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魔法使いの嫁・色づく世界の明日から ~魔法使い少女にコミュ力弱者のボッチ風味を加味した良作!

『せいぜいがんばれ!魔法少女くるみ』『魔法少女 俺』『魔法少女特殊戦あすか』『魔法少女サイト』『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』 ~爛熟・多様化・変化球、看板だけ「魔法少女」でも良作の数々!
『ブレイブウィッチーズ』『ガーリー・エアフォース』『荒野のコトブキ飛行隊』『終末のイゼッタ』 ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2020年10月から深夜アニメ『魔女の旅々(たびたび)』(良作!)が放映開始記念! とカコつけて……。


 「魔女」と「魔法少女」に厳密な線引きは付けられないけれども、やや呪術的/ややポップといったグラデーション・濃淡といったかたちでのなだらかな差異ならばあるハズで、ここでは「魔法少女」よりも「魔女」寄りのキャラクター設定作品! ということで、『魔法使いの嫁』(17年)・『色づく世界の明日(あした)から』(18年)評をアップ!


魔法使いの嫁』・『色づく世界の明日から』 ~魔法使い少女にコミュ力弱者のボッチ風味を加味した良作!

(文・T.SATO)

魔法使いの嫁

(2017年秋アニメ)
(2017年12月26日脱稿)


 人の心が読めてしまい、幼児の時分だからそれを口にしてしまったばかりにクラスで(ひとり)ボッチになってしまった少女を描いた『琴浦さん』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)どころではない。
 行く先々で不気味なゾワゾワとうごめく死霊や悪霊に人外の魔物が霊視できる女児であったせいか、心労で心を病んだ両親や親戚家族が離散や投身自殺(!)までをもしたとおぼしきで(汗)、親戚をたらい回しにされてきた赤髪ショートの女子高生・チセ。
 常に伏目がちでオトナしく、一応主人公補正で美少女ではあるけれど、眼の下には不健康なクマがある(汗)。


 もうドーにでもなれとばかりに、投げやりにも鎖が付いた鉄の首輪と手錠を付けて人身売買オークションに出た彼女は、頭部に両ヅノが生えた山羊(ヤギ)の頭蓋骨になっているナゾの長身の黒いコート&スーツ姿のイギリス紳士に高額で落札される。


 そして連れてこられた緑豊かな森林も近きイギリス紳士の旧邸宅。そこで奴隷として虐待されても、雨露がしのげる居場所さえ確保できれば……程度に思っていた彼女だけれども、紳士は意外にも彼女をていちょうに厚遇し、


「そんな異形(いぎょう)の力を持っていたことをいつの日にか赦(ゆる)せるようにする」(大意)


という言葉とともに、彼女を魔法使いでもある自身の弟子として育成するのであった……という深夜アニメ。


 この作品も#1からの吸引力がモノスゴい。日本にかぎらず古くて歴史のある都市にアリガチな狭くて曲がりくねった路地だらけのロンドンの裏通りを皮切りに、ウス暗い構内に日が差してホコリが浮かぶオークション会場やそこに集う怪しげな人々、対するに牧歌的な田園にたたずむ紳士の旧邸宅、一歩森に入れば陰鬱な濃緑でイタズラ好きな妖精たちが舞い踊る背景美術がもたらす風情といい、単なる設定の説明や段取りには留まらない、味わい豊かな物語叙述といったものにまで序盤を昇華できている。


 テイストとしては、魔物退治や事件解決といったカタルシスではなく、それらは出来事の背景にすぎなくて、主眼は赤髪少女と英国紳士との関係性&心理の変遷にあるような、冷涼かつ湿った香りが漂うダークファンタジーといった印象だ。
 生い立ち以前に元から性格が控え目で文系な彼女が、イイ意味でテンションが低くて落ち着いた空間で、やはり元々は妖精であるも等身大サイズの人間にしか見えない控え目な炊事家事全般を担当する家政婦の美少女ともども、居心地のよい静かな生活を確保していく……。


 近隣の森林やご近所で起こる、イタズラであったりやや悪質であったりする妖精との遭遇や、人間がいないところでは人語をしゃべっている猫たちに、人間には見えない妖精に憑りつかれているゲスト主役たちとの交流などを、ちょっとイイお話風につづっていく本作は実に味わい深いものがある。
 スペクタクルな要素としては、北極近きアイスランドにあるらしい人間には見えない巨大ドラゴンの国へ連れていかれて大空を雄飛したり、物理的な地底というよりも異次元・異界の地底といった感がある人間世界の常識や道徳とはちょっと異なる妖精の国へと赴いて人間大サイズの妖精の女王さまと出会ったり……。


 大人気魔法使い洋画『ハリーポッター』シリーズ(01~11年)などもそうだけど、こーいう作品を観ていると、日本のような多神教アニミズムの世界とは異なり、欧米は一神教絶対神の世界だとの一部の欧米かぶれの学者たちの言説がいかにウソであるかもよくわかる。
 キリスト教の厳密な教義から見れば淫祠邪教(いんしじゃきょう)になるハズの「魔女」だの「魔法」だの、キリスト教普及以前(!)からの民間伝承である「妖精」・「小人(こびと)」の類いが家屋や森林の中に平気で残っており、いわゆる日本神道と仏教が混在している神仏習合アニミズムの世界と変わらない(笑)。


 同名タイトルの映画3部作(OVAの先行公開)が新宿ピカデリー(旧・新宿松竹)で昨2016年夏・2017年冬・同年夏と公開されたことは、劇場で同作の予告編を観たことがある筆者も知っていた――第1部を見逃したので3作ともに未見(当時)――。
 一応の魔法少女モノである深夜アニメ『結城友奈(ゆうき・ゆうな)は勇者である』(14年)の前日談作品である『結城友奈は勇者である-鷲尾須美(わしお・すみ)の章-』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190926/p1)などとも同様、アチラも今流行りのTVアニメの序盤を先行して少数館で劇場先行公開したパターンだったのかと思いきや……。
 このTV本編よりももっと時系列が先の出来事となる番外編の内容であったようだ。本作は2クール作品のようだけど、製作スケジュールがキツくなって3話分くらいを落とすようなことがあれば(笑)、ぜひともその番外編もTVで放映してほしい。


 たまに点描される主人公の大ピンチに山羊アタマの英国紳士が現われてお姫さま抱っこで助けてあげる勇姿が、やはり生々しい男女の恋愛描写には疎外感をいだくであろうある種のオタク的・マニア的な癖(へき)を持つ女性たちにとっての、生グサさや照れクサさを緩和したかたちでのマイルドな恋愛風味のファンタジーといったイジワルな見方もできないではないけれども(汗)、もちろんそれが悪いワケでも鼻につくわけでも決してなく、程良い香辛料にはなっている。


 ググってみると、2010年代の創作系大手同人誌即売会――コミティアだよね?――にて商業出版社にスカウトされた御仁の同人漫画が本作のプロトタイプだとのこと。


 アニメ製作は同じく2010年代に設立されたばかりで、『進撃の巨人』(13年)や『甲鉄城のカバネリ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160502/p1)などの高作画ヒット作品を手掛けるWIT STUDIO。ロボットアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』(14年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191215/p1)でも下請けグロスでまるまるWITが『進撃』の荒木カントクともども手掛けた回(#10)の方が、元請けのサンライズ担当回よりも作画が良くてドーいうこと? と思ったものだけど(笑)。



魔法使いの嫁 Part 1 DVD アニメ [UK Import]

魔法使いの嫁 第1巻(完全限定生産) [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.80(17年12月30日発行))

後日付記:


 OVA3部作の方も後年、ネット配信サイト・NETFLIXにて鑑賞済。このOVAも悪くはないしもちろん良作だけど、TVアニメ版全話の方が神懸ったツカミの強い大傑作に仕上がっているとも私見。物語の時系列的にもTVアニメ版から鑑賞することをお勧め。


『色づく世界の明日(あした)から』

(2018年秋アニメ)
(2018年12月26日脱稿)


 銀髪ロングの美少女だけど、いかにも気弱かつシャイで薄幸そうで伏し目がちな制服女子高生が主人公。


 冒頭からして、地元の夏の夜の花火大会にひとり出向くも、遭遇した級友たちが気を利かして


「いっしょにどう?」


と声をかけたのに、


「先約がいる」


とウソぶいて断る姿は、身に覚えがアリすぎて胸がイタくなってくる(爆)。


 そんな彼女が「場所」を変えて――厳密には「時間」を変えて。満月の夜に祖母が放った時間跳躍魔法の力で――、60年前(=現代)の実家に下宿して母校に通うことで、「写真美術部」に集う仲間たちとオズオズと交流を深めていく。
 そして、そこに海外留学中であった女子高生時代の快活元気少女な祖母も帰国してきて……といった内容。


 そんな彼女は魔法使いの家系なので――自身は魔法が極度に苦手なれども――、本作は魔法少女モノともSFモノともいえるけど、それは表層部分の意匠・パッケージにすぎない。基本は『琴浦さん』『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(いずれも13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)や『君に届け』(09年)などの、(ひとり)ぼっちアニメの系譜に寄っているとも私見する。


 みんなといっしょにいてもコミュ力弱者なので、会話に割り込めず返答も滑らかにいかず、間が持たずに苦痛・拷問の時間となることがミエミエと本能的・直感的に看て取って、そこから退却すること自体は必ずしも間違いではない。一般ピープルにとってはともかく、ある水準以下の弱者にとっての「最悪」ではなく「次悪」を選ぶ賢明な処世術ですらある。テンションの高低や気が合わない御仁と、短時間だけリハビリを試みるのならばともかく、長時間いっしょにいるのは疲弊するだけなので、互いに避けるのが賢明でさえある。


 自身の芽が出ない土壌・畑でがんばるのは徒労だから、学校や職場の外で自身と同様の弱者(汗)が集う負荷がカルい場所を見つけて、そこでリハビリなりムリのない鍛錬を積んでマイナス100をマイナス50にすることで手を打ったり、あるいはひとりでヤリすごして耐え忍ぶことも決して悪いことではないと思う。
 むしろ、ひとりでも堪えて生きていけ! 「みんなと仲良くすべきだ!」なんてのはウソであって、過度な分断・闘争・殺し合い(笑)にならない範疇での「棲み分け」、距離を置くというのもオトナの知恵ですらある! と理論武装の方法も与えて応援したいくらいでもある。筆者個人もまたそーいう御仁たちの味方のつもりでいる(心の中だけで・笑)――コレを遠回しの自己憐憫・自己正当化ともいう(汗)――。


 ただまぁ、やはりそーいう生き方には一抹の淋しさが漂うのも事実ではある。コミュ力弱者に「心ある友人」が少数できて救いを得る。ウソ八百とはいわないまでもマレにしか実現しそうにない僥倖の物語で一時的な慰めを得ることを、全肯定はしないけれども全否定もできない。
――それを肯定し過ぎたらし過ぎたで、コミュ力弱者は必ずリハビリ・社会復帰をするべきだ! という「かくあるべし」的なプレッシャーになってしまって、また別の問題が生じてくるであろう。バリバリの社会復帰の方にも振れない、バリバリの孤独の方にも振れない、この永遠につづくであろう人生のバランス取りが肝要である――



 60年前にタイムスリップしつつも、そこは60年前の実家ではなく、本作の副主人公となる同学年の男子高校生クンの留守宅だと設定して、そこで美術をたしなむ彼が描いた絵画を目撃して、実は色盲心因性)の彼女がビビッと来ることで、ふたりの慎ましやかな接点も確保していく。


 ハーレムものや逆ハーレムものといったオタクジャンルのお約束的な歪(いびつ)さは皆無な、男女比がほぼ同数の文化系部活が主要な舞台ともなっている――文化系部活に集うような連中にしてはやや世慣れしている感じなのがまた別種のお約束ではあるけれど、そーでもしないと動的な物語や会話劇が成立しないのであって、そこまで寒々とした現実世界のリアルな写し絵である必要もまたナイのであろう(笑)――。
 部活の勧誘合戦、部活の懇親会、郊外に出張しての撮影会、将来の祖母となる元気少女による校内・恋占い出張所、夏休みの合宿、文化祭の準備。その過程で描かれる部活メンバー間での片思いの告白とその不首尾……。


 物語の主導権は周囲の部活のメンバーや祖母(笑)が握っており、受動的でおとなしい主人公少女は巻き込まれて辛うじて付いていこうとするあたりで経験値・人間値を少々上げていくといった程度だけれども、それがこの作品の弱点ではなく優しさやリアリティーといったモノにはなっていて、作品にイヤミやウソも少ないと思えてくるので、強烈なツカミもないけれども、まぁまぁの好感を与えている。


 悪く云えば地味な展開なのだけど、北陸のアニメ製作会社・P.A.Worksの美麗な作画&背景美術の適度なキラキラ感が、作品の清涼さや青春感もアップさせている。


 ただ、シニカル(冷笑的)に作品のハシゴ外しをしていけば、やはり主人公少女の美人設定というモノは、写真美術部の新入部員・勧誘会に被写体モデルとして彼女が強引に登場させられてもOKとなることや、部員の少年クンとイイ仲になっても不思議ではないのかも!? と視聴者に思わせる上げ底の舞台装置だとは思える。
 理性的・合理的に考えてみてほしい。同じ程度のコミュ力弱者の少女がふたりいたとして、ルックスに恵まれた方は野郎から声をかけてもらえることでコミュニケーションもはじまり、経験値や自信も自動的に積んでいくことができる。しかし、それらに恵まれていない方は、ひとりでコジらせていくばかりだろう(汗)。
――ただしジャンルの方もまた爛熟している。この作品が言及しない、異性に救いの手を差し伸べてもらえることがない、コジらせ少女や適度に達観・諦念した少女たちを描いたのが、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』や『ちおちゃんの通学路』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200301/p1)といった作品群である(笑)――


 個人の努力を超えた部分での理不尽な不平等! その伝で、弱者や劣等者がほとんどそのままの努力や修練なしで慈愛のある異性に認めてもらえる『電車男』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070617/p1)や少女漫画『君に届け』などは、そのように成就するケースもゼロではないけどマレではあろうから、努力ヌキでの勝利みたいな自堕落な夢を見させる点では問題があるともいえるだろう。


 ただまぁ、そのへんにツッコミを入れている(ひとり)ぼっち作品も今ではそれなりにあるし、ご都合主義ハッピーエンド作品で一時の慰謝を得て、索漠としたキビい現実世界での今日一日を耐え忍んでいける薬効もあるのだろうから、繰り返しになるけどそこに言及していない作品群も全否定されるべきモノでもないであろう。よって、本作のような優しい作風も条件付きで大いに肯定はしたいのだ。


 たまに浅薄(せんぱく)な人間観の持ち主で、人間の性格は生まれたときはまっさらな同一の平等であり、後天的な親の教育で人間の性格が変わるのだから、オレがこーなったのは両親が悪い!(笑) と叫んでいるのを見るけれども、イヤイヤイヤ。親の教育や遺伝とも無関係に、活発だったり控えめだったりの性格は、出生時や母胎内でも発現していることが科学的にも判明している。
 よって、祖父母や両親の愛情には充分に恵まれていても、本作主人公のように精神なり肉体なりコミュ力の方が弱く生まれついてしまった人間たちはいくらでもいるだろう――そして悲しいことに、他人に対する共感性に乏しい御仁から、往々にして標的とされて傷つけられている(汗)――。余力&義侠心がある御仁たちは、弱者たちの盾になってほしいとつくづく願う。


 主演声優は石原夏織(いしはら・かおり)で、涼しげでも抑えたキラキラさが残る、いつものボイスが少々の弱さと華を同時に体現している感じで、本作の主人公にはピッタリだとも思う。
――ところで、キングレコード小倉唯おぐら・ゆい)ちゃんとここ数年ユニットを組んでいたのに、ポニーキャニオンに移籍したのは一種のリストラでしょうか?・失礼)――
色づく世界の明日から

色づく世界の明日から Blu-ray BOX 1

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  • 発売日: 2019/02/02
  • メディア: Blu-ray
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.73(18年12月29日発行))

後日付記:


 石原夏織ちゃんについてやや偽悪的・揶揄的に言及してしまって内心では後悔していたけど(汗)、音楽方面ではポニーキャニオンに移籍してからの方が活躍している感もある。2020年秋アニメ『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』の主題歌『Against.(アゲインスト)』などはノリも良くて超絶カッコいい名曲だとも思います!(笑)


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  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160502/p1

『N・H・Kにようこそ!』 ~引きこもり青年を病的美少女が構ってくれるファンタジー(笑)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061119/p1



#まほよめ #魔法使いの嫁 #色づく世界の明日から



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魔法少女くるみ・魔法少女 俺・魔法少女特殊戦あすか・魔法少女サイト・魔法少女まどか☆マギカ[新編] ~爛熟・多様化・変化球、看板だけ「魔法少女」でも良作の数々!

『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』 ~『まどマギ』が「特撮」から受けた影響&与えた影響!
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 2020年10月から5分アニメ『せいぜいがんばれ! 魔法少女くるみ』の第3期が放映開始記念! とカコつけて……。


 『せいぜいがんばれ! 魔法少女くるみ』(17年)・『魔法少女 俺』(18年)・『魔法少女特殊戦あすか』(19年)・『魔法少女サイト』(18年)・『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆(はんぎゃく)の物語』(13年)……に加えて、広い意味での魔法少女モノ扱いで『まちカドまぞく』(19年)(笑)評をアップ!


『せいぜいがんばれ! 魔法少女くるみ』・『魔法少女 俺』・『魔法少女特殊戦あすか』・『魔法少女サイト』・『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』……『まちカドまぞく』 ~爛熟・多様化・変化球、看板だけ「魔法少女」でも良作の数々!


『せいぜいがんばれ! 魔法少女くるみ』

(文・久保達也)
(2017年・プリマエンジェル製作委員会)
(2019年4月17日脱稿)


 かの女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1)のみならず、往年の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120220/p1)をもモチーフにしたかのような(笑)、


「美少女魔法少女恐竜天使戦士プリマエンジェル」


なる長ったらしい名前を自称する変身ヒロインたちが登場して、ゴミまき男・ティッシュ食べ男・怪力オカマといったユルキャラみたいな怪人たちと戦う作品だ。


 だが、実は主役はそのプリマエンジェルではなく、プリマエンジェルの行動をひたすら傍観(ぼうかん)してツッコミを入れまくる男子中学生3人組である。まるで悪役の名前を当初はメインタイトルにしながらも、実質的な主役は変身ヒーロー・スペクトルマンだった『宇宙猿人ゴリ』(71年 ピープロ・フジテレビ)みたいな作品だ(爆)。


 元々は2017年10月からAbema TV(アベマティーヴィー)にて隔週で配信されていた数分間のWebアニメであるものの、よほど好評だったのか2019年1月7日・1月14日・4月1日にBS11(ビーエスイレブン)にて15分枠で傑作選が放映された。


 そんな経緯を知らずに観ると、本来は主役であるハズの男子3人組が常にプリマエンジェルや怪人たちの背景に小さく置かれ、口をパクパクさせるだけでほとんど動きがない(笑)ことには驚かされるだろう。
 いや、そもそも本作自体、テレビアニメほどの予算や労力がかけられているほどでもないだろうから、やはり全体的に動きに欠け、まるで紙芝居でも観ているような感覚に陥(おちい)ったものだ(爆)。


 ただ、


「プリマオレンジのエセ関西弁には本当の関西人が怒る」


とか、


「プリマエンジェルのブサイクなマスコットキャラ“天使デビルン”の声が汚い」


とか、


「“天使”なのか“悪魔”なのかハッキリしろ」


とか(笑)、


「変身アイテムのスマホの充電が乾電池式かよ」


とか(爆)、


「変身場面でオールヌードに靴下だけになるのが妙にエロい」(大爆)


といった、トホホな展開にツッコミを入れまくる男子3人組こそ、普段テレビを観ながら心の中でブツクサとボヤいている我々の姿を投影したものである。


 ネットで配信されるライブ番組にリアルタイムで続々とコメントが寄せられるご時世からすれば、これほど視聴者の共感を得られるかたちのものはほかにないのではなかろうか!?


 2011年の地上波テレビ放送の完全デジタル化により、当初は送り手側と受け手側の双方向性が実現したかのように云われたものだが、あいかわらず送り手からの一方通行がつづいたことこそ、若者のテレビ離れを招いた一因であるように思える筆者からすれば、プリマエンジェルに対してではなく、むしろそちらの方に「せいぜいがんばれ」と云いたくなるのである(笑)。
せいぜいがんばれ!魔法少女くるみ(dアニメストア)

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.82(2019年6月16日発行))


魔法少女 俺』

(2018年春アニメ)
(月曜25時40分 TOKYO-MX他)

魔法少女 俺』 ~合評1

(文・T.SATO)
(2018年4月27日脱稿)


 「魔法少女」というジャンルも爛熟・飽和してますなぁ。ジャンルもお約束・歌舞伎的様式美にまで達してしまったならば、あとはそれを崩すしかないという。


 高校生男子が魔法少女(ちょっと違う・汗)に変身していた深夜アニメ『俺、ツインテールになります。』(14年)の反転か、売れないアイドル2人組の女のコが魔法少女に変身するや、魔法少女の衣装だけど中のヒトは奇形的にキン肉ムキムキな野郎の青年になってしまうという!


 たしかに笑えるけど、誰得(だれトク)の企画なんでしょう? 顔面はともかくムクつけきマッチョな肉体の変身後の姿を応援したい、円盤も買い支えたいと思うオタはいるのでしょうか?(笑)
 しかも、先のアイドル娘のみならず、男性アイドルグループも#1から登場して、絵柄もマイルドでシンプルな描線だけど、ドチラかと云わなくてもオタク女性向けの絵柄だよネ? ターゲットはそっちなの? それとも全方位ねらいなの? ちっとも判らないよ! 怪作の誕生です。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.71(18年5月4日発行))


魔法少女 俺』 ~合評2

(文・久保達也)
(2018年6月16日脱稿)


・『魔法使いサリー』(66年)にはじまる、60年代後半から70年代にかけての東映動画(現・東映アニメーション)製作の魔女っ子路
・葦(あし)プロ製作の『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(82年)を継承して、スタジオぴえろが製作した80年代の魔法少女シリーズ


と、かつて世の少女たちに夢を与えてきた魔法少女アニメが、どうしてこんなものに……(笑)


 第1話はオレンジ色のショートボブヘアの低身長で、かなりキャピキャピとした主人公少女・さきが見た夢が冒頭で描かれる以外、Aパートだけを観ると魔法少女アニメではなく、近年人気のアイドルアニメであるかのような印象だ。


 寝坊して


「行ってきまーす!」


と元気に自宅を飛びだし、朝食のパンケーキを食いながら猛ダッシュする、赤いベストの制服姿のさきが向かったのが、高校ではなくライブ会場なのが一応の意外性を醸(かも)しだしているのだが、Bパートの展開に比べれば、そんなことは驚くほどのものではない(笑)。


 さきは青いベストの制服を着たグレー髪ショートカットの女子とアイドルユニットを組んでいるが、会場は客が誰もおらず、相方の兄が常にライブを満席にして大歓声を浴びているのをうらやましがっている。そもそもさきがアイドルになったのは彼に対するあこがれが動機だった。


 これもアイドルアニメ『ラブライブ!』(13年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1)のパクリかよ(笑)と思えるような世界観・キャラの出自や背景・人物相関図を、Aパートだけで描ききっているのは特筆に値する、と思いきや、それはCMが明けた途端に一変してしまう(笑)。


 Bパートに入るや、さきの自宅の玄関を蹴りつづける、サングラスに白スーツの「ヤ」のつく自由業(爆)の姿が。恐怖するさきの首ねっこを容赦(ようしゃ)なくつかんで自宅の中にひきずりこんだ893は、関西弁でさきの母・さよりに面会を要求する。
 まだ若そうで美しいが常にやつれた表情をした、ピンク髪のポニーテールでスレンダーなさよりは、中学生のころに893に魔法少女としてスカウトされ(笑)、つい最近まで現役で活躍していたとさきに告白。893は引退したさよりの代わりを探していたのだ……


 いや、先述した冒頭のさきの夢や、さきを玄関で見送るさおりが「さきのころに私は……」とつぶやく描写、さきがライブで歌うのが往年のテレビアニメ『キューティーハニー』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041103/p1)の主題歌をモチーフにした「はちみつフラッシュ変わるわね」(笑)などからすれば、さよりの告白は決して唐突なものではなく、充分すぎるくらいに伏線が張られていたと云えよう(笑)。


 それにしても、夢の中で妖魔なる巨大怪獣と戦うさきはピンク髪のロングヘアなのだが、変身したら髪の色や髪型が変わるパターンは、まさに『魔法つかいプリキュア!』(16年)ではあるまいか?(笑)
 先端がハート型をした魔法のステッキも既視感バリバリだが、さきがそれを使って妖魔を倒す場面で流れる音楽は、『美少女戦士セーラームーン』シリーズ(92年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)の変身BGMの露骨なパクリである(笑)。


 そして、さきの勝利をお姫さまだっこで祝福する、マントをひるがえしたイケメン青年は、どうせタキシード仮面のつもりなんだろう(爆)。
 そもそもさよりの声を演じるのは、その『セーラームーン』で最も人気があった水野亜美セーラーマーキュリーの声を演じた久川綾(ひさかわ・あや)なのだ!


 そうか、これは往年の人気アニメのパロディを散りばめることで、筆者みたいな中年マニアを狙った作品なのか? と思いきや、クライマックスでまたまた雲行きがあやしくなる(笑)。


 結局魔法少女になる契約書を893と交わしたさきだが、そこに早速妖魔が出現!
 当初は可愛い妖精のような姿をしていた妖魔たちは、往年の大人気テレビアニメ『キン肉マン』(83年)の主人公というよりは、1978年に森永製菓のCMで流れた「エンゼル体操」で話題となった、古代ローマの戦士をイメージしたタレント・ムキムキマンのような筋肉質の怪人に姿を変え、こともあろうにさきがあこがれるイケメンアイドルを異世界にひきずりこもうとする!


 893の指示どおり、好きな奴=まひろさんの名前を大声で叫んださきは魔法少女に変身! 巻きあがる砂塵(さじん)の中で登場したのは、胸に赤いリボンが付いたピンクのフリフリミニスカドレスから、白いパンツをチラリと見せる、筋肉質の巨大な野郎の姿だった!!


 いや、こういうのは個人的には最も観たくないのだが(爆)。


 エンディングのラストカットでは、さきの相方の少女までもがムキムキマンと化していることから、個人的には第2話以降を観るのをためらっている(笑)。


 ちなみに第2話の予告編では、「魔法少女大地に立つ! 俺は生き延びることができるか?」と、これまた露骨に『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)の次回予告ナレーションをパクっているのだが(笑)。


 オープニングやエンディングのイケメン大集合や、先述したイケメンアイドルのライブ場面にかなりの尺を使っていることからして、やはりこれは腐女子向けの企画ではあるのだろう。
 ただ、故・赤塚不二夫の傑作をリメイク(?)した深夜アニメ『おそ松さん』第1期(16年)の第1話が、登場キャラをイケメンに改変し、往年の名作アニメや近年の人気アニメのパロディを全編に散りばめたバカ演出で、腐女子のみならず世間の圧倒的な注目を集めたことを思えば、たとえ個人的には本作『魔法少女 俺』がこれまでの人生で観たアニメの中で史上最大のバカ(爆)だと思えても、こうした作風は正解であるような気もするのだ。


 ギャグのセンスは冴えまくりで、さきや相方の少女のキャラクターデザインもかわいいし、さよりを久川サンが演じているのも魅力だ。決してイケメン目当ての腐女子のみではなく、さまざまな層が楽しめる全方位型の作品として、案外器用に仕上げられているのかもしれない。


 まぁ、結局どの層も取りこめずにハデに爆死する可能性もあるのだが……本当に『魔法少女 俺』は生き延びることができるのか?(爆)
魔法少女 俺

魔法少女 俺

魔法少女 俺

  • メディア: Prime Video
魔法少女 俺 1 [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.81(2018年12月29日発行))


魔法少女特殊戦あすか』

(2019年冬アニメ)
(文・T.SATO)
(2019年4月27日脱稿)


 昨2018年のアニメ製作会社ライデンフィルム製作の『キリングバイツ』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190908/p1)や『LOST SONG』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200705/p1)同様、今どきのアニメとしては作画的にはイマイチなのだけど、その点を除けば、個人的には面白い。


 ファンシーな魔法少女たちが異界の魔物たちから世界を守ったあとの世界が描かれる。異形の魔物はほぼ滅ぼして平和になったのも束の間、国際社会は今度は人間・国家・民族同士で争いテロなども頻発する元の木阿弥状態へと戻ってしまったとする背景設定がまずは秀逸。そして、その存在が公然のモノとなった魔法少女たちは、出身国の軍隊や諜報機関などに組み込まれて、善悪も定かではない任務に従事することとなっていく……(汗)。


 我が日本ではそこまで人権無視ではナイので、ヒラヒラフリフリの魔法少女というより、クールで不敵な戦闘美少女といった塩梅の主役女子高生・あすかは、陸上自衛隊の特殊部隊加入を勧誘されているものの肯(がえ)んじない。しかし、クラスメートのメガネ少女に危機が迫り、看護婦姿のお注射(笑)で悪と健気に戦い続ける旧友の魔法少女の姿なども目撃する段取りを経て、いたしかたなくメイド喫茶もどきのアジトを構える陸自の遊撃隊へと加入する。


 とはいっても、主要魔法少女たちが滅殺する相手がナマ身の人間だとイヤ~ンな感じになるので、それは脇役の海外の魔法少女たちに割り振って、あすかたちは結局は魔物と戦っているあたりは作劇のマジック――ご都合主義とも云う――。女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年~)同様、敵は怪人というよりも異形の巨大怪獣なので、殴ったり蹴ったりしても相手が痛そうだとかの忖度(そんたく)は発生しないから、安心してアクションのカタルシスにひたれる(笑)。


 厚意から誘ってくれる非・魔法少女である級友たちとの学校生活や休日のレジャーも描くことで、学園モノとしての要素も発生。甘ったるい声でしゃべる先の看護婦姿の魔法少女は主役魔法少女にゾッコンで学園に転入までしてきて、嫉妬から級友たちを良く思わない描写までもが登場。
 コイツはアブナい娘であり、世界平和はそっちのけで「公」よりも「私」なドロドロ愛憎劇や暗殺劇に級友見捨てる展開(爆)も勃発か!? と思いきや、そこまでイビツなことにはならずにプチ嫉妬程度で留まって、この看護婦魔法少女も級友たちを守って奮戦したり救出や延命に邁進する常識人なあたりで、筆者の萌え感情も毀損(きそん)せずに済んでいる(笑)。


 魔界と通じる邪悪で狡猾な人間の悪党どもが敵役となることで、せっかく友人となれた級友――父親が陸自とは対立関係にある警視庁の刑事でもある――が標的とされてエログロな目に遭うあたりで、罪悪感&責任感のヘビーな懊悩ドラマを構築していくあたりも、既視感あふれるベタといえばベタなモノだけど、鉄板・普遍・王道ともいえるので、筆者個人も感情移入して楽しんでいる。


 絵柄的には1987年にワンレンボディコン・メチャスリムが勃興する以前の、少々懐かしい80年代ロリチックなキャラデザで(?)、頭身がやや低めでもムチムチパンパンな巨乳や巨尻や太モモとなっており、筆者個人は大好物なのだけど(汗)、現今の主流ではない絵柄も流通するのがこのジャンルの豊穣さともいえるのでイイんじゃないですか!?(笑)
魔法少女特殊戦あすか クリアファイル B
魔法少女特殊戦あすか 1巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)
魔法少女特殊戦あすか 2巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)
魔法少女特殊戦あすか 1 [Blu-ray]

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.74(19年5月4日発行))


魔法少女サイト

(2018年春アニメ)
(月曜25時40分 TOKYO-MX他)

魔法少女サイト』 ~合評1

(文・T.SATO)
(2018年4月27日脱稿)


 ウワァ~、頭身の低いキャラデザだけれども、両眼のまなじりから凝固したような赤黒い血を、細長い一筋の涙のように垂らして戦っている魔法少女だよ~。
 もうひとりの魔法少女も、おクチの片隅から終始同じように赤黒い血を垂らして戦っているよ~。


 魔法少女に変身する前の日常描写もヒドいよ~。勉強のできる兄貴と常に比較されて両親には罵倒され、親の前ではイイ子にふるまう兄貴は隠れて妹をサンドバックのごときに拳で連日殴りつづけ、学校ではタチの悪い性悪な不良少女たちのカモにされ、机には「死ね!」だのナンだのの落書きだらけで、イスにはマヨネーズが塗られ、コミュニケーション弱者でもある主人公女子は教師に席に座れと云われると、ためらいつつもそのまま座ってしまい(爆)。


 トイレでも床に踏みつけにされ、洋式便器に顔面を突っ込まれ……。あげく、可愛がっていた橋の下の捨て猫の存在がバレてしまい、ひそかに持ち出されて踏切で……。


 まぁ大なり小なり、こーいう目にあっているコはたくさんいるのでしょうナ。そして、親の品性や教育とも無関係に、人類には一定の比率で生まれつき品性下劣・公共心皆無で、他人に対する共感性に乏しくサディスティックにふるまえて悦に入れてしまう人間がいるモノです――同じ親から生まれた兄弟姉妹でも、そのモラルに大差がある場合などがその証左!――。


 別に安倍ちゃんやトランプや天皇制が悪いワケではありません(笑)。政治上の悪なんてのはしょせんは立場の相違に過ぎない「相対悪」であって、真に憎むべきで害毒もまき散らしイジメられっ子の人生を台無しにして、パワハラ鬱病に追い込んだり学校中退や路頭に迷わせたりする「絶対悪」とは、個人に帰属する「人格悪」!(怒) 当然、安倍ちゃんが退陣したり天皇制がなくなれば、イジメもパワハラもなくなるだなんてナンセンス。イジメやパワハラをする連中は半径数メートルで優越感に浸れれば満足な輩だから、政治や世界情勢や公共性やそもそも今の日本やアメリカの首長が誰か? だなんてことにはハナから関心がナイ。左翼リベラルな連中はこーいうヤツらこそ、制度設計・社会設計の次元での処罰なり隔離なり善導するなりでドーにかする方策を出してくれ(汗)。


 筆者のように劣等感やルサンチマンにまみれた人間は、劇中で冷徹な金髪ショートのサブヒロインが性悪な人間どもに鉄槌をくだすシーンに喝采を送っております(爆)――なぞとベタな感情発露を記述してしまうあたり、評論オタにはあるまじきで、筆者はすっかり作り手たちの手のひらの上で踊らされていてカッコ悪いことこの上ナイですが――。
 しかし、この鉄槌に対する批判的な視点もなければイケナイわけであり――筆者個人の私的感情としては不要だけれども(笑)――、そこの役割はあまりにも優しすぎてイイ娘にすぎる、先にも記した家にも学校にも居場所がない主人公少女が担っている。


 魔法を使うことで生命・寿命も削り、いずれは死んでしまうという類いの設定は、『魔法少女まどか☆マギカ』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120527/p1)以来のマニア向けかつ鬱系の魔法少女モノのお約束・定番と化した感がある。能力全開により等価交換的に記憶を喪失したり、両脚が不自由となることで車イスになったり、声を失ったり両目が見えなくなったりする『結城友奈は勇者である』(14年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190926/p1)や『魔法少女育成計画』(12年・16年に深夜アニメ化)などのヒドい作品はすでに輩出さえしている。
 それはそれでヘビーな設定で充分イヤ~ンでも、やはり現実・日常生活でも起こりうるヤンキーDQN(ドキュン)の不良少年少女どもがくりだすイジメや、肉体に痛みをもたらす直接的・物理的な暴力の方が怖いよ~。


 情けは人のためならず。なんでイジメ相手の口の中にカッターナイフを突っ込んでくる不良少女ごときを殺さずに生かしてしまったのか?(爆) 案の定、『宇宙戦艦ヤマト2202(ニーニーゼロニー)』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181208/p1)における宿敵・白色彗星帝国のガトランティス人みたいに近代的人権観念どころか武士道・騎士道さえ通じない相手なのだから、その恩情に対して恩に着るどころか屈辱&逆恨みに燃えてるじゃん! 妹の変化に気付きつつある兄貴ともども、邪悪な強敵になりそうでますます怖いよ~。


 今どき制服スカートの丈を短く改造せず、その黒髪ロングもリンスでツヤツヤではなく少々ゴワついていそうで(?)、マンガ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(11年・13年に深夜アニメ化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20190606/p1)やスマホ漫画『ネト充のススメ』(13年・17年に深夜アニメ化)の女性主人公たちみたいに眼の下にクマもある(汗)幸ウスそうなメインヒロインと、少々ヤサグレた感もある金髪ショートのサブヒロインは、筆者は個人的には大好物だけど(笑)。


 意図的に排除したのだろうけど、『まど☆マギ』『結城友奈』にはあった魔法少女たちのキャラクターデザインのビジュアル的な華・キラキラ感の欠如というその一点だけでもって、集客・商売的にはウラ目に出てしまい円盤売上も苦戦するのではなかろうか? 個人的には2018年春アニメのマイベストであり推していきたいのだけれども……。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.71(18年5月4日発行))


魔法少女サイト』 ~合評2

(文・久保達也)
(2018年6月16日脱稿)


 黒髪ロングヘアで目鼻立ちの整った美少女だが、常にうつ向き加減で小声でボソッと話す女子高生主人公・朝霧彩(あさぎり・あや)は、毎日死ぬことばかり考えている。


 第1話では彩の生き地獄が執拗(しつよう)なまでに描かれる。靴箱には画びょうが入れられ、教室のイスにはマヨネーズがまかれるものの、担任教師に「早く座れ」と云われて座らざるを得なくなり、あげくに洋式便器に顔を沈められ……と、彩がヤンキー女3人組にいじめられる描写が延々とつづく。


 学校ばかりではない。成績優秀な兄と比較されて父には疎(うと)まれ、父に過度な期待をかけられるストレスのはけ口として、彩は両親の前では「いいコ」を装う兄から、自宅でも連夜暴行を受けるのだ。


 「もう、死んでしまおうかな……」と、彩がつぶやいたそのとき、パソコンの画面に顔面蒼白(そうはく)の不気味な女子高生が現れ、


「不幸だね。そんな君に、魔法のステッキを!」


と彩に呼びかける。


 闇サイトの声を演じたのは、長寿幼児向けアニメ『それいけ! アンパンマン』(88年~)の敵役・バイキンマンや大人気テレビアニメ『ドラゴンボールZ(ゼット)』(89~96年)に長年にわたって登場した宇宙の帝王・フリーザの声で有名な中尾隆聖(なかお・りゅうせい)だが、いくら幼児向けアニメとはいえバイキンマンの悪事なんぞヤンキーどもに比べればカワイイものだし、フリーザの破壊描写も現実世界からはかけ離れた絵空事異世界でのそれである。


 居場所がないことから彩が自身と同一視してかわいがっていた橋の下の捨て猫を、ヤンキー女のひとりは踏切に放りこみ(!)、以前彩が猫に贈った鈴付きの首輪の残骸(ざんがい)を見せつけ、彩から「最後の希望」を奪ってしまう!!


 さらにヤンキー女どもは先輩の野郎を呼び出し、彩をレイプさせようとけしかける!!


「この地獄を終わらせて!」


 闇サイトに呼びかけられた翌朝、靴箱に入れられていたオモチャのようなハート型の白い銃を、彩がその場で発砲するや、猫殺しの女と彩をレイプしようとした野郎は一瞬で消滅、その直後、例の踏切で轢死体(れきしたい)となって発見される!


 この不良少女と不良少年が逆に死んでしまう一連のシーンには重たいカタルシスを正直おぼえてしまう。なぜなら、ヤツらは人間ではなく鬼畜(きちく)だからである(汗)。


 念のためにクギを刺しておくが、筆者はいじめの被害者たちに復讐(ふくしゅう)殺人を奨励(しょうれい)しているワケではない。
 私事で恐縮だが、もう30年以上も前の大むかし、彩ほどではなかったが、筆者も似たような日々を過ごしていた。非力だったから「殺してやる!」と思うこともなく、どうせこんな奴らはロクな死に方はしないだろうと、根拠もなく信じるしかなかったものだ。


 そうしたらリーダー格のヤツが同級生の女子を他校のヤンキーらとともに集団レイプ(大汗)して妊娠させたために退学となったのだ! 小躍りして喜んだのは当然だが、「やはりオレが信じたことは正しかったのだ、ほかの奴らもいずれそうなる、ヒヒヒ……」(笑)と思うことで、そんな鬼畜どもと同じ空気を吸わねばならない居心地の悪さにも、なんとか耐えられるようになったものである。


 だが、それが期待できないのならば、根本的な解決にはならないだろうが、殺されてもしかたがない鬼畜どもに主人公が鉄槌(てっつい)をくだす物語によって、心の安定をはかることは必要不可欠かとも思えるのだ。
 いじめられっ子・浦見魔太郎(うらみ・またろう)が「うらみ念法」を駆使して、いじめた奴らに残虐(ざんぎゃく)な手段で復讐を果たす、藤子不二雄A原作の漫画『魔太郎がくる!!』が秋田書店週刊少年チャンピオン』に連載されていたのは1972年から75年のことだった。
 筆者は小学校低学年当時、つまりその時点で同作を読むしかない状況にあったのだが(汗)、時代が変わっても生き地獄に苦しむ人々が存在しつづける以上は、こうした路線の作品は常に供給されるのだろう。ちなみに『魔法少女サイト』も『魔太郎がくる!!』と同じく『少年チャンピオン』に2018年現在連載中である。


 だが、彩は殺されても当然と思えるヤツらを死なせる結果となったことに対して、「ザマァ見ろ!」ではなく「わたしが殺した!!」などと罪悪感にさいなまれてしまうのであった……
 これにはいじめの被害者に対する「それでも一線を超えてはならない」とする製作側の主張がこめられているような感もある。血の色に染まった不気味な月が、彩の背景の夜空に浮かぶカットは、その最大の象徴であるかと思えるのだ。


「だってDQN(ドキュン)だろ? 死んでよかったんじゃねぇの?」


と、事件について語る劇中の生徒たちの意見に筆者は全面的に賛成だが、そんな危険な思想(汗)に対する批判的な視点もまた当然あって然(しか)るべきなのだ。


 そんな批判的な視点を自らが演じてしまうほどに、彩は自身を客観視して相対化ができるような頭のいい聡明なコであるという事実が強調される効果もあげている。しかしだからこそ、そんないいコをいじめるヤツらは死んで当然なのだ! と、むしろつくり手たちの意図とは逆に、復讐殺人の賛成派をよけいに増やしてしまっているような気がしないでもないのだが(笑)。


 彩とは正反対に、猫殺しの女と親友だったヤンキー娘は彼女の仇(かたき)として、彩の口にカッターの刃をつっこむが――彩の心臓の鼓動とセミの鳴き声を大音量で交錯させる音響効果が、彩最大の危機を絶妙に演出する!――、ここまでヤンキーどもを鬼畜として描くからこそ、


「こんな生ゴミ、サッサと殺せばいいのに……」


と語る、時間停止能力を持つ金髪ショートヘアのクールな魔法少女の主張にも、俄然(がぜん)説得力が増すというものである。


 鬼畜殺しに罪悪感を持つ魔法少女と、それを当然とする魔法少女に関係性が生まれたことで、果たしてふたりがどのように心の変遷(へんせん)を遂(と)げていくのか、要注目である。


 なお、金髪ショート娘の名字(みょうじ)は奴村(やつむら)。これは故・横溝正史(よこみぞ・せいし)の推理小説八つ墓村(やつはかむら)』(1949(昭和24)年)が元ネタなのか? だとするなら、この小説のモチーフとなった戦前の昭和13(1938)年に発生した、失恋や村八分に遭遇してしまった非モテ・弱者青年(汗)による自身が住まう集落の人々に復讐を果たさんと大量殺人におよんだ津山事件(津山三十人殺し)のように32人も殺すのか!?


 う~ん、世間一般の「魔法少女もの」のイメージとはまるでニュアンスが異なる作品になっているような(笑)。
魔法少女サイト 第6巻 <初回限定版> [Blu-ray]

MAHOU SYOUJYO SITE MUSIC ARCHIVE

MAHOU SYOUJYO SITE MUSIC ARCHIVE

  • アーティスト:V.A.
  • 発売日: 2018/08/31
  • メディア: CD
魔法少女サイト 第1巻<初回限定版>(イベント優先販売申込み券[昼の部]) [DVD]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.81(2018年12月29日発行))


『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』

(2013年10月26日(土)公開)
(文・T.SATO)
(2013年12月脱稿)


 白くて可愛らしい小動物ライクな存在・キュゥべえと契約を結んで変身する「魔法少女」となった女子中学生5人が、「魔女」と呼ばれる人外のバケモノと戦いつつ、「魔法少女」同士でバトルロイヤルも繰り広げるTVアニメの続編劇場版。


 TV終盤では、ピンク髪のオボコい主役少女を救いたいというツンデレな想いから来る、黒髪ロングのクールなコミュニケーション弱者少女の時間ループ魔法による何十回(?)もの歴史改変の果てに――しかもその都度、救えなかったという(汗)――、膨大な因果エネルギーがその身に積もり積もってしまった主役少女の超パワーが発動!
 主役少女は全並行世界の全過去・全未来に存在する膨大な全「魔法少女」たちが最期(さいご)を迎えたときに初めて知る、衝撃的な結末に対して「絶望」に直面する断末魔の瞬間にメタ・事後的に介入して、「歴史修正」(!)としてそれに「救い」と「癒し」と「お迎え」を与える役目を果たす、天地創造の神そのものではないけれど時空を超越した高次なる神近き存在へと昇華する!


 その際、凡百の作品であれば、「魔法少女」たちが絶望する瞬間に発する大量の精神エナジーを搾取した某存在を、「階級悪」・「権力悪」・「絶対悪」のような存在としたであろう。しかし、作り手たちが意図したかのは不明だが、この作品はそうはしなかった。


 「QB」(キュゥべえ)は人類の価値観とは相容れないとはいえ「階級悪」ではない。自身も生きるためのエナジーを欲する「食物連鎖」「生態系」のごとき一種の広い意味での「システム」の一部にすぎない。アチラを立てればコチラが立たず的に入り組んだ「システム」の救いがたい困難さの描写が、本作の優れて現代的なところでもある。
 現実の社会でもこの類の問題を根源的・抜本的な次元で全解決することはムリであろう。


 しかし、そこでニヒって悦に入るのではなく、完全なる解決や永遠平和や地上天国やマルクス主義的な共産主義社会(笑)を達成することは不可能だとしても、その都度都度で生じていく問題を永久に「改善」しつづけることを目標とすること自体には意義があるとは思うのだ――「改善」ですらなく、「問題」や「不幸」がひとりだけに、あるいは一方向だけに偏らないようにする「微調整」、単なる「不幸の再分配」、あるいは「不幸の永遠のたらいまわし」に過ぎないやもしれないけれども……。それでも「最悪」ではなく「次悪」に留められるのならばマシだとはいえるだろう――。


 主役少女の究極選択は「QB」自体の根絶ではなかった。「QB」自体の根絶ではなく、「魔法少女」が「魔女」化した瞬間に高エナジー(少女が悲嘆・絶望したときの高エネルギー)を発するという、劇中内での自然界の必然的な現象=「宇宙の法則」≒「システム」だけを「微改変」してみせようというアクロバティックな決着!
 「根本解決」は不可能でも「微調整」ならば可能ではあり現実的でもある……といったところがミソなのだ。そのへんが現今の人間たちが作った「現代社会」や、残念ながら人間も生物・動物である以上は離脱することが叶わない弱肉強食の食物連鎖・捕食と被捕食の関係でできている「生態系」といったものの「縮図」たりえてもいる。
 その上で、根源的な解決はできないまでも、「社会問題」や「環境問題」を少しでも改善していくための「現実的な方策」にも通じる「風刺」たりえていたとも思うのだ。


 もうひとつ本作が非凡だと思うのは、敵のバケモノである「魔女」の存在自体は否定したけど、その代わりに「魔法少女」の成れの果てではない「魔獣」という新たな存在に置換したことでもある。つまりは「魔法少女」の「存在」や「戦い」自体もなかった方がよかった……などという『仮面ライダークウガ』(00年)最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001111/p1)ライクなキレイごとの絶対平和主義的で偽善的なオチではなかったことなのだ。
 「魔法少女」たちの人々を守りたい、自身の願いを叶えたいという「想い」や、良かれと思って戦ったその「正義感」やその際に生じた「生」の「充実感」「高揚感」や「戦友との絆」など、「魔法少女」として各々が懸命に生きてきた「人生」それ自体をムダだったとして無下には否定はしなかった……、それを無かったことにはしなかったことなのである。


 「QB」の行為は彼ら自身も云う通り、彼らが少女たちの「絶望エネルギー」を食しているのは、彼らの「人格悪」「性格悪」的な悪意によるものではない。彼らも云う通り、人間が動物や植物を飼育・栽培して食したりする行為と同等・相似形の行為ではあり、彼らにとってはそれは自然な生態なのである。その行為をヌキにすれば、彼らも滅び去ってしまうのだ。
 よって、彼らはSF洋画『エイリアン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171104/p1)や同じくSF洋画『プレデター』(87年)のように考えナシに人類を絶滅するまで捕食するような存在ではさらさらない。人類の絶滅とは程遠い次元で控え目に「摘まみ喰い」をしてきただけだともいえるのだ。
――もちろんたとえ少数とはいえ「摘まみ喰い」のターゲットに選ばれた方は堪ったものではないけれども、それは人類が家畜や穀物などに対して行なう所業(飼育して殺害した上で捕食する!)とも同罪ではあるので、我々人類自身の「原罪」性を免責しきることにもならないのだ(汗)――


 「QB」の「存在」や、彼らの数百万年にもわたる人類への「関与」それ自体を否定すれば、我々人類自体も動物から進化した果ての誕生もなかったのであるから、「QB」の「存在」自体は否定はしない。
 しかし、「魔法少女」の末路自体はミジメで絶望でしかなくても、その過程にはいくばくかの「充実」もあったハズなので、太古から遠未来の歴史上の膨大な全「魔法少女」たちのその人生、そして人類の歴史それ自体をも大局としては否定をせずに肯定してみせようとする行為。歴史それ自体も大局では改変しないけれども、大局には影響がナイ範囲では微改変をしてみせようとする「大海の中の一滴」であるクレバーな選択肢!
――「魔法少女」たち自身がその最期に実は自分たちが倒していた当の「魔女」自体に自我も失った上で必ず変貌もしてしまうという劇中内での法則的必然である宿命(!)だけをなかったことにして、その代わりに「魔女」という存在を「魔法少女」の成れの果てではない「魔獣」に代入して、「魔獣」と「魔法少女」が戦うかたちで太古から遠未来へと至る「歴史」全体を微改変することにより、歴史の大局や「魔法少女」各人の人生それ自体は否定をしないで済むという!――



 そんなかたちでキレイに完結したTVアニメ版の続編を作るとなると、たしかに天上界の宇宙の法則の一部――既存にあった法則の微改変の作用だけを担保する存在――となって、その代償として地上世界には最初から存在しなかったことになってしまい、その痕跡をも消失させてしまった主役少女を現世・地上に復活させるか、コミュ力弱者少女の断末魔に天上にいる主役少女がお迎えに来る展開しかないだろうとは予想はしていたけれども……。そー来たか!?


 お迎えに来た天上世界=高次元世界存在となった主役少女を地上に引きずり下ろさんとするコミュ力弱者の魔法少女。その試みは半ばは成功してしまう!


 この展開を、TVアニメ終盤での主役少女の究極選択は日本の戦前的な「滅私奉公」にも通ずるものだから、「半径数メートルの私的幸福」、「公」よりも「私」、「公」に対する「叛逆」でもあるから「反体制」的に即・快挙でもある! と賞揚する論陣も散見はする。
 その意見にも一理はあるとも思うけど、それは「二元論」のうちの「片方」だけを取るアタマの悪い論法であり、「公」に反逆して「私」に徹底することが即座に「絶対正義」になるのであれば、他人に配慮せずに身勝手に公共物の破壊や殺人強盗や暴言を繰り返すようなエゴイスティックな人間こそが一番エラくて大正義だということになってしまう(爆)。そんなバカげた論法もまた絶対的に成り立たないのだ。だから、フェア・公平に考えれば「私的幸福」&「公的幸福」の両立を目指すのが理性的・合理的にして理想的ではあるだろう。


 もちろん「私的幸福」&「公的幸福」の両者が相容れない極限下で、「私」――もしくは「私のスキなヒト」や「仲間」――さえ良ければ世界が滅びても構わないとするならば、それは「公共心」なき「エゴイズム」や「お仲間・身内主義」にすぎないであろう。「公」至上主義はもちろんのこと、「私」至上主義も道義的・論理的には成立しないのは明らかなのである。決して二者択一の問題ではないのだ。


 フツーの人間としての幸福を捨て去る主役少女の究極選択に対して、それに反対すべきであったと後悔するコミュ力弱者少女の想い。それ自体はイイ。
 しかし、世界を救うよりも、世界を敵に回してでも、世界が滅びてもイイから、主役少女といっしょにいたいとばかりに願うコミュ弱少女。それは「積極的な悪」ではないにせよ、やはり「消極的な悪」ではあるだろう――彼女が自身を「悪魔」と自称するのは偽悪にすぎるけど――。
 それが過剰に鼻につかないのは、彼女が寂しげでおとなしげで欲も少なさそうなローティーンの少女であり、健気さの方が先に立つからにすぎないとも思う――コレが成人女性であったり男のコであれば、往年の『鳥人戦隊ジェットマン』(91年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1)や近作の実写映画版『ガッチャマン』(13年)みたく、世界のことよりも自身らの色恋ばかりにカマけているとの非難が殺到したにちがいない!(笑)――。


 そのへんの観る側のバイアス・偏向、女のコに対する社会的通念――女のコに理解を示したフリをしてその実、未熟で弱くてもOKだと、やはり下に見くだして差別している(汗)――も込みでの物語作品というもののマジックともいうべきで、評論オタならばそのへんにも自覚的でありたいとも思う。


 そうも思うのだけど、ボクらのサブヒロイン・変態ほむほむこと暁美ほむら(あけみ・ほむら)ちゃんのすることだから、やっぱり許しちゃお!(……オイ)


 とはいえ、ほむほむに百合的に(?)想われている、天上世界での役割を忘却して地上に復活を果たした主役少女には、ほむほむに問われて


「私よりも公」


という趣旨の返答をさせているあたりで、やはり本作は一面的な作品には決してなってはいないのである。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.59(13年12月30日発行))


『まちカドまぞく』 ~広い意味での「魔法少女」モノ!?(……苦しい・汗)

(2019年 まちカドまぞく制作委員会・TBS 放送終了)
(文・久保達也)
(2019年10月13日脱稿)


魔法少女を倒せ!」


と呼びかける金髪ロングヘアの魔女の夢を見た、ウェーブがかかった茶髪ロングヘアで本人もコンプレックスであるほどに小柄な少女・吉田優子。
 翌朝、彼女は先端が三角形に尖(とが)った黒くて細い悪魔みたいなシッポが生(は)えており、頭部には級友曰(いわ)く「クロワッサンみたいなツノ」(笑)が伸びていた。


 娘の急変に、黒髪ロングを束(たば)ねた割烹着(かっぽうぎ)姿の母・清子(せいこ)は、実は吉田家が「闇の一族・まぞく」(魔族)の末裔(まつえい)であり、毎月生活費が4万円以上使えないほど貧しいのは、長きに渡ってつづいた「光の勢力」との戦いに敗れ、あらゆる運を封印する呪(のろ)いをかけられているためだと語る(笑)。


 一家にかけられた呪いを解くために、魔法少女を倒してその生き血をご先祖様に捧(ささ)げるという重大な使命を与えられた優子は、同じ高校に通う魔法少女・千代田桃に敢然(かんぜん)と立ち向かうのだ!


 原作は芳文社の『まんがタイムきららキャラット』に連載中の4コママンガであり、基本的には優子の家庭や高校でのトホホな日常を中心としたコメディ作品ではある。吉田家に代々伝わる埴輪(はにわ)みたいなご先祖様の像「ごせん像」(笑)が、サイズがちょうどいいからと玄関のドア・ストッパーに使われていたり(笑)、行方不明となっている吉田家の父が、貧乏な吉田家で机や踏み台として使われているミカン箱の中に、桃によって封印されているとか……(爆)


 ただ最も笑えるのは、優子と敵であるハズの桃との妙な関係性だ。よりによって「ごせん像」を高い階段から落としたことでダンプにひかれそうになった優子を、桃はそれこそ女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年~)みたいな白とピンクのフリフリコスチューム姿の魔法少女・フレッシュピーチ(笑)に変身し――その場面では変身に要する時間が画面右下にストップウォッチみたいに表示される(笑)――、片手でダンプを停止させて優子を救う「命の恩人」として、初登場場面でいきなり描かれてしまうのだ。


 その恩人が倒すべき魔法少女であることに、優子は信じられない想いで


「コスプレですか?」(爆)


と聞いてみる。ピンク髪のショートボブヘアの長身で一見可憐(かれん)な感じではあるものの、巨大ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(95年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110827/p1)の綾波レイ(あやなみ・れい)や、深夜アニメの名作『涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)』(第1期・06年 第2期・09年)の長門有希(ながと・ゆき)といった、性格的にはアンニュイでクールなヒロインの系譜の方を継いでいる桃は、


「違う。魔法少女……」


と優子にボソっと宣言したあげく、腹を空(す)かしていそうだからと、優子に菓子パンを与えようとする(笑)。


 教室で級友からシッポやツノが生えていることを指摘された優子は、


魔法少女をブチ殺す(汗)使命を与えられて、覚醒(かくせい)した……」


などと語るが、


「その魔法少女ならA組にいる」(爆)


と、桃のところに連れていかれる。


 桃が優子をアタマ1個分「小さい子」とさげすんだことに、優子は頭のてっぺんの小さなアホ毛をプルプルと振るわせ(笑)、級友たちの声援を浴びながら


「おりゃおりゃおりゃぁ~~~!」


と桃の腹にパンチの連打を浴びせるが、


「よける必要性を感じない」


とか


「飛び道具、使った方がいい」


などと、全然桃に相手にされない。優子は


「これで勝ったと思うなよ!」


と捨てゼリフを吐(は)き、廊下をスタコラと逃げ去っていく(笑)。


 一家にかけられた呪いを解かねばならない使命感から常に必死な優子と、6年前には世界を救ったこともある(爆)ほどの強さから常に余裕な桃との、あまりの温度差の違いこそが本作のキモであり、夕焼けに染まる川の土手で往年のウルトラマンエース(72年)の掛け声みたいに


「テェ~~イ!」(笑)


なんて叫びをあげて魔法少女を倒す訓練に励(はげ)む優子の姿には、視聴者をつい感情移入させてしまう絶大な効果があるだろう。


 ただ原作は4コママンガでありながらも、優子と桃には先代からの因縁(いんねん)があり、劇中で描かれたことがすべてそれに起因するのが明らかになる連続ものとして、舞台となる多魔市(たまし・笑)の平和を守るために、優子と桃が共闘するに至る展開まで用意されていることから、れっきとした戦闘美少女ファンタジーの変化球的作品として、軽視してはならない存在かと思えるのだ(笑)。
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(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.83(19年11月3日発行))


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 2020年10月31日(土)~11月8日(日)に「東映特撮 YouTube Official」にて、映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(12年)が公開記念! 
 とカコつけて……。『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』賛否合評を発掘アップ!


仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』 ~快作!? 怪作!? 圧倒的物量作品を賛否合評!


『スーパーヒーロー大戦』合評1 ~細部のデタラメも含めて肯定!(笑)

(文・T.SATO)
(2012年4月29日脱稿)


 筆者個人は『スーパーヒーロー大戦』肯定派。


 まぁ見せ場の羅列ばかりだけど、そして決して人間ドラマ至上主義者ではないのでドラマが必須だとも思わない当方だけれども、一応は人間ドラマもあったとは思うゾ。


・歴代仮面ライダーとライダーシリーズ悪の軍団・大ショッカーの連合軍側の大首領に、俺さまキャラの仮面ライダーディケイド(09年)こと門矢士(かどや・つかさ)!
・歴代戦隊ヒーローと歴代戦隊の悪の大幹部たちが結集した大ザンギャック帝国との連合軍の側の大将にも、俺さまキャラの海賊戦隊ゴーカイジャー(11年)のゴーカイレッドことキャプテン・マーベラス


 この両者は元々のテレビ本編でも先輩ヒーローたちに敬意を評さない不敵なキャラクターだったので、イキナシ悪の軍団にトップに君臨していても全然違和感がナイ(笑)。
 ディケイドに至っては、過去にも映画『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091213/p1)で記憶喪失になっていた自身の過去が大ショッカーの大首領(爆)であったという、取って付けたようなムリやりで説得力のない超展開もあったので、なおさら驚かない。
 両者ともに吹けば飛ぶような若造の要素を残しつつも、この両者の役者さんは元からフテブテしくて不敵な演技がナゼだか妙にハマっている(笑)。もちろんイイ意味で適度にビミョーに間がヌケた感じもあったり、ディケイドに至っては声質が少々甲高いので(笑)、大悪人といった感じの貫禄までは出せていないけど……。それが最後には正義のヒーローとして活躍するのだろうナ……といった、「大きなお友だち」的にはイイ意味でミエミエな安心感を、子供たち相手にも無意識的な安心感を同時に担保もしてくれている(笑)。


 この一応のワル者と化した両者が攻防戦をやっているというのが本作の大構図。ただ両者は「大将」としてデンと構えて時にバトルをしているだけであり、本心は隠しているから特に彼らに内面ドラマが発生するわけではない(……批判ではないですヨ)。


 その代わりに人間ドラマ・内面ドラマ部分を担うのは、ライダーvsスーパー戦隊の戦いを止めようとする『ディケイド』の2号ライダー・仮面ライダーディエンドと、『ゴーカイジャー』のサブリーダーであるゴーカイブルー!
 彼らの戸惑いと、彼らの相棒なり女房役を説得すべきなのか!? 倒すべきなのか!? という切なる葛藤。ディエンド&ゴーカイブルー両者の立場の似て非なるビミョーな違いと対立と和解。そーいう構図のタテ糸となる作品の背骨自体はしっかりあったとは思うのだ。


 実はディケイドこと士のことが好きで好きでたまらないディエンドこと怪盗もとい海東大樹(かいとう・だいき)の、ラストでの愛憎あい半ばする私情だけから来る暴走行為は半分以上、笑ってしまうけど――もちろんあのラストは、大きなお友だち、もといお姉さまたちに向けてねらった「ここで半笑いしてください!」という作劇であるのは重々承知してはおります(笑)――。


 ……というようなことどもも、本作の映画パンフレットを読むと、監督や出演者自身が分析的に語っていたりして……。我々生ヌルい感想ブロガーや特撮同人屋の拙文なんぞよりも、よほど作品自体のエッセンスや縮図自体をうまく言語化できていて、みんなも見習えよ!(笑) てゆーか、批評・感想トークもやりにくい世の中だナ(爆)。


 『スーパーヒーロー大戦』否定派は本作のどのあたりがイヤなのであろうか? やっぱりそれまでの歴代シリーズとの設定面での整合性であろうか?


 最終回で変身アイテム・オーメダルが破損したハズなのに、そんな設定など無視して、あるいは説明ヌキで仮面ライダーオーズ(10年)に変身できちゃうあたりとか。そもそも『ゴーカイジャー』最終回で34大戦隊の「大いなる力」を元の戦隊ヒーローたちに返していたというのに、平気で過去戦隊に多段変身しているゴーカイレッドとか(笑)。
 そのあたりの整合性に作品の価値判断の基準線を引いておらず(汗)、まぁこのテの特撮ヒーローものはそんなラフでユルいモノだから……そこに踏み込んでその問題点を解消しようとなると展開がまだるっこしくなってしまうから……などと割り切って観れてしまう当方にとっては充分にオッケーな作品なのだけど。
――いやもちろん、そのあたりの不整合にもたとえ後付けであってもSF合理的な言い訳や解決を与えた上で、ストーリー展開もサクサク進めているような、一粒で二度オイシい作劇の方がよりマシであるというのならば、その通りではありますヨ――。


 まぁでも、往年の映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年)で、ウルトラマンタロウ(73年)よりも前にウルトラマンレオ(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)やウルトラマンエイティ(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)の方が先に地球に来ていた! という描写が登場したときには、番外編映画だからと割り切りはするけれども、引っかかる想いを筆者もかつては感じていたモノだから、彼ら批判派のことをとやかくは云えないですよネ(汗)。


 「ライダー」&「戦隊」の両陣営にひとりずつ懐かしのヒーローOBを配してファンサービスをしたり、キャラクターシフトをヨコ方向に拡げるだけでなく、彼らを偉大な先人扱いとすることで上方向や斜め上の方向にも立体化してほしかった気もしはする。
 が、低予算&安心スケジュールの白倉プロデューサー体制の作品では、そういうことをあまりやってくれないのはスレた特撮マニア的には最初からわかってはいたことなので、そこについては最初から期待していなかったことも、本作への期待のハードルを下げていたのかもしれないけれども(笑)。


(了)


『スーパーヒーロー大戦』合評2 ~古典的なストーリーで魅せずに、実録派ヤクザ映画の方法論で魅せる!?(笑)

(文・フラユシュ)


 まぁここまで来るともうストーリーうんぬんの話ではないよな。60年代までの横暴に対して耐えに耐えに耐え抜いた正義のヤクザが悪のヤクザに反撃する古典的な作劇を脱した、70年代前半の全編を善悪抜きでのヤクザ同士の出入り(喧嘩)であるアクションシーンの羅列だけで描くことで当時のヤクザ映画に革命を起こした、いわゆる「実録」もののヤクザ映画の二大組織対立ものをヒーローものでやったという感じ(笑)。
 単なる顔見せと各自にアクションだけあればいいという映画。前作『仮面ライダーオーズ』(10年)から登板して本映画でもメインヒロインを務める比奈(ひな)でさえアクションシーンで見せ場があった。まぁアクション監督出身の金田監督の作品だからかもしれないが。


 でも東映の白倉プロデューサーの映画パンフでのコメントにもあるように、『仮面ライダーディケイド』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090308/p1)のメインヒロイン・夏海(なつみ)だとディケイドが首領を務めるライダー陣営側に肩入れしてしまうかもしれないけど、『仮面ライダーオーズ』の比奈がヒロインだったからこそ、2大陣営双方に対して一歩引いた視線で冷静に批判的に眺めることで「客観性」が出せる第三者的な視点を劇中内でも確保できたのは事実だろう。


 今回の映画は、旧作のヒーロー(スター)たちがかつての設定や出自を少々無視してもそのキャラクターだけで押していく。ある意味これもキャラクターだけを活かして別の作品に脈絡もなく登場させる、いわゆる「スターシステム」なのかもしれない。


 さすがに現役作品組はテレビシリーズとのスケジュール調整が過密になるからだろう、役者さん本人はほとんど登場せず、冒頭とラストバトルでの主に変身後の着ぐるみでの出演だけだったが、まぁアタマとオシリに出てくれば主役っぽくなるからこの采配でいいのだろう。


 一部のメタフィクション・ネタや、意外なラスボスや、実は敵幹部・ドクトルG(ゲー)の正体が例の「彼」なのが、シネコン・新宿バルト9(ナイン)の2日目の上映でやたらと受けていたのは、親子連れも多かったが客層が男性マニア層や女性マニア層もバランスよくいたからだろうな。


(了)


『スーパーヒーロー大戦』合評3 ~ディテールはよいが、トータルのお話の出来ではやや落胆

(文・森川由浩)


 昨年(2011年)の「仮面ライダー40周年」、「スーパー戦隊35周年」といった東映二大特撮シリーズのアニバーサリーイヤー展開はどれも大成功を収め、今や日本の特撮ヒーローの代表選手が、この「ライダー」と「戦隊」の二大ブランドであることを立証した。


 しかし記念イヤーが終わればそれでおしまいではなかった。今年(2012年)はまた振り出しかなぁと思いきや、2012年1月30日に都内で行われた東映映画作品のラインナップ発表会にて、プロデューサーの白倉伸一郎がこういった発言をした。



「今回は全ライダーと全戦隊との全面戦争を描く。全ライダーを登場させた『レッツゴー仮面ライダー』と、全戦隊を登場させた『199ヒーロー大決戦』を昨年公開したが、あの二本をペナントレースと考え、今回は日本シリーズという発想。」

(『月刊文化通信ジャーナル』2012年3月号 原文まま掲載)



 それがこの映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(12年)である。


 しかし、仮面ライダーVSスーパー戦隊のコンセプトを打ち出したが、よくある双方が協力して悪を倒すということではなく、本当に対決するといったものである。しかしこのスタイル、裏には何かあるぞと年長の特撮マニアであれば誰もが感じ取ったことだろう。


 よって、この映画の話を耳にしたときはそんなに驚かなかったが、上に記載した白倉伸一郎による発言で


「今回は日本シリーズという発想」


インパクトとわかりやすさには敬服してしまった。もちろんプロ野球の「セ・リーグ」を「仮面ライダー」、「パ・リーグ」を「スーパー戦隊」、双方の優勝チーム同士の決勝戦である「日本シリーズ」を今回の「スーパーヒーロー大戦」に見立てた表現である。「わかりやすくて、人を引き付ける」という「キャッチコピーの鉄則」を守った白倉の発言に脱帽してしまう。白倉の手腕はこんなところにこそ生かされているなと痛感したのだ。



 今回の映画の図式を牽引するヒーロー同士の対決は、『仮面ライダーディケイド』(09年)の仮面ライダーディケイド=門矢士(かどや つかさ)と、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111107/p1)のゴーカイレッド=キャプテン・マーベラス。しかも、士は大ショッカー、マーベラスは大ザンギャックと、それぞれ悪の組織のボスへと収まる。
 実にショッキングな設定であるが、その裏には「敵を欺(あざむ)くにはまず味方から」の図式が存在している。これは年長マニアでなくても小学校中高学年以上になれば、ある程度は観る前から予想がついてしまうことである。
 よって、もう少し見せ方をヒネらないと、単なる手抜きやご都合主義と批判されるだけにしか終わらない危険性を有する。ネット上での本作への感想の多くがそれに終わっているだけに。


 そして物語の設定のディティールの不明確さ、あやふやさを感じずには入られない。ストーリーが展開していき、最後にある結果が出るためにはそこへと至るプロセスが存在する。そのプロセスの描き方の適当さ・手抜き感や、そのバックボーンの希薄さは感じざるをえない。“行き当たりばったり”といった表現を用いればいいのだろうか。


 この映画、ここ数年の「ライダー」共演映画や、「スーパー戦隊」共演映画の総まとめ的な印象が強い。しかし内容面ではこれまでの共演映画よりも劣るように感じてしまった。アイデアやコンセプト自体は他の「ライダー」共演映画や「戦隊」共演映画よりも上だと思うが、実際の作品がそこへ付いていっていないとしか思えない。



 壮大なコンセプトを活かせていないと思わせる最たる要素が、大ショッカーや大ザンギャックといった悪の軍団の描写で、目に付く悪の戦闘員が少なすぎる点である。スーツアクターを揃えられない、ヒーロー側が各場面で多数登場するので手が一杯といった事情を垣間見せてしまい、悪役がボリューム不足の感が強かった。
 ヒーローの数が圧倒的に多く、対する悪側の人数が少ないために、やや“弱いものいじめ”に見えてしまうのだ。もちろん“弱いものいじめ”ではないのだが、多くのヒーローを出すなら、悪の側もそれを上回る数で出さないと絵にならないし、ヒーローが大挙登場して反撃する道義的な正当性も生じてこない。今やデジタル合成でいくらでも戦闘員の増員ができるのだから、そこは手を抜かないで欲しかった。


 とはいえ大ショッカー側には、旧ショッカー時代のさそり男やゴースター、改組後のゲルショッカー時代のイソギンジャガーといった懐かしい怪人が顔を出しているのが、初代ライダー世代には嬉しいところだ。


 さらに『仮面ライダーディケイド』のナゾの男・鳴滝が、今回は『仮面ライダーV3(ブイスリー)』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140901/p1)の悪の秘密結社・デストロンの初代大幹部ドクトル・G(ゲー)に扮し、オリジナル同様に


「仮面ラ~イダ」


という独特の節回しでキャラクター名を呼ぶあたりのリ・イマジネーションも嬉しいといえば嬉しい。


 ここ数年のライダー映画で、往年の昭和ライダーの悪の秘密結社の大幹部の復活が多々見られたが、一作目の『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)からは一通り出尽くしたので、次は『V3』よりデストロンということだろう。
 ドクトルGデストロン幹部中一番の知名度を誇るだけあって、世代人の特撮マニアとしては嬉しい。しかし結局、鳴滝の変装であり、相も変わらず彼の素性は不明のままというのが不完全燃焼感を抱かせる。もはや彼は“都合のよい人”であり、何にでも配役できるけど、その素性を不明にして敵にも味方にもシフトできる便利な人物としての立ち位置を確立したことを今回改めて確認した次第。


 そしてドクトルGは本家同様、怪人カニレーザーに変身して戦う。このカニレーザーは原典そのままの復刻ではなく、時代に合わせたリニューアルが行われている。近年のオールライダー映画での幹部怪人(イカデビル・ガラガランダ・ヒルカメレオン)はオリジナルのデザインを忠実に再現したものが多かっただけに異質な印象も受けた。


 反面、大ザンギャックの方は名物怪人の復活もそうなく、「仮面ライダー」シリーズに比べてスター怪人が少ないこともあるが、「戦隊」悪役の革命児になったあの悪のヒーローが復活した。スーパー戦隊シリーズ超電子バイオマン』(84年)のバイオハンター・シルバである。今回はライダーハンター・シルバとして仮面ライダーたちを追う。


 このシルバも当時の世代人たちには強烈なインパクトを与えている。同作より10年強前の変身ブーム(1971~1973年)の洗礼を受けた、当時もう中高生や大学生の特撮マニアであった世代人から見れば、このキャラクターが初めて参上したときには


「なんだこのハカイダーもどき」


といった感想を抱いたものだったが(もちろんカッコいいとも思ったけれども)、ハカイダーを知らない世代に新時代の悪のヒーローの魅力を堪能させ、放映当時もそのパターン破り連発のドラマとアクションに巨大ロボ戦でスーパー戦隊シリーズの革命児であった『超電子バイオマン』の個性の大きな一翼を担った存在であった。


 このハカイダー東映特撮『人造人間キカイダー』(72年)終盤に登場したて悪のヒーローであるライバルキャラクターである。全身黒ずくめの衣装に黄色いイナズマを思わせるライン、そして人間の脳髄を有し、そのシステムから単なるロボットではなくサイボーグロボットとしての存在を確立。何よりも人間体・サブローとしての姿のから変身し、凄腕のガンマンでもある特徴から、主人公のキカイダーを超える人気を獲得した(次作『キカイダー01(ゼロワン)』(73年)にも続投している)。


 このハカイダーに魅せられた者の代表として、シルバのデザインワークスを担当した、当時は新進のマニア上がりのデザイナーであった出渕裕(いずぶち ゆたか)は、その憧れを存分に生かして“出渕版ハカイダー”の特色を押し出したバイオハンター・シルバを生んだ。


 今回の復活ではオリジナルの声優である林一夫による再演が実現、世代人感涙の登場を成し遂げた。おまけに『バイオマン』のリーダー戦士であるレッドワンの声は阪本良介(現・坂元亮介)が再演。昨年の映画『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201108/p1)での登場はともかくテレビ本編の『海賊戦隊ゴーカイジャー』では「バイオマン」編がなかっただけに『バイオマン』に思い入れのある特撮マニアもこのシルバ復活には狂喜したと思われる。


 ドクトルGとシルバという二大キャラクターの登場が、近作と比すると大幹部連中の描写がやや没個性的になってしまったようにも思えた悪の軍団の中では魅力的であった。



 本作ではヒーローの頭数だけを揃えればいいといったものではないという問題点も大きくクローズアップされたように思う。「ライダー」と「戦隊」のヒーローたち個々の描写が圧倒的に物足りない。総勢500人単位だからひとりひとりのキャラクターを確実に見せることは不可能であり、宣伝媒体での集合スチール写真で堪能してくださいとでも言わんばかりなのである。多くのヒーローが“エキストラ”にしかなっていないのだ。もちろん確信犯としての“割り切り”で大英断に踏み切ったことはわかるつもりだが、それでも物足りなさは強く抱いた。


 この文章は初日の初回を一回見たきりで執筆したものであるから、再度見直せば見えなかった部分や描き方の本質も感じ取れるのかもしれない。だが、近年の「ライダー」共演映画や「戦隊」共演映画に満足していた者としては、今回はコンセプトの大きさにストーリーや細かい描写が付いていっていない印象が強い。


 もちろん映画を「この作品は駄作だ」ということは簡単である。その中にはらまれたテーマや魅力、そういったものを探し出し、前向きな評価を下すことの方が建設的で有意義だとは思うのだが、この映画については一回見ただけではそういったことは感じられなかったし、またそうした気持ちにもさせられなかった。
 個人的にはこれといった魅力を感じることがないこの映画だが、時が経って見直せば、今見えていない魅力に出会えるのだろうか? そんなことを今回は考えさせられた。


(文中敬称略)
(了)


『スーパーヒーロー大戦』合評4 ~子供や大衆が娯楽活劇映画に求めるものとは!?

(文・久保達也)
(2012年4月25日脱稿)


 公開初日の2012年4月21日(土)、静岡県静岡市のシネシティ・ザートにて、初回9時55分の回を鑑賞。


 しかし今回はまぁ並んだ並んだ。映画を観るのにこんなに並んだのは、かなり久しぶりのことである。筆者が出掛けた劇場では、警備員の不手際から開館と同時に入場した観客の方が行列していた人々よりも先にチケットを購入することになってしまい、「不公平だ!」と怒り出す人もいるわで、騒ぎにまで発展してしまった。
 それだけ今回の「殺し合い」(笑)に対する期待値の大きさがうかがえるというものである。さすがに「殴り合い」にはならなかったが、そういう欲求を擬似的に満たすのがこの手の作品でもあるのだ(爆)。


 まぁ、タイトル通りの作品である。まさに「大戦」である。ホントに最初から最後まで、矢継ぎ早に正義・悪双方のキャラが続々と登場! スーツアクターの肉体的アクションと最新のデジタル技術の華麗な融合による、変身と必殺技の「様式美」がひたすら繰り返され、戦ってばっかり!


 ドラマらしいドラマなどはほとんどない。米村正二(よねむら・しょうじ)のシナリオ台本もスカスカなのでは? だって金田治(かねだ・おさむ)監督の絵コンテだけで済んでしまいそうな構成だもの。


 米村はテレビアニメ『それいけ! アンパンマン』(88年)の劇場版も多数担当しているようだ――来たる12年7月公開のアニメ『それいけ! アンパンマン よみがえれ バナナ島(じま)』の併映短編『リズムでてあそび アンパンマンとふしぎなパラソル』の脚本も担当!――。あれもアンパンマンだのカレーパンマンだの食パンマンだのバイキンマンだのドキンちゃんだのジャムおじさんだの多数のキャラクターが設定されている作品である。今回みたいにキャラの羅列だけしてラクをしているのではあるまいな?(笑)


 さて筆者は事前情報をまったく入手せずに鑑賞におよんだ――このところ筆者はそれを心に決めて劇場版にのぞんでいる。観る前から半分観た気になり、作品に変な先入観を持たないためである。そして、ホビー誌や特撮情報誌を目にするとオモチャ情報ばかりが目に入ってしまい、色々と欲しくなって困るためでもある・笑――。
 なので少々驚いたのだが、今回は現在放映中の『仮面ライダーフォーゼ』(11年)と『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)の主人公キャラが中心となって活躍するのかと思いきや、実はそうではなかったりする――もちろん、ラストバトルでは彼らに華を持たせているが――。3年前の『仮面ライダーディケイド』(09年)、そしてスーパー戦隊シリーズからは直前作『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)の主人公キャラが中心となっている構成なのである。前者は「平成ライダー10周年」、後者は「スーパー戦隊35作品」を記念して製作されたアニバーサリー作品である。


 これにライダーシリーズの直前作『仮面ライダーオーズ/000』(10年)――しかも主人公のオーズ=火野映司(ひの・えいじ)よりもメインヒロイン・泉比奈(いずみ・ひな)の出番の方が圧倒的に多いのが個人的には嬉しい・笑――、さらに『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)のそれも主人公の兄ちゃんではなく車掌のオーナーにヒロインのナオミ、そして「色だけ見れば戦隊みたい」(笑)なモモタロスをはじめとする正義のイマジン怪人たちといった、レギュラーキャラでも主人公ではなくサブキャラたちの方が活躍するのである。
 そのようなワケで、「ライダー」・「戦隊」ともに、最新作ではなく近年の作品の顔なじみのキャラが物語の中心になっている。


 しかし、ディテールやガジェット(小道具)やキャラクターに目を向ければ、歴代シリーズ過去作の遺産が存分に活用されている。


 今回の『ヒーロー大戦』でいえば、『仮面ライダーV3』(73年)の悪の組織・デストロンの大幹部であるドクトルG(ゲー)の再登場などはその典型例といえるだろう。現代風にリファインされたデザインでありながら、ちゃんとカニ型の怪人・カニレーザーに変身するし、なんといっても


「仮面らぁ~~いだ・でぃけいど!」(笑)


などと、オリジナルを演じた千波丈太郎(せんば・じょうたろう)の実に独特なセリフ回しを見事に再現しているのだ!


 「ライダー」側の悪の大幹部と対応する「戦隊」側の悪の大幹部として設定されたのが、スーパー戦隊シリーズ超電子バイオマン』(84年)に登場したバイオ粒子を持つ者を抹殺(まっさつ)する白銀の悪のヒーローであったバイオハンター・シルバ。なんとライダー粒子(笑)を持つ者を抹殺するライダーハンター・シルバとしてリファインされ、まさかまさかの再登場!
――『バイオマン』が放映されていた1984(昭和59)年ごろになると、1980(昭和55)年の創刊当初は1950年代の洋物SFや初期東宝特撮・初期円谷特撮ばかりをあつかっていた朝日ソノラマの特撮雑誌『宇宙船』でも、ようやくリアルタイムの東映ヒーローをまともに扱うようになってきた(現在は脚本家として活躍している当時若手の會川昇(あいかわ・しょう)がこの時期に編集者として参加して、現行の東映特撮をプッシュしたり旧作である70年代特撮の再評価特集を組んで、当時は中高生の年齢に達していた70年代前半の変身ブーム世代の特撮マニアたちに大きな影響と理論武装の方法を与えていたのだ)、それに影響されて当時高校生だった筆者らの世代の特撮マニアたちは、この時期の東映特撮をけっこうリアルタイムで観ていたり、そのまま東映特撮も継続して観るようになったマニアが多いのだ!――


 シルバを出すならバイオマンの活躍場面を、そしてバイオマンのリーダーことレッドワンの声を坂元亮介ご本人が演じるのならば、数カットでもよいので郷史郎(ごう・しろう)役で出演させて、先輩ヒーローとして助っ人参戦して、先輩らしい人生のアドバイスを後輩たちに与えたり、ここぞという場面でキチンと変身ポーズを取って変身させたり、映画の舞台挨拶にも登場してもらって、客寄せ面でも有効活用した方がよかったとも思えるのだが……



 そして、細かい話で恐縮だが、今回の大ショッカーの中には元祖『仮面ライダー』(71年)に登場したショッカー怪人が3体含まれている。


・第3話『怪人さそり男』に登場したさそり男
・第41話『マグマ怪人ゴースター 桜島大決戦』(1号と2号がダブルライダーとして初共演した記念すべき作品!)に登場したゴースター
・第84話『危うしライダー! イソギンジャガーの地獄罠』に登場したイソギンジャガー


 大前提として新造ではなくアトラクションショー用の気ぐるみがあったからのセレクトだろうが、


・第1話~第13話の「旧1号編」
・第14話~第52話の「2号編」
・第53話~最終回の「新1号編」


から1体ずつまんべんなくセレクトしている点は好感が持てるとともに、実に巧妙でもあると思う。


 元祖『仮面ライダー』は全98話にもおよび、放映期間は実に1年11ヶ月とロングランとなったことから、人によって想い入れが強い時期も異なるかと思われる。つまり、「2号編」や「新1号編」の再評価が進んだ今日では、一頃の特撮マニアたちのように「旧1号編」ばかりを絶対視しているハズはないのである(笑)。


 世代人でも一般的には視聴率が上昇をはじめた「2号編」以降から観始めたという人々も多いだろう。幼児だった筆者は第3話に登場した「さそり男」が怖くて「旧1号編」の視聴を打ち切り(爆)、裏番組だった女子バレーのスポ根アニメ『アタックNo.1』(69年・東京ムービー フジテレビ)に乗り換えたという経験があり、視聴を再開したのは「新1号編」に入ってしばらくのことであった。
――キー局では『ライダー』は土曜19時30分に放映されていたが、名古屋地区では日曜19時からの放映だったのだ(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140801/p1)。余談だが『アタックNo.1』の主人公・鮎原(あゆはら)こずえは筆者の初恋の人であった・笑――


 ゆえに3体の中ではイソギンジャガーが最もビビッと来るものがあったし、昨年の大傑作映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』(11年・東映)にジャガーマン・毒トカゲ男・シオマネキング・イカデビル・ガラガランダ・ガニコウモル・ヒルカメレオンなど、「新1号編」からのショッカー怪人が多く登場したのは、やはり嬉しいことであったのだ。


 それだけにはとどまらない。『レッツゴー仮面ライダー』にもチラッと登場してはいたが、『仮面ライダースーパー1(ワン)』(80年)第37話『巨腕コマ怪人! 灯台の死闘!!』に登場したジンドグマ怪人・コマサンダーが、『仮面ライダーZX(ゼクロス)』(『10号誕生! 仮面ライダー全員集合!!』(84年))に登場したバダン怪人・タイガーロイドとともに、出番は短いながらも主役側キャラを襲う場面があるのだ!――ここで比奈ちゃんがまさかの大活躍!・笑――


 年配マニアには有名でもこうした埋もれかけた世間的には知名度が低い怪人を登場させてくれるとは、世代人ではないのだが『スーパー1』が大好きな筆者が単に嬉しいというだけにはとどまらず、初めて目にした若い特撮マニアやマニア的な気質のある子供たちに「あの怪人はいったい何?」と、旧作に対する関心を喚起する起爆剤とも成り得ているのである。


 『仮面ライダーBLACK』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001015p2)の宿敵である悪のライダー・シャドームーンに、映画『仮面ライダーZO(ゼットオー)』(93年)の宿敵ドラスも登場と、まさにあらゆる世代にアピールしまくっておりますなぁ。
――いまだにブラックが「やめろ信彦(のぶひこ)!」などと呼びかけたりするのはちょっとだが(笑)。一度や二度は割り切ってブラックやその後継のライダーRXがシャドームーンを倒したことがあるのだから、「またよみがえったか!? 信彦! いやシャードームーン!」くらいのセリフにしておいた方が整合性が取れるのでは?――。


 『フォーゼ』の現役視聴者である就学前の幼児の若い父親層は、世代的にどうしても昭和『ライダー』シリーズには想い入れが強くない人々が多数派だろう。しかし、だからと云って、度重なるピンチの度に先輩ヒーローが助っ人参戦してくれても「ドッチラケ~」ということではないのである。むしろ良く知らないけど、かつては1年間の放映期間の看板を張った先輩ヒーローが活躍するサマを、頼もしくかつカッコよく思うものなのである。


 そして、テレビシリーズは「ご存じもの」の「定番」ではあっても、大スクリーンで大勢の観客とともに鑑賞する映画では、テレビシリーズの「ルーティン」な展開とは異なる「番外編」的な「華(はな)やかさ」や「お祭り感」やその映画独自の「ウリ」や「目玉」といったスペシャル感を人々は無意識に求めている。それに応えるのが映画ならではの物量映像であり、そのひとつの回答が先輩ヒーローたちの大挙出演なのである。


 このヒーロー大集合映画といった作品には利点もある。最新ヒーローしか活躍しないのではファミリー層と熱心な特撮マニアばかりが観客となってしまう。比率としては小さいとはいえ、少しでもパイを広げるためには、かつて『ライダー』シリーズに熱狂した30代から50代の「一般層」やふだんはテレビシリーズは観ても子供向けヒーロー映画を劇場で鑑賞することには恥じらいもあってレンタルビデオで済ませているような特撮マニアも劇場に誘致するには、このように「過去の遺産」を最大限に活かすことが得策なのである。


 『仮面ライダー電王』に登場した「時を駆ける列車」デンライナーの設定をも利用して、この映画は『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)の時代、『ゴレンジャー』放映2年目の1976(昭和51)年の世界にまで飛んでしまう(笑)。


 この際、デンライナーのオーナーが


「『ライダー』の枠がなくならなければ、『戦隊』の枠はあり得なかった……」


 などという、75年春の関西の朝日放送毎日放送のネット改編の話を持ち出してしまうのだ…… そんな、『仮面ライダーアマゾン』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20141101/p1)まで関東ではNET(現・テレビ朝日)で土曜夜7時半から放映されていた毎日放送製作の「ライダー」シリーズが次作『仮面ライダーストロンガー』(75年)からTBSの土曜夜7時枠に移動して、『アマゾン』後の空いた枠で同日から『秘密戦隊ゴレンジャー』がはじまった……なんてメタなネタは、筆者らオッサンの世代にしかわからへんぞォ~(笑)。


 1976年の世界で彼らを待っていたのは、映画『海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE(ザ・ムービー) 空飛ぶ幽霊船』(11年・東映)にも登場した『ゴレンジャー』第53話『赤いホームラン王! 必殺の背番号1』(笑)で当時の視聴者たちにも強烈な印象を与えた黒十字軍の仮面怪人・野球仮面!
――ただし当時、小学4年生だった筆者はこの話を観て「幼稚だ」と思って、「もう『ゴレンジャー』を観るのはやめよう」と一度は特撮ヒーロー番組を卒業した・爆――


 そして、なぜライダーと戦隊が戦わなければならないのか、その理由をただひとり知っているとされるアカレンジャー! まぁ大きなお友達であれば、その理由は大体察しがつくと思いますけど(笑)。


 これって昭和の『仮面ライダー』シリーズのメインライターを務めてきた故・伊上勝(いがみ・まさる)が、『仮面ライダー』(71年)第79話『地獄大使!! 恐怖の正体?』などで繰り返し描いてきた悪と正義との「だまし合い」だったりするんだよなぁ。たしかに広い意味での「王道」ではあるのだが、それを考えるとあまり小さな子たちには観せたくなかったりして(笑)。


 ただし、元祖『ゴレンジャー』に想い入れが強い世代のパパたちや特撮マニアたちは、アカレンジャーや野球仮面の登場に喜ぶだろう。野球仮面は1990年前後に流行った当時から見た懐かしのヒーローや人気テレビ番組を懐古するレギュラー番組やスペシャル番組でもよく扱われてきたことから年長の一般層にも相応に知られているだろうし、その意味でも良いセレクトだろう。まぁマニア的にはアカレンジャーの声が誠直也(まこと・なおや)、野球仮面の声が永井一郎(ながい・いちろう)でないのが残念だったりするのだけれど(笑)。


 現在『ゴーバスターズ』の現役視聴者である幼児たちの父親の世代の平均は、『ゴレンジャー』のリアルタイム層よりずっと若いかと思われる。しかしたとえば名古屋地区の場合だと1981年と1984年にフジテレビ系列の東海テレビで16時台に再放送がされており、そのような再放送で知った世代も多いことだろう。
 最近の「ライダー」&「戦隊」映画を観に行って耳にした親子の会話から判断すると、今の幼児たちも旧作の「戦隊」の中ではやはり「元祖」という看板があるせいか『ゴレンジャー』に対する関心が極めて高いようである。やはり子供たちも「元祖」という存在に対しては別格な想いを抱きがちになる心理も大きいのだろう。そうした面からも、やはり新旧ヒーロー共演やその中でもゴレンジャーにスポットを当てたことは正解だったと思える。


 しかし「485人」ものヒーロー&ヒロインと、敵怪人&敵戦闘員たちが、クライマックスで「ワァ~~~!!」と歓声を上げて大集結! 大ショッカー&大ザンギャックと入り乱れての「大戦」を繰り広げるさまはまさに圧巻だとしか云いようがない! ただ、特に大ザンギャックの方、ゴテゴテとした装飾の多いスーツを着て、「ワァ~~!!」と走るだけでも大変だっただろう(笑)。本当に皆様お疲れさまです……


 地上では歴代ライダー&スーパー戦隊が共同戦線を張り、大ショッカー&大ザンギャックの大幹部&怪人&戦闘員を次々に倒していく!


 一方、冒頭にだけ登場して、テレビ本編班の苦労を減らすためかそのあとは全然登場していなかった(笑)、現役の仮面ライダーフォーゼ&ゴーバスターズはラストバトルにだけ急遽参戦して宇宙に飛び出し、逆切れした誰かさん(ネタバレ防止・笑)が操るビッグマシンと


「戦隊ロボ、キタ~~~~ッ!!!」


のクライマックス・バトルである巨大メカ戦を繰り広げる! フォーゼが「宇宙飛行士」型ライダーとして設定されたために、こうしたヒーロー大集合のお祭り映画にふさわしい宇宙規模のスケールを有するバトルが描けたともいえよう(笑)――


 本作のラストバトルでは、隣の席の3歳くらいの女の子は


「いっぱい! いっぱい! いっぱい! いっぱい!」


と、客席で踊り出す始末(笑)。前の席に顔面がくっつきそうなほど、身を乗り出して観ているほどであったのだ!


 本作公開の前月に公開された映画『ウルトラマンサーガ』(12年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140113/p1)でも、ラストでのウルトラマンゼロウルトラマンダイナ&ウルトラマンコスモスVS宇宙恐竜ハイパーゼットンと並行して描かれるハズであった、ウルトラ兄弟VS怪獣兵器軍団のシーンは撮影されながらも、完成映像ではカットされてしまっていた。
 尺の都合や手間のかかるポストプロダクション(CG合成やデジタル合成などの後処理)の製作スケジュール逼迫の都合でカットされたのだろうことはスレた特撮マニアたちから見れば容易に想像がつくことだし、スタッフも断腸の思いであっただろうからおおいに同情もするけれど、それでも非常に残念ではある。


――ちなみに『サーガ』は静岡では12年4月22日で上映終了。同時期に公開された女児向けアニメ『映画プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』は5月4日までまだまだ上映するというのに(笑)――


 近年の「ライダー」や「戦隊」映画と同様、本作も観客の中には「女児」の姿が目立った。『ウルトラマンサーガ』は4回鑑賞したが、いずれも観客の中に「女児」はごく少数しか存在せず、しかもウルトラマン目当てというよりはDAIGO(ダイゴ)やAKB48(エーケービー・フォーティエイト)目当てと思われる小学校高学年くらいの「女子」の方が「女児」よりも割合的に高かった。
 そうした新しい客層を開拓することももちろん大事なことだが、やはり本来のターゲットである幼児層を男女を問わずに引きこもうと思えば、「戦隊」のみならず「ライダー」にもサブヒーローに変身ヒロインを出すべきでは? と思える。『プリキュア』人気を考えても「女児」も「バトルもの」が好きだということは実証済である(笑)。


ヒーロー対ヒーローの構図、過去作の遺産に頼ることをドー観る!?


ウルトラマン同士の殺し合いを「見世物」とするなら、それは「商売」として、飽きられ枯れるまで続ければよろしい。もう、僕らが幼いころに胸をときめかせたウルトラマンはここにはいないのだから」

日本テレビ系列の中京テレビプロデューサーであり、特撮自主映画の製作で知られる喜井竜児(きい・りゅうじ)のブログから)


「そして今、新銀河伝説? として、「光の国」さえもが、抗争の巷(ちまた)の様相を帯びて描かれてしまったのである。ウルトラマンが、何かいかがわしい王権の復活のために、無機的な空間に、轟音(ごうおん)と閃光(せんこう)の氾濫(はんらん)する「光の国」で、ウルトラマン同士骨肉の怨恨を晴らすために戦い続ける姿を夢中になって見続ける幼児たちに、ウルトラマンは、どんな存在として受け取られているのだろう」

(同人誌『金城哲夫(きんじょう・てつお)研究』Vol.1 No.1(創刊号)(金城哲夫研究委員会 編・刊 2010年2月26日発行) 【巻頭特別寄稿】「光の国を守ろう」飯島敏宏(いいじま・としひろ))



 これらはいずれも映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)に対する批判かと思われる一節である。
 『ウルトラ銀河伝説』も今回の『ヒーロー大戦』同様に、「ウルトラマン」の劇場版には珍しく、全編バトルで彩(いろど)られた作品であった。双方ともにウルトラマン同士の「殺し合い」に苦言を呈している。しかし『ウルトラ銀河伝説』に登場するウルトラマンベリアルは明確に「悪」と定義されているキャラクターである。云うならばウルトラシリーズに数々登場した「ニセウルトラマン」の系譜に属する倒されるべき悪役であると定義すべきキャラクターなのだ。


 それに比べると、今回の『スーパーヒーロー大戦』ではまさしく「正真正銘」の「正義」のヒーロー同士、「仮面ライダー」と「スーパー戦隊」が喜井氏が云うところの「殺し合い」を全編に渡って演じ続けているので云い逃れができない(笑)。中盤においては仮面ライダーディケイドとゴーカイレッドがそれぞれ様々なライダーや戦隊ヒーローにチェンジしながら1対1の激闘を繰り広げる場面があり、まさに「大戦」を最大に象徴するものとなっている。
 これを果たしてリアルで凄惨な「殺し合い」や「戦争」と解釈するのか、それとも安全にスポイルされた記号的でスポーツ的な「夢の対決」や「力比べ」と解釈するかは、個々人の判断にゆだねてそれぞれを尊重すべきではあるのだろう。


 しかし少なくとも自身の「ウルトラマン像」を大事にしたいがために、あるいは特撮業界の著名人がそう云っていたからという錦の御旗(にしきのみはた)として、それこそが絶対に正しいものであり、それとは異なる「ウルトラマン像」が描かれたからといって、双方ともに反対意見の持ち主を声高に否定するのはどうかと思える。


 とはいえ、そんな否定的な論評がごく少数は存在しても、『ウルトラ銀河伝説』は興行的には前作『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1)と比すれば劣ったけれども、作品評価としては賛辞する声の方が圧倒的に多かったものである。
 今回の『ヒーロー大戦』もドラマとしてのクオリティ面での評価はともかく、正義のヒーロー同士が本来ならばありえないバトルを展開すること自体は多くの観客が喜んでいる。たしかにガチで陰惨な「殺し合い」だったら観たくはないけど、スマートで舞踏的な得意技を連発していく「夢の対決」的なヒーローVSヒーローの戦いならば、みんな好きだし観てみたいものなのだろう。


 戦ってばかりの作品ではある。しかし、かろうじて存在するテーマもどき(笑)の要素を挙げるとするならば、現在放映中の『仮面ライダーフォーゼ』(11年)の主人公・如月弦太郎(きさらぎ・げんたろう)が「学園のすべての生徒と友達になる!」をモットーにしているように、「仲間を想う心」がさりげに伝わるようにはなっている。


 要するに「戦争映画」のほとんどが実は「反戦」テーマであり、最後には「平和がすばらしい」とか、「世界の人々と仲良くしよう」(by 日本船舶振興会の代表にして右翼の大物、故・笹川良一(ささがわ・りょういち)が70~80年代に大量に流していたテレビCM)などと謳(うた)っているのと同じである(笑)。


 私事で恐縮だが、小学校3年生のころ、道徳の時間にNHK教育テレビ(→現Eテレ)の『みんななかよし』(62~87年)という道徳番組を毎週観せられ、内心では失笑しながら鑑賞していた(ホントにイヤなガキだった・笑)。
 しかしそういう道徳的なテーゼは、今回の『スーパーヒーロー大戦』のようなカラッと明朗な娯楽活劇映画のかたちで描いた方がクサみもウスれて鼻につかないし、むしろ子供たちにも伝わりやすくなると思うのだ。


「すべての生徒と友達になる」


なんて絶対ムリに決まっている(笑)。ウマが合わない人間、苦手な人間、気性の荒い怖い人間とは友達になりたくないし、近づかない方がよいこともある。しかし、「すべての生徒と友達になる」ことがムリなことは放っておいても成長するにつれて誰もが教わらずとも次第にわかっていくことであり、就学前の幼児には「誰とでも仲良くしようね」などと云っておいた方がよいのだろう。幼いころからニヒルになりすぎても別の問題は出てくるのだろうし。それを思えば、見た目はリーゼントで70~80年代のヤンキー番長なのに、弦太郎の人間賛歌で楽観的なキャラクターは、子供向けアクション番組としては理想的な主人公像・ヒーロー像だとも思えるのである。


――ところで、このところの東映ヒーロー共演の劇場版では、21世紀以降に定番となったヒーローたちのタイプチェンジも恒例の演出となっている。しかし先述の『ウルトラマンサーガ』ではウルトラマンダイナもウルトラマンコスモスもタイプチェンジを披露していない。これはダイナとコスモスがタイプチェンジができることを知らない観客に対して、絵面的なわかりにくさや混乱を招かないために配慮した処置であることはスタッフも明言している。内輪ウケにならないように一般層にこそ顔を向けた配慮それ自体は一般論としては正しいとすら思う。しかし、ヒーローがタイプチェンジする過程の映像をキチンと挿入しておき、その前後で変身前の同一の俳優が声をアテるだけでそのキャラクターの同一性は一般層にも簡単に担保ができることである(笑)。だからその配慮は過剰に過ぎるし、バトル場面での絵面(えづら)の変化や「華(はな)」を少々欠落させてしまった処置だと思えてならない。『サーガ』自体はドラマ的には非常にクオリティが高かったとは思うけど、その点では少々不満が残る――



 「今の『ウルトラ』がダメなのは、過去のシリーズの遺産に頼りすぎているからだ」などとウルトラシリーズの若きマニアたちが指摘をしているのを近年はけっこう目にする。しかしそれを云うならば、東映も近年の「ライダー」や「戦隊」は、そして今回の『スーパーヒーロー大戦』などはおもいっきり過去の遺産に頼っている! 冒頭からいきなり昭和の「7人ライダー」登場であり、しかもゴーカイレッドに瞬殺されていくのはその象徴である(汗)。


 これに関しても、以下のような興味深い発言がある。



渡邊「僕は東映のセールスマンだったからね、もう勧善懲悪(かんぜんちょうあく)の“ご存知路線”をイヤっていうほど観てるわけ。お客さんの反応も同じくらい見ながら育ってきた。それでTVの作り手になってね。『銭形平次』(66~84年)にしても『遠山の金さん』(70年~)にしても『水戸黄門』(69年~)にしても僕が企画してきたんだけど、“ご存知路線”は永遠不滅なんですよ。たまに新しい要素を入れていけばよい。役者を代えるとかね。
 だから、一時期『水戸黄門』が髭(ひげ)をつけない(引用者註:石坂浩二水戸黄門役を務めた第29部(01年)と第30部(02年)。髭をつけなかったのは石坂の要望)、印篭(いんろう)を出さない(引用者註:佐野浅生主演版の最終作である第28部(00年)など。当時新たに就任した製作プロ側のプロデューサーがパターン破りを幾つか試みた)っていうのをやったけど、僕はダメだと思ってました。大衆受けしないからね。
 あれで見てる人に「あっ、これで悪人をやっつけられる」と思わせる伝家の宝刀(でんかのほうとう)=印篭を出さなければ、型がないに等しいわけ。型がないものは当たらないですよ。型にはまった単純さが大事なんです。古いものを大事にしながら、一方で新しいものを取り入れていく――それをいかにTVに活かすかが勝負どころだと思います」


平山「そういえば、昔渡邊さんに教わったことがあったんだ。「二分(にぶ)の冒険、八分(はちぶ)の安全」ってね。全部が全部、新しいものがいいのかといえば、実はそうじゃない。二分でいい、二分より上は冒険しちゃダメだとね」


加藤「我々が『仮面ライダー』を作ったとき、『人造人間キカイダー』(72年・東映 NET)や『秘密戦隊ゴレンジャー』を作ったとき、子供番組にも既に“ご存知路線”はあったんですよ。『月光仮面』(58年・宣広社 KRテレビ→現TBS)とか『ウルトラマン』(66年)とかね。
 それを我々なりに色を変えたり、いいとこ取りをして新しい“ご存知”を作った」


(『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー』Vol.11(講談社 04年12月10日発行・ISBN:4063670961)ファイナル特別座談会「東映ヒーローの礎(いしずえ)」)



 これらの証言から東映の“ご存知路線”。つまり「過去の遺産」に頼る、いやそれを有効に活用してから新しいものをつくっていくという手法は、なにも今にはじまったものではないということが充分にうかがえるというものだ。


 まぁ、テレビシリーズにおける現役ヒーローと悪の軍団とのルーティンな攻防劇の方はまさに「型」そのものであり「ご存じ」路線だとはいえても、子供や一般層にはなじみがないかもしれない先輩ヒーローの客演の方は「型」や「ご存じ」路線とはいえない、先輩ヒーローの客演は『水戸黄門』の「印籠」や『遠山の金さん』における「桜吹雪の入れ墨」には相応しない、というツッコミの反論があったらすぐに論破されちゃうロジックなので(笑)、東映つながりで別のリクツも用意しておこう。


 かの平山亨プロデューサーによれば、東映の時代劇映画は昭和30年代(1950年代後半~60年代前半)にかけて、毎年年末になると主役級の役者陣多数が一堂に共演する「オールスター時代劇」の映画をつくっていた。必然的に各々(おのおの)の役者の出番自体は少なかったりワンカットだけだったりすることになった(笑)。しかし、頼もしい助っ人参戦的な登場のさせ方をすることで物足りない思いを観客に抱かせないような工夫をしていたというのだ。……まさに今回の『スーパーヒーロー大戦』などの近年のヒーロー大集合映画の作劇術とも同じなのだ!
――しかし平山自身がこの作劇術を用いたのは、ヒーロー共演映画……ではなく、5人のヒーローを細切れに活躍させる『秘密戦隊ゴレンジャー』の方ではあったのだが(笑)――



 かつて筆者は「平成ライダー各作品が独自の世界観で完結してしまって、後続シリーズに近作ヒーローたちがゲスト出演できないことはデメリットである」と主張したことがある。小学生が幼児のころを小生意気にも懐かしがって(笑)先輩ヒーローが現役ヒーローを助けに来る回だけは観たくなったりする心理をも逆用して、子供たちのヒーロー番組卒業を遅延させたり、あるいはヒーロー番組鑑賞に復帰させたりすることで、幼児のみならず今の小学生たちにも特撮ヒーロー番組をもっと観てもらいたかったからだ。
 しかしこのところの劇場版では、常に最新ヒーローと近作ヒーローたちとの共演が描かれて、子供番組を卒業してしまいそうな年齢に達した子供たちもゲットしようとする合理的な戦略が伝わってくるあたり、非常に好感が持てている。
 もちろんいつまで経っても卒業できない(爆)我々年長の特撮マニアや、マニアではないそれぞれの世代ごとの世代人たちを少しでもゲットしようとしたり、何ならイケメン役者目当ての女性層なり、特撮ヒーローもののような比較的に記号的なキャラクターが活躍するアニメなどのジャンル作品を好みそうな女性オタク層にまで、とにかくウイングを広げて、そのメインターゲットはもちろん子供ではあるものの硬軟・老若も含めた幅広い層のゲットに実際にも成功している日本特撮の現況自体はとても喜ばしいことだと思っている。


 かつて1980年前後に「リアルでハードでシリアスでファースト・コンタクトものの怪獣映画をつくれば、日本特撮は再興する!」と特撮マニアたちが叫んでいた。筆者も当時はそれを信じていたので無罪では決してない(爆)。しかし実際には「ファースト・コンタクト」とは真逆の先輩ヒーローが大挙登場して、コミカルでマイルドな演出も随所にあってギャグ怪人までもが登場する作風で、あの時代に望まれていた「日本特撮の再興」とはまるで違ったかたちになってしまったけど(笑)、日本のエンタメシーンの頂点ではないにしても一角を占めてしまったことに痛快さを感じているところはある。これはこれで良いのではないのかと……


昭和の『東映まんがまつり』での劇場版『仮面ライダー』誕生秘話! 子供たちが求める作品とは!?


内田有作(うちだ・ゆうさく 元東映東京製作所 生田スタジオ所長)
「僕が新宿東映にいたころ、実際に『東映まんがまつり』も興行してましたけど、僕から見ても「(執筆者註:世界の名作童話をアニメ化した)長編アニメは下降線になってきたな」という実感があったんですよ。今でもはっきり覚えているけど、(併映の)TV作品を上映するときは、子供たちがオープニングから主題歌をガンガン歌ってるわけ。一方で動画の長編をかけると、もう30分も経たないうちに通路を走り回ってる。頭からのれないんですよ」


平山亨(ひらやま・とおる 元東映テレビ事業部プロデューサー)
「上等な作品なんだけどねぇ……というか、上等だからこそダメなんだろうね」


(『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー』Vol.11(講談社 04年12月10日発行)ファイナル特別座談会「東映ヒーローの礎」)



 これは映画『仮面ライダー対ショッカー』(72年・東映)に始まる昭和の「仮面ライダー」劇場版誕生前夜についての回想である。現場の人々が子供たちの需要をまさに的確につかんでいたという貴重な証言でもある。


 これを裏づけるかのごとく、次のような興味深い記事も存在する。



「またこんなデータもある。東映が先月公開した『ひょっこりひょうたん島』などテレビ人気番組4本の子供週間に児童を対象に「何を見たかったか」のアンケートをしたところ、怪獣の出てくる『キャプテンウルトラ』(67年・東映 TBS)が35パーセントでトップ、2位は『魔法使いサリー』(66年・東映動画→現東映アニメーション NET→現テレビ朝日)27.7パーセント」

(『日刊スポーツ』大阪版(67年8月8日付) 「峠越した? 怪獣・マカロニ(ウエスタン)」)



「たとえば、東映が期待していた『ひょっこりひょうたん島』『黄金バット』(67年・第一動画 フジテレビ)などの4本立てのうち、男の子の半分は添えものの『キャプテンウルトラ』を当てにして来たというし、女の子の6割は同じく添えものの『魔法使いサリー』が見たいためで、かんじんの『ひょうたん島』めあては1割にもみたなかったという」

(『キネマ旬報』67年10月下旬号 「現代の映画観客を考える」その2「母と子が映画に求めるもの」磯山浩)



 これらは本誌でもご活躍の特撮同人ライター・森川由浩氏の労作である同人誌


・『生誕40周年記念 宇宙特撮シリーズ キャプテンウルトラ全書』(07年12月29日発行)
・『生誕40周年記念 宇宙特撮シリーズ キャプテンウルトラ全書 増補編』(08年8月15日発行 ~「増補編」という誌名だが、前書とは重複がないPART2)


から引用させていただいた。67年7月下旬に東映系で公開された映画『オールカラーで! 東映まんがまつり』に対する観客の反応について報じたものである。


 東映がテレビアニメ草創期の1963(昭和38)年から1989(平成元)年に至るまで春・夏・冬の長期の休み期間中に興行していた『東映まんがまつり』では、世界の名作童話などを原作にした長編アニメにテレビ作品を劇場用にブローアップしたものを何本か併映するというスタイルが開始当初は一般的であった。


 1967年夏のプログラムでメインとなったのは、当時は大人気だった子供向け人形劇『ひょっこりひょうたん島(じま)』(64~69年・NHK)を東映動画がアニメ化したものであった――映画『ALWAYS(オールウェイズ) 三丁目の夕日 ’64』(12年・東宝)の冒頭場面において、主人公一家の鈴木家が購入したカラーテレビに映し出される番組として登場している。同作は当時としては珍しいことに第1話からカラーで製作された番組だったそうだ!――


 原作の故・井上ひさしが一昨年の2010年に逝去した折、『ひょっこりひょうたん島』は氏の代表作であるとしてマスコミの各所で「名作だった」などと回顧する声が多かった。が、先にあげた証言、当時の記録から判断するかぎりでは、そうした良心的な大人が子供に観せてあげたいと考える作品は――元々は人形劇であった作品をアニメ映画に改変した企画自体に根本的な問題もあったかもしれないが――、少なくとも67年夏の段階では、すでに子供文化のメインストリームであったとは云いがたかったのかもしれない。
 やはり「ヒーロー」や「魔法」といった子供たちがあこがれを抱く超越性や万能性を感じさせる作品の方が強い! といったところか?――ただし、往年の大人気ギャグ漫画『オバケのQ太郎』(64年)も『週刊少年サンデー』での開始当初は反響がなかったため、9話で打ち切ったところで抗議が殺到して連載が再開したというから、こういうアンチ・ヒーロー的で牧歌的な作品は子供たちにとってのナンバー1にはなれないが、中堅どころとして人気は潜在的には確保されている、といったかたちの心理で受容されているのかもしれない――


 この『東映まんがまつり』では、初代『ウルトラマン』(66年)と『ウルトラセブン』(67年)の間のつなぎとして東映が製作したテレビ特撮『キャプテンウルトラ』は、その第2話『宇宙ステーション危機一髪』と第5話『バンデル巨人あらわる!!』を再編集というか単につなげて上映しただけの作品であった。しかし当時は一般家庭にはカラーテレビはまだまだ普及してはいなかったことから、そんなテレビ作品まんまの上映でも、カラーで大スクリーンで観られるということ自体が大きな商品的価値となったのである。


 それならば『ひょうたん島』だってカラー映像によるアニメ化であるという大きな「売り」もあったはすだが、やはり子供たちは良心的な作品よりももっと低劣な「ヒーロー」や「怪獣」や「スーパーメカ」や「魔法」といったものの方を観たかったのだろう。親が観せたいものと子供が観たいものは一致した試しがないことは、筆者が子供であった70年代のテレビ番組に関する調査結果からはじまって、それ以降も定番の結果ではある(笑)。子供は手作りケーキよりも駄菓子、フランス料理のフルコースよりもB級グルメを好むものなのである。


 71年7月公開の『東映まんがまつり』では、『ゴーゴー仮面ライダー』と題し、第13話『トカゲロンと怪人大軍団』が上映された。これもまたメインの長編アニメを上回る大反響を起こすこととなった。



渡邊亮徳(わたなべ・よしのり 元東映株式会社取締役 テレビ事業部部長)
「それで僕は、絶対に『仮面ライダー』のような実写ものもプログラムに入れるべきだって思ったわけですよ。そうすれば劇場もそれ目当ての子供たちでいっぱいになるし、TVの方も視聴率が上がって裾野が広がるし、マーチャン(引用者註:マーチャンダイジングの略。版権ビジネスのこと)にも効果がある。だから最初は強引にネジこんだんです。毎日放送への相談もなしに(笑)」


加藤昇(かとう・のぼる 元石森プロマネージャー)
「要は「時流に即した、よりタイムリーなものを」と、企画サイドが常にリサーチを怠らず、子供たちが何を望んでいるかをつかみ、それに合った企画を考える姿勢があったからこその成果なんです。決して偶発的なヒットではない。『仮面ライダー』も『人造人間キカイダー』も『ゴレンジャー』も、そうした共同製作の賜物(たまもの)なんですよ」


(『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー』Vol.11(講談社 04年12月10日発行)ファイナル特別座談会「東映ヒーローの礎」)



 こうした経緯から、翌72年3月公開の映画『仮面ライダー対ショッカー』が劇場用新作としてつくられ、以降は『仮面ライダー』シリーズ・『キカイダー』シリーズ・『イナズマン』(73年・東映 NET)シリーズ・『マジンガーZ』(72年・東映動画 フジテレビ・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200119/p1)シリーズ・『ゲッターロボ』(74年・東映動画 フジテレビ)シリーズなどの変身ヒーロー作品やスーパーロボットアニメなどのテレビシリーズのフィルムのブローアップ版が『東映まんがまつり』の新たなメインプログラムとなる。
 さらには新作アニメ映画『マジンガーZデビルマン』(73年)や同じく新作アニメ映画『グレートマジンガーゲッターロボ』(74年)などの作品の垣根を超えた「夢の共演」作品が当時の男児層の熱狂的な注目を集めることになっていくのである!


昭和のライダー大集合映画に対抗するためにも、第2期ウルトラも大集合映画をつくるべきだった!?


 さて同じころ、ウルトラシリーズはどうだったのであろうか? 第2期ウルトラシリーズはやはり長期休みに封切されていた子供向けのプログラム映画『東宝チャンピオンまつり』(69~78年)において、メインの東宝特撮怪獣映画の新作やリバイバル再上映に併映するかたちでテレビ作品をブローアップして上映されてはいた。しかしながら、『ライダー』や『マジンガーZ』のような劇場用新作はただの一度も製作されることはなかった。
 このこともまた、「第2次怪獣ブーム」が「変身ブーム」、そして「ロボットアニメブーム」に塗り替えられてしまう一因となったのではないかと筆者は後知恵(あとぢえ)ながら考える。


 が、72年12月公開の『東宝チャンピオンまつり』においては、先に挙げた飯島敏宏監督によって円谷プロ製作の劇場用新作映画が公開されてはいる。それは『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』(72年・東宝)である。
 東京湾から上陸しコンビナートを襲撃した怪獣が自衛隊に撃退されるが、その怪獣が生み落とした怪獣の子供は世間の同情から保護されることになる。怪獣はダイゴロウと名づけられるが、あまりに大食漢のために政府は成長停止薬・アンチグロウの使用を決定する。そのころ、凶暴大星獣ゴリアスが宇宙から襲来し!…… とまぁ、ザッとこんな流れだ。


 先日再鑑賞した印象では「怪獣映画」というよりは「怪獣も登場する下町人情喜劇映画」といった感が強いのである。どちらかといえば、映画『男はつらいよ』(69~95年・松竹)シリーズのノリに近いものがあるのだ。怪獣対決よりもむしろダイゴロウと人間たちとの間のほのぼのとした交流をコミカルに描いた演出が占める割合が圧倒的に高い。まさに「大人のための」童話・ファンタジーといった趣が強いのである。年長世代的には懐かしいコメディアンの故・三波伸介(みなみ・しんすけ)の好演などたしかに楽しめる。
 同作はかつてはリアル&シリアス至上主義であった特撮マニア間での風潮で70年代~90年前後までは酷評されており、90年代中盤から特撮マニアが高齢化して価値観も変化してきたのに伴ってか再評価もはじまって、近年ではその評価がうなぎのぼりである。
 そんなようやく再評価が高まってきた苦労人の作品に対して、さらにまたその逆張りで批判をするのも非常に心苦しいのだが、同作は果たして「怪獣」の「大暴れ」を目当てに観に来た子供たちには当時どう映ったことであろうか?


 実際にこのときのプログラムの中で最も評判が高かったのは、『ダイゴロウ』でも映画『怪獣総進撃』(68年・東宝)の改題リバイバルである『ゴジラ電撃大作戦』(72年・東宝)でもなく、あの宮崎駿(みやざき・はやお)が脚本、高畑勲(たかはた・いさお)が演出を担当して東京ムービー(現トムス・エンタテインメント)が製作した稚気満々(ちきまんまん)の名作アニメ映画『パンダコパンダ』であったと書籍で読んだ記憶がある。
 同作が公開される直前の72年秋、東京・上野動物園に中国からジャイアントパンダ2頭(オスのカンカンとメスのランラン)が寄贈されたことから、当時全国的にパンダブームが巻き起こっていた。先の石森プロの加藤氏の発言にあるように、結局は時流に即したタイムリーな(悪く云うならブームに便乗した)作品が、最も注目を集めることとなったのである。


 まぁ、パンダが出てくればなんでもよかったということでもなく、『パンダコパンダ』は子供たちが心底から喜びそうなディテールに満ちあふれた童心をくすぐる大傑作であったから、そのような結果になったのであろうが…… 筆者よりも年下の世代たちの感慨を無碍(むげ)にしてしまってもいけないが、1960年前後生まれのオタク第1世代のライター・岡田斗司夫(おかだ・としお)や唐沢俊一(からさわ・しゅんいち)などに留まらず、1970年前後生まれのオタク第2世代までのアニメ・特撮ファンであれば、宮崎駿高畑勲は『パンダコパンダ』をはじめとして80年前後までは神懸った大傑作アニメをつくってきたけど、80年代以降のスタジオジブリ作品についてはもう出涸らしであると思っている御仁が実は多いことについても、ついでにこの誌面に記しておこう(汗)。



 のちに飯島氏が監督した映画『劇場版 ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT(ザ・ファースト・コンタクト)』(01年・松竹)のような宇宙忍者バルタン星人に子守歌を聞かせて眠らせる(爆)みたいなマイルドなノリもよいのだが、それは大人が子供に観せたい、あるいは「大人のための」童話・ファンタジーなのであって、そういった作品は子供たちが真っ先に観たいと思うプリミティブ(原始的)な暴力衝動を疑似的に発散させるようなヒロイックな作品ではないだろう。


 「円谷プロ創立10周年記念作品」として製作された『ダイゴロウ対ゴリアス』だが、それならば今にして後出しジャンケンで思えば当時の最新作『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)の劇場用新作『ウルトラ5兄弟対超獣大軍団』(!)でも製作した方がはるかに子供たちは大興奮して熱狂のるつぼと化したと思えてならないのだ(笑)。当時、夏休みや冬休みに発売されていた小学館の『小学二年生』の『増刊号』では故・内山まもる大先生が描いた長編漫画『ウルトラ5兄弟たいヤプール人』とか『怪獣はか場のけっとう ウルトラ五兄弟たい40大怪獣!!』などのような作品の映画での映像化である。
 このような全編が複数ヒーローVS複数怪獣である高揚感あふれる内容の作品を映像化していれば、子供たちの間で話題沸騰! 続けて『A』の次作『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)では、『マジンガーZデビルマン』のようにウルトラ6兄弟と『ミラーマン』(71年)や『ジャンボーグA(エース)』(73年)や『ファイヤーマン』(73年)などの円谷プロの特撮巨大ヒーローが共演する新作映画なども製作しておけば、「ウルトラ」が「ライダー」やロボットアニメの後塵を拝することなく、ひいては第2次怪獣ブームや変身ブームの延命自体にも好影響を及ぼすことにつながったかもしれない!? とも思ってしまうのだ。


 そんな「商業的戦略」や「バトルのカタルシス」よりも、円谷あるいはTBSはドラマ性やテーマ性の方を重視してしまっていた。そんな「良心的」な姿勢は、それぞれ方向性は異なるが第3期ウルトラや平成ウルトラや21世紀のウルトラシリーズにも引き継がれ、最新作『ウルトラマンサーガ』を観るかぎりでもいまだに継承されているように思える。
 しかし、それこそが「ウルトラマン」シリーズが明朗な娯楽活劇作品として弾けずに、敵との攻防を主眼に据えた「バトル」中心の昭和の「仮面ライダー」シリーズや「マジンガーZ」シリーズに人気面で劣ってしまって、ナンバー2やナンバー3のポジションに留まってしまった理由であるとも思うのだ。


 子供というものは「ほのぼの」としたものがキライということではないにせよ、それよりも「バトル」の方が好きなのである――大人になっても一般層でもそうかもしれないが(笑)――。大好きだった頼もしいウルトラ5兄弟が十字架に磔(はりつけ)になったり(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060803/p1)、ブロンズ像にされちゃったりしたのは(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061030/p1)、そりゃあたしかにショックではあったけど、半分は大喜びしながら鑑賞していたのだから、やっぱり子供は適度に残酷で、ヒーローの大ピンチを半面では楽しんでいる不謹慎さもあるのである(笑)。


日本特撮をネクスト・ステージに導くためにも、よく出来た歴代ヒーロー大集合作品が必要だ!?


 しかし「二分の冒険、八分の安全」とはよく云ったものである。


 平成の時代に入ってからのウルトラシリーズは「新しいウルトラマン」をよく旗印に掲げていた。しかし今思えばあまりにマイルドだった『ウルトラマンコスモス』(01年)も、実にハードにすぎた『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)も、ひょっとしたら


「八分の冒険(危険)、二分の安全」


をやっていたのではなかったか?


 いや、それよりもはるか以前の昭和の時代に『帰ってきたウルトラマン』(71年)ではTBSの名プロデューサー・橋本洋二(はしもと・ようじ)が「変身のバトンはやめましょう」と提案したがために、初代ウルトラマンであるハヤタ隊員には変身アイテム・ベータカプセルが、ウルトラセブンには変身アイテム・ウルトラアイがあって、その変身場面が子供たちにとっての疑似的万能感を満たせる大いなる見せ場になっていたというのに、『帰ってきた』の主人公の郷秀樹(ごう・ひでき)には変身アイテムが用意されることはなかったのだ。
 変身アイテムがないことによって生じた、変身に至るまでの苦闘や苦悩などの高い心理ドラマ性なども評価されてしかるべきではあるのだが、これは『水戸黄門』で印篭を出さないのと同じようなことではなかったか?


 「型がないものは当たらないですよ」との渡邊氏の発言を実証するかのごとく、『帰ってきた』の前半は視聴率的には下落していき苦戦するのである。しばらくして『仮面ライダー』で本郷猛(ほんごう・たけし)に代わって第2クール(第14話)から登場した新主人公の仮面ライダー2号・一文字隼人(いちもんじ・はやと)が毎回オーバーアクションで「変身!」ポーズを披露するようになったことで、子供たちはそれに熱狂! 「第2次怪獣ブーム」が「変身ブーム」にとって代わられることになったのはなんとも皮肉な話であった。


 たしかに橋本氏は「人間ドラマ」をつくることにかけては名プロデューサーであった。しかし第2期ウルトラ擁護派でもある筆者としては第2期ウルトラに対して批判的に言及することには忸怩(じくじ)たる想いもあるのだが、氏は子供受けや商売的な才覚に関してはいささか欠けていたと云わざるを得ない。


 天才、そして詐欺師(笑)的な才覚にたけた白倉伸一郎(しらくら・しんいちろう)プロデューサーが君臨するずっと以前から、東映には「必殺商売人」とでも云うべき営業マン的なセンスもあるスタッフが多数存在し、それらに比べるとまさに「職人気質」にあふれた技術スタッフ上がりが中心であった円谷プロは、作品のレベル以前の問題として商業的には劣勢を強(し)いられるのも必然であったのかと思える。


 「良いものをつくっておけば、それは必ず後世に残る」。円谷にはまさにそんな素朴で世間知らずな姿勢がうかがえるのであるが、


「上等だからこそダメなんだろうね」


なる平山氏の発言は、それとはあまりにも対照的である。


ウルトラシリーズが45年も続いてきたのは、そこで描かれたテーマやドラマがしっかりしていたからである」


などと考えているうちは、現在の円谷の苦境が好転することはないだろう。


 先に紹介した「東映ヒーローの礎」と題した座談会の模様が掲載された書籍『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー』Vol.11は、「仮面ライダー共演エピソードコレクション 結集! ライダーパワー!!」と題した昭和の『ライダー』シリーズにおける新旧ライダー共演回の特集号であった。


 元祖『仮面ライダー』のダブルライダー登場編を機に、次作『仮面ライダーV3』(73年)の3人ライダー、『仮面ライダーX(エックス)』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20141005/p1)の5人ライダー、『仮面ライダーストロンガー』(75年)の7人ライダー、『(新)仮面ライダー』(79年)の8人ライダー、『仮面ライダースーパー1』(80年)の9人ライダー、そして『仮面ライダーZX』では10人ライダー! 最新ライダーの危機に、世界各地で悪の組織と戦っていた歴代ライダーたちが颯爽(さっそう)と再登場!


 昭和ライダーの魅力はロンリーヒーローとしての魅力であり、「初期東宝特撮・至上主義」や「第1期ウルトラシリーズ至上主義」の論法を遅れて援用した「旧1号ライダー至上主義」の論法で、かつてはウルトラ兄弟の共演のみならず歴代ライダーの共演まで否定的に論じる向きもあったものだ。しかし、まさにそうした先輩ヒーロー客演の要素もまた、同時代のあまたの単独変身ヒーローたちとは異なるものとしての昭和『ライダー』シリーズの世界観を当時の我々子供たちにも別格・格上の存在として広大・遠大に見せていた最大の魅力ではなかったか!?


 そしてその反響の大きさから、今の『仮面ライダーストロンガー』にあたる作品の初期企画を新たなる「5人ライダー」が登場する物語としたことに対して毎日放送(大阪)側が難色を示したことから、ネット改編によって毎日放送の『仮面ライダー』をTBSに取られることになったNET(現テレビ朝日)に平山プロデューサーがこの企画を転用して持ちかけ、それが『仮面ライダーアマゾン』の後番組として放映された『秘密戦隊ゴレンジャー』になったのである!


 そして『ゴレンジャー』は『ストロンガー』を上回る人気を獲得したのであったのだ!
 ただ後年になって観直してみると、『ストロンガー』の方がドラマ面でも娯楽活劇面でも『ゴレンジャー』よりもよくできているような気が個人的にはしているけど(汗)、当時の子供たちにとっては「目新しさ」というインパクトに勝るものはなかったのは「時代の証言」として語っておきたい。でもまぁ、完全に看板も異なる新ヒーローだったから『ゴレンジャー』はスンナリと受け入れられたのであり、我らが「仮面ライダー」のシリーズ最新作が最初から5人で登場する新作だったならば、当時の子供たちの反応はどうであっただろうか? やはり子供ながらに「仮面ライダー」としては邪道だ! などという抵抗や反発が生じてしまったとは思うけど(笑)。



 先輩ヒーロー客演といえば、実はライダーシリーズよりもウルトラシリーズウルトラ兄弟の設定の方が先である。しかし前述の通り、「近年の特撮作品は『リメイク』や『先輩ヒーロー客演』などの『過去の遺産』に頼ってばかりいるからダメなのだ!」という特撮マニアたちの批判もある。そういった意見にもたしかに一理はあるだろう。


 しかし筆者に云わせれば、「過去の遺産」を徹底的に活用して、その世界観や歴史観を1話完結のルーティンではなくワールドワイドに拡張して、すべてが多層的につながっている「終わらない物語」をつくっていくことにも大きな物語的・商業的な可能性を感じている。
 どうせ「過去の遺産」に頼るなら、『スーパーヒーロー大戦』のように徹底的に頼りきり、そこで大きな物語をつくるかたちで最大限に有効活用すべきだと思うのである!



映司(仮面ライダーオーズ)「本当の戦いはこれからだ!」


 このセリフ、『ウルトラマンサーガ』や『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971215/p1)でもあったし、「少年ジャンプ」の漫画とかでもむかしからよくあったよね(爆)。


 要するにこういうことが象徴するように、娯楽活劇作品における逆転勝利劇は東映でも円谷でも少年漫画でもさして変わらない「定番」であり、だからこそ普遍的なものなのだ。要はその「やり方」が単なる味気ない段取り劇にはならないように、いかに劇中で説得力を持たせるのか? なのである。


 今回も東映が圧倒的に優位に立っていることをまざまざと実感させられることとなった。が、まずはそうした円谷独自の旧来の古典的な「ドラマありき」の作劇から脱却すべきだと思えてならない。「カッコいいヒーローありき」や「怪獣のデザインや生態や特殊能力ありき」や「ヒーロー共演のイベントありき」や「見せ場ありき」で、そこから人間ドラマや社会派テーマを逆算して作劇していくくらいでないと、観ていてスカッとする明朗な娯楽活劇路線に円谷が到達することは到底かなわないのではなかろうか? そういったことが円谷やひいては日本の特撮ジャンルの最大の課題であると思っている次第である。本当に「光の国を守ろう」と考えるのであるならば……


2012.4.25.
(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2012年GW号』(12年4月29日発行)~『仮面特攻隊2013年号』(12年12月29日発行)所収『スーパーヒーロー大戦』合評より抜粋)


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 2020年10月31日(土)~11月9日(月)に開催中の「第33回東京国際映画祭(TIFF)」の「ジャパニーズ・アニメーション部門」内、『秘密戦隊ゴレンジャー』生誕45周年記念・スーパー戦隊特集」で、11/5(木)16時にTOHOシネマズ六本木ヒルズのSCREEN1にて、映画『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199(ひゃくきゅうじゅうきゅう)ヒーロー大決戦』(11年)がゴーカイレッドことマーベラス役の小澤亮太の登壇付きで上映記念! 
 とカコつけて……。『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』賛否合評を発掘アップ!


ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』賛否合評 ~傑作だけど細部に不満はあり!


合評1 ~『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』寸評

(文・いちせたか)


 TVシリーズ『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)第1~2クール前半までのレジェンド戦隊ゲストの扱いに不満を抱きつつ、それでも今回の映画版のゲスト陣の名前には浮かれつつ、でもやっぱり本編スチールのないゲストはどうせ……、などと少々屈折した期待と不安に揺れながら鑑賞したこの作品。


 結論から言えば、一応素直に楽しめた。


 まあ『海賊戦隊ゴーカイジャーVSスーパー戦隊』・『海賊戦隊ゴーカイジャーVSゴセイジャー』・『天装戦隊ゴセイジャーVSスーパー戦隊』という3本の作品があったとして、それらをごちゃまぜにしたような感じ……だろうか。


 今回の作品の目玉の一つに、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011年)1話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111107/p1)のプロローグで寸描された「レジェンド大戦」の語り直しが挙げられる。


 開始早々、冒頭の大破・沈黙した前作『天装戦隊ゴセイジャー』(10年)の巨大ロボ・ゴセイグレートに心痛める暇もなく、宇宙帝国ザンギャックの圧倒的物量に苦戦し森へ逃げ込んだゴセイジャーとゴセイナイトに迫る危機……
 と、そこへ颯爽と現れる元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)のリーダー・アカレンジャーと『ジャッカー電撃隊』(77年)のリーダー・ビッグワン!


 ……『ゴーカイジャー』第1話でアカレンジャーの声を聞いたときもそうだったが、なんとか俳優・誠直也(まこと・なおや)氏が演ずる海城剛(かいじょう・つよし)=アカレンジャーを再び見たいと願ってきた筆者としては誠直也のボイスでしゃべるアカレンジャーと、宮内洋ボイスでしゃべるビッグワンに、スーツアクターまで当時を再現したこの2人を見ただけでもう大概のことは許せてしまいそうになる。
 まあさらに登場するデカマスター(『特捜戦隊デカンレンジャー』(2004年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041112/p1)の上官宇宙人が変身するヒーロー)やシグナルマン(『激走戦隊カーレンジャー』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110521/p1)の追加戦士である宇宙人警察官ヒーロー)たち、着ぐるみだけで人間体がない戦隊番外ヒーローたちの登場にも当然感動するのだけれど。


 そして再び描かれる「レジェンド大戦」。
 ちょこちょこ効いた小ネタを確認するにはさすがに映像ソフトの発売を待たねばならないが、大画面で観るそれにはやはり燃えてくる。


 映画のパンフレットでも語られているが、レジェンド大戦後に遠くでお互いを助け起こしている、変身が解けた戦隊ヒーローたちもなかなか…… 吹き替えだと分かっていても、こういうウソなら大歓迎!


 「あ、あれ吼太(=『忍風(にんぷう)戦隊ハリケンジャー』(2002年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021110/p1)のハリケンイエロー)だ」


 とか、判ると結構楽しいし。そう考えると『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1)のガオジャケットから定着したああいう私服ではなく制服めいた各戦隊ごとに統一された衣裳も悪くはない。まあ1回観ただけではとても隅々まで視認できなかったけれど。


 そして数年後の現在。相変わらずゴセイジャーと対峙した際のゴーカイジャーの得手勝手な言い草にはさっぱり共感できないが(笑)、それでもTVに比べて幾分説明的なセリフになっているだけまだマシかなと。


 この場面に限らず、本作には過去の歴代戦隊ヒーローに変身できる小型カギ型アイテム・レンジャーキーを始めとするゴーカイジャー側の設定について、一応の説明めいた描写が随所にあり、その点ではTVシリーズを見ていて感じていた不満がいくらか和らいだのは事実。本当はその辺りはTVで早いうちにきちんと描いてくれていれば、いたずらに不満が膨らむこともなかったのかもしれないが。


・青梅(おうめ=『電子戦隊デンジマン』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120205/p1)のデンジブルー)
ウメコ(=『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)のデカピンク)
・亮(=『五星(ごせい)戦隊ダイレンジャー』(93年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120109/p1)のレッドことリュウレンジャー)


の登場シーンはやはりグッと来た。


 個人的に好きな作品からのゲストばかりだったせいもあるが、なんであれこういう作品におけるオリジナルキャストの持つ魅力と説得力を改めて感じさせてくれた。


 『デンジマン』の戦隊巨大ロボ・ダイデンジンの玩具「超合金」を持っていた男の子との対比として描かれる、お笑いトリオ「我が家(わがや)」の坪倉氏演じるリストラ・サラリーマンは、子供の父親世代である大人のファンへのメッセージでもあるが、多少唐突な印象もないでもない。大空に現れた黒十字王(くろじゅうじおう)の宣戦布告で青梅たちとのシーンもやや中途半端に終わってしまったせいかもしれないが…… まあ不満というほどでもないし、お笑いゲストとはいえ意外に達者な演技に違和感はないのだけれど。


 対立から和解・共闘への流れはお約束だが、マニア的には1年間の放映を務めあげたゴセイジャー俳優陣の安定感が頼もしく見えて、成長を感じさせてくれたのは嬉しかった。
 分断された2大戦隊の3組の中ではアグリ(=ゴセイブラック)・モネ(=ゴセイイエロー)&ジョー(=ゴーカイブルー)・ルカ(=ゴーカイイエロー)組が一番面白かった。血の気の多い彼らの組と絡んだ『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080824/p1)から復活した敵幹部・総裏大臣ヨゴシマクリタインがTV本編での非情な硬派ぶりはどこへやらで笑わせてくれるのも良い……(ヨゴシマクリタインの必殺技「セイギ解散!」をやられたらどうしようかと思ってハラハラしながら観てたけど・笑)。


 偽もの戦隊ヒーロー大戦はまあ……凄いんだけどやっぱりちょっと複雑な思いで観てしまった。冒頭に「レジェンド大戦」をダイジェスト的に見せられて、本物ゲストが変身できない状況で偽ものバトルを嬉々として観る気にはあまりなれなかったので……
 ただ80年代戦隊たちの必殺武器・バズーカ兵器の発射バンク映像のあと、陣形を解く新撮カットを見せればバズーカのプロップが実際には現存していなくてもそれらしく見えるんだなあとか、『太陽戦隊サンバルカン』(81年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120206/p1)のレッドこと2代目バルイーグルがちゃんと日本刀を持ってたなあとか、そんなところは感心した。


 そして見どころの幻想空間での海城(=アカレンジャー)・番場(=ビッグワン)以下、ゲスト陣の顔出しでのメッセージ・シーン。ここは予想よりセリフが長くて嬉しかった。それぞれの主題歌などに合わせたセリフに素直に熱くなった。


 欲を言うと黒十字王の宣戦布告を切歯扼腕の様子で見ていたゲスト陣が、その後この幻想空間シーンで合流するまで全然出なくなってしまうのがちょっと残念。
 2大戦隊の背後の崖に全戦隊が出現するシーンも圧巻で、細かいことだがゴレンジャーがTVのエンディング主題歌でもやっていた『ゴレンジャー』放映1年目の大野剣友会版から放映2年目のJAC版に変更した名乗りポーズをやめてくれたおかげで、ゴーグルファイブがちゃんと名乗りポーズを取れてて良かったなと(ゴーグルファイブは『ゴレンジャー』放映2年目と同じ名乗りポーズなのだ・笑)。


 黒十字城との戦隊巨大ロボ戦は着ぐるみが現存しているもの以外はもう流用カットとCG合成の嵐だが、電光剣唐竹割が効かずに立ち尽くすバトルフィーバーロボの流用カットによるそれらしいたたずまいなど、ツボを押さえた「演出」がちゃんと感じられて良かった。後半は35大戦隊巨大ロボたちの必殺技が矢継ぎ早でなにがなんだか……という気も正直したけれど(笑)。


 クライマックスに流れた『秘密戦隊ゴレンジャー』主題歌『進め! ゴレンジャー』には感動! 選曲もさることながら、近年の『ウルトラマン』『仮面ライダー』の先輩ヒーロー客演編みたいに当時の音源がなかなか使えない状況を見ていると、普通に旧作のオリジナル楽曲が流れる幸せを感じてしまう。旧ヒーローと共演させるならやっぱりこうあってほしいと思う。


 ラスト、レンジャーキーを自らの意思でゴーカイジャーに預けるゴセイジャーが語ったその理由は注目すべき点だが、前述のようにTVでもその辺りのことを早めにちゃんと提示してくれると、いたずらにゴーカイジャーに反感を持たなくても済むのだが……
 出し惜しみせず描写しておくべきことと、謎として引っ張っていい部分のバランスは、『ゴーカイジャー』に限らずここ何年もの特撮作品に共通する問題点ではあるのだが……この辺りは改めて詳細に検証してみたい部分である。


 エンディング歌曲『スーパー戦隊 ヒーローゲッター ~199ver.』の映像は、一番観たい「合いの手」部分のゲストのカットが早すぎて分からないのでこれもソフト待ち……


 せっかくの記念作品、再見の際には改めて考えたいこともあるが、ひとまずここまで。
 これだけのものを見せてもらってなお贅沢を言うようだが、レジェンド戦隊たちの活躍や再変身に関しては、劇中のセリフを借りればまだ「あきらめたくない希望」が個人的にはあるので、近いうちにまたこんな作品が登場することを願ってやまない。


(了)


合評2 ~『海賊戦隊ゴーカイジャーvsゴセイジャー』だったともいえるけど、まぁ傑作である!!

(文・T.SATO)


 35大スーパー戦隊 & 35大戦隊巨大ロボ の登場! と喧伝されて、フタを開けたてみら毎年恒例の2大戦隊共演ものである『海賊戦隊ゴーカイジャーVSゴセイジャー』でもあった!(笑 ~それがダメだというワケではない)


 冒頭は地球を守りきった『天装戦隊ゴセイジャー』(10年)の最終回アフターの物語でもあり、34大戦隊が登場する「レジェンド大戦」を先代戦隊ゴセイジャーたちの主観で描くあたりは、BGMともあいまって気分は一瞬、『ゴセイジャー』!


 34大戦隊vs宇宙帝国サンギャックの数百数千人にもおよぶ戦闘員との「レジェンド大戦」の大激闘! 「大戦」になんとか勝利! しかして歴代戦隊ヒーローたちは変身能力を失って……。


 数年後に再来襲したザンギャックと戦っていたのは、最新現役海賊戦隊ゴーカイジャー! そこに割って入って歴代スーパー戦隊のパワーを秘めた小型のカギ型アイテム・レンジャーキーを奪ったのはゴセイジャーの面々! そしてワリとあっさりゴセイジャーに再変身を果たしてしまうのであった!――いや、基本は子供向け作品ですから、展開がサクサク行く展開には異存はございません(笑)――


 ゴセイジャーにおける途中参戦の6人目の戦士、人間が変身せずにヒーローとしての姿しかないゴセイナイトの力を秘めたレンジャーキーの返還をやっぱりお約束で断ってみせる悪辣(笑)なゴーカイジャー。そして勃発するゴーカイジャーvsゴセイジャーの戦い!
 ……ゴーカイジャーたちの方が明らかに悪い!(笑) もちろん最新戦隊と直前戦隊の2大正義チームを一度は誤解からであろうが、不謹慎にも何とかバトル・力比べをさせるための「スーパー戦隊VSシリーズ」作品の作劇的な方便ではある。


 ゴセイジャーも天上界の天使たちだという設定のハズなのに、戦隊巨大ロボ「ゴセイグレート」が「シーイック・ゴセイグレート」に変形するや、その顔面が悪党面の「海賊」になるのは、ゴセイジャーの方もやっぱりオカシい!(笑)
 そして、メタ的に悪ノリしてデザインコンセプトが2年連続でカブってもいることへのセルフ・ツッコミか、ゴセイジャーの海賊巨大ロボvsゴーカイジャーの海賊巨大ロボ・ゴーカイオーとの戦いまでもが勃発! いやぁ実に稚気満々たるバカバカしいバトルだけど、観たかったマッチ・メイクでもある。


 もちろん開幕早々に正義の味方同士で雌雄(しゆう)が決してしまっては、そこで物語が終わってしまうので(笑)、敵軍団が割って入ってきて「乱戦」から「共闘」へ!


 映画オンリーのゲスト巨悪「黒十字王(くろじゅうじおう)」は、ゴーカイジャーが保持する歴代戦隊ヒーローのパワーを有する変身補助アイテム・レンジャーキーをすべて強奪して、神秘の力で歴代スーパー戦隊を悪の手先としても実体化!
 直近2大スーパー戦隊vs33大ニセものスーパー戦隊のシーンはやや長めであり、ちょっとダレたかも……という感もある。
 しかし、誤解からの正義同士のバトルではなく、悪役としての登場という点では分(ぶ)が悪いにしても、幼児の集中力を考慮した1時間20分程度の短い尺数の中で、2大最新戦隊の活躍と33大旧戦隊の勇姿・バトル・必殺ワザのバンクフィルムを集約してすべて見せるためにはウマい方策だとはいえるだろう。
 もちろん正義の味方が悪のコピー戦隊に負けるワケはなく(笑)、ついには黒十字王まで倒す!


 しかし、黒十字王自身が原典作品と同様にあの黒十字城(!)であったとして巨大化! スーパー戦隊シリーズの歴代強敵幹部も巨大化して出現!
 最大のピンチにドーする!? という場面で、ジャンル作品お約束の「奇跡」が起きて、神秘の力で歴代34大スーパー戦隊巨大ロボが降臨! 空前絶後の壮絶なる大バトルが展開する……。



 某巨大掲示板などを見ると絶賛の嵐、「号泣した!」などの感想が絶えない。
 してみると、本作は映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)のように、悪い意味ではないけれどオッサンの「思い出補正」で涙腺を刺激する映画となったようである。となると今、細かい欠点を指摘しにくくなるなぁ……などと日和(ひよ)ったことを云ってみたりして(笑)。


 筆者も充分本作を堪能はした。細部に小さな不満はあるけど、トータルでは大満足である。


 全スーパー戦隊が大活躍するアーゲードゲーム「スーパー戦隊ダイスオー」があるかぎり、女児向けTVアニメ『プリキュア』シリーズ(04年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1)の毎春の映画版『プリキュアオールスターズDX(デラックス)』(09年~)のように戦隊オールスター映画を毎年やるのかも!? とも思うので――来年にはもう『スーパー戦隊205 ヒーロー大決戦』を公開するとかネ・笑)、本作への是々非々はその機会にゆずりたいと逃げよう(笑)。



追伸


 腐れ「戦隊」オタクのオッサンとしては、『バトルフィーバーJ』のエンディング主題歌として作られながらも、挿入歌止まりとなってしまった大名曲『明日(あした)の戦士たち』をエンディングでちょっとだけでも流してほしかった!


「♪ 君~が 大人に~ な~ったと~き~ やっぱり~ 悪魔~は い~る~だろう~~
 この~広い 空と海 緑の大地を~ 人の心を汚す悪魔が~~


 バト~ル フィーバー バト~ル フィーバー
 そのとき 君~は~ お~もいだすんだ 5人の~仲間を~~
 さ~あ~ 君~も~ 追いか~けて~来~い~ 
 ぼくら~のあ~と~を~ あ~し~た~の~~ 戦士たち~~」


 ……あえて1番と2番の歌詞を混ぜました(爆)。
 長じてから再聴すると「泣かせ」かつ「勇気付け」られる歌詞でもあります。


 ただまぁ一瞬だけオッサン転がしをして、もちろん最後は本編通りの35大戦隊を明朗に歌う軽快なエンディング主題歌『スーパー戦隊 ヒーローゲッター ~199ver.』で明るくシメるのがイイとは思いますが(笑)。


(後日編註:「はてなブログ」では株式会社はてな自体がJARACに一律に支払をしてくれており(!)、よって歌詞の引用も問題はありませんので念のため!)


(了)


合評3 ~トンデモない映画だった『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』

(文・フラユシュ)


 テレビ本編の『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)序盤は、同じコンセプトの『仮面ライダーディケイド』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090308/p1)に比べると、オリジナルの歴代役者たちが出ているわりに盛り上がりには欠けるかもね。アマチュア同人作家たちが二次創作を作りたいという意欲も『ディケイド』に比べると少々少ないようだ。


 で、『ゴーカイジャー』序盤における歴代戦隊役者たちのゲスト出演の物足りなさは何かに似ていると思いきや、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)における「変身できなくなってしまった」ウルトラセブンことモロボシダン隊長を見ているようなフラストレーション(欲求不満)なのだろうな。ただ作品の序盤からしょっちゅう先輩ヒーローが共闘していたら、『仮面ライダー(新)』(79年・通称スカイライダー)後半のように主役の個性がカスむ弊害があるのも判る。


 本作のトピックは、『ゴーカイジャー』では初の先輩戦隊がついにオリジナルの戦隊ヒーロー・ゴセイジャーとして変身ができたことと、断片のみが語られてきた最新戦隊ゴーカイジャーが登場する前の歴代すべての34大戦隊が宇宙帝国ザンギャックと戦った「レジェント大戦」の全貌が映像として語られたことだ。
 いやぁ元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)のリーダー・アカレンジャーの声を演じる誠直也(まこと・なおや)氏のシブい声はむかしと変わらず衰えていないねぇ。まだアカレンジャーできますよ。サブリーダー・アオレンジャースーパー戦隊第2作『ジャッカー電撃隊』(77年)の新隊長・ビッグワンを演じた、病後の宮内洋さんもだいぶ声が戻ったようですし。


 まぁ「レジェンド大戦」時のザンギャックが攻めてきた経緯とか、全スーパー戦隊が勢ぞろいして戦うまでの詳細なドラマも観たいが、尺的にムリなことはオトナになれば事情も判るけどやっぱり観たいなぁ。


 で、今回の映画の肝心の見せ場。『ゴレンジャー』の主題歌『進め! ゴレンジャー』が流れる中での最終決戦や、今回切り込み隊長のごとく真っ先に切り込む初代戦隊ロボ・バトルフィーバーロボ! しかも見せるはあのカッコいい必殺技・電光剣唐竹割り! 判っていらっしゃる!


 しかしオッサン世代にとっての今回最大のドラマ的な見せ場は、あの不況リストラで自殺しかけたサラリーマンが子供のころに大切にしていたオモチャ(ゴレンジャーの戦闘機・バリブルーン!)を売りに行くくだり! 最初は単なる「転売厨(てんばい・ちゅう)」批判かと苦笑したけど、それを励ますスーパー戦隊OBたちのくだりで……。


 不覚にもスーパー戦隊映画で泣きそうになったのは本作が初めてである(でもこらえた・笑)。出崎統監督による名作古典児童文学(1883年)のアニメ化である名作TVアニメ『宝島』(78年)最終回の海賊シルバーかお前ら! 他にもウメコ(=デカピンク)の「何度倒しても出てくる悪の組織にうんざりするけど、それでも正義と平和を信じて戦う(大意)」と云うくだりとかさ……。


 これは子供だけでなく、かって子供のころ戦隊を愛した、今は東日本大震災原発事故やリーマンショック不況やリストラで色々とツラい大人たち全員へのエールなのだな。『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)の映画版『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年)でもこの手のオジサン泣かせのシュチュエーションはあったが、今回はかなりうまくいっている。やはり東映は円谷ものからの換骨奪胎がうまいな。円谷……。


 あと今回の作品は、ゴセイジャー側のゴセイレッド=アラタのキャラの描写がテレビ本編よりも生きていたような気がする。テレビシリーズ時は少し能天気でキレイごとすぎてそれが鼻につくところもあったが、今やこんな夢や希望のない時代だからこそ、彼のような暑苦しくはないけど底抜けの楽天主義とポジティブさと善良さがむしろ必要なのではないだろうか? 特に今回はそれがツンデレ(笑)なゴーカイレッド=マーベラスとの対比でもうまく生きたのではないだろうか?


 ただこれはテレビシリーズの『ゴーカイジャー』の方にも言えることだが、全戦隊の戦力を使用不能にしたほどのザンギャックがあまり強く見えないというのが……。敵幹部に武闘派がいなくてけっこうオマヌケだったりして、戦隊シリーズの普通の敵レベルに見えますよね? 本当にアイツらって全スーパー戦隊が出張るほどだったのか? とか、作劇的には毎年の最新戦隊VS直前戦隊の共演を描く「スーパー戦隊VSシリーズ」映画ものの域を出ていないとか、いろいろ突っ込みどころもあるが筆者は好きです、この映画!


(了)


合評4 ~『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊 199ヒーロー大決戦』

(文・久保達也)


 2011年6月12日に静岡ピカデリーZERO(ゼロ)で初回9時45分の回を鑑賞。


 最初に書いておく。たしかに面白かった。こういうお祭り映画にテーマやドラマ性の高さ、ストーリーの整合性などを求めること自体、最初から誤りであると個人的には思えるからである。


 が、どうしても2ヵ月前に公開されたばかりの映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』(11年・東映)という大傑作と比較してしまうのだが、「お祭り」映画としては今一歩の感が拭(ぬぐ)えない。
 『レッツゴー仮面ライダー』が『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)の設定をうまく使いこなし、元祖『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)の続編的な世界観を舞台として立ち上げ、昭和の仮面ライダー1号・2号が主役級の扱いを受けてドラマに絡んでいたのに比べ、今回はあくまでも直近のゴーカイジャーゴセイジャーが主役であり、歴代スーパー戦隊もOB役者も本スジのドラマには絡まない代替可能な単なるサプライズゲストとしての域を出ていないように感じられたのである。


 現役スーパー戦隊であるゴーカイジャー、まだ記憶に新しいゴセイジャーが作品の中核であるのは、本来の観客である就学前の幼児の興味の中心がそこにあるに違いないのだから当然といえば当然だ。
 しかしながら半年弱前に公開された映画『天装戦隊ゴセイジャーVS(たい)シンケンジャー エピックON(オン)銀幕』(11年・東映http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20130121/p1)で先輩ではなく若輩の立場とはいえゴセイジャーは大活躍したばかりだし、今回はやはりオールスター映画という題材なのだから歴代のスーパー戦隊OB俳優にもっと華(はな)を持たせてあげてほしかった。


 テレビシリーズ第1クールに対しても同様の不満があちこちで書かれているが、せっかく多くの戦隊OB俳優が出演しているにもかかわらず、ゴーカイジャーゴセイジャーに激励のメッセージを贈るだけで変身もしないというのはどうしても欲求不満が残ってしまう。
 『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)などの初期戦隊は、神秘の超自然的なパワーではなくの現実的な科学の延長線上の技術で、ふつうの人間が「強化服」を着ているだけなのだから――放映当時の小学館『小学三年生』では「ゴレンジャーは人間だからおならもするのだ」と紹介されていた!・笑――、超エネルギーが抜けてしまって「変身能力を失ってしまった」もへったくれもないだろう!


 ……いや、そんなリアリズム至上主義のモノサシで、このテの作品にツッコミを入れるのはヤボそのものですネ(汗)。


 まぁテレビシリーズ『ゴーカイジャー』の方はシリーズ序盤でまずは先輩ヒーローよりも現役ヒーローの人物設定を確立しなければならないので、先輩ヒーローは変身もせず顔見せ程度で留めるのは作劇的に仕方がない面もあるだろう。
 しかしテレビシリーズももう中盤に至って各キャラの人物像を盤石になった段階なのだし、せめて映画くらいは「お祭り」なのだから、先代のゴセイジャーだけでなく一時的に戦隊ヒーロー各個人のパワーを秘めたレンジャーキーを戦隊OB個々人に返却して、


誠直也アカレンジャーに再変身!
宮内洋は二役で『ジャッカー電撃隊』(77年)のビッグ1(ワン)とアオレンジャー両方に再変身!
大葉健二も二役で『バトルフィーバーJ』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120130/p1)のバトルケニアと『電子戦隊デンジマン』(80年)のデンジブルーに再変身!


 『レッツゴー仮面ライダー』では『人造人間キカイダー』(72年)や『キカイダー01(ゼロワン)』(73年)や『イナズマン』(73年)や『快傑ズバット』(77年)までラストバトルに伏線もなくイキナリ参戦していたのだから(笑)、ならば大場には一人三役の一条寺烈(いちじょうじ・れつ)役で『宇宙刑事ギャバン』(82年)にも「蒸着」(変身)させ、ついでに歴代のメタルヒーローも応援に駆けつけるとか!(爆)


 いや、これは単なるオールドマニアのわがままではない。旧作を観ていた世代人はもちろんのこと、その旧作を観ていなかった子供たちやその父兄もこのテの頼もしい先輩ヒーロー客演には得体の知れない感動をもよおすことは、先輩ヒーローたちが大挙登場した『ウルトラマンメビウス』(06年)や『仮面ライダーディケイド』(09年)に対する反響でも前例があったことではないか!? これは絶対に盛り上がることうけあいなのだ!


 もっと云うなら萩原佐代子が『科学戦隊ダイナマン』(83年)のダイナピンクに変身したかと思ったら、黒十字王(くろじゅうじおう)に操られて『超新星フラッシュマン』(86年)の敵幹部であるレー・ネフェルにされてしまうとか(爆)、それくらいのマニア受けの楽屋オチ的なお遊びもあってよかった!――映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE(ザ・ムービー) 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111204/p1)でも自身の持ち役である女ウルトラマンユリアンの声を30年ぶりに演じた萩原佐代子は、あまりにも美しすぎて最初は誰だかわからなかった。30年前より今の方が美しい・笑――


 最大の不満は唯一太ももを露出している戦隊ヒロインである『バトルフィーバーJ』のミス・アメリカの出番がたったの1カット、しかもあのセクシーで健康的な太ももの下半身がまったく映らないというのはちょっとヒドすぎるのではないのか!?(最も期待していたのがコレなのに・笑)


 まぁここまでは百歩譲って中年オヤジのスケベなわがままだ。
 しかし歴代スーパー戦隊の扱い方として不満なのは、ゴレンジャーからゴセイジャーに至る34のスーパー戦隊が戦うのは、黒十字王の手先として変身アイテム・レンジャーキーから実体化させられた歴代スーパー戦隊ゴーカイジャーゴセイジャーと戦う場面であったことである。やはり偽物かつ悪者であり、しかも負けていく立場なので、あまりカタルシスはなかったと思えるのだが……


 こんなことをするのならば、黒十字王だけではなくふつうにスーパー戦隊の歴代の悪の組織と幹部怪人も復活させて、それに対抗して33大戦隊が正義の味方として一時的に復活して再度の「レジェンド大戦」をするべきだったと思えてならない。
 また歴代戦隊が再登場した際は、やはり34大戦隊すべてに簡略式でも「名乗り」をやってほしかった! これって「スーパー戦隊」では最も大事な要素ではないのか!? 先の『レッツゴー仮面ライダー』では歴代ライダーが復活する場面でエキストラたちがそのライダーの名前を連呼することで「名乗り」の代用にしていたが、やっぱりこれは必要でしょう! ――戦隊の数が多すぎて尺が足りない? いや個々人の名乗りはさすがに要求していないし、簡略式の戦隊名乗りだったら各戦隊が5~10秒で済むだろうから大丈夫だろ!――


 とまぁ、個人的には期待が少々大きすぎただけに不満もあったのだけど、真のクライマックスがあまりに圧巻だったので許してあげよう(笑)。涙なしでは聴けない名曲、元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』の主題歌『進め! ゴレンジャー』まで流れたしなぁ。
 年々値上がりしているというJASRAC日本音楽著作権協会)への理不尽な超高額支払(汗)があるというのに、この楽曲使用が実現できたのならば、先の映画『レッツゴー仮面ライダー』でも元祖『仮面ライダー』の主題歌『レッツゴー!! ライダーキック』を流してほしかったなぁ(笑)。


 客の入りは8割程度で2回目の上映を待つ行列もかなり長かった。「ウルトラマン」の映画と違って女児の姿もやけに目についた。「ウルトラ」もいい加減にサブキャラにウルトラウーマンを登場させることを真剣に考えないとこの少子化のパイが少ない時代に、変身ヒロインが存在して女児の視聴者も相応にゲットできているスーパー戦隊シリーズとの差はつくばかりだぞ。


 本作も合格点の興行成績を稼ぐだろうが、「ライダー」と「戦隊」にここまでのオールスターものをやられてしまった以上は、「ウルトラ」の新作映画もしばらくは新旧OB俳優が大挙出演するオールスター路線で広い世代の集客に務めるべきだと強く主張したい!


2011.6.12.
(了)


合評5 ~『スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』速報

(文・森川由浩)


 スーパー戦隊シリーズ35周年記念作『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)の劇場映画『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』(11年)がこの2011年6月11日より公開されている。


 予想を超える大ヒットを実現。観客の感想も概(おおむ)ね良好であり、これまで『仮面ライダー』映画のオマケ扱いされるような形式での上映が多かった中(2009年からの定例行事である『スーパー戦隊祭(まつり)』で上映される最新戦隊VS直前戦隊を描く『スーパー戦隊VSシリーズ』は除く)、ようやく「ライダー」の呪縛から脱し、一本立ちした印象を感じる。


 そんな本作を初日に観た上での速報を綴(つづ)ってみたい。


アカレンジャー・ビッグワン・デカマスター・シグナルマン・メレ・黒獅子リオ!


 本作の冒頭は、テレビシリーズ『海賊戦隊ゴーカイジャー』第1話の冒頭も飾った「レジェンド大戦」の描写である。だがそのライブフィルムによる再使用だけではない。


 「レジェンド大戦」の最中(さなか)、宇宙帝国ザンギャックの襲撃により『天装戦隊ゴセイジャー』(10年)が苦戦、そこに何者かの赤い鞭(むち)が飛び、彼らの窮地(きゅうち)を救った。
 その鞭の主(ぬし)はアカレンジャー(『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年))であった!
 さらに白い鳥人・ビッグワン(『ジャッカー電撃隊』(77年))も登場する!


 2011年現在、現在40代前後の世代人なら狂喜のシチュエーションである。『ゴーカイジャー』第1話冒頭の「レジェンド大戦」では見られなかったアカレンジャーとビッグワンのツーショットが見られたのだから。


 声はもちろん本家本元の誠直也(まこと なおや)と宮内洋によるもの。しかもスーツアクターは本放送当時と同様にアカレンジャーは新堀和男(にいぼり かずお)、ビッグワンは岡本美登(おかもと よしのり)の再演。破格の扱いであり、スーツアクターが還暦近い高齢とはいえ、当時と変わらぬ動きと演技を見せてくれることに驚愕する。
 この場面での先輩2大ヒーローの扱いに、スーパー戦隊の礎(いしずえ)である『ゴレンジャー』と『ジャッカー』、その2大戦隊のリーダーのツーショットとその会話が、この戦隊35作記念を大きく重みのあるものとしている。


 思えば80年代後半から90年代前半の時期、「スーパー戦隊」はシリーズ3作目である『バトルフィーバーJ(ジェイ)』(79年)を第1作目としてカウントしだして、我々のようなオールド戦隊マニアの不興を買っていた(東映の版権管理の部署あたりが石森プロへの版権料の分与を面倒がったのだろうか? そうだとしたら、もちろん同じ東映でも版権管理には関わらず純粋に製作畑の立場にあった平山亨(ひらやま とおる)プロデューサーや吉川進(よしかわ すすむ)プロデューサーは面白くなかったのに違いない)。
 が、『五星戦隊(ごせいせんたい)ダイレンジャー』が放映中の1993年の途中で命名された「超世紀全戦隊」といった呼称で、前期2作の石ノ森章太郎原作の「戦隊」作品も含めて、改めてシリーズが統一される扱いに変わる。
 しかし幼児にはわかりにくい名称だし、言いにくい総称でもあるからか年長マニア間でも使用されず、本家・東映にしてからが幼児向けを考慮してか翌94年放映の『忍者戦隊カクレンジャー』を主役に据えて『地球戦隊ファイブマン』以降の5大戦隊が共演したイベント上映用の短編3D映画のメインタイトルを『スーパー戦隊ワールド』(94年)として、早くも「スーパー戦隊」の呼称を用いており、結局は長年馴染んだ「スーパー戦隊」のネーミングで全シリーズを統括することとなる。
 現在は知ってのとおり「スーパー戦隊シリーズ」の名称で統一されており、ここで取り上げた「超世紀全戦隊」は今では一部世代人のノスタルジーの対象として記憶の片隅に存在する程度のものになっている。以上は余談である。


 アカレンジャーとビッグワンが助っ人参戦した戦場に、戦隊シリーズでは戦隊ヒーローたちとは異なるデザインラインゆえに正規メンバーとしてはカウントされないことも多いが、各作ではシリーズ中盤からの参加とはいえ、物語を力強く牽引した番外戦士的な追加戦士たちが一堂に集結。


・シグナルマン(『激走戦隊(げきそうせんたい)カーレンジャー』(96年))
・黒騎士ヒュウガ(『星獣戦隊(せいじゅうせんたい)ギンガマン』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110711/p1))
ウルザードファイヤーマジマザー夫妻(『魔法戦隊マジレンジャー』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110228/p1))
・大剣人ズバーン(『轟轟戦隊(ごうごうせんたい)ボウケンジャー』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070108/p1))
デカスワン(『特搜戦隊デカレンジャー』(04年))
・メレ&黒獅子リオ(『獣拳戦隊(じゅうけんせんたい)ゲキレンジャー』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080817/p1))


 そして彼らをまとめるのがデカマスター!(『特搜戦隊デカレンジャー』)


 デカマスターは先輩ヒーローに対して敬語表現で、「アカレンジャー! ビッグワン! ここは我々が食い止めるから早く行って下さい!!」と戦いを執(と)り仕切る。


 そんな新撮シーンを経て、『ゴーカイジャー』第1話冒頭の「レジェンド大戦」の映像にリンクする。そして、おなじみの第1話冒頭の映像流用で、すべてのスーパー戦隊の力を集結、金色の光のエネルギーとなった全戦隊戦士の総力でザンギャック大艦隊の初侵攻を撃退するさまが再演されていく!


 戦い終わり、荒野に横たわる若者たち。その若者は先に戦っていたゴセイジャーの五人、アラタ・ゴセイレッド、ハイド・ゴセイブルー、アグリ・ゴセイブラック、モネ・ゴセイイエロー、エリ・ゴセイピンクだけでなく、


・明石暁(あかし さとる)・ボウケンレッド(『轟轟戦隊ボウケンジャー』)
・楼山早輝(ろうやま さき)・ゴーオンイエロー(『炎神戦隊(エンジンせんたい)ゴーオンジャー』(08年))
・谷千明(たに ちあき)・シンケングリーン(以下『侍戦隊(さむらいせんたい)シンケンジャー』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090712/p1))、
・梅盛源太(うめもり げんた)・シンケンゴールド


もいる。


 幸い命は取り留めたようだ。しかし変身能力は失ってしまった。地球の平和を守り通したことで、よしとする彼らであった……


 この冒頭の描写が、テレビシリーズでも絶大なインパクトがあったものの、それゆえに不足していた部分も知りたくなってしまう印象もあった「レジェンド大戦」を見事に補完してくれていた。しかし、そうなったらそうなったでワガママな要望だが、ここでの具体的な映像による活躍のなかった戦隊ヒーローたちの活躍も見たくなってくる。
 「戦隊」シリーズは「ウルトラマン」シリーズや「仮面ライダー」シリーズ以上に放映期間としての歴史は長く、登場するキャラクターの数もその分多いので、描かれなかったキャラクターが多いのは致し方(いたしかた)ない。だが、この映画で見せたその細部描写の一端は、観客の脳内補完を良い意味で進めるカンフル剤にもなっている。


 なおテレビ第1話冒頭の「レジェンド大戦」では、映画での使用を前提に撮影していたシーンもあるそうで、新撮だけでなく、それがここでようやく初のお披露目となったシーンもあるようだ。この逸話(いつわ)にはあれだけの大規模撮影、総勢数百名単位のスタッフ・スーツアクターを再集結させるのは大変なだけに、“やれることはすべて今のうちにやっておこう”といった意図を色濃く感じさせる。
 恐らくまだまだ未使用カットが多々あると推測されるので、従来はディレクターズカット版のソフト化が発売されなかった戦隊シリーズの劇場映画とはいえ、今回はぜひともそうしたバージョンによるソフト化を切に望む所存である。


海賊戦隊ゴーカイジャーVSゴセイジャー』! デンジブルー・リュウレンジャー・デカピンク!


 現役戦隊としてザンギャックとの戦いを続ける海賊戦隊ゴーカイジャーは、キャプテン・マーベラスことゴーカイレッド、ジョー・ギブケンことゴーカイブルー、ドン・ドッコイヤーことゴーカイグリーン、ルカ・ミルフィーことゴーカイピンク、アイムド・ファミーユことゴーカイピンクの五人である。ザンギャックとの戦いにレンジャーキーを駆使して『地球戦隊ファイブマン』(90年)や『科学戦隊ダイナマン』(83年)などの歴代戦隊に変身、敵を撃退していく。


 だがそこに何者かが出現! 今そこで天装戦隊ゴセイジャーに変身しようとするゴーカイジャーの五人から、ゴセイジャーのレンジャーキーを奪取した。それはアラタ・アグリ・ハイド・モネ・エリの五人であった。すぐさま彼らはレンジャーキーを用いてゴセイジャーに変身! ゴーカイジャーとの戦いを繰り広げはじめた。


 この映画のタイトルにも見られるように、『ゴーカイジャー ゴセイジャー』の名が冠されていることからも、全35戦隊登場とはいえ、本来の主役はこの2戦隊である。そう、これはアニバーサリーイヤー記念作でありながら、従来なら一つのシリーズの終了に前後して送られていた『スーパー戦隊VSシリーズ』的な作品でもあるのだ。


 まだ『ゴーカイジャー』本編もシリーズが半分にも満たないのに今この時期、しかもGW(ゴールデンウィーク)と夏休みの間、梅雨時期といった気候面に祝日や祭日もなく興行的には不利で時期的なハンディもある中での6月公開は、かなり冒険しているように見受けられる。が、昨年のこの時期に、東映は『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE(ザ ムービー) 超・電王トリロジー』3部作(10年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110403/p1)を隔週で連続公開。いきなりの初登場で、『セックス・アンド・ザ・シティ2』(10年)・『アリス・イン・ワンダーランド』(10年)などの話題作を尻目に第2位にランクイン、大成功させている実績があってのものでもあるだろう。


 今まさに自らの力でレンジャーキーを取り戻して戦士に戻った者も入れば、一般市民として小さな幸せを満喫して暮らす者もいる。この作品世界では後者の方が圧倒的に多いのだろうが。その前者の象徴であるゴセイジャーとの対比として、次には年長マニアの視線を大いに刺激する戦隊OBが登場する。


 とある街中の幼稚園。リヤカーでアンパンを園児に配る男がいた。彼は青梅大五郎(おうめ だいごろう)・デンジブルー(『電子戦隊デンジマン』(80年))だ。青梅は大好物のアンパンを子どもたちに無償で配って歩いていたのだ。


 すべり台で遊ぶ子どもの持つロボットの玩具(ダイデンジン)に目が行く。園児の弁では父親にもらったものらしい。ノスタルジックな思いに駆られ、狂喜する青梅は、


 「大事にしてるときっといいことがあるよ」


 とアンパンを差し出す。


 青梅が次の幼稚園に向かう途中、横断歩道で歩行中の男性と配達途中の中華料理屋の自転車が衝突、そこにミニパトの婦人警官の姿が。


 自転車の主は天火星・亮(てんかせい りょう)ことリュウレンジャー(『五星戦隊ダイレンジャー』(93年)のレッド)、婦警は胡堂小梅(こどう こうめ)・デカピンク(『特搜戦隊デカレンジャー』)で、共に青梅の知り合いであった。


 亮の乗る自転車にぶつかった男性は、リストラされ生活費にも事欠くまでに陥(おちい)り、子どものときから持っていた玩具・バリブルーン(『秘密戦隊ゴレンジャー』の大型飛行メカ)を売って生活費の足しにしようと出向く矢先であった。失意のどん底に陥る男性を3人は励ます。


 現代の日本を覆う不安な現状の中、特に子どもと観ている父兄層には一層心に染みたと思われるシーンが、この戦隊OBがリストラ男性を励ます件(くだり)かと思われる。子どもを連れて来ている親の中にも、今実際にリーマンショック不況でリストラされたり、勤務している企業が倒産したり、また経営危機にあえぐ中で苦しんでいる者たちにとっては、胸が締め付けられる場面であろう。


 劇場で販売されているパンフレットに掲載された脚本家・荒川稔久(あらかわ なるひさ)のインタビューによると、小梅が発した


「今よりほんの少しでいい、未来を幸せで美しい世界にしたい」


の言葉は、『バトルフィーバーJ』の挿入歌『明日の戦士たち』の歌詞にある


「♪ 昨日よりも幸せで~ そ~して美しい~ そ~んな世界を作って欲~し~い~~」


というフレーズにインスパイアされたものだそうだ。


 特に昨今長く続く不況、そして国民を不安に陥れるような政治運営しかできない不甲斐ない総理大臣、さらに拍車をかける国家的危機状況としての東日本大震災、そこで発生した東京電力福島原子力発電所の事故といった世界的な大脅威にさらされて不安に苛(さいな)まれる中でも「勇気を持ち、ポジティブな精神を失うな!」といった、大人から子どもまでも含めた、全世代に向けてのメッセージを感じ取れる。


 この荒川は、先に手がけた『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110613/p1)で、劇中の生体巨大メカである爆竜たちが戦隊シリーズをはじめとする多くの東映ヒーローソングの歌詞、しかも主題歌はもちろん挿入歌に至るまでの幅広い曲目を出典としてそれを歌いだし、または歌詞をもじったセリフを劇中で披露、ディープな特撮ファンをニヤリとさせたことがあったが、今回の手法もその応用であることが明白だ。


 ラストで歴代の戦隊OB俳優がゴーカイジャーにメッセージを贈るシーンでは、出演作品の主題歌歌詞を引用した内容のセリフを披露しており、荒川の良い意味での“マニアックさ”“オタク感性”がいかんなく発揮されている。


 これを「オタクの自己満足」と解釈するヒネたマニアたちもいてよいし、そのような見解の持ち主たちも尊重したいが、本作では前述のように時期的な閉塞感・不安感が実際の世の中を包む中で、映画で観る者に勇気を与えようとばかりに効果的、かつポジティブに使われていると個人的には評したい。


 実際、本作に立花レイ・ダイナピンク(『科学戦隊ダイナマン』)役で出演した萩原佐代子(はぎわら さよこ)は、自身のブログにてこの映画の感想を


 「打ちのめされても、打ちのめされても、人との繋がりの中で、一生懸命に大切なものを守ろうとする若者達の姿に、まるで、今の日本を応援するようなものを感じました。」


 と書き込んでいるくらいであり、出演者もこのご時世、ヒーローを演じた者として観客にエールを贈ろうとする意識が見受けられる。


黒十字王! 33大戦隊復活! 35大戦隊ロボ登場!


 その一方で、宇宙帝国ザンギャックと同盟を結ぼうとする悪の影がいた。それは秘密戦隊ゴレンジャーの宿敵である黒十字軍(くろじゅうじぐん)の総統・黒十字王であった。彼は35年前にゴレンジャーに倒されたが、今また甦ったのだ。双方は共に手を結び、ゴーカイジャーゴセイジャーを倒し、スーパー戦隊とそれを信じる人々への復讐を企てる。
 そして一度は倒された悪の組織の総帥たち、救星主ブラジラ(『天装戦隊ゴセイジャー』)、総裏大臣ヨゴシマクリタイン(『炎神戦隊ゴーオンジャー』)、冥府神ダゴン(『魔法戦隊マジレンジャー』(05年))も復活! 対決するゴーカイジャーゴセイジャーを分断、攻撃を行う。


 レンジャーキーを奪取したゴセイジャーゴーカイジャーは対決する中、相手戦隊の良さや人間性にふれて、戦隊同士で争うよりもまずは目先の宿敵を倒すために団結して戦うことになる。力と技の団結で窮地を脱するが、今度はゴーカイジャーが持つレンジャーキーを黒十字王に盗まれ、ゴーカイジャーゴセイジャー以外の33戦隊が黒十字王の手により出現! 2戦隊に立ち向かう。


 レンジャーキーで復活した戦隊を倒した2戦隊だが、遂に黒十字王がその正体である黒十字城に変身、攻撃を始める。2戦隊は防戦するが、とても太刀打ちできない。


 その時、青梅がアンパンをあげた幼稚園児の持つ「超合金」ブランドの玩具・ダイデンジンと、リストラ男の持つバリブルーンの「ポピニカ」ブランドの玩具が人々の希望と願いの祈りの力で空に舞い上がり、実体化する! それに続いて、同様に人々が持つ玩具の戦隊巨大ロボットが次々と実体化、廃墟と化した街中に歴代戦隊ロボットの勇姿がそびえ立つ!


 バリブルーンはゴーカイジャーのロボット・ゴーカイオーの背中に合体、ゴレンゴーカイオーにバージョンアップ! 二振りのサーベル・ゴーカイケンによる必殺技「ゴーカイハリケーンカシオペア」で黒十字城を破壊する!! 平和は再び戻ったのであった……


 このシーンの目印となるものが、幼稚園児が父親からもらったダイデンジンの超合金と、リストラ男が持つポピニカのバリブルーンである。実際このシーンに「共感して泣いた」といった観客も多く、世代人が「自分の童心を思い起こされた」といった声も多々見受けられた。また同じものをむかし持っていたことから来るノスタルジーのリアクションも多かった。


 最後に人々の善意の祈りが奇跡を起こすパターンは、80年代以降の少年漫画の定番であり、『六神合体ゴッドマーズ』(81年)の最終回や『元気爆発ガンバルガー』(92年)の最終回など80~90年代の合体ロボットアニメなどでも散見されるが、特撮ジャンルでもそれこそ『ウルトラマンティガ』(96年)の最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1)以来、平成ウルトラシリーズではおなじみとなっている描写の再演である印象も与える。
 昨2010年は遂に『仮面ライダー』シリーズでも『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100809/p1)の劇場映画『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(10年)で「人々の願いで奇跡が起きる」描写が登場。そして今回は遂に『戦隊』シリーズでも行われるようになってしまった。
 ただし、あまりそうしたシチュエーションが増えると、その作劇上、何かと破天荒な物事を正当化できる都合の良い設定の使い回しが批判の対象になるのでは? といったことは懸念(けねん)している。


 しかし、脚本の荒川稔久は「ウルトラ」シリーズファン、特に『帰ってきたウルトラマン』(71年)の熱心なファン(信者?)として高名であり、『帰りマン』のウルトラマンへの変身コンセプトである“人事を尽くして天命を待つ”といった旨(むね)を、ゴーカイジャーゴセイジャーの黒十字城との戦いを「人事」に例え、人々の祈りが起こす奇跡を「天命」と化させる作劇にシンクロさせたとも思える。


 そして今回、やはり40代を中心とする世代人の話題の中心となる様相を呈しているのが、『ゴレンジャー』の宿敵である黒十字軍総統の復活キャラ・黒十字王の登場だ。デザインもオリジナルのベースを守りつつ、今風のリアルタッチなアップデートが行われており、今の若い世代にも充分受け入れられるようなテイストだ。


 一昨年の『仮面ライダーディケイド』(09年)や『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091213/p1)に再登場した


・秘密結社GOD(ゴッド)機関の首領・キングダークとGOD秘密警察の第1室長・アポロガイスト(『仮面ライダーX(エックス)』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20141005/p1))
・秘密結社ゲドンの首領・十面鬼(『仮面ライダーアマゾン』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20141101/p1))


 といった、旧作の首領や幹部級の悪役キャラクターのリニューアルによる復活が好評を博したことも手伝っての登板だろう。


 だが、世代人の希望としては、黒十字王が出たなら、その手下であるユニークな「仮面怪人」たちの復活も願いたかったという感もある。先の『仮面ライダー』シリーズの前例もあり、特に代表的なギャグ怪人である野球仮面・機関車仮面・テレビ仮面・ストーブ仮面などの強烈な個性の怪人も、今風のビジュアルでお目に掛かりたかったなという思いは強い。


 そしてゴレンゴーカイオーが繰り出した必殺技「ゴーカイハリケーンカシオペア」のネーミングに見られるように、断末魔に北極星の周囲を廻る星座である「カシオペア」の五文字が出てきた。


 『ゴレンジャー』世代は納得するだろうが、元ネタである黒十字総統の弱点であるカシオペアは、ゴレンジャーのメンバーの本名の頭文字の合体ネーミング、


・海城剛(かいじょう つよし)
・新命明(しんめい あきら)
・大岩大太(おおいわ だいた)
・ペギー松山(ぺぎー まつやま)
・明日香健二(あすか けんじ)


に由来するものでもある。やや説明不足な点は若干(じゃっかん)残念な印象を抱くが、「カシオペア」という「五つ星」は「戦隊」の基本フォーマットである「5人戦隊」とも通じるものがあると容易に連想させる存在なので、大きな問題ではないだろう。


今後の『ゴーカイジャー』の行く末は!? 今回出演した戦隊OB再出演への期待!


 この映画の物語の結末は、ゴセイジャーが必死の思いで奪取したレンジャーキーをゴーカイジャーに返したところで次なる物語への橋渡しを行う。


 それは『ゴーカイジャー』の物語の軸でもある歴代戦隊のレンジャーキーが、今後どうなるか。そしてゴーカイジャーの物語がフィナーレを迎えると、レンジャーキーの役割や歴代戦隊の存在がどういった行方を迎えるかといったことにも通じていく。
 特に今回の映画はもちろん、先にテレビシリーズの『ゴーカイジャー』でも、ゲスト出演する戦隊OBはみんな変身能力を失っている。今後彼らはどうなるのか、ずっと変身できないままなのかが、非常に気になる。こうした新たなる伏線が、テレビシリーズ中盤に登場する六人目の戦士・ゴーカイシルバーの登場とともに肉付けされていき、ドラマを彩っていくのだと思われる。


 さて本作、明らかに作品の基本骨格は例年の「スーパー戦隊VSシリーズ」と同様の『海賊戦隊ゴーカイジャーVSゴセイジャー』である。すると、年明けの恒例行事「スーパー戦隊VSシリーズ」では『海賊戦隊ゴーカイジャーVSゴセイジャー』はもう製作されないのかも知れないといった疑問も生じてくる。35周年のアニバーサリー作品らしく型にはまらない斬新な内容の戦隊映画が登場するのか、それとも『海賊戦隊ゴーカイジャーVSゴセイジャーⅡ』といった扱いの新作を作るのか。


 それと今回の映画に登場した戦隊OB諸氏は、今後のテレビシリーズ『ゴーカイジャー』へのゲスト出演も期待できそうに思える。
 『ゴーカイジャー』にも大きく影響を与えた『仮面ライダーディケイド』では、『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001015p2)とその続編『仮面ライダーBLACK RX(ブラック アールエックス)』(88年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20001016/p1)で主役を務めた俳優・倉田てつを南光太郎(みなみ こうたろう)役で20年ぶりに再登場した。
 これも元々は映画『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』でのゲスト出演がきっかけなのであり、その映画と連動して映画の予告編としても作られた「RXの世界」と「BLACKの世界」の前後編は『ディケイド』でも屈指の話題作となり、世代人を狂喜させたのだから。今思えば映画での出演が先であり、さかのぼってTVで先行ゲスト出演させたことが思わぬ波及効果を見せたと好例だと断言してもよいだろう。


 TVの『ゴーカイジャー』でも終盤で、再出演を快諾してくれそうな彼らが重要なポストで再登場するサプライズが望めそうな気もする。


スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』興行収入は初登場第2位! 満足度ランキングでは第1位!


 さて、この『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』は昨年の同時期に公開された『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー』同様、初登場で第2位にランクイン。全国282の劇場で公開され、2日間で約25万人を動員、興行収入は約3億といった予想以上のヒットを飛ばした。また雑誌「ぴあ」調査による6月10日・11日公開の映画・満足度ランキングではこの映画が多くのライバルを差し置いてトップに輝いている。


 アニバーサリーイヤーを飾るに相応(ふさわ)しい興行成績を上げたこの背景には、今の幼児層の子どもの親世代が、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」の休眠期(1980年代前半~中盤)に子ども時代を過ごした世代であること、つまり特撮ヒーローといえば「ウルトラ」でもなく「ライダー」でもなく正に「戦隊」シリーズという世代の台頭に起因すると思われる。
 実際、昨今の平成ウルトラシリーズの不調の背景には、親の世代が子ども時代にリアルタイムの「ウルトラマン」が存在しない年代であることも大きく関与していると思われる。事実『ウルトラマンティガ』のころは、親が60年代後半の第1期ウルトラ世代~70年代前半の第2期ウルトラ世代であったこともヒットの要因であり、親子2世代キャラクターの王道とばかりに好評を博し、マーチャンダイジングも高成績を収めていたのだから。


 そんな中、1978年度の休眠期を除けばほぼ切れ目なく作品製作を継続し、今やNHKテレビ小説、NHK大河ドラマ、そして戦隊シリーズと、日本のテレビドラマ界を代表するロングランシリーズの“御三家”に君臨するほどの成長を見せているのが我らがスーパー戦隊シリーズである。その「戦隊」の“継続は力なり”を色濃く見せられた映画でもあったということを強く痛感した。



(編:年末の冬コミ発行予定の本誌『仮面特攻隊2012年号』では、本誌寄稿者・森川由浩氏が長年にわたって独自に調査・整理してきた、全スーパー戦隊シリーズの関東・中部・関西の全話&特番視聴率表、および各クール平均視聴率表を掲載して、スーパー戦隊シリーズ特集を予定!)


(文中敬称略)
(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2011年初夏号』(11年6月19日発行)~『仮面特攻隊2012年号』(11年12月29日発行)所収『スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』合評より抜粋)


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騎士竜戦隊リュウソウジャー(19年) ~序盤合評

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ブレイブウィッチーズ・ガーリーエアフォース・荒野のコトブキ飛行隊・終末のイゼッタ ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!

『ガールズ&パンツァー』 ~爽快活劇に至るためのお膳立てとしての設定&ドラマとは!?
『アズールレーン』 ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど序盤は良作だと思う・笑)
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2020年秋には第二次世界大戦期の戦闘機を材に取った美少女メカ戦闘アニメが3本!
 2020年9月11日(金)から深夜アニメ『荒野のコトブキ飛行隊』(19年)の総集編+新作のアニメ映画『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』が公開記念!
 2020年10月から同じく第二次大戦期の戦闘機を材にした美少女メカ戦闘アニメ『ストライクウィッチーズ』第3期こと『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』が放映開始記念!
 同様に第二次大戦期の戦闘機を材に取った美少女メカ戦闘アニメ『戦翼(せんよく)のシグルドリーヴァ』も放映開始記念!


 とカコつけて……。『ストライクウィッチーズ』の派生作品『ブレイブウィッチーズ』(16年)や、戦闘機や第二次大戦を材に据えた深夜アニメ『ガーリー・エアフォース』(19年)・『荒野のコトブキ飛行隊』(19年)・『終末のイゼッタ』(16年)評をアップ!


ブレイブウィッチーズ』『ガーリー・エアフォース』『荒野のコトブキ飛行隊』『終末のイゼッタ』 ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!

(文・T.SATO)

ブレイブウィッチーズ

(2016年秋アニメ 水曜25時35分 TOKYO-MXほか)
(2016年12月25日脱稿)


 ナチスドイツによる各国への電撃侵攻を空飛ぶ無機物チックな巨大不定型生物による欧州電撃侵攻に置き換えた、架空の第2次世界大戦期を舞台にした深夜アニメ『ストライクウィッチーズ』(08年)シリーズ。基本的にはプロペラユニットを両脚に片方ずつ履いたロリ系アニメ絵のネコ耳で短いシッポも生やした可愛らしい魔法少女がパンツ見せ見せで(笑)大空を高速で飛行して機関銃で戦うという、おバカな基本設定の「萌え」+「メカ戦闘」のアニメではある。


 続編『ストライクウィッチーズ2』(10年)を経てさらなる続編映画『ストライクウィッチーズ 劇場版』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150527/p1)で2012年に完結したハズだけど、2014年にも『2』と『劇場版』の時系列のスキ間を埋める番外編が『ストライクウィッチーズ OVA』3部作(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150528/p1)として発表されている。


 その『ストライクウィッチーズ』の高村和宏カントクが手掛けた、同趣向でキャラクターデザインも同系統の美少女戦闘アニメ『ビビッドレッド・オペレーション』(13年)がカネをかけて大宣伝したワリにはビミョーな出来&売上だったこともあるのだろう。結局は『ストライクウィッチーズ』シリーズ(の派生作品)が帰ってきましたヨ!


 本作においては、欧州における「第501統合戦闘航空団」こと「ストライクウィッチーズ」とは同時代の別の戦線では、同様の別の魔法少女部隊「第502統合戦闘航空団」こと「ブレイブウィッチーズ」がナゾの巨大不定型生物と戦っていた! という設定を作ってのストーリー展開。こんなのがアリならば同一世界でいくらでも同工異曲の作品が作れるよネ(笑)。


 Wikipediaで調べてみると、いつの間にやら「第503統合戦闘航空団」~「第508統合戦闘航空団」とか「アフリカ戦線」とか「本能寺の変」(笑)などを舞台にした「番外編」やら「前日談」やら作品世界の数百年前(笑)の小説やらマンガやらのメディア・ミックス派生作品が膨大にある!
 オタク第1世代の評論家・大塚英志(おおつか・えいじ)センセイが今後のオタク系作品の有望なビジネスモデルとして、昭和の終わり~平成のはじめに提唱して書籍化もされていた「物語消費」論のまさに体現!


 往年の『ビックリマン』やら『スター・ウォーズ』シリーズや『ウルトラマン』シリーズやら『機動戦士ガンダム』シリーズを素材に、作品世界の「前日談」やら「後日談」やら「外伝」を媒体を問わずに、「ヨコ方向には広大な世界地図」が「タテ方向には長大な歴史年表」が存在する巨大な「作品世界」を作って、オタク消費者や子供消費者たちを長期にわたってその「作品世界」で遊ばせて搾取(笑)もする、「二次創作的な想像力」をアマチュアの場だけでなく公式の場でも最大限に活かそうとする試みの実践!
――ただし個人的には、この用語はその意味するところからも、「物語消費」よりも「世界観消費」と呼称するのがより適切だとは思うけど――


 とはいえ、主人公を異にする「PART2」ものというのは、クオリティは程々でも前作とは似て非なるモノであるがゆえに、客観的にではなく感覚的にナンとなくノれない……という感慨をもよおして、ドーしても過剰にキビしく見られてワリを喰いがちなのが往々でもある。
――オッサン世代の体験だと、元祖スーパー戦隊秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)の直後のスーパー戦隊・第2弾『ジャッカー電撃隊』(77年)とか、合体ロボアニメ『超電磁ロボ コン・バトラーV(ブイ)』(76年)の直後の『超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)』(77年)とか、同じく子供向け合体ロボアニメ『絶対無敵ライジンオー』(91年)や『元気爆発ガンバルガー』(92年)のあとの『熱血最強ゴウザウラー』(93年)などの当時の二番煎じ感などやそれに対するシラケやプチ反発なども思い出す……(作品としてのクオリティとはまた別の話なので念のため・汗)。コレが「PART3」やさらなる長期シリーズ化がなされてくると、「そんなモノだから……」「このシリーズのパターンだから……」と年長マニア層のみならず子供の視聴者層ではあっても、ダブルスタンダードだけれども割り切って観られたりもするのだけれども……。まさに「理性的・合理的な作品解題」ではなく単なる「慣れ親しみ」といったモノにも、結局のところ「作品評価」というモノは影響されている!(汗)――


 なので、そういったメタな観点から、筆者は自身の無意識的な「好悪」や「慣れ親しみ」から来る違和感をも相対化して、点数を甘くすることで、より公平な「客観」に近付きたい!?(笑)



 本作の主な舞台はロシアの「ペテルブルグ」。


 ……「ペテルブルグ」!? 1917年のロシア革命~1991年のソ連崩壊までの旧・ソ連(現・ロシア)時代のあの地の名前は「レニングラード」だろ!? ――ソ連初代最高指導者・レーニンの街という意味――
 あぁ、この世界ではロシア革命はなかったんだネ。じゃあ「スターリングラード」(ソ連2代目最高指導者・スターリンの街という意味)という地名もナイんだネ!(笑)


――まぁそれを云い出したら、同趣向の架空の第2次大戦期を舞台にした同季放映の深夜アニメ『終末のイゼッタ』(16年)でも、一応の民主主義選挙で選出されたヒトラー総統は登場せず、現実の歴史では第1次大戦での敗戦で崩壊したドイツ帝政が継続、ドイツ皇帝も登場したりするパラレルの歴史だったけれども――


 果たして今作『ブレイブウィッチーズ』の出来はいかに!? 腰のない柔らかで可憐な少女ボイスの加隈亜衣(かくま・あい)ちゃんが演じる佐世保魔法少女学校で訓練を積む日本人主人公少女・雁淵ひかり(かりぶち・ひかり)ちゃん & そのいかにも年長でお上品な「お姉さんお姉さん」した優しいエリート戦士の姉・雁淵孝美(かりぶち・たかみ)のみを描いた#1~2は、まぁまぁフツーの出来だったとは思うものの個人的にはイマ半でノれなかった。いや理性では水準以上の出来だとは判定するものの、元祖『ストライクウィッチーズ』や同『2』の神懸った#1~2の出来のよさがドーしても無意識に想起されて比較してしまうからでもある。


 しかして、チームで一番気が強そうで意志的な吊り目の目付きが印象的だけれども、チーム中でも一番チビチビではあるので、その性格のキツさも安全な範囲で回収されて(笑)、心優しいヘタレなオタでも大丈夫なように印象がコントロールされている(!?)、肌が地黒で黒髪ショートで茶色の空軍皮ジャンをまとった、ガラッぱちでボーイッシュで短気そうな先輩日本人少女・管野直枝(かんの・なおえ)ちゃんが魅力的である!
 パッと見のルックスだけでは小生意気そうでもっともオタ受けがしなさそうだけれども(?)、序盤で主人公少女と彼女を対立させてキツく当たらせるも、そのツンデレな真情は!? といったところで、必ずしもビジュアルやパーツ的な「萌え要素」だけではなく「ドラマ的な肉付け」で彼女の印象や「萌え」度をアップさせているところはウマい! このエピソードのおかげで俄然、作品世界の重心も下がって地に足が着いた感じがしてきて、相応に気に入ってもいる。
ブレイブウィッチーズ 1(第1話、第2話) [レンタル落ち]
ブレイブウィッチーズ 2(第3話、第4話) [レンタル落ち]

ブレイブウィッチーズ

ブレイブウィッチーズ

  • メディア: Prime Video
ブレイブウィッチーズ第1巻 [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.76(2016年12月29日発行))


(後日付記:『ブレイブウィッチーズ』はトータルでは『ストライクウィッチーズ』2部作に勝っているとも云いがたいかもしれないけど、やはりそれは希代の傑作と比してしまうからこそワリを喰ってカスんでしまうところもあるからであって、そこを除外すれば水準作以上の作品ではあると私見


ガーリー・エアフォース』・『荒野のコトブキ飛行隊』

(2019年冬アニメ)
(2019年4月27日脱稿)


 「戦艦」や「戦車」や「潜水艦」と「アニメ絵の美少女キャラ」を組み合わせる手法はすでにあったけど、両作は「戦闘機」と「美少女」を組み合わせた。


 志し自体はとても低いワケだけど(笑)、『ガーリー・エアフォース』の方は意外にもスペクタクルな密度感ある物語や舞台設定があり、背景美術にも「都心」や「近郊」ならぬ「地方」ならではの畳や和室のある「日本家屋」などを背景美術や舞台とすることで類型作との映像的な差別化や風情も出せている。


 と同時に、原色で発光する戦闘機とセットになっている、人外の存在らしき美少女キャラたちがお約束でワラワラと登場して、それぞれに典型的な記号的キャラでありながらも人物がマンガ・アニメ的には立っていて、萌えの方向で消費もできるようになっている。


 背景設定もオモテ向きは中国での内戦勃発、真相は未確認飛行物体による侵略で、大陸から難民が日本に押し寄せているというモノ。半島に有事があって、一方の国の難民を受け入れれば他方からは敵国認定するとの通知が南北双方から出てしまば、人道的な行為なのに中立が叶わず戦争に巻き込まれる逆説・背理も生じていくであろう当今、アクチュアルな風刺感も出せている。


 中国の上海(シャンハイ)沖でナゾの敵に襲われた難民が搭乗する船舶が、赤く発光する戦闘機に救われるも、その機体は海面に不時着して、主人公の高校生男子クンが泳ぎ付けて救出するも、そのパイロットは儚げで涼しげで幸ウスそうな銀髪ロング的な(銀髪じゃないけど・汗)ウスいピンク髪の美少女といったあたりもコテコテ。


 その後もこの彼女が媚び媚びしておらずテンションもコミュ力も低そうで控えめにボソボソとしゃべるキャラであるあたり、フェミニズムポリティカル・コレクトネス的には「弱者男子にとっての都合がイイ弱者女子像」であり、か弱き女性に手を差し伸べる女性尊重のようでその実、男尊女卑構造を温存させる「弱めの肉食男子」でしかナイという文脈で糾弾されても仕方がナイし、その批判に理性では同意するけど、ダメダメな弱者男子の典型で奇形的に感性を鍛えてきてしまった筆者の好悪の次元では、こーいうキャラもやはりキライではない(笑~過剰な執着はしていないけど)。


 先行作で例えると、深夜アニメ『蒼(あお)き鋼(はがね)のアルペジオ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1)における旧日本海軍の潜水艦を模した超メカの魂(?)が物質化したイオナ嬢や、同じく『ガールズ&パンツァー』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190624/p1)の主役美少女・西住さんみたいな、刺激臭のナイ控えめで涼しげで優しげな可愛い声でしゃべる美少女キャラの系譜でもある――どちらも渕上舞(ふちがみ・まい)ちゃんが担当でしたネ――。


 で、ジャンル作品のお約束で、戦闘スペック的には劇中で最強な本作のメインヒロインもメンタルの方は脆弱(ぜいじゃく)な少女のそれであり、主人公少年といっしょのときだけはナゼだか精神が安定するという、いかにも中2病の思春期的な想像力が発想したご都合主義的な設定を導入することで、主人公少年と美少女が関わっていく劇中内での必然性も作っていく。


 もちろんそれだけでは世界観や交友関係が狭くなりすぎるので、彼女は自衛隊所属で北陸の実在する小松基地配属として、その中では敬遠されたり敵視されたりする浮いた存在とすることで、その立場のビミョーさをも出していく。そして、そんな彼女は実は人間ではなく、毒には毒をでナゾの敵の残骸から回収して作られた兵器であり人造人間でもあり、敵とも同根の存在であるとする。


 しかして、それだけでも作品が辛気(しんき)クサくなるからか、彼女と同族の人造美少女たちが小出しで順次登場。そちらの美少女はやたらと陽性であったり戦闘狂であったりすることで、作品世界の陰陽のバランスや戦闘場面の立体感&熱血温度を上げている。てなワケで、魅惑的な「ストーリー」・「戦闘」・「萌え美少女」とが鼎立(ていりつ)できている。



 本作とは逆に、萌え美少女たちの「キャラ」がそれ単独ではあまり立っておらず、「ストーリー」の中に埋没気味である印象を受けるのが、かの大傑作『ガールズ&パンツァー』の水島努カントクらが手掛けた同じく戦闘機――こちらは20世紀前半のプロペラ機――を材とした同季の西部劇調の深夜アニメ『荒野のコトブキ飛行隊』(19年)だとも目(もく)する――同作をスキな方や評価する方々にはゴメンなさい(汗)――。


 主要キャラであるハズの6人のパイロットである美少女キャラたちを描くよりも先に、西部劇チックなムサいオジサンたちのやりとりを延々と描いてみせる#1の冒頭。マンガ・アニメ・記号的なキャラ付けではあろうが、主人公である6人の美少女キャラたちの人となりを描くよりも先に、オッサンたちを延々と描くのはバランスが悪いし(汗)、看板とも相反する空気が流れることで、企図せずとも作品世界の構造もヘンな意味で規定されてしまって、作品の腰の座りも悪くなる。


 ……そう感じるのは、筆者が美少女アニメにおける「ストーリーよりもキャラ重視」の文法に毒され過ぎゆえであって、コレはコレでフツーの作劇やもしれず、公平な第三者の審判を仰ぎたいところではある(笑)。
クロックワークス スリーブコレクションVol.18 ガーリー・エアフォース 集合

ガーリー・エアフォースⅠ [Blu-ray]
立飛のコトブキ航空祭 (特装限定版) [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.74(19年5月4日発行))


(後日付記:深夜アニメ版を再編集した映画『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』(20年)ではこのオジサンキャラたちによる間延びした#1冒頭はまるまるカット(笑)。それにより導入部は少しはマシになって見やすくなったものの、美少女キャラたちの行動がストーリーを能動的に動かして状況を好転させていくような勝利のカタルシス感には乏しいし、映画全体としても深夜アニメ版よりかはマシであるとは思うものの、やはりなにかあまりノれずにパッとしない出来になっているとも私見する……)


終末のイゼッタ

(2016年秋アニメ 土曜25時30分 TOKYO-MXほか)
(2016年12月25日脱稿)


 個人的には2016年の秋アニメの中では一番面白い!


 西暦1940年の第2次世界大戦中の欧州を舞台に、無骨な大型銃器の砲身を空飛ぶホウキ代わりにまたがった赤髪ショートの魔法少女が、古城の武具やヤリの群を左右に伴走させて高速で空を飛び、電撃侵攻してきた敵国の戦闘機群を撃墜し、戦車群を横転させて軍艦も貫いて爆沈させる! いやはや愉快痛快!


 秋アニメなのに放映3ヶ月前の夏からTOKYO MXの深夜アニメ枠のCMでは宣伝しまくり! 長身の銃器にまたがった白いラフなドレスに素足の美少女が、超高速で空を旋回して急ブレーキでカメラ手前に停止する、高品質な作画ビジュアルもとても印象的だった本作。


 #1は往年の名作アニメ劇場ばりに、幼少時のサブヒロイン――実質、主人公でアルプスの小国の王女さま――が子犬と戯れて、緑豊かな森の中を駆け抜けた先で、湖上に浮遊する幼少時のメインヒロイン(魔法少女)とのロマンチックな邂逅(かいこう)が描かれる。ツカミは万全!


 しかもそれは、蒸気機関車にてお忍びで随行員を連れて移動中の金髪ロングの王女さまが、うたた寝中の夢で見た懐かしの回想だった!
 そんな導入部から始まり、ナチスドイツもどきのゲルマニア帝国憲兵らの違法な車内臨検を秘かに免れようと、長大な車両を移動してのスリリングな逃避行となる。走行する客車の屋上も駆け抜けて銃撃戦へと至り、偶然忍び込んだ貨物車両内で見かけたナチドイツのものものしい機密カプセルとの運命的な遭遇と、通りかかった高架の鉄橋から敵の隙を見て河川へ飛び込み難を逃れるまでの一連のシークエンスの吸引力は実にお見事!


 #1のBパートでは人気声優・早見沙織(はやみ・さおり)の気高くも上品で透き通ったボイスがハマる聡明な王女さまが、英国がモデルとおぼしき厭戦気分のブリタニア国に大陸出兵を促して、帝国の各国侵攻への抑止力・牽制にせんと、オペラ上演中のVIP観覧室で英国大使を相手に口八丁手八丁の交渉を行ない、自国の精密機械産業の技術提供&一度は断った自身と英国皇太子との政略結婚までをも申し出る!


 大使も感嘆した通り、右翼と左翼のふたつしか脳裏にないアタマの悪い二元論ではなく、まだ若いのに玉突きボール的に多数のプレーヤーが自発的に動いていく世界の大局観が見えていて、生まれながらの王者にして国民国家の公器としてもふるまわんとする、為政者・外交官としての器量も大きいサブヒロインの凛々しくも麗しい姿が実にまぶしい!


 しかし、交渉がまとまろうとした刹那の一報ですべてはご破算。母国がすでに帝国に蹂躙されて、交渉も空しくなったことを知る(汗)。


 続けて、踏み込んできた帝国憲兵に身柄を拘束され、先の機密カプセルといっしょに帝国首都へと空輸中、カプセルの中に実はいた「伝説の白き魔女」でもあるメインヒロインが覚醒した衝撃で、空中分解した輸送機から落下していく王女さまを、機転を利かして砲身にまたがって空を飛んだメインヒロインが何とか追いつき、手と手を取り合って抱きかかえて救ったところで#1は閉幕!


 なんともホレボレとする、何度でも観返したくなる#1に仕上がっていたとも私見する。


 ビジュアル的にはこのメインヒロインの超常的な大暴れで、敵帝国の侵攻を防ぐ姿が描かれていてスカッとさせてくれる。しかして、それだけでは万能にすぎるので、作劇的には東洋風水的な地脈のエネルギーがない土地では魔法が発動しない「制限ルール」も設ける。この制限を使うことで、バトルにも力押しだけではない知謀と作戦の丁々発止の彩りを与える。


 加えて、この「制限ルール」が軍事機密ともなり、それをめぐって舞台となる小国と帝国の諜報合戦も行なわれる。そして、小国といえども絶対正義ではなくその汚れ仕事までもが描かれる。メインヒロインのこの弱点を高官たちの雑談から偶然聞き知ってしまい、それを敵国スパイに家族の安全と引換にバラしそうになることで、自国の諜報部隊に暗殺されてしまう少年兵のシークエンスなどなど。
 #1から登場している帝国側の諜報部隊の、陰険そうでも上品な銀髪のクール兄ちゃんやその部下の少年クンもイイ味を出している。



 #1では作品の看板でもあるメインヒロイン・イゼッタ嬢にセリフがなかった。このことからも象徴される通り、彼女の素の人格自体は善良で常識人でも白痴的元気少女の小娘にすぎない。王女さまへの幼き日に受けた恩に報いるための義理と素朴な封建的忠誠心で動いているだけであり、メインストーリーを駆動しているのはあくまでも王女さまの方なのだ。
 とはいえ、それが悪いというのではなく、コレもまた万能にすぎるメインヒロインのチート能力がイヤミの域に達しないブレーキにもなっているとは思う。とにかく彼女がそこにいるだけでも、王女さまと比すれば胸や腰や太モモが若干グラマラス&筋肉質で、可憐でありつつも同時に力強さと生命力も感じさせるルックス&華のあるボイスが魅力的である。加えて、メインヒロインとサブヒロインのイチャイチャした関係性に近年流行りの「百合」性をねらった節もある!?


 同じく架空の第2次大戦期を舞台にした、線も少ない5等身の少女たちが活躍する『ストライクウィッチーズ』シリーズ(08年~)があくまで「魔法少女」ならば、本作は今ではほとんど滅びた古き良き「戦闘美少女」の香りもする――あくまでも香りであって、往年の肉弾戦的な「戦闘美少女」そのものであるとは云わない。カテゴライズで云えばやはりフワッとしたポエミーな「魔法少女」寄りではあるだろう――。


 終盤ではメインヒロインの数百年前のご先祖さまでもあり、救国の英雄でもある元祖「白き魔女」の美しく脚色されていた「本当は恐ろしいグリム童話」ならぬ魔女狩りチックで残酷な歴史的真相も描きつつ、「白き魔女」の遺体からクローン技術で作られた前世の母国への恨みの記憶も有するイカレた魔法少女ゾフィー(声・雨宮天)を帝国は小国との戦線に投入! そして並行して描かれる帝国と連合諸国との屈辱的な講和会議の席に割って入って一席をぶつ王女さま!


 ……といったところで、初の近代戦である第1次世界大戦での初の機関銃や毒ガス投入によるジェノサイド(大量死)を体験したことで、戦間期に欧州各国では厭戦気分と空想的平和主義が流行するものの、それゆえにナチドイツの野望を見抜けず、見抜けても相手の善意に期待する「宥和(ゆうわ)政策」と「北風と太陽」のような希望的観測でナチスの伸長や近隣諸国への侵攻・占領を許して、結果的に惨禍を極大化してしまった、いまだに空想的平和主義を信奉する日本のサヨクが見たがらない逆説と背理がうんぬんかんぬんとウンチク・トークを披瀝したくもなってくるけども(笑)。


 そのへんの政治的に生グサい話は棚上げにしてもイイので、後代の我々が後出しジャンケン的に見たら不備や政治的な偏向があるように見えても、時代思想・時代風潮的な限界の中であろうが、一生懸命に職務&役回りを演じ切った各国の人々の群像劇をも描いた本作は、個人的にはお勧めの一品!
cross the line

終末のイゼッタ Vol.1(エイルシュタット国債&1巻購入者イベントチケット優先申込券&全巻購入者イベント優先申込券付) [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.85(2016年12月29日発行))


(後日付記:個人的には同作は最終回まで息切れしない傑作に仕上がったとは思うけど、円盤売上的には並という感じで、特に話題になったという感じでもないあたりは残念。やはり商品性なりミーハー人気もねらうのならば、もっと肉体性をウスくしたデフォルメ系のキャラデザかつロリっぽい美少女を複数名そろえた方がイイということか?・汗)


付記 ~同じような素材の作品なのに、ナゼにこうもテイストや巧拙の差が出るのか!?


 「メカ」と「美少女」の組み合わせは、今をさかのぼること40年近くも前(汗)、80年代前半の「MS少女(エムエス・しょうじょ)」にさかのぼるそうである――筆者がそのプチ流行を目撃したのは85年であったと記憶する……って歳がバレるな(汗)――。


 同じく80年代初頭に端を発する、今につづくロリ的な美少女アニメ絵調の美少女キャラたちが、素肌をさらした二の腕や太モモやウェストの上から、『ガンダム』シリーズにおける巨大ロボットことモビルスーツ(MS)の主役ロボやら敵ロボのメカ装甲で、胸肩や上腕やヒザから下のスネの部分を覆ったデザイン画のマニア誌における読者投稿の数々がその起源なのである。


 思春期以降の「可愛いものが判ってしまう」繊細ナイーブなオタク男子たちに訴求しそうな80年代に発祥したロリ的な美少女アニメ調のキャラ。および、現実世界を舞台にしたガチンコ対面での拳骨バトルを描いた不良少年的な威嚇・恫喝も込みでのヤンキーな番長マンガや少年マンガは見るからに怖そうで痛そうで苦手でも(汗)、SF的なメカロボや超能力や手足身体が武器に変型するようなフィクション性の高いワンクッションを挟んだアクション作品だと、安心して暴力衝動を発散できる我々オタの嗜好・性癖(笑)を見事に突いた着想ではある……。


 が、筆者個人はこういったキャラデザに心の半分では強く惹かれつつも、ファースト『ガンダム』(79年)の総集編映画(81年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)が公開された折の大ブームにおける新宿駅東口アルタ前に1~2万人が集まった「アニメ新世紀宣言」に象徴されるような、高度なドラマやテーマや表現を達成しうるアニメというジャンルの市民権を獲得していこう! という市民運動・社会運動のようなノリが濃厚にあった(ハズである)当時のアニメファンたちの気分が、急速に退嬰・退行して「可愛い女のコの絵が見られたり愛でられたりできれば、それだけでシアワセ~……」的に急変転していくことに幻滅・失望・挫折感を禁じ得なかったものである(汗)。


 ……それから幾星霜! 結局は「メカ」と「美少女」が勝利を納めてしまい(爆)――ロボットアニメも絶滅寸前だから「美少女」だけが勝利を収めた?――、このジャンルに追随していくためには筆者も曲学阿世、アニメマニア世間に媚びることで周回遅れ(爆)でわかったふうなクチを利いて、美少女メカミリタリアニメを語っていたりする次第……(笑)。



 それはともかく、「メカ」+「美少女」というサカナ・素材それ自体に単独でも魅力はあるにしても、同じような「(旧軍モチーフの)メカ」+「美少女」の組み合わせの作品群でも、ある作品には引きこまれて面白く感じたり、別の作品には引きこまれずにタイクツに感じてしまうという違いはドコから来るのであろうか?


 それは高度なドラマやテーマの有無の相違といったことではサラサラないであろう(笑)。
 思うに結局のところ、クライマックスたる戦闘シーンを爽快感たっぷりに組み立てることができたか否か? といったところで娯楽活劇作品としての品質に相違が出るのではなかろうか?


 倒しても良心が痛まない、人間ではないのでたとえ倒してしまってもポリティカル・コレクトネス的に問題が生じてこないナゾの無機物チックな巨大敵性存在や、かりに相手が人間でもヒトの生死には関わってこないスポーツ的な戦闘。


 通常兵器では歯が立たないナゾの強敵に対して、現有兵器である戦艦や戦闘機がヤラれキャラクターとして前哨戦を果たした末に、満を持して超兵器・決戦兵器たる魔法少女が戦線に登場!
 押したり引いたり劣勢になったり優勢になったりの小競り合い・シーソーバトルの果てに徐々に戦闘もエスカレートしていく攻防のつるべ打ち!
 大空を戦闘機や魔法少女が超高速で自由自在に雄飛する「全能感や万能感」、大海原や深海を戦艦や潜水艦などの巨大物体を悠然と旋回していく「圧倒的物量の存在が動いている迫力感」、機関銃や砲塔での火力攻撃連射を描いた末に、理性的に考えれば……もしくは見た目では物量・戦力比的に劣っていそうな特に勝気でも凶暴そうでもない少女たちが、フツーに考えると倒せそうもない巨大な敵の弱点をめがけて必殺ワザで粉砕してみせるカタルシス


 こういったお約束でも戦闘の段取りをキチンと踏んでみせた盛り上がり・カタルシス部分こそがこのテの作品の背骨・キモでもあり、そこさえ達成できれば各話単位でも「敵をやっつけてメデタシメデタシ」感といった起承転結・メリハリ・まとまりの良さといった感慨も確保されるのだとも思うのだ。


 逆に云うなら、そのへんの機微をスタッフたちが意識化・言語化・理論化してわかっていなかったがために、その肝心のクライマックスたる「戦闘シーン」でイマいち面白さが感じられなくなっていることが、『荒野のコトブキ飛行隊』と今季の『戦翼のシグルドリーヴァ』があまり面白く感じられない理由ではなかろうか? とも愚考するのである――いやまぁあくまで筆者の主観であって、この2作品を評価している方々には非常に申し訳ナイのですけれども(汗)――。


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仮面ライダーセイバー(聖刃)』序盤評 ~作家が異世界で物語の力で剣闘するライダー群像劇!

(文・久保達也)
(2020年10月16日脱稿)

*ニュージェネ仮面ライダー2号はファンタジックライダー!


 改元後初の仮面ライダーとなった『仮面ライダーゼロワン』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200921/p1)に次ぐ「ニュージェネレーション仮面ライダー」――個人的に改元後の元号が気にいらないので勝手に命名させてもらうが、この方が断然カッコいいだろ!――シリーズ第2弾として、2020年9月6日から『仮面ライダーセイバー(聖刃)』(20年)の放映がスタートした。


 前作『ゼロワン』はAI(エー・アイ)=人工知能を搭載したヒューマノイド型ロボット・ヒューマギアがありとあらゆる業種で人間とともに働く近未来を舞台としていたことから、その世界観はもはやSFというよりは近い将来にでも起こり得(う)るかのようなリアリティを醸(かも)しだしていた。


 これに対し、新シリーズの『セイバー』は完全に180度真逆のファンタジックな世界観に振り切っている印象が濃厚だ。


 『セイバー』の東映側のチーフ・プロデューサーを務める高橋一浩(たかはし・かずひろ)氏は


・『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100809/p1)、
・『仮面ライダーOOO(オーズ)』(10年)、
・『仮面ライダーフォーゼ』(11年)


などのプロデューサーを担当後、2012年から2015年にかけて東映テレビ企画制作部からテレビ朝日コンテンツビジネス戦略部に出向しており、その間にかの坂本浩一監督の学園ホラーアクション、


・『白魔女学園』(13年)、
・『白魔女学園 オワリトハジマリ』(15年)


などのプロデューサーを務めた。


 東映に復帰後の氏はテレビシリーズ初のチーフ・プロデューサーとして『仮面ライダーゴースト』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160222/p1)を担当。
 そしてやはり坂本浩一監督作品だった『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190406/p1)でスーパー戦隊シリーズに初参加。
 さらにこれと連続して『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190602/p1)にもプロデューサーとして加わっていた。


 また『セイバー』のメインライターを務める福田卓郎(ふくだ・たくろう)氏は一般向けドラマ作品が多いものの、先述した『仮面ライダーゴースト』のメインライターでもあり、それ以前にも


・『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060315/p1)の幻影宇宙人シャマー星人が共通して登場する第18話『アカルイセカイ』&第36話『イジゲンセカイ』――第36話にはどくろ怪獣レッドキングと友好珍獣ピグモンも登場する――、
・『ウルトラマンタイガ』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190811/p1)に侵略宇宙人組織ヴィラン・ギルドの一員としてセミレギュラーで登場していた宇宙商人(あきんど・笑)マーキンド星人の初登場作品となった深夜ドラマ『ULTRASEVEN X(ウルトラセブン・エックス)』(07年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080413/p1)第3話『HOPELESS(ホープレス)』


などにも脚本として関わっていた。


 高橋氏と福田氏がともに参加した『仮面ライダーゴースト』もまた、車がモチーフのメカニカルな仮面ライダーを主人公としたリアリティあふれる刑事ドラマといった趣(おもむき)の前作『仮面ライダードライブ』(14年)とは明確に差別化したファンタジックな世界観だった。
 『ドライブ』の車に対して『ゴースト』のモチーフは幽霊(ゆうれい)だったが、これは元祖『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)が翌2016年に放映45周年を迎えるのを踏まえ、その「怪奇アクション」路線を強く意識した原点回帰の意味合いもこめられていたのかもしれない。


 ただ当時とは時代も視聴対象も異なっていたことから、幽霊がモチーフでも実際の作風は陽性のものとなり、マスコットキャラ・ユルセンや敵怪人・眼魔(がんま)らが目玉をモチーフとしたお化けでありながらも「怪奇」「恐怖」とはほど遠い(笑)コミカルな印象が強かったものだ。


 その一方『ゴースト』で主人公・天空寺(てんくうじ)タケル=仮面ライダーゴーストが変身やタイプチェンジ時に使用したコレクターズアイテム・眼魂(アイコン)は宮本武蔵(みやもと・むさし)、アイザック・ニュートン、トーマス・アルバ・エジソンなどの歴史上の偉人や英雄たちをモチーフとした、就学前の幼児はともかく小学校低学年なら知的好奇心をかきたてられずにはいられない設定だったのだ。


 そして高橋氏が直近まで関わっていた『騎士竜戦隊リュウソウジャー』は騎士と恐竜がモチーフの冒険ファンタジーとして「王道」をコンセプトに製作された――実際は「王道」どころか「超変化球」だったが(爆)――。


 チーフ・プロデューサーとメインライターのこれまでの経緯からすれば、『仮面ライダーセイバー』のキャッチコピー、


「文豪(ぶんごう)にして剣豪(けんごう)!!」


が、個人的には実にしっくりとくるものがあるのだ。


*文豪を題材とした先行作との相似性!


 ところでこの「文豪にして剣豪!!」なるキャッチコピーには、特にライト層の若い人々にはピーン! ときたのではなかろうか?
 太宰治(だざい・おさむ)、中原中也(なかはら・ちゅうや)、芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ)、江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ)、泉鏡花(いずみ・きょうか)といった往年の文豪たちが、それぞれの作品をモチーフにした異能力を駆使して戦うバトルアクション漫画『文豪ストレイドッグス』がまさにそれである。


・周囲に雪を降らせ、その空間内に幻影を灯影する谷崎潤一郎(たにざき・じゅんいちろう)の異能力「細雪(ささめゆき)」とか(笑)、
・外傷をあとかたもなく完全に治癒(ちゆ)することが可能な与謝野晶子(よさの・あきこ)の異能力「君死給勿(きみしにたもうことなかれ)」とか(爆)、
・鉄パイプで殴られたり無数の銃弾を受けても全然平気な宮沢賢治(みやざわ・けんじ)の異能力「雨ニモマケズ」とか(大爆)……


 まぁ良い意味でホントにバカとしか云いようがない作品だが(笑)、朝霧(あさぎり)カフカ原作のこの『文豪ストレイドッグス』はKADOKAWA(カドカワ)『ヤングエース』で2013年1月号以来の長期連載をつづけており、外伝などの派生作品や小説版、テレビアニメ版(第1期&第2期・16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160502/p1 第3期・19年)、アニメ映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE(デッド・アップル)』(18年・角川ANIMATION(アニメーション))などもつくられるほどの大人気となっているのだ。


「文化系の体力のなさ、甘く見ないでほしいよ!」(爆)


 これは『魔進(マシン)戦隊キラメイジャー』(20年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200712/p1)の戦隊レッドなのに当初お絵かきが大好きな(ひとり)ボッチ高校生として描かれた熱田充瑠(あつた・じゅうる)=キラメイレッドが、メンバーからの「地獄の特訓」(笑)に耐えきれずに発した言葉だ。
 この充瑠のセリフにおもわず共感してしまった視聴者は、『文豪ストレイドッグス』が大人気を得ていることからすればかなりいたかと思われる(汗)。
 つまり文豪たちが異能力バトルを展開する仮想世界に自身の夢を託(たく)すことでカタルシスを得るような、文豪たちを「文化系」にとってのカリスマ的存在ととらえるほどに体力に自身のない人々が、世間には意外に多いということではないのかと。


 仮面ライダーシリーズに限らず、「昭和」のころから東映変身ヒーロー作品が各時代の世相や流行を積極的に導入していたことを思えば、この文豪バトルファンジーを「平成」ではなく「新時代」に至るまで取り入れなかったのは少々意外でもある。
 ただ仮面ライダーの必殺技として、先述したような「細雪」とか「君死給勿」とか「雨ニモマケズ」みたいなのをまんま出してくるとはさすがに思わなかった(笑)。


 『仮面ライダーセイバー』では我々の世界ははるか昔におおいなる力を持った本によって創造され、選ばれた剣士たちがその本を守ることで世界の均衡(きんこう)を保ってきたとされている。
 その本を奪おうとする悪い奴が現れたために本はバラバラになってしまったのだが、それらが今回の本型のキーアイテム・ワンダーライドブックとして仮面ライダーの変身やタイプチェンジ、必殺技に使われるのだ。


「とある少年が、ふと手に入れたお豆が巨大な木となる不思議なお話」


 第2章『水の剣士、青いライオンとともに。』にて、この音声で起動したワンダーライドブックから繰りだされた攻撃は、怪人に向かって多数の緑色の豆をぶつけるだけ(笑)。
 これには『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第44話『あっ! タロウが食べられる!』で、きさらぎ星人オニバンバに対してウルトラマンタロウが節分の豆をぶつけていたのを彷彿(ほうふつ)とせずにはいられなかった(爆)。
 それでも『ジャックと豆の木』のように、開いた本から宙に向かってニョキニョキと伸びていく豆の木の上を、セイバーがバイクで駆けあがっていくデジタル特撮による描写はメチャクチャカッコよかったが。


 また第4章『本を開いた、それゆえに。』で使われた『ピーターパン』のライドブックからはマッチョな妖精(ようせい)が飛び出し、セイバーにハンマー投げの要領でブン投げられて怪人にプロレス技のラリアットをキメて勝利してしまう!
 つーか怪人倒したのはセイバーじゃなくて妖精じゃねぇか!(笑)
 ちなみにこのマッチョな妖精を演じたのは元アイドルで現役女子プロレスラーの才木玲佳(さいき・れいか)氏だが、氏が起用されたのは慶応義塾(けいおうぎじゅく)大学(!)「文学部」の出身だからか?(笑)


 さらに第6章『疾風(はやて)の如(ごと)く、見参(けんざん)。』では『3匹のこぶた』のライドブックによってセイバーの左肩にブタの鼻がモールドされ(爆)、かわいらしいこぶた3兄弟のアニメがオオカミではなくピラニアの怪人を藁(わら)の家へと誘いだし、セイバーが『3匹のこぶた』の物語を朗読(ろうどく)した末に怪人は藁の家ごと爆死する!
 第6章は『仮面ライダーエグゼイド』(16年)で監督に昇格して以来、そのアバンギャルドな演出でファンの注目を集めてきた上堀内佳寿也(あみほりうち・かずや)監督の担当回だが、ある意味これまでの監督の演出の中で最もシュールだったかも(大爆)。


 一方、敵側がメギド(怪人)を生み出すのに使う本はアルターライドブックとされているが、これによって生まれたキリギリス型のメギドはイソップ童話の『アリとキリギリス』のごとく、多数の巨大なアリにライダーを倒すのをまかせて自分は楽をしていたりするのだ(笑)。
 まぁこちらも1号ライダーのバイクと2号ライダーの3輪バイクがハイウェイを併走(へいそう)してトンネル内の巨大アリの大群を砲撃で全滅させ、破壊された高架道路を飛び越える! なんてカタルシス満点の特撮演出があるワケだ。
 一見世界観はユルそうでもヒロイックな要素に満ちているのはそれこそ先述した『ウルトラマンタロウ』をはじめ、近年のスーパー戦隊シリーズと共通する作風だといえよう。


 ところで今回の敵組織が太古の昔に失われたこの世界を創造した本に代わり、新たな世界を創造する本をつくろうと暗躍するのは『文豪ストレイドッグス』よりも、2016年11月からDMM GAMES(ディーエムエム・ゲームス)で配信されているゲームで2020年4月から8月にテレビアニメ版も放映された――やはり新型コロナウィルスの影響で2週分が再放送となった――『文豪とアルケミスト』(20年)の敵組織・侵蝕者(しんしょくしゃ)に近いものがある。
 侵蝕者は名作文学の内容を次々と改変することでその作品を人々の記憶から消滅させており、これを阻止するためにアルケミストなる特殊能力者が実在した文豪を現世に転生させて侵蝕者と戦う世界観だ。


 『セイバー』の敵怪人・メギドたちは白いワンダーライドブックで新たな世界を創造しようとするが、映像では俯瞰(ふかん)してとらえられた都市や山間部などの実景の中央に巨大な本が合成され、その本が開かれた部分が現実世界から異世界に変化してしまい、その境界線に結界(けっかい)が張られることで人々の往来が困難になるという表現で描かれる。


「子供たちは物語と現実の境界線をカンタンに飛び越えてしまう」


 第1章『はじめに、炎の剣士あり。』の前半で後述する主人公が子供たちが絵本に夢中になるさまをヒロインにそう語っているが、それが本人たちの意志とは関係なしに悪いかたちで表れてしまうのだ。
 多数のシャボン玉が浮かぶその異世界では背景全体がパステルカラーに染まり、空ではクジラや翼竜が舞うといった、まさにディズニーアニメのファンタジー作品を彷彿としてしまうほどに夢にあふれるイメージだ。
 だが時間が経過して本の「書き換え」が完了すると二度と元の世界には戻せず、それまでにその世界を出現させたメギドを倒さねばならないとのタイムリミットの設定でクライマックスに緊迫感を与えている。
 『セイバー』における世界の「書き換え」は、やはり『文豪とアルケミスト』で描かれる名作文学の世界観の「書き換え」をどうしても彷彿としてしまうのだ。
 コレのテレビアニメ版と入れ違いで放映がはじまっただけに(笑)。


 もちろんそれら文豪バトルアクションと設定や世界観が相似(そうじ)しているのがいかんというワケではない。
 むしろそうしたハヤリものを導入することでライト層の目を惹(ひ)きやすくなるだろうし、それで話題となってヒットさえすりゃもうけもんなワケで、こういう発展型パクリ(笑)は個人的には大カンゲイなのだ。


 『セイバー』は年間を通して10人以上の仮面ライダーが登場予定だそうだ。第6章までの時点で、


・主人公の1号ライダーで「火」の剣士・神山飛羽真(かみやま・とうま)=仮面ライダーセイバー、
・第1章から登場する2号ライダーで「水」の剣士・新堂倫太郎(しんどう・りんたろう)=仮面ライダーブレイズ、
・第3章『父であり、剣士』から登場する3号ライダーで、ほかの剣士と比べてやや年輩で子持ち(!)の「土」の剣士・尾上亮(おがみ・りょう)=仮面ライダーバスター、
・第2章のラストで魔法のじゅうたんに乗って登場(笑)した飛羽真の幼いころからの親友であり、第4章から変身した4号ライダーで「雷」の剣士・富加宮賢人(ふかみや・けんと)=仮面ライダーエスパーダ、
・第6章から登場する二刀流の忍者(笑)の5号ライダー・緋道蓮(あかみち・れん)=仮面ライダー剣斬(けんざん)


と、すでに主人公側だけで5人もの仮面ライダーが登場している!
 そして変身する剣士たちは決して実在した文豪ではなく、肝心の部分は先述した作品群とは明確に差別化されているのだ。
 もっとも個人的には文豪たちの力を秘めたアイテムで変身する仮面ライダーもぜひ観たい! と思ったりするのだが。
 太宰治とか川端康成(かわばた・やすなり)とか三島由紀夫(みしま・ゆきお)とか……「子供番組」としておおいに問題アリか(爆)。


*主人公トリオの関係性は『仮面ライダーW』の再現か?


 主人公の飛羽真は小説家で、汽車の模型が走り回る巨大なジオラマが店内に展示された「ファンタジック本屋かみやま」を経営しており、新しく仮面ライダーとなったことで三足のわらじを履(は)いている(笑)。
 ただ飛羽真のシルクハットにサスペンダー付きのズボンというスタイルは小説家や本屋というよりは、むしろ『仮面ライダーW』の主人公のひとりで鳴海(なるみ)探偵事務所所属の私立探偵・左翔太郎(ひだり・しょうたろう)=仮面ライダーWのイメージに近く、近年の主人公ライダーと比べるとやや年長で落ち着いた雰囲気がある。
 演じる内藤秀一郎(ないとう・しゅういちろう)氏のルックスも、この翔太郎を演じた桐山蓮(きりやま・れん)氏と『仮面ライダーOOO』の主人公・火野映司(ひの・えいじ)=仮面ライダーオーズを演じた渡部秀(わたなべ・しゅう)氏をたして2で割ったような印象が個人的には強いだけに、よけいにそれを感じてしまうのだ。


 『セイバー』のチーフ・プロデューサーである高橋氏は『W』『000』でもプロデューサーとして関わっていただけにこういうタイプが好みなのかもしれないが(笑)、氏が初めてチーフ・プロデューサーとなった『仮面ライダーゴースト』の主人公・天空寺タケルを演じた西銘駿(にしめ・しゅん)氏はまったく異なるタイプだった。
 『ゴースト』の西銘氏あたりから前作『仮面ライダーゼロワン』の主人公・飛電或人(ひでん・あると)=仮面ライダーゼロワンを演じた高橋文哉(たかはし・ふみや)氏に至るまで、仮面ライダーの主人公たちはいかにも子供ウケしそうな一見優しそうな好青年という印象の役者が演じることが長らくつづいていたかと思える。
 もちろん「子供番組」だからそれは正しい選択だし、いまさら『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031102/p1)の乾巧(いぬい・たくみ)=仮面ライダーファイズを演じた半田健人(はんだ・けんと)氏とか、『仮面ライダーカブト』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070211/p1)の天道総司(てんどう・そうじ)=仮面ライダーカブトを演じた水嶋ヒロ氏のようなオレ様的主人公を出して子供をひかせてしまう(笑)ワケにはいかないだろう。
 もちろん半田氏や水嶋氏に責任はなく、劇中の巧=たっくんや天道が世界でいちばんオレがエラい(爆)と思うほどのキャラ造形にその原因があったのだが。


 ただ『ゴースト』から『ゼロワン』に至る子供ウケしそうな役者が仮面ライダーを演じつづけた2010年代後半の作品群が、たっくんや天道みたいなキャラまでもが主人公として描かれた2000年代の第1期「平成」仮面ライダーと比べ、視聴率や玩具の売り上げ、映画の興行成績が上回ることになったのか? というと決してそうではない。
 単純比較はできないが少なくとも視聴率は明らかに低下したし、2000年代前半のイケメンヒーローブームの時代と比べると世間での話題性や認知度も低くなったとの印象が強いのだ。
 『セイバー』の主人公・飛羽真が一見コミカルでありながらも『W』の左翔太郎みたくややとんがった印象も兼ね備えたキャラとなっているのは、『仮面ライダーディケイド』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090308/p1)で盛り返した視聴率や人気を持続させた『W』や『OOO』のころ=第2期「平成」ライダー序盤の時代にあった勢いを取り戻すという「原点回帰」の意味合いもこめられているのではあるまいか?
 もちろん「ファンタジック本屋かみやま」で子供たちに絵本『アリババと40人の盗賊(とうぞく)』を読み聞かせする場面が冒頭で描かれたり、異世界に閉じこめられて現実世界の両親と離ればなれになった少年を名作童話『家なき子』の主人公と同一視して励(はげ)ましたりする描写を第1章でまず描くことで、年少の視聴者に親しみを持たせる演出は好印象だ。


 その主人公像とは相反するかたちとなっているが、


・『仮面ライダーゼロワン』の主人公・或人の秘書型ヒューマギアで、機械的な口調で話す清楚(せいそ)で健気(けなげ)なイズ、
・『仮面ライダージオウ』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190126/p1)のヒロインで2068年の世界からやってきた黒髪ロングヘアに天女の羽衣(てんにょのはごろも)のような白い衣装を着た未来少女・ツクヨミ仮面ライダーツクヨミ
・『仮面ライダービルド』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180513/p1)の序盤でネットアイドルをやっていたひきこもりの少女(汗)・石動美空(いするぎ・みそら)


といった近年のライダーヒロインが、おとなしかったり神秘的だったり人形みたいだったりと、明らかにマニア受けしそうな(笑)キャラだったのとは一変、『セイバー』のヒロインで飛羽真を担当する『月刊 グリム』(笑)の新人編集者・須藤芽依(すどう・めい)はやたらとハイテンションで終始騒々しく、飛羽真をいじくり回したり異世界の出現におおはしゃぎする描写が多い。


 このキャラは『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200723/p1)の防衛組織・ストレイジに所属する理系少女で、怪獣の細胞コレクションや解剖(かいぼう)が趣味のために怪獣出現や怪奇現象を大喜びするオオタ・ユカ隊員とモロかぶりしている気もするが、それにしてもどちらもあまりにもムダにカワイイ女優を起用しているような(笑)。
 近年だと『仮面ライダーエグゼイド』の仮野明日那(かりの・あすな)=ポッピーピポパポ=仮面ライダーポッピーに近いヒロイン像ではあるが、『仮面ライダーW』のヒロインで鳴海探偵事務所の所長だが翔太郎に「女子中学生」と揶揄(やゆ)された(笑)ほどにルックスも言動も子供っぽくほぼ毎回翔太郎の頭をスリッパで殴っていた(爆)鳴海亜樹子(なるみ・あきこ)を、この芽依も彷彿とさせるようでもある。


 そして第1章のラストで青いライオンにまたがって「ファンタジック本屋かみやま」に初登場した倫太郎は、世界の均衡を保ってきた選ばりし剣士たち=ソードオブロゴスのひとりであり、実にスッキリとしたルックスで笑顔が印象的な常に敬語で話す好青年ではある。


「安心して。決してあやしいものじゃないから」


 それが逆におもいっきりの胡散臭(うさんくさ)さを醸(かも)しだし(爆)、「めっちゃあやしいんですけど」と飛羽真と芽依が店内の巨大ジオラマを常にはさむかたちで倫太郎と恐る恐る会話する演出は実にリアルだった。
 まぁシュークリームとかエクレアといったスイーツを大好きな描写が、倫太郎が決して「敵」「悪」ではないと端的に語っているけれど(笑)。


 いくらこっちの世界に慣れていないとはいえ、土足の青いライオンに乗って入店してきたり、人間を「ホモサピエンス」と呼ぶ(笑)倫太郎の怪しさは、脳内の図書館「地球(ほし)の本棚」に検索をかけることであらゆる知識や技術、体術などを取得して実践可能とする特殊能力を持ちながらも、常識や既成概念(きせいがいねん)には疎(うと)かった『仮面ライダーW』の翔太郎の相棒・フィリップに近い印象をも感じさせる。
 もはや視聴者に対する説明が不要な「どこでもドア」――国民的人気アニメ『ドラえもん』(79年~)のひみつ道具としてすでに日本人の「常識」となり得ている――と芽依が称した、ソードオブロゴスの本部で北極にある(爆)ノーザンベースに時空間移動するゲートを扉(とびら)の向こう側に設置可能な「ブックゲート」の中が多数の本棚で埋まっている描写には、おもわず「地球の本棚じゃん!」と狂喜したファンも多かったのではなかったか?


 『仮面ライダーW』放映10周年のイベントがこんなかたちで本編にようやく来たか!? との印象すら個人的には感じているほどだが、翔太郎・亜樹子・フィリップが再現されたかのような飛羽真・芽依・倫太郎の関係性は、『W』放映に前後して頂点に達していた仮面ライダーの人気や勢いを「新時代」にふたたび! とのスタッフの目論(もくろ)みもあるのかもしれない。


*「神秘性」が強調された仮面ライダー


 さて第1章の導入部では引き裂かれた本の破片が多数舞い散る中でメギドたちが人々を襲い、幼いころの飛羽真が宙に吸いこまれそうになった少女に手を差し伸べて助けようとするもかなわない地獄絵図が描かれる。


「覚悟を超えた先に、希望はある!」


 そう叫んだヒゲヅラの中年剣士が剣を大地に突き刺すや異変はおさまり、倒れた飛羽真の右手にはいつしか赤い小さな本が握られている。
 これが飛羽真がよく見る悪夢として語られるが、夢の中で手にする赤い豆本を飛羽真が実際手にしていることから、それは現実世界で起きた出来事であり、飛羽真の記憶から消されたのだと視聴者に想像させて世界観に誘導する作劇的技巧はツカミとしては実に秀逸だ。


 第2章で倫太郎によって「どこでもドア」で北極にあるノーザンベースに連れられた飛羽真は、大きな本棚が開いて現れた(爆)ソフィアと名乗る女神(めがみ)のような本の守護者から、15年前に「本」をめぐって勃発(ぼっぱつ)したソードオブロゴスとメギドの戦いについて聞かされる。


「無謀(むぼう)と勇気は違うのですよ」


 世界の「書き換え」が完了直前となった街を救おうと主張した飛羽真をソフィアはそう諭(さと)すが……


飛羽真「覚悟を超えた先に、希望はある!」
ソフィア「その言葉は!?」


 飛羽真が夢に出てくる中年剣士の言葉を口にするや、ソフィアは激しく動揺する!
 第1章の導入部とバッチリつなげることで、飛羽真がかつてソードオブロゴスに所属した伝説の剣士と深い因縁(いんねん)を持つ存在として描くのもさることながら、ソフィアの「その言葉は!?」と同時に宝箱のような箱が開き、その中から仮面ライダーセイバーの専用バイクに変型する黒い本が出てくる描写は実に「神秘性」にあふれているではないか!?


 地球から300万光年離れたM78星雲光の国出身のウルトラマンとは異なり、仮面ライダーは「昭和」の時代では敵組織のテクノロジーと同一線上にある存在として描かれたため、いわゆる「神秘性」とは無縁の場合が圧倒的だったし、ファンの方も決してそれを求めてはいなかった。
 これが「平成」に入るとやや事情が変わり、特に『仮面ライダーW』以降の第2期「平成」ライダーシリーズを振り返ってみると、


仮面ライダーや敵怪人・ゾディアーツのエネルギー源を宇宙空間に存在する未知のエネルギー・コズミックエナジーと設定したり、宇宙最高の知能を誇る宇宙の意志・プレゼンターを縦糸的存在として描くなどで宇宙の「神秘」を強調した『仮面ライダーフォーゼ』、
・日食の日に大量のファントム(怪人)を生み出すために開かれたサバトなる儀式で生き残った主人公・操真晴人(そうま・はると)=仮面ライダーウィザードが魔宝石からつくられた指輪を駆使する魔法使いの仮面ライダーとなり、アンダーワールドなる精神世界で神話に登場するようなモンスターと戦う「神秘」的な描写が多かった『仮面ライダーウィザード』(12年)、
・幽霊退治の専門家・ゴーストハンターの息子であるも、第1話で眼魔に敗れていきなり死亡(!)した主人公・タケルが、死後の世界で出会った仙人から変身ベルト・ゴーストドライバーを与えられてよみがえったり、歴史上の偉人や英雄の力を秘めた眼魂なるアイテムでタイプチェンジして戦ったりと、「神秘」そのものだった『仮面ライダーゴースト』


など、特に2010年代前半に「神秘性」を強調した仮面ライダーの例がよく見られた。
 スーパー戦隊の方は最新作『魔進戦隊キラメイジャー』をはじめ、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』、『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180310/p1)、『動物戦隊ジュウオウジャー』(16年)など、近年でも「神秘性」が強く感じられる作品が多く見られるが、仮面ライダーでは久々といった感がある。


 「近未来SF」だった前作『仮面ライダーゼロワン』の第1話は本放映直後に動画無料配信サイト・YouTube(ユーチューブ)で配信されるや再生回数が1週間で200万回(!)を超えていたが、実は同条件で配信された『セイバー』第1話の再生回数は1ヶ月でようやく125万回だったりする(大汗)――ちなみに先述した『ウルトラマンZ』は地上波で放映されない地域が多い事情もあるとはいえ、1週間で100万回前後は稼いでいる。前作『ウルトラマンタイガ』は中盤以降30万回を超えるのがやっとだったが(爆)――。
 この違いは作品自体の魅力の差でなければ、動画サイトを観るような幼児ならぬティーン以降の特撮マニアは「神秘性」の強い「ファンタジー」よりも「SF」の方を好むとの傾向(けいこう)があるのかもしれない。
 ただ「神秘性」が強い作風かと思われる先述した『フォーゼ』『ウィザード』『ゴースト』やスーパー戦隊諸作品の商業成績上の成功例からすれば、本来のターゲットである就学前の幼児や小学校低学年の児童に対してなら訴求力(そきゅうりょく)は充分にあると見てよいのではないか?


 先述したセイバーの専用バイクが開いた黒い本の上から登場する「神秘性」にあふれる描写で、


「創刊! ディアゴスピーディー!」(爆)


なる音声ガイダンスが流れる演出に「神秘性がなくなる!」とケチをつけるような輩(やから)は、今となっては『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年)前半のレギュラー悪・愛染(あいぜん)マコト=ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20181104/p1)くらいしかいないだろう(笑)。
 この音声ガイダンスは作品を重ねるごとにどんどんエスカレートする一方だが、2000年代後半にバンダイが番組と連動してこのギミックを玩具に採用したことで大成功をおさめたのが発端(ほったん)だ。
 近年ではむしろ子供よりも大人がコレを楽しんでいるかに見えるほどで、筆者の周囲でも『宇宙戦隊キュウレンジャー』の主人公・ラッキー=シシレッドの口グセ「よっしゃラッキー!」を職場で口走るのはともかく、『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)の恐竜の顔型をした変身アイテム・ガブリボルバーの音声ガイダンス「ガブリンチョ!」を仕事中にやたらと口にする奴までいたものだ(爆)。


 それにしてもディアゴスピーディーなるセイバーの専用バイクの名は、あらゆるジャンルの分冊百科マガジンの発行元として知られ、2019年6月以降に隔週(かくしゅう)で「昭和」仮面ライダーのテレビシリーズ・劇場版・テレビスペシャルを完全網羅(もうら)したDVD付き雑誌『仮面ライダーDVDコレクション』を出しているディアゴスティーニが元ネタとしか思えない。こればかりは「神秘性」とは無縁だな(爆)。


 なお『セイバー』に「神秘性」を与えることにおおいに貢献(こうけん)している本の守護者・ソフィアを演じるのは、1990年代後半に若者たちの間で絶大な人気を博した歌手・安室奈美恵(あむろ・なみえ)やボーカル&ダンスユニット・SPEED(スピード)などを輩出した沖縄アクターズスクールの出身であり、1996年に『学校の怪談R(リターンズ)』(96年・関西テレビ)でドラマデビュー、1997年末放送の『日本レコード大賞』(TBS)で最優秀新人賞を受賞するなど、歌手・女優として活躍をつづける知念里奈(ちねん・りな)氏である。
 氏の全盛期がもう20年以上も前ということは、当時中高生だった氏のファンがすでに『セイバー』を視聴する子供を持つ年齢に達している(!)ワケであり、一般層の親を誘致するにはうってつけのこうした戦略もなかなかあなどれないものがある。


*「文豪にして剣豪」が徹底された仮面ライダー


 さてタイトルロゴで『セイバー』に『聖刃』と併記(へいき)され、「文豪にして剣豪」なるキャッチコピーが示しているとおり、今回の仮面ライダーのデザインや活躍ぶりは「本」と「剣」を最大限に活(い)かすかたちで描かれている。
 第1章に登場したゴーレムメギドですらも、敵幹部が所持する黒い豆本から飛び出した多数の本が積み重なって怪人と化すほどだ。
 しかも木目調の内装に多数の本棚が並ぶブックカフェみたいな敵のアジトでは、糸に釣(つ)られた謎の手だけの存在がペンで本を執筆(しっぴつ)している!(笑)


 ちなみにユダヤ教の伝承に登場するゴーレムは本ではなく土をこねてつくられた意志を持つ泥(どろ)人形だが、『仮面ライダーX(エックス)』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20141005/p1)に登場した神話怪人・ユリシーズに似た灰色で無表情な顔のゴーレムメギドの頭部に造形された一対(いっつい)の人間の手は、まさにゴーレムがつくられた存在だと示すもので実に秀逸(しゅういつ)だ――その手を「ロケットパンチ!」のように仮面ライダーにぶつけるギミックも良い!――。巨大化が描かれるのも原点のゴーレムを忠実に継承していて好印象だ。
 メギドの3人の幹部たち――妙に日本人離れしたハーフっぽい顔立ちの役者ばかり選ばれているのが世界観に説得力を与えている!――はそれぞれ物語・幻獣・実在の生物を扱った各分野の本から怪人を出す設定だ。
 先述した『仮面ライダーX』の当時は早すぎて子供たちに人気がなかった神話怪人――個人的にはリアルタイムでも魅力を感じたのだが――も、この数十年の間に神話・伝承をモチーフにしたアニメやゲームの人気で受け入れられる土壌(どじょう)がすでに形成されたのだから、ゴーレムメギドにつづく神話怪人が続々登場することを期待したい。


 飛羽真は第1章で異世界で暴れ回るゴーレムメギドが破壊した建物の瓦礫(がれき)に埋まってしまうが、赤いワンダーライドブックの力でそこから脱出、さらにライドブックから紅蓮(ぐれん)の炎につつまれた赤い竜が出現し、それが聖剣・火炎剣烈火(れっか)となって大地に突き刺さる!
 漫画界の巨匠(きょしょう)だった故・手塚治虫(てづか・おさむ)氏も小学生のころに自宅のブ厚い辞書の全ページに描いて親に怒られたという、まさにアニメの原点・パラパラマンガ――場面が連続して描かれた複数の絵をすばやくめくると動いて見える。私事で恐縮だが、筆者は小学生のころ全教科書にこれを描いていた(爆)――のように、倫太郎の連続する動きが全ページに描かれた等身大の本(笑)から現れた倫太郎は、その火炎剣を抜くのは普通のホモサピエンスでは困難だと語るが、飛羽真はそれを見事にひっこ抜く!
 先述したようにこれは導入部で描かれた飛羽真の夢に出てくる中年剣士=かつてソードオブロゴスに所属した伝説の剣士と同じ力であり、その人物が飛羽真の「先代」の剣士にあたることが示されているのだ。
 このあたりは第1話でリュウソウレッド・リュウソウブルー・リュウソウピンクの3人の剣士が「先代」から現代の若者たちへと継承されるさまが描かれた『騎士竜戦隊リュウソウジャー』と相似しているといえよう。


 火炎剣烈火は飛羽真の手の中で変身ベルト・聖剣ソードライバーへと変化する。鞘(さや)に納められた短剣を思わせるデザインでありながらも、その鞘の部分にはワンダーライドブックを装着するポケットが3つ付属しており、まさに「文豪にして剣豪」を端的に象徴している!


「物語の結末は、オレがキメる!」


 作家である飛羽真が叫ぶからこそ説得力にあふれるこのキメゼリフを合図に、圧倒されるほどの数の本がギッシリと並ぶ本棚のイメージを背景に、飛羽真がソードライバーから火炎剣をひっこ抜くやそこから赤い竜が現れる!
 仮面ライダーXが登場時に棒状でさまざまな形態に変化する万能武器・ライドルで画面を「X」字状に切り刻(きざ)み、「Xライダー!」と名乗りをあげる演出のように、飛羽真が火炎剣をX字状に振り回すアクションでその形跡は炎となって目の周囲にドラゴンの角を彷彿とさせる鋭角的なオレンジ色のパーツとして装着され、赤いドラゴンが飛羽真の全身にからみつき、そのボディは白を中央に右側が赤、左側が黒と「平成」以降の仮面ライダーで最も多用されたカラーに変化をとげる!


 飛羽真以外の剣士たちの変身もやはり同じ本棚のイメージを背景に剣をふりかざすかたちで描かれており、


・倫太郎は青い水しぶきを頭部に、胸部に青いライオンを装着して「水」の剣士・仮面ライダーブレイズに!
・亮は全身が多数の鋼(はがね)色の土塊(つちくれ)に包まれて「土」の剣士・仮面ライダーバスターに!
・賢人は金色の稲妻(いなずま)状の電撃を浴びて「雷」の剣士・仮面ライダーエスパーダに!


といった具合に「水」=青、「土」=灰色、「雷」=金色と、それぞれの特性を象徴する色を基調とした仮面ライダーに変身する。


 亮=バスターの聖剣のみ剣というより斧に近いことから、ほかの剣士が変身時に聖剣を華麗に振り回すのに対し、亮のみ「一刀両断!」とおもいっきり振りおろすアクションでその力強さが強調して描かれている。
 また第6章での蓮=剣斬の初変身ではほかの剣士の変身時に背景にある本棚のイメージが描かれず、駆ける蓮に緑の手裏剣(しゅりけん)などが合体する変身だったが、蓮の終始落ち着きのない言動・行動やその身軽さを駆使したバトルスタイルの象徴として変身パターンを差別化したのではなかろうか?
 そうした部分ですらもキャラを掘り下げる演出がなされているのは実に秀逸かと思える。


 なお変身を完了した仮面ライダーたちの背景では本のページがせわしなくめくれつづけるイメージが描かれる。これは飛羽真のキメゼリフ「物語の結末は、オレがキメる!」の象徴として、各ライダーが現在進行中の物語を決着させる存在だと端的に示す絶妙な演出といえるだろう。
 セイバーの基本形態・ブレイブドラゴンはその名が示すとおりに右肩に赤いドラゴンの頭部が造形された炎の剣士といった趣だが、頭部の中央にアンテナ状にそびえる先端がとがったパーツはペン先にも剣にも見え、まさに「文豪にして剣豪」を体現するデザインとなり得ている。


 ところで前作『仮面ライダーゼロワン』では『仮面ライダーアギト』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011103/p1)から『仮面ライダージオウ』に至るほとんどの「平成」ライダー1号のスーツアクターを長らく務めてきた高岩成二(たかいわ・せいじ)氏に代わって縄田雄哉(なわた・ゆうや)氏がゼロワンを演じたが、『セイバー』で1号ライダー・セイバーを演じるのは浅井宏輔(あさい・こうすけ)氏である。


 氏は


・『獣電戦隊キョウリュウジャー』のキョウリュウグリーン、
・『烈車(れっしゃ)戦隊トッキュウジャー』(14年)のトッキュウ6号とその本来の着ぐるみ怪人の姿・ザラム、
・『手裏剣(しゅりけん)戦隊ニンニンジャー』(15年)のアカニンジャー、
・『動物戦隊ジュウオウジャー』のジュウオウイーグル、
・『快盗戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190401/p1)のルパンレッド


など、スーパー戦隊シリーズで近年はレッドを中心に活躍してきたほか、『仮面ライダーエグゼイド』の敵キャラ・仮面ライダークロノスや、前作『仮面ライダーゼロワン』の2号ライダー・仮面ライダーバルカンなども演じてきた。
 『セイバー』の作風がどちらかといえばスーパー戦隊に近いだけに、近年のスーパー戦隊で主要な役を多く演じてきた浅井氏がセイバー役に大抜擢(ばってき)されたのでは? と考えてみたりもする。


 またほかの剣士よりも年輩の仮面ライダーバスターを演じるのは、『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001015p2)の仮面ライダーBLACKや『電磁戦隊メガレンジャー』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111121/p1)のメガブラックをはじめ、仮面ライダースーパー戦隊の両シリーズで膨大(ぼうだい)なキャラを務めてきた大ベテラン・岡元次郎氏だ!
 バスターがパワフルタイプのライダーだけに、かつてはスマートだったものの近年の氏のガッシリ体型は実に説得力にあふれているのだ。


異世界でのバトルは「新しい製作様式」?


 さてセイバーとメギドのバトルは現実世界が書き換えられた異空間を舞台に展開される。


・『宇宙刑事ギャバン』(82年・東映 テレビ朝日)の魔空空間
・『電光超人グリッドマン』(93年・円谷プロ TBS・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190529/p1)のコンピュータ・ワールド、
・『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)のメタフィールド、
・『仮面ライダーウィザード』のアンダーワールド
・『仮面ライダーエグゼイド』のゲームエリア


など、こうしたバトルステージはすでに1980年代から多岐(たき)に渡って描かれてきた。
 怪獣や怪人の出自がコンピュータやゲーム、人間の精神世界となる作品ではそれらは必然的な舞台となるワケだし、『ギャバン』の魔空空間にはたとえ造成地や採石場(笑)が舞台でもビデオ合成で幻想的な背景を自在に描くことでマンネリを打破する意味合いが強かった。
 まぁ『ネクサス』のメタフィールドは同じ怪獣を何週にも渡って使い回したほどに都市のミニチュアセットを製作する予算がない苦肉の策(汗)だったのだが、『セイバー』のバトルステージが異世界なのは予算面やマンネリ打破もあろうがこれまでとは違う事情もあるらしい。


 周知のとおり前作『仮面ライダーゼロワン』は新型コロナウィルスの影響で話数が全45話に短縮されてしまったほどだが、2020年4月に日本全土に緊急事態宣言が発令され、他県への不要不急の移動が厳しく制限されたために、東映の撮影所が所在する都内以外でのロケが困難になったことが異世界をバトルステージにした理由だったかと思えるのだ。
 『セイバー』の放映がはじまった同年9月以降も首都圏での感染者数は決して減少傾向とはいえない状況であり、再度の感染拡大で移動制限が出されてまたロケが困難となる可能性は捨てきれないのだ。
 だがそうなったとしても、舞台をCGで描きこむのがいくらでも可能な異世界にしておけば製作中断のリスクは防げるワケであり、この苦肉の策は「新しい製作様式」(苦笑)といえよう。
 だからといって「新時代」の仮面ライダーが毎度異世界モノになってもそれはそれで困るのだけれど、本のページが変わることで異空間がロケ先では決して得られないような風景や事象が広がる別世界へとさらに転じる『セイバー』の演出を見ていると、さすがにムリも云えなくなるのだ。


 仮面ライダー伝統の必殺キックがトランポリンやワイヤーアクションではなく、ポップアップ絵本――1970年代前半に万創(ばんそう)なる出版社が発行したそれらに親しんだ筆者の世代では「とびだすえほん」と呼ぶのが正しい!(笑)――に描かれたキックポーズのライダーが実体化して繰りだす演出も、屋外での撮影が困難となることを想定して考案された可能性も高いだろう。
 最大のウリである「ライダーキック!」が撮れないことこそ仮面ライダーにとって最もイタいワケであり、各種必殺技を放つ前段として挿入(そうにゅう)される、画面左にワンダーライドブックを背景に技のポーズをタメる仮面ライダー、画面右にページがめくれつづける本を配したイメージカットもそうした策の一環では?


 それにしてもセイバーが必殺技を放つ際に鳴る音声ガイダンス「必殺読破!」は、なんか1冊本を読み終えるごとに叫ぶ人間が続出しそうで……


*「みんななかよし」 → ライダー対立の逆パターンか??


 さて仮面ライダーの序盤といえばそれぞれ出自が異なるライダーたちの対立劇が描かれるのが定番だったが、『セイバー』では飛羽真を除くライダーたちは基本的にソードオブロゴスなる同じ組織に所属しているため、もう最初からいきなり「みんななかよし」(笑)という感が強く、組織に懐疑(かいぎ)的で団体行動が苦手な筆者としては正直これはつまらん(爆)。
 第4章の冒頭では第3章でメギドによって異世界に連れ去られた亮の幼い息子を必ず取り戻すとした飛羽真に対し、軽々しく「約束」を口にするな! などと亮が詰め寄る描写があるものの、飛羽真が云う「約束」は重いものだと賢人に説得されただけで、亮はいとも簡単に飛羽真を信用するに至るし(笑)。


 ただ飛羽真の「約束」は重いものだとする賢人の根拠として、飛羽真がよく見る15年前の光景=異世界に連れ去られる少女を飛羽真が救えなかった場面が再度挿入される中、宙に吸いこまれそうになる少女と手を伸ばして助けようとした飛羽真が実は「指切り」をしている最中だったことが描かれていたのだ。


「ふたりで遊んでた、か。もうひとりのことは忘れてんだな」


 飛羽真が賢人をいつもふたりで遊んでた親友として芽依に紹介する第3章の導入部のラストで賢人がそうつぶやくことで、飛羽真・賢人・そして謎の少女はどういう関係性にあったのか? との縦糸としての謎を提示して視聴を継続する意欲を喚起(かんき)する作劇的技巧こそ、やはり仮面ライダー最大の魅力のひとつだろう。
 賢人はソフィアに「あれはオレの責任」(!)とまで口にするほどなのだから。


 また第1章からメギドのリーダー的存在として描かれ、飛羽真の夢の中にも出てくる紫色の闇の剣士・仮面ライダーカリバーが第4章のラストではじめて飛羽真たちの前に姿を見せる。第5章『我(わ)が友、雷の剣士につき。』ではカリバーは賢人の父=富加宮隼人(ふかみや・はやと)であり、その隼人は亮の親友でもあったという、主人公側の剣士たちと実に因縁(いんねん)深い敵として語られるのだ。


「また背が伸びたな」


 そう云って頭をなでてくれた父を回想した賢人が、父に触れられた部分におもわず手をやる描写が第5章で二度も演出されることで、


「15年前から時間がとまってる感じがする」


とした飛羽真に賢人が共感を示す場面により説得力を与えていた。
 セイバーがディアゴスピーディー、エスパーダが3輪バイク型のビークル・ライドガトライカーを激走させて華麗なる共闘を見せるクライマックスバトルがおおいに盛りあがったのも、前段としてそれが描かれたことで高いドラマ性を帯びることとなったからだ。


 ちなみに賢人の父=隼人を演じるのは、


・『仮面ライダー555』の海堂直也(かいどう・なおや)=スネークオルフェノク
・『仮面ライダーゴースト』第46話『決闘! 剣豪からの言葉!』の宮本武蔵
・『ライオン丸G(ジー)』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061229/p1)終盤に登場した真影=シシトラ、
・『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY(ネヴァー・エンディング・オデッセイ)』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100211/p1)のキール星人グランデ、
・『侍戦隊シンケンジャー』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090712/p1)の腑破十臓(ふわ・じゅうぞう)


など、実に個性の強い悪役を中心に特撮ヒーロー作品に数多く出演してきた唐橋充(からはし・みつる)氏だ。
 隼人は第5章では短い回想場面に登場したのみだったが、中盤以降はカリバーの正体としてレギュラー出演する可能性が高いだけに、その展開も含めて期待せずにはいられないというものだ!


 さらに第6章ではメギドの中で実在する生物を司(つかさど)る幹部・ズオスが怪人態に変身して2号ライダー・ブレイズと対戦する。
 ブレイズとズオスの剣が激突した際に水しぶきを盛大にあげる演出が、ズオスが「水の剣士か」とつぶやくことに説得力を与えている――CGではなく、実際の水しぶきがより効果を高めている――。それにつづいてズオスは


「15年前にズタズタにしてやったぜ!」


とホザくのだ!


 セイバーだけではなく、ブレイズにも「先代」の剣士の存在が語られ、その因縁の敵が継承されることでこれまで穏(おだ)やかなキャラとしての印象が強かった倫太郎に変化の兆(きざ)しがおとずれる。
 何かを決意した表情の倫太郎が仲間たちのもとを去っていく第6章のラストシーンは通常のフォーマットとは異なり、エンディングテーマをはさむかたちで描く演出でよりインパクトを高めることとなった。
 第5章で激しく動揺を見せた賢人もそうだが、「みんななかよし」だった剣士たちが心の変遷(へんせん)によって今後対立関係へと至り、人物相関図が激変するといった、従来の仮面ライダーとは逆パターンの群像劇となるのでは? なんて個人的には期待せずにはいられない。


 ところで『仮面ライダージオウ』ではイケメンネタキャラ青年のウォズ=仮面ライダーウォズが「この本によれば」とストーリーテラーを務めていたが、『セイバー』では緑のロングヘアにピンクの帽子をかぶり、全身赤い服装でメガネをかけたヒゲヅラのあまりにも胡散臭い(笑)中年キャラ・タッセルがその役割を担(にな)っている。
 演じるレ・ロマネスクTOBI(トビー)氏の本業はミュージシャンのようだが、大学卒業後に入社した会社が次々に倒産したためにサラリーマンがイヤになり、最も興味のない国で人生をリセットしようとフランスに渡り……といったこれまでの氏の経緯が個人的には実に興味深い。
 いっそのこと氏についての物語をワンダーライドブックにした方が既製(きせい)の童話や昔話よりはるかにおもしろいのでは?(爆) と思うのだが、地上波の「子供番組」ではムリだろうからネットムービーやオリジナルビデオ作品などで「外伝」的にやってくれることを切望したい。


 まぁそれはともかく、『セイバー』の物語はまだはじまったばかりだけれど、いきなりのおもしろさには感服するばかりである。

2020.10.16.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年秋号』(20年10月18日発行)所収『仮面ライダーセイバー』序盤合評3より抜粋)


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【0x800700b7】Windows10 1903 UPDATE失敗。1903と1909を飛ばして最新2004への手動UPDATEは成功!

画面の回転(画面の向き)が不可の場合の対処 ~2010年度NECノートPC・LaVie・Windows7・グラフィックドライバーがintel(R) Graphics Media Accelerator HDの場合
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【0x800700b7】Windows10 1903 UPDATE失敗。1903と1909を飛ばして最新2004への手動UPDATEは成功!


 2020年11月10日(木)にサポート期限が切れるというWindows10の「バ―ジョン1809」(October 2018 Update)。


 通常は放置していても、自動的に次のバージョン「1903」(May 2019 Update)が更新されるハズ。


 なので、強制的にポップアップ画面で


「最新のWindows機能更新プログラムをご用意しました」
「今すぐ再起動」 「時刻を選択」 「再通知」


の告知が出てきても、経験則から「再通知」なり放置をしておいても、そのうちに勝手に自動的にUPDATEされるだろう……と予想して放置をしておいた。


 案の定、パソコンを電源を付けぱなしでスリープ状態のままで放置しておいたところ、勝手に自動的にUPDATEが始まっている。


 ……しかし! パソコンが再起動され、更新が開始されて、0%~ウン10%へと更新が順調に進んで数時間を経た果てに、途中でUPDATEに失敗したらしく、


「前のバージョンに戻しています」


というメッセージが表示されて、またまた相応の時間をかけて、元のバージョンに戻ってしまうのであった……(汗)。



 まぁ一時的・スポット的な不都合があってのレアな事態であろうと思って、またそのうちに自動的に更新された際にはWindows UPDATEが成功するだろうと楽観的に予想して、そこでいったんアキらめる(笑)。


 その後、数週間後だか1ヵ月後に、もくろみ通りに自動的にUPDATEが始まる。


 ……しかし! やはり同様に、


「前のバージョンに戻しています」


というメッセージが表示されて、またまた相応の時間をかけて、元のバージョンに戻ってしまう!(汗)


 生来の怠惰なので、次こそは成功するだろうと思って放置する(笑)。


 ……しかし! 月に1回くらい、やはり同様に自動的にUPDATEが開始されるものの毎回毎回、同様にUPDATEが失敗して、


「前のバージョンに戻しています」


という事態になってしまい、それが数ヵ月つづく(汗)。



 コレはよろしくない……。自力で調べてナンとかするしかない! と思って、調査を始める。


 まずは、モニター画面の左下済の「Wondows」のマークである「窓」を図案化したマークをクリック、もしくはキーボードの左下隅から2個ほど右にある「Wondows」のマークである「窓」を図案化した通称「Windows」キーを押下して、いわゆる「スタートメニュー」を表示する。


 それで、モニター画面の左下済の「Wondows」のマークである「窓」を図案化したマークの2つほど上、「歯車」マークである「設定」ボタンを押下 ⇒ 「更新とセキュリティ」 ⇒ 「Windows Update」 ⇒ 「更新の履歴を表示する」で、Windows Updateの更新履歴を一覧表示させる。


 すると、月1ごとに数ヵ月連続で、【0x800700b7】というエラーコードのエラーが発生して、インストールに失敗していることが判明。



 ただし、当該の「Windows」キー押下 ⇒ 「スタートメニュー」 ⇒ 「歯車」マークである「設定」ボタンを押下 ⇒ 「更新とセキュリティ」 ⇒ 「Windows Update」画面では、


「利用可能な更新プログラム」
「(略)Windows 10 Version 1903 更新プログラム(略)」
「状態:ダウンロード待ち」
「更新プログラムをダウンロードする準備ができました」
『ダウンロード』


のメッセージやボタンは表示されている。


 よって、当該画面にて最下行の『ダウンロード』を直接押下して、「1903」にアップデートしてみる……。


 結果、長時間を要した果てに、同様に、


「前のバージョンに戻しています」


になってしまう! この『ダウンロード』の直接押下を何度かやってみても、「前のバージョンに戻しています」になってしまう!



 で、【0x800700b7】の語句でググってみる。


 先頭で表示されたサイトは以下の通り。

windows10の更新エラーコード【0x800700b7】

answers.microsoft.com


 このサイトの回答者によれば、「常駐アプリケーションが要因で失敗」とある。


 で、その場合は、以下のサイトの方法に従えば、「常駐アプリケーション」を「有効」から「無効」にできるとある。

Windows 10 - 常駐アプリケーションを停止してトラブルの原因を確認する方法

answers.microsoft.com


 が、「有効」になっている「常駐アプリケーション」が多数あるので、いちいち「無効」にするのはメンドくさくなって、他の方策を探すことにした(笑)。



 バージョンは異なるものの、似たような事例を発見する。

Windows10 1803が途中で停止して元のバージョンに戻ってしまう【Ver1803】

answers.microsoft.com


 ここのQAサイトでは、以下のリンクが貼ってある。

Windows 10 - Windows Update に失敗する場合の対処法

answers.microsoft.com


 このリンク先では、Windows自体に備わっている「Windows Updateトラブルシューティングツール」や「DISMコマンド」や「システム ファイル チェッカー」の実施による解決が推薦されている。


 で、実行してみる……。解決しない(爆)。



 以下のサイトでも同等のことが記述されている。

Windows 10のアップデートが失敗する場合について

office-hack.com


・空き容量は充分ある
・外部機器はハズした方がイイ
Microsoft以外のウイルス対策ソフトウェアをアンインストールする


 とある。前2者は満たしているけど、Microsoft以外のウイルス対策ソフトウェアをアンインストールしたり、一時的に無効にするのは非常に抵抗がある(笑)。


 ココにはリンクを貼らないけど、もうパソコンメーカーがサポートしていない古いパソコンだから、特定バージョン以降へのWindows Updateができないのだ! とQAサイト上でのまことしやかなアマチュアによるアドバイスもある次第(汗)。


 たしかに当方のノートパソコンは2010年発売の10年前には最高級機クラスのNECのLL870/Bである(購入当初はもちろんWindows 7)。しかし、Windows 7よりも前のWindows XP以前じゃあるまいし、素体がWindows 7以降のパソコンなのだから、サポート対象外の古い機器になったからといって、そんな各メーカーのサポート都合の基準でWindows Updateがイキナシ不可になるということはナイだろうと見積もる(笑)。



 で、メンドくさくなって、自動更新ではなく、Windowsの本家であるMicrosoft社のWindows 10の最新バージョンを提供しているサイトから直接にダウンロードおよびインストールをしようと思いつく!

Windows 10 のダウンロード

www.microsoft.com


 上記の本家サイトの上段が、Windoows 10の最新バージョンの提供。
 上記の本家サイトの下段が、Windoows 10それ自体の提供。


 もちろん、今回はWindoows 10の最新バージョンへの更新が目的なので、上段の方をクリック!



 そのダウンロード以降の更新方法の操作の詳細は、以下のサイトがくわしい。

Windows10 May 2020 Update(2004)へ手動アップデート

pc-karuma.net
(2020/10/20以降は、「2004」(May 2020 Update)の次バージョンである最新「2009」(20H2)(October 2020 Update)に早くも置き換わってしまっておりますが、操作内容自体は同じなので問題なしでそのままで参考になります。ただまぁ2020/10/20にリリースされたばかりの出来立てホヤホヤなあたり、まだまだバグがあったり不安定そうではありますが・汗)


 ただし、このサイトだとブラウザは、Microsoft社の「Edge(エッジ)」が望ましいようにも読める。けれども、Google社のブラウザである「Chrome(クロム)」を使用しても、特に支障はなかったことは記しておく(笑)。


 で……、今度はバージョン「1903」と「1909」は飛び越したことになるけど、最新(当時)「2004」への更新が成功したのであった! メデタシ、メデタシ……。


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画面の回転(画面の向き)が不可の場合の対処 ~2010年度NECノートPC・LaVieWindows7・グラフィックドライバーがintel(R) Graphics Media Accelerator HDの場合

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20131111/p1

テキストエディターで行数(非改行)が表示されるのはTeraPad

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120801/p1

テキストエディターでの禁則処理・句読点のぶら下がり設定(私家版)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120802/p1

強制改行で保存されたMS-DOS(テキスト)文書の、強制改行の外し方

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120803/p1

InDesignで日本語の原稿用紙マス目イメージ・文字組み・禁則処理と同一にしたい場合

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20050102/p1

同人誌即売会オンライン申込用のサークルカット作成方法(一例)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20121210/p1

元祖「はてなダイアリー」のデザインそっくりな「はてなブログ」のデザインに移行! ~ドロップダウンする画面上部固定グローバル・メニュー追加!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190205/1549302796



【新パッケージ】Windows 10 Home 日本語版/May 2019 Update適用/パッケージ版
(↑:当該記事に図版を付ける都合なので、上記の市販のUSBメモリを使用してのWindows UPDATEをしたワケではありません・汗)
#Windows10アップデート #Windowsアップデート



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五等分の花嫁・ドメスティックな彼女 ~陰陽対極の恋愛劇! 少年マガジン連載漫画の同季アニメ化

『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』 ~往時は人間味に欠ける脇役だった学級委員や優等生キャラの地位向上!?
『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『音楽少女』『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』 ~アイドルアニメの変化球・テーマ的多様化! 2018~2020年アイドルアニメ評!
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2020年10月から来年2021年1月からの第2期『五等分の花嫁∬(インテグラル)』放映を控えて深夜アニメ『五等分の花嫁』(19年)第1期が再放送記念! とカコつけて……。
 共に「週刊少年マガジン」連載マンガが原作の深夜アニメ『五等分の花嫁』評と『ドメスティックな彼女』(共に19年冬アニメ)評をアップ!


『五等分の花嫁』『ドメスティックな彼女』 ~陰陽対極の恋愛劇! 少年マガジン連載漫画の同季アニメ化

(文・T.SATO)
(2019年4月27日脱稿)

『五等分の花嫁』


 野郎高校生ひとりに美少女が5人のハーレム・ラブコメアニメ。美少女の方を五つ子とすることで既存の類似のハーレム・ラブコメ作品とは一応の差別化。
 ただし六つ子を描いた往年の『おそ松くん』(62年)のように見た目での区別が付かないということはなく(笑)、『おそ松さん』(15年)のように(?)髪型・髪色・眉毛のかたち・瞳の目力の強弱・口調などで性格の描き分けはバッチリできている。


・中堅声優、花澤香菜が演じる長女は余裕のあるお姉さんといった感じだけど汚部屋に住む(汗)。
竹達彩奈が演じる次女は強気だけど華はあるアイドルといった風情。
・失礼ながら存じ上げていなかった伊藤美来が演じる三女はクールで奥手なヘッドフォン少女。
佐倉綾音が演じる四女はウサギの耳型の巨大リボンで女子力も高そうな元気女子。
・そして、オープニングテロップはテキトーに流し観しただけだったので、なんとはなしに本編では三女を演じているのかと思った水瀬いのりが、多分メインヒロインであろうサバサバした五女であることに気付いてビックリ。こんな声も出せるとは……。


 てなワケで、五つ子には新人ではなく、全員がほぼ主役級の人気声優を配している。


 やはり今どきの週刊少年マンガ誌連載作品の深夜アニメ化は――本作の原作は「週刊少年マガジン」連載作品(17年)――、円盤が売れなくても書籍が売れるための宣伝になればと大手出版社がおカネも出してくれることで、通常の深夜アニメよりも予算が潤沢、声優陣・作画&背景もゴージャスにできるということか?
 ふだんはイマイチな作画作品を繰り出す新進のアニメ製作会社ライデンフィルムが、同じく講談社の青年マンガ誌・月刊「good! アフタヌーン」連載で昨2018年夏に放映された高校女子スポ根バドミントンアニメ『はねバド!』のときだけは高作画作品であったことも思い出す。


 対するに、主人公である野郎高校生クンは週刊少年マンガ誌にアリがちなチョイ悪でブッキラ棒な少年クンではない――のちに明かされる彼の過去はともかく――。狭いアパートに住まう苦労人の貧乏優等生であり、高級マンションの上層階に住まう五つ子には家庭教師として接している。


 優等生! 家庭教師!
 弱者男子たるオタク向け漫画ではなく、普通の元気で健全で野蛮(汗)な多数派が愛好する少年マンガでは、優等生や家庭教師は自分たちの自由――その実態は身勝手・放縦でしかない(汗)――を抑圧・制限してくる体制側の唾棄すべき存在であり、革命が起きたら真っ先にギロチン首にすべきヘイト(憎悪)の対象であろうに……
――実態は真逆であり、教室内の元気なヤツこそがプチ権力者であり、優等生はスクールカースト低位なのだけど(汗)――。


 SNSでの身内馴れ合いコミュニケーションやらスマホゲームの隆盛で読者が激減している週刊少年マンガ誌は、それでも残った読者にオタク男子の比率が相対的に高まったことで、こーいうストイックな人物でも主役になりうるようになったといったところか?


 30年弱前(汗)の時点でもう、別冊宝島『ザ・中学教師』シリーズで、本来は学級委員になるようなタイプのコが


「今ではそれだと生徒間で『カッコ悪い』扱いされてしまうので、『チョイ悪』に走ってそれを演じる新傾向がある」


とされていた記憶があるけど、この主人公クンがそんな大勢に流される虚栄心野郎ではなく、周囲はどうあれ我が道というかヒトとして正しい道を行く「禁欲」を重んじるタイプでホントによかった(笑)。


 とはいえ、美少女側のキャラデザは、クラスではカースト上位に君臨してオタを見下す健康優良なギャルや元気女子への反発か、オトナしげな貧乳志向となった昨今のオタ向けラブコメとは異なり、珍しく5人全員が恵体(めぐたい)な巨乳キャラであり、筆者は大好物なのだけど(爆)、現今のオタの嗜好的にはいかがか?


 勉強はできる主人公少年と、勉強ができない五つ子女子。および、勉強したくないけど少年の妹ちゃんの健気さにヒロインが同情することで、両者は家庭教師&生徒という関係性を継続。同一空間で同席することにも必然性が生じて、ラブコメとしての物語的土台も整備される。


 てなワケで、美少女五つ子たちが共同で住まう高級マンションの広大なお部屋に主人公少年クンは公然と闖入。
 一緒に料理・食事をしたり、姉妹のどちらの料理がウマいかの意地の張り合いに付き合わされたり、お風呂上がりに遭遇、近眼女子なので少年と知らずに後ろからバスタオル越しに巨乳を押し付けられるラッキースケベを体験したり、夏祭りをシャッフル1対1のデート形式にて散策。打ち上げ花火を鑑賞する際のドギマギなやりとりなども展開。


 そのような展開もまたベタそのものなのだけど、決して段取りチックではなく、土台の盤石さか語り口のセンスか、まぁまぁ真に迫って胸キュンさせてくれたりするあたり、傑作だとは豪語しないけど佳作だとは私見する。
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ドメスティックな彼女


 同季の『五等分の花嫁』同様、「週刊少年マガジン」連載マンガ(14年)が原作の深夜アニメ。
 黒髪ショートのコミュ力弱者の美少女だけど、媚び媚びやキョドったりはしていないクールな女子高生がメインヒロイン。


 今どきの女子高生の常で(?)、性体験の有無でイケてる系/イケてない系認定されるのがイヤだという理由と、遊び人タイプのチャラ男だと弄ばれている感で劣位に置かれてイヤなので――セリフでの説明はないけど、性格的に空騒ぎ的なテンション高い人間に合わせることができないのもあって?――、ややオボコい感じでも「君ってセーフじゃん!」という感じ(汗)の童貞の男子高校生である好青年・主人公クンをカラオケ合コンの場で誘って抜け出して、処女を捨ててしまうところから始まるストーリー。


 う、うらやまケシカラン!(笑)


 後日、男やもめの頼りない父親が再婚してみれば、相手の連れ子はあのときの黒髪ショート女子! その姉も自身が憧れていた学校の美人女教師! といったご都合主義、もとい劇的な設定で(笑)、ひとつ屋根の下で同居するホーム・ラブコメとして三角関係が繰り広げられる。


 この作品もけっこうよく出来ていて面白い。逆に云うと、黒髪ショート女子は早々に処女を捨てたこと以外は「生活保守」的な奥手の常識人であり、むしろクラスでは(ひとり)ボッチであるあたり、我々弱者男子であるオタク男子たちにもウケがイイのではなかろうか?


 先に主人公少年をややオボコいと云ったけど、それはチャラ男連中と比すればの意味であって、ボッチ少女を構ってくれる『琴浦さん』(12年・13年に深夜アニメ化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)・『君に届け』(05年・09年に深夜アニメ化)・『ブスに花束を。』(16年)などに登場する、性格強者でクラスの「空気」を善導できてしまう人格力ある善良少年クンたちのように、教室で物怖じせずに黒髪ショート女子に話しかけることで彼女の口を開かせ、周囲の級友たちとも和ませる端緒を作っていく。


 このあたり、我々オタク人種とは真逆な人間力の発露であり、彼我の差を鑑みて筆者は絶望してしまう(笑)。ヘタレ難聴男子が主役を務める作品群(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201011/p1)では登場しないような性格類型である。


 しかし、全人類の全員が一挙に同時に「ヨーイ、ドン!」で徳義面でも公明正大な存在に進化することは今後も絶望的である(笑)。


「人間は本来は『性善』だから、ドコの国の誰とでも仲良くなれるハズ……仲良くならなければならない!」


などの「絵に描いたモチの理想」との大きな乖離で、自己主張が激しかったりテンションが高い元気な人種たちが苦手なコミュ力弱者や繊細ナイーブな人間たちに諦念や失望を惹起し、逆にドーしても他人に対して悪意や害意なりが……そうでなければ苦手意識が湧いてきてしまうのが常でもある人間の「人情の機微」や実態を踏まえていない、実現不可能どころかキレイごとで上っ面の「理想」を遵守しろと云われたならば、逆にかえって好悪の情が激しい凡人たちはウソくさい「理想」に反発して「道徳」や「人道」なんぞは守らなくてもイイや! なぞと自堕落なことを思ってモラル・ハザードに走ってしまうのが大多数の人間の生理というモノである(汗)。


 なので、それすらも見越しておいて、先廻りしてアミを張るかたちで、そんなスクールカースト低位のダサい人間やコミュ力弱者に手を差し伸べてくれるような人間、もっと云うなら手を差し伸べてもカースト低位の人間とも同一視されることを怖れない人間、あるいはあまりにも人間力があるためにそのような行為をしても周囲からも侮られなずに尊敬さえ勝ち取れるような胆力のある、本作の少年クンのような人間に40人学級に1人くらいの比率で活躍してもらって、啓蒙専制君主(爆)として小集団ごとに統治してもらい、性悪なヤンキー少年やギャル少女たちによる悪行蔓延を防止してもらう方が現実的ではなかろうか?(笑)――40人に1人を確保することすらもが困難か?――


 対するに、冒頭では快活で女子力が高くて理想的な教師かと思われていた姉は、いわゆる「恋愛体質」の人間であり既婚男性と不倫関係(!)にあるダメ人間の一面も与えている。


 物語の序盤は主人公少年と黒髪ショート女子がこの不倫を糾弾せんと共闘する。しかし、いざガチンコ対面で不倫男を糾弾する段になるや、胆力のない対人恐怖なコミュ力弱者の正体を黒髪ショート女子が現わしてキョドってドモってしまうあたりは、さもありなんと思いつつも、弱者男子が鑑賞する分にはこの黒髪ショート弱者女子の本性(?)であるキョドり(挙動不審)具合が実にポイントが高い(笑)。


 この黒髪ショート女子を演じるのは、2012年放映の『さんかれあ』&『中二病でも恋がしたい!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190904/p1)以来、コンスタンントに途切れなく七色の声音で主要ヒロインを演じ続けているアイドル声優内田真礼(うちだ・まあや)――東映製作の深夜特撮『非公認戦隊アキバレンジャー』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200223/p1)での顔出しレギュラー出演も忘れちゃイケナイ!――。昨2018年秋の『SSSS.GRIDMAN』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181125/p1)のエンディング主題歌などの歌唱も記憶に新しいけど、本作では奥手でテンション低めでも善良なクール女子にふさわしい、やや内にくぐもっている感じの艶のある低音で演じていて見事にハマっている。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.74(19年5月4日発行))


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2016年夏アニメ中間評! 『ももくり』『この美術部には問題がある!』『チア男子!!』『初恋モンスター』『Rewrite』『ReLIFE』『orange』

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2016年春アニメ評! 『マクロスΔ(デルタ)』&『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』(18年) ~昨今のアイドルアニメを真正面から内破すべきだった!?

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2015年秋アニメ評! 『ワンパンマン』 ~ヒーロー大集合世界における最強ヒーローの倦怠・無欲・メタ正義・人格力!

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2015年秋アニメ評! 『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』 往年の国産ヒーローのアレンジ存在たちが番組を越境して共闘するメタ・ヒーロー作品だけれども…

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2015年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』 ~長井龍雪岡田麿里でも「あの花」「ここさけ」とは似ても似つかぬ少年ギャング集団の成り上がり作品!

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2015年夏アニメ中間評! 『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』『六花の勇者』『おくさまが生徒会長!』『干物妹!うまるちゃん』『実は私は』『下ネタという概念が存在しない退屈な世界

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2015年春アニメ評! 『響け!ユーフォニアム』 ~手放しの傑作か!?

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2015年冬アニメ評! 『SHIROBAKO』(後半第2クール) ~アニメ制作をめぐる大群像劇が感涙の着地!

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2014年秋アニメ評! 『SHIROBAKO』(前半第1クール) ~アニメ制作の舞台裏を描く大傑作爆誕

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2014年秋アニメ評! 『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 ~ガンダムSEEDの福田監督が放つ逆「アナ雪」! 女囚部隊に没落した元・王女が主役のロボットアニメの悪趣味快作!

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2014年秋アニメ評! 『ガンダム Gのレコンギスタ』 ~富野監督降臨。持続可能な中世的停滞を選択した遠未来。しかしその作劇的な出来栄えは?(富野信者は目を覚ませ・汗)

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2014年春アニメ評! 『ラブライブ!』(第2期)

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2013年秋アニメ評! 『WHITE ALBUM 2』 ~「冴えカノ」原作者が自ら手懸けた悲恋物語の埋もれた大傑作!

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2013年秋アニメ評! 『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』 ~低劣な軍艦擬人化アニメに見えて、テーマ&萌えも両立した爽快活劇の傑作!

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2013年秋アニメ評! 『サムライフラメンコ』 ~ご町内⇒単身⇒戦隊⇒新旧ヒーロー大集合へとインフレ! ヒーロー&正義とは何か? を問うメタ・ヒーロー作品!

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2013年春アニメ評! 『這いよれ!ニャル子さんW(ダブル)』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150601/p1

2013年春アニメ評! 『惡の華』前日談「惡の蕾」ドラマCD ~深夜アニメ版の声優が演じるも、原作者が手掛けた前日談の逸品!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191006/p1

2013年冬アニメ評! 『まおゆう魔王勇者』『AMNESIA(アムネシア)』『ささみさん@がんばらない』 ~異世界を近代化する爆乳魔王に、近代自体も相対化してほしい(笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200126/p1

2013年冬アニメ評! 『ラブライブ!』(第1期)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1


2013~14年3大アイドルアニメ評! 『ラブライブ!』『Wake Up,Girls!』『アイドルマスター

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1

2012年秋アニメ評! 『ガールズ&パンツァー』 ~爽快活劇に至るためのお膳立てとしての設定&ドラマとは!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190622/p1

2011年春アニメ評! 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 ~別離・喪失・齟齬・焦燥・後悔・煩悶の青春群像劇の傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191103/p1

2011年冬アニメ評! 『魔法少女まどか☆マギカ』最終回「わたしの、最高の友達」 ~&『フリージング』『放浪息子』『フラクタル

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120527/p1

2008年秋アニメ評! 『鉄(くろがね)のラインバレル』 ~正義が大好きキャラ総登場ロボアニメ・最終回!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090322/p1

2008年春アニメ評! 『コードギアス 反逆のルルーシュR2』 ~総括・大英帝国占領下の日本独立!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20081005/p1

2008年春アニメ評! 『マクロスF(フロンティア)』(08年)#1「クロース・エンカウンター」 ~先行放映版とも比較!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080930/p1

2008年春アニメ評! 『マクロスF(フロンティア)』最終回評! ~キワどい最終回を擁護!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091122/p1

2008年冬アニメ評! 『墓場鬼太郎

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080615/p1


2007年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』 ~第1期・第2期・劇場版・総括!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100920/p1

2007年秋アニメ評! 『GR ジャイアントロボ

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080323/p1

2007年春アニメ評! 『ゲゲゲの鬼太郎』2007年版

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070715/p1


2006年秋アニメ評! 『天保異聞 妖奇士(てんぽういぶん あやかしあやし)』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070317/p1

2006年夏アニメ評! 『N・H・Kにようこそ!』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061119/p1


2005年秋アニメ評! 『BLOOD+(ブラッド・プラス)』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20051025/p1

2005年春アニメ評! 『英国戀(こい)物語エマ』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20051022/p1

2005年春アニメ評! 『創聖のアクエリオン』 ~序盤寸評

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20051021/p1


2004年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY(シード・デスティニー)』 ~完結! 肯定評!!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060324/p1

2004年春アニメ評! 『鉄人28号』『花右京メイド隊』『美鳥の日々(みどりのひび)』『恋風(こいかぜ)』『天上天下

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040407/p1

2004年冬アニメ評! 『超変身コス∞プレイヤー』『ヒットをねらえ!』『LOVE♡LOVE?』『バーンアップ・スクランブル』『超重神グラヴィオン ツヴァイ』『みさきクロニクル ~ダイバージェンス・イヴ~』『光と水のダフネ』『MEZZO~メゾ~』『マリア様がみてる』『ふたりはプリキュア

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1


2003年秋アニメ評! 『カレイドスター 新たなる翼』 ~女児向け・美少女アニメから真のアニメ評論を遠望! 作家性か?映画か?アニメか? 絵柄・スポ根・複数監督制!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040408/p1

2003年春アニメ評! 『妄想科学シリーズ ワンダバスタイル』『成恵(なるえ)の世界』『宇宙のステルヴィア』『ASTRO BOY 鉄腕アトム

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040403/p1

実写版「映像研」「はがない」「妹ちょ」「ハルチカ」「一週間フレンズ」「ReLIFE」「サクラダリセット」 ~漫画アニメの不評な実写化作品を擁護する!(震え声)

『映像研には手を出すな!』TVアニメ版 ~イマイチ! 生産型オタサークルを描くも不発に思える私的理由
『ReLIFE』TVアニメ版 ~2016年夏アニメ評 『ももくり』『この美術部には問題がある!』『チア男子!!』『初恋モンスター』『Rewrite』『orange』
『トクサツガガガ』(TVドラマ版)総括 ~隠れ特オタ女子の生態! 40年後の「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」か!?
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 2020年9月25日(金)からマンガ原作の実写映画『映像研には手を出すな!』(20年)が公開記念! とカコつけて……
 その前日談である2020年4月から放映された実写深夜ドラマ『映像研には手を出すな!』(20年)ほか、2010年代のマンガ・アニメ・ラノベ作品の実写映画版『僕は友達が少ない』(14年)・『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(14年)・『ハルチカ』(17年)・『一週間フレンズ。』(17年)・『ReLIFE リライフ』(17年)・『サクラダリセット 前篇/後篇』(17年)評をアップ!


実写版『映像研には手を出すな!』・『僕は友達が少ない』・『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』・『ハルチカ』・『一週間フレンズ。』・『ReLIFE リライフ』・『サクラダリセット』 ~漫画アニメの不評な実写化作品を擁護する!(震え声)

(文・T.SATO)

『映像研には手を出すな!』(実写ドラマ版)

(2020年8月11日脱稿)


 高校の部活動である映像研究会。実質的にはアニメを製作するサークルを舞台に3人の少女が活躍する作品。
 2020年冬季にNHKで深夜アニメ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200325/p1)としても放映。ググってみると、いわゆる「動物化」しているベタ層ではなく、マジメでプチインテリオタクの気がある人種たちの間ではカナリ高い評価を得ているようだ。


 まず深夜アニメ版の寸評。
 ウ~ム。もちろん嗜好品なので、他人の好みや評価を否定する気は毛頭ナイことは念押ししておくけど、狙いの志はともかく出来上がった作品は上滑りしているような気が個人的にはするなぁ(汗)。


 あの往年の『ジャリん子チエ』(81年)みたいな小柄な少女主人公。まず彼女が最低限の美少女キャラではないことが引っかかる(笑)。まぁ美男美女を主役に据えないのは、ある意味では志が高いけど。
 彼女が往年の名作アニメ『未来少年コナン』(78年)もどきに小学6年時分にカルチャーショックを受けてアニメの道を志す動機をシッカリと描くあたりはもちろんイイ。しかし、若者カーストでは遊び人タイプのコミュ力強者が最上位で、絵や文を書いているような内向的なコミュ力弱者、異性を楽しませる会話ができない我々のような輩は最底辺確定で、それゆえのルサンチマンからアレだけ(ひとり)ボッチやスクールカーストがテーマの作品が隆盛を極めているのに、そのへんの劣等感や隠れキリシタン意識も描かないとウソじゃないかと思うのだけど、この作品はそのへんはスルーなのであった……。



 本作が2020年の冬アニメとしてNHKの深夜ワクで放映された直後、春のTBSの深夜ドラマとして本作の実写版も放映された。試しに観てみる……。


 お、面白いやないけー!


 主人公少女が現実世界に妄想のSF設定を重ねて映像化していくサマも、ラフな素描のエンピツ手描き(?)風の線画CG合成で見事に映像化ができている。


 メインの3人の少女キャラたちはアイドルグループ・乃木坂46(のきざか・フォーティシックス)のメンバーが演じるあたりで醜女であるワケもないけど、実写作品である以上は醜女であると画面上では浮かび上がってきにくくて主役として認知されがたいとも思うので、コレはコレでイイと思う。


 その代わりにちょっとした配慮・微改変・チューニングも主要キャラに施す。


 まず、主人公少女は齧歯類系の愛くるしい小顔ベビーフェイスの黒髪ショートの痩身で、幼稚園児的にも見えることから(失礼・笑)、原作マンガの絵柄通りのチビチビの小柄少女との共通性は確保。
 しかして終始オドオド・キョロキョロ・ビクビクのビビリ的な演技を与えることで、たとえ絵はウマく描けて見た目は美少女寄りでも彼女がまごうことなきコミュ力弱者のオタであると実感させ、ギャルが優勢な女子カースト内では劣位になるだろうと、ドラマやテーマ以前の見てくれや挙動の演技・演出でも腑に落とすことで、筆者が深夜アニメ版に抱いた違和感も解消されるのだ。


 加えて、大昔にもあるにはあったけど、一部のオタク男女が自分のキャラ付けのためにか(笑)アニメキャラのように語尾や口調を特徴付けて作り込んで喋るサマ。彼女の演技的な作った喋りも、残りふたりの女子たちいわく、そのようにキャラを演じて臆病な素を隠すことでむしろ他人とのコミュニケーションが取りやすくなっている……という趣旨の分析ツッコミを入れることでも腑に落とす。


 てなワケで、筆者個人は実写ドラマ版の方を評価するけど、ググってみるとマンガ・アニメの実写化作品の多くがそうであるように、本作実写版も黙殺か酷評の憂き目に遭っているのであった……(笑)。
映像研には手を出すな!

映像研には手を出すな!

映像研には手を出すな!

  • メディア: Prime Video
テレビドラマ『映像研には手を出すな!』 Blu-ray BOX(完全生産限定盤)
テレビドラマ『映像研には手を出すな! 』 DVD BOX(完全生産限定盤)
映像研には手を出すな!

映像研には手を出すな!

  • 発売日: 2020/04/01
  • メディア: Prime Video
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.77(20年8月15日発行))


僕は友達が少ない』(実写映画版)

(2014年2月1日(土)公開)
(2014年7月4日脱稿)


 ウソつけ! 友達いるじゃねーか!?(笑)


 主人公の高校生男子クンに友達がいない理由は、小心や腕力がナイゆえのコミュニケーション弱者だからではなく、ハーフゆえの金髪や怖い目付きに周囲が引いてるためだとゆー。


 だったらまだイイじゃん。プチ優越感(?)を味わえて救いもあるじゃん。イザとなれば他人との意志疎通や、命令や交渉して他人を動かすことすらできるじゃん。
 意図せずとも友達作りが名目の部活「隣人部」(笑)に加入したのならば、部員たちは一応のお友達。メンバーも増えていくし、しかも異性だらけだから、ある意味リア充(リアル充実=現実世界で充実)じゃん。


 本当に「友達が少ない」人間の苦悩とゆーのはだなぁ。こんなモンじゃねェー!!(爆)


 ……と、こうやって自身の感慨を言語化して客観視してみると、リアリズムが優先されるワケでもないフィクション作品にルサンチマン(怨恨)をココぞとばかりにブツけていて、このテの題材だと暑苦しくなる筆者の方こそがイタかったんだナ、と痛感したりして(汗)。


 以上はTVアニメ(11年)の序盤に対する筆者の感想。さて、今回の実写映画版。公開前からボロカスに罵倒されていたけど、個人的には擁護したい(……震え声)。


 監督や出演者(除く1名)はTVアニメ版(1期11年・2期13年)を観ていなかったそうだけど――まぁオタではない一般ピープルならばそうだよナ(汗)――、


無人の教室で「エア友達」のトモちゃん(笑)と語らっている図がキョーレツな、黒髪ロングの腕組みしている命令口調のメインヒロイン
・校庭から部室の窓に顔と巨乳を押しつけて入部を希望する、一見ビッチでリア充の女王さま系サブヒロイン
メガネっ娘で白衣理系の腐女子であるサードヒロイン


 彼女らメインヒロイン・サブヒロイン・サードヒロインは、TVアニメ版とほぼ同じカメラ構図(!)&演技にて登場。


・メイド服の男の娘(?)
・主役の妹の中二病金髪ゴスロリツインテール
・10歳の修道女(笑)


 それらの脇のフォース・フィフス以降のヒロインズは、賛否あるようで、この実写映画版には不要! との意見までをも散見したけれども……。
 彼女らが登場しなかったならばもっと「別モノ」作品臭が強まったであろうし、仮に高校生主人公クンの妹役にガチでホンモノの金髪外人ロリ美少女を連れてきてしまったならば、このロリ妹キャラのメンタルは帰国子女ではなく日本人の気弱な少女そのものというのか日本アニメの記号的な美少女キャラそのものなのだから(笑)、このテの国内マンガ・アニメチックな設定でもある実写化作品だとかえって劇中で異物臭が強くなってしまって浮いてしまったことだろう。
 そもそも一点属性主義で勝負する脇役美少女キャラたちだから、フツーの日本人の子役であったり美少女が演じる美少年でありさえすれば個人的にはOKだ。


 だけれども、各キャラを物語の方ではなく点描の方で微調整。


・主人公青年クンは少々気弱で不良に眼を付けられても応戦する腕力がなくて逃走(汗)。
・ビッチに見える巨乳サブヒロインもクラスで男子たちからは崇拝されるも、机の中に下着を詰め込むとゆー女子たちからのイヤがらせには沈黙(…)。
・男の娘(おとこのこ)も校内で終始メイド服を着ていれば、校舎ウラで不良たちに恫喝もされるよナ――それに気付くも助ける胆力がナイ主人公青年像もマル(汗)――。


 ……あぁ、原典作品にも各キャラのこんな「弱み描写」があれば、「友達が少ない」という彼らの大前提でもある「孤立」描写にもナットクがいって、序盤から一挙に共感・感情移入ができたかも。
 サブヒロインの父が洋風ではなく和風豪邸に住まう俳優・石原良純(笑)で女中に手を出してしまう改変もしょせんは脇役だし、そーゆータイプには見えないサブヒロインが仮想現実・TVゲームといったオタッキーな趣味に執着してしまう動機(=現実逃避)にもなりうるし。


 ちなみに主人公高校生クンは、劇中でもオトメンこと乙女のような男子であり長年の引きこもり(爆)として設定されていた『仮面ライダーキバ』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090215/p1)こと紅渡(くれない・わたる)を演じた瀬戸康史(せと・こうじ)であり、柔和そうでもありながら気難しそうでもあり、周囲が勝手に誤解して避けていく「人となり」をそのままでも体現できている(笑)。


 原典作品は「(ひとり)ボッチもの」というよりも、異性との交流が苦手やテレくさくて、異性の想いを受け止めるだけの人間としての器量の大きさにも欠けているので、告白を聞こえなかったフリをしてゴマかしてしまう、あるいはそれに応えての再度のダメ押し告白をすることができない、いわゆる「ヘタレ難聴(笑)」男女たちによる「ラブコメ」ものに収斂していって意外にもキュンキュンさせてくれる作品にはなっている。


 だけれども、映画というのは2時間で1クールアニメの最終回に相当するヤマ場を作って完結すべきものである。ヒイてジラしたスレ違いラブコメは尺的にもムリだからかオミットし、後半は映画オリジナルの展開へ……。


 真『僕は友達が少ない』キャラ(笑)でブレイク中のモデル・栗原類(くりはら・るい)が怪演する映画オリジナルの生徒会長が彼らの部活動の廃部を企む中、TVアニメ版の初期編にも登場したゲーム機をブローアップ。仮想世界の中で友達に不自由しないリア充生活を彼らは満喫する。


 その過程で挿入される、部活のみんなで、


・カラオケ
・夏祭りの夜店
・花火遊び


などの原典作品にもあった寸描の数々。たとえ部活動でも人並みの青春を演技でもナンチャッテでも予行演習できれば、その積み重ねで少しはお互いの距離も近づこうというもの。そのへんの一連は愛おしい。


 仮想現実に「ベタ」に没入するサブヒロインと、虚構だとわかってはいてもニヤけてしまう「メタ」なメインヒロインとの対比。後者が前者を小バカにしている構図もイイ。


 が、ネタバレするけど、メタにメタを重ねて後者に対しても相対化を施していく。自己防衛の理論武装の果てに自分の真の願望が判らなくなっているヤツ、「ベタ」や「中二病」を超越した気になっているけど、ホントは気になって気になって仕方がないヤツこそが、コジらせていて始末が悪いとも取れる展開となっていき、仮想世界も多段構造になってくる。


 そのへんは情よりも知に訴える感じで、普遍性や万人受けに欠けている表現で少々弱い気もするけど、個人的にはキライじゃない。まぁあくまでも本作のメインヒロインがメンドくさいヤツだったってだけで、筆者個人には心当たりはナイけどな――癪にさわるけど(笑)――。


 原典(というかラノベ原作は未読だからTVアニメ版)はストーリー展開&手つきがドコかで微量に乱雑で投げやりな雰囲気が漂っていて、それでも潤いが感じられるのは挿し絵――絵師・ブリキの手になるキャラデザ――の力と、それが作品世界の本編の「空気」にも還流しているからだと私見するのだけど、幼きころの主人公高校生クンとの日々を忘れずに、でもそれを素直に出せずに彼が気付くまで実は待っていた……という高飛車でも奥ゆかしい(?)メインヒロインがドラマとしては萌えポイントではあった。


 加えてこの実写映画版では、再会した彼のヘタレぶりに幻滅しながらもやはり執着しているとも取れるような描写を強化。でも「色恋」を前面に出さずにそこを終点にもせずにその一歩手前で、彼らの原点でもあった「友だち作り」全般に立ち返っていく清涼なオチであり、個人的には悪くはないと思う。
僕は友達が少ない

僕は友達が少ない

僕は友達が少ない

  • 発売日: 2014/11/13
  • メディア: Prime Video
僕は友達が少ない [DVD]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.62(14年8月15日発行))


――後日付記:本作の脚本&監督を務めた及川拓郎(おいかわ・たくろう)は、名作深夜ドラマ『深夜食堂』(09年)の脚本&監督などでも目にしてきた御仁。東映の刑事ドラマ『刑事7人』(15年~)や『刑事ゼロ』(19年)でもメイン監督を務めている。ジャンルファン的には岩手県ローカルヒーロー『鉄神ガンライザーNEO(ネオ)』シリーズ(14年~)の全話脚本&監督でもある!――


最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(実写映画版)

(2014年5月17日(土)公開)
(2014年7月5日脱稿)


 まずTVアニメ版(14年)の感想。
 また「妹モノ」かョ。志が低いよナと思いつつも、「妹モノ」作品群は「ネタ」化が著しくて作品タイトルも秀逸で(笑)、本作のそれもビミョーに隠微かつ「ネタ」っぽくてウケるから妙に観たくなる(誓って筆者個人の特殊な性癖のせいではナイ!?)。


 でもドー云い繕おうとも、妹モノは弱者男子にとっての都合のいいファンタジー。ファースト『ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)のヒロインたちを例えに云わせてもらえば――すでにファーストガンダムがオタの共通言語ではナイという話は置いといてください(汗)――、外の世界でオトナの女性っぽいセイラさんみたいな異性を引っかけるのではなく、フラウボゥみたいな幼なじみと引っつく方へと退行し、さらにオタにとっては縁遠い「異性との出逢い」描写をハブくことができてしまう、最初から異性と出逢っており同一空間で共同生活もしている「妹モノ」の勃興ヘ。
 本作もそんなオタ向け作品の歴史的な退行文脈の一環であり、罵倒してやろう(笑)と手ぐすね引いて待っていたのだけれども!?


 ピンクのネグリジェの肩ヒモがズレ落ちてノーブラの胸の谷間も見せつける、ゆるふわ栗色ヘアにピンクの巨大リボン、背には小さな天使の羽を生やした美少女。彼女がイタズラっぽく微笑みながら、オボこい黒髪女子高生の両手を奪ってベッドに押し倒し、股の間に割って入ってイヤがる相手のホッペにチュッ♪
 黒髪女子高生の肉体に憑依するや、胸とアソコをまさぐって自慰にふけって悶えまくる! 分離しても同じ場所を攻め続け、首スジやホッペをナメるや唾液が糸を引き、耳を甘く噛み、女子高生は絶頂へ……。


 この作品は、「妹モノ」じゃなくて「百合モノ」だったのか!――ってソコじゃなく――


 基本設定がヒドすぎ。ネグリジェ少女が成仏するためには生前スキだった男子高生とイチャコラせねばならない。そのために男子高生の義妹に憑依して、ハート型の小さな計測器がついた黒色の脱げないTバック型の「TST」なる「貞操帯」(笑)を装着。しかも用を足す3分間だけ外れるけど以降1時間は外せない。トイレで尿意をガマンする羞恥プレイ、ついには保健室の花瓶に四つん這いで小水を。それを義兄に見られちゃう義妹女子高生!


 後学(?)のために実写映画版(14年)も観てみた。前述の描写をあまさず映像化!
 後学のために原作漫画版(10年)も読んでみる。ン? 聖水プレイは現実の出来事でも寸止めで描写自体はナイぞ。
 後学のためにBD版とTV放映版の比較検証サイトも見てみる。BD版では内股を伝う雫(しずく)が黄色く着色されている……。


 TVアニメ&映画版スタッフは頭がオカシい!(笑)


 本作を否定することは「表現の自由」への侵害なのか? 表現の高度さってエロではなくてテーマとか映像センスのことだったのでは? かの「アニメ新世紀宣言」から30余年。ボクらが夢見たアニメの未来はコレだったのか?(笑) そんな引いた視点もロートルとしては手放したくない。


 一方、マンガ・アニメなんて低俗でエエやん? 浮き世離れした頭デッカチなハイブロウ作品に走るよりも、地に足の着いた身の丈の手触り・肌触りこそを重視べきじゃネ? とも思うのだ。


 この両極端を架橋して同時に肯定する「統一理論」がナイものかと思ってウン十年。いまだそのようなご大層なモノを構築できる手立てなどはあらず、筆者個人もとっ散らかったままでジャンル作品を語っておりますが……。


 はてさて実写映画版。個人的には擁護したい(……震え声)。3次元で2時間に再構築するならば、こーいうアレンジで妥当なのでは? なんとTVアニメ版の全1クールの主要イベントをほぼ網羅もしている!


 ただ、異性が苦手で話しかけるのにも勇気を振り絞っている弱さを、「ツンツン」した態度&首アゴ前の大きな赤マフラーで鎧(よろ)っているような黒髪女子高生で高1の義妹の描写は少々軟化して、共通の音楽趣味でクラスに同性の友達ができる姿も点描している。


 彼女に憑依する甘え上手な「デレデレ」担当のネグリジェ少女も少し余裕アリげな黒髪ストレート女子に変更。


 この改変でアラスジは同じでもテイストが変わるのも事実なので、抵抗を覚える原作至上主義者もいるのだろうけど、いかにもオタ向けな記号的キャラクターをジャンルファン以外に流通させるためにも、この微調整は適切なのではあるまいか?


 マンガ・アニメだと三角関係の一角になる隣家の高3のお姉ちゃんは、温泉でナマ巨乳を披露するのは同じでも(笑)、この実写映画版では教育実習生に変更して色恋にはノータッチ。


 最大の改変は主人公である高2の兄貴だとも私見。原作マンガだと、(ひとり)ボッチ少女漫画『君に届け』(05年・09年に深夜アニメ化)のサラサラ黒髪さわやかイケメン君みたいな見てくれで、義妹が義兄を好ましく思う展開もギリギリありかもと、ドラマ以前のルックス面でも補強するけど、同時に色事に鈍感でも「イイ男すぎだろ!」的なプチ反発も少々覚えてしまうのだ。
 これに色や声や動きがついたり実写だったらもっとハナにつくかも? と配慮してか、TVアニメ版ではちょいモサッとした感じ、実写映画版でも短髪でポーカーフェースの剣道少年にしてストイックな雰囲気も醸す。
 2次元だと喜怒哀楽を多少大仰にしないと観客に通じないけど、3次元でエロ事での動揺を顔に出しすぎるのはイケメン男子でもイヤラしくなるので、コレは適切なアレンジかと私見――媒体の優劣の話ではナイので念のため――。


 本作はジャンル作品の実写化を蓄積して10年単位で他業種とも協業、旬の若手役者も起用してヒットさせれば高収益ともなる映画ビジネスへの角川書店の実験的な布石かとも憶測。オタ側もコレに慣れて、アレンジの妙を楽しむ流儀が普及して、実写化に無闇に反発したことを反省する日が来ることを祈りたい。
最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。DVD

最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。ディレクターズ・カットBlu-ray
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.62(14年8月15日発行))


ハルチカ』(実写映画版)

(2017年3月4日(土)公開)
(2017年4月12日脱稿)


 正副主人公のハルタ(少年)とチカ(少女)の名前から取られたタイトル。
 原作は小説だそうだが、「吹奏楽部」プラス「推理モノ」がお題。殺人事件は起こらないけど、学園の些細な事件に先輩や卒業生が残したナゾ掛けをちょっとイイお話風に推理・解決していく、先にも京都アニメーションが深夜アニメ化した『氷菓』(12年)などの前例もある、いわゆる「学園ミステリ」作品でもある。


 昨2016年冬季に『ハルチカハルタとチカは青春する~』のタイトルで深夜アニメ化もされており、筆者もそれで本作を知ったクチ。大人気アニメ『ラブライブ!』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1)や『電波女と青春男』(11年)などの西田亜沙子が担当した、お眼めパッチリ瞳キラキラが鋭角的なマツ毛ギトギトの域にも達しているキャラデザは、個人的には好物だけど、淡泊な絵柄が主流の昨今では若いオタの多数派の好みではなかったのやも(汗)。


 TVアニメ版を鑑賞したかぎりでは充分に鑑賞に堪えうる作品だったと思うけど――原作を結構アレンジしていたそうだけど――、売上的には1巻あたりが数百枚の大爆死。


 知的で温厚な美少年クンとは良いコンビの、劣等感や逡巡とは無縁そうな屈託のない明るく元気で華のある黒髪ロングのメインヒロインは、我々オタク男子と釣り合うかはともかく(笑)、傍から見ている分には魅力的だし、#1におけるクルッと前転して楽器をキャッチする身軽なサマはマンガ・アニメ的ではあるけれど、彼女の快活な人となりをも1カットだけで表出できており、演出的にもとても印象深かったのだけれども。


 筆者が専らとする映画館でのアニメ映画鑑賞では、本作実写版の予告編が流れたことは一切なかった。ゆえに本作の存在も知らなかったのだけど、芝生に寝転がっているとおぼしき黒髪ロングの制服美少女の斜めヨコ顔アップのキービジュアルを、封切直前週のシネコン・ホームページで閲覧して当作を認知。コレはチェックをせねばと――そんな義理もナイけれど(笑)――と映画館へ足を運んでみた次第。


 ウ~ム、「学園ミステリ」としての要素はほとんど消失しており「吹奏楽部」の練習がメインで、深夜アニメ『響け! ユーフォニアム』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160504/p1)みたいになっている……(爆)。
 近年の野郎オタはマンガやアニメの実写化に冷淡どころか排外主義的ジャンル・ナショナリスト(汗)の気もあるから、この大幅アレンジは危険なのでは?――爆死の空気アニメだから心配ナイってか?(笑)――


 前年度に内紛があったらしく――ここでも既視感――、すでに解散している吹奏楽部。高校では吹部をやりたかった物怖じしない明朗ヒロイン・チカは、イジワルそうな校長と直談判して4月末期限で部員集めに奔走する。紆余曲折の末、主に彼女の厚かましい人格力(汗)で最低限の新旧メンバーが集って吹部が復活!
 しかして部員の中では彼女が最も初心者で下手クソで苦労をすることに。ようやく上達の目が見えるも、迎えたコンクールのシーンは省かれて、校舎・校庭の内外をまたにかけた授業中のゲリラライブが、ミュージカル的に描かれることで、全校生徒や校長までもが踊りだし(!)、しかしてコンクールの結果も推して知る展開となっていく……。


 主役は「千年に1人の美少女」の煽りで売り出され(笑)、オタク的にはゲーム『ガールフレンド(仮)』ともコラボした橋本環奈(はしもと・かんな)嬢。お相手はジャニーズ・SexyZone佐藤勝利クン。
 宣伝キービジュアルだけだと恋愛映画のようにも見えるけど、その実態は恋人未満の関係であることから、コレはオタではない一般の若年男女に本作をオシャレ系デートムービーとして誤認させて集客するためのフェイクでもあるのだろう。まぁ結果的にはそんなに観客が入ったワケでもなかろうけど、こーでもしなけりゃもっとお客は入らなかったワケで、集客するための作り方として間違っているとも思えない。


 とはいえ、原作小説やTVアニメ版の至上主義者の方々にあってはご不興だったら申し訳ナイけど、媒体ごとのアレンジを楽しみたい筆者には、ミステリ部分をオミットして音楽の力で終盤のクライマックスを作る、このアレンジもアリには思える――まぁ実写作品の方がリアリティ&コミカルの喫水線は高くなるので、このミュージカルな終盤を受け付けない御仁も結構いそうではあるけれど――。


 加えて、オシャレ系映画かと思わせて、一方では吹部部員に個性的なフツメン(普通の顔面)・ブサメン(不細工な顔面・失礼)を揃えたあたりも個人的には好印象!


 橋本環奈は引きの絵になるや、部員中では最もチビだとわかる。そこはTVアニメ版でのやや長身で伸びやかなイメージとは異なるけど、小柄ゆえ彼女がマンガ・アニメ的に男子生徒をブッたり蹴ったりしても、暴力的な印象は醸さない――ウ~ム、このテの描写の印象は個人差が大きいか?(汗)――


 製作は井上伸一郎率いる角川書店が主体で(多分)、ジャンル系原作を実写映画で流通させるココ数年の展開も、継続は力なりでそのうちにドカンと当たる日も来るんじゃないですか? 日陰者のオタとしては「ラーメンは屋台にかぎる」でそれはうれしいことではナイのやもしれないけれども、会社経営&拡大のビジネスとしては正しいとすら思うのだ。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.69(17年5月4日発行))


一週間フレンズ。』(実写映画版)

(2017年2月18日(土)公開)
(2017年4月12日脱稿)


 3年前の2014年に深夜アニメ化されたマンガ作品の実写映画版。TVアニメは東宝アニメーション製作だったので、本作もてっきり東宝映画かと思いきや……。意外にも松竹製作なのでありました。


 原作はオタク系の漫画誌「ガンガン」系列の連載だけど、女性作家によるいわゆる少女マンガ絵の作品である。しかも今風のデッサン骨格シッカリ系ではなく、ゆるふわ・撫で肩のポワポワしたキャラデザで、繊細かつ淡泊な印象。


 TVアニメ版は、深夜アニメ『君に届け』(09年)や『琴浦さん』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)冒頭でも観たような、教室で誰ともしゃべらずうつむいて、冷たい表情の拒絶オーラで周囲に壁を作っている美少女の図で開幕。
 そんな彼女が、暑苦しい体育会系ではなくキモオタでもない(汗)中肉中背の人畜無害・さわやか安全癒し系のニコニコ笑顔の少年のひたすらなプッシュで、次第に心を開いていく……。


 心因性の1週間前までしか記憶が保てない記憶障害をカラめたところだけは変化球だけれども――厳密には『博士の愛した数式』という世界の黒澤明カントクの黒澤組の残党が映画化(06年)したベストセラー小説(03年)の前例もあるけれど。メインヒロインは数学が得意という設定はココからの引用か?――。
 イジワルに見れば、やっぱ文化系の弱者女子ってこーいうヤサ男がスキなのネ? とサメてこなくもないのであるけれど……(笑)。


 本作はメインヒロインが自力救済したのではなく、面倒見のイイ男子クンが手を差し伸べてくれたから救われたのであって、弱者女子にとっての都合のいいファンタジーである! という批判も可能ではある。
 が、ウジウジした我々オタク男子が愛好する美少女アニメこそが、数十年の周回遅れでの70年代乙女チック漫画の正当後継者、性別反転の換骨奪胎版だとも云えなくはナイので(ホントか?)、筆者個人は本作を批判する資格がナイのだけれども(汗)。


 しかもヒロインが心を開いたあとは、気立てがとっても良くって文化系女子っぽくて、男のコに尽くします! といったタイプでもあるので、少女マンガ文法の作品ではあっても、我々野郎オタの女性の好みとも実は野合ができている。
 ゆえに、実写映画版で付与された「記憶喪失前にはバスケットボールをやっていた」という点描のみ、運動神経には劣るオタク男子たちにはプチ苦手意識を抱くであろうし、メインヒロインの「弱者性」や「悲劇性」を削ぐようにも思うのだけれども。この追加設定は必要だったのであろうか?(笑)


 この実写映画版はソフトフォーカスを多用したり映像を白く飛ばしたりして、少女マンガ的な雰囲気を醸すことには成功している。メインヒロインは作品冒頭では周囲に対する拒絶感も醸さないとイケナイので、クールでシュッとした顔立ちの女のコを配置。調べてみると、数年前に主演した民放TVドラマで最低視聴率を記録して叩かれたコだけれども、悪くはナイと思う。


 対するお相手役は近年売れっ子の山崎賢人(やまざき・けんと)氏。コチラも調べると、同じく少女マンガ原作の実写映画『orange(オレンジ)』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160903/p1)・『オオカミ少女と黒王子(くろおうじ)』(16年)でもヒロインのお相手役を務めている。ともに深夜アニメ版を観ていた身としては(汗)、原作はもっと長身で陰のあるイケメンでは? 本作のそれはもっと甘ったるいお坊ちゃんでは? といずれもイメージと違う気もする(汗)。しかし、観客のほとんどは原作未読だろうし、今どき仕掛ける側もプロだから、諸々計算した果ての集客ができるキャストなのであろう(多分)。


 TVアニメ版ではメインヒロイン&主人公少年、主人公少年の親友である無愛想同級生&黒髪オカッパ小柄少女の2カップル(?)が主軸だけれども、この実写映画版では小柄少女はトロトロボケボケしておらず、主人公少年に片思いをしており終盤でフラれる役回りに変更されている。実写だとトロボケ描写は鼻につき、男に媚びてキャラを作っているようにも見えかねないとも思うので、この改変はアリだとは思う。


 それよりも終盤の大胆なアレンジの方こそが問題か? 2学期に転入してきたイケすかないイケメン男子が、ヒロインの元カレらしいのはTVアニメ版と同じ。しかし、紆余曲折の末に元カレとの記憶が甦った反動で、今度はヒロインは主人公少年との記憶を消失! 主人公はヒロインと元カレのイチャイチャを遠くから見守るばかりで1年半! ついに卒業式の日を迎えてしまうのだ(汗)。


 2時間の尺で起承転結を作るのに、この改変も個人的にはアリだと思うけど、原作信者の反応が怖いなぁ。
 もちろんエンタメである以上は、主人公青年クンに救いがないまま終わるワケがないので、最後の最後に伏線を活かしてメインヒロインは主人公青年クンとの記憶を取り戻す。そんな姿を見て元カレも悟って、ヒロインに主人公少年の元へ行けよと云ってくれるあたり、ご都合主義に過ぎてビミョーだけど、前の席の女のコはこの一連で泣いていたので、ターゲット的にはコレでイイのであろう(多分)。
 最後の元カレ(=今カレ)の物分かりが良すぎる態度に弱点はあると思うものの、ココをリアルに深堀りしだすと、物語が2時間でキレイに終わらなくなるのだし(笑)。


 傑作だと強弁する気はナイけれども、観られる作品にはなっていたと私見する。
一週間フレンズ。

一週間フレンズ。

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  • 発売日: 2017/08/02
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一週間フレンズ。 [DVD]
一週間フレンズ。 豪華版(初回限定生産) [Blu-ray]
一週間フレンズ。

一週間フレンズ。

  • メディア: Prime Video
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.69(17年5月4日発行))


――後日付記:NHK大河ドラマ麒麟がくる』(20年)で戦国大名第2号(?)斎藤道三(さいとう・どうさん)の娘で、織田信長に嫁ぐ濃姫(のうひめ)こと帰蝶(きちょう)などを演じてブレイク中の今をときめく川口春奈が本作実写映画版のメインヒロインを演じていた!――


『ReLIFE リライフ』(実写映画版)

(2017年4月15日(土)公開)
(2017年7月29日脱稿)


 スマホ漫画が原作で、昨2016年夏にもカタカナ抜きの『ReLIFE(リライフ)』のタイトルで深夜アニメ化された作品(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160903/p1)が、早くも実写映画化。
 本作は27歳のニート青年が薬剤の臨床試験終了後の就職斡旋と引き替えに、某研究機関が開発した錠剤で見た目を10歳若返らせて高校3年生に編入し、世代間ギャップを感じつつも、級友たちの青春模様に巻き込まれていくといった作品である。


 一般に少年マンガの主役を務めるのは熱血明朗タイプと相場が決まっているけど、我々オタはそーいう性格とは真逆であり遠さを感じるからであろう、オタ系マンガやライトノベルや深夜アニメにおいては、ニートや引きこもり、もしくはそれらに準ずる性格類型の人種が主役を務める作品が近年では多い。それが不健全だと糾弾したいのではなく、むしろ彼らに近しい性格である筆者は、現今のぶっちゃけた風潮をむしろ好ましく感じているけれど(笑)。


 本作では27歳のニート青年に加えて、メインヒロインに黒髪ロングでコミュ力弱者の女子高生も配置。彼女は学力は高いけど気弱で(ひとり)ボッチで孤立していて、勝ち気なサブヒロインとの不和&和解も軸となる。


 深夜アニメ版の中後盤では、ニートであったコンビニ・バイト店員時代も現在の高校生生活でも、顧客や級友たちに対して気配りができて実に面倒見のイイ主人公青年が、なぜにニートに成り下がったのかが明かされる。
 大学院卒なのに不況でブラック企業に勤めざるをえず、デキる女性営業マンの先輩は品性下劣な野郎の同僚たちの度重なる小細工や上司のパワハラで心を病んでついに会社で自殺(!)。ブチ切れた主人公は辞表を叩きつけるものの、新卒数ヶ月で退職した彼の再就職はままならず、自信喪失に陥っていく……。


 このへんのシビアな一連も、1クールアニメのシリーズ後半の点描でならばともかく2時間しかない映画に盛り込むとなると、重たすぎるからオミットするだろうし、それでイイのだろうとも思っていたのだが……。
 深夜アニメ版では姉御ボイスの沢城みゆき嬢が演じていたこの先輩社員を、大ヒット怪獣映画『シン・ゴジラ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160824/p1)の理系官僚・尾頭ヒロミ(おがしら・ひろみ)役での記憶も新しい市川実日子(いちかわ・みかこ)が演じていて驚き。さすがにその当の現場は目撃しなかった設定に改変されて、ゆえに主人公がネクタイを締められないというトラウマ(心的外傷)も省かれていたけれども。


 筆者も人生途上で、誰かスケープゴートを作ってその人物の悪口で結束を図って自身の優位も保とうとする上司や同級生、下請け会社の納期の遅れを電話越しに罵倒し続けるパワハラ管理職、気弱そうだったりメガネのガリ勉クンを見ると無意識に嗜虐心を刺激されるのか執拗に責め続けるヤンキーDQN(ドキュン)社員、煙(ケム)に巻くアドバイスで新人を惑わせて周囲に自分を高く見せようとする虚栄的な社員、合理的な教育ではなく「盗め!」などの「雑巾がけしろ」レベルの前近代的な指示だけして仕事をした気になっている同僚などを見掛けてきた。
 放心時にはコレらをふと思い出してしまい、怒気を瞬間沸騰させている(笑)。なので、このテの描写には怒りと同時に心も痛む。


 底の浅い善人はそれらを「制度悪」や「政治悪」のせいにする。しかし、筆者は違うと思う。コレは「人格悪」や「性格悪」である。全人類の7~8割は後天的によらず先天的にすでに下劣であり、「法律」や「世間体」がなければ他人などお構いなく「私的快楽」に走る、「仲間以外は皆風景」で、真の意味での「公共心」などはナイ輩なのである(笑)。
 大変残念ながら、善良なヤツほど概して弱くてヤリ玉にされている。女児向けアニメ『美少女戦士セーラームーン』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)や『プリキュア』シリーズ(04年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191107/p1)ではナイのだから、「至誠」は相手に通じるなんぞの「キレイごと」などは信じないで、下劣な輩の良心になぞは期待せずに、不器用な善人たちは最初からキズ付けられないようにバリアを張っておいてノラリクラリと立ち回るべきだとつくづく思う。


 全人類が一挙に同時に「徳義」に目覚めることなどナイ以上は、40人学級に1人の割合で深夜アニメ『琴浦さん』(13年)における真鍋(まなべ)クンのような良心のみならず胆力&話術も兼ね備えた子を育成して、啓蒙専制君主(笑)として教室や職場を公平に統治してもらいたいけど、40人に1人ですら素質のある人間の確保は困難かナ?(汗)


 ところで、深夜アニメ版も良作だったと私見するけど――萌え作品とか腐女子向け作品ではナイので売上的にはイマイチでも――、70年代の懐かしビッグタイトルでもないのに、最近では良作の近作が続々とフットワークも軽く、旬の若手俳優を使ってデートムービー的に実写映画化されており、オッサンオタク的には隔世の感がある。
 この風潮をミーハーだと嗤(わら)う意見もあるようだけど、それは実に近視眼的で浅薄な見方だ。70~90年代の若者向け邦画の絶望的低調に、往時の心あるスレた映画マニアたちが、当時の陰気でビンボーくさい邦画を一部の映画マニアのみならず一般層やデート客をゲットできるようにブランド価値を上げるためにはドーすればイイのかについて議論を繰り広げてきた歴史を知らない愚論でもある。


 やはり映画やジャンル作品も、文芸批評史などと同様に、評論や論争の歴史をウィキペディア化して、誰でも参照可能な蓄積とし、過去に繰り返されたり乗り越えられて解決してきたハズの案件を、無知ゆえにループする愚行を回避して、その先の次なる高次なステージの議題へとすぐに近道・ショートカットで進めるようなインフラ基盤を整備できないものなのか?
ReLIFE リライフ

ReLIFE リライフ

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ReLIFE リライフ [DVD]
ReLIFE リライフ 豪華版 [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.79(17年8月12日発行))


サクラダリセット 前篇/後篇』(実写映画版)

(『前篇』2017年3月25日(土)公開)
(『後篇』2017年5月13日(土)公開)
(2017年7月29日脱稿)


 この2017年4月から深夜アニメ化されることは知っていたけど、一応オタ系のジャンル作品なので、マイナー悪食(あくじき)の筆者としては実写映画版のこの前後編も鑑賞してみた。


 舞台は山近き郊外で、多摩あたりの小ギレイな新興住宅地を関東人としては想起させる「サクラダ」という街――テロップによれば、ロケ地は三重県四日市市のようだけど――。そこは実は様々な超能力者が住まう街でもあった。


 メインキャラは男子高校生ひとり&女子高生ふたり。3人ともに血液温度が低そうな(笑)、熱血バカ度は皆無のマジメかつ理知的でクールなキャラクター。もちろんクダケた若者言葉なぞは一切使わず、年齢不相応にも普段から上品な丁寧語を使い、話は長いけど物事を順序立てて理路整然と分析チックにしゃべっている。


 この3人のうちでも最もオボコそうな、黒髪ショートで小柄な制服女子高生が「リセット」と呟くや、全世界(全宇宙?)が数日前に巻き戻る超能力を持っていて、その「力」を「小さな人助け」に使ううちに、この街の「大きな秘密」に迫っていくというストーリー。


 こう書くと、年輩オタク的には同じ1日を何度も繰り返す、日本ジュブナイルSF小説の半世紀前の古典『時をかける少女』(65年)の何十本目だかの既視感あふれる亜流であると認知する。と当時に、悪い意味ではなくやはり似て非なるモノに成り果てていて、隔世の感もいだく。それはやはり、90年代のオウム真理教事件や新々宗教の隆盛以降というべき事態なのであろう。


 本作にかぎった話ではナイけれども、近年のこのテの作品では超能力がなぜ存在してどんな「原理」に依拠しているのか? といった疑似科学・SF・オカルト的な設定はヤバいと目されてかなされない。超能力は何でもアリではなく、時間・回数・目的などの制限ルールがあって、その範疇での知謀を尽くしたゲーム的攻防に作品中の「論理」が駆使されて、「超能力の源泉」への「論理」的興味は煙に巻かれている。


 超能力自体も古典的なそれではナイ。


・前述した「時間を巻き戻す能力」
・「巻き戻されて無かったことになった時間世界での記憶を保持する能力」
・「写真を破るとその写真の中の世界に入れて、被写体とも短時間会話ができる能力」
・「相手の記憶を1回だけ改竄できる能力」
・「自分の身体の『部位名』と相手や対象の『部位名』や『能力名』を連呼すると、自分の特定『部位』でふれた先の物質を消滅させたり、相手の能力をキャンセルできたり、果ては重力まで無効にして宙高くジャンプできる能力」(笑)
・「ある人物の超能力を別の人物にコピーできる能力」


 さらにはそれらを複数組み合わせて、写真の中から死者を甦らせもする!


 個々の能力の原理はバラバラだから、ここまで来ると一休さんのトンチのごとき言葉遊びでしかナイとも思うけど、作品が醸し出す硬質で知的なフインキが、この作品を安っぽく見せずに高尚に見せることには成功していることを、悔しいけれども認めざるをえない。


 とはいえ、巨大ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)に対して「ナゾ解き」や「性格弱者の実存の投影」に邁進していた20世紀のオタとは異なり、リメイクの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ(07年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110827/p1)ではそのへんの内面的葛藤を「華麗にスルー」(汗)してしまう、いわゆる「動物化」して久しい21世紀のオタの多数派が、本作のごとき硬質な作品のナゾ解きに執着するとはとても思えない。


 なので、「動物化」=「ベタな萌えオタ化」に抵抗があるのであろう、今では少数派の生真面目インテリの気があるオタク青年クンだけが、本作に執着しているとも憶測する。
 まぁ実写映画化&2クールアニメ化される程度には原作小説もヒットしたのだろうけど、制服姿のさわやかな高校生男女たちが居並ぶキービジュアルで明朗な青春映画のように誤解させた「前篇」は、売上的には爆死して2週で打ち切り。「後篇」も館数を減らして当初から2週上映となったほどだから、アニメの円盤売上も苦戦必至であろう。
 筆者も本作の衒学的(げんがくてき)な内容にプチ反発がナイでもないけれども、水に落ちた犬をさらに叩く趣味は毛頭ナイし、誰も擁護しそうにないRDG、レッド・データ・ガール(笑)な絶滅寸前危惧作品の本作を、天邪鬼の筆者は擁護したいと思うのだ(汗)。


 この作品は、熱血ヤンチャになれない性格類型の内心のナイーブさや潔癖を、自己憐憫したり自己陶酔することなく、知的なポーカーフェースで武装して隠して処世することを勧める作品でもあるのだろう(!?)。
 世間に媚びず、世俗の凡人たちにある「虚栄心」や「色恋」に「悪意」などの人情の機微には疎いロボットのような「リセット少女」のピュアさを愛でつつも、それではヒト・人間として不充分なことから、事のついでに人間的な感情も教えていこうとしつつも、それが同時にピュアさも毀損する二重性に自覚的である主人公少年クンともうひとりの少女の達観。この一点があるだけでも、筆者は本作のことをキライになれない――結局は筆者も感情・好悪で発言しちゃうけど(笑)――。


 原作信者の見解は知らねども、TVアニメ版と比してもこの実写版は、2本の映画に再構成しつつもよくぞ膨大な要素&登場人物をほぼそのまま残したとも感心。「前篇」は人物紹介もあるだけに説明的だけど、おそらくTVアニメの第2クールに相当する「後篇」が特にお見事。ちなみに「前篇」は加賀まりこ、「後篇」は及川光博といったメジャー系の役者が重要な役どころを演じている。
サクラダリセット 後篇

サクラダリセット 後篇

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サクラダリセット 前篇
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サクラダリセット

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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.79(17年8月12日発行)~特撮同人誌『仮面特攻隊2018年号』(17年12月30日発行)所収)


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ザ・ボーイズ & ブライトバーン ~超人ヒーローに強者の傲慢や増長、生来の不徳義や凶暴性を仮託した2作!

『ガーディアンズ』 ~酷評のロシアのスーパーヒーロー集合映画を擁護する!
『アベンジャーズ/エンドゲーム』 ~タイムパラドックス&分岐並行宇宙解析!
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 2020年9月4日(金)からアンチ・ヒーロー洋画『ザ・ボーイズ』シーズン2がアマゾン・プライムで配信中記念!
 2020年10月2日(金)早朝にアンチ・ヒーロー洋画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』がBS放送・WOWOWにて再放送記念!
 とカコつけて……。『ザ・ボーイズ』シーズン1&『ブライトバーン』(共に19年)評をアップ!


『ザ・ボーイズ』シーズン1・『ブライトバーン/恐怖の拡散者』 ~超人ヒーローに強者の傲慢や増長、生来の不徳義や凶暴性を仮託した2作!

(文・くらげ)
(2019年12月19日脱稿)

『ザ・ボーイズ』シーズン1

(2019年7月26日配信)


 アマゾンプライムのオリジナルドラマですが、非常に面白かったので紹介します。とはいえ配信が2019年7月なのでとっくに見てる人もいると思いますが、地味なタイトルにヒーローものと気付かずスルーした人も多いと思うので(自分もそうでした)。
 第1シーズンは8話しかないので見始めたらほとんど1日でイッキ見してしまうはずです。2020年にはシーズン2の放映も決定なので今のうち予習しておきましょう。


 空を飛び目からビームを出す。超高速で走行する。深海に潜り魚と会話する。光を操り透明になる。そういうどこかで見たような超能力を駆使するヒーローが当たり前に存在するアメリカが舞台ですが、ここに登場するヒーロー達は人格に問題のあるクズばかりです。
 人類を腹の底から蔑視し、超能力を悪用して欲望のままに振舞いながらメディアの力で聖人に祭り上げられているヒーロー達。


 考えてみれば空が飛べたり目からビームを出せるだけでも相当の悪事が出来るはずで、それでもヒーローなら善良なはずと信じる我々の方が虫がいいのかも知れません。人格に問題のある超人ならヒーローでなく「ヴィラン=悪役」になりそうですが、このドラマの超人たちはあくまでも「ヒーロー」です。ヴィランならいずれはヒーローに倒されて退場するでしょうが、ヒーローがクズなら手のつけようがありません。


 そんな理不尽な彼らに敢然と立ち向かうのがヒーローに恨みを持つただの人間たち“ザ・ボーイズ”です。地味そのもののタイトルはこの物語の主人公が何の力もない男たちであることを示しています。


 物語の発端はオーディオショップで働く平凡な青年ヒューイ・キャンベル(ジャック・クエイド)が、将来を誓い合った恋人のロビンをヒーローとの衝突事故で失うところから始まります(余談ですがこのジャック・クエイドの父親は性格俳優ランディ・クエイドで、母親はメグ・ライアンだとか。80年代は遠くなりにけり)。


 たった今まで話をしていた恋人がヒューイの目前で血と骨の飛沫に変わる描写がエグ過ぎて、このドラマが18禁であることを改めて思い知らされます。暴走するヒーローを例えばスーパーカーに乗ったアメリカン・セレブに置き換えれば現実にあり得る状況で、要するに善良な一般庶民が住む世界とは違う世界の人間に生活を奪われる悲劇です。


 すかさずヒューイの前に代理人を名乗る弁護士が現れ、はした金よりはやや多い額の補償金で事を収めようとするあたりも分かりやすくて、つまりこのドラマにおける「ヒーロー」はハリウッドスターやスポーツ選手のように巨大なシステムの中で増長した人間の象徴でもあるわけです。補償金を前に揺れ動くヒューイの前に現れるのがFBIを名乗る謎の男、ビリー・ブッチャー(カール・アーバン)で、何故かヒーローを激しく憎むブッチャーがヒューイの復讐を手伝うと申し出ます。


 ここでちょっと背景を説明しておくと、この世界では娯楽産業がスーパーヒーローによって成り立っていて、映画やビデオゲーム、スポーツ中継やCM、テーマパークに至るまであらゆるポップカルチャーがヒーローに依存しています。その中で最も人気を集めるのが「セブン」と呼ばれる7人のスーパーヒーロー(ホームランダー、ディープ、Aトレイン、トランスルーセント、ブラック・ノワール、クイーン・メイヴ、スターライト)です。彼らを中心とする何十億ドルに及ぶヒーロー産業は「ヴォート社」という組織によってマネジメントされていて、ヴォート社は世界を牛耳る大企業となっています。まあ○ィズニーをイメージすればいいでしょう。


 そもそも最強の力を持った超人が、私欲も持たずボランティアのような弱者救済をする方が不自然なわけで、子供向けヒーローなら許されるとしても、あいにくこのドラマは18禁でその辺の描写がリアルです。カメラの前では立派なことを言って、その裏では新人の前でパンツを脱いで枕営業を要求したり、男娼をはべらせたり、麻薬に溺れたり、セクハラ・パワハラ何でもアリのグロテスクな人間模様が展開します。
 誰も止められない力を与えられた者は増長するという見地に立てば、ヒーローが人格者の方がむしろおかしいわけで、過去のヒーローものが目を背けてきた事実です。この悪趣味ともいえる作品に感じる一種の清々しさは、そうした欺瞞を身もフタもなく描くところですね。


 ブッチャーはヒューイのオーディオショップに現れ、「ヒーローを存在させるのは大衆の恐怖だ」と喝破します。大衆がテロや犯罪に脅威を感じるからヒーローを求めるのだと。店に陳列された乳母監視用のカメラ付きテディベアを手にとってブッチャーが言います。


アメリカで子供を虐待する乳母が何人いる? 1%もいないだろう。だがこのカメラは10億ドルも売れてるんだ」


 大衆の不安を盾にとって何が起こるかを的確に表すシーンです。最後まで迷っていたヒューイですが、ブッチャーに連れていかれたヒーロー専用のクラブでロビンを殺したAトレイン(ジェシー・T・アッシャー)が彼女の死を肴(さかな)に爆笑しているのを見て復讐を決意します。


 こうしてヒューイとブッチャーに旧友のフレンチー(トマー・カポン)、マザーズミルク(ラズ・アロンソ)を加えた4人とセブンとの全面戦争が幕を開けます。
 弾丸を弾き返すスーパーヒーローを、果たして人間の武器で殺せるのか? が一つのテーマになっていて、例えば透明人間のトランスルーセントは皮膚はダイヤ並みに硬いけど内臓は人間と同じなので、スタンガンで気絶させて尻の穴から爆弾を突っ込むとか、あまりヒーローものでは見ないえげつない戦いが展開します。しかも戦う相手が悪ではなく正義の味方なので、だれの賛同も得られない孤独な戦いです。


 戦いの中でザ・ボーイズはヒーロー専用の麻薬「コンパウンドV」の存在を知るんですが、その出所を探るうち、この薬物がヒーローの誕生に深く関わっていると分かってきます。ヴォート社は70年代から新生児にポリオワクチンと偽ってコンパウンドVを与え、人工的なスーパーヒーローを世に送り出していたのです。軍との契約を望むヴォート社は反対する議員を次々とヒーローの力で殺害していました。ヒーロー達はショービジネスの世界にとどまらず、より大きな権力を手に入れようとしていたのです。


 スキャンダルとは無縁の完璧超人・ホームランダー(アントニー・スター)が中盤からその本性を表します。星条旗をプリントしたマントを付けた姿は明らかにスーパーマンがモデルですが、スティーブ・マーティン似のパッとしない白人男性が演じていて、まあ権力を持った白人の典型というリアリティなんでしょうけど、もう少しマッチョなハンサムをキャスティングすればいいのに。
 このホームランダーがハイジャックされた飛行機の救出に乗り込むんですが、ハイジャック犯を軽く皆殺しにして事件解決のつもりが、ホームランダーの目ビームが操縦席まで破壊してしまい、助けてくれと懇願する乗客たちを飛行機ごと見捨てるエピソードあたりからこの男の性根が見えてきます。ホームランダーにはかつてブッチャーの妻・ベッカをレイプした過去があり、ブッチャーの憎しみの源泉となったヒーローです。セブンの中で彼だけがコンパウンドVで作られていない天然のヒーローのようで、謎を匂わせます。


 中盤からザ・ボーイズに参加するのが紅一点のキミコ(カレン・フクハラ)で、名前は日本人なのにベトナム人のような生い立ちで、制作者が明らかに日本を勘違いしていることが分かります(笑)。キミコには家族ともどもテロリストに仕立て上げられた過去があり、どんな深い傷も直ってしまう治癒能力を持っています。彼女もまたヴォート社にコンパウンドVを与えられた能力者で、つまりヒーローとテロリストを作り出したのが同じ企業ということです。ここで先ほどのブッチャーの言葉が生きてきます。恐怖を与える者とそれを回収する者は同じなんですね。


 権力を持った者がより大きな力を手に入れ、力のない者を支配する。「病めるアメリカ」なんて言われて久しいわけですが、政治に軍隊、宗教にマスコミといったベールに包まれた権力の実態がネットによって暴かれその正当性を失う。あるいは正当性を失いつつもウソとやらせに満ちたメディアの力で存続し続ける。それが現代社会で起こっていることで「堕落したスーパーマンにただのオッサンが喧嘩を売る」このドラマのインディーズ精神は、そういう時代性から生まれたといえるでしょう。


 2020年に配信予定の続編にはホームランダーがブッチャーの元妻に産ませた子供が登場しますが、予告で見る限りサイコパスそのものといったクソガキに成長していて、こいつとホームランダーの親子がどういうゲスい活躍をするか今から楽しみです。
ザ・ボーイズ シーズン1

ザ・ボーイズ シーズン1

ザ・ボーイズ シーズン1

  • メディア: Prime Video


『ブライトバーン/恐怖の拡散者』

(2019年11月15日公開)


 育成失敗したクラーク・ケントが田舎町を恐怖に陥れるホラー版スーパーマンです。あっ、クラーク・ケントってスーパーマンの本名ですからね。常識と思えることも一応説明しておかないと最近は譬え話もできません。最近は若い世代に「スーパーマンって何ですか?」とか言われてもなるべく驚かないようにしてます。
 監督はデヴィッド・ヤロヴェスキーなる無名の新人ですが、映画のカラーは製作のジェームズ・ガンのものでしょう。今やマーベルとDCを股にかける大物監督ですが、元々はトロマ映画のB級からスタートした人で、ネットでの放言が過ぎてマーベルのアメコミ洋画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』(2022年以降公開?)の監督を降ろされかけたりにシンパシーを感じます。
 脚本はマーク・ガンとブライアン・ガン。要するにマーベルを干されたジェームズ・ガンが親族を集めて作ったファミリームービーです。


 2006年のある日、カンザス州の田舎町・ブライトバーンに隕石が落下します。タイトルの「ブライトバーン」は町の名前なんですね。カンザス州といえばスーパーマンの故郷のスモールヴィルの場所でもあり、ヒーロー誕生の聖地です。この隕石が実は宇宙船で、中から現れた赤ん坊が子供のいない夫婦に拾われるまではスーパーマンと同じですが、その赤ん坊が悪魔だったらどう落とし前をつけるかという映画です。あっ、悪魔というのは比喩であって、本当には悪魔じゃないですからね(もうええわ)。


 子宝に恵まれなかったトーリ(エリザベス・バンクス)とカイル(デヴィッド・デンマン)のブライヤー夫妻は、得体の知れない赤ん坊を天の贈り物と信じ喜んで育てます。ブランドン(ジャクソン・A・ダン)と名づけられた赤ん坊は、両親の愛情を一身に受けスクスクと成長します。見た目こそ人間と変わらないブランドンですが、ある日草刈りを頼まれたブランドンは草刈り機を100メートルくらい放り投げるスーパーパワーを発揮し、回転するブレードに巻き込まれても傷一つ負わない自分の頑丈さに気付きます。ブランドンは確信します。「自分は特別な存在だ」と。


 ブランドンの変化は12歳の誕生日に、伯父さんのノア(マット・ジョーンズ)がプレゼントしてくれたライフルを取り上げた両親に対して「それを寄越せ!」と怒りをむき出しにするあたりから始まります。誕生日に銃をプレゼントするあたりがアメリカですね。強い大人への階段を登るプレゼントとしては悪くないと思うんですが、それで子供が人を殺したり、事故に遭ったりしたら贈った人は恨まれるだろうなあ。その他にもブランドンのベッドにエロ写真が隠してあると思ったら人体解剖図や死体写真だったり。生まれて一度も出血したり傷ついたことのないブランドンは、血や内臓に異常な関心を示します。他にもノートいっぱいに「世界を手に入れる」と電波系のラクガキをしていたり、親を心配させる出来事が続きます。


 自分を特別な存在だと思ったり、ノートに電波な落書きしたり、死体写真でニヤニヤくらいは思春期には誰でもあるでしょうが、ブランドンを猟に連れ出したお父さんが「チン○をいじるのは恥ずかしいことじゃない」みたいなさばけた助言を与えてもブランドンはどこ吹く風です。両親がいくら愛情を注ごうと暴走していくブランドンは止まりません。近所に住むクラスメイトのケイトリン(エミー・ハンター)の寝室に侵入したり、スーパーパワーを生かした悪事のし放題です。まあスーパーヒーローだって思春期もあれば反抗期もあるでしょうが、ブランドンの場合は全てが最悪に転んだケースですね。


 ある日ブランドンは体育の授業で“トラストフォール”という組体操をさせられます(ここは妙にリアリティがあって製作者の誰かの実体験だと思うんですが)。一人の子供を他の子供がぐるりと囲んで、倒れる一人を他のみんなが受け止めることで信頼を深めるというものなんですが、故意であろうと過失であろうと受け損なえば生涯残るトラウマとなるリスクを伴う諸刃の剣です。
 学校というのは時に余計なアクティビティを考え出しますね。案の定ブランドンは失敗して地面に叩きつけられ、助け起こそうとしたケイトリンの手をスーパーパワーで握りつぶしてしまいます。学校に抗議に来たケイトリンの母親を逆恨みしたブランドンは彼女を勤務先のレストランで襲い拉致します。このお母さんがどうなったかは後で明らかになりますが、残されたケイトリンがどうなったかは語られません。スーパーパワーの変態に目を付けられたのが運のツキですね。


 次に犠牲になったのは銃をプレゼントしてくれたノア伯父さんでした。スクール・カウンセラーでもある奥さんを狙われたことでブランドンの正体に気付いたノア伯父さんを襲い、車ごと宙高く持ち上げ、地面に叩きつけます。激しくハンドルに叩きつけられたノア伯父さんの顔面は砕け、病院で息を引き取ることになります。ノア伯父さんは最期にブランドンの正体を誰かに伝えたかったはずですが、きっと喋れなかったんでしょうね。あの状態じゃ……


 兄を殺された義父・カイルは、葛藤の末ブランドンを自らの手で始末する決心をしますが、何しろ相手はスーパーマンです。後頭部に銃弾をお見舞いしても死ぬどころかちょっと痛かったくらいにしか感じません。カイルの殺意を確信したブランドンは目ビームで逆襲し、ためらいもなく育ての父の頭に風穴を開けます。遂にはブライトバーンの警察がブランドンの家に押し寄せ、銃撃戦が始まります。一人また一人と肉塊に変えられていく警官たち。田舎の警察ではブランドンのスーパーパワーの前に歯が立ちません。一人残った義母・トーリがブランドンの弱点に気付きます。彼を運んできた宇宙船の部品ならば彼を傷つけられる。これはスーパーマンの弱点が故郷クリプトン星のかけらだったのと同じで、同じ世界の物質の前には無敵ではない、という理にかなった弱点です。


 最後に母親に向かって「いいことをしたい」と言ったブランドンの言葉に嘘はないのかも知れませんが、ここまで話がこじれたら手遅れです。「あなたは本当はいい子なの」と最後まで信じた母親・トーリは、ブランドンの手で上空数千メートルから墜とされあえない最期を遂げることになります。ブランドンは行きがけの駄賃のように上空を飛ぶ旅客機をブライトバーンの町に墜落させ、事件の証拠を町ごと消滅させます。焼け野原となった町に一人生き残ったブランドンは、飛行機事故で両親を失った気の毒な子供として救助されるのでした。


 この話が救いがないなあと思うのは、ブランドンが歪んでいく原因は愛情の欠如とかじゃないんですね。生まれつき凶暴な生き物が、宇宙船が発する信号で本性を現すだけなんです。冒頭で登場する蜂のエピソードが象徴するように、人類はミツバチでブランドンはスズメバチというだけで。いわばブライヤー夫妻は宇宙人養子ガチャで「ハズレ」を掴まされたわけですよ(「アタリ」はスーパーマンですね)。
 エンドロールで後日談が語られます。ブライトバーンの町に現れた謎の影が世界中を破壊し何百万の死者を出していると。ブライトバーンは恐怖の超人の名前となり、ブランドン・ブライヤーのイニシャルを現すB・Bのシンボルは恐怖と破壊のシンボルとして世界中から恐れられるようになるのでした。


 自分の育てた子供が手に負えない乱暴者だったら親はどう落とし前をつけるか、という洋の東西を問わない普遍的な物語であると同時に、70年代を知る人間には『スーパーマン』(1978)と『オーメン』(1976)をミックスしたような映画に感じました。というわけでこの映画は「天国のリチャード・ドナーに捧げます……」ってまだ生きてるよ! あっ、リチャード・ドナーというのは『グーニーズ』(1985)とかの監督で……あとは自分で調べてください(笑)。
ブライトバーン 限定スチールブック [Blu-ray リージョンフリー 日本語有り](輸入版) -Brightburn Limited Steelbook-


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年号』(19年12月28日発行)所収『ザ・ボーイズ』『ブライトバーン』評より抜粋)


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#ザ・ボーイズ #ブライトバーン #恐怖の拡散者



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