假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありませんので、悪しからず!(笑)

仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー 〜ヒーロー大集合映画の教科書がついに降臨か!?

(2018年2月17日(土)UP)
『仮面ライダービルド』戦争編・総括 〜北都が東都へ武力侵攻をドー観る!?
『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』
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『仮面ライダー』シリーズ評 〜全記事見出し一覧


仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー

(17年12月9日封切)
(脚本・武藤将吾高橋悠也 監督・上堀内佳寿也 アクション監督・宮崎剛 特撮監督・佛田洋

ヒーロー大集合映画の教科書がついに降臨か!?

〜異なる世界観の接合をヨコ糸に、1個の作品を超えた連続性をタテ糸に!〜

(文・T.SATO)
(17年12月29日脱稿)

平成ライダー」『最終作』を騙る巨大な釣り針(笑)


 平成の元号も実質、来年2018年の平成30年で終了。再来年の2019年5月からは新元号がはじまる。つまり来年2018年は平成の実質最後の年であり、再来年は新元号の元年となるのだ。よって、この2017年9月に放映が開始された『仮面ライダービルド』は最後の平成ライダーとなる――その次のライダーを平成ライダーと取るか新元号ライダーと取るのかはビミョーで、その売り方次第だが(笑)――。
 機を見るに敏な東映スタッフはイイ意味でケーハクにもこの機会を見逃さず、本作のタイトルを『平成ジェネレーションズFINAL(ファイナル)』と銘打って、ほんの一瞬だけでも仮面ライダー最後の映画か!? と誤解させるやもしれない、耳目を引くようなお下劣な手段に出た。スーパーマン死す! ゴジラ死す! 中村主水(なかむら・もんど)死す! 年輩のオタであれば、20世紀にもあった既視感のある詐欺的な光景だろうし、このJAROにクレームすれすれの宣伝コミでの手法に、今さらガチで釣られてケチを付けるようなヤボな御仁も少なかろう。


お題は、最新&直前ライダーの共演! 2010年代の先輩ライダー客演! それに見合う悪事&悪党は!?


 今回の年末お正月映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー』(17年)の第1のお題は、最新現役ライダーの『仮面ライダービルド』と直前作の『仮面ライダーエグゼイド』(16年)との共闘だ。
 第2のお題として、彼らをイザというときにサポートしてくれる伝説の先輩ライダーとして、2作品前の『仮面ライダーゴースト』(15年)、1年飛んで『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(13年)、また1年飛んで『仮面ライダーフォーゼ』(11年)、そして『仮面ライダーオーズ』(10年)という4大ライダーを復活させる。


 彼ら主役級の6大ライダーが共闘するに値する必然性を与えるにあたり、当然ながらTVシリーズ本編での通常編のゲスト怪人や幹部級怪人とも異なるスケールの大きな「強敵」や「巨大な悪事」が求められる。
 それは、巨悪ではない小物の悪党を相手に、6大ライダーがよってたかってボコボコにすれば、卑怯な弱い者イジメになってしまうからでもある(笑)。


 そこで本作が出した結論である「巨大な悪事」とは……。『仮面ライダービルド』が住まう「地球」と、『仮面ライダーエグゼイド』が住まう別の「地球」を、真っ向から激突させることであった!
 コレはウマい! 見た目一発判然の映像としても非常にわかりやすい! しかも2つの地球が平行世界を超えて次第に接近していくサマを、映像の変化としても魅せていく。


絵で見てわかる巨大な異変! 2つの地球! 2つの超巨大な手のヒラ型メカ!


1.2つのそれぞれの世界の頭上に浮かぶ、もうひとつの地球!
2.さらに近づくと、頭上にもうひとつの日本列島!
3.もっと近づくと、天井に氷柱のようにブラ下がった都心の高層ビル街!
4.あげくの果てに、敵の超巨大メカの火弾攻撃の連発で切断された高層ビル群が高空から降ってきて、空撮で見下ろした東京湾を横断する巨大鉄橋の周辺の海面に次々と落下していく!


 この2つの世界を接合させる超科学兵器のビジュアルも文字通りにキャッチー(笑)。双方の世界にある超巨大な「手のヒラ」型のメカなのだ! 昭和世代のオッサンであれば東映特撮ヒーロー『宇宙鉄人キョーダイン』(76年)やロボットアニメ『勇者ライディーン』(75年)に出てきた超巨大「手のヒラ」型のレギュラー敵メカ母艦を、悪い意味ではなく想起せずにはおれないだろう。
 なんでそんなカタチをしているのかとツッコミしてはイケナイ。映画の大画面の下半分を占める東京都心と、画面の上半分を占める上下が逆転した東京都心を、互いに招き寄せて呼び求め合うかのように、上下の地面から伸びてきた巨大な「赤い手のヒラ」と「青い手のヒラ」が接近してきて、ついに後楽園ゆうえんちでボクと握手!
 わかりやすいではないか!? 良くも悪くも始末が悪い「握力」も感じられるような力感もある力強い「特撮映像」ではないか!?


整合性が取れない作品同士は逆用して、絵で見てわかるパラレルワールドに!


 もちろんこの2つの地球の激突の危機を描いたのは、10年も前に我らが日本国が上空に赤い透過光を放射しつづける万里の長城がごとき超巨大な「壁」で3つに分断されて3大国家が鼎立(ていりつ)した舞台を描く『仮面ライダービルド』の世界観が、ドーやっても直前作『仮面ライダーエグゼイド』以前の3大分断国家の気配のカケラもない平成ライダー諸作の世界観とは整合性が取れないゴマカシも効かないモノだからでもある。
 この矛盾・不整合を解決するのに取られた手段。それがこの2つの世界をハッキリと異なる世界であるパラソルだかアパレルだかのパラレルワールド(笑)として位置付けることであり、しかもそれを幼児や一般ピープルや、『ビルド』世界の2号ライダーことSFオタ属性皆無のヤンキー不良な仮面ライダークローズ・万丈龍我クンでさえも眼で見てわかるような(汗)、念押しで人物のまわりをカメラが長回しで360度周回しても赤い透過光を発する巨大壁が微塵も見えない光景や、2つの地球の接近&激突の危機が迫る緊急事態を、明瞭なビジュアルとしても呈示することであった!
 スペクタクルな「特撮映像」そのものが作品の見せ場となり、「特撮映像」そのものが作品世界の「状況」や「ドラマ」をも雄弁に物語る! コレは「特撮」というジャンルの理想型ではなかろうか!?


巨大な悪事と並行して、等身大の小憎らしい人格悪も設定!


 もちろん非人格的な「巨大な悪事」や非感情的な「巨大なメカ」だけでは、巨大ヒーローではなく等身大ヒーローである仮面ライダーの敵としては釣り合いにくい。心情的にも小憎らしい人格悪を倒す方がカタルシスも増す。加えて、2つの世界で終始バトルがくりひろげられてそれぞれで完結してしまったなら、2つの世界の分断感も強くなってしまう。
 そこで、本作が取った手法は、人間である憎々しいゲスト悪役・最上魁星(もがみ・かいせい)を設定して、2つの平行世界にそれぞれ存在する同一人物でもあるマッドサイエンティストの彼を一人二役として登場させ、それぞれの世界で歯車をデザインモチーフとした左右非対称の赤いダークヒーロー・ライトカイザーと青いダークヒーロー・レフトカイザーに変身させることであった。
 しかも、最終的にはこの2つの地球の最接近時に、『ビルド』世界の今後の展開をややこしくさせないため……、もといバグスターウィルスの収集目当てか『エグゼイド』世界の方へと、この超巨大な「手のヒラ」ともども平行世界を股にかけた同一人物2人がやってきて合体し、左右半分が赤と青のバイカイザーに強化変身するのもお約束! それによって、不老不死の力を得るというのも「科学」というより「オカルト」だが、「このテの子供向け作品で細けぇことは気にするな(笑)」。


超巨大・鉄腕を伝って登場&戦闘! 2大ライダー共闘や玩具アイテムに設定的必然性も付与!


 数千数万のメカ戦闘員たちがアリのように集合して、巨大な「手のヒラ」を地面から伸びる腕のように支えるビジュアルも圧巻だが、そこを伝い登ってバイクで最新ライダービルドが駆け下りてくることで、戦場を直前作『エグゼイド』の世界に集約して一本化!
 都心を横切り山間へと高速飛行を開始した、その超巨大な両手をつないだ、実は次元融合装置でもあった超メカの金属甲板上で、ラスボス・バイカイザーvsビルド&エグゼイドのラストバトルが展開! それまでに順次、登場していた平成レジェンドライダーたちとも集結を果たして、ボリュームも尺もいっぱいのラストバトルを展開することとなる。


 もちろん新旧2大ライダーが共闘するに足る必然性もある敵役として、そのゲスト悪役・最上魁星にも新旧2大ライダーに設定的な接点も持たせる。彼はビルドこと桐生戦兎(きりゅう・せんと)クンも勤務する『ビルド』世界のレギュラー機関である政府の研究所の元職員でもあり――この設定によりこの映画では変身後の姿は登場しないけどコウモリ男型のダークヒーロー・ナイトローグに変身するダンディーな壮年・氷室幻紱所長にも情報提供の役回りで登場させることができる!――、しかも『ビルド』世界の超巨大な壁の近辺で、『エグゼイド』世界で怪人を発生させるバグスターウィルスを微量に発見して、『ビルド』世界で怪人を発生させるネビュラガスと混交させることで、ネビュラバグスターなる設定の多数の合体戦闘員をも創造させたことにする。


 加えて毎年の映画連動ビジネスで、ライダーに変身するための変身ベルトのサブアイテムである、さまざまな戦闘属性設定を持たせたメモリやメダルやスイッチ、ロックシードや眼ん玉やガシャットなどに、なぜだが先輩ライダー属性(笑)を持たせた番外アイテムを発売し、これをたいてい「お祭り映画だから細けぇことは気にするな」とばかりに伏線ナシで披露して、映画専用の番外形態に強化変身してみせていた平成ライダーたちだが、この作品では劇中内でもそれらにキチンと一応の合理的な起源を持たせる!


 『エグゼイド』世界の変身サブアイテムに今回追加された「仮面ライダービルド」属性のガジェット(小道具)ならぬガシャットは、女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ最終回でもやってるけど、子供たちを最終回で卒業させず次作へ興味を引くために、『エグゼイド』終盤に取って付けたように登場した次作のヒーロー・ビルドと戦った、黒いエグゼイドこと5号ライダー・仮面ライダーゲンムの若社長がビルドを研究して開発したモノだと設定! これにより一度は強敵の特殊能力で変身能力を奪われた『エグゼイド』世界の4大ライダーたちも、ビルド属性のパワーで敵の能力を中和して再度変身可能に!


前作終盤での新ヒーロー客演ともコジツケ成功! 現行作の劇中内でのナゾともリンク!


 同じく先の夏休み映画の『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』(17年)終盤で、仮面ライダーエグゼイドの成分(笑)を抜き取った仮面ライダービルドも、それは彼の記憶にない1年前の記憶喪失以前の出来事とし、とはいえ『エグゼイド』世界がビルド出現1年後の時間軸ではない理由も、2つの世界で時間の流れ方が異なっており、『エグゼイド』世界の6号ライダー・仮面ライダーパラドクスことパラド青年にとっては越境先の『ビルド』世界を2年近くも過ごしていたけど、『エグゼイド』世界では1週間しか経っていないことにして、このへんの矛盾もSF的なワクワク感とともに整合させつつ、往時の『エグゼイド』世界に出張したビルドの正体は戦兎クンではなく、『ビルド』TV本編のキーパーソンでもある今は亡き(?)マッドな青年科学者・葛城巧(かつらぎ・たくみ)であるかもしれないと戦兎クンが解釈してみせることで、TV本編のナゾ解きとも絶妙にリンクさせて、トリプル・ミーニングともしてみせる!
 ついでに仮面ライダービルド自身も、エグゼイドの2大成分である「ゲーム」と「お医者さん」(笑)の2つのボトルを左右の両手に持ってカシャカシャ振るや、仮面ライダーエグゼイドに変身してピコピコハンマーで戦う!(何でやねん!?)
 『エグゼイド』終盤におけるビルドの幾度かのゲスト出演の時点では、この映画の展開を見越していたとはとても思えないので、コレらの展開は後付けなのだろうが(笑)、パズルのピースを埋めていくような楽しさもあって結果オーライだ!


助走台としてのいかにもな日常と、いかにもなレギュラーキャラ描写!


 もちろん本作の2大巨頭の日常部分も漏らさず助走台として描いていく。
 『ビルド』世界の主人公たちのホームベースである喫茶店での主人公・戦兎クン、2号ライダー・万丈龍我クン、ヒロイン・美空(みそら)ちゃん、サブヒロイン・紗羽(さわ)さんらの漫才で映画は始まり、『エグゼイド』世界のホームベースである聖都大学付属病院でのお医者さんライダーたちやヒロインズのTV本編アフターも嬉しくなる。
 タブレット画面に写る電子牢獄に囚われたライダーゲンムことゲーム会社の元若社長も、TV後半で炸裂する「神」を自称する歌舞伎調のテンション高い変人演技は相変わらず絶品で、現実世界に緊急出獄後も、両腕を組んで後ろにのけぞっていた上半身&顔面を急に前面に突き出したり、敵戦闘員を辛うじて倒せただけなのにクチだけは強がりながら、額の冷や汗をぬぐいつつ舌をベロリとナメまわすギャグ演技などは、思わず心の中で爆笑!


工業地帯・巨大ダム・モダンな建築物の広大な構内! ロケ背景の映画的スペシャル感!


 そして、2つそれぞれの世界に出現した新型モンスターと戦う舞台もいつものTV版とは異なるロケ地であり、個人的には北関東の鹿島あたりの工業地帯を想起させる長大な金属パイフやタンクや煙突や階段を張り巡らせた巨大プラントであったり、北陸か甲信越を想起させる巨大ダムであったり、昨年度の映画『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト withレジェンドライダー』(16年)のロケ建物と同じ場所だと思うけど、巨大な「コ」の字型の郊外のモダンな建築物で、構内には巨大な「吹き抜け」や階段などもある広大なロビーなどを舞台に、ドローン・無人ヘリによる空撮アングルや、ワイヤーを使って高くジャンプしたり降下したり壁面も伝うような立体的なアクションがくりひろげられる!
 この建物内の長大なアーチ型の階段や廊下にブルーシートを敷いて、ケガ人や避難民役として数百人ものエキストラを動員し、1カットの長回しでカメラが階段を降っていき反転して廊下も移動していくあたりも実にすばらしいし、個人的には第2期ウルトラシリーズの映像派の鬼才・真船禎(まふね・ただし)カントクの演出(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061012/p1)も想起させる。
 まさに映画版ならではのゴージャスで特別感あふれる映像を、脚本うんぬん・スケール感うんぬん以前の段階で、本作は映像的にも構築できている!


ピンチに小出し(笑)に駆けつけてこそ、先輩ヒーローのキャラも立つ! 音楽の力とキービジュアル!


 2つの地球が激突するまで、あと24時間! あと6時間! あと3時間! あと30分! というタイムサスペンスでも盛り上げる中、コレ以上はもうダメだ! ドーすればイイのか!? という万事窮すという段になると、レジェンドライダーが順次出現!――ゴースト(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160222/p1)ことタケルくんが昨年の正月映画のラストでの救命処置で自身が救われたことを忘れず、エグゼイドことエム研修医に恩義を感じているあたりなども実に良い!――
 ……ここで、「レジェンドライダー、もっと早く来いや!」なぞとは云ってはイケナイ。優勢のときに助っ人に来たら単なる弱い者イジメだが、劣勢のときに助けに来てしかも状況を挽回するからこそカタルシス・爽快感があるのだし(笑)。それらのシーソー・ゲームの連発として、懐かしのおなじみBGMとともにレジェンドライダーが登場し、音楽の記憶の力も借りることで、作品はいやがおうにも盛り上がる!
 もちろん、映画の序盤で巨大な危機の到来を予感した彼らの姿を、そのご尊顔を見せずに、後ろ姿やパンツの旗やファンタジックな異世界などの、彼ら個人を象徴するキービジュアルで見せていたことで、伏線なしの唐突な登場感などは回避ができている。


 『エグゼイド』世界の超巨大「手のヒラ」型メカの設置場所は、宇宙エネルギーが集まる『仮面ライダーフォーゼ』ホームベースである天ノ川学園高校にあった! そしてフォーゼの敵怪人である幹部級ゾディアーツ怪人たちもその余波で復活! とか、第2期平成ライダー数作品にも登場した第3勢力「財団X(エックス)」も再登場して、彼らの科学力をもってすれば擬似的なメダルやスイッチを再現・開発可能とし、懐かし&因縁もある幹部級の敵怪人たちも続々復活させ、歴代先輩ライダーたちの戦う動機もより強める。
――鎧武こと紘汰(こうた)のみ、『ビルド』世界で助勢するが、彼は神さまに進化したので、異次元跳躍可能なヨロイ・ウルティメイトイージズがなくてもウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングhttp://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1)のように単独で平行世界を越境できても不思議じゃない(笑)――


昭和特撮とは異なる作劇! 00年代と10年代の正義の違い! 2号が1号に勝機を与えた理由!


 あと、このへんは昭和の特撮作品とはイイ意味でまったく異なるところだが、バトルとドラマが完全に分離していた昭和作品とは異なり、バトル中にも敵味方が戦う動機やその思想を暑苦しく開陳し合うことで、バトルの決着がそのままテーマの帰結にもなるあたり、本映画もそれを踏襲できているどころか、ある意味では究極の完成形のようにも見える。


 『ビルド』の2号こと龍我クンがエグゼイドことエム研修医らと行動、『エグゼイド』の6号ことパラド青年はビルドこと戦兎クンと行動をともにし、彼らが諸悪の根源の探索そっちのけで眼についた弱者を助けてしまう姿を見て――その優先順位の付け方はリアル政治では正しくないと私見するど、子供向けとしてはコレで良し!――、彼らもそれぞれの作品の1号ライダーたちが共通に無償の愛に生きる人間たちであることを知り、その人となりをも認めていく。その上で最後の戦いの場に、クローズが強化アイテムを届けるかたちで想いを伝え勝機を与えるのも活劇の作劇としてウマい! ――最後は大義&力押しだけではなく、新旧両雄による知恵&化かしの作戦勝ちでもあったとするのも良し!――


 細かく云うと、「見返りを求めず万人を救う」と公言する10年代の平成ライダーと、「万人を救うのはムリであり、ある意味では思い上がり・不遜・ファシズム全体主義的な発想かもしれないから、身の丈のできる周囲、手の届くところだけを救う程度でイイのでは?」と自問する00年代の平成ライダー、両者の「正義観」は異なるとは思う。
 個人的には10年代の平成ライダーに共感するけど、00年代の平成ライダーの価値観を最も引きずった「その手が届く範囲であれば、見捨てずに全力で救いたい」と願うオーズこと映司(えいじ)がTV最終回を踏襲、懊悩して落下していく鳥メダル3種の幹部級怪人を救おうとし、その果てに元相棒の金髪青年・アンクが天使の羽根をまとって復活を果たす一連と、映司&アンクの万感のツンデレ涙目芝居も泣けてくる!――まぁ歴代最終回中でもドラマ性&完結感が非常に強かった『オーズ』最終回後を描くには、アソコまでエモーショナルに盛り上げてくれないことには、たしかにナットクできないけれど――


2大世界を描きつつ1箇所に集約していく構造! 作品に血肉を与える細部! 理想のヒーロー集合映画が登場!


 この作品の骨格自体は、悪い意味ではなく云うのだが、2大世界に起こる危機を平行して描いていき、両者を特殊ボトルによる超空間通信で交流を持たせつつ、双方の世界にある超巨大な「手のヒラ」型メカへと接近してついにはそれに乗り込み、この2派が最後に1カ所に集約していく難敵攻略モノであり、それ自体の技巧はドーということもナイ。
 よって、この作品に魂や血肉を与えているのはイチイチの端々だ。2大新旧ライダー世界のレギュラーたちのいかにもなセリフや存在感。細部に散りばめられた玩具的アイテムの存在理由にイチイチのもっともらしい一応の合理的な出自や起源を付ける。TV本編でのメインストリームのナゾ解きにも、ネタばらしはしないまでも接点は持たせる。
 先輩ライダーたちのアフター・ストーリーとしても矛盾が生じないようにして、なおかつ後輩の引き立て役ではなく、絶対のピンチに駆けつける頼もしい存在として描く。
 そしてそれを、直前作『エグゼイド』後半で監督デビューしたばかりで、奇抜な映像&演出をすでに披露はしていたものの、弱冠30歳を過ぎたばかりで助監督上がりの新進気鋭の上堀内佳寿也(かみほりうち・かずや)カントクが、新人らしからぬ圧倒的な演出力で畳みかけて、映画版にふさわしいゴージャスで非日常的な映像としても呈示する!


 平成ライダーシリーズ映画の中でも屈指の傑作であり、番組の垣根も越えたスーパーヒーロー共演&大集合、個別単独の作品を超えて前後の作品とも連続していくスペシャル作品の面白さ&ワクワク感を、最大最高にヒートアップしていくには、いかなる作劇術をもってすれば効果的であるか!? ということを身をもって呈した教科書たりうる作品が、奇しくもこの年末に登場してしまったようだ。
 毎年春休みの『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』映画や、同じく春休みの『劇場版ウルトラマン』シリーズにも見習ってほしい逸品に仕上がったと私見



追伸:
 余談だが、本作のラスボスを演じる大槻ケンヂ。古い話で恐縮だけど、80年代末期からロックバンド・筋肉少女帯で活躍するこの御仁は、当時の酒とタバコと女をモットーとする不良性感度・私的快楽至上主義・公共心皆無(笑)のロック界の風潮にあって、明らかに内面・自意識をこじらせて、自分を変えるためにロックをやっている風であり、かの平成元年の幼女連続殺人事件で、犯人がアニメ・特撮オタクであったことが発覚した際、ほとんどのオタや昭和特撮を支えた御大プロデューサーまでもが、犯人のMは特殊な存在であり、我々の中には彼に通じるような要素やメンタルは微塵もナイと怯えて逃げを打つばかりで筆者個人を幻滅させる中、プロレスラーの前田日明(まえだ・あきら)ともども、各媒体や3大新聞で「犯人のMとオレは似たようなものだ(ロリ・ペドという意味ではなく)。中学高校では(ひとり)ボッチで誰とも話さなかった。オレも何かバンドやプロレスなどの活動を始めてなかったら犯人のMと同様、心の空虚を埋めるためにオカシくなって犯罪を冒していたやもしれない(大意)」という、自身の不全感と向かい合った発言と、オタや性格弱者を守りたいという趣旨の発言をしていて、非常なる好感をいだいたものだ。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2018年号』(17年12月30日発行)折込コピー速報・所収『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー』合評3より抜粋)


『假面特攻隊2018年GW号』「仮面ライダービルド」戦争編関係記事の縮小コピー収録一覧
スポーツニッポン 2017年12月7日(木) 「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー」広告・変身前バージョン
スポーツニッポン 2017年12月8日(金) 「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー」広告・変身後バージョン


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