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西遊記♯4「砂の国」


「西遊記」全話評! 〜全記事見出し一覧


(映画『西遊記』公開記念!〜短期集中連載!)
(文・田中雪麻呂)

♯4『砂の国/〔激辛!! 砂の国の腕ずもう大会〕』

(脚本)坂元裕二(演出)成田岳


「おい、水のオッサンよ! おめェは涙を流したことがねえだろ!
 ……涙はひとの優しさの川だ。汗はひとの強さの川だ。
 たとえこの世の水を全て奪っても、それだけは奪うことのできねえ川なンだ!
 喉が渇こうと、体がかれようと、絶対に絶対に絶対にかわかしちゃいけねえのが、心だッ!
 おめェのような心が干からびたヤツは、たとえ神様仏様が許したって、このオレ様が許さねえッ!
 さァ答えろ、天国に行きてえか、地獄に行きてえかッ!」


 大砂漠の難所をようやく越えたキャラバンは、砂だらけの町に到達する。
 その町は、お水様(半海一晃)と呼ばれる正体不明の祈祷師(きとうし)がどこかで調達してくる僅かな水で何とか暮らせている状態で、ここでは水が一番の貴重品だという。


 喉の渇いた悟空は、桶一杯の水が賞品の腕相撲大会に飛び入り参加し、そこで気のいい元漁師の大男・岩傑(がんけつ/武藤敬司)と知り合う。
 この町から水が干上がった原因が、謎の女妖怪が水源に術を掛けて栓をしているためだと知ったキャラバンは辛くもその女怪を捕獲するが、それは悟浄の昔の恋人・金魚姫(須藤理彩)だった。


 金魚はお水様の判断で死刑に決まり、牢獄に繋がれるが、死ぬ前に故郷の竜宮(りゅうぐう)に残して来た一人息子に会いたいと、悟浄に懇願。三蔵らもそれに同情し、悟浄を金魚の付け馬にした上で、彼女の身代わりに牢に入る。
 しかし、金魚は初めから悟浄と二人で逃げる算段であった。色仕掛けで迫る金魚に、悟浄は当惑する。


 果たして約束の時間は過ぎ、悟空、三蔵、八戒の首に処刑のための縄が巻かれる。間一髪、悟浄が、そして少し遅れて金魚が処刑場に現れる。なし崩しに全員を処刑しようとするお水様だが、岩傑を初めとする誇りある男たちに阻まれる。頃合いは良しと、凛凛がお水様の糾弾を始める。


 お水様は霊感大王(れいかんだいおう)という悪い妖怪であった。水源に栓をしたのはこの町を牛耳ろうとした大王の仕業であった。金魚は一人息子を大王に人質に取られていたため、大王の影として働かされていたのだ。
 逃走する霊感大王だが、老子の捕縛隊に天上界に連行される。金魚姫は晴れて無罪放免となり、悟浄に後ろ髪を引かれながらも竜宮に帰っていった。



 作家でエッセイストの小林信彦氏が「ひどい、という以下のドラマだった。」と評した作品である。
 確かに舞台の漁師町の描写はヘンである。
 命の綱の大川が干上がり、飲み水にも事欠く異常事態であるのに、町の人たちは激辛料理屋に入り浸り(て言うか、香辛料ってこの時代は凄い高級品だったんじゃなかろうか?)、余興の腕相撲大会に大フィーバーとかしていて、結構余裕あるじゃねえかこいつら(笑)。


 ♯1の舞台である焼け焦げた町のときも思ったのだが♯1では火の害、本話では乾きの害がその町にある、というだけで、それ以外の部分では人々は過不足なく暮らしている。
 火や乾きの害があれば、農作物も育たず、すぐに食の不足に直結しそうなものだが、そういうリアルさは敢えてこのシリーズでは描かれない。♯7に至っては命すら簡単に取り替えが効いてしまう。
 “子供たちのために”が命題の一つである本シリーズのこれが次代へ贈る一つのメッセージである。


 ただ、本話クライマックスの「走れメロス」風の身代わり劇はいただけない。『西遊記Ⅱ('79)』の♯4(「落ちこぼれの恐怖分数妖怪〈脚本/ジェームス三木・山下六合雄〉」)にも全く同じシチュエーション(劇的境遇)があり明らかなエピゴーネン(単なる模倣、亜流)であるからだ。全く同種のパクリを、全く同趣のドラマでやってどーすんの、と思う。
 尚、この霊感大王というキャラは原作(第47〜49話)にも登場し、大きな銅製のハンマーを武器として三弟子を苦しめた。その正体は観世音菩薩の飼っていた金魚だった。


【その他のゲスト】
菅原卓磨・須永祥之(老子の配下) 佐和タカシ 桑波田達彦 岡田賢二 斉藤隆介 荒谷望 誉雷陣明 諏訪間幸平 プルート一生


(了)
(特撮同人誌『仮面特攻隊2008年号』(07年12月30日発行予定)『西遊記』2006年版・全話評より抜粋)


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