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西遊記♯6「森の国」


「西遊記」全話評! 〜全記事見出し一覧


(映画『西遊記』公開記念!〜短期集中連載!)
(文・田中雪麻呂)

♯6『森の国/〔武勇伝!! 新しい仲間〕』

(脚本)坂元裕二(演出)澤田鎌作


 「おい待てよ姫! 礼を言えとは言わねえ。泣いてくれとは言わねえ。
 ……ただ…わかってやってくれよ! 勝手な思い込みだったけど、やり方も間違ってたけどさァー!
 ……こいつはあんたのことが、大好きだったンだッ! ……あんたを自由にしてやりたかっただけなんだよッ! あんたの願いを叶えようとした。命がけで叶えようとしたッ! 命を捨てて……約束を守った。
 ……ちっぽけな、ちっぽけな一羽のニワトリのくせによォ!」


 緑豊かな森楼国(しんろうこく)に到達するキャラバンだが、長旅の疲れで皆スタミナ不足に。
 悟空と八戒は廃寺でニワトリを見つけ、追いかけ回すうち、誤って観音像を壊してしまう。それを三蔵に告げ口しようとする悟浄と悟空らの間で内輪モメが始まり、哀れ悟浄は大袋に詰められ、裏の森に置き去りにされる。
 その直後、王室の鳥飼い・修周(しゅうしゅう)と名乗る美青年(成宮寛貴)から、その森は人を喰らう“魔の森”であると聞かされ、悟空は慌てる。


 修周の目的はその“魔の森”に拐(かどわ)かされた、この国の姫君・冥蘭(めいらん/釈由美子)の奪還であった。
 キャラバンは修周を道案内に、その森に足を踏み入れる。捜索を続けるうち、八戒が逸(はぐ)れ、三蔵が何者かに攫われ、悟空と修周は二人で励まし合い、助け合
って遂に曰(いわ)くありげな廟(びょう=先人の霊を祭ってある建物)の前に行き着く。
 悟空が廟の頑丈な鍵を破壊し、意味不明な御札を剥がすと、重い扉が開かれ、絵のように美しい姫君・冥蘭が顔を出した。


 姫の尊顔を拝すや、修周の全身を真っ白な羽毛が包み、脳天から毒々しい赤いトサカが飛び出した! 驚愕する悟空と姫君。修周の正体こそ、この森の妖怪・鶏肖魔人(けいしょうまじん)であったのだ。
 魔人は、曾(かつ)て城内で冥蘭が戯(たわむ)れに言った「鳥になってみたい。」という言葉を真に受け、憧れの姫を城外に連れ出そうとするが失敗。
 王様は愛娘のため、魔人の手の出せぬ鍵と御札で守られた廟に冥蘭を移したのだ。魔人は自分の手に負えぬ鍵と御札を取り去るためにキャラバンを利用したのである。勿論(もちろん)、全ての怪異は魔人によるもので、最初から人喰い森など存在してはいなかったのだ。


 魔人は冥蘭を抱え、逃避行に及ぼうとするが、余りに嫌がり、泣き叫ぶ姫君にひどく当惑する。
 為す術もない魔人に、追って来た悟空が優しく声をかける。「修周、もういいじゃねえか。おめえならもっと大事なものが見つけられるさ。オレたちと一緒に天竺に行こうぜ。オレたち、ナマカじゃねえか。」


 魔人の顔に一瞬、希望の光が輝く。
 その刹那……。魔人の背中に無数の矢が突き刺さる。
 絶命する鶏肖魔人。冥蘭護衛のために遣わされた兵団の仕業だった。魔人の骸(むくろ)を一顧だにもしない薄情な冥蘭に悟空が吠える!


 その頃、袋から疾(と)うに脱出していた悟浄は、エッチな酒場で老子と酒を酌み交わしていた……。



 冒頭、悟空と悟浄との60合にも及ぶ中国拳法の技の応酬にまず目を奪われる。台本でのこのシーンのト書(とがき=舞台説明及び、人物の動作を表す部分)では、[悟浄を倒して袋に入れる]という一行のみ書かれていたが、悟空役の香取がここをもっと膨らまそうとスタッフに提案して、ああなったらしい。
 ♯9の、悟空VS混世魔王(松重豊)の戦いも、映像では40合にも及ぶ大立ち回りだったが、ノベライズ版には“一瞬で勝負がついた”という記述になっている。
 もしかすると、ここも香取が膨らましたのかもしれない(笑)。因(ちなみ)に、松重氏は学生時代は柔道の猛者(もさ)ではあったが、剣術は大の苦手で、劇団時代も下手で有名だったとか。わからないものである。


 さて、戦隊ヒーローものではお馴染みの「6番目の戦士」的な話である。茫然自失の鶏肖魔人の処置をどうするのかと思っていたら、悟空が何のてらいもなく仲間になるように誘ったので正直驚いた。この点、仏の導き云々でなく、#1で悟空をキャラバンに加えた頃からの何ら必然性の無い行為であり、展開が一貫していて快い。
 本来ならば悪しき妖怪として滅ぼされて然る可(べ)き鶏肖魔人ではあるが、修周の謙虚さ生真面目さのキャラ設定や、悟空とホンネで心を交わす凸凹道中の丁寧な描き込みでキャラバンの対応を偽善的なものと感じさせなかったストーリー展開は見事である。
 あと、友情出演とテロップ付記されていた釈由美子は誰との友情なのかがちょっと気になる……。


(了)
(特撮同人誌『仮面特攻隊2008年号』(07年12月30日発行予定)『西遊記』2006年版・全話評より抜粋)


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