假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありませんので、悪しからず!(笑)

ザ・ウルトラマン最終回 49話「ウルトラの星へ!! 第3部 U艦隊大激戦」

ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)
ザ☆ウルトラマン#46「よみがえれムツミ」 ~終章の序章・名作
ザ☆ウルトラマン#47「ウルトラの星へ!! 第1部 女戦士の情報」
ザ☆ウルトラマン#48「ウルトラの星へ!! 第2部 前線基地撃滅」
ザ☆ウルトラマン最終回#50「ウルトラの星へ!! 完結編 平和への勝利」 ~40年目の『ザ☆ウル』総括!
拙ブログ・トップページ(最新10記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧


『ザ☆ウルトラマン』全話評 ~全記事見出し一覧

引き続き、2010年5月より『ウルトラマン80』全話評も連動連載!

『ウルトラマン80』全話評 ~全記事見出し一覧


#49『ウルトラの星へ!! 第3部

U(ウルトラ)艦隊大激戦』

(作・吉川惣司 演出・関田修 絵コンテ・斧谷稔
(視聴率:関東11.5% 中部10.8% 関西11.3%)


(文・内山和正)
(1997年執筆)


◎ウルトラ人たちは仮死状態になれば、どんな熱や圧力にでも耐えられ、神秘の物質ウルトラマインドさえあれば目覚められる。この能力を悪用したヘラーは、仮死状態のウルトラ人に爆弾を詰め、巨大戦闘艦ウルトリアを破壊しようとする。
 この設定は面白いがヒーロー側の切り札にも使ってほしかった。
ウルトラマンジョーニアスは仲間を助けるため、ヒカリ隊員の体から分離する。皆がヒカリをウルトラマンだと確信していたために、悲劇が起こるラストが盛り上がる。


※:製作No.49『ウルトラの星へ・第三部 壮烈!艦隊の激突(仮)』


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊98年号』(97年12月28日発行)『ザ☆ウルトラマン』特集・合評3より分載抜粋)


#49『ウルトラの星へ!! 第3部 U(ウルトラ)艦隊大激戦』

(文・T.SATO)
(2010年執筆・2020年加筆改訂)


ナレーション「巨大戦闘艦ウルトリアは、ウルトラの女戦士・アミアの願いを受けて、土星の衛星にあるタイターン基地攻撃へと向かった。
 そして、ヒカリ、アミアとマルメは、敵基地内へと潜入した。


 そのとき、ヘラー軍団の地球総攻撃の大艦隊が、発進しようとしていた。
 ヒカリは、傷つきながらも、ウルトラマンに変身し、ウルトリアへ基地攻撃地点を知らせた。


 そのとき、土星の輪の中から、エレクとロト率いるウルトラ大艦隊が出現。
 ウルトリアとともに、タイターン基地総攻撃が開始された。
 激しい戦闘の末、タイターン基地は壊滅し、司令官ロイガーは死んだ。
 だが、その直前、捕えられていたアミアは、ロケットでU40(ユーフォーティ)に送られてしまった。


 それを追って、亜空間を超え、U40に向かうウルトリアとウルトラの大艦隊。
 決戦の時は、いよいよ近づきつつあった!」



 前話である#48「ウルトラの星へ!! 第2部」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100404/p1)の冒頭同様、本話冒頭にても前回のアラスジ紹介がていねいになされている――小型戦闘機スペースベータミー操縦席における、ウルトラ人の少女・アミアが肩をすくめてチャーミングに微笑んだ美麗なアップ画像もシッカリと再使用!――。


 ウルトラの星・U40を占領したウルトラ人の反逆者・ヘラー軍団の太陽系方面・前線基地でもあり、本作の第4クールこと#39「ねらわれた巨大戦闘艦ウルトリア」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100124/p1)~前回#48までに至るレギュラーの宿敵でもあったロイガー司令率(ひき)いる土星の衛星タイターン基地。
 前話では、ウルトラ軍の生き残りである数十の艦隊群と、超古代にウルトラ人が南極大陸の地下深くに隠していた巨大戦闘艦ウルトリアを今は操艦する地球防衛軍・極東ゾーン・科学警備隊が協働することによって、ついにこれを陥落させることができた。
 これで後顧の憂いなく、ついに我らがウルトラマンジョーニアスやウルトラ人たちの故郷にして、敵のラスボスに支配されてしまったウルトラの星へと向かうことができる。


 そして本作では、終章4部作の第3部(本話)と第4部(次回最終回)の2話にわたって、ついに200万光年の彼方にあるウルトラの星を舞台に最終決戦が繰り広げられることとあいなるのだ!



 光速・時空間・物理法則の限界の壁を超えて、200万光年の彼方に跳躍・ジャンプして向かうために、3次元宇宙を逸脱して、この宇宙の外にある光の奔流うずまく「亜空間」を経由する「ワープ航法」を取って航行していく、勇ましき巨大戦闘艦ウルトリアとウルトラ軍のウルトラ戦艦群の連合艦隊


 「亜空間」。そして、正体不明の光の奔流。
 今ではすっかり手アカ(?)がついてしまったターム(専門用語)やイメージだけれども、当時~80年代中盤としては目新しい、SF的なキラキラ感・ワクワク感をいだかせてくれるマジックワード・魔法の言葉やハイセンスに思える映像であったことを思い出す。
 翌年度、厳密には本作終了2ヶ月後の1980年5月より放映が開始される『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)の富野喜幸(とみの・よしゆき)カントクが「ガンダム」の次に放った、その数年後にはそう呼称されるようにもなる「リアルロボットアニメ」ジャンルの第2作でもある名作『伝説巨神(でんせつきょじん)イデオン』(80年)においても、いわゆる「ワープ航法」の際に経由する3次元の外の空間のことを「亜空間」と称していたことも、ロートルマニア的にはついでに想起もされてきて……。


 今にして漢字の語義的に考えるならば、「亜」は「亜熱帯」のように不完全なもの・準じるもの、「超」こそが字義通りの意味であるからして、「超空間」こそが「4次元以上」の空間で、「亜空間」は「3次元未満」の「2.5次元」(笑)という意味になってしまうのであろうか?
 「4次元以上」の空間を経由することで「3次元」空間を反則ジャンプするのが本義であるのならば、本来は「超空間」という用語の方がより適切だったのかもしれない。
 大ヒット児童向け漫画『ドラえもん』(69年~)などでも有名な藤子F不二雄先生のSF短編マンガなどでは、同種のシチュエーションにおいて、「超空間」という用語が用いられてきており、おそらくは氏の世代的にも1950~60年代舶来の古典SF小説に準じたものなのではあろうけど。


 ……言葉の「音の響き」とかがカッコよくて目新しければ、それだけでも浮き立ってくるのだし、科学論文じゃないのだから、通俗娯楽であるエンタメ的には「亜空間」でもイイんだよ!(笑)


 先にあげた『伝説巨神イデオン』においては、光速を超えるいわゆる「ワープ航法」を「ワープ」といわずに「DS(デス)ドライブ」と云い換えて、数年後のリアルロボアニメ『超時空要塞マクロス』(82年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990901/p1)でも「フォールド航法」と云い換えて、目新しさを出している。


 かような、意味する実態はほとんど同じでも、


・「巨大ロボット」を「モビルスーツ」や「モーターヘッド」や「レイバー」や「メガデウス」や「ナイトメアフレーム」や「カタフラクト」や「イェーガー」に、
・「超能力」を「ニュータイプ」や「スタンド」や「ギアス」や「スペック」や「セブンス(第7感)」や単にシンプルに「能力」という言葉に、
・「巨大怪獣」も「超獣」や「妖獣」や「魔獣」や「恐獣」や「機械獣」やあるいは素朴に「巨大生物」と云い換えて、


陳腐化した言葉や概念に改めて「新奇さ」「異化作用」を出してみせたり、ビミョーに意味する概念をズラしたり拡張したりしてみせる用法は、70年代後半~80年代前半に隆盛を極めた「宇宙SF」や無機質な「銀色に輝く金属板や重厚長大カニックやメーターや電飾がいっぱいのコンソールパネル」などにあこがれやワクワクをいだく感覚が人々からウスれていって、80年代中盤以降からは「剣と魔法のファンタジー」や色と形と手触りや匂いもあるような「西欧中世風の身分・職業・縛り・手作業の生活」の方にロマンやエキゾチシズムを感じるように、日本のオタク族にかぎらず海の向こうのハリウッド映画なども含めて観客の嗜好が変転していった現在でも、「SF」から「ファンタジー」に舞台を移して継承されていっている用法なのは、読者のみなさまもご承知の通りである。


 とはいえ、オタクジャンルにおいて「亜空間」という用語(造語?)を用いた作品としては、本作『ザ☆ウル』が本邦初とは断言できないけれども、しかしてかなり早い時期の作品ではないのかとも思われる。


 亜空間を進む巨大戦闘艦ウルトリア。
 その窓外を、膨大な数の光の奔流が前方から後方へと超高速で通りすぎていく……。


ヒカリ「これが、亜空間か」


 地球防衛軍・極東ゾーン・科学警備隊のヒカリ隊員に合体・寄生しているウルトラマンジョーニアスは、ヒカリの内心に語り返す。


ジョーニアス「私たちに見えているのは、ただ、激しいエネルギーの流れだ」


ヒカリ「ジョーニアス、早くぼくらの秘密を明かしたい」


ジョーニアス「焦るなヒカリ。その時は近い」



 所変わって、コンピュータールーム。


トベ隊員「ほお~~、ヒカリがねぇ~~」


マルメ隊員「もちろんこれはオレの単なる勘さ。だが考えてみろ! ウルトラマンが現れたとき、ヒカリを見たものはだぁれもいないハズだ! (不機嫌に)オイ、聞いているのか?」


トベ隊員「(出力されたペーパーを手に取り)ああ、おまえの勘は当たってる」


マルメ隊員「(かすかに眉を動かし、静かに語尾上がりで)……あ?」


トベ隊員「ウルトラマン出現と、ヒカリの行動記録を計算したのサ。見ろ! コンピューターは、ふたりが同一人物である確率を、99.9999……」


マルメ隊員「(ペーパーを手にとって見入って)ほとんど100パーセントじゃねえか! でもホントウに、信じられるか? え? アイツがよォ」


トベ隊員「(さぁ~と片手を拡げて口笛)」


 そこに、ゴンドウキャップ(隊長)からワープアウト、亜空間から脱してU40の目前に到着する旨(むね)の艦内放送が響く。


トベ隊員「この答えはじきに出るサ!(ペーパーをひきちぎる!) 行くぞ!」


マルメ隊員「おう!」


 この最終章4部作の直前回である#46「よみがえれムツミ」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100320/p1)では紅一点・ムツミ隊員が、#47(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100328/p1)ではゴンドウキャップが、前回#48ではマルメ隊員が、ヒカリ隊員の正体がウルトラマンであることを、確証はなくともそれとなく察知してきた。
 この騒動に関しては、今まで蚊帳の外に置かれてきたトベ隊員も、ついに本話たる#49の冒頭でこれを承知することとなったのだ。作劇的なお膳立てはコレですべてが整った!


 前回#48のラストでも、ワープ航法でウルトラの星・U40へと向かうことが決定した折、科学警備隊のマスコットロボット・ピグが、


「(ウルトラマンも)U40まで来てくれるかナ?」


と疑念を呈す。


 それに対して、ゴンドウもマルメもムツミも


「安心しろ。きっと、ウルトラマンもいっしょだ!」
「もちろんですよ、キャップ!」
「わたしも、絶対にそうだと思います!」


と明るく返してみせている。


 もう口にはハッキリと出さないまでも、「肝心なときにいつも戦闘現場にはいない(!)」ヒカリ隊員の無能ぶりが糾弾されることもなく、両者の幸福な共同戦線と正体明かし・和解に至るレッドカーペットの伏線が敷かれたとしか思えないほどに、多幸感にあふれた展開を視聴者にも予感させてきた。


 しかし、本作は本話ラストにてもう1回、イジワルな展開を試みることとなっていき、ここはその伏線でもあったのだけれども、その点については後述といたしたい……。



 亜空間の奔流の前方に、3次元宇宙の星空が拓(ひら)けてきて、ワープアウトするウルトラ大艦隊の連合軍!


 娯楽活劇的には、のっけからヘラー軍団の大艦隊vsウルトラ軍の大艦隊との壮大なテンション高い総力戦に突入していってもイイのだけれども、それでは起伏や意外性がないためか、あるいはドラマやテーマも本話後半に展開・集中させるためにか、ここでバトルのシチュエーションにワンクッションを入れてみせている。
 まずは静的な場面からはじまり、小さな手の内の探りあいやフェイクによる小競り合いの一進一退のつるべ打ちとしておいて、徐々に事態をエスカレートさせていく手法を採っていくのだ。


 ワープアウト後に、科学警備隊の面々が陣取るウルトリアの艦橋・司令室に、ウルトラ軍を率いる古代ギリシャ風の貫衣をまとったウルトラの戦士、金髪のエレクと濃い栗色毛のロトがテレポート(瞬間移動)してきて、敵軍に気付かれないようガス状の宇宙空間物質の雲をはさんだU40からわずか1千万キロの地点にワープアウトしたことを告げる。
――地球と太陽との距離が1億5千万キロもあっても、地球と月との距離はわずか38万キロしかないのだから、1千万キロでもまだ遠いともいえるのだけれども、宇宙規模で考えれば近接した距離だとはいえ、太陽系規模で考えても近すぎず遠すぎずで、布陣を敷くには適切な距離であろう――


 しかし逆に云うなら、その程度の布陣と接近ルートは、当然のことながら敵軍も想定済だろう。
――とはいえ、だからと云って、敵から丸見えの場所にワープアウトしても、時間稼ぎにはまったくならないし、イイ鴨の絶好の標的になってしまうのであるからして、「最善」ではなくとも「次善」の策として、あるいは「最悪」ではなくとも「次悪」として、星間物質の雲をはさんだ場所にワープアウトをするのは、他に遮蔽物がないならば戦略的にもホンの少々の時間稼ぎに過ぎないのだとしても、まちがってはいないだろう――


 しばらくすると、科学警備隊の面々は異変に気付く。星間物質の雲の中には古代ギリシャ風の貫衣をまとう多数のウルトラ人たちの死体が漂っていたのだ!
 しかし、ウルトラ人たちは自らの意志で、自身を仮死状態にできるという。ヘラー軍の暴虐から身を守るために、仮死状態となったのだと劇中でもエレクやロトによってその趣旨の推測の弁がなされることで、一時の「衝撃」は一応の「安心」へと置き換わる。
 加えて、ウルトラの星・U40の人々は、彼らをヒューマノイド(人間)からウルトラヒューマノイドウルトラマン)へと進化させた、物質で物質ではない超物質・ウルトラマインドの力をすれば、仮死状態から復活させることができると説明されることで、その「安心」の根拠が「SF的ワクワク感」にも置き換わっていく。


 複数のマニュピレーターで多数の仮死状態のウルトラ人たちをウルトリア艦内に収容して、科学警備隊とエレク・ロトらは様子を観察するも、体内からは時を刻むカチカチ音が聞こえてくる……。時限爆弾!
 ここだけアナクロ(時代錯誤)にもアナログなカチカチ秒針音が聞こえてくるのはご都合論のご愛嬌。デジタル時計が一般的ではなかった当時における「時限爆弾」描写の常套(じょうとう)でもあるのだし、まったく音がしないとなると、作劇的にも正義側の陣営がこの危険に気が付くことができなくなって全滅してバッドエンドになってしまう(笑)。
 もちろん現実の戦争における我々一兵卒に終わるような存在におけるリアルな近代戦争というものは突然のバッドエンドを迎えるのがむしろ正しいのやもしれないけれども(汗)、本作はあくまでも最後の最後に勝利のカタルシスを視聴者に味あわせることが主目的でもある娯楽活劇作品なのである。
 だから、ここでは痛手を受けつつも部分的な敗退に留めてバトルを粘らせて、物語的なコンティニュイティー(継続性・流れ)を作っていくのが、このテの一進一退シーソーバトルを旨(むね)とする、バトルものの鉄則なのである。


 間一髪で各自が床下や通路へ退避するや、仮死状態の死体群は爆発! 誘爆! ウルトリアの艦腹の装甲をブチ破るまでになる! もちろん空気の流出描写もあり、キチンと防御シャッターが閉じるところも、科学的な常識を踏まえていて、そのへんのディテールには神経質であろう科学少年たちも喜ぶであろうていねいな描写でもあり、ポイントは高い。


 1960年代以前とも1980年代以降とも異なる、乱暴な描写が許された1970年代の本邦ジャンル作品では散見される、いわゆる「人間爆弾」であり、人道をハズれた敵の悪辣さ・残酷さを印象付けることで、正義のヒーローたちが最後の最後で倒してしまってもよい相手とするための何度目かの念押しの描写にもなっている。
――もちろん本エピソードは、もうTVシリーズ終盤におけるレギュラーキャラたちや作品それ自体が抱えるドラマやテーマを描くことに傾注しなければならないので、爆弾を埋め込まれたゲストキャラたちやその遺族のウエットな悲劇性などは本話のメインテーマに昇華させる必要もなく、配分・バランス的にもそのような処置は不要ですらあり、あくまでも途中過程での乾いた点描にすぎないのは念のため――


 その爆発の光を「敵の合図」――ウルトラ軍の位置の特定と攻撃開始――だと正しく直観したエレクとロトは特にクドクドしい説明や弁解セリフもなく、自身のウルトラ軍戦艦へとテレポートでさっそく帰還!
 ゴンドウも即座に「戦闘用意!」の号令をかけることで、劇中ではセリフやナレーションによる補足説明がなくても、前話ラストで土星の衛星タイターンにて強敵怪獣に苦戦するウルトラマンジョーニアスが天高く放った一条のプラニウム光線を、攻撃開始時刻前でも「アレが敵地だ! あるいは緊急信号、戦端が切って落とされた緊急告知だ!」と正当に受け取って、形式主義官僚主義に陥(おちい)らずにとっさに戦闘態勢に移ってタイターン基地に急突入していくサマを描くことで、エレク&ロトとゴンドウ隊長双方の有能さも同時に描いてみせたパターンを、ここでも再度踏襲してみせる!


 星間物質の雲に隠れていた整然と並んだ数百艦にもおよばんとするヘラー軍団の主力艦隊が姿をあらわす!
 土星の衛星タイターン基地の撃滅戦と同様に、5対1の戦力比があるとされる艦隊が、敵首領・ヘラー側近の発言に即するならば、射程距離に達するまでは待ったのか5分ののちに交戦状態へと突入した!


 敵味方の無数の艦砲射撃が飛び交っていく!
 膨大な数の光線が短時間に糸を引いて明滅する!
 互いの砲弾・光線は百発百中ではないけれど、時に直撃され敵味方の戦艦が撃沈・大爆発を遂げていく!


 弱い方や巨大怪獣に対して怪獣攻撃隊の戦闘機が一方的にヤラれていくだけで一矢すら報えていないとなると、観ていても弛緩(しかん)してきて、たとえ戦力比に差があったとしてもアンフェアに思えてきて「さすがに一矢も報えないことはナイんじゃないの~?」的に子供心にもイヤ~ンな気持ちになったものではあるけれど、本話においては劣勢であるウルトラ軍の戦艦も相応に敵戦艦にダメージを与える描写も付与していることで拮抗感も出せており、それゆえに劇中の空気も張り・テンション・緊張感を保つことにも成功している。


 しかし、この光景をいまだ緑豊かなウルトラの星の地上で実に冷徹につぶさに見守っていた、#38「ウルトラ大戦争!! 巨大戦闘艦ウルトリア出撃」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100123/p1)以来、ひさしぶりにその姿を現わしたヘラー軍団の首領・ヘラーの、決して驕(おご)らず冷静にして的確なセリフがまたふるっていて、個人的には放映当時の小学校高学年のときからシビれまくった!!



ヘラー「(配下による勝敗確定の言に対して、横目だけを向けて眼を光らせて)勝敗は数だけで決まるものではない。


(毅然(きぜん)としたヘラーのふるまいにその場の空気が固まり、その意を受けたかヘラーが飼う足元に鎮座まします一角黒豹・パンサーが唸り声をあげる。それを聞き、中堅幹部もかしこまって低頭する)


 ウルトラの戦士は、ひとり、戦艦10隻(せき)分に相当する(!)。


 しかも我々は、ウルトラ最高の戦士・ジョーニアスとはじめてあい対するのだ」



 このセリフで、ヘラーのキレ者ぶりを示すと同時に、逆説的に正義のヒーロー側のウルトラ軍も、戦艦の数としては劣勢ながらも拮抗するだけの戦力を持っていることが、改めて示唆もされる――つまりは改めて強者vs強者同士の戦いであることの念押しにもなっている!――。
 そして、ウルトラマンたちはひとりで、宇宙戦艦10隻分にも相当する戦力があるというのだ!――合計8人のウルトラマンがいるということは単純計算でも80隻!!――


 このセリフがまた、「宇宙戦艦」と「巨大変身ヒーロー」が同居している世界観をSF合理的なリクツにおいても補強していて、と同時にすでに未来科学な「宇宙戦艦」が存在しているのに科学というより神秘な巨大ヒーロー「ウルトラマン」までもが劇中内にて併存している必然性を作品世界に与えてくれることで、その「ウルトラマン」というキャラをSF設定の面でも改めて立てることができており、後付けであろうがキッチリカッチリとピースがハマったパスルのようなSFモノや推理モノ的な設定に対する知的コーフン・知的快感をも与えてくれるのだ。


 それはたしかに、手前ミソで恐縮だけれども、近年の筆者個人が主張する、


「特撮(やアクション)というジャンルは、けっしてSFや文学のサブジャンルではない」


というテーゼとは矛盾するものではある。(関連記事:特撮意見4 特撮ジャンルの独自性・アイデンティティとは何か!? ~SFや文学のサブジャンルではない特撮・ http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060411/p1


 卑下ではなく云うのだが、「特撮」ジャンルとは、もっと低俗で原初的でフィジカル(物理的・肉体的)なモノである。
 眼に見えて映像でわかるスペクタルで珍奇な光景や奇抜なアクションを魅せて観客をワクワクさせるものであり、だからこそ逆に人間の根源的な情動に訴えかける普遍的なジャンルにも昇華しうるのであると考える――その逆に「SF」や「文学」は、メタフィジカル(形而上(けいじじょう)な知的快感や文学的で高度な情動を喚起するジャンルである――。
 このような筆者の近年の主張とは明らかに矛盾する事態であることは自覚しているし、その自説を撤回したいワケでもないけれど。
――もちろん本作『ザ☆ウルトラマン』は「特撮」ではなく「アニメ」ジャンル作品ではある。しかし、「アニメ」ジャンルもフィジカルなものが変幻自在にフォルムをメタモルフォーゼさせていく珍奇さを愛でることを主眼とするジャンルであると仮に定義をするならば、似たようなものなのかナ!?――


 しかし、そのテーゼを金科玉条に考えて形式主義的・官僚主義的に絶対視しているワケでも決してない。
 「特撮」ジャンルの中核・特質にはこのようなテーゼが存在し、かつまたそうであるべきだとは思いつつも、この中核・特質に奉仕して、あるいは必ずしも奉仕はしなくとも、その個別のエピソードやシチュエーションが何らかのプラスの方向での「面白い」という情動を全員とはいわずとも一定数の視聴者にも喚起できるのであれば、そのような一応の知的・SF的なリクツ付け、ある意味では小賢(こざか)しいとも取れる描写(笑)も、「特撮」ジャンルにおいてはサブ的には許容されるべきだし、あるいはいっそ積極的に肯定されてもしかるべきであろう。


 要は、強いゾ、「ウルトラマン」たち!――それにあい対してきた「怪獣」たちも!――
 20世紀~21世紀初頭には存在しえないオーバーテクノロジーでもある「宇宙戦艦」群も、もちろん巨大ヒーローや巨大怪獣たちに匹敵する、デカくてスゴくてワクワクさせてくれる超越的な存在ではあるゾ!
 でも、番組タイトルが『ウルトラマンナニガシ』という怪獣ヒーローものであるからといって、「宇宙戦艦」群を安直二元論で、悪モノなりヤラれ雑魚メカ的な役立たずなどの端役に位置付けしてしまうのも、露骨にすぎてフェア(公平)ではなくって、イヤ~ンな感じだナ。
 せっかく登場してくれた「宇宙戦艦」群をも立てつつ、それ以上に改めて「ウルトラマン」にも同一世界に存在する「宇宙戦艦」群とも比した場合に存在意義&優越性を与えてくれるSF的なヘリクツを付けて、両者のキャラ&存在を多少の優先順位は付けつつも立ててもみせる、この二粒・二段構えでオイシいというクレバー(利口)な感覚。
 このフェアでクレバーな感覚の作劇こそが、本作『ザ☆ウル』の舞台設定においては、一番気持ちがイイはずなのであろう……ということでもあるのだ。


 安直な善悪二元論な論法に陥りがちな論者・批評オタク連中にも、形而下に訴える「特撮」と形而上に訴える「SF」の両者をともにプラスの存在だと捉えて、しかして足して2で割って毒にも薬にもならないキレイ事にするのでもなく、階段状に立体的に気持ちよく整理・配列・構築してみせる本作のようなフェアでクレバーな作劇を、そしてこの場合は「宇宙戦艦」(SF)よりも「ヒーロー」(活劇)の方をゼロか100かいう極論の優勝劣敗ではなく、作品の看板的にも「ヒーロー」(活劇)の方をやや立ててみせるような作劇を、本作にかぎらず自身が作品レビューを論述してみせる際の「論法」の構築法にもぜひとも参考にしたいとも思うし、と同時に各位に参考にしてほしいものでもあるのだ。



 前話の土星の衛星タイターン基地攻防戦につづいて、大艦隊戦に突入したヘラー軍vsウルトラ軍!
 そこに前話と同じく、DVD-BOXライナーに掲載されていた設定資料画によると、ウルトラ軍の「ウルトラ戦艦」の三方に複眼レンズ型のレーザー発射口に代わって長大な4連装の砲口を備えたマイナーチェンジ版の旗艦(きかん・司令官の乗艦)「キング・オブ・ウルトラ」――設定画の注釈によると旗艦独自のデザイン画なのだけど、当時のまだまだラフな作画スタッフゆえにか、この「キング・オブ・ウルトラ」と同型の4連装の砲口を備えた戦艦は複数登場しているネ(笑)――の前円部頂点の透明パーツにおおわれた展望ルームに、まだ本話の後半Bパートではなく前半Aパートだというのに(!)、早くも古代ギリシャ風の貫衣で身をまとったエレク&ロト&5大戦士たちが集結!


 第20話「これがウルトラの星だ!! 第2部」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090914/p1)の美麗なバンクセル画――流用フィルム? 変身直前の7人勢揃いのシーンは足元がU40の大地ではなくメカメカしいので、少なくともここだけは新撮!――を三度用いて、視聴者たる子供たちの期待にたがわず、――ウルトラ人なら全員がウルトラマンに変身できるとはいえ――ジョーニアスをのぞけば7人にかぎられるという巨大化変身できるエレク・ロト、そして5大戦士たちが星型の変身アイテム・ビームフラッシャーを右手に取って額に当てる!


「ウルトラッ・チェーーンジッ!! …………ショワッ!!」


 ジャンプするや、宇宙空間に出現して、ウルトラ艦隊をバックに進軍していく7人のウルトラマン


 そう、いかに志の高いテーマがあろうと、高度なドラマがあろうとも、最終決戦はやっぱりにぎやかに、強者集結のカタルシスをもたらす総力戦で来なくっちゃ!!


 記憶の古層を丹念にたどれば、筆者が物心がついてすぐの3~4歳時の時分に「ウルトラマン」シリーズなどの変身ヒーロー作品を観ていて、最も楽しみにしており、なおかつワクワクさせられたのは、変身シーンと必殺ワザのシーンであった。
 変身道具やボディーアクションを伴なう変身ポーズを通じてキラびやかな映像とともに超人へとパワーアップしていく「超越性」へのあこがれ!
 十字やL字型に組んだ片手や片腕から放たれる光学合成で描かれる日常生活ではアリエナイ光景である必殺レーザー熱線や、常人ではありえない身体能力で上空へとジャンプして空中回転を果たした上で急降下で放たれる必殺キックを観ていて抱かせられる、疑似的な「身体性の快楽」や「全能感」や「万能感」!


 結局のところ、変身ヒーローものの本質・エッセンスとは、そこにあるのではあるまいか!?
 それがシリーズ作品の看板を務めた先輩ヒーローたちが客演して、「ダブル変身」や「トリプル変身」を果たしたり、「合体光線」やら「ダブルキック」まで放った日には!! よろこびも2倍どころか二乗されて幾何級数的(きかきゅうすうてき)に倍増して、放映翌日や平日早朝再放送後の小学校への登校班や休み時間のクラスの中は、その話題で熱狂のルツボと化したモノであったものだ(笑)。


 このような感慨や経験は筆者個人の独自なモノではもちろんなく、多くの子供たちに対しても普遍性があったからこそ、「ウルトラ」シリーズや「仮面ライダー」シリーズにかぎらずに、『キカイダー01(ゼロワン)』(73年)には前作ヒーロー『人造人間キカイダー』(72年)が続投し、特撮時代劇『風雲ライオン丸』(73年)にも前作ヒーロー『快傑ライオン丸』(72年)がゲスト出演して、アニメ映画『マジンガーZデビルマン』(73年)や『グレートマジンガーゲッターロボ』(75年)や『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦!大海獣』(76年)では巨大アニメヒーローや巨大ロボットたちが夢の共演を果たしてきたのである。
 元祖と2代目のスーパー戦隊が共闘した映画『ジャッカー電撃隊VS(たい)ゴレンジャー』(78年)冒頭に至っては、「仮面ライダー」シリーズも「キカイダー」シリーズもスーパー戦隊シリーズと同一の世界観であることが示唆されて、70年代の子供たちを大いに熱狂させていた!――スーパー戦隊シリーズという総称はまだなかったけれども――


 本作においては、作品の看板を背負ったことがある往年の主役ヒーローたちではないけれど、それらに準じる存在とされている同族のヒーローたちが7人もそろって変身を遂げるシーンが前話につづいてまたもや描かれる!
 往時も、そして30年を経た今となっても、万人が感動するとまでは云わないけれども、コアな変身ヒーローマニアだけに留まらず、イイ意味での稚気(ちき)を残すライト層や周辺層も含めて、この一連は大勢がコーフン&高揚をもたらすシーンであるのだと断言をしてみせたい!(笑)


 本話においては、当該記事を執筆するために何度もDVDを鑑賞していると、エレクやロトたちがヘラー軍戦艦を相手にパンチやキックを繰り出すも、ブチ破ったり貫通したりはせず、必殺光線で撃破する映像も描かれないことだけが、敵戦艦や敵円盤を次々に粉砕していった#20や#21と比すれば少し残念にも思える。
 絵コンテ担当者は全体的にはよい仕事をしているとは思うけど、逆に云うなら何度も観返していて、やっと気になる程度であるのだから、大きな欠点ではないのだろう――まぁ作画スタッフ側の問題か、確信犯で作画スタッフの負担を減らすためのあえてする指示だったのやもしれないけれども――。


 7人のウルトラマンの登場で優勢になったのかと思いきや、まだまだ本エピソードは最終回ではないので(笑)、敵のしつこい反撃も描かれる!
 ウルトラの星の地表に構築された、名称は次回の最終回にて判明する、高い尖塔がいくつも屹立する直径数キロメートルの範囲はあろうかという広大な円形都市「ヘラー・シティー」。
 その尖塔群が光り輝くや、都市全体から放射されたようにも見える、極太のレーザー熱線がはるかな宇宙空間に向かって発射される!


 その一条の熱線の直撃に包まれて、一瞬のうちにウルトラ軍の戦艦1隻が消滅・爆発を起こした!
 そして、次々と撃沈されていくウルトラ戦艦群!


 しかも、それは#20にて判明した、元は地球人と同等の姿形をした種族であったウルトラ人を、ウルトラヒューマノイドに進化させたという、物質であって物質ではない命の素・超物質ウルトラマインドを、ヘラー・シティー直下の地底奥深くに封印し、その膨大なエネルギーを機械で吸い上げて極太の熱線に変換したものだというのだ!


 またもや、夏休み放映の#19~21「これがウルトラの星だ!!」3部作における宇宙戦艦数千隻や、身長1キロメートルにも達せんとする超巨大怪獣バゴンに、惑星規模の機械化惑星バデルスターや、その惑星が自身の重力を直接にウルトラの星へとぶつけてくる重力波攻撃! などなどの、ムチャクチャ壮大なSF妄想アイデア・妄想ビジュアルをコレでもか!? というほどに見せつけて、我々をワクワクさせてくれた吉川惣司(よしかわ・そうじ)脚本回は、最終回が迫っても容赦がない!



 とはいえ、ココから以降の展開が、作劇的にも絶妙で巧妙なところにして、本話の真骨頂だとも思う。
 と同時に、筆者個人のバトル至上主義的な論法に、やはり必ずしもなじまなくなってしまうところでもあるのだけど(笑)。


 本作最終章4部作のテーマとドラマを集約させるためにか、我らが主人公・ヒカリ隊員と科学警備隊の隊員たちにアミアや敵首領ヘラーら一同を一ヶ所に結集させるイイ意味での都合論のためにか、宇宙的にして神話的で壮大な戦闘は、戦線の激化と拡大のために分裂を余儀なくされたこととするあたりもまた実に巧妙ではある。
 そして、U40上空の宇宙空間での「大艦隊戦」と、U40地表でのヘラー・シティー内での地ベタを這いずり回る「肉弾戦」「白兵戦」の二者へと分離させ、前者の側にはバトル面での「スケール感」や「高揚感」を、後者の側には本作最終章4部作の「ドラマ」&「テーマ」を見事に体現させるに至るのだ!


(未完~近日中につづきを加筆します・汗)


#49『ウルトラの星へ!! 第3部 U(ウルトラ)艦隊大激戦』 ~追記

(文・T.SATO)
(前項の10年後(汗)の2020年加筆分)


 論述の都合で、あえて意図的に実際の作品における各シークエンスの順序を少々前後に入れ替えて語らせていただいたが、敵首領・ヘラーは何らかの意図があってだろう。「勝敗は数だけで決まるものではない」にはじまる一連の発言のあとに、


「アミアを、ここ――ヘラーが鎮座する司令室――に呼ぶのだ」


と配下に命じる。


 最終的にはヘラーの許に呼び寄せられてしまうのだけど、それだけではアミアが受け身で役立たずの人質要員に過ぎると脚本家は考えたか、そこまで明確に言語化・意識化せずとも直感的・本能的な作劇なのか、ここでもワンクッションを入れてみせている。
 ウルトラチェンジしたままのウルトラマン態の人間大サイズの変身体の姿で気絶していたフリをしていたアミアは、左下脚の白いロングブーツの部分に潜ませていた超短銃を左手で取って、連行に来たライフル銃を携えたふたりのヘラー軍兵士を倒して一度は脱走を試みさせることで、彼女の負けん気の心意気をも表現してみせている!
 基地内を逃走して、敵兵士たちの追撃をくぐり抜けて、逃走をつづけるアミア。ヨコ道の斜め通路にスベり逸れて、階下の高速で自走する通路で立てヒザで構えて脱出せんともする!
 今となっては驚きはナイやもしれないけど、この自走する金属製の通路というところがまた超近代的に思えて、本エピソードにおける二次的・三次的な要素に過ぎないけれども、こういう要素をあまたと投入していくことで、視聴者の作品に対する興味・関心や高揚感を微量なりとも上げていき、そしてそれらが総合芸術的な求心力や訴求力へと帰結もしていくのであると考える。


 自走する通路の先にあった先の暗がりの部屋の「自動ドア」が開いて、アミアはその中へと飛び込む――「自動ドア」という存在がまた、往時は近所の商店街にはなく駅前のデパートなどに行かないと存在しない、ややハイテックさを感じさせるモノでもあって(笑)、しかもそれが未来的・幾何学的なスタイルをしているともなれば、それがまた微量なワクワク感をも増幅していく!――。


 アミアは周囲を見回して、そのウルトラマン態の黄色い両眼もライトのように光らせることで視覚を強化させたことを意味させている実にさりげない描写も、緊迫シーンではありながらプチ・ワクワク感をも醸させようとしているのか、ウルトラマンたちのすべての必殺ワザや特殊能力を百科全書的に把握したいような怪獣博士・マニア予備軍的な気質がある子供たち一般の気持ちを、結果的にか代弁、満たしてもくれる描写なのでもある。


 しばしの沈黙のあと、ラスボス・ヘラーが呼ばわる「アミア……」という、やや神経質さが感じられるも落ち着いた低音ボイスが朗々と響くと同時に、ヘラーが鎮座ましましている背もたれが高い玉座にやわらかなスポットが当たって浮かびあがってくる描写も、冷静に考えれば舞台チック・演劇チックなワザとらしい描写だともいえるけど、そこは数秒程度であれば視聴者が疑問をいだくスキもないほどに流されていき、強敵の荘厳さだけを表現することができる映像演出のマジック。なかなかにセンスがイイと思える一連のシークエンスでもある。


 とっさに超短銃をヘラーに対して構えるも、飛びかかってきた一角黒豹・パンサーに超短銃を叩き落とされ、反転して飛びかかってきたパンサーに後ろ倒しにされて、首胸元に爪のある前足を据えられて恐怖にかられたアミアは変身も解けてしまい、金髪ロングの美少女でもある本来の人間態・アミア嬢の姿へと戻ってもしまう!
 駆けつけてきた複数のヘラー軍兵士たちに後ろ手に手錠を付けられたアミアだが、カットが切り替わってややアップとなり、後ろにふりかえってキッとヘラーをにらみ返す姿も印象的である。


 その後の一連のヨコ倒しで寝かされているロング(引き)の姿を、脚下の方から白い貫頭衣のミニスカの中が見えんばかりのアングルで両太モモも含めて拝めるシーンや、体勢を少し立て直してからの、やはり片脚だけを立てヒザにして彼女の両太モモや股間が拝めそうなシーンは、今日的な観点から見ればドーということもない作画レベルのシーンなのやもしれないけれども、往時において第二次性徴期のトバ口に立ちつつあったローティーンの筆者にとってはドギマギさせられるシーンであったことも懐かしくも思い出す(笑)。



 連行の命令(劣勢)、脱走(優勢)、再度の拘束(劣勢)、キッとにらみ返す(叶わずとも精神的には優勢に立たんとする行為!)。こういう起伏・往復運動がその作品を単調さから救って、視聴者に対しても持続的な興味・関心をいだかせることに成功させるのである。


 つづけて、「抵抗はやめたまえ。君の仲間がやってきたのだから……」というヘラーの言で、ウルトラ軍vsヘラー軍の艦隊戦がはじまろうと布陣を敷きつつある光景を巨大モニターでアミアは目撃させられることで、物理的な舞台としては別ではあってもアミアにも科学警備隊やエレクたちの戦闘を同時に体感させる。これにより、アミアと科学警備隊たち双方のドラマも分離させずに、間接的な接点をも作り手たちは持たせていくのだ……。


 とはいえ、その白い目盛り付きの巨大モニターに写るのは、画面に映じている範囲だけでもすでに100~200隻はあろうかという横長に数列に将棋の小さなコマのようにあまた並んで停泊しているヘラー軍艦隊の上方から見据えた望遠からの光景。そして後方からやはり横数列で接近してきて布陣に加わらんとしているヘラー軍の増強艦隊!


 ここからモニター越しではない実景(?)に切り替わるや、画面左斜め上側から見下ろして攻め落とすかのように、甲板を写すかたちで進軍してきて、画面手前にアップ気味の戦艦も進入してくるヘラー軍艦隊!
 対するに、カットが切り替わるや、画面右斜め下側から見上げるように戦艦の艦底を写すかたちで、各戦艦やウルトリアの姿が小さめに描かれることでやや劣勢にも思えるウルトラ軍艦隊の姿も描かれる!


 ここで個人的に思い出すのは、かの金字塔アニメ『機動戦士ガンダム』の総監督を務めた富野由悠季(とみの・よしゆき)の著作『映像の原則 ―ビギナーからプロまでのコンテ主義』(キネマ旬報・02年・ISBN:4873765803・11年改訂版・ISBN:4873767369)にも記述されていたことでも有名な、「上手(かみて・右側)に正義の味方を、下手(しもて・左手)に悪役を配置する」という日本の古典芸能の時代からあるとされている流儀でもある。
 リアルロボットアニメの始祖であると持て囃されてきた富野カントクではあっても、実はそういった部分では古典的な流儀に則(のっと)るべしと訴えてきてもいる御仁でもあるのだ。
 スレた特撮マニアであれば、特撮時代劇『快傑ライオン丸』(72年)などのピープロ製作の特撮変身ヒーロー作品の監督をあまた手掛けてきた大塚莞爾(おおつか・かんじ)カントクが円谷プロ製作の特撮巨大ヒーロー『恐竜大戦争アイゼンボーグ』(77年)を手掛けた際に、巨大特撮バトル場面でやはりヒーローを上手・敵恐竜を下手に配置すると公言していたのを、現場の特撮スタッフが「それを踏襲するように……」と円谷プロの満田かずほカントクが手掛けた話数の特撮現場にて伝えたという逸話を、満田自身が特撮雑誌『宇宙船』に90年代に連載していたエッセイでご存じのロートルの方々もいるだろう。
 ただし、日本独自のローカルな伝統ではなく、キリスト教の絵画などでも実は右側により上位の存在や正義の存在を描くのがルールなのだそうである。ちなみに、古代ギリシャ演劇でも同様であるとする説も仄聞(そくぶん)したことがあるのだけれども、コチラについてはウラが取れなかったので断言は避けておきたい。


 昨今ではマイナーメジャーな世界では相応に有名になってしまった逸話だけれども、本エピソードと次回の最終回の絵コンテを担当した絵コンテ・斧谷稔(よきたに・みのる)とは、実は本作『ザ☆ウルトラマン』と同時期に放映がなされていた『機動戦士ガンダム』の総監督を務めるも、放映打ち切りの憂き目にあって、他局で手掛けることになる次作『伝説巨神イデオン』放映開始までの3ヶ月ほどの合間があった時期の富野由悠季(とみの・よしゆき)――当時は富野喜幸名義――そのヒトのことであり、彼があまたの作品の絵コンテで用いていたペンネームでもあったのだ。
 ちなみにこの「斧谷稔」というペンネームは、『機動戦士ガンダム』をはるかにさかのぼる大むかしの作品から、現時点での最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』(14年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191215/p1)に至るまで長年使用されつづけているものでもある。


 アミアをめぐって描かれた優勢と劣勢のシーソーバランスは、ウルトラ軍艦隊vsヘラー軍艦隊との戦闘をめぐっても反復されていく。
 ウルトリアやウルトラ戦艦軍による主砲発射によって戦いは口火を切った!(優勢) ヘラー軍艦隊の猛反撃!(劣勢) ウルトラ7大戦士の巨大化変身による反撃!(優勢)
 ヘラー軍主力艦隊を撃退することでヘラー軍が云うところの「第2次防衛線」を突破して、ガス雲も突き抜けてウルトラの星・U40を目前にして安息したのも束の間、極太の超巨大レーザーがU40の地表から照射されてきて、またまた次々とウルトラ軍戦艦が撃沈されて最大の窮地に立たされていく!(劣勢) というあたりがそれである。


ゴンドウキャップ「まだ……。地表も見えんのだ……。まさか?」
ムツミ隊員「でも……。熱線はたしかに下から……。(とてつもない幾度目かの光芒に片腕で両眼を思わず隠して)キャアッッッ!!」
マルメ隊員「キャッァップッ~~! 上昇しましょう!!」


ヒカリ隊員の内心にだけ語りかけてくるウルトラマンジョーニアスの声「(ウルトラマインド? これだけのエネルギーを遠くから使えるのはウルトラマインド以外にない)」


 ヘラーシティーの巨大尖塔5~6本で囲まれた範囲から放たれる超遠距離レーザーにも、つづけて劇中キャラ――ここではウルトラマンジョーニアス自身により――SF的な理由付けがなされていく。
 しかもそれは元々は地球人同様のヒューマノイドであったウルトラ人たちをウルトラヒューマノイドに進化させた源でもある超物質・ウルトラマインドに求めてみせている、このセンス・オブ・ワンダーさがまたまたシビれる! 無敵の善なるモノの根源を悪魔の兵器として転用してみせる、この始末の悪さと圧倒的な超兵器感と絶望感と巨悪感!


ヒカリ隊員「ど、どうすれば?……」
ジョーニアス「(もはや、逃げられん)」
ヒカリ隊員「エッ? じゃあ、このまま墜落しろと云うんですか!?」


 ヒカリ隊員の対外的には独り言に聞こえる発言に対しても、


ゴンドウキャップ「ン!?」
マルメ隊員「ヒカリ!?」
トベ隊員「どうしたんだ!?」


 とナチュラルなリクションをいったん挟みこんだ上で、


ヒカリ隊員「そうだ、墜落するんだ! キャップ! 艦を爆破しましょう。やられたフリをするんです!」


 ゴンドウキャップはヒカリ隊員のアイデアを採用して、ノズルを閉じさせてエンジンを全開にすることで、ウルトリアの艦尾に爆発を巻き起こす! ダメ押し演出で両翼の前上面にある巨大タービンのような2大メカにも誘爆が起きる!
 そのまま爆煙を引きつつU40の大気圏へと突入! さらなるダメ押しで艦橋のコントロールパネルにも火花を吹かさせて、艦橋も火の海に包まれ出すことで、事態の深刻度を増させていく!
 しかして、ただではヤラれずに補助エンジンで艦体も制御しつつ、行きがけの駄賃でヘラーシティーにも急接近、いくつもそびえ立つ尖塔にも体当たりしつつ、最後の艦砲射撃で尖塔群をも撃破していく!


 それに対して、即座に迎撃ができないヘラー軍の言い訳として、あるタワーの上端にある管制室での上官の命令に、


「(ウルトリアの高度が)低すぎて、ムリです!」


との発言をヘラー軍兵士にさせているのも、主人公たちがなかなかヤラれないことにイイ意味での言い訳をつけてみせなければならない娯楽活劇作品における、クレバーな作劇にして展開であるともいえる。


 広大なヘラーシティーを横断して、近辺の荒野に不時着する巨大戦闘艦ウルトリア!
 科学警備隊にそのマスコットロボット・ピグやウルック1号の面々も即座にウルトリアから脱出して遠方に逃げるや、ついにウルトリアがキノコ雲を起こす大爆発を起こして最期(さいご)のときを迎える!


 そのキノコ雲を、すっくと立ち上がって見つめるヒカリ隊員――このあたりのシーンから、人間キャラのお芝居的なクライマックスにも向かっていくためにか、登場人物の顔アップのシーンなどは特に作画のクオリティも高くなり、肌に光があたって明るい部分とやや陰の部分との境目に色トレスがしてあったり、表情演技で複雑玄妙な心情が表現できるようにもなっていく――。


 ピンチになったら何らかの方法で盛り返してシーソーバトルを展開していくのが、気持ちのよい娯楽活劇作品を達成するための鉄則なのだけど、本エピソードはここからがまた一捻りを入れてくるのだ。
 本作第1話でのヒカリ隊員とウルトラマンジョーニアスとの初遭遇&合体シーンや、ジョーニアスがヒカリ隊員の内心に語りかけてくるときの神秘的なBGMが流れ出して……。


ジョーニアス「(ヒカリ、私は行く)」
ヒカリ隊員「エッ?」
ジョーニアス「(エレクが呼んでいる。今、ウルトラ艦隊は新たなヘラー軍団に包囲されているのだ」


 そこに浮かび上がる映像は、U40のはるか高空の宇宙空間で、いままた繰り広げられはじめたウルトラ軍vsヘラー軍の艦隊戦!


ヒカリ隊員「(すがるように)ジョーニアス」
ジョーニアス「(ここで別れる。ヒカリ)」
ヒカリ隊員「しかし。この一番大事なときに。みんなはどうなるんです!?」
ジョーニアス「(わたしを頼るな、ヒカリ……)」


 立てヒザをついたヒカリ隊員の全身が白く発光するや、そのままの姿の光った人影が真ヨコへとスライドしていく! 初代『ウルトラマン』(66年)の最終回以来、絶えて描かれることがなかった地球人とウルトラマンとの分離シーンがここにて再現!――もちろん絵ヅラ的には異なりますけれど――
 そして、そこに出現した古代ギリシャ風の貫頭衣をまとった黒髪の後ろ姿の偉丈夫こそ、我らがウルトラマンジョーニアスの人間態であると視聴者は気付かされることで、プチ・サプライズを生じさせるも、そこが本エピソードのクライマックスでもナイので、それは小さな驚きとしてのみ励起(れいき)して、ヒカリ隊員がウルトラマンに変身できない非常にヤバい事態にもなったという非情なる不穏感・サスペンス感の方が立ち勝(まさ)ってもくる!


 顔も見せずに後ろ姿のままのジョーニアスはそのまま両手脚をすっくと伸ばして宙へと飛ぶや、変身アイテム・ビームフラッシャーで変身ポーズも取っていないのに、ウルトラマンジョーニアスへと静かに変身!――多分、等身大サイズでの変身?―― 本作初期編でのウルトラマンが怪獣退治後に空へと帰還するシーンに幾度か使用された美麗なるバンクセル画を流用して、大空へと飛んでいく!


 かつての『帰ってきたウルトラマン』(71年)ことウルトラマンジャックや『ウルトラマンエース』(72年)も特にそのシリーズ後半や終盤などでは、ホントにホントの緊急時には変身道具を使わずに変身ポーズすらをも取らずに変身が果たせてしまい、コレはコレで子供心にホントに切迫した状況下では緊急変身も可能なのであろう、ふだんは変身を簡便に後押しするトリガー・引きガネとして変身道具があるのだろう、むしろそういった融通無碍さこそがヒーローの超越性や万能性といったモノでもあろうと――そういう小難しい言葉は知らなかったとしても、ニュアンスとしてはそういう趣旨の意味合いで――漠然と好意的に解釈して、むしろパターン破りでもあるからうれしい! くらいに思っていたものなので(笑)、本話におけるこの描写にもナットクができるのだ。
 むろん、昭和10年代や20年代生まれの大のオトナである脚本家や絵コンテ担当者たちが、やはりあくまでも子供向け番組であるそれまでの昭和40年代に放映されてきた昭和のウルトラマンシリーズをマジマジと観ていたとは当時の常識的にもとても思われないので、コレは『帰マン』や『エース』におけるそれらをマニアックに踏襲して引用してみせた描写だなどとはつゆほども思ってはいない。あくまでも「尺の都合」&「流れを寸断させないための意図的な省略」といったところが正解なのであろう。
 まぁ本家『帰マン』や『エース』における変身道具や変身ポーズなしでの緊急変身パターンも、各話カントクや編集マンによる「尺の都合」&「流れを寸断させないための意図的な省略」といったところが真相なのであって、それに勝手に怪獣博士の気質がある子供たちが好意的な深読みをしていただけなのではあろうけど、その深読みに大勢がナットクするような相応の合理性があるのならば、これはもう公式設定にしてもイイのではなかろうか? てか、そうしてくれ!(笑)


 ジョーニアスが飛び去っていく姿は見なかったのであろう科学警備隊の面々が、ヒカリ隊員の許へと駆けつけてくる。


ゴンドウキャップ「ボヤボヤするな! この隙に(敵の)本部に突っ込むゾ!!」


 おおよそ戦闘には不向きそうなピグとウルック1号からの質問に、ゴンドウキャップは「ウルトリアの残骸に隠れていろ。今は、あそこが一番安全なところだ」と、やはりしごく合理的な命令をくだして、ヘラーシティーへ突撃を敢行していく!――しかして、これが次回の最終話でピグとウルック1号が小活躍を果たす伏線にもなっていく――


 いわゆる「急降下のテーマ」と呼ばれる、本作では小型戦闘機バーディが疾走するシーンが思い浮かんでくる、軽快かつ勇ましいBGMが流れだして、隊員たちは小銃器で、力持ちのマルメ隊員のみがバズーカ砲という装備で、ヘラーシティーの地下層階へと潜入した面々はヘラー軍の兵士たちを次々となぎ払いつつ都心中心部へと駆けていく。


 それをモニター越しに監視していたヘラー軍の管制室の面々は脅威を覚えるも、ヘラー自身は余裕綽々の体で、


「それは好都合だ。彼らをここに案内しろ」


とのたまう。小者臭を廃して、どこまでも大物の知恵者として描こうとする、この作り手たちによる徹底ぶりもまたうれしいところではある。


ヘラー軍団幹部「な、なんですと!?」


ヘラー「わからんのか? わたしはジョーニアスの正体を確かめたいのだ」


縛を受けているアミア「(ふりかえって)エッ?」


 最終目的はもちろんジョーニアスの撃退であろうに、ジョーニアスの正体を知りたいとまでのたまってみせる、その高度に戦略的な意図は次回の最終回にて明かされる。


 科学警備隊の面々は進撃を進めるも、通路前方のシャッターが閉まり、後方のシャッターも閉まって、ヨコ通路に逸れつつも、それらの一連を繰り返すうちに、ヘラーが鎮座まします司令室の方向へと誘導されていく。


 そこは! 前方のシャッターが緩慢に上方へと上がると、ブ厚い透明巨大ガラスを通じた隣室は、ラスボス・ヘラーが陣取る司令室!! そこには銃を突きつけられて人質に取られているアミアの姿もあったのだ!


 少々の問答の末に、ヘラーは「そう、諸君らにもうひとり会わせたい人物がいる!」とのたまう!


 暗がりから姿を現わしたのは、まがまがしい奇抜なかたちの十字架に拘束された、ウルトラの星・U40の長老こと気を失わされている豊かな白髯白髪の老人でもある「大賢者」!
 そして、その両脇にはビームを照射できるような機械装置も迫り上がってくる。


ヘラー「これから大賢者を原子の単位まで分解しようと思う」(!)


 「原子」の単位にまで分解! 「原子」という言葉を幼児や小学生一般が知っているかと云ったら危うい表現やもしれないけれども、要は「分解する」ということさえ視聴者に対してわからせられれば、この表現でも問題はナイであろう。
 ちなみに、今となってはサッパリだけれども、往時はすでにイケすかない科学少年でありSF少年でもあった小学校高学年の筆者は、あらゆる物質が「分子」に、そしてそれが一応は自然界では92種類に限定される「原子」(元素)に、そして「原子」の中には「陽子」「中性子」「電子」といった3種類の最小粒子である「素粒子」が内包されていることは知ってはいたので、ますますこの超科学的なSFガジェットの登場には、たとえそれが敵のアイテムではあっても、ここでも一応の知的・SF的なワクワク感をいだかせられたモノであった。
――ちなみに「素粒子」の内部にはさらに「クォーク」が、さらには「サブクォーク」が内包されている……といった新事実は、日本においては1980年代初頭に出版ラッシュがあった科学雑誌で一般化するものなので、当時においてはまだ知らなかった(笑)――


アミア「やめて! やめて!」
マルメ隊員「野郎!」


 マルメ隊員はバスーカ砲をブッ放つも、その強化ガラスはビクともしない!


ヘラー「やめたまえ。そんな武器ではそのガラスは破れはしない。それを破れるのはただひとり……。ウルトラマンジョーニアスだけだ!!」


 この期(ご)におよんでも、優勢に立っている敵首領にさえ一目を置かせるかたちで、本作の主人公ヒーローであるウルトラマンジョーニアスを間接的に立ててみせることで、ジョーニアスの圧倒性や超越性を改めて補強・念押しをしてみせつつ、それと同時に「ウルトラマンの正体はヒカリ隊員なのや否や!?」という本作終盤における最大の問題点をも、この本作史上最悪の絶体絶命の局面において、よりにもよって敵首領自らの口から浮上させてもみせている!!


ゴンドウキャップ「ハッ」
ムツミ隊員「ハッ」


ヘラー「きみたちの中のだれかがジョーニアスであることはまちがいない。さぁ! 大賢者を助けたいなら、正体を現わしたまえ!!」


科学警備隊の面々「(呆然)(放心)」


 ヒカリ隊員の顔にゆっくりとズームアップ。つづけてヘラーの顔へもゆっくりとズームアップ。
 今はジョーニアスと分離しているヒカリ隊員の顔面の焦燥の表情が改めて静止したアップ映像に。アミアの顔へもカメラはズームアップとなっていく。
 そして、改めてヒカリ隊員のその愁眉の表情がアップになるや……。しばらくして、ヒカリは真ヨコに並んでいる隊員たちの視線が自身を見つめていることに気付いてしまう。


ムツミ隊員「(内心の声)ヒカリ隊員、早く、早く助けて」
トベ隊員「(内心の声)おまえがウルトラマンなら……、できるはずだ」
マルメ隊員「(声に直に出して・笑)ヒカリ! ウルトラマンになれ!!」(!)


ヒカリ隊員「(後ずさりしながら)ぼくは……。ぼくは……」


マルメ隊員「おまえなんだろ!? エッ! そうなんだろ!?」


 しばしの焦燥の表情での沈黙のあと、首を激しく幾度もヨコにふるヒカリ隊員。


マルメ隊員「(内心の声)ちがう?」


 ヒカリ隊員はやるせない表情から、きびすを返して強化ガラスに両手を大きく拡げてすがりつき、自身の無力さを嘆いて涙をこらえるように「大賢者……」とつぶやいて、目を伏せてしまう……。


 ギリギリまで頑張ってギリギリまで踏ん張って人事を尽くしてきたというのに、ウルトラマンに変身できずに、それどころかウルトラマンすら助けに来てくれないという、イジワル極まりない展開へと至ってしまうウルトラシリーズ史上最大の大ピンチ!!


 しかして、ここでもイレギュラー要素を投入。後ろ手に手錠を付けられたままのアミアが大賢者を救おうと、ヘラーが鎮座している原子分解装置に駆け寄るも、皮肉にもその行為がウラ目に出てしまって、アミアに押されたヘラーがボタンをつい押下(おうか)してしまったことで、原子分解装置は耳につく甲高い機械音をあげながら起動をはじめる!
 そして、大賢者の周囲は輝きを増していき、ついに白トレスの輪郭線のみと化して、次第にその姿を消失させていく……!


 そのサマを強化ガラスにしがみついたままで、切ない眼差しで見ていることしかできないヒカリ隊員の顔アップ。そこに本作通常編では30分前半Aパートラストである中CMの直前に流れることが多かったピンチを意味するブリッジ曲も流れ出して、本作第4クールのヘラー軍団編定番の「つづく」の字幕も浮上して、前話や前々話たる『ウルトラの星へ!! 第1部』や『第2部』ラストでの多幸感あふれる勇ましいノリとは異なり、大ピンチの方向性での最大の盛り上がりと次回への強烈なヒキをも惹起しつつ、本エピソードはクロージングを迎えて……。



次回予告「次回の『ザ☆ウルトラマン』はいよいよ最終回。勝利への道は険しい。そこには意外な結末が待っていた。『ウルトラの星へ!! 完結編 平和への勝利』」


(了)


[関連記事] ~『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終章

『ザ☆ウルトラマン』(79年)#46「よみがえれムツミ」 ~終章の序章・名作

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100320/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #47「ウルトラの星へ!! 第1部 女戦士の情報」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100328/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #48「ウルトラの星へ!! 第2部 前線基地撃滅」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100404/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #49「ウルトラの星へ!! 第3部 U(ウルトラ)艦隊大激戦」 ~大幅加筆!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100411/p1(当該記事)

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #50「ウルトラの星へ!! 完結編 平和への勝利」 ~40年目の『ザ☆ウル』総括!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20200508/p1

ザ・ウルトラマン総論 ~ザ☆ウルトラマンの時代・埋もれた大スケールSF名作! 第3次怪獣ブームの猛威! 70’s末の熱い夏!

 (関東・中部・関西の全話平均・クール平均視聴率も加筆!)
  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1


[関連記事]

特撮意見4 特撮ジャンルの独自性・アイデンティティとは何か!? ~SFや文学のサブジャンルではない特撮

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060411/p1


[関連記事] ~ウルトラシリーズ最終回評

ウルトラマンティガ』(96年)最終回 最終章三部作 #50「もっと高く!~Take Me Higher!~」・#51「暗黒の支配者」・#52「輝けるものたちへ」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1

ウルトラマンダイナ』(97年)最終回 最終章三部作 #49「最終章I 新たなる影」・#50「最終章II 太陽系消滅」・#51「最終章III 明日へ…」 ~賛否合評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971211/p1

ウルトラマンネオス』(00年)最終回「光の戦士よ永遠に」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120513/p1

ウルトラマンネクサス』(04年)最終回 ~中後盤評 #37「Final Episode 絆 ―ネクサス―」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1

ウルトラマンマックス』(05年)最終回 ~終盤評 #33、34「ようこそ地球へ!」バルタン星人前後編

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060503/p1

ウルトラマンメビウス』(06年)最終回 最終三部作 #48「皇帝の降臨」・#49「絶望の暗雲」・#50「心からの言葉」 ~ありがとう!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070505/p1

ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』(08年)最終回 #12「グランデの挑戦」・#13「惑星崩壊」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100331/p1

ウルトラマンオーブ』(16年)最終回「さすらいの太陽」 ~田口清隆監督の特撮で魅せる最終回・ジャグラス改心の是非・『オーブ』総括!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170415/p1

ウルトラファイトオーブ』(17年)完結評 〜『オーブ』・『ジード』・昭和・平成の結節点でもある年代記的な物語!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170603/p1

ウルトラマンジード』(17年)最終回「GEEDの証」 ~クライシスインパクト・幼年期放射・カレラン分子・分解酵素・時空修復方法はこう描けば!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180213/p1

ウルトラマンタイガ』(19年)最終回「バディ ステディ ゴー」 ~『ウルトラギャラクシーファイト』『スカイウォーカーの夜明け』『仮面ライダー令和』 ~奇しくも「父超え」物語となった各作の成否は!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200112/p1


ウルトラマンエース』(72年)最終回「明日のエースは君だ!」 ~不評のシリーズ後半も実は含めた集大成!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #47「ウルトラの星へ!! 第1部 女戦士の情報」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100328/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #48「ウルトラの星へ!! 第2部 前線基地撃滅」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100404/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #49「ウルトラの星へ!! 第3部 U(ウルトラ)艦隊大激戦」 ~大幅加筆!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100411/p1(当該記事)

『ザ☆ウルトラマン』(79年)最終回 #50「ウルトラの星へ!! 完結編 平和への勝利」 ~40年目の『ザ☆ウル』総括!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20200508/p1



f:id:katoku99:20200320140900j:plain
#49_ウルトラの星へ!!第3部
#ザ・ウルトラマン #ザウルトラマン #ウルトラマンジョーニアス #誰もが知ってるウルトラの戦士



『ザ☆ウルトラマン』全話評 ~全記事見出し一覧