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ヒーリングっど♥プリキュア終盤評 ~美少年敵幹部の命乞いを拒絶した主人公をドー見る! 賞揚しつつも唯一絶対の解とはしない!?

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 『ヒーリングっど♥プリキュア』(20年)のTOKYO MXでの週1の再放送が終了間際! とカコつけて……。斯界を騒がせた『ヒーリングっど♥プリキュア』終盤評をアップ!


『ヒーリングっど♥プリキュア』終盤評 ~美少年敵幹部の命乞いを拒絶した主人公をドー見る! 賞揚しつつも唯一絶対の解とはしない!?

(文・T.SATO)
(2021年5月7日脱稿)


 女子中学生が変身した魔法少女ヒロインが、ポップな色彩・デザインの怪獣怪人を倒してみせる、女児向けアニメシリーズ第17作。


 スーパー戦隊シリーズや平成仮面ライダーシリーズ同様に、長命な歴代シリーズとしての何らかのイメージの統一性は必要だ。しかし、それだけでもワンパターンと化して、子供たちに飽きられて、かえって卒業を早めてしまう可能性もある。
 作り手たちもキャラクターデザインや各話のネタが、そして何よりも創作のモチベーションが枯渇してしまうからだろうか? 近年では、「花嫁」・「魔法」・「料理」・「チアガール」・「宇宙」だのと、各作の主題なり副主題・サブモチーフを明瞭化して差別化を果たしてきた。


 各作のモチーフの選定自体は、玩具会社・バンダイ側での玩具デザインのコンセプトの方が主導だろう。しかし、モチーフに劇中内での「必然性」を少しでも持たせるための「作劇」や「作品テーマ」は、もちろんTVアニメ側のメイン監督&メインライターといった文芸陣の裁量の範疇だろうが、各作ごとにそれらの構築がキチンとできてもいた。


 本作『ヒーリングっど♥プリキュア』は、「看護士(看護婦)」=「看護」=「医療」がメインモチーフとなっている。よって、敵側の設定はその対極となる「病原菌」がモチーフであって「ビョーゲンズ」と命名(笑)。
 子供向け作品にふさわしい駄洒落ネームがユカイだけど、奇しくもちょうどコロナ禍となってしまった2020年の世相とも符合している。ただまぁ、それゆえに本作が優れているのだ! なぞといった、縁起担ぎかジンクスのような、一見は批評的な装いでもオカルト的な作品擁護なぞは筆者はしないけど(……イヤミ)。


 いやホント、「褐色肌の混血」や「宇宙人」に「アンドロイド」のプリキュア戦士までもが登場したから、「ダイバーシティー(多様性)」だ! とか、「美少年」がプリキュア戦士になったからといって、「ジェンダー」的にもドーコーなどなどといった、各話の「作劇の出来の巧拙」などではなくって、扱っている題材が「PC(ポリティカル・コレクトネス)」に沿っていて「政治的に正しい」から即、本作をはじめとする『プリキュア』シリーズが作品的にも優れているのだ! などといった論法の跋扈は実に不快ですらあるのだ(笑)。


 それじゃあ、「デブ」や「ブス」や「ブ男」のプリキュアも出してみろ! もっとさらに左翼・リベラル・ポリコレな連中が、プリキュアの敵である怪獣怪人とのアクションで多用されている猛烈なパンチやキック! そもそも、善と悪との「戦い」、つまりは敵国や敵民族を仮想認定した構図を採っていること自体がダメなのであって、害毒ですらあるのだ! などといった批判を加えはじめたならば、反論ができなくなってしまうゾ!(汗)


 特撮の製作会社・円谷プロダクションがいかに「平和を訴えたエピソードなのだ」と主張しても、「話し合い」ではなく「戦い」の構図を採っている時点で、往年のTV特撮『ウルトラセブン』(67年)の放映禁止に追い込まれた欠番である第12話「遊星より愛をこめて」についても認めない! といった、「被爆者団体」の1970年の時点のクレームにおけるロジックを論理的にも乗り越えないかぎりは、同じような各話単位での放映禁止や作品自体の封印といった事態が未来にも起こりえることだろう(爆)。


 まぁ、筆者個人は「無抵抗・非暴力」の「絶対平和主義者」ではないし、その発動には厳密な要件を有するけど、時と場合によっては「物理的」な「反撃」や「攻撃」についても容認する立場なので、そんな批判なぞは脅威にも思わないし、歯牙にもかけないのだけど(笑)。


 とはいえ、「物理的」な「反撃」や「攻撃」を容認するからといって、一応のカッコつきの「悪」であっても根絶してしまえばイイのだとは思ってはいないし、一応の「悪」の根絶によって物事が解決するとも思ってはいない――そもそも根絶自体が不可能でもある――。


 「小さな悪」程度の存在や行為であれば、許容・包摂してあげて、世間の少々の猥雑さについては許容をすべきだとも思っているのだ。


 その伝で、本作『ヒーリングっど♥プリキュア』は、憎めない「小さな悪」程度の存在である「病原菌」なり「ウイルス」であるならば、体内にも大量ではなく少量は取り込んで包摂してみせて「ワクチン」化もすることで、実は「排他的ナショナリズム」「純粋血統主義」などにも通じていく可能性もある過度な「清潔」志向や「潔癖」志向の賞揚なぞではなくって、「小悪」程度であれば許容してソレらとも共存・共生をしてみせるような「タフさ」の賞揚! といったことを物語のオチとしてみせる可能性なども、モチーフ的にもメイン監督・池田洋子やメイン脚本・香村純子なども一度は構想したり、脳裏に思い浮かべていたこととは思うのだ(……多分)。
――「悪」を許して「改心」させるといったストーリー展開は、往年の『美少女戦士セーラームーン』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)第1部の第3クールから始まる、今や定番でもあったのだし――


 ……ところが! 「改心」の可能性を示して、「救い」&主人公少女の「体内での共生」(!)を求めてきた悪の美少年幹部・ダルイネンを、本作の主役プリキュア少女こと、花寺のどかは懊悩の末に拒絶してみせた!


 そう来たか!


 まぁ、『プリキュア』シリーズ史上では初だったとしても(?)、コレもまた


フェミニズム」や「反差別」の文脈で、「『女性』や『黒人』が泣き寝入りをせずに、『男性』や『白人』に『No』や『抵抗』を唱えよ!」


といった文脈との合致によって、賞揚される恐れもある。


 しかし、無制限に「悪」を「包摂」するのも間違いではあるだろうし、ある許容範囲の範疇の中での「包摂」でしかないのも、神ならぬ身の人間の事実であり限界でもある。


 だから、特に気持ちが優しすぎるがゆえに「悪」に付け込まれて、喰いものにもされてしまうような性格類型の人間たちに対しては、局所的には絶対的に必要な「No!」ではあったり、悪人に対しての必要な「疑念」や「老獪」な立ち回り方でもあったのだ!



 とはいえ、本作で描かれた「悪」への対処方法は、唯一絶対の「解」ではないとも思うのだ。


 無限背進してハシゴ外しをしていけば、


●自分がイヤなことでも、そのように伝えることは「相手に対して悪い」と思ってしまって、本人を目の前にして「No!」だという拒絶をハッキリとは云いにくくなってしまうような、主役プリキュア個人の性格!
●一見は改心したようでも、実は相手の弱みに付け込もうとしているズル賢さを捨て去りきれない、生まれつきの性悪な性格も残っている美少年幹部!
●実はプリキュアになる以前の幼少期からの大きな「痛覚」とともにあった入院生活の根源は、この美少年幹部が体内に潜んでいたゆえ!


といった組合せで、この「解」が成立するのである。


 美少年幹部にガチで改心の兆しがあって、今後は寄生先の主人公少女の肉体を苦しめないし、今は衰弱している美少年幹部が回復したあとでも悪事を一切しない! と本心から誓った場合には、本作での「解」は成立しないのだ。


 加えて、本作の「解」の弱点を云ってしまえば、のどかのような性格弱者にとってはこの処方が有効ではあっても、他人や弱者に対する共感性には乏しくてナチュラルにイジワルや差別をしてくるる圧倒的大多数の庶民・大衆(汗)にとっては、そういった行為を自己正当化できてしまえる「No!」にもなりかねない危険性があるのだとも思えるのだ!(爆)


 歴代の明るくて元気な主役プリキュア少女たちをも見ればわかる通りであって、彼女らや庶民・大衆の大勢は、特に威圧的な権力者の教育などにもよらず、性格的に呼吸をするように


「イヤだ、キライだ、メンドウだ、気持ちが悪い」


などと「No!」を云えることが普通なのであって(笑)、ワザワザ「No!」も云えるようになろう! などと教え諭すようなことでもナイのだろう(汗)。


 そーいう意味では、悪の美少年幹部を救わなかった本作を過度に持ち上げ、悪をも救った従来の『プリキュア』や『セーラームーン』シリーズを過度にディスる向きにも組みしない。


 それらが相矛盾する異なるオチだと認識しつつ、いずれのオチにも「理」を認めて肯定をしたいのだ。


――その一方の極北には、将来的にも「絶対平和」は決して到来することがなく「悪」が不断に発生する可能性も承知の上で、「悪」を完全撲滅した先の静的で管理社会的な千年王国の到来の肯定・歓迎なぞではなくって、「試行錯誤の自由」を、引いては「小さな悪」程度であれば「愚行の自由」すらをも認めて、しかもそれを認めることによって、将来的には原理的に生起してしまえる「大きな悪」と、その「戦い」にまで「許し」を与える「大慈悲の境地」を描いていた、『セーラームーン』最終作『セーラースターズ』の原作マンガ版ではなくミュージカル版(オイ!)が到達していた感涙の高邁なる境地なども挙げておきたい――


 そして、そーいった「弱点」や「懸念」があるという「条件付け」をして、「万能な唯一解」ではないと重々強調した上でなお、窮状を訴えてきた敵の美少年幹部を本作の主役プリキュアが懊悩の末に拒絶して、その後もそのことが正しかったのかについて引きずる一連、そしてそれを断ち切る一連については、高く評価をしたいのだ。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.79(21年5月30日発行))


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ようこそ実力至上主義の教室へ』1期・総括 ~コミュ力弱者がサバイブするための必要悪としての権謀術数とは!?

(2017年夏アニメ)
(文・久保達也)
(2017年11月4日脱稿)


 『僕は友達が少ない』(09年・11年に深夜アニメ化・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201011/p1)や『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。』(11年・13年に深夜アニメ化)などの、


コミュ力弱者の男子高校生
●クールな性格で黒髪ロングのメインヒロイン
●キャピキャピした可愛いサブヒロイン


といった、鉄板(てっぱん)・アリガチなキャラクターシフトを据えた、いわゆる「(ひとり)ボッチアニメ」をベースにした、ライトノベル原作(15年)の深夜アニメ(17年)である。


 しかし、『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。』深夜アニメ第1期の終盤(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)、学園内でのボッチ主人公の知謀を尽くして自己犠牲的でもあった暗い戦い方の結末の神懸かった感動(!)にインスパイアされての発展型であろうか、ボッチでありながらも人知れずにウラ側で老獪に戦ってみせている、理想化されたスーパーヒーローなボッチを主人公として描いた作品でもある。



 「就職・進学先の希望が100%かなえられる」というふれこみの、日本政府が運営する屈指の名門校・高度育成高等学校が本作の舞台だ。


 生徒たちの態度や行動は、学内のあらゆる場所に設置された監視カメラでリアルタイムに逐一(ちくいち)に査定されて、その成績は1ポイント=1円として換算。毎月初めに生徒たちに電子マネーとして銀行口座に振り込まれる。
 外部と完全に隔離されてはいるものの、あらゆる商業・娯楽施設が整備された学内において、生徒たちはそのポイントを金銭代わりにして日々の生活を過ごしている。素行が悪い者が多いと判断されたクラスはポイントがマイナスとなり、その翌月は連帯責任として0円で生活せざるを得なくなるのだ。


 1学年は「A」~「D」の4クラスで構成されており、3年間を通じてクラス替えはない。「A」~「D」は学内におけるカースト制度の位置をそのまま表(あらわ)しており――本作の主題歌タイトルはそのものズバリ『カーストルーム』だ!――、「Aクラス」は優秀、「Dクラス」はクズの集団(汗)として、入学の時点ですでに判断されていたのだ。


 「希望する進路を100%保証」という話は、実際には「Aクラス」の生徒のみに与えられた特典にすぎず、学校独自のシステム・制度を、世間がロクに理解していないだけであった。厳しい現実を叩きつけられた生徒たちは、個人間・クラス間で激しい蹴落とし合いを日夜、繰り広げることとなるのだ……


●コミュニケーションが苦手な(ひとり)ボッチで、やさぐれた雰囲気である主人公青年・綾小路清隆(あやのこうじ・きよたか)
●クールな性格の黒髪ロングヘアで、やたらと上から目線で、小中学校の9年間をずっとボッチで過ごしてきた(爆)という、メインヒロイン・堀北鈴音(ほりきた・すずね)
●誰に対しても愛想がよい茶髪ショートボブヘアであるサブヒロイン・櫛田桔梗(くしだ・ききょう)


 こういったキャラシフトは、いわゆるボッチアニメにかぎらず、学園を舞台にした近年のオタク向け深夜アニメに多く見られる傾向を、ウケるだろうからとそのまま踏襲(とうしゅう)したものではある。


 日本政府が運営する高校や、ポイント制で生徒たちを管理・競争させる「S(エス)システム」といった設定は、実に「非現実的」だ。
 ボッチの少年・クールな黒髪ロングのメインヒロイン・キャピキャピしたセカンドヒロンといったキャラシフトも、「記号的」ですらある。
 しかし、そこで描かれる風刺的な世界観や登場人物たちの心情は、極めて「現実的」なものであった。


 本作の監督は2010年代以降、毎年数作はコンスタントにあまたの作品の監督を務めつづけている、直前の2017年春季でも文学好きの少年を主人公に据えた純愛路線の原作なしのオリジナルの深夜アニメ『月がきれい』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220724/p1)といった佳作良品を仕上げていた岸誠二が担当している。


 だが、今回はその『月がきれい』とは、まさに対極に位置する作風と世界観だといった印象が強い。


 第1話の冒頭は、本作のテーマでもある「スクールカースト」に対する皮肉を利かせて、かの福沢諭吉による「天は人の上に人を造らず」を語る、主人公青年・綾小路のモノローグから始まる。


 主人公青年と父との関係をギリシャ神話のイカロスとダイダロスに例えてみたり、各話のサブタイトルが、たとえば、


●第5話『地獄、それは他人である。』
●第9話『人間は自由の刑に処されている。』


など、ニーチェサルトルといった古今東西の哲学者たちの格言・名言をそのままに引用しているなど、本作もまた『月がきれい』と同様に、やや知的で文学的な香りが濃厚に感じられるのはたしかだ。


 だが、『月がきれい』では登場人物の陰影で光が当たったハイライトの部分は白く飛ばして、人物や世界観の清潔感を強調する映像演出が施されていたのに対して、本作では逆に登場人物の表情をシャドーで覆いつくして、瞳だけが闇の中でギョロリと光るという、実におぞましい演出も散見されるのだ。
 登場人物が対面して会話するカットでロング(引き)を多用したり、第6話のラストで雨の夜に主人公青年と信号待ちする黒髪ロングのメインヒロインがずっと傘で表情を隠しているなど、人物の表情を見せないことで逆に視聴者にその複雑な感情、いっそ恐ろしい形相(ぎょうそう)を想像させてくる演出も実に多い。


 『月がきれい』では、主人公の文学少年とすでに交際していた陸上部のヒロインにフラれた同じ陸上部の男子が主人公にケンカをふっかけてみたりとか、ヒロインの親友の女子が主人公にフラれてもヒロインに嫌がらせをするなどといったことは実に皆無であった。ひたすらにさわやかな純愛路線を描くために、登場人物たちのあまりにダークな一面を露呈させることを極力排していたのだ。


 しかし本作では、『月がきれい』とは正反対に、大半の登場人物が悪意に満ちあふれている(汗)。


 本作のアニメ化では、


●第1話~第3話が、入学~1学期の中間テストを描いた原作ライトノベルの第1巻
●第4話~第6話が、「校内暴行事件」を描いた第2巻
●第8話~第12話が、無人島で行われる「特別試験」を描いた第3巻


に相当させた、3部構成となっている。


 なお、第7話は例によって例のごとく、美少女キャラたちの水着姿を描くための「箸(はし)休め編」であった。「女子高生・ナマ着替え盗撮計画」が主人公青年と黒髪ロングヒロインの活躍で阻止されるさまなどが描かれている。個人的にはこの第7話では、サブヒロインの着替え場面でのフェッティッシュなアングルに大満足させてもらったが(笑)。


 それでは、本作を各部ごとに振り返ってみたい。


*入学から1学期中間テストまで


 第1話の冒頭、バスの車内で誰ひとりとしてお婆さんに席を譲ろうとしない生徒たち(汗)の描写が、すでに本作の世界観を端的に物語っている。


●始業式を終えて教室に入るや、一同で「自己紹介しよう」と提案する、成績も人柄もよくてスポーツ全般が得意なサラサラヘアのイケメン青年で、まとめ役タイプの平田洋介
●「そんなもんやりたいヤツだけでやってろ」と悪態をつく、茶髪のパンチパーマで昔ながらのヤンキーチックな須藤健
●「誰とでも仲良くなれますオーラ」(爆)を自己紹介で発散しているサブヒロイン


 自己紹介で何ひとつ気の効いたことが云えずに、失敗したと自己嫌悪に陥(おちい)る主人公青年。


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 ツカミはOK。シリーズを通して主要な位置を占めることとなる登場人物たちを、短い場面で端的に描き尽くしているのは見事である。


 「入学祝い」として支給されたのかと思いこんで、主人公青年も属している「D組」の生徒たちが湯水のように10万ポイントを1ヶ月で散財したり、自由放任に見えた校風からか遅刻・内職・居眠りに明け暮れる「D組」の描写は実にリアルな感覚で描かれている。


 しかし、教室の扉が閉まる瞬間を視聴者目線で描いて、「ガシャーン!」と衝撃音を響かせる演出は、ラストの暗転の伏線として、充分に機能しているといえるだろう。


 翌月5月1日。ポイントが銀行口座に振り込まれないことを不審に思った生徒たちに、ダークブラウンの長髪を束ねたクールビュ―ティな担任の女教師・茶柱佐枝(ちゃばしら・さえ)が、あまりに冷酷な声で「Sシステム」の真実について語り出す。
 騒がしかった教室が一転して闇に包まれて幕となる第1話のラストは、視聴者に「つづき」を観ずにはいられなくなる効果を与えるには充分にすぎるものがあった。


 第2話。女教師が中間試験で赤点だった者は即、退学にすると告げたことで、本人のみならず退学者を出したクラスにはどんなペナルティが課せられのるかわかったものではない! と、初日にクラス全員の自己紹介を提案した平田が「勉強会」を開くことを提案する。しかし、よりにもよって劣等生の須藤・山内春樹・池寛治の3人はそれを断ってしまう!


 メインヒロインは主人公青年を学生食堂で最も高いスペシャル定食をおごることで、自身が開く「勉強会」に3人を連れてこさせようともくろむ。しかし、彼女の意図を警戒して、せっかくの定食を食べずに躊躇(ちゅうちょ)している主人公青年を


「どうしたの? 早く食べたら?」


とけしかけて、仕方なく一口を食っただけでイキナリ


「さっそくなんだけど」


と話を切り出してくる(笑)。彼女もまた主人公青年とも同様に実に計算高くて、恩に着せることで他人を動かそうとするような、少々ズル賢い性格であることが、このシーンで念押しされている。


ようこそ実力至上主義の教室へ 堀北鈴音


 しかし、そのワリには堪え性はないようだ。中学生レベルの「連立方程式」を解けなかった「勉強会」に来ていた須藤に「無知無能」(爆)と吐き捨てて、クラス全体で負わされる連帯責任を回避するという最終目的を忘れて帰らせてしまうような短慮ぶりも見せてしまう。
 しかも、3人を「勉強会」に連れてきてくれたサブヒロインのことを、そこに居合わせていることすらもが気に入らないという私情までをも語リ出す。


 そんなメインヒロインに、サブヒロインは可愛い声で、


「どうして敵をつくるようなことばかりするの?」


と当然のことながら問いかけてみせる。


きゃらスリーブコレクション マットシリーズ ようこそ実力至上主義の教室へ 2nd Season 櫛田桔梗(No.MT1371)


 それでも赤点となってしまった須藤(汗)。そんな彼の退学を阻止せんと、主人公青年は計略を働かせる。校舎の屋上でタバコを吹かしていた女教師に、合格点に1点だけ足りない須藤の点をポイントで売ってくれと掛け合ってみせたのだ。なぜなら、女教師が生徒たちに、校内ではポイントで買えないものはないと語ったからである。
 ここで、第1話冒頭の福沢諭吉の「格言」が伏線としての強い意味を持つことになる。主人公青年は女教師に「ルール=校則を平等に適用せよ」ではなく、「平等に適用されているように見えなければならない」と主張するのだ。


 女教師は主人公青年に一本取られたかたちとなり、須藤の退学は阻止された。


 ふだんは無能を装いながらも実はキレ者で、コミュ下手であるハズなのに、そこはフィクション補正・主人公補正で交渉能力には長けている。しかも、それを武器にして入手したテストの「過去問」や須藤の点数も、サブヒロインやメインヒロインの手柄にすることで彼女たちをクラスの英雄としてしまって、自身は決してオモテには出ようとしない本作の主人公青年の特異性が、この序盤ですでに描き尽くされているのだ。


 まさにオモテの仕事では昼行灯(ひるあんどん)だが、裏稼業は実は殺し屋であるという、テレビ時代劇『必殺』シリーズ(72年~)の主人公・中村主水(なかむら・もんど)を彷彿(ほうふつ)とさせる主人公青年のキャラ造形になっている。


 しかし、意外性や二面性を持たされているのは主人公青年だけではなかった。第3話のラストでは、他でもない主人公青年自身が、愛想がよくてキャピキャピとしているだけで毒にも薬にもならないウスっぺらな人物なのかと思わせてきたサブヒロインのウラの顔を偶然に覗き見てしまって驚かされることとなるのだ!


 クラスで孤立していた黒髪ロングのメインヒロイン・鈴音を誰よりも気にかけて、友達になりたがっているハズだったサブヒロイン・桔梗が、夜の人工島の湾岸エリアにフラリと出掛けていって、鈴音のことを評して、


「ああ、ウザ!」
「最悪! 最悪!!」
「死ねばいいのに!!」


などと罵倒しながら、フェンスを激しく蹴りつづけていたのだ!


 主人公青年の存在に気づいた桔梗は、彼の手を取って、制服の上からだか自身の巨乳にふれさせて彼の指紋を布地に付けることで、「このことを云いふらしたら強姦されたと訴える!」とスサまじい怒気をハラんだ激しい表情を浮かべて主人公青年を脅すのだ!(爆)


 クラスのアイドル的存在としての桔梗の姿が回想される中で、どっちが本当のおまえなんだと悩んでしまう主人公青年……


 実はこのあと、最終回に至るまで、桔梗がこのようなダークで激しい一面を見せることはほとんどなかった。その意味では、シリーズ構成的にはあまり意味を持ってこない描写ではある――深夜アニメ化されていない原作ラノベの続刊では、なにか係り結びとなるような描写に帰結しているのかもしれないが――。
 ましてや、かのボッチアニメの大傑作『惡の華(あくのはな))』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151102/p1)のように、好意を持った同級生女子のブルマーを盗んでしまった主人公の文学少年の行為を目撃して、彼を脅しつづけて地獄へと叩き落とす性悪な少女のようにはならなかったのだ(笑)。


 それでもこの場面は衝撃が強い。ふだんの桔梗が、同じく久保ユリカが演じていたアイドルアニメ『ラブライブ!』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1)の主要キャラの女子高生・小泉花陽(こいずみ・はなよ)のごとく小鳥の鳴くようなアイドル口調なのに、やはりボッチアニメの名作『琴浦さん』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)の初期編では性悪の女子高生であった森谷ヒヨリを演じていた際のような、いかにも性格がキツそうな声に豹変するのだから!


 だが、これは決して彼女だけにかぎったものではないだろう。程度の差はあれ、多くの人間はウラの顔をふつうに持っているものであり、それを乱用や悪用でもなく周囲との駆け引きの中でいかに良い意味での「必要悪」として駆使していくのか? といった「処世術」もまた、本作の命題でもあったからだ。


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*校内暴行事件編


 第4話~第6話では、新たなふたりのヒロインが主要キャラとして登場して活躍をはじめる。
 ひとりは、ピンクのロングヘアを両サイドで束ねた、おとなしいメガネ少女・佐倉愛里(さくら・あいり)だ。
 同じくピンク髪のメガネっ娘といえば、現在放映中であるテレビ特撮『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180310/p1)でワシピンクに変身している着ぐるみの女性型ロボット「ラプター283」を連想してしまうが(笑)、そのラプター役の人気声優・M・A・O(マオ)がこの愛里の声も演じている。


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 もうひとりは、桔梗と同じく誰に対しても愛想がよい「Bクラス」の生徒であり、金髪ロングヘアだが影の部分にはピンクが施されている凝った配色が印象的な一之瀬帆波(いちのせ・ほなみ)である。実際には第3話の冒頭で、須藤が「Cクラス」の生徒たちと争っているのをとめる場面ですでに登場している。


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 ちなみにこの際に、「Cクラス」を支配しているロン毛の大柄な男で『週刊少年ジャンプ』のバトル漫画に出てきそうな龍園翔(りゅうえん・かける)という、いかにも悪者そうな名前のキャラ(笑)が、須藤のことを「コイツはいいオモチャになりそうだ」と評しているのが、この「校内暴行事件編」の伏線ともなっていたのだ。


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 龍園の策によって、須藤は「Cクラス」の生徒たちから一方的に暴行を受けたとして訴えられる。再び退学の危機に追いこまれてしまうのだ。
 そして、この目撃者となった愛里をメインに描いてキャラを掘り下げることにより、愛里がサードヒロインに昇格することとなる。


 ふだんは目立たない愛里だが、実はネット界のグラビアアイドル・雫(しずく)というウラの顔を持っている。「自撮り」の撮影場所でたまたま現場を目撃したがために、そのウラの顔を知られることを恐れた自己保身で、愛里が証言を拒んでしまう展開には、価値判断としてはよろしくはなくても、良くも悪くも人間とはそういうものだという、実に大きな説得力が感じられるのだ。


 また、常に親切に接してくれているのに、そのサブヒロイン・桔梗に対しては決して心を開かなかった愛里のことを、


「(桔梗の性悪かもしれない本性を危惧したゆえの)直感か?」


と主人公青年も冷静に観察して、内心でそのように評してみせている。


 その逆に、愛里の方でも、一見ぶっきらぼうで不愛想な主人公青年のそれを、対人バリヤーとしての演技・フリだとしてその肉食系ではない正体を見抜いたのか、


「目が怖(こわ)くなかったから……」


として相談を持ちかけてくるシーンも、彼らにはたとえコミュニケーション・スキルが欠如していたとしても、その人間性には問題がないし、むしろ他人の心情・性格・性癖をよく観察できている卓見の持ち主としてさえ描いているあたりも、実に味わいがあるのだ。



 新たなヒロイン登場により、ラブコメ的なほのかな思春期的なイロ気もある描写も随所に見られるようになっていく。
 第5話では、愛里のデジカメ(デジタル・カメラ)を桔梗が偶然に壊してしまうこととなったために、その修理に付きあった主人公青年のことを


「休日は櫛田さん(サブヒロイン)といっしょだったの?」
「私だとシブるクセに……」


などと黒髪ロングのメインヒロイン・鈴音が主人公青年に問いつめてみせる会話を挿入することで、すでに彼女が主人公青年に対して、悪しからずに思っていることがうかがえて、視聴者にも疑似デート風な胸キュン感情を喚起してくるのだ。
 しかし、そこで主人公青年が彼女の好意を受け入れてハッピーエンドになってしまえば、そこで物語は終わってしまう(笑)。それを避けるための本能的な作劇か、やはり主人公青年はお約束でも恋愛方面には鈍感なのであり、あるいは本作の場合は主人公青年もクレバーなので鈍感であるフリをしているだけなのかもしれないけど(汗)、彼女に対して


「なんか、モノスゴい顔をしているぞ」


などと非常に失礼な言葉で返すのだ(笑)。


 また、暴行事件を裁くための生徒会の「審議」に証言者として参加したものの、苦手な兄の堀北学(ほりきた・まなぶ)がいるために、その話術の実力を発揮できすにいた黒髪ロングのヒロイン・鈴音に対して、隣の席にいた主人公青年が二の腕や脇腹をつかむことでアヘアへ云わせる描写(笑)もまた、ギャグ描写でもあるのだが、彼女の兄に対する好悪や緊張の情を察知しており、イザとなればそれを緩和するための行動は厭(いと)わない、主人公青年の出来た性格・オトナの態度を取れる性格をも描けているのだ。


 第6話では、サードヒロイン・愛里のストーカーを主人公青年とフォースヒロイン・帆波が協力して撃退する。そこで、第4話では暴行事件の目撃者捜しに協力を申し出ていた帆波が、すでに264万以上の驚異的なポイントを稼いでいることを綾小路が偶然に知ってしまう描写がある。主人公青年は「計算ずくだろ」と彼女のことを警戒する。


 そのあと、愛里と帆波が親しくする描写が特に見られなかったところも(汗)、そんな帆波の計算高さを愛里が弱者特有の本能的な直観で看破したからではなかろうか?(笑)


 自分を偽りつづけるのは大変だと、愛里は主人公青年の前ではメガネをハズすようになった。このあとの回では従来どおりにメガネ、しかもダテメガネ(笑)を掛けつづけていることから、愛里が心を許せる存在は、あくまでも主人公青年のみであることが強調されることとなっている。


「綾小路くんは、私をヘンな目で見ないんだね」


といったセリフこそ、オモテでは地味な女子高生でも、その反動形成であろう、ウラではネットアイドルを演じてしまっているという二重生活を生きている愛里が、主人公青年を信頼している最たる理由である。
 良く云えば、先の福沢諭吉の「格言」のように、「人は本来、全員が平等であるべきだ」という信条こそが、主人公青年の行動原理になっているからだ! と云いたいところだ。
 しかし、主人公青年もまた、愛理のようにウラとオモテの二重性を持っていて、彼女の二重性については不信感を持つどころか、オモテで不全感があるからこそウラでは理想の人格を演技だとしても演じてみせたいという、ある意味では見苦しい動機が手に取るようにわかってしまって、だからこそ彼女をヘンな目で見ないという行為もまた、遠回しな自身の自己正当化や自己憐憫である可能性もあるだろう。
 一見、博愛的な態度を取っている人間もまた、その根っ子にはそうそうホメられたものではない心情があって、その発露でしかない場合もあるからだ(爆)。


 主人公青年がメインヒロインの兄こと学から生徒会に勧誘されても、「オレは面倒がキライ」だとして断った理由はもはや明白だろう。真の意味での万人平等の実現などをナイーブに信じているかはともかく、一応の人間平等を求めている綾小路が、劇中では悪しき特権階級として描かれている生徒会には好意的な想いがないのは当然のことなのだ。そして、綾小路が常日頃、メインヒロイン・鈴音に対して「Aクラス」への昇格には興味がないと語っていたことも本心だろう。
 だからこそ、女教師・茶柱は主人公青年のことを「Dクラス一(いち)のクズ」だと判断して、鈴音に彼を警戒しろと忠告したのだ。


 露骨なカースト制度を敷いている学園のシステムを、主人公青年・綾小路が陰から他人を操ることで引っ繰り返そうとしている、と女教師が判断したことも正しいのである。ただのコミュ力弱者に見える主人公青年が、退学寸前だった不良の須藤を二度も助けたことは、女教師にそう思わせるには充分に過ぎる事態だったのだ。


 「あなた、何者なの?」というメインヒロイン・鈴音の問いに対して、「オレの詮索はするな」と返してくる主人公青年。


 本作は主人公青年のモノローグが多用されて、一見は一人称小説のように物語が進行していくものの、この時点では彼の生い立ちや思想については一切語られることはなかった。「オレの詮索はするな」ということは、彼には何か秘めた想いや思想信条があって行動していることになるのだろう。
 つまり、モノローグの手法自体も作劇的なトリックだったのであり、主人公でありながらも視聴者に対しても正体を明かしていない謎多き人物だったことが、ここで明かされたのだ。
 このような状態でシリーズ後半にもつれこんでいく展開は、我々視聴者の新たな興味を惹かずにはいられないのだ!


 雨の夜、「Aクラス」のリーダーであるも、薄紫のショートボブヘアで小柄な美少女・坂柳有栖(さかやなぎ・ありす)のグループと、先の龍園が率いる「Cクラス」のグループが鉢合わせした。


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 手下どもが互いのリーダーの頭に傘をあてがいながら防御したり、最前線に出張(でば)ってきて戦闘の構えを取るさまは、ほとんど東映のヤクザ映画のノリだ(爆)。
 「王はひとりで充分だ!」なる龍園のセリフが、本作の世界観がまさに『仁義なき戦い』(73年・東映)であることをも象徴しているのだ。


 それにしても、龍園たちが天井から釣り下がったミラーボールが光って回っている高級クラブのような場所にいる第4話の描写。こいつら、絶対に未成年なのに酒を飲んでいるよなぁ(爆)。


 サングラスをかけた大柄の黒人の用心棒・山田アルベルトがヘマをした配下をフクロ(袋叩き)にするなどの描写は、どこが高校生なのだ!? とは思う(笑)。そこは漫画チックなのだが、それだけ悪党度は高くなるので、エンタメ作品としてはメリハリも高まることで、より楽しめる作品にはなっていく。
 そしてそれは、粗暴な龍園が「Sシステム」による監視などはまったく恐れていないという証(あかし)でもあり、同時に次に来る「無人島特別試験編」の伏線ともなっているのだ。


無人島特別試験編


 第8話~最終回(第12話)では、高校が所有する無人島(笑)にて、生徒たちが共同生活をすることでクラスごとのポイントを競う特別試験が行われる。
 そして、それらを通じて、「Aクラス」~「Dクラス」の多数のキャラたちをさらに掘り下げて描いて、その人物像をウキボリにしつつ、彼らが織り成す群像劇のようにもなっていく、絶妙な展開ともなっていくのだ。


 もっとも、1本目の第8話の時点では、生徒たちはこれが特別試験であることにはまったく気づいてはいない。高校の施設同様に、高級レストランやバー(爆)、演劇を楽しめる巨大なホールにプール、エステサロンなどを完備した、デタラメにデカすぎる(大爆)豪華客船によるクルージングだと思いこんだ生徒たちは、ひたすら自由を満喫している。


 シリーズ前半の展開を思えば、そんなもので済むハズがないであろうことは、主人公青年やメインヒロインでなくとも、視聴者の大半が察しがつくことだ(笑)。従って、ラストで体育教師らしき「Aクラス」の男性担任が特別試験について初めて生徒たちに語ろうが、視聴者が受ける衝撃は、実はたいしたものではない。


 これら豪華客船の描写は、第7話の水着サービス編(笑)とも同様に、プールで遊んでいるサブヒロイン・桔梗の巨乳とか、エステサロンで寝そべっている帆波の美尻とか、女子オタ向けには金髪ロン毛のマッチョなナルシスト・高円寺六助(こうえんじ・ろくすけ)が裸体を披露して「私は、美しい!」(爆)とホザいていたりすることで、ぶっちゃけ云えば映像ソフトをはじめとする各種グッズの売上を上げることで第2期シリーズ製作にもちこむための戦略的な理由によるものだろうか?(笑)
 ドラマやテーマのグレードが高くても、登場人物のほとんどがリアル系のデザインで萌え系美少女キャラが登場しなかったり、エッチな描写が皆無に近かったがために、円盤(映像ソフト)の売上が大爆死して、続編の製作が困難となっている例は枚挙にいとまがないのだから。


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 サブヒロイン・桔梗に告白を決意した、先にも赤点・退学候補だった池が、


「下の名前で呼んでもいいか?」


という一言しか云い出せずに、しかも桔梗に


「寛治(かんじ)くん」


と呼ばれただけで


「ウォォ~~~!!」


と絶叫したり(笑)、それを見ていた須藤が主人公青年に黒髪ロングのメインヒロインの下の名前を教えろ! と激しく詰め寄ってきたり(爆)、同じく赤点・退学候補だった山内が念仏のように


「愛里ちゃん、愛里ちゃん、愛里ちゃん……」


と唱えてみせたり(爆)、といった3バカ大将によるラブコメ的な描写も、中年の視聴者からすればこの年代特有のあるある感にあふれた描写が実にリアルに感じられて、微笑ましく思えたものだ。


 ただ、そうした演出ばかりではなく、豪華客船で豪遊する登場人物たちの描写の中でも、最終展開のカギとなる要素がさりげなく点描されているのが秀逸なのである。


 高級レストランの場面では、「スンマセ~ン」と下品にボーイを呼んだ須藤たちに、優秀な「Aクラス」の生徒たちの冷ややかな視線が集中する。その中の男子生徒の挑発で、またもや須藤は声を荒げることになる。
 しかし、「あの暴力事件の……」といっせいにヒソヒソ話がわきあがって、須藤の名誉が回復したのはあくまで「Dクラス」の中だけにすぎなかった! という厳然たる事実が描かれることで、世間の非情さをクールな視点で描いてみせるストーリー展開は絶妙なのであった。


 また、「Dクラス」の担任女教師とは対照的に、二日酔いで学校に来てしまうようなダラシない「Bクラス」の担任女教師が――担任の素行の悪さはクラス・ポイント減点の対象とはならないあたりは、この作品の数少ない弱点のひとつではあった(汗)――、エステサロンの場面で


「あ~ん」


と吐息を上げながらも(笑)、主人公青年を要注意人物としてマークしていることを帆波に語るあたりも、実はそれなりに優秀な教師であることが端的に描かれてもいるのだ。


 さらにバーの場面では、手下どもをハメたメインヒロインに業を煮やした龍園の姿が端的に描かれる。「おまえみたいな女はキライじゃない」と、彼女の姿を勝手にスマホで撮影して、まさに「オレの女になれ」(笑)と云わんばかりにメインヒロインを挑発する龍園のインテリヤクザぶりは、その静かで陰湿でネチっこい怒りの執念深い怖さを絶妙に描いた名演出によっても肉付けができていた。


 龍園の手下として、黒髪ショートヘアのキツめな新ヒロイン・伊吹澪(いぶき・みお)も登場。龍園のやり方に反発して、彼の黒人用心棒青年から制裁が加えられるまでの彼女の一連の描写は、最終展開における龍園の大胆不敵な行動の動機・伏線ともなっているのだ。


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 第9話以降、実際の「特別試験」が描かれることとなる。龍園は「Aクラス」を支配するひとりで、スキンヘッドの強面(こわもて)の持ち主だが、先のレストランの場面では須藤たちにマナーを学べと忠告したほど実は「知性派」である葛城康平(かつらぎ・こうへい)とも手を結び、ともに高ポイントを獲得して「特別試験」の成績を上げるための契約を結ぶ。
 さらに、「Bクラス」と「Dクラス」にスパイを送りこんで、特に新ヒロイン・澪の暗躍によって「Dクラス」は崩壊寸前に追いこまれてしまう! ここに至るまでの集団生活の中で、各登場人物が次第に本性を露呈させていく展開は実に見応えにあふれるものがあった。


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 本来、雑魚(ザコ)キャラであるハズの池や山内でさえも、意外な一面が描かれる。池はキレイな水源を発見したことで幼いころからキャンプに親しんでいたことが明らかとなり、火を起こしたり食用可能な植物について語ることで、頼りになるとクラスメイトからも称賛される。


 もっとも、本作序盤から登場していた「Dクラス」の女子カースト最上位のギャル少女・軽井沢恵(かるいざわ・けい)の下着が盗まれた騒ぎで、池のリュックの中になぜか下着が入っていたことに池が激しく動揺!
 彼のことを疑った女子たちが手の平を返したように池を「変態」呼ばわりするさまを見ていると、集団心理による世間の人物評価がいかにあやふやでいい加減なものであるかを乾いた視点で描いた、上げたあとでストンと落としてみせるような秀逸なストーリー展開でもあったのだ。


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 山内は「Cクラス」から追い出されたとして森の中でうずくまる新ヒロイン・澪の芝居に、「オレたちのキャンプに来い! おまえが動けるまで待っていてあげるから」と、意外な優しさを見せるのだ!
 たとえ、須藤と組んでいるような性悪な不良でも、さすがに人の生き死にに関わるようなことであれば、義侠心を見せる者がいるということは、勧善懲悪のテレビ時代劇や特撮変身ヒーローものの悪役でもないのだから、ナチュラルで多面的な人間描写は達成できているのだ。


 だが、それだけにはとどまらない。本作では自身で自分のことをウラ表がないと主張するメインヒロイン・鈴音の独特な人の見方が提示されて、それをいさめる主人公青年の姿までもが描かれる。
 第11話で、メインヒロインは善意の固まりのような「Dクラス」の男子カーストの頂点にいる、初日の「自己紹介」や須田たちに対する「勉強会」を提案した好青年・平田のことを、「善意と偽善は表裏一体だから信用できない」として主人公青年に語る。しかし、主人公青年は「人間、誰もがウラ表があると思わない方がいい」と鈴音に返すのだ。


 もちろん、たいていの人間はホンネとタテマエを使い分けている。このことに関する見解についてはメインヒロインと主人公青年とでも一致している。
 しかし、他人をダマして陥れるためのホンネとタテマエは「悪」だが、他人との潤滑油としての社交辞令・礼節や優しいウソとしてのホンネとタテマエであれば、むしろ必要悪として積極的に許されてしかるべきだろう。
 それはともかく主人公青年は、平田がメインヒロイン同様にウラ表がない、決して偽善者ではない人間であることをすでに看破していたのだ。


 第8話で平田はクラスをまとめるためにはメインヒロイン・鈴音の力が必要であり、そのための鈴音との橋渡しをしてほしいと主人公青年に頼みこんでいた。しかし、第10話でクラスが集団生活の過程でようやくまとまってきたかに見えたことに、平田は「クラスのみんなが満足していればボクはそれだけで幸せだ」などと、鈴音からしてみたら「偽善者」にしか見えないようなイラつかせるセリフ(爆)を口にしてしまう。


 そんな平田のことを主人公青年もまた、鈴音同様に冷ややかに見てはいるのだが、同じく第10話で池から恵のパンツを押しつけられて(爆)、とっさにジャージのポケットに隠してしまった主人公青年を、平田は女子から要求された身体検査でそれに気づきながらも、男子は誰も恵のパンツを持ってはいなかったと、ウソの証言するのだ。


 「君はそんなことをする人じゃないとボクは信じている。だから、助けた」と、平田はその理由について綾小路に語っている。平田もまたやや底が浅い善人かもしれないが、杓子定規の官僚主義的な学級委員・風紀委員的なキャラではなく、小さなウソといった融通や機転も利かせられるし、それまでの学園生活を通じて、このクラスでは目立たない無気力そうな主人公青年が、そのような下劣なことをする人間ではないことを見抜いてみせている慧眼(けいがん)の持ち主であることをも同時に、ここで描いてみせてもいるのだ。



 基本的には筆者もまた、鈴音が主張する「善意と偽善は表裏一体」の立場の者ではあるのだが、世の中には平田のような、本当に「いい人」がほんのひと握りではあるものの、たしかに存在することも、これまでの人生の中で確認してきている。
 だから、他人を一面だけで判断して全否定をしないことはもちろんのこと、偽りのない善意の存在も見極める力を得ることで、少しでも人生が自分にとって有利な方向に働くような、通常は悪い意味で使われがちな「処世術」をコミュ力弱者や善人こそが必要悪として身につけてほしいという、原作者や製作者側のメッセージが、主人公青年と平田との関係性の変化に込められているようにも思えてきてしまうのだ。


 しかし、クラスのまとめ役として申し分がなく、「偽善」ではなく「善意」の固まりである平田が、よりにもよってクズの集まりである「Dクラス」に配属されてしまった理由が、第11話のラストでは明らかにされたといってよいだろう。
 実は新ヒロイン・澪が恵のパンツを盗み出したことで疑心暗鬼が生まれて、クラスは男女間で断絶状態となり、さらに謎の放火騒ぎに天候悪化! と、相次ぐ災難に、平田は「どうして、こんな…… ボクは、何も悪くないのに……」などと抱えきれない事象の連続にパンクしてしまって、放心状態となってしまうからだ。


 実にシビアに過ぎる設定かもしれないが、究極の正論ではあるかもしれない、困難に打ちのめされてしまうようなメンタルの弱さこそが、劇中の学園で平田が「Dクラス」に配属されてしまった理由であったように筆者には思える。


 日本ではほとんどの中学生が普通高校に進学することがふつうになって久しいが、今でも階級流動性に乏しく見えざる階級制度が残っている欧州では、労働者階級の子弟が知的職業に就こうとする機運には乏しい。
 あるいは、欧州では中高生という早い段階で学力で選り分けられて、エリート学校と専門職業学校に分かれてその後の人生や生涯収入も若いうちに決まってしまうのだ。日本のように文系の学部に進んだ人間がIT関係の企業にも大量に入社してしまえるような理系・文系の流動性もまたアリエない。海の向こうでは理系の学部に進んだ人間にしかIT関係の企業に就職することはできないのだ。
 そして不況になれば、企業は即座に大量解雇に踏み切ってしまう。失業率も常に10パーセント前後に達していてホームレスの数もまた多い(汗)。


 「労働生産性」の概念も目の前の仕事を効率的に進める意味ではない。高い利潤や高い賃金に比例して高まるだけの概念なのである。貧富の格差が大きく、ある意味では不労所得的な賃金の高い業種だけが稼いでいるだけでも「労働生産性」の数値は上がるのだ。アップルやグーグルといった高収入企業を誘致できたアイルランドのそれも上がる。逆にワークシェアリングで短時間労働者やパートや派遣や不正規雇用が増えれば、それだけで「労働生産性」の数値は減ってしまうのだ。
 この概念の数値にダマされて、いくつかの国々の労働者たちは目の前の仕事を効率的に進めていない! 労働力の質が下がった! などとカン違いをしてはならない。この概念こそが怪しくて害毒をもたらしている。新しい適切な経済基準をつくって、そこに沿ったかたちでの経済活動を営むべきなのだ!


 本作の世界観は誇張・極端化されているとはいえ、日本もそんな道を歩もうとしているらしき悪しき「新自由主義経済」的な世界に関するリアル・シミュレーションなのでもあって、そこでの腹芸(はらげい)的なコミュ力、他人に対する共感性には乏しい指導力(汗)、平田のようなシビアな人間関係や交渉事への耐性には欠ける者が、社会に出てから生き残れるハズがないと判断されてしまうことは必然なのである。
 そして、むかしながらのヤンキーで単純バカな須藤は当然だとしても、本作で災難にあうのは平田も含めた、ウラ表を持たない善人も含めてのことなのだ。


 これもまた、ウラ表のふたつの顔を駆使することができない者は、ワルだろうが優等生だろうが、双方ともにいずれはカーストの頂点から脱落してしまうといった、実社会でもよくあるような話を迫真性を持って描いた展開でもあったと思えるのだ。



 性格自体にやや難はあるものの(笑)、本作ではウラ表を持たない人物の代表であった黒髪ロングのメインヒロイン・鈴音もまた、最終展開では最大の危機が訪れている。これを契機に、綾小路との関係性が良好な方向に発展するのかと思いきや、物語は衝撃的な結末で幕を迎えた。


 澪は恵のパンツを盗むことで「Dクラス」を分裂させたのみならず、鈴音からリーダーの証であるキーカードを盗み出すことにも成功する。
 各クラスの真のリーダーを当ててみせたクラスにはボーナス・ポイントが与えられて、逆にリーダーを当てられてしまったクラスはポイントがマイナスされるという、「特別試験」のルールがあったからだ。


 降りしきる雨の夜、武道に多少の心得があった鈴音がキーカードを取り戻そうと、龍園のアゴの先にまで足が上がるほどに格闘技に長けた澪と、森の中で激烈なバトルを展開する!


 これまで散々にクラスの連中をバカにしてきた自分が、イザとなったら暴力で解決しようとするだなんて……との想いが脳裏をカスめながら澪と戦うことになってしまった鈴音のバトル演出は、実に迫力満点だ!



 最終回。降りしきる雨の中で、倒れ伏した鈴音を抱き起こした主人公青年は、「私に仲間がいたらキーカードを守ることができたのに……」という、仲間の存在に否定的であった鈴音からの後悔の念を聞かされる。それでもひとりで事態を解決しようとする鈴音に、「おまえはそんなに強くない」と語ってみせる主人公青年こと綾小路。


 第2話では「兄さんに近づくために入学した」などと語っており、ふだんは勝ち気な鈴音が実は兄の学にはまったく頭が上がらなかったり、第5話の「生徒会審議」では学がいたためにモジモジして発言ができなかったりと、初期編のころから主人公青年は鈴音の意外な弱さを目にしてきたのだ。


――おそらく、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の完璧人間に見えた黒髪ロングのクールなメインヒロインが、快活な実の姉には苦手意識を持っていた!……といった実に印象的だった描写から、インスパイアされた設定ではなかろうか?――


 そんな鈴音に「ひとりで戦えないなら、ふたりで戦えばいい。オレがいっしょに戦ってやる」などと頼もしいことを云い聞かせてくる主人公青年。
 彼女も内心では秘かに彼に対して「胸キュン感情」を覚えただろうが、対外的には「あなたは、そんなことを云う人じゃない……」などとつぶやいて、気を失ってしまう!


 やまない雨の中で、主人公青年が鈴音のことを「お姫様抱っこ」で船に連れていってあげたり、第11話では抵抗する鈴音の腕を主人公青年がつかんで唇を奪うのか!? と思いきや、オデコに手を当てて発熱していることを見破ったりなど(笑)、これらの恋愛ドラマチックな描写は、本来ならば主人公青年とメインヒロインの関係が劇的に進展したことを表わすものであったハズなのだ!


 だが、主人公青年は「最終試験」の成績で決定打となる「リーダー当て」のために、山内を愛里のメアド(メールアドレス)をエサにしてまで協力させることで、鈴音に隙を与えて、澪がキーカードを盗むように仕向けていたのだった!
 恵のパンツを盗んだのが澪ではないと、主人公青年が信用していると語った際に、ふだんはキツめの澪が顔を赤らめる描写があった。これなども澪を油断させるための綾小路のハッタリだったワケであろう(爆)。


 試験終了直前に、調子が悪くなった鈴音と主人公青年がリーダーを交代してしまったことで、リーダーの正体を当てられることを阻止できたために、「Dクラス」は最高得点を獲得することができた! 歓声がわく中で唯一、不本意なかたちでの勝利であっても、溜め息をついている平田の点描もまた芸コマな描写である。
 そのあざやかな手口すらも、主人公青年・綾小路はそのすべてをメインヒロイン・鈴音の功績にしてしまった。そして、そこから周囲に人だかりができて、鈴音は歓声の渦に包まれる……


 クラスの勝利のために、鈴音を利用したことは綾小路自身の口からすべて語られた。それでもなお、綾小路に一応の礼を云って、仲間として認めてあげると語った鈴音に、綾小路は内心でこう告白する。



「オレはおまえを仲間だと思ったことがない。おまえも櫛田も平田も、すべての人間は道具でしかない。たとえどんな犠牲を払ってもいい。この世は勝つことがすべてだ。最後にオレが勝っていればそれでいい」(爆)



 『必殺仕業人(ひっさつ・しわざにん)』(76年)第1話のラストシーンにおける、主人公・中村主水の殺し屋仲間たちに対するセリフを想起させる……。ってわかりませんよネ?(笑)


 この「無人島特別試験編」は、豪華客船のシアターでギリシャ神話のイカロスとダイダロスの演劇を観ながら会話する、綾小路と担任女教師の場面で幕を開ける。そして、最終回ラスト手前にイカロスとダイダロスの親子関係を綾小路と彼の父に重ね合わせて、女教師と綾小路が語っている場面が係り結びとなって幕を閉じている。


 綾小路が自由に空を飛んでいられるのも、父に翼を与えられたからにすぎず、やがておまえは転落死するだろうと、暗示的に語ってみせる女教師。
 オレは太陽にはケンカは売らない、イカロスはダイダロスの云うことは聞かないと、ムチャで無謀な域に達するような策謀はしないという意味のことを返してくる綾小路。このあまりに知的で文学的なやりとり……


 第11話にて綾小路が龍園の企みをつぶすための暗躍を始める前に回想として短く挿入された、中学生当時らしき綾小路が白い鉄格子の中に閉じこめられるアバンギャルドな演出など、最後まで綾小路の出自が明確には語られることはなかった。彼のクールな策謀は実にカッコいいのだが、そのホントウの真意をつかむことは困難であった。
 なにぶん原作のライトノベルも完結しておらず、好評継続中ではあるので、そのへんの少々の不満や不如意感も含めて、この深夜アニメの魅力でありヒキにもなっていたのかもしれない。


 ただ、シリーズ前半では「クラス一のクズ」として綾小路の排除を考えていたハズの担任女教師が、とても制御できないほどの綾小路のおもわぬ強大な力を、後半に至るまでの間にそれを自身の都合のいいように利用しようと方針転換したことはたしかだ。
 大人のイヤラしさの代表として描かれた担任女教師だが、ナイスバディ、気怠そうなだがドスのきいた語り口と、「スゲェいい女」であることがなんとも歯がゆい(笑)。


 第8話で、「Aクラスを目指すか退学になるか、今すぐに決めろ」と女教師に迫られた綾小路は「あんたそれでも教師か!?」と、襟首をつかみあげる(!)ほどだった。しかし、「特別試験」で「Dクラス」が優位となるように動いたのは一見、女教師の脅迫に屈したようには見えたものの、綾小路なりの精一杯の落としどころであっただろう。


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 「自由を守るために、自由を捨てるか?」という、綾小路のつぶやきはなんとも象徴的だ。
 だが、それがあまりにもあざやかにすぎたことで、女教師は最終回では綾小路の力に恐怖して再度、排除する方針に戻っているように見受けられる。
 第10話の冒頭では綾小路を「清隆」と呼んでいる父らしき教師が、中学生当時の綾小路に「力を持っているのに使わないのは愚か者だ」などと教室で語る回想がある。しかし、綾小路自身、自分の力があまりに破壊力が強いことをすでに承知しており、だからこそふだんはそれを使わずにセーブしているのだと解釈することも可能ではなかろうか?


 メインヒロインである鈴音、そして平田、須藤のような、ウラ表の顔を駆使することができないカースト的な弱者が今度こそ虐げられない世界を実現するために、綾小路はどんな犠牲を払ってでも、決して平等ではない今の世界を破壊しようとする野望を秘めているダークヒーローのような存在ではないのか? と、今のところは考えているのだが……


 なお、原作ライトノベルでは、サブヒロイン・桔梗が中学時代にキライな同級生の名前をネットでさらしたことが学級崩壊を招いたとか、「Dクラス」の女子カーストのトップ・恵が実は小中学生時代にいじめられっ子であり、その事実を知っているメインヒロイン・鈴音を退学に追いこもうとしているとか――第11話で鈴音が恵と綾小路の知らないところでモメていると語られているのはこのことであろうか?――、恵が平田と交際しているのは単にカースト維持のステータスのためであり、なんと綾小路に乗り換えてもいいように平田は利用されているのだとか……


 ウ~ム。下世話な筆者にとってはOKなストーリー展開なのだが、ヘビーなストーリー展開を「鬱(うつ)アニメ」だとして避けしまう風潮もある、今の若いオタにとっては重たすぎるであろうし、ヒトを選んでしまう作品なのかもしれない。


 製作費の回収や第2期の製作にも関わってくる円盤の売上の方は大丈夫だったのであろうか?(汗)


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.80(17年12月30日発行))



(後日編註:第1期の第1巻の売上は1200枚。ネット配信が全盛の2022年の今となってはふつうの売上に見えるやもしれない。しかし、2017年時点の基準では爆死であった。……傑作だったのに!(汗) しかし、まさか5年も経ってから、ストレートな続編として第2期が製作されて、来年2023年冬季には第3期も控えていようとは!)


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 『ウルトラマンデッカー』(22年)に前作ヒーロー『ウルトラマントリガー』(21年)が客演記念!
 アクションアニメ映画『BLACKFOX』の前日談を描いていた、山本千尋ちゃん主演で坂本浩一カントク作品でもあった特撮時代劇映画『BLACKFOX:Age of Ninja』(共に19年)の2作品や、百合アニメ『citrus(シトラス)』(18年)なども手掛けてきた、『トリガー』メインライター・ハヤシナオキも再登板!
――ピクシブ百科事典によれば(汗)、氏の正体は京アニがアニメ化したことでも有名な『Kanon』や『ONE~輝く季節へ~』などで90年代末期~00年代にかけてはオタ間で「泣きゲー(ム)」を大隆盛に導いてきたシナリオライター久弥直樹(ひさや・なおき)だとのウワサもある!――


 とカコつけて……。久弥直樹が手掛けた最後の「泣きゲー」テイストの深夜アニメ『天体(そら)のメソッド』(14年)ほか、2014年秋の2大「泣きゲー」テイスト深夜アニメ評をアップ!


失われた未来を求めて』『天体のメソッド』 ~絶滅寸前! 最後の「泣きゲー」テイストの2014年秋季2大深夜アニメ! 良作なのに不人気(涙)

(2014年秋アニメ)
(文・T.SATO)
(2014年12月24日脱稿)

失われた未来を求めて


 空気も澄み切った緑豊かな半島とその奥の海洋を、高空から見渡したような壮大なキービジュアル。
 荘厳でシンフォニックな響きから入って、少し切なげな女声ボーカルがはじまって、けれども最後は高らかに困難の中の希望を歌い上げていくような主題歌。


 キービジュアルだけだと異世界ファンタジーものかと一瞬誤解したけど、本編は学園もので文化系の部活ものであった。


 とはいえ、舞台となる高校校舎は、現代日本のアリガチな鉄筋コンクリートの建物なぞではなく、若干(じゃっかん)洋風の意匠で少々の「非日常性」もアピール。


 部活動も男子2名・女子3名の天文部――「天文学会」だとのズラした呼称で、コレまた「非日常性」を少々強化――。部室の部員たちも適度にまったりな雰囲気を醸しつつも、部室の机に小さな「天体望遠鏡」を配して、同時に宇宙的な壮大なものとも垂直方向でつながっているような神秘感も多少は担保して、今後の非・常識的な展開へのシンボリックな伏線や助走台となるように……しているようにも見えるのだ。


 で、ストーリーを引っ張った挙げ句にネタばらしするような作品ではなく、#1ラストで堪え性なくすぐ明かされてしまうので(笑)、特に支障はナイと思って語るけど、本作はここ10年ほどのジャンル作品ではよくある「タイムリープもの」、というか古典SF小説『時をかける少女』(65年)よろしく「ループもの」なのであった。


 またかよ!? という気もする。しかし、ここまで来るともう、時代劇『水戸黄門(みと・こうもん)』的なお約束&歌舞伎的な様式美にも満ち満ちた「ループもの」という新ジャンルが確立したのだと云ったらば勇み足であろうか?――ここまで云って、来年には急に終ワコン・ジャンル化していたら恥ずいけど――


 そーいう作品なので、タイムリープそれ自体の原理と、古典的なタイムパラドックス問題を、一部で有名な「シュレディンガーの猫」を例えに量子論も援用して、その都度、宇宙(歴史)が分岐して平行世界が増えていくという説にもふれている。しかし、質量保存の法則には矛盾するので(汗)、それは大宇宙の歴史から見れば一瞬のブレであり、そのうちにひとつの時間線だけに収斂されてしまう――もう片方の歴史はなかったことになってしまう!(汗)――、というビジョンを根拠に――劇中内でも仮説の域だけど――、未来で登場人物のひとりが歴史改変をもくろむも――メインヒロインの交通事故による死亡の回避!――、宇宙の運命論的な因果律の強さゆえにか失敗を重ねてつづけている事実が、シリーズ後半にて明かされるのだ。


 本作を肴(さかな)にプチインテリオタの皆さんが口角泡を飛ばして、形而下の地ベタよりも抽象・観念のSF形而上トークを得意げに繰り広げて、「俺、SUGEEEEE(スゲエエエエ)!」みたいなヤツが出てきそうではある。
 SFセンサーが奇形的に進化すればするほど女のコにはモテなくなるし、日常生活でもうまく生きられなくなってしまうゾ! 早くコッチに戻ってこい!(笑)



 本作の背景舞台装置については以上となっている。舞台装置の方をSF解題的に語りたくなってしまう評論オタクが多いのだろうとも思うけど――そーでもない? 深読み系の評論オタクも今や絶滅寸前?(汗)――、本作のキモはやっぱりナチュラルな日常描写と美少女キャラたちの描写であろう!?


 赤毛セミロングの左右両端双方が内側にカールしていてフェミニンな、他人に対してキツく当たったことが人生途上で一度もなさそうな、まれに甘い声で「モオッ」とプンプン怒ってプイッとヘソを曲げてもちっとも怖くない(笑)、炊事裁縫チックな可憐なメインヒロイン。


 毎度、この娘が主人公の長身高校生のことをナゼだか好いてくれていて、男のコの方は鈍感であるのはジャンル作品のお約束で、諸事情でひとつ屋根の下で同居(!)までしているのはご都合主義の極みである(笑)。


 しかし、フツーにみんなとトロトロとしゃべってはいるけど、チョットだけ控えめで内にこもっていて、主人公男子クンが他の女子部員と仲よさげにテンション高く会話をしたりハシャいでいたりしていると、もうソレだけで引け目を感じてその輪の中に入っていけずに、悲しげ淋しげに小さな嫉妬をいだいて遠くから見つめているサマは……。悶絶もとい、なかなかに萌えなのではナイだろうか?(笑)


 清楚なのに、立ち姿&着席時の横から見た上半身の背スジをピンと伸ばした、姿勢のイイ背中から腰にかけての多少強調されたS字屈曲が妙に艶(なま)めかしくて、同時に憂いの表情&太めの横一線で描かれたマツ毛の横目でそっと男のコを見つめているビジュアルもとても印象的なのだ。


 実のところ、部室・校内・教室・天体観測・ピクニックとイベントは数あれど、#2~8まではこの娘の時折り表出させる恋慕&プチ嫉妬の時間ループならぬ、ぐるぐるなループ(笑)を描いていて、タイムリープはドコへ行ったという作品であったりはする(……が、それがイイ・笑)。


 このメインヒロイン死亡回避のために、未来から来た血液温度低め系の銀髪ロングの涼しげ儚げなサブヒロインは実は人造人間で(爆)、一音一音がクッキリ気味の透き通った少女ボイスが印象的である。この彼女は狂言回しキャラに過ぎないのかと思いきや……。終盤の新ループでは主人公男子クンに対するほのかな好意が芽生えてきて、男子クンもこのサブヒロインの彼女に好意を持ってしまって、背徳(?)のあってはならない歴史は果たして!?


 といったトコロで、たしかな手応えがあったような、なかったような。ツカミは少し弱いけど、この複雑微妙なデリケートな手ざわりの作風も悪くはないし、捨てがたいとも思うのだ。
失われた未来を求めて

「失われた未来を求めて」Blu-ray 6
(了)


『天体(そら)のメソッド』


 「天体」と書いて、「そら」と読ませる。


 「国境の長いトンネルを抜けるとソコは雪国であった」的に、夏休みに父の運転する自動車で、故郷でもある子供時代を過ごした高原チックな湖畔の町へと出戻り引っ越しするのが冒頭部。


 生家を大掃除して、父のためにいそいそと炊事までして食卓も囲んでいる、いかにも理想的な娘で、ニコニコと性格よさげな髪型サイドテールのヒロインを描いていく導入部は快調である。


 だけれども、アニメの神さまのイタズラか、


●オープニング映像でも描かれる、町外れの木造天文台内の階段を登り切った先にある「天体望遠鏡
●明治大正期の洋風木造建築のようなエキゾチックな中学校舎――明治20年前後に建設された北海道庁・旧本庁舎(赤れんが庁舎)がモデル――
●ピンクと紫の中間のような色彩の制服
●文化祭の出しモノとして、手製のプラネタリウムを主要メンバーたちが作ろうとするに至る展開


 これらの描写が、同季の深夜アニメ『失われた未来を求めて』のビジュアルともカブるなぁ(汗)。


 7年ぶりの北国の故郷や、幼なじみとの再会や記憶喪失ネタも、泣きゲー(ム)(99年)発の深夜アニメ『Kanon』(02年に東映版、05年に京アニ版)や、『冬のソナタ』(02年)をはじめとする10年前のあまたの韓流ドラマなども思い浮かぶ。


 でもまぁ、10年前を最近に感じるのは老害マニアの兆候で、10年経ったらば若いコには一周回って新鮮だろうからコレでイイのだろう。


 トドメは星々の模様を細々と表面に連ねた半透明チックな超巨大な「円盤」が湖上空に浮遊していて、日常にも定着して7年! という中二病的な世界観!


 古典SF『幼年期の終り』(53年)のように、周辺を立入禁止にして「円盤」を戦車部隊で囲まなきゃダメだろう!(笑)――もちろん冗談です。そんなオオゲサな展開になったならば、この作品の繊細デリケートなテイストは雲散霧消してしまうので(汗)――


 しかも、なんと「円盤」は――UFOとは呼称されない――、メインの美少女キャラ4名&男の子1名が、幼少時に雪が舞っている廃天文台で円陣を組んで願いごとをしていたらば出現してしまったらしくて、その大事(おおごと)ゆえに友達関係も壊れてしまって、この「円盤」は彼らにとっては愛憎あふれる対象にもなっているらしいことも明かされていく……。


 加えて、7年前から成長していない水色ツインテールの袖まであるフワッとした白い服をまとった天真爛漫な白痴幼女の正体は、宙空の「円盤」でもあったという!


 てなワケで、政治・軍事・SF的なリアリズムよりも思春期の心象風景の方が優先される作品世界観なのであった。思わず、天空に洋風のお城が浮かんでいる作品や、「永遠はあるよ」という名セリフがある作品――『ONE~輝く季節へ~』(98年)――を……。と云ったりするあたりが、腐れオタクの悪いクセですネ。


 キャラデザはお眼め大きめ、巨大瞳は反射白点極小のスモーク表現、ほっぺたプニプニ、5~6等身で胸&お尻はほぼ出ていない繊細で可愛らしいもの。作画&背景美術も話数を重ねても特に崩壊しない。


――後日付記:その後に隆盛を極めていく、ロボットアニメ『レガリア』(16年)やアイドルアニメ『音楽少女』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200621/p1)に『アイドリープライド』(21年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220410/p1)などでもキャラデザ原案を担当する「QP:flapper」によるキャラデザであった!――


 オープニング&エンディング映像に象徴される、ムダに奇形的に進化した日本の美少女アニメの萌え媚び小首仕草、拳を握らないフニャフニャ女子走り、時にうねり・グルーヴ感あふれるカメラも動いていく演出も、各話で作画枚数を費やしてまで達成している――3次元世界で女子がココまでシナを作っていたら鼻につくだろうとも思うけど(笑)――。


 湖畔の地元のレギュラー少女3名。


●お土産屋を手伝っている、おっとりした黒髪セミロング娘
●ひとりで「円盤」反対運動をしている、明るい栗色ゆるふわショートのツンケンとした少女
●ドデカいヘッドホンをすることで、あからさまに他人を拒絶している黒髪ロングのクールな長身女子


 各話のお話は、彼女らの思わせぶりなナゾの言動で都度都度、展開を引っ張って、不和を経由し主人公女子との和解に至っていくのがパターンとなっている。


 ナゾも順々に明かされてみれば、子供や少女らしい実に小さなこだわり・人間関係の齟齬・心のキズに由来していて、視聴者のドラマ的な期待に応えるテンションのものではない可能性がある気もするのは、オッサンの当方の心がウス汚れてしまっているせいであろうか? などと云いつつも、各々との和解時の泣きの芝居はすばらしく、当方も釣られてウルッと来ることが度々であった(笑)。


 「円盤」を出現させた幼少時の彼女らの願いとは何なのか? 願いが叶うと、白痴幼女はドーなってしまうのか? といったところで、ハッピーが不幸を呼び寄せる「人間万事塞翁が馬」で終盤はドラマを構築していく。


 分析的に云うならば、主要人物5人の相互の対角線的な人間関係描写が少々乏しくて、主人公女子と各キャラの関係のみを順繰りにブロック的に配置して、各々との和解の瞬間! というスポットはそれなりに感動的であっても、そこに至るまでのタテ糸・ヨコ糸を密に編み込んでいく感覚や、個々の糸自体も弛緩しているとまでは云わないけど、張り・テンションと、糸の両端同士の綱引き感覚は少ないようにも思うのだ。


 本作はストーリーよりはディテール、マクロよりもミクロな心情をねらっているのであろうから、そこは確信犯だとも取れて、ソコにツッコミをガチで入れるのもヤボなのではあろうけど。
 もちろん、ストーリーが多少弱くても演出の力で観客を吸引できてしまえる作品もある。だが本作の場合、演出はスポット的な細部の小芝居の良さに留まって、シーンをまたいだ感情の流れや情緒を持続する点では少々弱いようにも思うのだ。
 とはいえ、本作が過剰に拙いなどと主張しているワケではない。むしろ、引っかかることなくナチュラルに視聴を継続していける作品だとも私見するのだ。


 個人的には特別に執着はしていないけど、と同時に本作もまた捨てがたくて愛すべき佳品だったとは思う。



――後日付記:水色ツインテールの天真爛漫幼女・ノエルの声を演じていたのは、水瀬いのり(みなせ・いのり)! 翌2015年に深夜アニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』では、「ナゾのヒモ(笑)」でスレンダー巨乳が強調されていた、自身を「僕(ボク)」と自称しているロリ娘のヒロイン女神・ヘスティア役や、深夜アニメ『がっこうぐらし!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151006/p1)主演にアニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191104/p1)主演などでブイレク! 2022年現在でも、主役やメインヒロイン級で活躍していることはご存じの通りだ――
天体のメソッド

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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.63(14年12月30日発行))


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 『ウルトラマンデッカー』(22年)に前作ヒーロー『ウルトラマントリガー』(21年)が客演記念!
 アクションアニメ映画『BLACKFOX』の前日談を描いていた、山本千尋ちゃん主演で坂本浩一カントク作品でもあった特撮時代劇映画『BLACKFOX:Age of Ninja』(共に19年)の2作品や、百合アニメ『citrus(シトラス)』(18年)なども手掛けてきた、『トリガー』メインライター・ハヤシナオキも再登板!
――ピクシブ百科事典によれば(汗)、氏の正体は京アニがアニメ化したことでも有名な『Kanon』や『ONE~輝く季節へ~』などで90年代末期~00年代にかけてはオタ間で「泣きゲー(ム)」を大隆盛に導いてきたシナリオライター久弥直樹(ひさや・なおき)だとのウワサもある!――


 とカコつけて……。奇しくも、『ウルトラマンティガ』(96年)の並行宇宙を越境した続編でもあった『トリガー』とも同じ作品構造を持っていた、『ひぐらしのなく頃に』(06年)のリメイクでもあり、ハヤシナオキ先生が手掛けていた『ひぐらしのなく頃に 業(ごう)』(20年)評ほか2020年秋アニメ評をアップ!


――いやまぁ、海外SFドラマ『宇宙空母ギャラクティカ』(78年・日本放映81年)のリメイクとも続編とも取れるようにワザとボカして作ってあった『ギャラクティカ』(03~12年)、中点ナシの海外SFドラマ『スタートレック』(66~91年)の分岐並行宇宙であった中点アリの映画『スター・トレック』(09~16年)リブート・シリーズ、原典とリメイクを「アース1」と「アース2」の並行宇宙の関係だとした60年も前の1960年前後(爆)のアメコミ作品等々、『トリガー』と『ひぐらし業』以前にもリメイク作品を並行宇宙の関係だとした前例はあったけど(笑)――


ひぐらしのなく頃に 業』『無能なナナ』『憂国のモリアーティ』『禍つヴァールハイト -ZUERST-』『池袋ウエストゲートパーク』『NOBLESSE -ノブレス-』『アクダマドライブ』『100万の命の上に俺は立っている』『魔女の旅々』 ~シブめの良作が豊作の2020年秋アニメ9本評!

(2020年秋アニメ)
(文・T.SATO)
(2021年1月21日脱稿)

ひぐらしのなく頃に 業(ごう)』


 昭和58(1983)年の山村。人口が少なく1学年あたり1~2人しかいないので、小中の全学年が同じ教室で学んでおり、主要人物も学年の異なる級友たちである――私事で恐縮だが、子供時代の帰省先の親戚たちの村はまさにコレであった――。


 都会から越してきた中学生男子クンは早々にそこに馴染むも、次第に違和感が生じていく。村の因習・幼児虐待・ダム建設賛否で割れた過去・連続猟奇殺人事件・級友たちの不穏。そして少年に迫る危機……。


 00年代初頭のコミケ出店の同人ゲーム『ひぐらしのなく頃に』出自の作品――といっても、PCで読む小説ですネ(汗)――。口コミで人気を集めて複数商業媒体が青田刈り。00年代中葉には漫画・小説・アニメ化されて、当時は通勤電車の中でも非オタっぽい男女が同作を読書しているのを数回目撃したので、社会的ブームだとは毛頭思わないけど、オタクジャンルの外側への浸透には少々成功した作品でもある。


 そこまで行くと多少のブランド価値が生じてくるので、2005年前後のリアルロボットアニメ『蒼穹(そうきゅう)のファフナー』(04年)・『交響詩篇エウレカセブン』(05年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20211031/p1)・『コードギアス 反逆のルルーシュ』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20081005/p1)の続編やリメイク作品が登板するのと同様で、懐かし作品の再評価といったところでの再アニメ化なのであろうか?――いずれもつい最近の作品のように思えてしまう我が身は老害なのであろう(汗)――


 「当時の美少女ノベルゲームの文法に即した上での斬新な試み」といったあたりが本作のアニメ評論やゲーム評論スジでの評価だったけど、筆者個人は作劇面ではともかく美少女キャラの癖の強いツブしてエグったようなキャラデザや口調・語尾などの極端な記号化が少々苦手であった――「にぱ~☆」とか――。いやまぁ、身体が受付ないほどではナイけれど(笑)。


 さすがにあのキャラデザは2020年だと古びてしまったので、今回のリメイクでは端正化されたデザインにリファインされているのは好印象だけど、原典の信者の皆さま的にはドーなのであろうか?


 とはいえ、声優陣は原典の2006年深夜アニメ版が続投。00年代の声優たちが2020年の御代に大集結だなんて、同季の深夜アニメ『ストライクウィッチーズ』3期(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220821/p1)のようでもあり、作り手の意図とは別に当方個人が時間ループした錯覚に陥ってしまう(笑)。


 特別に評価している著作でもないけれども、オタク評論家・東浩紀(あずま・ひでき)センセの著作『ゲーム的リアリズムの誕生』(07年・講談社現代新書)他で、「三択」かつ「複数ルート」&「複数エンド」という、一度で終わりではなく何回も遊び倒すためのPCノベルゲームの特性が、「SF」の「平行宇宙」や「時間ループ」、「私小説」の「一人称」などとも近いことから、90~00年代に発達したオタク文化の新たな文法。
 それはSF的にはその原理が究明されていかないのに、「平行宇宙」や「時間ループ」の存在がお約束と化したジャンル作品群。そのひとつとして本作もあったということで。本来は反則ワザでも、そのテの作品を大量消費すると皆が慣れてしまうという事態を後付けで言説化する試みでもあったのだ。


 いやホント、「アメコミ(アメリカンコミック)洋画」も「ウルトラマン」も「仮面ライダー」も、「時間跳躍」や「分岐並行宇宙」や「並行同位体」やらが導入されると、岩場での善悪のド突き合いにもスケール雄大なワクワク感が生じてくるのが不思議である。コッチの方面でも新たな文法が誕生しているゾ(笑)。


 先に本作の美少女キャラは記号化が著しいとふれた。もちろんそれは、90年代末期~00年代中盤の風潮でもあったので、本作独自の罪ではない。まぁ、フィクションである以上は、実写であろうとその人物像には少々の記号化・単純化は必然なのだけど、その度合いには個人の好みがあるので、この時期の「泣きゲー(ム)」原作の深夜アニメも個人的には少々苦手であった(スミマセン)。
 その後は「パーツ萌え」から「関係性萌え」に流行が移って、記号なりのナマっぽさも増量していくので、筆者個人は10年代の作品の方が好みではある。


 本作は2006年版・深夜アニメ第1期のホントにほぼ忠実なリメイク。かと思ったら……。
 物理時間の外側のメタ時間・虚数時間(?)からの告知が夢の中でなされて、実は本作はアニメ版の第5期(?)、何十回目だかの並行宇宙を分岐・越境した時間ループ世界でのヤリ直しであったことも明かされた!


 ココからは旧作とは似て非なるオリジナル展開か!? と思いきや、この真相はまるであとを引かない(笑)――後日付記:本稿執筆時点での話。最終的には大きくあとを引いていくので念のため――。


 とはいえ、たまにある猟奇犯罪描写と、旧作ほどではないけど記号的な美少女描写を除けば、人様にも一応は勧められる作品だとも私見する。
ひぐらしのなく頃に業

(了)


無能なナナ


 絶海の孤島にある木造の校舎に集められた学生服姿の少年少女たち。彼らは「人類の敵」と戦うために集められた超能力者たちだという。


 よくある学園能力バトルもの。超能力を持つ学生たちが集う学園を舞台に、敵味方入り乱れての超能力バトルを展開し、主人公は特定の能力を持たない「無能力者」や「劣等生」だと云われつつも、「対戦相手のあらゆる能力を無効化する劇中内での最強者!」 あるいは「秘められた才能が開花していく成長物語であった!」というような、悪く云えば既視感バリバリ、良く云えば鉄板・王道の作品なのか!? と思いきや……。


 本作の主人公にも見えていた、頼りないけど善良なオボこい少年クンが1話のラストでナンと物語からは脱落!! 彼の理解者・恋人にもなりそうなニコニコとして健気で可憐なピンクのミニツインテ髪のヒロイン学生がその凶悪な正体も現して、彼女こそがピカレスク(悪党)な主人公であったことを雄弁に物語る、実にツカミの強い第1話がそこにはあったのだ!


 しかし、1話だけがツカミに強くて、その後は失速する深夜アニメは多々ある。だけど、この作品に関してはそこもクリアはされている。


 絵柄は最先端の美少女アニメ絵的な萌え絵ではなく、少年マンガというよりかは児童マンガに近いシンプルな描線。悪く云えば少々ヤボったい絵柄のキャラデザだからか、デブの番長・ロン毛の気取ったイケメンたちはいかに血気にハヤって喧嘩で炎や氷を放つ能力者ではあっても、根はまだ子供で善良でもある未成年たちといったノドカさがある。


 そんな彼らに自身は「読心能力」の超能力があるとウソぶいて人格者としてクラスで人望を勝ち得つつも、主人公少女は級友たちを人知れずひとりずつ暗殺していく……。


 成文化してみると、彼女の行為は真っ黒だ。彼ら能力者の少年少女たちこそ「人類の敵」と化すやもしれないとしても彼女の行為はグレーである。にも関わらず、彼女は劇中内での絶対正義ではナイのにイヤ~ンな感じはせずに、むしろ感情移入して彼女を応援してしまう(笑)。


 それはもちろん、彼女の主観を通じて物語が叙述されていく主人公補正ではある。と同時に、彼女はタダの人間でパワーバランス的には劣勢なのに、知略・胆力・心理的駆け引きだけで相手を出し抜いて暗殺にも成功することで、弱者が強者を倒した爽快感もあるからだ。彼女がやや低身長の非力そうな少女であることもコレを増幅(汗)。


 「純文学」ならぬ「大衆文学」とは良くも悪くもその時代に主流の風潮、つまりは「俗情との結託」なのだとも文芸評論家たちはクサしてきたけど、本作はソレを逆活用。現今だとサヨクフェミニズム的な「弱者」や「女性」は無条件で擁護されるべき疑義を許さぬ「神聖不可侵の天皇」化(笑)された良き存在だという「俗情」をも援用して、暗殺行為の背徳味を弱めることにも成功している(ホメてます!)。
 「事実」よりも「真実」、ウソをそれらしく並べて視聴者をイイ意味でダマしつつも、ヒトの世の真実を明かしていく「物語」や「作劇術」の本質をも示している絶好のテキストだともいえるだろう。


 こう書いてくると、同季秋アニメの「名探偵ホームズ」の宿敵である「モリアーティ教授」を金髪イケメンの青年主人公に改変、彼の犯罪を英国階級社会への反逆として描いていた『憂国のモリアーティ』との相似も想起する。


 しかし、アチラが「俺TUEEE(強エエエエ)」系の犯罪での胸の透き方だとしたら、コチラは「彼女が真犯人かも?」と冷徹に見抜いてくる男子学生を早々に妨害役としても設定して、彼女の正体や犯罪がバレないように振る舞うことをも過程のスリルとしつつ、最後には暗殺が成功することで胸を透かすといった相違があるのだ――優劣ではなく――。


 シリーズ中盤以降は、暗殺相手の学生たちとの交流や、断末魔で明かされる彼ら個々人の悲しい過去、時に彼らの変態性や犯罪性癖、そしてこの孤島に潜伏していた同級生以外の先代学生1名がナゾめいた行動の果てに明かすこの学校の真実。
 しかして、学生たちも無罪ではなく、能力者たちにもある思春期のマウント合戦が、『十五少年漂流記』(1888年)のバッドエンド版である世界名作文学『蠅の王(ハエのおう)』(1954年)のように殺し合って自滅した前期生たちの逸話も語られて……。


 とはいえ、力の源泉にも――「新人類」なり「霊的世界」なりの――SF的な興味が向かった20世紀の超能力モノとは異なり、そこは忌避して「制限ルール付きの超能力」の組合せを「完全犯罪」や「ナゾ解き」の知的展開だけに活かしていくあたりは、そこに過度にケチをつける気もナイけれども想うところはある(笑)。


 ココまでピカレスク・ロマンでありながら、本作アニメ版の終盤は――原作マンガでは中盤相当――、性質善良なチビ少女との交流から主人公がホダされて、彼女の悲壮な出自や凶悪上司の存在も含めて、改心可能性を示してくるあたりは賛否が出そうではある。


 主演の大久保瑠美は『スイートプリキュア♪』(11年)に登場した途中追加戦士である小学生プリキュアキュアミューズが著名だが、本作の主人公少女も外ヅラの愛想の良さとは一転、内心でめぐらす冷徹なセリフ回しも実に魅力的だ。
無能なナナ

(了)


憂国のモリアーティ』


 名探偵ホームズの宿敵・モリアーティ教授の若き日を主人公に、しかも彼を金髪緋眼のイケメン青年としても描くというプチ背徳的な作品である。


 面白い! 漫画アニメ的なナンちゃって楽屋オチ感は皆無で――そーいう要素がある作品を否定もしませんけど――、自動車の代わりに馬車が走り、汽車・ガス灯もようやく普及しだした19世紀末の英国を舞台に、青年モリーアーティによる同情の余地も充分にある完全犯罪を描いていくのだ(爆)。


●貴族の豪奢な屋敷の内装
●ロンドンの町並
●石造りの街路もあるけど時には未舗装のヌカるんだ道
●下町
●近郊の田園


 それらを精緻な背景美術で描くことで、あの時代の空気と臨場感もいや増していく……。


 しかして、モリアーティの犯罪動機は「私情」ではなく「憂国の情」! それも「排他的ナショナリズム」ではなく、日本の教科書では教わらずに左派系言論人も無知ゆえにか日本の国粋機運が勃興することを避けるためにか言及してこなかった、しかして学術方面においてはよく指摘されてきた、「身分制度」がなくなってもなお残る欧州の「タテ社会」的な「階級意識」!


 かの地では「明治維新」後や「高度経済成長期」のように、「労働者階級」が進学して事務職や知的職業に就いて社会的な上昇を図ろうとする機運には今でも乏しい。
――ワラシベ長者や豊臣秀吉のような逸話が極少なのもその象徴。フランス革命も労働者ではなく貴族やブルジョワの子弟が主導したもの。もちろん、だからといって「日本スゴい!」と云っているワケではナイので念のため(笑)――


 モリアーティの犯罪はこの「階級制度」(というか「階級意識」)を破壊して英国を良くせんとする「革命」としての一理をも含意させていくのだ――でもまぁ、大局には影響がナイ、小さな「意趣返し」でしかナイともいえるけど(汗)――。


 よって、モリアーティの毒牙にかかるのは「平民」や「貧民」への差別意識を隠そうともせず露骨に発露する「貴族」たちである。
 しかし、イジワルに観てしまえばソコで作劇のマジック。当時の「貴族」全員がそうであったハズはないのだけど、彼らは「平民」を「狩猟」や「ペドフィリア小児性愛)」の延長で「殺人」したりもしている(爆)。


 「階級意識」が即座に「殺人」に直結するワケでもなく、そこにその「貴族」個人の「残虐性」や「特殊性癖」が加味された結果ではあるけれど、いかに「社会派風味」を装おうとも、エンタメにおける「殺ってもイイ悪党の造形法(笑)」としては実に参考になる――ホメてますので念のため!――



 番組の基本フォーマットが示された#1直後の#2~3においては、モリアーティ自身もまた「貴族」のようでも孤児院育ちの「貧民」出自で、なぜに彼が「貴族」の名跡を継いだのかが描かれる。


 サロンでの「上級貴族婦人」の発言に愛想笑いでお追従した「中堅貴族」たちは、内心では苦々しく思いつつも「孤児」たちを自邸で引き取ることに賛同。
 モリアーティ家も例外ではなかったが、性質善良・公平・慈悲心に恵まれた長男は以前から孤児院で奉仕しており、後年の教授となる利発な孤児兄弟を連れ帰る。


 しかして、始まる両親や弟や使用人たちの孤児への度重なる尋常ではない差別やイジメ。特に弟に至っては孤児兄弟を殺害せんとする気配さえある。それらに染まれない長男は心を痛めて、彼らが矯正不能なことを悟って絶望。


 近いDNAや同じ教育を受けても全員が必然的に「差別主義者」になるのではなく、個々人の生来からの「品性」「性格」の相違の方が大であることを示す好例でもある。


 この状況から逃れるため、長男と孤児兄弟は子供ながらに彼ら初の完全犯罪に手を染める……。


 「仕事」や「学校」や「趣味」でも「マウント」を取りたがるような「業」といったモノが、人間一般には拭いがたくある以上は、欧州ではともかく「身分制度」が解体されたあとに生じている「新身分」でもある、新自由主義的な「経済格差」・「スクールカースト」・「モテ/非モテ」の同時代的な風刺も看て取って、そこに現代性を感じさせているのも本作の成功要因のひとつでもあるのだろう。


 シリーズ後半では若き日の探偵ホームズも登場! 彼らの丁々発止や、教授の仕業(しわざ)ではない犯罪を両者が競争して推理に挑むサマなども描かれる。ホームズもややワイルドなクダけたイケメン青年へと改変(笑)。
 明治・大正・昭和の文豪をイケメン青年に変えることでヒットを飛ばした深夜アニメ『文豪ストレイドッグス』(16年)に端を発して、20年春季には『文豪とアルケミスト~審判ノ歯車~』『啄木鳥探偵處(きつつき・たんていどころ)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220213/p1)――共に良作だと私見――などでも採用されたパターンでもあり、テーマや技巧的作劇のみならず大衆ウケには意匠・パッケージも重要なので、女性ファン・BLファン受けもコレでバッチリだ。
 美少女アニメを好んで観ている男性オタが、こーいう受容をネタでならばともかくガチで批判をするのは目クソ鼻クソである(笑)。


 ところで、モリアーティ3兄弟は過度な正義感に猛ったりはしていない。自らも「悪」であり少々の「罪」の意識があることをその佇まいで表現することで、視聴者からの批判的な視線を緩和できたことも作品の成功に貢献している。


 本作の監督は、リアルロボットアニメ『翠星(すいせい)のガルガンティア』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140928/p1)や本格SFシミュレーションアニメ『正解するカド』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190929/p1)などでもナンちゃって感は皆無の重厚かつ手堅い筆致で演出した野村和也で、本作でも同様の手腕を存分に発揮している。
憂国のモリアーティ 1 (特装限定版) [Blu-ray]

(了)


『禍(まが)つヴァールハイト -ZUERST(ゼルスト)-』


 異世界ものでも時代との距離ゆえかロマンが感じられる中世ではなく、20世紀前半の「大戦期」前後の欧州のごときホコリっぽい石造りの街並・風景・車両が舞台であるために、フツーのよくできた旧作洋画を鑑賞しているような風味もある作品。個人的には実に面白い。


 気弱で非力そうで細身だが、卑屈な調子よさ(笑)も感じさせる運送業の青年クン。彼は密輸組織の犯行に巻き込まれて彼らと一時の行動を共にする。しかし、彼は当局から誤解されて指名手配に! 彼のことを仇とねらう青年軍人も登場!
 そしてまた、この密輸組織がタダの犯罪者ではなく志のあるプロ集団でもあり、帝国議会の不正資金や帝都に横行する殺人事件がマッチポンプな怪しげな魔物研究などにも起因することの調査などにもカラんでおり、成り行きと少々の義侠心から彼は彼らに協力することに。無骨なプロの男女たち。しかして同道するうちに明かされていく彼ら個々人の複雑な過去や信念。


 帝都の謀略の中心にいる冷徹にしてエキセントリックで神経質そうでもある、名声優・津田健次郎がダミ声で演じているヒゲ剃りあとが青い細面の将校さんも悪役キャラとして実にイイ。個人的には彼ら登場人物たちを転がして作劇していくだけでも充分なクオリティーに達していると思うのだけど、一般オタ向けにはやや地味だからか、人外というのか薬物摂取でモンスター化した魔物とのバトルもシリーズ後半では頻繁に挿入して、地に足が着いたアクションから超常アクションへも舵を切る――それまでの展開と比しても浮いてはいないし、どころかスケールアップとして感じさせることにも成功している――。


 監督は『未来日記』(12年)・『はたらく魔王さま!』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201206/p1)・『失われた未来を求めて』(14年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220918/p1)・『十二大戦』(17年)などの良作を手掛けてきた細田直人で、本作ではシリーズ構成・脚本も兼任。
 原作はゲーム会社・Klab(クラブ)のスマホゲーム。作画も背景美術も質が高いので、メディアミックスの高予算作品だろう。中CMでも散々に宣伝しているけど、明らかにアニメ版とは絵面やキャラも異なる(笑)。


 ググるとゲーム版世界の数十年後という時代設定で、アニメスタッフ側が自由に作っているようだ。良作なのだけど、美少女アニメ志向の当今のアニメファンにはなかなかに受容はされないであろう。21年3月末にはこのゲーム自体のサービスが終了という文言も発見(爆)。
禍つヴァールハイト -ZUERST-

(了)


池袋ウエストゲートパーク


 クドカンこと宮藤官九郎(くどう・かんくろう)脚本のTVドラマ版(00年)が大ヒットした記憶も新しい(?)同作が、20年の歳月を経て深夜アニメになろうとは……。
 池袋を舞台にカラーギャングどもが三つ巴の抗争を繰り広げて、そこに全身が黒革バイクスーツ姿の首なし女ライダーなぞといった超常存在もカラんでくる、当作のオタク版でもあるラノベ原作の深夜アニメ『デュラララ!!』(10年)があったというのに(笑)――イヤ、あの作品も良作だったんですヨ――。


 池袋で母が営む青果店を手伝う、イキはいいけど節度や良識もアリそうな青年・マコト。地元民でもあるから多少トガった幼なじみたちもこの繁華街で暮らしており顔は広い。とはいえ、闇社会とも近い。
 そんな彼らは友と寄る辺と我が身を守るために幾つかの若者集団も結成し、張り合ってもいる。時に自分から、時に知己から、時に赤の他人からの依頼でトラブルに飛び込んで事態を収集させるも、それはまた純粋な善意でもなく、男と男の腕力・胆力・カッコの付け合い、仲間を信服・抑制・善導する若者集団トップの人望合戦といった様相も呈しており……。


 とはいえ、本作の世界観は狭くて閉じたものでもナイ。


●低収入で幼子を抱えたシングルマザーに救いの手が差し伸べられたかと思えばそれは詐欺師であったとか――同じく単身で主人公を育てた母の役回りにも泣ける!――
●嫌中嫌韓デモ(在特会?)とその対抗デモ(レイシストしばき隊?)の双方をイーブンに、ドチラにもいる穏健派と急進派の内部対立劇や、そこにも利権で付け入ってくる闇社会まで描いたり
●関西や中国ヤクザ
●果ては彼らが愛する池袋とその民を神聖化もせず、ヤンキーな地元民にイジメ抜かれたオタの復讐劇!


 実に多面的にも描いていくのだ。


 こーいう作品に接すると、「仲良し集団」・「自警団」・「ギャング」の境目は曖昧だし流動的だとつくづく思う。悪意から身を守るために「互助組織」を作って、それを維持するために「ミカジメ料」を取るような行為も、「ムラ」や「クニ」の税収の原初形態でもあるのだろう。


 西部劇の保安官や江戸時代の鬼平(鬼の平蔵)こと長谷川平蔵などは密偵やイキのいい若造を私費でスカウトしているけど、「悪には悪を」でもあり、密偵や若造にも彼らなりの義侠心はあるのだろうけど、自らを律して餓死するほどに禁欲的ではナイので(笑)、ジョン・ウェイン鬼平がいなかったらば彼らはカタギじゃなかっただろうし(汗)。


 サヨク連中は「国連憲章」や「憲法」にも書いてあるから「生命」・「安全」・「人権」が最初から保証されており、コレが大前提の「自然」状態で「天賦人権」だ! 邪心を捨てれば「地上天国」が自然に到来するのだ! ばりに主張するけど、その発想こそが間違いだ。「非実在青年」ばりな「天」や「憲法」が与えた「自明な権利」なぞという概念自体が空論である。
 それは「地」の底から見上げた「目標」であって、「自然」状態ではヒトは野蛮だから最低限の秩序や治安維持のために、「神聖なる共同体」(笑)ではなく「プラクティカルな互助的保険組合」としての「自治体」・「国」・「国際機関」を「人工」的に作り上げて、私的なコネがなくても誰でも公平に警察・消防・救急・生活保護の助けを呼べる生命・安全・人権を保証するワク組みを、ナンとか中長期で天賦ではなく人為的・テクニカルに精緻化していこう! と呼びかけるのならば賛同するけれど。


 てなワケで、「近代国家」が「戦争」を引き起こす危険性があったとしても廃絶すべきではナイと考える者だけど、戦災などで行政機構がなくなれば「自力救済」なり「自警団」なり「ギャング」に頼るのが世の常ではあるだろう。
 だから、その是非はともかく、直感的には顔の見えない「行政」なぞではなく、マコト青年みたいなトラブルシューターに人々が依頼をしたり、江戸時代のお百姓さんたちが腰の据わった胆力もある侠客・国定忠治(くにさだ・ちゅうじ)にお役人との団交(団体交渉)代表を依頼するのもよくわかる――いやまぁ、団交代表は弁護士でも圧力団体でもイイのだけど(笑)――。


 でもまぁ、平時でも人間の圧倒的大多数はイキがったりワルぶったりして悦に入りたいものなのだし(汗)、人間も猿の一種である以上はそういった心性は根絶ができない。根絶しようとすると爆発するだろうから、カタギに迷惑をかけない範疇で適度に発散。「小さな悪」や「ヤンキーDQN(ドキュン)(=不良)」の「グループ化」や「意地の張り合い」程度は許容するという社会設計・制度設計でもイイのだということをも本作は示唆もするのだ!?


 最終回まで息切れもせず、最後は主人公青年が誤解から追われる身となり、大抗争劇まで勃発させて盛り上げる。傑作だと認定するけど、平均的なオタにはウケないだろうなぁ(汗)。
池袋ウエストゲートパーク

(了)


『NOBLESS-ノブレス-』


 本作は少なくとも物語の前半は学園能力バトルもの。


 清潔感ある白い学生服に身を包んだ赤毛の熱血男子高校生とその友人の眼鏡クンが通う白亜の校舎の私立学校。そこは姿はヒトなれどもヒトを超えた種族であるらしい、通称・貴族(ノブレス)と自称するクールな超人種族が理事長・門番(警備員)などを務めており、理事長宅にはクールで寡黙な美形学生も寄宿している。


 8頭身のデッサン骨格シッカリ系のイケメン男性キャラが多数登場。彼らの半分は実は「貴族」なる人外の存在である。それを秘かに知ったユニオンなる闇の機関は凶悪な強化人間を彼らの周囲に送り込んで、彼らのヒミツを奪取しようと暗闘を開始する。この理事長や校門の警備員たちとも親しくなってしまった一部の学生たちにも危機が迫る。
 一方、この学園の方針に不信感を抱いた「貴族」の上層部も、お目付役として「貴族」種の男女学生ふたりを転入させてくる。正体は隠していても人間たちに対する軽侮の念を隠せないふたりであったが……。


 といったあたりで、21世紀の今も残る貴族階級と労働者階級の根深い分断を19世紀末を舞台に、探偵ホームズの宿敵・モリーティー教授をイケメン主人公として描く同季の深夜アニメ『憂国のモリアーティ』とも同じことをやっている。
 しかして、DC社のアメコミ洋画『アクアマン』(19年)が奇しくもマーベル社のアメコミ洋画『ブラックパンサー』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180607/p1)と純テーマ・純ドラマ的には共に同じ人種差別問題を扱っているのに、虚構存在の「海底人」や人外の「貴族」を現実世界の存在でもある「黒人」や「英国貴族」に代入しただけの作劇だというのに、観客にも重たく刺さってくるのが、フィクション度が高い作品の力の方を称揚したい筆者としては痛し痒しでもあるのだけど(笑)。


 最初は敵として現れて主要人物たちと敵対するも、肉体的には劣等種であるハズの人間のことを認めて味方となって、それまでの価値観に疑問を抱いて、譲れない信念を基に「身分」だけで「品性」は不出来な「貴族」の不肖の次代の王とも対決することになっていく、作品構造的には既視感あふれるコテコテの作品ではある。


 けれども、それなりに観られる作品にはなっている。でもまぁ今日び、イケメン男子が格闘する作品はオタク女子だけが観ていて、野郎オタクは一切観ないのであろうけど(笑)。


 オープニング主題歌の字幕の通りで、本作のプロデューサーは韓国人複数がその名を連ねている。2020年夏季の『THE GOD OF HIGH SCHOOL』同様に、韓国の人気WEBマンガを日本のアニメ製作会社「プロダクションI.G」がアニメ化を受注した作品なのであった。天下の「IG」は今や高予算作品しか受注しないのだろうけど、映像面ではお墨付きである。
NOBLESSE -ノブレス-

(了)


『アクダマドライブ』


 SF洋画の金字塔『ブレードランナー』(82年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171110/p1)的な色とりどりのネオンに満ち満ちた、退廃的かつ管理社会でもあるような未来の大阪が舞台である。


 劇中では「一般人」としか呼ばれないOLの姉ちゃんがタコ焼き屋で電子マネーが不可だったことで無銭飲食扱いで逮捕されてしまうのが導入部。
 彼女が収監された警察署に偶然、悪玉(アクダマ)こと劇中では「運び屋」・「喧嘩屋」・「ハッカー」・「医者」だとし呼ばれない高額の金銭で雇われたプロがこぞって襲撃してきて、警察署は阿鼻叫喚。彼らは遂に依頼されていた「殺人鬼」(笑)の脱獄に成功するといった序盤はツカミが超強い。


 猫の姿をしたナゾの依頼主は彼らをチームとして、「関西」の宗主国である「関東」(爆)を繋ぐ新幹線内の金庫襲撃を依頼して、今度はシリーズ前半を通じて走行する新幹線内での密室バトルが展開する。このへんまではまぁまぁ。


 新幹線編が終わってシリーズ後半になると、この世界なり依頼主の秘密なり歴史なりといったお話となり、元の「関西」に戻っての大バトルで、警察の一部上層部に不信感を持った市民たちの大暴動といった内容になっていく。


 ナゾの依頼主により招集されたアクダマたちと、そこに偶然巻きこれまれてしまった三下(さんした=一番下っ端)の軽薄そうなグラサンのチンピラに一般人OLと皆がキャラは立っている。


 媚びてないけど甘い声の天然で女子力が高いといった感の主人公を演じるのは、吹奏楽部アニメ『響け! ユーフォニアム』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160504/p1)での主人公の印象が強い黒沢ともよ。常識人・一般人である彼女が視点人物となることで、破天荒な作品世界や登場人物たちの行動自体を客観的に俯瞰(ふかん)する手綱にもなっている。


 話の大スジは問題ナイとも思うけど、シリーズ後半の展開なりドラマは、あまり血肉が通って見えずにテンションも落ちていて、風呂敷も畳めきれてはいないと私見。そういった作品が多々あるのも事実だれけども惜しいなぁ。
アクダマドライブ ハッカー 医者 殺人鬼 アクリルスタンド[CRS20210191]

アクダマドライブ
(了)


『100万の命の上に俺は立っている』


 ナポレオンかよ!? というタイトルで、「千切っては投げ、千切っては投げ」が連発されるバーサーカー(狂戦士)が無双する作品なのかと思いや。(ひとり)ボッチな男子高校生が異世界で少々の控えめな悪事(笑)をなすといった作品である――筆者個人の先入観との比較です(汗)――。少なくともアッという間に、数百人・数千人が死んだりはしていない。


 西欧中世ファンタジー異世界への召喚もの。なのだけど、20年同秋季の深夜アニメ『くまクマ熊ベアー』同様に、そこはTVゲームの世界のように地面や中空に過去の冒険者のログ(記録)が残存かつ参照可能で、敵に殺されてデータの粒子となって消滅しても30秒後には復活する(汗)。


 クラスでは冴えない少年クンだったが、同人原稿もといゲームの中では全能感・万能感に満たされて(汗)、どころか嗜虐心も満たしていたりする。そんな彼はクラスでも快活な金髪女子と病弱女子にもゲームの中で出逢ったけど、どうもこの世界のゲームは尋常ではないことに気が付いて……。


 純粋なオタ向け媒体の出自ではなく少年マンガ出自であるからか、往年の『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191103/p1)同様に、今はボッチでも元は快活で運動神経もあった少年が、事件や転校などを契機に転落したとすることで、異世界での胆力や敏捷性の理由もそこで担保はされている。


 ただまぁ、ルサンチマン(怨念)が強いので「ズル」や「抜け駆け」や「不意打ち」を考えて内心ニタニタしているあたりは新鮮かも?(汗)


 とはいえ、それも近代市民社会の甘ちゃんの「偽悪」的な態度にすぎなかった。一見は善人なようでも一皮ムクと発露される異世界の中世人の宗教・民族・身分に関するガチな差別心や敵愾心に敵うものではなく、その「偽悪」は早々に粉砕されるのだけど……。
 このネタの導入は早過ぎなのではなかろうか? もっと主人公少年の悪党性で引っ張ってくれないとタイトル倒れだなぁ(笑)。


 自身とは接点がなく悩みもナイのだろうと思っていた金髪快活女子は貧困家庭出自で、面倒見がよかった近所のお姉さんが見た目イジメで自死したトラウマから、ボッチにならず見た目も気を遣おうと活発な人格を身に付けてソレが板に着いただとか、サブヒロインの病弱少女が医者になりたい理由だとか、途中加入のサードヒロインのBL女子もボッチではないけど表面だけ級友と合わせた果てにイジメにあっただとか……。それ単独では面白い逸話だけど、本スジとの融合はウマくなくて乖離気味にも思える。


 一応は観られる作品にはなっているけど、連載マンガの宿命か、やや行き当たりバッタリかも? 作品が目指すべき目的地も不明瞭で、ベクトル感覚には乏しいのだ。ゲームの中の世界かと思ったらソコは並行宇宙の地球で、彼らが実際にも殺人を犯していた! と苦悩させる終盤自体はイジワルだけど、情状酌量の余地はあるし、やはり100万人も殺してはいない(笑)。



 一方で、#1は正規のセル画調のアニメ版とは別に、ネット上のフリー画材で作った幼児向けの絵本のような、強いデフォルメ調のキャラデザとなった「ワケあり版」の方を放映。終盤では、本作主題歌を熱唱する『ラブライブ! サンシャイン!!』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200628/p1)残党組の花丸ちゃんとルビィちゃんによる『ふたりはプリキュア』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1)もどきの特製オープニングなども放映。


 批評的な言語化が苦手なボキャ貧(ボキャブラリー貧乏)な連中が喜びそうな趣向だけど(イヤミ)、それが集客に有利ならば、それでもイイのであろう。筆者個人の評価は表情演技がない「ワケあり版」はノレない、後学のために観た正規版の方が断然面白い! というものだけど。
100万の命の上に俺は立っている

(了)


『魔女の旅々(たびたび)』


 魔法のホウキにまたがらずに、お上品にも横座りにして空を優雅に飛行する、巨大な黒いトンガリ帽子に明るい灰色の長髪である美少女の魔女さんが、西欧近世風の異世界を旅していく物語である。
 彼女は魔法学校で優秀な成績を修めて能力も秀でていたけど、旅先で出逢う人々をあまり救わず、救えずにバッドエンドや苦みのあるエンドで終わるパターンが多い。


 美少女アニメの皮をかぶったダークファンタジーの側面もあるけど、寸止めで美少女アニメに留まってはおり、クチにはあまり出さないけど、自分で自分のことを内心で美人だと思いつつも、それを鼻にかけたりもしていないという魔女さんを愛でる作品である(笑)。


 とはいえ#1が、彼女の一般家庭での幼少期や、魔法学校卒業後に森に住まう魔法使いのお姉さんのお師匠に弟子入りして、健気に丁稚奉公や修行する苦労人の姿も描かれたことが、その後の彼女のやや高慢な内面描写も、根は善良だからという許容につながっている。
 少々傲慢でも決してキツくはなく、チョットだけクグもったところもあるような柔らかい女性らしいボイスがまた、主人公少女のイヤミをそれと感じさせなくさせている。


 主演の本渡楓(ほんど・かえで)はここ数年は主役級でよく見かけるけど、コレといった声の印象がナイのは(個人的には)、それだけ芸風が幅広いのか、単に筆者個人の関心がウスかっただけなのか?(汗)


 #1だけのゲストかと思われた師匠の魔女さんや、#2だけのゲストかと思われたロリ系ボーイッシュ魔女さんも、イレギュラー的に出演。前者は花澤香菜、後者は黒沢ともよだけど、黒沢は同季の深夜アニメ『アクダマドライブ』とは打って変わって、いかにも低身長でボーイッシュな少女声。この娘の存在が作品をイイ意味でギャグや美少女アニメに引き戻してくれてもいる。


 とはいえ、並行世界(?)の様々な境遇の主人公少女が16人も集まってくる藤子不二雄の名作SF短編マンガ『パラレル同窓会』(79年)のようなギャグに寄った最終回は、個人的にはあんまり……。
 まぁ、ダメだとは云わないし、原作ラノベにもあるエピソードだそうだけど、コレだったらアンソロジーなダークな話で終わった方が、本作らしかったとも……。もちろん、16人を演じ分けてみせる本渡楓の技量は見どころだったけど。
魔女の旅々DVD-BOX 全巻セット 全12話収録 アニメ DVD

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.78(21年2月5日発行))


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2019年冬アニメ評! 『五等分の花嫁』『ドメスティックな彼女』 ~陰陽対極の恋愛劇! 少年マガジン連載漫画の同季アニメ化!

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2019年冬アニメ評! 『スター☆トゥインクルプリキュア』 ~日本人・ハーフ・宇宙人の混成プリキュアvs妖怪型異星人軍団! 敵も味方も亡国遺民の相互理解のカギは宇宙編ではなく日常編!?

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2019~17年アニメ評! 『異世界かるてっと』 ~インター・ユニバースの原典『幼女戦記』『映画 この素晴らしい世界に祝福を!-紅伝説-』『Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆』『盾の勇者の成り上がり』『劇場版 幼女戦記』評 ~グローバリズムよりもインターナショナリズムであるべきだ!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210912/p1

2019~16年アニメ評! 『ブレイブウィッチーズ』『ガーリー・エアフォース』『荒野のコトブキ飛行隊』『終末のイゼッタ』 ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!

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2019~15年アニメ評! 『純潔のマリア』『リヴィジョンズ』『ID-O』『コードギアス 復活のルルーシュ』 ~谷口悟朗監督作品アニメ4本評!

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2019~13年アニメ評! 『せいぜいがんばれ! 魔法少女くるみ』『魔法少女 俺』『魔法少女特殊戦あすか』『魔法少女サイト』『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』……『まちカドまぞく』 ~爛熟・多様化・変化球、看板だけ「魔法少女」でも良作の数々!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201122/p1


2018~19年アニメ評! 『女子高生の無駄づかい』『ちおちゃんの通学路』 ~カースト「中の下」の非・美少女が主役となれる時代!

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2018~19年アニメ評! 『7SEEDS』『A.I.C.O. Incarnation』 ~NETFLIXお下がりアニメ2本評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210509/p1

2018年3大百合アニメ評! 『あさがおと加瀬さん。』『やがて君になる』『citrus(シトラス)』 ~細分化する百合とは何ぞや!?

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2018年秋アニメ評! 『SSSS.GRIDMAN』前半評 ~リアルというよりナチュラル! 脚本より演出主導の作品!

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2018年秋アニメ評! 『SSSS.GRIDMAN』総括 ~稚気ある玩具販促番組的なシリーズ構成! 高次な青春群像・ぼっちアニメでもある大傑作!

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2018年秋アニメ評! 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』#1~10(第一章~第三章) ~戦争モノの本質とは!? 愛をも相対視する40年後のリメイク!

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2018年秋アニメ評! 『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』 ~ぼっちラブコメだけど、テレ隠しに乾いたSFテイストをブレンド

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2018年秋アニメ評! 『ゴブリンスレイヤー』 ~レイプに売春まで!? 周縁のまつろわぬ民は常に憐れで正義なのか!?

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2018年夏アニメ評! 『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 ~声優がミュージカルも熱演するけど傑作か!? 賛否合評!

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2018年春アニメ評! 『ヲタクに恋は難しい』 ~こんなのオタじゃない!? リア充オタの出現。オタの変質と解体(笑)

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2017~18年アニメ評! 『魔法使いの嫁』『色づく世界の明日から』 ~魔法使い少女にコミュ力弱者のボッチ風味を加味した良作!

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2017~18年アニメ評! 『異世界食堂』『異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~』『かくりよの宿飯』 ~西欧風異世界×現代日本の食 その接合は成功しているか!?

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2017年秋アニメ評! 『結城友奈は勇者である-鷲尾須美の章-』 ~世評はともかく、コレ見よがしの段取りチックな鬱展開だと私見(汗)

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2017年夏アニメ評! 『地獄少女 宵伽(よいのとぎ)』 ~SNSイジメの#1から、イジメ問題の理知的解決策を参照する

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2017年春アニメ評! 『冴えない彼女の育てかた♭(フラット)』 ~低劣な萌えアニメに見えて、オタの創作欲求の業を美少女たちに代入した生産型オタサークルを描く大傑作!

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2014年秋アニメ評! 『SHIROBAKO』(前半第1クール) ~アニメ制作の舞台裏を描く大傑作爆誕

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2014年秋アニメ評! 『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ロンド)』 ~ガンダムSEEDの福田監督が放つ逆「アナ雪」! 女囚部隊に没落した元・王女が主役のロボットアニメの悪趣味快作!

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2014年秋アニメ評! 『ガンダム Gのレコンギスタ』 ~富野監督降臨。持続可能な中世的停滞を選択した遠未来。しかしその作劇的な出来栄えは?(富野信者は目を覚ませ・汗)

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2014年秋アニメ評! 『失われた未来を求めて』『天体(そら)のメソッド』 ~絶滅寸前! 最後の「泣きゲー」テイストの2大深夜アニメ! 良作なのに不人気(涙)

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2014年春アニメ評! 『ラブライブ!』(第2期)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160401/p1


2013~14年3大アイドルアニメ評! 『ラブライブ!』『Wake Up,Girls!』『アイドルマスター

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1

2013年秋アニメ評! 『WHITE ALBUM 2』 ~「冴えカノ」原作者が自ら手懸けた悲恋物語の埋もれた大傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191115/p1

2013年秋アニメ評! 『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』 ~低劣な軍艦擬人化アニメに見えて、テーマ&萌えも両立した爽快活劇の傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1

2013年秋アニメ評! 『サムライフラメンコ』 ~ご町内⇒単身⇒戦隊⇒新旧ヒーロー大集合へとインフレ! ヒーロー&正義とは何か? を問うメタ・ヒーロー作品!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20190301/p1

2013年夏アニメ評! 『げんしけん二代目』 ~非モテの虚構への耽溺! 非コミュのオタはいかに生くべきか!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160623/p1

2013年春アニメ評! 『這いよれ!ニャル子さんW(ダブル)』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150601/p1

2013年春アニメ評! 『惡の華』前日談「惡の蕾」ドラマCD ~深夜アニメ版の声優が演じるも、原作者が手掛けた前日談の逸品!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191006/p1

2013年冬アニメ評! 『まおゆう魔王勇者』『AMNESIA(アムネシア)』『ささみさん@がんばらない』 ~異世界を近代化する爆乳魔王に、近代自体も相対化してほしい(笑)

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200126/p1

2013年冬アニメ評! 『ラブライブ!』(第1期)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1


2012年秋アニメ評! 『ガールズ&パンツァー』 ~爽快活劇に至るためのお膳立てとしての設定&ドラマとは!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190622/p1

2011年春アニメ評! 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 ~別離・喪失・齟齬・焦燥・後悔・煩悶の青春群像劇の傑作!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191103/p1

2011年冬アニメ評! 『魔法少女まどか☆マギカ』最終回「わたしの、最高の友達」 ~&『フリージング』『放浪息子』『フラクタル

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120527/p1

2008年秋アニメ評! 『鉄(くろがね)のラインバレル』 ~正義が大好きキャラ総登場ロボアニメ・最終回!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090322/p1

2008年春アニメ評! 『コードギアス 反逆のルルーシュR2』 ~総括 大英帝国占領下の日本独立!? 親米保守vs反米保守!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20081005/p1

2008年春アニメ評! 『マクロスF(フロンティア)』(08年)#1「クロース・エンカウンター」 ~先行放映版とも比較!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080930/p1

2008年春アニメ評! 『マクロスF(フロンティア)』最終回評! ~キワどい最終回を擁護!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091122/p1

2008年冬アニメ評! 『墓場鬼太郎

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080615/p1


2007年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』 ~第1期・第2期・劇場版・総括!

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2007年秋アニメ評! 『GR ジャイアントロボ』 ~現代風リメイク深夜アニメだが、オタク第1世代の東映特撮版への郷愁も喚起!

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2007年春アニメ評! 『ゲゲゲの鬼太郎』2007年版

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2006年秋アニメ評! 『天保異聞 妖奇士(てんぽういぶん あやかしあやし)』 ~幕末目前の外れ者集団による妖怪退治! 頭デッカチな作りだがキライになれない…

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2006年夏アニメ評! 『N・H・Kにようこそ!』

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2005年秋アニメ評! 『BLOOD+(ブラッド・プラス)』

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2005年春アニメ評! 『英国戀(こい)物語エマ』

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2005年春アニメ評! 『創聖のアクエリオン』 ~序盤寸評

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2004年秋アニメ評! 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY(シード・デスティニー)』 ~完結! 肯定評!!

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2004年春アニメ評! 『鉄人28号』『花右京メイド隊』『美鳥の日々(みどりのひび)』『恋風(こいかぜ)』『天上天下

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2004年冬アニメ評! 『超変身コス∞プレイヤー』『ヒットをねらえ!』『LOVE♡LOVE?』『バーンアップ・スクランブル』『超重神グラヴィオン ツヴァイ』『みさきクロニクル ~ダイバージェンス・イヴ~』『光と水のダフネ』『MEZZO~メゾ~』『マリア様がみてる』『ふたりはプリキュア

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2003年秋アニメ評! 『カレイドスター 新たなる翼』 ~女児向け・美少女アニメから真のアニメ評論を遠望! 作家性か?映画か?アニメか? 絵柄・スポ根・複数監督制!

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2003年春アニメ評! 『妄想科学シリーズ ワンダバスタイル』『成恵(なるえ)の世界』『宇宙のステルヴィア』『ASTRO BOY 鉄腕アトム

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040403/p1

2003年冬アニメ評! 『ストラトス・フォー』『ガンパレード・マーチ ~新たなる行軍歌~』『MOUSE[マウス]』『ぱにょぱにょ デ・ジ・キャラット』『陸上防衛隊まおちゃん』『朝霧の巫女』『らいむいろ戦奇譚

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040402/p1



シブい佳作が豊作だった20年秋アニメ評! ひぐらし業・ナナ・モリアーティ・禍つ・IWGP
#ひぐらしのなく頃に業 #無能なナナ #憂国のモリアーティ #禍つヴァールハイト #池袋ウエストゲートパーク #ノブレス #アクダマドライブ #100万の命の上に俺は立っている #魔女の旅々



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ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN・戦翼のシグルドリーヴァ ~同工異曲のメカ×美少女モノでも、活劇的爽快感の有無や相違はドコに起因するのか!?

『ストライクウィッチーズ』1期・2期・劇場版 ~魔法少女・ネコ耳・MS少女・パンチラ・仮想戦記。B級ジャンクなのに傑作成立!
『ブレイブウィッチーズ』『ガーリー・エアフォース』『荒野のコトブキ飛行隊』『終末のイゼッタ』 ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 深夜アニメ『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』(22年)が放映中記念! とカコつけて……。同作の母体作品『ストライクウィッチーズ』(08年)の3期『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』(20年)、および同季に放映されたメカミリタリ美少女系アニメ『戦翼(せんよく)のシグルドリーヴァ』(20年)評をアップ!


ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』『戦翼のシグルドリーヴァ』 ~同工異曲のメカ×美少女モノでも、活劇的爽快感の有無や相違はドコに起因するのか!?

(2020年秋アニメ)
(文・T.SATO)
(2021年1月21日脱稿)

ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN(ロード・トゥ・ベルリン)』


 第2次大戦期もどきの架空世界を舞台に、欧州広域の空に出現した無機物チックな巨大敵性物体を相手に、大戦期の世界中の陸海空の戦車・戦艦・軍用機が立ち向かう。


 しかして、決戦兵器は空飛ぶホウキの代わりに両脚に片方ずつプロペラユニットをハメた10代の魔法少女たちの各国混成団であるストライクウィッチーズ


 飛行のために魔法力を発揮するや、可愛らしい動物型の両耳やシッポも出現。劇中ではズボンという設定でパンツやスク水姿で股下や臀部も存分に見せつけるも、デフォルメ調の絵柄なので一応シャレとしても機能する(笑)。


 そんな彼女らが超高速で雄飛して銃器や機関銃を連射する壮絶な戦闘の末に、敵性物体の弱点を突いて粉砕するカタルシス


 といったコテコテでバカバカしいながらも気持ちよく観られる快作であって、1期(08年)と2期(10年)ともにオタ間では高い人気を博した作品でもあった。


 そんな作品が10年の歳月を経て第3期が作られる日が来ようとは――メディアミックスで同一世界の別部隊が活躍する同工異曲やギャグ主体の5分アニメ、フェミ団体から苦情がいった自衛隊勧誘ポスター(笑)などで息長く延命してはいたけれど――。


 本作は2012年の『ストライクウィッチーズ 劇場版』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150527/p1)で完結したハズなので、1期と2期の間の話なのか? 『劇場版』の新魔法少女も登場するので新訳のパラレルなのだろうか? などと思いきや、往年の『宇宙戦艦ヤマト』や『銀魂(ぎんたま)』パターンで劇場版完結編の続編、第2次大戦終結の翌1946年が舞台なのであった(笑)。


 目指すは主敵がまだ居座る、先の欧州でも最後の戦場だった旧ドイツの首都ベルリン!


 たしかにベルリンであるならば、さらなる最後の目的地としてもふさわしい。
――まぁでも、王様や首都を陥落させれば終わってしまう戦争はある意味ではラクだよね。コレが往年の日中戦争イラク・アフガン・リビアアラブの春アフターだと、大将がいないので延々と戦争が終わらない。独裁者を首チョンパにすれば即平和ではなく、庶民・大衆の方がはるかに好戦的(爆)で内戦になったりもするから、日独伊が滅びても残ったスペインのフランコ独裁同様に、必要悪としてフセインカダフィ大佐に統治をさせて中長期で近代化・軟着陸を図るべきであった(汗)――


 内容自体はいつもの本作であって、1期・2期とも変わらない。このテの戦闘機・戦車・戦艦をモチーフとした美少女アニメとも同様に、美少女たちは好戦的ではなくナヨナヨとしている(笑)。
 戦闘に出撃するまでは微笑ましい寄宿生活を延々と描いて、ナチュラルでオボコい日本人主人公少女の戦う動機も医療や治癒魔法の延長線としての人々や弱者を守るためであったりもする。


 まぁ、スポ根(スポーツ根性もの)ならばともかく、無生物チックな敵が相手だとはいえ事が「軍事」だから、コレが勝ち気な女子だと「軍国主義」的な文脈にも通じてドン引きされかねないことを懸念する作り手の作劇的な直観(自己弁護?)で、かようなキャラ付けともなるのだろう。


 絵柄的にもデッサン骨格しっかりとした8頭身のリアルでナマっぽい女子ではなく、漫画アニメ的・記号的で刺激臭もウスい各国女子たちなのだけど、それが悪いワケではなくジャンルの歌舞伎的様式美としてその交流も楽しく描かれている。
 すでに出来上がっている10人前後の大所帯に『劇場版』で入隊したマジメな新魔法少女1名――翌2013年に『ラブライブ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1)の一員でブレイクした内田彩(うちだ・あや)だったのか!?――が食い込むのはやや分が悪いともいえるけど、彼女を一応立てることもできてはいた――彼女と既存の魔法少女個々を各話ごとにカラませるかたちの作劇にしてほしかった気もしたけれど――。


 1~2期の輝きは正直ナイけど、個人的には許容範囲の作品である。
TVアニメ「ストライクウィッチーズROAD to BERLIN」オリジナル・サウンドトラック

ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN
(了)


『戦翼のシグルドリーヴァ』


 ナゾの巨大敵性物体が出現! それに立ち向かえるのは、最新鋭戦闘機ではナイ。霊的な力を備えた戦乙女こと漫画アニメ的な記号的な美少女たちが駆る第2次大戦前後のプロペラ機、通称・英霊機であった!


 何匹目のドジョウであろうか? 既視感バリバリな設定なのだけど(笑)。


●『ストライクウィッチーズ』(空・08年)
●『ガールズ&パンツァー』(陸・12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190622/p1
●『ハイスクール・フリート』(海・16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160502/p1


 上記3作品の軍事考証や、それらのサブライターとしても関わってきた鈴木貴昭に、人気アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』(16年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210912/p1)の原作者・長月達平が組んで仕掛けた同工異曲の作品。


 同季の深夜枠の美少女アニメ『神様になった日』(20年)の主人公美少女とも同様に、本作に登場して英霊機を与えた美少年キャラも北欧神話の神々の最高神オーディンだと名乗ってみせる!
 しかし本来のオーディンは、アメコミ洋画『マイティ・ソー』(62年。11年に実写映画化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171116/p1)こと雷神ソーの父神であるお爺さんの姿の方が正解であるので念のため(笑)。


 『仮面ライダー鎧武』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)や『ウルトラマンオーブ ジ・オリジン・サーガ』(16年)同様に、北欧神話がモチーフであるから、超巨大な世界樹ユグドラシルまで登場するので、「死」と「再生」や「進化」が裏テーマかと思ったけど、そーいう感じでもない。


 加えて、本作を評価する方々には申し訳がないけど、個人的にはあまり面白くない。良くも悪くも記号的な美少女キャラたちの造形や魅力もまぁまぁなのだけど、巨大な敵性物体を神通力で強化されたプロペラ機が撃破してみせる戦闘アクションのカタルシスが今ひとつだったと私見するのだ。


 ナゼにこうなってしまったのであろうか? まぁ、こーいうことを云い出してしまうと、傑作アニメ『ガールズ&パンツァー』を手掛けた実力派・水島努カントクが同様に、大戦期のプロペラ機を操る美少女たちを描いていた『荒野のコトブキ飛行隊』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201101/p1)の方もイマイチであったけど。実際のところ、ホンのちょっとした歯車の掛け違いだけで、このような差がついてしまうのであろう。


 筆者個人はその理由を、「人間ドラマ」や奇抜な「SF設定」のあくまでもストレートな「延長線」上に「戦闘アクション」を位置させて、作劇したがゆえだったと見ているのだ。


●巨大な強敵に一度は打ち震えるものの、我が身を奮い立たせて劣勢でも挑もうとするヒロイズム
●そして始まる、一進一退の小競り合いの攻防劇を適度な尺で描きつつ
●それが次第にエスカレートしていき
●一見したところでは物理的には勝てそうにもナイのに
●最後は知恵とスピードと度胸で弱点を突くことで、巨敵を撃破するカタルシス


 つまり、上記のコテコテでマンネリでも王道ではある「アクション演出」を、各話の作品自体の「背骨」にできていないことに理由を求めるのだ。


 むしろ不謹慎でも、各話のオチともなるべき「勝利のカタルシス」や「戦闘シーンの快感」の方から逆算して、「ドラマ」や「テーマ」の方も「逆配置」をするように作劇すべきだ! くらいに考えておかないと、爽快な娯楽活劇作品というモノは作れないのであるのだと。


 百発百中でそういった爽快感あふれる作品を作れないのだということは、そのへんを作り手たちは意識化・理論化ができていないということでもある。評論オタのやれることはまだまだあるのだ。
Higher's High (期間生産限定盤) (Blu-ray Disc付) (特典なし)

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戦翼のシグルドリーヴァ クッションカバー 45x45cm 両面プリント ソファーピロー/デコラティブピローカバー
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.78(21年2月5日発行))


[関連記事] ~同季2020年秋アニメ評!

2020年秋アニメ評! 『ひぐらしのなく頃に 業』『無能なナナ』『憂国のモリアーティ』『禍つヴァールハイト -ZUERST-』『池袋ウェストゲートパーク』『NOBLESSE -ノブレス-』『アクダマドライブ』『100万の命の上に俺は立っている』『魔女の旅々』 ~シブめの良作が豊作の2020年秋アニメ9本評!

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2020年秋アニメ評! 『ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』(1期) ~チームでなく個人。百合性など先行作との差別化にも成功!

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[関連記事] ~美少女メカミリタリアニメ評

ストライクウィッチーズ』1期・2期・劇場版 ~魔法少女・ネコ耳・MS少女・パンチラ・仮想戦記。B級ジャンクなのに傑作成立!

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ストライクウィッチーズ OVA』#3「アルンヘムの橋」(15年)

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ブレイブウィッチーズ』『ガーリー・エアフォース』『荒野のコトブキ飛行隊』『終末のイゼッタ』 ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!

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ガールズ&パンツァー』(12年) ~爽快活劇に至るためのお膳立てとしての設定&ドラマとは!?

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ガールズ&パンツァー 劇場版』(15年) ~爽快活劇の続編映画に相応しい物量戦&よそ行き映画の違和感回避策とは!?

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ガールズ&パンツァー 最終章 第1話』(17年) ~微妙。戦車バトルを減らしたキャラ中心の2期も並行させた方がよかった!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190624/p1

『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』(13年) ~低劣な軍艦擬人化アニメに見えて、テーマ&萌えも両立した爽快活劇の傑作!

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アズールレーン』(19年) ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど、序盤は良作だと思う・笑)

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ストライクウィッチーズRtoB』『戦翼のシグルドリーヴァ』評 ~同工異曲!? 爽快感の有無や相違はドコに起因!?
#ストライクウィッチーズ #ストライクウィッチーズRtB #戦翼のシグルドリーヴァ #ルミナスウィッチーズ



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人新世の「資本論」 ~完全平等の共産主義社会は実現可能か!? 可能だとしてヒトはそれに耐えられるのか!?

『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』 ~右vs左ではない!? 一度断念した上での「理想」や「公共」へと至る経路の違い!
新元号「令和元年」 ~近代・ポストモダン社会における「天皇制」を考える!?
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『人新世の「資本論」』 ~完全平等の共産主義社会は実現可能か!? 可能だとしてヒトはそれに耐えられるのか!?

(文・T.SATO)
(2021年12月10日脱稿)


 2020年に発行された30代の著者・斎藤幸平による大ベストセラー書籍である。著者が参加している団体は10年ほど前から同人誌即売会文学フリマにも出店していたので、そちらで著者の前著などをすでにご存じだった方々もいるだろう。


 本書の題名にある『資本論』とは約150年前に哲学者マルクスが上梓した資本主義を批判的に分析した著作の名。それに20年先立つ『共産党宣言』とともに、資本主義が内部矛盾により貧富の格差が拡大することで、やがて労働者による「革命」が起こって、強欲な資本家ではなく公明正大なる労働者が生産手段を管理する完全平等な「共産主義社会」が到来することが科学的にも真理(!)であるとする信念体系としての「マルクス主義」として帰結した。


 20世紀の中盤には「マルクス主義」を信奉する国家としてソ連・東欧諸国・中国・北朝鮮キューバ北ベトナムカンボジアなどが成立。
 日本も含む世界中の左派系言論人がコレらの国家を「地上天国」であり、世界各国もいずれは「革命」を通じて「共産主義国家」へと移行していくのが「科学的必然」であると信じていたほどだ。


 今では歴史オタクしか知らないような「黒歴史(くろ・れきし)」だけど、かつては「アメリカなどの資本主義諸国」の核兵器は悪だけど、「ソ連・中国などの平和主義諸国」(汗)の核兵器はクリーンである!――賛否が分かれて日本では「原水禁」と「原水協」に分裂騒動!―― 学習結果は子孫に遺伝する(!)なぞとソ連の科学者が主張して、日本でも左派系の科学者がこぞって追随していた……。そのような時代が日本の戦後の数十年間にもあったのだ。


 もちろん、1970~80年代にはコレらの諸国は破綻国家・独裁国家となっていたことがバレてしまう。そして、1990年前後にソ連・東欧諸国などは崩壊して、東西2大国による核戦争で人類全滅の危機(汗)にあった東西冷戦も無事に終結している。そーいう意味では終ワコンの思想ではある。
 しかし、著書は「新自由主義」でますます貧富の格差が広がる「資本主義」とそれに伴なう気候変動に対処するために、改めてマルクスを持ち出してくる。


 未発表の遺稿を調査していくと、晩年のマルクスはすでに環境問題にも着目して自身の初期の「生産力至上主義」をも脱していたことを指摘。
 彼がアジア差別的な「西欧中心主義者」に過ぎなかったという批判に対しても、「資本主義」がまだ勃興していない社会でも「共産主義」への移行は可能だとする旧ロシア(のちのソ連)の革命家への手紙を発掘。
 かつてのソ連や今の中国・北朝鮮は過てる偽モノの「マルクス主義国家」であったとして、改めて「マルクス主義」を救い上げようともするのだ。


――ただまぁ、1990年前後の左翼は「資本主義社会」を経由してからの革命ではなかったから、ソ連・中国などは偽モノの「マルクス主義国家」になったのだ!」などと主張していたので、往時の彼らの主張とは矛盾が生じてしまうけど――



●今流行りの「SDGs(エスディージーズ=持続可能な開発目標)」や「グリーン・ニューディール政策」程度では、気候変動を抑制することはできないので偽善であり欺瞞である。
●先進国の強い「通貨」で途上国の物産を安く買い叩いてもいる経済圏に生きている以上は日本人の「庶民」や「貧困層」も、途上国の民と比すれば「ブルジョワ」であり搾取する側の悪である。
●単なる反・自民党の政局的脊髄反射で「公助」を唱えた凡庸左翼とは異なり、「公助」ではなく「共助」が必要なのだ!


と唱える点などは共感・同意もする。「資本(資本家)」自体に「自己増殖性(強欲)」が組み込まれてもいることから、「資本主義経済」の放棄を提言して「脱成長共産主義」を提唱するのも論理的にはアリであろう。
――そもそも一時的に国家財政を赤字にする「財政出動」や「公共事業」を創出して雇用や経済を回転させることで中長期で黒字化させていく「ニューディール政策」は20世紀前半に誕生した「ケインズ経済学」の手法であって、コレを19世紀的な「社会主義」「共産主義」的な分配理論だというのも誤りではあるのだし――


 しかし、「脱成長共産主義社会」を招来するための具体的な方策については、新説ではなく100年前からある「マルクス主義」思想のおさらいとなっているあたりはいかがなモノか?


●「企業」でなければ「公助」的な「国家」でもない、強欲ではなく水平的・民主的な管理も可能で「共助」的な、国家と個人の間としての「中間共同体」的な管理組合でもある「アソシエーション」――平たく云えば「生協」や「農協」――
●「価値」(ブランド価値)よりも「使用価値」(実態価値)に戻るべき
●「分業」や「マニュアル化」は労働することの快楽を奪って「疎外」をもたらす悪である
●「原子力」や「化石燃料」などの高度な知見を必要とする「閉鎖的技術」は「独裁」をもたらし、「水力」や「再生エネルギー」などの「開放的技術」は人々の「協業」を促すのだからそちらの方向へとシフトすべきだ
●etc.etc.……


――今は知らないけど、ソ連・東欧諸国が次々と崩壊していった90年前後の大学の経済学部のゼミなどもその半数がマルクス主義であり(爆)、授業などでは「生協」についての講座などもあって筆者なども試しに受講をしたものだったけど。資本主義や資本家に対抗できる万能の解決策であるとは毛頭思えなかった(汗)――


 しかし、仮にそれらの方策によって二酸化炭素排出を全廃できて気候変動も回避ができたとする。だとしても、全人類が相応数の人口で存在しつづけて近代的な生活を維持するかぎりで、二酸化炭素以外の鉱物採掘や農地開拓などで自然それ自体による復元が不可能な環境破壊を伴なってしまうことからは免れえないのではなかろうか?
 「資本主義」ではダメでも「共産主義」でならばコレらは乗り越え可能というのもまた欺瞞であって、正確には少々はマシになるという程度であり、やはり1970年代の経済水準に戻れではなく「原始に帰れ」「エデンに帰れ」くらいの主張をしないとスジが通らないのではなかろうか?――ただまぁソコまで云ってしまうと、ヒトがついてこなくなるのもわかるけど(汗)――


 加えて、「国家」や「資本家」ではダメだが、「庶民」が自発的に管理をすれば強欲なことにはならない! などという、安倍ちゃん・トランプは極悪人だけど庶民・大衆は善良である……といった「政治悪」と「人格悪」を混同している論調にも通じる浅薄な人間観にも疑問を感じてしまうのだ。


 庶民が自発的に管理しても「強欲」に、あるいは「怠惰」になる可能性は一顧だにされないのであろうか? 「国家権力的な独裁悪」ではなくとも「地域のボス」が君臨して法治の及ばぬ治外法権になる可能性は考えないのであろうか? 職場や小中学校などでもパワハラモラハラ同僚や嗜虐的なイジメっ子に遭遇したことは人生途上で一度もないのであろうか?


 もちろん、左派系人士は「人間とは本来性善であり、資本や富の蓄積がもたらした階級意識や、安倍ちゃん・トランプなどの不穏当な言動によって、一般大衆は悪をなすのだ!」くらいに考えているのは知っている。
 しかし常識的に考えて、「資本」や「富」が存在する以前の太古から親の愛情の多寡とも無関係に、人間には腕力・ルックス・服装・刺青・装飾品・知識などで他人と差別化して悦に入ろうとするような品性下劣な「虚栄心」が、どころか霊長類一般にはサルの群れ的な「階層社会」のような要素が潜在している可能性や、捕食する肉食動物として相手を威嚇・恫喝してマウントを取ってみせるような本能が備わっている可能性を想起はしないのだろうか?


 むろん、だからと云って、開き直ってソレらの要素をブースト(増幅)しろなどとは云わない。理性で抑えるべきことではあるだろう。そして、ソレらは安倍ちゃん・トランプを首チョンパにすれば立ちどころにして解消されるといった問題でもない。程度の差はあれ個々人の中に何らかのかたちで、他人よりも優越を誇りたいという邪な情動があるのも確かなのだ(汗)。


 では、ドーすればイイのか? 基本は「理性」で抑えるべきだが、人間が「理性」を超えた「過剰」も抱えた存在でもある以上は、完全に抑えきれるワケもない。
 であれば、身分制度の復活などは論外にしても、ひとつのモノサシではなく文系・理系・サブカル・オタク知識・話術・文才・画才・腕力・走力・身長・顔・身体のパーツ(爆)などの小さなジャンルカースト・祝祭空間・スポーツ・ゲームを陰に陽に大量に用意して、そこで我ながら見苦しいことだと自覚させつつ個々人に小さな優越感を発散・蕩尽させるように、先回りして社会をデザインしておくことこそが人間の「非合理」をも包含した「超合理」なのではなかろうか?
 しかも、複数のカーストに所属することで、ある場所ではダメでも別の場所では息をつけるようにする……。


 残念ながら、人間とはその本性からして「共産主義的な平等社会」にはなじめない存在だとも思うのだ――かといって、「新自由主義的な競争社会」にもなじめはしない――。


 結論。「SDGs資本主義」でも「脱成長共産主義」でも気候変動は回避ができない。大破局を先送りにするタイミングが異なるだけである(爆)。
 独裁に帰結したソ連・中国などが偽モノの「マルクス主義国家」だったのではなく、すでに19世紀のむかしに「無政府主義者」のバクーニンが「議会」ではなく「暴力革命」による政治を肯定する「マルクス理論」は必然的に「独裁」に帰結することを指摘もしているのだ。


 仮に世界中で同時に「脱成長共産主義」を一斉に導入ができたとしても、いかに庶民の自発性を謳おうとも「三権」を超えた権力を保持する「脱成長共産主義者」が規定した「公」――しかも、真の意味での「公」であるかも怪しい(笑)――から少しでもハズれたモノは「保守反動」「反革命」「右派」だとして全否定、その「公」を計画・実現するための独裁権力も肥大化し、それと同時に自生的な経済も破綻して失業・経済的自殺・餓死・強制収容所送りが膨大に出るだろう。


 というのは大袈裟だとしても、異を唱える者に対しては社会的な抹殺にかかるであろう。仮に気候変動による大破局を先延ばしにはできたとしても、その前段では大きな不幸が生じるだろうと予想するのだ。


 ……まったくもってドーすればイイのですかネ?(汗)


 もちろん、「資本主義」に対するオルタナティブ(代替的選択肢)なり何らかの改善策の提示は必要。しかし、その任を本書が満たしていたとは思わない。本書を読んで先の衆院選日本共産党に投票した御仁も極少であろう。


 けれど、カウンターとしては必要な論考だったとは思うのだ。


 ミーイズムやエゴイズムなどの私的快楽としての低次な「自由」は否定して、自己抑制・節制を公共のために自発的・意志的に行なうという意味での高次な「自由」の賞揚については満腔から同意はする。
 しかし、全人類がその境地に到達することなど、人生途上で出逢ってきた級友・同僚・オタク友達を見ていても不可能だとしか思えない(笑)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.88(22年1月16日発行))


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やはり俺の青春ラブコメは続・ようこそ実力至上主義の教室へ・青春ブタ野郎・月がきれい・俺を好きなのはお前だけかよ・弱キャラ友崎くん ~コミュ力弱者の男子を禁欲・老獪なヒーローとして美化した6作!

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 深夜アニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』(17年)1期・再放送終了! 2期(22年)が放映開始記念! とカコつけて……。コミュ力弱者の男子を禁欲・老獪なヒーローとして美化したアニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』(15年)・『ようこそ実力至上主義の教室へ』(17年)・映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』(19年)・『月がきれい』(17年)・『俺を好きなのはお前だけかよ』(19年)・『弱キャラ友崎くん』(21年)評をアップ!


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』『ようこそ実力至上主義の教室へ』『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』『月がきれい』『俺を好きなのはお前だけかよ』『弱キャラ友崎くん』 ~コミュ力弱者の男子を禁欲・老獪なヒーローとして美化した6作!


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続

(2015年春アニメ)
(文・T.SATO)
(2015年8月5日脱稿)


 持って生まれた内気な気質。声質や滑舌。体力や運動神経。


 人間も平等な「近代的市民」である以前に「動物」でもあるから、コレらにハンデがあるとヒトは他人に対して本能的に引け目を感じてしまうものだ。自己の主張を押し通す際にも、水面下で無意識的な担保ともなっている腕力&胆力に欠けていると、男のコの場合はますます奥手になっていく。


 加えて、歴史的にはほぼ男性だけがしてきた女性に対する品定めが、男女平等の徒花で女性の方が男性をルックス・服飾・話術などで品定めするようになってきた。モテ/非モテは最重要課題となって、ヒトさまや異性には自慢ができない趣味は劣位に立たされる。


 マジメにコツコツと労働しているだけで報われた第1次産業(農作業)と第2次産業(工場労働)中心の時代は過ぎ去ってしまい、軽佻浮薄な営業マン的対人スキルが経済界からも求められてしまう。我々のような人種は前代よりも過剰に劣等感を持たされて、それらとの連動でスクールカーストも拡大して久しい。


――以上はあくまでも社会風潮の分析であって、筆者個人はこの風潮を肯定しているワケではないのはくれぐれも念のため。能力&体力の格差をゼロにできるとも思わないけど、欺瞞・タテマエではあっても人間がお互いを「対等」扱いをして付き合う社会である方が望ましいと考える者ではある――



 そんな負け組でクラスで(ひとり)ボッチの男子高校生がそのヒネこびた慧眼で、イケてる系人種の表層だけの浅い付き合いや、集団からコボれ落ちた者への彼らの酷薄さ・不公平を見抜いて、遂には見返りを求めず自分が汚れ役になることも厭わずに捨て身の作戦を決行し、満身創痍になりながらもヒトとしての道義・懲悪を果たす! そんな暗いカタルシスを味あわせてくれたのが本作第1期でもあったのだ。
――しかも、彼の真意を心ある少数の人間だけは理解してくれている。まさに男子の本懐! ボッチだけれどもスーパーなボッチ。ダークヒーローともいえる彼にはホレてしまうのだ。こんなボッチであれば、筆者もなりたい!(笑)――


 大人気作品となった前作の続編である本作では、彼の言動が一定の効果を発揮しつつも今度は空回りをしていき、彼の周囲の理解者の心をも傷つけることで彼の行為も相対化、その限界までをも描写する。ウ~ム、そう来たか。テーマ的にはとても誠実な突き詰め方ではあるけれど。


 クラスのイケてる系リア充グループの金髪さわやかイケメン君やギャル娘も単なる書き割り背景の悪役ではなく、善悪両面の内面を併せ持った人間としても描くようになっていく。
 フツーはリア充な集団には所属しているワケがない(?)であろう黒髪のBL眼鏡少女による、「お節介にも男を紹介されたら集団を速攻離脱するけど、今は久しぶりの集団帰属が心地イイ」という趣旨の独白。その一言で今では非公式な文化部(奉仕部)に所属して、そこに不本意でも広義での帰属意識を持ってしまった主人公少年とさりげに心が通じ合ってしまう瞬間もまた実に深い。


 高校生の年代でココまで的確に自身の境遇の複雑なエッセンスを明晰・明快に言語化ができるのか!? などといったツッコミは成り立つけど、そこは「フィクションにおける、事実よりも真実を優先」。現実には事実としてアリエないことでも、心的には真実としてリアルであることはアリえることなのだ。
 加えて、フィクションとは「現実世界もかくあってほしい、道理が通って正義が勝利してほしい」と仮託するものでもあるのだし――現実世界が往々にしてそーではナイからなのだけど(笑)――。


 それで云うならば、彼の周囲の人間が彼の真意に徐々に気付いて、彼ら彼女らの見識自体も、そして主人公少年を見ている人物批評の眼も変わっていくといったストーリー展開がまた小気味イイのだ。


 それらのストーリー展開に対してに、アレだけ彼女らの初登場時には主人公男子のことをキモがっていた各女性キャラたちは、ビミョーにその見解を改めていって、その態度や視線に「好意」を代入させてきて、耳元で「先輩、責任取って下さいネ」と囁かせたり、「アタシ、中学ん時、チョコあげたことあったっけ?」などと語らせて、胸キュン感情を惹起させて、ラブコメ・ハーレム作品に結局は通じていくあたりも、エンタメ作品としては実にウマく出来ている。


 最初から理由もなく女性キャラたちに好意を持たれてハーレム状態になっているのであれば、オタクの大勢はともかくスレたプチ・インテリオタクの皆さまの非難や冷笑の視線も殺到していたのであろうけど、結局はソコに行き着いてしまうのだとしてもワン・クッションは置いており、ソコに至った理由が実に繊細デリケートに説得力を持って描かれていくので、コレならば安手の作品にはダマされまいゾ! なぞと思っているガードの堅いウルさ型のオタどもも安心してブヒブヒと鳴く萌えブタに成り下がることができるだろう(笑)。


 アイドル声優佐倉綾音が少々キンキンとした声で演じる、亜麻色ショートのサードヒロイン下級生による自身のかわいさを自覚しているアザトい仕草――と同時に、「かわいい!」を連発しているのは「私がかわいい」アピールで「同性の友達が少なさそうだ」と見抜いている主人公少年の慧眼もマル!――、同じくアイドル声優戸松遥がおそらく地で演じている(笑)、栗色ソバージュのフォースヒロインがやたらとハイテンションで、その場から脱落しないように意味のない合いの手や相槌をひたすらに入れてきたり――「それ、ある~~!」のセリフの連発(笑)――、主人公をイジって笑いノメして恥じない態度などなど、このテの娘たちを冷徹に描き出してくる手腕にも敬服してしまうのだ。


 ただしこの第2期では、主人公少年が金髪イケメン君ともワリと対等に会話をしていたことが引っかかる。もっと卑屈に猫背でオズオズとした態度で会話をしてくれないと……。こんなのは彼じゃないやい!(笑)


 ストーリー展開上ではそんなに不自然でもなかったし、ありうべき展開でもあったけれども、主人公少年が実は仕事がデキたり、生徒会なり文化祭の委員会での議事進行で主導権を握れてしまう姿を見ていると、彼我の差を鑑みてその域には達していない筆者は絶望してしまうのだ(笑)。


 この第2期の欠点としては、完璧超人に見えていた黒髪ロングの孤高のメインヒロインがシリーズ中盤では鬱っぽくて不全感に陥っていく理由がわからなかったとは云わないけれどもわかりにくかった、もしくはヤリたいことはわかるけれども腑に落ちてこなかったあたりはやや惜しい。
 すべてを説明する必要はナイのだとしても、もっと彼女の主観的な苦悩描写なり、外側から垣間見える苦痛描写も、もうだけ少し挿入しておくべきだったのではなかろうか?


 それゆえに、終盤における各キャラの「本物がほしい」発言の一連も泣けるのだけど、ピタッとハマってこないし、腰の据わりの悪いトコロもあったと思うのだ。


 最終回が最終回ぽくなくて「次回につづく」といった感じで、一応の区切りもなく終わっていくのもドーかナとは思う――「つづき」は原作ラノベは読んでください! という意図もわかるけど(笑)――。


 少々の粗はあったものの、感情・好悪の次元では筆者の本作への好意は揺るがないのではあった。
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続

『あらためて、比企谷八幡はかたりかける。』
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.65(15年8月14日発行))


ようこそ実力至上主義の教室へ

(2017年夏アニメ)
(文・T.SATO)
(2017年12月13日脱稿)


 ライトノベル原作の深夜アニメで、昨今流行りのスクールカーストものである。あまたの深夜アニメの主題歌も熱唱するZAQ(ザック)が作詞・作曲した主題歌のタイトルも、そのものズバリ「カースト・ルーム」だ。


●クラスの中心人物にはなれなさそうであるカッタるげな主人公の高校生男子クン
●黒髪ロングの他人とは交わらないクールな女子高生メインヒロイン
●愛想がよくて愛くるしい女子高生サブヒロイン


 鉄板(てっぱん)のアリガチなキャラクターシフトではある。


 #1冒頭では、入学式直後の教室にてクラスの中心人物になりそうな男女たちが主導して自己紹介がはじまる。
 対外的にも恥ずかしくはないモテ趣味や得意スポーツを披歴して如才なくアピールできる者たちに、主人公男子が引け目を感じたり居心地の悪さを感じるサマは、筆者も幼少時~今に至るまで何度も経験してきた心のキズである(笑)。
 同様のスクールカーストを描いていた(ひとり)ボッチもの深夜アニメの大傑作『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150403/p1)の序盤、クラスでカースト上位層の横暴に制止の声を上げたいけど上げられない主人公男子のシーンのことを連想した諸兄も多いだろう。


 『やはり俺の~』はそんな酷薄なカースト社会で、一応の公平や正義を求めて主人公男子クンが知恵を絞ってウラ側からカラめ手で戦っていくサマと、三角関係のラブコメ風味を味あわせてくれる作品だったので、本作もその亜流なのであろうかと思いきや……。


 近未来的なハイテク学園都市を舞台に、まずは愛くるしいサブヒロインは#3で激しい本性(?)を人気のない場所で垣間見せる。
 その姿を目撃してしまった主人公男子クンを口止めするために、自身の巨乳に制服の上から手を触らせ指紋を付けることで、キツい目付きで「バラしたらレイプされたと騒ぐ」と脅すのだ!


 物語も舞台となる学年最下位の1年D組を超えて、A~C組の面子も交えた学園バトルロイヤルの様相を呈していく。
 主軸のD組についても、メインの3人の男女キャラだけではなく、ヤンキーDQN(ドキュン)生徒の成績不良やケンカ騒動、ガチンコ対面のコミュニケーションは苦手だけどネット上では大胆にふるまえるコスプレ少女の挿話などをシリーズ前半に配置する。シリーズ後半では夏休みの臨海学校クルーズや、学級委員クン・チャラ男・ギャル子らの生態や彼らの意外な一面なども、無人島でのクラス対抗サバイバルにおける権謀術数合戦と並行して描いていく。


 スクールカースト・バトルロイヤルもの全般に云えることだけど、偽悪的にそれらを肯定して、作品自体が現代の多様な価値観の象徴だとも作り手は往々にしてウソぶいている。しかし、実際にはバトルロイヤルにエゴイスティックにガンガンと参戦する陣営には主人公を配してはいない。たいていはバトルロイヤルをなんとか止めようとする、せめてブレーキはかけようとしている良心的な連中が主人公側の陣営として設定されるのだ(笑)。
 つまり、云われているほどアナーキー(無秩序)でも斬新でもなかったりするのだけど(批判ではなく)、基本的には本作もまたそのクチではあった。


 そして、バトルロイヤルにブレーキをかけるためにも、逆説的に実力・権謀術数が必要となってしまうというジレンマを描いたあたりは、本作の独自性・アドバンテージではあるのだろう。個人的には2017年夏アニメのナンバー1である。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.70(17年12月30日発行))


ようこそ実力至上主義の教室へ』1期・総括 ~コミュ力弱者がサバイブするための必要悪としての権謀術数とは!?

katoku99.hatenablog.com


青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』

(文・T.SATO)
(2019年8月3日脱稿)


 ラノベ原作作品で、昨2018年秋の深夜アニメの人気作『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190706/p1)の続編にあたる映画作品である。


 『涼宮ハルヒの憂鬱』(03年・06年に深夜アニメ化)や『僕は友達が少ない』(09年・11年に深夜アニメ化)に『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(11年・13年に深夜アニメ化)や『ようこそ実力至上主義の教室へ』(15年・17年に深夜アニメ化・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200202/p1)などのように、やや(ひとり)ボッチ気味の冷めた高校生男子クンが主人公として配されている。


 黒髪ロングのやはりクールな美少女の女子高生をメインヒロイン、キャピキャピしたゆるふわな可愛い女子高生をサブヒロインとして、サードやフォースのヒロインをハーレム的に配置していくので、カテゴライズとしてはボッチ作品かつハーレム・ラブコメでもある。


 とはいえ、ベタで自堕落なハーレム・ラブコメ萌えアニメでは飽き足りず、もう少しだけ作劇が技巧的で、噛み応えもある内容を求めたり、世間に対してハスに構えつつも、ヒネている自分を絶対視はせずに人間的にはむしろ自分はダメかもしれないなどと自省もできる、オタの中でも良く云えばやや知的で内省的なかつての文学青年タイプ、頭の中がモノローグやエア友達(笑)との問答で渦巻いているような人種たちが特に好みそうな作品ではある。


 作劇ギミックには「SF」要素を入れつつも、「SF」それ自体は「目的」ではなくて「手段」に過ぎない。作品を単調さや甘ったるさやご都合主義の方向へと堕さしめずに、適度にクールで乾いた感じにするためのテレ隠しであって、作品自体のキモはヒロインたちとの校内や校外でのオズオズとしたやりとりや、彼女らの少年主人公に対する秘めたる恋情や好意の表明がもたらす「胸キュン感情」でもある。


 本映画の前日談でもある深夜アニメ版においては、序盤は有名子役上がりの黒髪ロングのメインヒロインが、特別扱いされない無名の個人として高校生活を送りたいと県内一の進学校に入学する。
 しかし、周囲による特別扱いしない配慮が転じて行き過ぎた「同調圧力」となって、彼女は誰からも話し掛けられることがない「透明な空気」と化してしまう。
 そして、ミクロ化できるアメコミヒーローを描いた洋画『アントマン』(15年)の続編『アントマン&ワスプ』(18年)に登場した、半透明の分身する敵のゲスト怪人でもその原理とされていた、超ミクロの量子レベルで起きる事象。
 密閉箱の中を開けて観測できた時点で、存在が「確率」から「実在」へと確定する「シュレディンガーの猫の原理」で(?)、少年主人公などの一部の人間を除いては他人にその姿が視認ができなくなってしまう怪事件を発端としていたのだ――それで、他人に視認されていないことを自身で再確認するために、バニーガールの扮装をして市立図書館の中を徘徊している(汗)――。


 オタク系ジャンル作品の今や様式美と化している「時間ループ」要素も導入する。同じ1日が何度も繰り返すという、年長オタク的には既視感にあふれる展開。それは実はゆるふわな後輩サブヒロインが男よけのカモフラージュとして、期間限定の仮面カップルを少年主人公と演じているうちに恋情が発生、その終焉を避けたいという想いが起因だったとするのだ。
 より正確には「時間ループ」ですらない。物理学でいうところの新・運命論、新・決定論ともいえる「ラプラスの悪魔」である。全宇宙の事象は人間の自由意志も含めて、すべては原子や分子に脳内電気信号や脳内化学物質のビリヤードの玉突きのような純・物理的な運動で説明できるモノに過ぎないのであれば、原理的には人間の自由意志などは錯覚に過ぎなくて、宇宙の歴史も人間の歴史もすべては物理的必然の運命として確定・決定しており、全宇宙の原子や素粒子レベルでの全物質の四方八方への移動方向を計算できる超高速計算機が実在すれば、大宇宙や人間の行動の未来予知も可能であって、彼女は無意識に万人を超越している当の「ラプラスの悪魔」と化して未来を何度もシミュレートしていたとするのだ。
――主人公のみソレを知覚できたのは、離れている量子同士が不可思議な相関性を持つ「量子もつれ」であったとした――


 コレらの現象をあくまでも知的遊戯として、上記のように解釈してみせたサードヒロインのクールな科学部のメガネ女子もまた、自身が2人に分離したことで状況を理解して、自身の現状も「量子テレポーテーション」に類似する事象だと解釈。


 他にも、省察的な人格類型の少年少女たちの思春期メンタルで、メインヒロインが父親違いの妹との人格交代を起こしたり、主人公の妹が過去にSNS上でイジメにあった際には肌にキリ傷やアザが浮かんで記憶喪失・幼児退行を惹起してしまった過去なども語られてきた。



 そういった事件が描かれてきた深夜アニメ版の続編でもあるこの映画版では、主人公がかつてあこがれて救われてもきた上級生少女が、なぜか初対面の下級生として出現していた作品内での最大のナゾが明かされることになる。
 映画の神さまのイタズラか同時期公開のアメコミヒーロー大集合映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190617/p1)同様に、人命救助のために幾度もの歴史改変を展開するけど、ジャンルや作品が異なればテイストはまるで異なって別モノとなってしまう好例だともいえるだろう。


 劇場は我々キモオタどもがススり泣き、嗚咽をもらす場ともなっていく――アニメ映画『君の名は。』と『聲の形(こえのかたち)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190901/p1)の2大作品の狭間の公開で埋もれてしまった感涙必至の大傑作アニメ映画『planetarian~星の人~』(16年)ほどの嗚咽では満たされなかったけれども(笑)――。


 他者に認知されるまでは「実在が確定」せず、それまでは「可能性・確率論的な遍在」であって、そのあいまいで多数に分裂したような状態を、超ミクロ世界における複数の「並行世界」の出現だと解釈すれば、量子レベルでは世界はあまたの「並行世界」とも通底している。
 そして、人間の脳や意識も実は脳神経のみならず「量子の波動」で駆動するという最新トンデモ学説に基づけば、女児向けアニメ『HUG(はぐ)っと! プリキュア』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201227/p1)最終回における「量子コンピューター」型アンドロイドであろうプリキュア途中追加戦士とも同様に、分岐もしくは上書きされた平行世界での出来事となってしまったハズの記憶が歴史改変後の世界でも微量には蘇ってくる感動にもSF的な補強ができている。


 良作だとは思う。しかし上述してきたように、SFギミック面でのリテラシー(読解能力)も必要だし、我々が住まっているオタクジャンルの国境を越境して、その外側に届くだけの浸透力を持った作品ではないであろう(汗)。
青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.75(19年8月10日発行))


月がきれい

(文・T.SATO)
(2017年春アニメ)
(2017年7月23日脱稿)


「中学生にも格差社会は存在する。上流と下流。華やかな部活と地味な部活。外見と成績。あらゆる武器を駆使してお互いの上下関係を探り合う」


 #1冒頭のモノローグこそ、人間集団内でのいわゆる「ポジショニング」のことであって若干シビアだが、そこに流れる春の風景は水彩画的で美しい。


 内容も小江戸こと埼玉県川越を舞台に、文学好きで作家志望の控えめな中学3年生の男子と、同級のシャイな黒髪少女との、クラスでは直接会話しないけど(汗)、スマホやパソコン上で起動するSNSツール・LINE(ライン)を介して、交情&接近を深めていく物語である。


 登場人物たちの頭髪や顔面に服飾など光が当たっている箇所を、白く飛ばしたホワイトのベタ塗りで表現することで、本作の初々しい清涼感も強調されている。非常に文学的で詩的な作品だ。


 しかし、『涼宮ハルヒの憂鬱』(06年)・『僕は友達が少ない』(11年)・『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』(13年)や『化物語』(09年)・『四畳半神話大系』(10年)・『冴えない彼女の育てかた』(15年)・『エロマンガ先生』(17年)や漱石でも太宰でも何でもイイけれど(笑)、あーいう内向的かつプチ・インテリで自意識過剰な主人公の場合は、語彙がムダに豊富なモノだから、内心の声を一人称で終始饒舌に語らせまくったモノである。
 だけど本作では、突き放した三人称の叙事に留められており、主人公自身はワリと寡黙で、抒情的な風景の方で彼の内面のフワッとした心情を代りに語らせてもいる。とにかくセリフ自体があまりナイ。セリフ主体で話を回しているワケではない。


 けれど、同じく繊細な文学少年が主人公でも、艱難辛苦を与える方向で作劇していって、性悪なデブ女にハメられたり、ふだんツルんでいる数少ない友人たちとの交流も失って、転落していった深夜アニメ『惡の華(あくのはな)』(13年)などもつい連想して比較もしてしまい、作品世界の神である作者の恣意の方が気になってもしまったり(笑)。


 あのメインヒロインである黒髪少女もスポーツ(陸上)をやっていて人並み以上の顔面偏差値だからこそ、多少はコミュ力弱者でも侮られずに一目置かれて、クラスでもカースト上位のギャル系グループに所属ができているのだろう。
 もう13年も前の2004年に、まだ10代の少女ふたりが芥川賞を同時受賞していたけど、その片方のギャル系ではなくお眼めパッチリ黒髪清楚系の方が執筆していた小説『蹴りたい背中』(03年)に出てくる、マニアックな気質では通じるモノがあってキモオタ少年クンとも交流したけど、そこまでのカースト劣位ではないコミュ力弱者のコレまた陸上少女(!)のように、空気を読めない少年へのイラ立ちから嗜虐心を刺激されて、その背中を蹴ってしまう!……なぞといった方向性へと話を転がしていったならば! なぞと心がウス汚れている筆者などはつい妄想してしまう(笑)。


 もちろん、そんな展開になってしまったならば、この作品の清涼さは雲散霧消してしまうけど。だから、本作をかろうじて成立させている諸々の土台に疑いの眼を向けるイジワルをしなかった作劇自体は正しかったと一方では思うのだ。


 幾度かのスレ違いがありつつも、遊園地での集団デートの際に、ヒロインに好意を寄せていたイケメン陸上兄ちゃんの告白を、文弱の輩に見えた文学少年の主人公はハネのけてみせる!
 このあたりの展開に意外とムリがナイのは、#1から少年が自室に入るや電球のスイッチ紐に向けてシャドーボクシングをしている描写が、彼にも最低限はあるのだろう能動性の担保にもなっていたからであるだろう。
 と同時に、シリーズ中盤ではこの少年のことを横恋慕的に好きになってしまった、もうひとりのボーイッシュなサバサバ女子は失恋確定となったワケで、彼女を慰めるギャル連中の姿も含めて泣けたのであった。


 ところで、職場の同僚などの雑談を聞いていると、保護者の緊急連絡網までLINEになっている当今、LINEはまさにインフラ(生活基盤)になっているワケであり、そのLINEが変名ではなく実名で登場するあたり、旧石器時代人としては隔世の感である。


 とはいえ、地元や会社とは隔絶した趣味的共同体ではなく、学級空間の延長線上としての電脳空間では、腕力や声のデカさやルックスにファッションや他人に対して強くキツく当たれる嗜虐的な人間が優位に立てて、気弱で控えめで反論や反撃ができない人間が劣位のままで持ち越されて、それらのことどもが言語化・可視化・アーカイブ化されてブースト・増幅されていく世界でもある。


 腕力も胆力もなくて常にクラスの隅っこでショボ~ンとしていて「あんなヤツ、いたっけ?」などと後ろ指をさされて、血縁・地縁・学校・会社に帰属意識を持てずに落下していった先がコミケであった筆者としては(爆)、自分が今の時代の中高生であったならば、2017年の夏アニメ『地獄少女』4期#1(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191201/p1)のゲスト女子高生のように、さらに孤立してコジらせて、あるいは最初から学級のLINE共同体なぞに所属などはしないよナ……などと暗澹たる気持ちにもなってしまうのだ。


 主人公は応募した小説が縁となって、出版社に呼び出される。しかし、純文学ではなくライトノベルを書かないか? と勧められて落胆してしまう(爆)。


 純文学を上に見て、エンタメを下に見るラノベ差別である!(笑) コレは在日韓国人ヘイトを撒き散らす「在特会」に抗議している左翼の「レイシストしばき隊」が、「『艦これ』、キモい!――『艦これ』の艦娘たちを愛好する性的弱者のオタはキモい!――」などと今度はオタを差別している事例とも等価なのだ!
 左翼にすら守ってもらえない我々は、コレを許してはならない。日本全国のオタはこの主人公を糾弾して、思想改造を施さねばならないのだ!(……ウソです・笑)
「月がきれい」Blu-ray Disc BOX(初回生産限定版)

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.79(17年8月12日発行))


月がきれい

(木曜24時 TOKYO-MX他)
(文・久保達也)
(2017年6月6日脱稿)


 埼玉県川越市に実在する風景をリアルに描いた舞台で展開される、太宰治(だざい・おさむ)を愛読する中学3年生で文学部の部長・小太郎(こたろう)と、陸上部に所属する同級生の女子・茜(あかね)との、淡い青春ラブ・ストーリーである。
 ただ、ふたりがやりとりに使うSNSツール・LINE(ライン)さえ出てこなければ、とうてい平成のこの世に放映されている新作アニメだとは思えない、どこまでも昭和の郷愁を感じさせる純愛路線なのだ。


 始業式から始まる第1話の冒頭、茜を含めた陸上部の仲良し3人組が、3年生に進級して皆が別のクラスになってしまったと嘆く中で、茜が下駄箱(げたばこ)付近で友人たちとたわむれる小太郎を、思わず目で追ってしまう描写があることから、茜にとって一応の小太郎との出会いがここで描かれている。


 その小太郎と初めて同じクラスになったものの、彼以外に知っている子が誰もいなくなった教室に入ることを「緊張する」などと思ってしまい、トイレの中で可愛らしいさつま芋(さつまいも)のキャラクターをかたどったピンクのスポンジを「落ちつけ……落ちつけ…」などと両手で延々とモフモフすることで緊張をほぐさなければならないほどに、茜は極度の恥ずかしがり屋さんなのだ(笑)。


 ようやく教室に入ろうとしたものの、茜は入り口から中のにぎやかな様子を見渡しているうちに、やっぱダメだ! とばかりに、いったん教室からスタスタと走り去ってしまう(爆)。


 「小学3年生のときにいっしょのクラスだったけど覚えてる?」などと茶髪ロングヘアのヤンキーチックな女子に声をかけられたことで、やっと教室に入ることができたほどである。一応、陸上部に所属していて体育会系の娘であれば、世間や中高生の世界では有用とされている運動神経の持ち主であることで自信・自尊心を最低限は持っていることがふつうなのだが、自信満々とは程遠そうな茜の謙虚で清楚な見た目からして、物怖じしていたとしてもこれは不自然ではなかった。


 同じ陸上部の女子たちが、総じてあちこち毛先がとんがったショートカットの快活な娘であるのに対して、茜は黒髪ロングのストレートヘアと明確に差別化されているために、おとなしい娘であることは端的に表現されてはいるのだが、それにしてもこの重症ぶりは(笑)。
 しかし、そんな繊細ナイーブな彼女だからこそ、体力や運動神経がなければ男として、異性の対象としては認めない! などというようなことにはならずに、本作の主人公のような文学少年タイプに惹かれていくことの説得力を醸すこととなる伏線ともなっていくのだ。


 ちなみに、小太郎の方は友人たちと「知ってるコ?」「ううん」などというやりとりがあることから、彼は茜のことは知らなかったようだ。
 しかし、茜のあまりの挙動不審ぶりにはおもわず注目してしまい、例によって窓際の最後尾の席(笑)から目で追うこととなったことが、小太郎が茜を意識するようになる発端(ほったん)として描かれてもいた。


 小太郎もまた、「太宰は云った。生きていることは、なんともやりきれない、息も絶え絶えの大事業である」などという、あまりにもおおげさなモノローグをつぶやくほどなので、そんな自身と同じ属性を茜に感じてしまったことだろう。それもまた伏線として機能ができているのだ。


 とはいうものの、本作はたとえば『涼宮(すずみや)ハルヒの憂鬱(ゆううつ)』(06年)や『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(13年)など、主人公男子のモノローグがほとんどナレーション(笑)と化しているような作品群とは明確に異なっている。


 小太郎はインテリ系男子が思春期にありがちな、自意識過剰な主人公像として、内心の声を文学少年らしい実に豊富なボキャブラリーを駆使して全編にわたって語るのではなく、あくまでも寡黙(かもく)なキャラに徹している。その代わりに、彼の内面は抒情(じょじょう)的・詩的な背景美術が語っているような印象を与える演出が施(ほどこ)されているのだ。これは作品を比較して優劣をつけているのではない。あくまで本作独自の特徴・特性のことを云っているのである。


 ちなみに、本作ではキャラクターの表情を演出するにあたって、キャラクターに光が当たっているカットでは、光が当たっている部分だけを真っ白にバッサリと飛ばしてしまう独自の手法を採っている。この白身の多い映像表現もまた、本作の作風に一種の清涼感やさわやかな印象を与えることができているのだ。


 小太郎も執筆していた小説を級友たちから「見せて」と云われるも、「イヤだよ」とのやりとりを何度もかわすなど、茜と同様にややシャイな少年として描かれてもいる。


 その最たる例は、行きつけの古本屋に入った小太郎が、たまたま手にとった太宰治の小説『少女期』の


「私の下着にバラの刺繍(ししゅう)があることなんて先生は知らない」


などという一節や、ビキニ姿のアイドルが表紙を飾る雑誌を見かけて、おもわず赤面してしまう場面である。


 そんなウブな小太郎に対して、まだ若そうな気のいい店主は「いろいろな本を読むといいよ」と声をかけて、太宰を買った小太郎に「これはオマケ」と、小太郎が赤面した表紙の雑誌を手渡してみせる…… いや、それ「読む本」じゃなくて「見る本」でしょ?(爆)


 ただ、故・大滝詠一(おおたき・えいいち)や細野晴臣(ほその・はるおみ)に松本隆(まつもと・たかし)ら、その後に多方面で活躍することとなるミュージシャンが在籍していた伝説のフォークグループ・はっぴいえんどのLPレコードを見せながら店主が語ったウンチク話に、小太郎が「うわぁ」と目を輝かせる描写は、小太郎の文学青年的な気質やマニア気質を絶妙に表現していた名演出であった。


 実は第1話では、小太郎と茜のふたりが急接近する契機となる展開が、段階的に二度も用意されていた。


 一度目は、小太郎と茜の家族がファミリーレストランで窓のある壁を通して隣の席となってしまう場面である。小太郎と茜はほぼ同時に互いの存在に気づくものの、ともにそれを家族には気づかれまいとする。そして、ドリンクバーに来たふたりの間で、あまりにも気マズい空気が流れるのだ……


 だが、その様子を目撃していた、茜とは対照的にかなりヤンチャそうな女子高生らしき姉が母に耳打ちしたことから(笑)、「お世話になっております!」などと互いの家族があいさつをかわすどころか、無神経にも息子や娘をさんざんチャカしてイジり倒すという、小太郎と茜が最も避けたかったハズのドンチャン騒ぎが起こってしまうのだ(笑)。
 特に小太郎の父が「なかなか可愛いコじゃないか」などと、わざわざメガネをかけて隣の席をのぞきこもうとするのを、「ちょっとお父さん、やめてくださいよ!」と、小太郎の母がたしなめる描写は、実に庶民的で良くも悪くもぶしつけな「生活感」や「あるある感」にあふれていた(笑)。


 小太郎と茜はただひたすらに頬(ほお)を真っ赤に紅潮(こうちょう)させてうつむいているしかない。茜が「モフモフほしい……」とつぶやくのがまた、説明的なセリフではなく遠回しにアイテムを代用することで、その心情を語らせているあたりも、実に「映画的」「映像作品的」ではあった――いつものさつま芋のキャラクターは持ってきていなかったのだ(笑)――。


 茜は帰り際に「今日のことは、学校では云わないで。恥ずかしいから……」と初めて小太郎に声をかける。その背中に「川越第三陸上競技部」とデカデカと書かれているのを見て、小太郎は「それは、恥ずかしくないの?」と内心でつっこんでしまうけど(爆)。


 年頃の娘であれば、いくら家族との外食とはいえ、ふつうはそれなりに着替えてくるところであろうから、陸上部の青いジャージ姿のままでファミレスに来てしまうあたり、これもまた茜が繊細な少女でありながらも、虚栄的なファッション&スイーツな輩ではなく、恥ずかしがるツボが世事とは少々ズレているところもあることで、かえって純朴さがまた強調されつつ、ギャグ演出ともなっているのだ(笑)。


 二度目は体育祭の準備として、陸上部が主導する用具係に小太郎と茜が任命されて以降の展開である。
 係の会合を知らせる連絡網として、茜はLINEを駆使する。しかし、自身と同じ陸上部ではない小太郎の連絡先を知らなかったために、茜は会合のことを小太郎に伝えることができなかったのだ。
 翌日に教室でそれを口頭で小太郎に伝えようとするも、茜は恥ずかしくなってしまって、ただひたすらにピンクのさつま芋を両手でモフモフとさせるだけなのだ(笑)。


 この時点では、茜が小太郎を異性の対象として意識していたわけではまだなく、単に異性としゃべることに照れと気後れがあるということなのだろう。
 しかし、そのために用具係の会合のことを知ることができなかった小太郎は、顧問の教師に叱られることとなる。それを見ていた茜は、ひとりで準備作業をしていた小太郎を手伝おうと遂に意を決する。
 例のモフモフもそこそこに、それまではいっさい見せなかったような、キリッとした横顔を一瞬見せる演出も実に良いのだ。


 さらに、茜は作業で汚れた小太郎の制服の背中を、手で払ってあげるまでに至り(!)、おもわず赤面する小太郎の姿も含めて、なんとも微笑ましい描写となっている。


 このあと、茜から連絡先のメモをもらって帰宅した小太郎が、天井の照明のひも型スイッチを標的にして、なんとシャドーボクシングを繰り出す場面がある。
 この描写は彼が単に文弱で温厚なだけの文学少年などではなく、男の子らしい勇ましさも持っていることをも示しており、今後の展開では小太郎が文学少年らしからぬ男気をも示せるという伏線でもあるのだろう。


 ちなみに、陸上部の練習風景の場面では、走っている茜の姿を目で追うも、目が合いそうになるとサッと顔をそむけてしまう男子部員の姿も描かれていた(笑)。彼が小太郎の恋仇となって、今後は恋愛バトルも描かれるのであろう、これもまた伏線にもなっている。


♪ 放課後の校庭を 走る君がいた
  遠くで僕はいつでも 君を探してた


 1983年のヒット曲である村下孝蔵(むらした・こうぞう)の『初恋』の歌詞である。本作の世界観とこのシーンそのものである。本作中盤の回ではエンディング歌曲として使ってほしいくらいだ(笑)。


 本作の監督を務めている岸誠二(きし・せいじ)は、


・特撮ヒーローのパロディーアニメ『天体戦士サンレッド』(08年)
・美少女メカアニメ『蒼(あお)き鋼(はがね)のアルペジオ ―ARS NOVA(アルス・ノヴァ)―』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1
・イケメン異能バトルもの『ハマトラ』(13年)
魔法少女アニメ『結城友奈(ゆうき・ゆうな)は勇者である』(14年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190926/p1


などなど、硬軟多彩な作風のアニメの監督を務めている。これといった統一性や作家性が感じられないあたりで(失礼)、何でも器用に演出してしまえる職人監督なのだろう。


♪ 愛という字 書いてみては ふるえてた あの頃……


 これもまた先述した『初恋』の歌詞だが、やはり『月がきれい』は、思春期の入口に入った世代にとっては少し背伸びをしたオトナの世界であり、その年代を越えてしまった年長世代には、その渦中においてはたとえ実際にはイイことがまったくなかったとしても(笑)、甘酸っぱい記憶で美化された「あの頃」感にあふれた作品でもある。
月がきれい

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.79(17年8月12日発行))


俺を好きなのはお前だけかよ

(2019年秋アニメ)
(文・T.SATO)
(2019年12月15日脱稿)


 アリがちな美少女複数の好意から来る胸キュン萌え感情の惹起を主眼としたラブコメ作品かと思いきや変化球であった。
 かわいい女の子の萌え媚び媚態はホンモノなのか? 天然なのか? そこに計算はナイのか? どころか、男を手玉に取って転がして、内心で悦に入ったり自己愛を満たしているのではないのか? といった、ある意味では人間としての根源的なところに、ストーリーの序盤でコミカルに迫ってみせてもいる。


 ウスいパープル髪の上級生美少女は微エロで少年を転がしており、幼なじみ少女は手のヒラでバンバンと少年を叩いて腕を組んだり胸を押し付けてくる。しかし、彼女らは主人公少年に対してその気はナイ。どころか、天然な仕草ではなくワザと芝居でやっているのだ(汗)。


 コミュ力には恵まれてはいなくてもルックスには恵まれていたために、男性にチヤホヤされたり勝手に相手がテレてくれることで精神的には上位に立ててしまって、良い面では経験値が、悪い面では渡る世間をナメ腐ってかかって成長してきた金髪ロリ系女子高生や、さらには媚態を示すことで男の注視と女の嫉妬を喚起して優越感&悦に入る女教師を描いていた深夜アニメ『クズの本懐』(17年)という作品もあったけど、本作序盤はそれのオタ向けラブコメへの翻案版でもあろうか?(笑)


 現代のフェミニズムも、強権的な男性によるマウント行為への批判ばかりではなく、女性の中にもいる女性カースト内での上昇志向女子も含めて的確に指摘して、それに対する批判もできないようでは、アンフェアではあるだろう。


 加えて本作では、主人公少年の一応の親友でもあった野球部の長身青年クンともドロドロが発生してしまう。そう、男の友情にも実は打算や嫉妬が付きまとっているとして描くのだ。彼もまた意中の女性が主人公クンに懸想していたことを根に持っていて、彼をハメて転落・孤立させようとしていたことが発覚してしまう!


 ……こう書くと、スゴいシビアな作品なのだが、映像&明るい色彩演出面でのセーブが働いているのか、ラブコメ的まったり感も濃厚ではある。


 さらに、彼らの人間関係・痴情のもつれ(笑)を見透かして茶番劇も仕掛けてきて、陰謀の真相を関係者間に暴露した末に、一度は壊れた人間関係の修復にも関与する図書室の黒縁メガネの黒髪少女の正体とは!?
――メガネを外してサラシもほどくと絶壁胸の地味子ちゃんから巨乳美少女へと早変わりするけど、彼女の真意・本性はそんなルックスにも帰結していかない――


 といったところで、この彼女とは実際には正反対なハデで元気な性格であろうアイドル中堅声優・戸松遥(笑)が、この少女をいつもとは異なるクールで知的なボイスで演じているあたりもビックリだ。


 主人公少年も哀れなだけの被害者なのかと思いきや、そーでもナイのだ。彼にもまた腹黒さや自己保身や虚栄心に悪知恵もあるのだとして描くのだ。しかしながら、策謀には失敗してしまって、校内ではボッチになってしまう(汗)。


 そんな彼らは喰えない悪人ぞろいばかりなのかと思えばそーでもない。時には歩み寄って和解もして、他人に対して献身的にもなる彼ら彼女らの矛盾や二面性。


 全員とはいわずとも人間の多くはそーいうものでもあるのだろう。イイ奴かと思えば悪い奴であり、でもそんなに悪い奴でもないという……。そういった展開の連発に、心を揺り動かされてダマされまくっている筆者であった(笑)。


 原作ラノベの挿絵は人気作品『僕は友達が少ない』や『電波女と青春男』(共に11年に深夜アニメ化)も手掛けたブリキの手によるものだ。本作でも、美麗でかわいく繊細なキャラデザを、高予算作品であろう本作アニメ版も見事に映像化ができている。


 正直、やや理に勝ちすぎたストーリー展開で、私的には物語にスナオに没入できる感じでもナイ。けれど、あからさまにタイクツでもう視聴を打ち切ってもイイかという感じでもナイ。先行きが気になってしまう。後日まとめて終盤まで見通す所存だ。
俺を好きなのはお前だけかよ

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.76(19年12月28日発行))


俺を好きなのはお前だけかよ

(2019年秋アニメ)
(水曜24時30分 TOKYO-MX他)
(文・久保達也)
(2019年10月20日脱稿)


 本作の男子高校生主人公・如月雨露(きさらぎ・あまつゆ)はその名前から「月」を取ると「如雨露」=「じょうろ」となることから、クラスでは通称「ジョーロ」と呼ばれている。
 黒髪のザンギリ頭で誰に対しても穏やかに接するジョーロは、一見いわゆる「いい人」に見える。


 この「いい人」なる表現は本当にクセものであり、決してホメ言葉ではなく、むしろ侮蔑(ぶべつ)的な意味だと解釈すべきものである。ナゼならば一般的な女性が特定の男性を指して「いい人」と形容する場合は、それはたいてい「どうでもいい人」の意味だからだ(汗)。


 ジョーロには日向葵(ひなた・あおい)という幼なじみがいる。ジョーロはその名前をアナグラムにして「向日葵」=ひまわりと呼んでいる。


 茶髪のショートボブヘアの左側にひまわりの髪飾りをつけ、頭頂部にアホ毛が生えているひまわりは、通学時に


「おっはよ~~!」


とジョーロの背中をバチーン! とたたくような、天真爛漫な元気娘だ。


 そして、ジョーロは生徒会の書記を務めている。紫のロングヘアでモデル体型の生徒会長・秋野桜にあこがれてもいる。
 加えて、ジョーロは野球部のエースで4番の同級生・大賀太陽とは「SUN(サン=太陽)ちゃん」と呼ぶほどの大親友の関係だ。


 さらにジョーロは、桜からは土曜日に、ひまわりからは日曜日にデートに誘われる。ここまで観るかぎりならばジョーロはまさしくリア充であり、「なんだ、またハーレムものかよ?」などとカン違いしそうになるのだが……


 夕焼けに染まる公園で、ベンチの隣にジョーロを座らせた桜は「好きな人がいるの」と迫ってくる。胸の高まりをおさえられないジョーロ。
 しかし、桜の好きな人はジョーロの親友の太陽であった! 試合に負けてひとりで泣いていた姿を見て好きになってしまったのだとして、ジョーロに仲を取り持ってくれるように依頼してきたのだ!


 内心では「Oh,No(オー・ノー)!」と頭をかかえていたジョーロだったが(笑)、桜には満面の笑みで「いいですよ」と答えるのであった。


 その翌日、やはり夕方の公園のベンチで「好きな人がいるの」と、ひまわりに迫られたジョーロは「今度こそ!」とばかりに期待に胸をふくらませる。ひまわりが好きな相手もまた太陽であった! 試合に負けて泣いていたのを見たことがキッカケであることも桜と同じであったのだ!(笑)


 このあたりから「おまえもそこかい!?」と内心で毒づいたりして、ジョーロは次第に「いい人」なだけの人間ではなく、相応に他人に対して少々の悪意もわいてきてしまうような人間でもあるという本性を視聴者に対しては見せはじめる。
 しかし、ひまわりに対してはその本心を表に出すことなく、「まかせてよ」と自信を見せる演技をしてしまう……


 みんなに好かれようとがんばってきたジョーロに、これまで散々に好意的な態度で接してきたのにもかかわらず、ひまわりと桜にとっては実は自分は「どうでもいい人」であったことを思い知らされたジョーロは、自室で


「(ふ)ざけんなぁぁぁ~~~!!!」


と絶叫して半狂乱となってしまう。そして、どちらか太陽にフラれた方とハッピーエンドになろうとたくらむ始末であった(汗)。


 かなりコミカルに描かれてはいるものの、ジョーロにかぎらず、教室や職場で波風を立てずにやり過ごそうとするがために、程度の差はあれども人間は皆がこうしたストレスに悩まされている。だから、この程度であればせめて人には知られないところでこんなガス抜きをすることくらいは許されるべきだろう。


 これ以降、ジョーロは人に見られていない場所ではやさぐれモード全開となってしまう。ひまわりを「幼なじみの立場を利用したクソビッチ!」、桜を「オトナの色気を利用してオレを弄(もてあそ)んでいたアバズレ!」などと罵倒(ばとう)をするのだ(笑)。


 しかし、このふたりを実際に目の前にしてしまうと、やはり根は善人であるためにそこまで非情にはふるまえないのだ。それとも、美少女たちとよりを戻したいという一抹の希望、もしくは未練が残っているのか(笑)、あくまでも恋のキューピッドであることを装(よそお)ってしまうのだ。
 そんな優しい態度に喜んでしまって、手を握ってきた桜のことを、「好きでもない男の手を握るなんて意味不明!」などと理知的に彼女のことを分析もできている。
 自身に抱きついてきたひまわりに至っては、「こいつ、これでオレが好きじゃないんだぜ。頭おかしくね?」などとラッキースケベを喜びつつも、メタ的に作品の外側にいる視聴者に問いかけてもくるのだ(爆)。


 ジョーロの「いい人」ぶりと「やさぐれ男」との激しいギャップが、キャラの表情の隔(へだ)たりと声優の演じわけで見事なまでに両極端に描かれているのだ。これにはおもわず爆笑せざるを得ない。


 だが、第1話のラストは予想外のオチとなる。さらなるヒロインとして、紺色髪の三つ編みで四角いメガネをかけた図書委員・三色院菫子(さんしょくいん・すみれこ)が登場するのだ。
 そして図書室に持ち込んだ、「お急ぎ便」で注文したベンチ(笑)の上で、ジョーロは菫子から好きだと告白されるのだ!――ここでのジョーロはノルウェーの画家・ムンクの作品としてあまりに有名な『叫び』の絵の中心人物としてのイメージ映像で描かれている!(爆)――


 しかも菫子が好きなのは、「いい人」としてのジョーロではなく、ふだん周囲には見せていないハズの「やさぐれ男」としてのジョーロが好きだというのだ!


 それも二重人格を題材にしたロバート・ルイス・スティーブンソンの小説『ジキル博士とハイド氏』の書籍を手にして云っている(笑)。なので、菫子の正体でもあるストーカーぶりもより際立ってくるのだ! 彼女の曇ったメガネの中には薫子の目が描かれていないために、どんな表情なのかがわからないことがまた、その不気味さを増さしめる効果を上げていた。


 「秘密を明かされたくなければ、昼休みに毎日ここに来い!」と薫子に脅迫されたジョーロは今後、果たしてどうなってしまうのか? 興味は尽きないところだが、原作のライトノベルやコミックスでは、このあとジョーロはある者の策略によって(ひとり)ボッチの境遇に追いやられてしまうストーリー展開となってしまうようだ(汗)。


 こうなると、好きでもない女子生徒に目をつけられた主人公少年が破滅の道をたどっていった『惡の華(あくのはな)』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151102/p1)を彷彿(ほうふつ)としてしまう。しかしネタバレするけど、ジョーロを転落させるのはこの薫子ではないようだ。


 ちなみに、ジョーロの親友・太陽の声を演じているのは、本作放映中に放映されている『ウルトラマンタイガ』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210606/p1)でレギュラー敵の青いウルトラマンであるウルトラマントレギアの声を務めている内田雄馬(うちだ・ゆうま)。太陽の性格は実はこのトレギアと同じであるようだ(爆)。


 久々のボッチアニメの登場に期待大である。
OVA 俺を好きなのはお前だけかよ~俺たちのゲームセット~(完全生産限定版) [Blu-ray]

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.83(19年11月3日発行))


弱キャラ友崎くん

(2021年冬アニメ)
(文・T.SATO)
(2021年4月27日脱稿)


 弱キャラというからには気弱なキャラ、体力・腕力的にも弱いキャラ、ルックス的にも異性に好感を持ってもらえないキャラ、集団の中で「オレがオレが」と自らを押し出していくようなコミュ力には欠けるキャラのことであり、要は我々のようなオタのことである(爆)。


 しかして、オンライン対戦ゲームなどの一芸には秀でていて、1位の成績にはあった男子高校生・友崎くんは、2位の人間からオフライン(現実世界)で会わないか? と誘われてイソイソと出掛けたら、そこには学園№1の才色兼備の美少女がいた! というのが導入部。


 こう書くと劇的な出逢いを連想するのだが、コレが実にキビしい。高校ではカースト上位層に邪険にされてもカバってくれた美少女だったが、校外では露骨に不機嫌そうな顔で幻滅を示して、しばしの悶着の末に髪型・服装・背格好・表情にまでダメ出し!
 かくして、美少女キャラの指南による脱オタ道がはじまったのだった!


 オッサンの繰り言で恐縮だけど、まだテキストサイトが主流だった90年代末期には早くも脱オタサイトや脱オタファッションサイトがいくつか誕生して人気が集中。00年代前半には、著名サイト主がスカウトされて、そのサイトの内容を基に書籍も発行されている。
 00年代のブログの時代にはいわゆる「非モテ論壇」とも併走して、『電車男』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070617/p1)的な「そのままの君でイイ」と云ってくれる博愛的な女神さまの出現を待つような自堕落で歯の浮くようなキレイ事ではない、カースト上位層に回って搾取する側に行こうという意味でもない、一般ピープルからせめて侮られることを少なくするための実地に使えるあまたの方法論もネット上に蓄積していった。
――もちろん文章を読むような評論オタ的な人種にのみ届いて、いわゆる萌えブタ的な人種には届かなかったのではあるけれど(汗)――


 今は昔の80年代から若者間では後年で云うイケてる/イケてない系の格差が拡大していき、教室内での一体感も消失していったワケだけど、その問題に苦しんできた筆者なぞも、ヨコ目でこの流れを眺めて感心したり反発をいだいたりもしてきた。
 この流れの延長線上にコミュ力弱者であることをカミングアウトして、しかもダメな自分を笑いに変えることでプチ救済を与える行動様式が00年代初頭の巨大掲示板で誕生! それが源流となって、00年代末期からの(ひとり)ボッチを主題とした漫画・ラノベ・アニメの隆盛もあるのだと私見をしている。


 他人や権威を揶揄することは得意でも、自分のことをも自虐してピエロを演じてみせることはできなかったオタキング岡田斗司夫唐沢俊一などのオタク第1世代。そこを突破できた一点については、80年前後生まれのオタク第3世代以降は尊敬に値するとも思うのだ――もちろん岡田・唐沢の全業績をその一点をもって全否定をしているワケでもないのはくれぐれも念のため――。


 いやホント、本誌ライター陣が集ったコミケ帰りの電車や居酒屋のエレベーターなどで、いかにもカタギではない我々が放つ負のオーラや会話に対して「危ねぇよ」「ヤベェよ」などと遠巻きに呟きあっている声を幾度も耳にしたことか(爆)。
 もちろん彼らの見た目至上のルッキズムや礼節欠如を肯定する気は毛頭ナイけど、100年前のスペイン風邪で死んだ社会学の中興の祖マックス・ウェーバー先生も云う通りで、「事実」と「価値判断」は選り分けて、倫理的には誤りでも世知辛い「事実」はソレと認識して、その上での善後策を練らねばならないのだ。


 学園№1美少女の指南はここ20年で蓄積されてきた脱オタ脱オタファッションの集大成ではある。


・意識して背筋を伸ばして姿勢をよくしろ
・演技やポーズでもヒトをダマして陥れるものではナイならば、潤滑油として表情を多少は作れ
・当たり障りのないムダな雑談も少しはしろ
・最低限のカッコはつく安価な服飾をユニクロで数着は常備しておけ


 もちろん学園№1美少女ではなく主人公少年が独力でネット上のソレに辿り着くような描写の方がリアルではある。しかし、それだとフィクションとしては華とかイロ気には乏しくなるので、ソコはお約束だと割り切るべきである。
 彼女を介して他人や弱者への共感性には乏しいスクールカースト上位層の人となりや、彼らとの交流ドラマに近道で辿り着ける作劇的なメリットも大きい。


 オタが悪いのではなくオタを差別する社会の方が悪いのだから、そっちを何とかしろヨという反論は成り立つ。


 もっと云うならば、脱オタせずに弱者とともに泥にまみれて底辺で生きるのが道義的にも正しい。個人のミクロな生存戦略としては脱オタが正しいとしても、マクロで見ればイス取りゲームの世界だから、誰かが脱オタしてカースト上昇に成功すれば、他の誰かのカーストが下がることへの心の痛み。このテの言説や作品に反発を覚える御仁の気持ちを言語化してみせれば、そーいうことだろう。


 だが、それではドーすればよいのだろうか? 途方に暮れるばかりである。
弱キャラ友崎くん

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.79(21年5月30日発行))


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俺ガイル続・よう実・青ブタ・月がきれい・俺好き・友崎くん ~コミュ力弱者を美化した6作!
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月がきれい』評~「マツコの知らない世界」で紹介記念!
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古見さんは、コミュ症です。・川柳少女・ひとりぼっちの○○生活  ~コミュ力弱者の女子を描いた3作の成否(笑)を問い詰める!

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』『ようこそ実力至上主義の教室へ』『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』『月がきれい』『俺を好きなのはお前だけかよ』『弱キャラ友崎くん』 ~コミュ力弱者の男子を禁欲・老獪なヒーローとして美化した6作!
『くまみこ』『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』『ネト充のススメ』 ~コミュ症女子を描いた3作品の成否は!?
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 深夜アニメ『古見(こみ)さんは、コミュ症です。』の分割2クールが完結記念! とカコつけて……。コミュ力弱者少女を描いた深夜アニメ『古見さんは、コミュ症です。』(21年)・『川柳少女』(19年)・『ひとりぼっちの○○(まるまる)生活』(19年)評をアップ!


古見さんは、コミュ症です。』『川柳少女』『ひとりぼっちの○○生活』 ~コミュ力弱者の女子を描いた3作の成否(笑)を問い詰める!


古見(こみ)さんは、コミュ症です。』

(2021年秋アニメ)
(文・T.SATO)
(2021年12月25日脱稿)


 他人と会話をするにも困難を覚える我々オタクのようなコミュ力弱者を主人公に据えたアニメ。ただし、クールビューティーで表情を変えないポーカーフェイスの超絶美少女なので、コミュ力弱者であることはバレておらず、彼女ほどのコミュ力弱者ではないけど地味な男子高校生クンが彼女をフォローしつづける。


 アマゾンが「あなたにお勧めです」と教えてくれたので、数年前にも原作漫画(16年)の電子書籍の第1巻は一読。
 本作を好きな方々には申し訳ないけど、深いところをエグってくる作品ではない。(ひとり)ボッチ漫画『ひとりぼっちの○○生活』(13年)や『ぼっち日和(びより)。。』(11年)のように性悪なヤンキーやギャルは登場しないソフトでマイルドな作品である。


 こーいう作品もあってイイし、それで癒やされる方々もいるので、くれぐれもその存在自体を否定してはならない。しかし、筆者は『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(11年・13年に深夜アニメ化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)みたいな、自分も他人もどっちも歪んでる! みたいな構図に人間&社会の縮図を見取って、それに納得することで癒やされる性格なので(笑)、1巻だけでおサラバしていた(汗)。


 で、試しに#1を観てみる。……面白い。


 1ヶ月先行してNHKで始まった実写版も観てみる! ……面白い。


 アニメ版は登場人物のリアクションをオーバーにしてメリハリを出してギャグにしている。実写版もナチュラルな演出ではなくコメディ的に演技を誇張することで笑い&救いを作っている。
 コミュ力強者の幼なじみ美少年、見た目は不良のコミュ力弱者少年、見た目は山姥ギャルのコミュ力弱者少女といった、コテコテの記号的なキャラを作って、彼らの状況や交友に関するお約束リアクションで話を続けていく。


 アニメ・実写版ともに、序盤はまぁまぁ面白いのだけど、個人的には中盤以降は単調に思えてきてしまい……。
TVアニメ『古見さんはコミュ症です。』オリジナルサウンドトラック1

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古見さんは、コミュ症です。 DVD BOX
(1)
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.81(21年12月30日発行))


川柳少女(せんりゅうしょうじょ)』

(2019年春アニメ)
(文・T.SATO)
(2019年4月27日脱稿)


 黒髪ロングの弱そうでもニコニコ笑顔の美少女。しかし彼女は極度のシャイであり、他人との会話は短冊に書いた川柳で筆談するのであった。


 と、こう書くと、コミュ力弱者問題を扱った(ひとり)ボッチアニメかと思えるのだが……。


 すでにカレ氏がいるのかヨ!? しかも、そのカレ氏が週刊少年マンガ誌の典型(?)ともいえる、やや不良が入った男のコだよ!
 同性の友達もいるじゃんかヨ! クラスでも浮いてないじゃん!


 どころかクラスの男子連中にも「オトナしそうで可愛いよナ」と評されていてモテてるじゃん!


 といったあたりで、筆者が事前に期待していた内容やテーマとは異なることがわかって、少々落胆してしまう(少なくとも序盤を観るかぎりにおいては……)。


 主役少女は中堅・花澤香菜が肺活量も声量も小さそうで消え入りそうな、可愛らしい蚊の鳴くようなボイスで演じており、いかにもな感じは達成できている。


 授業中に先生に指されてアタフタとあわてるばかりで喋れない。店員の畳み掛けてくる問い掛けにはキャパオーバーでパニくって答えられない。というあたりはイイのだけど、まわりが即座にフォローしてくれるので、彼女がホンキで悩むことはない。


 弱者が弱者のままで尊重される世界。それは理想なのやもしれないが、やはり程度問題ではあって、ココまで何も考えずに済んでしまう彼女を観ていると、コレは「愚者の楽園」という気もしないでもなく(汗)、人間には重度なモノは不要にせよ多少の試練があった方がイイのでは? とも思えてくる。


 ナンとはなしに浅い感じであり、深い哀しみや挫折を抱えた人間に仮に彼女が出逢っても、寄り添って分かち合って癒やしてあげられるという気がしない(笑)――もちろんコレはおカド違いの要望なのであろう――。


 個人的には、学校の先生や級友や店員の問い掛けに滑舌よい大きな声で答えられずに、いつも問い掛け直されるので、ますます緊張してドツボにハマるような『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(11年・13年に深夜アニメ化)の序盤で観たようなノリ。
 深夜アニメ化もされたボッチ少年が転落する『惡の華』(09年・13年に深夜アニメ化)と同じ漫画家が手掛けた吃音少女を主役とした『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(11年・18年に実写映画化)のように、一般ピープルには呼吸のようにカンタンな発話や会話をすることができずに、それにいちいちストレスを感じて劣等感にも苛まれていくような要素を全面といわず作品の一部にでも出してくれれば、筆者の感情移入の度合いは高くなったのだけど。


 とはいえ、ヘビーな作品ばかりが正義でもナイので、コレはコレで否定はしない。本誌執筆陣の界隈にもボッチアニメのブラックな笑いに、筆者のように屈折した癒やしを感じられず、正視に耐えずにイヤな気持ちになるという御仁が複数いるのも事実だし、それをガマンして咀嚼しつづければ新たな境地に辿り着くという絶対保証もナイ以上は、本作のようなマイルドな作品も必要なのであろう。


 しかし、コミュ力弱者でもルックスゆえかカースト上位グループに常に所属していた女の子っていたよなぁ……とチョットだけディスってみる(笑)。
Senryu Girl [Blu-ray]

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.74(19年5月4日発行))


『ひとりぼっちの○○(まるまる)生活』

(2019年春アニメ)
(文・T.SATO)
(2019年4月27日脱稿)


 主人公の女子中学生の名前が、一里ぼっち(ひとり・ぼっち)。そのまんまやないけー!(笑)


・教室で前の座席に座る級友の名前は、砂尾なこ(素直な子)
・外国人少女はソトカ・ラキター(外から来た)
・風紀委員は倉井佳子(暗い過去)


 というワケで、そのネーミングセンスからもわかる通り、(ひとり)ボッチアニメではあるけれど、リアリズムには寄っておらずコミカル側に寄せた作風。


 筆者が事前に期待した内容やテーマとは異なるとわかって、少々落胆(以下略)。とはいえ、ヘビーな内容の作品ばかりが正義でもナイので(以下略)。


 中学校に入学した彼女が、新集団に加入する際に感じる気後れや新たに友人を作ること、どころか他人に話しかけたり、登校時に教室へ入る際の「おはよう」の声を発することへの恥じらい――で、結局は「おはよう」の声を発さない(笑)――。
 自己紹介で大勢のヒトの前で喋ることや、そも世間で大多数ウケする性格的な明るさ(その実態は軽佻浮薄なチャラさ・汗)や、オシャレやモテとされている趣味や得意スポーツなどもナイことに、悶々とするどころか屠殺場に向かう牛馬のような気持ちになるサマが描かれる。
――むろん天性の性格ゆえ、成人しようが中年になろうが、多少は改善しても完治はしないヨ……なぞと青少年に告げたらば未来に絶望するだろうから、そこは黙しておくべきであろう(爆)――


 それどころか、自己紹介中に極度の緊張で嘔吐!(汗)――もちろん声優の呻き声のみで、その瞬間自体は映像化されない――
 似たようなゲロを吐くシーンがボッチアニメ『琴浦さん』(11年・13年に深夜アニメ化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)でもあったよナと思いつつ、コレで中学生活も終了! あとは「ゲロ」の称号を得て「汚れキャラクター」のスティグマ(聖痕)を背負って蔑視&孤独に堪えて生きていくんだネ、「蝶よ花よ」の女のコでそれはツラいと思ったら。


 そーいった重たい展開にはならない。ゲロ吐きの事実は流されることで、同季の深夜アニメ『川柳少女』と同様に、もっと軽やかなところをねらった作品なのだナと気付かせる――忘れそうになったころに、前の席の娘が「何だよ、ゲロ」とアダ名してくるけど(笑)――。


 よって、絵柄も含めてあくまでも軽妙にボッチやコミュ力弱者の「あるある」ネタをギャグとして描いていくところに本作の特徴があるので、主人公の女子中学生のキャラデザもシットリとした黒髪セミロングはサイドテールで垂らしており、それを束ねた箇所にはピンクの花型髪飾りまで付けているので、女子力も高くて可愛い萌え対象ともなりうるキャラデザともなっている。


 個人的なホンネを云わせてもらうと、それゆえにやや物足りなく、自分はもっと濃ゆくてエゲつなくて下品でエグってくるような作品が好みだナ……とは思うものの、だからといって、自分の好みと異なる作品の存在自体を否定してもイケナイのだ。
ひとりぼっちの○○生活

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.74(19年5月4日発行))


『ひとりぼっちの○○生活』

(金曜26時55分 毎日放送・TBS他)
(文・久保達也)
(2019年4月17日脱稿)


 本作はかの『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(13年)や『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(13年)、『琴浦(ことうら)さん』(13年)や『惡の華(あくのはな)』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151102/p1)など、いわゆる(ひとり)ボッチアニメが深夜枠で隆盛を極めた2013年から、KADOKAWA『コミック電撃だいおうじ』で連載中の4コマ漫画を原作としている。


 『響け! ユーフォニアム』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160504/p1)や『艦隊これくしょん-艦これ-』(15年)、『ラブライブ!』シリーズ(13年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1)に『中二病でも恋がしたい!』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190904/p1)、はたまた『ローゼンメイデン』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151102/p1)など、これまで数々の人気アニメを手がけてきた花田十輝(はなだ・じゅっき)がシリーズ構成を担当していることは意外に思えるのだが、氏はボッチアニメとは若干(じゃっかん)ニュアンスが異なるものの、原作漫画ありきの作品だがオタク女子たちを主人公にした『海月姫(くらげひめ)』(10年)のシリーズ構成を務めた過去がある。


 これは風呂とトイレが共同の男子禁制の木造アパートにて、実家からの仕送りのみで(汗)共同生活をする、


・クラゲオタク
・市松(いちまつ)人形オタク
三国志オタク
・鉄道オタク
・中高年男優オタク(笑)


 といった、「オシャレ人間は敵!」「人生に男は必要ない!」などを主義とした「尼(あま)~ず」(爆)と自称する女子たちに、大物政治家の息子であるものの、女装を趣味とする美少年がカラむことで巻き起こる騒動をコミカルに描いた作品だった。


 まぁ、『海月姫』は主人公のクラゲオタク以外は、その生態も含めてキャラクターデザインがオタク女子の姿をあまりにリアルに描きすぎていたため、おそらくは円盤も売れなかったことと思うのだが(汗)、ギャグ演出は絶好調であり、本作はそんな作風を継承しつつ、登場キャラを美少女で統一したという印象だ。


 桜が満開となった通学路で中学校の入学式に向かう、茶髪ロングヘアでワインレッドの瞳をした清楚(せいそ)な印象の美少女主人公・一里ぼっち(ひとり・ぼっち 爆)が左側につけた髪飾りを、満開の桜と重ね合わせた、それこそ華のある印象を醸(かも)しだす演出が心憎い。


 実はぼっちはその名が示すように(笑)、小学校時代は幼なじみの八原かい(やわら・かい)しか友人がおらず、そのかいが私立中学に進学することで離ればなれとなってしまうのだが、ぼっちが中学でクラス全員と友達になれないかぎりは絶交する! という非情な約束を彼女からされてしまったのだ。


 クラスメイトがゼロならクラス全員と友達になれると、「1年1組廃止のお知らせ」(笑)を教室の入り口に貼ってみたり、案の定、自己紹介ではドモりまくった果てに嘔吐(おうと)してみたり、級友に話しかけようとするや、足がつって(爆)転倒してみたりと、幼なじみとの約束を到底果たせないと絶望するたびに、ぼっちが闇の中に照らされたスポットライトの中でひざまづく、アバンギャルド(笑)な心象描写が繰り返されるのは、視聴者の感情移入を誘わずにはいられない演出となっている。


 ぼっちが窓際の最後尾の席であるのは、もはやジャンル作品のお約束だ(笑)。
 その前の席に座る金髪ショートヘアのミニスカ制服でぶっきらぼうな、ギャル系というより昭和の不良少女といった印象が強い砂尾なこ(すなお・なこ)=「素直な子」(爆)には「なんだよ、ゲロ」と云われてしまう。
 しかし、話しかけてくれたことに感激し、パシリは友達にカウントされるの? となこにたずねたり、終業時に雨が降りだしたことで自身の折りたたみ傘をなこに手渡すや、走って逃げ帰るなどのぼっちの健気さには、視聴者の応援モードが全開となるのは必至だ。


 「ふたりで入ればいい」と、ぼっちを傘に入れてくれたり、ぼっちがくれたジュースのお返しとして棒付きキャンディをくれたりするほど、その見た目に反して、なこは実はいいコであることが判明する。
 なこをどうしても友達にしたいぼっちは日常会話の準備として、手のひらに質疑応答集をびっしりと書きこむものの、アドレスを教えてもらったことで、昼休みに弁当をいっしょに食べる際すらも、ひたすらスマホのメールでなこと会話をするのも、コミュ下手からすればある種のリアルな描写として映るだろう。


 なこに友達として承認されたぼっちはうれしさのあまり気絶してしまう(笑)。何かうれしいことがあるたびに、ぼっちが気絶してブッ倒れる描写が繰り返されることも、それだけぼっちがこれまでの短い人生の中で、うれしいことがあまりに少なかった証(あかし)として機能しているのだ(汗)。


 桜の花びらが舞い散る中、なこと帰るぼっちの髪の花飾りをアップにして幕となる第1話のラストは、冒頭で描かれたぼっちの願いが見事に成就(じょうじゅ)したことを係り結びとして表現するには実に秀逸(しゅういつ)な演出だった。


 なこはぼっちを変人で不器用でお人好しとしながらも、それがぼっちのいいところだと評していた。
 そのぼっちの人間性に惹(ひ)かれて、海外から入学してきた金髪の外人少女であるソトカ・ラキター=「外から来た」(笑)や、風紀委員の倉井佳子(くらい・かこ)=「暗い過去」(爆)など、ぼっちの友人が徐々に増えていくホンワカとした作風は、先述した『琴浦さん』を彷彿(ほうふつ)とさせるようでもあり、文学少年の主人公が次第に破滅していくさまを描いた、ひたすらダークな展開だった『惡の華』の円盤の売上が大爆死(汗)したことを思えば、今後のボッチアニメが視聴者の共感を得るためには、本作のような路線が主流となるべきなのかもしれない。


 ただ個人的には、先述した『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の黒木智子=もこっちや、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の比企ヶ谷八幡(ひきがや・はちまん)=ヒッキーのように、ひたすらやさぐれた主人公が、そのシニカルな主義・主張によって世の軽薄な風潮を一刀両断することで、視聴者がカタルシスを得られるような作品も、久々に観たくてたまらないのだが。
TVアニメ 「 ひとりぼっちの○○生活 」 オープニングテーマ 「 ひとりぼっちのモノローグ 」

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.82(19年8月1日発行))


追記:

(文・T.SATO)


 今さらだけど、「コミュニケーション弱者」のことを「コミュ症」なり「コミュ障」という語句で呼称しているネット・スラング(俗語)には少々の違和感はある。
 「障」は「障害」や「障害者」の略であり、70年代にビッコやカタワやメクラなどの差別用語が禁止された代わりに、80年代以降に「身体障害者」のことを「身障」などと略して侮蔑的に表現する流儀が20世紀のむかしの一部のヤンキーな若者間ではあったことも想起してしまい、そこに少々の差別的なニュアンスも漂ってしまうと思えるからだ。
 あるいは、ホントの各種の障害者の方々の苦悩に比べれば、「コミュニケーション弱者」の苦悩などは無視はできないまでも、彼らが抱えているほどの重たい苦悩なのか? と云われてしまえば、クエスチョン・マークが付いてしまうことから、障害者の方々に対しても失礼なスラングなのではないのか? とも思えてきてしまう。


 とはいえ、「コミュニケーション弱者」以外から名指される蔑称などではなく、往々にして「コミュニケーション弱者」自身が自虐的な自称として「コミュ障」という用語を用いていることもあるのだし、オタク世間でもこの語句が流通するようになって久しいので、多少の引っかかりはあるものの「まぁイイか」と許容せざるをえないのだ(汗)。
 ただし、筆者個人は「コミュ症」なり「コミュ障」という語句は絶対ではないけどなるべく使わずに(特に後者は)、「コミュニケーション弱者」や「コミュ力弱者」という語句を使用することにしている――むろん、「コミュ症」なり「コミュ障」という語句を使用している御仁たちのことも否定する気はまた毛頭ナイけれど――。


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私に天使が舞い降りた!・うちのメイドがウザすぎる!・となりの吸血鬼さん ~幼女萌えを百合だと云い募って偽装(笑)する3大美少女アニメ評!

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『私に天使が舞い降りた!』『うちのメイドがウザすぎる!』『となりの吸血鬼さん』 ~幼女萌えを百合だと云い募って偽装(笑)する3大美少女アニメ評!


『私に天使が舞い降りた!』

(2019年冬アニメ)
(文・T.SATO)
(2019年4月27日脱稿)


 栗色髪ショートで自宅では常に赤いジャージを着ていて、不登校か引きこもりの女子高生にも見える内気な女のコ――ググってみると一応は女子大生(汗)――が、小学生の妹が連れてきたクラスメートの黒髪ロングの美少女にゾッコンになってしまうといった深夜アニメである。


 連綿とジャンルの片隅に存在しつづけるロリっ娘の美少女に執着して偏愛する作品群の1本。なのだけど、偏愛する方のキャラを男性ではなく女性としたことで、「ナマナマしさ」や「犯罪性」や「性の匂い」を減じて、あまつさえ女性同士の恋情である「百合(ゆり)」だとも称する卑怯なジャンル作品でもある(笑)。


 ……などという見方も穿ちすぎており、物事の「半面」にしか過ぎなくて、間違って日曜午前の回などに美少女アニメの劇場版――かの『ゆるゆり』(11年)のOVAの劇場先行上映(14年)(汗)――なぞを観に行ってしまうと、筆者がオタク友だちと鑑賞するいつもの午後や夕方の回とはまるで異なり、ストリートには繰り出さないであろうギャルとは真逆なオボコそうな中高生女子オタクたち多数が席を埋めていて、


「アレ!? 女子オタでも美少女アニメを観る層って意外といたのかヨ!?」


などと認識を改めさせられたりもするけれど。



 昨2018年秋にも同工異曲の深夜アニメ『うちのメイドがウザすぎる!』&『となりの吸血鬼さん』が放映されているので、比較論で見えてくるところもある。


 前者における日露ハーフのロリ美少女に発情している航空自衛隊上がり(汗)の眼帯メイド女子が一応は近代的な自立した女性でややガラッパチではあり、弱者男子がビミョーに苦手そうな人種であるのに対して――こーいう女性が大好物なオタク男子が少数はいることも承知はしております――、後者や本作におけるロリ吸血鬼や小学生に欲情している黒髪清楚な女子高生や女子大生は、ロリっ娘に負けじ劣らずのオタク男子の視聴者たちが好みそうな柔和な女性像ばかりで、そんな彼女がハァハァしている姿にオタク視聴者たちももよおされてしまって(笑)、


 視聴者 → 年長少女 → ロリ美少女


といった三層構造で「萌え感情」が増幅されて二重奏・三重奏の倍音となって響き出すのだとも考えるのだ――いやまぁ、そんなことは考えなくてもイイけれど(汗)――。


 なので、筆者は本作のロリ幼女ではなく、実質的な主人公だともいえる栗色髪女子の方が興味深い。人見知りで他人と目を合わせるのが苦手で、外ではマスクにグラサンで店員とはしゃべれない。……オレのことかヨ!?(爆)


 15年前、書籍『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』(幻冬舎・03年2月1日発行・ISBN:4344002873・08年に幻冬舎文庫化)で、渋谷のビルは外壁がガラス張りであって顧客たちも自身の容姿を何気にアピールしており、アキバではビルの外壁自体を宣伝やシーツで覆って、オタクの顧客たちも自身の姿を隠そうとしているのだ……などといった分析があったことをつい想起もしてしまうのだ。


 かの香山リカ先生が「全女性が坊主頭であるならば、髪型なぞに悩まなくてもイイのに……」などと語っていた彼女の初期の著作や、イスラムのブルカを試着した某日本人女性が他人とのルックスの優劣に悩まなくてもイイのでかえって安心したといった述懐に、はたまたその真逆で自身の容姿を見せたがっている虚栄心に満ち満ちた輩など、女性の価値観も一枚岩ではナイ。どころか、女性の敵は女性、女性の敵は女性カースト(!)であったりもするのだ。


 そのあたりをも包括して説明できる高次の理論体系をフェミニズム側が構築できたならば、筆者もフェミニズムに屈服してもイイのだけど、女性たちの中にもある改善すべき不都合な事実には悪い意味で政治的に目をつむってしまって、あるいはそもそも気付けずに、男性だけを敵視しているあたりで、まだまだムリそうだよナ……などといった話になってしまうと、本作のレビューにはならない(笑)。


 本作の幼女に萌えている栗色髪女子を演じたのは、昨2018年秋の『SSSS.GRIDMAN』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181125/p1)でコケティッシュな美少女・新条アカネも演じた上田麗奈(うえだ・れいな)。
 本作では00年代の能登麻美子(のと・まみこ)や10年代の弱めのキャラを演じるときの早見沙織(はやみ・さおり)のように、ややくぐもって鼻にかかった艶(つや)のある声で演じて、内気なのに幼女を愛玩する娘っぽさが実によく出ている。
私に天使が舞い降りた! クリアファイル C

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.74(19年5月4日発行))


『私に天使が舞い降りた!』

(19年・わたてん製作委員会)
(文・久保達也)
(2019年4月17日脱稿)


 ルックスは茶髪のショートボブヘアで、ホンワカとした物腰のやさしい印象ではあるものの、極度の人見知りでライン入りの赤いジャージ姿で自宅にこもっていることが多い、コスプレ好きの女子大生・星野みやこ。
 そんな彼女とは対照的に、みやこのことを「みゃー姉(ねぇ)」と呼ぶような、物怖じしない元気な小学生の妹である星野ひなたが自宅に連れてきた、紺色ロングヘアに花飾りをつけた同級生の美少女・白咲花(しろさき・はな)にひとめ惚れ(笑)してしまう。
 そして、花に気にいってもらおうとして、あまりに痛い奇行(汗)を繰り返すというアニメ。


 みやこは他人と目を合わせるのが苦手なため、普段から左目を髪で隠している。当初は小学生の花とも目が合わせられなかったみやこはサングラスにマスクをして、SF映画『スター・ウォーズ』(77年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200105/p1)の敵キャラであるダース・ベイダーのような呼吸や鼓動(爆)を上げて現れたために、花にいきなり変質者だと思われてしまう(笑)。


 握手してもらうや「スベスベで気持ちいい!」と、あまりに素直に感情を口にしたみやこを、「気持ち悪い」と警察に通報しようとする花(爆)。


 以後は、ひなたに家に遊びに来るように誘われても、


「お姉さん、いないなら行くけど……」


などと拒絶して(笑)、みやこの


「おいしいお菓子、あげるから」


との返しには、冷静に


「変質者の誘い方」


だと判断していた(爆)。


 そんな花だったが、みやこのお手製のお菓子がおいしいことを知ったらば、年齢相応でそのお菓子を食べたいがために、花はみやこの不審者ぶりに警戒しながらも、テンション全開となったみやこのさまざまな手作りコスチュームの「着せ替え人形」と化してしまい、ローアングルからの撮影(笑)にまで応じるに至ってしまうのだ。


 これはぶっちゃけ、見ようによってはかなり悪質な部類のセクハラ&パワハラにもなりかねいものだ。しかし、みやこにまったく悪印象が感じられないのは、撮影しているのが男性キャラではなく女性キャラだからであり、加えてその声を演じる上田麗奈(うえだ・れいな)の威圧感のないハンナリとした声質が大きいからだろう。


 上田といえば、最近では2018年度の深夜アニメの大ヒット作『SSSS.GRIDMAN(グリッドマン)』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190529/p1)の敵キャラで、自身の気にいらない人間を怪獣で殺害していた女子高生・新条アカネが最大の当たり役となっている。
 アカネのような暗黒面を見せるワケでも、無職となった男性社会人主人公が見た目を若くして高校生活をやり直す『ReLIFE(リライフ)』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160903/p1)で上田が演じた演じた主人公の心をもてあそぶリライフ研究所の女性職員・小野屋杏(おのや・あん)のような愉快犯でもなく、廃村寸前の村落を復興しようと務める女性たちを描いた『サクラクエスト』(17年)で上田が演じたサブヒロインである観光協会の職員・四ノ宮しおり(しのみや・しおり)がただひたすらに故郷の村を愛していたように、みやこは純粋に花を愛しているだけである。やましい気持ち(笑)などは何もないことが、上田の演技からは充分に伝わってくるのだ。


 小学生のわりにはふだんはあまりにクールな花が、みやこのお菓子を目にしたときにのみ女子小学生らしく目を輝かせたり、花がふだんはアフロヘアにヒゲのオヤジをモチーフにした全然かわいくない「ヒゲロー」なるユルキャラが描かれた、みやこいわく「クソみたいな服」(爆)ばかりを着ていることも――自分も赤いジャージしか着てない分際で(笑)――、みやこが彼女をコスプレさせて撮影におよんでしまうという行動をなんとか正当化することには成功している。


 本作は一迅社(いちじんしゃ)の漫画誌コミック百合姫(ゆりひめ)』の月刊化を記念して連載がスタートした漫画作品(16年)を原作としている。
 ひなたの同級生である小学生のロリ系キャラたちが多数登場することもあり、女性の性愛を描く本来の意味での「百合」の愛好者以外にも広く門戸が開かれている感があるため、「百合」とはジャンルを明確に区別してとらえるべきかと個人的には思えるのだが……
私に天使が舞い降りた! Blu-ray BOX

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.82(19年8月1日発行))


『うちのメイドがウザすぎる!』

(2018年秋アニメ)
(文・T.SATO)
(2018年12月26日脱稿)


 メイド萌え作品ではない。萌えの対象は日露ハーフのロリ美少女。この年少のロリ美少女に年長のメイドさんの方がひたすらに萌えている作品である。


 メイドは航空自衛隊の出身! ある雪の日に通りかかった家屋の庭にロリ美少女を見かけてゾッコン。さらには彼女宅で家政婦を募集中の貼り紙を見たことで、退官して転職に成功。ナゼか江戸時代初期の剣豪・柳生十兵衛(やぎゅう・じゅうべえ)ばりな眼帯を付けて甲斐甲斐しくロリ美少女の面倒を見る、というかロリ美少女を愛でてハァハァ興奮・発情してドタバタとする作品である。


 イジワルに見れば、性的興奮の主体を野郎ではなく女性キャラに代替して、ナマナマしさを減じているのだともいえる。オタク間で「百合」とカテゴライズされているものの半分も実はこのパターンで、真性の「百合」ではなく、野郎の美少女に対する性的興奮の主体を、女性のパッケージで包むことでオブラートに包んでいるだけのモノである――だから、ダメだと云うのではなく――。
 便宜的・世間的なカテゴライズはコレも「百合」でイイけれど、我ながらウザすぎる批評オタとしてはそれらも選り分けておきたいナと。


 その上でのお約束反復ギャグを繰り広げるという作劇を、


●ギャグに昇華しながらも、後ろ暗い欲望も健全に発散して、イイ意味での世間も欺く巧妙な「進化」だと取るのか?
●自己のダメさや微量ではあっても存在する劣情を、直視できない欺瞞的な「退嬰」だと取るのか?


 それもヒトそれぞれではある。双方に理がある2つの真逆の回答が同時に得られるアポリア(難問)でもあるのだ(笑)。


 ならば、本作は「父性」や「母性」の発露としての「少女愛」だとの分析もできようか? だとしてもメイドさんの行為は、子供といえども「一個の人格」に相対するモノではなく、「お人形さん」に対する着せ替えごっこ的で一方的な自己満足に見えなくもないのだ。


 などとシニカルに云い出すと、ありとあらゆるジャンル作品どころか物語作品一般を素朴に楽しめなくなってしまうけど(笑)。


 そもイイ歳こいて、そんな深夜アニメを観ている筆者のメンタルは!? 結論。ウザすぎるのは筆者であった(爆)――本作自体は水準作です――。
ブシロードスリーブコレクション ハイグレード Vol.1817 『うちのメイドがウザすぎる!』

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.73(18年12月29日発行))


『となりの吸血鬼さん』

(2018年秋アニメ)
(文・T.SATO)
(2018年12月13日脱稿)


 黒髪ショートカットの女子高生が、近所の森の奥の洋館に住まう銀髪ロングの吸血鬼のロリ美少女を発見!
 あまりにかわいいので毎日押しかけて甲斐甲斐しく面倒を見て、ハァハァとコーフンしている光景を視聴者側が愛でるという作品。


 野郎オタの美少女への発情を劇中内での女性キャラや触手だらけのメカや異生物に置換することで、発情した自身の醜い姿に直面しないで済む80年代中盤に発祥した文法も、今では変型を重ねながらも歌舞伎的な様式美と化している。


 しかし、同様の設定である、片目に眼帯をした成人したメイド女子が日露ハーフの金髪ロリ美少女にハァハァとコーフンしている同季の深夜アニメ『うちのメイドがウザすぎる!』がイマイチ引っかかってしまうのに、本作は許容ができる……なぞと語ってしまうと、私情まるだしで批評・感想屋としての評価軸はドコにあるんだよ!? ということで信頼を失ってしまうけど(笑)。


 多分、『うちのメイド~』のメイド女子が一応は近代的な自立した女性――メンタル自体はほぼオッサン――であって、彼女自身は視聴者の萌え対象にはならない(?)のに対して、本作の黒髪ショート女子高生はロリ吸血鬼少女に負けじ劣らじ、あるいはそれ以上の視聴者の萌え対象にも成りうることから(?)、


 視聴者の黒髪ショート女子に対する萌え感情 → 黒髪ショート女子の吸血鬼少女への萌え感情 → ロリ吸血鬼少女


 といった3層構造の感情移入の流れが滞ることなく直流することでスンナリと観られて、なおかつ二重奏・三重奏としての倍音で響き出すからなのでは? などとも愚考する。


 だからといって、このジャンル自体が根底に宿している不健全さを根本から免罪・免責しきったことにもならないのだけれども(笑)。
Ms. Vampire Who Lives in My Neighborhood Blu-ray

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.82(18年12月29日発行))


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(文・T.SATO)

それが声優!

(2015年夏アニメ)
(火曜23時 TOKYO MXほか)
(2015年10月3日脱稿)


 ようやっとデビューができたばかりで、まだ先行きも盤石ではないであろう(汗)、新人女性声優3人組のドタバタ悲喜劇を、シリアスにではなくマッタリとオブラートに包んで描くという深夜アニメ。


●ライトグレーのロングスカートである学校制服で身を包んだ、子役上がりで小柄かつ可愛らしい、黄緑色のボリュームもあるロングヘアで、オットリとしているけどシッカリしている、いかにも性格よさげな現役中学生声優がサードヒロイン!


●コリン星ならぬイチゴ星からやってきた! という「設定」を作って、テンション高めでその「設定」をブリブリと演じている、膝上まである長い白タイツ&苺イメージのミニスカのあいまにある狭~い絶対領域(笑)に素ハダの太モモも見せつけてくれる、ピンクのツインテール髪でいわゆる萌え萌えの可愛い子ブリっコしているサブヒロイン!


●そして、薄パープル髪のショートカットにメガネ。丈がとても長~いカーデガン、スネまである細みのロングスカート、短い上げ底ブーツの3点セットで、貧乳・痩身・胴長短足気味の貧相なボディラインをゴマカしているとおぼしき(失礼・汗)、少し地味めなメインヒロイン!


 ……オマエがメインヒロン・主人公かよ!? 見た目だけで云えば、3人グループの中ではサードヒロイン・ポジションのルックスじゃねーのか!?(汗)


 いや、別にイイんですけれどもネ。実にフツーに実際の日常生活においては最も常識人でもあろうし、仮に会話を交わしたとしても、対話相手を安心させてくれるイイ娘だろうとは思います。


 往年の美少女アニメの金字塔『涼宮ハルヒの憂鬱』(06年)における文芸部の部室の窓際で文庫本を読んでいる銀縁メガネのサブヒロイン・長門有希(ながと・ゆき)をも想起させるビジュアルだと云ってあげてもイイかもしれない!? ……いや、神秘性とか吸い込まれてしまいそうな魅力には大幅に欠如しているけど(爆)。


 しかしまぁ、性格は少し弱気だし、健気でイヤミなところもないけれども、男に対しての媚び媚びとした女子力や「華」には実に乏しい。繰り返しになるけど、フツーの美少女アニメだったならば、よくて3番手か4番手のヒロインじゃネ? 的なルックスなのだ。
 作り手たちも確信犯なのであろう。彼女ら3人が作品内で結成する新人女性声優3人組の歌唱ユニットの中でも、このコはセンターを務めてすらいないし!(笑)


 セカンドヒロインことイチゴ姫の方も、自身で作りこんだ「キャラ設定」でのふるまいは、ヘタをするとアザトくてハナに付いてしまうところだ。だけど、イマ半でソレがキマりきっていなかったり、元ネタの一部にしたとおぼしき00年代の某女性アイドルとも同様に、ドーしても「設定」の徹底にはムリが生じて破綻・失敗しているところも含めて、それが「笑い」としても機能しているのだ。


 しかし、実はイチゴ姫はビンボーな身の上であり、狭くてボロいアパートで実に質素な暮らしをしている。パートのオバサンたちばかりの工場の製造ラインで健気にアルバイトもしている苦労人(汗)な描写も挿入されているあたりで、リア充(リアルで充実)なイケてる系の御仁たちが大キライな我々オタク的には、そのギャップが実にポイントが高くなるのだ(笑)。


 サードヒロインである現役中学生声優はイイ子ではあっても、オトナしめでキャラ薄である。だが、シリーズ後半では彼女に主役編を設けさせて、メタ的ながらもキャラ薄それ自体を自覚させて、幼少時から子役だったがために皮肉にもフツーの女子中学生の演じ方がわからなくなっているのだという「困惑」をさせることで、その人物像を逆説的に肉付けしていく。
 加えて、裕福とはいわずとも生活には特に困っていない実家住まいのフツーの身で、声優とは名ばかりのバイト三昧の前2者とは対比の妙も出せているのだ。


 コレで彼女が大金持ちであり巨大な洋館に住まっていて、公的な天下国家のことや他人へのいたわりなどには毛頭関心がなくって、ファッション&スイーツなだけの嗜好で、同性の女性たちとも差別化することで上位に立って男どもの注目を浴びたがってもいたり、イイ男にイロ目を使うなどの私的快楽だけがアイデンティティーとなっているビッチ娘であったならば、我々オタの敵として認定されるけど(笑)、実家は実に素朴な和菓子屋である。


 ドコかで既視感がただよう設定なのだ。そう、アイドルアニメ『ラブライブ!』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1)の元気系メインヒロインや、同じくアイドルアニメ『Wake Up,Girls!』(14年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1)のサブヒロインなどの実家も、ダサいとは云わないけどイケてる系とも云いがたい和菓子屋であったのだ。
 出自がリア充女性ご用達のファッション&洋風スイーツではないあたりで、この処置は元気なコミュニケーション強者でイケてる系キャラクターに行き過ぎかねないところを少々寸止め・中和してみせたり、作品のウラ側からも癒し系のキャラクター性を加味してもいるのだ。
 そう、性的弱者でもある我々オタク男子を安心させて、やさしくスポイル(笑)もしてくれる実に自堕落な、もとい高度なキャラクター設定でもあったのだ!?


 キャラクターデザインは、各話ごとの下請けアニメーターの技量が多少なりとも乏しかったとしても、それが露わに現われて過剰に見劣りすることもなさそうなシンプルな「描線」ともなっている。
 線が少なくても何気に高度なセンスを要するような「萌え曲線」「萌え描線」を最初から達成する気もないようなお手軽さだ(笑)――コレはコレで過剰に媚びずにサッパリとしていてイイけれど――。


 主題歌もメインキャラ3人の名前や性格&境遇設定を冒頭でベタでも歌詞化して「茨の道」だの「ドンと来い!」だの、後半で音階が転調してからはさらにイモっぽくなるB級・C級志向である!(笑)
 トドメには主演声優3人組のユニット名が「イヤホンズ」だと来たもんだ! 「ヘッドホンズ」とかではなく「イヤホンズ」! 耳穴に挿すイヤホンですよ! ナンというミミっちいユニット名。だけど、本作には実にふさわしく思えるのだ。
 「♪ アナタのお耳にプラグイン!」。まぁ、出オチ的なねらったネーミングであることもわかるけど(笑)。


 ……声優さんたちの苦労談というと、つい最近でも円盤売上も大ヒットを記録したアニメ業界モノの大人気深夜アニメにして大傑作『SHIROBAKO(シロバコ)』(14年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160103/p1)にて、メインキャラのひとりである声優志望の「しずか」こと「ズカちゃん」で散々っぱらに描いていたばかりじゃねーのか!? と多くのアニオタが想起したであろうとは思われる。
 で、本作のテロップのシリーズ構成(メインライター)担当者を見てみれば、コレまた『SHIROBAKO』と同じく大ベテランの横手美智子センセイ! ……オイオイ。
 コレは損なタイミングで放映されてしまって、近過去の大傑作と過剰に比較にサラされてしまうであろう不運な巡り合わせの作品になってしまったよなぁ……などと思いきや。


 あにはからんや、意外と面白い! ユルくてヌルい作品だけれども面白い! グイグイと引き込まれるということもないのだけれども、それでも視聴がサクサクと進む! 『SHIROBAKO』とチョットだけカブりつつも全然テイストのちがう作品に仕上がってもいる!


 『SHIROBAKO』ほどの密度感、胃がイタくなるような切迫感はまるでない。ないのだけど、『SHIROBAKO』もかなりキワどいところ、アンハッピーエンド・絶望一歩手前のイヤ~ンな感じを散々に経由してからのハッピーエンドのシークエンスの連発(笑)で成立している作品であったので、ヒトによっては重たすぎたであろうし、ヤリすぎといえばヤリすぎな作品ではあったのだ。
 漫画・アニメの本義が、娯楽・気休めであるならば、本作のユルい在り方・作り方もまたまちがっているとは思われない!


 どころか、本作の初出は深夜アニメ放映の4年も前となる2011年末の冬コミ同人誌(!)なのだそうである。そーなると、『SHIROBAKO』の方こそが実質的な後追いだったのではなかろうか!?


 『SHIROBAKO』においては、主人公女性キャラには仕事上にて多々見舞われる艱難辛苦(かんなんしんく)に対する不平不満を、極力そのクチビル上ではナマでは語らせなかった。
 その代わりに主人公が所有する可愛らしいヌイグルミ2体に、トロトロと甘ったるい幼児言葉の対話調にて不平不満を代弁させていた。コレにより、論理的には云っていることは同一であったとしても、感覚的にはしごくやわらかく感じられてきて、彼女の怒りとやや強気な性格から来るキツさなどは遠景へと退いていって、彼女の悲痛や心身の疲労に対する同情・感情移入の方が強まってもくるのだ。
 製作スタッフたちもバカではないのだから、作品の看板となる萌えキャラたちの性格が過度にキツめだとは受け取られないように、声援もしたくなるアイドル性は残したかたちでの「萌えキャラ」として踏みとどまれるように、主人公女子の描写をヌイグルミとも込みで、さりげに印象コントロールもしていたのだとも私見をするのだ。


 本作にもヌイグルミを使った同様のシチュエーションが存在している。これは原作マンガにもある設定なのであろうか? アニメ版のオリジナル設定なのであろうか? 企画や脚本執筆のタイミングでは、このヌイグルミを用いた自問自答的な会話劇で登場人物たちの心情を仮託させる手法は、『SHIROBAKO』と本作とでドッチが先だったのであろうか? 横手美智子センセイ、教えてください!(笑)


 「相対的にはユルい」と書いてきたものの、それはひょっとすると実は失礼な物云いなのやもしれない。本作の原作者でもあられる、個人的にはパワフルなボイスの持ち主といった印象がある中堅女性声優・浅野真澄(あさの・まさみ)センセイ的には、声優業界内部の悲喜劇をしごくマジメに訴えているつもりなのかもしれないからだ!?


 だが、別に声優さんであろうが役者さんであろうが音楽家であろうが、日常生活に恒常的に最低限は必要なカタギの「実業」ではなく、世の中全体にプチ・ブルジョワ的な余剰があってはじめて成立する水モノ・人気商売でもある「虚業」の世界が不安定な雇用状況にあることは、大方の人間であれば人生途上のドコかで見聞きしてきたことでもあり、そのイミでは想定内の内容だったともいえるのだ。


 とはいえ、だから陳腐(ちんぷ)な内容にとどまっていて作品としてもダメなのだ! ということでもない。そういった「虚業」の世界で夢を追ってしまわざるをえない人間たちの心情を、外側から見た客観的な「ドキュメンタリー」形式などではなく、登場人物たちの内面を想像&フィクションも込みにて「物語」というフォーマットを採ったかたちで提示することで、単なる「知識」「情報」にはとどまらない「感情移入」をさせること。
 それによって、多少の「血肉」も感じさせられる「疑似体験」にまで昇華させたり、逆に疑似体験にまでは至らなかったとしても、この世の中にはそういった世界もあることを周知させて、そんな彼女らに対して観客も少々の「共感」「同情」をさせてはくれる装置ともなりうることもまた事実なのであった。
 「ジャーナリズム」ならぬ「フィクション」の効用のひとつとはまさにソレなのであろう。



 ただし、作品外のことになるけど、本作の原作者にしてアラフォー中堅女性声優・浅野真澄の人格イメージと、本作のイヤホンズの面々の弱々しいイメージがまったく重ならない。……いや、重ならなくってホントによかったとも思うけど(笑)。


 だってホラ、筆者のようなロートルにとって、浅野真澄といったら、『三国志』の登場人物たちの名前(汗)でなぜか生まれついてしまった肉感的な爆乳女子高生たちが格闘バトルを繰り広げる、今だに新作が継続している『一騎当千』シリーズ(03年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040405/p1)の陽性ノーテンキなミニスカ女子高生主人公・孫策(そんさく)だったモノで。


 演技力や声量を要求されそうな、大向こうを敵にまわしてのキップのいい啖呵(たんか)も切れる堂々としたお芝居もコナせる彼女には、コッチが応援せずとも放っておいても踏んづけても踏んづけても、自力で世に出てきてしまいそうな実にタフでしぶとい生命力に満ちあふれた力強い自立した女性のイメージしかないのだ(笑)。


 今年2015年は女児向けアニメ『Go! プリンセスプリキュア』(15年)で、クールでお上品なお姉さまの生徒会長ことセカンドヒロイン・キュアマーメイドを演じている浅野だが、コチラもやはり実に頼りなさそうで可憐な一輪の野花のようなイヤホンズの3人のイメージとはまったく重ならない。
 あの浅野にイヤホンズの3人のような、か弱いド新人時代があっただなんて、筆者は毛頭信じない(オイ・笑)。


後日付記


 本作の終章では、ダンスでの「足の故障」といった『Wake Up,Girls!』終盤でも観たような展開ともなり、最終回は声優事務所・青二プロならぬ青空プロにおける若手声優に対する定期的な選抜にて事務所に残留ができるか否かが眼目となって、シビアな中での希望を謳う『SHIROBAKO』化したかたちで終了となった! といったところが筆者個人の印象である。
 いやまぁ、他の作品のタイトルを列挙して「似ている」などといった類いの文章で、その作品を語った気になってしまうのもドーかとは思うものの(汗)。もちろん、似ているからダメだというワケではなく、似ていても非なる展開ではあったワケである。


 ダンスでの足の故障に、『Wake Up,Girls!』をつい想起してしまうことも、筆者個人が腐っているからであって(汗)、冷静に考えてみればギョーカイ的には「あるある」ネタなのであろう。
 オッサンの繰り言で申し訳がないけど、70~80年代までのアイドルというものは、今思うと右手をマイクに左手でちょっとだけ手をヨコに伸ばしたり振ったりもしているだけの単なる「振り付け」であった。それに引き換え、90年代以降のアイドルは激しいキレッキレの「ダンス」を踊るかたちとなっていく。だから、今のアイドルの方が高度なテクニックを要求されて大変だろうとも思うのだ。


 本作のメインヒロインを演じている高橋李依(たかはし・りえ)の名前は本作のテロップで初めて認識したけど、2015年夏アニメでは『がっこうぐらし!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151006/p1)の追加メンバーのあの娘と、『乱歩奇譚 Game of Laplace(らんぽきたん ゲーム・オブ・ラプラス)』ではコバヤシくんと、主役級キャラのレギュラーを一挙に3本もゲットしている!
 エンディングのテロップを見なければ同一声優を演じているとは気付けないほどなので、つまりはキチンと演じ分けもできていることになるのだ。本作中でもメインヒロインが少年の声をマネてみせるシーンなどは、素人クサいボキャ貧の賛美で恐縮だけれど、実に達者だよなぁ~と感心しきりである。


さらなる後日付記:


 高橋李依は、翌年2016年には『魔法つかいプリキュア!』主演(!)や、『Re:ゼロから始める異世界生活』と『この素晴らしい世界に祝福を!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210912/p1)といった2大人気深夜アニメのヒロインやサブヒロイン役でさらなるブレイク! その後も途切れなく活躍をつづける実力派声優となった。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.72(15年10月4日発行))


『ガーリッシュ ナンバー』

(2016年秋アニメ)
(木曜26時28分 TBSテレビほか)
(2016年12月25日脱稿)


 個人的には2016年の秋アニメの中では2番目に面白い!


 やっぱり美少女アニメは美麗でかわいい絵が命! とまでは云わないものの、最先端の絵柄自体もココまで多様化・細分化が進んでしまうと、筆者個人が気に入っている絵柄自体が若い衆のうちでも多数派なのか少数派なのかもわからなくなって久しい――いやまぁ、少数派だったからといって、手のひらを返して「長いモノには巻かれろ」とばかりに見捨てたりもしないけど――。


 本作はアニメ業界モノの深夜アニメ『SHIROBAKO』(14年)PART3にして、『それが声優!』(15年)PART2! ……なぞといった表層的・外形的な類似によるカテゴライズをしただけでは、その作品の内実・本質・深層をとらえたことにもならないであろう。


 先の2作品とも異なり、本作ではこの「夢の業界」でも大変なことが色々とあって健気に主要人物の苦労人たちががんばっています! といったノリにはストレートにはなっていかない。


 やはり先行作との差別化もあってか、本作ではメインヒロイン自体が多少なりともルックスには恵まれていて小器用さもあったからか、ナンとなく芸能事務所に所属してナンとはなしに声優業界の片隅に来てしまったぁ! といった程度の意識で、テキトーでチャランポランで図太くて自分に対して思いっきり甘くて、他人や仕事に対してもドコとなくナメ腐ってもいるかのような態度が描かれている(汗)。
――もちろん、ソレを「過剰」な域には達せさせないことで「萌えキャラ」としての節度は絶妙に保たれて、笑えるモノにもなっている……とは思われる。多分。……いや、少々苦しいかも?(笑)――


 そんな意識低い系の彼女がキビしい現実に遭遇することで、次第にプロの声優として目覚めていくといったストーリー展開なのかと思いきや……。


 終盤だけに限定すれば、たしかに一応はそうだともいえるかもしれない。しかし、物語はそんなベタな「王道」を歩んではいかないのだ。


 ムダに天然で度胸だけはあって、物怖じもせずに本番には強いがために、端役にすぎなかったのにタマタマ出演できたアニメイベントではブリッ子しつつも、見事なアドリブ力で観客席の笑いを取れてしまったりもするのだ!
――我々オタク系のアマチュア同人ライターのようにガチンコ対面の素の人格力・人間力には自信がナイからこそ、文章や絵などの二次表現でアイデンティティーを満たそうとしている人種とは真逆の性格類型でもある(汗)――


 そんなところが制作プロデューサーや声優事務所社長には見込まれたことで推薦を勝ち取って、本作のシリーズ序盤においては早くもライトノベル原作の深夜アニメの主役もゲットができてしまうのであった!(爆)


 ……たしかに現実の世の中はそんなモノなのかもしれない。つまり、ルックス・度胸・生まれつきの声質などの要素がモノを云って、たとえマジメに努力をしていたとしても、それらには恵まれていない連中たちがバカを見るという展開などは存分にあることなのであろう(汗)。


 原案&メインライターは、(ひとり)ボッチものやラブコメものをウラからエグり直したかのような深夜アニメの大傑作『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)のラノベ原作者・渡航(わたり・わたる)センセイ。
 昨今流行りのラノベ作家やゲーム作家を深夜アニメの脚本家として投入するパターンでもある。まさにそーいったウラ事情も知っている作家センセイが投入されたことによって発動される、新人アイドル声優たちにとどまらないウラ方のアニメ業界人たちのブッチャケた人物描写の面でも、まさに『裏・SHIROBAKO』や『真・それが声優!』といった感もあるのだ。


 もちろんアニメ声優のイヤなイヤなイヤなところだけを露悪的に描こうとしたならば、イヤなものやキタナいものは観たくはないらしい、繊細ナイーブな今時のアニメファンからは途端にそっぽを向かれてしまう。
 よって、見た眼はかわいいメインヒロインの性格がいかに実際には悪かろうとも(爆)、彼女がイバりちらしたり後輩の新人声優をイジメはじめたり……などといった域には達することはない(笑)。
 そのへんは絶妙なサジ加減で、かわいさを逸脱しないように印象がコントロールされてもおり、そのことは本作を未見の読者のためにもくれぐれも強調しておこう。


 当たり前だけど、メインヒロインの彼女ひとりだけでは、本作は華やかさ&姦(かしま)しさには欠けてしまう。それで、本作でも複数名の美少女ヒロインを投入して、ほぼ同期(?)の新人声優としては年増の姉御とチビチビ天然新人を、加えて中堅人気声優の長身黒髪ロングと小柄金髪ツインテール娘を取りそろえた5人体制とすることで、一応のキャッキャウフフ感をも確保する。


 この4番手・5番手の黒髪ロングと金髪ツインテがまた、筆者にはどう見ても別作家によるラノベ原作の深夜アニメのヒット作『冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191122/p1)の黒髪ロングと金髪ツインテの両者の関係性からのインスパイアーにも見えてしまうのだけれども……。絶対にねらっているだろう!?
 特に前者はルックス・口調・声質もクリソツ。テロップを見てみると、その『冴えカノ』のメインキャストも登板しているのだ!
 同作では金髪ツインテ役でキンキン声を出していた大西沙織が、本作では黒髪ロングのクールボイスを器用に出している。絶対に同作の黒髪ロングの演技プランをトレースしているよネ?(爆) いや、上手かったので満足しているけど――ちなみに、『冴えカノ』で黒髪ロングの方のクールボイスを披露していたのは、コレまた芸達者な七色ボイスの茅野愛衣(かやの・あい)であった――



 もちろん、新人女性声優だけではなく、アニメ業界における諸々の職種の人間たちも描写されている。


 概して社長やプロデューサー職の連中はコミュ力が高いお調子もので、「勝ったナ、ガーハッハッハッハッハッ。ブイ!(Vサイン)」をキメ台詞として記号的・漫画的・様式美的にも描かれてオブラートには包まれることで、我々のようにコミュ力がないために地道に生きていくしか選択肢がアリエないオタク視聴者の反発を避けてもいるのだ(笑)。


 対するにラノベ原作者の青年クンたちは病的に痩せていたり太っていたりして、小声で滑舌も悪くてコミュ力が極端に低い人種として描かれてもいた(汗)。


 金髪ツインテの声優嬢いわく、


ラノベ作家って……。あのヒトたち、絵も描けない、曲も作れない、演技だってできない、それでもこの業界にしがみつきたいだけのヒトなんだから……」


 ……とのことだそうだ(爆)。


 ヒエエエェェェ~~~~。


 彼女の言い分が100パー(セント)正しいとも云わないけれども、半分もとい半分以上は正しいかもですネ。


 我々アマチュア評論同人ライターたちもまたまったく同じであって、プロの作り手にはなれなかった恒星に対する惑星か衛星、いやそれ以下の存在である人工衛星のような二流・三流の存在であるダメ人間たちの集まりなのだ(汗)。


 だから、作り手たちよりも我々評論オタクたちの方がはるかに「上」なのだと思い上がったり、評論オタクの世界の中でもそこに一種のカーストを作りたがったり、批判の舌鋒に節度・礼節がなくなって、その論法自体が市民運動・社会運動・消費者運動チックに無礼・失礼・政策論ヌキでの念仏スローガン・罵詈雑言の域に達してしまったならば、人間としてはオシマイなのである(汗)。



 オズオズとメアド交換だかLINE(ライン)交換だかを申し出るラノベ作家を、


「ワタシ、LINEやってませんのでェ~」


などとニコニコ笑顔で平気でウソをつけてしまう金髪ツインテ声優嬢の如才のなさにも爆笑!


 まぁ要は、最低限のルックスなり、一方的な知識自慢などではなくたとえムダ話でも会話のキャッチボールもできる人格的な魅力、対外交渉スキル的な頼り甲斐、異性を楽しませることができる話術などがある男性としか、恋人以前の友人関係としての交際対象にもなりえません! ってことですネ(爆)。


 しかし筆者は、こーいう我々オタク自身をも批判的に相対化して自虐的な笑いを取りに走る「メタ芸風」などは大スキなのだけど、今時のナイーブな若いオタク男子的にはドーなのであろうか? ウケるどころか、自身のことを全否定されてしまった! などとムダに反発を覚えさせてしまうのではなかろうか?(汗)



 本作では、主人公女子がその主役をゲットできたせっかくの深夜アニメが、放映前に原作とアニメとでの内容乖離が問題となったことから来るイザコザ・作り直しによってスケジュールも逼迫したことで、#1からし作画崩壊したアニメとなってしまう!
 そして、新人声優たちや原作者たるラノベ作家センセイの激しい落胆もが描かれているのだ――痩身メガネの原作者センセイは深夜に自室で泣き崩れてもいた(爆)――。


●下宿には演劇理論のブ厚い書籍を置いており、ホントは美少女アニメ的なテンプレ記号演技なぞはヤリたくはなかったという黒髪ロング女子
●演劇一家に生まれて自由にヤラせてもらっているのに、あまりに干渉してこないが故にこそ両親に対して鬱屈をいだいてしまってもいる金髪ツインテ
●ここで芽が出なければ、そろそろ引退を考えていたという姉御女子
●小心者で本番アフレコには弱いものの、良く云えば女子力が高くて、悪く云えば天然で無自覚に男たちにアザトく媚びてしまえる小柄なサブヒロン


 そこに新たに登場してきた、才能&ヤル気もあって、しかして心底から邪心もナイらしき新人女子高生声優!


 そんな彼女たちの友情や交流の進展。


 それらを一巡した末に、主役女子が所属する声優事務所がその新人女子高生声優にチカラを入れはじめて、メインヒロインがさすがに焦りを感じる日もやってくる!


 そして、ドロップアウトしそうになってしまった彼女を最終的に支えたモノとは……。


 他人やスタッフへのいたわり・感謝の気持ち・博愛精神などではさらさらない!(汗)
 一発屋では終わりたくない! 忘れ去られたくない! 負けたくない! 一番になりたい! 注目されたい! 周囲からチヤホヤされたい! というミーイズム・エゴイズム的な自己愛感情なのであった!(笑)


 ……このオチも万全なものだとは思われないし、100パーの肯定もできないであろう。


 しかし、究極的・根源的には我々アマチュア同人ライターのみならず、人間一般が持っている人間社会の中における表現欲求・承認欲求といったモノもコレそのモノだとまでは云わないけれども、そーいう虚栄心・見苦しい心情が微量になのだか膨大なのだかは意見がわかれるとしても、それ相応には存在していることについては認めざるをえないのだ。文章なんぞを世間に発表してしまうという行為もまた、そーいうことなのであった……。


 そう、人間とは実に見苦しい生きものなのである。あるいは、アマチュア同人ライターなぞという存在は実に見苦しい存在なのだ(汗)。そしてもちろん、そーいう心情をゼロにできるというのもまた、偽善であり欺瞞であり不可能でもあるのだ。


 よって、世の権力者なぞではなく、庶民である自身にもまた見苦しき虚栄心などがあることを重々自覚して、それをセーブする。もしくは、ゼロにはできないまでも減らそうとは努力する。あるいは、ベタには表出などせず、オブラートに包んだり、スマートに整形することによって、せめてリビドー(衝動・欲望)なり自意識丸出しスッポンポンといったところをキレイに制御して、よりマシで建設的な方向へと推敲・善導することで、少しでもの人格陶冶的な方向へと持っていくことも必要ではあるのだ。
Girlish Number Blu-Ray(ガーリッシュ ナンバー 全12話)

ガーリッシュ ナンバー:烏丸千歳(cv.千本木彩花)、久我山八重(cv.本渡 楓)、片倉 京(cv.石川由依)、苑生百花(cv.鈴木絵理)、柴崎万葉(cv.大西沙織)/今は短し夢見よ乙女
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.76(16年12月29日発行))


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