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WIND BREAKER・喧嘩独学 ~ヤンキーDQNアニメに観る、人間一般の肉食動物的な狩猟本能にも基づいたアクション・暴力の快楽!? しかして、快感としての暴力&イヤな暴力との相違とは!?

『スキップとローファー』『私の百合はお仕事です!』『事情を知らない転校生がグイグイくる。』 ~地味でも世に出る女子! 地味ゆえに内向してしまう女子! 3大快作に見る、ちょっとした本人の資質&周囲の人間の品位で生じる大差!
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 マンガ原作の深夜アニメ『WIND BREAKER』2期(25年)が2025年4月から放映中記念! 2025年12月に実写映画も公開記念! とカコつけて……。ヤンキーDQN(ドキュン)系の2大深夜アニメ『WIND BREAKER』『喧嘩独学』(24年)評をアップ!


『WIND BREAKER』『喧嘩独学』 ~ヤンキーDQNアニメに観る、人間一般の肉食動物的な狩猟本能にも基づいたアクション・暴力の快楽!? しかして、快感としての暴力&イヤな暴力との相違とは!?

(文・T.SATO)

『WIND BREAKER』

(2024年春アニメ)
(2024年4月25日脱稿)


 ヨコ文字の少々オシャレなタイトルなのに、中身は男子高校生たちが喧嘩に明け暮れるヤンキー不良マンガであった!(笑) とはいえ、実に面白かったりもする!


 なんというのか、本作における喧嘩・アクション・暴力とは、劇中内ではよりワルの、あるいは文句なしに品性下劣な悪党ヤンキー高校生たちの横暴や、市井の人々を守るための、一応の正義の行使としての鉄槌なのである。


 人間は先天的には争いを好まない。後天的な環境によって粗暴になるのであって、本来は性善説な存在なのだといった左翼リベラルな学説なぞはウソである。
 とはいえ、万人の万人に対する闘争状態もウソである(笑)。
 性善性悪あい半ば、あるいは性善性悪すら関係なく、動物的な捕食・被捕食といった本能・直観などで、強くて大きな存在には畏怖(恐れと同時に憧れ)をも抱いてしまうワケなのだ。


 本作の場合も、#1では数人のチンピラ高校生どもを商店街の善良な人々にカラませることで、小さな危機状況を描いている。


 しかして、見た目は一応のハンサム不良(笑)であって義侠心もあるらしい男子高校生クンが、その状況に対してしばし義憤にかられている光景を描いたことで、彼の人となりの何たるかも描いて感情移入も惹起していく。


 とはいえ、それではアクションを羅列するだけでも人間一般は喜ぶのかといえば、そうでもない。悪党による暴力や残虐描写には不快感を覚える。つまり、アクションのカタルシスの発生にも、悪党の「暴力」に対する「対抗暴力」でなければならないという、人間の本能にも根差した前提条件がウラ側には無意識的に付与されてもいるのだ。


 捕食のための狩猟的な本能の延長線上にもアクションのカタルシスがあるのならば、スポーツ(観戦)なり活劇作品などで適度に発散させることもまた、人間の生理としては必要である。


 よって、アクションなり戦争モノなりミリタリックな意匠の作品を排除すれば、平和が到来すると考えるのは間違いだ。人間や国家の間に不和や戦争が起きる根本原因はそこではない。相手があっての悶着。他者に対する蔑視やリビドー(性的衝動)が混乱や分断を産むのだ。


 しかして、物理的な闘争や戦争をとめるのもまた、短期的には当事者や周囲の物理的な強制力(暴力・警察力・軍事力)であったりはする(汗)。それらを手放しで肯定するワケにもいかないが、完全否定もできない以上は「力の否定」ではなく「力の善用」「力のシビリアンコントロール」といったところだろう。


 そして、そこまで理論武装をしないと、アクションもの・ヒーローもの・怪獣モノ・戦争モノを否定・キャンセルしようとする陣営に対して、これらのジャンルを原理の次元で擁護はできない。それ以外の論法では、論理的な破綻を来たすと思われるのだ(笑)。


 ……といったことまで、射程に捉えて論じることも可能な作品である!?


 しかし、そこからハミ出しているところもある。


 20世紀のむかしのヤンキー不良マンガ・番長マンガなどとは異なり、ムダに前向き・熱血・快活・豪放・漢の理想像! といった要素ではなくって、生まれつきで自身の片方の瞳の色が異なるオッドアイかつ、頭髪の左半分が白髪であることで、周囲からは避けられてきた……といった肉付けが主人公には施されている。ゆえに、(ひとり)ボッチアニメ的な要素もあるからだ。


 しかも、相応に強いながらも、劇中内での最強キャラでもなかった。数人のチンピラには圧勝できたものの、さらに多数のヤンキー高校生に囲まれて窮地におちいり、そこに正義の不良高校生軍団(笑)が助っ人参戦してくれたことで助かる。


 そして、彼らを商店街の人々からも視聴者からも喝采を浴びせさせてアクションの爽快感を念押ししたソバから、それまで孤独に生きてきた自身との落差から来る嫉妬&怒りで、彼はその正義の不良軍団に対しても激情にかられて立ち向かってしまうのだ!


 いやぁ、劇的・ドラマチックかつ多層構造でもある。フィクションとはかくあるべし!


 主人公や正義の不良高校生たちは、改造人間たる昭和の仮面ライダーばりに空高く跳躍してライダーキック(笑)を相手にカマしてみせている。それもまた快感なのだ。


 映画『シン・仮面ライダー』(23年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230723/p1)に欠如していた要素は、こういったアクションの快感でもあるのだ。


 観客には爽快感を味あわせつつも、劇中人物たちには自身の暴力行為に対して悔恨・懊悩をさせる。


 「ボクたちは戦い合う前に、愛し合うべきだったのだ!」などの往年の名作TVアニメの名セリフなども今となっては矛盾をハラんでいたセリフであったことを年長オタクは直観してしまう。


 しかし、逆説的なことにアクションや戦争のカタルシスに乗せてこそ、反戦テーマなどもよりよく伝達できるといった機微もあるのだ。


 その意味でも、アクション演出(&爽快感)は、ドラマやテーマ以前の下部構造・インフラとして、根底の方から作品を規定して支えてもいる。そこを軽視すると、『シンライダー』のようにむしろテーマの伝達には失敗して、テーマがあっても絵に描いたモチになってしまうのだ。
WIND BREAKER
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.88(24年5月5日発行))


『喧嘩独学』

(2024年春アニメ)
(2024年8月4日脱稿)


 ムチャクチャ面白い!


 タイトルどおりで、高校生の弱者男子クンがYouTubeで喧嘩術を独学で学んで、学園のヤンキーたちに勝利していく壮快ストーリーなのである。


 とはいえ、半分はギャグであって喜劇的な作劇でもある。いわゆる不良性感度はあまりない。ただまぁ、心優しい今どきの萌えオタの皆さんは最初からスルーしちゃうのだろうけど、人間(?)としての幅、もといオタクとしての幅を拡げる意味でも、可愛くなくて少々凶悪な感じのする絵柄&キャラデザでも、意識的にこういった作品も観ましょうヨ! 各種配信サイトでも無料で観られますヨ!(笑)


 高校の教室でのイジメ描写がまた現代的である。


 目立ちたがり屋のガタイのいい丸刈りジャイアン少年や金髪ギャル女子にスネ夫くんタイプのイジメっ子たちは、無料動画投稿配信サイト・YouTubeモドキを使って自己をお笑い芸人的にプロデュース。もちろん、暴力の瞬間は犯罪となってしまうので写さない! その顔面に世間的にはイタズラで済まされる白塗り化粧を施して弱者男子クンをサラし者にはする! それでもって圧倒的な再生回数を誇って、万円単位の大金もゲット! ナンという邪悪さ加減!


 ……エッ? トランプや安倍ちゃんが悪い? 資本主義や家父長制が悪い? いや、そーいうヤツらは生来からして品性下劣に生まれついるのだと思いますよ(汗)。


 母子家庭かつ入院中の母親不在の弱者男子クン宅にまでついに乱入してきて、勝手にTVゲームの実況配信まで始めるスネ夫くん。しばしの悶着の果てについに弱者男子クンの怒りが爆発! スネ夫クンにパンチをカマす! スネ夫くんが意外に弱い!(笑)


 しかして、その際の喧嘩動画が期せずしてYouTubeにナマ配信! そして、その動画が大ブレイク!


 それを観たクラスメイトやジャイアンにギャル女子たちは、スネ夫くんに蔑視の眼を向ける。スネ夫くんは小賢しいことに、手近にいた別のオタク男子くんをイジろうとする!(さもありなん!) しかし、このオタク男子くんがキレて馬乗りになって、スネ夫くんの顔面に10数発ものパンチを浴びせ続けるのだ!(痛快)


 いやぁ~、同季の正義(笑)のヤンキー漫画の深夜アニメ化『WIND BREAKER』同様に、人間って(フィクションの中、因果応報の対抗暴力としてならば)「暴力」が大スキなのですね(爆)。


 いかに近代の法律・刑罰が「応報刑」ではなく「教育刑」だと云い募ろうが、やはり人間の本能的にして自然な感情として「応報」感情が存在することは否めない。左翼リベラルな連中も死刑制度反対を唱えたそばから、安倍ちゃん・トランプ・権力者であれば殺しても構わないくらいな発言をしているあたりもその証左となるであろう(汗)。


 世界初の死刑制度反対論者はフランス革命の左翼の元祖・ロベスピエールだが、彼も何万人(!)もの人間をギロチンに架けている(爆)。正体はそんなものなのだ。いやもちろん、何があろうと殺されてもよい人間なぞはいない。それを積極的に認めてしまうと、旧共産圏のように右派・保守派と見なした国民を粛清(大量処刑)してしまう国家の出来上がりですからネ!



 とはいえ、スネ夫くんに勝てただけでは、ジャイアンからの脅威が去ったことにもならない。ではどうするか? 喧嘩に強くなる方法を独学ではなく(笑)、YouTubeで見つけるのだ!(タイトルに偽りアリやんけ~!)


 しかも、当初は殴られてもダメージを少なくする方法だったりもする。このへんはリアルである。


 しかし、段々と攻撃術も学んでいく。このへんから少々ファンタジーが入るやもしれない。街中でのヤンキーとの戦い。ジャイアンとの戦い。テコンドー選手崩れの高校生との戦い。このへんはもう喧嘩のテクニックが描かれているようでも、精神主義が勝利するような「少年バトル漫画」の文法も入ってくるのだが、実に面白くて血沸き肉躍るのであった。


 憲法9条の精神で話し合いで解決しろ! 無抵抗・非暴力に徹しろ! といった意見にも理はあるし、その崇高さも認める。それで恨みっこなしで済ませられる個人は立派だ。


 しかし、ルサンチマンまみれの筆者にはムリである。それでは悪党ばかりが得をして、ウクライナやガザ地区は損をするばかりの世の中となるであろう。かといって全面戦争すればイイわけでもない。落としどころはその中間にある。


 とはいえ、議会制民主主義の俎上には乗ってこずに暴力で訴えてくる連中に対しては、自衛もまた戦争へと至る可能性があるのはそのとおりなのだけど、そうはならないように厳密な要件&制限も付けたうえで、消極的には物理的な実力行使も容認せざるをえないのではなかろうか?


 本作もまた、劇中人物の名前は親しみやすいように日本人名に変更されているものの、自国の核兵器保有に賛成する割合が70%(!)にも達しているお隣の韓国のウェブ漫画が原作なのであった。いや、個人の民事としての喧嘩の肯定と国家の核兵器の保有の肯定に、ストレートな相関関係があるなぞとは、単純には思っていませんけど(笑)。
TV アニメ『喧嘩独学』Original Soundtrack
TV アニメ『喧嘩独学』Original Soundtrack

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.89(24年8月8日発行))


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