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【推しの子】・シャインポスト・幻日のヨハネ・アイドルマスターシンデレラガールズU149 ~異形の大傑作・王道・小児・異世界スピンオフ! アイドルアニメの進撃とまらず!

『アイドリープライド』『ゲキドル』『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『おちこぼれフルーツタルト』 2020~21年5大アイドルアニメ評!
『22/7』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『音楽少女』『Re:ステージ!ドリームデイズ♪』 ~アイドルアニメの変化球・テーマ的多様化!
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 ついに、怪獣映画『ゴジラ -1.0(マイナス・ワン)』(23年)などを手掛けた、かの山崎貴カントクも所属するCG製作会社「白組」を製作スタジオとして、2Dセル画ライクなCGアニメと化したアイドルアニメ『アイドルマスター』シリーズ(11年~)の第3チームを描いていた2023年秋アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』(23年)が完結記念!
 同じく3DCGアニメ映画『GODZILLA 怪獣惑星』シリーズ(17~18年)などを手掛けたCG製作会社「ポリゴン・ピクチュアズ」を製作会社として、第4チームを描いた2024年春アニメ『アイドルマスター シャイニーカラーズ』が劇場でも先行公開中記念!
 2023年大晦日のNHK『紅白歌合戦』では、アイドルアニメ『【推(お)しの子】』(23年)の主題歌「アイドル」を、YOASOBI(夜遊び)当人が歌唱記念!


 とカコつけて……。アイドルアニメ『【推しの子】』(23年)・『シャインポスト』(22年)・『アイドルマスター シンデレラガールズ U149(ユーいちよんきゅう)』(23年)・『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-(げんじつのヨハネ サンシャイン・イン・ザ・ミラー)』(23年)評をアップ!


『【推しの子】』・『シャインポスト』・『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』・『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』 ~異形の大傑作・王道・小児・異世界スピンオフ! アイドルアニメの進撃とまらず!

(文・T.SATO)

『【推しの子】』

(2023年春アニメ)
(2023年8月6日脱稿)


 黒髪ロングでその両眼の瞳を大きな六芒星で表現されることで、身近な妹系のアイドルなぞではなく、圧倒的なスター性を感じさせるメインヒロインのビジュアル!


 この「推(お)し」という死語のような和語をアイドルを応援する意味で多用しだした最初は、00年代末期だったと記憶する――80年代だとの説は信じない(笑)――。


 海外でも日本の深夜アニメがほぼリアルタイムで配信される現状が後押ししたことによって、今をトキめくYOASOBI(夜遊び)による本作主題歌「アイドル」の世界的な大ヒットでも注目を集めている本作。大勢がホメている作品なぞはホメたくない! と思ってしまうヒネくれ者の筆者でも、本作はスナオに脱帽級に面白かった!


 本作を純然たる「アイドル(歌手)アニメ」と括ってイイのかはビミョーだ。しかし、ここ10数年ほど隆盛を極めてきた「アイドルアニメ」や、その文法に乗った上での換骨奪胎作でもある。
 そして、そういった流通もさせやすい意匠・パッケージの上で、人間の繊細な機微を静かに描いていく。あるいは、メリハリを持ったストーリーを動的にも紡いでいく。それらの3要素の鼎立(ていりつ)といった意味でも、実にクレバーかつキャッチーな手法を採用している。


 とはいえ、特定のアイドルに限定して描いているワケではない。一応のナマ身というのか、未熟で虚栄的で人格的な偏りもある、どころか壊れてすらいる、時たまには常識人も混在しているアイドルや、その候補にまつわる諸相!


 彼女らはルックスには恵まれているので、TVドラマや映画にも出演を果たしていく。そこで広がる舞台と人間模様。同年代の若手女優や意識高い系の子役。アイドルの周辺にあるマネジメント・興行・映像業界・スポンサー。そして、そんな虚業の職業に集ってしまうような人種たち。


 我々オタのように一日中、書斎に引きこもって書きモノだけしていても苦にはならない人種たち(汗)とは真逆な連中! どころか、机に座ってのデスクワーク・サラリーマン事務職などはできないであろう一点集中と放心、注意欠陥多動性な性格類型たちによる堅実さとは程遠い生きザマ。
 虚構の構築にこそ耽溺してしまう性向。芸事などの修練への執着。その一方で、人生や仕事をナメくさった身過ぎ世過ぎの単なる足掛けだけの御仁なども登場してくる……。


 奇人・変人・珍人・怪人が大集合の世界ではある。しかしそこにも、近代的な合理性とは程遠くても(笑)、人の世の不条理も含めた何たるかが垣間見えてこなくもないのだ。



 前世の記憶を保ったまま、再び現代日本に赤ちゃんとして転生した男性主人公といった基本設定は、大ウソの虚構そのものだ。しかし、そこで描かれている事象は、ヒトの世の真実を穿(うが)ってもいる。
 赤ちゃんや幼児の身の彼はその冷徹な目線で、父親が誰なのかも分からない産みの親のアイドル美少女を観察。マネージャーの子供だと偽って、ドラマや映画の仕事にも同伴していく。


 欧米では監督よりもプロデューサーの権限が強くてフィルムの編集権まで持っているけど、たとえ演技がウマくて輝いていても、バランスの問題で主演女優を喰って見えてしまえば、各位の合議の上でこのアイドル美少女の出番は編集で大幅にカットされてしまうという現実。
 幼少のみぎりで演技に没頭、ウマく演じられなかったり、共演相手の演技の方がウマいと思えば、悔し泣きしてしまう子役女優の逸話にも心打たれた。


 ついには高校生へと成長した男性主人公は、落ち目となっていたこの子役女優と再会。演技ができない若手男性アイドルが主演する低予算の配信ドラマのヒロインに、彼女を起用して少しでも演技面では底上げしようとする製作意図を知る。
 そこで、男性主人公は撮影現場で作為を加える。論理的には同一のシナリオであっても、たとえ虚構であっても、真に迫らせることで、視聴者の心を動かし世評をアップさせて、女性の原作マンガ家にまで一縷の涙を流させるのだ……。



 欧米でもネット上の誹謗中傷で数十名もが自死してもなお放映が継続している、若い男女に同居生活を送らせてカップル成立の成否を見させるリアリティーショー番組。
 演技と本気と人気取り。剛腕な芸能事務所社長に罵倒される善人マネージャーを助ける意図で、男子に迫る快活女子を演じてみせるマジメな少女女優も登場する。
 それが演技だとは知らない視聴者によるネット上での中傷。よせばイイのに彼女もエゴサーチ……。明らかに例の事件に着想を得たという意味では不謹慎だとの批判もあってイイ。しかし、毒もあるフィクションとしては大傑作が爆誕
 もちろん、イイ意味でさらなるフィクションへと転じることによって、バッドエンドは回避されてはいる。けれど、世の問題を描いて何かを感じさせつつ、最後には解決されてほしい……といった願望を疑似実現させるのもフィクションの役目なのだ。



 むかしのマルクス主義者は「すべての物語は資本主義的ブルジョワ的退廃」だとして否定した。20世紀の哲学者のサルトルも「飢えた子供の前では文学は無力だ」として「文学の放棄」を訴えた。


 しかし、人間一般は「虚構」を楽しむ。アイドル・スポーツ選手・文化人・ヒーロー・異性を「推し」てしまう非合理な心性も残る。中毒しない範疇で、それらと付き合うべきなのだ。
アイドル (完全生産限定盤) (特典なし)

TVアニメ「【推しの子】」オリジナルサウンドトラック
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.86(23年8月12日発行))


『シャインポスト』

(2022年夏アニメ)
(2022年12月25日脱稿)


 実に狭いスペースのライブ会場で活動する地下アイドル3人組モノなのか!? と思えたものの、一応は芸能事務所に所属している3人ユニットの美少女キャラたちがじょじょにサクセスしていくといったストーリー。


 といっても、武道館を数万人単位で埋めるのではなく、来年2023年夏に閉館が決まった中野サンプラザの数千人程度のコンサートホールを満席にすることを目的とする程度で、フィクションなりの現実味も出せている良作である。


 本作もまずメインの3人のアイドル美少女が魅力的だ。実在のアイドルグループ・AKB48(エーケービー・フォーティエイト)的に女子高生の制服をモチーフに、袖なしベスト&ミニスカの部分を赤や青のチェック柄とした共通ファッションも、イマ風アイドルユニットとしての記号であっても可愛らしい。デザイン自体は繊細な描線でも低頭身のお人形さん的ではなく、デッサン骨格しっかり系ともなっている。


 メインでセンターの女子は、3人以上の美少女ものではテンプレである華もある元気女子。しかし、そこで変化球。その明るさや機転は半分は生来のモノでも、半分はイイ意味での演技や他人への気遣いでもあり、フツーの常識人の内面を持った人物であることも明かされていく。


 そして、そんな彼女の人格も見抜いて敬服しつつも、彼女に対する負け意識も持っていることが明かされていくサブヒロインがマジメそうな黒髪女子。
 やや涼し気な可愛いらしい小鳥のさえずり声かつ優等生タイプだけど、文字通りの優等生の出自。お勉強とは異なり、努力がそのまま成果に直結しないことが人気商売の世界であることを実地で知って落胆するも、ムダに反発することなくカラッと諦観しているサマもまたリアルなのだ。


 自分に対する自信満々な女王さま的な決めゼリフがお約束でも、少々ガクガクブルブルしているサマも透けて見える金髪少女は、我々オタク視聴者への強さ&弱さの同時ウリによるアピールなのかと思いきや……。
 ガチで気弱であり、人前どころか観客としてライブ会場に足を運ぼうとも思っていなかったほどの弱者であった過去でも、肉付けをしていく。


 そして、そんな内気な金髪少女の長所を活かして、彼女をブレイクさせようと特定歌曲のセンターに抜擢する若手男性プロデューサー! さらに、彼女の周囲や同じ芸能事務所のまた別のアイドルチームたちが金髪少女をサポート! ステージを成功させていくサマには、シニカルに観てしまえば「そんなにウマくいくワケがない」ファンタジーではあるけど、「弱者や凡人にこそ成功・勝利してほしい!」といったファンタジーとしては、涙なしでは観られない!


 むろん、小さな成功を重ねていくこともまた広義でのご都合主義である。しかし、随所にクレバーな言い訳も交えられている。マイナーアイドルマニアは「ラーメンは屋台にかぎる」的な「先モノ買い」としての自意識・プライドを持った「通」なのでもあって(笑)、「アイドル(人物)評論家」的な多弁症の人種たちでもある。そこに仕掛けて、かつ彼らもそれをわかってソコに積極的に乗っていくことによって、その成功の伝播にリアリティーも出していくのだ。


 2010年代以降、定期的に製作されるようになった、我々オタク向けの深夜ワクの美少女アニメの変種としてのアイドル(歌手)アニメ。といっても、フェミニズム陣営がするような「男子または弱者男子にとっての都合がよい女子像」といった批判もまた半分は正しいとは思うものの、実際には女性オタクや一般の女性層まで喰らいついたり、広義での部活モノや競技モノといった物語的な普遍性もあったことから、ヤンキーDQN(ドキュン)的なライト層にまで受容されるような大ヒット作まで登場してきた。その意味では、一般的なオタ向け作品よりも実は拡がりがあった「開けたジャンル」でもあったのだ。


 そして、アイドルアニメはウマく作れば、その歌曲のCDや声優自身が歌唱する3次元での大規模ライブに物販でも稼ぐことができる。とはいえ、歌曲の製作やその作画やCGに高予算がかかるハイリスク商売ではある。
 しかし、コンスタントに製作されている事実を鑑みれば、すべてといわずとも程々の収益は達成されている作品が多い! といったことでもあるのか!?



 今から思えば相対的にプレーンな『アイドルマスター』(11年)や『ラブライブ!』(13年)、ドラマ性を重視した『WakeUp,GIRLS』(14年)や『アイドリープライド』(21年)、各話が良質な単発ドラマであった『22/7(7分の22)』(20年)、キモオタも含むファンにも焦点を当てた『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(20年)。


 アニメであってもナマっぽい内面を持たせた作品もあれば、良い意味で「可愛さ」や「コミカル」といった「記号」に徹していた『おちこぼれフルーツタルト』(20年)や『音楽少女』(18年)に『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』(19年)等々もあった。


 振り返ってみれば、最終的にはアイドル公演の盛り上がりに収斂していくも、その前段の助走台は人間ドラマ寄りであったり、ドラマ薄めの女子たちのキャッキャウフフを愛でることにあったり、コミカルなギャグ見せ主体であったりして、アイドルアニメもまたその内部は一括りにはできない実に多彩なモノでもあったのだ。


 本作の脚本は深夜アニメ化もされたライトノベル俺を好きなのはお前だけかよ』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220724/p1)の原作者・駱駝(らくだ)。敏腕編集者&ゲーム作家の注文での本作ラノベや脚本参加のようだ。しかし、実に器用に仕上げてもいる。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.84(22年12月30日発行))


アイドルマスター シンデレラガールズ U149(ユーいちよんきゅう)』

(2023年春アニメ)
(2023年4月26日脱稿)


 すっかり定着して爛熟の極みにある2010年代以降のアイドルアニメ(育成・音楽ゲーム)の元祖としての存在である『アイドルマスター』シリーズ(11年~)の最新TVアニメ。
 「U149」は「アンダー15歳」の意味かと思いきや、ググってみると「ユーいちよんきゅう」と読ませて、「身長149センチ以下」を意味していた(爆)。


 イジワルに見ればヤバいよなぁと思いきや、実作品には淫靡でフェティッシュな目線はない。幼女の方にも彼女たちから迫ってくるような性的な主体といった気配はない。


 とはいえ、そうなるとナイものねだりで、それが全然ないこともまたドーなんだ? と天邪鬼にも思ってしまったり(笑)。
 けれども、それらを導入してしまうと往年の深夜アニメ『こどものじかん』(07年)のように、小学生女子だからオブラートに包まれて鼻につきにくいけど、「社会」や「公共」よりも「恋愛」や「異性」に依存! といった感じで、コイツらは高校生になったら援助交際とかしそうだよな……(偏見ですか?)、と思わせてしまってもマズいけど(汗)。


 まぁ、ここまでアイドルアニメがコンスタントに途切れなく製作されている時代で、『アイドルマスター』自体も派生作があまた存在する以上は、王道よりかは差別化、かつキバってもいないといった作りなのだ。


 10年前の『アイドルマスター』初作(11年)や『ラブライブ!』初作(13年)などの明るく元気な女子をセンターに据える! といった王道手法も衰退。
 元気女子が主役でなくても相応に人気を集められている光景を見ていると、センター少女に影があった『Wake Up,Girls』(14年)も今ならば流通する気がして、同作のファンとしては残念にも思うのだ。作品それ単独の質ではなくて、慣れから来る受け手の側の価値基準の変化とのマッチングなどもあるからネ。



 本作の主人公である高学年女子小学生も、元気女子ではなく不愛想ではないけど特にニコニコと愛想もふりまかず、ルックスと歌唱力に少々恵まれていたから芸能事務所に所属して、マジメだからお仕事をする以上はキチンとレッスンにも励む……といった印象。エラぶったり自己陶酔したり女王さま的なところも皆無のややサメた常識人でもある。


 筆者もナチュラルにその人物造形を受容しているけど、10年前であれば「個人の好みはともかく、『商品』としては地味なのでは?」などとケチをつけたところであろう。
 しかし、同季に妊娠・出産するアイドルが登場する深夜アニメも登場してしまった今(爆)、もう「アイドルアニメ」も「異世界ファンタジーアニメ」などとも同様に、「アイドル」を看板・経路にして多種多様な「現実社会」を描いていく……といったことになっていくのやもしれない!?


 もちろん、そんな彼女もさらに年下の幼女タレントたちには慕われている姿も描いており、彼女が単なる冷徹なアイドル・ロボットではなく人望もあることを描きつつ、他のキャラクターとのドラマ的な接点も確保。本作や初作とも異なる別メンバーを主役に据えた「U149」抜きでの『アイドルマスター シンデレラガールズ』正編(15年)や無印初作における、アイドル集団をマネッジメントする若手男性プロデューサーキャラクターは、ゲームではプレイヤー本人となることからか、個性・人物像・血液温度は抑えた感じの人物造形ではあったけど、本作では暑苦しい新人若者社員クンが配置されることで、そこで作劇的なバランスを採っているとも推測ができる。


 美少女キャラが多数いるという意味では、広義でのハーレムアニメだともいえる。しかし、オッサンオタク的には80年代中盤に隆盛を極めたアイドルグループ・おニャン子クラブで、10数名なり数十名の女性アイドルをそろえることで、男性の女性に対する多種多様なニーズ、同一個人の中にもある複数のニーズにも応えて、顧客に飽きられてしまうことを遅延させていた効果を、オタクジャンル側でも採用したものでもある。
 端的には、マンガ原作の深夜アニメ『魔法先生ネギま!』(05年)で30数名の女子同級生を登場させて、個々に同一歌曲も歌わせて商売したあたりが画期であろう――AKB48商法の原点で、同じくキングレコード――。



 ただし、『アイドルマスター』諸作は他のアイドルアニメとは異なり、本家のゲームの援護射撃が主目的であるのか、アニメ版のドラマ性は強くはないようには思われる。受け手の側もそこは百も承知だそうだが、筆者などはそこに物足りなさを感じてはいる。


 でもまぁ、それは殺人強盗ほどの罪でもないし(笑)、天下国家には無関係な単なる嗜好品である以上は、


アイドルマスターvsラブライブ
●AKBvsモー娘(むす)
おニャン子vs桜っ子クラブ
ピンクレディーvsキャンディーズ(笑)


 連綿とつづいてきたファンの間での闘争に、過半の人間は黙って墓場まで持っていけずに、形だけでも敬意を表せず、相手を劣位認定して争いたがるものであるから(汗)、「原理的にも人類には戦争の根絶など不可能なのだ」と絶望するのか、「そんなことが争いのタネになるなんて日本は平和だな」と達観するのかは、悩ましいところだ。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.85(23年5月3日発行))


『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-(げんじつのヨハネ サンシャイン・イン・ザ・ミラー)』

(2023年夏アニメ)
(2023年8月6日脱稿)


 人気アイドルアニメのブランド『ラブライブ!』(13年)シリーズの第2グループを描いた『ラブライブ! サンシャイン!!』(16年・17年)のレギュラー美少女キャラクターたち9人を、スター・システムとして活用して、そのルックスや性格設定だけをそのままに利用して、異世界を舞台としたファンタジー作品である。


 加えて、この9人の中でも主人公は交代。


 原典の中では占い好きで小悪魔ゴスロリファッションに身を包むも、恥ずかしがりやで気が弱くて板に付かずにキマっていないことで、視聴者から脱力系の笑いを取ることが常套となっていた人気キャラ・ヨハネこと善子(よしこ・笑)が主人公として昇格している。そういった試み自体には賛成なのだ。


 しかし、できあがった作品については……。


 ウ~ム。ナンとも弛緩(しかん)した、まったりとしたノリであり、ツカミには弱い作品が俎上に上がってきた印象ではある。


 原典の舞台である静岡県は「沼津」ならぬ「ヌマヅ」。「都会」ならぬ「トカイ」(笑)。舞台や設定は違っても、性格設定は同じなので、おなじみのいかにもなリアクションを見せてくれて、それに応じたドラマも紡がれていくような作品が観たかったのに……。


 もちろん、観光地アニメ・ご当地アニメといった面が本作にはあるので、その意味では「ヌマヅ」が舞台であることも間違ってはいないのだ。であれば、もっと露骨に「ヌマヅ」の土地のアレコレを読み替えて、ここはアソコだ! そこはココだ! といった要素を全面的に押し出してほしい気もする。


 まぁ、そこまでキバらずに、とにかく「まったりグダグダとした南海の楽園ノリで作ろう! 楽しもう! ファンを引き込もう!」といったコンセプトであるのかもしれない。その意味では筆者のツッコミもヤボである可能性はあるのだ。
幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR- 7 【特装限定版】 [Blu-ray]

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.86(23年8月12日発行))


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