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仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER 〜並行世界・時間跳躍・現実と虚構を重ねるメタフィクション、全部乗せ!

(旧「はてなダイアリー」最終更新可能日2019年1月28日UP!)
仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー 〜ヒーロー大集合映画の教科書がついに降臨か!?
仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010
仮面ライダービルド最終回・総括 〜三国志・火星・宇宙・平行宇宙へ拡大する離合集散・二重人格劇!
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『仮面ライダー』シリーズ評 〜全記事見出し一覧


平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER

(18年12月22日封切)
(脚本・下山健人 監督・山口恭平 アクション監督・宮崎剛 特撮監督・佛田洋

合評1 〜並行世界・時間跳躍・現実と虚構を重ねるメタフィクション、全部乗せ!

(文・T.SATO)
(18年12月28日脱稿)


 最新現行の仮面ライダーと直前作の仮面ライダーの共演を旗印に掲げてきた年末年始の仮面ライダー映画。
 長期低落傾向にあった映画の興行収入も、中興の祖である『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)や『仮面ライダーディケイド』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090829/p1)後の数年間で盛り返したあとは、またゆるやかに長期低落傾向に入っていったが、本作公開の2年前に『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』と銘打って、直前作のみならず、ここ数年の先輩平成ライダーたちが5〜6人ほど共演を果たすようになってからは興行収入も再度盛り返し、ついに「平成仮面ライダー20作記念」と銘打って、看板を張る主役の平成ライダー20人を勢揃いさせた本作では、封切り直後のオープニング成績が、歴代ダントツの興行収入を誇った映画『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091213/p1)に迫るほどの大ヒットを飛ばしているという!
 本作では「平成ライダー20名が勢揃い!」を当初は押し出して宣伝され、直前作『仮面ライダービルド』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180513/p1)との共闘が前面には出なかったことから、『ビルド』組は準主役級の扱いではなく、噛ませ犬程度であろうか? だとしたら、その一点では残念だナ……と思っていたのだが。


 まぁ当然といえば当然だけど、『ビルド』組も準主役級として活躍!(笑) しかも、本作に登場する『ビルド』組の面々は、『ビルド』正編とは並行宇宙の関係にある最新作『仮面ライダージオウ』(18年)#1〜2にてタイムトラベルした1年前の2017年秋の時代にいたパラレル存在の仮面ライダービルド&仮面ライダークローズではない!
 『仮面ライダービルド』最終回で、『ビルド』世界とは別の並行世界の地球と合体、もしくは並行世界の地球を触媒として、ここ10年〜20年ほどの歴史を作り替えた、仮面ライダービルドこと桐生戦兎(きりゅう・せんと)青年自身は「特異点」的にその存在が残るも、人々はビルドたちや怪人たちとの激戦の歴史を知らない「新世界」に移行したあとの正編の仮面ライダービルド&仮面ライダークローズ本人そのものなのだ!
――ただし、『仮面ライダージオウ』組の面子は、『ジオウ』#1〜2に登場したパラレル存在の仮面ライダービルド&仮面ライダークローズの1年後の現在の御仁たちとの再会だと終始誤解しつづけており、『ビルド』組にとってはあくまで初対面であり『ジオウ』組の言動を不可解に思っているディスコミュニケーション描写も面白い――


 そう、平成ライダー第1作『仮面ライダークウガ』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001111/p1)〜第9作『仮面ライダーキバ』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090215/p1)までの作品群は、昭和や平成の先輩ライダー共演の余地がない各作が独立したパラレルワールドとして描かれて、第10作『仮面ライダーディケイド』(09年)はこれらの並行世界を毎回越境して旅する存在として描かれた。
 つづく第11作『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100809/p1)〜第18作『仮面ライダーエグゼイド』(17年)は地方都市や学園といった小世界・地域を守るローカルなヒーローであり、年末年始の映画で最新&直前作の新旧・仮面ライダーが共演しつづけたことから、昭和ライダー時代と同様に同一世界での出来事とされてきた。
 しかし、10年も前から赤い万里の長城で3国に分断された日本を舞台とした第19作『仮面ライダービルド』では、さすがに『W』〜『エグゼイド』までの平成ライダーともまた別の並行世界だとされて、1年前の年末年始映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171229/p1)やTV版『ビルド』終盤では、並行世界それ自体を物語の舞台装置としてみせる。
 本映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』でもこれに則り、『ジオウ』の世界と『ビルド』の世界という2つの並行世界を舞台とする。
 しかもコレに加えて、第3の世界として、平成ライダーたちがTVの中での虚構の存在にすぎない『現実世界』も舞台としてきた!


 そこに歴史改変を企むTV版『ジオウ』の敵・タイムジャッカーとは異なる新たなる強敵・スーパータイムジャッカーがカラむことで、『ジオウ』の世界にも『ビルド』の世界にも微改変が生じているらしい。
 かてて加えて、『現実世界』で「仮面ライダーたちに会いたい!」と願ったゲスト高校生が、『仮面ライダー電王』の敵怪人種族・イマジン――『電王』終盤の展開を私的に解読するに、おそらく『電王』の世界とは別の時間軸(=並行世界)の未来(イマジンの世界)と『電王』の現在時間とを強制的に連結切替して、『電王』の世界の本来あるべき未来を消滅させようとしている連中?――の新種・フータロスと契約を結んだことの影響によって、並行世界を越境したのか『現実世界』にいたままでの出来事なのか、はたまた『ジオウ』『ビルド』『現実世界』の3つの世界が混交して、局所局所や登場人物たちの記憶や存在も混合・置換・消滅・復元を繰り返すような、ややこしい様相も呈していく。


 そして、この3つの世界を、斜めに越境するようなかたちで、めまぐるしく時間跳躍まで繰り広げられることで、幾度かの歴史改変が発生し、ゲスト児童は過去から現代へ、ゲスト高校生は現代から過去へと跳躍し、後者に至ってはアナザーライダー怪人ことアナザー電王と化して、20年近い時間を過ごすことで現代へと辿り着き、怪人化する前の自分自身にも襲いかかる!(爆)
 スーパータイムジャッカーに至っては、平成ライダーがTVの中の存在にすぎない第3の世界『現実世界』の西暦2000年にまで遡り、そこで元祖平成ライダー仮面ライダークウガ』#1にてクウガが誕生した長野県九郎ヶ岳遺跡の超古代の英雄のミイラの力を奪ってアナザークウガ怪人を誕生させる!――ここの『現実世界』には『クウガ』の遺跡があったのかヨ!?(笑)――
 さらには、本映画のゲスト怪人である、アナザー電王・アナザーW(ダブル)・アナザークウガたちも、状況を錯綜させていく。


 その果てに、ゲスト児童は『仮面ライダー電王』で主人公青年がそう呼称されていたのと同様の「特異点」であると明かされて……
――『電王』では、歴史改変を企む怪人の魔手から人々や歴史を守るためにライダーたちが戦っていた。しかし、厳密にタイムパラドックスを考えれば、過去の時代に本来ありえない未来の存在が、他人や事象に干渉せずとも局所的な空間を占有しただけでも、地面に足跡なり空気に乱れが生じて、歴史は微量に変わってしまうハズだ。そのことの言い訳か、開き直って各話でゲストたちが以前よりも少しだけ幸せになれるような歴史改変を各話で行なった。もちろんそれでも微量な歴史改変の蓄積の果てに、ヘタをすると仮面ライダー電王さえ誕生できない歴史となる可能性がある。それを除外するため、原理は不明なれどもタイムパラドックスの影響を一切受けない特殊な存在「特異点」として、主人公青年を設定付けていた――


 そう。そうなると『ジオウ』世界のお約束、アナサーライダー怪人が誕生すると、本来の平成ライダーは歴史改変の影響か、自身がライダーであったことの記憶や能力を失ってしまうというルールを、仮面ライダー電王野上良太郎(のがみ・りょうたろう)だけは免れえる可能性があったのだ! シリーズを見続けてきた御仁であれば承知している、そうした設定の上にも立って、アナザー電王が暴れていても仮面ライダー電王だけはホンモノが登場し、野上良太郎を演じた今や大家の佐藤健(さとう・たける)までもが、まさかのサプライズ出演!


 『電王』終盤では唯物論ならぬ、紀元前からある唯心論・独我論のような思想も導入されて、歴史が改変されても「記憶」の力で歴史を回復することができるとされていた。コレが後年の映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101220/p1)中の「仮面ライダーディケイド完結編」や映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』(11年)にも援用されて、劇中キャラの「記憶」の力で歴代ライダーたちが復活を遂げていたけど、まぁ基本は子供向けヒーロー番組なのでそんなユルいノリでも構わないのだけれども、いささかムリやりで苦しいところがあったのは事実だ。


 本映画でもこの設定が援用される。しかし、それは『現実世界』と『虚構世界』の関係に拡張されて援用されたモノだ。自室に大量の仮面ライダー人形を並べた仮面ライダーを卒業できないマニアなゲスト高校生や、我々のような変身ヒーローものを観て育った第3の世界である『現実世界』の人々の「記憶」の中では、血肉&生命力&人生を兼ね備えた存在として仮面ライダーたちはたしかに存在しているともいえる。
 その意味でなら、小説なり映像の「虚構」作品を鑑賞することで擬似的に他人の人生を追体験して、その「記憶」が「現実」の人間に賦活(ふかつ)もするという点では、「虚構であってもホンモノでもある」という言説に、世人も異論はナイであろう。
 そのようなワンクッションを踏んだ上で、第3の世界『現実世界』の人々の「記憶」の力によって、歴代平成ライダーたちが『現実世界』に具現化するに至っては!
――そして、平成ライダーたちがTVの中の「虚構」の存在にすぎないのだとしても、自身も当初は敵の手のひらの上で踊らされていたにすぎない「偽りのヒーロー」で、最後には人々の記憶からも消え去ってしまった仮面ライダービルドを鏡像的に、ココに復習・オーバーラップもさせていく!――


 今回の本作の主眼は、非常に凝った複雑なストーリー展開のワリには、SFギミックにはない。年末年始映画の前2作の主眼でもあった強者集結のカタルシスを目的とするカッコいいバトルにもない。叙情的な人間ドラマ主導の作劇となっており、本作の背骨ともなっているのはゲスト児童&ゲスト高校生の想いや因縁だ。
 そして、ここに「平成ライダー20作記念作」として、ここ20年弱の劇中キャラの歴史・人生を、観客のそれとも執拗に重ね合わせようとして、さらにそこにそれぞれの時代ごとの平成ライダーの存在もカラめることで、平成ライダーの爽快で勇ましい戦いというよりも、いわゆる観客側の「思い出補正」も援用して、往時は賛否・好悪もあったやもしれないけれども「何もかもすべて懐かしい」という感傷的な情動を刺激しようとしてくる。


 実際、終盤の平成ライダー総登場のバトルにはケレン味があまりナイ――ただし、おなじみのバンク映像やバンクCG映像の方は、原典とはアングルを大幅に変えることでケレン味は出していた――。しかし、2〜3人ずつコンビやトリオを組んで繰り広げられるラストバトルは、勇ましくはあるのだけれども、懐かしさをトリガー(引き金)として涙腺を刺激してくるようにも思えたのであった……。


(了)


合評2 〜虚構と現実、その狭間に立つ我々は……。

(文・J.SATAKE)


 シリーズを重ねることで「平成仮面ライダー」という名が定着し今回、平成仮面ライダー第20作記念映画『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER』(18)が上映開始。もともとは前作と最新作のクロスオーバー企画であったこの時期の劇場版であったが、『仮面ライダージオウ』(18)自体が平成シリーズ全体を総括・抱合する物語であるため、本作はオールライダー大集合を目玉とする作品となった。


 とはいえテレビシリーズを無視するかたちとはせず、新たなタイムジャッカー・ティードによる行動からソウゴ・ゲイツツクヨミが事件を解決するプロットはそのまま。そこに平成シリーズでもエポックとなった『仮面ライダークウガ』(00)『仮面ライダーW(ダブル)』(09)『仮面ライダー電王』(07)の3作をおもにフィーチャーしつつ、『仮面ライダービルド』(17)のキャスト陣のフィナーレ・アンコールをも実現させる。様々な要素がひしめくなか、本作は見事に難題をクリアしてくれた!


 怪人・アナザーダブルに追われる少年・シンゴと、仮面ライダーたちのバトルを嬉々として見つめる高校生・アタル。ふたりとの邂逅、そしてジオウとビルドのキャラの再会・バトルで序盤を盛り上げる。一方でメインキャラたちが「記憶」を失ってゆく過程をコメディシーンを交えつつ、世界が崩れてゆく不安感を煽る……。
 テレビシリーズの段階で、時間移動をテーマに取り入れると難解となることは指摘されていた。しかしそれに再び挑戦したのには『電王』を総括するには避けて通れない、という命題があった。時をめぐる怪人・イマジンと、彼に心を囚われた人の葛藤。それを痛快かつ優しく解決する仮面ライダー電王のヒーローとしてのキャラの成り立ち。それらが融合することで独特の魅力を発揮していたのが『電王』であった。
 本作ではこの『電王』の基本プロットをジオウ&ビルドのメンバーが担当してゆく。シンゴとアタル、ふたりの間にある大切な絆・思いをつなぐために時を越えて奔走するソウゴたち。そこにはいつまでも変わらない人の優しさと勇気が溢れていた!
 そしてソウゴたちの危機を救うため参上する時の列車・デンライナー。アナザー電王に「最初からクライマックス」で挑む電王の勇姿! 赤鬼・モモタロスのソードフォームからキンタロスのアックスフォーム、リュウタロスのガンフォームにウラタロスのロッドフォーム。それぞれのしゃべくりを交えながら次々とチェンジしてはアナザー電王を圧倒するバトルスタイルは往年のままだ。他のレジェンドライダーのフォームチェンジをオミットした分、存分に暴れる電王を堪能できる!
 さらにデンライナーオーナー役の石丸謙二郎氏に、野上良太郎=佐藤 健(さとう たける)氏もサプライズ出演!! もはや叶わないと思われていた佐藤氏の再演だけに、この登場はファンには最大のプレゼントとなった。戦い終わって目と目を交わすモモタロスと良太郎。モモ役の関 俊彦氏のべらんめえ口調も変わらず健在であったが、この最後の無言の視線の交差には当人たちそしてファンがかみしめる思いがつまった、静かだが熱い熱い名シーンとなった。


 さらにもうひとつ本作で扱うテーマは、虚構と現実。アタルは平成仮面ライダーをテレビで見てきたファンであり、あるつらい体験から「平成仮面ライダーは虚構である」と思い至るのだ。確かに現実で自分がどんなに逆境に立たされても、ヒーローは助けには来てくれない。しかし画面に映し出されたライダーが悩み苦しみ、そこから立ち上がり逆転勝利をつかみ取る勇姿に心を熱くし、自分もそんな勇気を持てる強い人でありたい、と願ったことは偽りないものだ!
 ビルド=戦兎(せんと)は言う。虚構も現実も関係ない。たったひとりでも自分のことを覚えていてくれる人がいれば、それで充分だと。エボルトとの戦いを通して、スカイウォールの惨劇がない新たな世界を生み出した彼だが、いまやその存在を知るのは相棒である龍我だけだ。しかしそれだけではない。『ビルド』という物語を経験した我々がそれを忘れない限り、彼らは確かに現実に存在しているのだから……。 
 これもまた『電王』で示された「人の記憶が現実を形作る」というテーマと重なっている。人の歴史は記憶の伝承だ。ウォズが毎回紐解く歴史書もまた誰かの記憶。それをどうとらえるかで「時の王」の意味も変わる。時を守る立場となった電王チームと、未来に希望をもって王にならんとするソウゴ。我々はそのエキサイティングな瞬間を体験しているのだ!


 物語の登場人物が作者の意思に反した行動をとる、などという言葉もある。世界にあふれるあまたの物語も、それに触れた人たちの想像力・共感力を揺さぶり、心に様々なものを残し行動を起こすきっかけにもなる。この不思議な感覚こそ人が持つ特別な力だ。
 「愛」も「正義」も手垢にまみれ大上段に振りかざすのは、もう時代遅れなのかもしれない。しかし目の前にいる大切な人を守ろうとする心から生まれる真っ直ぐな気持ちを偽らずにぶつけることができるのがヒーローという存在。その根本はいつまでも変わらない。
 その意思を体現してくれるヒーローに思いを託し、そこから現実を生き抜く力を生み出す。虚構に逃げるのではなく、それを糧に一歩踏み出せる想像力を磨けることが物語が持つ魅力だ。
 だからこそ巨大な甲虫となったアナザークウガ、さらに進化したアルティメットアナザークウガを撃退するため、最強のライダーキックを繰り出す平成仮面ライダーたちの勇姿に我々は手に汗を握り、心からの応援を送り続けるのだ!
 迫り来る怪人たちに立ち向かうライダー。それぞれ得物の武器やバトルスタイルを尊重したアクションを展開し、全員ではないが声の出演も実現! 個々が際立つように短くともアップ画を多用しメリハリのあるバトルが見られた。さらにバイクスタントも個人技を積み重ねて出しつつ引きの画で全体の疾走感を演出! これは劇場版ならではの規模で迫力を見せつけた。
 大人数による間延びした印象を与えずに、アナザークウガまでのラストバトルを全編クライマックスで展開したバトルシーンには賞賛しきりであった!!
 『電王』と『ジオウ』、時間移動モチーフ同士の融合と再生。そして虚構と現実の狭間を揺れ動く、未来の子供たちとアダルトファンに向けてのエールを見事にまとめ上げた山口恭平監督に拍手を送りたい。


 『ジオウ』が単純にレジェンドライダーと共闘せずに展開してゆくことを選択したことに不満をもっている方も多い。メインライターの下山健人氏のチャレンジは充分評価したいところではある。しかし本作のように原点のプロット・展開をしっかりとなぞることで平成仮面ライダーの魅力を総括・抱合することができれば、そこからまた新たな仮面ライダーの方向性を見いだすことができるのではないだろうか。今回は『電王』のメインライターであった小林靖子氏が脚本監修されたので、ここまで完成されたというのはうがち過ぎかもしれないが、今後のテレビシリーズでは各作品の雰囲気をよく知る監督だけでなく、脚本の吟味にも注力していただきたい。
 もうひとつのエポックである平成仮面ライダー第10作記念作品『仮面ライダーディケイド』(09)を総括し、パワーアップした第20作記念作品『仮面ライダージオウ』。後半戦もチャレンジを続けて平成最後の仮面ライダーとしてもっと活躍してほしい。


(了)


合評3 〜映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』

(文・久保達也)


 映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.(ドクター)パックマン対エグゼイド&ゴースト with(ウィズ)レジェンドライダー』(16年・東映)、映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL(ファイナル) ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー』(17年・東映)につづく、映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』シリーズの第3弾が、「平成仮面ライダー20作記念」を冠して、「平成」としては最後となる年の瀬に公開された。


 この『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』シリーズは、『仮面ライダーディケイド』(09年)、および『仮面ライダーW(ダブル)』(09年)の劇場版として公開された映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦(ムービー・たいせん)2010』(09年・東映)以降、放映中の最新作と直近の前作の世界観をクロスオーバーさせることで、仮面ライダーの世界をひとつにつなげてきた映画『MOVIE大戦』シリーズの流れを継承しつつも、映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(12年・東映)以降、かつて春の恒例(こうれい)行事として公開されていた映画『スーパーヒーロー大戦』シリーズ最大のウリだった強者集結のカタルシスの魅力をも、近年の仮面ライダーに主演した役者を総出演させて加味することで、興行的に大成功をおさめてきた。
 今回も『W&ディケイド』以来の伝統を継承するかたちで、あくまで放映中の『仮面ライダージオウ』(18年)、そして前作の『仮面ライダービルド』(17年)をメインとしたクロスオーバー作品として製作されたのだが、「平成仮面ライダー20作記念」が銘打(めいう)たれ、事前の特報や予告編で歴代「平成」仮面ライダーせいぞろい! が最大のウリとして告知された以上、果たして歴代のレジェンドライダーたちが、どのようなかたちで仮面ライダージオウ仮面ライダービルドと競演を果たすことになるのか? 観客の最大の関心はそこにあったことだろう。


 敵組織・タイムジャッカーが選んだ人間がアナザーライダーとして誕生した瞬間、その時代に活躍していた仮面ライダーは消滅してしまい、その仮面ライダーの力を秘めたライドウォッチを、本来の変身者から託(たく)された主人公・常盤(ときわ)ソウゴ=仮面ライダージオウが、歴代ライダーの力を継承する『ジオウ』の世界観は、むしろ従来のテレビシリーズ以上に、最新ヒーローとレジェンドヒーローの華麗なる競演を実質的に困難にさせてもいるのだ。
 今回『ジオウ』とともにメインで扱われる『ビルド』でさえも、『ジオウ』EP(エピソード)02『ベストマッチ2017』で、桐生戦兎(きりゅう・せんと)=仮面ライダービルドと万丈龍我(ばんじょう・りゅうが)=仮面ライダークローズの力が、ライドウォッチとしてソウゴと明光院(みょうこういん)ゲイツ仮面ライダーゲイツに託されたことで、『ジオウ』の世界では、戦兎と万丈はすでに仮面ライダーへの変身能力を失っているのである。
 ジオウとゲイツをビルドやクローズ、そしてレジェンドライダーたちと競演させようとすれば、テレビシリーズとは別次元=パラレルな世界を描く手法が必然的に導きだされるワケだが、それにしても、今回は実に大胆なことをやらかしてくれたものだ。


 今回『ジオウ』や『ビルド』の世界と並行して描かれるのは、『仮面ライダー』がテレビで放映されている世界、つまり、我々が住む現実の世界そのものなのだ。
 ゲスト主役の男子高校生・久永(ひさなが)アタルは、2000年1月29日=『仮面ライダークウガ』(00年)の放映が開始された2000年1月30日の前日に生まれた。
 もちろんアタルは『クウガ』をリアルタイムで視聴するのは困難だったであろうが、『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031102/p1)あたりから観はじめたであろう、「平成」仮面ライダーにどっぷりとハマりつづけ、アトラクションショーでライダーの勇姿に声援を送り、部屋はフィギュアを中心としたライダーグッズであふれているという、いまだに仮面ライダーを卒業できない高校生なのだ――私事で恐縮だが、筆者の甥(おい)も2000年生まれであり、『555』から『仮面ライダー電王』(07年)までは観つづけたものの、『仮面ライダーキバ』(08年)を序盤で「こわい」と観なくなり、それっきりになったそうな(汗)――。
 『ジオウ』EP05『スイッチオン! 2011』に登場した、『仮面ライダーフォーゼ』(11年)の舞台・天ノ川(あまのがわ)学園高校の現役仮面ライダー部員みたいな、巨漢やメガネといった極端なルックスではないのだが、まじめでおとなしく、どことなくイケてないアタルの雰囲気は、現実世界に少なからず存在する、いい年して仮面ライダーを卒業できずにいる者たちの、平均的なイメージを忠実に再現したものだろう。


 今回もそうだったが、仮面ライダー映画を初日の初回に観に行くと、まさにアタルと同じような雰囲気の多くの若者たちに遭遇する。
 皆アタルよりは少し年上、つまり、『仮面ライダークウガ』を幼少時に観てのめりこみ、そのまま仮面ライダーを卒業できずに現在に至ったのであろう、20代と思われる者たちだ。
 『クウガ』の時点ですでに30代半(なか)ばであったばかりか、そもそも「平成」という時代に良い印象がないために、「平成」が終わることにほとんど感慨(かんがい)がわかない(汗)筆者とは異なり、「平成」に生まれ、仮面ライダーとともに「平成」を生きてきた彼らにとっては、まさに代弁者のようなアタルこそが最も感情移入できる存在であり、「平成仮面ライダー20作記念」のゲスト主役として、アタルは実にふさわしいキャラなのだ。


 現実の世界では存在しない仮面ライダーに「会いたい」と願ったアタルが、契約者の望みをゆがんだ方法でかなえたあげくに歴史を改変してしまう、『仮面ライダー電王』の敵怪人・イマジンの新キャラとして今回登場したフータロスと契約することで、架空の存在であるハズの仮面ライダーたちが、アタルの世界に次々と現れることとなる。
 一方、『ジオウ』の世界では、ソウゴやゲイツが自分が仮面ライダーであることを忘れてしまい、未来から来た神秘的な美少女・ツクヨミはチャラい女子高生となり(笑)、『ジオウ』の拠点(きょてん)となる時計店・クジゴジ堂が喫茶店・モジモジ堂と化したりするが、アタルの想いが薄れて仮面ライダージオウ仮面ライダーゲイツが現実世界から消滅するや、皆本来の記憶を取り戻す。
 つまり、本作では『ジオウ』はテレビシリーズと同一の世界観で描かれるものの、それはアタルが住む世界=現実世界から見れば、あくまで空想の世界にすぎないとする位置づけがなされているのだ。
 これは深夜枠で放映され、大好評だったヒーローアニメ『SSSS.GRIDMAN(グリッドマン)』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181125/p1)の登場人物や舞台となる街は、怪獣を生みだして自身が気にいらない人間を次々に殺害し、主人公の高校生・響裕太(ひびき・ゆうた)=グリッドマンを刺殺しようとまでしたものの、個人的には断固として擁護(ようご)したい(爆)美少女・新条(しんじょう)アカネが、すべてつくりだした世界だった(!?)、とする世界観を彷彿(ほうふつ)とさせるものであり、アタルには悪としての属性はないものの、このアカネの男子版といった趣(おもむき)も感じられるのである。


 『ビルド』の世界が最終回(第49話)『ビルドが創(つく)る明日(あした)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181030/p1)で戦兎がつくった「新世界」、つまり、戦兎と万丈以外のすべての人間が地球外生命体・エボルトに侵略された10年間の歴史を忘れた世界であり、戦兎と万丈が仮面ライダーへの変身能力を保ったままであるのも、それが空想上の産物とする位置づけがあればこそであり、『ビルド』の世界を『ジオウ』序盤の影響を受けずに別個に存在させる手段としては、実に巧妙ではあるまいか?
 『ビルド』の世界では記憶を失ったことを失ったことで(笑)、猿渡一海(さわたり・かずみ)=仮面ライダーグリスと氷室幻徳(ひむろ・げんとく)=仮面ライダーローグが、仮面ライダーの記憶を取り戻し、戦兎と万丈の前に現れる。
 一海=カズミンはグリスへの変身能力を取り戻したのみならず、ヒロインの石動美空(いするぎ・みそら)=ネットアイドル・みーたんのファンだったことまで思いだす(笑)。幻徳が再度ライダーの記憶を失ったことで、自分を「ヒゲ」呼ばわりするカズミンに、「見知らぬ者にヒゲと呼ばれる筋合いはない」と去ってしまう、などのコミカル描写も、『ビルド』の世界観を再現するには必要不可欠であろう。


 アタルがカズミンに、「『キバ』の音也さんですよね?」(爆)とたずねるのは、カズミンを演じた武田航平(たけだ・こうへい)が『仮面ライダーキバ』では主人公・紅渡(くれない・わたる)の父親・紅音也(くれない・おとや)=仮面ライダーダークキバを演じていたことの楽屋オチではあるのだが、これはアタルが生きる世界では『ビルド』も『キバ』も、あくまで空想の産物であることの端的な象徴でもあるのだ。
 また今回秀逸(しゅういつ)だったのが、仮面ライダービルドが基本形態のラビットタンクフォームにラビットラビットフォーム・タンクタンクフォーム、仮面ライダークローズが基本形態にクローズチャージ・クローズマグマと、各場面ごとに異なる形態で登場していたことである。
 従来の劇場版では仮面ライダーのフォームチェンジが割愛(かつあい)され、基本形態のみが登場することも多かったものだが、本来はこれこそが『ビルド』の世界観を最も的確に再現しているように思えるのだ。


 今回は仮面ライダークウガ誕生以降の、「平成」仮面ライダーの歴史をすべて消滅させようとたくらむ、スーパータイムジャッカーのティードなる青年、そして手先として暗躍するアナザーライダー(怪人)・アナザー電王とアナザーW(ダブル)が敵として登場し、『ジオウ』や『ビルド』の世界と、アタルが住む現実の世界とを行き来することで、双方の世界を橋渡しする役割を果たしていた。
 テレビシリーズのタイムジャッカーが歴代ライダーが活躍した各時代へとタイムスリップし、選びだした人間にアナザーウォッチを埋めこんでアナザーライダーを生みだすのとは異なり、ティードは自身の身体にアナザーウォッチを埋めこむことでアナザークウガと化し、最後は仮面ライダークウガのモチーフとなったクワガタ型の巨大怪獣へと変貌(へんぼう)を遂(と)げる。
 ポスターやチラシなどの各種宣材のキービジュアルですでに明らかではあったが、今回クローズアップされた歴代ライダー作品は、その原点である『仮面ライダークウガ』、その明るく空騒ぎな作風からしてシリーズのターニングポイントとなった『仮面ライダー電王』、第2期「平成」ライダーの初作となった『仮面ライダーW』であり、「20作」におよぶ長期シリーズを概観(がいかん)する意味では、これは妥当(だとう)な選択ではあるだろう。


 ただ、ソウゴが搭乗するロボット型のタイムマシン・タイムマジーンの危機を、時を駆ける列車・デンライナーが救ったり、オリジナル声優が演じるモモタロス・ウラタロス・キンタロスリュウタロスの愉快なイマジンたちの登場により、電王のソードフォーム・ロッドフォーム・アックスフォーム・ガンフォームのフォームチェンジまでもが描かれ、デンライナーのオーナーのみならず、後述するが、まさかまさかの大物ゲストまで登場した(!!!)『電王』や、2000年の世界に飛んだゲイツが、クウガが誕生した長野県の九郎ヶ岳遺跡でクウガライドウォッチを誕生させ、ティードがその遺跡で「平成」ライダーの歴史を消滅させようとしたり、遺跡名のクレジット表記までもが当時の字体が再現されていた『クウガ』に比べ、舞台となった風都(ふうと)のラーメン屋台・風麺(ふうめん)のオヤジが出たくらいなほどに、『W』の扱いがあまりに小さいのはどうなのかと……
 まぁ、こんな周辺キャラに、「(左)翔太郎(ひだり・しょうたろう=仮面ライダーW)から預かったから」と、Wのライドウォッチをソウゴに託す大役を与えたり、『ジオウ』の舞台を風都のご近所として描いているのには好感を持つし、「この本によれば」と、『ジオウ』の狂言回しとして登場する青年・ウォズが、本つながりで『W』のもうひとりの主人公・フィリップのように、「地球(ほし)の本棚」を検索(けんさく)する描写は、確かに『W』の世界観が再現されており、これは妙にうれしかったものだ。


 だが、大半の観客にとって最大にうれしかった演出は、現実の世界に現れた悪の軍団に襲われた市民たちが、それぞれの心に最も残る仮面ライダーの名を呼ぶ声に、空想の世界から颯爽(さっそう)と駆けつけた仮面ライダーたちのかけ声や必殺技を放つ声が、すべて歴代の変身前の主人公を演じた役者たち本人のものであったことだろう!
 先述した映画『スーパーヒーロー大戦』シリーズなど、強者集結が描かれたこと自体は確かにうれしかったものの、大変失礼ながら、声優による代行演技にはやはり違和感をおぼえていた観客たちにとっては、公開時期的に最高のクリスマスプレゼントとなったのではなかろうか!?
 もちろん大半は過去作品の膨大(ぼうだい)なライブラリーからサンプリングされた音源だが、それを抽出(ちゅうしゅつ)する時間と手間を惜(お)しむことなく、権利関係をクリアすることでついに実現させた今回の偉業については、最大の敬意を表したい――その意味では、『仮面ライダーウィザード』(12年)で主人公の操真晴人(そうま・はると)=仮面ライダーウィザードを演じた白石隼也(しらいし・しゅんや)が、『ウィザード』を扱った『ジオウ』EP07『マジック・ショータイム2018』&EP08『ビューティ&ビースト2012』に出演しなかったどころか、今回過去作品のセリフすらもいっさい使われていないのは、かなり気になるところなのだが……――。


 それどころか、『仮面ライダーアギト』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011103/p1)・『仮面ライダー龍騎(りゅうき)』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021102/p1)・『仮面ライダーディケイド』・『仮面ライダーゴースト』(15年)の主役ライダーに至っては、それぞれの作品で変身前の主人公を演じた役者たちが、その声を新録することで再出演を果たしているのだ!
 まぁ、『ディケイド』で門矢士(かどや・つかさ)=仮面ライダーディケイドを演じた井上正大(いのうえ・まさひろ)と、『ゴースト』で天空寺(てんくうじ)タケル=仮面ライダーゴーストを演じた西銘駿(にしめ・しゅん)は、本作公開直前に放映された『ジオウ』EP13『ゴーストハンター2018』&EP14『GO(ゴー)! GO! ゴースト2
15』にそろってゲスト出演していたのだから、ついでに映画にも出てもらえよ、と思ってしまうのも事実なワケで……歴代ライダーを空想の産物として扱っている今回なら、なおさらやりやすかったと思えるのだが。
 ほかにもテレビシリーズのタイムジャッカーがいっさい登場せず、悪側の群像劇が描かれない。新キャラ以外の悪の軍団が歴代作品の戦闘員ばかりで構成され、先述した『MOVIE大戦』や『スーパーヒーロー大戦』シリーズみたいな怪人軍団が登場しないなど、近年のライダー映画に顕著(けんちょ)に見られる欠点があいかわらず改善されていないのは、確かに不満ではある。
 だが、それらが一気に吹っ飛んでしまうほどの快挙をも、今回は成しとげることとなったのだ!


 『仮面ライダー電王』の主人公・野上良太郎(のがみ・りょうたろう)を演じたことで大ブレイクし、今や若手俳優の頂点に立つかのような勢いで第一線で活躍する佐藤健(さとう・たける)が、本作でサプライズ出演を果たすこととなった。
 前作『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL』に、『仮面ライダーフォーゼ』で如月弦太朗(きさらぎ・げんたろう)=仮面ライダーフォーゼを演じた福士蒼汰(ふくし・そうた)がサプライズ出演することが事前に大きく報道されたのとは異なり、公式サイトや各ニュースサイトで佐藤氏の出演が報じられたのは、公開当日の午前9時以降のことだったのだ。
 筆者が鑑賞した静岡県静岡市のシネシティザートでの初日初回の上映時間は早朝8時55分。つまり、その場にいた観客たちは、誰ひとりとしてこれを知ることもなく、あり得ないと思われていたいきなりのサプライズに、場内は前代未聞(ぜんだいみもん)のどよめき・悲鳴・歓声であふれかえったのだ!
 特にあくまで子供の付き添いで来ただけで、自身は仮面ライダーに何の関心もないと思われる、一般層の若い母親たちの「キャァァァ〜〜〜!!!」「ウッソ〜〜〜!!!」といった大騒ぎはすさまじいものがあった(笑)。
 「出てきた瞬間泣きそうになりました」「生きててよかった!!」「本当にありがとう」「『電王』のこと黒歴史(くろれきし)にしないでいてくれるのうれしすぎる」「マジかよ、観に行かなきゃ!」……劇場にとどまらず、ネット上の各ブログやツイッターなども、もはやこの話題で大騒ぎとなっているのだ。


 もちろん映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』シリーズの前二作が興行的に大成功となったのは、その中で中心に扱われた『仮面ライダーゴースト』・『仮面ライダーエグゼイド』(17年)・『仮面ライダービルド』のテレビシリーズの人気が高かったことが、最大の要因ではあるだろう。
 だが、第1作『Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト』に、『仮面ライダードライブ』(14年)で泊進ノ介(とまり・しんのすけ)=仮面ライダードライブを演じ、映画公開の時点ですでにメジャーな存在となっていた竹内涼真(たけうち・りょうま)が、第2作『平成ジェネレーションズFINAL』に先述した福士氏が、そして今回佐藤氏が出演したことで、彼らが出るのならぜひ観たい! と考えるような、熱心な仮面ライダーファン以外の周辺層を開拓し、観客として取りこむことがいかに重要であるかを、筆者は今回の劇場での大騒ぎであらためて実感させられたのだ。


「当時から支えて頂き、そして今でも好きだと言ってくださる方へ感謝の気持ちをお伝えしたいし、現実世界において虚構(きょこう)である仮面ライダーという存在が、僕らの心の中では真実であり永遠なのだという想いを、限られた出演ではありましたが、こめたつもりです」
(『Sponichi Annex(スポニチ・アネックス)』18年12月22日 19時15分配信)


 たとえ架空の存在であれ、誰かの心の中で生きつづける限り、確かに仮面ライダーは存在する……佐藤氏のコメントは、今回の最大のテーマに則して語られたものだが、氏が良太郎を、『電王』を、決して「黒歴史」にすることなく、いまだに役者の原点として大事に想いつづけるからこそ、良太郎も『電王』も、放映終了からすでに10年以上を経過しているにもかかわらず、末永く愛されているのかと思えるほどだ。
 今回は「ボクに釣られてみる〜?」が口癖(くちぐせ)のウラタロスに憑依(ひょうい)された、女たらしの(笑)良太郎としての演技のみではあったが、関俊彦(せき・としひこ)の声の演技が絶品だったモモタロスの、「おまえのことだけは絶対に……忘れない」も含め、今回の佐藤氏のサプライズ出演には、おもわず涙腺(るいせん)がゆるみそうになったことを、正直に告白しておきたい。


 最新ライダーとレジェンドライダーの先輩・後輩としての関係性が明確に描かれた『Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト』、現役および前作のライダーがピンチになるたび、レジェンドライダーが颯爽と登場するカタルシスが絶品だった『平成ジェネレーションズFINAL』に比べ、今回はゲスト主役のアタル、そしてアタルが誕生した日にティードに誘拐され、現実世界から姿を消した小学生・シンゴを中心としたドラマに、やや重きが置かれているような感は否(いな)めないものがある。
 だが、ラストで戦兎がソウゴに、「空想とか現実とか関係ない。たとえ誰かひとりでも自分のことを想ってくれるなら、オレたちは確かにここにいる」(大意)と、まさに自身と相棒の万丈との関係性にからめて語ったように、たとえ元号が変わろうとも、今後も仮面ライダーを追いつづけるであろう者たちに、空想の産物である仮面ライダーとのつきあい方を今一度考えさせることは、「平成仮面ライダー20作記念」として、確かにやるべきことであったかと思えるのだ。


 ただ、その意味であえて云わせてもらうなら、今回本編終了後に特報も予告編も何ひとつ流れなかったことには、個人的には唖然(あぜん)とするしかなかったのだ。
 これは仮面ライダーに対する観客たちの長年の想いを、断(た)ち切ってしまうことにならないのか?
 興行的な不振のためか、春の恒例行事だった『スーパーヒーロー大戦』シリーズは中断したかたちとなり、年明けに公開されてきた、現役と前作のスーパー戦隊が競演する「VS(ブイエス)」映画は、スーパー戦隊前作の続編として毎年6月に発売されてきたオリジナルビデオ作品を、今後は「VS」形式に改めることで正月映画の代わりとする模様であり、劇場での上映は極めて少数で期間限定にとどまるのだ。
 誰かの想いがある限り、仮面ライダーは確かに存在する、と主張するのなら、今後も仮面ライダースーパー戦隊を存在させつづけるためには、観客たちの想いを持続させねばならないハズなのだが……
 その想いを何度も断ち切ってしまったことで、ウルトラマンゴジラの存在が一時期危(あや)うくなったことを思えば、仮面ライダースーパー戦隊に対する観客たちの想いに、断じて空白期間を生(しょう)じさせてはならないと考えるのだ。


2018.12.24.
(了)


(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2019年号』(18年12月29日発行)折込コピー速報・所収『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』合評1〜3より抜粋)


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