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快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー序盤合評

(2019年5月26日(日)UP)
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』前半合評
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』中盤合評
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』終盤評
『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』
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[戦隊] ~全記事見出し一覧


合評1 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』序盤評


(文・久保達也)
(18年3月10日脱稿)


 なんちゅう長いタイトルや! とは、個人的には思わなかった。
 その昔、主人公はスペクトルマンなるれっきとした正義のヒーローなのに、なぜか悪役の名をタイトルにつけて『宇宙猿人ゴリ』(71年・ピープロ フジテレビ)としてスタートした番組が、やはり放映局やスポンサーから「それおかしいやろ?」と異論が続出したことから、第21話から『宇宙猿人ゴリスペクトルマン』と変更されたタイトルが、いまだに印象深く残るからだ。
 『宇宙猿人ゴリ』、『帰ってきたウルトラマン』(71年)、『仮面ライダー』(71年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140801/p1)などの放映により、当時は第2次怪獣ブーム=変身ブームが巻き起こったのだが、筆者は『宇宙猿人ゴリスペクトルマン』なるタイトルが、同時期に公開された怪獣映画『ゴジラ対ヘドラ』(71年・東宝)や『ガメラ対深海怪獣ジグラ』(71年・角川大映)と同様、正義と悪の対決の図式を強調していたことに、強い魅力を感じたものだった。
 なので、第41話以降、あまりにもフツーな『スペクトルマン』なんてタイトルに再度変更されたことには、幼稚園児ながらも当時すでにマニア気質だった筆者的には、軽い失望をおぼえたものだ(笑)。


 それにしても、ルパンレンジャーが「怪盗」ではなく、「快盗」とされているのは、「怪獣」ではなくて「快獣」だった『快獣ブースカ』(66年・円谷プロ 日本テレビ)や、「怪傑」ではない「快傑」だった『快傑ライオン丸』(72年・ピープロ フジテレビ)などと共通する意匠(いしょう)なのだ。
 ルパンレンジャーはあくまで義賊(ぎぞく)として扱われており、第1話『世間を騒がす快盗さ』の前半でも、市民たちが彼らを英雄扱いしたり、警察戦隊よりも頼りになるなどと話す場面がある。
 ルパンレンジャーが赤・青・黄、パトレンジャーが赤・緑・ピンクと、たがいのリーダー以外は色がかぶっていないとか、銃から発射した手のひらサイズのビークルが巨大化して乗用マシンになったり、戦闘用ロボの合体システムが共通しているとか。
 おまけに第4話『許されない関係』では、パトレンジャーの紅一点(こういってん)・パトレン3号が、情報提供の礼として、ルパンレンジャーのやはり紅一点であるルパンイエローを助けてみたり、パトレンジャーの合体ロボ・パトカイザーの巨大戦を、ルパンレンジャーのビークルが援護(えんご)したり、って、いきなり仲がええやないか!(笑)


 この調子だと、第2クールの初めごろには、ルパンレンジャーとパトレンジャーは、もう共闘しちまうんじゃないのか?
 タイトルこそ『共闘戦隊ルパパトレンジャー』なんて変更はしないだろうが(笑)、前作『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20180310/p1)のシシレッド=ラッキーとホウソウソルジャー=鳳(おおとり)ツルギみたく、レッドがふたりのダブルリーダー制の戦隊となるのは、もはや明白である。
 代わりに探偵戦隊コナンレンジャーとか、泥棒(どろぼう)戦隊ドロンレンジャー(笑)なんてのが新たな勢力として中盤から登場し、コナンレンジャーがパトレンジャーの捜査を邪魔したり、ドロンレンジャーがルパンレンジャーが集めたお宝を奪ったりなどして対立するも、結局はすべての戦隊が結集して、総勢12人のヒーロー&ヒロインになるとか!
 おいおい、『キュウレンジャー』といっしょやないか!(爆)


 12人もの大所帯のヒーロー&ヒロインを主人公とし、スケールを全宇宙に拡大した『キュウレンジャー』をやってしまった以上、スーパー戦隊を従来のフォーマットに後戻(あともど)りさせることは、もはや不可能になったと云っても過言ではないだろう。
 歴代のレジェンドスーパー戦隊が続々ゲスト出演した『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111107/p1)の次に放映された『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)が、ややリアル寄りの作風となったことで、子供どころか多くのマニアたちにまで(!)不評となった過去の苦い経験を、東映バンダイも今回は教訓として最大限に活(い)かしたのではないのか?
 直球と変化球をうまく両立させているかのように思える『ルパパト』の序盤を観るかぎり、『キュウレンジャー』の大胆なフォーマット崩(くず)しは、むしろよい意味で過剰(かじょう)にすぎたのだ。


 黒いシルクハットをかぶり、それぞれの色のアイマスクを付け、マントを翻(ひるが)えしたルパンレンジャーの変身バンクでは、シルクハットがCGでゴーグルへと変化し、指をパチン! と鳴らして繰り出す名乗りカットでは、赤レンガの壁に照らされるスポットライトにキメポーズのシルエットが浮かびあがり、三日月が輝く夜空を背景に、洋館の屋根上でルパンレンジャーが華麗に集結する!
 まぁ、バトルが昼間なのに名乗りのときだけ夜かい! などとつっこむのはヤボであり(爆)、それよりも変身&名乗り場面で流れる、アニメ『ルパン三世』シリーズ(71年~)の大野雄二(おおの・ゆうじ)作曲の劇中音楽を彷彿(ほうふつ)とさせるスウィング・ジャズが、ルパンレンジャーのスタイリッシュなかっこよさを絶妙に演出している点にこそ、注目すべきであろう!
 そういや今回の敵組織・ギャングラーの、幾何学(きかがく)的なデザインのために、あまり女幹部には見えない(笑)ゴーシュ・ル・メドゥが怪人を巨大化させる場面ではスキャットが流れるのだが、これも多分に『ルパン三世』チックだ(笑)。
 ただ、快盗だからと記号的にルパンを名乗っているワケではなく、いくら架空の人物とは云え、かの快盗アルセーヌ・ルパンが100年前に盗んだという、ルパンコレクションなるお宝をその名の由来としてからませているのは、小学校低学年くらいの知的好奇心をくすぐるには実に効果的なのだ。
 ルパンの子孫に仕えていると主張する初老の紳士が黒執事(しつじ)として登場するのだが、やはり彼もルパン三世同様、日本人である(爆)。


 ルパンレンジャーの合体ロボ・ルパンカイザーが初登場する第2話『国際警察、追跡せよ』のクライマックスバトルは夜間のビル街で描かれたが、これも先述した名乗りカット同様、怪盗もとい快盗といえば、やはり夜のイメージがピッタリとくるからであろう。
 装飾が多い重厚な造形の戦隊ロボは、どうしても動きに限界があるという感が強かったが、この回ではルパンカイザーの活躍が着ぐるみよりCGの描写が圧倒的であり、ビルの谷間を超高速で駆け抜けたり、巨大怪人が放ったミサイルを華麗に宙を舞ってかわしたり、ルパンカイザーが必殺技を放って怪人に命中するまでを主観で追ったりなど、超絶にすぎるほどのスピード感が演出されていた!
 夜のイメージばかりではなく、これまた快盗ならではの特徴である、身のこなしの軽さを合体ロボに最大限に投影させた演出といえるだろう。


 同じ第2話では冒頭で描かれた、ルパンレンジャーとパトレンジャーの追撃戦もまた圧巻であった。
 CG、オープンセット、実景との合成を巧みに使い分け、ルパンレンジャーの飛行マシンが道路に落下させたビル上の看板を、パトレンジャーの運転席から主観でとらえたり、たがいのビークルが高速道路のガードに沿うかたちで、超高速でクネクネとうねりながら追撃戦を繰り出した末に、高速道路上へと舞台を変え――巻きこまれた車は大迷惑(爆)――、さらには宙へと逃れたルパンレンジャーを追って、パトレンジャーのレッド=パトレン1号がビークルを飛び降りるも、そのまま海に落下する!
 これが冒頭で描かれた回のクライマックスで、従来の着ぐるみ中心の巨大戦が描かれたら、微妙に違和感が生じたことだろう。
 スーパー戦隊のフォーマット崩しは、設定や世界観ばかりではなく、ついに演出技法にまで変化を与えたのだと云っても過言ではないのかもしれない。


 第4話で描かれたパトカイザーの巨大戦も、従来から散見された山地での着ぐるみバトルではあったものの、画面の両端に山を配し、その狭間(はざま)で戦うパトカイザーと巨大怪人をロング(ひき)でとらえ、中央手前に川を配した立体的な画面構成や、オープンセットであおりでとらえらたパトカイザーが、画面手前に配された樹木とともにこちら側に倒れこんでくるといった、臨場感あふれる演出が散見されたものだ。
 設定や世界観のみならず、特撮演出もまた、佛田洋(ぶつだ・ひろし)特撮監督の、視聴者がいままでに観たことがないものを観せてやろう! という心意気が伝わってくるというものだ!


 それは等身大アクションについても同様である。
 たとえば銃から宙に向けて発射された警察手帳(?)が、パワードスーツになって各人に装着され、敬礼とともに名乗りをあげるパトレンジャーの変身&名乗りカットは、比較的オーソドックスなものかもしれない。
 だが、パトレン1号・2号・3号が合体(!)したりとか、第1話のクライマックスで描かれた、ピーカンの青空を背景にした埠頭(ふとう)でのルパンレンジャーのバトルを、周囲360度からとらえる演出は、これまでにも名乗りカットなどでは見られたものの、バトル場面では前例がなかったのではあるまいか!?
 こうした大胆な演出こそが、ふたつの戦隊が主役という、初の試みとの相乗効果を生みだしているように思えるものがあるのだ。


 もっともルパンレッドは全体的にウェーブがかかった茶髪のチャラ男――演じるにいちゃんはまだ17歳とか! 高校生であんな髪型が許されるのか?(爆)――、ルパンブルーは黒髪のクールでまじめな青年、ルパンイエローはショートボブで妹系のロリ少女、パトレン1号は猪突猛進(ちょとつもうしん)の熱血漢、パトレン2号はやんちゃそうな弟タイプ、パトレン3号は男まさりのクールビューティと、誰ひとりとしてキャラがかぶっていないのは、スーパー戦隊の伝統を立派に継承したものである、って誰がどう見ても6人体制に至るのは一目瞭然(いちもくりょうぜん)だなこりゃ(爆)。
 まぁ、ヒロインのキャスティングに関しては、変身後を演じるスーツアクトレスのスレンダーな五味涼子(ごみ・りょうこ)、小柄で仕草がかわいらしい下園愛弓(しもぞの・あゆみ)と同じ体型でなければ、という制約もあるのだろうが、ルパンイエローを演じるコはかのアイドルグループ・モーニング娘。の元メンバーとはいえ、ずっとダンスをしてきたことからアクションは得意だそうで、製作側の選択眼の確かさがうかがえるというものだ。
 逆に父親が警察官(!)、中学・高校時代はソフトボール部、大学時代はチアリーダー(!)をやってたほどのスポーツウーマンである、パトレン3号を演じるコはアクションの難しさを痛感しており、ほかの5人が楽々とこなすのをうらやましいと思っているのだとか。
 もっともかなりの美形なルックスとは相反する妙にドスのきいた声は、リーダーの1号と対等であるキャラにはピッタリだが(笑)。


 ジェンダー論者や視聴者の母親層からの声が近年うるさかったためかもしれないが(汗)、レッドとピンクを対等のキャラとして描けているのは、スーパー戦隊を書きたいがために脚本家となり、メインライターとしては『動物戦隊ジュウオウジャー』(16年)に次ぎ、今回が2作目となる香村純子(こうむら・じゅんこ)の力が大きいのかもしれない。
 『ジュウオウジャー』は一見王道路線のようで変化球的イメージも強く感じられたものだが、サブで参加していた『仮面ライダーウィザード』(12年)のころから、香村氏はヒーローバトルを主軸にする中で「人間ドラマ」を巧妙に点描し、双方のクライマックスを絶妙に融合させる作風である。
 となりのおねえさんに対する中学生男子の想いを、新ヒーロー誕生にからませることでおおいに盛りあげた『ウィザード』第40話『自転車に乗りたい』は、いまだ印象強く残る傑作であると個人的には考えるのだ。
 果たしてルパンレンジャーとパトレンジャーは、今後どのように化けてくれるのか、期待せずにはいられなくなる序盤の展開であった。


(了)


合評2 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』序盤寸評

(文・フラユシュ)


 ルパンレンジャーの方はルパンレッドのセリフ廻しに違和感。ルパン側がレストランやってるのは、「週刊少年ジャンプ」連載の往年の三姉妹怪盗漫画『キャッツ・アイ』(81年)から?
 『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』2話観る。パトレンジャーのレッド(パトレン1号)の誠実さには割と感心。ここのところオバカレッド続いたから新鮮。


(了)


合評3 『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』 ~予告する。『VS戦隊』は注目作だ!

(文・J.SATAKE)


「大怪盗アルセーヌ・ルパンが残した
 不思議な宝物=ルパンコレクションが
 ギャングラーに奪われた。
 失ったものを取り戻すために戦う怪盗。
 世界の平和を守るために戦う警察。
 君はどっちを応援する?!」


 スーパー戦隊シリーズ第42作『快盗戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18)。
 ふたつの戦隊の対決を宣言するタイトル! Vシネマで「VS戦隊シリーズ」を長らく続けており、特撮ファンには『新旧戦隊のバトンタッチイベント』として定着していたわけだが、TVシリーズでこのコンセプトをどう扱うのか? その答えが「怪盗VS警察」だ。


 子供時代にやっていた集団鬼ごっこを泥棒と警察=「どろけい」と呼んで遊んでいた人も多いだろう。警察はみんなの生活を守る正義の象徴。この平成の世では少なくなってしまったが交番勤務の警官さんが地域を見守り、その姿からあとに続く人たちがいたのだ。
 インドア派の子たちは学級文庫などで、怪盗紳士ルパンの活躍に心を踊らせたことがあるかもしれない。さらにモンキー・パンチ原作のコミック『ルパン三世』(67)の存在もルパン人気を後押しした――こちらも推理マンガの人気作と対決した劇場版アニメ『ルパン三世VS(ヴァーサス)名探偵コナン』(09)なんて作品もありましたな――。
 かように怪盗と警察の対立構図が刷り込まれているわけで、本作でもどれだけ本気の対決が描かれるかが注目されたわけだが……。


快盗戦隊ルパンレンジャーの変身・意匠・アクション!


 ファーストシーンは秘密カジノ。ルーレットで破産した客が黒服に取り押さえられた瞬間、窓ガラスを突き破り現れた三人の怪盗! レッド・ブルー・イエロー。それぞれのパーソナルカラーのアイマスクにシルクハット。オシャレフォーマルな衣装を身につけた彼らは大胆に宣言する。


 「予告する。あんたのお宝いただくぜ!」


 投げつけられた予告カードが頬をかすめ、カジノオーナーが怪人態に変化! 銃撃戦が巻き起こり逃げまどう客たちと弾を軽やかに避けながら怪人に迫る快盗戦隊!! 怪人はその身体に金庫を取り込んでおり、ルーレットでイカサマできる能力を秘めたルパンコレクションを納めていたのだ。
 怪人が相手なら怪盗もパワーアップしてルパンレンジャーに変身だ! 銃型の変身アイテム=VS(ブイエス)チェンジャーに、手のひらサイズの飛行メカ=ダイヤルファイターをセット。メカのダイヤル――これもシルクハットとのダブルデザインとなっているのがオモシロカッコイイ!――を回して変身ナンバーを入力することで快盗戦隊ルパンレンジャーへとチェンジするのだ!
 サーチライトに照らされたその姿は黒とパーソナルカラーのツートーンでまとめられ、短めのマントがこれまたオシャレ。怪盗紳士のトレードマークともいえるシルクハットのシルエットをマスクの中心に大きく据えるデザインとしている! レッド・ブルー・イエローとそれぞれハットの形を変えてあるのもオシャレ心をくすぐるのだ。
 造形技術の向上でスーツアクターの視界を確保しつつ、ゴーグルを意識させないマスクの造りになっているのはさすが長年の経験の賜物!!


 ルパンレンジャーのバトルスタイルはスピーディ&トリッキー。


 倉庫街の屋上から飛び降りると、剣とマジックハンドの2WAY武装=ルパンソードを駆使して三人が入れ替わり立ち替わりで斬り込む見事なフォーメーション技を披露!
 連続斬撃で怪人が弾け転ぶまでを捉えた映像は、彼ら全周を回り込んだかと思えばカメラ自身が360度回転! 近距離でもブレれることなくしっかりと攻防アクションを見せてくれた!!


 ジャンプシーンではルパンレッドが回転する自撮りカメラを持って360度撮影した画が登場。「SNS映え」する撮影機器の開発でカメラを移動させる大がかりなレールがなくとも、アクティブなカメラワークが実現する時代となったのには感嘆するしかない。


 そしてこの画をまとめるには第1・2話の監督を務めた杉原輝昭氏、撮影カメラを担当するスタッフ各氏、アクション監督の福沢博文氏、そしてスーツアクターの方々のチャレンジ精神・チームワークがなければ実現しないわけで、その点でも賞賛したい。


警察戦隊パトレンジャーの変身・意匠・アクション!


 別世界から現れた犯罪集団=ギャングラー。彼らの犯罪を取り締まり、地球の平和を守るのが国際特別警察機構=GSPO。その日本支部に所属するのが3人チームの警察戦隊パトレンジャーだ。
 結成はされたものの、ギャングラーとルパンレンジャーのバトルに対抗する戦力不足に悩まされていた日本支部。そこに配備されたのはルパンコレクションのひとつであるVSチェンジャーであった!
 走行メカ=トリガーマシンをVSチェンジャーにセット――ルパンレンジャーのダイヤルファイターが銃身の上側にセットされるのに対して、パトレンジャーのトリガーマシンは180度回転させて下側にセットされることで同じアイテムでも違う印象を与えている――。
 白を基調にレッド・グリーン・ピンクを配置したパトレンジャースーツは胸のネクタイデザインがポイント。ルパンレンジャーとの対比でマスクは警帽のシルエットがデザインされている。キメポーズにはもちろん敬礼も採用!


 「国際警察の権限において実力を行使する!!」


 パトレンジャーのバトルスタイルは質実剛健。訓練で鍛え上げた心身で悪に立ち向かうのだ! 警察戦隊の得物も2WAYの武器・パトメガボー。催眠効果を発動するメガホンの一声でギャングラーの雑兵=ポーダマンが全員整列! 大人しくなった彼らを警棒アタックで一網打尽にする!!
 実力行使はギャングラーだけでなく快盗戦隊にも向けられる。三十六計逃げるに如かず、とばかりにVSチェンジャーでダイヤルファイターを巨大化させ、乗り込み逃走するルパンレンジャーたち。パトレンジャーも各トリガーマシンに搭乗し追跡アクションが展開される!


 精密度が格段に上がった市街地のオープンセットを舞台に、ビルの間を飛翔するダイヤルファイターを追って疾走するトリガーマシンのミニチュアたち! 自然光や火炎の映り込みが魅力となるセット撮影だが、カメラの小型化でより近接撮影が可能となったことで実際にビルの谷間に入ったかのような臨場感を味わうことができた。
 過去の東映特撮のビル街といえば、舞台の書き割りレベルが長らく続いていた。『鳥人戦隊ジェットマン』(91・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110905/p1)で建設途中の骨組み鉄骨を飛び抜けるジェットマシンであるとか、『特命戦隊ゴーバスターズ』(12)のバスターマシンが発進する姿をビル窓が鏡面となって映り込む画など印象に残るミニチュアワークはあったものの、デジタル合成技術の向上で実際の風景にメカを入れ込む画を作れるようになったことで、セットのビル街はいまひとつ進化していなかったように思う。
 本作ではこれまでにない規模でセットのビルを作り込んだようで、これを継続維持するのは大変かもしれないが――CGによる画の補強もできるであろうから――新番組のスタートダッシュだけに終わらずにこれからも新鮮なセット撮影を続けてもらいたい。


ビル街・高速道路でのメカ&巨大ロボ特撮&CG!


 ここで追跡がバトルにヒートアップ! ルパンレンジャーのダイヤルファイターは機体が二つ折りに変形。レッドのジェット機は強力なビーム砲を発射! ブルーのエアレーサーはガトリング砲を連射! イエローのティルトローダーは巨大ノコギリ=バズソーで斬りつける! 
 パトレンジャーのトリガーマシンは警官アイテムで武装。レッドの1号は4輪から6輪に変形しジェット噴射も使用した超高速モードで爆走! グリーンの2号は大型キャノン砲、ピンクの3号は大型警棒を装備しており、互いの攻撃でビル街をぶち壊しながら突き進んでゆくバトルアクションは迫力満点!
 さらに逃げきろうと全速力のレッドファイターに追いつくため、トリガーマシン2号が高速道路の高架線を破壊! それを3号が警棒で下から突き上げることでジャンプ台を突貫作成! 1号が高速で突っ込み大ジャンプ!
 このシーンはミニチュアワークとCGのミックスでエキサイトさせてくれた。……しかし市街地でのド派手な破壊行為は公僕としてあるまじき暴挙! GSPOの補償予算がいくらあっても足りなくなるゾ(笑)。
 大追跡のラストはパトレン1号がコクピットを飛び出しジャンプするもあと一息で取り逃がし海にバッシャーン! というルパンレンジャーの逃げ勝ちで幕切れとなった。


 いまだルパンレンジャーに水をあけられていたパトレンジャーだが、彼らには更なる新装備があった。それがグッドストライカー! VSチェンジャーと合体することで超強力な一撃を放つことができるのだ。
 しかしその衝撃と反動に耐えるため、パトレン1・2・3号がフュージョン=一体化したパトレンU号(融合!)とならなければならない。レッドを中央にグリーンとピンクを左右に配したスーツのカラーリングがそれを端的に表しているが、三人の意識がこの一身で共有されているのがややこしい! パニックを起こしながらもギャングラー撃退のため必殺技を繰り出すのだった。


 さらにグッドストライカーには自律型AI――と呼んで良いのかどうか悩むほど感情豊かな声が返ってくる! 担当するのはベテラン声優・三ツ矢雄二氏だ!!――が搭載されており、ルパンレンジャーとパトレンジャーでその時「(その回のドラマ的に)グッときた」相手と組むという移り気な奴なのだ!
 パトレンU号の惨状? を見ていたルパンイエローがフュージョンに尻込みするも面白そうじゃん、とルパンレッドがVSチェンジャーと合体させると……融合とは反対に三人に分身してしまうレッド! なんでこーなるの?! と固まるイエローとブルー。この裏切りの「間」を表す画と静寂が絶妙のタイミングで笑いを誘う!!
 気を取り直し、5人の快盗戦隊となってファイナルアタックを怪人に見舞う! こうしたバトルにはさまれるリアクションもオモシロカッコイイ塩梅を計るには大切だ。


 ふたつの戦隊が共有するグッドストライカー=グッディは、それぞれの巨大合体ロボットの中核となるルパンコレクションでもあった!


 グッディが胴体と脚部に展開変形すると、ブルーとイエローのダイヤルファイターが両腕となり、レッドファイターが胸部のコアと頭部に変形合体! 三人が乗り込んだ操縦ユニットがその頭部内へと移動。――このパイロット集合には合理性があるとは思えないのだが、巨大ロボ操縦システムの1パターンとしての伝統を堅持しつつメンバーの意志をひとつにまとめる「心身ともに合体」を体現している重要な要素でもあるのだ――フェイスパーツが立ち上がり快盗戦隊の合体ロボ=ルパンカイザーが完成するのだ!!
 本作の合体シーンはメカのワイヤーフレーム画なども多用。CGモデルによる変形・合体シークエンスと、レンジャーたちのコクピットブロックの画をデジタル合成にて組み合わせるかたちとなった。作品ごとにミニチュアワークとCG・デジタル合成の割合を変化させて合体ロボットの魅力を引き出す佛田 洋特撮監督とスタッフ陣の発想・努力には拍手を送りたい。
 ルパンカイザーのバトルステージは夜のビル街。ビルの窓が色とりどりのライトのように光るなかを、飛行能力を駆使して巨大怪人に迫るルパンカイザー! ガトリングガンを掃射する姿を正面から捉えていたかと思えば、敵の攻撃を振り切ろうと飛び回る様子を追いかけるカメラワークに転ずるところはCGならではのスピーディさをアピールした画だ!


 一方パトレンジャーのトリガーマシンも同様に2・3号が両腕、1号が胸部と頭部を形成するように合体し、パトカイザーとなって怪人に立ち向かう! 三人が集合するコクピットルームにはグッディがナビゲートドールとして登場。ルパンレンジャーとパトレンジャーに合わせてしっかりと頭のキャップを変えてくるというのも芸コマだ!
 同じビル街でもこちらは日差しもまぶしい日中がバトルステージ。敵の攻撃をビルの陰に隠れてやりすごすなど――ただの壁じゃないから、壊れたら被害甚大ですから!(笑)――地上戦がメインフィールドとなっている。
 その重厚さを示すように、パトカイザーのアクションは一部CGをはさみながらスーツアクターによるライブアクションをメインに構成している。
 必殺技もルパンカイザーが空中戦から銃を連射してのとどめに対して、パトカイザーは強力な一発必中の弾丸ストライクでとどめを刺す!!
 それぞれが得意のフィールドでの戦い方をしっかりと見せて、その違いを際立たせる。『VS戦隊』ならではの見所をきちんとおさえたロボ戦であった。


 しかし別の戦隊であっても、同じ変身システム・合体ロボの機構を有するとなると、物語が進めば協力関係が生まれて互いの戦隊を跨いでの共闘バトルや、合体ロボのクロスオーバーへとシフトしてゆくだろう……と長くシリーズを見てきたマニアは予想してしまう。もちろん様々な障害を乗り越えて合流するカタルシスも充分魅力的なのだが、警察と怪盗=追うものと追われるものという関係性そしてタイトルに『VS』をつけた以上、簡単に共闘することなくライバルとしての丁丁発止で物語を展開させてもらいたい!


ルパンの子孫に仕える執事コグレ! 腹に金庫がある怪人ギャングラー!


 ギャングラーが奪ったもののみならず、ルパンレンジャーのアイテムもルパンコレクションであった。彼らにこれを与え情報提供と引き替えにルパンコレクションの回収を依頼してきたのが、怪盗ルパンの末裔に仕えるという執事・コグレだ。演じる温水洋一氏の風貌は現代劇などではなんとも頼りない印象だが、スーツでカッチリと決めてティーカップを傾けていたりするとミステリアスな雰囲気を醸し出してくる。
 同じアイテムを使うライバル=パトレンジャーの出現でコグレにかみつくルパンレンジャーたちだが、GSPOへのコレクション提供は調査中だと言葉を濁すコグレ。そしてグッディもルパンレンジャーからコグレの名を聞くと彼らの元を逃げ出した……。このコグレの言動から察するに、何か秘密を隠していると見たほうが良さそうだ。
 そもそもルパンコレクション自体が謎多きアイテム。あの怪盗ルパンが冒険の後に発見したオーパーツなのか。はたまた「ルパンの末裔」を名乗る者たちが開発した超科学機器なのか。さらに歴代スーパー戦隊に登場したアイテムとも関連している、という情報もある。これから展開する物語にいかに関わるのか注目すべきポイントとなるだろう。


 怪盗と警察、ふたつの戦隊がライバル関係となれば、それに対抗する悪の存在=ギャングラーも強い個性を発揮しなければ霞んでしまう。
 『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17)から引き続き怪人側のデザインを担当する久 正人氏によれば、ギャングラーは身体に「マイ金庫」を備えていること、そして「武器」と「恐竜」をミックスすることを基本に据えているという。
 「ナイフ」と「ティラノサウルス」がモチーフのドラグニオ・ヤーブン(声・宮本充氏)。彼が組織を率い様々な世界で犯罪を続けて500年! ――「マフィア・ギャング」のイメージ通りきらびやかな洋館。長大なテーブルに盛られた料理やそこかしこの調度品。そこに集う多くの怪人たちの姿が組織の繁栄と彼の威光を示す―― そこでヤーブンはこれを機にギャングラーを後継者に譲ると宣言。この人間界を掌握した者が選ばれることとなり色めきたつ怪人たち……我こそが一番だと、地球は盗まれたルパンコレクションを悪用する怪人が暴れ回るようになってしまった。
 「手榴弾」と「ディロフォサウルス」がモチーフのデストラ・マッジョ(声・うえだゆうじ氏)はヤーブンが信頼する側近のひとり。その活躍はまだだが、その巨大な体躯と装備された銃火器から察するに迫力のパワーファイトを展開しそうだ。
 「マシンガン」と「オヴィラプトル」がモチーフのゴーシュ・ル・メドゥ(声・竹達彩奈氏)はヤーブンに心酔する「女医」。その技術を使ってルパンレンジャーとパトレンジャーに敗れた怪人を復活・巨大化させる。
 スーパー戦隊に敵対する悪の組織。威厳ある首領・頼れる用心棒・狂気の技術者という組織の中心を構成するキャラを序盤でしっかりと印象付けしてくれた。強くあくどい敵であるほどヒーローとの対決が盛り上がる。近年はゲスト怪人の数が減少傾向にあるのだが、本作では尻すぼみにならないよう登場ペースには配慮していただき、次期首領の座をかけて様々な犯罪を仕掛けてスーパー戦隊を苦しめてくれるよう期待したい。


快盗戦隊の変身前の平穏なる日常&過去の私怨!


 ルパンコレクションとギャングラーに運命を翻弄されるルパンレンジャーとパトレンジャーのメンバーたち。同じ三人チームでもその成り立ちは大きく異なる。


 ルパンレンジャーの表の顔はビストロ・ジュレの店員だ。
 満席で混雑するホールを果敢にひとりで回し続けるのはショートカットの髪が快活な印象を残す少女・早見初美花(はやみ うみか)=ルパンイエロー。
 あまりの忙しさに愚痴をこぼす初美花に、お前が料理できるなら代わってやるぞ、と沈着冷静にたしなめる物言いがクールな調理担当・宵町透真(よいまち とうま)=ルパンブルー。
 初美花が忙殺される原因を生んだのが仕入れと称して街をブラつくのが得意の茶髪で細面の自由人・夜野魁利(やの かいり)=ルパンレッド。
 一見アットホームで人気のビストロだが、コグレからの依頼があれば『予約』が入ったと客を返して、怪盗稼業へまっしぐら!


 それには三人がどうしても取り戻したい「大切な人」がいるからだ……。これまで何気ない日常を送っていた人たち。
 いつまでもフラフラしている魁利を心配するからこそ戒める兄・夜野勝利。二人で暮らしたことでシェフへの道を見つけてくれた透真の恋人・大平 彩。女子高校生活をともに楽しんでいた初美花の親友・一ノ瀬詩穂。
 彼らは怪人の手によって一瞬にして氷柱にとじこめられ、粉々に砕け散った!! ……はらはらと舞う花びらの美しさとは裏腹の絶望を突きつけられ戸惑うしかない魁利・透真・初美花。


 そこへ現れたのがコグレであった。彼によってギャングラーの存在を知らされた三人は、奪われたルパンコレクションこそが大切な人をよみがえらせる可能性があると信じてチームを組む。しかし快盗戦隊はなれ合わない主義。誰かが窮地に立ってもルパンコレクションの回収が第一義なのだ。目的を果たすためならチームメイトも捨て去る冷徹な関係、ととられるかもしれない。しかしそれは各人が必ずこの戦いをくぐり抜ける強い意志を持っていることの裏返しなのだ。
 怪人に捕らわれた透真と初美花を前にしても、躊躇なく天井を破壊する魁利! すかさず床を破壊して脱出に成功する二人。これくらいのピンチはどうってことないでしょという魁利に、ホントに助けないんだから! と軽口で返す初美花と透真。重い宿命を抱えつつもそれをひけらすことなく快盗戦隊に身を投じる三人。オシャレでクールな怪盗も熱いハートで戦っているのだ。


警察戦隊の公務としての活動&黒人上司&サポートロボット


 個人の目的を果たすため義賊ではあるが盗みを働くルパンレンジャー。一方、国際特別警察機構・日本支部の実働部隊としてギャングラーを捜査し、ルパンレンジャーをも逮捕する警察戦隊パトレンジャーの三人は「職務」として戦うチームだ。
 短く切りそろえられた髪とハキハキとした大きな声が特徴の朝加圭一郎(あさか けいいちろう)=パトレン1号。被害者を前にして必ず犯人を逮捕しますと誓う実直な姿が彼の正義感の強さを表す。
 配属されてまだ日の浅い陽川咲也(ひかわ さくや)=パトレン2号。たとえ怪盗でもギャングラーを撃退してくれるならルパンレンジャーもアリじゃあない? という世間の声に同調する彼を、圭一郎は激しく否定する! 法を犯した者は許さない、という意識はまだ低い新人くんだがパトレンジャーの一員として心身ともに成長してゆく様は清々しい。
 圭一郎と同期で警察戦隊に配属された明神つかさ(みょうじん つかさ)=パトレン3号。ロングヘアーにパーソナルカラーはピンクとポジションは女性隊員だが、その口調は完全に「男言葉」! 職業病ともいえる特徴だが、プライベートではなんとモフモフのぬいぐるみにスリスリするのが大好きであることが発覚! やはり来たか! のギャップ萌え。しかもひた隠しにしていたはずが同期の圭一郎にはしっかりバレていて、恥ずかしさ全開……(笑)。


 「職務」といえばビジネスライクだとネガティブに捉えられることもあるのだが、市民の生活を守ることを第一に考える熱い人情味と、ルパンレンジャーとギャングラーに接触した場合はより危険度が高い方を選択する冷静な判断力を持った圭一郎がチームを率いることで、パトレンジャーの正義感・質実剛健なチームカラーを実感させてくれる。
 警察戦隊の強みはGSPOの組織力。パトレンジャーの三人をサポートするのは、ギャングラーの情報を整理・分析したり、細々したデスクワークもこなしてくれるアンドロイド=ジム・カーター(声・釘宮理恵嬢)――このネーミングはもちろん「事務方」のもじりですな――。
 そして三人の上司であるヒルトップ管理官(演・アイクぬわら氏)。ちょっとたどたどしい日本語が海外から派遣された人物である印象を強め、自身の失敗になやむ咲也に対してもフランクに励ます優しさをみせる。
 本作の警察戦隊の登場で警察系の戦隊がもうひとつ増えたわけだが、『特捜戦隊デカレンジャー』(04・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041114/p1)の宇宙警察は異星人の犯罪全般を取り締まる機関。よって今回のGSPOはギャングラーの犯罪を捜査するために、宇宙警察地球署の協力によって設立されたとみるのが筆者の勝手な想像だ。……となればVシネマで発表された『スペース・スクワッド』(17)との親和性は『キュウレンジャー』よりも高いのでは……東映さ~~ん、コラボレーションの組み合わせ、ホントに大丈夫ですか?!(笑)


戦隊版『君の名は』。スレ違いドラマに期待!


 ふたつの戦隊が競合することで物語がうまく転がる。ルパンコレクションをいかに怪人から奪うかが問われるルパンサイド。ギャングラー怪人が起こす事件を追うパトサイド。いずれかにフォーカスすることでテイストも変わるという利点も発生。2チームがすれ違うスリルある展開もドラマチックだ。


 ビストロ・ジュレとGSPO日本支部が近所というのも「お約束」。食事をしようとジュレに立ち寄ったパトレンメンバーからいきなりVSチェンジャーを奪おうと迫ったのは、意外にもクールな透真! 恋人を奪われた衝撃からいち早くルパンコレクションの回収を果たしたいと焦る彼に、魁利はパトレンジャーを利用して回収する術を示す。
 仲間ではないからの「ズルい」やり方ではあるが、これも怪盗ならではのテクニックだ。――さらにこの「急がば回れ」を恋人・彩が示していたことを思い出し透真は冷静を取り戻す、というドラマ性の補強もバッチリだ――


 人々の失踪事件の手がかりがつかめないパトレンメンバーは怪人とのバトルで遭遇したルパンレンジャーにかみつく! 情に絆された初美花=イエローはアイテムの能力をしゃべってしまう……。結局これをきっかけに怪人にいち早くたどり着いたつかさ=パトレン3号は乱戦のさなかでイエローがコレクションを奪えるように怪人を誘導! なかよしこよしではなくギブアンドテイクで借りを返した。これも本作ならではの展開だろう。


 巨大バトルではグッディがそのエピソードにおいて人間ドラマ的に「グッときた」パトレン側と合体し、パトカイザーが怪人と対戦するも苦戦! 空中戦が有利と見たグッディはトリガーマシンと分離し、ルパンレッドたちダイヤルファイターと合体! ルパンカイザーの空中高速連射でとどめを刺した!!
 本編と特撮で主役となる戦隊ヒーローが異なってしまうことでドラマとバトルに分断感を生じさせないという手法だが、それをも金科玉条にはせずケースに応じて戦闘シーンをカッコよく盛り上げるためには融通を効かせて、他方の戦隊や戦隊巨大ロボの存在を持ち上げてみせる柔軟なクレバーさがあり、「気まぐれグッディ」の存在が合体バリエーションをうまく転がすポイントになっているのも良いアイディアだ。


 主題歌は男女デュエットでふたつの戦隊を一曲で表現。映像も早回しでルパンコレクションの争奪戦をスピーディに見せてくれる。
 本作ではエンディング曲は採用されなかった。まあ、みんなで楽しくダンスする作風ではないこともあるし、本編の撮影やゲスト怪人の造形に注力することで内容が充実してくれればこれも良い前例となるであろう。


 こうしてみると本作はスーパー戦隊の基本フォーマットである、ヒーロー戦隊と悪の組織との特撮バトルアクション&キャラクターの心情交流ドラマをしっかりと押さえ、それをより魅力的に描くための手段として『VS戦隊』という要素を取り入れたといえる。


 これまでにも一作品内で戦隊が対立する構図は描かれてきた。


 『ジェットマン』はレッドホーク=天堂 竜とブラックコンドル=結城 凱がその信条・恋愛感情などから対立。
 『忍風戦隊ハリケンジャー』(02・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20021110/p1)は忍術流派の違いからハリケンジャーとゴウライジャーが対立。
 『爆竜戦隊アバレンジャー』(03・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20031113/p1)ではアバレンジャーたちより上位の存在であることを証明したいがために、仲代壬琴(なかだい みこと)が白い戦士アバレキラーとなって争った。
 『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070624/p1)も最強の拳士を目指す求道者同士のゲキレッド=漢堂ジャンと黒獅子リオ=理央が魂を込めた拳を交わし続けた。


 ヒーローの一番身近なところに対立する者を置くことでその主義主張の違いを浮き彫りにする。本作もその効果を発揮して短い話数でもすでに強烈な印象を残している。
 スーパー戦隊特有である数多くの設定・要素を取りまとめながら、ふたつの戦隊キャラの対比も深堀りする。メインライターを担当する香村純子氏の手腕が見事発揮されたかたちとなっており、微妙なバランスで交錯する快盗戦隊・警察戦隊・ギャングラー、そしてルパンの末裔の動向に注目せざるをえない!!
 そして各キャラの細やかな心情とリアクションを描きながら、バトルアクションを新たなカメラワークでエモーショナルに捉える。スーパー戦隊シリーズ最新作の挑戦を最後までしっかりと見届けたい。


(了)
(初出・『仮面特攻隊2018年早春号』(18年3月11日発行)所収『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』序盤合評1~3より抜粋)


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『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』前半合評 ~パトレン1号・圭一郎ブレイク!

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『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film』合評

  (近日中にUP予定)

『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』中盤合評 ~新戦士ルパンエックス(パトレンエックス)・ノエル君が絶妙!

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『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』終盤評 ~優劣ではない個と公!

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百獣戦隊ガオレンジャー(01年) ~後半合評・6人目ガオシルバー!

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忍風戦隊ハリケンジャー(02年) ~前半賛否合評1・ゴウライジャー!

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特捜戦隊デカレンジャー(04年)#37「ハードボイルド・ライセンス」

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