『ウルトラマンオメガ』(25年)序盤総括 ~宇宙人の超人・正義の味方の怪獣たち・変身アイテム・先輩ウルトラ戦士の図像のコレクションアイテムらを活かすためには!?
『ウルトラマンアーク』(24年)前半総括 ~鎧・アイテム・内宇宙・倒置法の作劇・昭和怪獣・タテ糸! 今後の「ウルトラ」はどうあるべきなのか!?
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円谷フィールズHDの中期経営計画は正論! 近作ウルトラマンの弱点! 玩具性・連続ドラマ性の軽視! SF性や原点回帰より、異形の好敵手や巨悪と戦うヒロイズム・高揚感を強調すべきだ!
(文・久保達也)
(2026年6月6日・脱稿)
今度こそ「ウルトラマン」は変われるのか!?
*この3年間のテレビシリーズは「失敗作」だった!?
2026年5月12日(火)、円谷プロダクションとパチンコなどの遊戯興行会社のフィールズの親会社にあたる円谷フィールズホールディングス株式会社は、東証(東京証券取引所)の株主向けに、2025年度の決算を公表する中で、
●『Beyond the Legacy(ビヨンド・ザ・レガシー)』――直訳すると「遺産を超えて」。あるいは「遺産の向こう側」――
と題して、2027年度から2029年度の3ヶ年にわたる今後の事業・経営計画を発表して、特撮ファンの間でもおおいに話題になっている。
その前段として、2024年3月期から2026年度3月期にわたる「中期経営計画」の振り返りがなされている。
【営業利益推移】
●2024年3月期 中期目標60億円→実績38億円
●2025年3月期 中期目標40億円→実績28億円
●2026年3月期 中期目標32億円→実績 9億円
これはあくまでも玩具会社・バンダイ側ではなく「ウルトラマン」を製作している円谷プロダクション側のそれである。そして、世間一般に開示されがちな「売上高」の方ではなく「営業利益」の方である。上記の資料のさらに前年である2023年3月期の「営業利益」の方の実績は、同資料によれば43億円であった。この3年間はずっと右肩下がり。特に2025年度から2026年度の激減ぶりは深刻なレベルだ。
ちなみに、株式会社バンダイナムコホールディングスが発表している「営業利益」ではなく「売上高」については、以下のとおりであった。
●2024年3月期:191億円(国内83億円)
●2025年3月期:140億円(国内67億円)
●2026年3月期: 96億円(国内55億円)
バンダイ側の玩具の売上高だけを見ても、やはり大きく半減していたのだ(爆)。
また、この3年間の
●「テレビ世帯視聴率」
●「Google(グーグル)トレンド検索回数」
両者の推移がグラフ化されている。
●前者の分析では、「メインターゲットの3歳から6歳の視聴層を現状では取りこめておらず」
●後者の分析では、「『有名特撮の関心度水準』と比較すると低水準だ」――ぶっちゃけ、『仮面ライダー』との比較だろう(笑)――
などと言及している。
平均視聴率も、
●『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)が1.18%(パーセント)
●『ウルトラマントリガー』(21年)が1.09%
●『ウルトラマンデッカー』(22年)が0.84%
とこちらも右肩下がりの傾向がつづいている。『ウルトラマンオメガ』(25年)に至っては、資料によればシリーズ終盤の数字はたった0.4%である。
おそらくは、映画『東映まんがまつり』で『仮面ライダー電王 プリティ電王とうじょう!』(20年)とも同時上映になったことがある、絵本が原作で東映アニメーションが製作した、NHKの「Eテレ」(旧・教育テレビ)で放送中の幼児向けテレビアニメ『おしりたんてい』(18年~)だとも思われる1.8%との差は歴然だ(汗)。
そして、映画『シン・ウルトラマン』(22年・東宝)の公開前後の時期は、Googleの検索回数が異常なまでに爆上がりしたものの、それも一時的でせっかく集めた一般の大人たちの関心も持続されることはなかった。
2019年からの再ブームやトレカ(トレーディング・カード・ゲーム)の大人気などで躍進がいちじるしい中国市場などと比べて、これら日本市場の厳しい現状を資料では
「日本ではTVシリーズ最新作を毎年投入し続けている一方で、“母国”でありながら、ファン獲得・熱量の維持がしきれていない」
と自己評価しているほどだ。
つまり、作品自体の評価はともかくとして、この3年間に投入されたテレビシリーズの最新作
●『ウルトラマンブレーザー』(23年)
●『ウルトラマンアーク』(24年)
●『ウルトラマンオメガ』(25年)
は「営業」的には「失敗作」であったと、当の円谷プロダクションの本体ではないが、その親会社である円谷フィールズホールディングス株式会社の方は自ら厳しい評価を下したことになるのだ(汗)。
*「ファン獲得」「熱量の維持」ができなかったテレビシリーズ(汗)
●「本編の人間ドラマが長すぎて、ウルトラマンや怪獣の出番があまりにも少ない」
●「基本的に1話完結の話ばかりで縦軸が薄いから、継続視聴する気になれない」
●「シリーズが変わっても似たような話が繰り返される。しかも、『ブレーザー』にあった話を『アーク』でやっても何の支障もない」(笑)
●「玩具の販促(販売促進)をする気がない」
このところの『ウルトラマン』に対する、特撮マニア諸氏による批判のなかに、よく見られた定番の声がこれらである。個人的にも、実にごもっともな指摘だと思う、
いや、「50年」もの歴史に幕を閉じた『スーパー戦隊』シリーズの『暴太郎(あばたろう)戦隊ドンブラザーズ』(22年)に対しての意見も、同様なものが多かった。つまり、『ウルトラマンブレーザー』の前作『ウルトラマンデッカー』(22年)放映の時点でも、すでにそうした意見は各所で見られていたのだ。
東映のプロデューサー・白倉伸一郎氏と脚本家の井上敏樹(いのうえ・としき)先生がタッグを組んだゆえの作品の「長所」。つまり、往年の『仮面ライダーアギト』(01年)や『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年)などでは濃厚だった「謎解き展開」・「群像劇」といった魅力については、『ドンブラザーズ』では完全に影を潜(ひそ)めてしまっていた。
ネットでの瞬間風速的な「バズり」を優先したかのような(汗)、あまりにも誇張した作劇と演出。本編ドラマの流れと関係なしに、唐突に出てくるヒーローの強化形態や新たなロボット&その合体バリエーション。白倉&井上の「短所」ばかりがめだっていたのだ(笑)。
変身ヒーロー作品なのに、最終展開に至るまでヒロイズムやカタルシスがほとんど感じられない、もちろん確信犯だろうグダグダとした変化球のノリについては、特撮マニア間では相応に人気を集めたことは認めるし、子供間での玩具の売上がよかったことも事実として認めるのだが、個人的には致命的に思えたものだ。
今にして思えば、『戦隊』崩壊への序曲(汗)とでも解釈できそうな作風だったのだが、それと同じとまでは云わないまでも、似たようなことを『ウルトラマン』もこの3年間にわたってひたすら繰り返してきたのではあるまいか?
●主人公と敵のレギュラー悪に強い因縁(いんねん)をもたせ、その出自や関係性にまつわる謎解き展開で視聴者をひきつける連続ドラマ性にあふれる作劇
●往年のレジェンドウルトラマンの力を「お借りします!」の変身で、歴代シリーズとも関連をもたせて新旧双方のファンを取りこむ手法
それらを両立させていた
●『ウルトラマンオーブ』(16年)
●『ウルトラマンジード』(17年)
そして、コミカルにすぎた作風については批判も多かったが、
●『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年)
それらの2010年代のニュージェネレーションウルトラマンシリーズは、少なくとも「ファン獲得」「熱量の維持」には成功していた印象が強いのだ。
だが、
●「初代ウルトラマンみたいなシンプルなデザインにしたい」
●「変身アイテムを長々と映(うつ)したくない」
などとゴネた(笑)メインの田口清隆(たぐち・きよたか)監督を、玩具会社・バンダイ側が必死に説得したことで、実際のかたちになったという『ウルトラマンブレーザー』(23年)以降、「連続ドラマ性」よりも「1話完結」の傾向が強くなってしまった。
*話数をまたがって登場する、敵の中堅幹部や幹部交代劇にラスボス! 第三勢力やライバルの投入で、ワンパターン化を回避した、新世代ウルトラマン作品!
●『ウルトラマンギンガ』(13年)では、話数をまたいだ敵として「闇のエージェント(代理人)」なる中堅幹部が設定され、バルキー星人からナックル星人へと代替わりしていった。
●次作『ウルトラマンギンガS(エス)』(14年)でも、敵の中堅幹部がチブル星人からガッツ星人へと交代していく趣向が設けられていた。そのチブル星人が製造した量産型の戦闘員キャラことチブロイドまで登場して、特撮部分のみならず本編部分でもアクション場面を拡充して、実に飽きっぽい子供たちの興味・関心をテレビ画面へと持続させることにも貢献(こうけん)していたのだ。そして、両作の最終的なラスボズは偽ウルトラマンギンガともいえる闇の巨人・ダークルギエルであった。
●『ウルトラマンX(エックス)』(15年)の第1話冒頭でバトルが繰り広げられた青い球の正体も、最終回の前後編に登場した虚空(こくう)怪獣グリーザであった。
●『ウルトラマンオーブ』(16年)では、主人公のライバル青年としてジャグラスジャグラーが登場。シリーズを通した好敵手として描かれていた。
●次作『ウルトラマンジード』(17年)では、悪のウルトラマンベリアルとも通じているクールでダンディーな壮年のSF作家センセイがシリーズを通じた宿敵でもあった。
●その次作『ウルトラマンR/B』(18年)でも、シリーズ前半では地方の大企業のユカイな壮年社長が悪のウルトラマンことウルトラマンオーブダークに変身して立ちはだかった。シリーズ後半では1300歳以上(笑)の女子高生(?)・ツルちゃんが宿敵として立ちはだかっていた。
●その次作『ウルトラマンタイガ』(19年)では、ウルトラマントレギアが宿敵であって、その飄々とした人間態も登場していた。
こうした趣向は若い特撮ファンやジャンルファンの注目も集めて、これらの宿敵を「半分は指をさして笑いながら観ている」といった意味でありながらも、やはり目が離せなくなるといった二重の意味もこめて、「円谷のヤベーやつら」と呼称するネット・スラング(俗語)も生まれていたほどだ(笑)。
第3勢力としては、『ウルトラマンオーブ』には「惑星侵略連合」という歴代ウルトラシリーズの人気悪役宇宙人の集団が登場していた。『ウルトラマンタイガ』にも「ヴィラン・ギルド」という歴代ウルトラシリーズの人気悪役宇宙人による犯罪者集団が登場していた。こうした趣向もよかったとは思うのだ――後者については、そもそもほとんど登場しなかったという問題点もあったものの(汗)――。
しかし、『ウルトラマンデッカー』の続編映画『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』(23年)、そして『ウルトラマンブレーザー』(23年)以降は、レジェンドウルトラマンどころか、前作の主人公ウルトラマンとの共演! といった、巨悪に対して先輩ヒーローとの共闘で立ち向かうような、「各話の人間ドラマ性」はさておいたところでの、爽快なる「イベント編」「バトル編」すらもがいっさい描かれなくなってしまったのだった。
――次作『ウルトラマンアーク』(24年)のシリーズ中盤でこそ、ブレーザーとの共演はあったものの、そのブレーザーは本家とは別人で、パラレルワールドの並行同位体(笑)としてのそれであって、本人との共演ではなかったあたりが物足りなかったので、これは除外としておきたい――
その『ウルトラマンアーク』では、アークの活躍が1分間にも満たなかった回が、一部の中二病的な特撮マニアからは絶賛されていたものだ(爆)。しかし、そうした試みはあくまでも我々のような年長のマニア受けする「異色作」や「パターン破り」としてのそれにすぎないのだ。そして、そうした華(はな)が感じられない作風は、子供向け番組としては営業的にはなんの利益ももたらさないという厳然たる事実を、今回公表された資料は我々に突きつけているのだ。
ところで、インターネット上の巨大掲示板『5ちゃんねる』で、『ブレーザー』まではたしかに存在していた「アンチスレ(ッド)」(掲示板)が、ここ2作の『アーク』と『オメガ』に関しては放映終了までいっさい立てられることがなかった。
「ニュージェネレーションウルトラマン」のシリーズ全体に対する「アンチスレ」は存在する。しかし、作品個別に対する「アンチスレ」がないということは、『ブレーザー』あたりで「ウルトラマン」に愛想をつかしてしまった若い特撮ファンは、もう『アーク』や『オメガ』をアンチの立場ですらなく、いっさい視聴していなかったり、たとえ視聴はしていたとしても、もはや語る気にすらならなかったのではあるまいか?
『オメガ』にはアンチファンがめだたず、(特に年配の特撮マニアには)絶賛の声が多かったのも、そういった事情かと推測されるのだ。よって、今や「ウルトラマン」を視聴しているのは、少しでも作品に批判的なコメントをしようものなら「ウルトラマンの「悪口」を云うな!」(苦笑)とばかりに即座にかみついてくるような、いわゆる「信者」たちばかりではないのか?
2025年度に28億円だった円谷の「営業利益」が2026年度に9億円にまで激減したというのは、そのことをも如実(にょじつ)に示しているように思えてならないのである。
*懸念される「実行性」のある「現実的」な打ち手
「実行性のある現実的な打ち手で“母国”である日本からアジア起点のグローバルIP(アイピー・知的財産)企業を目指す」
「価値創造」「収益化」の両面から「勝ち筋」をつくりきれていないとする現状に対する反省を踏まえたうえで、円谷は2027年度から2029年度の3年間の「基本」方針として「熱量を生む作品展開」を打ちだしている。
「熱量」! ここ20年ほどでのオタク間でのネット・スラングであったものが、いつのまにやらこのようなビジネスの世界においても使用されるようになってしまうとは……。ドラマ性やテーマ性を超えたところでのいろいろな「何か」、我々が作品についつい執着させられてしまうさまざまな「何か」を示すためには、この「熱量」という言葉は実に的確な用語ではないだろうか。
それによれば、「今後3年間に放映される新作のテレビシリーズはすべて同一の世界観での連続性のあるストーリー展開」として製作して、ファンを1年だけで卒業しないようにするのだそうだ。
……「そんな当たり前のことに、今ごろ気づいたんかい!」とツッコミたくはなるのだが(笑)、遅くはあっても、それはたしかに望ましい方向転換ではある。
そして、これらと並行して例年、テレビシリーズが終了した直後の2~3月頃に公開されてきた「冬~春映画」に加え、「今後は毎年夏にもテレビシリーズと連続性をもたせた「映画」を公開する、途切れのない映像製作体制によって、「ウルトラマン」を「視聴」「鑑賞」する「習慣化」をつくりだす」としているのだ! そういった処置も決して悪くはないだろう。
YouTubeの再生回数での各作の人気の度合いを実証! そこから透かし見える、あるべきウルトラの姿とは!
ちなみに、ウルトラマンゼロの弟子だと設定され、M78星雲のウルトラ兄弟たちが所属する宇宙警備隊の新米隊員だと設定されたことで、歴代ウルトラシリーズの世界観とも直結させて、先輩ウルトラマンたちとの共演も重ねたのが『ウルトラマンZ』であった。その熱血バカで明朗な作風で、若い特撮ファンからの人気もおおいに集めていた。動画無料配信サイト・YouTube(ユーチューブ)の「円谷公式チャンネルYouTube」での各話の限定2週間の再生回数も全話が100万回(!)を突破していたほどだ!
次作『ウルトラマントリガー』や『ウルトラマンデッカー』の再生回数は、さすがに『ウルトラマンZ』の域には達していない。放映を重ねるごとに再生回数は減少していった。しかし、それでも少なくとも50万回には達していたし、その50万回もあくまでシリーズ後半になってからのことだ。
『ウルトラマンブレーザー』第1話『ファースト・ウェイブ』の再生回数は、そのアダルティーかつミリタリックで本格的な特撮ビジュアルの衝撃が話題になって、2週間で724万回(!)もの驚くべき再生回数を稼いでいる。しかし、第6話『侵略のオーロラ』が2週間で62万回にしか達しないほどに大激減してしまっていた。第7話『虹が出た 前編』の再生回数は、配信開始の2023年8月26日(土)から1週間を経た同年9月2日(土)朝9時の時点で46万回にしか達していなかった。繰り返すが、『トリガー』や『デッカー』はシリーズ後半でも50万回には達していた。それと比較すれば、早くも序盤の時点で1週間の再生回数が50万回を下回っている『ブレーザー』は、危うい状況にあったと解釈せざるをえない。
『ウルトラマンアーク』の再生回数は最終展開に至るまで、もっと残念な結果に終わっている。第9話『さよなら、リン』は配信1週間で30万回にしか達していない。つづく第10話『遠くの君へ』から第18話『アーク協力要請』に至るまでは、その30万回にも届かない25万回前後という低空飛行だった。『アーク』の前作『ブレーザー』のウルトラマンブレーザーとウルトラマンアークの共闘が描かれた第19話『超える想い』こそ1週間で40万回に達した。しかし、その40万回を記録したのは実に第5話『峠(とうげ)の海』以来のことだった。
――ちなみに、第6~7話あたりで徹底した華やかな先輩ヒーロー客演編を配置していた『ウルトラマンZ』・『ウルトラマントリガー』・『ウルトラマンデッカー』では、いずれも変身前の青年を演じた役者さんはもちろんのこと、それぞれの因縁の敵までもが総登場して、YouTubeでの再生回数も1週間で数百万回にまで達していた! 『ウルトラマンZ』で「昭和」のウルトラマンエースがゲストで登場して、ウルトラマンゼットと共闘した回は、1週間の再生回数が150万回を突破! ウルトラマンジードが助っ人(すけっと)参戦した回は、5日ほどで200万回を突破していたのだ! にもかかわらず、前作『ブレーザー』とのコラボ(レーション)回はそうはなっていないのだ――
そして、つづく第20話『受け継(つ)がれるもの』から第22話『白い仮面の男』までは、最終展開を目前にした大事な時期であるにもかかわらず、再度25万回前後に落ちこんでしまった。特に『白い仮面の男』はマニア間では高い評価を獲得しているが、再生回数を見るかぎりでもやはりマニア受けの回であって、手放しでの絶賛はできないのではないのか?
最終章三部作の序章である第23話『厄災三(やくさい・み)たび』はひさびさに1週間で30万回を超えていた。しかし、第24話『舞い降りる夢幻(むげん)』はそれを下回る30万回であった。最終回(第25話)『走れ、ユウマ!』の1週間の再生回数は40万回、2週間で46万回だった。1週間の再生回数が「40万回」というのは、前作『ブレーザー』後半の「通常回」の数字なのだが…… ちなみに、『ブレーザー』最終回(第25話)『地球を抱(いだ)くものたち』の配信1週間の再生回数は50万回であり、『アーク』の最終回はそれを10万回も下回ってしまったのだ。
第16話『恐(おそ)れの光』の1週間の再生回数は23万回だった。これは同日に「東映特撮 YOUTUBE OFFICIAL」で配信された『仮面ライダードライブ』(14年)第22話『F1(エフワン)ボディでどうやって戦えばいいのか』の24万回を下回る数字であった。『アーク』第18話も、その『ドライブ』第26話『チェイサーはどこへ向かうのか』の25万回よりも少ない24万回に終わっていたのだ。10年も前に放映され、「東映特撮 YOUTUBE OFFICIAL」では再三配信されてきたがために、一般の視聴者的には「観飽(あ)きた」との感が強いであろう『ドライブ』にすらも負けてしまっているのだ。なお、『アーク』の「最終回」と前後して「東映特撮 YOUTUBE OFFICIAL」でのシリーズの配信が終了した『海賊(かいぞく)戦隊ゴーカイジャー』(11年)の最終回も配信1週間で「40万回」と、『アーク』の最終回と同じ数字であった。
近作の批判ばかりをしてしまったが、『ウルトラマンZ』以前にも、YouTubeの再生回数が低かった作品はある。『ウルトラマンタイガ』のシリーズ後半がそれだ。1週間の再生回数が毎回30万回程度にしか達していなかったのだ。同作も「昭和」の時代に逆行したかのように縦軸・連続性がきわめてウスい「1話完結」形式の趣(おもむき)が強かった。しかも、レギュラー悪のウルトラマントレギアにそそのかされた、地球人に擬態している平和的なゲスト宇宙人が葛藤(かっとう)の末に「悪」に走るといった陰鬱(いんうつ)で湿っぽい話が多発したために、こちらもシリーズ後半は失速したと見てもよいだろう。
しかし、『タイガ』は第1話『バディゴー!』冒頭(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190811/p1)でせいぞろいした7大ニュージェネレーションウルトラマンたちの宇宙空間での大活躍を描いたり、ウルトラマンタイガ・ウルトラマンタイタス・ウルトラマンフーマといった3大ウルトラマントリオを主人公格とし、彼らの間でかわされるコミカルなやりとりが「カワイイ」(!)などとコメントされたほどにシリーズ序盤は好調だったのだ。第1話の再生回数は1週間で100万回を超えていたのだ!
そうであれば、今後のあるべきウルトラマンのあり方はもう自明のことだろう! 先輩ウルトラマンが共演できるような、良い意味でのB級SF的で広大なる世界観! そして、陰鬱な人間ドラマよりも、もっと明朗な戦闘・バトル・作戦中心・怪事件中心のストーリーだ! 人間ドラマや社会派テーマなどは、それらに付随して発生するくらいでちょうどよいのだ! むしろ、その方が鼻につかずに、かえってドラマやテーマが視聴者や子供にも素直に伝わるくらいではなかろうか!?
*「連続ドラマ性」を実現していた、ネット配信シリーズ『ウルトラギャラクシーファイト』に学べ!
YouTubeの「円谷公式チャンネル」にて2019年9月29日から12月22日まで配信されていた
●『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』(19年)
その最終回のラストは、やはり同時期に最終回を迎えたばかりのテレビシリーズ『ウルトラマンタイガ』(19年)の第1話の冒頭へとつながる内容で、ウルトラシリーズのファンたちをおおいに喜ばせていたものであった。
●ウルトラマンゼロを「師匠」と呼ぶ、コミカルなウルトラマンを主人公としたことで、ひさびさに若い特撮マニア層にもおおいに注目され、新規のファンを獲得することにも成功した『ウルトラマンZ』(20年)
●『ウルトラマンティガ』(96年)やその続編『ウルトラマンダイナ』(97年)の並行世界だったとはいえ、近似した世界観を共有するとされたことで、若い特撮マニア間では賛否両論が激突するに至った、『ウルトラマントリガー』(21年)と『ウルトラマンデッカー』(22年)
これら3年間の3作品は少なくとも往年のファンにも「ウルトラマン」に再度注目させることにも成功し、話題性は大きかったのだが、そればかりではない。
これらと並行して、YouTubeの円谷公式チャンネルにて2020年11月22日から2021年1月31日まで配信された
●『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀(いんぼう)』(20年)
そして、2022年4月29日から同年7月1日にかけて配信された
●『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』(22年)
これらの作品では、歴史をさかのぼって、往年の『ウルトラマンタロウ』(73年)第25話や『ウルトラマンメビウス』(06年)終盤などでも描かれたことがあった、「昭和」のウルトラマンたちの故郷・M78星雲・光の国で数万年前に発生した、暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人&怪獣軍団の襲撃による通称「ウルトラ大戦争」まで、新撮映像で描写されていたのだ!
エンペラ星人に立ち向かった、若き日のウルトラの父ことウルトラマンケンと、のちに悪の黒いウルトラマンへと闇落ちすることになる若き日のウルトラマンベリアルとの共闘までもが描かれたのだ。そして、ウルトラの母ことウルトラウーマンマリーに横恋慕(よこ・れんぼ)するベリアルの姿も描かれたのだった。
そればかりではない。映画『劇場版ウルトラマンR/B セレクト! 絆(きずな)のクリスタル』(19年)にて敵として初登場し、次作『ウルトラマンタイガ』の宿敵としても登場した、悪の青黒いウルトラマンことウルトラマントレギアが闇落ちする以前の時代においては、『ウルトラマンメビウス』で初登場した青いウルトラマンことウルトラマンヒカリとも、光の国の宇宙科学技術庁での同僚であり、その時代の交流も描かれていたのだ。
そして、往年のネット配信短編シリーズ『ウルトラマンメビウス外伝 ヒカリサーガ』(06年)でも描かれていた、ヒカリの闇落ちの現場には、なんと! トレギアも居合わせていたとされた! そして、その闇落ちを制止できなかったトレギアの落胆をも描いていたのだ。
ウルトラマンタイガの変身アイテム・タイガスパークも、実は皮肉にも、のちのタイガの宿敵・トレギアが闇落ちする以前に開発したものであったと判明する!
しかも、それがウルトラマントレギアとその親友(!)でもあった「昭和」のウルトラマンことウルトラマンタロウとの交流を懐古して、それとダブらせるダブル・ミーニング(二重の意味を持たせる)のかたちで描かれるのだ。
そして、タロウの「正義」や「光」を信じすぎるようなあまりに健全にすぎる心では、闇落ちしたウルトラマンヒカリをまのあたりにして落胆し傷ついて弱ってもいるトレギアの心に寄り添ったり包摂して癒(いや)すことなどできはしない! かえって、繊細な心の機微(きび)や襞(ひだ)には欠けていて単調にすぎてしまう「正義」に対する疑念を、そして親友・タロウに対する距離感・疎隔(そかく)感を拡げてしまっているさまも描いて、後年のトレギア闇落ちの「伏線」ともしたのだった!
「後付け設定」(笑)でパズルのピースを埋めているところもあるのだが、これもまた広義での「連続ドラマ性」! いや、「大河ドラマ性」ではなかろうか! ウルトラマンたち自身による「人間ドラマ」そのものでもなかろうか!?
それらは、たしかにウルトラシリーズ各作内での「連続ドラマ性」ではない。しかし、それを超えたところでのウルトラシリーズ全体を通じた「連続ドラマ性」「大河ドラマ性」ではなかろうか!? こうした「内容」面でも実に秀逸(しゅういつ)な作品群の存在が、若い特撮マニアたちを「ウルトラマンシリーズ」へと注目させて、その「習慣化」にもおおいに貢献していたとも思うのだ。
すでに、映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE(ザ・ムービー) 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年)以来、並行宇宙を越境できるとするSF設定を導入できてはいた。それによって、作品世界が異なるレジェンドウルトラマンたちの共闘も可能になっていた。
2016年度以降の「ニュージェネレーションウルトラマン」作品の映画『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』(17年)以降の「劇場版」では、前作の主人公ウルトラマンとの共闘を描いてもいた。作品世界が異なっている歴代「ウルトラマン」作品でも、それらの作品にはすべて「放映順」(笑)での前後関係があったとされた。広義での「連続ドラマ性」も付与されたのだ。そして、近作のウルトラマン同士が知己(ちき)になっていく過程なども描いてきたのだ。
『トリガー』のテレビシリーズ序盤には前作『Z』の主人公・ウルトラマンゼットが、『デッカー』のテレビシリーズ序盤にも前作『トリガー』の主人公・ウルトラマントリガーがゲストで登場して共闘を見せたことで、その前後編形式でのエピソードもおおいに盛りあがって、そうした趣向はさらなる強固なものとなっていったのだ。
もちろん、そういった試みの先駆者(せんくしゃ)は、「昭和」と「平成」の「ウルトラマン」ならぬ「ウルトラ怪獣」たちが同一世界で共演することになった、BS媒体で放送されたテレビシリーズ『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年)であった。
そのウラ設定としては、初代『ウルトラマン』(66年)にも登場したことがある四次元怪獣ブルトン(!)によって「ギャラクシークライシス」なる事象が発生し、次元(並行宇宙)に裂け目が生じて、「昭和」ウルトラの未来世界に「平成」ウルトラ世界の「ウルトラ怪獣」たちが召喚されてしまったとしていたのだ(笑)。
その後、「平成」のウルトラマンであるウルトラマンダイナがその看板番組の最終回のラストで、「次元」を越境していった設定を援用・拡張して、「昭和」ウルトラの未来の世界に再登場させた映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年)もあった。
その次作『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』では、「昭和」ウルトラの「宇宙」の外へといったん出てから、宇宙の外にアブクのように多数の宇宙が浮かんでいるビジョンで、マルチバース=多元宇宙=平行宇宙=パラレルワールドの概念を視覚的にもわかりやすく映像化してみせていたのだ。
それらの設定の有効活用の一例として、『ウルトラマンオーブ』と『ウルトラマンジード』との間に半年間放映されていた再編集番組『ウルトラマンゼロ THE CHRONICLE(ザ・クロニクル)』(17年)の枠内で放映された新作ミニドラマシリーズ『ウルトラファイトオーブ 親子の力、おかりします!』(17年)を挙げておこう――ちなみに、この『ゼロ ザ・クロニクル』の平均視聴率は1.4%で、『オーブ』の1.2%よりも高かったのだ!(爆)――。
この『ウルトラファイトオーブ』では、『オーブ』の主人公・ウルトラマンオーブが、「昭和」のウルトラ兄弟の一員であるゾフィー・ウルトラセブン・ウルトラマンジャックと共演するのみならず、かつてはウルトラ兄弟が敗北したこともある「昭和」の強敵怪獣でもあった火山怪鳥バードン・宇宙ロボットキングジョー・地底怪獣グドン・古代怪獣ツインテールに今回こそは快勝! ウルトラシリーズのファンや特撮マニアたちをおおいに熱狂させていたのだ!
そのラストでは、一瞬の登場ではあったものの、次作『ジード』の主人公・ウルトラマンジードまでもが、まさかの顔見せ的にサプライズで登場する! 同作のラスボスである亡霊魔導士レイバトスをその必殺光線で倒してみせてしまうほどの活躍をするのだ!
――『ウルトラマンジード』の最終回におけるこのシーンの回想では、ジードではなくベリアルが必殺光線を放ったかたちで、映像が差し替えられてはいたが(笑)。映画『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(09年)以降、および映画『侍(さむらい)戦隊シンケンジャーVS(対)ゴーオンジャー 銀幕BANG(版)!!』(10年)以降、次作の仮面ライダーや次作のスーパー戦隊が短時間だけ助っ人参戦して、観客側でもおおいに喜ぶ趣向が、すでに東映特撮作品では恒例化はしていたものの。ついでに云っておくと、次作の新ヒーローが先行して顔見せ登場する趣向は、「後楽園(こうらくえん)ゆうえんち」の今はなき「野外劇場」で公演されていた1979年末の「スーパー戦隊」の年末年始興行が元祖であったそうだ――
「昭和」ウルトラも『オーブ』も、そして『ジード』も、その出自となる世界は並行宇宙の関係にあって「別世界」ではある。しかし、平行宇宙を越境可能とする設定の導入で、すべての作品に広義での「連続性」があって、広義での「同一世界」であるとされて、さらにそこにちょっとした知的な「SF」風味まで付与されていたのだ!
これらファンの大勢も歓迎していた成功例を踏まえれば、先述した今後3年間の「同一の世界観での連続性のあるストーリー展開」が導きだされたのは必然であろう。遅きに失した感は否(いな)めないものの、「営利企業」の方針としても実に正しい判断ではあるだろう。
*「中期経営計画」は来年2027年度以降のもの! 今年2026年度の『ウルトラマンテオ』には適用されないことから来る「玩具展開」への懸念!
ただ、これに関してはいくつかの懸念(けねん)されることもある。
まずひとつは、2026年7月から放映予定の最新作『ウルトラマンテオ』(26年)は、例年どおりの製作スケジュールであれば、この「基本」方針が表明される以前の製作開始になるので、すでに「撮影」の大半が終わっているだろうことだ。「脚本」に至っては全話がその執筆をとっくに完了させていることだろう。
――いわゆるポストプロダクション(合成などの後処理)などは未完了だと思われる。CGモデルづくりやCG合成などは結局、アナログ特撮よりも時間がかかるようで、合成カット自体は増える一方なので、下請けの日本映像クリエイティブ社などには、やはり結局は人件費を安価におさえるためにも(汗)少人数体制で長期間をかけて対応してもらっているのではなかろうか?――
つまり、今年2026年度の『テオ』では、「ウルトラマンシリーズ60周年記念作品」であるのにもかかわらず、「シリーズ40周年記念作」であった『ウルトラマンメビウス』や、「平成仮面ライダー10作記念作品」であった『仮面ライダーディケイド』(09年)に、「スーパー戦隊シリーズ35作記念作品」であった『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)などのような、歴代先輩ヒーローがぞくぞく登場するような「お祭り作品」にはならない可能性が高いのだ。
『ブレーザー』『アーク』『オメガ』とも同様に、「連続ドラマ性」には乏(とぼ)しい、直前作のウルトラマンとも共闘を果たさないような、「独立した世界観」の地味な作品になってしまう可能性が高いのだ。
『ウルトラマンブレーザー』『ウルトラマンアーク』『ウルトラマンオメガ』、そして『ウルトラマンテオ』と、実に4年にもわたって、それぞれが「独立した世界観」による、地味でおとなしめの作品がつづいてしまっては、来年2027年度からはじまるであろう「新展開」まで、ファンの「熱量」がはたして持続できるのだろうか?
仮に、来年2027年度からはじまるウルトラマン作品が「連続ドラマ性」を持つことができていたとしても、心配は残る。それまでの「昭和」や「平成」や2010年代~2020年代初頭までの「ニュージェネレーションウルトラマン」とは縁もゆかりもない「独立した世界観」での作品になってしまうことだ。
そんな作品になってしまっては、今の子供たちも若い特撮ファンたちも決して喜びはしないだろう。やはり、巨悪が襲来した際には頼もしい先輩ウルトラマンが客演してきて大活躍もするような作品を皆は観たいのだから!
そして、『ウルトラマンテオ』の玩具展開への懸念だ。すでに発表されているウルトラマンテオに変身するための変身アイテムには、ついに各種のカード・メダル・カプセルなどを挿入したり、可動部分があるような、いわゆるプレイバリューを有するギミックが見当たらないのだ。
こうしたオモチャおもちゃした趣向をイヤがる年配のウルトラシリーズファンは多いことだろう。しかし、「光る! 回る!」といったギミックが付いていた「昭和」の仮面ライダーの変身ベルトを、我々ロートル世代も喜んでいたではないか?(笑)
ここ15年ほどの「仮面ライダー」の玩具の売上高の好調も、変身アイテムに挿入できるような、比較的に安価で多種多様なカード・メダル・カプセルなどの小物の売上が押しあげているのだ。
そうしたことを考えれば、こうしたコレクションアイテムを画面上どころか、玩具展開においてすらも前面には押し出していないことについては、玩具の売上高の面では暗澹(あんたん)たる気持ちにならざるをえない。
『ウルトラマンオメガ』の変身アイテムに挿入できるハズの小物アイテム・ウルトラメテオの数々も、劇中にはまったく登場しなかったものだ。そんなことだから玩具の売上高も右肩下がりに半減してしまうのだ。円谷のスタッフのみならず、バンダイ側の近年のウルトラマン玩具の担当者もいったいなにをどう血迷ったらそうなってしまうのか?(汗)
やはりウルトラマンに変身したあとも、ウルトラマンのインナースペース(内宇宙・体内)では、変身前の人間が顔出しで登場してきて、その右手で変身アイテムを持って、左手でカードやメダルをこれ見よがしに挿入して、タイプチェンジ名や必殺技名を絶叫するような、「ニュージェネレーションウルトラマン」独自の個性でもあった「演出」も復活させるべきではなかろうか?
――そして、この趣向には、特撮バトルになっても、変身前の人間が顔出しで登場してきて、セリフをベラベラとしゃべらせて、表情演技などもさせることで、「バトル」と「ドラマ」の分離を回避するといった効用もあったのだ!――
ちなみに、『ウルトラマンギンガ』(13年)から『ウルトラマンアーク』(24年)までは、シリーズ終了後の2~3ヵ月後にその後日談が「劇場版」として上映されてきた。しかし、前作『ウルトラマンオメガ』(25年)につづけて今年度の新作『ウルトラマンテオ』もまた、テレビシリーズ終了後の「冬~春映画」は製作・公開されないことが、各種のパブリシティー資料ですでに明らかとなっている(汗)。
『オメガ』の最終回は、一度は命を落とした副主人公ホシミ・コウセイ青年が、それまでの主人公として描かれてきたオオキダ・ソラト青年=ウルトラマンオメガの命をもらって一心同体、オメガと合体したことで、「最終回なのに、(歴代ウルトラシリーズ通例の)第1話が描かれた!」などと、少なくない数のマニア諸氏に大絶賛されていたものだ。
そうであれば、このコウセイ青年が新しいオメガとして活躍するような「続編映画」を製作してほしかったところなのだ。しかし、ここ数作のウルトラマンの「劇場版」の興行収入もかんばしくはなかったのだろう。よって、おそらく「劇場版」の制作予算を調達できなかったゆえに、この「劇場版」の企画も流れてしまったとも憶測するのだ。
――『オメガ』の最終回で、歴代ウルトラシリーズ第1話とも同様の、地球人の青年とウルトラマンとの合体を描いてみせた趣向それ自体は悪くはなかったとは思うのだ。しかし、それ以上に、通常回とは異なるスケールの大きな地球規模の危機や、シリーズを通しての宿敵でもあるラスボス存在を倒してみせるようなカタルシス・爽快感には不足していたという一点で、個人的には『オメガ』の最終回を手放しでは推せないのだが(汗)――
*ナチュラルなお芝居よりも、漫画・アニメ・喜劇的に誇張されたオーバーアクション演技で、作品の空気感を明朗・快活にせよ!
『オメガ』と『テオ』の間に半年間弱の期間で現在、放映中の再編集番組『ウルトラマン ニュージェネレーション スターズ(4期)』(26年)では、なぜウルトラマンゼットやウルトラマンジードではなく、新米ウルトラマンとして誕生したばかりのコウセイ青年=新生オメガの方をホスト(主人)役にして、先輩ウルトラマンたちのことを「知る」「学ぶ」といった形式にできなかったのか?
これもおそらく、オメガよりもゼットやジードの方が良い意味で漫画的に誇張された明るくにぎやかなキャラクターだからだろう。子供たちや若い特撮マニアたちにも親しみやすくて取っつきやすいゆえの処置だろう。
そして、メインターゲットの幼児にとっては、やはりソラト青年=オメガであったことだろう。最終回でのコウセイ青年=新生オメガといった図式それ自体がそもそも理解ができていない可能性も高いといった、『ニュージェネレーションスターズ』側のスタッフ、ぶっちゃけ「構成」職の足木淳一郎氏などの考えもあっての処置なのではなかろうか?
とはいえ、仮にも直近の最新ヒーローは、ウルトラマンオメガであったのだ。つまり、子供たちには最も馴染み深いウルトラマンとはオメガであったハズなのだ。来年2027年度以降の「ウルトラマン」作品では、こういったチグハグな問題点は、本当に改善できるのだろうか?
*半年放映して半年は再編集番組! 後者には発想の転換が必要! そして、夏映画の投入の是非!
次に、従来のようにニュージェネレーションウルトラマンシリーズの新作を半年強放映し、残る半年弱は過去作の名場面集や再放送で構成される作品を放映する体制は、来年2027年度以降も変わらないのであろうか?
今回の「3ヶ年計画」では、それについては具体的に言及されてはいない。もちろん、放映期間が半年から1年になるということは、話数も倍になる。つまり、作品トータルでの制作予算の総額も倍はかかってしまうのだ。それだけの金銭をスポンサー・製作委員会の各社から調達したり、銀行から借り入れしたりすることは、今のウルトラの商業規模・玩具売上高では困難なことだろう。
「わずか2クールしかないのに、3回も4回も「総集編」がはさまれることで、興味が削(そ)がれてしまう」
このところの新作「ウルトラマン」では、毎年このように若い特撮マニア間でも批判されている。ただでさえ、「独立した世界観」の作品がつづくなかで例年、半年弱にもわたって「使い回し映像」ばかりの「総集編」シリーズをはさむことで、「連続性」どころかより「分断」を招いているのは、ファンの「熱量」を維持する意味ではマイナスではあるのだ――ウラ番組の『おしりたんてい』も、その半年分は実は再放送なのだが(笑)――。
予算の問題で2027年度以降もこの放映形式が変えられないのであれば、どうしても相応にギャラがかかってしまう人間の役者さんなどは登場しない、ロケ撮影なども発生しない、全編を合成用のグリーンバックのスタジオ撮影だけで済ませられる、先述した『ウルトラギャラクシーファイト』のような大宇宙を舞台にした「仮面劇」のシリーズ作品を、せめて低予算でも新たに製作すべきではなかろうか!? 「同一の世界観での連続性のあるストーリー展開」をつくりだすうえでも、これはきわめて有効な戦略かと思えるのだが……
――その意味では、『ウルトラマントリガー』のシリーズ中盤の前後編で、『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズの宿敵である金色の悪の超人・究極生命体アブソリュート・タルタロスらが出現し、それを追って同作で活躍中のウルトラマンリブットが助っ人参戦したような趣向もまたやってほしいものである。次には同じく同作で初登場したばかりの新戦士・ウルトラマンレグロスなどにもテレビの新作のウルトラマンシリーズやその続編映画などで助っ人参戦して、アブソリューティアンたちとも戦ってほしいものなのだが…… 2代目・宇宙刑事ギャバンが『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)と『宇宙戦隊キュウレンジャー』(18年)に助っ人参戦したような、子供レベルでの知的・SF的な好奇心(笑)などもクスぐられるような趣向を、今後のウルトラシリーズでもぜひとも恒例化してほしいものである!――
さて、先述したように2027年度以降の「基本」方針では、「毎年夏」と「冬」に映画を製作・公開としていた。しかし、個人的には正直これは「無謀(むぼう)」であるとしか思えなかった。
先述した映画『シン・ウルトラマン』は44億円もの興行収入を記録した。しかし、これはかの巨大ロボットアニメの大ヒット作『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)で有名な庵野秀明(あんの・ひであき)監督が手掛けた『シン・ゴジラ』(16年)に始まる『シン』シリーズとして製作されたことで、一般層をも広く誘致できたからにすぎないのだ。
ウルトラマン映画でこれに次ぐ興行収入をあげたのは映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・松竹)である。しかし、その実績は8億4千万円であった。『シン・ウルトラマン』以外のウルトラマン映画は興行収入が10億円を超えたことはただの一度もなかったのだ(汗)。
あいかわらず営業成績が好調な『仮面ライダー』でさえもが、2010年代においては毎年春・夏・冬と年に3回も「劇場版」を公開していたにもかかわらず、2020年代初頭のコロナ渦(か)を経て、現在は毎年夏の1回だけの公開にとどまっている。しかも、興行成績も先述した『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』程度であり、今や10億に届くか届かない程度なのが現状なのだ。
これを思えば、ウルトラマンは「映画」を年2回公開するよりも、テレビシリーズと連動した低予算のサイドストーリーの短編シリーズなどをネット配信する方が、はるかに「現実的」なのではあるまいか? あるいは、『ウルトラギャラクシーファイト』の続編も毎年、それがムリなら2年に1回くらいは製作できないものなのか?
「昭和」のウルトラ6兄弟の海外での版権を主張する、タイ国の今はなきチョイヨー・プロダクションや、そこから権利の譲渡を受けた日本のユーエム株式会社でもなく、さらにそのユーエム社から権利の譲渡を受けたという(汗)、中国の某・珠海奇奥天尊文化発展・有限公司による訴訟での2022年8月の広東省・高級人民法院での判決によって、中国での展開がネックになっているというのなら、一時的に「昭和」のウルトラ6兄弟が登場しないストーリー展開に改変すればよいだけなようにも、筆者のような素人(しろうと)には思えてしまうのだが……
「映画」の公開が年1回にとどまる一方で、「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」は最新作のヒーローが往年のレジェンドヒーロー&ヒロインとも共闘するコラボレーション短編シリーズや、テレビシリーズのサイドストーリーの短編シリーズが、把握(はあく)しきれないほどに数多く、東映公式のYouTubeチャンネルでは配信されるようになった。
その東映公式のYouTubeチャンネルでは、往年の「仮面ライダー」と「スーパー戦隊」の旧作も定期的に配信されている。つまり、それらの旧作が「新作とも同一の世界観での、その過去の時代における連続性のあるストーリー展開」だとして視聴者の目に映ることで、「ライダー」と「戦隊」を「習慣化」させる効果をも発揮しているのだ。
円谷のウルトラマンも、「映画」よりもそちらの方向性に活路を見いだすべきだと思われる。
現状の円谷プロの公式YouTubeチャンネルでは、旧作はセレクト形式でしか配信されなくなっている。有料会員のみでしか全話を視聴できなくなっている「旧作テレビシリーズ」も、かつては地上波テレビで再放送を重ねたことで、その時代ごとの新世代のファンを獲得してきた。
それを思えば、「旧作テレビシリーズ」も定期的に全話を配信して、新作の「テレビシリーズ」や「映画」ともつながった「同一の世界観」での過去作だとして、子供たちや若い特撮ファンたちにも印象づけるべきだろう。
時に怪獣や宇宙人にも同情すべき余地があるので、ウルトラシリーズは単なる勧善懲悪ではない! といった意見はもっともである。
しかしそれ以上に、秘術を尽くし合って怪獣や巨悪をやっつける爽快感が、この手のヒーローものの本質、ひいてはスポーツや格闘技観戦の本質であることも否めない。その意味では、ヒーローものとは本質的に不謹慎なジャンルなのだ(汗)。
そこにじゃっかんの問題はある。でも、それでもよいではないか? まずは小難しいドラマやテーマなどではなく、派手派手な特撮カットとカッコいいアクション! そして、巨悪と戦うヒロイズムや高揚感こそを主眼としてほしいものである!
最後に、50数年前の1973年10月に勃発した「第4次中東戦争」を契機とした第1次「オイルショック」が当時の特撮ヒーロー番組に大打撃を与え、ひいては変身ブーム=第2次怪獣ブームが下火となったことを、リアルタイムで幼少期に体感したロートル世代からすれば、核兵器などよりもよほど危険な(爆)アメリカのトランプ大統領が招いた中東情勢の悪化こそが最大の懸念材料だ。
昨年度の『ウルトラマンオメガ』の時点でも、レギュラーキャラがたったの3人しかいないとか、「本編も特撮も「山」ばかり」(笑)だと揶揄(やゆ)されたほどに、「低予算」の作品であることが顕著(けんちょ)であったものだ。
せっかく円谷フィールズが見せた「構造改革」の姿勢が、広げすぎた大風呂敷とならないよう、その情勢の推移もあわせて注視していきたい。
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