『ウルトラマンZ』序盤総括 ~セブンガー大活躍! 「手段」ではなく「目的」としての「特撮」!
『ウルトラマンギンガ』序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?
『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』 ~ジュブナイルじゃない!? アイテム争奪コント劇! 「見せ場」重視!
『ウルトラマンギンガ』最終回 ~タロウ復活! 津川雅彦もキングに変身すべきだ! ウルトラ怪獣500ソフビを売るためには!?
『ウルトラマンギンガ』番外編「残された仲間」 ~傑作! 『ギンガ』総論・マイナスエネルギーを材とした『80』『ギンガ』比較(8/29、UP予定)
『劇場版ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!』 ~第2期ウルトラの「特訓」「ドラマ性」「ヒーロー共演」「連続性」も再考せよ!
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ウルトラマンギンガも客演する映画『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(20年)が公開中記念! とカコつけて……。
『ウルトラマンギンガ』(13年)後半評を発掘アップ!
変身怪獣ザラガス登場! ヒロインがレッドキングに変身! 悪のウルトラ兄弟出現!
第8話『奪われたギンガスパーク』には、往年の人気怪獣であり映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)で復活を果たした変身怪獣ザラガスが登場!
初登場時の背面の甲羅(こうら)に覆(おお)われた第1形態を初代『ウルトラマン』(66年)以来、実に半世紀ぶりに披露! そればかりではなく全身に膨大にあるパイプの穴状の部分からハリネズミのような長くて鋭いトゲを生やして攻撃するという、いわば第3形態ともいうべき新たな姿までもが描かれる!
さらに、『ギンガ』シリーズ後半のレギュラー悪役であり常に人間大サイズで暗躍する暗殺宇宙人ナックル星人・グレイに、変身アイテム・ギンガスパークを奪われた主人公青年の礼堂ヒカル(らいどう・ひかる)に代わって、なんとメインヒロインの石動美鈴(いするぎ・みすず)がどくろ怪獣レッドキングにウルトライブ(巨大化変身)するパターン破り!
美鈴には『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)に登場したウルトラの星の王女・ユリアン、アニメ映画『ウルトラマンUSA』(89年・東宝・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100821/p1)に登場したウルトラウーマンベスあたりに変身してほしいと思っていたが、まさかのレッドキングとは!?(笑)
第9話『漆黒(しっこく)のウルトラ兄弟』には、「黒いウルトラマン」こと初代ウルトラマンを模した「ウルトラマンダーク」とウルトラセブンを模した「ウルトラセブンダーク」が登場!
映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』(13年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200820/p1)にも登場した「黒いウルトラマン」のバリエーションでもある暗黒破壊神ダークザギ――このキャラ自体もウルトラマンノアのカラーリングを黒くしたような存在――と同様、黒い全身にボディー上の赤いラインや赤い両眼のカラーリングは、悪役キャラクターとしてはアリがちでもやはりカッコいい!
ゲスト悪役が悪の変身アイテム・ダークスパークでダークライブ(巨大化変身)した姿がウルトラマンダークなのだが、ヒカル青年が巨大怪獣に一度ウルトライブ(巨大化変身)してからウルトラマンギンガにウルトライブしていたように「二段変身」も披露! ウルトラセブンダークにも変身する!
バトルの最中にマンダーク・セブンダークと自在に姿を変え、マンダークの姿では回し蹴りを、セブンダークの姿では跳び蹴りをウルトラマンギンガに見舞う!
負傷したヒカルの代わりに、今度は美鈴ばかりではなく幼なじみのレギュラー少年・渡会健太(わたらい・けんた)とサブヒロインの久野千草(くの・ちぐさ)が3人まとめて、『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)でウルトラ兄弟の義父である「ウルトラの父」が客演した回である第37話『父の背中』に登場した宇宙三面魔像ジャシュラインに巨大化変身!
磁力怪獣アントラーに戦いを挑むが、3人の息が全然合わず、あの動きにくそうなジャシュラインの造形で必死にパンチやキックを繰りだそうとする姿がひたすらおちゃめ(笑)。
そこに登場したウルトラマンギンガ、アントラーの足下にすべりこみ状態のままでキックを浴びせる! 再び現れたセブンダークとギンガのキックが空中で激突するさまがカッコいい! さらにマンダークに姿を変え、レギュラー青年・一条寺友也(いちじょうじ・ともや)が搭乗して操縦する正義の巨大ロボット・ジャンナインの飛行形態に浴びせた初代ウルトラマンの必殺技でもある八つ裂き光輪は、原典の白色とは異なり黒と赤がギザ状に交錯した配色であり、マンダークのカラーリングとも統一が取れているあたりも嬉しいところだ!
再度セブンダークとなり、ギンガを盾(たて)にして、その背後からジャンナインにセブンの必殺技であるエメリウム光線を額のビームランプから放つヒール(悪役)ぶりもまたいい!
グランドキング出現! 少年少女が初代マン・セブン・ティガに変身して立ち向かう!
さらにさらに! 第10話『闇と光』には、往年の映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年・松竹)でも宿敵を務めた強敵・グランドキングのマイナーチェンジ版である超合体怪獣スーパーグランドキングが登場! 我々年長の特撮マニアにとってはラスボス級怪獣の登場であって強敵感もいや増すし、もちろん歴代ウルトラシリーズの知識がない御仁や子供たちが観てもそのボリューミーな巨体で、通常編の並みクラスの怪獣とは一線を画する強敵怪獣に見えるだろう。
画面右に「ギンガ&ジャンナイン VS スーパーグランドキング」を、画面左に健太や千草らが窓から見守る学校の校舎を合成したカットが実に圧巻!
スーパーグランドキングの体内にはナックル星人・グレイによって美鈴が人質にとられ、ギンガとジャンナインは思うように戦えない!
そしてナンと! 美鈴を救うために、健太がウルトラマンティガに! 千草が初代ウルトラマンに! そして美鈴の父がウルトラセブンにウルトライブ(巨大化変身)!!
予告編でも「ウルトラ兄弟揃い踏み!」などとクレジットされていたが、M78星雲・光の国出身ではなかったハズのティガが、あまりに当然のように「ウルトラ兄弟」扱いにされている!(笑) 初代マン・セブン・ティガの「ウルトラ兄弟」とジャンナインが、共同戦線でスーパーグランドキングに立ち向かう!
が、これだけ魅力的な要素が満載であるにもかかわらず、一応は面白いし退屈もしないのだけれども、どこか高揚感や盛り上がりが今一歩という気もしないでもない……
「初期のプロットは、ラストにティガダークが出てくる以外は全く別の話で、登場怪獣もジャシュラインだったんです。話も王道のバトルストーリー+ヒカルの成長話という感じで……。『ギンガ』は急ピッチで制作が進んでいたので、設定も含めてプロット内容が流動的に変わっていきましたね」
「(一条寺)友也(いちじょうじ・ともや)と父親のエピソードは、シリーズ後半戦に持ち越す予定で書いていたんですが、最終的にそれが美鈴と父親に置き換わりました。ちなみに初期のプロットでは友也の父親がティガダークに変身したり、ヒカルがジャンナインにライブしたりと、結構設定が違っていましたね」
前者は第5話『夢を憎むもの』、後者は第6話『夢を懸(か)けた戦い』について、脚本を担当した赤星政尚(あかほし・まさなお)が明かしたエピソードである。
昭和ウルトラ直系の四半世紀後の正統続編である『ウルトラマンメビウス』のシリーズ構成やメインライターを務め、本来は少年漫画的な暑苦しい王道路線の作品を得意とする氏が書いた回でさえ、いつしか友也のダークな内面を強調したように筆者には思える「ドラマ主導」の話に変貌(へんぼう)を遂げてしまっていた。
たとえ「ギンガ&ジャンナイン VS 闇の巨人ティガダーク&宇宙海人バルキー星人」という、本来ならば大喜びすべきタッグマッチ戦が描かれていようとも……
『ギンガ』前半戦では巨大ヒーローバトルが本編で描かれる人間ドラマの単なる「延長戦」として、それをそのままなぞるだけの機能と化しているような印象を強く感じたものであった。そうした路線は後半戦においてもやはり踏襲されてしまうのだろうとは思っていた。
もしそれを徹底するのであれば、登場人物をしっかりと描きこまなければ、人間ドラマの「延長戦」である巨大ヒーローバトルは盛り上がらないことになる。
あまりこんなことは本来主張したくはないのだが、『ギンガ』という作品の物語構造がそうなってしまっている以上、これは必然かと思われる。
ラスボス級怪獣や悪や正義のウルトラ兄弟登場で賑やかなのに、ドコか重たさが残る理由とは!?
第9話でウルトラマンダークやウルトラセブンダークにダークライブ(巨大化変身)したのは実はメインヒロイン・美鈴の父親である。本編を見るとふたりがどことなくぎこちない親子関係であることはうかがえる。だが筆者にはなぜ美鈴の父親がダークライブをしたのか、正直よくわからない(笑)。
その背景となるものが、それこそ友也の父親のように一応は描かれているのならまだいい。が、美鈴の父親は第7話『閉ざされた世界』のラストで突然フラリと姿を見せる。
そして第9話でヒカルに対し、唐突に「支配する者とされる者」の話をして悪の仲間に加わることをもちかけ、ヒカルはヒカルで「美鈴の和菓子にかける想い云々(うんぬん)」と叫び、美鈴の父がダークライブしたセブンダークを倒す。
よくわからない理由で戦いが始まり、よくわからない理由で戦いが終わってしまう。いくらアクション演出が優れていても、これでは個人的にはバトルを楽しめるようには思えないのである。
第10話にしても、ウルトラ兄弟が戦い始めたかと思えば、美鈴を闇の世界から連れ戻そうとしたヒカルと美鈴の口論が延々と描かれてしまう。そればかりではなく、ヒカルの祖父で銀河神社の神主である礼堂ホツマと降星小学校の白井杏子(しらい・きょうこ)校長との間で、「闇の支配者」をめぐる長々としたやりとりが繰り出される。
今回最もオイシイはずであるウルトラ兄弟が活躍する場面を寸断してしまうかたちで、こうした描写が頻繁(ひんぱん)に割り込んできてしまうのだ。実際、ウルトラ兄弟の活躍場面は時間にしたらほんのわずかにすぎず、ギンガ登場以前にみんな敗れてしまう。相手は「超合体怪獣」なのだからウルトラ兄弟でフルボッコにしても集団いじめにはならないのだし(笑)、せめてその回のラストまでは引きずって活躍させるべきではなかったか?
美鈴の父の「娘を想う力」とか健太や千草の「友を想う力」なんて、所詮(しょせん)はヒカルと美鈴の「愛の力」にはかなわないのだ、などと主張しているようにも思えてきてしまう。「娘を想う力」と「友を想う力」と「愛の力」すべてをストーリー上でも全肯定して、それらが結集してスーパーグランドキングを倒した方がドラマ的にもテーマ的にも盛り上がったのではなかろうか? せっかくギンガがスーパーグランドキングに豪快なジャイアントスイングをかましても、これではなぁ……
前半戦ではセミレギュラーだったホツマや校長が後半戦では毎回登場。
さらに美鈴の父親役は80年代の青春映画系の角川映画に出演して人気を博していた好青年・野村宏伸(のむら・ひろのぶ)、建設会社の開発本部長役が『3年B組金八先生』PART2(80年)でメインヒロインの女子生徒役などを務めていた川上麻衣子(かわかみ・まいこ)と、まさに筆者ら80年代に中高生であったオッサンの世代的には「どストライク!」なキャスティングではある。だが、ホツマ役の津川雅彦(つがわ・まさひこ)、女校長役の木野花(きの・はな)を含め、あらためてマジでギャラがよく払えたなぁ(笑)。
そのキャスティング自体はよいのだが、そんなおカネがあるのなら、スーツアクターを増やしてウルトラマンや怪獣のアタマ数を増やしたり、ミニチュアに少しでも多く予算を割り振ろうとか、そういう発想にはならなかったのかなぁ……
実は筆者が『ギンガ』後半シリーズで最も楽しめたのは、ウルトラマンタロウをリングアナにバンダイ発売のソフビ怪獣『スパークドールズ』を観客にしてリング上で描かれた第7話のクライマックスバトルである(笑)。なんか本編を実写でクライマックスのバトルをアニメで描いた変身ヒーロー『プロレスの星 アステカイザー』(76年・円谷プロ)でアニメの世界に突入する「カイザー・イン!」みたいで(笑)。
第7話のクライマックスは一連の『ギンガ』の中では、近年ではかなり軟化が進んで「お笑い」も許容するようになったと思われていた特撮マニア間でもかなり評判が悪いようなので(爆)、第7話のそれを面白いと思ってしまうような感性も、過度な人間ドラマ重視に批判的である筆者の無意識から来る「逆張り」に行き過ぎた感覚である可能性も高いが(笑)。
しかし、ただでさえ『仮面ライダーウィザード』(12年)最終回前後編における平成15人ライダー勢ぞろいや、『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)ブレイブ39『せいぞろい! 10だいキョウリュウパワー』における遂に10人(!)がそろったキョウリュウジャーの、文字通りの爽快な「大活躍」を観せられたあとだけに、せっかくウルトラ兄弟を出しても活躍も少ないし、やや重ための人間ドラマが絡んできて作風も重たくしてしまうのでは、見劣りしてしまうのもやむなしかと……
最終回こそ、「感動のフィナーレ」となることを期待したい。
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