ティガ』らしさは看板だけ!? 後日談かつリメイク! 昭和・Z・ギャラファイともリンク!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20211021/p1

『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)序盤総括 ~セブンガー大活躍! 「手段」ではなく「目的」としての「特撮」!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200723/p1

『ウルトラギャラクシーファイト』(19年) ~パチンコ展開まで前史として肯定! 昭和~2010年代のウルトラマンたちを無数の設定因縁劇でつなぐ活劇佳品!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200110/p1

『ウルトラマンタイガ』(19年)序盤総括 ~冒頭から2010年代7大ウルトラマンが宇宙バトルする神話的カッコよさ! 各話のドラマは重めだが豪快な特撮演出が一掃!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190811/p1

『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年)序盤総括 ~ユルい作風。その玩具性・名乗りの是非。ウルトラ史上最強の空中戦特撮!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20180826/p1

『ウルトラマンジード』(17年)序盤評 ~クライシス・インパクト! 平行宇宙のひとつが壊滅&修復! その原理とは!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20170819/p1

『ウルトラマンオーブ』(16年)序盤合評 ~変身道具のギミックを愉快な決めゼリフとともに見せ、変身直後に名乗りまで上げることでの達成!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160716/p1

『ウルトラマンX(エックス)』(15年)序盤評 ~鎧をまとうウルトラマンの是非! その鎧には昭和の人気怪獣の属性を付与! 一方で本格王道でもある特撮演出!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20151001/p1(当該記事)

『ウルトラマンギンガS(エス)』(14年)序盤合評 ~レギュラー悪・女幹部・敵戦闘員! 変身前の本編でもアクションあり! 地底人のウルトラマンビクトリーも登場!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150301/p1

『ウルトラマンギンガ』(13年)序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1

『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(08年)#1「レイオニクスハンター」

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20091230/p1

『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)#1「怪獣無法惑星」

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080427/p1

『ウルトラマンメビウス』(06年)#1「運命の出逢い」 ~感激!感涙!大傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060625/p1

『ウルトラマンマックス』(05年)#1「ウルトラマンマックス誕生!」 ~序盤評・原点回帰は起死回生となったか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060311/p1

『ウルトラマンネクサス』(04年)#1「Episode.01夜襲 -ナイトレイド-」 ~ハイソな作りだが、幼児にはドーなのか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041108/p1

『ウルトラマンネオス』(00年)#1「ネオス誕生」

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120226/p2

『ウルトラマンダイナ』(97年)#1「新たなる光(前編)」~#11「幻の遊星」

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/19971201/p1

『ウルトラマンティガ』(96年)#1「光を継ぐもの」~#15「幻の疾走」

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/19961201/p1

『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#1「ウルトラマン先生」 ~矢的猛先生!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100502/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)#1「新しいヒーローの誕生!!」 ~今観ると傑作の1話だ!? 人物・設定紹介・怪獣バトルも絶妙!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090505/p1

『ウルトラマンレオ』(74年)#1~2 ~50年目の総括。その評価の変遷! 特異なる美点&欠点! 第2次怪獣ブームの終焉

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20250330/p1

『ウルトラマンタロウ』(73年)#1「ウルトラの母は太陽のように」 ~人物像・超獣より強い大怪獣・母・入隊・ヒロイン・5兄弟の正統タロウ誕生を漏れなく描いた第1話!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20071202/p1

『ウルトラマンエース』(72年)#1「輝け! ウルトラ五兄弟」 ~超獣・破壊・防衛組織結成・先輩&新ヒーロー登場を豪華に描く!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060514/p1

『帰ってきたウルトラマン』(71年)#1「怪獣総進撃」 ~第2期ウルトラシリーズ・人間ウルトラマンの開幕!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230402/p1



[関連記事]

『ウルトラセブン』 ~上原正三サブライターに昇格。『セブン』後半の視聴率低落をどう見るか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20240211/p1

初代『ウルトラマン』『快獣ブースカ』(66年) ~上原正三の生涯を通して見る第1次怪獣ブームの前半

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20240204/p1

『ウルトラQ』(66年)21話「宇宙指令M774」 ~上原正三の生涯を通して見る『ウルトラQ』の来歴

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20240128/p1



『ウルトラマンX』序盤評 ~鎧をまとうウルトラマンの是非! その鎧には昭和の人気怪獣の属性を付与! 一方で本格王道でもある特撮演出!
#ウルトラマンX #ウルトラマンエックス #ウルトラマンX10周年 #ウルトラマンエックス10周年 #ゴモラアーマー #エレキングアーマー
『ウルトラマンX』1話評 ~鎧をまとうウルトラマンの是非! その鎧には昭和の人気怪獣の属性を付与! 一方で本格王道でもある特撮演出!
#ウルトラマンX #ウルトラマンエックス #ウルトラマンX10周年 #ウルトラマンエックス10周年 #ウルトラマン60周年 #ゴモラアーマー
ウルトラマンX アマゾンプライム
ウルトラマンエックス



[ウルトラ] ~全記事見出し一覧
☆☆☆☆☆
#####