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宇宙戦隊キュウレンジャー総括 〜最後は全宇宙の不運な人々の盾になると誓ってみせた幸運戦隊!

(2018年5月13日(日)UP)


洋画『パワーレンジャー』(17年) 〜戦隊5人に「スクールカースト」を色濃く反映! 「自閉症スペクトラム」青年も戦隊メンバー!
『パワーレンジャーFOREVER RED』 〜坂本浩一監督作品・戦隊を逆照射!
『恐竜戦隊ジュウレンジャー』総論 〜子供番組への回帰
『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』 〜赤星政尚・竹本昇、出世作! 「戦隊」批評の特殊性!
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[戦隊] 〜全記事見出し一覧


宇宙戦隊キュウレンジャー総括 〜最後は全宇宙の不運な人々の盾になると誓ってみせた幸運戦隊!

(文・T.SATO)
(18年3月10日脱稿)


 5人の戦隊ヒーローが登場するゴレンジャーならぬ、9人もの戦隊ヒーローが登場するキュウレンジャー
 キュウには9・救世主・球も掛け、敬礼時には親指と人差指で輪を作って「OK」ならぬ「OQ」も呼号させる念の入れようだ――そも「OK」自体が本来「All Correct」で、学はナイけど愛された7代目米大統領による誤用造語が起源だとの説もあるから、さらなる造語も許そう(笑)。
 もちろんこのご時世に、中盤からの追加ヒーローが登場しないワケがなく、最終的には12人(!)もの戦隊ヒーローがレギュラー出演する前代未聞の大所帯のスーパー戦隊作品に仕上がった。


 とはいえ、従来の新人役者・若者5人体制では、12人ものキャラクターを描き分けすることは困難でもあり、低予算番組だからギャラの問題(汗)もあったのだろうか?
 素面の役者は当初は5人とし――最終的には7人。最初の5人は全員が非・地球人で、中盤からの追加2名だけが地球人――、残り4人は着ぐるみキャラとする。
 青いオオカミ男型獣人・金ぴかスマートな機械生命体・実に人間クサい性格だけど黒牛型の直立二足歩行ロボット・ピンクでキュートな美少女アニメ的アンドロイド。
 加えて、戦場には出張らない「ボクちん」(笑)と自称する着ぐるみのオトボケ司令官かと思いきや、10人目の戦隊ヒーローに昇格する、ミスター戦隊巨大ロボこと日下秀昭が演じる紫の龍人型宇宙人も含めて、彼ら着ぐるみキャラに萌え系・軽妙・重厚、ロボットなのに頼れる年長キャラ(笑)などの声をアテることで、ビジュアル的にもボイス的にも描き分けには成功したと思う。


80〜90年代には絵的に不可能だった宇宙戦隊!


 全宇宙、というか88の星座系が、宇宙幕府(笑)を名乗る星間暗黒物質ダークマターならぬジャークマターに支配されているという、ロートル特撮オタクには数百の星々を侵略してきた悪の帝国が地球に来襲してきた『電撃戦隊チェンジマン』(85年)や『地球戦隊ファイブマン』(90年)を想起させる世界観。
 あるいは、地球を発端とせず、遠宇宙の惑星エジンを舞台にはじまり、序盤数話を経て地球に到着した東映メタルヒーロー『巨獣特捜ジャスピオン』(85年)なども想起する。


 作り手たちは必ずしも、筆者たちのような年季の入ったキモオタではないだろうから(汗)、彼らがコレらの先行作を鑑賞していたり、それらのリベンジなり現代版というかたちで、本作を構想したとは思われない。
 しかし、筆者のような腐れオタクとしては、それらのおおよそ30年もの大むかし(!)になってしまった作品群ともついつい無意識に比較もしてしまうのだ。


 で、やはり往時の作品群は、バックボーンや因縁が宇宙規模でも、映像的には地球もとい、埼玉県寄居のアリゾナ州の岩場を主戦場(笑)としていた。
 コレは筆一本の絵だけで、大宇宙やあまたの宇宙戦艦群を描けてしまうアニメ作品などとは異なり、往時の東映の予算的にバンクフィルム流用主体の特撮技術では、基本は巨大ロボ戦用の白昼の背景ホリゾントなのに、それを宇宙の夜空の星々に塗り直して元に戻したり、ミニチュア宇宙船&星空背景の両者にピントも合わせてピンボケにもならずにフィルムに収めることが、技術的にも予算的にもスケジュール的にも困難であったからであろう。


 今だと撮影後にパソコンの中でハイビション撮影映像を映画のフィルムっぽく明度・輝度を落としたり、画質の劣化ナシに後処理(ポス・プロ)で自在に変更するのが当たり前だけど、往時は撮影時に照明をクラくして、いわゆる洋画『映画に愛をこめて アメリカの夜』(73年)パターンで、レンズの前に青いフィルターを付けることで白昼ピーカン撮影を夜間シーンに見立てて『ウルトラマンエース』(72年)の南夕子隊員が故郷の月に帰ったり(#28・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061111/p1)、電撃戦隊の巨大ロボ・チェンジロボがいつもの特撮白昼セットを月面に見立てて戦っていた回があったけど、映像的にはいささか説得力に欠けており画質的にも見苦しい面があったことは否めない。


 しかし、そのへんについては、特撮技術・CG技術の長足の進歩のおかげで、今でもきっと別種の苦労はあろうけど、グリーンバックでのミニチュア撮影を元にしたデジタル合成や、宇宙船自体をミニチュアではなくCGで描くことで宇宙空間、ひいては宇宙の星々を渡り歩く特撮映像も比較的安価で容易となったこともあるのだろう。キュウレンジャーたちの母艦であるオリオン号は、映像的説得力をもって宇宙を狭しと駆けめぐる!


 本作でも製作予算が比較的、潤沢であろう序盤においては、ロケ地の選定にふだんのスーパー戦隊シリーズ作品では見慣れない場所を選定し、工業地帯のプラント施設跡地のような場所でも本編美術スタッフが異民族的な中東バザール風の飾り付けに凝ったり、大量のエキストラを動員しつつも私服ではなく異国っぽい情緒の衣装を着せることで、地球以外のヨソの惑星を舞台にしている設定に、映像的な説得力を持たせることにも成功していた。
 もちろんスレたマニア的には、こんな大がかりな映像が予算的にも継続できるワケがなく、早々に地球の日本の東京を舞台にすることは容易に想像がついたけど(笑)。


 とはいえ、オトナの事情でそれから延々最終回まで地球を舞台にするのかと思えば、本作はそうでもナイ。ワリと頻繁に、海辺の惑星へ行ったり、森の惑星へ出張したり、宇宙竜宮城なる大宴会場もある巨大湯治旅館(笑)へ出掛けたりもする。
 そーいう点でオッサンオタク的には、本来あるべき観たかった『ジャスピオン』や『チェンジマン』に『ファイブマン』がココにある! と思っているのも事実だ。
 まぁすべての惑星が、呼吸可能な大気もある地球型惑星じゃねーか!? というツッコミも可能だが、それを云うなら洋画『スター・ウォーズ』(77年〜)シリーズだって同じだし(爆)。


悪の軍団ジャークマターの描き方はアレでよかったか?


 よって、その宇宙規模での舞台の移動を可能とする物語&特撮ビジュアル自体はたしかにイイのだが……。
 大英帝国に日本が占領されて、瓦礫と化した街々で人々がバラックに住まったり、爆弾テロで抵抗している姿を描くTVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20081005/p1)ばりの描写は、美術予算的にも望めるワケがない。しかし、全宇宙が宇宙幕府の占領・支配下にあって、支配者や駐留軍がノサばっているにしては、地球の人々がワリと平常運転で、日常生活や会社勤めに買い物や日々の娯楽も楽しめているようでもあるチグハグな描写はやはり引っかかる。
 コレは中世の大モンゴル帝国の支配圏のように、最初は脅すけど、税金さえ払って抵抗の気配さえなければワリと自由放任で、しかも治安がよかったりもするような支配のあり方の引用ですかネ?(それはナイ・笑)
 たしかに古代・中世の歴史上の大陸の大帝国にはそーいう支配も散見されるけど――奴隷、植民地の民の平和かもしれんが(汗)――、巨悪に立ち向かうヒロイズムの高揚を描くべき特撮変身ヒーロー番組として、そのような「悪」や「支配」の描写はいかがなものなのか?


 まぁスタッフもバカではないのだから、設定は占領下の地球でも、それをガチに描くと映像表現としては重たすぎたりクラすぎたりして、メインターゲットである幼児層が怖がってヒイてしまうことを怖れてか、確信犯でユルユル気味の世界観にして、映像的にも深刻感のウスい世界観にしたのだろうとも推測する。
 そーいう意味では、スタッフ側の幼児たちへの忖度(そんたく)もわかるけど、だとしてもいささか忖度しすぎだろ!(笑)


 別にヘビーにリアルに描けとは云わないけど、もう少しだけ、ベタでも圧政に苦しんでいるような地球人、戦闘員に日々の生活を見張られて身をすくめて小さくなっているような地球人、料亭で小料理を突つきつつ黄色い小判(笑)を袖の下に受け取っているような代官もといダイカーン怪人みたいな、予算もかからない絵で観てわかる図があってもよかったのではあるまいか?
 宇宙幕府というからには、往年の名作学年誌漫画『ザ・ウルトラマン』(75年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160914/p1)のごとく、ジャッカル大魔王の下に四天王・軍団長・軍団員がいるように、下っ引き・同心・与力・北町or南町or勘定奉行寺社奉行長崎奉行・目付・大目付・剣術指南・公儀介錯人・御庭番・黒鍬衆・側用人若年寄・老中・大老や、譜代以外の外様大名(笑)などの敵怪人を出すことで、敵組織の層としての厚み、擬似的な重しを出していく東映伝統のスタイルも本作でこそ活かせたのではなかったか?
 戦隊12人を描くために悪の描写を削る配分もわかるのだが、適度に憎々しげな悪党を出すからこそ、それを成敗する爽快感も引き立つので、敵の脅威感の欠如には少々の物足りなさを感じなくもなかった。しかし……。


12人目の300年前の戦士! 時間SF要素の導入!


 シリーズ中盤、夏休みに入るシーズン回における最後の12人目の戦隊ヒーロー、鳳ツルギ(おおとり・つるぎ)ことホウオウソルジャー登場編から、個人的には様相が一変する!
 シシレッドことラッキーに負けじ劣らじ、さして根拠があるとは思えないような全能感・万能感に満ち満ちつつも(笑)、物事を的確に判断して茨の道を切り拓き、自身を「伝説」だと自称し、戦隊メンバーに対しても「オレさまの盾になれ!」と高飛車にのたまい、玩具チックな盾を構えて剣で戦うキョーレツなキャラクター! 変身すると、通常の戦隊ヒーローのレオタード地ではないけれど、光沢のあるビニール地っぽい赤と黒のスーツ姿となることで、Wレッド体制に!
 さらに強烈なのが、彼は300年前から冷凍睡眠していた存在であり、初代宇宙連邦大統領であったとゆー! 20代後半くらいの若造が大統領だなんて「ンなバカな!」「ハッタリだろ!」と思いきや。劇中内事実なのであった(笑)。
 とはいえ、このナンセンスな楽しさこそが、平成のスーパー戦隊クオリティ!(ホメてます・笑) 300年前の回想シーンも江戸時代ではなく現代日本の風俗だし、とゆーことは『キュウレンジャー』の世界は少なくとも300年以上も未来の世界であったのだ!


 その後は時計座の惑星トキで、時間遡行能力を持つ「時計キュータマ」をゲットしたキュウレンジャーたちが、300年前に一度は宇宙幕府の首魁、ショーグンことドン・アルマゲを倒したと豪語するツルギの発言の真相を確かめるため、戦隊メンバーの半数が300年前にタイムリープ! 岩壁上の岩陰から往時の深夜の最終決戦を目撃することになる!
 並行して現代では、感情のない(厳密にはウスい)宇宙人種族である蛇使い座の銀色戦隊戦士、銀髪ナーガ青年が感情を欲することで皮肉にも闇落ちして、ヘビツカイシルバーならぬヘビツカイメタルへと再変身!
 300年前の世界でも、ツルギの旧友にして俳優・宍戸開(ししど・かい)演じるオリオン座の勇士・オライオンにも遭遇して親交を結び、ラッキーことシシレッドは彼の力も得て、マントをひるがえし瞬間移動を駆使して悠然と戦う白い戦士・シシレッドオリオンへと強化変身!
 変身バンクを使用せずカットも割らずにアクションをカメラが追い続けると変身時の映像効果を合成して各人が順次変身、バトルもドローン(無人小型ヘリ)で空撮したりと、映像面でも戦闘のテンションを高めていた。


 その過程で、現代の地球で朽ち果てたオリオン号を発見したり、300年前の世界においても3大副将軍と遭遇するも、ツルギに記憶はあっても3大副将軍にはツルギの記憶がナイことで、歴史にすでに改変や揺らぎが生じていることが示唆されたり、300年前の世界で改めてラッキーたちの助力も交えてドン・アルマゲを再度真に滅ぼして歴史も変わったハズなのに、戻ってきた現代も宇宙幕府の支配下にあって、ドン・アルマゲも相変わらず生存していることが明かされたり(!)、オライオンが死んだことで救世主の伝説が語り継がれなくなる歴史的空白を埋めるために、「ボクちん」(笑)こと龍人司令官だけが過去の世界に残って代わりに伝説を流布して300年後に再合流したり……。


 名作児童漫画『ドラえもん』レベルの小学生でもわかる程度のSFマインド(笑)でタイムパラドックスも描かれる。
 腐れオタとしては、やはりシリーズ終盤で恐竜時代にさかのぼって敵幹部を撃滅して現代に戻ったら、歴史が変わって機械化帝国に地球全体が機械化され鋼板に覆われていた! という展開があった子供向け合体ロボアニメ『熱血最強ゴウザウラー』(93年)や、同じくシリーズ後半に恐竜時代で消息不明になったサポート合体ロボが6500万年の数話(笑)の時を経て、長年の地殻変動による地層の屈曲の影響も受けずに(笑)太古の岩壁の中から復活を遂げた『勇者王ガオガイガー』(97年)や、同じく6500万年前の戦いで地中に埋まったギドラのシッポが成長して金色三つ首竜・キングギドラが現代に復活する怪獣映画『モスラ3 キングギドラ来襲』(98年)なども想起してしまうが、アレらももう20年〜四半世紀も前(!)の大むかしの作品なので、支障はナイであろう。


 ロートル戦隊ファンにとっては、3大副将軍の声を演じるのが、今やベテラン声優に出世した、『電子戦隊デンジマン』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120205/p1)デンジグリーンこと内田直哉と、『忍者戦隊カクレンジャー』(94年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120109/p1)ニンジャブルーこと土田大。アイドルアニメ『ラブライブ! サンシャイン!!』(16・17年)でも低音ハスキーボイスの黒髪生徒会長アイドル役で3次元にもまたがって活躍中の『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)イエローバスターこと小宮有紗であったことがボーナス的なうれしさでもある。
 同じく元祖『ラブライブ!』(13・14年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1)でロリ黒髪ツインテ嬢キャラも自称していた「宇宙№1アイドル」(笑)ことホシ★ミナトを、『魔法戦隊マジレンジャー』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060313/p1)マジイエローや『特命戦隊ゴーバスターズ』ビートバスターこと松本寛也が、顔面金粉塗りの宇宙人キャラなのに演じてくれたことには……みなで感謝しよう(笑)。彼も1回ぽっきりのゲストかと思いきや、都合8回も出演して、その人物像も実は苦労人でもあったというかたちで膨らませて、最終的にはオイシかったと思う。


メンバーの因縁劇のリフレインで紡ぐ物語の達成度!


 惑星トキでの滞在時にも「時計キュータマ」の力の局所的発動か精神への干渉か、戦隊メンバー各人にとっての過去の大切な人が実体化して再会を果たす超常現象で、各人が抱えるドラマを再確認してキャラを深める――神尾直子が演じるコグマスカイブルーこと子役・小太郎少年が、宇宙を救うためにも今は亡き母との再度の別れを選択するあたりは泣けた――。
 闇落ちした銀髪ナーガ青年を救うために、彼の相棒・テンビンゴールドこと金ぴか金属生命体・バランスくんを演じるスーツアクター・大林勝が、戦闘で負傷した片足の太モモをカバう芝居をしつつも、実に情緒あふれる仕草や肩たたき芝居を披露して、金銀コンビの心情ドラマをブローアップしていたあたりも泣かせるものがあった。
 敵の策略とはいえ、この一連により感情を半ば獲得した銀髪ナーガ青年が、善悪はあざなえる縄のごとしで、その後はヘビツカイシルバーのみならずヘビツカイメタルにも2段変身できるあたりもカッコいい。


 このあたりから、本作は怒濤の展開となっていく――とはいえ、基本は作風を過剰に重たくせずに、イイ意味でユルめのズッコケ劇に留める印象ではあるけれど――。
 おそらく予算の問題&レギュラーが多数であることから、ほとんどゲストは出演しなかったが、その代わりにレギュラーたちの過去設定を深掘りするかたちでドラマを構築する。
 ワシピンクとオリオン号とのなれそめ。オレさまホウオウソルジャーが失った不死の力にまつわる事項。岡元次郎さん演じる黒牛ロボット戦士の産みの親こと子供ばんど出身のうじきつよし演じる狂気のアントン博士や、300年前に黒牛が残ったことによる再改造やそれに伴なう暴走の可能性。300年前にツルギとともに最終決戦を戦ったカラス座の戦士との因縁。
 そして、シシレッドが自身も知らなかった亡国の王族の出であり、父王の闇落ち(!?)や、宇宙か父かで懊悩させる展開でも盛り上げる! 父王・アスランは『3年B組金八先生』第5シリーズ(99年)以降の熱血教師のセルフパロディとおぼしき、悪気はナイけどカラ元気・カラ回りした若手教師役の印象が世間では強いと思われる、少々フケてきた中堅の山崎銀之丞が演じることで、盤石とはいえなくても相応の重みは出せていた。


 金と銀、黒とオレンジ、オレンジと空色戦士との特別な紐帯関係ネタなども再確認して関係性を強めていく。悪く云えば内輪ネタでグルグル廻しているだけだともいえるが、往年のVSOP(ベリー・スペシャル・ワン・パターン)と揶揄されていた時代の「戦隊」の素朴な良さもあるとは認めるけれども、基本設定・舞台設定・人物設定それ自体を煮詰めて練り込んで引き延ばして、連続ストーリーのメインストリームを作っていく作劇は、手前ミソで恐縮だが個人的には1990年代に夢見ていた子供向け特撮番組における理想の作劇術の実現でもあった。
 ……実現してみると、本作がワリとユルめな作風であることもあってか、そんなに喜びや興奮もナイけれど(笑)。けれども、決して悪くはない。


 母艦オリオン号が自我を得て特攻したあとは、オリオン座の今は亡きオライオンが秘かに建造していたという設定で、巨大棍棒を武器に「オ〜リオ〜〜ン」の雄叫びも印象深い、オリオンバトラーなるクリスマス商戦用巨大ロボに変型する紺色の宇宙戦艦・バトルオリオンシップが代替で登場。
 その艦橋は12人もの大所帯を収容でき、周囲の2階部分のカベに通路&階段も配置したオリオン号艦橋の巨大セットと同一だ。劇中でもあえて同一に改修したと言い訳されるが、予算的にも致し方ナイであろう(笑)。


敵首領とツルギの因縁劇! 敵首領とラッキーの対比劇!


 終盤はドン・アルマゲが鎮座ましますという、遠宇宙の南十字座の惑星サザンクロスを目指しつつ、それもフェイントで我らが地球の地こそが最終決戦の場となる。
 その過程で惑星サザンクロスが空洞惑星で、内壁に超近代的都市が乱立するSFビジュアルも見せつつ、ドン・アルマゲの最終目的が全宇宙の支配ではなく、全宇宙の消滅である! という、同時期放映の『ウルトラマンジード』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180213/p1)で悪のウルトラマンことウルトラマンベリアルさまが起動して多元宇宙のひとつを一度は破壊した超時空消滅爆弾のようなスケールの話にもなっていく!


 ホシ★ミナトごときの小物(失礼)に取り憑いていたことが発覚したことで、ドン・アルマゲは分身も憑依も自由自在であるらしいことも明かしつつ、最終的に現在のドン・アルマゲの正体は300年前のカラス座の非力な頭脳戦士であったと来たもんだ!
 正体を現した往年のカラス戦士が旧友・ツルギに向かって
「君は明るい人が好きなんだ。……なんかムカつくな!」
と叫ぶ姿に、子供のころからクラスの隅っこで生きてきた日陰者の筆者は大いに共感してしまうし、その世界破壊願望もわからなくはないのだが(笑)、だからといってそれを子供番組で倫理的に肯定したり、いわんや実現してしまうワケにもいかない(汗)。
 イタいところを突いてきつつも、それは寸止めに留めて、正義が最後に勝利するのが子供番組のセオリーであるべきだ。とはいえ、カラス戦士にケジメとしてトドメを刺すツルギにも、最後はカラス戦士のシミったれてスネた気持ちを理解させた作劇はポイント高いし泣けてくる。


 最終展開はさらなる二転三転があって、ドン・アルマゲのさらなる憑依や正体に――シシレッド=ラッキーの対極としての全宇宙の人々のアンラッキー(不運)の集合体であったとはウマい!――、シシレッド=ラッキーとホウオウソルジャー=ツルギの最終的な相克も描かれて、#1のシシレッド誕生シークエンスをリフレインするあたりもまた泣けてくる!


 古い話で恐縮だけど、『仮面ライダー000/オーズ』(10年)でおそらくメインライター・小林靖子が夏休み映画の『劇場版〜』の執筆での多忙の際の代打として早春放映回で登板したのが特撮作品デビューであった本作のメインライター・毛利亘宏氏だ。ゲストライターにありがちなアンチテーゼ編的な話で、カミさん&子供持ちの司法試験に落第しつづける人物が、行き過ぎて歪んだ正義感からバッタの怪人になって街の悪党どもにリンチを加えていく前後編であったと記憶している。
 当時のマニア受けはよかったような記憶があるけど、筆者はこんなカビ生えコケむしたような、「行き過ぎた正義の相対化」みたいなアンチテーゼ編なんて耳にタコだよなぁ、そろそろ相対化しようとしても相対化しきれずに最後に残るパンドラの希望みたいな「正義」とかに誰か言及してくれヨ! なぞとムズムズと不満に思ったものだけど。
 アレから10年弱が経ってみれば、「戦隊」のみならず東映変身ヒーローもののユルユル飛躍作劇(笑)を会得して、ワリとユルめな『宇宙戦隊キュウレンジャー』をメインライターとしてほとんどの話数を手掛けつつ、高らかに正義を謳いあげるかたちで仕上げてしまったこと自体には、往時のイメージとの落差ゆえかもしれないけれども実は好感をいだいてはいる。


 2010年代に入ってからも、三条陸・下山健人・香村純子と、新たに「戦隊」をメインライターとして支える脚本家陣が途切れなく登板してきた。本作の毛利同様、各作でほとんどの話数をものしてきた力量ある御仁たちでもあった。スーパー戦隊の将来もまだまだ盤石そうである。


(了)
(初出・『仮面特攻隊2018年早春号』(18年3月11日発行)所収『宇宙戦隊キュウレンジャー』完結合評1より抜粋)


『假面特攻隊2018年早春号』「宇宙戦隊キュウレンジャー」関係記事の縮小コピー収録一覧
週刊文春 2017年12月14日号 宇宙戦隊キュウレンジャー 赤と緑 同伴出勤 熱愛撮
スポーツニッポン 2017年7月23日(日) 宇宙戦隊キュウレンジャー THE MOVIE広告
・スポーツ報知 2018年1月22日(月) 満足初写真集 山崎大輝(ヘビツカイシルバー)


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