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ウルトラマンタロウ6話「宝石は怪獣の餌だ!」 ~怪奇演出満載でも、愚かなフリして聡明だった健気なヒロイン描写が光る!

(CSファミリー劇場ウルトラマンタロウ』放映・連動(?)連載!)
『ウルトラマンタロウ』1話「ウルトラの母は太陽のように」 ~人物像・超獣より強い大怪獣・母・入隊・ヒロイン・5兄弟の正統タロウ誕生を漏れなく描いた第1話!
『ウルトラマンタロウ』2話「その時ウルトラの母は」 ~怪奇性・コミカル性・基本設定紹介の鼎立達成!
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「ウルトラマンタロウ 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


ウルトラマンタロウ』6話「宝石は怪獣の餌(えさ)だ!」 ~怪奇演出満載でも、愚かなフリして聡明だった健気なヒロイン描写が光る!

(脚本・田口成光 監督・筧正典 特殊技術・川北紘一
(文・久保達也)
(2007年10月執筆)


 「エヘン」と咳ばらいをして「おめでとう、さおりさん!」と、赤いリボンに結ばれた紙包みをさおりに手渡す、主人公青年・東光太郎(ひがし・こうたろう)。本作のヒロインでもある寄宿先のお嬢さんである、さおりの誕生祝いのつもりだったらしい。


 しかし、誕生日は実は翌日であることを、さおりに指摘されてしまう(笑)。


光太郎「ウン。だからさ、今日は誕生日の前の晩。つまり、バースデー・イブってわけさ」

 
 「クリスマス・イブ」ならぬ「バースデー・イブ」! そんな言葉は初耳だけど、ホンキなのか? 間違ってしまったことの咄嗟のアドリブでの云い訳なのか?(笑) どちらにしても、なんとも洒落(しゃれ)たことを云う光太郎であった。


 ピンクのシャツに赤いベストという、いつもながらのアカ抜けた私服ファッションともあいまって、天然でさわやかな光太郎は云うことも人並み外れて違うよなぁ、などとイヤでも実感せざるを得なくなる。


 「あたしの誕生日、よく覚えていてくれたわね」と云うさおりに、「ウン。まぁね」なぞと返してみせても、イヤミにならないあたりが光太郎を演じる篠田三郎の人となりも含めてのモノなので、我々凡人がマネをしてもキモいだけなのだ。だから、ヘタに光太郎の言動を皆さんも見習ったりしないように!(笑)


 光太郎のプレゼントは、中央に赤い宝石が光り、幾つもの青い宝石が縁(ふち)を飾り、さらに下部には銀色の小さな石が多数ぶら下がった三角形のペンダントであった。


 光太郎が本作の防衛組織であるZAT(ザット)入隊の前に世界中を航海する中で立ち寄ったエジプトで、「東洋の方に持っていってしまってほしい」とお婆さんに手渡されたものだそうだ。


 そして、それをネタに、優雅に白い陶器のティーポットとカップでお茶を飲む光太郎たちの描写は、白鳥家のなんともセレブな生活ぶりを強く印象づけるものだ。


 ペンダントを「お守り」だと思ったさおりと健一だが、いっしょに包まれていたヒシ形の小さなふたつの宝石がほしいと、健一はさおりにせがんだ。


「ふたつもいらないでしょう」


と云うさおりに、健一はひとつは親友にあげるのだと主張。なんとかアクセサリーをふたつもせしめた健一だったが、 


「今日はもう遅いから、早く歯を磨いて寝なさい!」


とさおりに叱られてしまう。これに素直に返事をせずに、「チェッ、交換条件か。勝てねえな、お姉ちゃんには……」とむくれるところが、トータルでは実にスナオでも、やはり良い子なだけでもない健一の年齢相応な反抗心や自立心、しかして相手に一理を認めれば引き下がる聡明さを描写できているのだ。


 一見はホームドラマ的な、なんともなごやかな導入部である。


 しかし、これに続いて、あまりに不気味な「怪奇描写」が展開される意外性。しかもその発端が、光太郎がさおりに贈った誕生日プレゼントのペンダントであったことで、物語は怒涛の展開を見せていく。そして、ヒーロー怪獣番組にふさわしい「本編」と「特撮」が終始絶妙にからみ合って、華麗なクライマックスへと結実するのである。



 健一はアクセサリーのひとつを「交通安全のお守り」として(笑)、ペットの柴犬・ポチの首輪につけてあげた。


 そのポチが吠え続けることを不審に思ったさおりが部屋の窓を開けるや、書籍『ウルトラマン画報 −光の戦士三十五年の歩み』(竹書房・02年10月4日発行・ISBN:4812408881)によれば、体長70センチ(!)もの茶褐色の大きなナメクジ状の生物が蠢(うごめ)いているのを発見!


 さおりはホウキの柄で外に追い払う!


 さおりの悲鳴を聞きつけた光太郎が、律義に歯ブラシを手に歯を磨きながらパジャマ姿で現れるのがポイントだ(笑)。



「ここまで生活感のあるシーンって、今までのウルトラにはなかったんですよ。これは『ウルトラマンタロウ』に、明るく楽しいっていうだけじゃなく、人間の部分はきちんと描こうという狙いがあったからですね」

(DVD『ウルトラマンタロウ』Vol.2(デジタルウルトラプロジェクト・05年5月27日発売・ASIN:B00092QQK2)解説書。各話解説における脚本の田口成光のコメント)



光太郎「満月か。だけど、イヤな色をしてるな」


 光太郎が見上げた夜空に浮かぶ満月がじゃっかん赤みがかった不気味な色で描かれていることで、不吉の前兆としても機能している!


 さおりに追い払われたはずの大きなナメクジは、まだ白鳥家の庭で蠢いていた!


 ポチにゆっくりと近づいていった大ナメクジは、口から青い霧をポチに吐きかける! 霧に包まれたポチは消滅してしまった。第3話『ウルトラの母はいつまでも』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071216/p1)で再生怪獣ライブキングの体内から光太郎とともに無事救出されたポチであったが、ここであえない最期(さいご)を遂げてしまったのだ……


 このへんはシリーズ序盤では「怪奇」描写が頻出するも、基本的にはマイルドな作風の『タロウ』らしからぬところだ。現代の観点から観ると、たとえフィクションでもレギュラーの少年がかわいがっていたペットがあっさりと死んでしまうといった意味で「残酷」だ。80年代以降の子供向けドラマやアニメであれば、レギュラーのペットの死をあえてドラマの中核にでも据えないかぎりは、同じようにペットをかわいがっている子供たちの情緒面を考慮して、このような描写は避けるところだろう。しかし、70年代前半においては、『タロウ』にかぎらずまだまだそのあたりは無頓着なところもあったのだ。


 もちろん、子供が飼っていたペットが怪獣化した末に、元の姿に戻らずに死んでしまう! といったかたちで名作ドラマをつくりあげた前作『ウルトラマンA(エース)』(72年)第18話『鳩を返せ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060907/p1)や、後年の『ザ★ウルトラマン』(79年)第3話『草笛が夕日に流れる時…』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090516/p1)といった作品もあるのだが。



 ポチを溶解させた大ナメクジは、ポチがいたあたりにゆっくりと忍びよる。


 この大ナメクジ自体は荒い造形ではあるが、ピアノ線での操演なのかラジコン操作であるのかは判然としないけど、全身ヌメヌメとした皮膚感覚が表現された大ナメクジが、地面を這うさまは充分にすぎるほど不気味である!



 健一が首輪につけてあげたアクセサリーは溶解せずに残っていた。


 大ナメクジがポチを食べる描写をあえてはっきりとは見せずに、頭を動かしてなにやらモゾモゾしている様子をロング(引きの映像)で撮らえている描写が、大ナメクジがいったい何の目的で白鳥家に突然に出現したのかを明確にしないことで、その「ナゾ解き」へと惹きつけることにもなるのだ。


 大ナメクジは雨どいを伝って白鳥家に近づくや、ポチを溶解させた霧を今度は家屋の白い壁に吐きかけた!


 浸食されてボロボロになっていく壁に穴が開いて、そこからゆっくりと侵入していく大ナメクジ!


 壁を破った大ナメクジの眼前には行く手を遮る巨大なゴミ箱があった。それを頭で押しながらゆっくりと侵攻する大ナメクジ。


 やがて、大ナメクジは少し後退して、今度はそのゴミ箱に霧を噴射する!


 ボロボロに崩れ去るゴミ箱!


 大ナメクジが侵入したのは健一の部屋だった!


 さおりからせしめたペンダントを首からかけたままで眠っている健一に、不気味な大ナメクジが忍び寄る!


 翌朝、ペンダントがないことにさおりを疑う健一。勝手に盗るわけがないと主張するさおりとのケンカのあまりの勢いに、光太郎が起きてくる。花柄のタオルを首に巻いた光太郎は寝ぼけまなこだったが、さすがはZATの隊員でもあるので、すぐに異変に気がついた。


 部屋の床に敷かれた赤いじゅうたんに延々と白い傷! その周囲には焼け焦げたような跡があった! ボロボロに崩れたゴミ箱、壁に開いた大きな穴! マニア的には本編美術スタッフの労苦を惜しまない、手腕のスゴさが偲ばれる被害状況の再現でもある。


 さらには、庭にいるはずのポチは行方不明! 残った首輪の一部は溶けて、付けていたペンダントも消えていた!


さおり「ヤだわ、あたしの誕生日の朝だっていうのに……」


 バースデー・イブのなごやかなムードから一転して災難がふりかかる白鳥家! そのナゾを解明するために、光太郎はペンダントに付いていたエジプト語の説明書を、ZAT本部のコンピューターにかけて解読することにした!


 ZAT本部で光太郎が持ちこんだ説明書のエジプト語を解析する森山隊員。


 彼女を挟んで別の女性隊員が2名着席し、レーダーの監視をしているような様子だ。ZAT本部内ではレギュラーの隊員以外にも、別の複数の女性隊員の姿がひんぱんに見られる。各話のドラマやテーマには関係がないのだけど、こういったちょっとした描写でも、防衛組織のリアル感やスケールの大きさが強調されるワケなので、その意味では絶対的に歓迎すべき趣向なのだ。


 とはいえ、いかに脇役・エキストラだとはいえ、1人1日あたりで現在の貨幣価値であれば、芸能事務所なりエキストラの事務所も含めてギャラに1~2万円くらいはかかるだろうから、相応に予算が掛かることを思えば、製作陣に対してあまりムチャなことも云えないのだけど。


森山隊員「この文字は古代エジプト語でした。『この石は「幸運を運ぶ石」として古来、珍重されていたが、ジレンマが現れてからは「悪魔の石」となった。ジレンマは満月の夜に現れ、石を食べて大きくなる。また光を……』。このところは溶けてしまってわかりません。『……巨大化し、街を焼く。という伝説があった』と書かれています」


 あの大ナメクジがジレンマだったとしたら、ゴミ箱を溶かしたのは単に侵攻の邪魔になっただけではなく、自身の秘密を漏らさないために、健一が捨てた説明書をゴミ箱ごと消滅させようとするほどの知能があったたのか?
 本稿を執筆するために、何度も再視聴を繰り返していると、この森山のセリフにはそう解釈できるほどの工夫が施されていたのかもしれないと深読みしたくもなるのだが、脚本家はそこまで細かくは考えておらず、細部についてはその場のノリや直感を優先して執筆しているものだろう(笑)。


北島隊員「そうか、するとジレンマが夕べの事件を起こしたんだな」
西田隊員「そういえば、夕べは満月でした」
南原隊員「おい、マジメにやれよ。伝説を本気で信じるヤツがあるか。今は20世紀。ZATは科学的なんだぜ」


 ふだんは最もオチャラケているかに見える南原隊員から、実に意外なセリフが飛び出したものだ。しかし、ZATに入隊できたほどの人材であるからには、もちろん根はマジメで公共心や職務意識もある人間だとして、ここでは彼の別の一面なり本質を描いている……といったところだろう。


光太郎「しかし、事件は本当にあったんだ」
荒垣副隊長「いや、伝説といえども馬鹿にはできん。調べてみるまでは、なんとも云えんぞ」
朝日奈隊長「荒垣くんの云うとおりだ。何事も科学的に調査するのがZATの方法だ。……え〜。ところで夕べ、カレー喰った者、いるか?」


 「科学的」と云ったそばから、またしても第2話『その時ウルトラの母は』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071209/p1)における「あ〜、そこでだ。夕べ、カレー食べた者、いるか?」を踏襲(とうしゅう)したフザケたセリフが再登場した(笑)。だが本話では、このセリフが飛び出したことには、製作上の大きな事情が隠されていたのかもしれない!?


西田隊員「ハイっ!」
朝日奈隊長「おっ、いいぞ。おまえは本部で留守番。あとの者は白鳥さん家(ち)を徹底的に調べてこい」


 このあと、西田隊員は本話後半ことBパートでZATの戦闘機・コンドル1号に搭乗する姿が拝見されるのみである。西田隊員を演じた三ツ木清隆(みつぎ・きよたか)は、『タロウ』と同じく73年4月からスタートした特撮時代劇『白獅子仮面(しろじし・かめん)』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060306/p1)では主役を演じていたのだ!


 この手の特撮変身ヒーローものにかぎらずテレビドラマ全般の製作状況の常で、『タロウ』と『白獅子仮面』の製作時期までバッティングしていたのかまでは断言ができない。ご当人の記憶も厳密にはアテにはならない(笑)。しかし、もしもバッティングしていたのであれば、『白獅子仮面』は時代劇撮影の本場である京都の太秦(うずまさ)撮影所で撮影されていたので、京都と東京を往復する日々が続いていたハズだ。そんなハードスケジュールの彼に対する配慮から、出番を少なくするために「本部で留守番」をさせたのではなかろうか?



「『タロウ』出演の話が決まったあと、『白獅子仮面』という主役の仕事が入ったんですね。それが東京だったらまだしも、京都の撮影で、ずっと掛け持ちでやってたんです。京都で仕事を終えて、銀河っていう夜行で10時すぎに出ると、朝の6時頃に東京に着くんですね。そうするとマネージャーが駅に迎えに来てて、東京映画(引用者註◦前作『A』や本作『タロウ)の本編を担当していた撮影所)まで連れていかれて、そのまま西田隊員やってたんです。それ以外にも『だいこんの花』(70〜74年・NET→現・テレビ朝日)っていうドラマで、いしだあゆみさんの弟役をやっていて、スケジュールが合わせられなくなったんですね」

(DVD『ウルトラマンタロウ』Vol.9(デジタルウルトラプロジェクト・05年6月24日発売・ASIN:B0009J8HJS)解説書。「キャスト回顧録三ツ木清隆インタビュー)



 もっとも、「カレー食った者、いるか?」のセリフはそれだけにとどまらない。朝日奈隊長の命令に「ふぁ〜い」と気のない返事をした南原隊員に、朝日奈隊長が同じ質問をするや、「ハヤシライス!」との答えに「どうりでおまえ、ピリッとしたものが足らんぞ!」などというギャグが畳み掛けられていくのだ(笑)。



 白鳥家で現場検証をするZAT隊員たち。白鳥家の前に停車した特殊車両・ウルフ777(スリーセブン)の屋根の部分に据えられた大きなアンテナが、画面の中央を陣取って大きく回転している描写が、異常事態発生を感じさせている。


 荒垣副隊長に命じられた南原隊員がボロボロになった雨どいを回収しようと手に取るや、途端にバラバラに崩れ去る! 口から吐く霧だけではなく、大ナメクジ自体に猛烈な酸が含まれていることを強調しているのだ。


荒垣副隊長「おい、東。あのペンダントはいったいどこから手に入れたものか知っているか?」
光太郎「ええ、オレがエジプトから持ち帰ったものです」
北島隊員「おまえがかっ!? は〜、厄介なもの、持ってきたもんだなあ」
光太郎「厄介ですって?」
北島隊員「ああ、これはやっぱりジレンマのせいだぜ」
光太郎「よしてくださいよ。北島さんは本当にジレンマがいると思ってるんですか?」
北島隊員「へ、冗談冗談。ジレンマ、ジレンマってじんましん、起きそうだよ」


 これらの軽妙なセリフには思わず笑いがこみあげる。しかし、先の「カレー、食った者、いるか?」にせよ、作品のムードを損なうほどの度がすぎたギャグ演出ではない。にもかかわらず、かつて第1期ウルトラ至上主義者が「おふざけZAT」などと蔑称したのは、それも半分は正しいのだが(笑)、先入観ゆえの誤解と偏見であることも強調しておきたい。


 この程度のギャグであれば、初代『ウルトラマン』(66年)での科学特捜隊のイデ隊員は、その第5話『ミロガンダの秘密』などでは全編に渡ってふざけまくっていた!(笑) もっとも、それも悪かったということではない。同話はホラー調の話であって、バランス感覚の意味でもイデのギャグが作劇的に必要不可欠だったのだろう。『ウルトラセブン』(67年)でのウルトラ警備隊のフルハシ隊員だってしょっちゅうフザケた言動はしていたのだ。


荒垣副隊長「おい、北島! さおりさんからペンダントを借りてくるんだ」
北島隊員「ハイ!」


 さおりに近づいていく北島隊員。


北島隊員「スイマセン。そのペンダント、お借りしたいんですが……」


 ムクれてしまうさおり。


北島「いや、あの、すいません。ちょっとお借り……」
さおり「イヤです! これはお守りです。あたし、どんなことがあっても離したくありません。あたし、伝説なんて信じません。だいいち、エジプトにいるジレンマが、どうやって日本へやってくるんですか?」


 ペンダントを大事そうに手に取って見つめながら、強く主張するさおりがなんともいじらしい。そんなさおりを説得できるのは、やはり光太郎よりほかにない!


光太郎「さおりさん、ちょっとだけよ(優しく語り掛けるためだろうが、女言葉だ・笑)。う〜ん、ジレンマとは関係ないんだ。そのペンダントに何か秘密があるのかもしれない。もし夕べのようなことが起こったら、君の命が危ないじゃないか」
さおり「イヤです。あたし、このペンダントがそんなんじゃないことを証明してみせます!」
光太郎「しかし」
荒垣「待て。我々は今日集めた資料だけで足りるだろう」
光太郎「でも……」
荒垣「これ以上、さおりさんに迷惑をかけてはいけない」
光太郎「ハイ」
荒垣「引きあげるぞ」


 危険の可能性があるペンダントをそのままに放置してもよいのかという問題は残るものの、なんとも女性のさおりに対しても思いやりがある荒垣副隊長の暖かな配慮である。見るからにガラっ八的キャラで、怒鳴りまくってばかりいるような荒垣副隊長にも、こんなスマートな一面があるのだ。


荒垣副隊長「おい、東」
光太郎「はい」
荒垣副隊長「万が一ということもある。君はここに残ってさおりさんを見張ってくれ。我々の科学分析が終わるまでは万全を期すんだ」
光太郎「わかりました!」


 そうはいっても、荒垣副隊長も職務を放棄してしまったワケではない。無理やり強引に民間人から私物を取り上げることは避けたのだが、もちろん危険性はあるので、白鳥家に下宿している光太郎をZAT基地には戻さずにそのまま警備に付けたのだ!


 光太郎もそのへんの機微も瞬時に悟って、咄嗟に命令に服します! といった意味での「敬礼」を交わすふたりがなんとも高度な心情描写でカッコいい!


 そして、ここに至るまでの「現場検証」は、一般の刑事ドラマのように実に綿密に行われている。その意味で、たしかに「おふざけZAT」でもあるのだが、歴代のウルトラシリーズの防衛組織と比較しても実務面では何の遜色もないのだ。


 荒垣・北島・南原がウルフ777で去ったあと、ZATの特殊車両・ラビットパンダで待機する光太郎。


 やがて、白鳥家の庭から響き渡るさおりの悲鳴!!


 光太郎が現場に駆けつけるや、さおりの足元に忍び寄る大ナメクジが!


 光太郎がジャンプして踏みつけてもビクともしない!


 ZAT隊員が常備する携帯拳銃・ザットガンの銃撃もハネつけた大ナメクジに、光太郎はザットガンから赤いレーザー光線を浴びせかけた!


 途端に、先の書籍『ウルトラマン画報 −光の戦士三十五年の歩み』によれば(笑)、体長73メートルにも巨大化する大ナメクジ!


 長くピョコーンと延びた触角の先端に赤く光る部分が目かと思いきや!


 口の上にも赤い目が!


 さらには、アゴの部分にも二対に光る赤い目が!


 こいつの目は合計6個か!?


 背中はカエルのイボイボのような突起に被われている。全身は褐色だが、腹は怪しい青白い色だ!


 やはりこいつの正体は、エジプトに伝わる悪魔の怪獣・なめくじ怪獣ジレンマだったのだ!


 自動車を踏みつぶして炎上させて、街に張りめぐらされている電線をスパークさせて進撃するジレンマ!


 ナメクジの怪獣なのに足音をドシンドシンと豪快に響かせて歩くさまはオカシいものの(笑)、ジレンマの着ぐるみは他の四つ足歩行の怪獣と比較すると前肢がかなり短く造形されている。


 ヒジを折り曲げて歩行するような、人間が中に入っていることがミエミエのみっともなさを感じさせない工夫がなされているのだ!


 しかし、先の大ナメクジのような全身のヌメヌメ感が着ぐるみには表現されていない。むしろ、他の怪獣と比べても全身が乾燥肌(笑)のような造形であった。このへんは不整合ではある。


 このあたりを、『ウルトラQ』(66年)第3話『宇宙からの贈りもの』に登場した、やはりナメクジがモチーフであった火星怪獣ナメゴンと比較して「造形が甘い!」などと批判するマニアもおられるだろう。それはたしかにそのとおりなのだが、結果的には子供向け番組としては、この程度の造形がちょうどよかったのではなかろうか?(リアルタイムで放映されていたのは、金曜19時という食事時でもあったのだし)。


 まるで光太郎とさおりを追うがごとく、街を進撃していくジレンマ。


 四つ足怪獣であることからカメラ位置も低く設定されたことも、ふたりに迫る危機を実感させるのに絶大な威力を発揮している!


 画面の右半分にふたりが身を隠すビルの実景! 左半分には猛迫してくるジレンマ! といった大胆な合成。


 ジレンマの頭上にカメラを配置し(!)、ジレンマの頭部と前方に配したふたりの人形を同一の画面に納めて、ジレンマの目線でふたりを見下ろすかのようなカットもある!


 そして、光太郎の人形にはザットガンでの銃撃をイメージさせる弾着まで備えられている!


 人間の人形については、子供たちにもあくまでも人形にしか見えないだろうから、賛否両論あるだろう。しかし、そこを棚に上げれば、あまりにコマやかな「特撮演出」が渾然一体となっており、まさに大迫力の「怪獣映画」を展開させているのだ!


 光太郎とさおりは、駆けこんだ先のマンションの地下室に逃れる!


 しかし、ジレンマはこのマンションに白い猛烈な霧を吐きかけた!


 鉄骨だけを残して、コンクリートがボロボロに崩れ去っていくマンション!


 さらに、ジレンマはその上にのしかかって、巨大な足でメチャクチャに踏みつけた!


 光太郎とさおりに最大の危機が迫る!!


光太郎「さおりさん、そのペンダントを捨てるんだ!」
さおり「光太郎さん、これはあなたがくれたのよ!」
光太郎「わかってる! だから頼んでるんだよ!」
さおり「いや! これはあたしの誕生日の贈りものよ!」
光太郎「そんなこと云ったって、あいつはこれを狙ってるんだよ!」
さおり「そんなこと、わかりっこないわ!」
光太郎「ゴメン。実は、エジプトの伝説ではそうなっていたんだ」
さおり「光太郎さんは伝説を信じる?」
光太郎「そういうワケじゃない。しかしこのとおり、ヤツが追ってきてるじゃないか!」
さおり「間違いよ! あたしはどんなことがあっても離さない! これはあたしを守ってくれるお守りだわ!」
光太郎「さおりさん……」


 理性的な言動だとはいえない、恋情で目が曇った愚かな女性の言動なのかもしれない。だとしても、そこに一片の輝きや誠意はあるのだ! なんといってもこのシーンでは、さおりは首からかけたペンダントを終始手に取って片時も離さないのだ!


 正直に云おう。さおりを演じたあさかまゆみはこの場面にかぎらず、ハッキリ云ってセリフ回しがあまりにもたどたどしく、演技は素人同然であった(笑)。


 だが、それだからこそ、自分の「誕生日」を覚えていてくれた光太郎がくれた「誕生日の贈りもの」を、「お守り」であると固く信じて、たとえジレンマに襲われようが「伝説」を信じようとはしない、あまりに純粋で一途な白鳥さおりというキャラを演じるにはこれ以上の逸材はなかったとも思える!


 1971年に「ミス・セブンティーン」に選ばれ、事務所に所属してわずか3ヶ月の17才の少女をヒロインに抜擢したことには、そういった狙いもあったことだろう。



千歳船橋(ちとせふなばし。引用者註:小田急線の都内の各駅停車の駅)のガードのところで、走って逃げるシーンが記憶に残ってるんですけど、怪獣がいないのに「ここを見ろ」とか云われてね。それもよくわかんないから「怪獣があそこにいるんだ! もっと上を見ろ!」とか、ずっと怒鳴られっぱなし」


「それと声でもよく怒られましたね。上京したばかりでなまってましたし、私、声が低いんですよ。それで年齢と顔に対して凄くギャップがあるということで、また怒られるんです。イメージが合わないって。だからこの『タロウ』のときはすごく無理して高い声を出してるわけ。それでも「もっと高い声で!」って。現場でもアフレコでも」


「でもまあ、とにかく現場に行ったら毎回怒られるという感じですよね。それも人間性を否定されるような勢いで、常にいじめられるところに置かれているみたいな感じでした。それに何より、まず自分自身が思うようにできないことがつらかったですね、本当に。だから当時は毎日泣いてましたね(笑)」


(DVD『ウルトラマンタロウ』Vol.9解説書。『初代・白鳥さおり、苦悩の日々』朝加真由美(当時・あさかまゆみ)インタビュー)



 『タロウ』のレギュラー出演者は、ウルトラシリーズの中でも群を抜く豪華な顔触れで、すでに全員が芸歴も長かった。


名古屋章(なごや・あきら)
●東野孝彦(のちに東野英心(とうの・えいしん)に改名。テレビ時代劇『水戸黄門』(69年〜・TBS)の初代・水戸黄門さま役で有名な故・東野英治郎の長男)
●『これが青春だ!』(66年・日本テレビ)などの東宝製作の学園ドラマの生徒役が印象深い木村豊幸
●特撮ヒーロー『光速エスパー』(67年)で主役デビューした三ツ木清隆
●現在でもサスペンスドラマなどで活躍中の津村鷹志(当時・津村秀祐


 ……これだけの重鎮と演技派が勢揃いした防衛組織はほかにないだろう。


 そして、白鳥家でさえも、


●白鳥船長に歌舞伎や時代劇界の大御所・中村竹弥(なかむら・たけや)
●白鳥健一少年役も、『帰ってきたウルトラマン』(71年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230402/p1)第41話『バルタン星人Jr(ジュニア)の復讐』や、『ウルトラマンA』(72年)第6話『変身超獣の謎を追え!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060611/p1)にゲスト出演し、演技にはすでに定評のあった名子役・斎藤信也


 「小田急線の成城駅(引用者註:正しくは成城学園前駅・せいじょうがくえんまええき)がどこかもわからなかった」ほどのド素人の少女が、そんな中に放りこまれたら、日々プレッシャーやストレスに悩まされるのも当然だっただろうし、後年とは異なり、70年代までの映画の撮影現場はとても厳しかったことだろう。ホメて伸ばすといったことは、会社やスポーツの舞台でもなかったような時代なのだ(汗)。今だと演技力よりも可愛さ・ルックスに恵まれた若手女優さんを撮影現場でも優先しそうだし(笑)、演技力がない役者さんであればあまりムリをさせずに地を活かした自然体の芝居をさせるだろうけど。



「本当に篠田さんが優しかったんです。最初にお会いした時から青年っぽいっていうか、優しくて、穏やかで、気がいいんですよ。一緒にお昼に連れていってくれたりとか、いろんな話をしてくれたりとか。「真由美ちゃんが歌をやるって聞いたんだけど、女優の方がいいと思うよ。このままドラマを続けないのは、とても残念だ」と云って下さったんですよね。私にしてみれば、篠田さんが現場にいたから続けられたと言ってもいいくらい、優しくしていただきましたし、慰めてももらったし、勇気づけてもくれましたね」

(出典・同上)



 これはやはり光太郎を演じた篠田三郎ご本人の天性から人柄だろう。良くも悪くも撮影現場のウラ側でそういったことがあったのであれば、ド素人であるからこそ朝加真由美嬢の演技にも、そういった篠田三郎に好意の念が込められて、相乗効果を発揮していただろうと、後知恵(あとぢえ)だが想えてくるのだ。


 しかし、たしかにこのようなラブシーンが登場怪獣とはなんの関係もなしに、まったく浮いたかたちで描かれてしまったならば困ってしまうところだ。けれど、本スジであるジレンマの大暴れと密接につながっており、怪獣の猛攻を「主」とした「従」のかたちで、「本編」と「特撮」のクライマックスを華麗に融合させているのだ。その意味では、かつて第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちが『タロウ』を評した際に用いた「怪獣と人間のドラマが分離して進む奇妙な現象」という評価は、少なくとも本話については当てはまらないのであった。


 愛の絶頂に達しようとしたふたりを、ジレンマが情容赦なく襲撃する!


 マンションを散々踏みつけてバラバラにしたジレンマが、長い舌で光太郎とさおりが潜んでいた地下室の天井をブチ抜いた!


 崩れ落ちたコンクリートでさおりは気絶する!


 光太郎にはジレンマの長く延びる舌が襲いかかってきた!


 ミニチュアの地下室からの主観映像で、ジレンマの着ぐるみの舌が突き抜けてくるさまを「特撮」映像で撮らえる!


 「本編」映像でも、液体怪獣コスモリキッドや大亀怪獣クイントータスの舌に続いて、早くも三度目の流用登場となった怪獣の実物大想定の舌(笑)が光太郎をグルグルに巻く!


 そして、ミニチュア人形の光太郎を巻きとったジレンマの着ぐるみの舌が屋外へ抜けようとする様子を、やはり地下室からの主観映像で撮る! といった臨場感あふれるカメラワークと編集が絶妙である!


 そこに駆けつけてきた、ZATの戦闘機・スカイホエールとコンドル1号!


 2機のミサイル攻撃で光太郎はジレンマの舌から逃れて、マンションの外へと脱出することに成功する!


 それにしても、スカイホエールの主観からジレンマを見下ろしているカットを観てみると、ミニチュアセットが実に広大なステージに組まれていることがよくわかる! 前作『ウルトラマンA』~本作『ウルトラマンタロウ』第30話『逆襲! 怪獣軍団』までの時期は、「特撮」部分は東宝に下請けに出されていて、東宝の巨大なステージで膨大なミニチュアストックも多用されて撮影されていたので、本当に「特撮」が豪華であったことがよくわかるのだ。


 そして、今回の特撮シーン中最高の名カットが、ジレンマ目がけてスカイホエールがナパームを投下する場面だ!


 スカイホエールの機体底部のシャッターが下側に開くや、その下にいる着ぐるみの怪獣ジレンマが画面中央に現れて、それに目がけて複数のナパーム弾が投下されていく一連を、機体内部の格納庫からの主観で撮らえているのである!


 シャッターが開く前に操縦席でレバーを操作! ナパーム投下直前にもボタンを押すカットをアップで挿入! このあたりも、実に連動感があって効果的だ!


 それに続いて、ジレンマがナパームの炎に包まれる! という、なんとも臨場感あふれる特撮演出は、リアルに考えると大災害が起きているので不謹慎ではあるものの、フィクションとしては感動的ですらある!


 スカイホエールの機体内部からジレンマを臨んでいる主観カットもそうであったが、こうしたメカニックやその可動部部の魅力を強調する演出は、本話の特撮を担当した川北紘一のお得意の手法でもある。のちに氏が手掛けた平成ゴジラシリーズ『ゴジラVSビオランテ』(89年・東宝)における、自衛隊の飛行要塞・スーパーX2(エックス・ツー)からゴジラを臨む主観カットなどにも受け継がれていたりするのだ!


 だが、ジレンマはナパームで燃え盛る炎をも、口から吐き出す白い霧で鎮火してしまった!


光太郎「ダメだ! ジレンマにはナパームも効き目がない!」


 さおりの胸に輝くペンダントをアップで撮らえて、それに続いて特撮班のカメラはジレンマの顔に目がけて3回連続でズームインする!


 つまり、今まさにジレンマはこのペンダントに狙いを定めたことを明確に視聴者にも意識させている演出なのだ! もちろん、脚本上の指示、あるいは本編監督の指示、あるいは「本編」班と「特撮」班の監督・助監督・スクリプター(記録)などが的確に連係しているからこそ成せる演出だろう!


光太郎「さおりさん、今度こそこのペンダントを捨てるんだ!」
さおり「イヤ! 光太郎さん。このペンダントが、本当にあたしを守ってくれるお守りであることを、確かめてみるわ!」
光太郎「さおりさん!」


 光太郎が呼び止めるのも聞かず、無謀にもさおりはジレンマに向かって駆けていった!!


 追いついた光太郎はさおりの二の腕を両手でとらえ、必死の思いで説得する!


光太郎「危ないじゃないか!!」


光太郎「さおりさん! バカなマネはやめるんだよ! たとえこれがお守りでも、君が命を捨てるようなことをすれば、それはお守りにはならないんだよ!」
さおり「とめないで!」
光太郎「バカっ!」


 さおりの頬に、光太郎の愛のビンタが飛んだ!


光太郎「君はどうして僕の云っていることがわからないんだ!」
さおり「ゴメンなさい。これが伝説どおりのエジプトの石だったら、光太郎さんはZATからも、みんなからも、悪者扱いされてしまうわ」
光太郎「なんだって!? それじゃあ君は……」
さおり「あたしの方からジレンマに近づいたのなら、あたしが死んでも生きても、あなたには迷惑がかからないで済むと思ったの……」


 ここで筆者も含めた視聴者は、これまではひたすら頑な(かたくな)で、実は色恋の情で判断力が鈍った愚劣な女性にも思えていたかもしれない(失礼・汗)、さおりの行為に隠された本心を知ることとなる!


 もちろん、筆者もダマされていたのだが、脚本家の方でもそういった頭の悪いストーリー展開、あるいはあまりに頭が悪すぎるような人物描写にはやはりしたくはなかったのであろう。その真相がここに明かされて、そのあまりの意外さに心打たれるのだ!


 どれだけ危険にさらされようが、さおりが決してペンダントを手放さなかったのは、好意を持っている光太郎がくれた誕生日プレゼントが、「お守り」だと固く信じていたからではなかったのであった! あまりにも純朴な少女としてさおりが描かれてきたために、視聴者はコロッとダマされてしまっていたのであり、これはまさにミスリードな脚本&演出の勝利だったのだ!


 エジプトで出会った婆さんから「東洋の方に持っていってしまってほしい」と手渡された怪しげな石を、よりにもよって光太郎にとっても大切な存在であったさおりにプレゼントしたことが、さおりや健一に怖い思いをさせて、ポチまで死に至らしめて、街に大損害を与えてしまったのだ! 今回の事件の発端は冷静に考えてみれば、実は光太郎だったのである。


 リアルに考えれば、光太郎はその責任を問われて、ZATからも厳重注意を受けていただろう。視聴者の中には、特にリアル志向のマニアの方々であれば、本作に対してそう批判したくなる気持ちもわかる。


 だが、そういった批判に対する予防線ともなりうるセリフをさおりに与えて、光太郎に対する「妄信」的な「愛」ではなく、光太郎の立場を逆に先回りして、彼が苦境におちいらないための「知恵」のある「愛」、それもまた、まだまだ「浅知恵」だったかもしれないものの、そうそう軽薄な気持ちから来た、単なる軽挙妄動ではなかったのだ! といった行為に昇華させるだなんて、脚本家・田口成光によるあまりにも見事でドラマチックな作劇だったのだ。



「子供向けの特撮番組には人間的なドラマや愛なんて関係ないっていうのは、僕は絶対違うと思います。『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)は、ゲンと百子(ももこ)の幼い恋愛みたいなものがよく出てますけど、最終的には人間ドラマですからね、基本は。それが僕の考えですね」

(DVD『ウルトラマンレオ』Vol.9(デジタルウルトラプロジェクト・06年10月27日発売・ASIN:B000GTLFK4)解説書。真船禎(まふね・ただし)監督インタビュー)



 特撮マニア間でも、特撮ライター・池田憲章氏が今は亡きアニメ誌「アニメック」(ラポート社)における70年代末期〜80年代中盤にかけて行っていた連載『日本特撮映画史 SFヒーロー列伝』などでの主張をはじめ、「人間ドラマ至上主義」は長らく喧伝されてきたことではある(余談であるが、その連載のタイトルロゴでは、「特撮〜」側の文字は小さく、「SF〜」側の文字が大きな書体で記されていたあたりにも、「特撮」よりも「SF」の語句の方が輝いて見えていた時代の風潮が偲ばれる)。


 しかし、現在の筆者は必ずしもこの意見に賛同するものではない。特撮ジャンルの特性は、ヒーローや怪獣やそのアクションに特撮映像のスペクタルな驚きや快感・カタルシスを主眼とすべきものであり、人間ドラマやSF性や社会派テーマは否定すべきものでもないが、先の主目的に奉仕して収斂すべき従属的要素であると考えるからだ。(関連記事:特撮意見④ 特撮ジャンルの独自性〜アイデンティティとは何か? SFや文学のサブジャンルではない特撮・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060411/p1


 だから、TPOもわきまえずに特撮ヒーロー作品で恋愛を描くことは個人的にはどうかとは思っている。しかしながら、本話のように、Bパートがほぼ全編にわたってジレンマの大暴れとタロウとの白熱したバトルであるにもかかわらず、それに密接したかたちで光太郎とさおりの淡い恋愛模様を描くことで、「特撮」「本編」を両方ともおおいに盛り上げることに成功した希有な例もあるのだ。本話のようなかたちであれば、ヒーロー作品における恋愛描写もおおいにアリだろう!



光太郎「(さおりの両肩をとらえて)ありがとう、さおりさん! でもオレは、自分で蒔(ま)いた種は自分で刈るんだ! あの怪獣はオレの手で倒してやる! さあ、ペンダントを!」


 光太郎は光太郎で、たとえ悪意はなかったとはいえ、結果責任がある以上は、「知らなかったから、仕方がない!」「自分のせいではない!」などと責任転嫁して逃げることはせずに、それに対しては責任を取るというのだ! 男たる者、近代的な自立した個人も、かくあるべし! なんというカッコいいセリフだ!


 光太郎とさおりが身を潜めているビルの実景と迫り来るジレンマを合成したカットに続いて、ジレンマがビルのミニチュアを破壊する「特撮場面」!


 崩れ落ちたビルの破片がふたりに降りかかる「本編場面」!


 アリがちでも王道ではある編集テクニックが、クライマックスを華麗に演出!


 そして、瓦礫(がれき)の下敷きとなった光太郎の左腕に常に装着している変身アイテム・ウルトラバッジが閃光を発した!


 光太郎は瓦礫の隙間で横になった体制のまま! という変則的なパターンで、バッジを右腕で宙高くへと掲げた!


 瓦礫の中から変身・巨大化を遂げて、その勇姿を見せるウルトラマンタロウ!!


 タロウの巨大化出現の勢いで、吹っ飛ぶジレンマ!


 タロウは気絶したさおりを、足元の公園のベンチに優しく置いた。


 タロウ目線で上空から見下ろすアングルで撮られた公園の実景に合成された巨大な手が離れるや、ベンチに置かれて気絶しているさおりの姿が描かれる。


 それを見下ろすタロウのカットが少々長くて「間」を持っていることで、さおりに対する熱い想いも感じられてくるのだ!


 そんなタロウに情容赦なく、直立した体勢で襲いかかってくるジレンマに対し、タロウは宙に高々とジャンプして避ける!


 空中スピンを数回繰り返して、ジレンマの頭めがけてスワローキックを見舞った!


 あまりの勢いに吹っ飛ぶジレンマ!


 なおも直立して襲いかかってくるジレンマに、タロウはさらに蹴りを喰らわした!


 四つ足歩行に戻ったジレンマにのしかかって、右の触角を左手でとらえて、右手で頭にチョップも見舞う!


 画面の右手から襲いかかってきたタロウを、直立して背中の上で転がして、画面の左手方向へと吹っ飛ばすジレンマ!


 この一連のバトルでは、タロウとジレンマの手前には、中央に歩道橋、その両脇に複数の民家のミニチュアを配置して、その奥で戦う両者をロングの映像で撮っている!


 これは怪獣とウルトラマンが戦う都心に突然に大きな空き地(笑)ができる、などと小学生でも指摘していた批判をかわすための工夫であろう。


 これもまた川北監督の特徴でもあり、先述の『ゴジラVSビオランテ』を再見してみたら、やはり新宿を進撃するゴジラは、ナゾの広場(笑)を写さずに、街並み越しで撮られているのだ。


 それにしても、川北特撮監督が手掛けた1990年代前半の平成ゴジラシリーズに対して、かつて特撮マニアは「光線の応酬ばかりで怪獣同士の『取っ組み合い』がない!」などとよく批判をしていたものだ。しかし、その直前の1980年代には、昭和の後期ゴジラシリーズや第2期ウルトラシリーズを「怪獣プロレスだ!」などと揶揄して、「取っ組み合い」を批判しまくっていたのに、そのことへの反省や相対化もなしに何たる矛盾であったことか!(爆)


 本話のバトルはまさにその「取っ組み合い」である。しかし、手足がハッキリしないナメクジ型の怪獣なのでさほどの「取っ組み合い」でもないのだが(笑)、いわゆる「怪獣プロレス」が堪能できるのだ。


 タロウはジレンマにチョップを三連発!


 そして、ジレンマを抱え上げて、投げ飛ばす!


 画面の右手から襲いかかったタロウが勢いあまって、ジレンマの背中で反転して画面の左手へと着地!


 タロウはジレンマの背中にのしかかって、頭部にチョップを連打!


 ジレンマの触角を両方とらえて、左右に広げてジレンマを苦しめるタロウ!


 やや劣勢だったジレンマが、口から白い霧を吐き出してタロウに逆襲する!


 直立してタロウを投げ飛ばして、さらに連続して霧を吐きかけてくるジレンマ!


 口を押さえて倒れこみ、苦しむタロウ!


 ビルをもドロドロに溶かしてしまうジレンマの白い霧には、猛烈な酸が含まれているのだ!


荒垣「ウルトラマンタロウに、スーパーアルカリ液をかけるんだ!」
南原「待ってました!」


 スカイホエール機体底部の小さな穴から猛烈な勢いで霧状に噴射される、青いスーパーアルカリ液!


 これによってタロウの身体は中和され、ジレンマの酸を受けつけない体表となったのだ!


 「酸性」と「アルカリ性」を見分ける「リトマス試験紙」の実験は、小学校の理科の教科で学習するものである。こうした科学的な要素は視聴者である幼児や小学校低学年の児童にはともかく、それ以上の年代の小学生には身近に感じられて、説得力を増すことにもなっただろう。


 各怪獣の特性を正確に分析した上で、対怪獣撃滅作戦を繰り出すことが多いZATらしい手法ではある。


 しかし、筆者などはナメクジであるジレンマに対して、大量の「食塩」を吹きかけるなんて攻撃方法の方がより『タロウ』らしかったのでは? などと今回の再見でふと思ったりもしたものだ(笑)。


 だが、そういったツッコミも、『タロウ』を一方的に「ファンタジー」寄りの作品だとして捉えていたがための一種の「偏見」ではなかったか? などと反省することしきりである。先の朝日奈隊長や南原隊員のセリフのとおりで、ZATはあくまでも「科学的」「SF的」な存在でもあって、それを考えれば「食塩」よりも「スーパーアルカリ液」の方がやはり科学的だし、スマートでカッコいいのであった。


 スーパーアルカリ液の噴射に感謝するタロウ!


 それに対して、スカイホエールに搭乗していた荒垣・北島・南原も敬礼を交わす!


 ZATにも華を持たせて、頼もしく描かれているのだ。


 そこに絶妙なタイミングで間奏部分から流れる本作の主題歌が、華麗なる連係プレーと窮地からの逆転劇を演出するのに絶大な効果を発揮している!


 襲いかかってきたジレンマを、足元から抱え上げて投げ飛ばすタロウ!


 懲りずに白い霧を吐きかけるジレンマ!


 だが、スーパーアルカリ液を浴びたタロウにはまったく効果はない!


 ジレンマは四つ足になって突進する!


 しかし、タロウは宙を華麗にスピンして逃れて、背後からジレンマにのしかかる!


 頭にチョップを喰らわし、触角を引っこ抜き、豪快にジレンマを投げ飛ばすタロウ!


 引っ繰り返ったジレンマは起き上がると舌を伸ばして、タロウの首をカラめ取って動きを封じて前後左右に振り回した!


 なんとしぶといヤツなのだ!


 タロウはジレンマの舌を右手でとらえて、両方の角から稲妻状の青い光線・ホーンレーザーを発射してジレンマの舌を焼き切った!


 ……現在の公式設定ではこれを「ブルーレーザー」と呼称しているようだが、筆者は「ホーンレーザー」の名称がスキなので、そう呼ばせてください!(笑)


 タロウはジレンマをジャイアントスイングで投げ飛ばす!


 そして、タロウは必殺のストリウム光線を発射する!!


 やはり「光線」に対して川北監督はこだわりのあるのか、それとも光線作画担当の飯塚定男氏の独断か、合成担当の中野稔氏あたりの独走か、第4話『大海亀怪獣東京を襲う!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071223/p1)~第5話『親星子星一番星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071230/p1)の前後編は円谷プロの分派である日本現代企画に下請け制作に出されていたゆえの予算節約であろうか、例外的に「白」一色のみの光線として表現されていたのとは好対照で、なぜか本話のストリウム光線は「赤」を基調とした鮮やかな色で、ジレンマに命中する際には「緑色」がかかるといった具合なのだ!


 そういえば川北監督は、前作『A』の第4話『3億年超獣出現!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060528/p1)の佐川和夫特撮監督担当回ではピンク一色で表現されていたウルトラマンエースが胸の中央にあるカラータイマーから発する必殺光線・タイマーショットを、氏が演出した第25話『ピラミットは超獣の巣だ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061021/p1)では虹色の七色光線にしていたのだった(笑)。


 かくて、エジプトの悪魔・なめくじ怪獣ジレンマは木っ端微塵に吹っ飛んだ!


 のちの90年代後半の平成ウルトラ3部作における、実物に近い造形の発砲スチロール製カポックが細かく派手に爆破されていく特撮映像と比較すれば、カポックには作りもの丸出し感があって、その爆砕のされ方が大味なので、そこで幻滅してしまう御仁や子供たちがいることも知っている。
 カポック爆破の精度の高まりには、さらに四半世紀もの歳月が必要にはなるのだが(笑)。それはともかく、こういった必殺技による破壊シーンこそが、あくまでも勧善懲悪の活劇でもあるウルトラシリーズが誇る最高のカタルシスなのだ!



 松葉杖を両手に健一少年に付き添われながら白鳥家の玄関を出てくる白いワンピース姿のさおり。第4話『大海亀怪獣東京を襲う!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071223/p1)のレビューでも言及したが、この70年代前半はミニスカートが全盛の時代だったので、スカートの丈が妙に短い! 先の第4話に続いて、本編監督は異なるものの筧正典監督も、さおりの太モモに対するこだわりがあったのかもしれない(笑)。


 そこに姿を見せた、ピンクのシャツにピンクのパンツで(!)、青いカーディガンを羽織った光太郎!


光太郎「これ、全快のお祝いだよ(例のペンダントを手渡す)」
さおり「怪獣も死んでしまったし、もう付けても平気ね」
光太郎「ああ」
健一「怪獣が出てきても平気さ! 光太郎さんがついてるじゃないか!」
光太郎「こいつっ!」


 健一のマセた冷やかしに、笑いに包まれる白鳥家。


光太郎「健一くんにもプレゼントがあるんだ!」
健一「なに?」


 光太郎が手を口に加え、口笛のような合図を送ると、1匹の可愛らしいポメラニアンスピッツ?)が一同のもとに元気に駆けてきた。


光太郎「ポチっていうんだ!」


 せめてもの償いをさおりと健一に果たした光太郎。ポチを抱え上げて、嬉しそうに庭を駆け回る健一を見つめ、笑い合う光太郎とさおり。すべてはまるく収まり、物語は大団円を迎える……



 とりあえず、ハッピーエンドではあるのだが、先のポチが死んで間もない時期に、新しいポチを連れてきてしまう行為にも賛否両論はあるだろう。特撮評論同人ライター・黒鮫建武隊氏による『タロウ』の全話解説&全話評をまとめた数百ページにも及ぶ大冊名作同人誌『ALL ABOUT THE ★ ウルトラマンタロウ』(95年8月1日発行)での本話のレビューでは、やはりペットと死別して間もない時期に、新しいペットを即座に飼う気にはなれないものだから、そこのみ本話の欠点であることを指摘されており、頷けるところなのだ。



<こだわりコーナー>


*白鳥さおり役の朝加真由美(当時はひらがなで、あさかまゆみ名義)は1955(昭和30)年9月6日生まれで、北海道北斗市出身。函館白百合学園高等学校中退で血液型はO型。夫は俳優の篠塚勝である。71年にミス・セブンティーンコンテスト北海道大会でスカウトされ、『ウルトラマンタロウ』で役者としてのデビューを飾った。『タロウ』以外の作品でのレギュラーでは、千葉真一主演の忍者ものテレビ時代劇『影の軍団Ⅱ』(81年)の軍団員・お朱鷺(おとき)役、テレビ時代劇『暴れん坊将軍Ⅱ』(83年)の御庭番(将軍配下のスパイのことです)・さぎり役などもある。
 しかし実は1990年代以降の方が、トレンディ系・ホームドラマ・時代劇・2時間サスペンスなど、ジャンルを問わず精力的に出演を続けており、その活躍ぶりは目覚ましいものがあるのだ。本稿執筆時点の2007年の作品では、『水戸黄門』のお兼役、『わるいやつら』(テレビ朝日)の沼田看護師長役、『牛に願いを Love&Farm』『東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜』(共にフジテレビ)のほか、CMでもトヨタ自動車『パッソ』に出演している。
 なお、『ダブルマザー』(95年・国際放映東海テレビ(フジテレビ系)製作の昼ドラマ)では、なんと東光太郎役の篠田三郎と夫婦役を演じ、『タロウ』を知る者をおおいに歓喜させることとなった! ちなみにこの作品には『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)で防衛組織・GUTS(ガッツ)のヤズミ隊員を演じることとなった古屋暢一(ふるや・よういち。当時はジャニーズJr.)も夫婦の息子役で出演していた。
 だが、筆者的には彼女の出演作品で最も驚いたのは、日本テレビで06年9月18日に放映された『アンテナ22特別版 総理大臣小泉純一郎 歴史に残る2000日』である。よりによって政治家・田中真紀子の役だったのだ(爆)。そして、同じく政治家・武部勤の役は初代『ウルトラマン』で主人公・ハヤタ隊員を演じた黒部進であった(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2008年号』(07年12月29日発行)『ウルトラマンタロウ』再評価・全話評大特集より抜粋)


『假面特攻隊2008年号』「ウルトラマンタロウ」関係記事の縮小コピー収録一覧
静岡新聞 1973年4月6日(金) TV欄:後7・0新番組ウルトラマンタロウ ウルトラの母は太陽のように(はごろも缶詰、大同薬品提供) 〜#1を大々的に紹介・篠田三郎ペギー葉山のバッジ手渡し2ショット大写真
・「ケイブンシャの原色怪獣怪人大百科(第3巻)(昭和48年版)」(1973年)宇宙大怪獣アストロモンス
静岡新聞 1973年3月19日(月) 「新番組の紹介」頭に二本角、太陽バッジで変身、「ウルトラマンタロウ」、一層SF的に
・読売新聞 1973年4月27日(金) 「てれび街」人気上昇中のウルトラの母 〜想像図募集に10万通、4割が女児
静岡新聞 1973年3月26日(月) 最新武器持ち、奇想天外の特撮 〜怪獣にしがみついたり和製アラビアンナイト
毎日新聞 1973年4月5日(木) 木曜の夜は 金曜の夜は 〜TBS73年春の新番組広告・7〜10時台全てドラマ
静岡新聞 1973年4月6日(金) TV欄「超能力を持つ」 〜タロウ#1紹介記事


[『ウルトラマンタロウ』#6「宝石は怪獣の餌だ!」言及記事]

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