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ゴジラ FINAL WARS 〜特撮アクション&本編アクション見せまくり究極作登場! JAC的なるものの勝利!

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(04年12月11日封切)
(文・T.SATO)
(04年ならぬ05年12月16日執筆)

ゴジラ FINAL WARS』 ~特撮アクション&本編アクション見せまくり究極作登場!


 開巻の東宝マークからして、TOHOとSCOPEの文字でサンドイッチした60年代東宝スコープの表記だし、そこにかかるは伊福部昭(いふくべ・あきら)御大のゴジラのテーマ曲。
 のっけから戦車や、パラボラアンテナ型ビーム砲でおなじみメーサー車が、夜の氷原で爆煙に包まれる姿。その明滅に照らし出されるゴジラの巨体。
 そこに、先端の回転ドリルで氷山を突き破って出現する、我らが空飛ぶ海底軍艦、63年版の旧・轟天号
 同時にタイプライター的に、エメラルドグリーンに縁取られた「南極・THE SOUTH POLE」のテロップが。軍艦の艦橋には、90年代平成ゴジラ「VS」シリーズでおなじみ、中尾彬(なかお・あきら)の艦長と上田耕一(うえだ・こういち)の副長が陣取っている!
 ゴジラVS海底軍艦の夢のマッチメイク! 地震による地割れの天佑を利用して、ゴジラを地の底に封じ込め、一応勝ってしまう海底軍艦! 艦橋にわきおこる歓声!
 すかさずかかる、世代人には角川アニメ映画『幻魔大戦(げんまたいせん)』(83年・https://blog.hatena.ne.jp/katoku99/katoku99.hatenablog.com/edit?entry=98012380855878571https://katoku99.hatenablog.com/entry/20181208/p1)のテーマ楽曲を想起せずにはおれない、キース・エマーソンシンセサイザーの楽曲。


 そしてはじまるオープニング。映像とマッチングする形で、セリフによって世界観をサクサク説明。
 戦争と環境破壊で怪獣が多数出現したこと。地球防衛軍の創設。身体能力に優れた新人類ミュータント(突然変異)の出現。彼らの地球防衛軍への部隊としての編入
 で、オープニングテロップが終わると、すぐまた怪獣バトル! 今度は新型・海底軍艦VS『海底軍艦』(63年)の旧敵・怪竜マンダだ! 軍艦を海底火山に接近させる強引な外人艦長。ムチャな艦長の指示に従い、優秀な操舵手であることを示すケイン・コスギ。コンピューター照準システムダウン! 外人艦長の「手動で狙え」とのお達しに、むかしの東宝特撮『地球防衛軍』(57年)の宇宙人ミステリアンの宇宙服のマスクみたいなのを、まず片手をそえデカいゴーグルを取り、口顎カバーも取って、ヘルメットを外し、伏し目がちから静かに顔を上げ、きっと前方を見据えるジャニーズTOKIO松岡昌宏
 彼が本作の主人公ですよ! と明言している、あまりにカッチョいい登場シーン! 裸眼で照準。彼の片目の黒瞳にはアニメ演出的に、怪竜マンダが映りこみ、メーサー冷線砲の引きがねを引く! 発射!! で、氷りついたマンダを轟天号の特攻で粉砕! 導入部のツカミはオッケー!



 切り抜きするも、うっかり現物を紛失したが、読売新聞の芸能欄だか折込だったかの(知己に縮刷版を調査してもらって発見できなかったので後者?)、2005年正月映画の、記者か女性も含めた映画ライターの座談会においては、やはり西高東低(笑)。
 洋もの大作に高得点が与えられ、本作『ゴジラ FINAL WARS(ファイナル・ウォーズ)』(04年)には低評価が与えられていた。いわく、「ワタシたちは人間アクションじゃなくて、怪獣を見たいのよ(大意)」と。
 女性のクセにホントかよ!? と思いつつ、一部(過半?)の怪獣マニアの言辞・決まり文句自体は、ウスめられて普及して、少なくとも映画ライターのような特殊業界のそのまた一角では、紋切り型の云い回しとして引用され、流通されるほどまでにマイナーメジャーになっているのだなあとも取れる。


 かたや、朝日新聞04年12月9日の文化欄で、62年生まれの映画評論家・江戸木純は、上記とまったく逆のことを語る。勝手に大雑把に要約させてもらえば、人間側のアクションがあそこまでアクロバティックだからこそ、怪獣側の擬人化したバトルも違和感が失せている、もしくは減少せられていると。
 また一方で、ある特撮同人ライターは、人間側のアクション重視を、特撮・怪獣よりも、人間ドラマを重視することの弊害の結果と見ていた。


 果たして、真相は奈辺にありや!?
 本稿はそれを探りたい。というのは真っ赤なウソで(笑)、そんなのは作品の垂直次元、クオリティに関わる次元のファクターではなく、個人の好みという水平次元の方の度合いが強いファクターなのだろう。
 だろうなどと、とりあえずの公平と客観を装いつつ、でもホントに好みの問題だけで片付けてイイの? とも思ってる。本作は人間ドラマを重視……って、あのアクション場面はちっとも人間ドラマじゃないだろう(笑)。


 ぶっちゃけ云えば、筆者の考えは、江戸木純と同じだ。だってそうだろ?
 人間側……というよりミュータント人間たちの超人的筋肉バトル、特撮変身ヒーローみたいな超人バトルがあったからこそ、怪獣たちが動物のクセに擬人化したアクションを演じたり、サッカーしたり、怪獣ゴジラが怪獣クモンガを放り投げたら地の果てまでにも飛んでいく、物理法則を完全ムシしたマンガ的描写が許される。
 本作にもし、ミュータントたちの超人的体技がなく、陰鬱とまで行かずとも、フツーの範疇の人間ドラマがくりひげられ、いきなし怪獣バトルであの擬人的動きであったなら、ドーであったろうか? 違和感バリバリのアリまくりだったのではなかろうか?



 海竜マンダを倒して帰還するや、ライトに照らされた八角形のメタリックなリングで、スピーディーな突きや蹴りを連発しつづける松岡VSケインの特訓風景。
 カメラはふたりの周囲を、まわりまくるわ、カット割りは細かいわ。殴ったら遠方に吹っ飛ばされ、相手を体躯ごとふりまわして上方へ投げ飛ばしもする! ふたりは猛速力でカベにそって走ることもできれば、カベから跳躍して空中で交差! ところが、空中キックを瞬時に受け止め、相手の脚を、自身の腕と体で羽交い絞めとし……。
 いや、本作のアクションは、洋画『マトリックス』(99年)のアクションのパクリだってのは、そーかもしらんが、『マトリックス』自体が日本のアニメと劇画や特撮に香港映画のアクションの集積なんだし、似たような試みは80〜90年代の日本の『戦隊』はじめ東映ヒーロー作品で、JAC(ジャパン・アクション・クラブ。現・JAE:ジャパンアクションエンタープライズ)が技術集積してきたことを、濃いみなさまならば、ご存じの通り。
 だから、お互いさまだろう。最近の若いマニアは知らないようだが、ハリウッドはもっとヒドいパクリもやってたものだ。80年代からいる、東映作品も見る古参特撮マニアならばご承知だろう。『プレデター』(87年)のデザインが、我らが『電撃戦隊チェンジマン』(85年)の敵幹部・副官ブーバ(デザインは多分、出渕裕)そのまんまだったこともあるではないか!?(笑)



 松岡に学者警護の命令。イヤがる松岡だが、意外なことに学者は若いモデル風美女。演じるは東大上がりの菊川怜(笑)。ふたりで海底から発掘された怪獣ガイガンの死体を視察へ。本作のキーのひとつとなる、遺伝子に通常4つある塩基以外の第5の塩基・M塩基が、ガイガンとミュータントにあることも、そこで説明。なぜか無意味に網脚を高く組んで、観客に脚線美を見せてくれる水野真紀による、宝田明国連事務総長へのインタビューを挟んで、松岡と菊川は怪獣モスラでおなじみインファント島へ幻覚テレポート! 毎度おなじみ双子の小人・小美人が、1万2千年前のモスラVSガイガン黒歴史(くろれきし・(C)『ターンエーガンダム』・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19990809/p1)を語ってみせてくれもする!(ハイ、全て事情はわかりました!) 
 国連総長の専用機爆破を皮切りに、世界各地に怪獣がぞくぞく出現。ハリウッド版『ゴジラ』ならぬ『ラドン』はこうなるだろうという大暴れ!(コレは決して日本的な特撮演出じゃないゾ) 怪獣アンギラスの手の振りはデカいわ、本格リアル作品というよりB級TVの怪獣番組みたいに、ボール状にまるくなって転がっちゃうワ、世界に配備されてる各種の海底軍艦(空中戦艦)と戦うわ。突如、多少ウイた形で(笑)、富士山中にゴジラの息子の等身大怪獣ミニラも出てくるワ(……ケナしてるワケでなく、B級オールスター娯楽映画なのだから、コレでイイと思う。昭和30年代東映黄金期オールスター時代劇映画もこんなものだゾ。ストーリーよりも有名スター全員の顔見せが優先。なぜかそこにいる。先回りしてそこにいる。観客がツッコミ入れる前に、ケッそんなこったろうと思ったゼ、とのセリフを入れる、というような・笑)。



 ここまででも充分イイ感じだが、後半でテンポやテンションが失速する可能性もあり、手放しで絶賛する気にはなれず、個人的には構えて見ていた。
 が、次のシーンで心を完全に持っていかれる。
 東海コンビナートでの、怪獣エビラVSミュータント部隊! 火薬の量もスゴいが、M部隊の仮面ライダーや戦隊ヒーローばりのジャンプ力に空中ヒネリ回転、果てはカベ走り。超人的な俊敏性を駆使して重火器も連射しつつ、エビラの外骨格やハサミを砕いてみせて、ほとんど打倒寸前までにも追い詰める!


 ……本稿は当初、北村龍平の本編アクション演出のスゴさとして、執筆しようとしていた。
 しかし後日、CD−ROM付き高額映画パンフを読み返すと、なんとこのエビラVSミュータント部隊のシーンは、『電子戦隊デンジマン』(80年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120205/p1)のデンジピンク、『大戦隊ゴーグルファイブ』(82年)のゴーグルピンク、戦隊『超電子バイオマン』(84年)のピンクファイブ等を演じ、『光(ひかり)戦隊マスクマン』(87年)〜『鳥人戦隊ジェットマン』(91年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110905/p1)、『五星(ごせい)戦隊ダイレンジャー』(93年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111010/p1)、『忍者戦隊カクレンジャー』(94年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120109/p1)、『電磁戦隊メガレンジャー』(97年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111121/p1)〜『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20031111/p1)のアクション監督をつとめあげた、我らが竹田道弘カントクの演出でありかつ、絵コンテ(!)でもあったというではないか!?


 また、同パンフによれば、スタントマン(名前の記述なし。カースタントコーディネーターの雨宮正信氏? カースタントプレーヤーの諸士?)が、バイクアクションをやりたい、洋画『M:I(ミッション・インポッシブル)』(96年)でやってるようなことができる技術を自分は持っている! と具申して、X星人によりM塩基を保持することで操られたケイン・コスギと、なぜか操られない主人公・松岡昌宏とのバイクバトルも入った! ともいうのだ。


 エッ、そんなんで映画の構成が変わるの? っていうか、そんな寄せ集めなツクリなの? 単純に純粋に北村映画とは云えないの!? いやまあ大雑把に見れば、北村路線に乗ったものとしてのアクション、として論じることもできるが、それだとしても、ハミ出す要素が増えすぎる!


 ちなみにこの証言をしたのは、北村組の脚本家・桐山勲氏。そして彼がまた、JAC出身という異色の経歴なのだ。彼いわく、東宝特撮怪獣映画の登場人物は優等生ばかりでチョット弱いとのこと。コレには筆者も同感。絵的にも突出したキャラがいず、子供ウケ的にも大衆ウケ的にもわかりやすさ&ツカミの点では弱かったと思う。自身の幼少時の感慨をふりかえってみてもそう思う。
 だから、平成『ガメラ』初作(95年)で、60年代っぽい白シャツ人物が出てきたときには、カルト的にはともかく、子供・大衆向け作品としては、個人的には疑問に思ったものだった(印象に残りにくい、キャラの区別がつきにくかろうと!)。あと彼は、元のシナリオに燃える要素を付加し、外人艦長をエキセントリックにしたそうナ。



 で、さらに製作過程のおさらいをしてみる。
 考えてみれば当たり前のことだが、自主映画か中小規模の映画、または文芸映画・芸術映画ならばともかく、娯楽商業映画は集団製作であることに改めて気付かされる。
 もちろん皆が皆、平等に携わっているワケではないので、正確に云うなら、寡頭体制ということである。そして方向性がある程度一致していれば、娯楽映画はその方が一般に豊かになるということだ(もちろん方向性がバラバラでは、船頭多くして何とやらになるが)。


 オールスター怪獣映画という企画自体はもちろん北村カントクのアイデアではない。
 前々作『ゴジラ×メカゴジラ』(02年)公開直後、前作『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(03年)まだきの03年4月に、04年末公開のゴジラ50周年記念作品として富山プロデューサーが、『怪獣総進撃』(68年)もの+『怪獣大戦争』(65年)のX星人ネタで、と脚本家に注文。03年夏までに脚本家・三村渉海底軍艦轟天号の登場を追加して原型ストーリーが出来上がり、そこまで行ったところで10月に北村カントク登板が決定したそうだ。


 怪獣ヘドラキングシーサーの登場はカントクの要望。ミニラも同様。『E.T.』(82年)や『グレムリン』(84年)のようなキャラが近年いないからだとか。そして04年2月ごろには、北村組の脚本家にしてJAC出身・桐山勲が参加する。
 北村カントクは濃いゴジラマニアとはいえないので、近年のゴジラ作品への事実誤認もあるが(笑・多分、90年代平成VSシリーズと新世紀ミレニアムシリーズの作風の区別もあまりついていない)、印象批評もまじえたアクション面やストーリー面での豪快さの欠如を指摘する。自衛隊とのリアルな攻防がどーこーより、ゴジラが頭突きし、脚蹴り入れ、投げ飛ばして乗っかってボコボコぶん殴る! というような。
 で、それに特撮監督の浅田英一氏や『モスラ3 キングギドラ来襲』(98年)のキングギドラ役で実質東宝デビューし、『ゴジラ2000ミレニアム』(99年)からゴジラスーツアクターを務める、やはりJAC出身・喜多川務が「ずっとそういうことをしたかった」と大賛同。


 ここから喜多川務氏も暴走(笑)。喜多川氏は、東映『アクマイザー3(スリー)』(75年)の戦闘員でデビュー。映画『柳生一族の陰謀』や『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』(共に78年)の戦闘員、東宝『メガロマン』(79年)の怪獣や戦闘員、戦隊『バトルフィーバーJ』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120130/p1)でJACの大葉健二が撮影スケジュールで演じられないときのバトルケニアとミスアメリカのスタント。『電子戦隊デンジマン』(80年)のデンジブルー。『大戦隊ゴーグルファイブ』(82年)の春田純一と兼任のゴーグルブラック。『科学戦隊ダイナマン』(83年)〜『光戦隊マスクマン』(87年)の歴代ブルー。『五星戦隊ダイレンジャー』(93年)のシシレンジャーと『忍者戦隊カクレンジャー』(94年)では奇しくもケイン・コスギが変身したニンジャブラックを演じた大ベテラン。


 もちろん合議制ではあるものの、特撮班は喜多川氏がやりたい怪獣アクションのアイデアを中心に、平成VSシリーズ以来のおなじみで、最近ではアキたとの心無い批判も聞かれるデザイナー兼漫画家の西川伸司氏が絵コンテを描いたそうだ。コレには喜多川の旧友でもある、造形の若狭新一が、彼のゴジラ役者への推挙に加えて、今回ついに特撮班の実質アクション監督(怪獣バトルに演技をつける)に推した、といった事情も後押ししたように見える。……ただし怪獣サッカー自体は、本編・北村カントクのイメージコンテ自体にすでにあったそうだが(笑)。


 かくて造形の力も借り、ゴジラの着ぐるみの肩の位置は、スーツアクターの肩の位置と動きに一致、腕は長く伸びて、拳をにぎりしめ、パンチも繰り出すことになる。
 かくて、吉川英治の『宮本武蔵』に出てくる分銅や鎖鎌を扱う宍戸梅軒(ししど・ばいけん)みたいな怪獣ガイガンの攻撃を、人間のように避けたり鎖をつかむゴジラ像が描かれる(カッチョえー!)。ガイガンは両手の電動ノコギリで匍匐前進(ほふくぜんしん)してしまう。かくしてミュータント部隊のあるイミ舞踏的アクションのみならず、怪獣キングシーサーまでもが片腕伸ばしたポーズで、擬人的に走りこみ、サッカーのシュートまでをもキメてしまう(ゴジラゴールキーパーしようとする・笑)。かくかくで、ほとんど人間体型でしかもスマートな人間的動きをする新怪獣、モンスターXまでもが出現! にらみあい突進し空中(!)で交差! 地滑りしながらふりかえり、回し蹴りまでしてしまう。
 じかじかで、光線は太っといワ、物理的圧力もあるワで、ビルを押していく。脚や尻尾で反動ショックに備えてから、口から特大の放射能火炎を吐くIQの高いゴジラ放射能火炎は成層圏をも貫き、超高空で落下してくる隕石をも爆砕してしまう。……アッ、このへんは特撮の現場側ではなく、絵コンテ側や脚本側の裁量ですかネ(笑)。


 ラドンやミニラはJACの神尾直子。彼女は本誌03年号「スーパー戦隊アクション監督興亡史」大特集の伏屋千晶氏の記事によれば、『電磁戦隊メガレンジャー』(97年)の今村みくのバカっぽさ(笑)をふくらましたメガピンクの仕種やアクションが絶品だったとか。『ビーロボ カブタック』(97年)〜『燃えろ!! ロボコン』(99年)では小柄な体躯をいかしてロボコンなどを好演。
 キングシーサー・モンスターX・カイザーギドラ役の中川素州は、『激走戦隊カーレンジャー』(96年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110521/p1)〜『未来戦隊タイムレンジャー』(00年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20001102/p1)の歴代ピンクを担当したヒト。前作『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ』でもメカゴジラを担当。まさに現場はJAC同窓会!


 とズラズラ書いてきて原稿のマスを埋めて字数稼ぎして、ある種の印象を醸そうとしている理由は何のことはない。第1世代特撮オタクの牙城・東宝特撮『ゴジラ』映画が、彼らが初代ゴジラやそれを演じた中島春雄の演技プランを盾に持ち上げて、70年代以降の粗製乱造の怪獣プロレス作品としてケーベツしてきた東映・JAC的な舞踏的アクションが、『パワーレンジャー』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080518/p1)などを経てハリウッドにまで間接的に影響をおよぼし、それが還流するかたちで『ゴジラ』映画を今度は侵食、ついにはここに至って占拠されてしまった! ということを主張したいがためである。
 特撮アクションにしろ本編アクションにしろ、JAC的なるものの勝利! それが本作の実相でもあるだろう。


 この状況に不満を持つ、古い御仁もいるかもしれない。実は筆者なども上記のような主張を今では得意気にしているが、その古い正体も明かしておこう。
 筆者がマニア化した小学校高学年の70年代末期は、マニア向け書籍の勃興期。その風潮の中では、怪獣プロレスという言葉は悪口であった。もっと云うと、怪獣映画は総進撃ものよりも複数ものよりも1VS1よりも単体ものの方がレベルが高いという初期型マニアが作り出した風潮が隆盛しだした時期だった。よって、『ウルトラ』でいうなら、当時としては後期ウルトラである『ウルトラマンタロウ』(73年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20071202/p1)や『ウルトラマンレオ』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090405/p1)などの格闘技やプロレスの延長線上と位置づけられる泥クサい怪獣バトルより、殺陣としては洗練されていないが、あるイミでナチュラルである初期『ウルトラ』の例えば、現場アクションというより演出や光線合戦で見せるような、対メフィラス星人戦やイカルス星人戦、ガッツ星人戦の方を高く見る風潮があったと思う。
 もちろんコレは、直接的には第1世代が自身の思い入れのある時期の作品を、何らかの理論で持ち上げたいという心情が根源の動機であろう。が、同時にオタクになるような人種は体育会系が少ないのでスマートなバトルの方が好ましかったということも多分ある。筆者の乏しい経験を一般化もできないが、小学生時代、体育会系寄りの大の『ウルトラ』シリーズファンの友人は、『タロウ』や『レオ』の方がアクションが激しくてハデでスキだ、といっていたヤツもたしかにいたものだ。


 それが今やどうだ。歴史的経緯を知らない歳若いマニアが云うならともかく、年配者の特撮商業ライターまでもが、90年代の平成ゴジラの川北特撮カントクの光線合戦は垂れ流し。くんずほぐれつの怪獣プロレスが懐かしいなどとホザいてる。いやそれを云ってもイイのだが、自分たちの過去の言動への恥じらいや相対化などの検証・反省もなしに、自分は無罪だと云わんばかりに、健忘症な発言を発するのはいかがなものなのか?
 コレらはまた別に、初代ゴジラ役者・中島春雄が動物園に通って演技プランを研究したことや、平成ゴジラ役者・薩摩剣八郎の能を模した演技などをバカにしようというのでもない。ただ、それらが絶対でもないということも一方では考えなくてはならない。
 あるいは彼ら先達が、本作のゴジラや怪獣たちの動きをバカにし否定するということもあるかもしれない。というか特撮著名人を招いたマニアのイベントで、初代役者が2代目を酷評して、観客もその気になって笑うという光景は見たことがあったような気もするが(笑・個人的にはイヤな光景だ)。実地に演じてきた方々が、自身の前歴に適度な誇りを持つことはかまわない。が、ヌルいマニアなら致し方ないけど、批評オタクなら、別に先達に宗教的ドグマ的前近代的古代的に忠誠心や信仰を持つ必要はさらさらない。彼らに敬意を表しつつも、白黒二元論に陥らず、相対化して多角的にマッピングしていけばイイだけだ。


 要は筆者は何を云いたいか? 初代も2代目役者もその演技プランもオッケーであり、だけれども全てが等価であるというワケでもない。21世紀初頭において欠けていて求められていたのは、70年代のような怪獣バトルであり、80年代以降のJACによる様式美的洗練であり、それを本作『FINAL WARS』がもちろんそのままにではなく、アップトゥデートにリファインしたものではあるけれど、体現してみせたのが、あの怪獣アクションであったといいたいワケなのだ(本編アクションもまた然り)。



 紙幅が尽きたので、文章構成面では問題が生じるが、苦しい締めに入らせていただく(笑)。個人による自主製作特撮(CGだけど)『惑星大怪獣ネガドン』(05年)を作った30歳前後の彼は、怪獣映画が一番面白かったのは60年代ではないかとのたまう。よくある意見で個人的には首肯しないし(といってドコかに別に理想の時代を設定もしないが)、彼の作る怪獣映画に巨大ロボが出てくるセンスは70年代以降のものだろうとツッコミもしたいが。
 しかし理想化された60年代も、コレまた最近の若いマニアは知らないようだが、やはり当時も子供たちは、怪獣映画の人間ドラマ部分に関心がなく、怪獣が出るまでは、劇場を探検し冒険し走り回っていたらしい。それに比して『ドラえもん のび太の恐竜』(80年)では子供たちが座席に座ってキチンと見ていると……。って、筆者が小学生だったころの新聞記事の記憶だョ(笑)。
 その伝で、子供が(場合によってはオトナも)アキちゃう本編ドラマ部分を、本編アクション場面に置き換えしていく方向性がまちがっているとは思わない(それは古典的ファンが見たいものではないかもしれないが)。特撮ジャンルが結局は特撮とアクションを見せるためのもので、ドラマやテーマはそのための言い訳にすぎないとすれば、本作はその理論に自覚的に従ったワケでは毛頭ないが、結果的にその理論をはるかに先行して超越して体現してしまった究極作品だったとは思うのだ。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)・「ゴジラ FINAL WARS」特集・合評(7)より抜粋)


後日付記:コレだけホメといてナニだけど、『ゴジラFINAL WARS』もカナリ好きだが、でも個人的には、前々作『ゴジラ×メカゴジラ』、前作『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』の方が、ウエットでナイーブで実はスキだ(一般性のある感慨かはともかく)。意図的とはいえ、前2作は映像がクラいのは、子供の観客のことを考えると、やはり問題あるとは思うけど(マニアのみなさんは、自分たちだけ楽しめればイイってか?(笑) ……狭いなぁ)。


『假面特攻隊2006年号』ミレニアム「ゴジラ」シリーズ関係記事の縮小コピー収録一覧

中日スポーツ 2005年1月10日(月) 橋本幸治監督逝去
静岡新聞 2005年9月23日(金) 有川貞昌特技監督逝去


朝日新聞 2004年12月8日(水) 天声人語 〜97年、田中友幸P逝去時、オハイオ州新聞に追悼記事、60年代前半白黒TVの前に米の子供たちが集まった
・読売新聞 2004年11月22日(月) 編集手帳
中日新聞 2004年11月4日(月) 夕歩道 〜初代ゴジラ誕生時の50年前の流行語に軽文化・軽哲学・軽音楽・軽内閣(鳩山内閣
中日新聞 2003年10月30日(木) 中日春秋 〜文化功労者のひとりに選ばれた伊福部昭への愛着ネタ
中日新聞 2004年11月28日(日) 社説・ゴジラはどこに眠るのか 〜初作と50年前の世相とシリーズの変遷
中日新聞 2004年12月24日(金) 「ゴジラFINAL WARS」「現場も結束」燃えた最終章 〜監督&主演インタビュー
中日スポーツ 2004年3月3日(水) 最高最後50年目のゴジラ怪獣オールスター出演 〜製作発表(記者会見ではない)
中日スポーツ 2004年3月19日(金) 初代ゴジラ米上陸 〜5月7日のニューヨーク、サンフランシスコを皮切りにロサンゼルス、ワシントンなど全米20都市で順次公開予定
・日刊スポーツ 2004年7月16日(金) 初代ゴジラCM初登場 〜劇場マナーCM登場
・日刊スポーツ 2004年10月21日(木) ゴジラ米ハリウッド殿堂入り 〜ゴジラの名前が星形のネームプレート「ウォークオブフェイム」に刻印
・読売新聞   2004年10月20日(水) 米大学でゴジラ会議 28日から文化や社会への影響討論 〜カンザス大学にて


スポーツニッポン 2003年7月4日(金) 吉岡美穂ゴジラ25代目ヒロイン 〜GMMG製作発表
スポーツニッポン、スポーツ報知、日刊ニッポン 2003年8月5日(火) 〜GMMG製作報告会見
・リベルタ(海老名・座間・綾瀬版)㈱神奈川中央新聞社 №311 2003年2月27日(木)号 ゴジラの大きさ魅せた!日本映画支えた50年 元特撮美術監督井上泰幸さん 〜海老名市在住、井上泰幸近況・現在は地元の観音堂閻魔大王を修復中
朝日新聞 2003年12月28日(日) 育野重一(いくの・しげかず)美術監督逝去 〜26日心不全で逝去「ゴジラVSビオランテ」担当
週刊新潮 2003年1月16日号 「松井」で生き延びる映画「ゴジラ


スポーツニッポン、スポーツ報知、日刊ニッポン 2002年7月17日(水) 〜G×MG製作報告会見
スポーツニッポン、スポーツ報知 2002年8月9日(金) 〜G×MGクランクアップ会見
スポーツニッポン 2002年12月15日(日) ゴジラは“ゴジラ”にエール〜舞台あいさつ・ゴジラが松井にエール
週刊文春 2002年4月4日号 ゴジラに壊されたいさいたま新都心の真面目で真剣な企画 〜ロケ誘致
週刊新潮 2002年4月18日号 ゴジラも登場「映画ロケ」誘致合戦 〜さいたま新都心ロケ誘致
週刊文春 2002年6月30日号 明るく楽しいゴジラなんて誰が見るわけ 〜G×MGに松井出演
・読売新聞 2002年12月18日(水) 文化欄「映画」ゴジラ×メカゴジラ 「人間」描き見ごたえ 〜評(増沢一彦)
・読売新聞 2002年6月26日(水) 文化欄・日本の守護神ゴジラ 共同幻想担い、繰り返し出現 米への複雑な想い潜む 小野耕世 〜川崎市岡本太郎美術館ゴジラの時代展」より米でのゴジラ受容は反抗文化と親近・日本では米への複雑な感慨


・日刊スポーツ 2001年3月7日(水) ゴジラキングギドラモスラ初の3獣揃い踏み 〜GMK製作発表
・日刊スポーツ 2001年6月28日(木) 新山千春最年少ヒロイン12月公開ゴジラ 〜GMK製作発表会見
・日刊スポーツ 2001年7月12日(木) ゴジラを救え!!ハム太郎 東宝正月看板映画20年ぶり2本立て
朝日新聞 2001年1月22日(月) 文化欄「惜別」映画監督 福田純さん 起用さ「特撮」にいかす(学芸部・小原篤) 〜昭和の後期ゴジラ批判を気にする、特撮評論家・竹内博「でも今見ると結構面白い」、特技監督中野昭慶「福田さんの作品なら『100発100中』(65)が一番好きです」
週刊新潮 2001年11月22日号   東宝社長が口を滑らせた「ゴジラ休眠」発言 〜石田敏彦社長(71)、10月29日の日経新聞コラムに談話が掲載、社内から非難
・読売新聞 2001年2月1日(木) 深夜番組★探検隊「ゴジラ・ザ・シリーズ」(日本テレビ=金曜深夜2:40〜3:35)米国のアニメ版を逆輸入 〜ハリウッド版「ゴジラ」(98)の続編、残った卵から孵化した人類の味方のゴジラが怪獣や異星人と戦う(署名・塩)


・報知新聞 2000年8月1日(火) “生”ゴジラに大興奮 〜ゴジラ×メガギラスG消滅作戦・撮影現場公開
・出典失念 本家ゴジラ全米に上陸15年ぶり映画公開 〜「ゴジラ2000ミレニアム」、全米約2000館で18日の週末封切・公開初日夜のニュージャージー州リッジフィールドバークの映画館は40〜50台の男性中心に(汗)500席ほぼ満席・アニメ以外の邦画の全米規模での一斉公開は初らしい
・読売新聞 2000年1月5日(水) 文化欄「映画」ゴジラ2000―ミレニアム―」迫力増して再上陸 増沢一彦 〜第1作で感じた恐怖に通じる・宇宙怪獣との激闘がややくどい・ハリウッドのにおいも漂わす
・「ゴジラ」エキストラ大募集 IN 8月7日(土) 〜ゴジラ2000エキストラ募集FAX


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