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ウルトラマンエース49話「空飛ぶクラゲ」

ファミリー劇場ウルトラマンA』放映・連動連載!)


「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


(脚本・石堂淑朗 監督・菊池昭康 特殊技術・田渕吉男)


(文・久保達也)
 地球を植民地にしようと企む水瓶座三星人の宇宙船が襲来し、ある村の上空で黒い雲となって浮かんでいた。
 一機のセスナが接近するとそれは宇宙電気クラゲ・ユニバーラゲスとなり、宇宙船の護衛とエネルギー補給のためにセスナを襲撃する。


 一方、村には古代ギリシャの女神のような扮装をした少女が宇宙船から降りたち、地球が水瓶座三星と同様の環境にあり、奴隷として酷使できる生物が多く生息していると母星に報告。
 地球植民地化計画の第一段階として村人たちを洗脳し、調査に来たTACの北斗・今野・吉村を村人たちに襲撃させ、火あぶりの刑に処さんとする……



 水瓶座出身ということでご丁寧にも常に水瓶を抱え、女神様のコスプレ姿だけではなく、天候を自在に操る能力をも披露するという神秘性に満ちた演出は十分に説得力を持ち、空飛ぶクラゲを「神」として村人たちが崇めてしまうのも無理はない。
 水瓶座三星人を演じる広瀬隆子は怪獣図鑑の類にも水瓶超獣アクエリウスの隣によく写真が掲載されているが、なかなか清楚な雰囲気の美少女であり、彼女になら筆者もコロッとだまされてしまいそうだ(笑)。


 近年でも宗教を悪用した犯罪が頻繁に起きているが、見るからにうさんくさい風貌をした人間がやらかすことが多く、なぜそんなのにだまされてしまうのか理解に苦しむことが多いのだが、今回の「洗脳」の恐怖は第23話『逆転! ゾフィ只今参上』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061012/p1)でも扱われており、90年代半ばに数々の凶悪犯罪を繰り返した某宗教団体のことが記憶に新しい筆者としては、あらためて『A』スタッフの先見性の鋭さに驚くばかりである。


 美少女は最後に巨大化して本来の超獣の姿を現すが、ちゃんと女神のような白い衣をまとい、左の肩には大きな花まであしらわれており、第21話『天女の幻を見た!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061009/p1)に登場した天女超獣アプラサール同様、人間体とのギャップが少なく感じられるのが嬉しい配慮だ。
 意外にもなかなかの怪力であり、角からは電流を放ってエースを苦しめるが、その電流を逆に利用し、「エース逆転稲妻キック!」(勝手に筆者が命名・笑)でエースが勝利をおさめる場面では、エースの全身に稲妻がほとばしるような線画合成が描かれているのがめちゃカッコイイ!


 ただ勝利のあとにエースはアクエリウスを土葬して墓を建て、手を合わせて拝んでおり、最後までアクエリウスは一応「神」として扱われている。
 ちなみに今回の特撮も、なにかとお遊びが好きな田渕吉男が演出している。第10話『決戦! エース対郷秀樹』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060709/p1)でも田淵はエースに犀(サイ)超獣ザイゴンの墓を立てさせている。



<こだわりコーナー>
*村人のひとり・熊吉を演じた高松しげおは、元々は晴乃チックタックというコンビ名で漫才師として活躍し、『ウルトラQ』(66年)第7話『SOS富士山』や、『Q』放映前に放送された『ウルトラQは怪獣の世界』(65年12月25日放送)にも出演していた。
 70年にコンビ解消後はソロとして活動しているが、筆者的には中部日本放送製作のローカル番組『天才クイズ』(67〜05年)の二代目司会者としての姿が印象深い。
 この『天才クイズ』は小学生を対象とした視聴者参加番組であり、二者択一の問題に十門正解すると「天才賞」として豪華な賞品がもらえたこともあって、東海三県(愛知・岐阜・三重)に住む小学生たちはこぞって番組の出場に応募したもので、かなりの人気を得た番組であった。


 長年の間「ボーイズチーム」対「ガールズチーム」という男女対抗戦の形式をとっていたが、「男女平等教育」の弊害(あえてこう書く)から番組後期は学校対決の形に変更された。ちなみに放送は毎週土曜日の17時30分からの30分間。06年4月から『ウルトラマンメビウス』が放映されている枠である。
 ついでに歴代司会者を挙げると初代は女優の久里千春、三代目が吉本興業に所属していた(今も?)タレントの斎藤ゆう子、四代目が05年に林家正蔵を襲名した落語家の林家こぶ平であった。


*同じく村人のひとりとして『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)のキレンジャー・大岩大太役で有名な畠山麦(はたけやま・ばく)が、第2話『大超獣を越えてゆけ!』以来久々に『A』二度目の出演を果たしている。
*アクエリウスの上司である水瓶座三星人司令の声を演じているのは市川治(いちかわ・おさむ)。この人の澄んだ声は「アクエリウス」と呼びかけるのに実にふさわしい。沢りつおがしわがれ声で「アクエリウス」と呼びかけても……(笑)。


*ユニバーラゲスに破壊される赤いセスナは同時期放映の円谷プロの巨大特撮ヒーロー『ジャンボーグA(エース)』(73年)の主役・立花直樹が愛用するセスナ・ジャンのミニチュアの流用かと思われる(?)。


*視聴率14.3%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)



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