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獣拳戦隊ゲキレンジャー前半評 ~ダン、ダン、楽しくなる!

『獣拳戦隊ゲキレンジャー』終了・肯定評
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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』前半評 ~ダン、ダン、娯(たの)しくなる!

(文・内山和正)
(2007年6月執筆)


●猫系の動物をモチーフにした『スーパー戦隊シリーズ』の枠を広げる、斬新で挑戦的なヒーローデザイン。


●『超獣戦隊ライブマン』(1988・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110919/p1)・『忍風(にんぷう)戦隊ハリケンジャー』(2002・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20021112/p1)・『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20031112/p1)を思わせる正規メンバー3人の戦隊チームとライバル的な悪の人間たちという構図。


●拳法もの。


●そして、1年ぶりにシリーズに帰ってきた塚田英明プロデューサーの『燃える路線にしたい』という言葉。


 それらに、先入観を持ちすぎてしまったのかもしれないが、初めのころの本作はなにかノレなかった。



 激獣タイガー拳を学ぶことになる主人公のゲキレッド=漢堂ジャンは、ジャングルで虎に育てられた「野性児」という設定。


 いわば、『ターザン』(原作は1912年。1918年にサイレント映画化され以後数十回も映画化されてきた古典)や『仮面ライダーアマゾン』(1974・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20001008/p2)のようなもの。それゆえ妙な言葉を使ったり社会の慣習がわからなかったりするのだが、日本語が充分にわかったり、けっこう普通に生活できる。


 そのへんは『お約束』ともいえるが、既存の作品が不自然さは残しながらも設定を活かしていたのに較べて、こちらは開き直って都合の良さ・おバカさだけを利用している感じだ。それは魅力でもあるのだが、気になると反発も感じてしまう。ジャンがパンダたちとたわむれている初登場シーンからしておふざけが過ぎ、ノレるかどうかを決めてしまうようにも思う。


 このような非常識キャラがいる場合、チームに包容力のある常識人がいてバランスを取るとか、巻きこまれていく善人がいるという作品が多いと思う。


 しかし、本作の場合、激獣ジャガー拳の使い手・ゲキブルー=深見レツは、技の美しさを大切にする自信家で(のちに芸術家だとも語られる)、協調性はあまり高くない。


 激獣チーター拳の使い手・ゲキイエロー=宇崎ランは、気まじめで根性一直線。


 2人ともまだ修業中でジャンを受けとめきれる余裕がない。この2人の性格設定はのちのちにむしろ魅力となっていくのだが、シリーズ序盤においては熱さよりも冷めた感じをドラマに与えてしまっていたと思う。


 バトルにしても、敵だから戦うという程度であった。オープニングのナレーションで「戦う宿命の戦士たち」と言っているほどの対立関係は感じられない。掃除の練習で特訓を行ない敵を打ちやぶるなど、カンフーものの定番的な趣向であるにしても、定番すぎて安っぽい。
 前作『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070108/p1)が本編よりも主題歌のほうがワクワクしたように、本作も主題歌ほどには燃えられなかった。これでは、塚田プロデューサーが担当した過去2作『特捜戦隊デカレンジャー』(2004・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041106/p1)と『魔法戦隊マジレンジャー』(2005・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060313/p1)のほうがよほど燃えるのだ。


 とはいえ、「生活(暮らし)のなかに修行あり」と主張して、掃除などで特訓することは、幼年層にはわかりやすいだろう。ジャンのキャラクターが個性的で活きていることは確かなのだから、自分が物足りなくても子供番組としては成功だろう。そう考えていた。



 その気持ちが変わってきたのは、第4話(作中表記では『修行その4』)「ゾワゾワ! 五毒拳」(脚本・横手美智子 監督・渡辺勝也)からだった。


 敵に五毒拳(ごどくけん)という強敵の5怪人の集団が早くも登場。


 さらに、敵集団「臨獣殿」の首領で、主人公たち同様に若き拳士である臨獣ライオン拳の使い手、黒獅子リオにも変身できる理央(りお)が、主人公たちの前に姿をあらわす。


 ゲキレンジャーたちの師であり、二足歩行する人型の猫の風貌を持ったマスター・シャーフーの弟子として激獣拳・ビーストアーツを学んだが、相対する流派・臨獣拳・アクガタに移った彼が、シャーフーを抹殺しようとし、怒ったジャンは秘められた能力を発動して理央と真っ向勝負する。


 年長の視聴者としては、演じる2人が同じ演劇集団(大手芸能プロダクション・渡辺プロ傘下のワタナベエンターテインメント所属の若手男性俳優集団・D-BOYS(ディーボーイズ))の友人同士だとわかって見ると、よけいに楽しめる戦いだ。


 このD-BOYSには、『ウルトラマンメビウス』(2006・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070506/p1)の主役・ミライ隊員役の五十嵐隼士(いがらし・しゅんじ)、『仮面ライダー電王』(2007・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080217/p1)の2号ライダー・仮面ライダーゼロノスこと桜井侑斗(さくらい・ゆうと)役の中村優一、『仮面ライダーキバ』(2008・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080225/p1)の主役・紅渡(くれない・わたる)役の瀬戸康史(せと・こうじ)なども所属している。


 物語はそれだけでは終わらない。毒を注入されたジャンの命を賭けて、ゲキレンジャーは短い時間内に「解毒剤」を「五毒拳」から奪い取る戦いをしなければならなくなる。燃えるドラマになってきたし、これからも燃えられそうな期待が持ててきた。


 次の回からは、五毒拳は結局はパターンどおりに、ひとりひとり(一部例外あり)でゲキレンジャーに挑んでくる。そうなると他の一般の敵怪人たちとも大差がなくなって残念だったが。集団で襲ってくる彼らを、なんとかして引き離したり、ひとりまたひとりと減らしていくという展開を期待していた。そうでなくとも、彼らがひとりずつ襲ってくる理由を作ってほしかったが。しかし、この五毒拳の登場以降は番組が動き出した。


 ゲキレンジャー側のドラマでは、


●ランの「努力」が実をむすぶ、5話「ウジャウジャ! どーすりゃいいの?」(脚本・横手美智子 監督・竹本昇)
●ランの「生真面目(きまじめ)」による「硬さ」という弱点を克服させようとする、11話「ウキャウキャ! 獣拳武装」(脚本・横手美智子 監督・竹本昇)
●ジャンの「忍耐力のなさ」をおいしい料理ができるまで待たせることで身に付けさせる、8話「コトコト…ひたすらコトコト」(脚本・荒川稔久 監督・中澤祥次郎)


 などといった、キャラクターの「性格」と「修業」を結びつけて活かしたドラマ作りが行われるようになる。


 五毒拳が倒されたあとからは、シャーフーと同じく激獣拳の「拳聖」とよばれる新しいマスターたち(動物モチーフの着ぐるみキャラ)が、数話にひとりの割り合いで登場し、ゲキレンジャーたちに新しい技を教えていく。着ぐるみキャラの増員は、同年放映の『仮面ライダー電王』(2007)の主人公に取り憑く正義の怪人・イマジンたちとも似た趣向だが、それぞれ動物の顔とカンフー映画の人気俳優たちをもじった名前を持ったキャラクターたちで、それぞれの性格の違いも生きている。



 いっぽう、臨獣殿側にも動きがあった。五毒拳のなかに理央がほしがっている「真毒(まどく)」を隠し持つ者がいた。リオと彼を愛するラブ・ウォリアーこと臨獣カメレオン拳の女幹部・メレにはそれを探す必要が生じたのだ。


 本作の敵怪人こと「リンリンシー」は、過去に道なかばで死亡した拳士が仮の命を与えられて生き返った者であるために、理央の手下ではあってもすべての者が理央に従順なわけではない。理央が「真毒」の所持者を狙うのと同様に、理央への謀反(むほん)をたくらむ者もいて……という展開になっていく。


 その「謀反人が所持者でもあった」という真相は単純な構図だが、自分がゲキレンジャーの攻撃を受けることで体をきたえ、理央の敵を倒す力を得ようとする女幹部・メレの姿は圧巻で、この9話「ケナケナの女」(脚本・吉村元希 監督・諸田敏)では、完全にゲキレンジャー側が脇役にまわっている。


 「真毒」とは死者に本物の命を与えるものであり、理央は「三拳魔」をよみがえらせて教えを乞おうとしていた。仮の命しか持たぬメレは本物の命とひきかえに理央を裏切るようそそのかされる。しかし、自分の復活を犠牲にしてでも、理央の目的を果たさせようとする。その殉愛ぶりが心に残るのだ。


 メレを演じる平田裕香(ひらた・ゆか)さんはまだ若いが、実はベテラン女優でもある。6〜7年前にテレビでたびたびお見かけしていたころの「不思議少女」風味がイメージとして残っていたために、セクシー系の悪役を演じている今回はずいぶんと印象が変わって違和感があった。もっとも、知人によると前からセクシーな印象があったとのことだが。セクシー系の女性幹部はあまり好きではない筆者にとっても、これくらい秀逸に人物像を魅力的に描いてもらえれば反対もできないくらいだ。



 強くなることが望みである理央は、「空の拳魔」である臨獣ホーク拳の使い手・カタをよみがえらせる。カタの教える修業とは「殺しあう」こと。つまり、はじめから弟子に師を倒す力がなければ殺されてしまうのだ。


 理央とメレ vs ゲキレンジャー の人間同士の戦いという形式を持ちながらも、理央やメレにとって当面の「敵」はゲキレンジャーよりも「謀反人」や「師」といった自陣営側の存在であるという構成。


 いわば、直接対決よりも、ゲキレンジャーが「拳聖」に、理央とメレが「拳魔」にきたえられていくといった、「拳士としての成長」を競い合うコンセプトである。これによって、「敵」が人外の存在ではない「人間」や、なおかつ人間の「旧友」であったような、過去の「戦隊」作品における「人VS人」モノとも異なった、新たな独自の魅力を放ちだした。


 ゲキレンジャーが中心の回。臨獣殿が中心の回。そういった、各話での見た目での変化も興味を引かれるのだ。


 ゲキレンジャーに時間的な比重がかかっている回でややユルめの内容のときであっても、臨終殿側に重大な変化がもたらされていたりもして、今やほぼ毎回がインサイドストーリーという目が離せない作品となってきた。


 さらに、「拳聖7人」と「拳魔3人」はもともとは仲間であったことが判明し、「悪魔に魂を売った友」という「戦隊」と「敵幹部」が元同級生であった『超獣戦隊ライブマン』的な題材も、それぞれの師匠の側に内包されるのだ。


 「悪」の側に行った自分に付いてこなかった恋人シャーフーへの、「海の拳魔」で臨獣ジェリー拳の女幹部・ラゲク(くらげモチーフ)の怒りによって、ドラマはまた新たな局面を迎える。


 邪悪なラゲクはメレの理央への愛を利用し、自分のシャーフーへの復讐のための使い捨てにしようとする。能力を使いすぎてメレが死ぬ間際になったのを見た理央は、強大な「臨気」を噴出して、とらわれの身から脱出してメレを救出する。おそらく彼自身もハッキリとは認識していない、メレへの愛ゆえにだろう。ラゲクはそれを「強いメレへの嫉妬」「メレが目的を達することへの嫉妬」だと誤認(?)させようとする。このことの真相。そして、これからラゲクの介入で2人の関係がどうなっていくのか楽しみである。



 あと気になったことを少し。


(1)


 『デカレンジャー』に登場した上官役の石野真子(いしの・まこ)などにつづいて、やると思った塚田プロデューサーのベテラン女優起用の第3弾は伊藤かずえさんだった。また、昼ドラの主演女優だ!! 10数年前の『アイとサムの街』(1989・角野栄子原作・1991年に昼ドラ「花王 愛の劇場」でTVドラマ化)では、子役が主役であるために「おば」役で連名で主演。翌92年の『私の生徒は12人』では単独主演。近年では2005年の『聞かせてよ愛の言葉を』で主演しているのだ。


 子役時代に、『仮面ライダーストロンガー』(1975)や『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)にエキストラ出演していたことは、有名芸能人の過去を紹介する番組で紹介されて有名だが、実際にはたくさんのヒーローものにエキストラ出演されていたとのこと。


 彼女が青春時代に多数出演していた、80年代のいわゆる「大映ドラマ」作品の連続テレビドラマでは、江連卓(えづれ・たかし)氏・大原清秀氏・佐伯俊道氏といったヒーローもののライターたちが執筆。つくづくヒーローものに縁の深い女優さんなのだ。


 伊藤さんが演じる激獣レオパルド拳・真咲美希(まさき・みき)は、シャーフーの弟子であり、ゲキレンジャーがアスリートとして所属しているスポーツメーカー・スクラッチの重役でもある。以前のドラマ出演でならば、独身のキャリア・ウーマンという感じだっただろうが、今作では彼女の年齢的にも夫も子供もいる設定になっていた。



(2)


 その美希の娘・なつめは小学生。演じる桑江咲菜ちゃんは、ある書籍によると実は15歳だとのこと。本当なのか? 子供としては大人っぽいが、15歳とするとやたら子供っぽい。それはともかく登場回数が少なすぎる。もっと出してほしい。



(3)


 拳聖のひとりで、二足歩行する象・エロハンこと激獣エレファント拳のエレハン・キンポー。セクハラが問題となっている時期に、子供番組の師たるものがこんなにスケベでいいのだろうか?


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年初夏号』(07年6月17日発行)〜『仮面特攻隊2008年号』(07年12月29日発行)所収『獣拳戦隊ゲキレンジャー』前半合評3より抜粋)


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