假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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電磁戦隊メガレンジャー賛否合評 〜正義感より好奇心の作劇的利点 メガレッド伊達健太!

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 『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)#39「どうして? 俺たち高校生」――サブタイトルのパターンは毎度おなじみ原典作品へのオマージュ――に、『電磁戦隊メガレンジャー』(97年)のメガレッド・伊達健太(だて・けんた)こと大柴邦彦が登場記念!(『ゴーカイ』#39の内容・作劇も、細部に至るまでよかった!) とカコつけて、『電磁戦隊メガレンジャー』合評を発掘UP!


電磁戦隊メガレンジャー』賛否合評 ~正義感より好奇心の作劇的利点!


電磁戦隊メガレンジャー 〜合評1

(文・T.SATO)
(1998年上半期執筆)


 97年度特撮作品ランキング。私的には2位!


 本来あるべき『高速戦隊ターボレンジャー』(89年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191014/p1)がここにある! ……って、『ターボレンジャー』も充分スキだけど。(後日注:『ターボレンジャー』も高校生戦隊であったので・汗)


 同時期放映の東映メタルヒーロー(?)『ビーロボ カブタック』(97年)も悪くないのだが、善悪の対立がありヒロイックな高揚があるという一点で、個人的には本作の方により魅かれる。無論そのことは作品の質の上下ではない。単なる個人の好みである。


 自身が80年代前半、リアルロボットアニメ至上主義者(それもまた今思えば素朴な嗜好の在り方なのだが)であった反省もあり、80年代後半以来の約10年、子供番組はマニアの視点ではなく子供の視点で観るべきだと主張しつづけている。が、かといってある程度まではそれは可能だけど、最後の最後で子供の視点になりきれないのもまた事実。


 『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)や『新世紀エヴァンゲリオン』(95年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220306/p1)などのSFチックでハイブロウな方向性でこそないものの、『電磁戦隊メガレンジャー』(97年)におけるていねいな高校生生活の描写――最終回までイレギュラーに登場しつづける級友や担任など――もまた別な方向でマニアックなものであることは間違いない。
 それらの描写に偏りすぎても、幼児が観たいものとは遊離していくことは充分に筆者もわかっている(ヒーローやメカや怪人以外、幼児はあまり関心がないであろうから・笑)。


 でも、その危険性を理解した上で、あえて云う。幼児ではない今の筆者の感性では本作は大スキだと。オシャレでハイソでクールでハイブロウであるかはともかく、人間ドラマ的にも人物描写的にも連続ドラマ性においても最終展開でそれまでの主要人物たちが結集する描写においても、同時期放映で特撮マニア間で大絶賛されている『ウルトラマンティガ』よりもはるかに上であると!


 ……こう書くとドラマ的・テーマ的に『ウルトラマンティガ』よりも本作の方が優れているという旧態依然のモノサシで『メガレン』を持ち上げようとしているように見られそうだが、さにあらず。本作はテーマやドラマを幼児がアキてしまうような手法では展開せずに、退屈させない活劇の中にたくみにまぶして、アクションの高揚と敵を倒すカタルシスをもたらす娯楽活劇作品、たとえ児童はともかく幼児にはその高校生活描写がわからなかったとしても視聴するのに問題はなく(つまり、同時に大きなお友だちにも楽しめて・笑)、子供番組としても十二分に優れていて、その節度を守っていたとも思うのだ。


 日本の特撮ジャンル作品はここまで、巧妙に作劇されるように進化した! それと比すれば、平成ウルトラ作品も悪くはないけど、80年前後のマニア評論の「大人の鑑賞にも堪えうる」(笑)とかの論法にいまだ留まった次元での、ハイブロウぶった作劇にすぎなくて、それをすでに乗り越えている90年代後半の東映作品の作劇の方に個人的には軍配を上げたい。


(了)
(初出・特撮同人誌『年刊ボイスだい4ごう』(98年8月14日発行)「97年特撮ランキング」より抜粋)


(厳密には少し加筆(汗)。ちなみに97年の私的1位はNHK教育テレビの小学校高学年向け道徳ドラマ『虹色定期便』。2位は本作。3位は『モスラ2 海底の大決戦』。4位『ウルトラマンダイナ』。5位『ゴジラアイランド』。……どうぞバカにしてやってください・笑)


電磁戦隊メガレンジャー 〜合評2

(文・ヤフール)
(1999年7月執筆)
(『救急戦隊ゴーゴーファイブ』前半総括 「1999−9955!? 〈救急戦隊ゴーゴーV論〉」より、『メガレンジャー』に言及した箇所のみ抜粋)


 『メガレンジャー』は作品のコンセプトが、「正義感より好奇心で戦うヒーロー」というものだった。このコンセプトは武上純希氏のカラーではなく、東映側のプロデューサーである高寺成紀(たかてら・しげのり)氏によるアイデアのようだ。「正義感より好奇心で戦うヒーロー」というコンセプトは平たく言えば、「熱血ヒーローの否定」である。


 「正義感より好奇心で戦うヒーロー」とは、メガレンジャーには正義感がないのだとか、正義感を持って戦ってはいないのだということではない(笑)。「正義感より好奇心で戦うヒーロー」という文句の「正義感」とは、「使命感」という言葉に置き換えられるだろう(何なら「義務感」と言い換えてもよい)。勧善懲悪のヒーローものにおいて、ヒーローは「使命感」によって戦っている。この部分は特に70年代のヒーローもので描かれ、それが数々の名ドラマを生み出していった。


 60年代のヒーローはどういう理念と内面で戦っているのかさえ描かれないものが多く、この「使命感」によるヒーローの苦悩は70年代のヒーローものを象徴するものとよくマニアの間で言われることだ。


 しかし、この「使命感」というものは、一見大変善意に満ちたもののように見えるが、非常に意地悪く言えば、70年代のヒーローたちは嫌々ながらも仕方なく戦っていたと言えなくもない。無論、戦うことは本来平和とは相反する行為なので、あまり面白がってもいけないのである。よって嫌々ながらも仕方なく戦っていた70年代のヒーローたちは、やはり平和を愛する正義の人たちだった。


 だが、別の見方をすればヒーローの戦いは人助けのために戦っているのだから、それを嫌々ながら仕方なくやられてしまうのは、ある意味ヒーローが守るべき一般市民に対して失礼だとも言えなくもないのである。


 ヒーローが「使命感」に燃えた時は、「ほんとは戦いたくないんだけど俺が戦わなきゃ罪のない人が犠牲になってしまう!」と思う。これが70年代ヒーローの「使命感」である。このことから70年代ヒーローは苦しみながら戦う決心をしていると分析できる。
 この70年代のヒーローの苦しみながら戦う決心というのは、「熱血」という言葉にも置き換えられる。苦労を感じつつも使命や目的を果たそうと奮起する時に人間の感情は熱くなる。これが「熱血」なのである。スポコン(スポーツ根性もの)が特訓による苦労を克服するドラマであることからも分かるように、いわば「熱血ドラマ」というジャンルは「苦労人のドラマ」である。


 しかし、人助けをすることに70年代ヒーローたちは苦労を感じていたということは、彼らは人助けをすることに本当は心の底からの喜びを感じていないのではないか、などとひねくれた筆者のような人間は思ってしまうこともしばしばである。
 そうは言っても実は筆者、この70年代ヒーローの苦悩のドラマというのが大好きで、この部分を徹底的に描いたといえる『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)や『鉄人タイガーセブン』(73年)の後半なんかは特に思い入れがあるのだから我ながら勝手なもんである。いや、筆者が70年代ヒーローたちの苦悩に横槍を入れるのも、いわば彼らに対する屈折した愛情の裏返しなのである。


 この70年代ヒーローの苦悩は、その後80年代以降になると半ば慣習化してヒーロー作品に存在することになる。というのも、やはり戦うことは命懸けなのだから、戦いに苦労を感じるということは実に自然な人間心理である。なので、ある意味ヒーロー作品の中において、70年代ヒーローの苦悩は普遍的なものとして定着することになるのは当然であった。



 しかし先に述べたように、『メガレンジャー』は「正義感より好奇心で戦うヒーロー」というコンセプトである。このコンセプトは、『メガレンジャー』は戦うことを楽しんでいるというものだ。戦うことを楽しんでいるというのはある意味好戦的ではあるが、裏を返せば『メガレンジャー』は(戦うことに伴うスリル感なども含むが)人助けをするためなら躊躇なく戦場に赴き、そのことに心から喜びを感じている数少ないヒーローだったといえる。


 そういう意味では『メガレンジャー』は悪者に被害にあっている一般市民に対して失礼ではない珍しいヒーローだったのである。そして、この好奇心で戦うヒーローというコンセプトは、同時にヒーローの「熱血」という感情をあまり描かないということになり、これによって『メガレンジャー』はドラマにおけるヒーロー自身の心理描写が従来のヒーロー作品とは大きく違ったのである。それによって『メガレンジャー』は従来のヒーロー作品とはややニュアンスの異なる人間ドラマを展開した異色の作品となった。


 筆者は熱血ドラマも好きだが、これはこれで魅力を感じた。ヒーローが命懸けの戦いに苦労を感じず(つまり熱血しないで)、戦いのスリルも含めてゲーム感覚で、人々を守るための戦いを楽しんでいるというのは不自然な心理である。
 これによって『メガレンジャー』は作品世界がある意味リアリティーのないものになってしまった(そもそも高校生が戦士に選抜されて、高校をやめずに学生生活もエンジョイしながら戦っていること自体がリアルではないのだが・笑)。しかし、なにもリアリティーばかりが大事でもあるまい。


 また、ヒーローが熱血しないことにより(厳密には熱血もしているのだろうが、そこに余裕が漂うことにより)、ドラマのテンションが若干(じゃっかん)低い印象を感じる時もしばしばではあった。が、筆者はこの部分も慣れるとこの軽妙さが魅力的に思えるようになってしまった。



 先に述べた『ゴーゴーV』にはない『メガレン』の挑戦的なものとは、この「熱血ヒーローの否定」という点であった(「否定」という言葉が不適切ならば「熱血ヒーローからの離脱」と言い換えてもよい)。この要素は、戦隊シリーズのみならず特撮ヒーローものそのものの中でも異彩を放っていた異色のコンセプトであった。


(了)
(初出・特撮同人誌『假面特攻隊2000年準備号』(99年8月14日発行)「救急戦隊ゴーゴーファイブ」合評3より抜粋)


スーパー戦隊アクション監督興亡史 [山岡戦隊]×[竹田戦隊]!

(文・伏屋千晶)
(2002年執筆)

電磁戦隊メガレンジャー」(1997)編


 本来ならば、前作『激走戦隊カーレンジャー』(1996・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110521/p1)が一般的な人気の面で『ウルトラマンティガ』(1996)に大きく水をあけられてしまった点を潔く反省し、(一面的には面白いけれど)著しく「軟化」した戦隊ポリシーの“立て直し”を図るべきだったのに、性懲りもなく、昨年同様の〔等身大のヒーロー〕路線を一歩押し進めた「高校生戦隊」の設定で『電磁戦隊メガレンジャー』がスタート……


 ですが、『超光戦士シャンゼリオン』(1996)を終えた[長石多可男]監督が久々に「戦隊」のメイン監督に返り咲いたのもナンだか虚しくて、個人的には、なんとな〜く最初からノレない作品でした――ナニが悲しゅうて、今さら特撮ヒーロー番組の中で“学園生活ドラマ”を見せられにゃならんの? ボク達は、「カッコいいバトル」が見たいから、ヒーロー番組にチャンネルを合わせるワケでしょ。


――別に“怪獣(怪人)殺しショー”が見たいんじゃない、その難敵(怪獣・怪人)に立ち向かう物語のプロセスに於ける、視覚的に派手なアクション&特撮技術を駆使した“拙くとも創意工夫に満ちた”映像表現の愉(たの)しみを存分に味わいたいのだ/特撮ヒーロー番組は、社会道徳や生き方を学ぶ「人生のバイブル」ではない。世の教育評論家やPTAのお歴々の皆さんから“暴力的”“低俗”“百害あって一利なし”などと罵られ蔑(さげす)まれ、槍玉(やりだま)に挙げられるような番組ほど、子供時代のボク達は熱心に視聴し続けていたワケだし、それでこそ「子供向けエンターテインメント」の本懐というもの/幼少期の記憶を捏造(ねつぞう)して、特撮作品を必要以上に神聖化して崇めるような愚かなマネは、もう止めようではありませんか!――



 まア、番組の出来の善し悪し、内容の好き嫌いはともかく、#8から[日曜/午前7時半〜8時]に放映枠が移動したことが功を奏して、平均視聴率はある程度まで回復したそうですし、ソフトなドラマ作りで「女性視聴者層」を引き込む基盤を作ったのも事実ですから、戦隊ヒーローのカラーを意図的に変質させた『メガレンジャー』の趣旨はある程度評価するべきなのかも知れませんが……。


 敢えて言わせて貰(もら)いますと、同作品の“ブレーキ”になっていたのは、実のところ、表層的な「作風の軟化」ではなく、竹田道弘アクション監督の「無気力な殺陣」でした。


 東映メタルヒーロー重甲ビーファイター』(1995)の好評で、再び株を上げた竹田道弘氏が、戦隊シリーズに三度復帰(しぶとい!)……


――『ビーファイター』が好評を博した本当の理由は“昆虫キャラ”人気のお陰でした/番組開始当初、製作側からは、インセクトアーマーの「重厚さ」を表現するために“やたらに飛んだり跳ねたりする”戦隊アクションとは一線を画する“重々しくて力強い”立ち回りを要求されていたにも拘らず、竹田氏は従来通り“スピード感”を身上とする自己流で押し通してしまったとか――
 


 ですが、主役ヒーローを務めた経験を持つトップ・クラスのスーツアクター


・横山一敏=メガレッド
・岡元次郎=メガブラック
高岩成二=メガブルー


 をせっかく3人も揃えたにも関わらず、相変わらずメリハリに欠ける“淡白な”アクションを無為に繰り返す有様で、マコトに失望させられました。


 殊に、ゲーム画面との「合成カット」がメインとなった#1のバトルでは、合成カットの使い方の拙さ・アイディアの貧困ぶりをモロに露呈しており、本当にもゥ愛想を尽かしちゃうゾ〜!


――カメラワーク・カット割り・合成・編集といった「映像的な技術」を効果的に活用することが苦手な竹田氏の資質は、“実演”即ち“ライブショー”の演出の方が向いていると思うのですが……――


 兎(と)にも角(かく)にも、名実共に当代随一のスーツアクターとなった岡元次郎氏を、殆(ほとん)ど有効に使いこなせなかった竹田氏の罪は重い。昨年と今年(2001〜02年)の劇場版用オリジナル・ライダー〔仮面ライダーG4〕(『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』(2001・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011104/p1))&〔仮面ライダーリュウガ〕(『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』(2002・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021104/p1))役で披露された、岡元氏の素晴らしい「肉体の表現力」を目の当たりにした方々には、私の憤慨も十分に納得して貰えるのでは?



 とは言え、シリーズ終盤をモリモリ盛り上げた〔邪電戦隊ネジレンジャー〕はカッコよかったですねー。


 もっとも、ネジレンジャーには『五星(ごせい)戦隊ダイレンジャー』(1993・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111010/p1)のメンバーが3人


・ネジレッド=大藤直樹〔リュウレンジャー〕
・ネジブルー=石垣広文〔キリンレンジャー〕
・ネジイエロー=蜂須賀昭二〔テンマレンジャー〕


 も含まれている上に、マスクは『鳥人戦隊ジェットマン』(1991・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1)(アトラク用レッドホーク)の改造だったので、密かに彼らを応援していたファンは多かった筈?


 ネジイエローの声がTVアニメ『美少女戦士セーラームーン』シリーズ(1992〜97・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)のお姉さま〔セーラーネプチューン〕役の勝生真沙子(かつき・まさこ)氏だったのも高ポイントです。



――上記の如く、『メガレンジャー』のアクションには個人的には不満だらけだったのですが、唯一、小柄ながらもキビキビと動き回って頑張っていた〔メガピンク〕=[神尾直子]氏には好印象を抱いていておりました。


 従来のピンクには見られなかった“どことな〜く滑稽”で“愛嬌のある”独特のニュアンスを醸し出す神尾氏特有の動作がケッサクで、〔おつむがチョット足りない(?)けど、明るく元気な今村みく〕のキャラをほどよく膨らませた演技プランは見事!


 成長を促進させる液体を浴びて“無敵のスーパーメガピンク”となった#17「すごすぎ! いけてるスーパーみく」での、他の4人の武器を軽々と使いこなし、単独でガマネジレを倒してしまった大活躍や、#29「やせたい! みくの怪しいダイエット」での、変身して出動する途中でタコヤキに見惚れてしまったおマヌケぶり、ブタネジレを倒した後のマッチョな決めポーズなどが印象に残っています。(前年度の『カーレンジャー』の敵戦隊[暴走戦隊ゾクレンジャー]の〔ゾクピンク〕での“ひょうきん”な演技も、イイ味を出してましたねー)



 『メガレンジャー』終了後、神尾氏は、『カーレンジャー』で正義の宇宙人の後見人〔ダップ〕役を好演した[田邊智恵(たなべ・ちえ)]氏


――『地球戦隊ファイブマン』(1990)のサポートロボ〔アーサーG6〕役でデビュー、
・『鳥人戦隊ジェットマン』(1991)の〔早坂アコ(内田さゆり)の吹替〕、
・『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992)の〔メイ(千葉麗子)の吹替〕、
・『特捜ロボ ジャンパーソン』(1993)の〔キャロル〕(ガンギブソンのパートナー)、
・後楽園ゆうえんち「ダイレンジャーショー」の〔阿古丸〕、
・『忍者戦隊カクレンジャー』(1994)の敵戦隊〔花のくノ一組“蘭”〕、
・『超力戦隊オーレンジャー』(1995)の巨大ロボ〔タックルボーイ〕(横山一敏氏演じる巨大ロボ・オーブロッカーとの身長差にビックリ仰天)を経て、
・ご存じ『カーレンジャー』の〔ダップ〕役で好評を博した――


 と共に、小学生なみに“小柄な”彼女らが持ち味とする、コミカルで愛嬌のある演技力を最大限に発揮して、コメディー路線に転じた『ビーロボ カブタック』(1997)〜『燃えろ!! ロボコン』(1999)で大活躍!


 身長の低さがネックになって適役に恵まれなかった2人が、逆に「小柄な体格」を武器にして新境地を開き、見事に「主役」の座を獲得した訳です。



 その極め付けはOV『燃えろ!! ロボコンVSがんばれ!! ロボコン』(1999)で、“ちっちゃいキャラ”の権威となった御両人が新・旧のWロボコンを演じ、息の合った演技の掛け合いを見せてくれました。


 それにしても、〔ダップ〕の好演により〔カブタック〕役に抜擢された田邊智恵サンって、まるで〔カネゴン〕のユーモラスな演技が認められて〔ブースカ〕役に起用された[中村晴吉]氏みたい…… って、譬え(たとえ)が古過ぎてスミマセン。


――田邊氏は昨2001年、結婚して引退されましたが、義理堅い彼女は身重(みおも)であったに拘らず、お腹が大きくなって動けなくなるまでスタントの仕事を続けられたそうです。一方、『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110822/p1)の女敵幹部フラビージョの300%の能力を持つ敵怪人〔フラビジェンヌ〕役で、相変わらず軽妙な演技を見せてくれた神尾氏も、今年(2002年)、ハリケンレッド役の福沢博文氏と結婚されました。コングラチュレーション!――



 東映の新進気鋭・高寺成紀(たかてら・しげのり)P(プロデューサー)の主導の下で、従来の作劇パターンを全面的に否定されて“独自の輝き”を失ってしまった戦隊シリーズに幻滅した私は私事で恐縮ですが、その反動(?)で「歌って、踊って、“戦う”」という前例のないキャラクター・ミュージカルのスタイルを確立し、原作&アニメとは別の次元で安定した人気を獲得した『ミュージカル 美少女戦士セーラームーン』(1993〜)に次第にハマり始めていました。


 特に96年度夏公演『セーラースターズ』は最高傑作の呼び声も高く、屈指の戦闘テーマ曲「ラ・ムーン」をBGMにして出演キャスト総動員で展開される大詰めのバトル・ロワイアル =[太陽系10戦士(セーラー10戦士) + スリーライツ(セーラースターライツ3戦士) + タキシード仮面(総勢14名)] × [銀河最強(?)のギャラクティカ軍団(総勢10名)]の場面には、高寺氏が主導権を握った後の戦隊シリーズが放棄してしまった“スーパーヒーロー魂”が、満々と横溢(おういつ)していたのです!


(市販されている本公演を収録したビデオ商品は、カメラワーク&カット割りが最悪で、その粗雑な映像からは本来の魅力の一割も伝わりませんので、ビデオだけをご覧になって誤解しないで下さいネ)



 因(ちな)みに、『セーラームーン』の初期公演(1993〜97)には「アクション監督」なるポストが存在し、


・93〜94年度を[山田一善]氏(『世界忍者戦ジライヤ』(1988)、『シャンゼリオン』、『仮面ライダークウガ』(2000)、『仮面ライダーアギト』(2001・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011108/p1)等の擬闘を担当)、
・95〜96年度を[西本良治郎]氏(『超人機メタルダー』(1987)、『電脳警察サイバーコップ』(1988)等の擬闘を担当)、
・97年度を[柴原孝典]氏(『太陽戦隊サンバルカン』(1981・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120206/p1)のバルシャーク、『大戦隊ゴーグルファイブ』(1981)ゴーグルブルー、『科学戦隊ダイナマン』(1983)のダイナイエロー、宇宙刑事シャイダー(1984)を演じた後、独立してスタントチーム「WILD(ワイルド)」を結成)


 など、第一線級の殺陣師(たてし)の面々が歴任され、ヒーローショーばりの激しいバトルが繰り広げられていました。



 また、『シャンゼリオン』のオープニングテーマ「OVER THE TIMES 〜時を越えて」を唄った女性歌手[MISA](ミサ)とは、2代目セーラーマーズを演じた[小谷みさこ]氏の変名です。


 一方、前年度半ばでTVシリーズ『カーレンジャー』のアクション監督を辞した山岡淳二氏は、後楽園ゆうえんち野外劇場に復帰し――『光(ひかり)戦隊マスクマン』(1987)〜『忍者戦隊カクレンジャー』(1994・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120109/p1)期は竹田氏、『超力戦隊オーレンジャー』(1995・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110926/p1)以降は新堀和男氏が演出を担当していた――、カーレンジャーショー正月公演「エンジン全開! 勝利のVサイン」(1996年12月〜97年2月)〜タイムレンジャーショー最終公演「さよならタイムレンジャー 最後の変身!!」(2001年2月〜3月)の5年間、TVシリーズでも歴代レッドを演じた演出の新堀和男氏の後見人としてプロデュース(総監督)を担当されました。(2002年現在もスカイシアターのショー演出を、イレギュラーで担当されているらしい)



 メガレンジャーショー正月公演『レッド大会』(1997年12月〜98年1月)では、客演の直前5作品の歴代レッド5人[『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120220/p1)のレッド・ティラノレンジャー〜『激走戦隊カーレンジャー』(1996)のレッドレーサー]の華麗なバトル・メドレーによるボルテージの高いステージを披露し、TVキャストの客演に依存する必要など全く無かった往年の野外劇場の“勢い”と“冴え”を偲せてくれました。


(そう言えば、TVキャスト出演のメガレンジャーショー秋公演『輝く新戦士! メガシルバー参上』(1997年10月〜11月)初日の客席の中に、カメラ小僧の一群に混ざって長いタマ(望遠レンズ)を着けた一眼レフを構えていた高寺Pの姿を発見した時には、思わず……


 オ〜ッと、剣呑(けんのん)、剣呑。また、生真面目な『仮面ライダークウガ』(2000・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001111/p1)ファンに怒られちゃうから、ヤメたっと)


(了)
(特撮同人誌『仮面特攻隊2003年号』(02年12月29日発行)『全スーパー戦隊アクション監督興亡史』大特集より「電磁戦隊メガレンジャー」の項を抜粋)


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『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』(19年)評 ~『恐竜戦隊ジュウレンジャー』後日談を観たくなったけど、コレでイイのだろう!?

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『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19年)中盤評 ~私的にはスッキリしない理由を腑分けして解析。後半戦に期待!

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『魔進戦隊キラメイジャー』(20年)最終回・総括・後半評 ~「仲間」を賞揚しつつも「孤高」「変わらないこと」をも肯定!

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『機界戦隊ゼンカイジャー』(21年)論 ~『ゼンカイジャー』を通じて「スーパー戦隊」45年史の変転も透かし見る!

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洋画『パワーレンジャー』(17年) ~戦隊5人に「スクールカースト」を色濃く反映! 「自閉症スペクトラム」青年も戦隊メンバー!

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パワーレンジャーFOREVER RED』(02年) ~坂本浩一監督作品・戦隊を逆照射!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080518/p1