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ウルトラマンエース7話「怪獣対超獣対宇宙人」

ファミリー劇場ウルトラマンA』放映開始記念・連動連載!)


「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


(脚本・市川森一 監督・筧正典 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)
 特撮怪獣映画好きの人間にとってこれほど血湧き肉踊るサブタイトルが他にあるだろうか。
 妖星ゴランを迎撃するために発射されようとするミサイル・マリア1号(クリスチャンの市川らしい命名である)を破壊してゴランを地球に衝突させようとする幻覚宇宙人メトロン星人Jr.(ジュニア)、その混乱に乗じてヤプールに派遣された蛾(が)超獣ドラゴリー、ゴランの接近によって突如復活した巨大魚怪獣ムルチ二代目を相手に苦戦するエースを描いたラストはいやが上にも次回への期待を最高潮に高めさせる。


 しかしこんな王道作品でさえやれ「メトロン星人の造形が初代に比べてブサイク」だの、「ムルチの登場が唐突で必然性がない」だのと批判は根強い。だが幼いころを振り返ってみて、果たして我々は本放映当時にそんなことを考えながらヒーロー作品に接していたのか?
 メトロン星人は『ウルトラセブン』(67年)第8話『狙われた街』においてはウルトラセブンとのバトルは簡略化され、実は活躍の場面が意外に少ない。だが『帰ってきたウルトラマン』放映前の第2次怪獣ブーム勃発前に各社から発売された怪獣図鑑ソノシートなどでの決戦画報では露出度が非常に高く、当時からメトロン星人は『セブン』登場宇宙人の中では最も高い人気と知名度を誇っていたから、筆者も「あのメトロン星人が出る!」と大いに喜んだ記憶がある。
 今回再見してTAC本部内で(!)等身大の姿で暗躍する描写は紳士的だった初代とは異なって不気味な感じがよく出ており、造形云々以前にこれはこれでなかなか味わい深いものがあると新たな魅力を感じたものだ。


 まあ前作『帰ってきたウルトラマン』(71年)第33話『怪獣使いと少年』に登場した怪獣ムルチの再登場に関しては当時は第2次怪獣ブームの最中で人気のある怪獣は各地に営業に出たり、『レッドマン』(72年・円谷プロ*1)に出演したりで円谷プロの怪獣倉庫にまともな状態で残っていたのがムルチくらいしかいなかったからだろう。メトロン星人の造形にしても初代とはスタッフが異なるわけだしそんな裏事情はマニアである我々がいちばんよく知っているハズではないか(笑)。


 そんなことよりも大人の視点で本作を観るとやはり山中隊員と婚約者マヤの悲恋物語が印象に残る。言葉は悪いがああいうヤクザ系(笑・山中隊員役の沖田駿一は同時期放映の人気刑事ドラマ『太陽にほえろ!』(72年)によく悪役で出ていた。編註:70年代のTV版『座頭市』シリーズ(74・76・78・79年)、『銭形平次』(66〜84年)などのTV時代劇でもヤクザやチンピラ役でよく出ている〜)の者に限って女性に対してはとても優しいと相場は決まっている。メトロン星人の攻撃で負傷して入院したマヤに接する態度は北斗に対するものとはまるで違う(笑)。
 山中が爆発の炎の中から必死で助け出したマヤ(実は死体に乗り移ったメトロン星人だが)との愛。マヤがメトロン星人ではないかと疑い銃口を向ける北斗。その北斗の銃を撃ち落す山中。北斗と山中(&TAC隊員)の対立。ただひとり北斗を信じる夕子の健気さ。様々な想いと愛のかたち、そしてその相克。女性ならではの機転でマヤの正体を見破ることに成功する夕子であったが、それもドラゴリーを封じ込めるためにエースバリヤーを使用してエネルギーを失って倒れた際に北斗が夕子を最大限に気遣ったためでもあろう。大怪獣映画と恋愛ドラマの華麗なる融合。いやあ、凡百のトレンディ作品観るよりよっぽどいいや(笑)。



<こだわりコーナー>
*マヤを演じた関かおりは『シルバー仮面』(71年)第14話『白銀の恐怖』(脚本・市川森一 監督・山際永三)においては東京攻撃を狙うノーマン星人によって殺害され、シルバー仮面に変身する春日光二を上越高原におびき出すために利用されるアヤ子という娘を演じているが、ほとんど今回と同じような役回り。
 関は当初南夕子役の候補であったが、バレエのレッスン中の骨折で降板している。今回再見した限りでも関は薄幸の美女という印象であり、夕子のイメージにはほど遠い趣だ。今(05年)で云うと少し前の小西真奈美といったところか(笑)。もっとも小西はそのあとブレイクを遂げているが、関はそのあと仕事に恵まれたのか気になるところだ。
 ただもし関が夕子を演じていたらひょっとしたら夕子は月に帰ることもなく、最終回に至るまで北斗と合体変身を続けていた可能性もあったかもしれないのだ。これに関しては次回に譲りたい。


*『A』では初期作品から『セブン』のBGM流用がやけに目立つが、今回は『セブン』の代表的な宇宙人であるメトロン星人が大活躍する話だから至極当然の措置と云えるだろう。
 ちなみに作曲者の冬木透はキングレコードが79年に発売した『ウルトラオリジナルBGMシリーズ② ウルトラセブン<冬木透の世界・1>』のライナーノーツのインタビュー中で次のように語っている。
 「『帰ってきたウルトラマン』や『ウルトラマンA』に『セブン』の曲がチラチラと顔を出すのも結局予算の関係でね。僕はねえ、前の作品の音楽を流用するなんて大嫌いなんですよ。子供たちはちゃんと覚えてますからね。もっとも話の中にセブンが出てくるんならいいんですけど」
 ただし当時はマニア社会が勃興しはじめた時代で、『セブン』至上主義が最も強かった時期なので、旧作BGM流用への第1世代マニアの苦言を聞いていた冬木のリップサービスが入っている可能性もある(BGM流用は、ジャンル作品に限らず一般のTVドラマや時代劇でも当時は普通のことだったのだから)。


*妖星ゴラン迎撃ミサイル・マリア1号の発射基地の、ミサイルと建造物のミニチュアが凝っている。メトロン星人Jr.によるマリア1号と建造物の破壊と爆発、実景との合成にも注目。
*特撮同人誌『夢倶楽部VOL.8 輝け!ウルトラマンエース』(94年12月25日発行)によれば、東宝特撮映画『宇宙大戦争』(59年)に登場したロケット発射台のミニチュア、円谷プロのテレビ特撮『マイティジャック』(68年)のフィルムが流用されているとのこと。
*惑星を破壊できるミサイルが地上で爆破されても、大惨事が生じないのはご愛嬌。瑕瑾(かきん)だが、とはいえ子供のころにこの不整合に気付いた人間はほとんどいなかったのではないかと思われる。それでも文句があるなら、数々の傑作をものしてマニアが崇め奉ってきた本話の脚本家・市川森一センセに云ってくれ。
 (後日付記:核兵器のように、核物質を取り囲んだ通常爆弾をミリ秒単位で同時に爆発させなければ(爆縮という)、核反応・核爆発は起きない、というような原理であるならば、本話のこの描写に何も問題はない……まあ作り手はそこまで考えてないだろうということは置いといて・笑)
*TAC基地の近くに現れるメトロン星人Jr.と超獣ドラゴリー。第3話に続いて、二度目のTAC基地の襲撃だ。


*今回の変身は、北斗と南が向かい合ってジャンプするいつものパターンではなく、北斗が先にジャンプ、後ろについてきた南がつづけてジャンプ。ウルトラタッチの空転映像は、右側半分のみいつもの空転バンクを時間差をつけて重ねることで2人がタッチしたことにするという、またまた変則的なパターンで魅せている(ウルトラタッチの掛け声はなし)。本話での2回目の変身時も、接近する超獣ドラゴリーを前にして左右に一度散開する北斗と南という合成場面。ドラゴリーVSメトロン星人Jr.の東西対峙をバックに、豆粒大の北斗と南が左右からジャンプして上昇していく映像なども見どころだ(こちらもウルトラタッチの掛け声はなし)。


*マリア2号の設計図もまた、メトロン星人Jr.のTAC本部基地潜入の破壊工作によって焼けてしまう。兵器開発研究員・梶は、「しかし、もう1枚は無事ですよ」と云う。笑顔で頭を指差して、「残ってますよ、この中にね」。……カッコいい〜!! 正規隊員でもないのに、梶研究員はけっこうオイシいキャラだ。なお今まで研究職が着用するただの白衣姿だった梶研究員は、本話からクリーム色の独自の隊員服を着用するようになる。それがまたカッコいい(笑)。


*視聴率18.3%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


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*1:日本テレビ『おはよう! こどもショー』(65年〜78年)の中で放送された5分間の帯番組。『ウルトラファイト』(70年)同様に新ヒーロー・レッドマンを屋外でアトラクション用の怪獣と戦わせた「ドラマ」のない怪獣番組であるが、『帰ってきたウルトラマン』後期に撮影に使用され、さほど損傷のひどくない怪獣たちも多く登場しているので資料的価値は十分にある。
 ちなみに『ウルトラファイト』ではTBSのアナウンサー・山田二郎が実況を担当していたが、『レッドマン』では冒頭と最後に「怪獣おじさん」が出てきて登場怪獣の紹介をしていた。もっともこの怪獣おじさんのファッションセンスはどちらかと云えば「レゲエのおじさん」みたいだったが(笑)。