『シン・ウルトラマン』徹底解析 ~賛否渦巻くワケも解題。映像・アクション・ミスリードな原点回帰・高次元・ゾーフィ・政治劇・構造主義・フェミ!
『ウルトラマントリガー』最終回 ~新世代ウルトラ各作終章の出来も含めて賛否総括! 光と闇を包摂する真理!?
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『ウルトラマンデッカー』(22年)がシリーズ後半に突入記念! とカコつけて……。『ウルトラマンデッカー』序盤合評をアップ!
『ウルトラマンデッカー』前半合評1 ~若き力が未来を切り拓く!
(文・J.SATAKE)
ウルトラマンシリーズの最新作『ウルトラマンデッカー』(22)は前作『ウルトラマントリガー』(21)の世界を引き継いで展開する物語だ。
マルチバース設定を取り入れてそれぞれが別世界での物語としてきた近年のニュージェネレーションウルトラマンであるが、『トリガー』が『ウルトラマンティガ』(96)の物語を基に製作されたこと、そして『ティガ』の続編でもある平成ウルトラマン第2弾『ウルトラマンダイナ』(97)をモチーフに本作が作られるならば自然な流れではあるだろう。
しかし基本は同じでも登場するキャラクタ-が違いそのリアクションも変化してゆく。新たな主人公たちはウルトラマンそして怪獣とどのように向き合ってゆくのか。初期編から筆者が気になったところをあげてみたい。
『トリガー』の物語から7年後。怪獣の出現も途絶えて火星への旅行も盛んになった地球は「ネオフロンティア時代」へと向かおうとしていた。
そこに突如あらわれた怪物体・スフィアの攻撃! 街や人々を容赦なく襲うスフィアと怪獣・スフィアザウルスに怒りを燃やし立ち向かう青年・アスミ カナタ。絶体絶命の彼を「光」が救う。そして巨人から「力」を託されたカナタはウルトラマンデッカーへ変身する!
「輝け! フラッシュ!!」
ウルトラマンデッカーのデザインはダイナをもとにしながら「アシンメトリー」(非対称)をポイントにしているのが印象的だ。ダイナのボディカラーを踏襲しながら身体各所に左右非対称に装甲を施す。そして胸まわりと頭頂部に「宇宙にきらめく星の画」を配置! これは造形上の差異だけでなく配色でのさらなる印象の変化を求めた挑戦であろう。
さらにカラータイマーは胸中央ではなく左胸にセットされている。これはアシンメトリーにこだわりすぎたかも、という気もする。
以前にも『ウルトラマンナイス』(99)が同じく左胸にカラータイマーがセットされていたが、人は重要なものがこれまでと同じところにないとちょっと不安になってしまうためだろう。
変身アイテムであるディーフラッシャーはダイナのリーフラシャーと同じスタイルに寄せつつ、ウルトラディメンションカードでデータをスキャンすることでデッカーがフラッシュ・ストロング・ミラクルへとタイプチェンジする機能が付加されている。
時代の変化で商業的要請の産物でもあるわけだが、怪獣カードによってデッカーがカプセル怪獣のミクラスを召喚するシーンが登場! 怪獣を各作品独自のシステムで変換した能力を利用する、といったパターンが近年多かったが本作ではストレートに助っ人怪獣として参戦。
デッカーとミクラスが協力して怪獣を押し負かし、コンビネーションでダウンさせる! これからも「切り札」として要所で活躍してほしい。
本作では地球平和同盟TPUは怪獣対策から宇宙開発へと主力を移しており、防衛の最前線であるGUTS―SELECTも省力化。
汎用戦闘機ガッツファルコンはもちろん航空母艦ナースデッセイもリモート操艦となっていたが、スフィアの地球侵攻で全域にエネルギーフィールドが張られスフィアが融合した怪獣によって電波障害が発生。
これに対抗するための人材が必要となったという設定で、新たなGUTS―SELECTに若い力が選ばれる!
主人公・カナタはせんべい屋の息子。じいちゃんとともに家業にはげむ快活な青年だ。瓦礫に挟まれた人を救助しようと奮闘、その元凶であるスフィアに無謀にも突っ込んでゆこうとする血気盛んな性格でもある。
キリノ イチカは宇宙飛行士を目指しTPU宇宙開発課に所属。押しに弱い性格だが、幼いころから始めた柔道で鍛えた精神力でチームをまとめる役もこなす。
リュウモン ソウマは怪獣災害でTPU隊員に助けられたことでこの道を選んだ。寡黙だが着実に任務をこなす、内に秘めた情熱はカナタにも引けはとらない男だ。
スフィアの襲来を機にTPU訓練校で経験を積んだカナタは、イチカとソウマとともに新生GUTS―SELECT入隊の最終試験を受ける。怪獣出現で試験は中断となっても彼ら3人は協力して目の前の被災者を助けるために自分たちができる最大の努力を惜しまない。
その勇気と行動力を見込んで正隊員へと昇格させたのがムラホシ タイジ隊長だ。危機的な状況だからこそまだ未熟だが若い力を育てて、また次の世代へとつなげるためにカナタたちを選んだ彼。
訓練校校長でもある彼はパイロットとしての経験もあり、どんな場面でも生命を大切にし生還することを貫こうとする精神の持ち主だ。ウルトラマンの存在には幾分懐疑的であり冷静な判断を下す指揮官でもある。東映の仮面ライダーシリーズにも出演している黄川田雅哉氏がどのような隊長を演じるのか期待したい。
再び有人機となったナースデッセイのオペレーションと操舵手となったのはカイザキ サワ副隊長。怪獣研究室で研究を続けてきたが、スフィア襲撃の人材不足を補うため最前線へ立つことに。
ムラホシ隊長と旧知の仲のようだが、ウルトラマンへの希望を隠さない。そして彼女は新人3人を引っ張る姉御的キャラも持ち合わせている。これは役を担当する宮澤佐江氏が出演した映画『ウルトラマンサーガ』(12)での地球防衛隊チームUのメンバー・サワのキャラクターの影響もあるのだろう。
新生GUTS―SELECTの技術開発を担当するのはアサカゲ ユウイチロウ。ガッツファルコンのリモート操縦を担当するAI=HANE2を開発し、新型機であるガッツホークを導入したのも彼の功績だ。
映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(10)でウルトラマンゼロと一体化した青年・ランを演じた小柳 友氏が若き科学者を好演。過去作品のキャストが脇を固めるこのシフトは長年のファンには楽しく嬉しくもあることなのだ。
AI=HANE2は『ダイナ』のハネジローが元になっている。元のキャラを球形に落とし込んだメカデザインが可愛い。そしてカナタが戦いを通して理解を深め彼をハネジローと名付けるのだ。親しくなったからと急にタメ語口調にキャラ変するハネジローも楽しい!
そしてカナタがウルトラマンであることを唯一打ち明けている関係も『ダイナ』の主人公アスカとハネジローとリンクしている!
新型機ガッツホークは三角翼ステルス機のようなスタイルに大型のアームが特徴だ。さらにガッツファルコンの上部にガッツホークが合体! ホークの機体が180度展開することでファルコンがサイズアップしたバランスとなるガッツグリフォンが完成するのだ!!
これにより2機分のエネルギーを使った攻撃も可能となる。そしてカナタとハネジローがパイロットなのでカナタがデッカーに変身した後のアリバイ工作もやりやすくなっている! 初回はハネジローの声まねがAIなのにグダグダだったが、理屈つけとコメディシーンを同居させる好シーンであった。
登場怪獣はスフィアザウルスは新デザインであったが、ゴモラがスフィアと融合したスフィアゴモラは改造キャラ、次のモンスアーガーはそのままと既存の怪獣の再起用は継続されている。
ただ、再登場でもその怪獣の特性を活かした展開・バトルが用意されていればファンは納得してくれると思う。近年はそうした演出も増えており継続して製作されているメリットではあろう。
反面、ナースデッセイやガッツファルコンがそのまま使われるのは続編でなければ難しかったわけで、その魅力をアップさせるガッツホークのアイディアや限られた予算を活用するスタッフには敬服するしかない。
ミニチュアや自然を利用したオープンセット、被写体を多様に捉える柔軟なカメラワークが実現できるカメラ機材の進化とそれをサポートする最新のCGワーク。特撮作品だからこその複合的に絡み合う撮影素材を組み合わてゆく画作りは相当な労力が求められる。
これからもウルトラマンシリーズ特有の巨大怪獣が巻き起こす事件とそれに立ち向かう人間とウルトラマンが織り成すドラマをしっかりと見せていただきたい。
『ウルトラマンデッカー』前半合評1 ~7話までのところは好印象!
(文・仙田 冷)
正直、2022年7月2日放送の『直前スペシャル』が、個人的にはあまり視聴意欲をそそる出来ではなかったので、あまり期待もせずに見始めたのだが、これがけっこう面白い。未見でたまっていた回をほぼ一気見して、8月27日放送の第7話「希望の光、赤き星より」まで追いついた。というわけで、思ったことを箇条書き式に書いていきたい。
・主人公アスミ・カナタの実家の描写を筆頭に、何だか皆、原典の『ウルトラマンダイナ』(1997)に比べて、地に足がついている印象がある。第2話「決意のカナタ」では、きっちり訓練をした上で、GUTS-SELECTのメンバーを選んだりして。
ネオ・フロンティアをテーマとした設定で皆が宇宙ばかり見ていた『ダイナ』と違い、宇宙から飛来したスフィアが張ったバリアで、地球と宇宙との行き来ができなくなったという設定で、まずは足元を固めざるを得ない本作との作風の違いということか。
・人物描写はけっこう丁寧。『ウルトラマンA(エース)』(1972)の主人公・北斗星司っぽいところがあるカナタと、同じく『A』の山中隊員と『帰ってきたウルトラマン』(1971)の西田隊員という、主人公と敵対するイジワルな隊員を足して2で割ったようなリュウモン・ソウマ隊員、そのふたりをまとめつつ巧みに制御するキリノ・イチカ女性隊員という感じで、キャラ立ちがうまくいっている。さて、最後までその調子で完走できるか?
・謎の敵の襲来によって本来、宇宙開発を目指していた人材を戦闘に狩り出さざるを得なくなる…… なにかデジャブだなと思ったら、思い出した。00年から01年にかけてテレビ東京の深夜枠でやっていたロボットアニメ『アルジェントソーマ』(2000 サンライズ・ビクターエンタテインメント)だ。ぶっちゃけ、その一点以外は、あまり似ていないのだが。しかし、スフィアの襲来の理由が、同作のエイリアンのようにいささかしょーもない(失礼!)ものだったらどうしようとは思った。詳細は検索されたし。
・第1話のラストでスフィアのバリアによって封鎖された地球。これは今の世界を覆うある種の閉塞感のメタファーではないかと思える。まだ未来に希望を持つことができた『ダイナ』の当時と違い、今はどっちを向いても希望の「き」の字もない。自己保身しか頭にない人間のクズばかりがでかい面してのさばりかえり、力ある者は力にものをいわせて自分勝手なことばかりして世界を混乱に陥れる。力なき者はただ踏みつけにされ、振り回されるだけ。今はそんな時代だ。
そんな閉塞感を、デッカーはどう破ってくれるのか。その辺が、本作の最終的な評価を決める気がする。
・第5話「湖の食いしん坊」。宇宙旅行中に事故で地球に漂着し、そこでスフィア事変に巻き込まれ、仲間と連絡が取れなくなったピット星人の少女が登場する。彼女が飼っていたペットのエレキング(エリー)が、地球の環境下で巨大怪獣と化し、変電所を襲撃。その事件をきっかけに、GUTS-SELECTのキリノ・イチカ隊員は、ピット星人の少女と交流を持つが……って、なにかデジャブだなと思ったら、もしかしてこれは空飛ぶ空中戦艦の活躍を描いていた『戦え! マイティジャック』(1968 円谷プロ・フジテレビ)第16話「来訪者を守りぬけ」に対するアンサーエピソードでは!? と思い至った。
……まあ、本話のスタッフが『戦え!MJ』を意識していたのかは不明だが、本作では本作なりのほっこりするオチがついている。『戦え! MJ』のような悲惨なことにはなってないので、そこはご安心いただきたい。
これは他同人誌での某ライターの指摘だが、本作の場合、スフィアのバリアのおかげで、殺す必要のない怪獣を宇宙に放逐するという手が使えないので、この回で初登場したデッカー・ミラクルタイプの設定がその辺で生かせるのではないかという指摘があり、その後の本編を見て、怪獣をミラクルタイプの能力でミクロ化させるオチとしており納得した。実はウルトラマンレオも同じようなことをしている。詳しくは『ウルトラマンレオ』(1974)第10話「かなしみのさすらい怪獣」を見てほしい。さらに、ウルトラマンジョーニアスやウルトラマンエイティも同じことをしている。『ザ☆ウルトラマン』(1979)第5話「パッセージャー号地底突破!!」や『ウルトラマン80(エイティ)』(1980)第15話「悪魔博士の実験室」を確認してほしい。
しかし本編を見終わってほっこりした後に、予告編で「特別総集編 マルゥルの帰還」とやっていて、この世界ではメトロン星人マルゥルのように防衛チームに宇宙人の協力者がすでにいるわけだから、宇宙人=侵略者と見なされるような事態はまずあり得ないわけかと気がついた。これはしたり。
・これも他誌での別のライターの指摘だが、第1話「襲来の日」と第2話の間で1年の時間が経過していることについて、その間スフィアの侵攻はなかったのだろうかという指摘があった。そこでその辺を注意して見ていた。一応、第3話「出動! GUTS-SELECT」で、地球を覆うバリアはスフィアが自らを粒子状に分解して再構成したものだという説明があった。しかし、同話でスフィアソルジャーが怪獣ゴモラと融合する描写があるので、スフィアがバリア化していたことが侵攻がなかった理由だとするのはちょっと弱いかなと。
それで、第7話を見ると、どうやらスフィアは火星の攻略に意外に手間取っているらしい。地球をバリアで覆ったままほったらかしなのは、そのせいもあるのだと解釈してもよいか?
前作『ウルトラマントリガー』(2021)のトリガーについては、スフィア事変の当初から、自主的に火星防衛の任についているのか、それとも同話でユザレ(の見た目違い)にアイテムを渡されたことで改めて変身可能になったのかが、作品にとっては些事かもしれないが、気にしてみるとよくわからない。
・本作の今のところ唯一の問題点。カプセル怪獣(本作ではディメンションカード怪獣)の扱いが尺の都合もあるのだろうが、一瞬だけの登場で済まされてしまうのでイマイチ良くない。
怪獣ミクラスは第2話と第5話の2回登場しているが、ちょっとダメージを受けたところで撤収。怪獣アギラは第6話「地底怪獣現わる! 現わる!」に登場したが、出てきてすぐテレスドンにツノを発光させての突撃を敢行、テレスドンには勝利したが、道連れにしたような感じで自身もすぐに消滅してしまう。怪獣ウインダムは第7話時点ではいまだに出番なし。この辺は今後の改善の余地あり、という感じである。
以上、『ウルトラマンデッカー』について、思うところを書き連ねてきた。人間の評価が棺の蓋を覆うまでわからないように、作品の評価も最終回を迎えてみなければわからない。途中までいい線を行ってたのに、最後の最後でずっこけた作品だっていくらもある。とりあえずは、今後を見守るとしよう。
第1話『襲来の日』
(脚本:根本歳三 /監督:武井正能)
火星に造営された移民都市を、謎の球体群「スフィア」(この時点でその名前は明らかになっていない)がいきなり襲う。
『ウルトラマンデッカー』の世界では『ウルトラマンダイナ』(1997)に同じく、宇宙や大自然はもはや畏怖や畏敬の対象ではなく、「ネオフロンティア」として、専ら開発するもの、人類の未来の進出先として扱われている。
そんなこととは無関係に、地球の下町で手作りせんべい店「明日見屋」の手伝い(店主の孫)に励む青年アスミ・カナタ(演:松本大輝)。
とにかくカナタは宇宙港に商品の納品に行くことになり、そこでスフィアの襲撃を受けることになるのだが、前後してコンコースで邂逅するカイザキ・サワ(演:宮澤佐江)とムラホシ・タイジ(演:黄川田雅哉……『仮面ライダー THE FIRST』(2005)の主演俳優・黄川田将也氏が本名で出演)。二人は前作『ウルトラマントリガー』(2021)世界での戦友であるらしく、同作終了後に別の道を歩むようになっていたようである。
地球平和連合TPUの怪獣対策課に残ったサワは平和が続いて、予算も人員も減らされる一方だと嘆き、養成学校の校長になったムラホシは、その育てた生徒らが火星に送られていくことを、複雑な心境で見守っていた。
火星行きのメンバーに人選として外され、宇宙港の警備をさせられていたキリノ・イチカ(演:村山優香)に、店のせんべいを売り込むカナタ。やって来た仲間のリュウモン・ソウマ(演:大地伸永)に彼女が連れ戻されてその場は残念な首尾に終わったが、その直後、火星の惨状がニュースとして流れ、地球もまたスフィアの襲撃を受ける。
しかし頻繁に宇宙ロケットが飛び交うこの作品世界、とことん地球にやさしくない(ロケット一発飛ばすだけで、どれだけの温室効果ガスが大気中に撒き散らされていることか)。そんなところが気になるあたり、筆者はフィクションが純粋に楽しめなくなっているのだろう。『ウルトラマンティガ』(1996)~『ウルトラマンダイナ』に登場したエンジン・マキシマオーバードライブよろしく、いわゆる光子力エンジンであれば、すべて無公害なのかもしれないが。
ニューヨーク・シドニー・パリ・エジプトのギザ、そして東京の空に奇怪な塊が現れ、その中から湧いて出たスフィアの大群に挑む戦闘機・ガッツファルコンと空中母艦・ナースデッセイ号。『トリガー』で使われたメカが、無人操縦の上に多勢に無勢。そんな抵抗などものともせず、塊は拡張し、協働して地球上空に勢力圏を押し広げていく。
スフィアの攻撃で建物が崩れ、女性が下敷きになった。瓦礫をどけようと必死になるカナタ。イチカとソウマも手伝うが、スフィアの攻撃は続く。銃を手に援護に来たムラホシだったが、その前に巨大怪獣スフィアザウルスが出現、スフィアと融合してより凶暴になった。逆上したカナタは女性を救出したのち銃を拾い、「地球人ナメんな!」とばかり、単身でスフィアに銃撃戦を挑むが、逆にスフィアに呑み込まれてしまう。
スフィアは人間の自我を奪う能力を持っているように演出されていたが、カナタが「俺はアスミカナタだ!」と絶叫することによってスフィアの壁をぶち破り、壁の向こうに立っていた光の巨人と邂逅。精神感応で「デッカー」と名乗る彼から変身道具「Dフラッシャー」を託される。カナタはウルトラマンデッカーとなり怪獣を倒すが、スフィアの拡張は続く。大気圏に飛び、スフィアを次々撃ち落とすデッカーだったが、スフィアは一致協力してバリアを地球の空全体に張り、地球人は宇宙との交信も往来も出来なくなってしまった。
生還したカナタはソウマに怒られるが、ムラホシは「もし君に意思があるのなら、いつでも連絡してください」「大切な者を守る意思です」と、カナタにTPU入りを暗に勧める。
TPU訓練校は怪獣対策要員養成校と教育方針を変更し、カナタは新人訓練生として入学を決めるのだった。
……個人的に気になったのは、カナタの家が何故せんべい屋なのか、何故そのように設定されたのか? に説明がなかったことで、同じ下町の自動車修理工場に住み込みで働いていたウルトラマンジャック=郷 秀樹(『帰ってきたウルトラマン』(1971)の主人公)が「レーサーになってカネを稼ぎ、田舎から母を呼んで一緒に暮らしたい」という夢を、同じ第1話で語っていた事実と、つい比較してしまった。
せめて店の目玉商品「宇宙せんべい」に、何かドラマがあればいいのだが。当然番組の本筋に絡むような内容の。
さらにはアスミカナタのキャラクターが「無鉄砲な熱血漢」であることは分かったが、それでも『ダイナ』の独断専行型の主人公・アスカ・シン(演:つるの剛士)ほどのインパクトもなかった。瓦礫の下の女性を助けるシーンで、ソウマやイチカとのチームプレイを演出したせいだが、これが吉と出るか凶と出るか?
今回の怪獣スフィアザウルスは、スフィアと融合することで凶暴かつパワーアップするようだが、CGか着ぐるみかの違いだけで、ソーシャルゲーム『モンスターハンター』(カプコン)のモンスターと大して変わらない存在感だったのも不満ではあった。杵(きね)のように巨大な前足というのは、たしかに今まで有りそうでなかったビジュアルには違いなかっただろうが、見た目のインパクトだけで勝負できると考えたら、ウルトラ怪獣失格である。
強くて怖くて憎々しい。特撮番組第1話の怪獣は、ヒーローを引き立てる必要から、東映でも円谷でもそう描かれるべきなのだが、この扱いは残念極まる。
いちおう電波障害を起こせるという設定だったが、この怪獣自体の能力なのか、『デッカー』に出てくる怪獣(融合獣)全部がそうなのかは、この時点ではまだわからない(多分後者だと思うが)。
当初に書いた設定が説明されれば、ひねりのないその名前同様、今回はそれでいいという割り切りか。
第2話『決意のカナタ』
(脚本:根本歳三 /監督:武井正能)
第1話の事件から1年、人々の生活も安定を取り戻しつつあったが、TPU訓練校の過酷な訓練は続き、地球に張られたバリアもそのままだった。福引特等の旅行で火星に置き去りにされた両親が気になる中、自分があれ以来ウルトラマンデッカーにもなれないことも気になっていたカナタ。訓練校には一応12人の候補生がいたようだが、カナタの成績は最下位。
そんな中、TPUは『GUTS-SELECT』という精鋭部隊を組織することを決定し、その選抜のため60キロの行軍訓練を実施する。
3人1組で行軍しタイムを競う。イチカ・ソウマと組むことになったカナタはチームの足を引っ張ってばかり。仲間を無視して先行するソウマをたしなめるイチカだが、ソウマは足をくじいたカナタを理由に、本部にリタイアを報告しようとする。冷静な判断と状況判断を優先したソウマと、限界まで戦い抜くことをポリシーとするカナタ。一触即発のムードを、使命感で訓練に臨んでいたイチカが何とかとりなす。
そこへ怪獣デスドラゴが出現。左右一対のツノを片方だけでも破壊すれば戦意喪失するはずが、ムラホシの乗ったガッツファルコンの攻撃でも怪獣は暴れるのをやめない。
イチカの言葉に背中を押され、カナタはウルトラマンデッカーに変身。くじいた足で思うように戦えない中、デッカーは怪獣カードからディメンションカード怪獣ミクラスを召還、怪獣は倒された。
勝手に戦線離脱したカナタを睨むソウマ。しかし打ちひしがれた被災者を目の前に見て退避命令を無視した3人を見たムラホシは、彼らを救護するこの3人を、『GUTS-SELECT』に迎え入れるのだった。
……この話のキモは、カナタ・ソウマ・イチカ三者三様のキャラクター描写だろう。『ウルトラマン』でなければそのまんま『ゲッターロボ』(1974・東映動画)か『無敵超人ザンボット3』(1977・日本サンライズ)か、とにかく3機合体の巨大ロボに乗せた方がむしろいいんじゃないか? と思わせるような描き分けがなされていた。円谷プロだから合体ヒーロー『トリプルファイター』(1972)という選択肢もあるが、彼らだけで防衛チームを組織して変身させ、地球の平和を託すには正直不安が残ってしまう(笑)。
相変らず熱血バカのカナタを、「そんな甘い考えで実戦は戦えない」と、自分も若いクセしてクールに突き放すソウマ、そしていがみ合う2人をとりなしながら、「やらずにいられないからやっている!」と、使命感で戦っている自分を吐露してしまうイチカ。
現在はとりあえずソウマがリーダーになっているようだが、ムードメーカーのカナタに調整役のイチカ。そして人々を救いたい思いでムラホシの退避命令を無視する根性は三人共通。いいトリオではある。
もう一つのキモはミクラスの登場。『ウルトラセブン』放映55周年記念としてのファンサービスだそうだが、『セブン』名物のカプセル怪獣をカードで召喚! というあたりに時代を感じた。ウルトラマンのアーケードゲーム『フュージョンファイト!』で早速使えるのかどうか、カードの発売が気になるところである。
第3話『出動! GUTS-SELECT』
(脚本:根本歳三 /監督:武井正能)
GUTS-SELECTの装備担当のアサカゲ・ユウイチロウ博士(演:小柳 友)が紹介され、主力戦闘機「ガッツファルコン」のパイロットを選抜しようという話に。AIロボット・HANE2(エイチエーエヌイーツー)――声の土田 大は、『忍者戦隊カクレンジャー』(1994)のニンジャブルー・サイゾウ役だった人――が操縦する新型戦闘機「ガッツホーク」との連携ができるか、シミュレーションをそれぞれにしてもらうことになった。カナタ・ソウマ・イチカがそれぞれ挑戦するが、全員が散々な結果に。
一方、サワは一年かけてスフィアの研究をしており、塊としての「キングスフィア」と戦闘形態としての小型円盤「スフィアソルジャー」があり(第1話で語った「スフィア」とは後者のこと)、ふだんは粒子状に浮遊して地球上空にバリアを張っており、さらには第1話に登場したスフィアザウルスは巨大な前足で地球のエネルギーを吸収しようとしていた。スフィア襲来の理由と怪獣頻出の理由、そしてウルトラマンの関係は未だ不明だとムラホシに語る。
訓練の失敗をHANE2のせいにしたカナタたちは、彼と会話の席を設けるが、HANE2は平板な模範解答を繰り返すばかり。
シミュレーターの難易度を上げ、また訓練を繰り返すカナタたち。そこへ古代怪獣ゴモラが街中に出現、街を破壊する。カナタは実戦としてファルコンに搭乗するが、無人機だったガッツファルコンは乗り心地は最悪だ! と、ムラホシは「いい話」として教える。
とりあえずガッツホークとの連携が上手く行って、ゴモラの尻尾を焼き切ることに成功したが、スフィアソルジャーの大群がゴモラに取りつき、スフィア合成獣と化した。カナタはHANE2にガッツファルコンを同期させることを頼むと、ウルトラマンデッカーに変身して、ファルコンを飛び出した。
戦うがパワーが足りず、再生した尻尾で張り飛ばされるデッカー。そこへ赤いストロングタイプへの変身を促すカードが現れ、デッカーはタイプチェンジする。押し相撲でゴモラを圧倒し、掴んだ尻尾でジャイアントスイングを決めるデッカーは必殺のパンチ「トルネイドブレイカー」で勝利した。
三人の功をねぎらうムラホシだったが、カナタはHANE2のよそよそしさが気になり、ハネジローと命名し直した上で、そのかしこまった喋りもやめろと命令する。言われた通り喋りを改めたハネジローは、いきなり人格まで変わってしまうほどの砕けっぷりを披露するのだった。
……何はともかくゴモラである。『ウルトラマン』第1作(1966)に登場し、その尻尾で大阪の街を派手に破壊した人気怪獣が、21世紀以降は衝撃波という飛び道具を持って復活している。『ニュージェネレーション』においてこのゴモラ、常連な存在になりおおせているが、今回はスフィアと合体することで、オリジナルを主張した。
その都市破壊もリキの入った特撮で表現され、足りないのはエキストラの数だけというのは、現在のテレビシリーズにしてはよくやったということか。
自衛隊の出動こそなかったが、「ワンダバ」のBGMで弾丸を装填されるGUTS-SELECTの装備としての小銃描写がやけにリアル。昔のシリーズを見ていて、巨大怪獣相手にマットシュートやタックガンのような拳銃で挑むのは無謀に過ぎると子供心に思ってはいたが、こうもリアルな銃火器として玩具販売されるのであれば、母親層から抵抗が出るのではないか? と心配になった(『ウルトラマンネクサス』(2004)のナイトレイダーから始まったトレンドではあったが、『ネクサス』は作品自体地味だったし)。
世相を憂うという意味ではハネジローの存在も気がかりだ。元ネタ『ウルトラマンダイナ』では可愛いだけの宇宙珍獣だったが、今回は戦闘機の操縦もやってしまう高機能ロボットとして登場した。
『男はつらいよ』(1969~1995)が『釣りバカ日誌』(1988~2009)へ、さらには『築地魚河岸三代目』(2008)へと、松竹喜劇映画の主人公が、テキ屋からサラリーマン、さらには自営業者と、「社会の役に立つ」キャラクターに変貌していった過程にこれがかぶって、「役に立たないなら出て来るな」と、子供に社会的偏見を植え付けやしないか心配になった(笑)。
なので、自分より高性能なロボットの登場に「僕はもういらないんだ」と、科学警備隊の情報分析ロボットが戦闘機で家出するほどの展開になってしまった『ザ・ウルトラマン』(1979)第7話『攻撃指令! 目標はピグ!!』(脚本:若槻文三)のように、ハネジローが絶望してしまうドラマを期待してしまうのだ。
とりあえず3話まで見た感想は、『ウルトラ』にしては「可もなく不可もない導入部」ということだった。登場人物や世界観の紹介、キャラクター描写、派手な特撮による都市破壊と怪獣出現、そしてウルトラマンとの出会いと変身といったシークエンスがハイペースで展開され、予定調和のようにカナタは防衛隊の正隊員になって終わる。
第4話『破壊獣覚醒』
(脚本:中野貴雄 /監督:辻本貴則)
仮想空間において宇宙怪獣ベムラーが襲う中、ビルに立てこもった侵略者(『ウルトラセブン』(1967)に登場したシャプレー星人)を掃討するという訓練に失敗するカナタ。どうもその失敗は、ウルトラマンデッカーに変身してしまおうというカナタの驕りが引き寄せたようなものだ! と、前話のせいで人格まで変わってしまったハネジロー(笑)は喝破した。
定時のブリーフィングで、スフィア合成獣の脅威を説明されながら、ガッツファルコンとガッツホークを合体させたガッツグリフォンを開発したという発表を受けるGUTS-SELECT。
さて、そんなこととは無関係に、ユノハナ町という温泉町で、温泉掘削用のドリルが、何かに当たって折れてしまうという事件が発生した。突然、地面からせり上がる巨大な発光体。GUTS-SELECT出動。スフィアの影響か知らないが、最近お湯が涌かなくなって、温泉街としてピンチだったと町長(演:堀内正美)が述懐する。
発光体は何かのカプセルで地球の物体ではなく、定期的に同じ波長を繰り返して発信しているところから察するに、言語を発しているとサワは推論を立てた。一方、過去にこの街に来たことがあるイチカは、街にある『阿賀神社』のいわれを解説する。UFOか隕石か、とにかく大昔(1300年前)に何かが落ちて来たのを祀っているのだそうだ。町長はこの敷地にドリルを突き刺したバチが当たったと後悔するも、これも町のためだったと開き直る。
カプセルから赤い煙が噴き出し、破壊獣モンスアーガーが出現した。その表皮はダイヤモンドより硬く、通常兵器では破壊不可能とハネジローは分析した。その一方、サワはカプセルの言葉を翻訳することに成功し、ユノハナ町の防災放送はそのメッセージを放送した。
モンスアーガーは宇宙に進出する文明から星の自衛のためにと、メラニー遊星からセールスされた怪獣兵器だったのだ。「怪獣の通信販売かよ!」と怒るカナタはデッカーに変身するが、モンスアーガーは強い。
ハネジローはカナタがデッカーに変身したので無人になったために不時着したガッツファルコンの真下にある地下水脈を攻撃するようデッカーに提案する。吹き上がった間欠泉により空中に持ち上げられた無人のガッツファルコンと、ハネジローが操縦するガッツホークが空中で合体! ガッツグリフォンのビームで、モンスアーガーの弱点の頭頂部は撃破され、ユノハナ温泉も復活するのだった。
……一応、今回から通常編ということになるのだろうか? 前回のハネジローに危惧した筆者だが、カナタと秘密を共有して相談相手になり、アリバイ造りの共犯にもなってしまうという使われ方は、脚本の勝利だと素直に感心した。
脚本の勝利といえば、モンスアーガーの出てきた理由も。人類が宇宙に進出するようになって、邪魔な侵略者に悩まされるかもしれないことを予測し、よけいにも防衛用の怪獣をセールスしてきたメラニー遊星の存在を、何かの風刺か? と勘繰ってみたり。しかし自衛用の怪獣兵器なのだから制御手段も必要ではないのか? その説明がほしかったところだ。
それはともかく、宇宙からのメッセージと神妙になっていたGUTS-SELECTの面々が、内実を知って腰砕けになるあたりとか、第3話で紹介されたイチカのツーリング趣味が、神社の説明として早速反映されている辺りが印象に残る。
しかし怪獣災害で甚大な被害が出て、頭を抱えなければならないところを、温泉が復活した! とカメラ振り回して狂喜乱舞する町長の能天気加減には、見ているこっちが頭を抱えてしまった(笑)。堀内正美といえば『ウルトラマンネクサス』でのシリアスな役柄の印象が強すぎて、ギャップが……。個人的には正直言って勿体無い使われ方だった。
そしてせっかく温泉が復活したことだし、怪獣も倒されたのだから、視聴者サービスとしてイチカの入浴シーンを期待したものだが、このご時世、それは無理! という現実を思い知らされた(笑)。
第5話『湖の食いしん坊』
(脚本:継田 淳 /監督:辻本貴則)
湖畔の民家で停電が相次ぐとある湖に、いきなり宇宙怪獣エレキングが出現、沿岸の変電所から電気を吸い取って暴れた。GUTS-SELECTが攻撃に現れたが、変電所の職員を避難誘導していたイチカは、そこで不思議な少女・ユウコ(演:中村守里)と出会う。エレキングを庇う彼女は、ピット星人としての正体を現すが、折悪しく脳天に瓦礫が当たったイチカは、その場に気絶してしまう。
目が覚めるとユウコの住むアパートの中。基地に連絡しようとしたイチカを止めるユウコ。
彼女が語るには、地球に不時着して母星に助けを求めたものの、スフィアに邪魔され救援が来れなくなったという。エレキングは地球で生活する彼女にとって、「エリー」というペットが唯一の友達だった。本来なら乾電池レベルの電気で満腹する彼だったが、餌のやり過ぎか地球の環境に適応しすぎたのか成長が促進され、飼い切れなくなって湖に隠したのである。
エレキングのことを基地に報告しようとするイチカ。しかしGUTS-SELECTの隊員である以上、エレキングは殺すしかない。エレキングを殺さずに済ませるため、TPUの大容量バッテリーを秘密裏に調達しようとするイチカだったが、ソウマとカナタに見つかってしまう。ムラホシは彼女に失望しながらも、同じスフィアの被害者同士、エレキングの保護を決断した。その電気を食べるエレキングに、子供の頃に飼っていた犬を重ねるイチカ。しかしエネルギーの食い合わせが悪かったのか、エレキングは暴れ出してしまった。
彼を止めるためデッカーに変身するカナタ。ウルトラマンのエネルギーまで食ってしまうエレキングにたまりかね、怪獣ミクラスを召還したが、ミクラスは電撃で瞬殺された。苦戦するデッカーの前に現れたミラクルタイプのディメンションカード。
ミラクルタイプに変身したデッカーはエレキングを幼生体に戻した。事件が終わって怒るサワを前にして、ムラホシはイチカの純粋さを讃える。サワはエレキングを二度と巨大化させないため、動画を作って正しい飼い方をユウコにレクチャーするのだった。
……『ウルトラマンコスモス』(2001)を引き合いに出すまでもなく、怪獣を殺すばかりが円谷じゃない。『ミラーファイト』(1974)の第1話『怪獣は死ね!』が遠くに思える昨今ではある。
『ミラーファイト』とは、初代『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』の格闘シーンにプロレス風の実況をつけて挙句の果てには着ぐるみ同士の寸劇で誤魔化してしまったミニ番組『ウルトラファイト』(1970)を、同じ円谷プロの『ミラーマン』(1971)でやってしまった超マイナー作品。見ていて面白いことは面白いのだろうが、あのミラーマンを鏡 京太郎(変身前のナイーブな青年)だと思いたくない女性ファンは多かろう(笑)。
オリジナルはウルトラセブンのアイスラッガーで首と尻尾を切断されたものだが、その優美なフォルムのせいか、エレキングは女性と相性がいいようで、操るピット星人自体が美少女に変身するし、『ウルトラマンマックス』(2005)の第2話に再登場した時は、孤独なOLが飼っているという設定だった。
何より、オリジナルのピット星人も侵略者には違いなかったが、エレキングに都市破壊はさせてなかったし、自ら人間を殺すような真似もしなかったので、「殺すには忍びない」という感情を起こさせる奴ではあった。だから今回は善玉宇宙人として復活できたのだろう。
それはともかくとして、可哀想な動物を親に内緒で助けようとするのは子供共通の心情であり、一緒に見ている大人も、子供の頃にかつては経験している心情だろうから、『デッカー』はちゃんと立派にファミリー番組なのだなあ。イチカちゃんの好感度もアップしただろう。第一、放電ごときでモンスターを殺してしまったら、『ポケモン』のピカチュウも殺さなければならなくなり、テレビ東京の反発は必至だったろうし(笑)。
放電といえば、放電美少女・ラムちゃんをエレキングに見立てて、大人気漫画『うる星(せい)やつら』(高橋留美子・小学館・78~87年)とコラボさせた二次創作パロディーの大ヒット同人誌『うる星セブン』などというものも80年代後半にはあったなあ。今となっては年寄りの思い出話である。
とりあえずここが『ウルトラマンデッカー』の世界でよかった。ここが『シン・ウルトラマン』の世界だったら、今頃は怪獣ネロンガ同様、容赦なくスペシウム光線の餌食だよ! ……と思ったが、今回のエレキングは『帰ってきたウルトラマン』第18話に登場してウルトラマンのスペシウム光線も食ってしまう食欲の持ち主だった宇宙大怪獣ベムスター並の食欲を持っていたから、結構な強敵になっていたかもしれない!?
『特別総集編1 マルゥルの帰還』
(構成:足木淳一郎 /演出:村上裕介)
スフィアの襲来に晒され、宇宙への往来を封じられた地球。しかしそれに抗うものが現れた。光の巨人ウルトラマンデッカー、そして地球防衛チーム・GUTS-SELECTである。
ではそのGUTS-SELECTの装備の開発をしている、陰の立役者を知っているだろうか?
地球平和同盟TPU・その技術部特務3課の責任者ホッタ・マサミチ(演:田久保宗稔)。彼は前作『ウルトラマントリガー』の頃からこの部署で活躍していたエンジニアである。
予算も人員も削られる中、納期に追われる日々を送る彼。思わず机から崩してしまった書類の中に、メトロン星人マルゥル(演:丸田聡美 /声・M・A・O…『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011)でゴーカイイエロー=ルカを演じた市道真央氏の声優仕事をする際の名称)とのスリーショット写真を見つける。
彼らの開発したナースデッセイ号やガッツファルコンはまだ現役だが、無人機にしたはずがスフィアのせいで有人機に逆戻りという現実を嘆く。
そこへマルゥルが帰ってきた。特務3課に今日付けで配属になったのだ。『トリガー』終了後も地球に居続けていたようだったが、再会を喜んだホッタは今の仕事として、マルゥルにガッツホークとガッツグリフォンを紹介する。
嬉々として解説するホッタだが、マルゥルは設計者が別にいるだろ? と意地悪な質問をする。第3話で初登場したアサカゲ・ユウイチロウ博士の存在を白状するホッタ。10年前と今を比較し、話はようやくウルトラマンへと進む。ストロングタイプ(パワータイプ)はトリガーにもあったが、ミラクルタイプへの変身やディメンションカード怪獣の召喚はオリジナルだよなぁとマルゥル。ウルトラマンデッカーにはまだ謎がありそうだとマルゥルは言うが、どうやらウルトラマンは人間が変身するものだということについての機密事項までは、ホッタは知らなかったようである。
トリガーの最終決戦とその後の顛末も語られる。トリガーの偽者のような存在・イーヴィルトリガーが『トリガー』終了2年後に現れ、ウルトラマンゼットなども呼び寄せての総力戦が行われたのだ。
ホッタはマルゥルに開発中の新兵器の設計図を見せ、一緒に仕事に取り掛かろうとするが、経理担当のテルミ(名前だけの登場。さっきのスリーショット写真の3人目の若い女性だそうだ)が、この10年で冷徹に磨きがかかったと彼から聞かされ、マルゥルは戦々恐々となるのだった。
……総集編。夏休みだからこそ、リキ入れた超大作を、タイアップでいいから地方ロケで撮らねばならないと筆者は思うのだが、円谷プロとしては、一般企業もお盆休みになったので、今になって我が子と一緒に『デッカー』を見ようとした親御さんを、あわよくばファンにしてしまおうと考えた「新規開拓」になっているのかもしれない(この回の放送は首都圏で2022年8月13日)。
基本的には過去回のライブフィルムと、特務3課が出ずっぱりの中で繰り広げられるホッタとマルゥルの会話で構成されているのだが、ホッタがガッツファルコンとガッツホークの変形機能をミニチュアで実演したりするなど、玩具の売り込みも忘れていない辺り、ソツがない。
今回の発見は、メトロン星人の手に5本の指があることが明らかになったこと。たしかに紙巻きたばこに結晶体を混ぜたり、携帯電話に細工したりなどは、折った竹のようなあの手じゃできない。隠してたわけだ(笑)。
天才ではあるのだろうけど小生意気なマルゥルのキャラクターは、生意気盛りの中学生という感じの年齢設定からだろう。かつて『ウルトラマンマックス第24話 狙われない街』(脚本:小林雄次 /監督:実相寺昭雄)で、メトロン星人は「街じゅう猿だらけ」と、地球に愛想を尽かして去って行ったはずなのに(笑)。
第6話『地底怪獣現わる! 現わる!』
(脚本:中野貴雄 /監督:辻本貴則)
120年に一度しか咲かず、天変地異の前触れと恐れられたサザメダケの花が咲き、その翌朝、花が咲いたソラフネシティの空に、虹のような不気味な発光現象が発生した。そして地を割いて現れる地底怪獣パゴス。
パゴスの出現は今に始まったことではないが、今回のパゴスは地に潜りながら、1時間に2キロも動く敏捷さが謎だというGUTS-SELECTの分析。
ソウマとカナタが現場調査に赴くが、聞き込みで出会った老婦人(演:小貫加恵)は、地下3200メートルから採掘した超臨界メタルを精製し、エネルギー結晶を作る工場がこの街にできてからというもの、地震が絶えなくなり、その挙句に怪獣が出た、これは土地神さまのお怒りだと聞かない。
そこへまたパゴスが出現、立ち向かったソウマはパゴスの攻撃で負傷してしまう。
発光現象はパゴスの出現による地磁気の乱れで空気中のイオンがプラズマ化したものであり、生物学的にはオスのセックスアピールだという分析を立てたハネジローとイチカ。軽傷で帰還し、休養をとることになったソウマだったが、彼はその間も鍛錬を欠かさなかった。裕福な家に生まれ、何不自由なく育った過去が逆にコンプレックスになっており、成果を上げねば全ての努力は無駄、ましてや人を救う仕事にミスは許されないと気負っていることを吐露するソウマ。
パゴスはやはり地底の超臨界メタルを食料としており、縄張りと主食を人間に奪われたことで暴れ出したとGUTS-SELECTは結論を出した。そしてパゴスの今までの出現地点を分析した結果、環状に繋がっており、その中心に巣があるのではないか? と、ニュートリノ・スキャナーで空からの探査を決行するが、その最中にまたパゴスが出現した。
カナタはデッカーに変身するが、戦いのさなか、その足を地底から絡め捕る触手があった。何と相手は同じ地底怪獣のグドン。二匹目の強敵に地下空洞に引き込まれるデッカー。パゴスとグドンがデッカーを襲う。無謀にもその空洞にガッツファルコンで突入するソウマ。しかしそこで彼が見たのは、3匹目の地底怪獣テレスドンと、グドンの食料と思われる古代怪獣ツインテールの大群だった(字幕での別名は「地底怪獣」だったのだが、『ウルトラマンメビウス』(2006)で、元は海の生物だったと紹介されていたことを知っていたので古代怪獣として記した・笑)。
デッカーはディメンションカード怪獣アギラを召還してテレスドンを退治するが、多勢に無勢はどうにもならない。ソウマはニュートリノマーカー弾をパゴスに射ち込み、上空で待機していたナースデッセイ号のニューマキシマナースキャノンで地底怪獣を殲滅。残るグドンもミラクルタイプに変身したデッカーに退治された。
今回の作戦におけるソウマの活躍と天才ぶりを讃えるサワとムラホシ。しかしソウマは子供のころ怪獣災害に遭った経験……思いの核心をカナタに語り、慢心することなく今日も任務に精励する。
……映画『シン・ウルトラマン』(2022)にもカメオ出演したものの、顔の造形が変えられていた『ウルトラQ』(1966)の怪獣パゴスが、オリジナルそのまんまの造形で、やはりその登場話である第18話『虹の卵』そのまんまのシチュエーションを背負って登場。お父さん通り越して『おじいさん対策』ですか? と勘繰ってみたり(笑)。工場の開発で地底から怪獣が出るというのも、まさにオーソドックスな怪獣ドラマだし。地下3200メートルという大深度なら、この現代でも未知の世界だし(しかしグドンの触手がそこまで伸びるものなのか? という新たな謎が・笑)。
しかもその当時(1960年代)、マンガで流行っていた「忍者もの」の定番「双子……ひとりと思っていた敵が、実はもうひとり別のところに隠れていたネタ」(後年、かわぐちかいじの『沈黙の艦隊』(講談社)での、原子力潜水艦やまと対シーウルフ戦にも使われていた)で、敵の敏捷さに説明をつけ、さらにはその設定から2対1のハンディキャップマッチのサスペンスを引き出し、ダメ押しで3匹目の強力怪獣を出しバトルを盛り上げる(しかし公式体重12万トンのテレスドンを、わずか1万2千トンのアギラが倒すって、相撲で言ったら殊勲賞ものの大金星ではなかろうか?・笑)、そしてナースデッセイ号の変形、さらにはパゴスの「金の虹」や、その出現理由にも科学的設定を用意して解説させるなど、サービス精神旺盛な回であった。
そして豪勢な都市破壊とソウマのドラマ。昭和ウルトラのテンポで行ったら、これ絶対に前後編になるよねえ? 今の『ウルトラ』にはそんな余裕もないのか? ニューマキシマ・ナースキャノンで大穴が開いただろう街の復興も、これでドラマができるほどの大変さだと思うし。地下3200メートルの巨大空洞をどうやって塞ぐのか?
アイデアとして、殲滅を生き残ったウルトラ怪獣一の美味・ツインテールを飼育してその空洞を牧場にし、食肉産業に提供する! とは考えたけど、管理はともかく地下3200メートルでは輸送も大変だし第一、誰がどうやって捌くのかという疑問もある。他の怪獣に同じく超臨界メタルという得体のしれないものをエサにしているのであれば、肉自体の安全性を農林水産省は保証できるのか? という疑問も残るし…… そんなところが気になるあたり、やはり筆者には(以下略)。
第7話『希望の光、赤き星より』
(脚本:ハヤシナオキ /監督:坂本浩一)
地球同様、スフィアに封じられた火星。その荒廃しかけた植民都市で、花に水をやる少女をいたわる謎の青年。彼は幻影で見た前文明人・ユザレ(演:豊田ルナ)から謎の剣とカードを託されてしまうが、その直後、不吉なイメージを直感してしまう。
そこへスフィアの空襲。彼はウルトラマントリガー=マナカケンゴ(演:寺坂頼我)であり、変身してスフィアを撃退した。しかしそんな彼でもスフィアのバリアを突破できず、むしろ火星の民を笑顔にすることが大事だと、地球のことを諦めつつあった。
しかし、かつての仲間はスフィアの特性をカードに記録させることに成功。これを使って体表をスフィアに擬態できればバリアを突破できるかもしれない、だから地球に行けと勧める。
一方、地球では都会の地底に「スフィア」と「闇」の二つが融合した高エネルギー反応が地上に向かっているとGUTS-SELECTが検知していた。10年前の激闘を思い出し、その闇のエネルギーの存在に戦慄するムラホシ。
ガッツファルコンで現場に向かうカナタだが、空に歪みが発生したと基地に報告するや謎の触手に捕らわれてしまう。
カナタはデッカーに変身するが、地の底から湧き出る無数の触手に苦戦。そこを救ったのがウルトラマントリガーとして地球にやって来たケンゴだった。
基地にケンゴを招待するカナタ。ソウマはどうやってバリアを超えて地球に来たのか不審に思うが、何とかカナタがウヤムヤにする。
出自が違うとはいえ、同じウルトラマン同士、私室で語り合うカナタとケンゴ。ケンゴは「みんなを笑顔をする」ために戦ってきたが、前作『トリガー』に出てきた闇のウルトラウーマン・カルミラ(演:安川桃香 /声:上坂すみれ)のように救えなかった、笑顔に出来なかった存在もいた。だからカナタも焦らずに自分の使命としてのウルトラマン像を探れと勧める。
闇の竜巻が起き、その中心から邪神スフィアメガロゾーア(第二形態)が現れる。スフィアと融合したというより、一度トリガーとGUTS-SELECTに倒されながら、スフィアのエネルギーを利用して再生したというべきだろうと解釈するサワ。ナースデッセイ号も撃墜され、カナタとケンゴはそれぞれ変身するが、2対1でも相手は倒せない。デッカーはメガロゾーアの触手を引き受け、その隙にトリガーはその懐に潜り込んで、火星でユザレから託された新兵器・ウルトラデュアルソードでメガロゾーアに打撃を与えたはずだったが、その中にカルミラの姿を見たトリガーは、驚愕のあまりメガロゾーアを取り逃がしてしまう。
……第7話にして先輩ヒーローの登場。これは織り込み済みのストーリーである。ふつうは特撮ものにおいて第7話といえばその番組のカラーが最も現れる(初期設定が紹介され、スタッフもそれがこなれて来た頃の話で、かつまだ路線変更もされてないから)、どうしても1本だけしかその番組を見てはいけないというのであれば第7話を見ろとまで極論を言われる話だと言われているので、その解釈に則れば、「『デッカー』は『トリガー』の姉妹作です」と、番組自体が宣言しているようなものだ。
まあ、たしかにそれまでラスボスだと思っていたスフィアを、これ幸いと利用するしたたかさを持ったメガロゾーアは、番組世界をひっくり返すに相応しい強敵だった。さらにはトリガーとカルミラの因縁話までついてきては、番組としての『ウルトラマンデッカー』が前作に食われてしまったも同然であり、今後の展開としては、これを受けたデッカー=カナタがどのように成長して、主役として番組の主導権を取り戻していくかを描くしかないだろう。
何と言っても先輩ヒーローは現役ヒーローに超えられるべき存在には違いないのだから。そういうわけで次回がやたら気になるのだ。
……第2話の時点で気になってはいたのだが、スフィアが張ったバリアは、地球上空のどのくらいの高度で張られたのだろうか?
単に大気圏外に物理的障壁として張られたのであれば、有害な宇宙線や隕石から地球を守ってくれるので有益ともいえるし、太陽熱も遮断するだろうから、地球温暖化も落ち着きを見せるだろう。日照不足に悩む北欧諸国が大変なことになりそうな気もするが、この番組でその辺が描写されることはあるまい。
でなければ、衛星軌道外に張られたというのであれば、GPSや衛星放送が使えなくなるということもなく、「火星移民は火星移民で、何とか勝手にやってください!」と、地球ファーストを決め込むこともできてしまう。そう言い出す一派が現れ、主人公らと対立する、そんなドラマも期待してしまう。
逆に衛星軌道の下で張られたというのであれば、そのGPSや放送衛星、気象衛星、さらには軍事衛星も使えなくなるので、世界中が大混乱になっているはずだ。その辺の説明はスルーされたようで、人々の日常は戻ったと劇中では説明されていた。
第1話「襲来の日」
映画『ウルトラマントリガー エピソードZ』(2022)から7年後。怪獣の来襲は途切れており、人々はネオフロンティア時代に向かって宇宙進出を進めていた。煎餅屋のアスミカナタは、面倒見の良い明るい青年。火星へ旅行に出かけた両親に代わって店を切り盛りしていた。地球平和同盟・TPUは怪獣対策の規模が縮小されており、そのことを懸念するムラホシタイジ訓練校校長。宇宙港には訓練生のキリノイチカとリュウモンソウマらが手伝いで来ていた。そこへ煎餅の荷下ろしでカナタも来訪。
3人の若者が出会った直後、宇宙から謎の巨大球体・スフィアが出現、小型のスフィアソルジャーを大量に放出して地上への光線攻撃を開始する。ムラホシはリュウモン・イチカら訓練生を率いて戦う。カナタも攻撃で瓦礫の下敷きになった人を助け、次第に戦いへ巻き込まれていく。
そして、精強融合獣スフィアザウルスが出現。『トリガー』時代の防衛組織・旧GUTS-SELECTの空中母艦・ナースデッセイ号と戦闘機・GUTSファルコンが迎撃するが、無人での無線操縦が災いしてスフィアザウルスの衝撃波による電波障害で墜落する。
カナタはスフィアソルジャーに飲み込まれるが、そこでウルトラマンデッカーと会い、変身アイテム・ウルトラDフラッシャーとウルトラディメイションカードを手にする。心に呼びかけてくる声に従って操作。ウルトラマンデッカー・フラッシュタイプへ変身する。スフィアソルジャーを蹴散らし、スフィアザウルスへ立ち向かう。大怪獣に必殺技のセルジェント光線を浴びせて撃破した!
続けてデッカーは宇宙へ上がろうとしたが、スフィアは地球各所に出現しており、地球全体の上空をバリアーで覆っていた。デッカーは突破できずに墜落。人間の姿に戻ったカナタはムラホシに声をかけられ、TPU訓練校・怪獣対策科に入ることになった。
脚本は『ウルトラマンジード』(2017)中盤で初参加し、本作で遂に「シリーズ構成」に昇格した根元歳三。あまたのアニメ脚本も手がけている中堅作家だ。監督は武居正能で、『ウルトラマンオーブ』(2016)から参加している。前作『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』(2021)と同じ世界でその後の時代が舞台なのだが、観ていて特別に『トリガー』と同じ世界だとは感じさせない。
『ウルトラマンダイナ』(1997)#1は、前作『ウルトラマンティガ』(1996)の同じく7年後の世界だったが、劇中でもダイナのことをティガだと誤認されたりして直系の続きだと感じさせて高揚感を与えてくれた。『デッカー』#1では劇中キャラの誰もウルトラマントリガーの名前を出さない。火星への進出はさらに進んだようだが、むかし闇の巨人と戦った名残も全くない。『トリガー』最終回では、戦っているトリガーに子供たちが声援を送っていたが……。超エネルギー物体・エタニティコアやルルイエの花はどうなったのか? 『トリガー』にも登場したGUTS-SELECTも平和が続いているため、規模が縮小されて無人化されているという設定で、#1では颯爽と活躍することはない。
主人公のアスミカナタは、他人のことを優先する行動派の姿は好感が持てる。会ったばかりのヒロイン・イチカに、自分の店の煎餅をあげるのは、親切の押し売りっぽい気がするが、それがキャラ付けなのだろう。そして厳しくあたってくるリュウモン。カナタ・リュウモン・イチカの3人は、『ウルトラマントリガー』のケンゴ・アキト・ユナの3隊員のキャラシフトも彷彿とさせるが、差別化はできている。
#1からスフィアの大掛かりな攻撃を披露。奮闘するもなす術がない地球人。ナースデッセイ号も墜落してしまうさまも圧巻だ。
カナタは拾った銃で応戦して突進していたところで、スフィアソルジャーに飲み込まれてしまい、スフィアソルジャーの中で(!)デッカーの意志・精神体(?)と接触してウルトラマンデッカーに変身する。よりにもよって宿敵であるスフィアソルジャーの中でデッカーの意志に遭遇してしまうのが、いささか急展開で強引な気が。
変身アイテム・ウルトラDフラッシャーとウルトラディメイションカードは玩具を売らせようという思惑がはっきり見えていて、古い世代としては個人的には少々抵抗がある。
スフィアザウルスは、その太くて長い前足を強調したデザインはバランスの悪さを感じるも、力強い雰囲気は申し分ない。
怪獣を倒したあと、デッカーは宇宙へ。地球全体がスフィアのバリアーに覆われており、デッカーも突破できない。今までになく、本作の原典『ダイナ』にもなかった展開となったが、カナタがムラホシから入隊を薦められることも含めて、次回も見逃せない気持ちにはさせられる。
第2話「決意のカナタ」
スフィア襲来から1年後(!)。TPU訓練校に入ったカナタは、リュウモン・イチカらと訓練に明け暮れる日々。地球はスフィアのバリアーに覆われたまま。1年前のあの日以来、カナタはデッカーに変身できないでいた。
そんな時、ムラホシは新生GUTS-SELECT編成を進めていた。新隊員は訓練生の中から選抜されることに。そのための3人1組の行軍が行われ、カナタ・リュウモン・イチカで班が編成された。山道を行くが途中で地震に遭遇。カナタは足を挫いてしまい、他の2人から遅れてしまう。見かねたリュウモンは行軍を中止しようと言うが、これに対してカナタは行軍を続けようと対立。イチカの進言もあり続けることに。山中で再び地震が。破壊暴竜デスドラゴが目覚めたのだ。報を受けたムラホシは有人機に改良されたGUTSファルコンで出撃する。カナタたちは避難するよう命じられるが、逃げている人々を放っておけず、彼らの避難を助ける。迫ってくるデスドラゴを攻撃するファルコンは、眼下のカナタたちを見て助けようとして撃墜される。
その最中、カナタはウルトラDフラッシャーの接触を受けてデッカーに変身したが、足の負傷が響いてうまく戦えない。しかし新型戦闘機・GUTSホークが駆けつけてくる。
デッカーの中にいるカナタの許には新たなディメイションカードが現われる。カードからディメイションカード怪獣ミクラスが召還された。怪力でデスドラゴを抑えつけ、そこへセルジェント光線が突き刺さる。
ムラホシは命令を聞かず、人々の避難を手伝ったカナタたちを咎めるも「今できることをやろうって決めました」と言う言葉を聞き、「無茶はしないように」と続いて暗にGUTS-SELECT隊員に任命するのであった。
前話同様、脚本は根元歳三。監督は武居正能。前話の#1から引き続いた話だが、スフィア襲来から1年も経過したという。煎餅屋の青年がすぐ防衛チーム隊員になるのは、むかしのウルトラシリーズではよくあったが、今では無理があるので妥当な処置だろう。しかし1年もの間、スフィアは地球を覆ったまま何もしなかったのだろうか?
カナタ・リュウモン・イチカがGUTS-SELECT隊員になるが、イマひとつ説得力には欠けるかも。訓練校の成績がビリなカナタは行軍でも遅れていた。それが怪獣デスドラゴ出現で、自分たちの安全より人々の避難を優先して行動したことが評価されて選抜されたというのは、その行為をドラマとして道徳的に肯定したいことはわかるが、現実的には説得力が弱いような……。3人の他にも、行軍を行っていた訓練生はいる。彼らはどう行動したのか? そういった話もこれから出てくるのだろうか?
遅れるカナタの姿に行軍中止を言い出して残りふたりとぶつかるリュウモン。成績の悪いカナタにキツくあたっても、住民の避難を助けていることからも過度にイヤな奴ではなさそうだが。主人公・カナタは自分のことより他人のことを優先する感情的な熱血漢。リュウモン同様に背が高く細身でも体格はがっしりしている。2人の対立に割って入ったヒロイン・イチカ。リュウモンの気持ちを理解しつつ、カナタの立場も尊重し、自分の宇宙へ行きたいという気持ちも吐露して、3人の性格設定を固めていた。
それぞれの気持ちをぶつけ合う姿は、本稿執筆の2022年8月現在、放送中の陸上自衛隊を舞台に若者の群像劇を描いたテレビドラマ『テッパチ!』とも重なって見える。
ナースデッセイ号内で編成が進む新生GUTS-SELECT。女性の副隊長カイザキサワや、GUTSホークを操縦していた電脳友機と称されている人工知能・HANE2(エイチ・エー・エヌ・イー・ツー)、そして隊長でパイロット出身のムラホシ。ちなみに、現在のTPUの長は前作『トリガー』同様、シズマ財団のシズマだろうか? それとも……。ムラホシは知的で常に礼儀正しい姿が今までのウルトラシリーズに登場した防衛隊の隊長とは異なっている(歴代の防衛チームの隊長に駄目な奴はいなかったが)。彼はデッカーを、自分たちを守ってくれる存在としては、この段階ではまだ認めていないようだが。
今回の怪獣デスドラゴは前作『ウルトラマントリガー』に登場したデスドラゴと同種で、『トリガー』ではシズマが搭乗した戦闘機・ガッツウィングの攻撃で片方のツノが半分折れた状態の個体だったが、今度は左右両方に完全なツノがある。山中で目覚めて橋を壊して市街へ出てくる。ディメイションカードでミクラスも召還される。デスドラゴに対して優勢だったが、すぐにカードに戻ってしまった。時間制限があるのか? ミクラスはウルトラセブンが使役していた怪獣だが、デッカーはモチーフとしたウルトラマンダイナとは異なり、セブンと同じ光の国のウルトラマンなのだろうか?
第3話「出動! GUTS-SELECT」
カナタたちは、GUTS-SELECTの技術部・アサカゲ博士の協力で有人戦闘機となったGUTSファルコンのパイロットのシミュレーション訓練に従事するが、うまくこなせない。イチカ隊員から人見知りしない性格を指摘されたカナタは、HANE2にお茶とお煎餅を持っていき、コミュニケーションを取ろうとする。そこでHANE2が本来は宇宙用の無人艇で開発されたことや、リュウモン隊員がむかし怪獣災害にあったこと、GUTSファルコンとGUTSホークはいずれ合体することになると語る。若い隊員を選抜したことは、戦いのあとの遠い未来を見据えた処置だったともムラホシ隊長は言う。
古代怪獣ゴモラが市街地に出現。GUTS-SELECTが事態に対処するが、カナタがGUTSファルコンに搭乗し、HANE2が操縦するGUTSホークと空から、リュウモンとイチカは地上から攻撃する。GUTSホークとGUTSファルコンの空からの連携攻撃でゴモラのシッポを引き裂く。しかし出現したスフィアがゴモラに取り憑き、醜悪なスフィアゴモラへと変貌する。
カナタはホークのHANE2に口止めするとデッカーに変身した。スフィアゴモラは強さも凶暴さも増し、さらに避難中の病院が先にあり、デッカーは苦戦を強いられる。しかし強い力を求めるカナタの想いに応えるように、新たなディメンションカードが出現。その力でウルトラマンデッカーは赤いストロングタイプへタイプチェンジ。そのパワーはスフフィアゴモラを圧倒し、右手にパワーを集中してパンチする必殺技・トルネードブレイカーで空高く突き飛ばして粉砕した!
戦いが終わったあと、ムラホシやサワに初陣を労われる隊員たち。カナタは「HANE2」をその名前が味気ないからとローマ字読みと和名の合体で「ハネジロー」と命名、自分がウルトラマンデッカーであることを再び口止めするのであった。
脚本は根元歳三。監督は武居正能。#1~#3の基本設定編を、新生GUTS-SELECTの初陣までうまくまとめてくれていた。
アサカゲ博士を演じる小柳友、サワ副隊長を演じる宮澤佐江、ムラホシ隊長役の黄川田雅哉。3人ともウルトラシリーズ出演の過去がある。黄川田は実写版『美少女戦士セーラームーン』(2003)・『仮面ライダー THE FIRST』(2005)・『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(2019)と複数の東映特撮作品で好演している。
カナタがHANE2と話をして(煎餅はお店をひとりで切り盛りしている実家のお爺ちゃんからの差し入れ?)、それがきっかけで宇宙へ行く夢を持つイチカが同調したり、リュウモンの過去が語られたり、さらにカナタがデッカーの名前を口にしてしまい、「なんで?」とイチカに突っ込まれると「あ、あの、デッカくてカッコいいから」とごまかしたりといろいろ面白い。
ウルトラマンダイナも「ダイナミック」と「ダイナマイト」のみならず、その最終回では「大好きな~」も名前の由来だったとヒロインが明かしたし、前作『トリガー』の主人公・ケンゴも「鳥がー」とごまかしていたが(笑)。イチカにツッコミされたカナタの横にムラホシ隊長もいて、「デッカくてカッコいいからデッカー、それ良いですねー」と言って認めてあげるシーンもほしかった。
なんだかんだ厳しく言いながらもリュウモンはカナタに応じてあげているし、イチカも活発なヒロイン役で、若者らを優しく見守るサワ副隊長やムラホシ隊長も優しくてよい。先代のGUTS-SELECTとは違った雰囲気を確立している。
HANE2はなんとGUTSファルコン操縦中にカナタの正体がウルトラマンデッカーであることの秘密を知ってしまう! この回ではハネジローとも命名される。『ウルトラマンダイナ』#11に登場してレギュラーとなるミニ怪獣・ハネジローがモデルなのは、名前からもその姿からも明らかだ(よく見たら、ハネジローの顔って『ウルトラマンレオ』(1974)などに登場したマグマ星人の顔に似てないか?・笑)
怪獣ゴモラは初代『ウルトラマン』(1966)で初登場し、その前後編で圧倒的な暴れっぷりを見せてくれていた。その後のウルトラシリーズでも度々出演し、人間の味方になったり、ロボット化したりも。市街地で暴れてシッポを千切られると初代『ウルトラマン』オマージュも見せてくれた。しかしスフィアに憑りつかれて、鋭いツノが生える尻尾が刺々しく再生され、凶暴な姿のスフィアゴモラに変化する。それに対して、デッカーのストロングタイプは物凄いパワーを発揮し、光線技ではなく肉弾戦で打ち倒す! 圧倒される戦い方だ。
第4話「破壊獣覚醒」
GUTS-SELECTの訓練。カナタは突出してミスが続く。ハネジローに気合いで乗り切ると言うが、非科学的だと否定される。アサカゲ博士からは、スフィアに対抗するためのGUTSファルコンとGUTSホークの合体による強化案が説明される。同じ頃、温泉街のユノハナ町では温泉が出なくなり、阿賀大明神が降臨した伝説の阿賀神社に地底掘削ドリルを入れたが、青い巨大カプセルが姿を現す。急報に出動するGUTS-SELECT。カプセルは地球外の物体で1300年前に飛来したと判明する。カナタはGUTSファルコンで到着、ハネジローのGUTSホークもこれに続く。カプセルから現れた巨大怪獣・破壊獣モンスアーガー。メラニー遊星から通信販売で送り込まれたと音声が流れてくる。モンスアーガーを攻撃するが、怪獣の皮膚は厚くて破れない。
戦闘で墜落するファルコンからカナタはデッカーに。変身したことをゴマカすためハネジローがカナタの声を似せてしゃべる。デッカーはストロングタイプにタイプチェンジしてもモンスアーガーを倒せないが、頭部の皿状の部分に神経が集まっていて弱点と判明する。GUTSホークのエネルギーでも足りない。ハネジローが再浮上したGUTSファルコンとGUTSホークを操り雲海の上で空中合体を成功させ、GUTSグリフォンの登場! デッカーが猫だましをかけて、モンスアーガーの気をそらした直後に、かかと落としをかけ、GUTSグリフォンのグリフォンタロンビームが頭部に突き刺さって爆散した! 戦いの中でユノハナ町の温泉も蘇った。
脚本は中野貴雄。AV監督の顔も持ち、『ウルトラマンギンガS』(2014)から参加している。監督は辻本貴則。氏も特撮ファンで深夜特撮『ウルトラゾーン』(2011)以来、ウルトラシリーズに参加し、力の入った演出で撮っている。
見どころが多い。まずGUTS-SELECTの訓練。『ウルトラセブン』(1967)のシャプレー星人と初代『ウルトラマン』(1966)の怪獣ベムラーがホログラフィで出演。突出してしまったカナタはやられるが、寸前に本人の意志と関係なく、変身アイテム・ウルトラDフラッシャーが眼前に出現してしまう。これまでのウルトラシリーズと違って、ふだんは変身アイテムを携行しておらず、いざという時、自動的に姿を見せるとわかる。
モンスアーガーは『ウルトラマンダイナ』(1997)とも戦った怪獣だ。厚い皮膚に覆われた紅一色で単調な構造で、正統派宇宙怪獣といったところ。『ダイナ』では地球に接近したメラニー遊星の生物兵器で、遊星を訪れた異星人を攻撃していたが、本作では1300年前に地球にやってきたとされていた。同封されていたメッセージは以下の通り、
「全宇宙の皆さん、こんにちは! こちらはメラニー遊星です。皆さんは勝手に宇宙に進出してくる不愉快な文明に悩まされていませんか? そんな時にはこのモンスアーガーシリーズ。きれいさっぱり邪魔な文明を根絶してくれます。これは皆さまに性能をご覧いただくためのデモプレイです。数に限りがありますので、ご注文はお早めに」
TVでよく見かける通信販売のメッセージではないか。似たアイデアのシーンは何かの特撮作品でもあったような。
今回の鍵はハネジローである。カナタの気合いで乗り切るという精神主義を否定したが、GUTSファルコンとGUTSホークの合体はテストもなくイチかバチかの実戦だった(笑)。こういった話のお約束パターンだ。ふだんは丁寧な話し方だが、カナタと砕けた会話をする時はその落差が大きい。黄色いGUTSファルコンと赤いGUTSホークの合体で誕生するGUTSグリフォンはカッコよい。『電人ザボーガー』(1974)最終第4クールに登場するストロングザボーガーの合体シーンや、5体合体の『超電磁ロボ コン・バトラーV』(1976)の合体シーンのイメージが入っている。
第5話「湖の食いしん坊」
突然、湖から現われた宇宙怪獣エレキング。発電所へ向かってくる。迎え撃つGUTS-SELECT。イチカ隊員は少女ユウコと出会う。少女は変身怪人ピット星人であったが、悪意はなかった。イチカがユウコのアパートで目覚めた時、事情を説明する。ユウコはエレキングの幼体・エリーをペットにして宇宙を旅していたが、宇宙船が故障して地球に不時着したあと、スフィアが張ったバリアによって地球から出られなくなる。ユウコは地球人の姿で生活していたが、エリーはエサの乾電池をやりすぎたせいか地球の環境のせいか、異様に巨大化してアパートでは飼えなくなり、湖に放し飼いに。その後もエリーは電気を吸い続け、巨大化が止まらなかった。事情を聞いたイチカは彼女を助けることに。
しかしGUTS-SELECT基地に戻ってから対災害用バッテリー・MEGA-EARTH(メガ・アース)を独断で持ち出そうとしたのを、カナタやリュウモン隊員に見つかってしまい、ムラホシ隊長にも知られることに。隊長は叱責するも、GUTS-SELECTはエリーを助けることにする。
夜間の湖にMEGA-EARTHがセットされる。だがその電流はエリーことエレキングを凶暴化させる。カナタはデッカーに変身。ミクラスも出現して対するが、エリーの電撃を浴びて敗退・消滅する。デッカーは一時、エリーを手なずけたと思ったのも束の間、襲いかかられる。そこで新たな形態である青いミラクルタイプにタイプチェンジした! その超能力でエリーは元の小さい姿に戻った。
その後、生物学の権威であるサワからユウコにエレキングの正しい飼い方を伝える動画が送られ、アパートで元の生活に戻ったユウコはイチカやエリーと見入っていた。
脚本は継田淳。監督は辻本貴則。印象深いカットが眼につく。『ウルトラセブン』などに登場したエレキング。#3のゴモラとともに人気怪獣で、飼い主のピット星人とともにウルトラシリーズに幾度も登場している。手乗りサイズのマスコット・キャラとして登場したことも。今回は巨大怪獣としての暴れっぷりを見せたが、同時にユウコに従っていろいろなポーズを取るなど愛嬌も見せてくれた。エレキングを殺さなかった結末にホッとした人も多かっただろう。デッカーに懐いたと見せかけ攻撃するような小ズルさも見せたが。あちこちに『ウルトラセブン』#3を意識したシーンもあった。
前話は通信販売で怪獣を送り込んだ宇宙人で、続けて宇宙人が連れてきた怪獣の話だが、今回のピット星人に悪意はない(もっとも原典のピット星人は、『セブン』#3で「地球人の男は美少女に弱いことが判明した」と言い、以後も悪い宇宙人として登場しているが)。GUTS-SELECTもエレキングを殺さないよう頑張っている。過去の防衛チームもむやみに怪獣を殺さず、時折り保護にも努めたが。しかし今回はミラクルタイプが現われなかったら、どうしようもなかっただろう(笑)。
話の中心はヒロイン・イチカだ。前話ではツーリングが趣味でユノハナを訪れたことがあると言った。むかし犬を飼ったことがあり、エリーを可愛がっているユウコの気持ちを理解した。ハネジローにMEGA-EARTHのことを聞き出して口止めした。その後、ハネジローはカナタから変身することを口止めされていることと併せて「隊員たちは秘密が多い」と独り言をするのはその通りで笑う。
イチカの独断行動は許されるものではないが、GUTS-SELECTはエレキング保護に向けて動き出した。ムラホシがいつもの丁寧な口調で、勝手な行動を咎めつつ、彼女が思うような頭の固い組織ではないと言うのは彼らしい。
誤ってMEGA-EARTHがエリーを暴走させてしまう。その後、サワ副隊長が赤ぶちメガネの教師姿でエレキングの正しい飼い方を伝えるが、怪獣のことを詳しく知っているなぁ。
冒頭でエレキング襲来で気絶したイチカをユウコはひとりだけでよく自身の下宿まで運んできたな。ユウコを演じた中村守里(なかむら・しゅり)は、NHKの特撮変身ヒーロー『超速パラヒーロー ガンディーン』(2021)でも清名理央を演じていた(『ガンディーン』も続編を希望!)
特別総集編1「マルゥルの帰還」
これまでのウルトラシリーズでも、前回までの映像を繋ぎ合わせて「総集編」は作られてきたが、今回はちょっと違う。
TPU技術部・特務3課課長のホッタマサミチは、多忙な日々を送っていたが、そこへかつていっしょに仕事をしたメトロン星人マルゥルが戻ってきた。GUTS-SELECTのメンバーで前作『トリガー』にもレギュラー出演していたマルゥルの口からマナカケンゴがウルトラマントリガーだと明かされる。映画『ウルトラマントリガー エピソードZ』の映像も交えて、ケンゴが超エネルギー・エタニティコアを制御して帰還し仲間たちから迎えられたことや、その時に起きた戦いについて語られた。『ウルトラマントリガー エピソードZ』をまだ観ていない人にも嬉しい趣向だ。
これからもマルゥルとホッタは、作品世界のウラ側でGUTS-SELECTの新兵器開発に頑張るのだそうだ……。
第6話「地底怪獣現わる! 現わる!」
ソラフネシティの市民公園でササメダケの花が120年ぶりに咲いて不吉な予感が。空に虹が出現した直後、地底怪獣パゴスが姿を見せた。カナタとリュウモン隊員は調査に。地下の鉱物を採掘する工場が建てられ、それが原因で暴れているらしいと推測する。直後にパゴスが姿を見せる。
出現してからの移動距離が大きいことに疑問を持ったサワ副隊長。リュウモンは工場を破壊するパゴスに立ち向かって負傷。傷は大したことはなく、復帰したリュウモンはトレーニングを続けながら、カナタに人を救う自らの任務を完璧にやり遂げなくてはいけないと告げる。パゴスの出現地点から地底の生息地点も分析した。ムラホシ隊長はカナタとイチカに周辺住民の避難を、リュウモンにGUTSファルコンでの出撃を命じた。
住民避難が進んだところで、ファルコンも地底のパゴスを発見した。カナタはデッカーに変身して戦うが、地面から突き出したムチが足に絡みつく。新たな地底怪獣グドンだ! パゴスとともにデッカーを地底に引きずり込む。追うファルコン。やがて地下に開けた大空洞があり、続いて地底怪獣テレスドン、地底怪獣ツインテールの群れも姿を見せる。光線や火炎攻撃をデッカーに。空洞空間で巧みに飛行してデッカーを援護するファルコン。ディメンションカードで怪獣アギラを出現させ、アギラはツノにエネルギーを集中した体当たりでテレスドンを葬った!
さらにファルコンから撃ち出されたマーカー頼りにムラホシ・サワの搭乗するナースデッセイ号からのネオマキシマ・ナースキャノンがパゴスやツインテールを粉砕! グドンもミラクルタイプの超能力で倒された。
戦いが終わったあと、リュウモンは自分も実はむかし、TPU隊員に助けられたことがあると告げた。
#4同様、脚本は中野貴雄。監督は辻本貴則。セットを用いた特撮カットが目立つ。迫るパゴスに逃げ出す人々を建物の室内から描き、次に建物の外からパゴスが突っ込んで建物を壊す様子を撮った。
パゴスは『ウルトラQ』(1966)に登場し、『ウルトラマンタイガ』(2019)以降のウルトラシリーズにも毎回出演。今回も「ササメ竹の開花」や「空に虹」など『ウルトラQ』#18に通じるシーンもある。『ウルトラマントリガー エピソードZ』にも登場したばかりで、そのことにも言及されていた。
前回のイチカに続いてリュウモンが主役の話。ぶっきらぼうな言い方をし、#1~2ではカナタと衝突したが、自らの任務に完璧を期している責任感が強い人物として描かれた。いつもカナタとは会話で毒づいているが、ちゃんと応じているし、カナタが人に隠れて努力していることも知っていたことが語られることで、根拠のない空元気のように見える主人公・カナタのキャラも立てている。最後にカナタにニヤリと笑ってみせる。むかし彼を助けたTPU隊員とは誰で、今後に判明して登場するのだろうか?
パゴスがメインと思ったが、後半では、『ウルトラマン』(1966)のテレスドン、『ウルトラセブン』(1967)のアギラ、『帰ってきたウルトラマン』(1971)のグドン&ツインテールと次々に怪獣が出てきた。予想外の出演だ。ウルトラ怪獣ファンは狂喜しただろう。観たところ造形もオリジナル通りで、ツインテールの群れもマニア向けの出来のよいリアルな高額ソフビ人形をデジタル合成で膨大な数に見せている。
ストーリーの進み方だけでいえば、パゴスとグドンだけでも済んだのだろうが、他の怪獣が登場することでイベント的には盛り上がる。グドンはいつの間に光線を撃てるようになったのか? アギラもツノにエネルギーを集中させて突進し、テレスドンを倒すなんて強くなったなぁ。
ちなみにパゴスは『ウルトラセブン』の初期企画ではカプセル怪獣で使用される予定だったことが70年代末期に発行されたマニア向け書籍『別冊てれびくん② ウルトラセブン』(78年)で明かされて以来、そのことが知られている。グドンはツインテールと捕食関係にあり両方ともにムチを持つ。『帰ってきたウルトラマン』#5でも同時に登場したが、設定を聞かされておらずデザインした池谷仙克(いけや・のりよし)は困惑したとか。
地底の空洞空間での戦いは、注意して見ると幾つか「?」が(科学考証などに詳しいわけではないが)。デッカーがパゴスとグドンに地下に引きずり込まれたあと、その穴にファルコンも垂直に急降下していって地底空洞に入るが、そんなにうまく操縦できるのか?(笑) マーカー頼りにネオマキシマ・ナースキャノンを撃ち込むが、エネルギーの束が穴から一直線にパゴスに命中するのも都合が良すぎる気が。
#3ではゴモラに憑りついたスフィアは、#4からずっと登場していない。
第7話「希望の光、赤き星より」
スフィアが地球全体に張ったバリアにより地球と連絡が取れないままの火星。人々を励まして戦っている前作『トリガー』の主人公・マナカケンゴ。共に戦うタツミ元隊長ら旧・GUTS-SELECTの元隊員たち。そんなケンゴの前に姿を見せた超古代文明の巫女の亡霊・ユザレは地球を守ってくれと訴え、新アイテム・ウルトラデュアルソードや新カードを託す。スフィアとの戦い後、アキトがカードからスフィアの特性を分析し、スフィアに擬態しバリアを突破して地球に潜入することができるようになる。
ケンゴはウルトラマントリガーに変身して地球に。一方、地球では地下からの異様な気配を検知していた。ファルコンで調査に向かうカナタを、地面から複数の植物の蔓が襲う。ウルトラマンデッカーに変身したが、蔓に捕まってしまう。そこへスフィアのバリアを突破したウルトラマントリガーが蔓を掃討する。人間の姿に戻って対面するケンゴとカナタ。互いに笑い合う。
ケンゴは空中母艦・ナースデッセイ号の艦橋でムラホシら現・GUTS-SELECTメンバーと言葉を交わす。ケンゴはどうやって火星から地球に来られたのか、カナタのフォローもあってゴマカす。その後、カナタとふたりだけで語り合う。人それぞれにできることは違う。自分に何ができるのか、何をしたいのか、いつか自分自身で答えを出す時がきっと来ると言う。
直後に前作『トリガー』のラスボス怪獣・邪神メガロゾーアがスフィアを取り込んで復活、都市を襲う。地面に不時着してしまうナースデッセイ号。意を決したケンゴとカナタはトリガーとデッカーに変身する。
メガロゾーアの触手をかわしながら、ウルトラマントリガー・パワータイプとウルトラマンデッカー・ストロングタイプに変身して攻撃! さらにトリガーはウルトラデュアルソードで斬りつける。だがメガロゾーアの奥に死んだはずの悪の女ウルトラマン・カルミラの影を感じてひるんでしまい、トドメが刺せなかった。
脚本はハヤシナオキ。監督は坂本浩一。前作『ウルトラマントリガー』のメインスタッフで、同作の序盤と結末も手掛けた。今回のトリガー客演編に相応しい人選だ。実際、ヒーロー共闘のイベントを見事に「こういうのを見たかったんだ!」とアクション付きで撮ってくれていた。
『デッカー』の世界は『トリガー』の世界と同じでその未来の時代なのだ。火星で頑張るケンゴの姿に加え、アキト隊員やタツミ隊長の姿も。サクマやヒマリ隊員も火星にいた。「ウザい」や「スマイル、スマイル」と前作でもよく出ていた定番台詞も飛び出し、アキトからユナを案じる言葉も。敵は前作最後の強敵・メガロゾーアが、本作の主敵・スフィアを取り込んで復活。相手にとって不足はない。
我々視聴者には1年、劇中では10年の時が流れている。1年前の『トリガー』#7~8の前後編にはケンゴと『トリガー』の前作『ウルトラマンZ』(2020)の主人公・ハルキとゼットとの共演があり、さらにその1年前の『ウルトラマンZ』#6~7の前後編ではハルキ&ゼットと『ウルトラマンジード』(2017)の主人公リク=ジードとの共演編があった。『Z』以降のここ3年のウルトラシリーズの序盤は、先輩ウルトラ戦士の共演が恒例イベントとなっている。
先輩たち同様、仲良くなるケンゴとカナタ。ケンゴが述べたことは先の戦いで学んだことのアドバイスだ。他にもケンゴの回想で『トリガー』最終回ラストでの消滅するカルミラのシーンが流れたり、カナタからデッカーとの出会いを聞いいたケンゴはウルトラマンリブットからダンスを学んだ(!)ことを語ってカナタと踊るなど(笑)、『トリガー』を思い出させるシーンがあちこちに。邪神メガロゾーアとの戦いでも、バックで『トリガー』の主題歌「Trigger」が流れればもっと盛り上がったと思うのだが……。
冒頭に登場した巫女ユザレは、前作『トリガー』での衣装とはちょっと違う。トリガーとデッカーは出自が違うウルトラマンで、カナタもトリガーがケンゴ本人(前世での姿・トリガーダークに芽生えた良心の輪廻転生)だとはまだ知らない。そういえばケンゴの育ての母・レイナは再登場しなかったが、今どうしているのだろう? 火星へ町内会での旅行中だったカナタの両親の安否については言及されていた。
ケンゴが火星から地球へ来たことが、ムラホシ隊長らからどうやって来たのか問われて曖昧にはぐらかされている。この手の番組ではいつものことだが、カナタがファルコンで発進してから蔓に落とされたものの、どうやって無事に帰還したのか説明されていなかったし、メガロゾーアの攻撃でナースデッセイ号が不時着したあと、ケンゴとカナタは変身して出撃していったが、戻ってからその不在をどう説明したのか? 都市の光景には新宿都庁ビルも見える。ウルトラデュアルソードは、バンダイの意向がミエミエの玩具っぽいデザインだ。
共闘は次回も続く。『デッカー』はますます面白くなる。
第8話「光と闇、ふたたび」
邪神メガロゾーアを逃がしてしまったケンゴを咎めるカナタ。地上では人々が急に倒れ出すという事態に。駆けつけたカナタ・イチカ・リュウモン・ケンゴ。そこで前作『トリガー』でケンゴが鉢植えで育てていたルルイエそっくりの花を見かけて、直後にカナタは花の香りを吸って気を失う。夢の中で煎餅を売るカナタだが、この行為が今やりたいことではないと目覚めた。
ケンゴはかつて育てたルルイエのせいだと言うが、GUTS-SELECT作戦室に入場してきた前作『トリガー』のヒロイン・ユナは、あの花はルルイエとは違う、以前にカルミラがエタニティコアと接触した時に取り付いたギジェランという植物であると指摘した。
ユナは父であるシズマ財団のシズマ総帥の秘書としての仕事から笑みを顔に出さずに報告したあとで、ケンゴとの再会を喜び合う。除草剤が準備され、ギジェラン攻撃が準備される。ケンゴとユナもむかしの隊員服で作戦遂行に参加することに。
夜間の戦い。巨大化した植物ギジェランが除草剤で弱ったところへナースデッセイ号が迫るが、メガロゾーアが立ち塞がる。ケンゴとカナタはウルトラマンに変身して立ち向かう。戦闘中に再びカルミラの気配も感じた。カルミラを今度こそ救おうとするトリガー。デッカーもミラクルタイプで、リュウモンやイチカも攻撃。ユナも自らの力を振り絞って超古代の前世での姿である巫女ユザレに変身する。
皆の力でカルミラはメガロゾーアの中から引きずり出された! カルミラも「情熱的にいくよ!」と宣言して対メガロゾーア戦に参戦。トリガー・デッカー・カルミラ3人の攻撃がデモンゾーアに突き刺さる。
戦いのあと、まだ自分が戦う意味がわからないカナタにケンゴは笑顔で応じ、ウルトラデュアルソードを預けるのであった。ケンゴはユナに見送られ、カルミラと宇宙へ飛び立った。
前話同様、脚本はハヤシナオキ。監督は坂本浩一。ユナやカルミラも再登場し、デッカーとトリガーの再共演、新旧GUTS-SELECT共同作戦の構成展開は、多くの特撮作品でもヒーロー共闘を撮ってきた坂本が適任だったと思う。『ウルトラマンX』(2015)#12~14の3部作や『ウルトラマンZ』#6~7同様の出色の出来だった。カルミラとよりを戻したトリガー……。
本話では、『ウルトラマントリガー』のBGMも効果的に使っており、メガロゾーアとの戦いの前半では『デッカー』の主題歌「Wake up Decker!」を、続いて『トリガー』の主題歌「Trigger」が流れて、ドラマ的にも盛り上がる。前回の戦いで「Trigger」が流れなかったのは、今回のために取っておいたのだろう。
ケンゴから問われ、ギジェランの花粉を受けたカナタが、何のために戦うのか悩み、まだ確固たる答えを出せていないあたりも、安直ではなくリアルな感じで良い感じだ。しかし、それはわからなくても、いま自分がやりたいことはこれだと進む。主人公の成長話としても良い。
ケンゴは前作『トリガー』最終回でカルミラを救えなかったことを気にかけており、今回は光落ちとして救うことができた。しかしやや釈然としない。カルミラは超古代文明の時代から悪行を続けてきたし、メガロゾーア誕生もカルミラによるものだ。カルミラから悪行を悔いる台詞がほしかった。最後にカルミラの同胞でもある前作の悪のレギュラーであった闇の巨人・ヒュドラムとダーゴン復活の兆しさえも。それで良いのか?(笑)
カルミラの声を演じた中堅アイドル声優・上坂すみれは、『トリガー』最終回のすぐあと、またカルミラが出ると聞かされていたそうだ。余談だが、今年2022年のウクライナの戦争で、慶応大学を首席で卒業したとのウワサまで出たほどの才媛・上坂が大好きで学術的にも造詣が深かったロシアが悪者になってしまった。可哀想に。
ギジェランは枯れていたが、ナースデッセイ号にトドメを刺されなかったみたいで。ナースデッセイ号は前話でメガロゾーアに不時着させられていたが、すぐに直ったのか? ルルイエも10年以上も咲きっぱなしなのか? #7に登場した服装が異なるユザレは『トリガー』に登場していたユザレとは別人なのか? ケンゴはマルゥルにも再会したのか?(そういえば、ホッタマサミチ役の田久保宗稔は、『デッカー』と並行して放映中の朝のNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』(2022)に主人公の兄をダマす詐欺師役で出演している。『ちむどんどん』には特撮出演者のキャストが多いのだ)
カナタの夢の中で煎餅を買う客たち。よく見ると、ハネジローはじめGUTS-SELECT隊員たち。皆ノリノリの演技だ。
第9話「誰がための勇姿」
街をパトロール中のカナタは少女ミカの接触を受ける。ミカはカナタの正体がウルトラマンデッカーだと知っており、自分の父である宇宙格闘家グレゴール人・グレースと勝負してほしいと言う。ミカとグレースはむかし前作のヒーロー・ウルトラマントリガーと勝負したさに来訪したが、スフィアの来襲でバリアを張られて宇宙に帰れず、地球に残留したままであった。カナタはグレースとも会ったが、彼は礼儀正しく卑怯なことを嫌う性格だった。
その後、カナタはナースデッセイ号に戻り、GUTSグリフォンの武装強化についての説明をアサカゲ博士から聞く。市街にどくろ怪獣レッドキングが出現。カナタらは出動する。そこにグレースが巨大化変身してレッドキングに戦いを挑んだ。善戦するが、彼の体の不調から不利に。カナタが繰り出したディメンション怪獣ウインダムやGUTS-SELECTの攻撃でレッドキングは退散する。
GUTS-SELECTと対面するグレース父子。ムラホシ隊長はグレースとの試合を快諾する。特訓に興じる両者。ムラホシは貧しい生活を過ごすグレース父子のためお手製の食事を作ってあげる。
郊外でのグレースとGUTS-SELECTとの特訓としての戦い。そこにスフィアに憑りつかれたどくろ合成獣スフィアレッドキングが出現! カナタはデッカーに変身してスフィアレッドキングに立ち向かうが、ムラホシにはグレースとの試合を続けるように手振りで伝える。だがスフィアレッドキングに苦戦するデッカーを見て、グレースはGUTS-SELECTに勝ちを譲って、スフィアレッドキングを羽交い絞めにして「自分ごと撃て!」と叫ぶ。
GUTSグリフォンの新兵器・ハイパーソーンレーザーが発射される。爆発直前、ディメンション怪獣であるウインダム・ミクラス・アギラが召喚されてグレースはスフィアレッドキングから引き離された。グレースはムラホシの計らいでTPU医療施設に入院できることになった。
脚本は皐月彩。小説家やマンガ原作者の顔も持つ、まだ20代の才媛だ。監督は#8~9のトリガー共演前後編に続いて坂本浩一。
宇宙格闘家が侵略の意図はなく勝負してほしいとウルトラマンに挑む異色の話。グレゴール人は同族の別個体が、『ウルトラマンダイナ』#31にも登場していた。ストーリーもそれを意識したところがあちこちにある。その時は『デッカー』#4にも登場した、『ダイナ』#11に登場した怪獣モンスアーガーの2代目を連れていて、ダイナとの勝負前座で倒してみせていた。本話で再び、周囲に剣が突き立ったようなプロレスのリングを押し立てる演出を見せ、変身直後に放った「滅亡へのスリーカウントを始めろ!」という台詞はリアルというより劇画チックだがカッコよい。
前半のレッドキングとの戦いでも健闘し、街の人たちから讃えられている。そしてレッドキング。『ウルトラマン』(1966)での初登場以来、度々ウルトラシリーズに登場している人気怪獣だ。後半でスフィアに憑りつかれスフィアレッドキングと化したが、スフィアゴモラ同様に両肩や全身から水晶状の鋭いツノが突き出し、顔が凶暴でカラーリングはその名の通り本当に赤くなった。
グレースと娘のミカ。グレースは格闘家としてのプライドは持つが、卑怯なことを好まず礼儀正しい好人物。ミカはカナタがデッカーと知ってそれをエサに試合を強要しようとするも、本当に父親が大好きでその身を案じている良い娘。グレース役の中村浩二はウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ・ウルトラマンガイアの主に赤いパワータイプや強化タイプなどのスーツアクターも担当していたアクション俳優だ。
スフィアにより母星へ帰還できず、貧しいが必死に生きている悪人ではないグレースとミカ。#5のピット星人もそうだったが、『ウルトラマンタイガ』に登場した地球の庶民にまぎれて生活している宇宙人たちのように、『デッカー』では他にも同じような境遇の宇宙人が登場しても設定的に問題ないと思う(『ダイナ』繋がりでコミカルなミジー星人やチャダビン星人などの再登場を希望・笑)。スフィアを新型コロナウイルスや戦災、宇宙人をコロナに苦しむ人々や戦災難民に置き換えてみれば現在の世相にも通じている。
グレース親子に親切に接するムラホシ。料理が好きで、隊員たちにも料理を作っていると言う。エプロン姿も披露。サワ副隊長も交えてGUTS-SELECT全員でトレーニングするが、グレースに対して銃撃や戦闘機で攻撃することが特訓や勝負になるとは何か違うような(笑)。この試合の意図は冒頭でのカナタのように緩みがちなチームに喝を入れるためだったと解釈したい。
グレースがスフィアレッドキングを羽交い絞めにし、「自分ごと撃て!」と言った時、デッカーがウルトラデュアルソードでウインダム・ミクラス・アギラの3体をいっぺんに呼び出して引きはがしたことに嬉しさを感じた人は多かったことだろう。もちろんデッカーがストロングタイプの力でそのまま引きはがした方が早かっただろうけど、それが作品のサービス精神というものである(笑)。
なお、本話ではデッカーではなく、GUTSグリフォンが怪獣に対してトドメを刺すことで、防衛隊の有用性や存在意義を示すこともできていた。
第10話「人と怪獣」
怪獣キングゲスラを倒して地下へ消えていく謎の怪獣が。サワ副隊長はその正体を探り、徹底した捜索を進めるも有力な手掛かりが見つからない。TPUでは新兵器・DG001(ディージー・ゼロゼロワン)の配備が間近であった。悩むサワを気遣う隊員たち。サワはむかし怪獣災害にあって、怪獣と人間との共存について考えるようになったことが「怪獣学」を学ぶきっかけになったと話す。続いてリュウモン隊員が怪獣の挙動からその怪獣が操られている可能性を指摘。サワは恩師・シゲナカマキのことを思い出す。
女博士でもあるシゲナカはかつて怪獣学の権威であったが、5年前に怪獣たちの遺伝子から新怪獣を作ってしまったことから、サワの反発を招いてTPUを去っていた。カナタとサワは山中の施設へ赴き、待っていたシゲナカと対面する。
怪獣を操る力を手に入れたと語るシゲナガは、新創獣ネオメガスを目覚めさせる。崩れる瓦礫の中で、カナタはデッカーへと変身、手のひらにサワを乗せて救いだす。ネオメガスと戦うデッカー。サワは駆けつけたイチカとリュウモン隊員の援護でシゲナガを拘束し、ネオメガスを操っていたペンダントを破壊する。
しかしネオメガスは凶暴化! ウルトラデュアルソードやセルジェンド光線を寄せ付けず、口からの光線連打で圧倒する。正面からの光線撃ち合いでデッカーは負けたと思いきや間一髪、駆けつけたGUTSホークに救出される。空中でデッカーはストロングタイプに変身し、ネオメガスに必殺技・トルネードブレイカーを食らわし爆砕する。
連行されるシゲナガにサワは、
「私は(怪獣との)共存なんて大それたことは考えていません。自分にそんなことが成し遂げられるとも……。ただ……出来ることをしたいだけです! 無駄な争いを避け、ひとつでも多くの命を守れる道を探したい! 人の命も、怪獣の命も! それだけです」
と主張する。
脚本はストーリー構成(メインライター)を担当し、#1~#3も執筆した根元歳三。監督は越知靖。『ウルトラマンマックス』(2005)から助監督、『ウルトラマンタイガ』(2019)で監督デビューした御仁だ。
これまでもウルトラシリーズで問いかけられてきた人間と怪獣の共存を扱った。このテーマを作品全体のテーマとしていた『ウルトラマンコスモス』(2001)を思い起こす。『ウルトラマンダイナ』(1997)#16「激闘! 怪獣島」をベースにしていて、同話でもネオメガスならぬハイパークローン怪獣ネオザルスが登場している。本話のTV-CMにウルトラ怪獣を育成するゲーム『ウルトラ怪獣モンスターファーム』が流れるのは皮肉だが。
怪獣災害に対抗し、ウルトラマンに替わる強い力を持とうとネオメガスを作ったシゲナガ。我々の周りでも、熊や猿、鹿や猪の獣害が年々激しくなり、問題になっているのを思い起こす。しかし怪獣が一方的に操られるはずがない。
ウルトラシリーズでもこれまで怪獣を作るマッドサイエンティストは登場したが、シゲナガのような女性博士は珍しい(『仮面ライダー』(1971)ではコブラ男を改造した綾小路律子がいるが)。スポンサーとなった国家や企業があるとされ、冒頭の怪獣出現はデモンストレーションだったと言う。シゲナガは自分が作ったネオメガスへ愛情を感じていない。
対するサワのセリフは、『ウルトラマンコスモス』並みの非現実的で楽観的・牧歌的な「怪獣と人間との共生」とは一線を画しているあたりが、現実的で好感が持てる。しかし#5でもエレキングの飼育に賛成したように、彼女は怪獣を根絶してしまうような対処には懐疑的だろう。
本話のラストではサワが「怪獣に対する正しい手段を見出せないが、それでも被害や不幸を最小限にするための努力を続けていく!」とシゲナガに宣言するシーンと、サワを演じる元アイドルでAKB48出身の宮澤佐江の涙目だが腰の据わった熱演も実に決まっている。コミカルなマッドサイエンティストとして描かれていた『ウルトラマンZ』のアイドル系サブヒロイン・オオタユカ隊員の態度とも比べてしまった(笑)。しかし、サワにはオドけた態度のムラホシや根を詰めている姿を案じてくれる隊員たちという仲間がおり、シゲナガと違って決して孤独ではない。
ネオメガスは巨大な背ビレが特徴だ。黒と赤のカラーリングで、鋭い棘や白目は見るからに凶暴で、実際にも強い。冒頭でネオメガスに倒されたのは海獣キングゲスラ。映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(2008)以来、度々再登場している怪獣だ。
デッカーが出現した際、助けられた手のひらの上にサワがいて、遠方に対峙しているネオメガスの手のひらの上にもシゲナガの姿が……。カメラが別撮りの怪獣と人間の被写体を回り込むように移動していくが、両者の合成がズレずに見事に決まっている。ネオメガスに苦戦するデッカーがGUTSホークに助けられ、デッカーはGUTSホークをアーマーをまとうように合体して飛行! 防衛チームメカとウルトラマンが一体化するなんて実写作品では初めてだ。
「俺がよける! お前はまっすぐ前だけ見てろ!」。GUTSホークを操縦する人工知能・ハネジローの絶叫台詞もシブいし、飛行可能なウルトラマンに防衛隊の戦闘機が合体したことにも理由を付けることに成功している。必殺技・トルネードブレイカーを喰らいネオメガスが全身を発光させながらデッカーの肩に噛みつくシーンもCGながらお見事。
本話は脚本も特撮も決まった秀作エピソードとなった。
第11話「機神出撃」
DG001ことGUTS-SELECTの巨大ロボット・電脳魔人テラフェイザーが完成。稼働実験が行われ、カナタたちも立ち会うことに。だがテラフェイザー空輸中に変形闇怪獣ガゾートが襲いかかり、続いて到着時に入れ替わりで稲妻怪鳥ライバッサーが襲来する。アサカゲ博士に操作されるテラフェイザー。前作『トリガー』のレギュラー悪であった闇の3巨人との戦いを想定したロボットで、以前から開発が進められていたとされる。
TR粒子をエネルギー源とし、強力な武装を持つ。怪獣ゴモラやデスドラコがスフィアを警戒していたように、出現したガゾートやライバッサーもデスフェイザーを警戒しているのでは? と危惧するムラホシ隊長。ライバッサーに稼働実験を兼ねて挑んだテラフェイザーだったが、実戦経験も少なくて電撃を受けて中枢を焼き切られて倒される。
カナタやリュウモン、イチカやアサカゲ博士は、人工知能のハネジローをテラフェイザー内部に組み込むことで再起動させようと平原で準備するが、ライバッサーに代わって幼体で人間サイズの稲妻怪鳥ヒナバッサーが複数で襲いかかってくる。必死に駆ける4人。カナタがヒナバッサーに捕まって空へ連れ去られる。カナタは変身して等身大サイズのウルトラマンデッカーとして地上へ着地。リュウモンやイチカを援護する。
デッカー・ミラクルタイプの超能力での瞬間移動でテラフェイザーの中へ入れたアサカゲ博士は再起動に成功。テラフェイザーはライバッサーと再戦。TRビーム砲も駆使して圧倒的な力で優勢に戦うが、オーバーヒートを起こして再び停止する。デッカーは巨大化して戦いを引き継ぐ。ウルトラデュアルソードを振るってライバッサーを撃破! 戦いが終わってからカナタの姿へと戻って皆の許に帰ってきて、空中でデッカーに助けられたと釈明する。皆もそれを疑わない。無事だったアサカゲ博士も笑顔で駆け寄ってきた。
監督は前話同様に越知靖。脚本は足木淳一郎。再編集番組『ウルトラマン列伝』(2011)では複数名が担当していた「構成」(放送台本)職のひとりや音響効果として参加。『ウルトラゼロファイト』第2部(2012)で映像作品の脚本家としてデビュー。2010年代のTVのウルトラシリーズでも総集編の「構成」で活躍。並行してイベント『ウルトラマンフェスティバル』(1989~2020)や『お正月だよ! ウルトラマン全員集合!!』(2010頃~)転じて『ウルトラヒーローズEXPO(エキスポ)』(2015~。2021年から『ウルフェス』の後継イベントとして夏にも開催)のライブステージの脚本&演出も担当している。TVシリーズでも『ウルトラマンタイガ』(2019)でデビュー。前作『ウルトラマントリガー』から「シリーズ構成」のサブ職に昇格し、総集編を含めて複数本の脚本を担当してきた御仁だ。
ロボット兵器・テラフェイザー配備をめぐる話となっている。テラフェイザーは映画『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』(1998)に登場した電脳魔神デスフェイサーが元ネタ(デスフェイサーは地球平和連合・TPCが建造した電脳戦艦プロメテウスが侵略宇宙人によって人型に変形させられた姿だった)。冒頭の雲の中を空輸される姿は、巨大ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)#18に登場したエヴァンゲリオン3号機も連想させる。スフィアに憑りつかれて悪役へと転じてしまうと誰もが想像していただろうが……。
テラフェイザーを攻撃するライバッサーは鳥型の怪獣で、『ウルトラマンオーブ』(2016)#1のマガバッサー、『ウルトラマンR/B』(2018)#5に登場したグエバッサーの着ぐるみの色替え微改造であることは我々マニアにはミエミエだが、並行宇宙の地球であればどこにでも存在する近縁の怪獣だとの怪獣博士的な解釈もできて楽しい。人間と同じ大きさの幼体・ヒナバッサーも複数連れており、GUTS-SELECT隊員たちとの等身大サイズでの戦いも披露するパターン破りの楽しさも披露する。
怪獣ガゾートも前作『トリガー』や映画『トリガー エピソードZ』に登場していた怪獣だが、原典のガゾートはもちろん『ウルトラマンティガ』(1996)で2回登場したのが初出。今回は顔見せだけで、さっさと引き揚げたが。
テラフェイザーの姿に、カナタはむかし巨大ロボット・キングジョーストレイジカスタムが出現したことを思い出す。そこに前作『ウルトラマントリガー』#7に登場した際の前々作『ウルトラマンZ』中盤から登場した防衛隊の巨大ロボ・キングジョーストレイジカスタムの映像がキチンとインサートされるのも嬉しい。
テラフェイザーがもともと闇の3巨人との対抗用に開発が始まったとも語られているのも劇中世界内での理に適っていてこれも嬉しい。#10でもサワがエタニティコアについて語るなど、むしろ子供たちこそが好きそうな過去のウルトラシリーズの設定との関連性を忘れずに拾ってきて、たとえ虚構の作品でもこういった処置に子供もマニアも世界観に深みや広がりや実在感を感じて喜ぶのだ。こういう要素は年長マニアだけが喜ぶような、悪い意味でのマニアックさではない。
テラフェイザーは重武装だが、搭載したTRビーム砲が空中で突然反射してライバッサーを追跡までしている! どんな原理で?(ウラ設定を調べてみると周囲に散布されたTR粒子を用いて屈折させているそうだが、劇中では説明がない) 起動実験シーンにTPUの一般隊員が多数いることでリアリティーも醸している。途中でいなくなりラストの片づけでは姿が見えるが、カナタたちがハネジローをラグビーで運んでいた時、どこにいたのだろう?(笑) カナタ・リュウモン・イチカ・アサカゲ博士が走ってハネジローを運ぶシーンはラグビーというか、年長世代は『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)の必殺技・ゴレンジャーハリケーンのシーンも連想する。等身大のデッカーはリュウモンやイチカに身振り手振りで意志を伝えるのに苦労し、ハネジローに通訳してもらったが、ウルトラマンも日本語を喋れるんじゃないか?(笑)
第12話「ネオメガスの逆襲」
#10で爆砕した怪獣ネオメガスの残骸のトゲにスフィアソルジャーが憑りつき、新創合成獣スフィアネオメガスが誕生する。テラフェイザーは調整中。GUTS-SELECTは市街へ向かうスフィアネオメガスを迎撃する。GUTSホークの攻撃でツノを破壊するも、傷跡にスフィアソルジャーが取り着いて即座に再生される。
やむをえずGUTSホークの操縦を補佐していた人工知能・ハネジローはパイロットのカナタをコクピットから強制的に放出して強引にデッカーに変身させる! スフィアソルジャーに援護されたスフィアネオメガスは強くなっており、デッカーを圧倒する。リュウモンとイチカを助けようとして敗れるデッカー。
その後、スフィアネオメガスは#1に登場した怪獣スフィアザウルスの巨大な前脚のように両腕を地面に打ち込み、エネルギーを地底に注入する。再戦を期するムラホシ。カナタは自分自身を越えようと体を鍛え、リュウモンやイチカもこれに続く。
諦めずに特訓するカナタを知ったハネジローから、テラフェイザーの切り札・TRメガバスターの使用が提案され、ムラホシやアサカゲ博士は承認する。サワ副隊長がカナタ・リュウモン・イチカ、その他TPU隊員を率いて指揮する。ハネジローが操作するテラフェイザーがスフィアネオメガスを攻撃。サワや隊員たちはスフィアソルジャーに対する。
戦いの中でカナタはデッカーに変身し、テラフェイザーとともにスフィアネオメガスへ。ウルトラデュアルソードによるデッカーミラクルタイプとトリガースカイタイプのカードの力で張ったバリア技・ミラクルスカイスクラムで護られたテラフェイザーからTRメガバスターが発射! 高エネルギーの濁流はスフィアネオメガスを撃破した。
だが戦いが終わってから、ハネジローのデータを解析していたアサカゲ博士は、ロックされていたデータの中を開けてカナタの正体がデッカーだと知ってしまう。
前話同様、脚本は足木淳一郎。監督は越知靖。#10で登場した怪獣ネオメガスがスフィアネオメガスとして復活。デッカーとの再戦で勝利し、テラフェイザーと再戦する。「人と怪獣の関係」について#10でも問うていたが、本話で本作の人類は強い武器を手に入れた。人類が強い武器を手に入れたことの危険性は、『ウルトラセブン』(1967)#26を発端に21世紀以降のウルトラシリーズでも度々問われてきた。『ウルトラマンZ』(2020)終盤でも防衛隊の巨大ロボこと特空機4号・ウルトロイドゼロをめぐってじっくりと描かれていたことが記憶に新しい。もっとも本話では、その問いかけがされておらず、テラフェイザーを加えたGUTS-SELECTがスフィアネオメガスを倒す話が軸になっているが。
#9でGUTSファルコンとGUTSホークが合体したGUTSグリフォンが放ってスフィアレッドキングを粉砕したハイパーソーンレーザーをDG計画001に搭載、TRメガバスターとして使用されることに。#10ではDG計画001ことテラフェイザーの存在が明かされ、#11では稼働試験でお目見え。そして本話で本格的に実戦に参加。必殺技・TRメガバスターが発射された。発射シークエンスのディテールが丁寧に描かれ、胴体中央の発射口からエネルギー流が放出するさまは圧巻。発射された衝撃でテラフェイザーの表面が剥がれたり、風圧でサワやイチカが飛ばされそうになったり、宇宙戦艦ヤマト(1974)の波動砲か機動戦士ガンダムシリーズのハイパーメガ粒子砲を彷彿させる。
スフィアに憑りつかれて、トゲだけから再生したスフィアネオメガス。スフィアの白いトゲが追加され、重量感がアップしている。デッカー・ストロングタイプとも互角に戦い、スフィアソルジャーの援護もあって倒してしまった。
敗れたデッカーことカナタが落ち込まず、すぐに自分に特訓を課す姿は新鮮。その姿はハネジローをも刺激する。戦う意味を問われて、眼の前に困っている人がいるから頑張ると言うカナタに、アサカゲ博士は
「善意というものは、逆に人を傷つける結果になることもある」
と話している。これは『デッカー』のシリーズ後半の展開とも重なっていく伏線としての言葉なのか? そしてアサカゲ博士はハネジローのデータを調べて、カナタがデッカーだと知ってしまうが……。
ハネジローがカナタを飛行中のファルコンから強制排出したり、自身が操縦しているテラフェイザーをワザと横転させてその土煙に紛れてバレないように変身させるなど、カナタをリードしている。ハネジロー初登場の時点からは想像もできない関係性になった。
本話の後半の戦いや先の#10前半のロケはお台場で行われたようだ。はるか先に我らが東京ビッグサイトが見える(笑)。
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