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ウルトラマンオメガ1~14話評 ~オーソドックスな作り。良作なのだが、いささか地味で堅実に過ぎるか!?

『ウルトラマンオメガ』(25年)序盤総括 ~宇宙人の超人・正義の味方の怪獣たち・変身アイテム・先輩ウルトラ戦士の図像のコレクションアイテムらを活かすためには!?
『ウルトラマンアーク』(24年)前半総括 ~鎧・アイテム・内宇宙・倒置法の作劇・昭和怪獣・タテ糸! 今後の「ウルトラ」はどうあるべきなのか!?
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[ウルトラ] ~全記事見出し一覧


『ウルトラマンオメガ』1話~14話評 ~オーソドックスな作り! 良作なのだが、いささか地味で堅実に過ぎるか!?

(文・中村達彦)

『ウルトラマンオメガ』1話~4話評

今年2025年も新たなウルトラマンストーリーがやってきた!

(2025年8月15日・脱稿)

第1話「宇宙人がやってきた」


 崩壊した惑星内で、怪獣群と戦う真紅の戦士。鋭利な手足の攻撃に晒されるも、高速でかいくぐり、頭部のブーメランを振るい、光線技を浴びせ、怪獣群をせん滅する。だが突如放たれた攻撃が直撃した。直後の地球では、青年ホシミ・コウセイが倉庫管理人の住み込みアルバイトに従事していた。彼は早朝、空から光に包まれて落ちて来る人の姿を目撃する。その後、地面では大きな揺れが続き、工事中のビルが倒壊する。コウセイは、作った焼きそばを食べようとしたが、いつの間にか倉庫に謎の青年がおり、焼きそばを食べられてしまう。謎の青年は、自分のことを何も知らず、コウセイにトンチンカンな対応をするばかり。そこへ地鳴りが、外へ出た謎の青年、追うコウセイ。ビルが陥没し、巨大生物が姿を現す。コウセイが踏みつけられる瞬間、間一髪、彼の身体は空を飛んでいた。


 巨大生物はいったん姿を消し、その後、母親とはぐれた女の子を助ける。急なことに狼狽する大人たちを一喝、女の子に懸命になるコウセイの姿は、謎の青年に優しいと映る。直後、巨大生物がビルを破壊して再び姿を現す。その熱線怪獣グライムに驚く人々、この世界にこれまで怪獣は現れていなかった。グライムの角から発射される光線から守るため、謎の青年はコウセイを空高く放り投げる。先にもそうして助けられたと気付くコウセイ。先程助けた母子にグライムが迫る。「俺が助ける」。謎の青年は、ブーメラン型のアイテムとペンダント型のユニットを出現させ、眩しい光の中、コウセイの眼前で赤い超人に変身した。初めはグライムの猛攻に苦戦するも、空を飛んで凄まじいキックを浴びせ、頭部のブーメランで角を切断、続いて斬りつけて倒す。超人は謎の青年に戻り、コウセイにオメガと名乗った。



 脚本は根元歳三。監督は武居正能。長くウルトラシリーズに関わり、『ウルトラマンアーク』(2024)では第5話、第18話を共にあたった。『ウルトラマンブレーザー』(2023)第20話と第21話も手がけている。
 冒頭、宇宙空間で怪獣群との戦闘(このフル3DCGを担当したのは、かのVFX製作会社・白組!)、怪獣は小型で群れている。『ウルトラマンブレーザー』(2023)第20話・第25話に登場したズグガンを彷彿させる。
 記憶を失ったウルトラマンが登場。今までに怪獣が現れたことがなく、防衛チームが存在しない地球で物語が始まる(ウルトラマンレグロスとウルトラセブンXも記憶を失っていたが)。これまでのウルトラマンストーリー否、円谷ヒーローより踏み出している。新しいウルトラマンのデザインは紅色が強調され、ウルトラマンゼアスに似ている。さらにウルトラセブンの必殺技アイスラッガーのようなブーメランを使う(アイスラッガーと同じ効果音で)。
 ウルトラマンが地球人の青年に憑依するパターンが多かったが、今回はウルトラセブン・ウルトラマンレオ・ウルトラマンメビウス・ウルトラマンオーブと同じウルトラマンが青年になるタイプである(ウルトラマンゼアスもそうであった)。
 新しいウルトラマンとバディを組むコウセイ青年。『ウルトラマンアーク』のユウマとシュウに重なる。コウセイはふつうの青年だが、他人の窮地を放っておけず、身体が動いてしまう姿は好感が持てる。オメガとはどんなドラマが生まれるか。
 地球に落ちてきた直後、オメガの青年は全裸であったが、倉庫に現れた時、服を着ていた。ウルトラマンから変身を解除した時は服を着ていたが……。
 それと焼きそばを食べている時、宇宙人で記憶を失っているのに、割りばしの使い方がわかるのか?
 巨大な角を持ち、全身に大小の棘を多数備えた怪獣グライムは、『オメガ』第1話の敵として申し分ない。


第2話「俺と宇宙人と学者さん」


 グライムの死骸を調査する若い女性がいた。コウセイは、オメガと倉庫で、いっしょに暮らすことに。1週間が経過したが、オメガは居そうろうになり馴染んでいたが、記憶を失ったままであった。そこへ群馬県の伊林市山中で新たな巨大生物が発見されたとの報が。オメガはこいつのところへ行きたいと言い出す。現場の近くに来たオメガとコウセイ。警察が道を塞いでいたが、オメガは人並外れた跳躍力で、コウセイと山中へ入る。そこで地中から現れた怪獣を見る。必死に逃げ出したあと、調査をしていた女性イチドウアユムと出会う。コウセイは、オメガをオオキドソラトと咄嗟の名前を出して、アユムに紹介する。また独自で怪獣の研究を続けていると偽った。怪獣捜索に赴く3人。


 伊林川河原に辿り着いたあと、怪獣は隠れやすい大量の水のある場所を求めていると分析。近くのダムへ行き、怪獣の脅威を訴えるアユム。ソラトとコウセイも同行する。しかし訴えは、ダムの職員には相手にされない。そこへ地面を破って水棲毒獣ドクリドが出現する。ダムへ体当たりを。その時、隠れてソラトは変身した。眩しい光と共に出現したオメガは、ドクリドをダムから引き離す。職員の避難に尽くすアユムとコウセイ。オメガは、巨体を押しつけるドクリドに苦戦するも、「怪獣を水から引き離して!」とアユムガ叫び、毒液を撒き散らすドクリドにオメガから必殺の光線が放たれた。大爆発、ドクリドを倒したオメガは飛び去った。戻って来たソラトとコウセイは、アユムをアユ姉と呼ぶ。必死でソラトがオメガと隠すコウセイ、腹が減ったソラトを抱えて家路につく姿をアユムは笑って見送った。



 第1話に引き続き、脚本は根元歳三。監督は武居正能。
 記憶を失ったソラト(オメガ)はお茶目というか、抜けている部分があった。ソラト役近藤頌利は何もできないこと、何も知らないことを意識して演じていると。会話のテンポが変だったり、どこを見て話しているのかや、のろりのろり考えながらしゃべったり工夫していると。ソラトといっしょに暮らすコウセイは、ソラトより歳下だが、彼の保護者(笑)。かつ何事にも一生懸命で。ソラト自身は普通に見えるが、彼がオメガであることを必死で隠す。「変身しているのがバレたら飯作ってやらねえからな」と言うのは、そういうのもあったかと。
 ヒロインで『ウルトラマンアーク』(2024)のリンと重なるアユム。OPの映像通りソラト、コウセイと3人で、怪獣事件にこれから取り組んでいくことがわかる。『ウルトラマンデッカー』(2022)のカナタ、イチカ、リュウモンの3人とも比べてしまう。
 ほとんど装備もなく、組織にも属していないから「大丈夫か?」と思うが『ウルトラマンギンガ』(2013)以来、防衛チームの存在しないレギュラー陣は度々いたからだ。
 アユムが怪獣の脅威を訴えても、向き合わないダムの職員。今回の世界は、これまで怪獣が出たことのない、怪獣の概念すらないから、無理もないだろう。ドグリドの名前を知っていたソラト、初めて地球に来たはずなのに……。
 ドグリドはサンショウウオとカエルを足して2で割って、両生類そのもののデザイン。


 今回のダムは『ウルトラマンメビウス』(2006)第46話と同じロケ地だそうだ。オメガのスーツクターは、今回も20年以上ウルトラマンを演じている岩田栄慶。東映特撮の高岩成二と双璧。EDを歌うのは、『ウルトラマンブレーザー』(2023)の前後期のEDも担当したMindaRyn。


 ソラトはオカルト雑誌を読んでいたが、元ネタは月刊『ムー』。同じネタは近年のアニメで『ダンダダン』『アポカリプスホテル』『GAMERA -Rebirth-』でもある。


第3話「急な寒波に御用心」


 一宿一飯の恩義とコウセイの手伝いに精を出すソラト。そこへ訪ねて来るアユム。怪獣について意見を求められ、自分がオメガと明かしそうになるソラト、また必死で隠すコウセイ。情報を求めるアユムに、ソラトは怪獣の出現が目覚めの時で、この先も続くと言った。その直後、ソラトは何かの気配に急に飛び出す。追うコウセイとアユム。電車で2時間、向かった先は山中の神社。ソラトが宇宙から落ちて倒れていた場所であった。同時に神社上空に迫る黒雲があった。山中を捜していて、あちこち掘るコウセイ。過去の陸上競技に熱中していた高校時代を語る。やり切って、今次にやりたいことを捜しているとアユムに言う。それを聞いて、やるべきことがあったようなと思うソラト。


 やがて渦巻き状の石塊を見つける。その時、上空の黒雲から冷気と共に、鳥型の怪獣が降りてきた。無重力怪獣ペグノス。強力な風を吹きかけ、アユムとコウセイは飛ばされる。ソラトはアユムを助け、石塊を掴んだままのコウセイの前に立ち、変身した。オメガとペグノスは殴り合うが、ペグノスの冷気ガスで、オメガは空中に逆さづりにされ、不利になる。続いてペグノスはコウセイに向く、その時、石塊が突如、怪獣の姿になり、意識がコウセイとリンクした。ペグノスがその怪獣に気を取られている間に、オメガは態勢を立て直す。冷気ガスを利用した攻撃で苦戦するも、怪獣は超能力で援護、オメガは光線でペグノスを撃破する。戦いが終わったあと、ソラトは怪獣と向き合い続けばやりたいこと、やるべきことを思い出すと。また助けてくれた礼を言うアユムに俺たちは仲間だと言ってみせた。



 脚本は足木淳一郎。監督は武居正能。足木も根元同様、ウルトラシリーズの脚本を長く勤め、本作で根元とシリーズ構成を担当した。毎年、新しいウルトラマンストーリーを作り出すスタッフの営為工夫には経緯を払う。もっとも『ウルトラマンブレーザー』(2023)、『ウルトラマンアーク』(2024)、そして『ウルトラマンオメガ』と次第に人間の防衛組織はスケールダウンを重ね、なくなってしまった。
 野菜ケーキを持って、コウセイとソラトを訪れたアユム。いろいろおかしいソラトによく付き合ってくれるなあ。必死でソラトの正体を隠すコウセイ。ソラトより歳下だが、保護者みたいで。
 ソラト、コウセイ、アユムのチーム構成が明確に。やりたいことを捜す、今やれることをやる。コウセイやアユムの気持ちが語られた。彼らは防衛チームに属していない、無名の若者だが、どういう風に活躍していくのか?
 そのコウセイが高校時代に陸上競技で挫折したことが明かされた。またアユムが助けてくれた礼をソラトに言うと、ソラトは仲間だからと当然のことのように言ってみせる。そういうシーンがあり、キャラクターの肉付けがされていく。コウセイは次話でも心情が描かれる。


 今回現れた怪獣、コウセイに操られオメガを助ける。令和のミクラスか? 装飾が細かく、沖縄のシーサーみたい。念力を使って、多くの岩を浮遊させてペグノスの冷気を抑えると、活躍は申し分ない。
 一方、ペグノスは冷気ガスでオメガを逆さづりにする(特撮シーンも今までにないカットで注目)が、外見は巨大な鳥で、インパクトは今イチ。前回のドグリドも、巨大な両生類そのもの、どちらも引き立て役とはいえ、デザインや能力は今までのウルトラ怪獣に比べ弱い感がする。NHK『ダーウインが来た!』を観ていたら、ウルトラ怪獣のアイデアになりそうな実在の動植物にも、まだまだいると。


 山中の神社に落ちたと語るソラト。倉庫まで電車で2時間かかると言うが、どうして#1で神社から倉庫まで歩いて来たんだろう? その時もずっと裸だったのか? アユムはその時のことを聞いたが、不思議に思っただろう。


第4話「爪痕の謎を追え」


 コウセイは、レキネスと名付けた怪獣を調べるが、コウセイも体力を消耗し、活動は10分程度、ソラトには反応せず、コウセイにしか使えないことが明らかになる。そこへ倉庫のオーナーオオヤサブロウが現れ、初対面のソラトは挨拶する。政府は、巨大生物を怪獣と呼称、ソラトを怪獣研究者だとオオヤは興味を持つ。かつてコウセイはオオヤの元でバイトに従事していたが、やりたいことを捜すコウセイに、住み込みの管理人で倉庫に住むように言われたのだ。釣りに行こうと誘われるソラトとコウセイ。そこへアユムから電話が。怪獣らしい現象が、調査でソラトに来てもらいたいと。ソラトは応じ行くことに、だがコウセイには釣りに行くように言う。仲間外れにされたようでふて腐る。


 オオヤは釣りを中止して、コウセイを将棋に誘う。一方、ソラトは、アユムの案内で、ビルに大きな爪痕が刻まれているのを見る。続いて巨大な羽根が落ちているのを見る。やがて屋上に姿を見せる刀爪怪獣デリシラス。爪痕は自分の縄張りを示すマーキングであった。オオヤは、将棋を指しながら、コウセイに、将棋もサポートする弱い駒が必要なのだと言う。ラジオで、怪獣が現れたとの報が流れ、コウセイは駆け出す。ソラトは変身して立ち向かう。鋭いくちばしや爪で責め立てるデリシラス。到着したコウセイは、レキネスで援護する。デリシラスは透明になり、背後から襲いかかるが、レキネスの念動力で車が浮遊させ、位置を掴む。さらにレキネスは剣と化し、オメガスラッガーと一体化する。剣劇でデリシラスを倒す。戦いが終ってからソラトに詫びるコウセイ。仲直りした2人は。オオヤと笑いあった。



 脚本は足木淳一郎。監督は越知靖。越知も『ウルトラマンマックス』(2005)からウルトラシリーズに参加し、『ウルトラマンタイガ』(2019)で監督デビュー、『ウルトラマンアーク』(2024)は6本監督した。
 サポート怪獣レキネスを得たコウセイが、ソラト(オメガ)との関係や、自分のポジションと改めて向き合う。アユムがソラトを呼び出し、コウセイなしで、ソラトは1人で行くと言う。一見、ソラトはぶっきらぼうな態度で、コウセイは仲間外れにされたと怒るが。ソラトは、釣りに行くのを楽しみにしているコウセイを知っており、自分がコウセイに頼らなくても電車で行けることも併せ、ソラトなりに気を遣っているのだ。
 将棋を通して優しくコウセイを諭すオオヤや、調査中に話を聞いてコウセイの気持ちもわかると言うアユム。周りの人々も良い。『帰ってきたウルトラマン』(1971)初期に通じている。
 レキネスは剣に変化し、オメガの武器になるが、バンダイぽい玩具の演出で、『ウルトラセブン』(1967)他のカプセル怪獣、『ウルトラマンZ』(2020)の特空機、『ウルトラマンブレーザー』(2023)のアースガロンに比べれば、ちょっと……。デリシラスは、透明になるが、爪やくちばしで攻撃する以外、特異な能力がない、第2話から怪獣は今1地味な感がある。レキネスの剣でめった斬りにされ爆発したが、昭和のウルトラならもっと残酷に撮られるだろう。
 オオヤの役は、『ウルトラマンダイナ』(1997)のヒビキ・ゴウスケ隊長を演じた木之元亮。『ウルトラマンオーブ』(2016)にもゲスト出演している。若者の気持ちを察する良い人で、#4のあとにも出てもらいたい。なお、『ウルトラマンダイナ』でゴンドウ参謀を演じた亀山忍さんがこの8月5日に逝去。合掌。


 コウセイとソラトがよく聞くラジオ番組の声で、本編予告も担当しているのは丹下マサルと佐那河内レミ、演じるはウルトラシリーズでレギュラー宇宙人を演じた真木駿一と潘めぐみ。あと携帯の呼び出し音は主題歌のBGMで。


(了)
(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2025年8月号』(25年8月16日発行)所収『ウルトラマンオメガ』序盤合評2より抜粋)


『ウルトラマンオメガ』5話~7話評

いささか地味か堅実か?

(2025年9月13日・脱稿)

第5話「ミコとミコト」


 ソラトは、コウセイがオオヤから送ってくれと頼まれ忘れていた荷物を代わりに届ける。相手は、山中に暮らす家の老婦人ササコ。駅からも車で3時間はかかる田舎。
 荷物は、つい最近、母を亡くし、いっしょに暮らし始めた姪の少女ニシキミコへの長靴であった。無気力なミコ。長靴を届けたあと、ソラトは山中へ向かうミコを見かける。
 あとを付けると、白い大蛇と戯れていた。快活に笑い、大蛇をミコトと言うミコ。山にはむかし人間と恋に落ちた大蛇の伝説があり、ミコはここに来てからすぐ仲良くなったとのこと。最初は手の平くらいだったが、鉄を食べ、どんどん大きくなった。廃鉄を持って来たソラトとも仲良くなるミコトだが、ミコ身体の鉄分もミコトに吸われ、倒れてしまう。ミコを案じるササコ。


 翌日、ミコトを訪ねるミコ。ソラトは同行する。一晩のうちにミコトは巨大化し、伝説蛇獣オオヘビヌシノミコトとなっていた。近寄るミコは、再び体の鉄分を吸われてしまう。駆けつけたササコも鉄分を吸われる。ミコトと山の奥へ行くミコ。追うソラトとササコ。オオヘビヌシノミコトはこれ以上いるとミコを死なせると察し、離れることで、近くの村へ襲いかかる。
 ソラトはウルトラマンオメガに変身して立ちはだかる。オオヘビヌシノミコトは尻尾で攻撃する。肩に噛みつかれるが、そこへソラトを迎えに来たコウセイのメテオ怪獣・レキネスが援護。オメガスラッガーがオオヘビヌシノミコトを倒す。もしかするとミコを守るため、自ら討たれたのかと思うソラト。後日、田んぼで作業に興じるミコとササコの姿があった。



 脚本は本田雅也。『ウルトラマンアーク』(2024)第11~12、第22話も担当した。監督は今回も越知靖。
 舞台は#3に続いて都会から遠く離れた山中。ソラトがコウセイやアユムと離れ、孤独な娘や怪獣と交わる話。孤独な娘や怪獣は、昭和の『ウルトラQ』(1966)をはじめ、『ウルトラマン』(1966)第30話、『帰ってきたウルトラマン』(1971)第13話とも重なる。ソラトにぶっきらぼうに接しながら、オオヘビヌシノミコト(なんて名前なのだ)に驚かず、親しく接するソラトに、「変わっている」と笑顔を向けるミコ、演じた土屋希乃は上手い。『ウルトラセブン』(1967)第31話の松坂慶子のようになるかも。
 オオヘビヌシノミコトはCGだろうが、昭和の特撮なら操演のピアノ線が注意すればあちこち見えただろうが、本作ではない。ソラトやミコとの絡みでは、合成技術を使っているのだろうが、こちらも作りものと感じない。『ウルトラマンブレーザー』(2023)第20話のズグガンと比べてしまう。


 廃金属を食べるくらいなら可愛いが、自然に人間の金属成分も吸ってしまい、共存不可能であった。自ら危険な存在と解し、自分からオメガに討たれた。悲しい。しかし荷車いっぱいの金属を食べ、一昼夜で巨大化してしまうとは。
 噛みついたり、締め上げたりするも、オメガスラッガーで粉みじんにあっけない。いささか地味で、ウルトラマン抜きの、オリジナル怪獣ものとして成立。1時間くらいの自主映画の題材で適していると。
 叔母のササコ、オオヘビヌシノミコトの姿に狼狽するも、姪のミコを本当に案じているのがわかる。長靴を届けてくれたソラトに、お土産で野菜を持たせてくれた。その野菜は、本話ラスト近く、コウセイが喜んで見ているのが。
 そして、ササコとミコが笑顔で田んぼに従事しているところで締めくくられる。ミコは、オオヘビヌシノミコトが倒され、悲しみに沈んでいるはずだが……。『ウルトラマン』第30話、『帰ってきたウルトラマン』第13話ともに、怪獣と知り合ったゲストの少女が悲しい死を遂げていることを考えると、いささか強引とはいえ、良い結末。


 山中の遠方まで電車に乗って届けものをしたり、夜、コウセイへ電話で話をしたり(コウセイから電話をしたのか? よく電話番号わかったな)、何だかんだで、地球人の生活に馴染んでいるソラト。


第6話「怪獣の探しもの」


 山奥、八が岳の工事現場に怪獣が現われたが、突然絶命してしまった。アユムは後輩のカミヤと怪獣の分析をする。1キロほど離れた山に現れた穴があると。染色細胞の研究をしていたカミヤは、不満と吐露する。そこへ穴から2匹目の怪獣が出現。2人を追う。その頃、倉庫にいたソラトとコウセイは、ラジオで怪獣出現の報を聞き、八が岳へ駆けつける。山中で怪獣に追われ道に迷ったアユムとカミヤ。野宿を覚悟するが、ソラトとコウセイにめぐり会う。ソラトは怪獣がゲドラゴ、ふだんは地下深くに住む大人しい怪獣と言ってのける。アユムたちを追って来たのは、死亡した怪獣から採取した唾液が原因と推測した。夜半野宿する4人。
 翌日、瀕死の亀を救ったことで絶滅危惧種を救う研究に入ったと語るアユム。誰もやったことのないことに挑戦する彼女をカッコ良いと言うソラト。
 その時、猛突怪獣ゲドラゴが再び出現。光を遮る保護板を持つオスだとソラトは言う。最初に死んだ怪獣はメスで。オスのゲドラゴは町へ向かう様子。
 ソラトはアユムたちから離れ、オメガに変身した。ゲドラゴが掘った穴にはまって苦戦するオメガ。ユーモラスな戦いが続く。コウセイのレキネスが加勢する。2対1で羽交い絞めにするが、電流攻撃を受ける。レキネスは変形、剣と化す。地面を掘って逃げるゲドラゴへ、剣からの強力な電撃がつんざき、飛び出したゲドラゴの保護板を斬り落とす。その時、絶滅危惧種のツチナガダンスモグラの動きとゲドラゴの動きがそっくりと気づいたアユムは、ゲドラゴが求愛行動をしていると説明。それを聞いたオメガは、レキネスと力を合わせ、メスの死骸もろともゲドラゴを元の穴へ返す。アユムは今回のことで、怪獣にも弱い部分があり、もっと研究したいと述べるのであった。


 脚本は俳優でもあり、『ウルトラマンギンガS』第3話で脚本デビューした三好昭央。監督は今回も越知靖。
 『ウルトラマンタロウ』(1973)、『ウルトラマンコスモス』(2001)的なエピソードである。怪獣の生態がメインで、ツチナガダンスモグラという動物がいて、一年に一度の繁殖の時期にだけ地上に現れ、互いに手足をバタつかせ音を鳴らし求愛ダンスをすると。だが、実はそんな動物は存在しない。フィクションである。『オメガ』の世界にだけいる動物なのだ。しかし、NHKの動物番組『ダーウインが来た!』などを連想させる。
 生態から怪獣のことを解し解決に持っていく話は、『ウルトラマンブレーザー』(2023)や『ウルトラマンアーク』にもあった。怪獣分析を行うアユムの活躍が、死んだメスから唾液を採取するところから最後まで、途中ではむかし亀を助けて絶滅危惧種生物の研究に入るきっかけになったことも語られ、重みを持たせている。ソラトが鼻をクンクンさせて怪獣の気配を感じることや、メスの唾液に釣られて、ゲドラゴがアユムとカミヤを追いかけてきたことも含め、怪獣も生物だと再認識させられる。
 愚痴を言い続け、野宿がイヤだとか言っていたカミヤが、ラストでアユムに感動しているあたりは、コウセイに呆れられているが。
 ゲドラゴがオメガに倒されず、地底に戻されたのは良い。ブレーザーやアークも怪獣を殺してばかりではなかったし、『ウルトラマンコスモス』はいうに及ばず、昭和のウルトラシリーズからそうだった。もっとも、『ウルトラマン』(1966)のゴモラのように、怪獣を殺すか否か線引きは難しい(そのゴモラが『オメガ』の次話でも登場するが)。メスのゲドラゴの亡骸も地底に還されたが、実は仮死状態で、地底で息を吹き返すとすれば良かったが。
 怪獣の生態を説明しているアユムに顔を近づけ、ゲドラゴが求愛行動をしていると聞かされるオメガ。その姿は笑える。
 また、前半でソラトとはぐれるも、山中でようやくアユムらとも合流したその姿。崖を登って腕を大きく広げるコウセイは、往年の栄養ドリンク剤「リポビタンD」のCMそのもので、こちらも笑ってしまう。


第7話「カゼになる」


 古代怪獣ゴモラに立ち向かうオメガは倒され、レキネスも超能力で食い止めようとしたがやられてしまう。ゴモラは地中に潜ってしまう。戻ったソラトは風邪にかかって寝込んでしまう。
 スマホでは、怪獣出現について多くの書き込みが、そしてオメガが宇宙人の手先とするフェイク動画が。作ったのはオオカミという自分勝手な人間であった。そして、ネットで三日月形のUFOが現れたと語る。
 その頃、アユムはソラトとコウセイを訪ねていた。ゴモラが現れた場所にその少し前、火球が落下し、ゴモラは宇宙怪獣かもしれない。意見を聞きに訪ねたのだ。アユムは風邪で寝込むソラトにお粥を作る。その頃、オオカミはUFOの調査に赴くとネットで報告。レキネスの通報で知ったコウセイは飛び出していく。アユムのお粥を食べるソラト。三日月形の飛行物体は少し前から地球の衛星軌道上を周っていたと、アユムが言う。


 ソラトは、ゴモラが地球怪獣だと思い出す。コウセイは市役所近くを浮遊していた飛行物体を見つけ、他の人々に紛れ、キャッチする。ドローンとごまかすが、オオカミに見つかってしまう。逃げ出すコウセイ。追うオオカミや市民。アユムは、ゴモラの足取りを追い、上河市のハム工場があることを知る。ゴモラが出現したニュースが流れる。
 風邪のままオメガに変身、現場に向かうオメガ。すぐに光線を撃たないで戦うオメガを、宇宙人の手先と断言するオオカミ。侵略者だと言ってのけるのに、コウセイは「あいつは俺たちのために戦っている。(略)正体なんてどうでもいい、何者かわかんねえけど、俺はあいつを信じる!」とそう言い切った時、飛行物体はメテオ怪獣トライガロンと化し、コウセイとともに疾走し、オメガへ駆けつける。トライガロンの援護でゴモラを倒し、市民はオメガを讃えるのであった。



 脚本は鶴田幸伸。『ウルトラマンオーブ』(2016)・『ウルトラマンジード』(2017)・『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(2018)の3作品ではプロデューサーを務めていた。監督は市野龍一。『ウルトラマンガイア』(1998)・『超星艦隊セイザーX』(2005)から演出を長く手がけ、『ウルトラマンオーブ』(2016)で監督デビュー、『ウルトラマンタイガ』(2019)まで複数作の監督を担当した。
 オメガの戦闘をサポートする味方の怪獣メテオ怪獣は、レキネスに続いてトライガロンが登場。さらに敵役怪獣で、『ウルトラマン』(1966)以来、度々登場。人間の味方で主役を張ったこともあるゴモラが出る話だ。だがサブタイトルは「カゼになる」で、病気の「風邪」と早く疾走する「風」を掛けており笑ってしまう。
 ロボット怪獣のようで、レキネスと全く違うデザインのトライガロン。ウインダムとミクラスを彷彿させる。瞬時にゴモラの尻尾を叩き切り(尻尾が千切られるのは初代『ウルトラマン』以来の半ばお約束)、大活躍のデビューを飾った。
 レキネスが手持ちサイズの小さい姿で宙を飛び、パソコンの近くまで行ってしまい、アユムに見つかってしまわないかコウセイを慌てさせている。トライガロンも同じく小型になって、レキネスとのツーショットがあるのか?


 今回のゲストのオオカミなる人物は、狼のキャップをかぶる中年男。オメガが侵略者であるとフェイク動画を作り、市民を扇動するが、目的は自分が注目を浴びたいだけ。冒頭での歩道橋でのやり取りで自分勝手な人間だとわかる。
 ウルトラシリーズでは同じようなイヤな人間に、『ウルトラマンA』(1972)の高倉長官、『ウルトラマンタイガ』(2019)の今里、『ウルトラマンメビウス』(2006)のヒルカワなどがいた。特にヒルカワは最低最悪の人間であった。もっとも、一ファンの浅知恵になるが、ヒルカワが幼少の頃、怪獣災害で家族を殺され、ウルトラマンや防衛チームが助けてくれなかったから、それで憎むようになったといった出自があったのかもしれない(『ウルトラマンタロウ』(1973)や『ウルトラマンサーガ』(2012)などにも前例があったが)。
 オオカミは、戦うオメガを応援する人々から支持を失い炎上する末路を迎えたが、また登場するのだろうか?


 それとコウセイ。堂々とオメガをかばったが、人々の前から突然消えてしまったので、怪しまれないのだろうか?


第8話「霧降山の伝説」


 霧降山は超常現象相次ぎ、キャンプに来ていたアベックが巻き込まれた。古い村に入り込み、怪獣の気配に慌てて逃げ出す。大学の超常現象サークルゴーストライダーズがブリガドーン現象と調査に赴き、アユムも仕事がら同行することに。アユムに懇願され、ソラトとコウセイも助手として行く。青年3人のメンバーであるゴーストライダーズ。霧降山には赤い巨人・ダイダラボッチが空から来た天魔を封印した伝説が1000年前からあった。ゴーストライダーズのアジトに空中波動固定装置があった。アストラル波(霊波)のビームを照射し、霧を作って異次元への壁を開くと言う。しかし、ゴーストライダーズのサポートAIは「装置メンテナンスがされていない」と警告する。


 そこへ霧降山に本物のブリガドーン現象が発生。アユムは映像記録を押さえようと飛び出してしまう。しかし、行くのを止めようとする古風な少年に出くわす。続いて人気のない村へ。怪獣の姿を見るが、少年に救われる。
 ゴーストライダーズのアジトでは、アユムの救出を準備。空中波動固定装置で異次元の壁を開き、穴が空いた10分間のうちに、向こうへ行ってアユムを助け出すと言うもの。ソラトとコウセイは穴をくぐって村に、さらに破壊獣モンスアーガーの姿も見る。突然、空中波動固定装置が不調になり、あちこちに異次元の穴が開く。
 ソラトはオメガに変身して、穴を塞ぎ、モンスアーガーにあたる。コウセイのトライガロンも加勢した。空中波動固定装置の暴走は続き、あちこちに穴が開く。オメガは著しくエネルギーを消耗する。トライガロンもレキネス同様に武器に変身、オメガの右腕に巨大な爪のようにして装着される。その攻撃で一方的にモンスアーガーを撃破した。戦闘後、アユムを発見。急いで元の世界へ戻る。「科学を遊びに使うな!」。アユムはゴーストライダーズのメンバーを一喝する。しかし、コウセイはひとつのことにあそこまで熱中できる彼らをうらやましがるのだった。



 脚本は『ウルトラマンギンガS』(2014)から続投(『ウルトラマンジード』(2017)は除く)の中野貴雄。監督は前話と同じ市野龍一。登場する怪獣モンスアーガーは、『ウルトラマンダイナ』(1997)第11話と第31話、『ウルトラマンデッカー』(2022)第4話にも登場。『ウルトラマンデッカー』の時も中野が脚本を手がけていた。
 超常現象研究サークル・ゴーストライダーズ、トンデモ科学の空中波動固定装置、隠れ里のブリガドーン現象(ネタ元は漫画家・水木しげるの『墓場鬼太郎』(1960)を初出とする造語で、妖怪や幽霊などが跳梁する現象のこと)、その正体は山の精霊らしい謎の少年と、オカルト雑誌・月刊『ムー』(1979~)のようなネタが続いて、飽きさせない。さらに『ウルトラマンX(エックス)』(2015)以来のウルトラシリーズにたびたび登場してきた『太平風土記(たいへい・ふどき)』の名前も出てきて、ニヤリとさせられる。
 モンスアーガーは倒したが、ブリガドーン現象はまだ続いている。ゴーストライダーズは「ユピ・アイ・エー!」「ユピ・アイ・オー!」の掛け声が特徴で、ノリが良いが、現地調査やアユムの救出をソラトとコウセイに任せてしまうので印象悪し。サポートAIや空中波動固定装置と侮れない装備を持つが。
 ゴーストライダーズは、『ウルトラマンオーブ』(2016)のSSPを彷彿させる。リーダー・南方大吉を演じる渡辺裕太は、渡辺徹と榊原郁恵の息子。ソラトはゴーストライダーズといっしょになって彼らの掛け声をあげ、変身してからも掛け声時のように両手を上げるなど、いつもより何かふざけた様子だ。加えてラスト、コウセイのロコモコ丼を盗み食いしてしまうのはいただけない。とは言いつつも、オメガは毎回の出現する怪獣のことを知っているし、今回出会った謎の少年もオメガのことを知っていた。オメガは1000年前にも地球に来て、怪獣と戦っていたようだ。
 ちなみに、アユムが同行したお礼に作ってくれたロコモコ丼は、ハンバーグと目玉焼きを乗せソースをかけたハワイの郷土料理である。


(了)
(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2025年9月号』(25年9月14日発行)所収『ウルトラマンオメガ』評より抜粋)


『ウルトラマンオメガ』特別総集編1 & 8話~14話評

傑作と言い難いが面白い

(2025年10月31日・脱稿)

特別総集編1「アカジナリアキの日常」


 大屋日の出ビル4Fにオフィスがあるジャパンサイバーアップ株式会社代表のアカジ ナリアキは、ラジオから流れる『丹下マサルのエブリディがトレンディ』に耳を傾けていた。その番組では最近現れるようになった怪獣や赤い巨人について取り上げていた。ラジオでも巨人は味方か、マサルとアシスタントのレミが入れ込んで話していた。
 聞き入るナリアキ。視聴者からの声も、田舎に大蛇が出現したと言うものや、娘ともども怪獣に襲われた時に若者2人に助けられたというものも。この若者2人とは倉庫の下の階で暮らしているソラトとコウセイではとナリアキは思う。さらに2人と仲の良い美人のアユムにも想いをはせた。


 脚本は#3~#4の足木淳一郎。演出は#1~#3を監督した武居正能。怪獣バトルや主要キャラクターのドラマが発生しない、過去のフィルムを大まかに使用した総集編は、2010年代以降のウルトラシリーズでは恒例。アカジナリアキは、ソラトとコウセイとは階が違う別会社を経営する、いささかガサツだが悪い人ではない御仁だ。本編には登場していない。演じる水野直(みずの・ただし)は、『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』(2021)の防衛隊・GUTS(ガッツ)の隊員・サクマテッシン役の人だ。
 ラジオ番組『エブリディがトレンディ』は、マサルのトークにレミが鋭い突っ込みを。レミ役の潘めぐみはウルトラシリーズでも常連。おバカな役や男の子の役もこなし、お母さんの潘恵子同様に上手い声優さんだ。『エブリディがトレンディ』には、#1でソラトとコウセイに助けられた母親が投稿したという設定。オオカミやゴーストライダーズも今後の「特別総集編」で投稿しているかも。
 ソラトは、今までのウルトラシリーズの主人公とは違ったキャラクターで、常識を知らない惚けた様子だ。ナリアキはじめ近所の人たちからどう見られているのだろう? 子供たちから懐かれている、子供といっしょに遊ぶようなシーンが存在しないのが物足りない。コウセイやアユムも同じである。


第9話「カネナリ怪獣パーク」


 ソラトとふたり暮らしになってから、コウセイは金欠病に。食事にも事欠いて、バナナ1本を2人でという日もあった。そんな時、地下から冬眠中の怪獣が発見されたとの報が。その場所で調査に赴いていたアユムとも会うが、土地を管理しているカネナリコーポレーションに拒まれ、調査はできなかった。
 ソラトが警備員を反らし、その隙に中へ入る。冬眠中の怪獣を視認したところで、警備員に見つかってしまう。そこへ金成社長が現れる。アユムが国立自然センターの研究員と明かすと、態度を一変。豪勢なランチに招待する。1兆円の大資産を持つ金成は、怪獣を保護する方針でアユムにも会社の研究員で加わってほしいと言う。だが真実は、冬眠している怪獣で動物園を作るものであった。未知の怪獣を見世物にすることを、コウセイは強く反対するが、金成は動じない。しかしアユムは賛同してしまう。
 怪獣パーク開園の発表寸前に、アユムからの報が。彼女が賛同したのは、怪獣分析をしてデータを得るためのボランティアに入るためであった。怪獣は5000年前に海で生息していたことがわかる。


 ソラトは、送られてきたデータから怪獣が深海怪獣グビラだと解した。マスコミを前に怪獣パーク発表をしようとする金成。だがその時、グビラは目覚めた。今までは餌を得るために寝たふりをしていたのだ。駆けつけたソラトとコウセイ。オメガに変身したソラト。コウセイは、逃げ遅れ、食われそうになった金成を助ける。触角のドリルを回転させ突進するグビラをかわすオメガ。アユムも逃げ遅れた人を助ける。巨体にのしかかられ苦戦するオメガを、トライガロンが救った。光り輝く爪・トライガロンアーマーと化し、グビラを攻撃して撃破した。事件は解決した。しかしソラトとコウセイの食事はバナナ1本のままであった。



 脚本は俳優でもある兒玉宣勝。監督は三度目の市野龍一。深海怪獣グビラは、『ウルトラマン』(1966)第24話に初登場。以後は『ウルトラマンサーガ』(2012)で新規造形以降、『ウルトラマンX』(2015)などに度々登場。亜種という設定で、着ぐるみの改造などはなしに陸棲のオカグビラも登場していた。
 怪獣を見せものにして怪獣パークを作る。昭和のウルトラシリーズでもありそうな話だ。ソラトとコウセイは公務員でもある防衛チームや会社などには属しておらず、活動はボランティアだから、日々の食事にも事欠き、気の毒だ。ただしウルトラシリーズ以外の多くの特撮作品の主人公も同様なのだが。
 社長の金成はお金儲けのため怪獣パークを作る。ソラトが、インタビューをパソコンで観ているが、彼の心情が完全に描かれなかったのは残念。単なる金の亡者だけではなく、グビラ襲撃で逃げ遅れた職員を助けるなど悪人でもないのはわかるが。オメガがグビラを倒したあと、他の職員といっしょに喜んでいたが、「元はあんたのせいだろう」と突っ込みたい。
 コウセイに助けてもらったのだから、ラストにお礼をしても良いんじゃないのとも。中盤で出された豪華な弁当は、一口も食べていなかったし、もったいない。
 金成と対照的に、1本のバナナがふたりの食事と粗末なご飯のソラトとコウセイ。だがジャンケンをしている時やバナナからどんなメニューを作ろうかとコウセイは楽しそうだ。あと、ジャンケンで勝ったのに、コウセイにバナナを半分譲るソラトと、貧乏でも心が豊かで。まあ初めからバナナを半分こにしていればという突込みはあるが。
 ソラトとコウセイは、往年の特撮巨大ヒーロー『アイアンキング』(1972)の霧島五郎(きりしま・ごろう)と静弦太郎(しずか・げんたろう)がちょっと重なる(アユムは藤森典子か?)。#4で喧嘩したので、もう喧嘩しないと思っていたが……。
 グビラは背中からの潮吹きを武器としているが、水流のごとく噴射するのみならず、水球を撃ち出して相手の頭上で破裂させて大雨を降らせるユニークな技を持つ。雨を浴びたオメガは顔を押さえているが、強酸なのか? 同じ四足歩行のトライガロンと戦ったが、つり合いが取れていた。


第10話「密着! 2人の素顔」


 アユムの知人映像ディレクターの新川麻希(あらかわ・まき)がソラトとコウセイを密着取材させてほしいと言ってきた。怪獣について詳しいことに興味を抱いたのだ。ソラトは応じることに。麻希はビデオカメラ片手に、働くふたりの様子を取材する。必死にソラトの正体を隠すコウセイ。なんとなく怪獣を知っていると言うソラト。その時、霧が崎の温泉街に怪獣が現れたとの報が。駆けつけようと言うソラトとコウセイに、麻希は車での同行取材を申し出た。オメガに変身して向かおうとするソラトを、コウセイは必死に押しとどめた。足元を高熱で溶解させながら進む熔鉄怪獣デマーガ。到着したソラトとコウセイ。すぐそばでビデオカメラを回す麻希。隙を見てソラトはオメガに変身。トライガロンも出現する。しかしデマーガは、高熱で地下に沈み逃げられてしまう。その責任をめぐって喧嘩を始めるソラトとコウセイ。


 取材を止めようと言うコウセイに、それは麻希に悪いとソラトは譲らない。ともに仕事をし食事をし銭湯に入っていたが、いがみ合ったまま。ふたりが何か隠していると勘ぐる麻希。怪獣災害に関する危機管理の重要性を世間に伝えたかったからだと言い、国民全体がもっと危機感を持つべきと力説した。そのためにソラトとコウセイに協力してほしいと。その話にソラトは自分たちの秘密を打ち明けることを決意。麻希は本当に皆のことを考えていると。だが、告白しようとする寸前、左右市の如月温泉にデマーガが出現。
 麻希が遅れたのに乗じて、ソラトはひと早く変身。コウセイとともに現地へ飛ぶ。温泉街でのデマーガとの戦い。そこへ麻希も車で駆けつける。デマーガの溶岩弾が浴びせられるが、オメガに救われる。レキネスの援護も加わり、オメガはレキネスアーマーでデマーガを斬り倒す。戦い終り、仲直りしたソラトとコウセイ。一方、オメガに助けられた麻希は、取材先を急きょ変更、オメガへ切り替えるのであった。



 脚本は#6の三好昭央。監督は#7から手がけてきた市野龍一。デマーガは『ウルトラマンX』(2015)第1話以来、ウルトラシリーズに度々登場。初期のウルトラシリーズ怪獣の系譜を引いた二足歩行の恐竜型の正統派である。『X』のメイン監督でもあった田口清隆がデザインアイデアを考えた。着ぐるみの細部を改造しただけのツルギデマーガやカミソリデマーガと亜種もいる。
 新川麻希演じる永島聖羅はアイドルグループ・乃木坂46の元メンバー。怪獣災害の重要性を訴え、熱心な取材姿勢を見せるが、実はミーハーな女性。だが、根は真面目なその姿に、ソラトとコウセイは自分たちの秘密を打ち明ける寸前まで行った。


 麻希はソラトとコウセイが暮らしている倉庫に張り付いて、根掘り葉掘り尋ねる。ソラトは無関心で、そのぶん矢面に立つコウセイはたまったものではない。視聴者はソラトがオメガだとわかっているが、劇中ではコウセイ以外は誰も知らないのだ。コウセイが必死に取りつくっているが。#7のように、巨大化前のメテオ怪獣・レキネスとトライガロンがマキの前に出てきてしまえばおしまいでもある。
 麻希はソラトとコウセイの親はどこにいるか尋ねないなど、質問のツメが甘い。もっとも、怪獣災害の危機管理を広めるという取材目的は、怪獣を野生のクマに置き換えると、現実の世界でも身につまされる。しかしこの時、ソラトとコウセイが正体を明かしていたら。
 デマーガが出現した温泉は、車ですぐ到着したということは、倉庫からそんなに遠く離れていないということだ。ソラトとコウセイは、最初にデマーガに逃げられたあと、大声で怒鳴り合い(はたから見ていると、子供同士の言い合いだ)、その後、口も交わさないが、内心では互いを気にかけている。またアユムにも、自分たちの秘密をいつか打ち明けなくてはと言っているのにも注目だ。
 今回、温泉街のセットもそれらしく、現地ロケと上手く合成している。デマーガは、口から熔鉄光線、背中から火炎弾を発射。またオメガやレキネスとの戦いで、溶鉄弾をレキネスに跳ね返されて炎上。全身が赤熱化した状態と化す姿は熔鉄怪獣に相応しい。怪獣バトルを含む特撮はこれまで以上に力が入っている。


第11話「グライム再び」


 オメガは古代怪獣リオドと戦っていた。鼻を縛り上げ、オメガスラッガーで斬りつけて倒す。変身を解いてからソラトは妙な気配を感じた。一方、コウセイはオメガが自分を頼らないでリオドを倒したことに不満を抱いていた。
 そこへ訪れたアユム。怪獣対策を専門としたチームが作られることを話す。今までの調査だけとは違い、具体的な対策を行うもので、アユムの恩師も関わっていると言う。
 その時、ラジオでオメガは人類の味方かとアンケートが取られ、支持するが49%、支持しないが37%、どちらでもない14%の結果となる。まだ大勢が支持していなかったことに怒るコウセイ。
 その時、熱線怪獣グライムが栃木県に再び現われたとの報が。さらに恩師・宇多咲幸からアユムに、グライムへの作戦に参加するようにと。


 ソラトは何かイヤな予感がするが、コウセイは強引に自分たちも行くと言う。アユムは、栃木県のベースキャンプで怪獣対策を行うNDFと合流。指揮官・タイラカズヤスと会う。必要なのは能力と熱意だと語るタイラ。グライムに麻酔薬を搭載するミサイルを撃ち込む作戦が進められる。
 ソラトとコウセイも到着。躊躇するソラトに、コウセイは構わず先行する。グライムは地上に現れるが、様子がおかしい。NDFの麻酔ミサイルが放たれた。第2波の前に、コウセイは強引にトライガロンを出現させる。
 グライムを翻弄するが、新たな怪獣である爆進細胞怪獣エルドギメラが出現。圧倒的パワーでトライガロンを叩きのめし、その際の瓦礫からコウセイをかばったソラトは足を負傷する。
 そのままオメガに変身するが、足の痛みにグライムの攻撃もあって苦戦。戦いはキャンプベース近くまで迫ってくる。グライムのツノの光線からオメガは人々をかばうが、防ぎきれず、タイラも負傷する。エルドギメラはグライムを体内に吸収し、続いてオメガを触手で空中に固定し光線を浴びせた。オメガはソラトに戻ったが、気を失ってしまった。



 脚本は#3~4と特別総集編、本作のシリーズ構成もサブで手がけている足木淳一郎。監督は#1~3と特別総集編のメイン監督・武居正能。
 1クール目の終盤である前後編で、『ウルトラマンブレーザー』(2023)や『ウルトラマンアーク』(2024)同様、ウルトラマンが苦戦。力の入ったエピソードだとわかる。
 冒頭で、『ウルトラマンアーク』#2にも登場した怪獣リオドが現れ、さらに#1の怪獣グライムが再出現。エルドギメラの引き立て役になったものの、ツノから光線を撃ちまくり、オメガを苦戦させるなど善戦した。
 相次ぐ怪獣災害に、政府は本格的に対策に乗り出す。ラジオでは怪獣と戦う巨人(オメガ)についてどう思うかアンケートが行われる。改めて現実世界での昨今のクマ被害と重なって見えてきてしまう。アンケートでは、麻希は支持するを、オオカミは支持しないを選択するだろう。まだまだ支持しない声が多いこともあり、コウセイは突っ走ってしまって、オメガを危機に追いやってしまった。他にも怪獣エルドギメラがいるとは知らなかったからだが、いつもより冷静なソラトの声も届かない。頑固なのだ。リオドとの戦いで自分が置き去りにされたことが不満で、冒頭で#4のオオヤの言葉が響いたが、その意味をいつしか忘れてしまっていた。半面、ソラトは冷静で、負傷した時も、コウセイを怒らず、その身を案じている。
 怪獣リオドとの戦いは前座で、後半の怪獣グライムとエルドギメラとの三つ巴の戦いは、『ウルトラマンタロウ』(1973)第18話での怪獣バードン&怪獣ケムジラ戦とも重なる。
 エルドギメラは残酷さ・カッコよさ・グロテクスさが巧みに入り組んだデザインで、トライガロン・グライム・オメガを圧倒する。尻尾に第2の口を持ち、一瞬でグライムを捕食するが、バードンがケムジラを捕食した時のような醜悪さはない。捕食した直後に、右肩に光線を発射するツノが出現する演出も今までになかった。


 怪獣デザインを手掛けた渡部昌彦は、第3期ウルトラシリーズの『ザ☆ウルトラマン』(1979)や『ウルトラマン80(エイティ)』(1980)の敵怪獣、1980年代前中盤の東映のスーパー戦隊シリーズや『宇宙刑事』シリーズやメタルヒーローシリーズの敵怪人など、46年もの長期にわたって、デザインに関わってきた御仁だそうだ。


第12話「俺のやりたいこと」


 ソラトは倉庫のベッドで眠り続けていた。コウセイは突っ走って窮地を招いたことを後悔していた。目が覚めたソラトは元気で何も言わなかった。焼きそばを食べ終えたあと、今まで無理をさせてきた、出ていくと言う。いたたまれずに飛び出したコウセイ。
 国立自然研究センターでは、アユムが怪獣エルドギメラの解析を行っていた。伝説上の動物・キメラかもと考える。行き詰まるが、防衛隊の現場隊長・タイラが言った「必要なのは能力と熱意」を思い出す。いつの間にかコウセイは先に怪獣たちが戦った場所にいた。そこで出会った女性に、言われるがままに怪獣破片の採取を手伝う。死に損ないのゾンビみたいだったコウセイも元気になっていく。
 「やりたいことが見つかったような気がして、やれてるような気がしたけど、調子に乗って失敗しちゃって……自分がやりたかったことがわからなくなってきた」と吐露する。女性は「失敗しようが何しようが、やらずにはいられない。やりたいことはそんなもの。誰だって間違えることはある。そのまま逃げるか、挽回するか、決められるのは自分だけ。なぜ君がそれをやりたいと思ったか、大事なのはそこじゃないか」と助言する。


 エルドギメラは怪獣ドグリドも捕食する。負傷していたタイラは、アユムが解析から得たエルドギメラの細胞が高エネルギーに耐えられないことでの迎撃作戦を立案する。コウセイはレキネス・トライガロンを手にした。ソラトは再戦の決意を固める。
 進撃するエルドギメラへ多数のミサイルが発射。続いてアンカーが撃ち込まれる。高電流が流れ込む。怪獣からの光線が放たれる寸前、ソラトはオメガに変身して防いだ。しかし、オメガスラッガーを浴びせるも、毒液や光線を食らって苦戦する。その時、駆けつけたコウセイが「別に無理してやっていたワケじゃねえぞ。俺はやりたいからやったんだ。ソラトと皆の役に立ちたいと思ったことはウソじゃない!」と叫びながら怪獣レキネスを出現させる。レキネスの念動力で、落ちていたアンカーが浮遊。エルドギメラに突き刺さり、再び高電流が。オメガは反撃に転じ、レキネスアーマーで斬り倒した。
 しかし、コウセイがレキネスを操っていた行動はアユムに見られていた。夜、倉庫の前でコウセイとソラトは和解。何もなかったように笑い合った。



 前後編の後編。地球人類とウルトラマンの反撃。再び足木淳一郎と武居正能がタッグを組む。
 突っ走って、オメガを負傷させ、自責の念にかられるコウセイ。当のオメガことソラトからは責める言葉は一切出ず、逆に自身に非があったことが、ますます重くのしかかる。
 コウセイを立ち直らせた女性は、急に自身の仕事を手伝わせて、その後、聞き役に徹してから、これからやるべきことを示している。#4のオオヤとも重なる。こんなふうに言ってくれる人が身近にいたらと思った視聴者も多いことだろう。


 コウセイが見つけたエルドギメラの破片。画面ではよくわからないが、アユムの手に渡って、反撃作戦手がかりになったのか? NDFの反撃作戦が準備される。包帯姿ながら指揮を執るタイラも勇ましい。エルドギメラ解析を行ったアユムを「貴方の熱意に敬意を表する」とねぎらった姿も好感が持てる。
 NDFの戦いでは、歴代ウルトラシリーズの防衛チーム出動時のようなBGMでワンダバを使っている。昨年2024年に亡くなられた冬木透が作ったワンダバが流れるのは感慨深い。加えてオメガとレキネスの活躍バックで流れた、ASH feat.MindaRynが唄う挿入歌『アンブレイカブル』もバトルを盛り上げている。
 エルドギメラとの戦いは、NDF・オメガ・レキネスそれぞれに見せ場があり、見ごたえがある。もっとも、①前の戦闘で負傷して気を失ったソラトを、コウセイは倉庫へ連れて帰って看病したが、栃木山中から倉庫までよくソラトを連れて帰れたな? ②そもそも倉庫から栃木山中までどのくらいの距離があるの? コウセイとソラトは何度も行っているが ③ソラトは出ていくと言ったが、戦いが終ってから倉庫の前でコウセイと話しているなど、いくつか「?」も。


第13話「アユ姉(ねえ)にバレちゃった!」


 アユムは、エルドギメラの戦いで、コウセイが怪獣レキネスを操っていたのを目撃し、そのことを問おうとしていた。焦るコウセイ。正直に話すしかないと言うソラトに、上手く説明できる自信がないと応える。
 その時、ソラトは何かの気配を感じた。コウセイは説明用のカンペ(カンニングペーパー)作りに乗り出す。レキネスとの出会い、ともに戦ったことをソラトと語りながら振り返る。トライガロンとの出会いも、2匹のメテオ怪獣のおかげで何度もピンチを乗り越えてきた。そして3匹目のメテオ怪獣は、ソラトの記憶ではいたようないないような……。その時、アユムが訪れてきた。ソラトは隠しごとをするのがイヤで、自分のことも打ち明けるつもりだ。
 アユムに告げようとするソラトとコウセイ。その時、友好珍獣ピグモンが出現。ピグモンを知っているソラトはピグモンのケガの手当てをしてやる。コウセイも優しく接する。そんなふたりの姿に、アユムは初めて会ってからのことを思い出す。ソラトが「目覚めの時」と言っていたことも。


 海外でも怪獣出現が始まっていた。ピグモンは本来、海の向こうの無人島にいたとソラトは言う。ピグモンが他の人に見つかり、ソラトはひとっ飛びして、もと居た島に届けると言う。その言葉にアユムは悟った。その後、ソラトはピグモンと外へ。残されたコウセイとアユム。
 NDFのタイラも、エルドギメラとの戦いでオメガに助けられ、オメガを味方だと認識したとアユムは話す。自身もオメガは私たちを守っているとコウセイに言った。ここに来るまで真実を追求するべきか迷っていたが、ふたりの友人としてそばにいたい、だから黙っていると告げる。礼を言うコウセイ。やがてピグモンを送り届けたソラトにもそれは告げられた。3人は握手を交わした。アユムが帰ったあと、「これからもよろしくな」「おう」。ソラトとコウセイも絆が深まったのを確認した。



 脚本は連続3本目の足木淳一郎。監督は『ウルトラマンアーク』(2024)第13話も手がけた鈴木農史。本話も『ウルトラマンアーク』第13話なども、2010年代以降のウルトラシリーズでは第13話は予算節約のための実質的には総集編で、新しい怪獣は登場しないので怪獣バトルもない。
 前話のラストで、アユムにコウセイがメテオ怪獣を操っているのを見られてしまっていたので、これからどうなるのかと気になる。これまでもソラトの変身やコウセイがメテオ怪獣を操るシーンは、人に見られたのではないかとヒヤヒヤしてきたが。シリーズ中盤でウルトラマンの正体がバレる作品は、『ウルトラマンメビウス』(2006)第30話()などがあった。本作ではどういう展開になるかと観ていたが。
 ピグモンは『ウルトラマン』(1966)に初登場。その後も度々登場。『ウルトラマンブレーザー』(2023)第9話にも……、あっ、あれはガラモンだった。余談だが、今は亡きSF作家・山本弘の小説『多々良島(たたらじま)ふたたび』(2015)では、ピグモンとガラモンが似ている理由が書かれていた。


 なぜピグモンが倉庫に来たのかわからなかったが、怖がらずに優しく接するソラトとコウセイに、険しかったアユムの表情は和らぐ。今までのことを振り返って、ふたりの人柄を再確認。そしてソラトがオメガだとその正体を知った。ふたりの口から、オメガやメテオ怪獣について語られることはなかったが、アユムは暗に悟った上で、対外的には黙っているとした、安心できる展開だ。
 他にレキネス・トライガロンに続く3匹目のメテオ怪獣はいるのかについてや、#1で地球に落ちたソラトは裸だったが、その後、倉庫にいた時、服を着ていたことも言及された。服は人からもらったと言うが、その人は今後登場するのだろうか?
 そういえば、アユムがコウセイにタイラのことを話したが、タイラは今後も登場するのだろうか? 後半、どのような展開になるのか?


 #10評でもふれたが、現在のクマ被害が現実問題として深刻化しており、怪獣災害とも重なる。クマ害で問題になっているようなことは、過去のウルトラシリーズでも何度か取り上げられたことだ。最近のこの手の題材のエピソードはソフトな表現になってしまっているが……。


第14話「オメガ抹殺指令」


 空から降りてきた輝きは男性と化し、様子を見にきた人を殺害した。同じ頃、倉庫で働いていたソラトとコウセイに手紙が。直後に現れた女性は、エルドギメラとの戦いでコウセイに破片採取を手伝わせた人で、アユムの恩師・宇多咲幸(うた・さゆき)であった。
 生物や工学の優れた科学者でもある宇多は、気さくでオープンな人。前からソラトとコウセイのことを聞いて興味を持っていたと言う。怪獣対策チームの準備で忙しかったと。怪獣探索の装備・Kモニターを楽しそうに見せる。怪獣やオメガについて楽しそうにソラトと語った。
 必死にはぐらかすコウセイとアユム。呼び出しがあって退出したが、怪獣研究をする理由を「自分が楽しく、人のためにもなるなら万々歳だ」と言ってみせる。その頃、空から降りて来た男はオメガを追っていた。ソラトとコウセイは河原にいた。#5のゲストであったササコからソラトとコウセイに、姪のミコとの良好な近況を伝える便りが来たのだ。


 そのことについて話していたソラトとコウセイへ男が近づいてくる。襲いかかられて、激しく殴り合う。逃走するソラト、追う男。街の中で再び格闘。パンチやキックが繰り出され、男は「オメガ抹殺、ゲネス復活」と言う。「地球支配」とも。
 戦いながらソラトは、かつて後ろから撃たれて、地球に落ちていった記憶を思い出した。記憶を思い出しつつあるソラトに、容赦ない攻撃が浴びせられた。コウセイが援護し、危機を脱する。男は巨大化・変貌し、殲滅創世体ゾヴァラスと化す。ソラトもオメガに変身した
 。国立自然センターでアユムと宇多もモニターを見ていた。苦戦しているオメガにトライガロンが加勢する。優勢に立つも、ゾヴァラスも鳥型の怪獣を出現させる。その胸にはトライガロンと同じ紋章が。鳥型怪獣はオメガを圧倒し、さらに空中で長い錫杖(しゃくじょう)に変化。それを手にしたゾヴァラスは激しい攻撃を加えた。圧倒してトライガロンを撃退したものの、攻撃に驚いた烏(カラス)が一斉に飛び出すと、苦しみ出して撤退した。オメガへの変身を解いたソラトはダメージを負っていた。



 脚本は#2以来のシリーズ構成(メインライター)・根元歳三。監督は前々回も手がけたメイン監督・武居正能。
 人間同士のバトルも、オメガとゾヴァラス・飛行怪獣との怪獣バトルも迫力がある。河原にいたソラトへ攻撃を仕掛け、その後は追跡して、バトルは市街へ。ソラト役・近藤頌利とゾヴァラス人間態役・新田健太。力の限りでの殴り合い。新田は東映特撮のスーツアクターの経験が多く、ちょうど本話放映の前月であった2025年9月から放映が開始されたばかりの『仮面ライダーゼッツ』でも仮面ライダーゼッツのスーツアクターを務めている。高くジャンプし、ビルの屋上から屋上へ移動し、息もつがせぬ格闘となるのは、今までのウルトラシリーズ、否これまでの日本特撮ではなかった演出。
 ゾヴァラスはモノトーンでカマキリのような容貌。異様な感がある。デザインした坂本トシミは、『ウルトラマンアーク』では怪獣シャゴンを手がけていた。


 怪獣バトルも、オメガとゾヴァラスの戦いに、トライガロンや、新たな鳥型怪獣まで出現。#11~12に劣らぬ特撮シーンを見せてくれた。もっともラストで、①驚いた烏が一斉に飛び出してから、②トライガロンアーマーがゾヴァラスにコントロールされてオメガ自身を攻撃、③直後にトライガロンはアーマーを解除してコウセイの許に戻り、④続いてゾヴァラスは苦しみ出す一連は、「?」であった。③が先で、その後に①と④と流れる方がふつうの流れだと思うのだが。


 記憶が蘇ったソラト(オメガ)は、ゾヴァラスにかつて後ろから撃たれたことを思い出した。他にもいろいろと失われていた記憶が蘇ったのだろうか? 中盤では、手紙で#5に登場したミコとササコが元気でいることが明かされた。
 これからレギュラーになる宇多は超陽気な人だが、倉庫内では時折り険しい表情を浮かべていた。もしかして……。


 EDは第2クールに入ったことで本話から『共鳴レボリューション』に変わった。挿入歌『アンブレイカブル』同様、MindaRynとASHが唄う。叩きつけるようなハイテンションな歌。これからのストーリーを暗示しているのだろうか?


(了)
(初出・特撮同人誌『『仮面特攻隊2025年11月号』(25年11月2日発行)所収『ウルトラマンオメガ』評より抜粋)


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ウルトラマンオメガ 全ウルトラヒーロー大集合 あそべるずかん
ウルトラマンオメガ & 全ウルトラヒーロー大集合 あそべるずかん (講談社MOOK)



[ウルトラ] ~全記事見出し一覧
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終末トレインどこへいく?・大雪海のカイナ ・7SEEDS・Dr.STONE ~終末後の世界をどう描くか!? 静謐・ギャグ・異なる生態系の異世界・ドロドロ人間関係劇・大自然でのサバイバル!

(2025年12月7日(日)UP)
『BanG Dream!(バンドリ!)』 ~「こんなのロックじゃない!」から30数年。和製「可愛いロック」の勝利!(笑)
『アイドリープライド』『ゲキドル』『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『おちこぼれフルーツタルト』 2020~21年5大アイドルアニメ評!
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 深夜アニメ『終末ツーリング』(25年)が放映中記念! とカコつけて……。『終末トレインどこへいく?』(24年)・『大雪海のカイナ』(23年)・『7SEEDS(セブン・シーズ)』(20年)・『Dr.STONE(ドクター・ストーン)』(19年)評をアップ!


『終末トレインどこへいく?』『大雪海のカイナ』『7SEEDS』『Dr.STONE』 ~終末後の世界をどう描くか!? 静謐・ギャグ・異なる生態系の異世界・ドロドロ人間関係劇・大自然でのサバイバル!

(文・T.SATO)

『終末トレインどこへいく?』

(2024年春アニメ)
(2024年8月4日脱稿)


 長年オタクをやっているようなオタク諸氏であれば、似たようなタイトル&題材の深夜アニメがあったことを思い出すであろう。そう、『少女終末旅行』(17年)である。


 とはいえ、もう7年も前の作品となるので、そのへんでのネタかぶり(?)は問題ないのであろう。しかし、『少女終末旅行』は人類の文明が崩壊したあとの世界で淡々とさすらって、物資や食料をゲットして生命をつないで「小さな喜び」や「観光」にひたるといった感じではあったけど、本作における「終末」には絶望感なぞカケラもなかった。


 スマホの5G(ファイブ・ジー 第5世代)ならぬ7G(セブン・ジー 第7世代・笑)の電波の影響で、少なくとも#1の舞台となる秩父の山奥にも近い埼玉県飯能市(はんのうし)では、21歳を過ぎた人間はレッサーパンダだのイグアナだのマレー熊だのカピバラだのタスマニアデビルだのの動物の姿になって、人家などに住まっているギャグ的にナンセンスな世界観でもあるからだ。


 と、ここで思い出す。同季の深夜アニメで同じような農村を舞台とした作品『となりの妖怪さん』である(……エッ、似てないってか?)。あちらもカラス天狗だの猫又だの化けギツネだの生きている初代フォルクスワーゲン(笑)だのが村人なので……。


 しかして、21歳になる前の子供たちは人間の姿をしている。4人の少女たちはこれによって萌えキャラとしての作品の看板も務められるのだ(笑)。


 そして、彼女たちは終点・吾野駅から黄色い西武池袋線を走行させて、池袋駅を目指していく。それは2年前に消息を絶った親友を探す旅でもあった……。といったあたりで、設定は面白い。


 しかし、本作は評価する方々には申し訳ないけれど、あまり面白くはないなぁ。


 行く先々の実在の駅ごとに、キノコ人間が住んでいたりニンジンだったりお地蔵さまであったり、身分制国家があったかと思えば、練馬の国のアリス(笑)がいたりと、ナンセンスな各駅世界が登場しているけれども、往年の名作マンガ『銀河鉄道999(スリーナイン)』(78年)的な寓話性や説話性などは乏しい(汗)。


 埼玉県の首都・池袋(笑)で消息を絶ってしまった女子を目的対象に据えるのであれば、点描でもイイので4人と彼女との往時の仲の良さなども折にふれて回想させて、肉付けしていくなどの処置もとれたのではないだろうか? 1話完結的なアンソロジー要素が強いとはいえ、やはりどうにも行き当たりばったりな感じがする。


 かのアニメ業界を描いた名作『SHIROBAKO』(14年)や戦車アニメ『ガールズ&パンツァー』(12年)といった名作をものしてきた水島努カントクや横手美智子脚本であっても、この体たらくになってしまう(私見です)。面白い作品を作るのってムズカしいものですね~。
終末トレインどこへいく? 3 (MFC)
終末トレインどこへいく? 3 (MFC)
オリジナルTVアニメーション『終末トレインどこへいく?』オリジナル・サウンドトラック
オリジナルTVアニメーション『終末トレインどこへいく?』オリジナル・サウンドトラック
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.89(24年8月8日発行))


『大雪海(おおゆきうみ)のカイナ』

(2023年冬アニメ)
(2023年4月26日脱稿)


 人類文明の終末後を描いたSF作品。といっても、都市に集住しつつも個室のデオドラント(無菌)な近未来ではなく、終末後の世界を描いた作品にはよくある、超巨大樹木などが繁茂して、それらの樹木の上で家族単位で中世に戻ったかのように慎ましく協働しあって生活しているといった世界観である。超巨大樹木や超巨大昆虫も登場するあたりも定番で、それゆえにSFというよりもファンタジーといった空気が濃厚であるあたりも重ねて定番だ。


 ジジ・ババばかりの家族集団の中でひとり、朴訥とした青年が生活しているところに、樹木の下にある広大な地上(雪状の白い海)から少女(実は王女さま)がやってくる。朴訥青年クンは少女を地上へ返すために、はるか下にある樹下へと降りていく。そこは水をめぐって雪原を滑走する船舶などが争いを繰り広げる世界であった!


 といったところで、ナンちゃって感は皆無の実にマジメな作りの作品にケチをつけてしまうことは心苦しいけど、何かが足りていないのであろう。あまり面白くないような、どこかしらツカミも強くないような(汗)。


 一応、オリジナル作品だが、3DCGアニメ作品ではここ10年、定評があるポリゴン・ピクチュアズ製作作品。そして、同社が製作したマンガ原作の宇宙SFアニメの良作『シドニアの騎士』(14・15年)の原作者・弐瓶勉(にへい・つとむ)を原作者に据えている。


 ここ10年、散発的に登場してきたセル画ライクな3DCGアニメ。10年前には数年後に雪崩的に日本のアニメは3DCGアニメと化してしまうのかも? という未来予測もしたけれど、メカや舞踏ダンスはともかく人物は手描きが主流のままなので、その予想は外れたのであった(笑)。
大雪海のカイナ
大雪海のカイナ

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.85(23年5月3日発行))


『7SEEDS(セブン・シーズ)』

(2020年冬アニメ)
(2019年夏配信)
(2020年8月11日脱稿)


 2020年冬季の昆虫パニックもの(?)かつサバイバルものでもある深夜アニメ。


 アレ? 同時期に封切された同じく昆虫パニックもののアニメ映画『巨蟲列島(きょちゅう・れっとう)』(20年)とネタがもろカブりやないけー! ……とは思ったモノのググってみると、本作『7SEEDS』の方は製作は先であり、実は昨2019年夏に世界的な動画配信サイト・Netflix(ネットフリックス)にて配信された作品の地上波へのお下がりなのであった(笑)。


 暗室でハッと眼が覚めた黒髪オカッパの少女が、扉から懐中電灯で照らしてきた姉御肌の女性に「沈みそうだから、早く来なさい!」と命令されて外に出るや、そこは夜の嵐の中で翻弄されている船舶! テント付きのボートに乗り移って漂着した先での無人島(?)で、襲いかかってくる巨大昆虫を相手に10人弱の青年男女がサバイバルを繰り広げていくといった内容である。


 そして、往年の名作SF洋画『猿の惑星』(68年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20171107/p1)パターンで、この世界は天体落下で人類が滅んだ世界であり、7人ずつ5チームに分けた若い男女が選抜、拉致されて日本各地で冷凍睡眠の果てに目覚めた終末世界なのであった……。


 通常、怪獣・怪人・ヒーローを題材とした作品では「アクション」がヤマ場となる。しかし、ゾンビものやパニックものといった作品群はそれらと比するとやや「人間ドラマ」寄りである。本作もいかにして敵の化け物を倒すのか? この世界はどうしてこうなってしまったのか? といった要素がありつつも、青年男女たちの極限状況下でのムキだしホンネの人間関係や性格悲喜劇といった要素の方も印象に残るモノとなっている。
 モラルがあるヤツ、モラルがウスいヤツ。しかしてモラルがウスいがゆえに他集団の悪意を察知できて、味方集団を窮地から救ってみせるような逆説劇まで描いてみせている。


 加えて、サバイバル作品なのに、チーム中でも一番体力的にも劣っていて気も弱そうでボッチ気味な黒髪オカッパ少女が主人公! よって、実際に戦っているのは周囲の男性キャラや先の姉御肌キャラであって、彼女は足手まといにもなっている。
 行軍中にコケたりすると、姉御肌の女リーダーに「ドジっ娘を演じて男に助けてもらおうと媚びるのはやめなさい!」(大意)などと糾弾されたりしてしまう。彼女はロリ可愛いけどそれをハナにかけたりはしていないし、単に素で意志薄弱でトロいだけなのに(爆)。


 とはいうものの、ストーリー展開以前のこーいう描写がフック・引っかかりとなって、視聴者の感情移入の端緒を作っていることも指摘しておきたい。


 ググってみると、原作は2001年スタートで、「別冊少女コミック」連載の長寿マンガだとのこと。少女マンガ!? たしかに絵柄的には少女マンガだけれども……。内容は本格的だし面白いしウェルメイド。


 よくよく原作マンガ家のご尊名を拝見してみると、文明崩壊後の遠い未来で『三国志』状態の争乱に陥った日本を舞台にした、本邦初のUHFアニメ(!)とも称されている深夜アニメ『LEGEND OF BASARA』(98年)の大ベテラン・田村由美であった!


(後日付記:21年冬アニメとしても放映された同作第2期も、7大チームの大群像劇といった体に変化していくけど、実に面白いストーリーテリングに滋味あふれる人間観やリアリティーショー的な人間関係シミュレーションにも仕上がっている! 余力があったら詳述してみたい……)
【メーカー特典あり】7SEEDS Blu-ray BOX 上巻 (メーカー特典: ちびキャラ缶バッジ4個セット[石清水ナツ/青田 嵐/麻井蝉丸/天道まつり]付)
【メーカー特典あり】7SEEDS Blu-ray BOX 上巻 (メーカー特典: ちびキャラ缶バッジ4個セット[石清水ナツ/青田 嵐/麻井蝉丸/天道まつり]付)

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.77(20年8月15日発行))


『Dr.STONE(ドクター・ストーン)』

(2019年夏アニメ)
(文・T.SATO)
(2019年8月3日脱稿)


 ヤンキー(不良)が入っているけど、ヒトはイイ筋肉バカの男子高校生。彼には恋い焦がれる清純可憐な女子高生がいた。ついに彼女に告白せんと待ち合わせして、校庭の片隅の大樹の下に向かった彼だが、その刹那に世界に大異変が勃発! 世界中の全人類が突如として石像化してしまったのだ!!


 死ねない! 彼女に告白するまではアキラめきれない! とウスれる意識の中で念じつづけた彼は突然、石像化を免れて目覚める。そこは3700年後の大自然の世界へと帰った日本の地であった……。


 といったところで、ツカミはOK。登場人物はこーいう性格でこーいう境遇でこーいう行動原理で動いているという足場が定まって、視聴者にもそのことを承知せしめて感情移入も確保できれば、作劇やストーリー展開もフワフワとはせずに、あとは彼らのリアクションを描くだけでも自然とストーリーが転がっていくといったモノでもある。


 その筋肉バカ男子高校生に先行すること半年前には目覚めていた、冒頭でも登場していた彼の幼なじみの天才少年クンも再登場。しかし天才とはいっても、往年の少年マンガのごとく青白くて線の細いタイプではない。マンガ・アニメ的には「知性」なども意味する「白い髪の毛」によるキャラクターデザインなのだが、その髪を逆立ててもおり、目付きも鋭くて、粗野な筋肉バカ少年にも物怖じせずに、どころか上から目線での乱暴な言葉使いも発することができるキャラ立てともなっている。


 そんな不敵な天才少年クンは、「硝酸(しょうさん)」等々の絶妙な配合で石像化した人間や動物たちを復活させることができることを知る。コウモリの糞尿で「硝酸」を作り、ブドウからは「アルコール」を作って、貝殻を砕いて「石灰(せっかい)」として農地にまいたり「モルタル」として壁に塗ったり「石鹸」としたりもするのだ。そんな彼の最終目的は、「科学の力」による「人類文明の復興」!!


 ヘタをすると読者側のリテラシー(読解能力)を要求してくる、敷居の高いリクツっぽい作品に陥りかねない題材なのだけど、そこは良くも悪くも『週刊少年ジャンプ』連載マンガではある。淀んだところや判りにくさは毛頭なくて、作品世界や各キャラの行動原理の見通し・見晴らしも実にイイ。


 スゲェ設定だなぁと思ってググってみたら、こっちの天才少年クンが主人公で先の筋肉バカ少年が副主人公であることを知る!(笑)


 むかしはカッコが悪くて人間味がないヤツ扱いをされてきてしまった、


・学級委員や生徒会――『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190912/p1)――
・優等生――『五等分の花嫁』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201018/p1)――
・策士や軍師タイプ――『デスノート』(03年)・『コードギアス 反逆のルルーシュ』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20081005/p1)――


などのキャラクターがクールでカッコいいと称される時代が到来している! クラスの隅っこにいるような性格類型の少年少女たちでも、少しは生きやすくなった時代が到来したのであろうか? ……優等生や策士や天才少年クンとはいっても、いかにも弱々しめの性格類型ではなく、胆力もあるタイプに限定されているので、やはりその復権はムリなのであろうか?(笑)


 とはいえ、少年マンガの時代からではなく戦前の少年小説の時代からでも、主人公は「熱血漢」であってお勉強ができる優等生タイプは「脇役」や「悪役」であったとも仄聞をする。かの「不良性感度」の王さまのような存在でもあった実録任侠映画の巨匠・深作欣二(ふかさく・きんじ)カントクなども、自分は幼少時はお坊ちゃまタイプで、戦前・戦中の少年小説などでもそーいった性格類型の登場人物は主役ではなく脇役であって、それらを読んで劣等感にかられていて自分を変えたいと思っていた……なぞといった証言が残ってもいる(爆)。よって、この問題は歴史的にも根が深そうであって、学級委員・優等生・策士タイプのクール系やダウナー系の礼賛が定着するのかについては、いまだ予断を許さないのだ!?(笑)


 3700年後の日本では、動物園から脱走したライオンも野生化していた(爆)。そこで、天才少年がその復活には警戒感を隠さなかった霊長類最強(笑)の高校生男子クンをやむにやまれず復活させたことで、彼のパンチの一撃でライオンを撃退してみせる!――強すぎるだろ!(笑) まぁこのへんはイイ意味でのマンガ的な描写なのだが――


 このキャラクターを粗暴犯タイプの「悪党」にもすることもできただろうけど、それだと「小悪党」レベルに堕(だ)してしまうと思ってか、彼もまた天才少年主人公とも同様にクールで冷めた性格設定が与えられている。
 そして、その貧困境遇により人生途上で味わってきた被差別体験から、「文明」を旧来のかたちでそのままに復活させることには反対の立場を取っており、「道徳的モラル」の有無での選民思想、あるいは「エデンに帰れ」で原始の社会のままでもイイのでは!? などと主張をはじめて、難病の妹のために貝殻を集めていた幼少時の彼をブチのめしてきた、今では石像化しているパワハラ漁師をパンチの一撃で粉砕してみせる!――この作品の世界観では実質的な殺人であるけども!(汗)――



 そんな彼のシニカルな主張に、科学の力を信じてみせる天才少年クンは首を肯(がえ)んじないのだ!


 ウ~ム、終末世界でのサバイバルに留まらずに、そこでの闘争に「思想性」もカラめてくる作劇がお見事ではある。しかも、片方をミーイズム的な絶対悪ではなく、一理も二理もある「悪」(?)だとするキャラクター配置もまたウマい!


 「悪事」を許容可能な「猥雑」さや「些事」と捉えて、「旧来の文明をそのままのかたちで再生」してみせるのか? 「悪事」を許容不可能な「格差」や「悪徳」だと捉えて、「旧来とは異なるオルタナティブな文明を再構築」するのか? その判断は実にムズカしい――まぁ、筆者個人は劇中内では相対的に「悪」だとされてしまった「後者」こと、霊長類最強少年クンの主張の方に分を感じているけれども(爆)――。
Dr.STONE
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.75(19年8月10日発行))


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王様戦隊キングオージャー総論 ~スキなところは受け入れて、キライなところはそっとしておく、棲み分け的な共生! 人&国に対する現実的な解!

(2025年12月7日(日)UP)
『獣電戦隊キョウリュウジャー』中盤~後半評 ~8・9・10人目の戦士! イベント編の質の高さ! 熱血活劇度も上昇! ついに10人戦隊が実現!
『機界戦隊ゼンカイジャー』論 ~『ゼンカイジャー』を通じて「スーパー戦隊」45年史の変転も透かし見る!
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スーパー戦隊シリーズ評 ~全記事見出し一覧


 栄光の「スーパー戦隊シリーズ」が終了! との報にカコつけて……。『王様戦隊キングオージャー』(23年)評をアップ!


『王様戦隊キングオージャー』総論 ~スキなところは受け入れて、キライなところはそっとしておく、棲み分け的な共生! 人&国に対する現実的な解!

(文・久保達也)
(2024年3月30日・脱稿)

*「別世界」を見事に描き尽くした映像美!


 X(エックス)=旧・Twitter(ツイッター)で何度も「トレンド1位」を獲得したほどに、これまでスーパー戦隊をあまり観たことがない層にも注目され、若い世代を中心に絶大な支持を集めたスーパー戦隊シリーズ第47作『王様戦隊キングオージャー』(23年)がこのほど放映を終了した。


 今から2000年前、地帝国バグナラクとの戦いで人類を救った5人の英雄がいた。
 その英雄たちが王様となる5つの国がその星に生まれ、長きにわたって平和がつづいた。
 だが、バグナラクがよみがえったために現代の王様たちが長剣型の変身アイテム・オージャカリバーでキングオージャーへと変身し、国民を守るために戦うという世界観だった。


 先述したように『キングオージャー』が大人気を獲得したのは、東映が2023年1月、まさに『キングオージャー』製作のために用意したかのように、東映東京撮影所のテレビレギュラー番組用No.11ステージに縦5メートル、横30メートルのLED(エルイーディー)ウォールを備える日本最大のLEDスタジオを設置したことで、そのファンタジーな世界観を圧倒的な説得力で視覚化することに成功したのが大きいだろう。
 もちろん、従来のグリーンバック合成も使われてはいるが、被写体を3D(スリーディー)モデルなどでつくられた素材を背景にして合成なしでも撮影する技法が可能になったことで、舞台の地球ならぬ「チキュー」、つまり、別世界である5つの大国を実にリアルに、そしてファンタジックに描写したことが視聴者を驚愕(きょうがく)させたのだ。
 新型コロナウィルスの影響でロケを極力減らすために絵本の世界を舞台にしたとされる『仮面ライダーセイバー』(20年)の時点でこの技法が実現していたら、その映像美だけでも評価はもっと高まったかもしれない(汗)。


*実は「リアル」だった誇張キャラたち


 そのファンタジックな映像美を究極なまでに完成させたことが、そこに登場するキャラクターたちを現実世界とは異なる、かなり浮き世離れした人物として描くことを可能にしたといっても過言ではないだろう。


 児童養護園で育った本来は心優しい性格なのにヒーローごっこで悪役を演じたことが多かったために「オレ様が世界を制覇する!」が口グセで、両腕を大きく広げて「ナァ~~ハッハッハッハ!」と高笑いするのが定番だった、はじまりの国・シュゴッダムの国王の弟、ギラ・ハスティー=クワガタオージャー。
 スラム街で育った捨て子だったがパソコンの技術ひとつで国王にまでのしあがり、自国のみならず全世界的に技術革新をもたらしたテクノロジーの国・ンコソパ(笑)の王でありながらも、リーゼントスタイルのヤンキーで口も態度も悪いヤンマ・ガスト=トンボオージャー。
 最先端の医療技術を誇り、城が巨大な花びらに包まれているほどに美しい花が咲き乱れた国・イシャバーナの女王で自らも優秀な医師だが、美しいものを手にするためには国民の生活をも踏みにじってしまうほどの超ワガママ娘のヒメノ・ラン=カマキリオージャー。
 常に氷雪に包まれた、国民の大半が犯罪者(爆)の国・ゴッカンで世界の中立を守る国際裁判所の最高裁判長兼女王であり、常に右目に眼帯、口を黒いベールで覆ったクールビューティーでありながらも、実は白い雪男のモフモフとしたぬいぐるみを相手にひそかに会話しているオタク気質のボッチ女(笑)であるリタ・カニスカ=パピヨンオージャー。
 田園豊かで農業が盛んな食料自給率100パーセントを誇る国・トウフで日本的な城をかまえた元農民であるも、国を守るためには常にキツネとタヌキの化かし合いをかますほどの二枚舌で口が達者な快男児のカグラギ・ディボウスキ=ハチオージャー。


 「王様」としてリアルなキャラはひとりもいないが(笑)、先述したように映像的にファンタジックな世界観を達成できたからこそ、ここまでにブッ飛んだキャラたちをあまりにも誇張(こちょう)した演出で描き尽くすことが可能となったのだ。
 また、自国の利益を最優先する国ばかりのために地球がひとつにまとまらない現実世界の風刺・揶揄(やゆ)として、チキューが自分勝手な王様ばかりなのは実にリアルでもあり、真に説得力をもって描写されていたといえよう。
 21世紀以降のスーパー戦隊の序盤では5人ないし3人の初期メンバーがまとまらないのが常であったが、『キングオージャー』では「国境を越え、利害を排除し、敵を国同士が一丸となって倒すため」に5人の王様が完全にひとつになったのが実に第19話(!)『王様戦隊キングオージャー』だったのはその最大の象徴だ。


*史上「初」の昆虫モチーフ!


 ところで、『キングオージャー』のヒーロー&ヒロインはクワガタ・トンボ・カマキリ・チョウ・ハチ・クモなど昆虫をモチーフにしていたが、意外や意外、これはスーパー戦隊史上「初」のことであった。
 かつて『忍風戦隊ハリケンジャー』(02年)にカブトライジャーとクワガライジャー、『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)にビートバスターなど、カブトムシやクワガタムシをモチーフにしたヒーローが登場した例はあったが、これらはあくまで追加戦士の扱いだったのだ。
 これまでスーパー戦隊で昆虫がメインモチーフとして扱われなかったのは、やはりイナゴをモチーフにしたヒーローが起源となった仮面ライダーとの差別化のために意図的に避けられていた事情が大きいのだろう。


 各戦士にはそれぞれシュゴッド=守護神と呼ばれる昆虫型機械生命体の相棒が存在し、それらの合体パターンの違いで巨大合体ロボットのさまざまなバリエーションが描かれたことで従来の伝統はキッチリ守られた。
 特に第23話『シュゴッダムの動く城』(笑)ではシュゴッダムにそびえるコーカサスカブト城が変型を果たし、漆黒(しっこく)の超巨大ロボ・キングコーカサスカブトが誕生した。
 のちにはそれを含めた20体ものメカが全合体を果たして王者ロボ・ゴッドキングオージャーとなり、王や側近、民ら20人が操縦して戦うさまは実に圧巻だった。


 なお、王様が物語を主導し、かつヒーローに昆虫のギミックをもたせる題材自体は『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)以来、実に10年ぶりにスーパー戦隊を担当することになった東映のプロデューサー・大森敬仁(おおもり・たかひと)氏が元々温めていた題材だったようだ。
 かなり久々にスーパー戦隊を担当することもあり、内容刷新の意味でもメインライターにはこれまであまりスーパー戦隊を観たことがないらしい若手の高野水登(たかの・みなと)氏を起用したらしい。
 だが、氏が描いた縦軸のしっかりとしたドラマは、実に従来のスーパー戦隊らしいものであり、視聴者の心をとらえて離さなかったのだ。


*「縦軸」がしっかりとした「人間ドラマ」の伝統!


 バグナラクの復活から世界を守るために5王国同盟を締結しようとした、いわばキングオージャー誕生の契機をつくったキャラでありながらも「民(たみ)は道具」とするシュゴッダムの冷酷な国王、ラクレス・ハスティー=オオクワガタオージャーが最終展開直前に至るまで「悪」として描かれ、ギラが彼に「反逆者」として死刑宣告されたのを発端(ほったん)に何度となく直接対決を繰り返したほどに因縁の兄弟対決が描かれたのは、縦軸として絶妙な盛りあがりを生みだすこととなった。
 「王」をめぐって因縁対決を繰り返す兄弟といえば、古くからの戦隊ファンとしては『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年)のゲキ=ティラノレンジャーとブライ=ドラゴンレンジャーの王族兄弟が連想されるだろう。
 『ジュウレンジャー』もきわめてファンタジー色が強かった作品だったのであり、その意味では『キングオージャー』はそこで描かれた「王道」の物語を立派に継承したといっても過言ではない。


 ブライ=ドラゴンレンジャーは「6人目の戦士」としての初のレギュラーキャラであったが、『キングオージャー』の「6人目の戦士」もブライ同様にきわめて特殊な立ち位置のキャラとして描かれた。
 表情も語り口も常に穏やかであるも、「行間を読め」が口グセで(笑)その真意がなかなか読めないトリックスターだったジェラミー・ブラシエリ=スパイダークモノスは、2000年前に人類を救ったものの歴史の闇に葬られた6人目の英雄と、バグナラクのクモ型女性怪人との禁断の恋で生まれた子供だった。
 彼が人類とバグナラクの双方に味方するのはそのためだとのちに明かされたが、子供向けのヒーロー作品で主人公側と敵側の戦いをやめさせようとする中立的立場が描かれること自体がきわめて異例であり、これは近年の現実世界で敵対する国同士の間に入って和平交渉に務める国をも彷彿(ほうふつ)とさせたものだ。


 ジェラミー、そして、妹のスズメをラクレスと結婚させてまでその王座を失脚させたようとしたほどのカグラギによる、先述したがキツネとタヌキの化かし合いといったバグナラクやラクレスらとの腹の中のさぐり合いは、彼らの交渉・外交能力の高さ、その世渡り上手な長所を強烈に印象づけ、主人公のギラ以上にオイシイところをかっさらってしまっていた。
 現実世界の外交ではそううまくはいかないだろうが、少なくとも処世術としては我々オタ気質の人間たちはこれらをおおいに参考にすべきだろう(笑)。


 クワガタオージャー=ギラはカグラギがラクレスから奪った王冠・オージャクラウンでキングクワガタオージャーとなるが、クワガタオージャーがオージャクラウンを頭からかぶってパワーアップを果たすさまは、名実ともにギラが王様となり得たことが実にわかりやすく描写されていた。
 「レッド」がパワーアップで「ゴールド」の戦士と化すのもまた然(しか)りだ。


*『キングオージャー』、最大の「弱点」!


 さて、『キングオージャー』は第27話『宇蟲王(うちゅうおう)の到来』以降、「第二部」に突入することとなった。
 これはメインライターの高野氏がスーパー戦隊の過去作品について知識があまりなく、同じ悪役と1年間戦いつづける展開に「飽きてしまいそうだから」との氏の提案から生まれたシリーズ構成だったようだ。


 第26話『新王国の誕生』までの「第一部」のレギュラー悪・地帝国バグナラクが人類と戦っていたのは、2000年前に地球外生命体のダグデドが率いる宇蟲五道化(うちゅうごどうげ)がそれを引き起こしたのだとして、過去に数々の惑星を滅亡させてきた着ぐるみ怪人の組織があらたにレギュラー悪となり、従来のスーパー戦隊により近いフォーマットとなったのは確かだ。
 2023年で放映10周年を迎えた『獣電戦隊キョウリュウジャー』とのメモリアルコラボがなされた第32話『遭遇! キョウリュウ!』&第33話『シューゴー! キングとキョウリュウ』では、桐生(きりゅう)ダイゴ=キョウリュウレッドと空蝉丸(うつせみまる)=キョウリュウゴールド以外の『キョウリュウジャー』のヒーロー&ヒロイン役者の出演が実現し、往年のファンをおおいに喜ばせた。
 また、『キョウリュウジャー』のメインを務めた坂本浩一監督が担当したこの前後編は『キングオージャー』の通常回とは異なり、ほぼ全編でロケ撮影が行われたうえに大量の火薬を使用したことで、「チキュー」ではない「地球」が舞台なのだとして、別次元の世界を明確に視覚化することにも成功していた。


 そして、キングオージャーが別次元の「地球」に飛ばされている半年(笑)の間に「チキュー」の五大国は宇蟲五道化によって完全に支配されてしまい、王様たちが自国を取り戻すための戦いが描かれていく。
 さらに、第22話『シュゴッド大集合』でギラとの決闘裁判に敗れて谷底へと転落、生死不明となっていたラクレスが第34話『シュゴ仮面の逆襲』から再登場を果たす。
 ダグデドと結託したラクレスは再度シュゴッダムの王に復帰するばかりか、「暴虐(ぼうぎゃく)のラクレス」として宇蟲五道化の一員となり、再びキングオージャーと敵対する!


 こうした流れの中で王様たちや側近たちの出自、「神の怒り」の真相などが小出しに明らかにされていく、縦軸がしっかりとした連続活劇はまさに「大河ドラマ」であった。
 ただ、その一方で、ある側面では「スーパー戦隊」として実は失速していたのではないか? とする声も意外に散見される。
 特に「第二部」突入以降にそれが顕著(けんちょ)なため、その観点から「第二部」を検証してみたい。


 先述したキョウリュウジャーがゲストの第33話で『キョウリュウジャー』の主役メカ・獣電竜ガブティラにキングオージャーのシュゴッドたちが合体して誕生したキングキョウリュウジン以降、あらたな合体ロボは最終回(第50話)『俺様たちが世界を支配する』で、超巨大化したダグデドに致命傷を与えて宇宙空間に散った超絶怒濤(どとう)究極完全体キングオージャーに至るまで登場することはなかった。
 ちなみに、第33話の放映は2023年10月15日だったのだが、その2ヶ月後のクリスマスイブに至るまで、「スーパー戦隊」として最も肝要なハズの玩具の販促が『キングオージャー』では充分に行われなかったといっても過言ではないのだ。


 第35話『泣くなスカポンタヌキ』から第39話『ンコソパ頂上決戦』に至るまで、王様たちが自国を取り戻すための戦いが描かれていくが、ンコソパが第35話で奪還に失敗し、第39話でようやく取り戻した以外、イシャバーナもトウフもゴッカンもたったの一話完結であっさりと取り戻してしまう(笑)。
 しかも、それらの回は「国境を越え、利害を排除し、敵を国同士が一丸となって倒す」ためにキングオージャーが総力戦を演じるのではなく、あくまでそれぞれの国の王様を中心に描かれ、他国の王様たちはクライマックスバトルで不在だったりしたのだ。
 さらにいえば、国を取り戻すための戦いよりも王様や側近たちのキャラを掘り下げるための過去話の方が主軸を占めていた。
 ただでさえ、露出度の低い衣装に身を包み、右目と口元まで隠したボッチキャラのリタがフリフリドレス姿のアイドルと化した第38話『不動のアイドルデビュー』は若い世代のみならず中年オヤジの筆者ですらも大喜びしたが(笑)、果たしてこれらはメインターゲットの子供たちにどう映ったのであろうか?


 これらにつづき、第40話『我は王で王子なり』、第41話『宇宙を救う時』、第42話『ラクレス王の秘密』と3週連続で、ラクレスがダグデドと結託した真意、それを明かすことによるラクレスの立ち位置シャッフル、関係性の激変による王族兄弟の共闘を描いた物語は、「第一部」以来ギラとラクレスの兄弟を見届けてきた大半の視聴者におおいなる感動を与えたのは必至であり、実にすばらしい「人間ドラマ」だった。
 だが、第40話の冒頭で先述したキングキョウリュウジンが特に必然性もなしにギラを助けに登場した以外、これらの中で合体ロボによる巨大戦はゴッドキングオージャーの対戦が一度描かれたのみであり、第42話ではラクレスとギラ以外の王様は誰ひとりとして変身しなかった。
 ちなみに第42話の放映は2023年12月24日、クリスマスイブの当日だった。ラクレスの真実をこれまでの「人間ドラマ」の映像を用いて語る「総集編」を放映するには、あまりにも間が悪かったのではなかったか?
 従来のスーパー戦隊恒例の「総集編」みたく、ヒーローのカッコいい大活躍を中心に編集したのならまだしも。


*「ウルトラマン」に負けた「スーパー戦隊」……


 先述した『獣電戦隊キョウリュウジャー』放映終了時点だったバンダイナムコグループの2014年3月度の決算数値を見ると、「国内トイホビー売り上げ」中の「戦隊シリーズ」は144億円で過去最高額を記録していた。
 これをピークに「戦隊シリーズ」の売り上げは徐々に下降線をたどり、『快盗(かいとう)戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18年)放映終了直後の2019年3月度の決算数値は60億円であり、過去最低値を記録してしまった。
 あまり語られてはいない事実だが、この『ルパパト』放映開始の数ヶ月後にバンダイが行った2018年度の「お子さまが好きなキャラクターに関する意識調査」のランキング結果では、『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年)が放映された2017年度にかろうじて第10位にランクインしていた「スーパー戦隊シリーズ」がまさかの圏外(けんがい)となってしまった。
 『ルパパト』も『キングオージャー』同様にネット上では話題にされることが多く、大人たちには大人気だったのだが。


 以降、つづく『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19年)の売り上げを示すバンダイの2020年3月度の「戦隊シリーズ」は『ルパパト』と同じく60億円、『魔進(マシン)戦隊キラメイジャー』(20年)終了後の2021年3月度の数値は45億でさらにガタ落ちしてしまった。
 ちなみに同時期に放映された『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)の売り上げを示す2021年3月度の「ウルトラマン」の国内トイホビーの数値は49億であり、玩具の売り上げでは「戦隊シリーズ」は半年しか放映されない「ウルトラマン」に逆転されてしまったのだ……


 この低迷ぶりに、もはや子供相手の商売は限界だと判断したのか、近年のスーパー戦隊は『機界戦隊ゼンカイジャー』(21年)、『暴太郎(あばたろう)戦隊ドンブラザーズ』(22年)、そして『キングオージャー』と、立てつづけに「変化球」を連打している。
 このところの物価高で子供に玩具を買い与える余裕のないファミリー層よりも、高額でも平気で玩具を買ってくれるのみならず、ネットで話題にしてくれて作品の注目度を高めてくれる若年層をターゲットにした方がはるかに確実だと、彼らにウケることを最優先した作品づくりは企業の目線からすれば当然の戦略だと充分に理解はできる。
 だが、2014年に「過去最高」の玩具売り上げを記録した「戦隊シリーズ」が、そのわずか5年後の2019年にナゼ「過去最低」の売り上げを記録するに至り、「お子さまが好きなキャラクター」のランキングでも「圏外」となってしまったのか、その根本的な要因をバンダイも東映もまともに分析したのであろうか?


 クリスマスイブを間近に控えた大事な時期に、合体ロボの巨大戦どころか戦隊ヒーロー&ヒロインのせいぞろいすら皆無(かいむ)の回さえあった『キングオージャー』とは異なり、「過去最高」の玩具売り上げを記録した『獣電戦隊キョウリュウジャー』の同時期の放映分では、ブレイブ39『せいぞろい! 10だいきょうりゅうパワー』で10人ものキョウリュウジャーが大集結、ブレイブ41『ヤナサンタ! デーボスせかいけっせん』&ブレイブ42『ワンダホー! せいぎのクリスマス』は世界各地に出現した巨大怪獣を相手にキョウリュウジャーたちが各種合体ロボットに分乗して戦う豪華絵巻だった。
 もちろん、それらのみで売り上げが「過去最高」に至ったワケではなく、あくまでその作風や世界観を象徴する例としてあげたのだが、そもそも『キョウリュウジャー』につづく作品群がそうした「スーパー戦隊」本来の魅力を維持できなかったことこそが、近年の長期低迷を招く要因となったのではあるまいか?


 「第1部」につづき、「第2部」でも描かれた『キングオージャー』の群像劇やキャラクタードラマに見ごたえがあったのは確かだ。
 ただ、それらは等身大変身ヒーローのアクションや巨大合体ロボットのバトル演出の中に点描する程度でも立派に両立できることは『キョウリュウジャー』がすでに証明していたのだ。
 なので、第40話から第42話の三部作はゴッドキングオージャーやキングキョウリュウジンの活躍をオマケ程度にとどめるのではなく、それらを強調する中で王族兄弟の因縁物語を点描する作劇の方が妥当(だとう)だったかと思える。


 あと、強(し)いてあげればたいした必然性もなしに第40話に桐生ダイゴの継承者・桐生ダイゴロウを登場させるくらいなら、第42話でラクレスとギラが和解したあとに登場させ、「チキュー」にはない「地球」のクリスマスを伝授することでラストに王様たちがラクレスの味方化を兼ねて祝うなんて絵にした方がよかったのではないのか?
 まぁ、『キングオージャー』に夢中になるような大人たちには「クリスマス」なんて無縁なのだろうけど(汗)。


 やはり「第1部」の終盤で年間の折り返し地点だった第25話『王と民の戦い』で、20体ものメカが全合体したゴッドキングオージャーに各国の王や側近、民ら20人が搭乗して出撃するという、特撮の見せ場としては最大のクライマックスをやってしまったのは、いささか配分を誤ったのではないかと思える。
 これを上回るインパクトを後半の「第2部」で描くのは到底困難だったろうし、先述したように第3クールは半ばくらいまでは王様と側近たちの関係性の変化を中心に描いていたのだから、その総決算として20人出撃をやった方がドラマとバトルを融合させる意味でもふさわしかったのではなかろうか?
 メインライターの高野氏の問題ではなく、そうしたシリーズ構成は大森プロデューサーやバンダイの担当者がキチンと伝達すべきだったろう。


 あと、細かな点をいうなら、5人の王が国際会議で集結するのにそれぞれの専用マシンを飛ばして会議の場に向かうような描写がなかったために、まるで王様たちがご近所からテクテク歩いて集会場に来たかのような印象が強く感じられたものだ(爆)。
 この点も販促の弱さを象徴しているが、「チキュー」ってどんだけ小さい星やねん? と思えたほどに、全世界が舞台の割には実はそのスケール感は乏(とぼ)しかったのではなかろうか?


*「民意」が望んだ「戦い」


 第49話『王はここにいる』で、「チキュー」を捨てて宇宙に避難するように王様たちから呼びかけられていた全世界の民衆が、王様の言いつけを聞かずに反逆者となって宇蟲五道化にいっせいに蜂起(ほうき)するさまは圧巻であり、最終展開としては確かにおおいに盛りあがる描写で感動した視聴者は多かったことだろう。
 ただ、個人的にはこの場面にまったく別の意味で感心した。


 かの太平洋戦争が「昭和」天皇の責任や旧日本軍の暴走以上に一般大衆の「民意」こそが最大の「戦犯」だったのをはじめ、古今東西ほとんどの戦争が「民意」によって支えられるのを実にリアルに描いていると。
 だからこそ、いつまで経ってもやめることができないのだ。
 今の日本人にしろ、敵基地攻撃能力の保有やアメリカが所持する核兵器の共有に賛成する一般大衆が多数存在する。
 近い将来に日本が他国と戦いはじめるとしたら、それは彼らの「民意」こそが原動力なのだ。


 また、ここに至るまでに立ち位置の変化が繰り返されたギラとラクレスに対し、シュゴッダムの大衆がそのときの情勢によって彼らを崇拝(すうはい)してみたり罵倒(ばとう)してみたりといった無責任ぶりが描かれてきたのも、そのリアルさに拍車をかけた。
 「国家総動員法」がなくとも勝手に団結してしまうような群衆心理こそが宇宙人の侵略以上の恐怖であり、その意味では個人的には民の蜂起場面は子供にはあまり見せたくないと感じるのだが。


*「スーパー戦隊の最高傑作」?


 リアルな特撮や大河ドラマ的な作風・世界観を指して『キングオージャー』を「スーパー戦隊の最高傑作」と賞賛する声が各所で散見される。


 ただ、「戦隊初」とされる二部構成に関しては2024年で放映30周年を迎えた『忍者戦隊カクレンジャー』(94年)が、比較的コミカルな作風だった第24話『あァ 一巻の終り』までを「第一部」、次第にシリアスな展開へとシフトしていった第25話『新たなる出発(たびだち)!!』以降を「第二部 青春激闘編」として構築することですでに実現していたのだ。


 また、一度は敵組織によって世界が支配されてしまう展開にしても、『超力戦隊オーレンジャー』(95年)の最終展開ではオーレンジャーが灼熱(しゃくねつ)地獄の魔空間に閉じこめられ、脱出するまでに経過した半年の間に地球が敵組織のマシン帝国バラノイアによって完全に制圧されるさまがすでに描かれていた。
 なお、この当時のミニチュア特撮は現在の観点からすればややチープな印象だったが、序盤でバラノイアの超巨大戦闘母艦・バラクティカが世界各国の都市を攻撃する場面や、小型戦闘艇(てい)・タコンパスと国際空軍の戦闘機による大空中戦などは実に迫力あふれる特撮だったことは特筆しておきたい。


 さらにあげれば、明確なリーダーが設定されていないとか、各キャラごとに因縁の深いキャラを配置し、彼らの関係性を中心に描くことでメンバー全員が変身しない回が存在したり、巨大ロボ戦が描かれない回があったりと、『キングオージャー』でパターン破りとして描かれたいくつかの要素も、『五星戦隊ダイレンジャー』(93年)ですでに実現されていた。


 『キングオージャー』のメインライター・高野氏がこの『ダイレンジャー』が放映された1993年生まれだが、現在の特撮マニアの過半を占める若い世代にとっては先述した作品群は生まれる前に放映されたか、あるいは生まれていても幼すぎて視聴していなかったり記憶に残ってはいないのだろう。
 だが、実はすでに30年前の時点でスーパー戦隊ではさまざまな意欲的な取り組みが行われていたのだ。
 『キングオージャー』を「最高傑作」として断じるのは、せめてそれらの片鱗(へんりん)のみを知ってからでも決して遅くはないのではなかろうか?
 再放送や映像ソフト化がなければ過去作品の視聴が困難だった我々が若かった時代とは異なり、今は各種サブスクで比較的に容易に視聴するのが可能なのだから。


*「ひとつ」を否定した『キングオージャー』


「無理にひとつになる必要はない。姿形、心、ひとつとして同じものはない。交わらないからおもしろい。好きなところは受け入れて、嫌いなところはそっとしておく。違う者同士、ともに生きればいい。手をつなぎ、力をあわせるのはいざというときだけでいい」


 これは最終回のラストで語られたジェラミーによるナレーションだ。
 まさにメインライターの高野氏の世代、つまり、現代の若者たちの対人関係での距離のとり方、ひいては各地域や各国家、国際関係のあり方までをも最大に象徴するものだろう。
 長年にわたって「みんないっしょでなければならない」としてきたもっと上の世代なら、これに異を唱(とな)える者も多いに違いない。
 だが、『キングオージャー』が若い特撮マニアたちの絶大な支持を集めたのは、このメッセージから逆算して構築されたキャラクターや世界観に共感するところが多々あったからこそではないのだろうか?

2024.3.30.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2024年4月号』(24年4月28日発行)所収『王様戦隊キングオージャー』完結評より抜粋)


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『獣電戦隊キョウリュウジャー』後半評 ~8・9・10人目の戦士! イベント編の質の高さ! 熱血活劇度も上昇!
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『獣電戦隊キョウリュウジャー』中盤総論 ~8・9・10人目の戦士登場! イベント編の質の高さ! 熱血活劇度も上昇!
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スーパー戦隊シリーズ評 ~全記事見出し一覧
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チェンソーマン・ノーガンズライフ・ライフルイズビューティフル ~顔面が工具や武器に変化するダークヒーローや、銃器を遊戯にする美少女キャラの意味

(2025年12月7日(日)UP)
『BanG Dream!(バンドリ!)』 ~「こんなのロックじゃない!」から30数年。和製「可愛いロック」の勝利!(笑)
『アイドリープライド』『ゲキドル』『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『おちこぼれフルーツタルト』 2020~21年5大アイドルアニメ評!
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[アニメ] ~全記事見出し一覧



 アニメ映画『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』(25年)が9月19日から公開中! とカコつけて……。『チェンソーマン』(22年)・『ノー・ガンズ・ライフ』(19年)・『ライフル・イズ・ビューティフル』(19年)評をアップ!


『チェンソーマン』『ノー・ガンズ・ライフ』『ライフル・イズ・ビューティフル』 ~顔面が工具や武器に変化するダークヒーローや、銃器を遊戯にする美少女キャラの意味!

(文・T.SATO)

『チェンソーマン』

(2022年秋アニメ)


 「チェーンソー」ならぬ「チェンソー」の名義なれども、電動ノコギリのチェーンソーのことである。


 頭部が巨大な拳銃の姿をした主人公が活躍する『ノー・ガンズ・ライフ』(19年)といった深夜アニメがあったものの、本作では少年が変身を遂げると頭部が巨大なチェーンソーに変貌! といったキャラクターが活躍している。


 幼児のころはともかくローティーンの年齢にでもなれば、「チョイ悪(ワル)」的なカッコよさや、多少は無軌道な暴力などにもあこがれを、全員とはいわずとも大勢の少年が抱いてしまうモノであろう。


 「第二次性徴」とも表裏一体の暴力衝動の発散。世間や自分に対してムシャクシャして一時的な「万能感」を味わうために破壊活動などもしてみたい! といったところを満たす意味でも、ホラー映画『悪魔のいけにえ』(74年)などに登場するチェーンソーなどを振り回す異形のキャラクターもまた普遍性のある存在ではあったのだ。


 とはいえ、そういったキャラクターは「悪」として登場してきて、最終的には退治されることで「日常」へと物語は回帰する。しかし、本作では倒すべき「敵」ではなく、「主人公」として登場させて活躍させる以上は、多少のインモラルさは残しても、劇中内にて否定されるべき存在にしてしまうワケにもいかない。


 といったところで、本作の世界観においては「悪魔」なる敵キャラが実在! 超常的な彼らと超法規的な方法で戦うために「公安」にスカウトされたかたちとすることで、チェンソーマンの暴力的な活躍を正当化しているのだ(よって、少々逸脱した戦い方ではあるものの・笑)。


 もちろん、それだけではない。主人公少年には両親がおらず、家もない。ホームレスのような極貧生活を送っていて、学校にも通っていなかった……。といったあたりで、「格差拡大社会」の現代性といったモノも少々醸して、そこも導入部での「ツカミ」にしているのかもしれない。


 といったところで、「正義のために」というよりも、「最低限の生活を送るために」、あるいは「美人の女上司にあこがれて近くにいたい」、「接点を持っていたいがために」も、戦っているといった感じとすることで、ミクロ・私的なところでは「不純な動機」も持っているような、「ダークヒーロー」の亜種・変種といった、それはそれで今ではよくあるパターンにもカテゴライズができるのだ。


 などと、本作の高い人気にも理解を示しているフリを延々としてきた(笑)。『週刊少年ジャンプ』連載の大人気作品であることも今さらながらに承知はしているし、各種配信サイトでの再生回数も非常に高い。
 しかし、個人的にはソコまでズバ抜けて面白い作品なのかと問われれてしまうと……。それほどでもナイような(個人の感想です)。
チェンソーマン
チェンソーマン

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.84(22年12月30日発行))


『ノー・ガンズ・ライフ』

(2019年秋アニメ)


 「頭部」&「顔面」全体が巨大な拳銃となっているオッサン刑事が主人公のアニメである。いかにもマンガ・アニメ的なキャラ立てである。しかし、それ以外はナンちゃって感はカケラもなく、ハードボイルドなクライム(犯罪)ドラマでありフィルム・ノワールな作劇ともなっている。


 黒光りするリアルな黒鉄色の銃身はまさに現実の重たさがあるし、背景美術もシックでノワールな犯罪荒廃都市といった感じで風情も出せている。


 同季の深夜アニメ『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-』同様に、アニメでやる意味があるのか? といったツッコミも可能ではある。しかし、逆に云うとマンガ・アニメ的な看板が一カ所だけあるからこそ、そこを支点として作品世界に興味が湧くといった心理もあるようには思うのだ。


 ローティーンのマニア予備軍なぞは、まさにそーいうモノではなかろうか? オッサンである筆者もウン十年も前にはTV時代劇『必殺』シリーズ(72~87年))に惹かれた当初の理由は、高度な人間ドラマや社会派テーマなどではなかった。現代人の長髪をした若者や坊主頭をした主要人物たちが、主人公ではなかったものの2番手・3番手として登場し、彼らが奇抜な小道具を用いて悪人を暗殺し、時にレントゲンや心電図映像も挿入される部分に興奮し、そういう高揚(背徳感も含む)を再体験したいがために、視聴を開始したことを思えば、古い革袋にマンガ的な新しい酒を注ぐことで、ジャンルの表現を賦活(ふかつ)させることはまだまだ可能なようにも思うのだ。
第1話 暴走拡張者
第1話 暴走拡張者
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.76(19年12月28日発行))


『ライフル・イズ・ビューティフル』

(2019年秋アニメ)
(文・T.SATO)
(2019年12月15日脱稿)


 「ライフ」ならぬ「ライフル」をタイトルに据えた、高校のライフル部を舞台とした美少女アニメである。


 ライフルといっても、実弾や空気銃ではなくライフルから照射される無害なビームを射的に命中させる、実在の競技であるそうだ。筆者は本作ではじめてそんな競技を知った(射撃時の反動がナイのだそうで、それでは実戦では役に立たないような気もするが・笑)。


 ただまぁ、ビームだとはいえ、現実とはややカケ離れた夢のある「超科学的」「SF的」な兵器なぞではない。実在の兵器にも近しいといった意味では少々物騒さもあるとはいえる。よって、アメリカでの銃器反対運動とカラめて、本作を批判する意見もあってイイようには思える(筆者個人はそーいう批判に同意はしないけど)。


 とはいえ、そのあたりは作り手たちも百も承知か、直感的な作劇なのか、登場する美少女たちはガツガツとした気が強そうな女子は登場しない。ソフトであったり無気力そうな性格の女子たちを揃えているあたりがまたお約束なのである(笑)。


 アイドルやガールズバンドなどを主題としたアニメだと主役女子は元気少女であるのに、メカミリタリ色が強い題材の『ガールズ&パンツァー』や『ストライクウィッチーズ』などだと主役女子が闘争がキライで控えめな女子や守るために戦う治癒魔法女子をメインに据えているものだ。これなども、作品が右翼的に見られることを和らげる直感的な打算・保身の作劇なのであろう(それが悪いというワケでもない)。


 本作もまた後者寄りの発想でのキャラ造形なのであろう。しかし、部室での室内練習など、絵的に地味な本作はアクション面での華には乏しい。よって、ますます地味な気もしてくる。
 部活系の美少女アニメなどのように、競技で勝利したいという「目的意識」や「動機」などにも弱くなっており、足場も定まっていないような気もしてきて、求心力には乏しくなっているようには思うのだ。


 本作とも同様に、野外でのサバイバルゲームでの銃撃に興じる『さばげぶっ!』(14年)といった深夜アニメなども過去にはあった。個人的には本作と同様の評価を下している。しかし、幼稚園・小学校の低学年向け少女マンガ誌『なかよし』出自の『さばげぶ』は、ググってみると7年もの長期連載を達成していたそうだ(汗)。


 そういったグダグダな作品もアニメ化されるくらいだから、相応のニーズはあるのだと考えれば、許容されてしかるべきではあるのだろう(筆者個人はあまり評価はしないけど・汗)。
ライフル・イズ・ビューティフル
ライフル・イズ・ビューティフル

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.76(19年12月28日発行))


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[アニメ] ~全記事見出し一覧
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藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ ~NHKでTVドラマ化! 良作! 1期・2期・3期の全話を寸評!

『妖怪シェアハウス』 ~アマビエ人気に便乗!? お岩さん・座敷童・酒呑童子・ぬらりひょんと現代で同居! 侮れない佳品!
『大江戸もののけ物語』 ~NHKの妖怪ドラマ。女性目線のライトドラマ風味もドー観る!?
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[ドラマ] ~全記事見出し一覧


『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』 ~NHKでTVドラマ化! 良作! 1期・2期・3期の全話を寸評!

(文・中村達彦)
(2025年10月12日脱稿)

3年も続く隠れた特撮シリーズ


 NHK BSプレミアムで先に放送されたあと、地上波の夜ドラで『藤子・F・不二雄SF短編ドラマ』が2023年から2024年、2025年と放送された。


 『ドラえもん』(1969)・『オバケのQ太郎』(1964)・『パーマン』(1966)・『キテレツ大百科』(1974)・『エスパー魔美』(1976)など、マンガやアニメで大ヒットが続いた藤子・F・不二雄の隠れた作品群が実写化。2023年の第1シリーズから、楽しませてもらった。


 その前の2022年にも、SF作家・星新一(ほし・しんいち)のショートショート(超短編小説)が、『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』名義でNHKでTVドラマ化。2023年の日本SF大会・星雲賞メディア部門でノミネートされていた。


 両作とも、SFストーリーが15分の時間で料理。1話ごとに違う物語が語られていた。


 星新一原作は詩的で、藤子・F・不二雄原作はマンガ的。それぞれわかりやすく、超技術やUFO・超能力はじめ、とんでもない現象に遭遇するなど、平凡な日常が非日常に変わっていくさまがていねいに描かれていた。


 1話完結(度々前後編があるが)で、関連性や共通した人物・設定はない。有名な俳優が多く出演。その演技でも、あらかじめストーリーがわかっていても楽しめる。ラストシーンで、原作ラストのコマが入る。


 『藤子・F・不二雄SF短編ドラマ』の方は、オープニングとエンディングが3年間、一貫して同じで、エンディングのアニメーションとフューちゃんの唄う「SF」は可愛く微笑ましかった。



 第1作(第1期)の話は、以下の通りだ。

「おれ、夕子」


 同級生少女が亡くなり、少女の住まいを訪ねた少年に変化が……。田牧そら、鈴木福らが出演。山本耕史の父親が泣ける。


「メフィスト惨歌」


 魂のノルマを達成しようと悪魔は、ある青年に目をつけた。彼は平凡な男だが……。又吉直樹、遠藤憲一、鈴木杏らが出演。


「定年退食」


 未来、日本は老人への保証を打ち切ることに。加藤茶、井上順が好演(高木ブーも出演)、穏やかに終わるが、日本や世界の未来もドラマ通りになるのでは?


「テレパ椎(しい)」


 イラストレーターの青年が拾った、人の心が読める不思議な木の実。いつも好意を持って接する人の本心を知ることに。水上恒司、富田望生らが出演。


「昨日のおれは今日の敵」


 締め切りに追われるマンガ家。次々に別の自分が現れ騒動に。塚地武雅が主演。『ドラえもん』でも同じ話があった。


「親子とりかえばや」


 喧嘩していた父親と大学生の息子。目覚めると意識が入れ替わり、それぞれ入れ替わった状態で過ごす。父親役は吹越満、息子役は青木柚。


「流血鬼」前後編


 奇病が広がって世界中の人々が吸血鬼と化す。家族も親しい人も亡くした少年は、人間が勢力を盛り返すと信じ、抵抗を続ける。前編は、人々が変貌する経緯が描かれ、後編では顛末が。金子大地、堀田真由、加藤清史郎らが出演。
 ロメロ監督の名作ゾンビ映画『死霊のえじき』(1985)を連想するが、意外な結末を辿る。


「どことなくなんとなく」


 妻子がいて、平凡な生活を過ごす男。何か違うと。その気持ちが頂点に達したとき、違和感について明かされる。主演は岡山天音。


「イヤなイヤなイヤな奴」前後編


 長期間でストレスが伴う宇宙貨物船での航海。船員たちと騒動を起こし、嫌われている者がリンチに遭うが、機関室にたてこもる。船員たちはなす術がない。嫌われ者が増田貴久、船長が竹中直人、船員が萩原聖人、野間口徹らが出演。宇宙船内の生活がそれらしく描かれている。嫌われ者の意外な正体とは。



 2024年の第2作は、以下8本のエピソードだ。

「鉄人をひろったよ」


 風間杜夫が鉄人28号そっくりの巨大ロボットに翻弄される老人を演じる。巨大ロボットに乗って飛行するシーンの特撮は迫力ある。


「マイシェルター」


 核戦争の危機を感じたとき、勧められてシェルターを購入しようか迷う主人公。核戦争に直面したときを想像する。浜野謙太、安達祐実らが出演。


「アン子 大いに怒る」


 原作は少女マンガで描いた読み切り作品。藤子不二雄の長期連載漫画『エスパー魔美(まみ)』(1976~1983)の原型でもある。超能力を持つしっかり者少女の奮闘。新井美羽が主演。皆川猿時、矢柴俊博、青木崇高らが脇を固める。


「3万3千平米」


 マンション暮らしのサラリーマンは謎の男に土地を売ってほしいと言われるが、心当たりがない。山寺宏一、劇団ひとりらが出演。


「あいつのタイムマシン」


 幼なじみの2人、かたや結婚したマンガ家、かたや無職の貧乏暮らし。ある時、対面して、後者は信じて念じていれば、タイムマシンが未来にできると語る。やがて。


「じじぬき」


 自分をないがしろにする息子一家に怒り、亡くなっていった老人。死後の世界へ行くも、悲しむ家族や友人に……。泉谷しげると原田美枝子が夫婦を演じる。


「いけにえ」


 巨大なUFOが訪れた世界。UFOは目的が明かされず、長く留まり続けている。ある浪人生は、UFOが自分を指名したと知る。政府に捕らわれた彼は、抵抗の末、恋人と過ごし、やがて運命を受け入れるが。


「旅人還る」


 超未来を舞台に、離れ離れになったカップルの顛末。森山未來が宇宙の果てを目指す主人公を演じる。林原めぐみが宇宙船の人工知能の声を。他に成海璃子、嶋田久作らが出演。結末は狐につままれるようで。




 藤子・F・不二雄のSF短編は、昔から度々映像化されてきた。2014年に「未来ドロボウ」(1977)が『世にも奇妙な物語』で神木隆之介主演でテレビドラマ化。
 「アン子 大いに怒る」(1974)も、1986年にフジテレビの90分枠「月曜ドラマランド」で改題前の本来の『赤毛のアン子』名義で荻野目洋子主演で取り上げられている(今回の再ドラマ化でも主人公の母親役で出演!)。その時のストーリーはかなり改変されていた。


 また、1990~1993年にも『藤子・F・不二雄のSF(すこし・ふしぎ)短編シアター』名義でオリジナルビデオアニメとしてアニメ化もされており、複数の話がYOUTUBEでも視聴可能だ。



 私は中学時代から、原作を読み、大体のストーリーは知っていた。原作マンガはSFを含んだ爽快な結末が多い(時にはアンハッピーエンドもあるが)。品がある「世にも奇妙な物語」といったところか。
 こういうことが未来に起きるんじゃないか? もしかしたら本当にこうなんじゃないか? と一抹の恐怖を匂わせた話も。アイデアが古い感は特にない。SF入門書としても適している。


 多くの作品は、すでにストーリーはわかっていたが、映像化したらどうなるかが楽しみだった(第1シーズンに放送された「流血鬼」は、藤子が1996年に逝去する前の90年代中盤に、平成ウルトラマンシリーズを担当する以前で、熊の縫いぐるみや美少女をメインにファンタジックな作風を旨としていた小中和哉監督に対して、藤子との対談で映画化の話が上がっていた。しかし、企画倒れに終わって残念に思ったものだ)。


 「えっ、この人が」と起用に驚かされた俳優の演技と、VFXやアニメーションを取り入れて仕上がっていた。低予算の安っぽいTVドラマには見えない。




 今年2025年に放送された第3シーズンは11本のうち、4本が先に放送され、2025年8月下旬に7本は夜ドラで放送されていた。


「換身」


 あるアベックが拉致され、体を入れ替えられてしまう。だが、逆襲に転じる。尾上松也、のん、六平直政、佐野史郎らが出演。


「タイムマシンを作ろう」


 ある中学生に未来から訪れた人物。将来、自分はタイムマシンを作ると言う。言われるがままにタイムマシンを完成させるが、続いて現れた人物は……。市村優汰主演。未来からの来報者は父親の市村正親が演じる。


「俺と俺と俺」


 登山から帰宅すると、顔も姿もうりふたつの男が家にいた。お互いに自分こそ本物だと言い張る。そして3人目が。主演は矢本悠馬。


「ミラクルマン」


 思った通りに上司が死んだり、憧れの女性と結婚する男。それは奇跡を起こしているのか? 単なる偶然なのか?



「みどりの守り神」前後編


 前後編である。最も楽しみにしていたエピソードだ。他の話より詳しく解説したい。


 旅客機の墜落事故に遭った少女みどりは、父母を失い、雪山で眼を覚ましたとき、かなり時間が経過していたが、どうなっているのかがわからない。


 同じ生存者の坂口青年と山を下るが、行けども行けども、人はおろか、鳥や獣、魚や虫の姿もない。草木が生い茂るばかり。


 慣れぬ行程にみどりは傷つき、遅れるばかり。一見、親切な坂口もイライラを募らせる。


 無人の集落で過ごしたあと、急造した筏(いかだ)で川を下るが、生きるものの姿はなく、濃い緑の森林が続くばかりだ。筏は廃船と衝突。2人は投げ出されてしまう。


 しかし、蔦(つた)に絡まり岸に打ち上げられていた。その前から、お腹が空いたときに木の実があったり、怪我をした足が一晩経つと治っていたりと、幸運が続いていた。


 陸路を進むふたりの前に、やがてジャングルに呑み込まれたビル群が……。墜落事故から100年が経過した東京であった。


 残されていた新聞から、細菌兵器が漏洩し、人類を含む生物が死滅してしまったことが明らかに。坂口はショックで発狂して出奔。行方不明となる。


 1人残されたみどりは、自分の住まいへと向かう。緑に覆われていたが、墜落事故の前と同じ状態で残っていた実家。何も希望がなく、みどりは自殺する。だが、そのあとに……。



 救いのある結末。SF設定が組み込まれ、タイトルにも秘密が隠されており、うまい。


 期待に違わぬ映像化。緑に包まれた東京は、CGで描かれた。昔はここまで映像化できなかっただろう。往年のNHKの平日夕方枠の『少年ドラマシリーズ』(1972~1983)の匂いを感じたという声も。



 みどりは藤﨑ゆみあ(新人のモデル出身)、坂口はNHK大河ドラマ『べらぼう』(2025)で好演した宮沢氷魚。最後に出演する人物を仲村トオルが演じる。原作で描かれた姿とは異なるキャラクターだ。


 脚本・演出・VFXを手がけたキムラケイサクは、東映特撮のCGデザインを長く務め、本作シーズン2でも「鉄人をひろったよ」を担当していた。


 本話は往年の大作SF邦画『復活の日』(1980)とあちこちで重なっている。この「みどりの守り神」の原作マンガが描かれたのは1976年。映画『復活の日』は1980年で、小松左京の原作SF小説が書かれたのは1964年。藤子・F・不二雄は原作をおそらく読んでいたのだろう。「みどりの守り神」もアニメ化されている。YOUTUBEでも視聴できるかも。


「宇宙(そら)からのオトシダマ」


 藤子・F・不二雄作品ならではの、宇宙人と少年との心温まる交流。買いたいものが買えず、幼馴染が家庭教師に首ったけ。不満だらけの少年。そこへ落下してきたピンクのまるい物体から不思議な体験を。中堅声優・釘宮理恵が宇宙人の声を。黒川想矢、豊嶋花、田中要次らが出演。


「オヤジ・ロック」


 石をペット替わり(『ドラえもん』でも存在した)に売る営業マンが、タイムマシンを知って大儲けの手段を考える。3度目のタイムマシンねた。えなりかずきが主演。


「マイロボット」


 少年が購入した組み立てロボット。父や弟も手を加えてしまう。完成したロボットは少年に特別な感情を抱き、ガールフレンドを敵視するように、大西利空が主演。2025年上半期のNHKの朝ドラ『あんぱん』で好演した原菜乃華、中島歩も出演。


「分岐点」


 嫉妬深い妻に悩む男は「あの時、違う彼女を選んでいたら」と後悔するばかり。そんな時……。ハッピーエンドとは言いがたい。


「ユメカゲロウ」


 伝説の虫をめぐるひと夏の体験。夏の終わりにふさわしい、幻想的な物語。向井理、山時聡真、幸澤沙良、伊武雅刀らが出演。


「異人アンドロ氏」


 不思議な能力を持った隣人に巻き込まれた男の話。ディーン・フジオカと中村倫也のコンビは、『ウルトラマンオメガ』(2025)の主人公ソラトと副主人公コウセイのコンビに似ているような。中尾明慶や名作アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006)の主演声優でも有名な舞台・ミュージカル女優の平野綾も出演。連作のエピソードであったが、本作発表の翌年の1996年、藤子・F・不二雄は逝去。絶筆となった。



 『藤子・F・不二雄SF短編ドラマ』は基本的には原作に忠実に映像化されていたが、いくつか改変されている。


 「みどりの守り神」では、みどりが自殺する前に、川で裸になり沐浴していたが、NHKドラマでは、さすがにそれは……。


 「じじぬき」は、死後の世界で老人が妻を殴るシーンが原作に存在したが、カットされていた。DV(家庭内暴力)であり、今の世では刺激が強すぎると自粛されたのであろう。


 劇中では、2020年代の現代が舞台なので、スマホが使われているシーンが何度もあった。



 藤子・F・不二雄のSF短編マンガのストックはまだまだたくさんある。来年もシーズン4をやってくれないだろうか?


 「幸運児」「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」「ポストの中の明日」「倍速」などなど、まだまだ面白い話が残っている。「宇宙船製造法」「絶滅の島」などは予算がかかってしまうだろうが。「ひとりぼっちの宇宙戦争」「ニューイヤー星調査行」は映像化されないのだろうか? しかし、「ミノタウロスの皿」「間引き」「コロリころげた木の根っ子」はヌードやDVのシーンがあるので「これはちょっと」とは思う。


 この『藤子・F・不二雄SF短編ドラマ』も星雲賞メディア部門でノミネートされてほしい。過去にも『ウルトラマンティガ』(1996)や『仮面ライダークウガ』(2000)に『特捜戦隊デカレンジャー』(2004)などが、今年2025年は映画『侍(さむらい)タイムスリッパー』(2024年)が星雲賞メディア部門を受賞している。


 星新一、藤子・F・不二雄の他にも、マンガ家・西岸良平は『三丁目の夕日』(1974~)が有名だが、SF短編のマンガを多く描いてきた。一部は90年代にTVドラマ『世にも奇妙な物語』枠で映像化されている。しかし、まだまだ実写ドラマ化したら面白い作品がある。こちらもNHKでテレビドラマ化してほしい。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2025年10月号』(25年10月13日発行)所収『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』評より抜粋)


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藤子・F・不二雄SF短編ドラマ(アマゾンプライム・NHKオンデマンド)
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