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西遊記 劇伴CD鑑賞記! 〜リスト&全話視聴率!

「西遊記」全話評! 〜全記事見出し一覧


(映画『西遊記』公開記念!〜短期集中連載!)
(文・田中雪麻呂)

西遊記 オリジナルサウンドトラック(avextrax・商品番号AVCD17925)

《『西遊記』劇伴CD鑑賞記》
1『夢幻(むげん=はかないことの譬え)』

 規則正しく旋律を刻む打楽器に、妖しげな女性コーラスが交わり、不気味であり勇壮であり哀切であり、正に千変万化な曲調。妖怪の奇怪さの描写によく用いられた。♯1でハイスピードカメラが使われた悟空VS幻翼大王の闘い、♯5で紅蟻夫人が酸を飛ばすシーン、♯9で混世魔王が三蔵を嘲る場面、♯11で悟空が李玉ら高僧を罵倒しまくるシーンなどで使用。尚、この曲のイントロはタイトル・バックのショック・ブリッジにも使われている。

2『阿吽(あうん=吐く息と吸う息、呼吸)』

 ハイテンポで勇壮、心躍る楽曲。主に三弟子のアクション・シーンに使われた。♯4で岩傑の呼びかけに応じてキャラバンを救う誇りある村人たち、♯9での悟空VS混世魔王のラストの大立ち回り、♯11で三弟子が地獄行きを覚悟で大雷音寺からの三蔵奪還を決意するシーンなどに使用。

3『凛(りん)』

 落ち着いていて趣があり、どことなくユーモラスな楽曲。語りの永井一郎氏の「それはまだ、空に龍が飛んでいたころの物語……。」で始まる“前口上”のバックに流れていてお馴染み。♯11での一行の長安への帰途のナレーションバックに、特番での釈迦如来が悟空をからかうシーン、また同じく♯11では如来が身分を明かした場面でこの曲のイントロが用いられている。

4『筋斗雲』

 軽快でテンポの良い曲調。時折調子良く合いの手を入れる弦楽器がエンドレスに曲を引っ張ってゆく。♯1で牛魔王の要塞へ筋斗雲を駆る悟空、♯5で赤子を背にコミカルに家事をこなす悟空、♯7で幽霊の連歌が悟空に憑依(ひょうい)して女の舞を踊らせるギャグ・シーンなどに使われていた。

5『LotusGarden(蓮や睡蓮の庭園)』

 弦楽器の競演で、心安らかになる一曲。♯1で破門した悟空に思いを馳せる三蔵、♯2のラストで痩せ我慢で春麗を振ってしまう八戒、♯10で羅刹女が娘の凛凛と真摯に語り合う場面などに用いられた。

6『Nirvana(涅槃=ねはん。一切の迷いのない悟りの境地)』

 魂を揺さぶられるような気高い曲調。弦楽器のテクの応酬が強いカタルシスを生む。御存知、悟空がワル妖怪への説教の際にかかるナンバー。♯1の幻翼大王に、♯2の妖泉大王に、♯3の霊感大王に悟空の叱責が飛ぶッ!しかし演じる香取慎吾は「悟空は別にその言葉で悪者を説得しようなんて思ってない。ただそう思ったから口にしてるだけ。言いたいこと言ったから、よしぶっ飛ばすぞって(笑)。{TVLIFE'062/3号}」と語っている。
 全くの余談だが、先日見た細木数子の番組の中で、ゲストのデビット伊東が味自慢のラーメンを細木やくりーむしちゅーらに振る舞う際に、この曲がエンドレスでかかっていて、可笑しくて仕方がなかった(笑)。
 尚、この曲には本シリーズ全話の脚本を手掛けた坂元裕二氏が歌詞をつけ、本作の映画版のイメージ・ソング『旅人(唄/高杉さと美)』(asin:B000O5B1GSasin:B000O5B1GI)として、'07年6月にリリースされた。

7『疑心』

 不協和音が唸りをあげる中、アドリブ的なエレキ・ギターの旋律がその調和を保つ。動きのあるサスペンスシーンに多く用いられた。♯1の牛魔王の登場シーン、♯3で凛凛が結界地で獏念の存在に気付く場面、♯5の冒頭悟空が竹林で小用をするシーン、♯9で混世魔王の出現に脅える悟浄の描写などに使われた。

8『帰依(きえ=信仰し、仏の威徳にすがること)』

 静かな、しっとりとしたピアノの独奏に心が癒される。♯1で三蔵が悟空を破門する場面、♯7で悟空が三蔵の頼みに死を快諾するシーン、♯10で天竺到達という大願から心が離れた八戒悟浄に三蔵が心を痛める場面などで使われた。

9『花鳥風月(かちょうふうげつ=自然界の美しい景色)』

 弦楽器の厳かな音色が心を落ち着かせ、郷愁を誘う。♯1で三蔵とかつての師父・仁丹とのしみじみとした語らい、♯2のラストで「ボクはやっぱり花より団子ですッ」と精一杯強がる八戒、♯4で金魚への熱い思いを切々と語る悟浄、♯7で黄泉の国で凛凛らの魂を洗う悟空と連歌のシーンなどに使われた。

10『てんやわんや』

 打楽器と弦楽器で奏でられるハイテンポでユーモラスな楽曲。♯1で凛凛が女泥棒の正体を明かすシーン、♯5で赤ん坊を見つけてしまう悟空、♯8の断崖絶壁でふざけまわる悟空のシーンなどに使われた。

11『雲海』

 美しく勇壮な旋律ながら、不安な予兆を感じさせる曲調。♯1で仁丹が牛魔王の手下と密約を交わす場面、♯7で黄泉の国の理を語る老子、♯10の冒頭で強かに痛め付けられる八戒悟浄、♯11の序盤で赤雲に大雷音寺が間近であると告げられる三蔵のシーンなどで使われた。

12『GoWest』

 抹香臭いイメージかと思えば、転調してハイテンポなコミカルなものになったり、そのメタモルフォーゼの繰り返しが面白い。♯4で三蔵らが処刑される刹那に颯爽と現れる悟浄、♯8で二人になってしまった悟空がマナカナよろしくユニゾンで見得をきるシーン、♯10で回復し爽やかな笑顔を見せる凛凛、そして90分枠のときの番組半ばに挿入されるスポンサー告知のBGMとしても用いられた。

13『流転』

 ハイテンポで高揚感溢れる曲調と、ピアノの哀切なノクターンとが交互に演奏される。♯1で牛魔王に激しい怒りを燃やす悟空、♯7で自己チューの連歌に“頬被り”を託されるキャラバン、♯10で婚礼の儀のために御粧しをされる悟空のシーンなどに使われた。

14『雫(しずく)』

 ポタッポタッと滴る雫の音で始まり、遊び心も横溢。幻想的な音色の楽器で奏でられてはいるが、歌謡曲のようなサビを持つ味わい深い楽曲である。♯3の冒頭で三蔵が自分が天竺に行く理由を真摯に弟子たちに語るシーンなどで使用。

15『阿吽』

 ②とのバージョン違い。エレキ・ギターが香辛料としてよい働きをしており、アクの強いものに仕上がっている。♯1の幻翼大王&牛魔王との殺陣のシーン、♯4でお水様にキャラバンの処刑の猶予を頼む岩傑、♯5で紅蟻の手下たちと戦う三弟子、また毎回の予告編のBGMとしても使われている。

16『有耶無耶(うやむや=終わり方が判然とせず、あいまいなこと)』

 エレキ・ギターが中心のハイテンポな刹那的演奏と、しっとりした楽曲とが相互に変化を遂げてゆく。正にヌエのような音楽である。♯7での“名無しの妖怪”戦のバックで使われたときが最も印象的で、妖怪が憑依する相手を変える度に⑯→⑦→⑫とBGMも変わってゆき、役者の芝居にリアリティを与えていた。尚、この曲はタイトル・バックの一部にも用いられている。

17『剣(つるぎ)』

 荒々しくハイテンポな、攻撃的な作風の楽曲である。イントロにおどろおどろしい不協和音があるため妖怪の登場シーンやショックシーンに多く使われた。♯2で石像にされた三蔵が元に戻るシーン、♯6冒頭での悟空と悟浄の大立ち回り、♯7で荒寺の怪異に怯えるキャラバン、♯10で羅刹女に反旗を翻す犬魔将軍のシーンなどに用いられた。

18『空(くう)』

 ピアノの静かな独奏が耳と心に心地よい。この曲を聴けばイヤなことも忘れてリセットできそうだ。♯4での悟浄と金魚姫との抱擁シーン、♯6での息絶える修周、♯7で家族の前で昇天する連歌、♯9で心を交わす悟空と翠玲、♯11で愛情を以て師父を大雷音寺の門の中に追いやる三弟子のシーンなどに使われた。

19『杏仁(あんにん)』

 銅鑼など中国の打楽器総出演という趣。リズミカルでテンポ良く、楽しい曲調。この曲は主にコメディリリーフ役の老子が現れた時に使われた。♯1で白煙とともに出現した初登場シーン、♯4で牢内のキャラバンの前に鉄格子を擦り抜けての登場、♯8で凛凛のガセネタの“乳祭(おっぱい祭り)”目当てに嬉々として現れたときなどが印象深い。

20『天竺』

 朝の清らかな光に包まれたような荘厳なる曲。“達成感”や“労い”などのイメージを具現化したような楽曲である。♯1で牛魔王に化けた悟空に三蔵が気付くシーン、♯9で死を覚悟して混世魔王に向かっていく悟浄、♯11で釈迦如来がキャラバンに経典を渡すシーン、同じく♯11でのキャラバンの回想シーンなどで使われた。

21『阿吽』

 ②、⑮とのバージョン違い。ハイテンポで勇壮なそれら二曲とは異なり、景観描写のようなゆったりとした旋律になっている。♯5で瀕死の純純が初めて弱音を吐いたシーン、♯6で傷心の修周を天竺旅行に誘う悟空、♯10で悟空を庇って犬魔将軍の刃を受けてしまう凛凛、♯11で別れの餞別に三蔵が錫杖の“願かけの鈴”を三弟子に与えるシーンなどに用いられた。

22『Around The World/(唄)MONKEY MAJIK

 主題歌(ASIN:B000E0VPJQ)を唄ったMONKEY MAJIKは、カナダ人兄弟と日本人からなるバンドである。中国をイメージさせるサウンドをアクセントに、ソウルやロックの要素も取り込んでおり、どこか懐かしい感じがするのも魅力的だという。バンド名にもあるように、このグループも『西遊記』の大ファンだという。鈴木吉弘プロデューサーはTV雑誌で主題歌について「主題歌の選考が難航しているときに、テレビでMONKEY〜の曲を聴いて面白いなと。早速二日後にオファー。その三日後には最初のデモテープをいただきました(笑)。ドラマの世界観に合ったポップな曲になりました。{ザテレビジョン'061/27号より}」と語っている。


西遊記』2006年版・放映リスト


 放送No. 放映日 サブタイトル *脚本* *演出* 東京 大阪 名古屋 主要ゲスト
 No.01 1/9 火の国** 坂元裕二 澤田鎌作 29.2 25.8 28.7 木村拓哉 角野卓造 長江英和 夏帆
 No.02 1/16 温泉の国 坂元裕二 澤田鎌作 24.8 24.3 25.1 酒井若菜 及川光博 吉沢京子
 No.03 1/23 夢の国** 坂元裕二 澤田鎌作 23.8 21.4 24.8 石井喧一 伊藤蘭
 No.04 1/30 砂の国** 坂元裕二 成田 岳 22.5 20.7 22.9 須藤理彩 武藤敬司 半海一晃
 No.05 2/6 子供の国 坂元裕二 成田 岳 22.1 20.0 **** 高橋ひとみ 吉武怜朗 松尾瑠璃
 No.06 2/13 森の国** 坂元裕二 澤田鎌作 20.6 19.7 21.5 成宮寛貴 釈由美子
 No.07 2/20 幽霊の国 坂元裕二 加藤裕将 21.2 20.2 22.6 手塚理美 酒井敏也
 No.08 2/27 時の国** 坂元裕二 成田 岳 20.9 18.7 21.5 石井正則
 No.09 3/6 花の国** 坂元裕二 成田 岳 20.7 21.3 **** 大地真央 松重豊 いしだあゆみ
 No.10 3/13 滅法国** 坂元裕二 高木健太郎 20.5 20.3 23.8 大地真央 デビット伊東 谷津勲
 No.11 3/20 天竺**** 坂元裕二 澤田鎌作 24.7 24.0 26.5 堺正章 山下真司 篠井英介
 特番 3/27 春休み突入SP (構成)大井洋一 加藤裕将 20.2 **** 23.2 深澤嵐 須藤理彩


 キャスト*****   スタッフ
孫悟空……香取慎吾 (脚本)坂元裕二
三蔵法師深津絵里
沙悟浄……内村光良 (音楽)式部聴志
猪八戒……伊藤淳史
********* (技術P)中村 彰
凛凛……水川あさみ (SW)高津芳英
老子………大倉孝二
金魚………須藤理彩 (撮影)岸本正人
八恵………深澤 嵐 *** 大野勝之
********* (照明)清水 智
羅刹女……大地真央   (音声)山田裕樹
********* (美術P)木村達昭
釈迦如来……堺正章 (デザイン)木青木陽次
********* (視覚効果)高橋信一
幻翼大王…木村拓哉 (特殊メイク)森田試
牛魔王……長江英和 (特殊造形)関根喜美子
妖泉大王…及川光博 (造形)吉田 等
獏念和尚…石井喧一 (衣装)沖田正次
霊感大王…半海一晃VFXスーパーバイザー)
紅蟻夫人…高橋ひとみ *** 富士川祐輔
鶏肖魔人…成宮寛貴   (CGコーディネート)
紅孩児……石井正則 *** 高橋美香
混世魔王……松重豊VFXアーティスト)
犬魔将軍…デビット伊東 *** 高野善政
********* (アクションコーディネーター)
語り……永井一郎   *** 竹田道弘(※1)

********* (メイク)佐々木精一
********* ***内野晶子
********* (妖怪デザイン)竹田団吾
********* (広報)小中ももこ
TOYOTA (時代考証)気賀澤保規
P&G (監督補)遠藤光貴
メナード化粧品 (製作主任)福嶋昭二郎
AsahiKASEI
エステー科学 (プロデュース)鈴木吉弘
SUNTORY *** 澤田鎌作


(了)
(特撮同人誌『仮面特攻隊2008年号』(07年12月29日発行予定)『西遊記』2006年版・全話評より抜粋)


西遊記 オリジナルサウンドトラック

西遊記 オリジナルサウンドトラック


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(※1):(編註)アクションコーディネーターの竹田道弘氏は、『電子戦隊デンジマン』(80年)のデンジピンク、『大戦隊ゴーグルファイブ』(82年)のゴーグルピンク、戦隊『超電子バイオマン』(84年)のピンクファイブ等の女性キャラの変身後を演じ、『光(ひかり)戦隊マスクマン』(87年)〜『鳥人戦隊ジェットマン』(91年)、『五星(ごせい)戦隊ダイレンジャー』(93年)、『忍者戦隊カクレンジャー』(94年)、『電磁戦隊メガレンジャー』(97年)〜『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年)のアクション監督をつとめあげた、我らが特撮マニアには、馴染み深い御仁。
 『光戦隊マクスマン』や『五星戦隊ダイレンジャー』などの中国武術戦隊で、特に冴えを見せた竹田道弘カントクにとって、『西遊記』のアクションコーディネーターは最適の作品だったといえるだろう。
 竹田道弘アクション監督の近年の代表作は、なんといっても本編アクション部分の絵コンテをも担当した『ゴジラ FINAL WARS』(04年)(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060304/p1)だろう。