假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありません

轟轟戦隊ボウケンジャー後半合評 ~30作記念に相応しいか!? 6人目ボウケンシルバー&大剣人ズバーン!

『轟轟戦隊ボウケンジャー THE MOVIE 最強のプレシャス』 〜賛否合評
『轟轟戦隊ボウケンジャーVSスーパー戦隊』 〜合評・アカレッド参上!
☆☆☆☆☆
#####


スーパー戦隊シリーズ 〜全記事見出し一覧


『轟轟戦隊ボウケンジャー』後半合評 ~30作記念に相応しいか!? 6人目ボウケンシルバー&大剣人ズバーン!


『轟轟戦隊ボウケンジャー』後半合評1 ~30作目の?

(文・内山和正)


 スーパー戦隊シリーズ30作記念となった『轟轟(ごうごう)戦隊ボウケンジャー』(2006)。「第30作」だと高らかに謳(うた)いあげてはいるものの、メモリアルイヤーらしいパフォーマンスには欠けるように思う。


●10周年記念として、すでに知名度が高かった嶋大輔氏(レッドファルコン)や、一般のTVドラマで活躍していた森恵(もり・めぐみ)さん(ブルードルフィン)を起用した『超獣戦隊ライブマン』(1988・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110919/p1)――この時点では、現在はシリーズ第3作ということになっている1979年の『バトルフィーバーJ』からを「スーパー戦隊シリーズ」と呼び、石ノ森章太郎原作の初期2作『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)・『ジャッカー電撃隊』(1977)は別勘定とされていた――。


●10周年達成を祝し、それまでの10戦隊が姿をあらわす「番外編」を実質的な「第1話」の前に配していた『高速戦隊ターボレンジャー』(1989・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191014/p1)。


●20周年記念――現在のように、1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』からカウントされるようにはなったが、戦隊シリーズとしては第19作目――として、当時のメインライター故・杉村升(すぎむら・のぼる・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090802/p1)氏をメインで続投させながらも、歴代戦隊の全メインライター(上原正三・高久進(たかく・すすむ)・曽田博久・井上敏樹)が参加した、『超力(ちょうりき)戦隊オーレンジャー』(1995・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110926/p1)。


(シリーズ20作目の次作『激走戦隊カーレンジャー』(1996・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110521/p1)は、特に記念作扱いはされていなかった)


●「タイムスリップ」が扱われた戦隊であったことを活かして、実質的な最終回のあとに25年間の「24戦隊の歴史」と自分たちの次の戦隊・ガオレンジャーを目撃するという「番外編」を放送した『未来戦隊タイムレンジャー』(2000・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20001102/p1)。


●25作記念作として、歴代の戦隊ヒーローからの選抜メンバーが登場するオリジナルビデオ『百獣戦隊ガオレンジャーVS(たい)スーパー戦隊』(2001・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20011102/p1)も製作された、『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20011113/p1)。



 そして、その記念年の終了後も、『忍風(にんぷう)戦隊ハリケンジャー』(2002・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20021113/p1)では「歴代戦隊」の俳優たちが6人目の戦士シュリケンジャーの変装した人物として登場! さらに、『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20031111/p1)では毎回、爆竜ブラキオサウルスが「歴代戦隊」の主題歌の歌詞を引用して口にしていた。


 近年では、『特捜戦隊デカレンジャー』(2004・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041114/p1)の石野真子(いしの・まこ)さん、『魔法戦隊マジレンジャー』(2005・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060313/p1)の渡辺梓(わたなべ・あずさ)さんと、戦隊OBやOGではないのものの、昼ドラでも主演を張るようなベテラン女優が重要な脇役として配されることで、年長マニア間では「スペシャル感」をもよおさせてきた。


 それらに比して本作は「特別感」が薄いのだ。


 たしかに、


●『五星(ごせい)戦隊ダイレンジャー』(1993・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111010/p1)の土屋圭輔氏(キリンレンジャー)などの歴代シリーズ出演者が、33話「Task.33 レムリアの太陽」〜34話「Task.34 遼かなる記憶」でボウケンイエロー・菜月の父母役などでゲスト出演していた。


●15話「水の都」〜16話「水のクリスタル」に出演した、『ガオレンジャー』の柴木丈瑠(しばき・たける)氏(ガオブルー)。


●ボウケンイエローの母親役で、1997年の『電磁戦隊メガレンジャー』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111121/p1)のたなかえり(旧・田中恵理)さん(メガイエロー)。


●ボウケンシルバーの母親ケイ役で、東山麻美さん(メガピンク)が出演していた。


 皆さんが健在であったことは嬉しかったものの――。


 しかし、7話「Task.7 火竜(サラマンダー)のウロコ」に登場した、戦隊シリーズ『超新星フラッシュマン』(1986)でも敵幹部リー・ケフレンを演じておられたベテラン俳優・清水紘治(しみず・こうじ)氏以外は、出演してくれることが驚きではない、無難なメンバーであって、その人数も多いとは言えなかった。


 来春には『轟轟戦隊ボウケンジャーVS(たい)スーパー戦隊』(2007・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110718/p1)のビデオ発売が発表された。しかし、ここ5年間の戦隊メンバーからの選抜で、しかも正規の5人メンバーではない「もうひとりの戦士」的な人が多いのは、趣向として面白いものの、30周年の意義には欠けると思う。個人的には前番組の『魔法戦隊マジレンジャー』(2005)が好きだっただけに、オリジナルビデオ『轟轟戦隊ボウケンジャーVSマジレンジャー』が発売されない寂しさのほうが大きい。



 テレビ本編に話を戻すと、ベテラン俳優の男性悪役はひさしぶりであった。ヒーロー側の後見人にもベテラン男優が配されている。近年の「戦隊」としては人件費を使ったといえるだろう。さらに、ヒーローメンバーにも芸歴の長い、有名子役上がりの末永遥さん(ボウケンピンク)が起用されていた。けれども、なにかサプライズ(驚き)とか豪華さとかは感じられない。たとえば、


●誠直也(まこと・なおや)氏に初代スーパー戦隊『ゴレンジャー』のリーダーであった海城剛(かいじょう・つよし)=アカレンジャーを再び演じてもらい、本作のリーダー明石暁(あかし・さとる)ボウケンレッドと共闘させる
●いまや著名になってしまっために「大人の事情」で出演できそうもない、さとう珠緒さん(オーピンク)・玉山鉄二氏(ガオシルバー)・金子昇氏(ガオレッド)・永井大(ながい・まさる)氏(タイムレッド)ら有名人たちをなんとかひとりでも登場させる
●通常年の戦隊では許されないことだが、過去の戦隊のキャラクターたちがゲスト出演して、その後の人生が語られる


などのイベント的な要素がほしかったところだ。たなかさんや東山さんのゲスト出演も、女子高生だった千里(ちさと)=メガイエローや、みく=メガピンクの現在こそが見たかったので。


 まだ番組が終わったわけではないので、これから何か用意されているのかも知れないし、30作目もシリーズにとっては通過点に過ぎないので、「お祭り気分」を求めすぎるのも誤りかもしれないのだが。



 さて、作品自体の感想に移ろう。


 本作のモチーフは「冒険」と「車」である。後者は2年前の『特捜戦隊デカレンジャー』のモチーフのひとつと共通するものの、「車モノの決定版としたい」とのことなので、25作記念の『百獣戦隊ガオレンジャー』がやはりモチーフにされる頻度の高い「動物モノ」の決定版をめざしたことと考えあわせれば、妥当な選択ともいえるだろう。


 「冒険」の方は、扱いの難しい題材を選んだものだと思った。製作費的に毎回派手に冒険を描くことは不可能だからだ。その結果、ひさしぶりにストーリー性よりも画面的なインパクト・ゴージャスさが優先された、古き日の1980〜90年代前半の「戦隊」の第1話が復活したような感じだった――もちろん、第1話に製作費がかけられるのは今も変わらないが、CGなどの普及により、他の通常回が極端に見劣りすることは少なくなった。製作スタッフの世代交代などにより、以前ほどのストーリー性の薄い第1話もあまり見当たらなくなった――。


 1話「Task.1 魔神の心臓」ほどの派手さはないものの、アウトドア的な要素が強い2話「Task.2 竜の略奪者」のあと、3話「Task.3 覇者の剣」からは「冒険」は「心の問題」となった(笑)。



●伝説的なトレジャーハンターであり、部下に命令口調で話すボウケンレッド・明石暁(あかし・さとる)
●明石をライバル視し、当初はボウケンジャーの力を自分の利のために利用しようとした、ひさしぶりのダークなブラック=ボウケンブラック・伊能真墨(いのう・ますみ)
●元スパイで女好きの、ボウケンブルー・最上蒼太(もがみ・そうた)
●実務的で冷めた感じのする、副リーダーことボウケンピンク・西堀さくら(にしほり・さくら)
●不思議少女系のタレントとして一世を風靡した小倉優子さんをイメージしたと思われる、記憶喪失の謎の少女であるボウケンイエロー・間宮菜月(まみや・なつき)


 彼らからなる「ボウケンジャー」ははじめて見たとき、個人的には感じが悪かったものだ(汗)。


 奇妙な不思議ちゃん系の少女・菜月がメンバーのなかではホッとさせる癒し系の役どころではある。しかし、その菜月が早くも第2話で敵とつながりがあるのではないか? などとメンバーに疑いをかけられてしまう。最近の「戦隊」のメンバー間での「フレンドリーさ」に慣れた目からすれば違和感があったのだ。「戦隊メモリアルイヤー」をなぜこんな暗い気分で過ごさねばならぬのか? と思ったものだった。


 いや、あえてそれを追求した「戦隊」である可能性もあった。しかし、トレジャーハンターだの、スパイだのと重い過去を持たせるには、メンバーが皆が若者すぎて説得力に欠ける。そういう職種に若い人がいないはずはないものの、不敵なつらがまえの明石はともかく、真墨も蒼太もどちらかといえば「かわいい系」の顔立ちであるのが、中途半端な印象を与える(まぁ、真墨はかろうじて暗さ・冷たさを感じさせるのだが)。


 『タイムレンジャー』の商業面での不振以来、幼年層に完全にこばまれる「戦隊」作品を作ることは避けていたであろうから、このハード路線を徹底することはないだろうとは思った。実際にも、当初に抱かせた、とっつきにくいイメージをさっさと崩しにかかって、蒼太に


「自分だけのドキドキは、人を守るためにがんばることに較べれば大した喜びでない」


などと口にさせたり、さくらの態度はあまりにも対人関係に無器用であるためであると示したり、明石の頼りになるリーダー性を打ち出したりなどしていた。


 それらにより、口当たりは良くなっていったものの、今度は逆にギコちなさも感じさせ、完成度はいまひとつの印象だった。


 しかし、さまざまなライター陣の参加によりコミカルさも取り入れられていって、番組の硬さや真面目さやギコちなさそれ自体をも相対化。「ネタ」にされて、逆に笑い倒されてきた感がある。明石の表情もスタート時にくらべるとずいぶんと穏和になり、さらには「笑いの対象」にもなって…… 


 もちろん、「お笑い」だけではなく作風が幅広くもなって、「こんなの『ボウケンジャー』じゃないよ!」などと思うときもけっこうある(笑)。しかし、最初は不満タラタラであったこのチームが、いまでは割りと好きになってきたのだ。


 個人的に好きなエピソードは、「バカなままだったほうが幸せだった」といった、『ボウケンジャー』版「アルジャーノンに花束を」(1959・アメリカの名作SF小説)――テレビ特撮『スペクトルマン』(1971)48話「ボビーよ怪獣になるな!!」〜49話「悲しき天才怪獣ノーマン」の前後編の元ネタでもある――でもあったともいうべきTask.25「禁断の果実」と、「グリム童話の『シンデレラ』譚(たん)の真実」だともいうべきTask.26「ガラスの靴」である。



 本作は、東映メタルヒーローシリーズの『特捜ロボ ジャンパーソン』(1993)や、合体ロボットアニメ『勇者特急マイトガイン』(1993)を思わせる、複数の敵の組織が存在するという舞台設定だ。意図してか偶然か当初の3大組織が、特撮ヒーローものとも共通する出演者が多いジャンルでもある「昼ドラ」や「(3年)B組シリーズ」に「NHK語学番組」などからの参加となっていた。いまや、昼ドラに出た人は変身ものにも出やすいし、変身ものに出た人は昼ドラにも出やすいというほど近接してしまったジャンルでもある「昼ドラ」。


 ゴードム文明の大神官ガジャを演じる大高洋夫氏は、東映メタルヒーロー(?)のホームコメディ路線『テツワン探偵ロボタック』(1998)のレギュラーであった探偵事務所社長の杉薫(すぎ・かおる)も演じていた。氏は昼ドラ『新 天までとどけ』5部作(2000〜2004)にもレギュラー出演していたのだ。


 ジャリュウ一族の竜王・リュウオーンの声および人間だったころの姿を演じる森田順平氏は、『3年B組金八先生』(1979より断続的に継続 〜編註:2011年に完結)や『3年B組貫八先生』(1982)で、桜中学の数学教師・乾友彦(いぬい・ともひこ)を演じつづけている(『貫八』では当初、人員不足で理科も兼任)。


●加藤夏希さん(『燃えろ!! ロボコン』(1999)のロビンちゃん)
●長澤奈央さん(『ハリケンジャー』のハリケンブルー)
●いとうあいこさん(『アバレンジャー』のアバレイエロー)
●ジャスミン=アレンさん(NHKの子供番組『天才てれびくん』)


 彼女らヒーローものからの出演が多い、「NHK語学番組」の出身でもある山崎真実さんは、忍者組織・ダークシャドーの“風のシズカ”を演じていた。


 彼ら敵組織は「ネガティブシンジケート」と総称されている。名称のみを聞くと、クールな犯罪組織のようで格好いいものの、古代人や竜の化け物をこう呼ぶのにはなにか違和感がある。



 Task.17「アシュの鏡」から登場してきた第4の敵組織であるアシュ(人類の亜種)は、妖的な力を持ってボウケンジャーを圧倒する!


 それだけに、アシュを監視する特殊な家柄・高丘家の生き残りでもある高丘映士(たかおか・えいじ)こと、6人目の戦士・ボウケンシルバーも存在する価値を持たせている。だが、Task.19「眩(まばゆ)き冒険者」にて、ゴードム文明の大神官ガジャによって、アシュが「クエスター」として登場早々にサイボーグ化(?)されてしまった展開は、あいかわらず妖的な力は残されているとはいえ、格下の存在になってしまって、高岡の立場もなくなってしまうようでもあり、興ざめしてしまう。


 ちなみに、「高丘が人間とアシュの混血のために、自身専用の杖を奪われてしまっては、暴走してしまう」という登場初期の設定は、本作のメインライター會川昇(あいかわ・しょう)氏がシリーズ後半のメインライターを務めていた2004年度特撮作品『仮面ライダー剣(ブレイド)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041113/p1)で、仮面ライダーブレイドや仮面ライダーカリスが劇中での最凶の存在・ジョーカーと化して暴走してしまうという展開をも、特撮マニア的には感じさせていたとも思う。


 謎とされてきた菜月の正体が、Task.33「レムリアの太陽」〜Task.34「遼かなる記憶」前後編にて、失われた超古代のレムリア文明の王女だとようやく判明する。その正体には過不足はない。しかし、判明するまでに変転を重ねて盛り上げるとか、正体が判明したことによる以降のドラマへの波及とか、もう少しなにかアイディアがなかったものなのか? これでは、ここまで引っ張ってきた意味がないのではないのか?


 さらに、メインライターの會川昇氏がこの前後編エピソードの前編を執筆後に、本作を離れてしまったために、作品の流れも変わってしまったような……。會川氏が原作・脚本を務める、10月から放映が開始された土6アニメ『天保異聞 妖奇士(てんぽういぶん あやかしあやし)』(2006・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070317/p1)が忙しくなってしまったゆえの離脱であろう。しかし、子供番組ゆえに描写を徹底できない本作『ボウケンジャー』よりも、主人公が過去に実は殺人を犯していたり、遊郭あり男色ありと、子供視聴者への配慮は必要がないかのような、あの江戸時代を舞台にした作品の方が氏には嬉しいのであろうが(?)、マニア視聴者としては前後編の前編だけの執筆では、投げ出されてしまったようで個人的にはイヤであった。


 たしかに本作は氏のベストワークとはいえないだろうし、氏がいなければ成り立たないような作家性の強い作品でもないのだろうが、せっかくのメインライターとして、最後には戻って来られることを望みたい。


(後日編註:最終2編「恐怖なる大神官」〜「果て無き冒険魂」のみ、會川昇氏が執筆されている)



補記:


 番組開始時、硬い作風のなかでボウケンジャーが


「(レディ、ボウケンジャー!) スタートアップ!!」


と叫んで変身するシーンは、携帯電話型の変身アイテム・アクセルラーの下部の円盤(車輪?)を、いろいろなものにこすりつけて、回転音とともに高速回転させて変身するのが、変身ヒーロー番組的な要素としては、稚気満々で楽しいとは思った。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『轟轟戦隊ボウケンジャー』劇場版&後半合評5より抜粋)


『轟轟戦隊ボウケンジャー』後半合評2 ~『轟轟戦隊ボウケンジャー』中盤所感

(文・鷹矢凪弥寿士)


 さて、まもなく3クールを過ぎようとしている『轟轟戦隊ボウケンジャー』(以下『ボウケン』)。毎回のエピソードはそつなく進んでいるものの、やはり『ボウケン』前半評(近日中にUP予定)でも書いた通りで、物語的な“冒険”は何か足りない……という印象は、未だ拭〈ぬぐ〉い切れない。それでも、相応に眼を惹く部分も最近は増えてきているが。


 例えば、Task.29「黄金の剣」より登場した“大剣人ズバーン”〔声:堀 秀行〕。


 『忍者戦隊カクレンジャー』(以下『カクレン』)[94・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120109/p1]の“ニンジャマン”〔声:矢尾“やってやるぜ”一樹〕に端を発し、


●『超力戦隊オーレンジャー』[95]の“ガンマジン”
●『激走戦隊カーレンジャー』[96]の“シグナルマン”
●『救急戦隊ゴーゴーファイブ』[99・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19991103/p1]の“ライナーボーイ”


などなど、「人間でない追加メンバー」という点や――『電子戦隊デンジマン』[80・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120205/p1]の“デンジ犬アイシー”〔声:京田尚子〕のような後見人役的な存在は別として――、変形して戦う点などでは、長らく戦隊シリーズを視聴しているマニアにとってはさほど斬新ではないかもしれない。しかし、人語は解るものの話すことはできず、「ズバーン」という語句のバリエーション的な言語でしかボウケンジャーとコミュニケーションが取れないあたりで、工夫が伺える。
 Task.33「レムリアの太陽」・Task.34「遼〈はる〉かなる記憶」では、超古代文明レムリアの出自である本来の使命に準じたとはいえ、大剣人ズバーンがボウケンジャーの敵に回ったりしたのも、珍しい行動だろう。


 この擬音をもじったネーミングは、往年の東映変身もの『超神〈ちょうじん〉ビビューン』[76]の三超神=ビビューン・バシャーン・ズシーンを踏襲しているようだが、私たちの世代には懐かしく、今の子供たちにはストレートに響き、浸透しやすいかも知れない。ズバーンは、願わくば今後たとえ片言でも下手に人語を会得したりせず、今のままでいて欲しい気もする。



 なお、Task.29ではシリーズも中盤に至ったことからか、功名心・虚栄心・裏切りといった“冒険”のダークサイドが浮き彫りにされてきた。「(如何〈いか〉に正義のヒーローが活躍する番組あとはいえ、)キレイゴトばかりを見せていても、視聴者(特に子供)のためにならない」といった姿勢がさりげなく打ち出されたともいえる。同期の『仮面ライダーカブト』[06・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070107/p1]のように、人間のダークサイドを描き過ぎても、却〈かえ〉って「及ばざるが如〈ごと〉し」かもしれないものの(笑)。



 トピックスといえば、先のTask.33〜Task.34にて、ボウケンイエロー=間宮菜月〔演:中村知世〈ちせ〉〕の素性が遂に判明した。先述のズバーンの出自も踏まえて、“レムリア文明の末裔〈まつえい〉”であり、本名は“リリーナ”だったという設定は、如何〈いか〉にも『ボウケン』の世界観らしい……という気がした(悪い意味ではなく)。


 ただ、“記憶喪失”というその背景とも併せて、「人類を滅ぼし、レムリア文明を再興する」という目的――結果的には違っていたが――に、往年の大人気漫画『ドラゴンボール』[84]の主人公・孫悟空〔声:野沢雅子〕が、実は地球人ではなく惑星ベジータのサイヤ人で、本名は“カカロット”であり、地球へ送り込まれた本来の目的=地球征服を想起したのは私だけだろうか?(笑) ジャンル作品にはよくある普遍的な展開だともいえるので、偶然だろうけど。


 それはともかく、Task.34ラストにて両親が託した真の願いを知って、“間宮菜月”として生きていくことを決意した「彼女」の姿は、予想の範囲内とはいえ、実に爽やかだった。


 あと、皆さまも書かれるだろうが、ボウケンシルバー=高丘映士〔演:出合正幸〕の両親の配役が、


●『宇宙刑事シャリバン』[83]や同じく東映メタルヒーロー『時空戦士スピルバン』[86]の主人公を演じた渡洋史〈わたり・ひろし〉
●『電磁戦隊メガレンジャー』[97]のメガピンク=今村みく〔演:東山麻美〕


だったのと同じく、『戦隊』30作記念ゆえのサービス性が強いとはいえ、菜月のレムリア文明時代の両親の配役が、


●『五星戦隊ダイレンジャー』[93](以下『ダイレン』)のキリンレンジャー=知〈カズ〉〔演:土屋圭輔〕
●『電磁戦隊メガレンジャー』[97]のメガイエロー=城ヶ崎千里〔演:田中恵理(現=たなかえり)〕


であったことは、素直に喜ばしいことだった。


 いずれもシンボルカラーが菜月と同じくイエロー=黄であったことも、彼女の父母であると同時に、配役的には大先輩である、という暗喩なのだろう〈注〉。



 ストーリーについては、メインストリームよりもある意味、閑話〈かんわ〉的なエピソードの方が、展開・演出などが凝った作りで、面白く感じられてしまう。


●ボウケンブルー=最上蒼太〔演:三上真史〕がスパイを辞して、ボウケンジャーとして戦うに至ったポリシーが語られる、Task. 23「あぶない相棒」
●名もなき青年とボウケンジャーの交流から、「“冒険”は学ぶものではなく自分で見つけるもの」だと再考させてくれた、Task.32「ボウケン学校の秘密」
●二転三転するプレシャス争奪戦の駆け引きや、蒼太の意外な一面、そして後見役の牧野森男センセイ〔演:斉木しげる〕の珍しい活動が愉〈たの〉しい、Task.35「神の頭〈かしら〉」


などが、その典型である。本来はそういう痛快さこそが、メインストリームに反映されるべきだとも思うのだが……。



 いよいよ終盤を迎える『ボウケン』は、どういう展開を見せるのか? 大神官ガジャに“クエスター”に改造されたガイ&レイの元“アシュ”――シンボルカラーはどうやら黒のようだ――までをも加えて、4大組織となったネガティブ・シンジケートとの最終決戦…… 従来のシリーズならば、ソレが主軸となるところだが、おそらくもっと大きな課題=最強最大のプレシャス争奪戦が本流となるのではないのか?


●Task.29で垣間見えた、ジャリュウ一族の長〈おさ〉=リュウオーン〔声:森田順平〕の、意外にも実は元は人間であったらしい素性
●どこか憎めない忍者集団ダークシャドウの一員=風のシズカ〔演:山崎真実〕の去就
●ボウケンブラック=伊能真墨〔演:斎藤ヤスカ〕 VS 彼を“闇”に落とそうと狙う、同じくダークシャドウの重鎮=闇のヤイバ〔声:黒田崇矢〕 との確執
●梟〈ふくろう〉の姿をしたダークシャドウの首魁〈しゅかい〉=幻のゲッコウ〔声:銀河万丈 〜余談ながらこの配役は、銀河氏が長年ナレーションを務められているテレビ番組『開運!なんでも鑑定団』[94〜]からの連想で、即ち“お宝”繋がりであることは確実だ・笑〕
●映士 VS クエスター 因縁の決着


 ……etc. 様々な伏線が鏤〈ちりば〉められているが、それらをどう収束させ、最後の“大冒険”を果たして、最高のプレシャスを如何に「見せる」かが、本作の成否の鍵となるだろう。ジックリと見守っていきたいものだ。



〈注〉


 土屋圭輔氏のヒーロー番組出演作は、他にも『カクレン』後半の双子の忍者戦士=太郎。『重甲ビーファイター』[95]後半の悪のヒーロー・ブラックビートの人間体=シャドー(敵軍団が作った主人公のクローン)がある(本格出演は第43話より)。
 また、圭輔氏の双子の兄=土屋大輔氏も、『ダイレン』第25話の“ニセ知”(一部場面及び声は圭輔氏)。『カクレン』の忍者戦士=次郎を経て、『重甲ビーファイター』の主役・甲斐拓也=ブルービートに抜擢されたのは、御存知の方も多いだろう。圭輔氏はその後、一時「平東〈たいら・あずま〉」の名義で活動されていた。なお、現在は大輔氏・圭輔氏とも俳優業の一線を退かれ、それぞれ映像製作と俳優養成に携わっておられるとのことである。(参考『東映ヒーローMAX〈マックス〉』VOL.18「TOEI HERO OB INTERVIEW 土屋大輔×土屋圭輔」[06.8・辰巳出版・ISBN:4777802906])



《お詫びと訂正》


 『假面特攻隊2007年準備号』(2006年8月12日発行)に於ける『ボウケン』前半評「『轟轟戦隊ボウケンジャー』所感」中、ボウケンシルバー・高丘映士の父〔演:渡洋史〕の名を誤って書いてしまいました。ここに訂正し、お詫び申し上げます。


・60ページ左段・下から11行目
 「高丘護人」(誤)
 「高丘漢人〈たかおか・からと〉」(正)


【平成18年11月9日】


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『轟轟戦隊ボウケンジャー』劇場版&後半合評3より抜粋)



『假面特攻隊2007年号』「轟轟戦隊ボウケンジャー」関係記事の縮小コピー収録一覧
・おはスタ 1999年7月19日(月)7時12分 おはガール会員番号21番・末永遥と16番・平井理央(現フジテレビアナウンサー)奇跡の2ショット?!
※:ボウケンピンク/西堀さくら役の末永遥は98年度初代おはジェンヌ&99年度月曜担当おはガール。フジテレビのスーパールーキー・平井理央アナウンサーは98年度金曜担当おはガール。(伏屋千晶)
・朝日新聞 2001年6月28日(木) 芸能欄「注目!」女優 末永遥 明るく元気に“陽子”役 〜『氷点2001』ヒロイン陽子・インタビュー


『轟轟戦隊ボウケンジャー』平均視聴率:関東6.7%・中部8.2%・関西7.2%
 1クール目:関東7.3%・中部8.7%・関西7.8%
 2クール目:関東6.9%・中部8.3%・関西7.7%
 3クール目:関東6.5%・中部8.6%・関西7.5%
 4クール目:関東6.0%・中部7.1%・関西5.4%
 最高視聴率:関東9.7%(#11)・中部10.6%(#28)・関西10.1%(#30)
 最低視聴率:関東4.5%(#38)・中部6.0%(#26)・関西4.2%(#44)
 (10%越え:関東0回・中部1回・関西1回)
 (平均視聴率EXCEL表計算:森川由浩)
・テレビ東京の『ポケモン☆サンデー』(04年)が06年10月より日曜朝8:00〜30から7:30〜8:30に枠を拡大。アイドルで戦隊オタクの中川翔子をパーソナリティに迎え、裏の「スーパーヒーロータイム」(戦隊&ライダー)に真正面からの勝負を挑んだ。勝利の軍配はどちらに? ちなみに、特撮ヒーローもの『魔弾戦記リュウケンドー』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061225/p1)は、『ポケモン☆サンデー』の前座番組(7:00〜30)である。(森川由浩)


[関連記事] 〜『轟轟戦隊ボウケンジャー』

『轟轟戦隊ボウケンジャー』前半合評

  (近日中にUP予定)

『轟轟戦隊ボウケンジャー THE MOVIE 最強のプレシャス』 〜賛否合評

katoku99.hatenablog.com

『轟轟戦隊ボウケンジャー』後半合評 ~30作記念に相応しいか!? 6人目ボウケンシルバー&大剣人スバーン!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070108/p1(当該記事)

『轟轟戦隊ボウケンジャーVSスーパー戦隊』 〜合評・アカレッド!

katoku99.hatenablog.com



[関連記事] 〜『ボウケンジャー』メインライター會川昇・脚本作品

『爆竜戦隊アバレンジャー』 〜前半合評・アバレキラー登場!

katoku99.hatenablog.com

『爆竜戦隊アバレンジャー』 〜後半合評・アバレキラー君臨!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20031113/p1

『轟轟戦隊ボウケンジャー THE MOVIE 最強のプレシャス』 〜賛否合評

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060814/p1

『炎神戦隊ゴーオンジャーBUNBUN!BANBAN!劇場BANG!!(ブンブン!バンバン!劇場バン!!)』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080831/p1

『仮面ライダー剣(ブレイド)』最終回 〜終了評 會川ヒーローは痛みと深みを増して

katoku99.hatenablog.com

『仮面ライダーディケイド』#7「超トリックの真犯人」 〜タイムパラドックス解析!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090308/p1

土6アニメ『天保異聞 妖奇士(てんぽういぶん あやかしあやし)』

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070317/p1







轟轟戦隊ボウケンジャー超全集 <上巻>
轟轟戦隊ボウケンジャー超全集 <上巻>
轟轟戦隊ボウケンジャー VOL.1 [DVD]
轟轟戦隊ボウケンジャー VOL.1 [DVD]




[戦隊] ~全記事見出し一覧
☆☆☆☆☆
#####